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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20231107BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20231107BHJP
   B02C 18/00 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
C08J3/24 Z
B02C18/00 102
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523279
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 KR2022008682
(87)【国際公開番号】W WO2022265466
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0079644
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0080229
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0074633
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヒチャン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】ギチュル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ジェ・ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジヌク・チェ
【テーマコード(参考)】
4D065
4F070
【Fターム(参考)】
4D065CA05
4D065DD30
4D065EB14
4D065ED03
4D065ED22
4D065EE02
4F070AA29
4F070AB13
4F070AC20
4F070AC36
4F070AC43
4F070BA02
4F070DA42
4F070DA47
4F070DA48
4F070DC07
4F070DC11
4F070DC16
4F070GA08
4F070GB06
4F070GC01
(57)【要約】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法に関する。より具体的には、水可溶成分および微粉発生量が顕著に減少し、優れた吸水物性を示す高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体と内部架橋剤が架橋重合された含水ゲル重合体を形成する段階と、
界面活性剤の存在下で、前記含水ゲル重合体を1次含水ゲル粉砕して、1次粉砕された含水ゲル重合体を製造する段階と、
前記1次粉砕された含水ゲル重合体を1次流動式乾燥して、1次乾燥された含水ゲル重合体を製造する段階と、
前記1次乾燥された含水ゲル重合体を2次含水ゲル粉砕して、2次粉砕された含水ゲル重合体を製造する段階と、
前記2次粉砕された含水ゲル重合体を2次流動式乾燥して、2次乾燥された含水ゲル重合体を製造する段階と、
前記2次乾燥された含水ゲル重合体を粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造する段階と、を含み、
前記1次乾燥は、前記含水ゲル重合体の含水率に対する前記1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率が45%~80%となるように行われる、高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記1次乾燥は、前記含水ゲル重合体の含水率に対する前記1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率が47%~78%となるように行われる、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記1次乾燥は、100~300℃で5分~20分間行われる、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率が、1次乾燥された含水ゲル重合体の総重量に対して20~50重量%である、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記2次乾燥は、100~250℃の温度で20~60分間行われる、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記1次流動式乾燥および2次流動式乾燥は、それぞれ横型ミキサードライヤー、ロータリーキルン、パドルドライヤー、またはスチームチューブドライヤーを用いて行われる、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記2次乾燥された含水ゲル重合体の平均粒径が900~1500μmであり、
1400μm以上の粒子の大きさを有する2次乾燥された含水ゲル重合体の含有量が、前記2次乾燥された含水ゲル重合体の総重量に対して25重量%以下である、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記1次含水ゲル粉砕および2次含水ゲル粉砕は、それぞれ第1微粒化装置および第2微粒化装置によって行われ、
前記第1微粒化装置および第2微粒化装置は、それぞれ、
内部に含水ゲル重合体が移送される移送空間を含むボディ部と、
前記移送空間の内部に回転可能に設けられ、含水ゲル重合体を移動させるスクリュー部材と、
前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モータと、
前記ボディ部に設けられ、前記含水ゲル重合体を粉砕するカッター部材と、
前記カッター部材によって粉砕された前記含水ゲル重合体を前記ボディ部の外部に排出し、多数のホール(hole)が形成された多孔板とを含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記第2微粒化装置の多孔板に設けられた孔径が、前記第1微粒化装置の多孔板に設けられた孔径より小さい、請求項8に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記第1微粒化装置において多孔板に設けられた孔径は1mm~10mmであり、
前記第2微粒化装置において多孔板に設けられた孔径は0.5mm~6mmである、請求項9に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記界面活性剤は、下記化学式2で表される化合物またはその塩を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【化1】
前記化学式2中、
、AおよびAはそれぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【化2】
であり、但し、これらのうちの1つ以上はカルボニルまたは
【化3】
であり、ここで、m1、m2およびm3はそれぞれ独立して、1~8の整数であり、
【化4】
はそれぞれ隣接する酸素原子と連結され、
【化5】
は、隣接するR、RおよびRとそれぞれ連結され、
、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたは炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1~9の整数である。
【請求項12】
前記含水ゲル重合体を形成する段階は、
水溶性エチレン系不飽和単量体の少なくとも一部の酸性基を中和する段階、および前記少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物に対して重合を行って、含水ゲル重合体を形成する段階で行われるか、または
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物に対して重合を行って、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を形成する段階、および前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させて含水ゲル重合体を形成する段階で行われる、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項13】
前記含水ゲル重合体の含水率が、含水ゲル重合体の総重量に対して30~80重量%である、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項14】
前記高吸水性樹脂粒子を製造する段階後、前記高吸水性樹脂粒子を粒径によって分級する段階をさらに含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項15】
前記高吸水性樹脂粒子を製造する段階後、前記高吸水性樹脂粒子の表面のうちの少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階をさらに含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年6月18日付の韓国特許出願第10-2021-0079644号、2021年6月21日付の韓国特許出願第10-2021-0080229号および2022年6月20日付の韓国特許出願第10-2022-0074633号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法に関する。より具体的には、微粉発生量が顕著に減少し、優れた吸水物性を示す高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百~1千倍程度の水分を吸収できる機能を有する合成高分子物質であって、開発業者ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などそれぞれ異なる名称で名付けられている。このような高吸水性樹脂は生理用品として実用化され始め、現在は、園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野における鮮度保持剤、および湿布用などの材料に幅広く使用されている。
【0004】
このような高吸水性樹脂は主におむつや生理用ナプキンなど衛生材分野で幅広く使用されている。前記衛生材内で、前記高吸水性樹脂はパルプ内に広がった状態で含まれることが一般的である。しかし、最近は、より薄い厚さのおむつなどの衛生材を提供するための努力が続いており、その一環として、パルプの含有量が減少するか、さらにはパルプが全く使用されない、いわゆるパルプレス(pulpless)おむつなどの開発が積極的に進められている。
【0005】
このように、パルプの含有量が減少するか、またはパルプが使用されない衛生材の場合、相対的に高吸水性樹脂が高い比率で含まれ、高吸水性樹脂粒子が衛生材内に不可避に多層含まれる。このように多層含まれる全体的な高吸水性樹脂粒子がより効率よく多量の小便などの液体を吸収するためには、前記高吸水性樹脂が基本的に高い吸収性能のみならず速い吸水速度を示す必要がある。
【0006】
一方、このような高吸水性樹脂は、一般に、アクリル酸系単量体を重合して多量の水分を含有した含水ゲル重合体を製造する段階と、このような含水ゲル重合体を乾燥し、所望の粒径を有する樹脂粒子に粉砕する段階とを経て製造される。また、前記含水ゲル重合体の乾燥を容易にし、その後、粉砕工程の効率性を高めるために乾燥工程前に含水ゲル重合体を数百から数千マイクロメートルサイズの粒子に切断する含水ゲル粉砕工程が行われる。
【0007】
このような含水ゲルの粉砕のために主に細切機(またはチョッパー(chopper))が使用される。しかし、含水ゲル重合体は弾力性を有する粒子であるため、粒子が小さいほど細切機による切断または粉砕が難しい。また、含水ゲル重合体の粘着性により、細切機による切断または粉砕された含水ゲル重合体同士が凝集しやすく、このように凝集した形態で乾燥すると、後続の粉砕工程で多くの微粉が発生し、最終製造される高吸水性樹脂の物性が低下する問題があった。
【0008】
したがって、このような問題を根本的に解決するために高吸水性樹脂を微粉の発生なしに製造できる技術開発が常に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、含水ゲル粉砕過程でより小さいサイズを有する含水ゲルを製造することにより、乾燥後の粉砕工程を最小化し、微粉発生量を顕著に減少させることができ、製造される高吸水性樹脂の吸水物性を改善させることができる、高吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体と内部架橋剤が架橋重合された含水ゲル重合体を形成する段階と、
界面活性剤の存在下で、前記含水ゲル重合体を1次含水ゲル粉砕して、1次粉砕された含水ゲル重合体を製造する段階と、
前記1次粉砕された含水ゲル重合体を1次流動式乾燥して、1次乾燥された含水ゲル重合体を製造する段階と、
前記1次乾燥された含水ゲル重合体を2次含水ゲル粉砕して、2次粉砕された含水ゲル重合体を製造する段階と、
前記2次粉砕された含水ゲル重合体を2次流動式乾燥して、2次乾燥された含水ゲル重合体を製造する段階と、
前記2次乾燥された含水ゲル重合体を粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造する段階と、を含み、
前記1次乾燥は、前記含水ゲル重合体の含水率に対する前記1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率が45%~80%となるように行われる、高吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記高吸水性樹脂の製造方法により製造された高吸水性樹脂を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の高吸水性樹脂の製造方法によれば、製造工程中の微粉発生量を減少させることができ、優れた吸水物性を示す高吸水性樹脂を提供することができる。
【0013】
したがって、上記製造方法で製造された高吸水性樹脂はおむつなどの衛生材、特に、パルプの含有量が減少した超薄型衛生材などに適切に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定することを意図しない。単数の表現は文脈上明白に異なる意味を示さない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は実施された特徴、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されなければならない。
【0015】
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施例を例示して以下で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定しようとするものでなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解しなければならない。
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態により高吸水性樹脂の製造方法およびこれにより製造される高吸水性樹脂についてより詳細に説明する。
【0017】
それに先立ち、本明細書に使用される専門用語は単に特定の実施形態を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。そして、ここで使用される単数形は文脈上明らかに逆の意味を示さない限り複数形も含む。
【0018】
本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法は、
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体と内部架橋剤が架橋重合された含水ゲル重合体を形成する段階(段階1)と、
界面活性剤の存在下で、前記含水ゲル重合体を1次含水ゲル粉砕して、1次粉砕された含水ゲル重合体を製造する段階(段階2)と、
前記1次粉砕された含水ゲル重合体を1次流動式乾燥して、1次乾燥された含水ゲル重合体を製造する段階(段階3)と、
前記1次乾燥された含水ゲル重合体を2次含水ゲル粉砕して、2次粉砕された含水ゲル重合体を製造する段階(段階4)と、
前記2次粉砕された含水ゲル重合体を2次流動式乾燥して、2次乾燥された含水ゲル重合体を製造する段階(段階5)と、
前記2次乾燥された含水ゲル重合体を粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階6)と、を含み、
前記1次乾燥は、前記含水ゲル重合体の含水率に対する前記1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率が45%~80%となるように行われる。
【0019】
本発明の明細書に使用される用語「重合体」、または「高分子」は、水溶性エチレン系不飽和単量体が重合した状態であることを意味し、すべての水分含量の範囲または粒径(または粒子の大きさ)の範囲を包括し得る。
【0020】
また、用語「高吸水性樹脂」は、文脈によって架橋重合体、または前記架橋重合体が粉砕された高吸水性樹脂粒子からなる粉末(powder)形態のベース樹脂または含水ゲル重合体を意味するか、または前記架橋重合体や前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば、乾燥、粉砕、分級、表面架橋などを経て製品化に適した状態にしたものをすべて包括するものとして使用される。
【0021】
また、用語「正常粒子」は、高吸水性樹脂粒子のうちの150μm~850μmの粒径(または粒子の大きさ)を有する粒子を意味し、用語「微粉」は、高吸水性樹脂粒子のうちの150μm未満の粒径を有する粒子を意味する。また、用語「粗粒子」は、高吸水性樹脂粒子のうちの1400μm以上の粒径を有する粒子を意味する。このような高吸水性樹脂粒子の粒径は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)の規格であるEDANA WSP 220.3方法により測定することができる。
【0022】
また、用語「含水ゲル粉砕」は、乾燥効率を高めるために含水ゲル重合体をマイクロサイズの粒子水準まで粉砕したもので、ミリメートル単位の小片に細切した「チョッピング」と区別して使用される。
【0023】
また、用語「微粒化(micronizing、micronization)」は、含水ゲル重合体を数十から数百マイクロメートルの粒子の大きさまで粉砕したもので、「チョッピング」と区別して使用される。
【0024】
従来の高吸水性樹脂は、内部架橋剤および重合開始剤の存在下で、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成し、このように形成された含水ゲル重合体を乾燥した後、所望の粒度まで粉砕して微粒子化することによって製造される。また、前記含水ゲル重合体に対する乾燥工程の際、乾燥を容易にし、後続の粉砕工程での効率性を高めるために、含水ゲル重合体に対する乾燥工程前に細切機(またはチョッパー(chopper))を用いて含水ゲル重合体をミリメートルレベルの粒子に切断または粉砕する含水ゲル粉砕工程が行われる。
【0025】
しかし、含水ゲル重合体は弾力性を有するため、細切機による切断または粉砕が容易でないだけでなく、細切機の多孔板に備えられたホールの大きさより大きい含水ゲル重合体がホールをそのまま通過してしまう問題があった。また、含水ゲル重合体の粘着性によって、切断または粉砕された含水ゲル重合体同士が凝集して約1cm~10cmのサイズの凝集体を形成した。このように凝集したゲル状含水ゲル重合体は、底が多孔板からなるベルト上に積層され、下部または上部から供給される熱風によって板状に乾燥される。このとき、前記乾燥方式で乾燥された重合体は粒子状ではなく、板状であるため、これをマイクロサイズの粒子水準まで粉砕するためには多段の粉砕工程を行わなければならないし、結果として多くの量の微粉が発生した。具体的には、このような製造方法によって最終分級段階で分離される微粉量は、最終的に製造される高吸水性樹脂の総重量に対して約10重量%~約20重量%である。このように微粉が多量に発生するため、分離された微粉を適当量の水と混合して微粉再造粒後、含水ゲルの粉砕段階または乾燥前の段階に投入する方法で再使用した。
【0026】
しかし、このような微粉の再使用のために水と混合した微粉再造粒体を粉砕または乾燥工程に再投入する場合、装置の負荷またはエネルギー使用量の増加をもたらすなどの問題が発生し、また、分級されずに残っている微粉によって高吸水性樹脂の物性が低下した。
【0027】
そこで本発明者らは、従来の製造方法で微粉発生量は粉砕工程で投入される粒子の大きさによる影響が大きいことを把握し、含水ゲル重合体に対する含水率の制御によって粉砕を容易にすると同時に、粉砕された含水ゲル重合体同士の凝集を制御し、また、流動式乾燥によって粉砕された含水ゲル重合体を均一に乾燥させることによって、後続の粉砕工程に投入される粒子の大きさを減少させ、粉砕工程の実施回数を最小化し、粉砕された含水ゲル重合体中の粗粒子の含有量を下げ、結果として高吸水性樹脂の製造工程中の微粉発生量を顕著に低減できることに着目した。
【0028】
また、本発明の製造方法で製造された高吸水性樹脂は、均一な粒子の大きさ、狭い粒子径分布、および低い水可溶成分の含有量を有し得、したがって、優れた保水能、加圧吸水能などの諸吸水物性と共に改善されたリウェット(rewet)特性および吸水速度を示すことができる。
【0029】
以下、本発明の一実施形態の高吸水性樹脂の製造方法について各段階別により具体的に説明する。
【0030】
段階1
段階1は、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体と内部架橋剤が架橋重合された含水ゲル重合体を形成する段階である。
【0031】
具体的には、前記含水ゲル重合体は、水溶性エチレン系不飽和単量体の少なくとも一部の酸性基を中和する段階と、前記少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を内部架橋剤および重合開始剤と混合して製造した単量体組成物に対して重合を行って、含水ゲル重合体を形成する段階とを含む方法によって製造されてもよく(方法1)、または酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物に対して重合を行って、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を形成する段階と、前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させて含水ゲル重合体を形成する段階とを含む方法によって製造されてもよい(方法2)。
【0032】
前記方法1は、水溶性エチレン系不飽和単量体の重合前に前記単量体内の酸性基の少なくとも一部を中和させた後、重合反応を行うもので、前記方法1によって製造された重合体は、含水性を有して周辺の水を吸収することによって、通常30重量%以上の高い含水率を有する含水ゲル重合体形態で製造できる。
【0033】
一方、前記方法2は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基が中和されていない状態で重合を先に行って重合体を形成した後、前記重合体に存在する酸性基を中和させる方法で、重合後に形成された重合体は、低い含水性を示し、結果として、単量体組成物中で水をほとんど吸収しない固体状態で存在する。しかし、後の中和工程によって含水性を有し、含水ゲル重合体となる。
【0034】
また、方法2において、酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体(例えば、アクリル酸)は、常温で液体状態であり、溶媒(水)に対する溶解度または混和性(miscibility)が高いため、低い温度でも析出しない。これによって、低温で長時間重合が有利であり、高分子量を有し、分子量分布が均一な重合体を安定的に形成することができる。
【0035】
さらに、通常、重合体の製造時に発生する水可溶成分は、高吸水性樹脂が液体と接触する時に容易に溶出する。したがって、水可溶成分の含有量が高い場合、溶出した水可溶成分の殆どが高吸水性樹脂の表面に残留し、高吸水性樹脂をベタベタにして通液性が減少する原因になる。したがって、通液性の面で水可溶成分の含有量を低く維持することが重要であるが、前記方法2のように、未中和状態で重合を先に行う場合、より長い鎖の重合体を形成することができ、重合や架橋化が不完全で架橋化されていない状態で存在する水可溶成分の含有量を減少させることができ、結果として、高吸水性樹脂の通液性を向上させることができる。
【0036】
また、方法2のように、アクリル系単量体の酸性基が中和されていない状態で重合を先に行って重合体を形成し、中和後、界面活性剤の存在下で微粒化するか、または界面活性剤の存在下で微粒化後に中和するか、または微粒化と同時に前記重合体に存在する酸性基を中和させる場合、界面活性剤が前記重合体の表面に多量に存在して重合体の粘着性を下げることによって、重合体粒子同士の凝集を防止することができる。その結果、微粒化工程時、正常粒度水準まで粉砕することができ、また、正常粒度水準まで粉砕された後に乾燥工程が行われるため、工程中に発生する微粉の発生量を顕著に減少させることができる。
【0037】
これによって、後続の工程および条件を考慮して、含水ゲル重合体の製造のための方法を前記方法1および方法2の中から適切に選択することが好ましい。
【0038】
具体的には、方法1は、水溶性エチレン系不飽和単量体の少なくとも一部の酸性基を中和する段階と、前記少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物に対して重合を行って、含水ゲル重合体を形成する段階とを含む。
【0039】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、高吸水性樹脂の製造に通常使用される任意の単量体であってもよい。非制限的な例として、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、下記化学式1で表される化合物であってもよい:
【0040】
[化学式1]
R-COOM’
【0041】
上記化学式1中、
Rは、不飽和結合を含む炭素数2~5のアルキル基であり、
M’は、水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0042】
好ましくは、前記単量体は(メタ)アクリル酸、およびこれら酸の1価(アルカリ)金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0043】
このように水溶性エチレン系不飽和単量体として(メタ)アクリル酸および/またはその塩を使用する場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂が得られるため、有利である。その他にも前記単量体としては無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタアクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどを使用することができる。
【0044】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は酸性基を有し、前記酸性基のうちの少なくとも一部は中和剤によって中和する。
【0045】
本発明に係る製造方法において、前記方法1において、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基の少なくとも一部の酸性基に対する中和は、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、重合開始剤および中和剤を混合して単量体組成物を製造する工程中に行われる。これによって製造される単量体組成物は、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む。
【0046】
前記中和時、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体は、後続の重合反応段階での重合時間および反応条件などを考慮して、その濃度を適切に決定することが好ましい。一例として、本発明において、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、重合開始剤および中和剤を含む混合物中の前記水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は、20~60重量%、具体的には、20重量%以上であり、60重量%以下、または40重量%以下であってもよい。
【0047】
また、前記中和剤としては、酸性基を中和させることができる水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質を1種以上使用することができる。
【0048】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体に含まれる酸性基中の前記中和剤によって中和した程度を指して、水溶性エチレン系不飽和単量体の中和度という。中和度が過度に高ければ、中和した単量体が析出して重合が円滑に行われにくく、逆に、中和度が過度に低ければ、高分子の吸水力が大きく低下するだけでなく、取扱いにくい弾性ゴムのような性質を示すことができる。これによって、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の中和度は、実現しようとする高吸水性樹脂の物性に応じて適切に選択することが好ましい。一例として、本発明において、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の中和度は、50~90モル%、より具体的には、50モル%以上、または60モル%以上、または65モル%以上であり、90モル%以下、または85モル%以下、または80モル%以下、または75モル%以下であってもよい。
【0049】
また、本明細書で使用される用語「内部架橋剤」は、後述する高吸水性樹脂粒子の表面を架橋させるための表面架橋剤と区別するために使用する用語であり、本発明において、前記内部架橋剤は、上述した水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合の間に架橋結合を導入して、架橋構造を含む重合体を形成する役割を果たす。
【0050】
前記架橋は、表面または内部の区別なく行われるが、後述する高吸水性樹脂粒子の表面架橋工程が行われる場合、最終的に製造される高吸水性樹脂粒子の表面は、表面架橋剤によって新しく架橋された構造を含むことができ、高吸水性樹脂粒子の内部は、前記内部架橋剤によって架橋された構造がそのまま維持できる。
【0051】
前記内部架橋剤としては、多官能アクリレート系化合物、多官能アリル系化合物および多官能ビニル系化合物のうちの1種以上を使用することができる。
【0052】
前記多官能アクリレート系化合物としては、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、およびグリセリントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのいずれか1または2以上の混合物を使用することができる。
【0053】
また、前記多官能アリル系化合物としては、具体的には、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、テトラエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、トリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ブタンジオールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールジアリルエーテル、ジペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、およびグリセリントリアリルエーテルなどが挙げられ、これらのいずれか1または2以上の混合物を使用することができる。
【0054】
さらに、多官能ビニル系化合物としては、具体的には、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールジビニルエーテル、ジペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、グリセリンジビニルエーテル、およびグリセリントリビニルエーテルなどが挙げられ、これらのいずれか1または2以上の混合物を使用することができる。
【0055】
前記多官能アリル系化合物および多官能ビニル系化合物は、分子内に含まれる2以上の不飽和基が水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合、あるいは他の内部架橋剤の不飽和結合とそれぞれ結合して、重合過程で架橋構造を形成することができ、分子内にエステル結合(-(C=O)O-)を含むアクリレート系化合物とは異なり、上述した重合反応後の中和過程でも架橋結合を安定的に維持することができる。これによって、製造される高吸水性樹脂のゲル強度が高くなり、重合後の吐出過程で工程安定性が高くなり、水可溶分量を最小化することができる。
【0056】
このような内部架橋剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して、0.01~5重量部で使用することができる。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01重量部以上、または0.05重量部以上、または0.1重量部以上であり、5重量部以下、または3重量部以下、または2重量部以下、または1重量部以下、または0.7重量部以下で使用することができる。前記内部架橋剤の含有量が過度に低い場合、架橋が十分に起こらず適正水準以上の強度の実現が難しく、前記内部架橋剤の含有量が過度に高い場合、内部架橋密度が高くなって所望の保水能の実現が難しいことがある。
【0057】
前記内部架橋剤を用いて形成された重合体は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体が重合して形成された主鎖が前記内部架橋剤によって架橋される形態の3次元網状構造を有する。このように、重合体が3次元網状構造を有する場合、内部架橋剤によって追加架橋されない2次元線状構造の場合に比べて、高吸水性樹脂の諸物性である保水能および加圧吸水能が顕著に向上することができる。
【0058】
また、前記単量体組成物の製造時、重合開始剤は、重合方法によって適切に選択することが好ましい。
【0059】
含水ゲル重合体の形成時に熱重合方法を用いる場合には、熱重合開始剤を使用し、光重合方法を用いる場合には、光重合開始剤を使用し、混成重合方法(熱および光をすべて使用する方法)を用いる場合には、熱重合開始剤と光重合開始剤をすべて使用することができる。ただし、光重合方法によっても、紫外線照射などの光照射によって一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応の進行によってある程度の熱が発生するので、追加的に熱重合開始剤を使用してもよい。
【0060】
前記光重合開始剤としては、紫外線などの光によってラジカルを形成できる化合物であれば、その構成の限定なく使用可能である。
【0061】
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびアルファ-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群より選択される1つ以上を使用することができる。また、前記アシルホスフィンの具体例としては、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートなどが挙げられる。より多様な光開始剤については、Reinhold Schwalm著の「UV Coatings:Basics,Recent Developments and New Application(Elsevier 2007年)」p115によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0062】
また、前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤の群より選択される1つ以上を使用することができる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH)などがあり、アゾ(Azo)系開始剤の例としては、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチラミジンジヒドロクロライド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitrile)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノバレリン酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などが挙げられる。より多様な熱重合開始剤については、Odian著の「Principle of Polymerization(Wiley,1981)」、p203によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0063】
このような重合開始剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して2重量部以下で使用することができる。つまり、前記重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなり、最終製品に残存モノマーが多量に抽出されるので、好ましくない。逆に、前記重合開始剤の濃度が上記の範囲より高い場合、ネットワークをなす高分子鎖が短くなって水可溶成分の含有量が高くなり、加圧吸水能が低くなるなど樹脂の物性が低下することがあるので、好ましくない。
【0064】
また、前記単量体組成物の製造時、前記重合開始剤とレドックス(Redox)カップルをなす還元剤がさらに投入される。
【0065】
具体的には、前記重合開始剤と還元剤は、重合体溶液に投入された時、互いに反応してラジカルを形成する。形成されたラジカルは単量体と反応し、前記重合開始剤と還元剤との間の酸化-還元反応は反応性が非常に高いので、微量の重合開始剤と還元剤のみを投入しても重合が開始され、工程温度を高める必要がなくて低温重合が可能であり、重合体溶液の物性変化を最小化させることができる。
【0066】
前記酸化-還元反応を利用した重合反応は、常温(25℃)付近またはそれ以下の温度でも円滑に起こることができる。一例として、前記重合反応は5℃以上25℃以下、または5℃以上20℃以下の温度で行われる。
【0067】
前記重合開始剤として過硫酸塩系重合開始剤が使用される場合、還元剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)(FeSO);硫酸鉄(II)とEDTAとの混合物(FeSO/EDTA);ホルムアルデヒドスルホキシラートナトリウム(Sodium formaldehyde sulfoxylate);および2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテートジナトリウム(Disodium 2-hydroxy-2-sulfinoacteate)からなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0068】
また、前記重合開始剤として過硫酸カリウムが使用され、還元剤としては2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテートジナトリウムが使用されるか、または重合開始剤として過硫酸アンモニウムが使用され、還元剤としてテトラメチルエチレンジアミンが使用されるか、または重合開始剤として過硫酸ナトリウムが使用され、還元剤としてホルムアルデヒドスルホキシラートナトリウムが使用されてもよい。
【0069】
さらに、前記重合開始剤として過酸化水素系開始剤が使用される場合、還元剤としては、アスコルビン酸(Ascorbic acid);スクロース(Sucrose);亜硫酸ナトリウム(NaSO)、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)とEDTAとの混合物(FeSO/EDTA);ホルムアルデヒドスルホキシラートナトリウム(Sodium formaldehyde sulfoxylate);2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテートジナトリウム(Disodium 2-hydroxy-2-sulfinoacteate);および2-ヒドロキシ-2-スルホアセテートジナトリウム(Disodium 2-hydroxy-2-sulfoacteate)からなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0070】
また、前記単量体組成物の製造時、必要に応じて、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに投入することができる。
【0071】
本発明において、単量体組成物は、例えば、水などの溶媒に溶解した溶液状態であってもよく、このような溶液状態の単量体組成物中の固形分含有量、つまり、単量体、内部架橋剤および重合開始剤の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節可能である。例えば、前記単量体組成物中の固形分含有量は、10~80重量%、または15~60重量%、または30~50重量%であってもよい。前記単量体組成物がこのような範囲の固形分含有量を有する場合、高濃度水溶液の重合反応で現れるゲル効果現象を利用して重合後に未反応単量体を除去する必要がないようにしながらも、後述する重合体の粉砕時の粉砕効率を調節するために有利であり得る。
【0072】
この時、使用可能な溶媒としては、上述した原料物質を溶解させることができるものであれば、その構成の限定なく使用可能である。例えば、前記溶媒としては、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート、N,N-ジメチルアセトアミド、またはこれらの混合物などを使用することができる。
【0073】
次に、前記単量体組成物に対する重合工程は、熱重合、光重合または混成重合して含水ゲル重合体を形成することができれば、特に構成の限定なく行われる。
【0074】
具体的には、重合方法は、重合エネルギー源により、大きく熱重合および光重合に分けられ、通常熱重合を行う場合、ニーダー(kneader)などの撹拌軸を有する反応器で行われ、光重合を行う場合、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で行われるか、または底面が平らな容器で行われてもよい。
【0075】
このような重合方法は、大体短い重合反応時間(例えば、1時間以下)により重合体の分子量が大きくなく、広い分子量分布を有する重合体が形成される。
【0076】
一例として、上述のように、撹拌軸を備えたニーダー(kneader)などの反応器に、熱風を供給するか、反応器を加熱して熱重合をして得られた含水ゲル重合体は、反応器に備えられた撹拌軸の形態に応じて、反応器の排出口に排出される含水ゲル重合体は、数センチメートル~数ミリメートルの形態であってもよい。具体的には、得られる含水ゲル重合体の大きさは、注入される単量体組成物の濃度および注入速度などに応じて多様に現れるが、通常、重量平均粒径が2~50mmの含水ゲル重合体が得られる。
【0077】
また、上述のように移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器または底面が平らな容器で光重合を行う場合、通常得られる含水ゲル重合体の形態は、ベルトの幅を有するシート状の含水ゲル重合体であってもよい。この時、重合体シートの厚さは、注入される単量体組成物の濃度および注入速度または注入量に応じて異なるが、通常約0.5~約5cmの厚さを有するシート状の重合体が得られるように単量体組成物を供給することが好ましい。シート状の重合体の厚さが過度に薄い程度に単量体組成物を供給する場合、生産効率が低くて好ましくなく、シート状の重合体の厚さが5cmを超える場合には、過度に厚い厚さによって、重合反応が全厚にわたって均等に起こらないことがある。
【0078】
さらに、従来のコンベヤーベルトを備えた撹拌軸を有する反応器での重合は、重合結果物が移動しながら新しい単量体組成物が反応器に供給されて連続式で重合が行われるので、重合率が互いに異なる重合体が混合され、これによって単量体組成物全体において均一な重合が行われにくくて、全体的な物性低下が生じうる。
【0079】
これによって、本発明の製造方法において、前記単量体組成物に対する重合反応は、バッチ式反応器(batch type reactor)で行われる。
【0080】
このように、バッチ式反応器で定置式(fixed-bed type)で重合を行うことによって、重合率の異なる重合体が混ざる恐れが少なく、これによって均一な品質を有する重合体が得られる。
【0081】
また、バッチ式反応器で行う場合、コンベヤーベルトを備えた反応器で連続式で重合を行う場合より長時間、例えば、3時間以上の間重合反応を行う。しかし、このような長時間の重合反応時間にもかかわらず、未中和状態の水溶性エチレン系不飽和単量体に対して重合を行うため、長時間重合を行っても単量体がよく析出せず、よって、長時間重合を行うのに有利である。
【0082】
一方、前記バッチ式反応器での重合は、熱重合方法を用いることができ、これによって、前記重合開始剤は、熱重合開始剤を使用する。前記熱重合開始剤は、先に説明した通りである。
【0083】
一方、含水ゲル重合体を製造する方法2は、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物に対して重合を行って、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を形成する段階と、前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させて含水ゲル重合体を形成する段階とで行われる。
【0084】
前記方法2において、単量体組成物の製造時、酸性基が中和されていない水溶性エチレン系不飽和単量体を使用することを除けば、方法1と同様の方法で単量体組成物の製造およびこれに対する重合工程が行われる。
【0085】
また、前記方法2での重合反応は、具体的には、バッチ式反応器で行われる。さらに、前記バッチ式反応器での重合は、熱重合方法を用いることによって、前記重合開始剤としては熱重合開始剤を使用することができる。なお、上述のように、前記開始剤と共に還元剤を投入して重合を開始することができる。
【0086】
次に、方法2において、前記架橋重合された重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させて含水ゲル重合体を製造する段階は、前記架橋重合された重合体に対して中和剤を投入し反応させることによって行われる。
【0087】
前記中和剤としては、方法1と同様に、酸性基を中和させることが可能な水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質を使用することができる。
【0088】
また、前記重合体に含まれている酸性基のうち前記中和剤によって中和された程度を指す重合体の中和度は、過度に高い場合、粒子表面のカルボキシル基の濃度が過度に低くて、後続工程での表面架橋がうまく行われにくく、その結果、加圧下の吸水特性および通液性が減少しうる。逆に、重合体の中和度が過度に低ければ、高分子の吸水力が大きく低下するだけでなく、取扱いにくい弾性ゴムのような性質を示すことができる。これによって、前記重合体の中和度は、実現しようとする高吸水性樹脂の物性に応じて適切に選択することが好ましい。一例として、本発明において、前記重合体の中和度は、50~90モル%、より具体的には、50モル%以上、または60モル%以上、または65モル%以上であり、90モル%以下、または85モル%以下、または80モル%以下、または75モル%以下であってもよい。
【0089】
前記方法1および方法2によって製造される重合体は、含水ゲル状態で、含水率が30~80重量%、より具体的には、30重量%以上、または35重量%以上、または40重量%以上であり、80重量%以下、または75重量%以下、または70重量%以下である。
【0090】
前記含水ゲル重合体の含水率が過度に低い場合、その後の粉砕段階で適切な表面積を確保しにくく、効果的に粉砕されないことがあり、前記含水ゲル重合体の含水率が過度に高い場合、その後の粉砕段階で受ける圧力が増加して、所望の粒度まで粉砕させることが難しい。しかし、本発明に係る製造方法で製造された含水ゲル重合体は、上記の範囲条件を満たす含水率を有し、後続の微粒化工程に適合する。
【0091】
一方、本明細書全体において、「含水率」は、含水ゲル重合体の全体重量に対して占める水分の含有量であり、含水ゲル重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱によりクラム状態の重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値で定義する。この時、乾燥条件は、常温から約180℃まで温度を上昇させた後、180℃に維持する方式で、総乾燥時間は、温度上昇段階の5分を含む40分に設定して、含水率を測定する。具体的な測定方法および条件については、以下の実験例で説明する。
【0092】
段階2
次に、段階2は、界面活性剤の存在下で、前記段階1で製造した含水ゲル重合体を1次含水ゲル粉砕する段階である。
【0093】
具体的には、前記段階2は、含水ゲル重合体をミリメートルの大きさにチョッピングするのではなく、数十から数百マイクロメートルの大きさへの細切と凝集が同時に行われる段階である。つまり、含水ゲル重合体に適切な粘着性を付与することによって、数十から数百マイクロメートルの大きさに細切された一次粒子が複数個凝集された2次凝集粒子を製造する段階である。
【0094】
従来、含水ゲル重合体に対するチョッピング工程で数mmまたは数cm水準の粒子を形成していた。このようなチョッピング工程によって含水ゲル重合体の表面積がある程度増加できるが、吸水速度を有効に向上させることができる程度の効果は期待しにくかった。そこで、吸水速度の向上のために、チョッピング段階で機械的力をより増加して混練させることによって、表面積を増加させる方法が提案されたが、この場合、重合体特有のベタベタによって凝集が過度に発生して、チョッピング、乾燥および粉砕後、粒子の表面のみがデコボコな無定形の単一粒子が形成され、過度な混練または押しつぶしによってむしろ水可溶成分が増加した。
【0095】
そこで、本発明では、含水ゲル重合体に対する粉砕工程を界面活性剤の存在下で行うことによって、前記界面活性剤が前記含水ゲル重合体の表面に多量に存在する。含水ゲル重合体の表面に存在する界面活性剤は、重合体の高い粘着性を低下させることによって、重合体が過度に凝集しないことを防止し、所望の水準に凝集状態を調節することができる。その結果、従来のマイクロメートル単位からなるチョッピング工程とは異なり、前記含水ゲル重合体を数ミリメートルから数百マイクロメートルの大きさにまで粉砕することができ、また、よりマイルドな条件で後続の粉砕および乾燥工程を行うことができ、製造工程中に発生する微粉の発生量を顕著に減少させることができる。
【0096】
一方、界面活性剤の存在下で含水ゲル重合体を微粒化する場合、含水ゲル重合体の高い含水性によって界面活性剤が含水ゲル重合体の界面に存在するよりは、含水ゲル重合体の内部に浸透して界面活性剤がその役割を十分に果たせない可能性がある。これに対し、本発明では、上述のような特徴的構造の微粒化装置を用いることによって、このような問題点を解決した。
【0097】
また、前記界面活性剤に含まれている疎水性官能基の部分は、粉砕された高吸水性樹脂粒子の表面に疎水性を付与して粒子間の摩擦力を緩和させることによって、高吸水性樹脂の見掛け密度を増加させることができ、前記界面活性剤に含まれている親水性官能基の部分も、高吸水性樹脂粒子に結合して高吸水性樹脂の表面張力の低下を防止することができる。その結果、本発明に係る製造方法で製造された高吸水性樹脂は、界面活性剤を使用しない高吸水性樹脂と比較して、同等水準の表面張力を示しながらも高い見掛け密度を示すことができる。
【0098】
具体的には、前記界面活性剤としては、下記化学式2で表される化合物またはその塩を使用することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない:
【0099】
【化1】
【0100】
前記化学式2中、
、AおよびAはそれぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【0101】
【化2】
【0102】
であり、但し、これらのうちの1つ以上はカルボニルまたは
【0103】
【化3】
【0104】
であり、ここで、m1、m2およびm3はそれぞれ独立して、1~8の整数であり、
【0105】
【化4】
【0106】
はそれぞれ隣接する酸素原子と連結され、
【0107】
【化5】
【0108】
は、隣接するR、RおよびRとそれぞれ連結され、
、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたは炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1~9の整数である。
【0109】
前記界面活性剤は、含水ゲル重合体と混合されて含水ゲル粉砕段階が凝集現象なく容易に行われるように添加される。
【0110】
前記化学式2で表される界面活性剤は、非イオン性の界面活性剤であり、未中和の重合体とも水素結合力による表面吸着性能に優れ、これによって、目的とする凝集制御効果を実現するのに適合する。これに対し、非イオン性界面活性剤でなく、陰イオン性界面活性剤の場合、NaOH、NaSOなどの中和剤で中和された重合体と混合される場合、重合体のカルボキシル基置換基にイオン化されているNa+イオンを媒介として吸着され、未中和重合体に混合される場合、重合体のカルボキシル基置換基の陰イオンとの競争によって重合体に対する吸着効率が相対的に低下する問題がある。
【0111】
具体的には、前記化学式2で表される界面活性剤において、疎水性官能基は、末端官能基であるR、R、R部分(水素でない場合)であり、親水性官能基は、鎖中のグリセロール由来の部分と、末端の水酸基(Aが単結合であり、同時にRが水素である場合、n=1~3)をさらに含むが、前記グリセロール由来の部分と、末端の水酸基は、親水性官能基で重合体の表面に対する吸着性能を向上させる役割を果たす。これによって、高吸水性樹脂粒子の凝集を効果的に抑制することができる。
【0112】
前記化学式2において、疎水性官能基であるR、R、R部分(水素でない場合)は、それぞれ独立して、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルである。この時、R、R、R部分(水素でない場合)が炭素数6未満のアルキルまたはアルケニルの場合、鎖長が短いので、粉砕された粒子の凝集制御が効果的に行われないという問題があり、R、R、R部分(水素でない場合)が炭素数18超のアルキルまたはアルケニルの場合、前記界面活性剤の移動性(mobility)が減少して重合体と効果的に混合されないことがあり、界面活性剤の費用上昇によって組成物の単価が高くなる問題がありうる。
【0113】
好ましくは、R、R、Rは、水素であるか、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルである場合、2-メチルヘキシル、n-ヘプチル、2-メチルヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デカニル、n-ウンデカニル、n-ドデカニル、n-トリデカニル、n-テトラデカニル、n-ペンタデカニル、n-ヘキサデカニル、n-ヘプタデカニル、またはn-オクタデカニルであってもよいし、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルである場合、2-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-オクテニル、2-ノネニル、n-デケニル、2-ウンデケニル、2-ドデケニル、2-トリデケニル、2-テトラデケニル、2-ペンタデケニル、2-ヘキサデケニル、2-ヘプタデケニル、または2-オクタデケニルであってもよい。
【0114】
前記界面活性剤は、下記化学式2-1~化学式2-14で表される化合物から選択される:
【0115】
【化6】
【化7】
【0116】
一方、前記界面活性剤は、前記含水ゲル重合体100重量部に対して0.01~10重量部で使用することができる。前記界面活性剤が過度に少なく使用される場合、前記重合体の表面に均等に吸着されず粉砕後に粒子の再凝集現象が発生し、前記界面活性剤が過度に多く使用される場合、最終的に製造される高吸水性樹脂の諸物性が低下しうる。例えば、前記界面活性剤は、前記重合体100重量部に対して0.01重量部以上、または0.015重量部以上、または0.1重量部以上であり、かつ、5重量部以下、または3重量部以下、または2重量部以下、または1重量部以下、または0.5重量部以下で使用することができる。
【0117】
このような界面活性剤を重合体に混合する方法は、前記重合体にこれらを均等に混合できる方法であれば特に限定されず、適切に採用して使用可能である。具体的には、前記界面活性剤を乾式で混合するか、溶媒に溶解させた後に溶液状態で混合するか、または前記界面活性剤を溶融させた後に混合することができる。
【0118】
このうち、例えば、前記界面活性剤は、溶媒に溶解した溶液状態で混合することができる。この時、溶媒としては、無機溶媒または有機溶媒に制限なく全種類を用いることができるが、乾燥過程の容易性と溶媒回収システムの費用を考えると、水が最も適切である。また、前記溶液は、前記界面活性剤と重合体とを反応槽に入れて混合するか、ミキサーに重合体を入れて溶液を噴射する方法、連続的に運転されるミキサーに重合体と溶液とを連続的に供給して混合する方法などを用いることができる。
【0119】
一方、本発明の製造方法において、前記段階1の方法2において、重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる工程と、前記界面活性剤の存在下で前記含水ゲル重合体を1次含水ゲル粉砕して1次粉砕された含水ゲル重合体を製造する工程は、順次に、または交互に、または同時に行われてもよい。
【0120】
つまり、重合体に中和剤を投入して酸性基を先に中和させた後、中和された重合体に界面活性剤を投入して界面活性剤が混合された重合体を1次含水ゲル粉砕するか、重合体に中和剤と界面活性剤とを同時に投入して重合体に対して中和および1次含水ゲル粉砕を行ってもよい。あるいは、界面活性剤を先に投入し、中和剤を後に投入してもよい。あるいは、中和剤と界面活性剤とを交差して交互に投入してもよい。あるいは、界面活性剤を先に投入して1次含水ゲル粉砕した後、中和剤を投入して中和し、中和された含水ゲル重合体に界面活性剤をさらに投入して1次含水ゲル粉砕工程をさらに行ってもよい。
【0121】
但し、重合体全体に対する均一な中和のために、中和剤の投入と1次含水ゲル粉砕工程との間には一定の時間差をおくことが好ましい。
【0122】
一方、前記界面活性剤の投入により、前記界面活性剤の少なくとも一部または相当量は、前記1次粉砕された含水ゲル重合体の表面に存在することがある。
【0123】
ここで、前記界面活性剤が1次粉砕された含水ゲル重合体の表面に存在するとは、前記界面活性剤中の少なくとも一部または相当量が前記1次粉砕された含水ゲル重合体の表面に吸着または結合していることを意味する。具体的には、前記界面活性剤は、前記1次粉砕された含水ゲル重合体の表面に物理的または化学的に吸着している。より具体的には、前記界面活性剤の親水性官能基は、前記1次粉砕された含水ゲル重合体の表面の親水性部分に双極子-双極子引力(Dipole-dipole interaction)などの分子間力によって物理的に吸着している。このように、前記界面活性剤の親水性部分は、前記1次粉砕された含水ゲル重合体の表面に物理的に吸着して表面を取り囲み、界面活性剤の疎水性部分は樹脂粒子の表面に吸着せず、1次粉砕された含水ゲル重合体は、一種のミセル(micelle)構造の形態で界面活性剤がコーティングされている。これは、前記界面活性剤が前記水溶性エチレン系不飽和単量体の重合工程中に投入されるのではなく、重合体の形成後に1次含水ゲル粉砕段階で投入されるためであり、前記界面活性剤が重合工程中に投入されて重合体内部に前記界面活性剤が存在する場合に比べて、界面活性剤としての役割を忠実に果たすことができ、粉砕と凝集が同時に起きて微細粒子が凝集された形態で表面積の大きい粒子が得られる。
【0124】
このように前記含水ゲル重合体と界面活性剤とを混合した後、または前記界面活性剤の存在下で含水ゲル重合体を1次含水ゲル粉砕することによって、1次粉砕された含水ゲル重合体および界面活性剤が混合された状態で細切および凝集された、2次凝集粒子状の含水ゲル重合体を製造することができる。
【0125】
前記1次含水ゲル粉砕段階は、1次粉砕された含水ゲル重合体がマイクロメートルレベルの粒子の大きさを有するように行われる。より具体的には、粉砕された含水ゲル重合体の平均粒径が1000~5000μm、さらにもっと具体的には、1000~3000μmとなるように行われる。
【0126】
一方、本発明において、含水ゲル重合体および高吸水性樹脂粒子の平均粒径は、ASTM規格で多様な篩目開きの分級篩を用いて分級した後、各分級篩の篩上にある粒子重量を測定して粒度を求め、測定された粒度を利用して下記数式1によって求められる。具体的な測定方法および測定条件については、以下の実験例で説明する:
【0127】
【数1】
【0128】
上記式中、nは分級工程の順序を意味し、nは1以上であり、分級篩を用いた分級工程の総回数以下である。
【0129】
一方、分級篩を用いた分級工程後にパン(pan)を用いた回収工程が行われる。パンはメッシュ(mesh)を持たないので、パンを用いた工程は前記nの範囲に含まれない。但し、分級篩を用いた最終分級工程後に分級篩上粒子の平均粒径を利用して求めるとき、前記数式1中、「(n+1)番目の分級篩」はパンに相当し、このとき、パンでのメッシュサイズは0とする。
【0130】
また、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法において、前記1次含水ゲル粉砕段階は微粒化装置(以下、「第1微粒化装置」という)によって行われる。
【0131】
前記第1微粒化装置は、内部に含水ゲル重合体が移送される移送空間を含むボディ部と、前記移送空間の内部に回転可能に設けられ、含水ゲル重合体を移動させるスクリュー部材と、前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モータと、前記ボディ部に設けられ、前記含水ゲル重合体を粉砕するカッター部材と、前記カッター部材によって粉砕された前記含水ゲル重合体を前記ボディ部の外部に排出し、多数のホール(hole)が形成された多孔板とを含むことができる。
【0132】
本発明において、前記1次含水ゲル粉砕段階は、界面活性剤の存在下で行われることによって、含水ゲル重合体と界面活性剤とを混合して混合物状態に前記微粒化装置内に投入される。したがって、前記第1微粒化装置においてのボディ部には含水ゲル重合体と共に界面活性剤が混合された状態に移送される。
【0133】
また、前記多孔板内の孔径(hole size)を変化させることによって、粉砕される含水ゲル重合体の粒子の大きさを調節することができる。具体的には、前記微粒化装置の多孔板に備えられた孔径は1mm~20mmであり、より具体的には1mm~10mm、または1mm~6mmである。
【0134】
このように、前記界面活性剤と混合された含水ゲル重合体を第1微粒化装置を用いて粉砕を行うことによって、粉砕された含水ゲル重合体間の凝集が適切に制御され、粉砕された含水ゲル重合体の粒子の大きさおよび粒度が減少する。また、含水ゲル重合体の表面積増加で後続の乾燥工程で乾燥効率が増加する。
【0135】
段階3
次に、段階3は、前記1次粉砕された含水ゲル重合体を乾燥して1次乾燥された含水ゲル重合体を製造する段階である。
【0136】
本発明に係る製造方法は、従来とは異なり、含水ゲル重合体に対して2回の粉砕工程を行う。したがって、後続の粉砕工程を行うためには、1次粉砕された含水ゲル重合体が最適な含水率を有すると同時に含水ゲル重合体粒子全体に対して均一な乾燥が行われなければならない。もし、含水ゲル重合体が不均一に乾燥される場合には2次含水ゲル粉砕工程を行うことができない。
【0137】
そのため、本発明において前記1次乾燥は、流動式(moving type)乾燥方式で行われる。
【0138】
流動式乾燥は、定置式(fixed-bed type)乾燥とは乾燥される間の物質の流動の有/無で区分される。前記流動式乾燥は、乾燥体を機械的に攪拌しながら乾燥させる方式である。
【0139】
この時、熱風が物質を通過する方向は、物質の循環方向と同一でも、異なっていてもよい。あるいは、物質は、乾燥機の内部で循環し、乾燥機の外部の別のパイプ管に熱媒介流体(熱媒流)を通過させて物質を乾燥させてもよい。これに対し、定置式乾燥は、空気が通過可能な多孔鉄板などの底に乾燥させようとする物質を静止した状態で、下から上へ熱風が物質を通過して乾燥させる方式である。
【0140】
このように流動式乾燥方式は、乾燥体を機械的に攪拌しながら乾燥が行われるので、1次含水ゲル粉砕工程で1次粒子が凝集した2次粒子形態で存在する含水ゲル重合体が1次乾燥の間に1次粒子化されながら乾燥が行われ、また、1次粒子化された含水ゲル重合体同士の凝集現象を防止することができる。また、含水ゲル重合体粒子全体に対する均一な乾燥が可能であり、速い時間内に乾燥が完了する。
【0141】
前記流動式乾燥方式によって乾燥可能な装置としては、横型ミキサー乾燥機(Horizontal-type Mixer Dryer)、ロータリーキルン(Rotary kiln)、パドルドライヤー(Paddle Dryer)またはスチームチューブドライヤー(Steam tube dryer)など一般に用いられる流動式乾燥機を使用することができる。
【0142】
一方、通常の高吸水性樹脂の製造方法において、前記乾燥段階は、高吸水性樹脂の含水率が10重量%未満となるまで行うことが一般的である。しかし、本発明では前記1次乾燥工程を、含水ゲル重合体の含水率に対する1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率の比(=(1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率/含水ゲル重合体の含水率)×100)が45%~80%となるように行われる。
【0143】
1次含水ゲル重合体は弾性力を有するので粉砕が容易でなく、特に、粒子サイズが小さいほど粉砕がさらに難しい。したがって、本発明では前記含水率の条件を満たすように乾燥工程を行うことによって、含水ゲル重合体は適切な強度を有し、後続の2次含水ゲル粉砕の際、粉砕が容易である。その結果として、平均粒径が減少するだけでなく、大きな粒径、具体的には1400μm以上の粒径を有する含水ゲル重合体粗粒子の含有量が減少する。
【0144】
もし、1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率が含水ゲル重合体の含水率に対して45%未満である場合、乾燥しすぎて含水ゲル重合体が過度に固くなり、後続の2次含水ゲル粉砕の際、粉砕が難しい。また、80%超の場合、依然として高い弾性力によって粉砕が容易でない。より具体的には、含水ゲル重合体の含水率に対する1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率が、45%以上または47%以上、または50%以上、または55%以上、または56.5%以上であり、80%以下、または78%以下、または75%以下、または73%以下、または70%以下となるように行われる。
【0145】
したがって、1次乾燥時、前記1次乾燥は、上記含水率の範囲を満たす条件下で、含水ゲル重合体の含水率、含水ゲル重合体の量、流動式乾燥装置の種類などを考慮して乾燥温度、乾燥時間などの乾燥条件を適切に調節することができる。
【0146】
乾燥温度が過度に低い場合、前記含水率の条件を満たすまでの乾燥時間が長くなり、工程性が低下し、また、前記乾燥温度が過度に高い場合、含水ゲル重合体の含水率が過度に低くなり、後続の2次含水ゲル粉砕が難しくなる。また、乾燥時間が過度に長い場合、工程性が低下し、含水ゲル重合体の含水率が低くなり、2次含水ゲル粉砕が難しくなり、また、乾燥時間が過度に短い場合、十分な乾燥が行われず、後続の2次含水ゲル粉砕が難しくなる。一例として、前記1次乾燥は、上記含水率の範囲を満たすことを条件にして、100℃以上、または150℃以上であり、300℃以下、または250℃以下の温度で、3分以上、または5分以上、または10分以上であり、20分以下、または15分以下の間行うことができる。
【0147】
また、本発明に係る製造方法において前記乾燥は、流動式乾燥方式を用いることで、回転速度を制御することによって乾燥効率をさらに向上させることができる。一例として、前記回転速度は1rpm以上、または3rpm以上、または5rpm以上、または8rpm以上であり、20rpm以下、または15rpm以下、または12rpm以下、または10rpm以下であり、上記範囲内で含水ゲル重合体の含水率、含水ゲル重合体の量、流動式乾燥装置の種類、乾燥温度、乾燥時間などの乾燥条件を共に考慮して決定することが好ましい。
【0148】
前記1次乾燥工程によって得られる1次乾燥された含水ゲル重合体は、上述のように含水ゲル重合体の含水率に対する含水率の条件を満たす。
【0149】
さらに、1次乾燥された含水ゲル重合体は、1次乾燥された含水ゲル重合体の総重量を基準として20~50重量%、より具体的には、20重量%以上、または25重量%以上であり、50重量%以下、または45重量%以下、または40重量%以下、または35重量%以下の含水率を有する。このように最適化した含水率を有することで、後続の2次含水ゲル粉砕工程時、重合体粒子間の凝集が減少し、粉砕効率が増加する。
【0150】
段階4
次に、段階4は、前記段階3で1次乾燥された含水ゲル重合体に対して2次含水ゲル粉砕工程を行う段階である。
【0151】
前記2次粉砕工程は、1次粉砕された含水ゲル重合体の平均粒径に対して50~90%、または60~80%の平均粒径を有するように行われる。さらに具体的には、2次粉砕された含水ゲル重合体の平均粒径が700~1500μmとなるように行われる。
【0152】
このような2次粉砕工程に、1次乾燥された含水ゲル重合体をさらに粉砕することによって粒子サイズがさらに小さくなり、均一度の増加で粒度がさらに減少し、また、得られる重合体粒子中の1400μm以上の粒径を有する粗粒子の含有量が著しく減少する。結果として、高吸水性樹脂の製造工程で発生する微粉の含有量を著しく減少させることができ、また、2次粉砕された含水ゲル重合体の表面積増加で後続の乾燥工程で乾燥効率が増加する。
【0153】
前記2次含水ゲル粉砕段階は、1次含水ゲル粉砕と同様に、微粒化装置(以下、第2微粒化装置という)によって行うことができる。
【0154】
前記第2微粒化装置は、前記第1微粒化装置で上述した通りであり、微粒化装置の多孔板内の孔径を変化させることによって、2次粉砕される含水ゲル重合体の粒子の大きさを調節することができる。
【0155】
具体的には、前記第2微粒化装置は、内部に1次乾燥された含水ゲル重合体が移送される移送空間を含むボディ部と、前記移送空間の内部に回転可能に設けられ、前記含水ゲル重合体を移動させるスクリュー部材と、前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モータと、前記ボディ部に設けられ、前記含水ゲル重合体を粉砕するカッター部材と、前記カッター部材によって粉砕された前記含水ゲル重合体を前記ボディ部の外部に排出し、多数のホール(hole)が形成された多孔板とを含むことができる。
【0156】
一方、前記1次含水ゲル粉砕および2次含水ゲル粉砕に用いられる第1および第2微粒化装置において、それぞれ設けられた多孔板の孔径は互いに同一または異なる。
【0157】
一例として、粉砕の容易性のために前記第2微粒化装置の多孔板に設けられた孔径が前記第1微粒化装置の多孔板に設けられた孔径に比べて小さいことが好ましい。具体的には、前記第1微粒化装置の多孔板に設けられた孔径は1mm~10mmであり、前記第2微粒化装置の多孔板に設けられた孔径は0.5mm~6mmであり、より具体的には、第1微粒化装置の多孔板に設けられた孔径は1mm~6mm、または2mm~5mmであり、前記第2微粒化装置の多孔板に設けられた孔径は0.1mm~1mmである。
【0158】
このような条件で1次含水ゲル粉砕および2次含水ゲル粉砕を行う場合、乾燥後の製品と同一水準の粒度分布を具現することができ、微粉の発生をさらに減少させることができる。
【0159】
段階5
次に、段階5は、前記2次粉砕された含水ゲル重合体を乾燥して2次乾燥された含水ゲル重合体を製造する段階である。
【0160】
前記2次乾燥工程を行わない場合、2次粉砕された含水ゲル重合体の高含水率によって粉砕、分級などの後続工程を行うことが難しい。
【0161】
前記2次乾燥は、2次粉砕された含水ゲル重合体粒子同士の凝集現象を防止し、粒子全体に均質な乾燥が行われるように流動式乾燥方式で行われる。
【0162】
このような流動式乾燥方式によって乾燥可能な装置としては、横型ミキサー乾燥機(Horizontal-type Mixer Dryer)、ロータリーキルン(Rotary kiln)、パドルドライヤー(Paddle Dryer)またはスチームチューブドライヤー(Steam tube dryer)など一般に用いられる流動式乾燥機を使用することができる。
【0163】
前記2次乾燥は、1次乾燥に比べて低い温度で比較的長時間行われることが好ましい。具体的には、前記2次乾燥は、100℃~250℃の温度で20~60分間行うことができ、より具体的には、100℃以上、または150℃以上、または180℃以上であり、250℃以下、または230℃以下、または200℃以下の温度で20分以上、または30分以上であり、60分以下、または40分以下の間行うことができる。上記の条件において2次乾燥工程を行う場合、前記含水率の条件を満たし、粒子全体に均質な乾燥が行われる。
【0164】
また、前記2次乾燥は、流動式乾燥方式を用いることによって、回転速度を制御することで乾燥効率をさらに向上させることができる。一例として、前記回転速度は1rpm以上、または3rpm以上、または5rpm以上、または8rpm以上であり、20rpm以下、または15rpm以下、または12rpm以下、または10rpm以下であり、上記の範囲内で含水ゲル重合体の含水率、含水ゲル重合体の量、流動式乾燥装置の種類、乾燥温度、乾燥時間などの乾燥条件をともに考慮して決定されることが好ましい。
【0165】
前記2次乾燥工程によって得られる2次乾燥された含水ゲル重合体は、従来の含水ゲル粉砕工程によって得られる含水ゲル重合体に比べて、平均粒径が小さく、重合体中の大きな粒子を有する重合体の比率が低い。
【0166】
具体的には、前記2次乾燥された含水ゲル重合体は、平均粒径が900~1500μmであり、1400μm以上の粒子の大きさを有する2次乾燥された含水ゲル重合体の含有量が、前記2次乾燥された含水ゲル重合体の総重量に対して25重量%以下である。より具体的には、前記2次乾燥された含水ゲル重合体の平均粒径が900μm以上、または950μm以上、または970μm以上であり、1500μm以下、または1300μm以下、または1280μm以下、または1200μm以下、または1150μm以下であり、1400μm以上の粒子の大きさを有する2次乾燥された含水ゲル重合体の含有量が、前記2次乾燥された含水ゲル重合体の総重量に対して25重量%以下、または20重量%以下、または19.9重量%以下、または10重量%以下、または5重量%以下、または3重量%以下である。1400μm以上の粒子の大きさを有する2次乾燥された含水ゲル重合体の含有量が低いほど好ましいので、その下限値は特に限定されないが、一例として、0.001重量%以上、または0.1重量%以上である。
【0167】
また、150μm未満の粒子の大きさを有する2次乾燥された含水ゲル重合体、つまり、微粉の含有量が、前記2次乾燥された含水ゲル重合体の総重量に対して0.2重量%未満、具体的には0.1重量%以下である。通常、2次乾燥された含水ゲル重合体での微粉含有量は、これを表面架橋処理して最終的に製造される高吸水性樹脂での微粉含有量と殆ど同一である。これを考慮すると、前記2次乾燥された含水ゲル重合体での微粉含有量から表面処理された最終高吸水性樹脂での微粉含有量も前記含有量の範囲水準に大きく低くなることを予想することができ、このような結果は、従来の製造方法で高吸水性樹脂を製造する場合、約10重量%~約20重量%の微粉が発生することと対照的である。
【0168】
段階6
次に、段階6は、前記段階5で得られた、2次乾燥された含水ゲル重合体を粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造する段階である。
【0169】
具体的には、前記粉砕段階は、2次乾燥された含水ゲル重合体が正常粒子水準の粒度、つまり、150μm~850μmの粒子の大きさを有するように行われる。
【0170】
そのために用いられる粉砕機としては、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、ロータリーカッターミル(Rotary cutter mill)、カッターミル(Cutter mill)、ディスクミル(Disc mill)、シュレッドクラッシャー(Shred crusher)、クラッシャー(Crusher)、チョッパー(chopper)およびディスクカッター(Disc cutter)などであってもよいが、上述した例に限定されない。
【0171】
または、粉砕機として、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを使用することができるが、上述した例に限定されるものではない。
【0172】
一方、本発明の製造方法においては2回にわたった含水ゲル粉砕段階により、従来のチョッピング段階でより狭い粒度分布の高吸水性樹脂粒子を実現できるので、より少ない粉砕力でマイルドな条件で粉砕しても、正常粒度の含有量が非常に高い高吸水性樹脂を形成することができ、微粉の生成比率が大きく低くなる。
【0173】
追加段階
発明の一実施形態による製造方法は、前記高吸水性樹脂粒子を得た後、粒径に応じて分級する段階をさらに含むことができる。
【0174】
また、発明の一実施形態による製造方法は、前記高吸水性樹脂粒子を得た後、またはさらに分級した後に表面架橋剤の存在下で前記高吸水性樹脂粒子の表面のうちの少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0175】
前記段階によって、前記乾燥高吸水性樹脂粒子に含まれている架橋重合体が表面架橋剤を媒介として追加架橋され、前記乾燥高吸水性樹脂粒子の表面のうちの少なくとも一部に表面架橋層が形成される。
【0176】
前記表面架橋剤としては、従来から高吸水性樹脂の製造に使用されていた表面架橋剤を特別な制限なくすべて使用することができる。例えば、前記表面架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびグリセロールからなる群から選択される1種以上のポリオール;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびグリセロールカーボネートからなる群から選択される1種以上のカーボネート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;ポリアミン化合物;オキサゾリン化合物;モノ-、ジ-またはポリ-オキサゾリジノン化合物;または環状尿素化合物;などを含む。
【0177】
具体的には、前記表面架橋剤として、上述した表面架橋剤のうちの1種以上、または2種以上、または3種以上を使用することができる。一例として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびプロピレングリコールを混合して使用することができる。
【0178】
このような表面架橋剤は、前記乾燥高吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.001~5重量部で使用される。より具体的には、前記表面架橋剤は、乾燥高吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.001重量部以上、または0.01重量部以上、または0.1重量部以上、または0.3重量部以上、または0.4重量部以上であり、または5重量部以下、または3重量部以下、または1重量部以下の含有量で使用される。表面架橋剤の含有量の範囲を上述した範囲に調節して、優れた吸水諸物性を示す高吸水性樹脂を製造することができる。
【0179】
また、前記表面架橋層を形成する段階は、前記表面架橋剤に無機物質を追加して行われる。つまり、前記表面架橋剤および無機物質の存在下で前記高吸水性樹脂粒子の表面を追加架橋して表面架橋層を形成する段階を行うことができる。
【0180】
このような無機物質として、シリカ(silica)、クレー(clay)、アルミナ、シリカ-アルミナ複合材、チタニア、亜鉛酸化物およびアルミニウムスルフェートからなる群より選択される1種以上の無機物質を使用することができる。前記無機物質は、粉末状または液状形態で使用することができ、特に、アルミナ粉末、シリカ-アルミナ粉末、チタニア粉末、またはナノシリカ溶液で使用することができる。
【0181】
前記無機物質は、乾燥高吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.001~1重量部、より具体的には、0.001重量部以上、または0.01重量部以上、または0.1重量部以上であり、1重量部以下、または0.5重量部以下の含有量で使用される。
【0182】
前記表面架橋剤を高吸水性樹脂粒子に混合する方法については、その構成の限定はない。例えば、表面架橋剤と高吸水性樹脂粒子とを反応槽に入れて混合するか、高吸水性樹脂粒子に表面架橋剤を噴射する方法、連続的に運転されるミキサーに高吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とを連続的に供給して混合する方法などを用いることができる。
【0183】
前記表面架橋剤と高吸水性樹脂粒子とを混合する時、さらに水およびメタノールを共に混合して添加することができる。水およびメタノールを添加する場合、表面架橋剤が高吸水性樹脂粒子に均等に分散できるという利点がある。この時、追加される水およびメタノールの含有量は、表面架橋剤の均一な分散を誘導し、高吸水性樹脂粒子のかたまり現象を防止すると同時に、架橋剤の表面浸透深さを最適化するために適切に調節可能である。
【0184】
前記表面架橋工程は、80℃~250℃の温度で行われる。より具体的には、前記表面架橋工程は、100℃~220℃、または120℃~200℃の温度で、20分~2時間、または40分~80分間行われる。上述した表面架橋工程の条件を満たす時、高吸水性樹脂粒子の表面が十分に架橋されて加圧吸水能が増加できる。
【0185】
前記表面架橋反応のための昇温手段は特に限定されない。熱媒体を供給するか、または熱源を直接供給して加熱することができる。この時、使用可能な熱媒体の種類としてはスチーム、熱風、熱い油などの昇温した流体などを使用することができるが、これらに限定されず、また、供給される熱媒体の温度は、熱媒体の手段、昇温速度および昇温目標温度を考慮して適宜選択することができる。一方、直接供給される熱源としては電気による加熱、ガスによる加熱方法が挙げられるが、上述した例に限定されるものではない。
【0186】
また、本発明に係る高吸水性樹脂の製造方法は、前記高吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階後に、前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子を冷却する冷却段階、前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に水を投入する加水段階、および前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に添加剤を投入する後処理段階のうちのいずれか1段階以上をさらに含むことができる。この時、前記冷却段階、加水段階、および後処理段階は順次行われるか、または同時に行われる。
【0187】
また、前記後処理段階において、通液性向上剤、アンチケーキング(anti-caking)剤、流動性向上剤または酸化防止剤などの添加剤が選択的にさらに添加されてもよいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0188】
前記冷却段階、加水段階、および後処理段階を選択的に行うことによって、最終的に製造される高吸水性樹脂の含水率を向上させ、より高品質の高吸水性樹脂製品を製造することができる。
【0189】
また、本発明によれば、前記製造方法で製造された高吸水性樹脂を提供する。
【0190】
前記製造方法で製造された高吸水性樹脂は、別の分級工程なくても微粉含有量が低く、吸水速度が速く、従来の方法で製造した高吸水性樹脂に比べて、諸吸水物性である保水能(CRC)と加圧吸水能(AUP)が同等水準以上である。
【0191】
さらに、粒径分布が狭くなり、均一な粒径分布を有することができ、水可溶成分(EC)の含有量が低く、通液性、リウェット(rewet)特性、および吸水速度などがすべて優れている。
【0192】
具体的には、前記高吸水性樹脂は、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を含み、前記重合体の酸性基の少なくとも一部は中和されている。また、前記高吸水性樹脂は、表面架橋剤を介して前記重合体が追加架橋され、前記重合体上に形成された表面架橋層をさらに含むことができる。
【0193】
前記高吸水性樹脂は、DANA法WSP 241.3により測定した保水能(CRC)が約30g/g以上、または約35g/g以上、または約37g/g以上であり、約50g/g以下、または約45g/g以下、または約40g/g以下の範囲を有する。
【0194】
また、前記高吸水性樹脂は、吸水速度(vortex time)が100秒以下、または90秒以下、または85秒以下または50秒以下、または30秒以下であり得る。前記吸水速度は、その値が小さいほど優れ、前記吸水速度の下限は、理論上は0秒であるが、一例として約5秒以上、または約10秒以上、または約12秒以上であり得る。
【0195】
前記吸水速度は、生理食塩水に高吸水性樹脂を加えて攪拌させたとき、速やかな吸収によって液体の渦流(vortex)がなくなる時間(time、単位:秒)を意味するものであり、前記時間が短いほど高吸水性樹脂が速い初期吸水速度を有するとみなされる。
【0196】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0197】
実施例1
含水ゲル重合体の製造
ガラス反応器にアクリル酸100g、31.5重量%水酸化ナトリウム(NaOH)130g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート0.15g、熱重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.2g、光重合開始剤としてジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド0.01gおよび水45gを混合して単量体組成物を製造した。
【0198】
前記単量体組成物を横30cm、縦30cmの大きさの四角反応容器に入れて、10mW/cmの強度を有する紫外線を照射して60秒間重合反応させて含水ゲル重合体を得た(含水率=44.3重量%)。
【0199】
1次含水ゲル粉砕
前記段階1で製造した含水ゲル重合体を横5cm、縦5cmの大きさに切断し、そこに界面活性剤としてグリセロールモノラウレート(Glycerol Mono Laurate)(GML)を60℃の高温の水に溶解して5wt%水溶液にして、前記含水ゲル重合体100重量部に対して0.3重量部となるように混合した後、孔径が2mmである多数のホールを含む多孔板が設けられた第1微粒化装置(Micronizer)(F200、Karl Schnell)に投入して1次含水ゲル粉砕した。この時、第1微粒化装置は1500rpmで回転させた。
【0200】
1次乾燥
前記1次粉砕された含水ゲル重合体を、ロータリーキルン流動式乾燥機(ROTARY KILN、WOONGBI MACHINERY CO.,LTD社製)を用いて10rpmの回転速度で、250℃で5分間乾燥した後、1次乾燥された含水ゲル重合体を回収した。
【0201】
2次含水ゲル粉砕
前記1次乾燥された含水ゲル重合体を、孔径が1mmである多数のホールを含む多孔板が設けられた第2微粒化装置(Micronizer)(F200、Karl Schnell)に投入して2次含水ゲル粉砕した。この時、第2微粒化装置は1500rpmで回転させた。
【0202】
2次乾燥
前記段階2で得られた2次粉砕された含水ゲル重合体を、ロータリーキルン流動式乾燥機(ROTARY KILN、WOONGBI MACHINERY CO.,LTD社製)を用いて10rpmの回転速度で、200℃で30分間乾燥し、2次乾燥された含水ゲル重合体を回収した。
【0203】
粉砕
前記2次乾燥された含水ゲル重合体を、2段ロールミル(GRAN-U-LIZERTM、MPE)を用いて150μm~850μmの粒径を有する粒子となるように粉砕した。この時、2段ロールミルにおいて1段(上段)のロール間隙は0.3mm、2段(下段)のロール間隙は0.2mmとした。
【0204】
分級
前記粉砕物を分級篩を用いて150μm~850μmの粒径を有する高吸水性樹脂粒子のみを選択的に回収した。
【0205】
表面架橋
上記で得られた高吸水性樹脂粒子100gに対して、水4.8g、プロピレングリコール0.1g、エチレンカーボネート0.8g、プロピレンカーボネート0.8g、および23%のアルミニウムスルフェート水溶液0.87gを混合して製造した表面架橋液を投入して2分間混合し、これを185℃で60分間乾燥した後、最終高吸水性樹脂を製造した。
【0206】
実施例2
前記実施例1で1次乾燥段階での乾燥工程を3分間行うことを除いては、実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0207】
実施例3
前記実施例1で1次乾燥段階での乾燥工程を7分間行うことを除いては、実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0208】
実施例4
前記実施例1で1次乾燥段階での乾燥工程を2分間行うことを除いては、実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0209】
実施例5
撹拌機、温度計を装着した2Lガラス容器に、アクリル酸100g、内部架橋剤であるペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.35g、および水226gを撹拌しながら混合した。この時、反応温度は5℃に維持した。結果の混合物に対して、窒素1000cc/minを1時間投入した。その後、重合開始剤として、0.3%過酸化水素水溶液1.3g、1%アスコルビン酸水溶液1.5g、および2%の2,2’-アゾビスアミジノプロパンジヒドロクロライド水溶液3.0gを投入し、同時に、還元剤として0.01%の硫酸鉄水溶液1.5gを添加し、混合した。結果の混合物で重合反応が開始され、重合体の温度が85℃に到達した後、90±2℃のオーブンで約6時間重合することによって、含水ゲル重合体を製造した。
【0210】
上記で製造した含水ゲル重合体を使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0211】
比較例1
前記実施例1で1次含水ゲル粉砕工程後、1次粉砕された含水ゲル重合体に対する1次乾燥工程を行わないことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。
【0212】
比較例2
前記実施例1で2次含水ゲル粉砕工程後、2次粉砕された含水ゲル重合体に対する2次乾燥工程を行わないことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。
【0213】
しかし、2次粉砕された含水ゲル重合体の高い含水率によって、その後の粉砕および分級などの後工程を行うことが難しかった。
【0214】
比較例3
前記実施例1で含水ゲル重合体に対する1次含水ゲル粉砕の際、界面活性剤を投入しないことを除いては実施例1と同様の方法で行った。
【0215】
しかし、界面活性剤の未投入のため、含水ゲル重合体が第1微粒化装置を通過せず、1次含水ゲル粉砕が難しかった。
【0216】
比較例4
前記実施例1で1次含水ゲル粉砕後、1次粉砕された含水ゲル重合体に対して多孔板が設けられた通気型乾燥機を用いて定置式乾燥方式で乾燥工程を行うことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。
【0217】
しかし、不均一な乾燥によって2次乾燥などその後の工程を行うことができなかった。
【0218】
比較例5
実施例1の1次乾燥段階において、ロータリーキルン流動式乾燥機を用いた乾燥を10分間行うことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。
【0219】
しかし、1次乾燥後、含水ゲル重合体中の含水率が過度に低くなり、その後の2次含水ゲル粉砕工程を行うことができなかった。
【0220】
比較例6
実施例1の1次乾燥段階において、ロータリーキルン流動式乾燥機を用いた乾燥を1分間行うことを除いては、実施例1と同様の方法で行った。
【0221】
実験例1
含水ゲル重合体に対する含水ゲル粉砕工程中の乾燥工程を行うことによる変化を観察するために、以下の方法で含水ゲル重合体の含水率、1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率、および2次乾燥された含水ゲル重合体の粒度と平均粒径をそれぞれ測定した。その結果を下記表1に示す。
【0222】
異なって表記しない限り、以下の物性評価は、すべて恒温恒湿(23±1℃、相対湿度50±10%)で行った。
【0223】
(1)含水ゲル重合体および1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率(重量%)
前記実施例および比較例での含水ゲル重合体に対して赤外線照射して180℃で加熱乾燥し、加熱前/後の含水ゲル重合体の重量をそれぞれ測定した後、これを利用して下記数式2により含水率を求めた。この時、乾燥条件は、常温から約180℃まで温度を上昇させた後、180℃に維持する方式で、総乾燥時間は、温度上昇段階の5分を含む40分に設定した。
【0224】
[数式2]
含水率(重量%)=[(Ao-At)/Ao]×100
【0225】
前記数式2中、Atは、乾燥後の含水ゲル重合体の重量であり、Aoは、乾燥前の含水ゲル重合体の重量である。
【0226】
また、前記実施例および比較例での1次乾燥された含水ゲル重合体を使用したことを除いては、前記と同様の方法で加熱乾燥工程を行い、加熱前/後の含水ゲル重合体の重量をそれぞれ測定した後、前記数式2により含水率を求めた。
【0227】
(2)2次乾燥された含水ゲル重合体の粒度および平均粒径
前記実施例および比較例で2次乾燥された含水ゲル重合体に対して粒度および平均粒径を測定した。
【0228】
詳しくは、分級篩としてASTM規格の4000μm、2000μm、1400μm、850μm、710μm、600μm、300μm、および150μmの目開きを有する標準篩(sieve)を用意し、以下の順に分級工程が行われるように目開きに応じて分級篩を配置した。その後、1.5mmの振幅で10分間振動を掛けて、前記実施例および比較例で2次乾燥された含水ゲル重合体粒子に対する分級を行った。分級完了後、粒度分布は、各篩上にある粒子重量を測定して、百分率で表した。また、平均粒径は、測定された各篩上粒子重量を利用して下記数式1により求めた。
【0229】
(分級工程の進行順序)
4000μm->2000μm->1400μm->850μm->710μm->600μm->300μm->150μm->パン(pan)
【0230】
【数2】
【0231】
上記式中、nは分級工程の順序を意味し、nは1以上であり、分級篩を用いた分級工程の総回数以下である。本実験例において、nは1~8の整数である。
【0232】
また、nが8である、150μmメッシュの分級篩を用いて分級した分級篩上粒子の平均粒径を求めるとき、前記数式1中、「(n+1)番目の分級篩目開き」は、最後のパン(pan)での目開きであり、パンは目開きを含まないので、その値は0である。
【0233】
【表1】
【0234】
上記表1中、「ND」は測定しないことを意味する。
【0235】
上記表1中、1)比較例4での1次乾燥工程は、定置式乾燥方式により行った。
【0236】
また、上記表1中、2)比較例4において1次乾燥工程の際、不均一な乾燥によって1次乾燥された含水ゲル重合体の含水率を測定することができなかった。
【0237】
含水ゲル重合体の含水率に対する1次乾燥後、含水ゲル重合体の含水率が最適範囲を満たす実施例1および実施例2は、従来の乾燥工程なしに含水ゲル重合体を粉砕する比較例1に比べて、2次乾燥後、含水ゲル重合体の平均粒径が減少し、また、全体粒子中の粒子の大きさが1400μm以上の含水ゲル重合体の含有量が著しく減少した。
【0238】
一方、含水ゲル重合体に対する1次含水ゲル粉砕工程後、過度に長時間乾燥工程を行うことによって、含水ゲル重合体の含水率に対する1次乾燥後、含水ゲル重合体の含水率が最適範囲を満たさない参考例では、含水ゲル重合体が過度に固くなり、2次含水ゲル粉砕工程を行うことができなかった。
【0239】
この結果から、含水ゲル重合体に対する含水ゲル粉砕工程の間に最適範囲の含水率を有するように乾燥工程を行う場合、含水ゲル重合体の平均粒径の減少と共に、大きな粒子の大きさを有する含水ゲル重合体の含有量が減少した。したがって、後続の粉砕工程中の微粉発生が減少することを予想することができる。
【0240】
実験例2
前記実施例および比較例で製造した表面架橋された最終高吸水性樹脂について、以下の方法で吸水性能を評価した。
【0241】
異なって表記しない限り、以下の物性評価は、すべて恒温恒湿(23±1℃、相対湿度50±10%)で行い、生理食塩水または塩水は、0.9重量%塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を意味する。
【0242】
また、異なって表記しない限り、表面架橋された最終高吸水性樹脂に対する物性評価は、ASTM規格の篩で分級した150μm~850μmの粒径を有する樹脂に対して行った。
【0243】
(1)遠心分離保水能(CRC、Centrifuge Retention Capacity)
前記実施例および比較例で最終的に製造した高吸水性樹脂の無荷重下吸水倍率による保水能を欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP241.3により測定した。
【0244】
具体的には、実施例および比較例によりそれぞれ得られた高吸水性樹脂W(g)(約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れて密封(seal)した後、常温で生理食塩水(0.9重量%)に浸した。30分経過後、遠心分離機を用いて、250Gの条件下で前記封筒から3分間水気を取り、封筒の質量W(g)を測定した。また、樹脂を使用せずに同じ操作を行った後、その時の質量W(g)を測定した。
【0245】
得られた各質量を用いて、下記数式3によりCRC(g/g)を算出した。
【0246】
[数式3]
CRC(g/g)={[W(g)-W(g)]/W(g)}-1
【0247】
(2)吸水速度(vortex time、秒)
吸水速度(vortex time)は、国際公開第1987/003208号公報に記載された方法に準じて秒単位で測定した。
【0248】
具体的には、23℃~24℃の50mLの生理食塩水に2gの高吸水性樹脂を入れ、マグネチックバー(直径8mm、長さ30mm)を600rpmで攪拌して渦流(vortex)が無くなるまでの時間を秒単位で測定して算出した。
【0249】
(3)微粉発生量
実施例および比較例で製造した、2次乾燥された含水ゲル重合体をそれぞれロールミル(roll mill)(MPE社製、66F model)を用いて粉砕した。この時、ロールミル間隔は0.15mmとした。
【0250】
その後、分級篩として、ASTM規格の4000μm、2000μm、1400μm、850μm、710μm、600μm、300μm、および150μmの目開きを有する標準篩(sieve)を用意し、以下の順に分級工程が行われるように目開きに応じて分級篩を配置した。その後、1.5mmの振幅で10分間振動を掛けて、上記で粉砕した含水ゲル重合体粒子に対する分級を行った。分級完了後、150μm未満の粒径を有する微粉の重量を測定し、下記数式4により2次乾燥された含水ゲル重合体の総重量を基準とした百分率で表した。
【0251】
(分級工程の進行順序)
4000μm->2000μm->1400μm->850μm->710μm->600μm->300μm->150μm->パン(pan)
【0252】
[数式4]
微粉発生量(重量%)=[150μm未満の粒径を有する微粉の重量/2次乾燥された含水ゲル重合体の総重量]×100
【0253】
【表2】
【国際調査報告】