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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20231102BHJP
   G02F 1/061 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
C08G61/12
G02F1/061 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521733
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2021080224
(87)【国際公開番号】W WO2022090523
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】2017227.6
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ガウェル,プルゼメック
(72)【発明者】
【氏名】ベンジー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ピロー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キャス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】キング,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ハンフリーズ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】フレッチャー,トーマス
【テーマコード(参考)】
2K102
4J032
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102DA04
2K102DB04
2K102DD01
2K102EA02
2K102EB16
2K102EB20
2K102EB22
4J032CA12
4J032CB01
4J032CC01
4J032CD02
4J032CE03
4J032CG01
(57)【要約】
第1の平面に配置された第1の平面基を有する反復単位と、第1の平面とは異なる第2の平面に配置された第2の平面基と、第1の平面基と第2の平面基とを連結する結合又は基と、第1の平面基と第2の平面基とを連結する第1の二価結合基と、を含む、キラルポリマー。本ポリマーは、電気光学変調器の活性材料として使用され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面に配置された第1の平面基を有する反復単位と、前記第1の平面とは異なる第2の平面に配置された第2の平面基と、前記第1の平面基と前記第2の平面基とを連結する結合又は基と、前記第1の平面基と前記第2の平面基とを連結する第1の二価結合基と、を含む、キラルポリマー。
【請求項2】
前記反復単位が、第1及び第2の結合によって隣接する反復単位に結合され、前記第1及び第2の結合の間の角度が、180°±10°である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記第1及び第2の結合が、共線的である、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記反復単位が、第2の二価結合基を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
前記第1の平面と前記第2の平面との間の角度が、1~89°の範囲にある、先行請求項のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
前記第1及び第2の平面基が、それぞれ第1のアリーレン又はヘテロアリーレン基、及び第2のアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、前記第1及び第2のアリーレン又はヘテロアリーレン基の各々が、独立して、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている、先行請求項のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
前記第1及び第2のアリーレン又はヘテロアリーレン基が、直接結合によって連結されている、請求項6に記載のポリマー。
【請求項8】
前記直接結合が、前記ポリマーの軸に対して平行である、請求項7に記載のポリマー。
【請求項9】
前記直接結合が、前記ポリマーの軸に対して垂直である、請求項7に記載のポリマー。
【請求項10】
前記反復単位が、式(I)~(III)から選択され、
【化1】
式中、Arが、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている、アリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Arが、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている、アリーレン又はヘテロアリーレン基であり、各出現におけるBが、二価結合基であり、各出現におけるBが、独立して、二価結合基である、先行請求項のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項11】
前記反復単位が、式(Ia)~(IIIa)から選択される、請求項10に記載のポリマー。
【化2】
【請求項12】
式(I’)又は(II’)又は(III)のキラルモノマーであって、
【化3】
式中、Arが、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されており、第1の平面に配置されている、アリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Arが、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されており、前記第1の平面とは異なる第2の平面に配置されている、アリーレン又はヘテロアリーレン基であり、各出現におけるBが、独立して、二価結合基であり、各出現におけるBが、独立して、二価結合基であり、各出現におけるLGが、独立して、脱離基であり、各出現におけるLGが、独立して、脱離基である、キラルモノマー。
【請求項13】
各出現におけるLGが、Ar又はArの芳香族炭素原子に結合した、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物化物、又はボロン酸若しくはエステルであり、LGが、BのN原子に結合したHである、請求項12に記載のキラルモノマー。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のモノマーの重合を含む、ポリマーを形成する方法。
【請求項15】
ポリマーフィルムと、前記ポリマーフィルムにわたって電界を印加するための電極と、を備え、前記ポリマーフィルムが、キラルポリマーを含む、電気光学変調器。
【請求項16】
前記キラルポリマーが、請求項1~11のいずれか一項に定義されるとおりである、請求項16に記載の電気光学変調器。
【請求項17】
データを送信するための光相互接続であって、
請求項15又は16に記載の前記電気光学変調器と、
前記電気光学変調器の入力に結合された光源と、を備え、
前記電気光学変調器が、前記光源によって放出された光を変調するように構成されている、光相互接続。
【請求項18】
前記変調された光を受信するために、前記電気光学変調器の出力に第1の端部で結合された光ファイバーを更に備える、請求項17に記載の光相互接続。
【請求項19】
前記光ファイバーの第2の端部に結合された光検出器を更に備える、請求項18に記載の光相互接続。
【請求項20】
請求項17~19のいずれか一項に記載の光相互接続と、
第1のデバイスと、
第2のデバイスと、を備え、
前記光相互接続が、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスにデータを送信するように構成されている、システム。
【請求項21】
請求項17~19のいずれか一項に記載の第2の光相互接続を更に備え、前記第2の光相互接続が、前記第2のデバイスから前記第1のデバイスにデータを送信するように構成されている、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キラルポリマー及び電気光学変調器におけるその使用に関する。
【0002】
近年、プロセッサ速度及び生成されるデータ量の両方の急速な増加は、データ伝送手段の帯域幅の対応する増加を必要とする。
【0003】
電気信号を光信号に変換するための電気光学変調器(EOM)は、EOMが固体状態で非ゼロ過分極性を有する材料、すなわち、材料の屈折率が印加された電界とともに変化する材料を含有することが知られている。電気光学スイッチングで使用するために知られている無機材料は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)である。
【0004】
強い基底状態の双極モーメントを有する双極(供与体-求引体)有機分子の光電子特性は、例えば、Dalton and Benight,「Theory guided design of organic electro-optic materials and devices」,Polymers,2011,3,1325-1351に記載されている。
【0005】
Zyss and Ledoux「Nonlinear Optics in Multipolar Media:Theory and Experiments」,Chem.Rev.,1994,94,77-105は、八極有機非線形分子を開示している。
【0006】
供与体-求引体モチーフのない共役ポリマー、例えば、Cleuvenbergen et al,,Record-high hyperpolarizabilities in conjugated polymers’J.Mat.Chem C,2014,2,4533 and polythiophene as disclosed in Deckers et al,,Poly(3-alkylthiophene)s show unexpected second-order nonlinear optical response’Chem Commun,2014,50,2741-43に開示されているポリフェナントレンでも、溶液中で強い過分極性が観察されている。
【0007】
Verbiest et al ref:「Strong enhancement of nonlinear optical properties through supramolecular chirality」,Science,1998,vol.282,913は、分子の超分子アレイから構成されるキラルヘリセンのラングミュア-ブロジェットフィルムを開示している。
【0008】
Ostroverkhov et al,「Second-harmonic generation in nonpolar chiral materials:relationship between molecular and macroscopic properties」J.Opt.Soc.Am.B,Vol.18,No.12,2001,p.1858-1865は、キラル培地中の軸方向に整列された非線形光学発色団における光学的第二高調波生成のための二次非線形光学応答のための配向ガスモデルを開示している。
【発明の概要】
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示は、第1の平面に配置された第1の平面基を有する反復単位と、第1の平面とは異なる第2の平面に配置された第2の平面基と、第1の平面基と第2の平面基とを連結する結合又は基と、第1の平面基と第2の平面基とを連結する第1の二価結合基とを含む、キラルポリマーを提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示は、ポリマーフィルムと、ポリマーフィルムにわたって電界を印加するための電極と、を備え、ポリマーフィルムがキラルポリマーを含む、電気光学変調器を提供する。
【0011】
本明細書に記載されるキラルポリマーは、キラル反復単位のエナンチオマー過剰を含有するポリマーであることが理解されよう。同様に、本明細書に記載されるキラルモノマーは、モノマーのエナンチオマーの過剰を含有するモノマーである。本明細書に記載されるキラルモノマー又はポリマーは、光学的に活性であり、例えば、非ゼロ環状二色性を有する。
【0012】
任意選択的に、反復単位は、第1及び第2の結合によって隣接する反復単位に結合され、第1及び第2の結合の間の角度は、180°±10°である。
【0013】
任意選択的に、第1及び第2の結合は、共線的である。
【0014】
任意選択的に、反復単位は、第2の二価結合基を含む。
【0015】
任意選択的に、第1の平面と第2の平面との間の角度は、1~89°の範囲にある。
【0016】
任意選択的に、第1及び第2の平面基は、それぞれ第1のアリーレン又はヘテロアリーレン基、及び第2のアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、第1及び第2のアリーレン又はヘテロアリーレン基の各々は、独立して、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている。
【0017】
任意選択的に、第1及び第2のアリーレン又はヘテロアリーレン基は、直接結合によって連結される。
【0018】
任意選択的に、直接結合は、ポリマーの軸に対して平行である。
【0019】
任意選択的に、直接結合は、ポリマーの軸に対して垂直である。
【0020】
任意選択的に、反復単位は、式(I)~(III)から選択され、
【化1】
式中、Arが、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている、アリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Arが、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている、アリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Bが、二価結合基であり、各出現におけるBが、独立して、二価結合基である。
【0021】
任意選択的に、反復単位は、式(Ia)~(IIIa)から選択される:
【化2】
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(I’)、(II’)、又は(III’)のモノマーを提供し、
【化3】
式中、Arが、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されており、第1の平面に配置されている、アリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Arが、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されており、第1の平面とは異なる第2の平面に配置されている、アリーレン又はヘテロアリーレン基であり、各出現におけるBが、独立して、二価結合基であり、各出現におけるBが、独立して、二価結合基であり、各出現におけるLGが、独立して、脱離基であり、各出現におけるLGが、独立して、脱離基である。
【0023】
任意選択的に、各出現におけるLGは、Ar又はArの芳香族炭素原子に結合した、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物化物、又はボロン酸若しくはエステルであり、LGは、BのN原子に結合したHである。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるモノマーの重合を含むポリマーを形成する方法を提供する。
【0025】
いくつかの実施形態では、本開示は、ポリマーフィルムを備え、ポリマーフィルムがキラルポリマーを含む、電気光学変調器を提供する。
【0026】
任意選択的に、キラルポリマーは、第1の平面に配置された第1の平面基を有する反復単位と、第1の平面とは異なる第2の平面に配置された第2の平面基と、第1の平面基と第2の平面基とを連結する結合又は基と、第1の平面基と第2の平面基とを連結する第1の二価結合基とを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示は、
本明細書に記載される電気光学変調器と、
電気光学変調器の入力に結合された光源と、を備える、データを送信するための光相互接続を提供し、
電気光学変調器は、光源によって放出された光を変調するように構成されている。
【0028】
任意選択的に、光相互接続は、変調された光を受信するために、電気光学変調器の出力に第1の端部で結合された光ファイバーを更に含む。
【0029】
任意選択的に、光相互接続は、光ファイバーの第2の端部に結合された光検出器を更に含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示は、
本明細書に記載される光相互接続と、
第1のデバイスと、
第2のデバイスと、を含むシステムを提供し、
光相互接続は、第1のデバイスから第2のデバイスにデータを送信するように構成されている。
【0031】
任意選択的に、システムは、本明細書に記載されるような第2の光相互接続を含み、第2の光相互接続は、第2のデバイスから第1のデバイスにデータを送信するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
開示される技術及び添付の図は、開示される技術のいくつかの実施態様を記載する。
【0033】
図1】ポリチオフェン鎖の異なる可能な立体配座を示す。
図2】いくつかの実施形態による反復単位を示す。
図3】いくつかの実施形態による電気光学変調器を概略的に示す。
図4A図3に示されるように、電気光学変調器への光入力を概略的に示す。
図4B図3に示されるように、電気光学変調器に印加された電気信号を概略的に示す。
図4C図3に示されるように、電気光学変調器からの光出力を概略的に示す。
【0034】
図面は、縮尺どおりに描かれておらず、様々な視点及び見解を有する。図面は、いくつかの実施態様及び実施例である。加えて、いくつかの成分及び/又は操作は、開示の技術のいくつかの実施形態の考察を目的として、異なるブロックに分離され得るか、又は単一のブロックに組み合わされ得る。更に、技術は、様々な修正及び代替形式に変更可能であるが、特定の実施形態は、例として図面に示されており、以下に詳細に記載される。しかしながら、意図は、記載の特定の実施態様に技術を限定することではない。対照的に、技術は、添付の特許請求の範囲によって定義される技術の範囲内に入る全ての修正物、同等物、及び代替物を網羅することが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
別段文脈が明らかに要求しない限り、記載及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」などの単語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味、すなわち、「含むが、限定されない」という意味で解釈されるものである。加えて、「本明細書の」、「上の」、「以下の」という単語、及び類似の趣旨の単語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指し、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する発明を実施するための形態において、単語はまた、それぞれ複数又は単数を含み得る。「又は」という単語は、2つ以上の項目の列挙を参照して、列挙の項目のうちのいずれか、列挙の項目のすべて、及び列挙の項目の任意の組み合わせ、という単語の解釈のすべてを網羅する。本出願で使用される場合、別の層の「上方の」層への言及は、層が直接接触してもよく、又は1つ以上の介在層が存在してもよいことを意味する。別の層の「上の」層への言及は、本出願で使用される場合、層が直接接触していることを意味する。特定原子への言及は、特に明記しない限り、その原子の任意の同位体を含む。
【0036】
本明細書に提供される技術の教示は、必ずしも以下に記載のシステムではなく、他のシステムに適用され得る。以下に記載の様々な実施例の要素及び行為を組み合わせて、技術の更なる実施態様を提供することができる。技術のいくつかの代替的な実施態様は、以下に記述されるこれらの実施態様に対する追加の要素を含み得るだけでなく、より少ない要素も含み得る。
【0037】
以下の詳細な記載に照らし合わせて、これら及び他の変更は、技術に対して行われ得る。記載は、技術のある特定の実施例を記載し、企図される最良のモードを記載しているが、記載がどれほど詳細に表示されていようとも、技術は、多くの方式で実践することができる。上に記述されるように、技術のある特定の特色又は態様を記載する場合に使用される特定の用語は、その用語に関連する技術の任意の特定の特徴、特色、又は態様に制限されるように、その用語が本明細書で再定義されることを意味するものと解釈されるべきではない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、発明を実施するための形態の項でそのような用語を別段明示的に定義しない限り、技術を本明細書に開示の特定の実施例に限定するものと解釈されるべきではない。したがって、技術の実際の範囲は、開示の実施例だけでなく、特許請求の範囲下の技術の全ての実践又は実施態様の同等の方式も包含する。
【0038】
特許請求の範囲の数を低減するために、技術のある特定の態様は、ある特定の特許請求の範囲の形態で以下に提示されるが、出願人は、任意の数の特許請求の範囲の形態における技術の様々な態様を企図している。
【0039】
以下の記載では、説明の目的として、開示の技術の実施態様の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、開示の技術の実施形態が、これらの具体的な詳細のいくつかを用いずとも実践することができることは、当業者には明らかであろう。
【0040】
本発明者らは、キラルポリマー、すなわち、ポリマー鎖がキラル反復単位のエナンチオマー過剰を含有するポリマーが、電気光学変調器の活性材料として使用され得ることを見出した。
【0041】
本発明者らは、熱力学的に安定なエナンチオマーを提供するために、反復単位のキラリティが「ロックイン」され得ることを更に見出した。
【0042】
図1は、インターモノマーねじれ角度に対して取られる値に応じて、ポリマー鎖が採用することができる異なる構成を概略的に示す。図1は、ポリチオフェン鎖を示すが、これは、芳香族又はヘテロ芳香族環の任意の反復単位の鎖であり得ることが理解されるであろう。可能な構成には、右利きのヘリックス、左利きのヘリックス、及びらせん状立体配座(例えば、線形又は他のランダムならせん状立体配座)が含まれる。多数の制約のないインターモノマーねじれ角の可能性のために、ポリチオフェンなどのポリ(ヘテロ)アリーレンの個々の鎖は、環境に応じて多数のそのような立体配座を採用し得、それらの各々は、過分極性に寄与する。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、固体状態のそのようなポリマー鎖の軸方向に順序付けられたフィルムは、正、負、又はゼロ正味の電気光学応答(r33)をもたらし得ると考えられる。
【0043】
本発明者らは、モノマー構造にねじれを有する非平面キラル反復単位を提供することによって、得られたポリマー鎖が、非ゼロキラル過分極性成分を有する静的ならせん状立体配座を採用することに拘束され得ることを見出した。ポリマー鎖のキラリティにおけるエナンチオマー過剰は、(+)又は(-)エナンチオマーのうちの1つの過剰を有するかかるモノマーの重合によって達成され得る。
【0044】
キラル反復単位のエナンチオマー過剰は、少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは75%又は100%であってもよい。キラル反復単位のエナンチオマー過剰は、ポリマーを形成するために使用される対応するモノマーのエナンチオマー過剰に直接対応し得る。
【0045】
本明細書に記載されるようなポリマーのキラリティは、ポリマー鎖のトポロジー、例えば、右利きのらせん状ポリマー鎖の割合:1:1ではない左利きのらせん状ポリマー鎖から生じることが理解されよう。したがって、本明細書に記載の反復単位は、立体中心又はキラリティ軸を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0046】
このようなキラル反復単位を形成するためのモノマーのエナンチオマー過剰は、エナンチオ選択的反応ステップ及び/又はキラル分解能ステップを含むモノマー合成によって達成され得る。
【0047】
キラル分解工程は、出発物質、モノマー中間体、又はモノマーのいずれか1つのラセミ混合物のキラル分解を含む、モノマー合成の任意の時点で行われ得る。当業者に既知の任意の好適なキラル分解能は、鏡像異性体的に純粋なキラル試薬との結晶化又は反応、得られたジアステロマーの分離を含むが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書に記載されるキラルポリマーは、好適には静的であり、すなわち、キラル反復単位のその光学的に活性な鏡像への変換は、固体状態又は溶液中の25℃で熱力学的に好ましくない。任意選択的に、本明細書に記載のキラルモノマーは、298Kで、少なくとも2kT、任意選択的に少なくとも10kTのラセミ化エネルギーを有する。
【0049】
静的構成は、ポリマーの反復単位の第1の平面基と第2の平面基との間に、反復単位の最も熱力学的に好ましい立体配座が、第1の平面基と第2の平面基が異なる平面に存在する、すなわちねじれているものとなるように、少なくとも1つの結合基を提供することによって達成され得る。そのような結合基は、第1及び第2の平面基の互いに対する移動の自由を制限し、好ましくは、第1及び第2の平面基をねじれた構成に固定することを理解されたい。
【0050】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、共役され、すなわち、ポリマー骨格中の反復単位は、隣接する反復単位に直接pi共役される。好ましくは、共役ポリマーの反復単位の芳香族又はヘテロ芳香族反復単位の炭素環原子は、隣接する反復単位の芳香族又はヘテロ芳香族反復単位の炭素環原子に直接結合される。
【0051】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、非共役である。これらの実施形態では、ポリマーは、隣接する反復単位に共役していない共役基、例えば、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含有する反復単位を含有し得る。
【0052】
好ましくは、本明細書に記載されるポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン等価数平均分子量(Mn)は、約1×10~1×10、好ましくは1×10~5×10の範囲にある。ポリマーのポリスチレン等価重量平均分子量(Mw)は、1×10~1×10、好ましくは1×10~1×10であり得る。
【0053】
反復単位
いくつかの実施形態では、ポリマーのねじれた反復単位は、第1のアリーレン又はヘテロアリーレン基Ar、及び第2のアリーレン又はヘテロアリーレン基Arを含み、式中、Ar及びArは、単結合によって連結され、少なくとも1つの結合基によって更に連結される。
【0054】
任意選択的に、Arの平面とArの平面との間の角度は、量子コンピューティング最適化モノマー構造を使用して測定されるように、1~89°、好ましくは20~60°である。
【0055】
量子化学計算は、Gaussian 09,Revision D.01ソフトウェアを使用して実施した。構造を、理論のB3LYP/6-31g(d)レベルでDFTモデルを使用して最適化した。地上状態最小値は、同じレベルで計算された分析周波数の分析に基づいて確認され、想像上の周波数は示されなかった。B3LYP/6-31g(d)レベルの理論及びPolarジョブタイプ並びにGaussian 09,Revision D.01に実装されているそのオプションでDFTモデルを使用して、事前に最適化されたジオメトリで分子静的及び周波数依存的な超分極性を計算した。
【0056】
Ar及びArは各々、好ましくは、単環式又は多環式芳香族基又はヘテロ芳香族基からなる群から選択される。C6-20アリーレン基、例えば、フェニレン又はナフチレン基が好ましい。
【0057】
Ar及びArは、同じであっても異なっていてもよく、好ましくは同じであってもよい。
【0058】
結合基又は基は、ArとArとの間のねじれを誘導するように選択され得る。これは、フェニレン基ArとArとの間のプロピレン結合基が、これらの基間のねじれを引き起こす、図2に示されている。
【0059】
図2に示されるように、反復単位の結合A1及びA2と隣接する反復単位との間の角度は、好ましくは180°である。範囲は、180±35°、好ましくは180±20°、より好ましくは180°±10°であり得る。
【0060】
結合A1及びA2は、平行であってもよい。好ましくは、結合A1及びA2は、共線的であり、すなわち、それらは、共通の軸上に位置する。
【0061】
いくつかの実施形態では、ねじれた反復単位は、式(I)~(III)から選択されてもよく、
【化4】
式中、各出現におけるBは、独立して、二価結合基であり、各出現におけるBは、独立して、二価結合基である。
【0062】
Ar及びArは、各々独立して、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている。置換基は、各出現において、独立して、F、Cl、NO、CN、NH、OH、非置換であってもよいか、又は1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール基Ar、並びにC1-12アルキル(1つ以上の隣接していないC原子が、O、S、NRで置き換えられていてもよく、Rが、H、又は置換基、CO、又はCOOであり、1つ以上のH原子は、Fで置き換えられていてもよい)から選択されてもよい。
【0063】
Ar又はArのアリール又はヘテロアリール置換基は、非置換であってもよく、又はF、Cl、CN、NO若しくはC1-12アルキル(1つ以上の隣接していないC原子がO、S、NR、CO、又はCOOで置き換えられていてもよく、1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。アリール又はヘテロアリール置換基は、C6-20アリール、例えば、フェニル又はナフチル、単環式5員又は6員の複素芳香族環、又は縮合複素芳香族基であってもよい。
【0064】
が置換基である場合、C1-20ヒドロカルビル基であることが好ましい。
【0065】
好ましい基Ar及びArは、フェニレン及びナフタレンである。
【0066】
いくつかの実施形態では、式(I)又は(II)のキラリティ軸、すなわち、ArとArとの間の結合は、ポリマー骨格に対して平行である。
【0067】
いくつかの実施形態では、式(III)のキラリティ軸は、ポリマー骨格に対して垂直である。
【0068】
好ましくは、Bは、Ar及びArとともに、7員環を形成する。
【0069】
例示的なB基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【化5】
式中、各出現におけるR-Rは、独立して、H又は置換基であり、Rは、置換基、任意選択的に、C1-20ヒドロカルビル基であり、*は、Ar又はArへの結合を表す。
【0070】
各出現におけるRは、好ましくは、H、F、C1-12アルキル(1つ以上の隣接していないC原子が、O、S、NR、C=O又はCOOで置き換えられていてもよい)又はフェニル(非置換であるか、C1-12アルキル(1つ以上の隣接していないC原子が、O、S、NR、C=O又はCOOで置き換えられていてもよい)から選択される1つ以上の置換基で置換される)である。
【0071】
各出現におけるR及びRは、好ましくは、H又はC1-20ヒドロカルビル基である。
【0072】
本明細書の任意の場所に記載されるようなC1-20ヒドロカルビル基は、好ましくは、C1-12アルキル、非置換フェニル、及び1つ以上のC1-12アルキル基で置換されたフェニルから選択される。
【0073】
好ましくは、Bは、Ar及びArとともに、7員環を形成する。例示的な結合基Bは、以下である:
【化6】
【0074】
好ましくは、式(I)、(II)、及び(III)は、それぞれ、式(Ia)~(IIIa)から選択され、
【化7】
式中、各出現におけるXは、CR又はNであり、各出現におけるRは、H又は置換基であり、隣接する炭素原子に結合した置換基Rは、芳香族環又は非芳香族環を形成するために連結されてもよい。任意選択的に、非H基R、又は2つのR基の連結によって形成される環の置換基は、F、Cl、NO、CN、NH、OH、Ar、及びC1-12アルキル(1つ以上の隣接していないC原子が、O、S、NR、CO、又はCOOで置き換えられていてもよく、1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)から選択される。Arは、上述のアリール又はヘテロアリール基である。
【0075】
例示的なねじれた反復単位は、以下である:
【化8】
【0076】
いくつかの実施形態では、Ar及びArは、ポリマー骨格中のキラル反復単位の唯一の2つのアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、これらは同じ平面内にない。他の実施形態では、キラル反復単位は、同じ平面にない2つ以上のアリーレン又はヘテロアリーレン基を含み得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、ホモポリマー、例えば、式(IIa)又は(IIb)の反復単位を含むホモポリマーである。
【0078】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、本明細書に記載されるねじれた反復単位と、1つ以上の共反復単位と、例えば、式(IIa)、(IIb)、又は(IIc)の反復単位と、共反復単位とを含むABコポリマーと、を含むコポリマーである。好ましくは、共反復単位の結合と隣接する反復単位との間の角度は、180°である。好ましくは、隣接する反復単位への共反復単位の結合は、同じ軸上にある。
【0079】
好ましい共反復単位は、式(IV)を有し、
【化9】
式中、各出現におけるXは、N又はCRであり、Rは、H又は上記の置換基である。特に好ましい共反復単位は、1,4-フェニレンである。
【0080】
ポリマー形成
本明細書に記載のポリマーは、当業者に既知の任意の方法によって形成され得る。
【0081】
例示的な方法は、それぞれ、ホモポリマー又はコポリマーを形成するための1つ以上のモノマーの重合であり、各モノマーは、例えば、Cl、Br又はIという2つのハロゲン化物離脱基を有し、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、T.Yamamoto,「Electrically Conducting And Thermally Stable pi-Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Processes」,Progress in Polymer Science 1993,17,1153-1205に開示されるように、本明細書に記載されるような反復単位を形成するための少なくとも1つのモノマーを含む;
別の例示的な方法は、ハロゲン化物又は擬ハロゲン化物(例えば、スルホネート)脱離基と、ボロン酸又はボロン酸エステル脱離基とを有する1つ以上のモノマーの重合である。いくつかの実施形態では、モノマーは、2つのハロゲン化物又は擬ハロゲン化物基で置換された1つ以上のモノマーと、2つのボロン酸又はボロン酸エステル基で置換された1つ以上のモノマーとを含み、モノマーは、本明細書に記載されるように、反復単位を形成するための少なくとも1つのモノマーを含む。いくつかの実施形態では、モノマーは、1つのハロゲン化物又は擬ハロゲン化物化物基と、1つのボロン酸又はボロン酸エステル基で置換されたモノマーとを含むか、又はそれらからなり得る。本方法による重合は、例えば、WO00/53656、WO2003/035796、及びUS5777070に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
別の例示的な方法は、ハロゲン化物又は擬ハロゲン化物(例えば、スルホネート)脱離基と、アミノ(NH又はNH)基とを有する1つ以上のモノマーの重合である。いくつかの実施形態では、モノマーは、2つのハロゲン化物又は擬ハロゲン化物基で置換された1つ以上のモノマーと、2つのアミノ基で置換された1つ以上のモノマーとを含み、モノマーは、本明細書に記載されるように、反復単位を形成するための少なくとも1つのモノマーを含む。いくつかの実施形態では、モノマーは、1つのハロゲン化物又は擬ハロゲン化物化物基と、1つのアミノ基で置換されたモノマーとを含むか、又はそれらからなり得る。本方法による重合は、例えば、US9,598,539に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
ポリマーフィルム
本明細書に記載されるようなキラルらせん状ポリマーを含むか又はそれからなるフィルムは、ポリマーを含む溶液の堆積によって形成され得る。溶液は、ポリマー及び1つ以上の溶媒中に溶解されたフィルムの任意の他の材料を含む。
【0084】
溶液を基材上に堆積させ、続いて溶媒を蒸発させてもよい。溶液は、当業者に既知の任意の方法、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング、又はスリットコーティングによって堆積されてもよい。
【0085】
ポリマー鎖のアライメントは、溶液の堆積中及び/又は堆積後に制御され得る。ポリマー鎖のアライメントを制御する方法は、ドクターブレードコーティングによる堆積のうちの1つ以上、そのガラス遷移温度を上回る温度で堆積したフィルムを摩擦すること、並びに特定の方向へのアライメントを引き起こすために、細孔及び/又はチャネル又は表面パターニングなどの表面特徴を有する表面上のアライメントを含む。
【0086】
好ましくは、ポリマーフィルムのポリマー鎖の大部分、すなわち、ポリマーフィルムのポリマー鎖の>50モル%は、ポリマーフィルムのアライメント軸に対して平行±10°に配置される。
【0087】
ポリマーフィルムのアライメントの程度は、フィルムの二色性比から決定され得る。
【0088】
ポリマーフィルムは、エナンチオマー過剰中のキラルらせん状ポリマーからなり得るか、又は1つ以上の更なる材料、例えば、1つ以上の絶縁ポリマーを含み得る。
【0089】
用途
図3は、本開示のいくつかの実施形態による電気光学変調器(EOM)1を示す。
【0090】
EOM1は、入力3、出力4、入力3と出力4との間に延在する第1の経路5、及び入力3と出力4との間に延在する第2の経路6を有する導波路2を備える。入力3及び出力4は、それぞれ、分岐接合部の形態をとることができるが、第1及び第2の経路5、6の間で入射光7を実質的に均等に分割するために役立つ他の構造が、分岐接合構造の代わりに使用され得る。
【0091】
図4Aも参照すると、入射光7は実質的に非変調であり、狭い帯域幅を有する。典型的には、入射光7は、導波路2に結合された、レーザ光源、例えば、レーザダイオードから供給される。入射光は、ポリマーフィルム8を通る良好な透過及びフィルムの安定性と互換性のある任意の波長であってもよい。典型的な通信波長は、例えば、600nm、850nm、1310nm、1550nmなどを含む波長などを使用してもよい。
【0092】
第1の経路5は、本明細書に記載されるポリマーを使用して形成され、第1の経路5を通過する光が通過する導波路のセクションを提供するポリマーフィルム8を含む。第1及び第2の電極9、10は、ポリマーフィルム8にわたって電界を印加するために、ポリマーフィルム8にわたって互いに対向するように配置される。いくつかの実施形態では、電極9、10は、ポリマーフィルム8に直接印加されてもよい。いくつかの実施形態では、電極9、10の一方又は両方は、絶縁層11によってポリマーフィルム8から分離されてもよい。絶縁層11は、有機又は無機絶縁材料から形成されてもよく、電極9、10間の誘電破壊抵抗を改善するのに役立ち得、及び/又はポリマーフィルム8によって提供される導波管セグメントのためのより従来の光学クラッドとして機能し得る。任意選択的に、フィルムは、100nm~10ミクロンの範囲の厚さを有する。図3には、入力3と出力4との間に中間的に延在するものとして示されているが、いくつかの例では、ポリマーフィルム8は、入力3と出力4との間に延在してもよい。電極9、10は、ポリマーフィルム8と共拡張である必要はない。
【0093】
好ましくは、ポリマーフィルム8のポリマー鎖は、波導伝播軸に対して45°±10°の角度で整列される。
【0094】
図4Bも参照すると、時間変化する電圧信号Vsig(t)が電極9、10にわたって印加され、ポリマーフィルム8にわたって時間変化する電界Esig(t)を生成する。典型的には、時間変化する電圧信号Vsig(t)は、オン状態12とオフ状態13との間で切り替わるバイナリ信号である。ポリマーフィルム8の電気光学係数r33の結果として、ポリマーフィルム8の屈折率nはまた、信号Vsig(t)のオン状態12に対応する第1の値nと、信号Vsig(t)のオフ状態13に対応する第2の値nとの間で切り替わる。
【0095】
また、図4Cを参照すると、第1及び第2の経路5、6の長さは、ポリマーフィルム8が第2の値nを有するとき、第1及び第2の経路5、6に沿って通過する光がn×λの光路差を有し、nは整数n≧0であるように配置される。光は建設的に干渉し、出力光14は、比較的高い輝度状態15を有する。対照的に、ポリマーフィルム8が第1の値nを有する場合、第1及び第2の経路5、6に沿って通過する光は、(n±)×λの光路差を有する。光は破壊的に干渉し、出力光14は、比較的低輝度状態16を有する。
【0096】
出力光14信号が時間変化電圧信号Vsig(t)の逆である二値信号であるように、低輝度状態16に対応する第1の値n及び高輝度状態15に対応する第2の値nを伴う図4Cに示されるが、他の例では、第1の値n1は、代わりに、高輝度状態15に対応し得、一方、第2の値nは、低輝度状態16に対応し得る。
【0097】
他の例では、第2の経路6はまた、ポリマーフィルム8及び対応する電極9、10を含み得る。第1及び第2の経路5、6は、第1の経路5がオン状態12の間に(n+)×λの光学経路差を提供し、第2の経路が、半波長λを含む全光学経路差について(m-)×λ(mの整数m≧0を有する)の光学経路差を提供するように配置され得る。
【0098】
いくつかの例では、入力3、出力4、及び両方の経路5、6は、入射光7及び/又は出力光14を提供する波導とのインデックスマッチングを支援するために、全てポリマーフィルム8から形成され得る。
【0099】
データを送信するための光相互接続(図示せず)は、EOM1を含み得る。光源(図示せず)は、入射光7を提供するためにEOMの入力3に結合することができる。光源(図示せず)は、例えば、発光ダイオード(LED)、及び有機発光ダイオード(OLED)、レーザダイオード、有機レーザダイオードなどの任意の適切な光源であり得る。光源(図示せず)は、EOM1の入力3に直接結合されてもよく、又はより多くの光ファイバー(図示せず)又は他の波導のうちの1つを介してEOM1に結合されてもよい。EOM1は、本明細書で前述されるように、光源によって放出された光7を変調するために使用され得る。光相互接続(図示せず)はまた、変調された出力光14を受信するために出力4に結合された光ファイバー(図示せず)、又は任意の他の適切な導波路構造を含み得る。光相互接続(図示せず)はまた、変調された出力光14を受信するために光ファイバー(又は他の導波路構造)の反対側の端部に結合された光検出器(図示せず)を含み得る。光検出器(図示せず)は、任意の適切なタイプ、例えば、フォトダイオードであってもよいが、少なくともEOM1の意図された変調速度と同じ速さの帯域幅(応答時間)を有するべきである。
【0100】
光相互接続(図示せず)のいくつかの例では、入力3につながる導波路2の第2の導波路は、中間の光ファイバー(図示せず)なしで光源(図示せず)に結合され得る。追加的又は代替的に、出力4から離れる導波路2のセクションは、介在する光ファイバー(図示せず)又は別個の導波路構造への移行なしに、光検出器(図示せず)まで延在してもよい。導波路2のセクションの延長は、短距離相互接続のために好ましくてもよく、長い相互接続は、光ファイバー(図示せず)を使用してより容易に提供されてもよい。
【0101】
EOM1を含む光相互接続(図示せず)は、第1のデバイスから第2のデバイスに、又はその逆にデータを伝送するために、第1のデバイス(図示せず)と第2のデバイス(図示せず)との間で接続するように構成されてもよい。第2の光相互接続は、任意選択的に、逆方向にデータを送信し得る。
【0102】
第1及び第2のデバイス(図示せず)は、任意のタイプのデータ処理デバイスであり得、同じタイプである必要はない。EOM1を含む光相互接続(図示せず)は、第1のデバイス(図示せず)と第2のデバイス(図示せず)との間で、例えば、2つの完全に別々のコンピュータとの間、単一のコンピュータの内部コンポーネントとの間(例えば、デジタル電子プロセッサをメモリ、ハードディスクなどに接続する)、同じ回路基板に取り付けられたコンポーネントとの間、又は単一の半導体ウェハから形成されたコンポーネントとの間でさえ、ある範囲で接続するように構成されてもよい。例えば、光相互接続(図示せず)は、一対のサーバ、サーバ内の一対のラック、デジタル電子プロセッサをメモリ又は他のコンピュータコンポーネントに、マルチコアデジタル電子プロセッサの一対のコア間などに接続し得る。
【実施例
【0103】
キラル中間体形成
P及びMのラセミ混合物を、内容が参照により本明細書に組み込まれるJ.Org.Chem.2002,67,3479-3486に記載されるように、キニンなどのキラル補助剤で結晶化させて、ジアステロマー塩を形成してもよく、これを分離して、純粋なエナンチオマーを得てもよい。
【化10】
【0104】
ビナフチル基を含有する本明細書に記載のキラルモノマーは、一般スキーム1に例示されるように、ビノールから形成されてもよく、Bは、ビノール出発物質のヒドロキシル基とともに、結合基を形成する:
【化11】
一般的スキーム1
【0105】
一般的スキーム1の具体例をスキーム1A及びスキーム1Bに示す。
【化12】
【化13】
【0106】
キラルビフェニル基を含有するモノマー及びポリマーの例示的な合成をスキーム2A~2Cに示す。
【化14】
【化15】
【化16】
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
【国際調査報告】