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特表2023-547370多層PECVD TEOS酸化物膜における欠陥の低減方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】多層PECVD TEOS酸化物膜における欠陥の低減方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20231102BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20231102BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20231102BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/316 X
C23C16/44 B
C23C16/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524298
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021055131
(87)【国際公開番号】W WO2022086803
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】17/074,961
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハウラダル, ラナ
(72)【発明者】
【氏名】ユ, ハン
(72)【発明者】
【氏名】ムチャラ, マドゥー サントシュ クマール
(72)【発明者】
【氏名】イェー, チョン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケシュリ, アビギャン
(72)【発明者】
【氏名】カマス, サンジャイ
(72)【発明者】
【氏名】ラジ, デミアン ラジ ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】パディ, ディーネッシュ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030BA29
4K030BA42
4K030BA44
4K030CA04
4K030CA12
4K030FA04
4K030GA02
4K030JA10
4K030JA11
4K030JA17
4K030KA05
4K030KA23
5F045AA08
5F045AB32
5F045AC07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AE01
5F045BB15
5F045DP03
5F045DQ10
5F045EB06
5F045EF05
5F045EH13
5F045EJ04
5F045EK07
5F045EM05
5F045EN04
5F058BA05
5F058BC02
5F058BF07
5F058BF25
5F058BG04
(57)【要約】
例示的な堆積方法は、半導体処理チャンバの処理領域内で、半導体基板を第1の電圧で静電チャックすることを含みうる。方法は、堆積処理の実行を含みうる。堆積処理は、半導体処理チャンバの処理領域内にプラズマを形成することを含みうる。方法は、半導体処理チャンバ内のプラズマの形成を停止させることを含みうる。方法は、停止と同時に、静電チャッキングの第1の電圧を第2の電圧に上昇させることを含みうる。方法は、半導体処理チャンバの処理領域をパージすることを含みる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理チャンバの処理領域内で、半導体基板を第1の電圧で静電チャックすることと、
堆積処理を実行することであって、前記半導体処理チャンバの前記処理領域内にプラズマを形成することを含む、堆積処理を実行することと、
前記半導体処理チャンバ内の前記プラズマの形成を停止することと、
前記停止することと同時に、静電チャックの前記第1の電圧を第2の電圧に上昇させることと、
前記半導体処理チャンバの前記処理領域をパージすることと、
を含む堆積方法。
【請求項2】
前記第1の電圧は+200V以下である、請求項1に記載の堆積方法。
【請求項3】
前記第2の電圧は+500V以上である、請求項1に記載の堆積方法。
【請求項4】
前記半導体基板が基板支持体に静電チャックされ、前記半導体処理チャンバがシャワーヘッドを備え、前記半導体基板が前記シャワーヘッドから第1の距離に配置された状態で前記堆積処理が行われる、請求項1に記載の堆積方法。
【請求項5】
前記シャワーヘッドは、前記堆積処理の間、第1の温度に維持される、請求項4に記載の堆積方法。
【請求項6】
前記第1の電圧が前記第2の電圧まで上昇したときに、前記シャワーヘッドから第2の距離に前記半導体基板を再配置することであって、前記第2の距離は前記第1の距離より大きい、再配置することをさらに含む、請求項4に記載の堆積方法。
【請求項7】
前記第2の距離は、前記第1の距離より25%以上大きい、請求項6に記載の堆積方法。
【請求項8】
前記堆積処理が、テトラエチルオルトシリケートを用いて酸化ケイ素を堆積することを含む、請求項1に記載の堆積方法。
【請求項9】
半導体処理チャンバの処理領域内で酸素含有前駆体のプラズマを形成することであって、前記処理領域が基板支持体上の半導体基板を収容し、前記半導体処理チャンバ内でプラズマ生成電極として動作するシャワーヘッドを備える、プラズマを形成することと、
前記酸素含有前駆体の前記プラズマを維持したまま、前記半導体処理チャンバの前記処理領域にシリコン含有前駆体を第1の流量で流し込むことと、
前記シリコン含有前駆体の前記第1の流量を、前記第1の流量よりも大きい第2の流量まで、ある期間にわたってランプ変化させることと、
前記シリコン含有前駆体の前記第2の流量で堆積を行うこと、
を含む堆積方法。
【請求項10】
前記シリコン含有前駆体は、テトラエチルオルトシリケートを含む、請求項9に記載の堆積方法。
【請求項11】
前記期間が約10秒以下である、請求項9に記載の堆積方法。
【請求項12】
前記第1の流量をランプ変化することは、毎秒約2グラムの前記シリコン含有前駆体から毎秒約5グラムの前記シリコン含有前駆体まで一定の増加で起こる、請求項9に記載の堆積方法。
【請求項13】
前記堆積は、前記半導体基板が約500℃以下の温度のときに実行され、前記堆積の間、前記シャワーヘッドは約250℃以下の温度に維持される、請求項9に記載の堆積方法。
【請求項14】
前記酸素含有前駆体の前記プラズマを形成している間、前記半導体処理チャンバの前記処理領域は、前記シリコン含有前駆体が存在しない状態に維持される、請求項9に記載の堆積方法。
【請求項15】
前記半導体基板がシリコンを含み、前記酸素含有前駆体の前記プラズマを形成することにより、前記半導体基板の前記シリコンの酸素ラジカルによる表面終端を生成する、請求項9に記載の堆積方法。
【請求項16】
半導体処理チャンバの処理領域内で、半導体基板を第1の正電圧で静電チャックすることと、
酸素含有前駆体のプラズマの形成を含む前処理作業を実行することと、
前記半導体処理チャンバの前記処理領域内にプラズマを形成することを含む堆積処理を実行することと、
前記半導体処理チャンバ内の前記プラズマの形成を停止することと、
前記停止することと同時に、静電チャックの前記第1の正電圧を第2の正電圧に上昇させることと、
前記半導体処理チャンバの前記処理領域をパージすることと、
を含む堆積方法。
【請求項17】
前記第1の正電圧は+900V以下である、請求項16に記載の堆積方法。
【請求項18】
前記第2の正電圧は+500V以下である、請求項16に記載の堆積方法。
【請求項19】
前記半導体基板がシリコンを含み、前処理作業により、前記半導体基板の前記シリコンの酸素ラジカルによる表面終端を生成する、請求項16に記載の堆積方法。
【請求項20】
前記堆積処理は、前記半導体基板を覆う酸化ケイ素膜を生成し、前記酸化ケイ素膜は、約2.5μm程度の厚さを有する、請求項19に記載の堆積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2020年10月20日に出願された、「METHOD OF REDUCING DEFECTS IN A MULTI-LAYER PECVD TEOS OXIDE FILM」と題された米国特許出願第17/074,961号の利益及び優先権を主張し、その全体は参照によりここに組み込まれるものとする。
【0002】
技術分野
[0002] 本技術は,半導体処理及びチャンバ部品に関する。より具体的には、本技術は、改善された構成要素及び堆積方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 集積回路は、基板表面上に複雑にパターニングされた材料層を形成する処理によって可能になる。基板上にパターニングされた材料を作るには、露出した材料の形成及び除去を行う制御された方法が必要である。デバイスの小型化が進むにつれ、粒子の汚染はますます大きな問題となりうる。堆積時にチャンバ部品に材料が付着し、堆積後に基板に落下することがあり、デバイスの品質に影響を及ぼす可能性がある。
[0004] したがって、高品質デバイス及び構造体の製造に使用することができる、改善されたシステム及び方法が必要とされている。本技術は、これらの必要性及びその他の必要性に対処する。
【発明の概要】
【0004】
[0005] 例示的な堆積方法は、半導体処理チャンバの処理領域内で、半導体基板を第1の電圧で静電チャックすることを含みうる。方法は、堆積処理を行うことを含みうる。堆積処理は、半導体処理チャンバの処理領域内にプラズマを形成することを含みうる。方法は、半導体処理チャンバ内のプラズマの形成を停止させることを含みうる。方法は、停止と同時に、静電チャックの第1の電圧を第2の電圧に上昇させることを含みうる。方法は、半導体処理チャンバの処理領域をパージすることを含みうる。
【0005】
[0006] いくつかの実施形態では、第1の電圧は、+200V以下であってもよい。第2の電圧は、+500V以上であってもよい。半導体基板は、基板支持体に静電チャックされていてもよい。半導体処理チャンバは、シャワーヘッドを含んでもよく、堆積処理は、半導体基板がシャワーヘッドから第1の距離に配置された状態で行われてもよい。シャワーヘッドは、堆積処理の間、第1の温度に維持されうる。方法は、第1の電圧が第2の電圧まで上昇したときに、半導体基板をシャワーヘッドから第2の距離に再位置決めすることをさらに含みうる。第2の距離は、第1の距離よりも大きくてもよい。第2の距離は、第1の距離よりも25%以上大きくてもよい。堆積処理は、テトラエチルオルトシリケートを用いて酸化ケイ素を堆積することを含みうる。
【0006】
[0007] 本技術のいくつかの実施形態は、堆積法を包含しうる。方法は、半導体処理チャンバの処理領域内に酸素含有前駆体のプラズマを形成することを含みうる。処理領域は、基板支持体上の半導体基板を収納してもよい。処理領域は、半導体処理チャンバ内でプラズマ発生電極として動作するシャワーヘッドを含むことができる。方法は、酸素含有前駆体のプラズマを維持しながら、シリコン含有前駆体を第1の流量で半導体処理チャンバの処理領域に流すことを含みうる。方法は、シリコン含有前駆体の第1の流量を、第1の流量よりも大きい第2の流量まで、ある期間にわたってランプ変化(ramping)させることを含みうる。方法は、シリコン含有前駆体の第2の流量で堆積を行うことを含みうる。
【0007】
[0008] いくつかの実施形態では、シリコン含有前駆体は、テトラエチルオルトシリケートを含みうる。その期間は、約10秒以下となりうる。第1の流量のランプ変化は、シリコン含有前駆体の流量が毎秒約2グラムから毎秒約5グラムまで、一定の増加で起こりうる。堆積は、約500℃以下の温度で行われうる。シャワーヘッドは、堆積の間、約250℃以下の温度に維持されてもよい。酸素含有前駆体のプラズマを形成している間、半導体処理チャンバの処理領域は、シリコン含有前駆体が存在しない状態に維持されうる。半導体基板はシリコンを含んでもよく、酸素含有前駆体のプラズマを形成することで、半導体基板のシリコンの酸素ラジカル化した表面終端を生成することができる。
【0008】
[0009] 本技術のいくつかの実施形態は、堆積方法を包含しうる。方法は、半導体処理チャンバの処理領域内で、半導体基板を第1の正電圧で静電チャックすることを含みうる。方法は、前処理工程の実施を含みうる。前処理工程は、酸素を含む前駆体のプラズマを形成することを含みうる。方法は、堆積処理の実施を含みうる。堆積処理は、半導体処理チャンバの処理領域内にプラズマを形成することを含みうる。方法は、半導体処理チャンバ内のプラズマの形成を停止させることを含みうる。方法は、停止と同時に、静電チャックの第1の正電圧を第2の正電圧に上昇させることを含みうる。方法は、半導体処理チャンバの処理領域をパージすることも含みうる。
【0009】
[0010] いくつかの実施形態では、第1の正電圧は、+900V以下であってもよい。第2の正電圧は、+500V以下であってもよい。半導体基板は、シリコンであってもよく、シリコンを含んでいてもよい。前処理工程により、半導体基板のシリコンの酸素ラジカルによる表面終端が生成されてもよい。堆積処理は、半導体基板を覆う酸化ケイ素膜を生成することができる。酸化ケイ素膜は、2.5μm程度の厚さを有していてもよい。
【0010】
[0011] このような技術は、従来のシステム及び技法よりも多数の利点をもたらしうる。例えば、システムは、パージ中に粒子をはじくことによって、堆積処理に続く落下粒子の堆積を制限又は最小化することができる。さらに、本技術の実施形態の工程は、基板上の材料の改善された界面密度を生じさせ、その後のエッチング中の埋め込み欠陥(embedded defects)及びアンダーカット(undercut)の形成を低減することができる。これらの実施形態及びその他の実施形態は、その多くの利点及び特徴と共に、以下の記述及び添付の図面と共に詳細に説明される。
【0011】
[0012] 開示された技術の性質及び利点は、本明細書の残りの部分と図面を参照することによってさらに理解を深めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本技術のいくつかの実施形態による、例示的な処理チャンバの概略断面図を示す。
図2】本技術のいくつかの実施形態による、堆積方法における例示的な工程を示す。
図3A】本技術のいくつかの実施形態による、堆積方法における工程中の例示的な処理チャンバの概略図を示す。
図3B】本技術のいくつかの実施形態による、堆積方法における工程中の例示的な処理チャンバの概略図を示す。
図3C】本技術のいくつかの実施形態による、堆積方法における工程中の例示的な処理チャンバの概略図を示す。
図4】本技術のいくつかの実施形態による、堆積方法における例示的な工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0017] いくつかの図面は、概略図として含まれている。図面は例示を目的としており、縮尺どおりであると明記されていない限り、縮尺どおりであるとみなしてはならないことを理解されたい。加えて、概略図として、図面は、理解を助けるために提供されており、現実的な描写に比べてすべての態様又は情報を含まない場合があり、例示を目的として誇張された素材を含むことがある。
【0014】
[0018] 添付の図面では、類似の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照符号を有しうる。さらに、同じ種類の様々な構成要素は、類似の構成要素間を区別する文字により、参照符号に従って区別することができる。本明細書において第1の参照符号のみが使用される場合、その記載は、文字に関わりなく、同じ第1の参照符号を有する類似の構成要素のうちのいずれにも適用可能である。
【0015】
[0019] 酸化ケイ素又は他のケイ素含有材料などの材料の堆積の間、プラズマ強化堆積は、シャワーヘッド又はガス分配器、及び基板支持体の間に局所プラズマを生成することができる。プラズマ中で前駆体が活性化されると、堆積材料が形成され、基板上に堆積することがある。この堆積が行われている間、流体の流れが理想的でないチャンバ内のデッドゾーンなど、処理チャンバ内で追加の堆積が行われることもある。加えて、プラズマ生成の処理により、基板上にシース層が生成され、特定の粒子が循環してトラップされる可能性がある。プラズマをオフにすると、チャンバ部品に付着していた材料が剥離して基板に落下すること、また、それまでプラズマに閉じ込められていた粒子も基板に落下することがある。これらの付加的な微粒子は、堆積膜に欠陥を生じさせ、デバイスの品質を低下させるなどの影響を及ぼす可能性がある。
【0016】
[0020] 従来の技術では、このような残留粒子効果を一定量受け入れることが多かった。しかしながら、本技術では、処理順序を調整し、改良型チャンバ部品を利用することで、これらの不具合をある程度防ぐことができる。例えば、本技術では、正の静電界に通電して、正味の正電荷を帯びた欠陥粒子を基板から反発させ、チャンバから引き抜くことを可能にする。
【0017】
[0021] 加えて、テトラエチルオルソシリケートなどの特定のシリコン前駆体を用いて処理すると、酸化ケイ素膜などの低密度膜が生成される場合がある。間隙充填や低品質形成など一部の処理は改善されうるが、膜と下地基板の界面領域は多孔質で膜被覆が弱いという特徴がありうる。乾式エッチングや湿式エッチングなどの後続のエッチング処理では、下地基板に到達した時点で、エッチャントは堆積された膜と基板との界面領域に沿って、堆積された膜をアンダーカットし、後続の研磨又は処理の工程中に、さらに剥離や膜劣化を引き起こす可能性がある。
【0018】
[0022] 従来の技法は、しばしば堆積の代替前駆体を利用したり、より高温の堆積を行うことでこの問題に対処してきたが、これは膜密度を高めることがある。本技術は、基板表面を下地処理し、より高品質な界面を形成することで、これらの制約を克服することができる。これにより、後続のエッチング時のアンダーカットを抑制又は防止しつつ、中間処理工程中に有用な低密度の膜を形成することが可能になりうる。加えて、界面膜の品質を向上させることにより、堆積をより低温で行うことができ、従来の処理よりも堆積速度を向上させることができる。プラズマ処理が実行されうる本技術の実施形態によるチャンバの一般的な態様を説明した後、具体的な方法及び構成要素の設定について説明されうる。説明した技法は、いくつかの膜形成処理を改善するために使用することができ、様々な処理チャンバ及び工程に適用することができるため、本技術は説明した特定の膜及び処理に限定することを意図していないことを理解されたい。
【0019】
[0023] 図1は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理チャンバ100の断面図である。本図は、本技術の1つ又は複数の態様を組み込んだシステム、及び/又は本技術の実施形態による1つ又は複数の工程を実行しうるシステムの概要を示しうる。チャンバ100又は実行される方法の追加の詳細については、以下でさらに説明される。チャンバ100は、本技術のいくつかの実施形態に従って膜層を形成するために利用されうるが、方法は、膜形成が起こりうる任意のチャンバにおいて同様に実行されうることを理解されたい。処理チャンバ100は、チャンバ本体102と、チャンバ本体102の内部に配置された基板支持体104と、チャンバ本体102に連結され、処理空間120内の基板支持体104を囲むリッドアセンブリ106とを含みうる。基板103は、スリットバルブ又はドアを用いて、従来は処理のために封止されうる開口部126を介して処理空間120に提供されてもよい。基板103は、処理中に基板支持体の表面105に静置されうる。基板支持体104は、矢印145で示すように、基板支持体104のシャフト144が位置する軸147に沿って、回転可能であってもよい。代替的に、基板支持体104は、堆積処理中に必要に応じて回転するように持ち上げられてもよい。
【0020】
[0024] プラズマプロファイル調整器(plasma profile modulator)111は、基板支持体104上に配置された基板103にわたるプラズマ分布を制御するため、処理チャンバ100に配置されてもよい。プラズマプロファイル調整器111は、チャンバ本体102に隣接して配置され、チャンバ本体102をリッドアセンブリ106の他の構成要素から分離することができる第1の電極108を含みうる。第1の電極108は、リッドアセンブリ106の一部であってよく、別個の側壁電極であってもよい。第1の電極108は、環状又はリング状の部材であってよく、リング電極とすることができる。第1の電極108は、処理空間120を取り囲んでいる処理チャンバ100の周縁に沿った連続ループであってよく、又は、所望に応じて選択された場所において不連続であってもよい。また、第1の電極108は、例えば、穿孔リング又はメッシュ電極などの有孔電極であってよく、例えば、2次ガス分配器などのプレート電極であってもよい。
【0021】
[0025] セラミック又は金属酸化物などの誘電体材料、例えば酸化アルミニウム及び/又は窒化アルミニウムでありうる1つ又は複数のアイソレータ110a、110bは、ガス分配器112及びチャンバ本体102に対して、第1の電極108を電気的及び熱的に、接触及び分離させうる。ガス分配器112は、処理前駆体を処理空間120へ分配するための開孔118を画定しうる。ガス分配器112は、RF発生器、RF電源、DC電源、パルスDC電源、パルスRF電源、又は処理チャンバと連結されうる任意の他の電源など、第1の電力源142と連結されうる。いくつかの実施形態では、第1の電力源142は、RF電源であってよい。
【0022】
[0026] ガス分配器112は、導電性ガス分配器又は非導電性ガス分配器であってよい。また、ガス分配器112は、導電性及び非導電性の構成要素で形成されてもよい。例えば、ガス分配器112の本体は導電性であるが、一方、ガス分配器112のフェイスプレートは非導電性であってもよい。ガス分配器112は、図1に示されるような第1の電力源142などによって電力供給されてもよく、又はガス分配器112は、いくつかの実施形態では、接地されてもよい。
【0023】
[0027] 第1の電極108は、処理チャンバ100の接地経路を制御しうる第1の同調回路128と連結されうる。第1の同調回路128は、第1の電子センサ130と、第1の電子コントローラ134とを含みうる。第1の電子コントローラ134は、可変キャパシタ又は他の回路素子であってよく、又はそれらを含んでもよい。第1の同調回路128は、1つ又は複数のインダクタ132であってよく、又はそれらを含んでもよい。第1の同調回路128は、処理中に処理空間120内に存在するプラズマ条件下で可変又は制御可能なインピーダンスを可能にする任意の回路であってもよい。図示されるようないくつかの実施形態では、第1の同調回路128は、接地と第1の電子センサ130との間に並列に連結される第1の回路脚部(circuit leg)及び第2の回路脚部を含みうる。第1の回路脚部は、第1のインダクタ132Aを含みうる。第2の回路脚部は、第1の電子制御装置134と直列に連結された第2のインダクタ132Bを含みうる。第2のインダクタ132Bは、第1の電子コントローラ134と、第1及び第2の回路脚部の両方を第1の電子センサ130に接続するノードとの間に配置されうる。第1の電子センサ130は、電圧又は電流センサであってもよく、第1の電子コントローラ134と連結されてもよく、処理空間120内のプラズマ状態の閉ループをある程度制御することができる。
【0024】
[0028] 第2の電極122は、基板支持体104と連結されることがある。第2の電極122は、基板支持体104内に埋め込まれてよく、基板支持体104の表面と連結されてもよい。第2の電極122は、プレート、穿孔プレート、メッシュ、ワイヤスクリーン、又は導電性素子の任意の他の分散配置であってもよい。第2の電極122は、同調電極であってよく、基板支持体104のシャフト144内に配置される、例えば50オームの選択された抵抗を有するケーブルなどの導管146によって、第2の同調回路136と連結されることがある。第2の同調回路136は、第2の電子センサ138、第2の可変キャパシタでありうる第2の電子コントローラ140を有してもよい。第2の電子センサ138は、電圧センサ又は電流センサであってよく、かつ、処理空間120内のプラズマ条件に対してさらなる制御を行うために、第2の電子コントローラ140に連結されることがある。
【0025】
[0029] バイアス電極及び/又は静電チャック電極であってもよい第3の電極124は、基板支持体104に連結されることがある。第3の電極は、インピーダンス整合回路であってもよいフィルタ148を介して、第2の電力源150と連結されることがある。第2の電力源150は、DC電力、パルスDC電力、RFバイアス電力、パルスRF源又はバイアス電力、或いは、これら又は他の電源の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の電力源150は、RFバイアス電力であってもよい。
【0026】
[0030] 図1のリッドアセンブリ106及び基板支持体104は、プラズマ処理又は熱処理向けの任意の処理チャンバと共に使用されうる。動作中、処理チャンバ100は、処理空間120内のプラズマ状態をリアルタイムで制御することができる。基板103は、基板支持体104上に配置されてもよく、処理ガスは、任意の所望のフロー計画に従って、注入口114を使用してリッドアセンブリ106を介して流されてもよい。ガスは、排出口152を介して処理チャンバ100を出ることができる。電力は、処理空間120内にプラズマを確立するために、ガス分配器112と連結されることがある。基板は、いくつかの実施形態では、第3の電極124を使用して電気バイアスに曝されうる。
【0027】
[0031] 処理空間120内のプラズマに通電すると、プラズマと第1の電極108との間に電位差が確立されうる。プラズマと第2の電極122との間に電位差が確立されることもある。次に、電子コントローラ134、140を使用して、2つの同調回路128及び136によって表される接地経路のフロー特性を調整することができる。第1の同調回路128と第2の同調回路136に設定点が与えられ、堆積速度と、中心から端部までのプラズマ密度の均一性との独立制御がもたらされる。電子コントローラが両方とも可変キャパシタである実施形態では、電子センサは、堆積速度を最大化し、厚さ不均一性を最小化するように、可変キャパシタを独立して調整することができる。
【0028】
[0032] 同調回路128、136の各々は、それぞれの電子コントローラ134、140を使用して調整されうる可変インピーダンスを有することができる。電子コントローラ134、140が可変キャパシタである場合、可変キャパシタのそれぞれの容量範囲、及び第1のインダクタ132A及び第2のインダクタ132Bのインダクタンスは、インピーダンス範囲を提供するように選択されうる。この範囲は、プラズマの周波数特性及び電圧特性に依存する場合があり、各可変キャパシタの容量範囲に最小値を有する場合がある。したがって、第1の電子コントローラ134の静電容量が最小又は最大であるとき、第1の同調回路128のインピーダンスは高くなり、基板支持体上の空中カバレッジ又は横方向カバレッジが最小であるプラズマ形状をもたらすことがある。第1の電子コントローラ134の静電容量が第1の同調回路128のインピーダンスを最小化する値に近づくと、プラズマの空中カバレッジは最大に達し、基板支持体104の全作業領域を効果的に覆うことができる。第1の電子制御装置134の静電容量が最小インピーダンス設定から外れると、プラズマ形状がチャンバ壁から収縮し、基板支持体の空中カバレッジが低下することがある。第2の電子制御装置140は、第2の電子制御装置140の静電容量が変更されうるので、基板支持体上のプラズマの空中カバレッジを増加及び減少させる、同様の効果を有することができる。
【0029】
[0033] 電子センサ130、138は、閉ループでそれぞれの回路128、136を調整するために使用されうる。使用されるセンサの種類に応じて、電流又は電圧のための設定点は各センサに取り付けられており、センサには、各々対応する電子コントローラ134、140に対する調整を判断して設定点からの逸脱を最小限にする制御ソフトウェアが設けられる。その結果、処理時にプラズマの形状を選択し、動的に制御することができる。前述の記載は、可変キャパシタであってもよい電子コントローラ134、140に基づいているが、調整可能な特性を有する任意の電子構成要素を使用して、調整可能なインピーダンスを有する同調回路128、136が提供されうることを理解されたい。
【0030】
[0034] 図2は、本技術のいくつかの実施形態による処理方法200の例示的な工程を示す。本方法は、上述した処理チャンバ100を含む様々な処理チャンバで実施することができる。処理チャンバ100の追加の態様については、以下でさらに説明される。方法200は、本技術による方法のいくつかの実施形態に具体的に関連付けられる場合も関連付けられない場合もある、いくつかのオプションの工程を含みうる。例えば、工程の多くは、構造形成のより広い範囲を提供するために説明されているが、技術にとって重要ではなく、或いは容易に理解されうるように代替的な方法によって実行されてもよい。
【0031】
[0035] 方法200は、列挙された操作の開始前に追加の工程を含んでもよい。例えば、追加の処理工程には、材料の形成と除去の両方を含む、半導体基板上に構造を形成することが含まれる場合がある。方法200が実行されるチャンバ内で事前の処理工程が実行されてもよいし、方法200が実行される半導体処理チャンバに基板を搬送する前に、1つ又は複数の他の処理チャンバで処理が実行されてもよい。それにもかかわらず、方法200は、オプションで、上述の処理チャンバ100などの半導体処理チャンバ、又は上述の構成要素を含みうる他のチャンバの処理領域に半導体基板を搬送することを含みうる。基板は、基板支持体104などのペデスタルであってよく、上述の処理空間120などのチャンバの処理領域に存在しうる、基板支持体上に堆積されうる。工程205では、基板は、半導体処理チャンバの処理領域内で第1の電圧で静電チャックされうる。ペデスタルは、例えば、図1の第3の電極124のように、基板支持体内に配置された電極を含んでもよい。基板支持体内の電極に電圧を印加することにより、電界を基板に印加して基板を基板支持体に固定し、基板に対する張力効果を補償し制限することができる。第1の電圧は、基板支持体が静電場を発し、基板の表面から正の荷電粒子を反発させるような、正の電圧であってよい。プラズマ中では、イオンに対する電子の移動度が比較的高いため、プラズマ中に浮遊する粒子に正味の負の表面電荷が付与されることがある。そのため、第1の電圧は、基板の表面付近に発生しうるプラズマシースを通して、基板の表面にも粒子を凝結させずに基板を固定するのに十分な強さの第1の正電圧として印加することができる。
【0032】
[0036] 任意選択で、工程210で基板の表面を活性化するために前処理作業を実行することができる。例示的な実施形態では、方法200の工程は、酸化ケイ素膜などの膜を基板上に堆積させるアプローチとして、1つ又は複数のサイクルで実行され、全厚さが少なくとも2.0μm以上、少なくとも3.0μm以上、少なくとも4.0μm以上、少なくとも5.0μm以上、少なくとも6.0μm以上、少なくとも7.0μm以上、少なくとも8.0μm以上、少なくとも9.0μm以上、少なくとも10.0μm以上、少なくとも11.0μm以上、或いはこれを上回りうる。膜の全厚さは、対応する数の処理サイクルで堆積された複数の被覆層で構成されてもよい。場合によっては、方法200の第1のサイクルによって形成される第1の層は、基板の表面上に堆積する粒子への堆積膜材料の凝集によって影響を受ける可能性がある。例えば、処理サイクル中の1つ又は複数の時点で粒子が膜上に落下又は堆積する場合、基板表面に堆積した分解生成物は表面上で移動可能であり、粒子と凝集体を形成することがある。基板上に追加の被覆層を形成するための後続の堆積サイクルは、被覆層の均一な膜を形成するのではなく、凝集体を装飾して欠陥のある膜を形成してしまうことがある。凝集現象が膜の均一性に影響を与えることを抑制し、さらに化学吸着又は物理吸着した核種が基板表面の上を移動するのを防止するために、前処理作業は基板表面を活性化するように構成されてもよい。
【0033】
[0037] 基板の表面の活性化には、酸素ラジカルによる官能基化が含まれうる。例えば、シリコン基板の場合、前処理により、半導体基板のシリコンの酸素ラジカル化した表面終端を生成することができる。酸素ラジカルは、酸素を含むガス状前駆体から半導体処理チャンバ内で発生するプラズマによって生成することができる。ガス状前駆体は、後述するように、酸素を含むが、プラズマ中で分解され、基板を損傷しうる反応性核種を形成しないガスであれば、どのようなものでもよく、それを含んでもよい。基板表面を高エネルギープラズマ核種に曝露することによる基板の前処理は、フリーラジカルの表面密度を高める役割を果たしうる。フリーラジカルは、次に、基板表面におけるプラズマ核種の表面結合エネルギーを増大させる役割を果たしうる。表面結合エネルギーの増大は、プラズマ核種の表面移動度を低下させ、凝集効果の程度をさらに低下させうる。例示的な実施例として、ケイ素と酸素を含むプラズマ核種は、酸化ケイ素膜の形成に使用されうるため、自然なシリコン表面よりもラジカルに対して強い結合エネルギーを示すことがある。このように、基板の酸素ラジカル化した表面終端を生成することで、酸化シリコン核種をより強くシリコン基板に結合させることができる。このように、前処理は、高温で行われる処理工程において、プラズマ核種の表面上での移動度を制限し、それ以外の移動度は熱力学的に有利にしうる。
【0034】
[0038] その後の前処理として、工程215において、基板上に材料を堆積させる堆積処理が実行されうる。例示的な実施形態では、例えば、非プラズマ堆積処理も実行されうるが、堆積処理は、様々な材料のいずれかのプラズマ強化堆積処理を実行するため、半導体処理チャンバの処理領域内にプラズマを形成することを含みうる。例示的な処理は、酸化ケイ素を堆積することを含み、前駆体としてテトラエチルオルソシリケートを利用することを含みうる。実行されうる例示的な堆積処理は、図4に関して以下に説明されるが、この処理は、本技術によって包含される様々な堆積処理、或いは存在する粒子の排斥及びパージ工程が実行されうる処理に限定されることを意図していない。堆積後、処理は終了してよく、停止してもよい。これは、工程220で半導体処理チャンバ内のプラズマの形成を停止させ、チャンバをパージすることを含みうる。
【0035】
[0039] 従来の処理では、プラズマパージ時に基板がチャック解除されることがある。例えば、プラズマをオフにして、副生成物又は残留する前駆体材料を除去するためにポンプや排気システムを作動させると、多くの従来のシステムでは、静電チャックのための電圧もオフされうる。プラズマが停止されると、プラズマシース内に浮遊していた粒子がウエハに落下し、表面を汚染する可能性がある。加えて、パージ工程が開始されると、シャワーヘッド又はチャンバ表面に付着していた粒子や堆積物が剥離することがある。この物質の一部はチャンバから適切にパージされるが、これらの粒子の一部は表面から引き離されて基板表面に落下し、さらなる汚染を引き起こす可能性がある。前述のように、多くの従来技術では、この程度の汚染であれば許容し、例えば追加の研磨又は後処理で問題の是正を試みる場合がある。
【0036】
[0040] 本技術は、パージ処理、又は処理とパージとの間の移行を、従来技術に対して調整することができる。例えば、従来の工程では多くの場合、静電チャックをオフにするが、本技術ではチャックのために印加される電圧を維持することができる。上述のように、先に説明した第3の電極124のような埋め込み電極は、ウエハを静置し、撓みを制限する静電気力又はクランプ力を生み出すことができる。別の言い方をするならば、電極はウエハを通って放射状に広がる静電場を生成し、さらに、クランプ力を作り出すことに加えて、その静電場はウエハを通って延在する静電反発力を提供しうる。この力は、静電チャックにより、基板上だけでなく粒子上の電荷の大きさにも比例しうる。
【0037】
[0041] 工程215の堆積処理の間に静電チャックのために利用される電圧は、約+1000V以下になりうる第1の正電圧であってよい。本技術は、実行される材料及び方法に対して1つ又は複数の修正を行うことができ、これにより、基板表面に到達する汚染物粒子を低減又は制限するための適切な反発力を生み出すことができる。
【0038】
[0042] 以下でさらに説明するように、本技術のいくつかの実施形態は、方法200中の異なる時点で複数のチャック電圧を実装することができ、方法200中に利用されるペデスタル又は基板支持体は、複数のチャッキング電圧を印加するための埋め込み電極を含みうる。このように、本技術では、プラズマパージ工程中にチャック電圧を印加することで、処理環境内の粒子に対して静電的な反発力を発生させることができる。上述のように、方法200は、工程220でプラズマ形成及び/又は堆積を停止させることを含みうる。同様に静電チャックを停止させる可能性のある従来技術とは異なり、本技術は静電チャックを維持し、いくつかの実施形態では電圧を上昇させる可能性がある。例えば、工程225において、プラズマを停止すること、又はプラズマをオフにすることと同時に、方法は、静電チャックの第1の電圧を、第1の電圧よりも高い第2の電圧に上昇させることを含みうる。これにより、電場が発生し、基板に落下する粒子に反発力を与えることができる。いくつかの実施形態では、第2の電圧は第2の正の電圧で、その結果、正味の正の表面電荷を示す粒子は基板の表面からはじかれる。第1の電圧とは対照的に、プラズマの停止と同時に又は実質的に同時に印加される第2の電圧は、負に帯電したプラズマ核種の析出が基板又は先行して堆積した膜層に欠陥を誘発しうる大きさを超える大きさを有することがある。
【0039】
[0043] 工程230では、半導体処理チャンバの処理領域は、パージされることがある。これは、半導体処理で典型的に発生しうるように、処理チャンバと結合した排気又はポンピングシステムの工程を維持又は強化することを含む可能性がある。このパージ工程の間、粒子をはじく静電気力を維持することができるため、基板上に落下する前に汚染粒子を除去することができる。
【0040】
[0044] 上述のように、静電チャックは、いくつかの実施形態において、約+1000V以下の正の電圧を印加することができる。場合によっては、第3の電極124の構成に応じて、第1の電圧は、+900V以下、+800V以下、+700V以下、+600V以下、+500V以下、+400V以下、+300V以下、+200V以下、或いはこれを下回りうる。
【0041】
[0045] 電圧が第1の電圧から第2の電圧に遷移するとき、これは処理チャンバの調整として実質的に瞬時に起こりうるが、電圧は、約+300V以上に上昇することがあり、約+400V以上、約+500V以上、約+600V以上、約+700V以上、約+800V以上、約+900V以上、或いはこれを上回って上昇することがある。埋め込み電極に印加される電圧の上昇と粒子の反発との間には相関がありうるが、基板の特性によっては、ある閾値を超えて電圧が上昇すると、基板が反ること、又は変形すること、或いは印加されるクランプ力によって破損することがありうる。したがって、いくつかの実施形態では、第2の電圧は、約+1,100V以下、約+1,000V以下、約+900V以下、約+800V以下、或いはこれを下回って維持されてもよい。
【0042】
[0046] 処理工程は、基板とシャワーヘッドとの間に維持される距離によっても影響を受けることがある。チャンバ100で説明したように、ペデスタル又は基板支持体は、いくつかの実施形態において垂直方向に並進可能であり、いくつかの堆積又は他の処理工程の間、ガス分配器112などのシャワーヘッドの近くに基板を配置することができる。基板は、堆積処理の間、シャワーヘッドからこの第1の距離に維持されてもよい。本技術によって包含されるいくつかの処理チャンバでは、排気流は、図1の排出口152のように、基板支持体の下方に延びることがある。基板とシャワーヘッドとの間の距離が十分に小さく維持されている場合には、パージ流が基板に十分に行き渡らないことがある。したがって、いくつかの実施形態では、方法200は、オプションにより、パージ工程中に基板支持体を再位置決めすることを含みうる。
【0043】
[0047] 例えば、プラズマ形成がスイッチオフ又は停止され、パージ工程が開始されると、ペデスタルは、基板をシャワーヘッドから第2の距離に再位置付けしてもよく、これは第1の距離よりも大きい距離であってもよい。これはまた、第1の電圧が第2の電圧に上昇したとき、又は上昇する間に行われてもよい。構成要素間の距離を大きくすることで、排気流はシャワーヘッドを横切ってよりよく引き込まれ、粒子又は汚染物質の除去が改善される可能性がある。したがって、距離を大きくすることで、除去性を向上させることができる。そのため、いくつかの実施形態では、第2の距離は、第1の距離よりも少なくとも25%大きくてもよく、いくつかの実施形態では、第2の距離は、第1の距離の約150%以上、第1の距離の約200%以上、第1の距離の約250%以上、第1の距離の約300%以上、第1の距離の約350%以上、第1の距離の約400%以上、第1の距離の約450%以上、第1の距離の約500%以上、第1の距離の約550%以上、或いはこれを超える値であってもよい。
【0044】
[0048] 本技術の実施形態に従って静電反発を行うことにより、従来技術と比較して粒子汚染を低減することができる。例えば、埋め込み電極の構成及び印加される電圧に応じて、閾値サイズの粒子が1000個以上から20個未満に減少したことが実験によって例証された。いくつかの実施形態では、正の反発電圧を印加することにより、先に説明した従来の工程の間に粒子汚染を粒子のベースライン量の約30%以下にさらに低減することができ、粒子をベースライン粒子の約25%以下、ベースライン粒子の約20%以下、ベースライン粒子の約15%以下、ベースライン粒子の約14%以下、ベースライン粒子の約13%以下、ベースライン粒子の約12%以下、ベースライン粒子の約11%以下、ベースライン粒子の約10%以下、ベースライン粒子の約9%以下、ベースライン粒子の約8%以下、ベースライン粒子の約7%以下、ベースライン粒子の約6%以下、ベースライン粒子の約5%以下、ベースライン粒子の約4%以下、或いはこれを下回る値に低減することができる。
【0045】
[0049] 図3A図3Cは、本技術のいくつかの実施形態による堆積方法における工程中の例示的な処理チャンバの概略図である。図3A図3Cは、チャンバ100内の構成要素、例えば、ペデスタル105及びガス分配器112に関連するさらなる詳細を示しうる。システム300は、いくつかの実施形態において先に説明したチャンバ100の任意の特徴又は態様を含むと理解される。システム300は、先に説明したような前処理、堆積、及びパージ工程、並びに他の堆積、除去、及び洗浄工程を含む半導体処理工程を実行するために使用されうる。システム300は、議論されている、半導体処理システムに組み込まれうるチャンバ部品の部分図を示し、ペデスタル及びガス分配器の中心を横切る図を図示することができ、それ以外は任意のサイズであってよい。システム300の任意の態様はまた、当業者によって容易に理解されるであろうように、他の処理チャンバ又はシステムと組み合わされうる。
【0046】
[0050] システム300は、シャワーヘッド305を含む処理チャンバを含み、それを通して前駆体が処理のために送達されてよく、それは、チャンバの処理領域内にプラズマ310を生成するための電源と結合されてもよい。シャワーヘッド305は、処理チャンバ350の少なくとも部分的に内部に示されており、図1を参照して説明したように、プラズマ310がシャワーヘッド305とペデスタル又は基板支持体315との間のチャンバ350の処理領域に形成されうるように、チャンバ350から電気的に絶縁されていると理解することができる。ペデスタル315は、チャンバ350の底面を通って延在してもよい。基板支持体は、図1及び図2を参照してより詳細に説明されるように、前処理、堆積、又はパージ処理の間に半導体基板330を保持することができる支持体プラテン320を含みうる。支持体プラテン320は、チャンバ350の底部を通って延びるシャフト325と結合されてもよい。静電チャック工程に関連して説明した埋め込み電極に加えて、支持体プラテン320は、堆積、エッチング、アニーリング、又は脱着を含むがこれらに限定されない処理工程を促進し得る、ヒーターを含むこともある。
【0047】
[0051] 様々な前駆体ガスの導入とプラズマ処理条件の制御を通じて、チャンバは、例えば静電引力によって支持体プラテン320上に保持されたウエハ上に多層膜を形成するための前処理及び堆積処理、並びにチャンバ350のパージ処理を実施しうる。一部のプラズマ堆積処理では、支持体プラテン320の露出面、シャワーヘッド305、及びチャンバ350の露出面にも膜材料が堆積されうる。残留物は、処理の一貫性や膜の均一性にいくつかの影響を与える可能性がある。例えば、膜粒子がチャンバ表面から剥離し、ウエハに損傷を与える可能性がある。別の例として、プラズマ特性は、例えば、表面電荷蓄積を変化させることによって、露出した表面の電気特性の変化によって影響を受けることがある。このような影響を抑えるために、処理サイクルの間にチャンバ350をパージすること及びチャンバを洗浄することによって、残留物質を除去することができる。
【0048】
[0052] 図3Aに示されるように、堆積手順は、半導体基板330の前処理を含みうる。前処理中に、基板330が静電チャックによって支持体プラテン320に保持されるように、支持体プラテン320内の埋め込み電極に正の電圧が印加されてもよい。前処理は、基板330がプラズマ310に曝されるように、処理領域においてシャワーヘッド305とペデスタル320との間にプラズマを打ち込むことを含んでもよい。プラズマは、前処理中に、プラズマの組成が酸素ラジカル335の比較的高い種密度を含むように、アルゴン、ヘリウム、又は酸素含有核種を含む窒素などの不活性ガス及び酸素含有ガスの混合物で形成されうる。このように、プラズマ310及びそれが構成するエネルギー核種に曝された基板330の表面は、酸素ラジカル335の表面密度が高いなど、基板330の酸素ラジカル化した表面終端を発現しうる。図3Aにおいて、酸素ラジカル335の相対的な大きさは、例示を目的として拡大されており、酸素ラジカルが巨大分子又は単原子酸素ラジカルのいずれかであることを示すことを意図していない。代わりに、酸素ラジカル335は、表面に直接結合することによって、又は基板330の表面の原子をラジカル化することによって、基板330の表面を活性化し、酸素ラジカル化表面終端を生成しうる。
【0049】
[0053] 図3Bに示されるように、堆積処理は、基板330上に膜340を形成しうる。以下で図4を参照してより詳細に説明するように、膜340は、テトラエチルオルソシリケートなどのシリコン含有前駆体をプラズマ分解して、エネルギープラズマ核種を生成することにより作ることができる。プラズマ310は、基板表面330上に堆積し得る蒸気を形成し、表面上にある間に反応して、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)によって膜340を形成することができる。堆積処理の一部として、ペデスタル315及び支持プラテン320は、約400℃以上、約450℃以上、約500℃以上、約550℃以上、約600℃以上、或いはこれを上回る処理温度に加熱されうる。支持体の態様は、場合によっては500℃を超える、より高い温度で維持されうるが、シャワーヘッド305は、より低い温度、例えば約300℃以下、約250℃以下、約200℃以下、約150℃以下、約100℃以下、或いはこれを下回る温度で維持されうる。相対温度が低いことにより、酸化ケイ素を含む粒子を誘導し、シャワーヘッド305上に形成することができる。
【0050】
[0054] シャワーヘッド305及びチャンバ350への粒子の堆積は、例えば、表面からの粒子の剥離のために、半導体ウエハの処理に多数の課題をもたらすことがある。層剥離又は他の応力に起因するシャワーヘッド305からの膜340の除去では、基板330上に膜324の粒子又は断片が残ることがある。堆積中に形成された粒子は、基板330上に沈降する可能性があり、表面電荷蓄積又は見通し線が技法の結果を支配する他の半導体製造技法によって形成される構造物の能力を制限する可能性がある。この影響は、例えば、ウエハとプラズマ310との相互作用を変化させることによって、粒子がこのような処理に干渉することが一因である。いくつかの実施形態では、粒子は、図3Cに示されるように、膜340の上に追加層345を有する多層膜の堆積中に埋め込み欠陥を形成する。
【0051】
[0055] 膜340は、均一性又は構造上の問題が膜340の有効性を制限する前に、実用的な厚さに制限されることがある。例えば、閾値の厚みを超えると内部応力が蓄積され、亀裂の原因となったり、熱変形に対する脆弱性につながることがある。膜の均一性の問題を潜在的に回避するために、膜340は、約3.5μm以下、約3.0μm以下、約2.5μm以下、約2.0μm以下、約1.5μm以下、約1.0μm以下、或いはこれを下回る厚さを有してもよい。堆積処理に続いて、プラズマ310をクエンチするのとほぼ同時に、前処理及び堆積の間の第1の正電圧よりも大きい第2の正電圧が支持体の態様に印加されうる。より大きな正の電圧は、正味の正の電荷を有する堆積処理中に形成されたそれらの粒子を反発させるのに役立ちうる。例えば、粒子は、プラズマ合成中の電離によって正味の正電荷を発生し、それが正の電場源である場合には、基板330からの反発を誘導することができる。このように、+500V以上など、より大きな正電圧を印加することで、斥力が向上し、基板330に沈降又は付着する粒子の数を制限することができる。
【0052】
[0056] いくつかの実施形態では、追加層345は、堆積処理のパラメータに応じて、膜340と実質的に等しい厚さを有することがあり、チャッキング電圧の印加、前処理、堆積、及びパージを含むがこれらに限定されない処理工程の一部又はすべてを繰り返すことによって形成することができる。このように、膜340及び追加層345を含む多層膜の総厚さは、約4.0μm以上、約5.0μm以上、約6.0μm以上、約7.0μm以上、約8.0μm以上、約9.0μm以上、約10.0μm以上、約11.0μm以上、約12.0μm以上、約13.0μm以上、約14.0μm以上、約15.0μm以上、或いはこれを上回ってもよく、対応する数の堆積処理サイクルによって堆積された複数の層の膜材料から構成されてもよい。
【0053】
[0057] 上述のように、堆積のあとには、残りのプラズマガス、未反応の前駆体、プラズマ生成核種、及びガスに巻き込まれた残留粒子が除去されるように、チャンバ350のパージに続くことがある。パージは、残留プラズマが生成した核種を低減すること、及び、チャンバ350内での粒子成長を制限することによって、前処理及び堆積の均一性を向上させることができる。パージ中に第2の正電圧を維持することで、正の荷電粒子が基板330に落下することなく、ガス巻き込みによってチャンバ350から除去され、膜340の粒子欠陥の数を低減できる可能性がある。
【0054】
[0058] 上記のような処理に加えて、本技術は、さらに、改善された酸化ケイ素及び他の材料の堆積を提供しうる。以下に説明する堆積技法は、先に説明した反発力処理や装置のいずれかと組み合わせてもよい。テトラエチルオルソシリケート(TEOS)は、シランなどの他のシリコン含有前駆体よりも低い粘着係数によって特徴付けられうる。この効果は、ボイド及びオーバーハングを減らすことで間隙充填を改善しうるが、同様に多孔性が増加し、密度が低下した膜を生成する可能性がある。これらの特性は、例えば、除去又はエッチングを容易にしうるが、別の課題を引き起こしうる界面領域での多孔性の増大をもたらす可能性がある、堆積された膜のバルク中に認められることがある。例えば、後続の堆積、エッチング処理は実行されてもよい。これらのエッチングが基板に到達すると、界面領域で膜にアンダーカットが発生することがある。これは、膜の剥離又は欠けを引き起こし、研磨工程でさらに進行する可能性がある。
【0055】
[0059] アニールなどの緻密化工程はこの密度を改善する可能性があるが、アニールによって膜のバルクも緻密化され、求められている低密度がなくなり、膜によって引張応力が増加する可能性がある。また、この応力の増大は、膜の剥離又はその他の影響の原因となる場合がある。その結果、多くの従来の工程では、これらの堆積を比較的高い温度、例えば約400℃以上、又は約500℃以上で行い、膜全体の密度を高めるが、アニールよりも低くなる場合がある。TEOSはより凝縮的な効果で堆積する可能性があるため、温度上昇により堆積速度が低下する可能性もある。
【0056】
[0060] また、本技術は、バルクでの多孔質の低密度構造を維持しつつ、膜の界面密度を向上させることと、従来の技法よりも堆積速度を高めるさせることとによって、TEOSを堆積した酸化物膜の低温堆積を改善しうる。処理は、基板の界面表面をラジカル化した後、処理チャンバにTEOSを導入する速度をランプ変化させることを含みうる。これにより、低密度のバルク領域を作る前に、結合を改善し、界面層の多孔性を低下させることができる。
【0057】
[0061] 図4は、本技術のいくつかの実施形態による、堆積の方法400における例示的な工程を示す。本方法は、先に説明したチャンバのいずれかを含む1つ又は複数のチャンバで実行されてもよく、先に述べた任意の構成要素を含んでもよく、先に述べた任意の方法の後続処理を利用してもよい。方法400は、本技術による方法のいくつかの実施形態に具体的に関連付けられる場合も関連付けられない場合もある、いくつかのオプションの工程を含みうる。例えば、工程の多くは、構造形成のより広い範囲を提供するために説明されているが、技術にとって重要ではなく、或いは容易に理解されうるように代替的な方法によって実行されてもよい。例えば、先に説明したように、工程は、基板を上述の処理チャンバ100などの処理チャンバに送達する前に実行されてもよく、その際、方法400は、先に説明した方法200のいくつか又はすべての態様を用いて又は用いずに実行されてもよい。
【0058】
[0062] 方法400は、工程405において、半導体処理チャンバの処理領域内に酸素含有前駆体のプラズマを形成することを含みうる。処理領域は、基板支持体上などの基板を収納してよく、堆積処理はその上で実行されうる。二原子酸素、オゾン、酸素を取り込んだ窒素含有前駆体、水、アルコールなどを含む、任意の数の酸素含有前駆体を利用することができる。プラズマ形成の初期には、処理領域は、TEOSなどのシリコン含有前駆体、又は他のシリコン含有前駆体を実質的に又は完全に含まないように維持されてもよい。任意の数の不活性ガス又はキャリアガスは、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、又は他の物質を含む、酸素とともに供給されうる。
【0059】
[0063] 第1の期間に続いて、酸素含有前駆体のプラズマが維持される間、工程410において、シリコン含有前駆体が半導体処理チャンバの処理領域に流入されうる。シリコン含有前駆体は、より低密度のシリコン及び酸素含有材料を堆積させるためのターゲット流量を下回る可能性のある第1の流量で送達されてもよい。シリコン含有前駆体の流量は、工程415において、第2の期間にわたってランプ変化させることができる。流量は、第2の期間にわたって一定速度でランプ変化させてもよく、又は第2の期間中に、シリコン含有前駆体がターゲット流量に到達しうるまで、減少又は増加のいずれかのスケーリング速度(scaling rate)でランプ変化させることができる。その後、工程420で所望の膜厚さを生成するために、堆積は、ターゲット流量で進行しうる。方法400に従って処理を実行することにより、オプションの工程425で、湿式エッチング又は乾式エッチングの間などの後続のエッチング工程の間に、下地構造との膜界面におけるアンダーカットエッチングが最小化又は防止されうる。
【0060】
[0064] 上述のように、シリコン含有前駆体は、いくつかの実施形態においてTEOSであってもよいが、他のシリコン含有前駆体も同様に本技術によって包含される。第1の期間及び第2の期間は、基板形状寸法及び特性、並びに前駆体のターゲット流量及び初期流量に基づいて可変とすることができる。いくつかの実施形態では、どちらか一方又は両方の期間は、約1分以下であってよく、約30秒以下、約20秒以下、約15秒以下、約10秒以下、約9秒以下、約8秒以下、約7秒以下、約6秒以下、約5秒以下、約4秒以下、約3秒以下、約2秒以下、約1秒以下、或いはこれを下回る時間であってもよい。
【0061】
[0065] いくつかの実施形態では、第1の流量は、シリコン含有前駆体のターゲット流量の約50%以下であってよく、ターゲット流量の約40%以下、ターゲット流量の約30%以下、ターゲット流量の約20%以下、ターゲット流量の約10%以下、或いはこれを下回る値であってもよい。より低い流量を利用することによって、最初の堆積で形成されるシリコン材料が少なくなる可能性がある。これにより、副生成物が膜外に出る時間が十分に確保され、多孔性が減少し、膜密度が高くなる可能性がある。
【0062】
[0066] 例えば、シリコン又はシリコン含有基板上など、最初に酸素プラズマを利用することによって、処理は任意の他の材料上で同様に実行されうるが、酸素は、方法200の工程210との関連で上述したように、酸素ラジカル化表面終端を形成する表面をラジカル化しうる。したがって、このラジカル化した界面領域は、送達されたときにラジカルTEOS分子との反応を促進し、この表面での堆積を改善しうる。これにより、低密度の膜の堆積を増加させる前に、膜の密度を増加させることができる。
【0063】
[0067] ランプ変化工程は、いくつかの実施形態において、ゆっくりと又は迅速にターゲット流量に到達するように構成された流量で実行することができる。例えば、いくつかの実施形態では、流量は、毎秒約1グラムの割合で増加してよく、毎秒2グラム以上、毎秒3グラム以上、毎秒約4グラム以上、毎秒5グラム以上、毎秒約6グラム以上、毎秒7グラム以上、毎秒8グラム以上、毎秒9グラム以上、毎秒約10グラム以上、或いはこれを上回る割合で増加してもよい。さらに、流量は、シリコン含有前駆体の毎秒約2グラムからシリコン含有前駆体の毎秒約5グラムの範囲内で増やすことができる。また、流量のランプ変化は、ランプ変化期間の全体にわたって、ランプ変化時間の経過とともに速く、又は遅くなるように変化してもよい。この範囲よりも流量のランプ変化を遅くすると、膜の堆積が均一に進行しないことがあり、プラズマに長時間曝されると膜に影響が出ることがある。送達の均一性を向上させるために、先に述べたようなキャリアガスが、約1slm以上の流量で供給されてもよく、約2slm以上、約3slm以上、約4slm以上、約5slm以上、約6slm以上、或いはこれを上回る流量であってよい。
【0064】
[0068] この範囲より早く流量をランプ変化させると、堆積が早くなり、より多くの副生成物がトラップされ、多孔性の増加及び密度の低下、並びにエッチング時の膜のアンダーカットの原因となりうる。したがって、膜の形成と界面での品質との均衡を保つために、流量を測定速度で増加させてもよい。界面領域は、より低い密度の材料にシフトする前に、約10nm以下の厚さによって特徴付けられ、いくつかの実施形態では、より高い密度の界面領域の厚さは、約9nm以下、約8nm以下、約7nm以下、約6nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下、約1nm以下、或いはこれを下回る値になりうる。
【0065】
[0069] 界面に密度の高い膜を提供することによって、より低い温度の堆積が、後続の操作の間に品質の界面を維持しながら実行され、エッチング中のアンダーカットを制限又は防止することができる。その結果、本技術は、約500℃以下の温度で堆積を行うことを可能にし、約490℃以下、約480℃以下、約470℃以下、約460℃以下、約450℃以下、約440℃以下、430℃以下、約420℃以下、約410℃以下、約400℃以下、約390℃以下、約380℃以下、約370℃以下、約360℃以下、約350℃以下、約340℃以下、約330℃以下、約320℃以下、約310℃以下、約300℃以下、約290℃以下、或いはこれを下回る温度で実行されてもよい。
【0066】
[0070] 本技術の実施形態による方法及び構成要素を利用することにより、材料の堆積又は形成が改善されうる。膜に埋め込まれた欠陥が少ないことで、多層膜は均一性と構造的完全性を向上させることができる。これらの改善は、基板上の膜の粒子欠陥密度を低減することを含んでもよく、膜の下流の損傷を制限することができる。加えて、前述のような粒子反発工程を実行することによって、従来の技法よりも膜汚染が低減され、デバイスの品質及び歩留まりが向上する可能性がある。
【0067】
[0071] 上記の記載では、説明を目的として、本技術の様々な実施形態の理解を促すために、数々の詳細が提示されている。しかしながら、当業者には、これらの詳細のうちの一部がなくても、或いは、追加の詳細があれば、特定の実施形態を実施できることが明らかであろう。
【0068】
[0072] いくつかの実施形態を開示したが、当業者は、実施形態の主旨から逸脱することなく、様々な修正例、代替構造物、及び均等物を使用できることを認識されよう。さらに、いくつかの周知の処理及び要素は、本技術を不必要に不明瞭にすることを避けるために説明されていない。したがって、上記の説明は、本技術の範囲を限定するものと見なすべきではない。加えてに、方法又は処理は、連続的又は段階的に説明されうるが、操作は、同時に行われてもよく、又は、記載とは異なる順序で行われてもよいことを理解されたい。
【0069】
[0073] 値の範囲が提供されている場合、文脈上そうでないと明示されていない限り、当然ながら、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値は、下限値の最も小さい単位まで具体的に開示されている。記載された範囲の任意の記載値又は記載されていない介在値の間の任意の狭い範囲、そしてその記載範囲のその他任意の記載された又は介在する値も包含される。このようなより狭い範囲の上限値及び下限値は、その範囲に個々に含まれるか、又はその範囲から除外される場合がある。限界値のいずれか又は両方がより狭い範囲に含まれるか、又はそのどちらもより狭い範囲に含まれない各範囲は、この技術にさらに包含されており、記載された範囲で特別に除外されたいずれかの限界値を対象としている。記載された範囲に1つ又は複数の限界値が含まれる場合、これらの含有限界値のいずれか又は両方を除外する範囲もまた含まれる。
【0070】
[0074] 本明細書及び特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他のことを明らかに示していない限り、複数の参照対象を含む。したがって、例えば、「ある前駆体(a precursor)」が言及されている場合、複数のこのような前駆体が含まれ、「その層(the layer)」が言及されている場合、当業者に知られている1つ又は複数の層及び均等物への言及が含まれ、その他の形にも同様のことが当てはまる。
【0071】
[0075] また、「備える(comprise(s))」、「備えている(comprising)」、「含有する(contain(s))」、「含有している(containing)」、「含む(include(s))」、及び「含んでいる(including)」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用された場合、記載された特徴、整数値、構成要素、又は操作の存在を特定することを意図しているが、1つ又は複数のその他の特徴、整数値、構成要素、操作、動作、或いはグループの存在又は追加を除外するものではない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】