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特表2023-547990半導体デバイス製造方法及び半導体製造アセンブリ用プロセス制御システム
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  • 特表-半導体デバイス製造方法及び半導体製造アセンブリ用プロセス制御システム 図1
  • 特表-半導体デバイス製造方法及び半導体製造アセンブリ用プロセス制御システム 図2A
  • 特表-半導体デバイス製造方法及び半導体製造アセンブリ用プロセス制御システム 図2B
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  • 特表-半導体デバイス製造方法及び半導体製造アセンブリ用プロセス制御システム 図3B
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  • 特表-半導体デバイス製造方法及び半導体製造アセンブリ用プロセス制御システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】半導体デバイス製造方法及び半導体製造アセンブリ用プロセス制御システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517880
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 US2021023553
(87)【国際公開番号】W WO2022093308
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/106,901
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/180,346
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレーガー フィリップ
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA02
4M106BA05
4M106CA24
4M106CA39
4M106DJ12
4M106DJ19
4M106DJ20
4M106DJ27
(57)【要約】
半導体デバイス製造方法において、プロセス制御システムにおける標本化プランを定義する。第1個数Nの標本点にて計測値を取得する。ウェハモデルを用いそれら第1個数の計測値をモデル化することで、参照モデルに係る第1組の係数を生成する。それら第1個数Nの前記標本点のうち第2個数Mをランダム選抜する。それら第2個数Mの標本点にて取得された第2個数Mの計測値を、そのウェハモデルを用いモデル化することで、フェーズ1モデルに係る第2組の係数を生成する。それらM個の標本点のうち1個をN-M個の標本点のうち1個によりランダム置換することで、二次標本を取得する。その二次標本の計測値を、そのウェハモデルを用いモデル化することで、フェーズ2モデルに係る第3組の係数を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを製造する方法であって、
プロセス制御システムにおける標本化プランを定義し、但しその標本化プランが、プロセスウェハ上の第1個数Nの標本点についての位置情報を含むものであり、
前記第1個数Nの前記標本点にて計測値を取得し、但しそれら計測値が、第1計量ツールにより計測された前記プロセスウェハの第1物理特性に関するものであり、
ウェハモデルを用い前記第1個数の前記計測値をモデル化することで参照モデルに係る第1組の係数を生成し、但しそのウェハモデルが、前記第1物理特性を1個又は複数個の位置変数の関数として記述するモデル関数に基づくものであり、
前記第1個数Nの前記標本点のうちM<Nたる第2個数Mをランダム選抜し、
前記ウェハモデルを用い、前記第2個数Mの標本点にて取得された前記第2個数Mの前記計測値をモデル化することで、フェーズ1モデルに係る第2組の係数を生成し、
前記第2個数Mの標本点のうち1個をN-M個の標本点のうち1個によりランダム置換することで二次標本を取得し、
前記ウェハモデルを用い前記二次標本の前記計測値をモデル化することでフェーズ2モデルに係る第3組の係数を生成し、且つ
前記二次標本の標本点を更なる計測の実行に用いる、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、更に、前記参照モデル・前記フェーズ1モデル間の第1偏差を計算し、且つ前記参照モデル・前記フェーズ2モデル間の第2偏差を計算する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記第1個数Nの前記標本点のうち前記第2個数Mのランダム選抜と、前記ウェハモデルを用い前記第2個数Mの前記計測値をモデル化することによる前記フェーズ1モデルに係る前記第2組の係数の生成とが、所定回数のランダム選抜が実行されるまで或いは所定時間が経過するまで反復される方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、前記第1個数Nの前記標本点のうち前記第2個数Mのランダム選抜と、前記ウェハモデルを用い前記第2個数Mの前記計測値をモデル化することによる前記フェーズ1モデルに係る前記第2組の係数の生成とが、前記第1偏差が所定の閾値を下回るまで反復される方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、前記第1個数Nの前記標本点のうち前記第2個数Mのランダム選抜と、前記ウェハモデルを用い前記第2個数Mの前記計測値をモデル化することによる前記フェーズ1モデルに係る前記第2組の係数の生成とが、前記第1偏差がそれ以上減らなくなるまで反復される方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記第2個数Mの前記標本点のうち1個を前記N-M個の標本点のうち1個によりランダム置換することによる前記二次標本の取得と、前記ウェハモデルを用い前記二次標本の前記計測値をモデル化することによるフェーズ2モデルに係る前記第3組の係数の生成とが、所定回数のランダム置換が実行されるまで或いは所定時間が経過するまで反復される方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法であって、前記第2個数Mの前記標本点のうち1個を前記N-M個の標本点のうち1個によりランダム置換することによる前記二次標本の取得と、前記ウェハモデルを用い前記二次標本の前記計測値をモデル化することによるフェーズ2モデルに係る前記第3組の係数の生成とが、前記第2偏差がそれ以上減らなくなるまで反復される方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、M<0.9*Nである方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、M<0.5*Nである方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、更に、前記第1個数の計測値をモデル化する前、或いは前記第1個数Nの前記標本点のうち前記第2個数Mをランダム選抜する前に、N個ある計測値の個数を減少させる方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記計測値が、チャックされている状態における前記プロセスウェハの高さマップを表すレベリングデータである方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記計測値が限界寸法又はオーバレイに関するものである方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記ウェハモデルにルジャンドル多項式が備わる方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記ウェハモデルにゼルニケ多項式が備わる方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記ウェハモデルに補間モデルが備わる方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記更なる計測が第2物理特性に関するものであり、それら更なる計測が第2計量ツールを用い実行される方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記更なる計測が別のプロセスウェハに関するものである方法。
【請求項18】
命令群を伴うコンピュータプログラムが備わる非一時的コンピュータ可読格納媒体であり、そのプログラムがコンピュータにより実行されるときにそのコンピュータに請求項1の方法を実行させる非一時的コンピュータ可読格納媒体。
【請求項19】
半導体製造アセンブリ用のプロセス制御システムであって、
プロセス制御システムにおける標本化プランを定義し、但しその標本化プランが、プロセスウェハ上の第1個数Nの標本点についての位置情報を含むものであり、
前記第1個数Nの前記標本点にて計測値を取得し、但しそれら計測値が、第1計量ツールにより計測された前記プロセスウェハの第1物理特性に関するものであり、
ウェハモデルを用い前記第1個数の前記計測値をモデル化することで参照モデルに係る第1組の係数を生成し、但しそのウェハモデルが、前記第1物理特性を1個又は複数個の位置変数の関数として記述するモデル関数に基づくものであり、
前記第1個数Nの前記標本点のうちM<Nたる第2個数Mをランダム選抜し、
前記ウェハモデルを用い、前記第2個数Mの前記標本点にて取得された前記第2個数Mの前記計測値をモデル化することで、フェーズ1モデルに係る第2組の係数を生成し、
前記第2個数Mの前記標本点のうち1個をN-M個の標本点のうち1個によりランダム置換することで二次標本を取得し、
前記ウェハモデルを用い前記二次標本の前記計測値をモデル化することでフェーズ2モデルに係る第3組の係数を生成し、且つ
前記二次標本の標本点を減数標本化プランとして更なる計測の実行に供するよう、
構成されたプロセス制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
諸実施形態は、標本化プラン(抜取り計画)を用い半導体デバイスを製造する方法、並びに半導体ウェハ処理におけるプロセス制御に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願への相互参照]
本願では、2020年10月29日付米国仮特許出願第63/106901号に基づく優先権を主張し、参照によりその開示内容を本願に繰り入れる。
【0003】
半導体素子製造の過程では、計量ツールにより、ウェハに対し有効なプロセス工程の結果が監視される。ウェハ計量の結果を、故障検出、異常機器状態の判別、ツール警報の実行、故障原因の調査、並びに故障ウェハとして又は標的公差に則するウェハとしてのプロセスウェハの分類に、用いることができる。フィードフォワード制御により、先行する検査の結果を用い後続プロセスのプロセスパラメタが調整される。ラントゥラン制御により、以前の実行(ラン)に適用されたプロセス後計量からのフィードバックデータに基づき、所与ウェハ又はウェハロット向けのプロセスレシピパラメタが自動変更される。APC(先進プロセス制御)では故障検出、分類、フィードフォワード制御及びラントゥラン制御の諸側面が組み合わされる。計量サイトたりうるものには、特別に設計された計測ターゲットや、及び/又は、製品パターンの諸部分がある。
【0004】
ウェハ計量の狙いは、計量コストと歩留まり改善との間の経済的折衷にある。通常、ウェハ計量では、ウェハロットのうち選抜されたプロセスウェハ上にある多数の計量サイト又は標本点の位置を定義する標本化プランが用いられており、その標本化プランにて指定されている計量サイトにて、選抜されたプロセスウェハが排他的に計測されている。それら計量サイトの在処は、露出フィールド内、露出フィールド外例えばウェハエッジエリア内、チップエリア内、及び/又は、チップエリア外例えばウェハのカーフエリア内とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0242425号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
標本化プランの実効性を改善すること、並びに標本化プランの効率を高めることが、求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
半導体デバイスを製造する方法であって、プロセス制御システムにおける標本化プランでありプロセスウェハ上の第1個数Nの標本点についての位置情報を含む標本化プランを定義し、そのプロセスウェハの第1物理特性であり第1計量ツールにより計測された物理特性に関する計測値を第1個数Nの標本点にて取得し、その物理特性を1個又は複数個の位置変数の関数として記述するモデル関数に基づくウェハモデルを用いそれら第1個数の計測値をモデル化することで参照モデルに係る第1組の係数を生成し、それら第1個数Nの標本点のうちM<Nたる第2個数Mをランダム選抜し、それら第2個数Mの標本点にて取得された第2個数Mの計測値を、そのウェハモデルを用いモデル化することで、フェーズ1モデルに係る第2組の係数を生成し、それらM個の標本点のうち1個をN-M個の標本点のうち1個によりランダム置換することで二次標本(サブ標本/副標本)を取得し、そのウェハモデルを用いその二次標本の計測値をモデル化することでフェーズ2モデルに係る第3組の係数を生成し、且つその二次標本の標本点を更なる計測の実行に用いるものである。
【0008】
命令群を伴うコンピュータプログラムであり、そのプログラムがコンピュータにより実行されるときにそのコンピュータに上述の方法を実行させるものである。
【0009】
半導体製造アセンブリ用のプロセス制御システムであって、プロセス制御システムにおける標本化プランでありプロセスウェハ上の第1個数Nの標本点についての位置情報を含む標本化プランを定義し、そのプロセスウェハの第1物理特性であり第1計量ツールにより計測された物理特性に関する計測値をそれら第1個数Nの標本点にて取得し、その物理特性を1個又は複数個の位置変数の関数として記述するモデル関数に基づくウェハモデルを用いそれら第1個数の計測値をモデル化することで参照モデルに係る第1組の係数を生成し、それら第1個数Nの標本点のうちM<Nたる第2個数Mをランダム選抜し、それら第2個数Mの標本点にて取得された第2個数Mの計測値を、そのウェハモデルを用いモデル化することで、フェーズ1モデルに係る第2組の係数を生成し、それらM個の標本点のうち1個をN-M個の標本点のうち1個によりランダム置換することで二次標本を取得し、そのウェハモデルを用いその二次標本の計測値をモデル化することでフェーズ2モデルに係る第3組の係数を生成し、且つその二次標本の標本点を減数標本化プランとして更なる計測の実行に供するよう、構成されたものである。
【0010】
添付図面は、本発明の諸実施形態について更なる理解を図るべく設けられたものであり、本明細書に組み込まれその一部分を構成している。これらの図面には本発明の諸実施形態が描かれており、明細書と相俟ち諸原理を説明するよう働いている。後掲の詳細記述への参照によってより良好に理解されるようになるので、本発明の他の諸実施形態と想定されている長所の多くは即座に察知されることとなろう。図面中の諸要素は必ずしも互いに等縮尺ではない。類似する参照符号は対応する類似部分を指定している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】諸実施形態に係る半導体製造アセンブリのうち一部分の模式的ブロック図である。
図2A】あるウェハ例における露出フィールド及び標本点が描かれている図である。
図2B】ウェハモデルを用いる計測値のモデル化が描かれている図である。
図3A】あるウェハ例における露出フィールドと低減後個数の標本点とが描かれている図である。
図3B】あるウェハ例における露出フィールドと低減後個数の標本点とが描かれている図である。
図3C】あるウェハ例における露出フィールドと低減後個数の標本点とが描かれている図である。
図4】諸実施形態に係る方法を概括する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細記述では、その詳細記述の一部分を形成する添付図面であり、本発明が実施されうる具体的諸実施形態が例証により描かれている添付図面を、参照する。その際、「頂」、「底」、「前」、「後」、「上方」、「表面上」、「上」、「先行」、「後続」等の方向指示語を、記述される図面の向きを踏まえ用いている。本発明の諸実施形態の構成部材は多種多様な向きで配置されうるので、その方向指示語は例証目的で用いられているのであって、如何様にであれ限定性のものではない。理解できる通り、諸請求項により定義される技術的範囲から離隔することなく、他の諸実施形態を利用することができ且つ構造的又は論理的改変をなすことができる。
【0013】
諸実施形態についての記述は限定性のものではない。とりわけ、後述する諸実施形態の諸要素を別の諸実施形態の諸要素と組み合わせることができる。
【0014】
図1に示されているのはプロセスウェハ910用半導体製造アセンブリ500の一部分の模式的表現であり、ウェハロット900の態で半導体製造アセンブリ500に供給されるプロセスウェハ910のうち同じウェハロット900に属するものが、例えば部分的に同時的な及び/又は直に相前後する関係等、密接な時間的関係にて同じやり方又は少なくとも似たやり方に従い処理されている。半導体製造アセンブリ500は複数個のプロセスツール308,350,368を有しており、それらにより例えばパターニングプロセス、堆積プロセス、エッチングプロセス、インプランテーションプロセス及び加熱処置が行われている。計量ツール305,365はプロセスウェハ910を検査するものであり、ウェハロット900をなすプロセスウェハ910上及びプロセスウェハ910間に散在する多数の計量サイトにて標本化プランに従いその検査が行われている。描かれているプロセスツール・計量ツール305,308,350,365,368間にて、それらプロセスウェハ910を更なるプロセス及び計量ツールにロード(装荷)することができる。
【0015】
標本化プランには、ウェハロット900内の個々のプロセスウェハ910を識別するためのウェハ識別情報を含めることができる。標本化プランには、更に、検査のため決定された、プロセスウェハ910上の計量サイト又は標本点を指定する位置情報が、含まれている。それら計量サイトの形状は円形、楕円形又は長方形とすることができる。それら計量サイトのサイズは計測方法により左右される。それら計量サイト又は標本点の直径又はエッジ長は、散乱計測(スキャタロメトリ)法向けであれば約100μm、電子顕微法を用いる計測向けであれば約1μmとすることができる。
【0016】
計量ツール305,365によりプロセスウェハ910を検査することで、その標本化プランにて指定されている計量サイト又はその周辺にて、その関心対象プロセスウェハ910についての物理的情報が取得される。その物理的情報に含まれうるものには幾何学的寸法、例えばそのプロセスウェハの表面上にあり計測エリア内にある構造の高さ、幅及び/又は長さ、例えばライン(線)の幅やステップ(段差)又はトレンチ(溝)の垂直方向延長、プロセスウェハ910の表面から延びる突起の側壁角、或いはプロセスウェハ910内へと延びるトレンチの側壁角がある。これに代え又は加えその物理的情報に含まれうるものには、プロセスウェハ910を覆う最上層の厚み及び/又は組成についての情報、或いは他の物理特性又は特徴についての情報、例えばラインエッジ粗さ、ライン幅粗さ、オーバレイ(重なり合い)データ、ウェハ形状、ウェハ変形、欠陥密度があり、また欠陥計測及び電気的計測の結果についての情報がある。例えば、実行可能な計測に含まれるものに、CD-SEM計測(走査型電子顕微鏡を用いる限界寸法計測)、オーバレイ計測、スキャタロメトリを用いるCD計測、トポグラフィ(地勢)の計測、例えばレベリング計測、ウェハボウイング(曲がり)の計測その他がある。
【0017】
計量ツール305によりプロセスウェハ910を検査することができる。例えば、計量ツール305によるプロセスウェハ910の検査を、標本化プランに従い計測値を求めることで行うことができる。その上で、そのプロセスウェハ910を、更なるプロセスツール308にて少なくとも一つの更なるプロセスに供することができる。
【0018】
語「計測値」は、本願では計量文脈に従い用いられており、プロセスウェハの物理特性に関わっている。計測値に含まれうるものにレベリングデータ、例えばそのプロセスウェハ910が平坦な支持基材にしっかり押し付けられている状態でのプロセスウェハ910のレベリングデータ、即ちチャック済状態における関心対象プロセスウェハ910の濃密な高さマップが得られるレベリングデータ、例えばそのプロセスウェハ910がその支持基材に静電チャック又は真空チャックされている状態でのそれがある。チャック済状態では、プロセスウェハ910の大域的なワーピング(反り)又はボウイングが少なくとも部分的に、或いはほとんど完全に平滑化されている。従って、そのプロセスウェハ910のトポグラフィを評価することができる。
【0019】
これに代え又は加え、それら計測値を別の物理特性に関わるもの、例えば未チャックのプロセスウェハ910から得られる高さマップとすること、またウェハボウイング及びウェハワーピングについての情報を含むそれとすることができる。
諸実施形態によれば、そのアセンブリがリソグラフィアセンブリ350とされ、計量ツール305が光学計測ユニット例えばスキャタロメータ又はレーザ計測ユニットとされ、それがリソグラフィアセンブリ350の露出ユニット356内に統合され又はそれとデータリンクされる。その光学計測ユニットによりプロセスウェハ910からレベリングデータを取得して、露出ユニット356の投射ツール及び/又は支持ステージを制御するコントローラへと、そのレベリングデータを送ることができる。そのコントローラによりその投射ツール及び/又は支持ステージを制御することで、局所的レベリングデータに応じ焦点位置及び/又は露出照射量を局所適合化することができる。例えば、オーバレイ計測を実行するに当たり、第1のオーバレイマークをプロセスウェハ910上に存在させることができる。その処理中に、後続諸層をそのプロセスウェハ910の上方に形成することができる。フォトレジスト層をそのプロセスウェハ910の上方に形成すること及びパターニングすることができる。更なるオーバレイマークを例えばそのフォトレジスト層内にパターニングすることができる。更なる諸実施形態によれば、プロセスウェハ910の上方に形成された諸層をパターニングすることができ、生成されるパターンに更なるオーバレイマークを含めることができる。距離を判別すること、例えばプロセスウェハ910上の第1のオーバレイマークとそのプロセスウェハ910の上方にある層又はパターン内に形成された更なるオーバレイマークとの間にてx及びy方向に沿い計測されたシフトを判別することで、そのオーバレイを評価することができる。例えば、その距離又はシフトを光学的方法により決定・判別することができる。総じて、オーバレイ計測においては、プロセスウェハ910上の第1のオーバレイマークと、そのプロセスウェハ910の上方に後刻形成されたパターン内にある相応な更なるオーバレイマークとの間で、計測が行われる。
【0020】
リソグラフィアセンブリ350の現像器ユニット358により、プロセスウェハ910を更に処理することができる。例えば、露出ユニット356による露出の後に、現像器ユニット358にてプロセスウェハ910を現像プロセスに供して露出済レジストを現像することができ、またすすぎプロセスに供して現像済レジストの露出部分を未露出部分に対し選択的に除去すること又はその逆を行うことができる。
【0021】
半導体製造アセンブリ500は、計測値を処理するプロセス制御システム200を備えるもの、例えば露出ツールにより用いられるレベリング又はオーバレイ又はCDデータを処理するそれを備えるものとすることができる。例えば、中央プロセス制御システム200を設けそれを半導体製造アセンブリ500に割り当てることができる。プロセス制御システム200は、標本化モデルモジュール210及び標本化プランモジュール220が備わるものとすることができる。更なる諸実施形態によれば、各計量ツール305,365にて、個々の計量ツール305,365により取得された計測値を処理することができる。
【0022】
標本点又は計量サイトの二次標本を画定するため及び標本化プランを修正するための計測値の具体的処理については後述する。
【0023】
総じて、ウェハモデルは、定量化可能な物理特性を1個又は複数個の位置変数の関数として閉形態にて記述するモデル関数に基づいていて、そのモデル関数の係数のうち少なくとも幾つか又は全てが変数たるものであり、幾つか又は全ての係数に係る絶対及び/又は相対境界値をそのウェハモデル内に含めることもできる。ウェハモデルはウェハ全体をカバーするものとすることができ、そのモデル関数は、プロセスウェハ910の中心点について回転対称又は点対称なものとすることも、何れの種類の回転対称性も示さないものとすることもできる。これに代え又は加え、ウェハモデルを、諸ウェハ区画をカバーするものとすること、例えば個々の露出フィールド又は露出フィールド群をカバーするものとすることもできる。
【0024】
ウェハモデルのモデル関数のうち1個に係る特定の一組の係数により、1個のウェハモデルインスタンス(ウェハモデル例)が画定・定義される。ウェハモデルインスタンスを決定するには、プロセスウェハ910の集合から取得された計測値を順次平均すればよく、その局所的平均値を計算する前に外れ値を捨てることもできる。
【0025】
ウェハモデルインスタンスによりウェハエリア全体を記述することも、あるウェハ区画を記述すること、例えば1個の露出フィールド又は露出フィールド群を記述することもできる。例えば、ウェハモデルインスタンスを、同じウェハの選抜露出フィールドを当て嵌めることで取得することも、別々のプロセスウェハ910の対応露出フィールド、即ちウェハノッチに対し同じ位置を有している対応露出フィールドを当て嵌めることで取得することもできる。そのウェハモデルインスタンスを継続的に更新することもでき、またそれを、同じ集合に割り当てられている新規プロセスウェハ毎に取得される関連物理特性のうち、そのウェハモデルインスタンスの時間特性並びにそのウェハモデルインスタンスにリンクされているプロセスの時間応答を与える特性の値で以て、行うことができる。
【0026】
プロセスウェハ910の集合を、例えば同じプロセスツールにて等価な処理に供される一組のプロセスウェハ910とすることで、特定のウェハモデルインスタンス内に特定のプロセスツールについての情報を含ませることができる。別々のプロセスツールにて等価なプロセスに供される別々な集合のプロセスウェハ910のウェハモデルインスタンス同士を比べることで、特定の位置依存プロセス又はプロセスツールシグネチャ(痕跡)をそれらウェハモデルインスタンスから抽出することができる。プロセスウェハ910の集合の更なる実施形態たりうるものに同じウェハロットのウェハ群があり、その場合は1個のウェハロットに亘る物理特性の時間変動を観測することができる。
【0027】
ウェハモデルインスタンス又はプロセスツールシグネチャにおけるトレンド(傾向)を観測及び分析することができる。ウェハモデルインスタンス及び/又はプロセスツールシグネチャにおけるトレンドの評価を制御パラメタの決定に結実させ、特定のプロセス又はプロセスツールにて生じるトレンドが少なくとも部分的に補償されるようそれら制御パラメタを適合化させることができる。それら制御パラメタを、観測したプロセス若しくはプロセスツール向けのフィードバック信号として、及び/又は、リソグラフィアセンブリ350にて処理される前にそのプロセスウェハ910が供され又はロードされる他のプロセス若しくはプロセスツール向けのフィードバック信号として、送ることもできるし、及び/又は、そのプロセスウェハ910がリソグラフィアセンブリ350退出後に到達するプロセスツール向けのフィードフォワード信号として送ることもできる。
【0028】
ウェハモデルインスタンスの係数を、プロセスウェハ910のうち最初の1個から取得された値で以て、ターゲット値で以て、或いは標本試料から取得された値で以て初期化することができる。
【0029】
図3A図3C及び図4を参照し後述される方法が実行された後、更なる計量ツール365にて、減数標本化プランを関心対象プロセスウェハ910向けに用い、或いは現在のウェハロット900の1枚又は複数枚の後続プロセスウェハ910向けに用い、プロセス情報を取得すること、例えばリソグラフィアセンブリ350にて形成されたレジストパターンについてのそれを取得することができる。
【0030】
例えば、プロセスツール308が堆積ツールでありそれによりプロセスウェハ910の表面上に層が堆積されうる場合、その堆積層を、リソグラフィアセンブリ350にて堆積、露出及び現像されるレジストを用いパターニングすることができる。計量ツール365からの計量データ、並びに更なる計量ツールからのそれも、記述されている方法を実行するのに用いることができる。その計量データは、好適なデータリンクを介しプロセス制御システム200に送ることができる。
【0031】
プロセス制御システム200の諸構成部材、例えば標本化モデルモジュール210及び標本化プランモジュール220は、ハードウェア、ソフトウェア又はその組合せの態で実現することができる。例えば、標本化モデルモジュール210及び標本化プランモジュール220のうち少なくとも一方を、記載されている機能を実行するためのコンピュータ演算を主として実行する処理ユニット、或いはそれを有するものとすることができる。他の諸実施形態によれば、標本化モデルモジュール210及び標本化プランモジュール220のうち少なくとも一方をコンピュータとし、非一時的コンピュータ可読媒体上に格納されている命令群をそれにより実行することができる。
【0032】
プロセス制御システム200及びその内部の諸サブシステムを、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器その他のデバイスが備わるものとすることができる。その又はそれらのサブシステム又はシステムを、本件技術分野で既知であり好適な何らかのプロセッサ、例えば並列プロセッサが備わるものとすることもできる。加えて、その又はそれらのサブシステム又はシステムを、スタンドアロンかネットワーク接続されたツールかを問わず、高速な処理及びソフトウェアを伴うプラットフォームが備わるものとすることができる。
【0033】
ある種の実施形態では、本願開示のプロセス制御システム200及びその内部の諸サブシステム並びに諸方法の様々なステップ、機能及び/又は動作が、電子回路、論理ゲート、マルチプレクサ、プログラマブル論理デバイス、ASIC、アナログ若しくはディジタルコントローラ/スイッチ、マイクロコントローラ又は情報処理システムのうち1個又は複数個により実行される。方法例えば本願記載のそれらを実現するプログラム命令を、キャリア媒体上で伝送させ又はキャリア媒体上に格納することができる。そのキャリア媒体に含めうるものに格納媒体、例えばリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光ディスク、不揮発性メモリ、固体メモリ、磁気テープ等がある。キャリア媒体に含めうるものに伝送媒体、例えばワイヤ、ケーブル又は無線伝送リンクがある。例えば、本件開示の随所に記載されている様々なステップを、単一のプロセッサ(又はコンピュータシステム)により実行することも、それに代え複数個のプロセス(又は複数個のコンピュータシステム)により実行することもできる。更に、プロセス制御システム200の様々なサブシステムを、1個又は複数個の情報処理又は論理システムが備わるものとすることができる。従って、上掲の記述は、本件開示に対する限定としてではなく、単なる例証として解されるべきである。
【0034】
図2Aには、12個の露出フィールド905が備わるウェハ910の例が描かれている。図2Aには、そのウェハ上で任意位置を定義するのに役立ちうる中心点901及びノッチ902も示されている。図2Aには更にウェハ910向け標本化プランの例が描かれており、これはそのウェハ910の完全又は濃密標本化が実行される際のものである。ドット907はその標本化プランにおける標本点である。以下の議論のため、全ての標本点が1個のウェハロット900のある1枚のウェハ上に配列されているものと仮定する。明瞭に理解される通り、それら複数個の標本点を、1個のウェハロット900の複数枚のウェハに亘り散在させることもできる。図2Aに描かれている通り、その標本化プランには、ウェハ910上の第1個数N(=図2Aの例では9×12個)の標本点907についての位置情報が含まれている。
【0035】
その第1個数Nの標本点907での計測値が取得される。それら計測値はウェハ910の第1物理特性に関するものであり、第1計量ツールにより計測される。諸実施形態によれば、それら計測値を第1計量ツールにより評価することや、その第1計量ツールが備わるシステムにより評価することができる。更なる諸実施形態によれば、それら計測値をプロセス制御システムに送り、そこでそのプロセスを監視及び制御させることができる。例えば、それら計測値が第1計量ツールにより評価される場合には、それら計測値の取得に際し、第1計量ツールによる第1物理特性の計測が実行される。
【0036】
その後、ウェハモデルを用いその第1個数の計測値をモデル化することで、参照モデル120に係る第1組の係数が取得される。そのウェハモデルは、定量化可能な物理特性を1個又は複数個の位置変数の関数として記述するモデル関数に基づくものである。このプロセスの一例が図2Bを参照し描かれている。
【0037】
図2Bには、半径Rを有するウェハ910から第1個数Nの標本点にて計量ツール内で取得された、第1個数Nの計測値v(r,φ)が示されている。それら標本点の位置は、中心点901までの距離rと、ウェハノッチ902を基準として定義されるアジマス角φとにより、定義することができる。計測値v(r,φ)により、ウェハボウイングがあるとき又はないときのレベリングデータ、オーバレイデータ、CDデータ或いは他の何らかの物理特性を表すことができる。破線により示されているのは点対称的な近似関数apr(r)であり、これにより、例えばルジャンドル多項式を用い、計測値v(r,φ)の分布を密形態にて近似することができる。等式(1)により、j枚目のプロセスウェハに関し近似関数apr(r)を与えることができる。
【数1】
【0038】
例えばmが0に等しく且つ計測値v(r,φ)がオーバレイデータである場合、a0,jにより例えばx又はy方向における平均シフト、或いはj枚目のプロセスウェハの構造の平均CD(「限界寸法」)が表される。標本化モデルモジュールでは、誤差関数、例えば等式(2)にて定義されている誤差関数ε(r,φ)を最小化させることにより、計測値v(r,φ)を近似することができる。
(2) ε(r,φ)=|v(r,φ)-apr(r)|
【0039】
その上で、その標本化モデルモジュールにより、1個又は複数個のウェハモデルインスタンスの係数、例えばj枚のプロセスウェハの集合sに係るウェハモデルインスタンスvmwsj(r)の係数bs,i,jを決定することができる。一例としては、その集合sを、例えば2個以上のチャックを有するリソグラフィアセンブリ内の同じチャック上で、同じ露出位置にて露出されたプロセスウェハ全てを含むものと、することができる。別の実施形態によれば、その集合sを、同じウェハロットのプロセスウェハのうち幾枚か又は全てを含むものとすることができる。係数bs,i,jの計算は等式(3)に基づき行うことができる。
【数2】
【0040】
係数を決定する方法は概ね既知であるのでこれ以上は記述しない。
【0041】
別の実施形態では、プロセスウェハの集合毎に、m及びnを非負整数とし等式(5a)及び(5b)にて定義される
【数3】
及び
【数4】
のなかから選択された、少なくとも2個のゼルニケ多項式により定義されるモデル関数vmw(r,φ)が用いられる。
【数5】
【数6】
【0042】
等式(5a)及び(5b)中、φは例えばウェハノッチを基準として定義されたアジマス角であり、rはウェハ半径に比し正規化された中心点までの距離であり、
【数7】
は等式(6a)及び(6b)にて定義される放射多項式である。
【数8】
【数9】
【0043】
ゼルニケ多項式により、それらウェハモデルインスタンスが何らかのプロセスバイアスについての情報、或いは相直交する二軸に沿いウェハの物理特性の値のティップ又はティルトをもたらす何らかの系統誤差についての情報を含むものとなるよう、ウェハモデルインスタンスの角度依存適合化を行うことができる。
【0044】
係数、例えば現在のプロセスウェハに関し記述するゼルニケ多項式の放射多項式は、等式(7)にて記述される誤差関数を最小化させることで、得ることができる。
【数10】
【0045】
プロセスウェハの集合sに係るウェハモデルインスタンスvmwsj(r,φ)には、ゼルニケ多項式
【数11】
のうち少なくとも幾つかを含めることができる。ある実施形態によれば、そのウェハモデルインスタンスvmwsj(r,φ)が、そのウェハモデルの中心点に中心がある少なくとも1個のゼルニケ多項式を含むものとされる。更なる実施形態によれば、そのウェハモデルインスタンスvmwsj(r,φ)が、アジマス角φに対する依存性を示す少なくとも2個のゼルニケ多項式を含むものとされる。別の実施形態によれば、そのウェハモデルインスタンスvmwsj(r,φ)が、少なくともゼルニケ多項式
【数12】
を含むものとされる。
【0046】
以下、図3A図3Dを参照しつつ、データ点数を低減する方法を述べることにする。
【0047】
図3Aに示されている通り、第1個数Nの標本点907のなかから第2個数Mの標本点907がランダム選抜される。第2個数Mは第1個数Nより小さい数である。例えば、第2個数Mを0.5*N以下とすることができる。更なる諸実施形態によれば、Mを0.3*N以下とすることができる。図3Aの例ではMが11に等しい。その第2個数Mが第1個数Nの標本点のなかからランダム選抜される。従って、標本点がない露出フィールド905が存在することがありうる。更に、そのなかに標本点が集まっている露出フィールド905が存在することがありうる。
【0048】
その後は、既説のウェハモデルを用い、第2個数Mの標本点907に関し計測された第2個数Mの計測値をモデル化することで、フェーズ1モデル140に係る第2組の係数が生成される。図2Bを参照し既説のプロセスが、その低減後個数の計測値に関し実行される。
【0049】
次のステップにて、参照モデル120・フェーズ1モデル140間偏差を計算することができる。例えば、それを、一般に既知な方法を用い達成することができる。例えば、この比較を、例えばグリッド上でそのウェハに亘り密に諸モデルを評価することで実行することができる。
【0050】
その後、十分な回数の反復が実行されたか否かを判別することができる。諸実施形態によれば、第2個数Mの標本点を、参照モデル120・フェーズ1モデル140間偏差が所定値未満となるまで数回に亘りランダム選抜することができる。更なる諸実施形態によれば、それらのステップを、所定時間に亘り、或いは所定回数に亘り、或いは計算された偏差がそれ以上減らなくなるまで、実行することもできる。結果として二次標本が得られる。図3Bには、以下の議論のためその二次標本の例が示されている。
【0051】
その後は、一種の精細チューニングがその二次標本、即ち減数集合をなす標本点907について実行される。その目的で、その二次標本の標本点のうち1個が、標本点907の選抜集合に含まれていないN-M個の標本点のうち1個によりランダム置換される。このことが図3Cに描かれており、そこでは図3Bにて有効な標本点であった標本点907Aが今や標本点907Bにより置換されている。結果として修正二次標本が得られる。
【0052】
その上で、その修正二次標本に備わる第2個数Mの標本点907を、既説のウェハモデルを用いモデル化することで、フェーズ2モデルに係る第3組の係数が生成される。図2Bを参照して既説のプロセスが、その修正集合をなす計測値に関し実行される。
【0053】
その後、参照モデル120・フェーズ2モデル160間の偏差が計算される。ここでも、これを一般に既知な方法を用い達成することができる。その後、先の議論と同様に、十分な回数の反復が実行されたか否かを判別することができる。諸実施形態によれば、上述のランダム置換を、参照モデル120・フェーズ2モデル160間偏差が所定値未満となるまで数回実行することができる。更なる諸実施形態によれば、これらのステップを、所定時間に亘り、或いは所定回数に亘り、或いは計算された偏差がそれ以上減らなくなるまで、実行することもできる。結果として、最終二次標本と減数標本化プランが得られる。
【0054】
その後、その最終二次標本を用い更なる計測を実行することができる。諸実施形態によれば、その最終二次標本を用い、別の計量ツールにて同じウェハ(ロット)を計測すること、例えば別の計測値を決定することができる。更なる諸実施形態によれば、その最終二次標本を用い、同じ計量ツールにて更なるウェハ(ロット)を計測することができる。
【0055】
図4では既説の方法が概括されている。既論の通り、半導体デバイスを製造する方法にて、プロセス制御システムにおける標本化プラン、特にプロセスウェハ上の第1個数Nの標本点についての位置情報を含む標本化プランを定義し(S100)、その第1個数Nの標本点にて計測値、特に第1計量ツールにより計測されたプロセスウェハの第1物理特性に関する計測値を取得し(S110)、且つウェハモデル、特にその物理特性を1個又は複数個の位置変数の関数として記述するモデル関数に基づくウェハモデルを用い、その第1個数の計測値をモデル化することで、参照モデル120に係る第1組の係数を生成する(S120)。本方法では、更に、その第1個数Nの標本点のうちM<Nたる第2個数Mをランダム選抜し(S130)、そのウェハモデルを用い、その第2個数Mの標本点にて取得された第2個数Mの計測値をモデル化することで、フェーズ1モデルに係る第2組の係数を生成し(S140)、そのM個の標本点のうち1個をN-M個の標本点のうち1個によりランダム置換することで二次標本を取得し(S150)、そのウェハモデルを用いその二次標本の計測値をモデル化することでフェーズ2モデルに係る第3組の係数を生成し(S160)、且つその二次標本の標本点を用い更なる計測を実行する(S170)。
【0056】
本方法にて、更に、参照モデル120・フェーズ1モデル140間の第1偏差を計算すること(S145)、並びに参照モデル120・フェーズ2モデル160間の第2偏差を計算すること(S165)もできる。
【0057】
諸実施形態によれば、第1個数Nの標本点のうち第2個数Mのランダム選抜(S130)と、ウェハモデルを用いその第2個数Mの計測値をモデル化することによるフェーズ1モデル140に係る第2組の係数の生成(S140)とを、所定回数のランダム選抜が実行されるまで或いは所定時間が経過するまで反復することができる。
【0058】
更なる諸実施形態によれば、第1個数Nの標本点のうち第2個数Mのランダム選抜(S130)と、ウェハモデルを用いその第2個数Mの計測値をモデル化することによるフェーズ1モデル140に係る第2組の係数の生成(S140)とを、第1偏差が所定の閾値を下回るまで反復することができる。
【0059】
なおも更なる諸実施形態によれば、第1個数Nの標本点のうち第2個数Mのランダム選抜(S130)と、ウェハモデルを用いその第2個数Mの計測値をモデル化することによるフェーズ1モデル140に係る第2組の係数の生成(S140)とを、第1偏差がそれ以上減らなくなるまで反復することができる。
【0060】
諸実施形態によれば、M個の標本点のうち1個をN-M個の標本点のうち1個によりランダム置換することによる二次標本の取得(S150)と、ウェハモデルを用いその二次標本の計測値をモデル化することによるフェーズ2モデル160に係る第3組の係数の生成(S160)とを、所定回数のランダム置換が実行されるまで或いは所定時間が経過するまで反復することができる。
【0061】
更なる諸実施形態によれば、M個の標本点のうち1個をN-M個の標本点のうち1個によりランダム置換することによる二次標本の取得(S150)と、ウェハモデルを用いその二次標本の計測値をモデル化することによるフェーズ2モデル160に係る第3組の係数の生成(S160)とを、第2偏差がそれ以上減らなくなるまで反復することができる。
【0062】
既説の方法にてMを0.9*N未満とすること、更には0.5*N未満とすることができる。例えばMを0.1*N超、例えば0.2*N超とすることができる。
【0063】
諸実施形態によれば、本方法にて更に、第1個数の計測値をモデル化する(S120)前、或いは第1個数Nの標本点のうち第2個数Mをランダム選抜する(S130)前に、N個ある計測値の個数を減少させること(S115)ができる。
【0064】
既説の通り、フェーズ1では標本位置の部分集合をランダム選抜することで最良標本の「粗」推定結果が見出される。その上で、フェーズ2にて、専ら、個々の標本位置の状態が「より精細な」サーチのため切り換えられる。
【0065】
選ばれるウェハモデルは何れの好適モデルとすることもできる。ルジャンドル多項式又はゼルニケ多項式を用いるウェハモデルを図2Bとの関連で記述したが、例えば標準的多項式モデルや以下で論ずる諸モデルのうち何れか等を含め、他の何れのモデルを用いることもできる。
【0066】
諸実施形態によれば、位置座標に依存する計測値の関数を補間又は三角形化することができる。従ってそのウェハモデルを補間モデルとすることができる。例えば、これを、線形補間、より高次な多項式を用いる補間、自然補間、スプラインモデリング例えば多項式スプラインモデリング、RBF(「動径基底関数」)補間、三角補間その他を用い達成することができる。補間をウェハモデルとして用いる際には、密なデータ、即ち初期標本化プランの計測値と、粗なデータ、即ち減数標本化プランの計測値とが、相応して補間され、グリッド上で評価され且つ比較される。例えば、補間法を用いることで、ウェハのシグネチャ(即ち標本点の位置に依存する計測値)を、多項式ウェハモデルを用いた場合のそれよりも厳密に表現することができる。
【0067】
オプション的には、その補間が実行される前にフィルタリングステップを実行することで、ノイズ又はフライヤを減らすことができる。例えば、そのフィルタリングに、生データに対する高速フーリエ変換を含めることができる。更に、平滑フィルタ例えばサヴィッキーゴレイフィルタ又はガウスフィルタを、グリッド化されたデータに対し適用することができる。
【0068】
更なる諸実施形態によれば、上述の方法が実行される前、例えば第1個数の計測値がモデル化される前や第1個数Nの標本点のうち第2個数Mがランダム選抜される前に、データを減らすことができる。より具体的には、有意性が低めな計測値を削除することができる。諸実施形態によれば、有意性が低めな計測値を、三角形分割(三角形化)法を用い削除することができる。例えば、その三角形分割法向けの入力を、生データに基づきドロネー三角形分割により生成されたメッシュ(網状情報)、例えば第1個数Nの標本点における計測値とすることができる。このメッシュは、例えば3Dグラフィクスで既知な技術により減数化することができる。結果として、その表面幾何を原メッシュに近いものに保ちつつメッシュ頂点を減らすことができる。一例としては、同様の法線ベクトルを有するファセット(小面)を統合して単一ファセットにするコプラナファセットマージング(共角小面統合)がある。他の方法にはリタイリング、エネルギ関数最適化又は頂点クラスタリング(集団化)がある。更なる諸実施形態によれば、三角形分割が実行される前に、前フィルタリングステップを実行することができる。
【0069】
更なる諸実施形態によれば、上述の方法が実行される前、例えば第1個数の計測値がモデル化される前や第1個数Nの標本点のうち第2個数Mがランダム選抜される前に、PCA(「主成分分析」)法を用いデータを減らすこともできる。この方法を実行する際には、主成分(即ちシグネチャのクラスタ)の決定が行われる。その上で、最も重要な主成分(即ちクラスタ)が、例えば第1個数の計測値のモデル化に用いられることとなる。
【0070】
1枚のプロセスウェハ上の標本点との関連で方法を説明してきた。明瞭に理解できる通り、それら標本点が数枚のウェハ、例えばある1個のウェハロットに属するそれらや別々のロットに属するそれらに亘り、散在していてもよい。結果として、ウェハ1枚当たり標本点個数を更に減らすことができる。例えば、そうした場合、そのウェハ集合により、フルウェハシグネチャの再現が可能な「結合」標本点集合をもたらすことができる。加えて、それら標本点を別々の時点で採取することもできる。
【0071】
更なる諸実施形態によれば、上述のプロセスを、別々の選別による第2個数Mの標本点を用い複数回実行することができる。結果として、別々な標本化プランを生成することができる。複数個の標本化プランをもとに、例えば、「重要度」を標本点又はマーク毎に評価することができる。この情報を用い、それら標本点をランク付けし且つ多くの標本化プランに亘り分布させること(「動的標本化」)ができ、それにより最終的に、経時的により完全な点集合をもたらすことができる。経時的な複数回の標本化最適化実行を用いることで、その安定性を高めることができる。
【0072】
更なる諸実施形態によれば、プロセスウェハ上の第1個数Nの標本点の数回選択を用いることができる。例えば、それらN個の標本点の位置を変化させることができる。計測値を、その第1個数Nの標本点にて取得することができる。その後は、既説の通り、その第1個数Nの標本点のうちM<Nたる第2個数Mのランダム選抜を実行することができる。ここでも、別選抜のM個を採取することができる。結果として、それらN個の標本点の位置を変化させることができ、オプション的には更に、Mの選抜を変化させることができる。これらの手順により、そのプロセスの安定度をチェックすることができる。更に、それらマークの重要度をチェックすることができる。
更なる諸実施形態によれば、プロセスウェハ上の第1個数Nの標本点の別様選択を用いることができる。
【0073】
更に、別選抜のM個を採取することができる。その上で、その処理ツールのユーザ又はオペレータが、適切な標本点集合を選ぶことができる。
【0074】
明瞭に理解される通り、上述した様々なモデル及び方法を必要に応じ組み合わせることができる。
【0075】
上述の方法を用いることで、標本点の個数を減らすことができる。とりわけ、第1個数Nの標本点のうち第2個数Mの標本点がランダム選抜される。結果として、標本点の個数が例えばN-1、N-2等へと段階的に低減される方法と比べ、標本点の個数をかなり減らすことができる。Mを0.9*N未満、更には0.5*N未満とすることで、標本点の個数が大きく低減される。結果として、計測時間を節約することができる。例えば、上述の方法によって、可能な限り少数の標本点によるウェハパターンの正確な表現が可能になる。即ち、標本化の正確性を改善することができる。
【0076】
本願記載の方法は、特定のウェハモデルに拘束されることなく実行することができる。即ち、本方法は、最適化のためモデルを選ぶ必要なしで実行することができる。例えば、計測値のモデル化を、補間又は三角形分割を用い実行することができる。結果として、本方法を更に自動化することができる。更に、そのシグネチャが経時変化する場合でも、選ばれている多項式モデルの更新を実行する必要がない。とりわけ、補間モデルがウェハモデルとして選ばれている場合、計測値のトポグラフィをより厳密にモデル化することができる。結果として本方法の正確性が高まる。PCAが実行される場合も、減数標本化プランにより、高い変動度を有する諸点に的を絞ることが可能となろう。結果として、そのモデルの更なる安定性を達成することができる。
【0077】
述べてきた通り、記載されている方法では様々なウェハモデルを用いることができる。従って、そのデータの補間モデルや三角形分割やPCAを用いることができる。標本化を自動更新することができる。
【0078】
記載されている方法によれば、標本化が減数される際にシグネチャの特性(例.急峻な勾配)が保たれるようにすることが可能となる。例えば、これを、三角形分割に依拠する標本化を用い達成することができる。
【0079】
計測時間が短縮されるため、記載されている方法をより頻繁に用いることが可能になる。更に、その方法全体を自動実行することができ、且つ標本化を自動更新することができる。標本化最適化を頻繁に用いることで、マーク又は標本点の荷重を評価することができる。その荷重即ち「重要度」を用い、経時的により効率的な動的標本化を行うことができる。例えば、その標本化のうちある特定の比率例えば50%を、最も「重要」なマーク又は標本点を用い定常保持することができる。上述の方法に発するランキングに基づき他のマークを動的に標本化することができる。
【0080】
本発明の諸実施形態につき上述したが、自明な通り、更なる諸実施形態を実現することができる。例えば、更なる諸実施形態を、特許請求の範囲にて言及されている諸特徴の何らかのサブコンビネーションを備えるものや、上述の諸例にて述べられている諸要素の何らかのサブコンビネーションを備えるものとすることができる。従って、別紙特許請求の範囲の神髄及び技術的範囲は、本願に内在している諸実施形態の記述に限定されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】