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特表2023-547044プラズマエッチングウエハの単一化プロセス用シャドーリングキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】プラズマエッチングウエハの単一化プロセス用シャドーリングキット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20231101BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20231101BHJP
   B23K 26/402 20140101ALI20231101BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
H01L21/78 S
B23K26/364
B23K26/402
H01L21/68 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520400
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 US2021050744
(87)【国際公開番号】W WO2022076144
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】17/064,470
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エルマライ, カルシック
(72)【発明者】
【氏名】ペー, エン シェン
(72)【発明者】
【氏名】ソレンセン, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ティルナヴカラス, シリスカンタラジャ
(72)【発明者】
【氏名】タッティ, アルンクマール
【テーマコード(参考)】
4E168
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
4E168AD01
4E168AD17
4E168AD18
4E168CB07
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA32
4E168DA37
4E168DA40
4E168DA47
4E168GA01
4E168JA17
5F063CB06
5F063CB27
5F063CC21
5F063DD26
5F063DD31
5F063DD37
5F063DD42
5F063DD46
5F063DD51
5F063DF19
5F063DF20
5F063FF13
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA19
5F131BA52
5F131CA32
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB72
5F131EB82
(57)【要約】
シャドーリングキット及び半導体ウエハをダイシングする方法が記載されている。一実施例では、エッチング装置は、チャンバと、チャンバ内の又はチャンバに結合されたプラズマ源とを含む。静電チャックは、チャンバ内にあり、静電チャックは、第1の直径を有するウエハを支持する大きさの基板キャリアを支持するための導電性ペデスタルを含む。シャドーリングアセンブリは、プラズマ源と静電チャックとの間にあり、シャドーリングアセンブリは、第1の直径よりも小さい第2の直径を有するウエハを処理する大きさである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内の又は前記チャンバに結合されたプラズマ源と、
前記チャンバ内の静電チャックであって、第1の直径を有するウエハを支持する大きさの基板キャリアを支持するための導電性ペデスタルを含む静電チャックと、
前記プラズマ源と前記静電チャックとの間のシャドーリングアセンブリであって、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有するウエハを処理する大きさのシャドーリングアセンブリと
を備えるエッチング装置。
【請求項2】
前記第1の直径は約300mmであり、前記第2の直径は約200mmである、請求項1に記載のエッチング装置。
【請求項3】
前記シャドーリングアセンブリは、熱シールド、インサートリング、及びキャリアを含む、請求項1に記載のエッチング装置。
【請求項4】
前記熱シールド、前記インサートリング、及び前記キャリアは、固体アルミナを含む、請求項3に記載のエッチング装置。
【請求項5】
前記熱シールドは、前記インサートリングと接触せずに前記インサートリングを収容するためのポケットをその中に含む、請求項3に記載のエッチング装置。
【請求項6】
前記導電性ペデスタルは、それを貫通する複数の孔を有し、前記エッチング装置は更に、
複数の孔のうちの1つに対応する複数のリフトピンであって、前記ウエハの下の前記基板キャリアに接触するように配置された複数のリフトピン
を備える、請求項1に記載のエッチング装置。
【請求項7】
前記導電性ペデスタルは、その周囲エッジに複数のノッチを有し、前記エッチング装置は更に、
前記複数のノッチのうちの1つに対応する複数のリフトピンであって、前記基板キャリアのフレームに接触するように配置された複数のリフトピン
を備える、請求項1に記載のエッチング装置。
【請求項8】
複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法であって、
前記半導体ウエハの上にマスクを形成することであって、前記マスクは、前記集積回路を覆い保護する層を含み、前記半導体ウエハは、第1の直径を有するウエハを支持する大きさの基板キャリアによって支持される、前記半導体ウエハの上にマスクを形成することと、
前記集積回路間の前記半導体ウエハの領域を露出させる間隙を有するパターニングされたマスクを提供するために、レーザスクライビングプロセスで前記マスクをパターニングすることと、
前記半導体ウエハが前記基板キャリアによって支持されている間、及び前記基板キャリアが前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する前記半導体ウエハを処理する大きさのシャドーリングアセンブリによって部分的に覆われている間に、前記集積回路を単一化するために、前記パターニングされたマスクの前記間隙を通して前記半導体ウエハをエッチングすることと
を含む方法。
【請求項9】
前記シャドーリングアセンブリは、熱シールド、インサートリング、及びキャリアを含み、前記熱シールドは、エッチング中の熱接触を避けるために前記インサートリングに接触せずに前記インサートリングを収容するためのポケットをその中に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の直径は約300mmであり、前記第2の直径は約200mmである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングするためのシステムであって、
ファクトリインターフェースと、
前記ファクトリインターフェースに結合され、レーザを含むレーザスクライブ装置と、
前記ファクトリインターフェースに結合されたエッチング装置であって、チャンバと、前記チャンバ内の又は前記チャンバに結合されたプラズマ源と、前記チャンバ内の静電チャックであって、第1の直径を有するウエハを支持する大きさの基板キャリアを支持するための導電性ペデスタルと、前記プラズマ源と前記静電チャックとの間のシャドーリングアセンブリであって、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有するウエハを処理する大きさのシャドーリングアセンブリとを含む静電チャックとを含むエッチング装置と
を備えるシステム。
【請求項12】
前記第1の直径は約300mmであり、前記第2の直径は約200mmである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記エッチング装置の前記シャドーリングアセンブリは、熱シールド、インサートリング、及びキャリアを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記熱シールド、前記インサートリング、及び前記キャリアは、固体アルミナを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記熱シールドは、前記インサートリングに接触することなく前記インサートリングを収容するためのポケットをその中に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記インサートリングは、約197mmの直径を有する内側開口部を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記レーザスクライブ装置は、半導体ウエハの集積回路間のストリートのレーザアブレーションを実行するように構成され、前記エッチング装置は、前記レーザアブレーションに続いて前記集積回路を単一化するために、前記半導体ウエハをエッチングするように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記エッチング装置は、前記ファクトリインターフェースに結合されたクラスタツール上に収納され、前記クラスタツールは更に、
前記半導体ウエハの前記集積回路の上にマスク層を形成するように構成された堆積チャンバ
を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記エッチング装置は、前記ファクトリインターフェースに結合されたクラスタツール上に収納され、前記クラスタツールは更に
レーザアブレーション又はエッチングに続いて前記半導体ウエハを洗浄するように構成されたウェット/ドライステーション
を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記レーザスクライブ装置は、フェムト秒ベースのレーザを含む、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月06日に出願の米国非仮出願第17/064,470号の優先権を主張するものであり、その内容を全て、参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示の実施形態は、半導体処理の分野に関し、特に、各ウエハがその上に複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングするための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウエハ処理では、シリコン、又は他の半導体材料で構成されるウエハ(基板とも呼ばれる)上に集積回路を形成する。一般に、集積回路を形成するために、半導電性、導電性、絶縁性のいずれかの様々な材料の層が利用される。これらの材料は、周知の様々なプロセスを用いてドープ、堆積、及びエッチングされ、集積回路が形成される。各ウエハは、ダイスと呼ばれる集積回路を含む多数の個別領域を形成するために処理される。
【0004】
集積回路形成プロセスの後、ウエハは「ダイシング」され、パッケージングのために又はより大きい回路内でパッケージされていない形態で使用するために、個々のダイを互いに分離させる。ウエハダイシングに用いられる2つの主な技法は、スクライビングと鋸引きである。スクライビングでは、ダイヤモンドチップのスクライブを、予め形成されたスクライブラインに沿ってウエハ表面全体を移動させる。このスクライブラインは、ダイス間の空間に沿って延在する。この空間は一般に「ストリート」と呼ばれる。ダイヤモンドスクライブは、ストリートに沿ってウエハ表面に浅いスクラッチを形成する。
【0005】
ローラ等で圧力をかけると、スクライブラインに沿ってウエハが切り離される。このとき、ウエハの割れ目は、ウエハ基板の結晶格子構造をたどっている。スクライビングは、厚さ約10ミル(1000分の1インチ)以下のウエハに使用することができる。より厚いウエハの場合、ダイシングに好ましい方法は現在では鋸引きである。
【0006】
鋸引きでは、高回転数で回転するダイヤモンドチップの鋸をウエハ表面に接触させ、ストリートに沿ってウエハを鋸で切断する。フィルムフレームに張られた接着フィルム等の支持部材にウエハを装着し、垂直方向と水平方向の両方のストリートに繰り返し鋸を当てる。スクライビングと鋸引きのいずれにも伴う問題は、ダイスの切断されたエッジに沿って切屑及び溝が形成される可能性があることである。更に、クラックが形成され、ダイスのエッジから基板に伝播し、集積回路が動作不能になることがある。
【0007】
特にスクライビングでは、正方形又は長方形のダイの一面しか結晶構造の<110>方向にスクライビングできないため、切屑及びクラックが問題となる。
【0008】
その結果、ダイの他方の面を割ると、分離線がギザギザになる。切屑及びクラックのために、集積回路への損傷を防ぐのにウエハ上のダイス間に追加の間隔が必要となり、例えば、切屑及びクラックが実際の集積回路から距離を置いて維持される。この間隔要件のため、標準サイズのウエハに形成できるダイスの数は少なく、回路に使用できるはずのウエハ領域が無駄になる。鋸の使用は、半導体ウエハ領域の無駄を更に悪化させる。鋸刃の厚さは約15から60ミクロンである。そのため、ノコギリによってできた切断部周囲のクラック及び他の損傷が集積回路に悪影響を及ぼさないようにするためには、60ミクロンから300~500ミクロン程度で各ダイスの回路を分離させなければならないことが多い。
【0009】
更に、切断後、各ダイは、鋸引きプロセスから発生する粒子及び他の汚染物質を除去するために大幅な洗浄を必要とする。
【0010】
プラズマダイシングも使用されているが、同様に制限がある場合がある。例えば、プラズマダイシングの実装を妨げる1つの制限は、コストであり得る。レジストをパターニングするための標準的なリソグラフィ工程では、実装のコストが高くつく可能性がある。プラズマダイシングの実装を妨げ得る別の制限は、ストリートに沿ったダイシングで一般的に遭遇する金属(例えば、銅)のプラズマエッチングが、生産上の問題又はスループット制限を引き起こす可能性があることである。
【発明の概要】
【0011】
本開示の実施形態は、半導体ウエハをダイシングする方法、及びそのための装置を含む。
【0012】
実施形態では、エッチング装置は、チャンバと、チャンバ内の又はチャンバに結合されたプラズマ源とを含む。静電チャックは、チャンバ内にあり、静電チャックは、第1の直径を有するウエハを支持する大きさの基板キャリアを支持するための導電性ペデスタルを含む。シャドーリングアセンブリは、プラズマ源と静電チャックとの間にあり、シャドーリングアセンブリは、第1の直径よりも小さい第2の直径を有するウエハを処理する大きさである。
【0013】
別の実施形態では、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法は、半導体ウエハの上にマスクを形成することを含み、マスクは、集積回路を覆い保護する層であり、又はそれを含み、半導体ウエハは、第1の直径を有するウエハを支持する大きさの基板キャリアによって支持される。本方法はまた、集積回路間の半導体ウエハの領域を露出させる間隙を有するパターニングされたマスクを提供するために、レーザスクライビングプロセスでマスクをパターニングすることを含む。本方法はまた、半導体ウエハが基板キャリアによって支持されている間、及び基板キャリアが第1の直径よりも小さい第2の直径を有する半導体ウエハを処理する大きさのシャドーリングアセンブリによって部分的に覆われている間に、集積回路を単一化するために、パターニングされたマスクの間隙を通して半導体ウエハをエッチングすることを含む。
【0014】
別の実施形態では、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングするためのシステムは、ファクトリインターフェースを含む。レーザスクライブ装置は、ファクトリインターフェースに結合され、レーザを含む。エッチング装置は、ファクトリインターフェースに結合され、エッチング装置は、チャンバと、チャンバ内の又はチャンバに結合されたプラズマ源と、チャンバ内の静電チャックであって、第1の直径を有するウエハを支持する大きさの基板キャリアを支持するための導電性ペデスタルと、プラズマ源と静電チャックとの間のシャドーリングアセンブリであって、第1の直径よりも小さい第2の直径を有するウエハを処理する大きさのシャドーリングアセンブリとを含む静電チャックとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本開示の実施形態に係るシャドーリングキットの構成要素を示す斜視図である。
図1B】本開示の実施形態に係る上昇位置及び着座位置にあるシャドーリングキットを含むチャックを示す断面図と、基板キャリアを示す斜視図である。
図1C】本開示の実施形態に係るシャドーリングキットを含むチャックを示す斜視図及び断面図、ならびにシャドーリングキットを示す断面図である。
図1D】本開示の実施形態に係る200mmウエハを収容するためのシャドーリングアセンブリの一部を示す断面図である。
図1E】本開示の実施形態に係る200mmウエハを収容するためのシャドーリングアセンブリの一部を示す断面図である。
図1F】本開示の実施形態に係るリフトフープアセンブリ及び支持されたシャドーリングアセンブリを含むアセンブリを示す斜視図である。
図2A】本開示の実施形態に係る静電チャックを示す斜視断面図である。
図2B】本開示の実施形態に係る単一化プロセス中に薄いウエハを支持するのに適した基板キャリアを示す平面図である。
図2C】本開示の実施形態に係る静電チャックの様々な態様及び部分を示す斜視図である。
図3A】本開示の実施形態に係る静電チャックの様々な態様及び部分を示す平面図である。
図3B】本開示の実施形態に係る静電チャックの様々な態様及び部分を示す断面図である。
図3C】本開示の実施形態に係る静電チャックの様々な態様及び部分を示す斜視図である。
図4】本開示の実施形態に係るプラズマエッチング装置を示す断面図である。
図5】本開示の実施形態に係るウエハ又は基板のレーザ及びプラズマダイシングのためのツールレイアウトを示すブロック図である。
図6】A~Cは、本開示の実施形態に係る半導体ウエハをダイシングする方法の様々な工程を表す断面図である。
図7】本開示の実施形態に係る半導体ウエハ又は基板のストリート領域で使用され得る材料のスタックを示す断面図である。
図8A-B】本開示の実施形態に係る半導体ウエハをダイシングする方法における様々な工程を示す断面図である。
図8C-D】本開示の実施形態に係る半導体ウエハをダイシングする方法における様々な工程を示す断面図である。
図9】本開示の実施形態に係る例示的なコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
半導体ウエハをダイシングする方法、及びそのための装置について説明する。以下の説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、静電チャック構成、レーザスクライビング条件、並びにプラズマエッチング条件及び材料レジーム等の多数の特定の詳細が記載される。本開示の実施形態が、これらの特定の詳細なしに実践され得ることは、当業者には明らかであろう。他の場合には、集積回路製造等の周知の態様は、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、詳細には説明していない。更に、図に示す様々な実施形態は例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことを理解されたい。
【0017】
1又は複数の実施形態は、特に200mmウエハプラズマダイシングのシャドーリングキットを対象としたものである。実施形態は、300mm用エッチングチャンバで200mmウエハを処理するためのシャドーリングキットを用いたプラズマダイシングに適している場合がある。実施形態は、レーザ及びエッチングウエハのダイシングアプローチ、及び電子デバイスウエハの単一化又はダイシングのためのツーリングに適用可能である。
【0018】
状況を説明するために、現在、200mmウエハは、200mm用エッチングチャンバを用いた200mmウエハマウントテープフレームを使用して処理されている。本明細書に記載の実施形態は、約400mmウエハマウントフレームに200mmウエハを装着し、300mm用エッチングプラズマダイシングチャンバを用いて200mmウエハを処理できるように実装可能である。更に、本明細書に記載のシャドーリングキットは、更なるプロセスの強化及び歩留まりの向上のために、異なる厚さのウエハに対応するようにカスタマイズすることができる。
【0019】
1又は複数の実施形態は、300mmエッチングプラズマダイシングチャンバを用いて、300mmウエハを支持する大きさのテープフレームに装着された200mmウエハを処理できるシャドーリングプロセスキット設計を対象としたものである。本明細書に記載の実施形態は、300mmプラズマダイシングエッチングチャンバで200mmウエハを処理することを可能にするために実装され得る。本明細書に記載の実施形態は、専用の200mmエッチングチャンバを必要としないことによって、コスト及び設置面積を削減するために実装可能である。本明細書に記載の実施形態は、200mm及び300mmウエハダイシング及び/又は処理の両方に「標準400mmテープフレーム」を使用する柔軟性を提供するために実装可能である。実施形態では、処理における300mmウエハと200mmウエハとの間の切り替えは、最小限の設定変更及びツールダウンタイムで容易になる。
【0020】
更に詳しく説明すると、ウエハを個々のダイに単一化する際に、ウエハはダイ間のダイシングストリートに沿って切断又は区分化される。従来、ダイシングは機械的な鋸で行われてきた。モバイル機器及びその他の技術操縦者は、クラック、剥離、切屑の欠陥を減らすために、より高度な単一化アプローチを必要とし得る。レーザ及びエッチングウエハダイシングアプローチでは、基板に水溶性保護コーティングを施し、レーザスクライビングで除去されたストリート領域の全てのデバイステスト層を除去し、通常シリコン(Si)である下の基板材料を露出させることを伴い得る。次に、露出したSiをその全厚さを通してプラズマエッチングし、ウエハを個々のダイに単一化する。保護コーティングは、脱イオン水(DI)ベースの洗浄工程で除去される。水溶性保護コーティングは、環境への配慮及び処理のしやすさから、望ましい場合がある。
【0021】
このような水溶性コーティングは、主にプラズマエッチングステップ中のエッチングマスクとして、また、レーザスクライビング中に発生する全ての破片を回収する層として使用され得る。
【0022】
また更に詳しく説明すると、フェムト秒レーザは、プロセスのレーザスクライビング部分において好まれる場合がある。ナノ秒及び他の長パルスレーザとは異なり、フェムト秒レーザは、関連する超短パルスのため、熱影響がほとんどない。フェムト秒レーザのもう一つの利点は、吸収性材料、反射性材料、透明材料を含むほとんどの材料を除去する能力であり得る。典型的なウエハには、反射性及び吸収性である金属、透明な誘電体、レーザ光のほとんどを吸収するシリコン基板が存在する。水溶性保護コーティングは、全体又は大部分が透明であってよい、又は例えば、染料添加物を含む場合、部分的に吸収し得る。記載したこれらの材料は、フェムト秒レーザでアブレーションが可能である。以下に説明する多くの実施形態はフェムト秒レーザスクライビングに関連しているが、他の実施形態では、他のレーザビームタイプによるレーザスクライビングも、本明細書に記載のマスキング材料に適合し得ることを理解されたい。また、以下に説明する多くの実施形態は、金属化された特徴を有するスクライビングストリートと関連しているが、他の実施形態では、金属を含まないスクライビングストリートも考えられ得ることを理解されたい。また、以下に説明する多くの実施形態は、水溶性ダイシングマスクに関連しているが、他の実施形態では、他のマスク材料も考えられ得ることも理解されたい。
【0023】
本開示の1又は複数の実施形態によれば、300mmウエハマウントフレームは、200mmウエハを装着し、既存の300mm用エッチングプラズマダイシングチャンバで処理するために使用される。実施形態は、最小の設定時間で200mmウエハと300mmウエハとの間の切り替えを可能にするように実装され得る。実施形態では、シャドーリングキットは、キャリアと、インサートリングと、熱シールドとを含む。本明細書に記載されるようなシャドーリングキットは、エッチングプロセス中のテープ加熱及び燃焼の防止に役立つように使用され得る。インサートリングは、ウエハ処理中にキャリア及び熱シールドに触れることなく(例えば、処理されるウエハ又は基板の最も外側の部分によって支持されることによって)、独立した「浮遊」部品として機能し得る。この配置は、ウエハからキャリアへの熱伝達を防止し得る。熱シールドは、処理中にキャリアへの熱伝達を防止するのに役立ち得る。実施形態では、インサートリング及び熱シールドのプロファイルにより、エッチング処理中はウエハ上のエッジが除外される。
【0024】
例示的なアセンブリとして、図1Aに、本開示の実施形態に係るシャドーリングキット100の構成要素の斜視図を示す。
【0025】
図1Aを参照すると、シャドーリングキットは、熱シールド102と、インサートリング104と、キャリア106とを含む。実施形態では、熱シールド102、インサートリング104、及びキャリア106は、すべて固体アルミナで構成されている。実施形態では、熱シールド102は、例えば熱接触を避けるために、インサートリング104に接触することなくインサートリング104を収容するためのポケットをその中に含む。実施形態では、インサートリング104は、200mmウエハを収容する大きさである。上記のような一実施形態では、インサートリング104は、200mmウエハの最外周辺部の約1.5mmがインサートリング104によって覆われたままになるように、約197mmの直径を有する内側開口部を有する。上記のような一実施形態では、インサートリング104は、インサートリング104によって覆われた200mmウエハの約1.5mmの周辺部に静止する。
【0026】
図1Bは、本開示の実施形態に係る上昇位置及び着座位置にあるシャドーリングキットを含むチャックを示す断面図、及び基板キャリアを示す斜視図である。
【0027】
図1Bの部分(i)を参照すると、チャックアセンブリ110Aは、上昇位置にあるシャドーリングキット112を含む。一実施形態では、シャドーリングキット112は、上述したシャドーリングキット100等のアセンブリである。シャドーリングキット100は、200mmウエハを支持するテープフレームを含み得る基板キャリアアセンブリ114の上にある。基板キャリアアセンブリ114は、典型的には300mmウエハ又は300mmウエハの基板キャリアを支持する大きさのESC等の静電チャック(ESC)により支持される。チャックアセンブリ110Aはまた、リフトフープアセンブリ118を含む。図1Bの部分(ii)を参照すると、チャックアセンブリ110Bは、着座位置にあるシャドーリングキット112を含む。図1Bの部分(i)及び(ii)の両方を参照すると、位置110A及び110Bの間で上下に持ち上げるために、釘頭リフトピン119が含まれる。
【0028】
図1Bの部分(iii)を参照すると、ウエハテープフレーム114A(300mmウエハを収容する大きさであり得る)、ダイシングテープ114B、及び200mmウエハ(例えば、300mmウエハが通常着座するであろう位置にある)を含む例示的な基板キャリアアセンブリ114が示されている。
【0029】
図1Cは、本開示の実施形態に係るシャドーリングキットを含むチャックを示す斜視図120及び断面図122、ならびにシャドーリングキットを示す断面図である。
【0030】
図1Cを参照すると、静電チャックアセンブリ122は、静電チャック(ESC)121を含む。シャドーリングアセンブリは、静電チャックアセンブリ122のESC121の上にある。シャドーリングアセンブリは、熱シールド102と、インサートリング104と、キャリア106とを含む。実施形態では、処理のための位置にあるとき、インサートリング104は、図示したように、熱シールド102に接触することなく、熱シールド102のポケット内に収容される。実施形態では、インサートリング104は、図示したように、キャリア106と連結する。
【0031】
第1の具体例では、図1Dは、本開示の実施形態に係る200mmウエハを収容するためのシャドーリングアセンブリの一部を示す断面図である。
【0032】
図1Dを参照すると、シャドーリングアセンブリ130Aは、熱シールド102A、インサートリング104A、及びキャリア106Aを含む。実施形態では、処理のための位置にあるとき、インサートリング104Aは、図示したように、熱シールド102Aに接触することなく、熱シールド102Aのポケット内に収容される。一実施形態では、インサートリング104Aは、図示したように、キャリア106Aと連結する。
【0033】
第2の具体例では、図1Eは、本開示の実施形態に係る200mmウエハを収容するためのシャドーリングアセンブリの一部を示す断面図である。
【0034】
図1Eを参照すると、シャドーリングアセンブリ130Bは、熱シールド102Bと、インサートリング104Bと、キャリア106Bとを含む。実施形態では、処理のための位置にあるとき、インサートリング104Bは、図示したように、熱シールド102Bに接触することなく、熱シールド102Bのポケット内に収容される。一実施形態では、インサートリング104Bは、図示したように、キャリア106Bと連結する。シャドーリングアセンブリ130Aのキャリア106Aと比較して、シャドーリングアセンブリ130Bのキャリア106Bの形状は、キャリア106Bと基板キャリアのダイシングテープとの間により大きな間隙を提供し、テープがくっつく問題を回避するのに役立ち得る。
【0035】
例示的な支持及び/又は移動機構として、図1Fは、本開示の実施形態に係るリフトフープアセンブリ及び支持されたシャドーリングアセンブリを含むアセンブリ140を示す斜視図である。
【0036】
図1Fを参照すると、リフトフープアセンブリ142は、リフトフープ144、リフトピン146、及びサーボモータ148を含む。支持されたシャドーリングアセンブリは、図1Aに関連して説明したような、熱シールド102、インサートリング(この図では見えない)、及びキャリア106を含む。
【0037】
別の態様では、図2Aは、本開示の実施形態に係る静電チャックを示す斜視断面図である。静電チャックは、図1A図1D及び図1Eに関連して説明したようなシャドーリングアセンブリと対になり得る。
【0038】
図2Aを参照すると、静電チャックアセンブリ200は、シャドーリング又は熱シールド202と、関連するシャドーリングインサート204と、シャドーリングキャリア206とを含む。図示したシャドーリング又は熱シールド202と、関連するシャドーリングインサート204と、シャドーリングキャリア206とは、300mmウエハ処理に対応する大きさであることを理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、200mmウエハ処理に対応するために、図1Aで説明したようなシャドーリング又は熱シールド102と、関連するシャドーリングインサート104と、シャドーリングキャリア106とが代わりに含まれる。一実施形態では、シャドーリング又は熱シールド202、シャドーリングインサート204及びシャドーリングキャリア206は全て、アルミナ等のセラミック材料で構成されている。図2Aに示すように、基板キャリア上の基板がシャドーリングの下に含まれていてよく、基板キャリアのテープフレーム208が、熱シールドの下に含まれていてよい。テープフレーム208は、ステンレス鋼で構成されていてよい。シャドーリングを持ち上げるための調整可能なリフトピン207が含まれ、アルミニウムで構成されていてよい。
【0039】
静電チャックアセンブリ200は更に、導電性ペデスタル212の周りにエッジ絶縁体リング210を含む。導電性ペデスタル212の下には、底部絶縁体リング218がある。エッジ絶縁体リング210及び底部絶縁体リング218は、アルミナ等のセラミック材料で構成され、導電性ペデスタル212はアルミニウムで構成されていてよい。導電性ペデスタル212は、グラウンド及び/又はDC電圧に電気的に結合され得る。
【0040】
静電チャックアセンブリ200は更に、プラズマスクリーンセグメント214及びプラズマスクリーンバスケット216を含み、これらは両方ともアルミニウムで構成され得る。静電チャックアセンブリ200は更に、カソード絶縁体220、設備絶縁体222、及びカソードライナ224を含む。カソード絶縁体220は二酸化ケイ素で構成されていてよく、カソードライナ224はアルミニウムで構成されていてよい。静電チャックアセンブリ200は更に、支持ペデスタル226と、ヘリウムフィードスルー等のガスフィードスルー228とを含む。
【0041】
リフトピン230及びリフトピンフィンガ232は、静電チャックアセンブリ200に含まれる。リフトピン230はアルミナで構成されていてよく、リフトピンフィンガ232はアルミニウムで構成されていてよい。このような複数のリフトピン230が静電チャックアセンブリ200に含まれ得ることを理解されたい。実施形態では、上記複数のリフトピン230は、導電性ペデスタル212の処理領域の周辺部の外側に位置する。上記の一実施形態では、複数のリフトピン230は、基板キャリアのテープフレーム208に接触するように配置される。
【0042】
実施形態では、導電性ペデスタル212の露出面260及び被覆面270は、アルミナ等のセラミック材料でコーティングされる。実施形態では、各リフトピン230は、開口部250に含まれる。上記の一実施形態では、開口部250は、図2Aに示し、図2Cに関連して以下により詳細に説明するように、導電性ペデスタル212に含まれる孔である。この孔は、セラミック材料でコーティングされていない場合があり、静電チャックアセンブリからの電流漏れの影響を受けやすい場所であり得る。上記の別の実施形態では、開口部250は、図3A図3Cに関連して以下により詳細に説明するように、導電性ペデスタルの周囲エッジに含まれるノッチである。図3A図3Cの実施形態のノッチは、セラミック材料でコーティングされていてよく、図2A図2Cの実施形態の孔と比較して、静電チャックアセンブリからの電流漏れが軽減され得る。
【0043】
本開示の態様では、薄い基板(例えば、約100ミクロン以下の厚さを有する)が、ハイブリッドレーザアブレーション及びプラズマエッチング単一化プロセスで処理される。上記の一実施形態では、薄い基板は、基板キャリア上に支持される。例えば、図2Bは、本開示の実施形態に係る単一化プロセス中に薄いウエハを支持するのに適した基板キャリアを示す平面図である。
【0044】
図2Bを参照すると、基板キャリア280は、テープリング又はフレーム284によって囲まれたバッキングテープ282の層を含む。薄いウエハ又は基板等のウエハ又は基板286は、基板キャリア280のバッキングテープ282によって支持される。一実施形態では、ウエハ又は基板286は、ダイ取付フィルムによってバッキングテープ282に取り付けられる。実線で示すように、ウエハ又は基板286は、300mmウエハであり、すなわち、基板キャリア280は、300mmウエハを収容する大きさである。しかしながら、本開示の一実施形態によれば、基板キャリア280が300mmウエハ用の大きさであっても、200mmウエハ(点線287)が基板キャリア280によって支持される。一実施形態では、テープリング又はフレーム284は、ステンレス鋼で構成されている。実施形態では、図1B図1C図2A図2C又は図3A図3Cに関連して説明した静電チャックが、基板キャリア280等のアセンブリを収容する。
【0045】
実施形態では、基板キャリア280等の基板キャリアを受け入れるような大きさのシステムにおいて、単一化プロセスに対応することができる。上記の一実施形態では、以下に説明するシステム400又は500等のシステムは、基板キャリアによって支持されていない基板又はウエハを収容するような他の大きさであるシステムの設置面積に影響を与えずに、薄いウエハフレームを収容することができる。一実施形態では、システム400又は500は、300ミリメートルの直径のウエハ又は基板を収容するような大きさであるが、実施形態では、200ミリメートルのウエハがその中で処理される。同じシステムは、図2Bに示すように、幅約380ミリメートル×長さ約380ミリメートルのウエハキャリアを収容することができる。
【0046】
図2Cは、本開示の実施形態に係る静電チャックの様々な態様及び部分を示す斜視図290である。図2Aからの同じ番号は、図2Aに関連して上述した通りである。静電チャックは、図1A図1D及び図1Eに関連して説明したようなシャドーリングアセンブリと対になり得る。
【0047】
図2Cを参照すると、静電チャックは、その周囲エッジ付近に複数の孔294を有する導電性ペデスタル212を含む。静電チャックは、複数の孔294のうちの1つに対応する複数のリフトピンを収容し得る。実施形態では、導電性ペデスタル212はアルミナ等のセラミック材料でコーティングされているが、複数の孔の各々の内面はセラミック材料でコーティングされていない。
【0048】
実施形態では、静電チャックは更に、導電性ペデスタル212の周囲横方向にエッジ絶縁体リング210を含む。実施形態では、静電チャックは更に、導電性ペデスタル212の下に底部絶縁体リング218を含み、底部絶縁体リング218は、複数のリフトピンのうちの1つに対応する図2Cの複数の開口部296を有する。
【0049】
実施形態では、複数のリフトピンは、導電性ペデスタル212の処理領域292の周辺部の外側に位置し、複数のリフトピンは、基板キャリアに接触するように配置される。実施形態では、静電チャックは、図1A図1Fに関連して説明するように、複数のリフトピンの上に位置決めされたシャドーリング、シャドーリングアセンブリ、又はシャドーリングキットと共に、プロセスチャンバに含まれる。上記の一実施形態では、シャドーリング、シャドーリングアセンブリ、又はシャドーリングキットは、200mmウエハをエッチングするための大きさである。
【0050】
図3A図3B及び図3Cは、本開示の別の実施形態に係る静電チャックの様々な態様及び部分をそれぞれ示す平面図300、断面図320、及び斜視図340である。図2Aからの同じ番号は、図2Aに関連して上述した通りである。静電チャックは、図1A図1D及び図1Eに関連して説明したようなシャドーリングアセンブリと対になり得る。
【0051】
図3A図3Cを参照すると、静電チャックは、その周囲エッジに複数のノッチ302を有する導電性ペデスタル312を含む。静電チャックはまた、複数のノッチ302のうちの1つに対応する複数のリフトピン230を含む。実施形態では、導電性ペデスタル312及び複数のノッチ302の表面は、セラミック材料でコーティングされている。上記の一実施形態では、セラミック材料はアルミナである、又はアルミナを含む。
【0052】
実施形態では、静電チャックは更に、導電性ペデスタル312の周囲横方向にエッジ絶縁体リング310を含む。エッジ絶縁体リング310は、複数のノッチ302のうちの1つに対応する複数の内側突出部362を有する。複数の内側突出部362の各々は、複数のリフトピン230の対応する1つを収容するために、それを貫通する開口部を有する。
【0053】
実施形態では、静電チャックは更に、導電性ペデスタル312の下に底部絶縁体リング318を含む。底部絶縁体リング318は、複数のリフトピンのうちの1つに対応する複数の開口部(図3Bの322、及び図3Cの346)を有する。
【0054】
実施形態では、エッジ絶縁体リング310及び底部絶縁体リング318は、アルミナ等のセラミック材料で構成され、導電性ペデスタル312は、アルミニウムで構成されている。導電性ペデスタル312は、グラウンド及び/又はDC電圧に電気的に結合され得る。
【0055】
実施形態では、複数のリフトピン230は、導電性ペデスタル312の処理領域342の周辺部の外側に配置される。上記の一実施形態では、複数のリフトピン230は、基板キャリアに接触するように配置される。実施形態では、静電チャックは更に、図2Aに関連して説明したように、複数のリフトピン230の上に位置決めされたシャドーリング又はシャドーリングアセンブリを含む。
【0056】
本開示の一態様では、基板キャリアは、単一化プロセス中はエッチングチャンバに収容されている。実施形態では、基板キャリア上に薄いウエハ又は基板を含むアセンブリは、フィルムフレーム(例えば、テープリング又はフレーム284)及びフィルム(例えば、バッキングテープ282)に影響を与える(例えば、エッチングする)ことなく、プラズマエッチング装置に供される。更に、本開示の態様は、エッチングプロセス中に、組み合わせフィルム及びフィルムフレーム(基板キャリア)によって支持されたウエハ又は基板を移送及び支持することに対処する。特に、エッチング装置は、基板キャリアによって支持された薄いウエハ又は基板のエッチングに対応するように構成され得る。例えば、図4は、本開示の実施形態に係るエッチング装置を示す断面図である。
【0057】
図4を参照すると、エッチング装置400は、チャンバ402を含む。基板キャリア406をチャンバ402の内外へ移送するために、エンドエフェクタ404が含まれる。チャンバ402の上に、誘導結合プラズマ(ICP)源408が位置決めされる。チャンバ402には更に、スロットルバルブ410及びターボ分子ポンプ412が設けられる。実施形態では、エッチング装置400は、上述した静電チャック等の静電チャックアセンブリ414も含む。実施形態では、エッチング装置400は、図示したように、リフトピンアクチュエータ416及び/又はシャドーマスクもしくはリングアクチュエータ1418も含む。
【0058】
単一のプロセスツールが、ハイブリッドレーザアブレーション及びプラズマエッチング単一化プロセスにおける工程の多く又は全てを実行するように構成され得る。例えば、図5は、本開示の実施形態に係るウエハ又は基板のレーザ及びプラズマダイシングのためのツールレイアウトを示すブロック図である。以下の開示に照らして、他の実施形態では、その代わりに、コーティング/焼成/洗浄(CBC)処理チャンバが、別のツール上に、又は別のツールとして含まれ得ることを理解されたい。他の実施形態では、プラズマエッチングチャンバ及びレーザスクライブ装置は、単体ツールである。
【0059】
図5を参照すると、プロセスツール500は、それに結合された複数のロードロック504を有するファクトリインターフェース502(FI)を含む。クラスタツール506は、ファクトリインターフェース502に結合される。クラスタツール506は、プラズマエッチングチャンバ508等の1又は複数のプラズマエッチングチャンバを含む。レーザスクライブ装置510も、ファクトリインターフェース502に結合される。プロセスツール500の全体的な設置面積は、一実施形態では、図5に示すように、約3500ミリメートル(3.5メートル)×約3800ミリメートル(3.8メートル)であってよい。実施形態では、レーザスクライブ装置510は、半導体ウエハの集積回路間のストリートのレーザアブレーションを実行するように構成され、プラズマエッチングチャンバ508は、レーザアブレーションに続いて集積回路を単一化するために半導体ウエハをエッチングするように構成される。
【0060】
実施形態では、レーザスクライブ装置510は、フェムト秒ベースのレーザビームを提供するように構成されたレーザアセンブリを収納する。上記の一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザは、約530ナノメートル以下の波長を有し、約400フェムト秒以下のレーザパルス幅を有する。実施形態では、レーザは、以下に説明するレーザアブレーションプロセス等の、ハイブリッドレーザ及びエッチング単一化プロセスのレーザアブレーション部分を実行するのに適している。一実施形態では、可動ステージもレーザスクライブ装置510に含まれ、可動ステージは、ウエハ又は基板(又はそのキャリア)をレーザに対して移動させるように構成される。具体的な実施形態では、レーザも移動可能である。レーザスクライブ装置510の全体的な設置面積は、一実施形態では、図5に示すように、約2240ミリメートル×約1270ミリメートルであってよい。
【0061】
実施形態では、1又は複数のプラズマエッチングチャンバ508は、複数の集積回路を単一化するために、パターニングされたマスクの間隙を通してウエハ又は基板をエッチングするように構成される。上記の一実施形態では、1又は複数のプラズマエッチングチャンバ508は、ディープシリコンエッチングプロセスを実行するように構成される。具体的な実施形態では、1又は複数のプラズマエッチングチャンバ508は、米国カリフォルニア州サニーベールのアプライドマテリアルズ社から入手可能なApplied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムである。エッチングチャンバは、単結晶シリコン基板又はウエハ上に、又はその中に収納された単一化集積回路を作製するために使用されるディープシリコンエッチング用に特に設計され得る。実施形態では、高密度プラズマ源がプラズマエッチングチャンバ508に含まれ(又は結合され)、高いシリコンエッチング速度を促進する。実施形態では、複数のエッチングチャンバが、プロセスツール500のクラスタツール506部分に含まれ、単一化又はダイシングプロセスの高い製造スループットを可能にする。
【0062】
プラズマエッチングチャンバ508は、その中に静電チャックを含み得る。実施形態では、静電チャックは、上述のように、その周囲エッジに複数のノッチを有する導電性ペデスタルと、複数のノッチのうちの1つに対応する複数のリフトピンとを含む。一実施形態では、静電チャックの導電性ペデスタル及び複数のノッチの表面は、セラミック材料でコーティングされる。一実施形態では、静電チャックは更に、導電性ペデスタル(例えば、312)の周囲横方向にエッジ絶縁体リング(例えば、310)を含み、エッジ絶縁体リングは、複数のノッチ(例えば、302)のうちの1つに対応する複数の内側突出部(例えば、362)を有し、複数の内側突出部は各々、複数のリフトピンのうちの対応する1つを収容するためにそれを貫通する開口部を有する。一実施形態では、静電チャックは更に、導電性ペデスタル(例えば、312)の下に底部絶縁体リング(例えば、318)を含み、底部絶縁体リングは、複数のリフトピンのうちの1つに対応する複数の開口部(例えば、346)を有する。一実施形態では、プラズマエッチングチャンバ508の静電チャックの複数のリフトピンは、導電性ペデスタル(例えば、312)の処理領域(例えば、342)の周辺部の外側に位置し、複数のリフトピンは、基板キャリアに接触する(例えば、図2Bと関連して説明した基板キャリアアセンブリ280のテープリング又はフレーム284に接触する)ように配置される。
【0063】
ファクトリインターフェース502は、レーザスクライブ装置510を有する外部の製造施設とクラスタツール506との間のインターフェースに適した大気ポートであってよい。ファクトリインターフェース502は、ウエハ(又はそのキャリア)をストレージユニット(前方開口型統一ポッド等)からクラスタツール506又はレーザスクライブ装置510のいずれか、又は両方に移送するためのアーム又はブレードを有するロボットを含み得る。
【0064】
クラスタツール506は、単一化の方法において機能を実行するのに適した他のチャンバを含み得る。例えば、一実施形態では、堆積及び/又は焼成チャンバ512が含まれる。堆積及び/又は焼成チャンバ512は、ウエハ又は基板のレーザスクライビングの前に、ウエハ又は基板のデバイス層上に又はその上にマスク堆積するように構成され得る。上記マスク材料は、上述したように、ダイシングプロセスの前に焼成され得る。上記マスク材料はまた、以下に説明するように、水溶性であってよい。
【0065】
実施形態では、図5を再び参照すると、ウェットステーション514が含まれる。ウェットステーションは、基板又はウエハのレーザスクライブ及びプラズマエッチングの単一化プロセスに続いて、又はレーザスクライブのみの単一化プロセスに続いて、後述するように、水溶性マスクを除去するための室温又は高温水性処理を実行する洗浄に適している場合がある。実施形態では、図示していないが、計測ステーションもプロセスツール500の構成要素として含まれる。洗浄チャンバは、洗浄プロセスに物理的構成要素を追加し、マスクの溶解速度を高める霧化ミスト及び/又はメガソニックノズルのハードウェアを含み得る。
【0066】
別の態様では、図6A図6Cは、本開示の実施形態に係る半導体ウエハをダイシングする方法の様々な工程を表す断面図である。
【0067】
図6Aを参照すると、マスク602が半導体ウエハ又は基板604の上に形成されている。マスク602は、半導体ウエハ604の表面上に形成された集積回路606を覆い、保護する。マスク602は、各集積回路606間に形成された介在ストリート607も覆う。
【0068】
実施形態では、マスク602の形成中、半導体ウエハ又は基板604は、基板キャリア(図2Bに関連して説明した基板キャリア等)により支持される。実施形態では、半導体ウエハ604の上にマスク602を形成することは、半導体ウエハ604上にマスク602をスピンコートすることを含む。具体的な実施形態では、コーティングの前に、ウエハのより良い濡れ性及びコーティングを可能にするために、プラズマ又は化学的前処理が実行される。
【0069】
実施形態では、マスク602は、水性媒体中に容易に溶解可能であるという点で、水溶性マスクである。例えば、一実施形態では、堆積された状態の水溶性マスク602は、アルカリ性溶液、酸性溶液、又は脱イオン水のうちの1又は複数に溶解する材料で構成される。具体的な実施形態では、堆積された状態の水溶性マスク602は、約1から15ミクロン/分の範囲の水溶液中でのエッチング又は除去速度を有する。一実施形態では、マスク602は、ポリビニルアルコール(PVA)ベースの水溶性マスクである。
【0070】
実施形態では、半導体ウエハ又は基板604は、製造プロセスに耐えるのに適した材料で構成され、その上に半導体処理層が好適に配置され得る。例えば、一実施形態では、半導体ウエハ又は基板604は、結晶シリコン、ゲルマニウム又はシリコン/ゲルマニウム等のIV族ベースの材料で構成されるが、これらに限定されない。具体的な実施形態では、半導体ウエハ604を提供することは、単結晶シリコン基板を提供することを含む。特定の実施形態では、単結晶シリコン基板は、不純物原子がドープされる。別の実施形態では、半導体ウエハ又は基板604は、例えば、発光ダイオード(LED)の製造に使用されるIII-V材料基板等のIII-V材料で構成されている。
【0071】
実施形態では、集積回路606の一部として、半導体ウエハ又は基板604の上又は中に、半導体デバイスのアレイが配置される。このような半導体デバイスの例としては、シリコン基板に作製され、誘電体層に覆われたメモリデバイス又は相補型金属-酸化膜-半導体(CMOS)トランジスタが挙げられるが、これらに限定されない。複数の金属相互接続部が、デバイス又はトランジスタの上、及び周囲の誘電体層に形成されていてよく、デバイス又はトランジスタを電気的に結合して集積回路606を形成するために使用され得る。ストリート607を構成する材料は、集積回路606を形成するために使用される材料と同様のものであってよい、又は同じであってよい。例えば、ストリート607は、誘電体材料、半導体材料、及びメタライゼーションの層で構成され得る。一実施形態では、ストリート607の1又は複数は、集積回路606の実際のデバイスと同様のテストデバイスを含む。
【0072】
オプションの実施形態では、マスク602は、マスクのレーザパターニングの前に焼成される。実施形態では、マスク602は、マスク602のエッチング耐性を高めるために焼成される。具体的な実施形態では、マスク602は、約50から130℃の範囲の比較的高い温度で焼成される。このような高い温度の焼成は、マスク602の架橋を引き起こし、エッチング抵抗を著しく増加させる可能性がある。一実施形態では、焼成は、ホットプレート技法又はウエハ前面(例えば、基板キャリアを使用する場合、テープが装着されていない側)から適用される熱(光)放射、又は他の適切な技法を使用して実行される。
【0073】
図6Bを参照すると、マスク602がレーザスクライビングプロセスでパターニングされて、間隙610を有するパターニングされたマスク608ができ、集積回路606間の半導体ウエハ又は基板604の領域を露出させる。このように、レーザスクライビングプロセスは、集積回路606間に元々形成されているストリート607の材料を除去するために使用される。本開示の実施形態によれば、レーザスクライビングプロセスでマスク602をパターニングすることは更に、図6Bにも図示したように、集積回路606間の半導体ウエハ604の領域内に部分的にトレンチ612を形成することを含む。実施形態では、半導体ウエハ又は基板604は、レーザスクライビングプロセス中は、基板キャリア(図2Bに関連して説明した基板キャリア等)により支持される。
【0074】
実施形態では、マスク602はガウシアンレーザビームでパターニングされるが、非ガウシアンビームも使用することが可能である。更に、ビームは、静止していてよい、又は回転していてよい。実施形態では、フェムト秒ベースのレーザが、レーザスクライビングプロセスの供給源として使用される。例えば、実施形態では、可視スペクトル+紫外線(UV)及び赤外線(IR)範囲(合計で広帯域光スペクトル)の波長を有するレーザが、フェムト秒ベースのレーザ、すなわち、フェムト秒オーダー(10-15秒)のパルス幅を有するレーザを提供するために使用される。一実施形態では、アブレーションは波長依存性がない、又は本質的に波長依存性がないため、マスク602のフィルム、ストリート607、及び場合によっては半導体ウエハ又は基板604の一部等の複雑なフィルムに適している。
【0075】
フェムト秒の範囲からの寄与を有するレーザビームプロファイルを使用することによって、より長いパルス幅(例えば、ナノ秒処理)に対して熱損傷の問題が緩和又は排除されることを理解されたい。レーザスクライビング中の損傷の排除又は軽減は、低エネルギー再結合又は熱平衡の欠如によるものであり得る。また、ビームプロファイル等のレーザパラメータ選択は、きれいなレーザスクライブカットを達成するために、切屑、マイクロクラック及び剥離を最小限に抑える良好なレーザスクライビング及びダイシングプロセスを開発するために重要であり得ることを理解されたい。レーザスクライブカットがきれいであればあるほど、最終的なダイ単一化に実行され得るエッチングプロセスがスムーズになる。半導体デバイスのウエハでは、異なる材料タイプ(例えば、導体、絶縁体、半導体)及び厚さの多くの機能層が、通常その上に配置される。そのような材料は、ポリマー等の有機材料、金属、又は二酸化ケイ素や窒化ケイ素等の無機誘電体を含み得るが、これらに限定されない。
【0076】
ウエハ又は基板上に配置された個々の集積回路間のストリートは、集積回路自体と同様の層又は同じ層を含み得る。例えば、図7は、本開示の実施形態に係る半導体ウエハ又は基板のストリート領域で使用され得る材料のスタックを示す断面図である。
【0077】
図7を参照すると、ストリート領域700は、シリコン基板の上部702、第1の二酸化ケイ素層704、第1のエッチング停止層706、第1の低誘電率誘電体層708(例えば、二酸化ケイ素の4.0の誘電率未満の誘電率を有する)、第2のエッチング停止層710、第2の低誘電率誘電体層712、第3のエッチング停止層714、ドープされていないシリカガラス(USG)層716、第2の二酸化ケイ素層718、及びスクライビング及び/又はエッチングマスク720(マスク602に関連して上述したマスク等)を含む。銅メタライゼーション722は、第1及び第3のエッチング停止層706及び714の間に、第2のエッチング停止層710を貫通して配置される。具体的な実施形態では、第1、第2及び第3のエッチング停止層706、710及び714は窒化ケイ素で構成され、低誘電率誘電体層708及び712は炭素がドープされた酸化ケイ素材料で構成される。
【0078】
従来のレーザ照射(ナノ秒ベースの照射等)の下では、ストリート700の材料は、光吸収及びアブレーション機構の点で全く異なる挙動をする。例えば、二酸化ケイ素等の誘電体層は、通常の条件下では、すべての市販のレーザ波長に対して本質的に透明である。対照的に、金属、有機物(例えば、低誘電率材料)及びシリコンは、特にナノ秒ベースの照射に応答して、非常に容易に光子を結合することができる。実施形態では、フェムト秒ベースのレーザスクライビングプロセスを使用して、二酸化ケイ素の層、低誘電率材料の層、及び銅の層を、低誘電率材料の層及び銅の層をアブレーションする前に二酸化ケイ素の層をアブレーションすることによってパターニングする。
【0079】
フェムト秒ベースのレーザビームの場合、実施形態では、好適なフェムト秒ベースのレーザプロセスは、通常、様々な材料における非線形相互作用をもたらす高いピーク強度(放射照度)によって特徴付けられる。上記の一実施形態では、フェムト秒レーザ源は、約10フェムト秒から500フェムト秒の範囲のパルス幅を有するが、好ましくは100フェムト秒から400フェムト秒の範囲である。一実施形態では、フェムト秒レーザ源は、約1570ナノメートルから200ナノメートルの範囲の波長を有するが、好ましくは540ナノメートルから250ナノメートルの範囲である。一実施形態では、レーザ及び対応する光学系は、作業面において、約3ミクロンから15ミクロンの範囲であるが、好ましくは約5ミクロンから10ミクロンの範囲又は10から15ミクロンの焦点を提供する。
【0080】
実施形態では、レーザ源は、約200kHzから10MHzの範囲であるが、好ましくは500kHzから5MHzの範囲のパルス反復速度を有する。実施形態では、レーザ源は、作業面において、約0.5uJから100uJの範囲であるが、好ましくは1uJから5uJの範囲のパルスエネルギーを供給する。実施形態では、レーザスクライビングプロセスは、ワークピース表面に沿って、約500mm/秒から5m/秒の範囲であるが、好ましくは約600mm/秒から2m/秒の範囲の速度で進む。
【0081】
スクライビングプロセスは、単一パスのみで実行され得る、又は複数パスで実行され得るが、実施形態では、好ましくは1から2パスである。一実施形態では、ワークピースにおけるスクライビング深さは、約5ミクロンから50ミクロンの範囲の深さ、好ましくは約10ミクロンから20ミクロンの範囲の深さである。実施形態では、生成されるレーザビームのカーフ幅は、デバイス/シリコン接合面で測定して、シリコンウエハスクライビング/ダイシングでは、約2ミクロンから15ミクロンの範囲であるが、好ましくは約6ミクロンから10ミクロンの範囲である。
【0082】
レーザパラメータは、無機誘電体(例えば、二酸化ケイ素)のイオン化を達成するために十分に高いレーザ強度を提供する、無機誘電体の直接アブレーションの前に下層の損傷によって引き起こされる剥離及び切屑を最小限に抑える等の利点及び長所を考慮して選択され得る。また、パラメータは、アブレーション幅(例えば、カーフ幅)及び深さを正確に制御して、産業用途に有意義なプロセススループットを提供するように選択され得る。
【0083】
オプションの実施形態では、レーザスクライビングプロセスに続いて、プラズマエッチング単一化プロセスの前に、中間のマスク開口後の洗浄工程が実行される。実施形態では、マスク開口後の洗浄工程は、プラズマベースの洗浄プロセスである。一実施例では、以下に説明するように、プラズマベースの洗浄プロセスは、間隙610によって露出した基板604のトレンチ612に対して非反応性である。
【0084】
一実施形態によれば、プラズマベースの洗浄プロセスは、洗浄プロセス中に露出した領域がエッチングされない、又は無視できる程度しかエッチングされないという点で、基板604の露出した領域に対して非反応性である。上記の一実施形態では、非反応性ガスプラズマ洗浄のみが使用される。例えば、Ar又は別の非反応性ガス(又はその混合)を使用して、マスク凝縮とスクライブ開口部の洗浄の両方のための高バイアスプラズマ処理が実行される。このアプローチは、マスク602等の水溶性マスクに適している場合がある。別のこのような実施形態では、マスク凝縮(表面層の高密度化)及びスクライブされたトレンチの洗浄工程が別々に行われ、例えば、マスク凝縮のためのAr又は非反応性ガス(又はその混合)の高バイアスプラズマ処理を最初に実行し、次に、レーザスクライブされたトレンチのAr+SFプラズマ洗浄を実行する。本実施形態は、マスク材料が厚すぎるためにAr洗浄ではトレンチ洗浄が十分でない場合に好適であり得る。この場合、マスクの金属塩が、SFを含むプラズマ洗浄工程中にエッチング耐性を提供し得る。
【0085】
図6Cを参照すると、半導体ウエハ604は、集積回路606を単一化するために、パターニングされたマスク608の間隙610を通してエッチングされる。本開示の実施形態によれば、半導体ウエハ604をエッチングすることは、レーザスクライビングプロセスで最初に形成されたトレンチ612をエッチングすることによって、図6Cに示すように、半導体ウエハ604を完全に貫通して最終的にエッチングすることを含む。プラズマエッチング中、パターニングされたマスク608が集積回路を保護する。
【0086】
実施形態では、プラズマエッチングプロセス中、半導体ウエハ又は基板602は、基板キャリア(図2Bに関連して説明した基板キャリア等)により支持される。上記の一実施形態では、基板キャリアは、図3A図3Cに関連して上述したように、その周囲エッジに複数のノッチを有する導電性ペデスタルを有する静電チャックによって支持される。上記の一実施形態では、導電性ペデスタル及び複数のノッチの表面は、セラミック材料でコーティングされ、セラミック材料は、エッチング中に静電チャックから電流が漏れることを防止する。
【0087】
実施形態では、レーザスクライビングプロセスでマスク602をパターニングすることは、集積回路間の半導体ウエハの領域にトレンチを形成することを含み、半導体ウエハをプラズマエッチングすることは、トレンチを拡張して対応するトレンチ拡張部を形成することを含む。上記の一実施形態では、各トレンチは幅を有し、対応するトレンチ拡張部は各々、その幅を有する。
【0088】
実施形態では、半導体ウエハ604をエッチングすることは、プラズマエッチングプロセスを用いることを含む。一実施形態では、Si貫通電極タイプのエッチングプロセスが使用される。例えば、具体的な実施形態では、半導体ウエハ604の材料のエッチング速度は、毎分10ミクロンより大きい。ダイ単一化プロセスのプラズマエッチング部分には、超高密度プラズマ源が使用され得る。上記プラズマエッチングプロセスを行うのに適したプロセスチャンバの一例は、米国カリフォルニア州サニーベールのアプライドマテリアルズ社から入手可能なApplied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムである。Applied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムは、容量結合RFと誘導結合RFとを組み合わせたもので、磁気強化によって改善した場合でも容量結合のみでは不可能だったイオン密度とイオンエネルギーのより高い独立制御を可能にする。この組み合わせにより、イオンエネルギーからイオン密度を効果的に切り離すことができ、非常に低い圧力でも、潜在的に有害な高いDCバイアスレベルなしで、比較的高密度のプラズマを実現することができる。その結果、非常に広いプロセスウィンドウが得られる。しかしながら、シリコンをエッチングすることができる任意のプラズマエッチングチャンバを使用することが可能である。例示的な実施形態では、ディープシリコンエッチングが、本質的に正確なプロファイル制御及び実質的にスカラップのない側壁を維持しながら、従来のシリコンのエッチング速度の約40%を超えるエッチング速度で単結晶シリコン基板又はウエハ604をエッチングするために使用される。具体的な実施形態では、Si貫通電極タイプのエッチングプロセスが使用される。このエッチングプロセスは、一般に、SF、C、CHF、XeF等のフッ素系ガスである反応性ガス、又は比較的速いエッチング速度でシリコンをエッチングできる他の任意の反応ガスから発生するプラズマに基づく。別の実施形態では、図6Cに関連して説明したプラズマエッチング工程は、基板604を貫通してエッチングするために、従来のボッシュタイプの堆積/エッチング/堆積プロセスを採用する。一般に、ボッシュ型プロセスは、シリコンが完全にエッチングされるまで多くの反復(サイクル)を通して実行される堆積、指向性衝突エッチング、及び等方性化学エッチングの3つの副工程から構成される。
【0089】
上述のように、実施形態では、半導体ウエハ又は基板602は、プラズマエッチングプロセス中に基板キャリア(図2Bに関連して説明した基板キャリア等)によって支持され、基板キャリアは、その周囲エッジに複数のノッチを有する導電性ペデスタルを有する静電チャックによって支持される。上記の具体的な実施形態では、エッチングに続いて、基板キャリアは、導電性ペデスタルの複数のノッチのうちの1つに対応する複数のリフトピンを用いて導電性ペデスタルから取り外される。
【0090】
実施形態では、単一化プロセスに続いて、パターニングされたマスク608が除去される。実施形態では、パターニングされたマスク608は、パターニングされた水溶性マスクである。一実施形態では、パターニングされたマスク608は、水溶液を使用して除去される。上記の一実施形態では、パターニングされたマスク608は、高温水処理等の熱水処理によって除去される。具体的な実施形態では、パターニングされたマスク608は、約40から100℃の範囲の温度で熱水処理で除去される。特定の実施形態では、パターニングされたマスク608は、約80から90℃の範囲の温度で熱水処理で除去される。水の温度が高ければ高いほど、熱水処理に必要な時間が短くてよいことが理解されよう。本開示の実施形態によれば、プラズマ洗浄プロセスは、パターニングされたマスク608の除去を支援するためにエッチング後に実行され得る。
【0091】
他の状況では、より低い水処理温度が有益であり得ることを理解されたい。例えば、ダイシング用ウエハが、より高い温度の水処理によって(例えば、接着力の低下を通して)影響を受ける可能性のあるダイシングテープ上に支持されている場合、比較的高い水処理温度よりも長い持続期間にはなるが、比較的低い水処理温度を採用することができる。上記の一実施形態では、水処理は、室温(すなわち、水は加熱されていない)の間であり、約40℃未満の温度である。上記の特定の実施形態では、パターニングされたマスク608は、約35から40℃の範囲の温度で温水処理で除去される。
【0092】
図6A図6Cを再び参照すると、ウエハダイシングは、マスクを貫通し、ウエハストリート(メタライゼーションを含む)を貫通し、部分的にシリコン基板内までアブレーションする最初のアブレーションによって行われ得る。その後、シリコン貫通ディーププラズマエッチングにより、ダイ単一化が完了し得る。ダイシングのための材料スタックの具体例を、本開示の実施形態により、図8A図8Dと関連づけて以下に説明する。
【0093】
図8Aを参照すると、ハイブリッドレーザアブレーション及びプラズマエッチングダイシングのための材料スタックは、マスク802、デバイス層804、及び基板806を含む。マスク層802、デバイス層804、及び基板806は、バッキングテープ810に貼り付けられたダイ取付フィルム808の上に配置される。他の実施形態では、標準的なダイシングテープへの直接結合が使用される。実施形態では、マスク802は、マスク602に関連して上述したようなマスクである。デバイス層804は、1又は複数の金属層(銅層等)及び1又は複数の低誘電率誘電体層(炭素がドープされた酸化物層等)の上に配置された無機誘電体層(二酸化ケイ素等)を含む。デバイス層804は、集積回路間に配置されたストリートも含み、ストリートは、集積回路と同じ又は同様の層を含む。基板806は、バルク単結晶シリコン基板である。実施形態では、マスク802は、上述したような熱処理又は焼成899を使用して作製される。実施形態では、マスク802は、水マスクである。
【0094】
実施形態では、ダイ取付フィルム808に貼り付ける前に、バルク単結晶シリコン基板806を裏側から薄くする。薄化は、裏側研磨プロセスにより行うことができる。一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板806は、約30から200ミクロンの範囲の厚さに薄化される。実施形態では、薄化は、レーザアブレーション及びプラズマエッチングダイシングプロセスの前に実行されることに留意されたい。実施形態では、マスク802は、約3から100ミクロンの範囲の厚さを有し、デバイス層804は、約2から20ミクロンの範囲の厚さを有する。実施形態では、ダイ取付フィルム808(又は、上部接着層とベースフィルムとで構成されるダイシングテープ等の、薄化された又は薄いウエハ又は基板をバッキングテープ810に結合させることができる任意の適切な代替物)は、約10から200ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0095】
図8Bを参照すると、マスク802、デバイス層804及び基板806の一部が、レーザスクライビングプロセス812でパターニングされて、基板806にトレンチ814が形成される。
【0096】
図8Cを参照すると、シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス816を使用してトレンチ814がダイ取付フィルム808まで拡張され、ダイ取付フィルム808の上部が露出して、シリコン基板806が単一化される。デバイス層804は、シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス816の間、マスク802によって保護される。
【0097】
図8Dを参照すると、単一化プロセスは、ダイ取付フィルム808をパターニングし、バッキングテープ810の上部を露出させて、ダイ取付フィルム808を単一化することを更に含み得る。実施形態では、ダイ取付フィルムは、レーザプロセスによって、又はエッチングプロセスによって単一化される。更なる実施形態は、その後、基板806の単一化された部分を(例えば、個々の集積回路として)バッキングテープ810から取り外すことを含み得る。一実施形態では、単一化されたダイ取付フィルム808は、基板806の単一化された部分の裏側に保持される。代替実施形態では、基板806が約50ミクロンよりも薄い場合、追加のプラズマプロセスを使用せずに、レーザスクライビングプロセス812を使用して基板806を完全に単一化する。実施形態は、デバイス層804からマスク802を除去することを更に含み得る。マスク802の除去は、パターニングされたマスク608の除去について上述したように行われ得る。
【0098】
本開示の実施形態は、本開示の実施形態に係るプロセスを実行するコンピュータシステム(又は他の電子デバイス)をプログラムするために使用され得る命令をその上に記憶した機械可読媒体を含み得るコンピュータプログラム製品、又はソフトウェアとして提供され得る。一実施形態では、コンピュータシステムは、図5と関連して説明したプロセスツール500、又は図4と関連して説明したエッチングチャンバ400に結合される。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含む。例えば、機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、機械(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体(例えば、読取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリ装置等)、機械(例えば、コンピュータ)可読伝送媒体(電気、光学、音響又は他の形態の伝播信号(例えば、赤外線信号、デジタル信号等))を含む。
【0099】
図9は、本明細書に記載の方法論のいずれか1又は複数を機械に実行させるための命令のセットが実行され得るコンピュータシステム900の例示的な形態におけるマシンを示す図式的表現である。代替実施形態では、マシンは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットにおいて他のマシンに接続(例えば、ネットワーク化)され得る。マシンは、クライアントサーバネットワーク環境におけるサーバ又はクライアントマシンの能力で、又はピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作し得る。マシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ又はブリッジ、又はそのマシンが取るべき動作を指定する命令のセット(順次又はその他)を実行することができる任意のマシンであり得る。更に、単一のマシンのみを図示したが、用語「マシン」は、本明細書に記載の方法論のいずれか1又は複数を実行するための命令のセット(又は複数のセット)を個別に又は共同で実行するマシン(例えば、コンピュータ)の任意の集合体も含むように解釈されるものとする。
【0100】
例示的なコンピュータシステム900は、バス930を介して互いに通信する、プロセッサ902、メインメモリ904(例えば、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)又はラムバスDRAM(RDRAM)等のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックメモリ906(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)等)及び二次メモリ918(データストレージ装置等)を含む。
【0101】
プロセッサ902は、マイクロプロセッサ、中央処理装置等の1又は複数の汎用処理装置を表す。より詳細には、プロセッサ902は、複雑な命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであってよい。プロセッサ902はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等の1又は複数の特殊目的処理装置であってよい。プロセッサ902は、本明細書に記載の工程を実行するための処理ロジック926を実行するように構成される。
【0102】
コンピュータシステム900は、ネットワークインターフェース装置908を更に含み得る。また、コンピュータシステム900は、映像表示装置910(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、又は陰極線管(CRT))、英数字入力装置912(例えば、キーボード)、カーソル制御装置914(例えば、マウス)、及び信号発生装置916(例えば、スピーカ)を含み得る。
【0103】
二次メモリ918は、本明細書に記載の方法論又は機能のいずれか1又は複数を具現化する1又は複数の命令のセット(例えば、ソフトウェア922)がその上に記憶された機械アクセス可能な記憶媒体(又はより具体的にはコンピュータ可読記憶媒体)932を含み得る。ソフトウェア922はまた、コンピュータシステム900によるその実行中に、完全に又は少なくとも部分的に、メインメモリ904内及び/又はプロセッサ902内に常在していてよく、メインメモリ904及びプロセッサ902も機械可読記憶媒体を構成する。ソフトウェア922は更に、ネットワークインターフェース装置908を介してネットワーク920上で送信又は受信することができる。
【0104】
機械アクセス可能な記憶媒体932は、例示的な実施形態では単一の媒体として図示したが、用語「機械可読記憶媒体」は、1又は複数の命令のセットを記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型又は分散型データベース、及び/又は関連キャッシュ及びサーバ)を含むと解釈されるべきである。用語「機械可読記憶媒体」はまた、機械による実行のための命令のセットを記憶又は符号化することができ、本開示の方法論のいずれか1又は複数を機械に実行させる、任意の媒体を含むと解釈されるべきである。用語「機械可読記憶媒体」は、従って、固体メモリ、ならびに光学及び磁気媒体を含むと解釈されるが、これらに限定されない。
【0105】
本開示の実施形態によれば、機械アクセス可能な記憶媒体は、データ処理システムに、本明細書に記載の方法の1又は複数等の、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法を実行させる命令がその上に記憶されている。
【0106】
このように、シャドーリングキットを実装したレーザスクライビングプロセス及びプラズマエッチングプロセスを用いたハイブリッドウエハダイシングアプローチが開示されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8A-B】
図8C-D】
図9
【国際調査報告】