(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、これを含む感光材、これを含むブラックマトリクス、およびこれを含む電子素子
(51)【国際特許分類】
G03F 7/037 20060101AFI20231101BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20231101BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20231101BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20231101BHJP
C08F 290/14 20060101ALI20231101BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G03F7/037 501
G03F7/004 505
G02B5/20 101
C08G73/10
C08F290/14
C08F2/44 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524579
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 KR2021016205
(87)【国際公開番号】W WO2022098199
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0148439
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、セオンホ
(72)【発明者】
【氏名】ナム、キョウヒュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒュンミン
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
4J011
4J043
4J127
【Fターム(参考)】
2H148BE36
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(57)【要約】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを含む感光材、これを含むブラックマトリクス、およびこれを含む電子素子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1~3で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂および溶媒を含む感光性樹脂組成物:
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
前記化学式1~3において、
X1~X3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、4価の有機基であり、
Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
Y2は、下記化学式Aで表される基を含み、
[化学式A]
【化4】
前記化学式Aにおいて、
R7は、水素;重水素;ヒドロキシ基;ハロゲン基;ニトロ基;ニトリル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロ環基;または光重合性不飽和基であり、
【化5】
は、前記化学式2のY2に結合する部位を意味し、
m~pは、それぞれ独立して、1~500の整数である。
【請求項2】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂および着色剤のうち少なくとも一つを含み、
前記バインダー樹脂および着色剤のうち少なくとも一つは、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂および着色剤を含み、
前記バインダー樹脂および前記着色剤は、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、
前記バインダー樹脂の含量が15重量部~50重量部であり、
前記着色剤の含量が14重量部~50重量部である、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記着色剤は、顔料;および
分散剤および分散用バインダーのうち少なくとも一つを含む、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記分散剤および分散用バインダーのうち少なくとも一つは、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記着色剤は、顔料、分散剤、および分散用バインダーを含み、
前記分散剤および前記分散用バインダーは、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、
前記顔料の含量が10重量部~50重量部であり、
前記分散剤の含量が2重量部~15重量部であり、
前記分散用バインダーの含量が2重量部~15重量部である、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
X1~X3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、オキシジフタル酸無水物またはその誘導体から誘導される4価の有機基である、請求項1から8のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、またはハロアルキル基を含む2価の有機基である、請求項1から9のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
R7は、光重合性不飽和基である、請求項1から10のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記化学式1~3のm~pに対して、p/(m+n+p)が0.03~0.15である、請求項1から11のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性ポリイミド樹脂の重量平均分子量が1,000g/mol~35,000g/molである、請求項1から12のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
多官能性モノマー、架橋剤、光重合開始剤、界面活性剤、およびシランカップリング剤をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項15】
前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、
前記多官能性モノマーの含量が1重量部~40重量部であり、
前記架橋剤の含量が0.1重量部~40重量部であり、
前記光重合開始剤の含量が0.1重量部~10重量部であり、
前記界面活性剤の含量が0.1重量部~5重量部であり、
前記シランカップリング剤の含量が0.1重量部~2重量部である、請求項14に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記多官能性モノマー100重量部に対して、アルカリ可溶性ヒドロキシ基の含量が30重量部~85重量部である、請求項14または15に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光材。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含むブラックマトリクス。
【請求項19】
請求項1から16のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含む電子素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年11月9日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許第10-2020-0148439号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に含まれる。
【0002】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを含む感光材、これを含むブラックマトリクス、およびこれを含む電子素子に関する。
【背景技術】
【0003】
カラーフィルタのカラーピクセルの間には、コントラストを向上させる目的で、ブラックマトリクスと呼ばれる格子状の黒色パターンを配置するのが一般的である。従来のブラックマトリクスでは、顔料としてクロム(Cr)をガラス基板全体に蒸着およびエッチング(etch)してパターンを形成する方式を用いたが、工程上、高コストが求められ、クロムの高反射率の問題、クロム廃液による環境汚染などの問題が発生した。このような理由から、微細加工が可能な顔料分散法によるブラックマトリクスに関する研究が活発に行われており、カーボンブラック以外の着色顔料で黒色組成物を製造する研究も行われているが、カーボンブラック以外の着色顔料は遮光性が弱いため、その配合量を極めて多い量に増やさなければならず、その結果、組成物の粘度が増加して取り扱いに困難が生じるか、または形成された被膜の強度または基板に対する密着性が著しく低下するという問題があった。
【0004】
そこで、パターン密着性、工程特性などに優れた感光性樹脂組成物に関する研究が必要である。
【0005】
また、半導体素子の層間絶縁膜または表面保護膜には、優れた機械的物性および高い耐熱性が求められており、物性に優れたポリイミド系バインダー樹脂を用いている。ネガティブ型(Negative type)の感光性ポリイミドの場合、機械的物性には相対的に優れるものの、高い解像度を実現し難い。ポジティブ型(Positive type)感光性ポリイミドの場合、相対的に高い解像度の実現は可能であるものの、機械的物性を満たし難い。
【0006】
そこで、高い解像度および機械的物性を同時に満たす感光性素材の開発が必要な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許公開公報第10-2014-0096423号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを含む感光材、これを含むブラックマトリクス、およびこれを含む電子素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施態様は、下記化学式1~3で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂および溶媒を含む感光性樹脂組成物を提供する。
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
前記化学式1~3において、
X1~X3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、4価の有機基であり、
Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
Y2は、下記化学式Aで表される基を含み、
[化学式A]
【化4】
前記化学式Aにおいて、
R7は、水素;重水素;ヒドロキシ基;ハロゲン基;ニトロ基;ニトリル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロ環基;または光重合性不飽和基であり、
【化5】
は、前記化学式2のY2に結合する部位を意味し、
m~pは、それぞれ独立して、1~500の整数である。
【0010】
本発明の一実施態様は、前記化学式1~3のm~pに対して、p/(m+n+p)が0.03~0.15である感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
本発明の一実施態様は、前述した感光性樹脂組成物を含むブラックマトリクスを提供する。
【0012】
本発明の一実施態様は、前述したブラックマトリクスを含む電子素子を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施態様による感光性樹脂組成物およびこれを含むブラックマトリクスは、耐熱特性が向上する。
【0014】
本発明の一実施態様による感光性樹脂組成物およびこれを含むブラックマトリクスは、現像などの工程で発生するアウトガス(out-gas)の量が減少する。
【0015】
本発明の一実施態様によれば、耐熱性に優れるかまたは現像などの工程でアウトガス発生量の少ないブラックマトリクスを含む電子素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0017】
本発明の一実施態様は、下記化学式1~3で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂および溶媒を含む感光性樹脂組成物を提供する。
[化学式1]
【化6】
[化学式2]
【化7】
[化学式3]
【化8】
前記化学式1~3において、
X1~X3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、4価の有機基であり、
Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
Y2は、下記化学式Aで表される基を含み、
[化学式A]
【化9】
前記化学式Aにおいて、
R7は、水素;重水素;ヒドロキシ基;ハロゲン基;ニトロ基;ニトリル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロ環基;または光重合性不飽和基であり、
【化10】
は、前記化学式2のY2に結合する部位を意味し、
m~pは、それぞれ独立して、1~500の整数である。
【0018】
本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物は、有機発光素子などのディスプレイ装置に用いられる基板に対する密着性および接着性に優れる。
【0019】
また、本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物は、耐熱性または耐薬品性などの優れた機械的物性を有する。これにより、工程中に進行する副反応が減少し、現像などの工程で発生するアウトガス(out-gas)の量を減少させる。
【0020】
そして、本発明の一実施態様により、閉環した構造(イミド構造)および閉環していない構造を特定の比率で有するアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物は、現像(development)時に側鎖が閉環することで膨潤するかまたは溶解度が減少するのを防止する。
【0021】
本発明において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする際、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0022】
本発明において、ある部分がある構成要素を「含む」とする際、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0023】
本発明において、他に定義しない限り、本発明で用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同一の意味を有する。本発明で説明されるものと類似または等価の方法および材料が本発明の実施形態の実施または試験で用いられてもよいが、好適な方法および材料が後述される。本発明で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体的に本発明に参考として含まれ、相反する場合、特定の語句(passage)が言及されなければ、定義をはじめとする本発明が優先するものである。その上、材料、方法、および実施例は、単に例示的なものであって、制限しようとするものではない。
【0024】
本発明において、置換基の例示は以下に説明するが、これらに限定されない。
【0025】
本発明において、
【化11】
は、連結される部位を意味する。
【0026】
本発明において、前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に置き換わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0027】
本発明において、「置換もしくは非置換」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;アルキル基;シクロアルキル基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アリール基;およびヘテロ環基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されるか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、またはいかなる置換基も有しないことを意味する。
【0028】
本発明において、ハロゲン基としては、フルオロ基(-F)、クロロ基(-Cl)、ブロモ基(-Br)、またはヨード基(-I)が挙げられる。
【0029】
本発明において、前記アルキル基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~20であってもよい。また一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本発明において、前記アルケニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分岐鎖を含み、他の置換基によりさらに置換されていてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明において、前記アルキニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分岐鎖を含み、他の置換基によりさらに置換されていてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。
【0032】
本発明において、シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によりさらに置換されていてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環状基と直接連結または縮合した基を意味する。ここで、他の環状基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他種類の環状基、例えば、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、より具体的には5~20であってもよい。具体的に、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明において、前記アルコキシ基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよい。前記アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20であってもよい。前記アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明において、前記アリールオキシ基は-ORaryloxyを意味し、前記Raryloxyはアリール基を意味する。
【0035】
本発明において、前記アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~60であってもよく、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~30である。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~20である。前記アリール基は、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ペリレニル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本発明において、フルオレニル基は置換されていてもよく、2個の置換基が互いに結合してスピロ構造を形成してもよい。前記フルオレニル基が置換される場合、
【化12】
などの置換されたフルオレニル基であってもよい。ただし、これらに限定されない。
【0037】
本発明において、ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてN、O、P、S、Si、およびSeのうち1個以上を含む芳香族環基であり、炭素数は特に限定されないが、炭素数2~60であってもよい。一実施態様によれば、前記ヘテロアリール基の炭素数は2~30である。前記ヘテロアリール基の例としては、ピリジン基、ピロール基、ピリミジン基、ピリダジン基、フラン基、チオフェン基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明において、「モノマー」は、化合物が重合反応により高分子化合物に転化可能な単位化合物を意味し、重合体または共重合体中の繰り返し単位となることができる。具体的に、これは当該化合物が重合して重合体中に結合した状態であって、当該化合物の構造において2以上の置換基の全部または一部が脱落し、その位置に重合体の他の単位と結合するためのラジカルが位置することを意味する。この際、当該化合物は、任意の順に重合して重合体中に結合した状態で含まれてもよい。
【0039】
本発明において、分子量と記載されている場合、特に定義しない限り、重量平均分子量を意味する。
【0040】
前記重量平均分子量とは、分子量が均一でなく、ある高分子物質の分子量が基準として用いられる平均分子量の一つであり、分子量分布のある高分子化合物の成分分子種の分子量を重量分率で平均して得られる値である。
【0041】
前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)方法で測定することができる。GPC法により重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを用いることができ、通常適用される温度条件、溶媒、溶媒速度などを適用することができる。前記測定条件の具体例を挙げると、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを用い、Waters PL-GPC220機器を用いて、評価温度が160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼンを溶媒として用い、流速は1mL/minの速度で、サンプルは10mg/10mLの濃度に調製した後、200μLの量で供給し、ポリスチレン標準を用いて形成された較正曲線を用いてMwの値を求めることができる。ポリスチレン標準品の分子量が2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を用いた。
【0042】
本発明において、アクリロイル基は、特に限定されないが、炭素数3~40であることが好ましく、アクリレート基は、前記アクリロイル基の説明を適用することができる。また、アクリロイル基またはアクリレート基の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリレート、3-(アクリロイルオキシ)プロピルメタクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
本発明において、前記光重合性不飽和基中の不飽和基は、不飽和結合を含む官能基、置換基、または有機基を意味し、不飽和結合は、炭素に他の元素がさらに結合可能な状態をいい、具体的に、二重または三重結合を意味し得る。不飽和結合を有する官能基、置換基、または有機基の具体例としては、不飽和二重結合官能基またはプロパルギルなどの不飽和三重結合官能基が挙げられ、中でも、共役型のビニル基やアクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。また、含まれる官能基の数は、安定性の面で1~4であってもよく、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、前記光重合性不飽和基中の光重合性は、光重合開始剤または光の作用により重合する性質を意味する。
【0044】
本発明において、アルカリ可溶性は、酸により解離してアルカリ物質(現像液など)に対する溶解性が増大する性質を意味する。例えば、アルカリ可溶性樹脂およびアルカリ可溶性基は、それぞれ酸により解離してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂および置換基を意味する。前記アルカリ可溶性基は、アルカリ可溶性ヒドロキシ基を含む。このような前記アルカリ可溶性ヒドロキシ基にはフェノール性ヒドロキシ基などがあるが、これらに限定されない。
【0045】
本発明において、Aに対するA1の含量は、「Aに対してA1の含量が1重量部~10重量部である」、「Aに対してA1が1重量部~10重量部で含まれる」などのように表現されてもよいが、前記表現に限定されるものではない。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂および着色剤のうち少なくとも一つを含む。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物はバインダー樹脂を含む。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物は着色剤を含む。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記バインダー樹脂および着色剤のうち少なくとも一つは、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記バインダー樹脂は、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記バインダー樹脂は、本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂である。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、前記バインダー樹脂は、前記感光性樹脂組成物の固形分(前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた固形分)100重量部に対して15重量部~50重量部;または20重量部~45重量部で含まれてもよい。好ましい一例として、前記バインダー樹脂は、前記感光性樹脂組成物の固形分(前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた固形分)100重量部に対して35重量部~45重量部で含まれてもよいが、前記例示に限定されない。
【0053】
本発明において、前記バインダー樹脂は、前記化学式1~3で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂の他に、当技術分野で一般的に用いられるバインダー樹脂がさらに含まれてもよい。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤は、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤は、本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂である。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤は、前記感光性樹脂組成物の固形分(前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた固形分)100重量部に対して14重量部~50重量部;または20重量部~45重量部で含まれてもよい。好ましい一例として、前記着色剤は、前記感光性樹脂組成物の固形分(前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた固形分)100重量部に対して25重量部~35重量部で含まれてもよいが、前記例示に限定されない。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物の固形分(前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた固形分)100重量部に対して、前記バインダー樹脂の含量が15重量部~50重量部であり、前記着色剤の含量が14重量部~50重量部である。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物の固形分(前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた固形分)100重量部に対して、前記バインダー樹脂の含量が35重量部~45重量部であり、前記着色剤の含量が25重量部~35重量部である。
【0059】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂および着色剤のうち少なくとも一つを含み、前記バインダー樹脂および着色剤のうち少なくとも一つは、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂および着色剤を含み、前記バインダー樹脂および前記着色剤は、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む。
【0061】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂および着色剤を含み、前記バインダー樹脂および前記着色剤は、本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂である。
【0062】
本発明の一実施態様による感光性樹脂組成物に含まれたバインダー樹脂および着色剤がいずれも化学式1~3で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含むことで、感光性樹脂組成物の耐熱性を大幅に増加させることができる。具体的に、不溶および不融の性質を有する高耐熱性樹脂であるポリイミド樹脂をバインダー樹脂に含ませて基板との接着力に関与する耐熱性を増加させ、着色剤に含まれたポリイミド樹脂は、現像およびエッチング後に残存する蒸着物質自体の耐熱性を増加させる。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤は、顔料;および分散剤および分散用バインダーのうち少なくとも一つを含む。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤は、顔料および分散剤を含む。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤は、顔料および分散用バインダーを含む。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤は、顔料、分散剤、および分散用バインダーを含む。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、前記分散剤および分散用バインダーのうち少なくとも一つは、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む。
【0068】
本発明の一実施態様によれば、前記分散剤は、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む。
【0069】
本発明の一実施態様によれば、前記分散剤は、本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂である。
【0070】
本発明の一実施態様によれば、前記分散用バインダーは、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記分散用バインダーは、本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂である。
【0072】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤は、前記化学式1~3で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む分散剤、および前記化学式1~3で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む分散用バインダーを含む。
【0073】
本発明の好ましい一実施態様によれば、前記着色剤は、顔料;前記化学式1~3で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む分散剤;および前記化学式1~3で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む分散用バインダーを含む。
【0074】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、前記顔料の含量が10重量部~50重量部;または15重量部~40重量部である。好ましい一例として、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、前記顔料の含量が20重量部~30重量部である。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、前記分散剤の含量が2重量部~15重量部;または2重量部~10重量部である。好ましい一例として、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、前記分散剤の含量が3重量部~6重量部である。
【0076】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、前記分散用バインダーの含量が2重量部~15重量部;または2重量部~10重量部である。好ましい一例として、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、前記分散用バインダーの含量が3重量部~6重量部である。
【0077】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤100重量部に対して、前記顔料の含量が10重量部~50重量部であり、前記分散剤の含量が2重量部~15重量部であり、前記分散用バインダーの含量が2重量部~15重量部である。好ましい一例として、前記顔料、分散剤、および分散用バインダーが前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対してそれぞれ24重量部、4.8重量部、および4.8重量部で含まれてもよいが、これに限定されない。
【0078】
前述したように、顔料が前記範囲内で含まれる場合、高い色再現が可能であり、輝度も増加させることができる。分散剤および分散用バインダーが前記範囲内で含まれる場合、現像性に優れるか、または架橋性が改善され、表面平滑度を改善させることができる。
【0079】
前記顔料は、視認性または隠蔽力を発揮し、顔料としては、赤色、青色、緑色、黄色、黒色顔料などを用いてもよい。このような顔料の具体例としては、カーミン6B(C.I.12490)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、三菱カーボンブラックMA100、ペリレンブラック(BASF K0084.K0086)、シアニンブラック、リオノールイエロー(C.I.21090)、リオノールイエローGRO(C.I.21090)、ベンジジンイエロー4T-564D、三菱カーボンブラックMA-40、ビクトリアピュアブルー(C.I.42595)、C.I.PIGMENT RED97、122、149、168、177、180、192、215、C.I.PIGMENT GREEN7、36、C.I.PIGMENT15:1、15:4、15:6、22、60、64、C.I.PIGMENT83、139、C.I.PIGMENT VIOLET23などが挙げられ、この他に白色顔料、蛍光顔料などを用いてもよいが、これらに限定されない。
【0080】
本発明の一実施態様によれば、前記顔料は、カーボンブラックの単独、またはカーボンブラックと2種類以上の着色顔料の混合物を含む。前記カーボンブラックの具体例としては、東海カーボン社製のシースト5HIISAF-HS、シーストKH、シースト3HHAF-HS、シーストNH、シースト3M、シースト300HAF-LS、シースト116HMMAF-HS、シースト116MAF、シーストFMFEF-HS、シーストSOFEF、シーストVGPF、シーストSVHSRF-HS、およびシーストSSRF;三菱化学社製のダイアグラムブラックII、ダイアグラムブラックN339、ダイアグラムブラックSH、ダイアグラムブラックH、ダイアグラムLH、ダイアグラムHA、ダイアグラムSF、ダイアグラムN550M、ダイアグラムM、ダイアグラムE、ダイアグラムG、ダイアグラムR、ダイアグラムN760M、ダイアグラムLR、#2700、#2600、#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#900、MCF88、#52、#50、#47、#45、#45L、#25、#CF9、#95、#3030、#3050、MA7、MA77、MA8、MA11、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、およびOIL31B;デグサ社製のPRINTEX-U、PRINTEXV、PRINTEX-140U、PRINTEX-140V、PRINTEX-95、PRINTEX-85、PRINTEX-75、PRINTEX-55、PRINTEX-45、PRINTEX300、PRINTEX-35、PRINTEX-25、PRINTEX-200、PRINTEX-40、PRINTEX-30、PRINTEX-3、PRINTEX-A、SPECIAL BLACK550、SPECIAL BLACK-350、SPECIAL BLACK-250、SPECIAL BLACK-100、およびLAMP BLACK-101;コロンビアカーボン社製のRAVEN-1100ULTRA、RAVEN-1080ULTRA、RAVEN-1060ULTRA、RAVEN-1040、RAVEN-1035、RAVEN-1020、RAVEN-1000、RAVEN-890H、RAVEN-890、RAVEN-880ULTRA、RAVEN-860ULTRA、RAVEN-850、RAVEN-820、RAVEN-790ULTRA、RAVEN780ULTRA、RAVEN-760ULTRA、RAVEN-520、RAVEN-500、RAVEN-460、RAVEN-450、RAVEN-430ULTRA、RAVEN-420、RAVEN-410、RAVEN-2500ULTRA、RAVEN-2000、RAVEN-1500、RAVEN-1255、RAVEN-1250、RAVEN-1200、RAVEN1190ULTRA、およびRAVEN-1170などを用いてもよいが、これらに限定されない。
【0081】
本発明の他の一実施態様によれば、前記分散剤は、BYK LP N-22956、BYK LP N-22822、BYK LP N -23490、BYK LP N-22329、BYK LP N-23597、BYK LP N-23499、BYK LP N-22956、BYK LP N-22101、BYK LP N-23532、BYK LP N-23554、BYK LP N-22329、BYK LP N-23499などからなる群より選択されるいずれか一つ以上がさらに用いられるかまたは代替されてもよい。
【0082】
本発明の他の一実施態様によれば、前記分散用バインダーは、BYK LP N-22956、BYK LP N-22822、BYK LP N-23490、BYK LP N-22329、BYK LP N-23597、BYK LP N-23499、BYK LP N-22956、BYK LP N-22101、BYK LP N-23532、BYK LP N-23554、BYK LP N-22329、BYK LP N-23499などからなる群より選択されるいずれか一つ以上がさらに用いられるかまたは代替されてもよい。
【0083】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1~3で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して15重量部~65重量部;または25重量部~60重量部で含まれてもよい。好ましい例として、前記化学式1~3で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して45重量部~55重量部で含まれてもよいが、これに限定されない。
【0084】
本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂は、前述した化学式1~3で表される繰り返し単位を含む。前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂は、前記化学式1~3が任意の順に繰り返して結合した状態を含んでもよい。換言すれば、本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂中の前記化学式1~3に対するm~pの括弧内の繰り返し単位が連続的に結合していてもよく、連続的に結合していなくてもよい。例えば、mが3である場合、本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂は、「-[化学式1]-[化学式1]-[化学式1]-[化学式2]n-[化学式3]p-」の形態で重合した形態を含んでもよく、「-[化学式3]-[化学式1]-[化学式2]-[化学式1]n-[化学式1]p-」の形態で重合した形態を含んでもよく、上記に記載の順に限定されず、任意の順に重合して重合体中に結合した状態で含まれてもよい。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、X1~X3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、4価の有機基である。
【0086】
本発明の一実施態様によれば、X1~X3は、それぞれ独立して、酸無水物またはその誘導体から誘導される4価の有機基である。
【0087】
本発明の一実施態様によれば、X1~X3は、それぞれ独立して、酸二無水物またはその誘導体から誘導される4価の有機基である。
【0088】
前記化学式1のX1~X3に対して4価の有機基は、例えば、4価の芳香族有機基、4価の脂肪族有機基、または芳香族基と脂肪族基が互いに連結された4価の有機基であってもよく、少なくとも一つの炭素がC(=O)、SO2、NRx、S、またはOに代替されてもよく、前記Rxは、アリール基またはアルキル基である。
【0089】
本発明の一実施態様によれば、X1~X3は、それぞれ独立して、テトラカルボン酸無水物またはその誘導体から誘導される4価の有機基である。
【0090】
本発明の一実施態様によれば、X1~X3は、それぞれ独立して、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体から誘導される4価の有機基である。
【0091】
本発明の一実施態様によれば、X1~X3は、それぞれ独立して、オキシジフタル酸無水物またはその誘導体から誘導される4価の有機基である。
【0092】
本発明の一実施態様によれば、X1~X3は、それぞれ独立して、オキシジフタル酸二無水物またはその誘導体から誘導される4価の有機基である。
【0093】
本発明の一実施態様によれば、X1~X3は、下記化学式X-1~X-5から選択されるいずれか一つである。
[化学式X-1]
【化13】
[化学式X-2]
【化14】
[化学式X-3]
【化15】
[化学式X-4]
【化16】
[化学式X-5]
【化17】
前記化学式X-1~X-5において、
C1環~C3環は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、芳香族炭化水素環であり、
C4環~C6環は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、脂肪族炭化水素環であり、
Lcxは、単結合、-O-、-CO-、-COO-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CRC1RC2-、-(CH
2)
CZ-、-O(CH
2)
CZO-、-COO(CH
2)
CZOCO-、-O(C
6H
6)
CZO
CZ-、-CONH-、またはフェニレン基からなる群より選択されたいずれか一つであり、
RC1およびRC2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のハロアルキル基であり、
czは1~10の整数である。
【0094】
本発明の一実施態様によれば、前記C1環~C6環は、ハロゲン基または炭素数1~10のアルキル基で置換されていてもよい。
【0095】
本発明の一実施態様によれば、前記C1環~C3環は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数6~18の芳香族炭化水素環である。
【0096】
本発明の一実施態様によれば、前記C4環~C6環は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数4~18の脂肪族炭化水素環である。
【0097】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式X-1は、下記構造から選択されるいずれか一つである。
【化18】
前記構造において、*は、連結部位を意味する。
【0098】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式X-2は、下記構造から選択されるいずれか一つである。
【化19】
前記構造において、*は、連結部位を意味する。
【0099】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式X-3は、下記構造から選択されるいずれか一つである。
【化20】
前記構造において、*は、連結部位を意味する。
【0100】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式X-4は、下記構造から選択されるいずれか一つである。
【化21】
前記構造において、*は、連結部位を意味する。
【0101】
本発明の一実施態様によれば、X1~X3は、下記構造から選択されるいずれか一つである。
【化22】
【0102】
本発明の好ましい一実施態様によれば、X1~X3は、下記構造から選択されるいずれか一つである。
【化23】
【0103】
本発明の一実施態様によれば、Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、2価の有機基である。
【0104】
本発明の一実施態様によれば、Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ジアミンまたはその誘導体から誘導される有機基である。
【0105】
本発明の一実施態様によれば、Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ジアミンまたはその誘導体から誘導される2価の有機基である。
【0106】
本発明の一実施態様によれば、Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基;フェノール性ヒドロキシ基;または置換もしくは非置換のハロアルキル基を含む2価の有機基である。
【0107】
本発明の一実施態様によれば、Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基;フェノール性ヒドロキシ基;または置換もしくは非置換の炭素数1~10のハロアルキル基を含む2価の有機基である。
【0108】
本発明の一実施態様によれば、Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基;フェノール性ヒドロキシ基;またはハロアルキル基を含む2価の有機基である。
【0109】
本発明の一実施態様によれば、Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基;フェノール性ヒドロキシ基;または炭素数1~10のハロアルキル基を含む2価の有機基である。
【0110】
本発明の一実施態様によれば、Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、またはトリフルオロメチル基を含む2価の有機基である。
【0111】
本発明の一実施態様によれば、Y1~Y3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基;フェノール性ヒドロキシ基;またはトリフルオロメチル基を含み、ジアミンまたはその誘導体から誘導される2価の有機基である。
【0112】
前記2価の有機基は、2価の脂肪族有機基、2価の芳香族有機基、または脂肪族基と芳香族基が互いに連結された2価の有機基であってもよく、少なくとも一つの炭素がC(=O)、SO2、NRx、S、またはOに代替されてもよく、前記Rxは、アリール基またはアルキル基であり、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、チオール基、スルホン酸基、またはアルキル基で置換されていてもよい。
【0113】
本発明の一実施態様によれば、Y1~Y3は、下記化学式Y-1~Y-4から選択されるいずれか一つである。
[化学式Y-1]
【化24】
[化学式Y-2]
【化25】
[化学式Y-3]
【化26】
[化学式Y-4]
【化27】
前記化学式Y-1~Y-4において、
Lcyは、単結合、-O-、-CO-、-COO-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CRC1RC2-、-C(C
6H
6)-、-C(C
6H
6)-、および-NRC3-からなる群より選択されたいずれか一つであり、
RC3は、アリール基であり、
C1環~C6環、RC1、およびRC2の定義は、化学式X-1~X-5における定義と同様である。
【0114】
本発明の一実施態様によれば、RC3は、フェニル基である。
【0115】
本発明の一実施態様によれば、前記C1環~C6環およびLcyは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基を含む置換基で置換されていてもよい。
【0116】
本発明の一実施態様によれば、前記C1環~C6環およびLcyは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基またはカルボキシル基で置換されていてもよい。
【0117】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式Y-1は、下記構造から選択されるいずれか一つである。
【化28】
前記構造において、*は、連結部位を意味する。
【0118】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式Y-2は、下記構造から選択されるいずれか一つである。
【化29】
前記構造において、*は、連結部位を意味する。
【0119】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式Y-3は、下記構造から選択されるいずれか一つである。
【化30】
前記構造において、*は、連結部位を意味する。
【0120】
本発明の一実施態様によれば、Y1~Y3は、下記構造式から選択されるいずれか一つである。
【化31】
【0121】
本発明の一実施態様によれば、R7は、水素;重水素;ヒドロキシ基;ハロゲン基;ニトロ基;ニトリル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロ環基;または光重合性不飽和基である。
【0122】
本発明の一実施態様による感光性樹脂組成物は、光重合性不飽和基による結合力により、有機発光素子などのディスプレイ装置に用いられる基板に対する密着性を増加させることができる。
【0123】
本発明の一実施態様によれば、R7は、水素;重水素;ヒドロキシ基;ハロゲン基;ニトロ基;ニトリル基;置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルケニル基;置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキニル基;置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基;置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基;置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基;または光重合性不飽和基である。
【0124】
本発明の一実施態様によれば、R7は、水素;重水素;ヒドロキシ基;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;または光重合性不飽和基である。
【0125】
本発明の一実施態様によれば、R7は、水素;重水素;ヒドロキシ基;ハロゲン基;置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルケニル基;置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキニル基;置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基;置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基;または光重合性不飽和基である。
【0126】
本発明の一実施態様によれば、R7は、光重合性不飽和基である。
【0127】
本発明の一実施態様によれば、前記光重合性不飽和基は、置換もしくは非置換のアクリロイル基;または置換もしくは非置換のアクリレート基などであってもよい。具体的に、前記(メタ)アクリレート基は、プロピルアクリレート、プロピレングリコールメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールアクリレートテトラエチレングリコールメタクリレート、ビスフェノキシエチルアルコールジアクリレート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリメタクリレート、トリメチルプロパントリメタクリレート、ジフェニルペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートからなる群より選択される1種または2種以上の混合物であってもよいが、これらに限定されない。
【0128】
本発明の一実施態様によれば、R7は、置換もしくは非置換のアクリロイル基;または置換もしくは非置換のアクリレート基である。
【0129】
本発明の一実施態様によれば、R7は、置換もしくは非置換のプロピルアクリレートである。
【0130】
本発明の一実施態様によれば、前記R7は、下記化学式Bで表される。
[化学式B]
【化32】
Rbは、水素;または炭素数1~4のアルキル基であり、
bは1~10の整数であり、
前記化学式Bにおいて、
【化33】
は、前記化学式AのNに結合する部位を意味する。
【0131】
本発明の好ましい一実施態様によれば、前記化学式BのRbは水素である。
【0132】
本発明の一実施態様によれば、bは1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、bは2の整数である。本発明のまた他の一実施態様によれば、bは3の整数である。本発明のさらに他の一実施態様によれば、bは4の整数である。本発明のさらに他の一実施態様によれば、bは5の整数である。本発明のさらに他の一実施態様によれば、bは6の整数である。本発明のさらに他の一実施態様によれば、bは7の整数である。本発明のさらに他の一実施態様によれば、bは8の整数である。本発明のさらに他の一実施態様によれば、bは9の整数である。本発明のさらに他の一実施態様によれば、bは10の整数である。
【0133】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1~3のm~pに対して、p/(m+n+p)は0.03~0.15であってもよい。他の一実施態様によれば、前記化学式1~3のm~pに対して、p/(m+n+p)は0.08~0.15以下であってもよい。また他の一実施態様によれば、前記化学式1~3のm~pに対して、p/(m+n+p)は0.1~0.15以下であってもよい。
【0134】
前記化学式1~3のm~pに対して、m+n+pの総和に対するm、n、およびpそれぞれの比率は、閉環または閉環していない比率を意味する。具体的に、mまたはnに対する括弧内の構造は、イミド化して閉環している。これにより、m+n+pの総和に対するmの比率およびnの比率の和は、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂の閉環率を意味する。これに対し、pに対する括弧内の構造は、イミド化していないところ、閉環していない。これにより、m+n+pの総和に対するpの比率は、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂の閉環していない比率を意味する。
【0135】
本発明の一実施態様による感光性樹脂組成物の閉環率は85%~97%であってもよい。他の一実施態様によれば、感光性樹脂組成物の閉環率は85%~95%であってもよい。また他の一実施態様によれば、感光性樹脂組成物の閉環率は85%~90%であってもよい。さらに他の一実施態様によれば、感光性樹脂組成物の閉環率は90%~95%であってもよい。ただし、感光性樹脂組成物の閉環率の範囲は、上記に記載の具体的な数値範囲に限定されるものではない。
【0136】
上記のように本発明の一実施態様により、閉環率が85%~95%のアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物は、現像(development)時に側鎖が閉環することで膨潤するかまたは溶解度が減少するのを防止する。具体的に、現像などの工程中にイミド化により閉環率が増加することで溶解度が減少するかまたは膨潤するのを防止する。
【0137】
本発明の一実施態様によれば、感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性ポリイミド樹脂の重量平均分子量は1,000g/mol~35,000g/mol;2,000g/mol~33,000g/mol;または2,500g/mol~33,000g/molである。重量平均分子量が前記範囲内である場合、前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物の物理的および化学的物性に優れ、粘度が好適であり、基板との密着性に優れる。
【0138】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤は、前記顔料、前記分散剤、および前記分散剤とともに分散液として用いられてもよい。前記分散液を製造するための溶媒は、後述する本発明の一実施態様による感光性樹脂組成物を製造するための溶媒に関する説明が同様に適用されてもよい。
【0139】
本発明の一実施態様によれば、前記溶媒としては、本発明が属する技術分野における感光性樹脂組成物の形成を可能にするものとして知られた化合物が特に制限なく適用されてもよい。例えば、前記溶媒は、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、およびスルホキシド類からなる群より選択された1種以上の化合物であってもよい。
【0140】
前記エステル類溶媒は、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクト、オキシ酢酸アルキル(例えば、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなど))、3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなど(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチルなど))、2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなど(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチルおよび2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなど)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチルなどであってもよい。
【0141】
前記エーテル溶媒は、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどであってもよい。
【0142】
前記ケトン類溶媒は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、N-メチル-2-ピロリドンなどであってもよい。
【0143】
前記芳香族炭化水素類溶媒は、トルエン、キシレン、アニソール、リモネンなどであってもよい。
【0144】
前記スルホキシド類溶媒は、ジメチルスルホキシドなどであってもよい。
本発明の一実施態様において、前記溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであってもよい。
【0145】
本発明の一実施態様において、前記溶媒は、好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、およびγ-ブチロラクトンの混合液であってもよい。
【0146】
前記溶媒には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、およびγ-ブチロラクトンが50:20:2~70:50:10の重量比で混合されてもよい。前記溶媒には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、およびγ-ブチロラクトンが、好ましくは60:35:5の重量比で混合されてもよい。
【0147】
本発明の一実施態様によれば、前記溶媒の含量は、前記感光性樹脂組成物100重量部に対して10重量部~85重量部;または15重量部~80重量部で含まれてもよい。
【0148】
溶媒の含量が前記範囲内で含まれるか、または溶媒として混合液が用いられる場合に混合比が前記範囲内で含まれる場合、感光性樹脂組成物の塗布性に優れるかまたは平坦性に優れた塗膜を得ることができる。
【0149】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物は、当業界の技術者により必要な添加剤をさらに含んでもよい。
【0150】
前記添加剤としては、多官能性モノマー、架橋剤、光重合開始剤、界面活性剤、およびシランカップリング剤などが挙げられるが、前記例示に限定されない。
【0151】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物は、多官能性モノマー、架橋剤、光重合開始剤、界面活性剤、およびシランカップリング剤のうち少なくとも一つをさらに含む。
【0152】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物は、多官能性モノマー、架橋剤、光重合開始剤、界面活性剤、およびシランカップリング剤をさらに含む。
【0153】
本発明の一実施態様によれば、前記多官能性モノマーは、不飽和カルボン酸エステル類;芳香族ビニル類;不飽和エーテル類;不飽和イミド類;および酸無水物のうちいずれか一つ以上であってもよく、また、当該技術分野で周知のその他の多官能性モノマーをさらに含んでもよい。
【0154】
前記多官能性モノマーは、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して1重量部~40重量部;または15重量部~35重量部で含まれてもよい。好ましい例として、前記多官能性モノマーは、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して20重量部~30重量部で含まれてもよいが、これに限定されない。
【0155】
前記不飽和カルボン酸エステル類の具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アシルオクチルオキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、およびブチルα-ヒドロキシメチルアクリレートからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。
【0156】
前記多官能性モノマーの他の例としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを1種以上用いてもよいが、これらに限定されない。
【0157】
本発明の一実施態様によれば、前記多官能性モノマー100重量部に対して、アルカリ可溶性ヒドロキシ基の含量が30重量部以上である。
【0158】
本発明の一実施態様によれば、前記多官能性モノマー100重量部に対して、アルカリ可溶性ヒドロキシ基の含量が30重量部~85重量部である。このように、多官能性モノマー100重量部を基準として30重量部以上のアルカリ可溶性ヒドロキシ基を含むアルカリ可溶性ポリイミド樹脂は、優れた現像性を有することができる。前記アルカリ可溶性ヒドロキシ基の含量は、アルカリ可溶性ヒドロキシ基を含む化合物の100重量部に対するヒドロキシ基の重量部の比率により導出することができる。例えば、フェノール単分子の場合、フェノール100重量部に対するフェノール単分子内に存在する1個のヒドロキシ基の重量部の比率により、フェノール単分子内に存在する1個のヒドロキシ基の含量を求めることができる。具体的に、フェノールの分子量は94g/molであり、フェノール内に存在する1個のヒドロキシ基は17g/molであるところ、フェノール100重量部に対して約18.09重量部の比率で含まれる。
【0159】
本発明の一実施態様によれば、前記多官能性モノマー100重量部に対して、アルカリ可溶性ヒドロキシ基の含量が50重量部以上である。
【0160】
本発明の一実施態様によれば、前記多官能性モノマー100重量部に対して、アルカリ可溶性ヒドロキシ基の含量が50重量部~70重量部である。
【0161】
本発明の一実施態様によれば、多官能性モノマー100重量部に対して、アルカリ可溶性ヒドロキシ基の含量が50重量部~70重量部である場合、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂の重量平均分子量が1,000g/mol~20,000g/molの範囲においても優れた現像性を有することができる。
【0162】
本発明の他の一実施態様によれば、前記多官能性モノマー100重量部に対して、アルカリ可溶性ヒドロキシ基の含量が70重量部以上である。
【0163】
本発明の他の一実施態様によれば、前記多官能性モノマー100重量部に対して、アルカリ可溶性ヒドロキシ基の含量が70重量部~85重量部である。
【0164】
本発明の他の一実施態様によれば、多官能性モノマー100重量部に対して、アルカリ可溶性ヒドロキシ基の含量が70重量部~85重量部である場合、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂の重量平均分子量が20,000g/mol以上の範囲においても優れた現像性を有することができる。
【0165】
前記アルカリ可溶性ポリイミド樹脂の重量平均分子量が前述した範囲を満たし、多官能性モノマー100重量部を基準としてアルカリ可溶性ヒドロキシ基の含量が前述した範囲を満たす場合、現像液に対する現像性の増加や、感度の向上または機械的物性の増加効果を得ることができる。
【0166】
前記架橋剤は、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂またはその他の添加成分間の架橋反応を誘導し、生成された膜の耐熱性および耐薬品性を増加させることができる。この際、架橋剤としては、アクリル基などの官能基を含む化合物を用いてもよい。また、前記架橋剤の例として熱架橋剤が挙げられ、このような熱架橋剤としては、メチロール基、エポキシ基などの熱反応性官能基を含む化合物を用いてもよい。具体例としては、当業界で一般的に用いられる架橋剤であるDML-PC、DML-PEP、DML-OC、DML-OEP、DML-34X、DML-PTBP、DML-PCHP、DML-OCHP、DML-PFP、DML-PSBP、DML-POP、DML-MBOC、DML-MBPC、DML-MTrisPC、DML-BisOC-Z、DML-BisOCHP-Z、DML-BPC、DML-BisOC-P、DMOM-PC、DMOM-PTBP、DMOM-MBPC、TriML-P、TriML-35XL、TML-HQ、TML-BP、TML-pp-BPF、TML-BPE、TML-BPA、TML-BPAF、TML-BPAP、TMOM-BP、TMOM-BPE、TMOM-BPA、TMOM-BPAF、TMOM-BPAP、HML-TPPHBA、HML-TPHAP、HMOM-TPPHBA、HMOM-TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、「NIKALAC」(登録商標)MX-290、「NIKALAC」(登録商標)MX-280、「NIKALAC」(登録商標)MX-270、「NIKALAC」(登録商標)MX-279、「NIKALAC」(登録商標)MW-100LM、「NIKALAC」(登録商標)MX-750LM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)などを用いてもよい。
【0167】
本発明の一実施態様によれば、前記架橋剤は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.1重量部~40重量部で含まれてもよい。好ましい例として、前記架橋剤は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して20重量部~25重量部で含まれてもよいが、これに限定されない。
【0168】
前記光重合開始剤は、光によりラジカルを発生させて架橋を触発する材料であり、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、およびオクシム系化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を混合して用いることが好ましい。
【0169】
本発明の一実施態様によれば、前記光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.1重量部~10重量部で含まれてもよい。好ましい例として、前記光重合開始剤剤は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して4重量部~5重量部で含まれてもよいが、これに限定されない。
【0170】
前記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤であり、具体的に、シリコーン系界面活性剤としては、BYK-Chemie社製のBYK-077、BYK-085、BYK-300、BYK-301、BYK-302、BYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-325、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-335、BYK-341v344、BYK-345v346、BYK-348、BYK-354、BYK-355、BYK-356、BYK-358、BYK-361、BYK-370、BYK-371、BYK-375、BYK-380、BYK-390などを用いてもよく、フッ素系界面活性剤としては、DIC(DaiNippon Ink & Chemicals)社製のF-114、F-177、F-410、F-411、F-450、F-493、F-494、F-443、F-444、F-445、F-446、F-470、F-471、F-472SF、F-474、F-475、F-477、F-478、F-479、F-480SF、F-482、F-483、F-484、F-486、F-487、F-172D、MCF-350SF、TF-1025SF、TF-1117SF、TF-1026SF、TF-1128、TF-1127、TF-1129、TF-1126、TF-1130、TF-1116SF、TF-1131、TF1132、TF1027SF、TF-1441、TF-1442などを用いてもよいが、これらに限定されない。例えば、BYK-307が用いられてもよい。
【0171】
本発明の一実施態様によれば、前記界面活性剤は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.1重量部~5重量部で含まれてもよい。他の例として、前記界面活性剤は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.2重量部~0.4重量部で含まれてもよい。好ましい例として、前記界面活性剤は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.25重量部~0.35重量部で含まれてもよいが、これに限定されない。
【0172】
前記シランカップリング剤の場合、例えば、アルミナのような熱伝導性フィラーの分散性を改善するために用いられてもよく、上記のような作用を示すことができるものであれば、当業界で公知の種々のものが制限なく用いられてもよい。シランカップリング剤は、加水分解性のシリル基またはシラノール基を含む化合物を意味する。また、シランカップリング剤は、硬化して生成された膜および基板の特定の一面間の相互の密着作用を増加させ、耐熱性および耐薬品性を増加させることができる。前記シランカップリング剤の例としては、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランなどから1種以上選択して用いてもよいが、これらに限定されない。
【0173】
本発明の一実施態様によれば、前記シランカップリング剤の含量は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.1重量部~2重量部で含まれてもよい。好ましい例として、前記シランカップリング剤の含量は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.2重量部~1重量部で含まれてもよいが、これに限定されない。
【0174】
本発明の一実施態様によれば、前記感光性樹脂組成物は、追加添加剤をさらに含んでもよい。前記追加添加剤としては、酸化防止剤、熱重合防止剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
前記酸化防止剤は、高分子膜の生成中にラジカルが発生する連鎖反応を防止する役割をすることができる。この際、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤などを含んでもよく、当業界で一般的に用いられる酸化防止剤である2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、または2,6-g,t-ブチルフェノールなどを用いてもよく、前記紫外線吸収剤としては、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、またはアルコキシベンゾフェノンなどを用いてもよいが、これらに限定されない。
【0176】
本発明の一実施態様によれば、前記酸化防止剤が含まれる場合、前記酸化防止剤の含量は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.1重量部~10重量部;または0.2重量部~1重量部で含まれてもよい。
【0177】
前記熱重合防止剤としては、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、t-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、または2-メルカプトイミダゾールなどを用いてもよい。
【0178】
本発明の一実施態様によれば、前記熱重合防止剤が含まれる場合、前記熱重合防止剤の含量は、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.1重量部~10重量部;または0.2重量部~1重量部で含まれてもよい。
【0179】
本発明の一実施態様は、前記感光性樹脂組成物を含む感光材を提供する。
【0180】
本発明の一実施態様は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光材を提供する。より詳しくは、本発明の感光性樹脂組成物を基材上に適切な方法で塗布して薄膜またはパターン形態の感光材を形成する。
【0181】
前記塗布方法は、特に制限されないが、スプレー法、ロールコーティング法、スピンコーティング法などを用いてもよく、一般にスピンコーティング法を広く用いる。また、塗布膜の形成後、場合によっては、減圧下で残留溶媒を一部除去してもよい。
【0182】
本発明の一実施態様による感光性樹脂組成物または前記感光材に含まれた光重合性不飽和基は、波長が250nm~450nmの光を発散する水銀蒸気アーク(arc)、炭素アーク、Xeアークなどの光源により硬化してもよいが、これに限定されない。
【0183】
本発明の一実施態様による感光性樹脂組成物は、薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT LCD)カラーフィルタ製造用顔料分散型感光材、薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT LCD)または有機発光ダイオードのブラックマトリクス用感光材、オーバーコート層形成用感光材、カラムスペーサ感光材、光硬化性塗料、光硬化性インク、光硬化性接着剤、印刷版、印刷配線盤用感光材、プラズマディスプレイパネル(PDP)用感光材などに用いてもよく、その用途が特に制限されるものではない。
【0184】
本発明の一実施態様は、カラーフィルタ用感光性樹脂組成物またはカラーフィルタ用感光材を提供する。
【0185】
本発明の一実施態様によれば、前記カラーフィルタは、前述した感光性樹脂組成物または前述した感光材を用いて製造することができる。前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布してコーティング膜を形成し、前記コーティング膜を露光、現像、および硬化することでカラーフィルタを形成することができる。
【0186】
本発明の一実施態様によれば、前記基板は、ガラス板、シリコンウェハー、およびポリエーテルスルホン(Polyethersulfone、PES)、ポリカーボネート(Polycarbonate、PC)などのプラスチック基材の板などであってもよく、その種類が特に制限されるものではない。
【0187】
本発明の一実施態様によれば、前記カラーフィルタは、赤色パターン、緑色パターン、青色パターン、またはブラックマトリクスを含んでもよい。
【0188】
また一つの実施態様によれば、前記カラーフィルタは、オーバーコート層をさらに含んでもよい。
【0189】
カラーフィルタのカラーピクセルの間には、コントラストを向上させる目的で、ブラックマトリクスと呼ばれる格子状の黒色パターンを配置してもよい。ブラックマトリクスの材料としてクロムを用いてもよい。この場合、クロムをガラス基板全体に蒸着させ、エッチング処理によりパターンを形成する方式を用いてもよい。しかし、工程上の高コスト、クロムの高反射率、クロム廃液による環境汚染を考慮し、微細加工が可能な顔料分散法による樹脂ブラックマトリクスを用いてもよい。
【0190】
本発明の一実施態様によるブラックマトリクスは、前述した着色剤に含まれた色剤以外の追加色材としてブラック顔料またはブラック染料をさらに含んでもよい。例えば、カーボンブラックを単独で用いるか、またはカーボンブラックと着色顔料を混合して用いてもよく、この際、遮光性が足りない着色顔料を混合するため、相対的に色材の量が増加しても膜の強度または基板に対する密着性が低下しないという長所がある。
【0191】
本発明の一実施態様によるブラックマトリクスは、前述した着色剤に含まれた色剤の代わりに、追加色材としてブラック顔料またはブラック染料を含んでもよい。
【0192】
本発明の好ましい一実施態様は、ブラックマトリクス用感光性樹脂組成物またはブラックマトリクス用感光材を提供する。
【0193】
前記ブラックマトリクス用は、ブラックマトリクスを形成するための用途、ブラックマトリクスに含まれる用途などの意味をすべて含む。
【0194】
本発明の一実施態様は、前述した感光性樹脂組成物を含むブラックマトリクスを提供する。
【0195】
本発明の一実施態様は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0196】
前記ディスプレイ装置は、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)、有機発光素子(Organic Light Emitting Diode、OLED)、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)、薄膜トランジスタ液晶表示装置(Thin FIlm Transistor- Liquid Crystal Display、LCD-TFT)、および陰極線管(Cathode Ray Tube、CRT)のうちいずれか1つであってもよい。
【0197】
本発明の一実施態様は、前述したブラックマトリクスを含む電子素子を提供する。
【0198】
前記電子素子は、半導体素子の層間絶縁膜、前述したカラーフィルタ、前述したブラックマトリクス、オーバーコート、カラムスペーサ、パッシベーション膜、バッファコート膜、多層プリント基板用絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、バッファコート膜、多層プリント基板用絶縁膜ソルダーレジスト膜、OLEDの絶縁膜、液晶表示素子の薄膜トランジスタの保護膜、有機EL素子の電極保護膜および半導体保護膜、OLED絶縁膜、LCD絶縁膜、半導体絶縁膜、前述したディスプレイ装置などをすべて含んでもよいが、これらに限定されない。
【0199】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明することにする。ただし、本発明による実施例は、種々の異なる形態に変形されてもよく、本発明の範囲が後述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0200】
製造例
【0201】
<樹脂Aの製造例>
丸底フラスコ(Round bottom flask)にて、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis-AP-AF)14.4g(0.31mol)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)500gに入れ、60℃で溶解させた。これにビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(ODPA)91.1g(0.29mol)を添加して2時間撹拌した後、末端封止剤としてフタル酸無水物7.2g(0.03mol)を入れ、さらに2時間撹拌した。次いで、温度を170℃に昇温させた後に6時間撹拌した。その後、常温に冷却させた。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Gel Permeation Chromtography)により測定された重合した樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は15,000g/molであり、前記樹脂Aの赤外線分光器(IR)による測定結果、イミド化率(DOI、Degree of Imidization)は92%であった。前記重合した樹脂Aの重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)の溶媒下でゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。
【0202】
<樹脂A1およびA2の製造例>
重合した樹脂A溶液を常温で撹拌させた。アクリロイルオキシエチルイソシアネート(2-Isocyanatoethyl acrylate、AOI、CAS 13641-96-8)を樹脂Aの2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis-AP-AF)の総当量100mol%を基準としてそれぞれ20mol%および60mol%添加した。反応器の温度を60℃に上げて12時間撹拌し、それぞれ樹脂A1およびA2を重合した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Gel Permeation Chromtography)により測定された重合した樹脂A1およびA2の重量平均分子量(Mw)は9,730g/molおよび9,840g/molであり、前記樹脂A1およびA2の赤外線分光器(IR)による測定結果、イミド化率(DOI、Degree of Imidization)は93.90%および93.80%であった。
【0203】
<樹脂BおよびCの製造>
反応物を下記表1の内容のように製造したことを除いては、樹脂BおよびCを前記樹脂Aの製造例のとおりに製造した。
【0204】
【0205】
前記表1において、Bis-APAFは、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンであり、ODPAは、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物であり、6FDAは、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物[4,4-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride]であり、PAは、フタル酸無水物(phthalic anhydride)であり、PGMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、TFMBは、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンであり、Mwは、重量平均分子量であり、PDIは、分子量分布を意味する。
【0206】
<樹脂B1およびB2の製造>
重合した樹脂B溶液を常温で撹拌させた。アクリロイルオキシエチルイソシアネート(2-Isocyanatoethyl acrylate、AOI、CAS 13641-96-8)を樹脂Bの2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis-AP-AF)の総当量100mol%を基準としてそれぞれ20mol%および40mol%添加した。反応器の温度を60℃に上げて12時間撹拌し、それぞれ樹脂B1およびB2を重合した。
【0207】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Gel Permeation Chromtography)により測定された重合した樹脂B1およびB2の重量平均分子量(Mw)は8,150g/molおよび8,320g/molであり、前記樹脂B1およびB2の赤外線分光器(IR)による測定結果、イミド化率(DOI、Degree of Imidization)は94.40%および94.30%であった。
【0208】
<実施例1~4および比較例1~3>
前記製造例により製造されたバインダー樹脂A、B、C、A1、A2、B1、およびB2などを用いて、下記表2のようにアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物を実施例1~4として製造し、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含まない感光性樹脂組成物を比較例1~3として製造した。
【0209】
【0210】
前記表2において、着色剤は、顔料、分散剤、および分散用バインダーを含んでいる。前記着色剤中に含まれている顔料、分散剤、および分散用バインダーの重量比率は、着色剤100重量部に対してそれぞれ15重量部、3重量部、および3重量部であり、顔料としては、BASF社製のOBP-1を用い、着色剤の製造のための溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いた。着色剤に含まれる分散剤および分散用バインダーは、実施例1~4および比較例1~3でそれぞれ用いられたバインダー樹脂と同一の樹脂を用いた。具体的に、実施例1の分散剤および分散用バインダーとしては、実施例1で用いられたバインダー樹脂(樹脂Aおよび樹脂A1がそれぞれ15.78重量部:23.68重量部で混合された高分子化合物)が用いられ、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対してそれぞれ4.80重量部および4.80重量部で用いられた。他の例として、実施例2の分散剤および分散用バインダーとしては、実施例2で用いられたバインダー樹脂(樹脂Bおよび樹脂A1がそれぞれ7.89重量部:31.57重量部で混合された高分子化合物)が用いられ、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対してそれぞれ4.80重量部および4.80重量部で用いられた。実施例3および4の分散剤および分散用バインダーも、実施例1および2と同様の方式で選択して用いられた。比較例1の分散剤および分散用バインダーとしては、比較例1で用いられたバインダー樹脂(樹脂AおよびACRYL Aがそれぞれ31.57重量部:7.89重量部で混合された高分子化合物)が用いられ、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対してそれぞれ4.80重量部および4.80重量部で用いられた。他の例として、比較例2の分散剤および分散用バインダーとしては、比較例2で用いられたバインダー樹脂(ACRYL AおよびPHS Aがそれぞれ7.89重量部:31.57重量部で混合された高分子化合物)が用いられ、前記感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対してそれぞれ4.80重量部および4.80重量部で用いられた。比較例3の分散剤および分散用バインダーも、比較例1および2と同様の方式で選択して用いられた。
【0211】
前記表2のACRYL Aは、下記構造式A-1~A-3で表される繰り返し単位を含むアクリル樹脂である。
[構造式A-1]
【化34】
[構造式A-2]
【化35】
[構造式A-3]
【化36】
【0212】
前記表2のACRYL Aに含まれた前記構造式A-1~A-3に対して、a:b:cは0.55:0.25:0.20である。
【0213】
前記ACRYL Aの分子量は13,000g/molである。
【0214】
前記表2のPHS Aは、下記構造式A-4およびA-5で表される繰り返し単位を含むアクリル樹脂である。
[構造式A-4]
【化37】
[構造式A-5]
【化38】
【0215】
前記表2のPHS Aに含まれた前記構造式A-4およびA-5に対して、d:eは0.4:0.6である。
【0216】
前記PHS Aの分子量は8,000g/molである。
【0217】
また、前記表2において、DPHAは、ジフェニルペンタエリスリトールヘキサアクリレートであり、BYK-331は、BYK-Chemie社製の分散剤(界面活性剤)であり、OXE02は、BASF社製の光重合開始剤であり、MEDGは、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルであり、GBLは、γ-ブチロラクトンである。
【0218】
<実験例>
【0219】
アウトガスおよび耐熱性の評価
前記実施例1~4の感光性樹脂組成物、および比較例1~3のアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含まない感光性樹脂組成物に対して下記のような方法でアウトガスおよび耐熱性を測定し、その結果を下記表4に記載した。
【0220】
-アウトガスの測定
【0221】
1.アウトガス測定サンプルの作製方法
100mm×100mm×0.5Tのガラス基板に組成物を塗布してスピンコーティング(spin-coating)し、最終的な硬化工程後に硬化膜が厚さ1.0μmとなるようにRPM速度を設定した。コーティングされた基板をチャンバー(VCD、Vacuum Chamber Dryer)にて45Paに減圧して溶媒を除去した。基板を100℃のホットプレートにて120秒間加熱して溶媒を除去した。ネガティブ組成物の場合、露光器で50mJ露光した。露光面を現像液に120秒間露出させた。基板を230℃の対流式オーブン(convection oven)で30分間硬化した。
【0222】
2.アウトガスの測定方法
作製されたサンプルを10mm×70mmの大きさに切り取った後、当該サンプルをPAT管に入れ、230℃の温度で30分間加熱して発生する物質をPurge & TrapサンプラによりPurge & trapし、P&T GC/MSにより分析した。結果値は、トルエン標準溶液と対比した面積の計算でng/cm2であり、絶対値で表記されるが、試料や装置の状態に応じて値の差があり得るため、相対比較を行った。前記分析によるアウトガスの量を下記表3に記載した。
【0223】
-耐熱性の測定
作製されたサンプルのコーティング面をカッターナイフで削り、熱重量分析法(Thermogravimetric analysis、TGA)で分析を行った。窒素雰囲気で、昇温速度10℃で常温の25℃から450℃まで昇温させつつ変曲点を測定した。前記変曲点に対する測定値を下記表3に記載した。
【0224】
【0225】
前記表3の内容のように、本発明の一実施態様による感光性樹脂組成物は、そうでない感光性樹脂組成物よりもアウトガス発生量が減少する。具体的に、実施例1~4によるアウトガス発生量が23ng/cm2~33ng/cm2であって、比較例1~3によるアウトガス発生量である94ng/cm2~221ng/cm2よりも少ない。特に、実施例1および比較例3によれば、本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物のアウトガス発生量が、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含まない感光性樹脂組成物のアウトガス発生量よりも最大約89.59%減少し、アウトガス発生量が著しく減少する効果を確認することができる。
【0226】
前記表3の内容のように、本発明の一実施態様による感光性樹脂組成物は、そうでない感光性樹脂組成物よりも耐熱性に優れる。具体的に、実施例1~4による耐熱性の測定値が362℃~368℃であって、比較例1~3による耐熱性の測定値である324℃、296℃、または275℃よりも大きい。特に、実施例4および比較例3によれば、本発明の一実施態様によるアルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物の耐熱性が、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含まない感光性樹脂組成物の耐熱性よりも最大約33.82%増加し、優れた耐熱性を有することを確認することができる。
【国際調査報告】