(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/00 20060101AFI20231108BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20231108BHJP
C08J 9/08 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B29C45/00
B29C44/00 D
C08J9/08 CFG
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023519857
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021076782
(87)【国際公開番号】W WO2022069538
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】デボワ,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4F074
4F206
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA71
4F074AC02
4F074AC11
4F074AC34
4F074AD13
4F074AE04
4F074AG01
4F074AG03
4F074AG06
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4F206AA29
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4F206AB05
4F206AB06
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4F206AB11
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4F206AR02
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4F206JM13
4F206JN13
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4F214AA30
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4F214AB07
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4F214AB25
4F214AP02
4F214AP05
4F214AR02
4F214AR06
4F214UA08
4F214UB01
4F214UL11
4F214UL21
(57)【要約】
本発明は、以下のステップa)~d)を含む成形品(MA)を製造方法に関する。ステップa)では、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む流動性組成物(FC)が提供される。ステップb)では、ステップa)で提供された流動性組成物(FC)は、第1圧力(p1)で型に射出される。ステップc)では、ステップb)で射出された流動性組成物(FC)は保持圧力(p2)で冷却されて成形品(MA)を得、ここで、保持圧力(p2)は、第1圧力(p1)より低い。ステップd)では、成形品(MA)が、型から取り出される。本発明はさらに、成形品(MA)の反りを低減するための、成形品(MA)の製造における少なくとも1つの発泡ガス(C)の使用に関し、該成形品(MA)は少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)を含む。さらに、本発明はまた、本発明の方法によって得られる成形品(MA)にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップa)~d)
a)少なくとも以下の成分(A)~(C)
(A)少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと、
(B)少なくとも1つの強化繊維と、
(C)少なくとも1つの発泡ガスと、
を含む流動性組成物(FC)を提供するステップと、
b)ステップa)で提供された前記流動性組成物(FC)を、第1圧力(p
1)で型に射出するステップと、
c)ステップb)で射出された前記流動性組成物(FC)を保持圧力(p
2)で冷却して成形品(MA)を得るステップであって、前記保持圧力(p
2)は前記第1圧力(p
1)より低い、ステップと、
d)前記成形品(MA)を前記型から取り出すステップと、
を含む、成形品(MA)の製造方法。
【請求項2】
ステップc)で得られた前記成形品(MA)は、ステップa)で提供された前記流動性組成物(FC)よりも少ない前記少なくとも1つの発泡ガス(C)を含み、好ましくは、ステップc)で得られた前記成形品(MA)は、前記成形品(MA)の総体積に基づいて、0~3体積%の範囲の前記少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)において、前記第1圧力(p
1)は、500~2500バールの範囲である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップc)において、前記保持圧力(p
2)は、400~1500バールの範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)において、前記流動性組成物(FC)は、150~400℃の範囲の温度で前記型に射出される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップb)おいて前記流動性組成物(FC)が射出される前記型は、20~120℃の範囲の温度T
Mを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリスチレン及びポリオキシメチレンからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)は、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド6/66(PA6/66)、ポリアミド66/6(PA66/6)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド6/6T(PA6/6T)、ポリアミド6T/6I(PA6T/6I)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド4T(PA4T)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド1010(PA1010)及びポリアミド1212(PA1212)からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの強化繊維(B)は、天然繊維、玄武岩繊維、アラミド繊維、ガラス繊維及びカーボンファイバからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの強化繊維(B)は、ガラス繊維から選択され、前記ガラス繊維の長さと前記ガラス繊維の直径の比は20:1~30:1の範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの発泡ガス(C)は、窒素、二酸化炭素及び一酸化炭素からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップa)において、前記流動性組成物(FC)は、前記流動性組成物(FC)の総体積に基づいて、0.01~10体積%の範囲の前記少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記流動性組成物(FC)は、少なくとも以下の成分(A)、(B)及び(C
*)、
(A)少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと、
(B)少なくとも1つの強化繊維と、
(C
*)少なくとも1つの発泡剤と、
を含むポリマー組成物(PC)を押出機で合成することにより提供され、ここで、前記少なくとも1つの発泡剤(C
*)は、少なくとも前記成分(A)~(C)を含む前記流動性組成物(FC)を得るために、分解されて前記少なくとも1つの発泡ガス(C)を得る、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの発泡剤(C
*)は、ガス放出ポリマー、ガス放出添加剤及びそれらからの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマー組成物(PC)は、いずれの場合も前記ポリマー組成物(PC)の総質量に基づいて、35~99.98質量%の範囲の成分(A)、0.01~60質量%の範囲の成分(B)、及び0.01~5質量%の範囲の成分(C
*)を含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記流動性組成物(FC)は、少なくとも1つのカーボンブラック(D)をさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記流動性組成物(FC)は、安定剤、染料、顔料、耐衝撃性改良剤、難燃剤及び可塑剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる添加剤(E)を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
成形品(MA)の反りを低減するための、成形品(MA)の製造における少なくとも1つの発泡ガス(C)の使用であって、前記成形品(MA)は少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)を含む、少なくとも1つの発泡ガス(C)の使用。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法によって得られる成形品(MA)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下のステップa)~d)を含む成形品(MA)を製造方法に関する。ステップa)では、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む流動性組成物(FC)が提供される。ステップb)では、ステップa)で提供された流動性組成物(FC)は、第1圧力(p1)で型に射出される。ステップc)では、ステップb)で射出された流動性組成物(FC)は保持圧力(p2)で冷却されて成形品(MA)を得、ここで、保持圧力(p2)は、第1圧力(p1)より低い。ステップd)では、成形品(MA)が、型から取り出される。本発明はさらに、成形品(MA)の反りを低減するための、成形品(MA)の製造における少なくとも1つの発泡ガス(C)の使用に関し、該成形品(MA)は少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)を含む。さらに、本発明はまた、本発明の方法によって得られる成形品(MA)にも関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマー、特に半結晶性熱可塑性ポリマーは、一般に、その非常に優れた機械的特性のために、工業的に特に重要なポリマーである。特に、それらは高強度(strength)、剛性(stiffness)、及び靭性(toughness)、良好な耐薬品性、及び高い耐摩耗性(abrasion resistance)及び耐トラッキング性(tracking resistance)を有している。これらの特性は、特に射出成形品の製造に重要である。
【0003】
しかしながら、射出成形された熱可塑性ポリマー、特に強化繊維を含む熱可塑性ポリマーは、一般に冷却中に望ましくない異方性収縮を示し、これは縦方向(平行収縮)よりも横方向(垂直収縮)の方が収縮することを意味し、結果として得られる成形品は多くの場合、いくつかの用途、特に自動車又は電子産業でのいくつかの用途には不適切な反りの増加を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、減少された反りと、良好な機械的特性とを有する成形品を製造するための改善された方法を提供することである。さらに、非常に簡単で安価な方法で成形品を製造することが可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明に従って成形品(MA)の製造方法によって達成され、該方法は、以下のステップa)~d)
a)少なくとも以下の成分(A)~(C)
(A)少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと、
(B)少なくとも1つの強化繊維と、
(C)少なくとも1つの発泡ガスと、
を含む流動性組成物(FC)を提供するステップと、
b)ステップa)で提供された前記流動性組成物(FC)を、第1圧力(p1)で型に射出するステップと、
c)ステップb)で射出された前記流動性組成物(FC)を保持圧力(p2)で冷却して成形品(MA)を得るステップであって、前記保持圧力(p2)は前記第1圧力(p1)より低い、ステップと、
d)前記成形品(MA)を前記型から取り出すステップと、
を含む。
【0006】
驚くべきことに、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)を含む、成形品(MA)の製造における少なくとも1つの発泡ガス(C)の使用は、従来技術の成形品と比較して低減された反りを有する成形品(MA)をもたらすことが見出された。
【0007】
冷却中、成形品(MA)の縦方向の収縮(平行収縮)は驚くべきことに増加し、横方向の収縮(垂直収縮)はほとんど変化しない。
【0008】
さらに、本発明成形品(MA)は、高い引張弾性率(tensile modulus of elasticity)及び高い引張強度(tensile strength)のような良好な機械的特性を示すことが見出された。
【0009】
本発明による成形品(MA)の製造方法については、以下でより詳細に説明される。
【0010】
流動性組成物(FC)
本発明によれば、流動性組成物(FC)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む。
【0011】
本発明の文脈で「少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)」は、正確に1つの熱可塑性ポリマー(A)を意味するか、さもなければ2つ以上の熱可塑性ポリマー(A)の混合物のいずれかを意味すると理解されるべきである。
【0012】
同じことが「少なくとも1つの強化繊維(B)」及び「少なくとも1つの発泡ガス(C)」に当てはまる。本発明の文脈で「少なくとも1つの強化繊維(B)」は、正確に1つの強化繊維(B)を意味するか、さもなければ2つ以上の強化繊維(B)の混合物のいずれかを意味すると理解されるべきである。さらに、本発明の文脈では、「少なくとも1つの発泡ガス(C)」は、正確に1つの発泡ガス(C)を意味するか、さもなければ2つ以上の発泡ガス(C)の混合物のいずれかを意味すると理解されるべきである。
【0013】
流動性組成物(FC)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡剤(C)を任意の所望の量で含むことができる。
【0014】
流動性組成物(FC)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡ガス(C)の体積パーセントの合計に基づいて、好ましくは流動性組成物(FC)の総体積に基づいて、0.01~10体積%の範囲の少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む場合が好ましい。
【0015】
流動性組成物(FC)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡ガス(C)の体積パーセントの合計に基づいて、好ましくは流動性組成物(FC)の総体積に基づいて、0.1~8体積%の範囲の少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む場合が特に好ましい。
【0016】
流動性組成物(FC)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡ガス(C)の体積パーセントの合計に基づいて、好ましくは流動性組成物(FC)の総体積に基づいて、0.5~5体積%の範囲の少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む場合が最も好ましい。
【0017】
したがって、本発明はまた、ステップa)において、流動性組成物(FC)が、流動性組成物(FC)の総体積に基づいて、0.01~10体積%の範囲の少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む、成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0018】
その結果、流動性組成物(FC)は、好ましくは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡ガス(C)の体積パーセントの合計に基づいて、好ましくは流動性組成物(FC)の総体積に基づいて、90~99.99体積%の範囲の少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)を含む。
【0019】
特に好ましくは、流動性組成物(FC)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡ガス(C)の体積パーセントの合計に基づいて、好ましくは流動性組成物(FC)の総体積に基づいて、92~99.9体積%の範囲の少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)を含む。
【0020】
最も好ましくは、流動性組成物(FC)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡ガス(C)の体積パーセントの合計に基づいて、好ましくは流動性組成物(FC)の総体積に基づいて、95~99.5体積%の範囲の少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)を含む。
【0021】
さらに、流動性組成物(FC)は、好ましくは、いずれの場合も少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)の質量パーセントの合計に基づいて、成分(A)を36から99.99質量%の範囲で、かつ成分(B)を0.01から64質量%の範囲で含む。
【0022】
流動性組成物(FC)は、より好ましくは、いずれの場合も少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)の質量パーセントの合計に基づいて、成分(A)を47.5~89.99質量%の範囲で、かつ成分(B)を10.01~52.5質量%の範囲で含む。
【0023】
流動性組成物(FC)は、最も好ましくは、いずれの場合も少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)の質量パーセントの合計に基づいて、成分(A)を58.5~79.96質量%の範囲、かつ成分(B)を20.04~41.5質量%の範囲で含む。
【0024】
流動性組成物(FC)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡ガス(C)に加えて、少なくとも1つのカーボンブラック(D)をさらに含むことができる。
【0025】
したがって、本発明はまた、流動性組成物(FC)が少なくとも1つのカーボンブラック(D)をさらに含む成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0026】
さらに、流動性組成物(FC)は少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)、少なくとも1つの発泡ガス(C)及び任意に少なくとも1つのカーボンブラック(D)に加えて、少なくとも1つのさらなる添加剤(E)を含むことができる。
【0027】
本発明の文脈では、「少なくとも1つのカーボンブラック(D)」は、正確に1つのカーボンブラック(D)、又は2つ以上のカーボンブラック(D)の混合物のいずれかを意味すると理解される。本発明の文脈では、「少なくとも1つのさらなる添加剤(E)」は、正確に1つのさらなる添加剤(E)、又は2つ以上のさらなる添加剤(E)の混合物のいずれかを意味すると理解される。
【0028】
流動性組成物(FC)が少なくとも1つのカーボンブラック(D)を含む場合、流動性組成物(FC)は、いずれの場合も、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)、少なくとも1つのカーボンブラック(D)及び任意に少なくとも1つのさらなる添加剤(E)の質量パーセントの合計に基づいて、例えば、0.01~5.5質量%の範囲、好ましくは0.1~4.5質量%の範囲、最も好ましくは0.3~3.5の範囲の少なくとも1つのカーボンブラック(D)を含む。
【0029】
ポリマー組成物(PC)が少なくとも1つのさらなる添加剤(E)を含む場合、ポリマー組成物(PC)は、いずれの場合も、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)、少なくとも1つのさらなる添加剤(E)及び任意に少なくとも1つのカーボンブラック(D)の質量パーセントの合計に基づいて、例えば、0.1~2.5質量%の範囲、好ましくは0.2~2質量%の範囲、最も好ましくは0.5~1.5の範囲の1つのさらなる添加剤(E)を含む。
【0030】
流動性組成物(FC)が少なくとも1つのカーボンブラック(D)及び/又は少なくとも1つのさらなる添加剤(E)を含む場合、流動性組成物(FC)中に存在する少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)の質量%値は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び、任意に少なくとも1つのカーボンブラック(D)及び/又は少なくとも1つのさらなる添加剤(E)の質量%値の合計が100%になるように、対応して低下することが理解されるべきである。
【0031】
熱可塑性ポリマー(成分(A))
流動性組成物(FC)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)を含む。
【0032】
適切な熱可塑性ポリマー(A)は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリスチレン及びポリオキシメチレンからなる群から選択される。
【0033】
したがって、本発明はまた、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)が、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリスチレン及びポリオキシメチレンからなる群から選択される成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0034】
適切なポリアミド(A)は、一般に、70~350ml/g、好ましくは70~240ml/gの粘度数を有する。粘度数は、ISO307に従って、25℃で96質量%の硫酸中のポリアミド(A)の0.5質量%溶液から、本発明に従って決定される。
【0035】
好ましいポリアミド(A)は、半結晶性ポリアミドである。適切なポリアミド(A)は、500~2000000g/molの範囲、好ましくは5000~500000g/molの範囲、特に好ましくは10000~100000g/molの範囲の質量平均分子量(MW)を有する。質量平均分子量(Mw)は、ASTM D4001に従って決定される。
【0036】
適切なポリアミド(A)は、例えば、7~13個の環員を有するラクタムに由来するポリアミド(A)を含む。適切なポリアミド(A)は、ジカルボン酸とジアミンとの反応によって得られるポリアミド(A)がさらに含む。
【0037】
ラクタムに由来するポリアミド(A)の例には、ポリカプロラクタム、ポリカプリロラクタム及び/又はポリラウロラクタムに由来するポリアミドが含まれる。
【0038】
適切なポリアミド(A)は、ω-アミノアルキルニトリルから得られるものをさらに含む。好ましいω-アミノアルキルニトリルはポリアミド6をもたらすアミノカプロニトリルである。さらに、ジニトリルはジアミンと反応させることができる。ここで、アジポジニトリルとヘキサメチレンジアミンが好ましく、これらは重合してポリアミド66を得られる。ニトリルの重合は、水の存在下で行われ、直接重合としても知られている。
【0039】
ジカルボン酸とジアミンから得られるポリアミド(A)を用いる場合、4~36個の炭素原子、好ましくは6~12個の炭素原子、特に好ましくは6~10個の炭素原子を有するジカルボン酸アルカン(脂肪族ジカルボン酸)を採用することができる。芳香族ジカルボン酸もまた適切である。
【0040】
ジカルボン酸の例には、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、さらにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸が含まれる。
【0041】
適切なジアミンとしては、例えば4~36個の炭素原子を有するアルカンジアミン、好ましくは6~12個の炭素原子を有するアルカンジアミン、特に6~8個の炭素原子を有するアルカンジアミン、及び芳香族ジアミン、例えば、m-キシリレンジアミン、ジ(4-アミノフェニル)メタン、ジ(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)-プロパン、2,2-ジ(4-アミノシクロヘキシル)プロパン及び1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンなどが含まれる。
【0042】
好ましいポリアミド(A)は、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド及びポリカプロラクタム、さらにコポリアミド6/66であり、特にカプロラクタム単位の割合が5~95質量%を有するものである。
【0043】
また、上記及び下記のモノマーの2つ以上の共重合によって得られるポリアミド(A)、又は任意の所望の混合比での複数のポリアミド(A)の混合物も好適である。特に好ましい混合物は、ポリアミド66と他のポリアミド(A)との混合物、特にコポリアミド6/66である。
【0044】
適切なポリアミド(A)は、したがって、脂肪族、半芳香族又は芳香族ポリアミド(A)である。「脂肪族ポリアミド」という用語は、ポリアミド(A)が脂肪族モノマーのみから構成されることを意味すると理解されるべきである。「半芳香族ポリアミド」という用語は、ポリアミド(A)が脂肪族及び芳香族モノマーの両方から構成されることを意味すると理解されるべきである。「芳香族ポリアミド」という用語は、ポリアミド(A)が芳香族モノマーのみから構成されることを意味すると理解されるべきである。
【0045】
以下の網羅的でないリストは、上記のものを含み、さらに、本発明による方法で使用するのに適したポリアミド(A)、及び存在するモノマーを含む。
【0046】
ABポリマー:
PA4 ピロリドン
PA6 ε-カプロラクタム
PA7 エナントラクタム
PA8 カプリロラクタム
PA9 9-アミノペラルゴン酸
PA11 11-アミノウンデカン酸
PA12 ラウロラクタム
AA/BBポリマー:
PA46 テトラメチレンジアミン、アジピン酸
PA66 ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸
PA69 ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸
PA610 ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸
PA612 ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸
PA613 ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA1010 デカン-1,12-ジアミン、セバシン酸
PA1212 ドデカン-1,12-ジアミン、デカンジカルボン酸
PA1313 トリデカン-1,13-ジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA4T テトラメチレンジアミン、テレフタル酸
PA6T ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA9T ノニルジアミン、テレフタル酸
PA MXD6 m-キシリレンジアミン、アジピン酸
PA6I ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸
PA6-3-T トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA6/6T (PA6及びPA6Tを参照されたい)
PA6/66 (PA6及びPA66を参照されたい)
PA66/6 (PA66及びPA6を参照されたい)
PA6/12 (PA6及びPA12を参照されたい)
PA66/6/610 (PA66、PA6及びPA610を参照されたい)
PA6I/6T (PA6I及びPA6Tを参照されたい)
PA PACM12 ジアミノジシクロヘキシルメタン、ラウロラクタム
PA6I/6T/PACM PA6I/6T及びジアミノジシクロヘキシルメタンとして
PA12/MACMI ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、イソフタル酸
PA12/MACMT ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、テレフタル酸
PA PDA-T フェニレンジアミン、テレフタル酸
【0047】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのポリアミド(A)は、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド6/66(PA6/66)、ポリアミド66/6(PA66/6)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド6/6T(PA6/6T)、ポリアミド6T/6I(PA6T/6I)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド4T(PA4T)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド1010(PA1010)及びポリアミド1212(PA1212)からなる群から選択される。
【0048】
したがって、本発明はまた、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)が、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド6/66(PA6/66)、ポリアミド66/6(PA66/6)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド6/6T(PA6/6T)、ポリアミド6T/6I(PA6T/6I)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド4T(PA4T)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド1010(PA1010)及びポリアミド1212(PA1212)からなる群から選択される成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0049】
適切なポリエステルは、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリエチレンテレフタレート(PET)である。適切なポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及びそれらのコポリマーである。適切なポリウレタンは、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。適切なポリエーテルは、例えば、プロピレンオキシド(PPO)である。適切なポリスルホンは、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSU)及びポリフェニレンスルホン(PPSU)である。
【0050】
強化繊維(成分(B))
流動性組成物(FC)は、少なくとも1つの強化繊維(B)を含む。
【0051】
適切な強化繊維(B)は、天然繊維、玄武岩繊維、アラミド繊維、ガラス繊維及びカーボンファイバからなる群から選択され、好ましくはガラス繊維から選択される。
【0052】
したがって、本発明はまた、少なくとも1つの強化繊維(B)が、天然繊維、玄武岩繊維、アラミド繊維、ガラス繊維及びカーボンファイバからなる群から選択される成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0053】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの強化繊維(B)はガラス繊維から選択され、ガラス繊維の長さとガラス繊維の直径の比は20:1~30:1の範囲であり、ガラス繊維の長さとガラス繊維の直径は、灰化後の試料の画像評価によって顕微鏡により決定され、灰化後のガラス繊維の少なくとも70000部の評価が行われる。
【0054】
したがって、本発明はまた、少なくとも1つの強化繊維(B)がガラス繊維から選択され、ガラス繊維の長さとガラス繊維の直径の比は20:1~30:1の範囲である成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0055】
発泡ガス(C成分)
流動性組成物(FC)は、少なくとも1つの発泡ガス(C)を含んでいる。
【0056】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの発泡ガス(C)は、窒素、二酸化炭素及び一酸化炭素からなる群から選択される。
【0057】
したがって、本発明はまた、少なくとも1つの発泡ガス(C)が、窒素、二酸化炭素及び一酸化炭素からなる群から選択される成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0058】
この場合、少なくとも1つの発泡ガス(C)は、好ましくは、少なくとも1つの発泡剤(C*)を分解することによって得られる。
【0059】
適切な発泡剤(C*)は、ガス放出ポリマー、ガス放出添加剤及びそれらからの混合物からなる群から選択される。
【0060】
したがって、本発明はまた、少なくとも1つの発泡剤(C*)が、ガス放出ポリマー、ガス放出添加剤及びそれらからの混合物からなる群から選択される成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0061】
適切なガス放出ポリマーは、室温で固体であり、加熱すると特定の温度で分解し、窒素、二酸化炭素又は一酸化炭素などの発泡ガスを放出するポリマーである。特に適したガス放出ポリマーの例は、Cray ValleyからSMA(登録商標)3000の商品名で購入することができるスチレン-無水マレイン酸-コポリマーがある。
【0062】
適切なガス放出添加剤は、一般に、室温で粉末又はペレット状であり、加熱すると特定の温度で分解し、窒素、二酸化炭素又は一酸化炭素などの発泡ガスを放出する低分子量の無機又は有機化合物である。無機ガス放出添加剤の例は、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アジ化カルシウムである。有機ガス放出添加剤の例は、アゾ化合物、N-ニトロソ化合物及びスルホニルヒドラジドである。
【0063】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの発泡ガス(C)は、炭化水素から選択される。適切な炭化水素の例は、イソ-ブタン、シクロペンタン及びイソ-ペンタンである。
【0064】
この場合、少なくとも1つの発泡ガス(C)は、少なくとも1つの発泡剤(C*)を分解することによって得られるものではない。
【0065】
少なくとも1つの発泡ガス(C)は、成形品(MA)の反りを低減するために成形品(MA)の製造で使用される。
【0066】
したがって、本発明はまた、成形品(MA)の反りを低減するための、成形品(MA)の製造における少なくとも1つの発泡ガス(C)の使用をも提供し、該成形品(MA)は少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)を含む。
【0067】
カーボンブラック(成分(D))
一実施形態では、流動性組成物(FC)は、少なくとも1つのカーボンブラック(D)をさらに含む。
【0068】
したがって、本発明はまた、流動性組成物(FC)が少なくとも1つのカーボンブラック(D)をさらに含む成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0069】
好ましくは、少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面層が、該少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面層の総質量に基づいて、2質量%以下の酸素を含み、該表面層中の酸素の質量は、X線光電子分光法によって2~10nmのX線透過深さで測定される。
【0070】
「表面層」という用語は、当業者には既知である。
【0071】
本発明の文脈では、「表面層」という用語は、X線透過深さによって決定され、少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面と、少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面から2~10nmの距離の間の層を意味する。
【0072】
少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面層が、該少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面層の総質量に基づいて、1.5質量%以下の酸素を含み、表面層中の酸素の質量がX線光電子分光法によって2~10nmのX線透過深さで測定されることがより好ましい。
【0073】
少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面層が、該少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面層の総質量に基づいて、1.25質量%以下の酸素を含み、表面層中の酸素の質量がX線光電子分光法によって2~10nmのX線透過深さで測定されることが最も好ましい。
【0074】
さらに、少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面層が、成分(D)の表面層の総質量に基づいて、1質量%以下の窒素を含み、表面層中の窒素の質量がX線光電子分光法によって2~10nmのX線透過深さで測定されることが好ましい。
【0075】
少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面層が、成分(D)の表面層の総質量に基づいて、0.8質量%以下の窒素を含み、表面層中の窒素の質量がX線光電子分光法によって2~10nmのX線透過深さで測定されることがより好ましい。
【0076】
少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面層が、成分(D)の表面層の総質量に基づいて、0.6質量%以下の窒素を含み、表面層中の窒素の質量がX線光電子分光法によって2~10nmのX線透過深さで測定されることが最も好ましい。
【0077】
流動性組成物(FC)に好ましくは含まれる少なくとも1つのカーボンブラック(D)の表面層に含まれる酸素及び窒素の質量パーセントは、X線光電子分光法(XPS)により決定される。
【0078】
X線光電子分光法(XPS)は、試料(この場合は少なくとも1つのカーボンブラック(D)の試料)内に存在する元素の元素組成、実験式、化学状態、電子状態を測定することができる定量分光学的手法である。試料にX線ビームを照射し、同時に試料の表面層から逃げる電子の運動エネルギーと数を測定することで、XPSスペクトルを得ることができる。この場合、X線の透過深さが2~10nmであり、これは電子が試料表面から2~10nm以下の深さから逃げることができることを意味する。XPS分析は、一般的に単色アルミニウムKot(AlKa)X線を採用し、これはアルミニウムアノード表面に集束電子ビームを照射することによって発生させることができる。生成されたAlKa X線の一部は、集光モノクロメータによってインターセプトされ、狭いX線エネルギーバンドが試料表面の分析部位に集束される。試料表面でのAlKa X線のX線束は、電子ビーム電流、アルミニウムアノード表面の厚さと完全性、結晶品質、サイズ、モノクロメータの安定性に依存する。
【0079】
カーボンブラックは、原則として当業者に知られている。
【0080】
流動性組成物(FC)に好ましくは含まれる少なくとも1つのカーボンブラック(D)は、一般にふるい残渣(sieve residue)が少なく、体積抵抗が低く、かさ密度が低い。
【0081】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのカーボンブラック(D)は、50ppm未満、好ましくは20ppm未満、より好ましくは10ppm未満の325メッシュのふるい残渣を有する。ふるい残渣は、ASTM D1514-00に従って決定される。
【0082】
さらに、少なくとも1つのカーボンブラック(D)は、好ましくは100Ω*cm未満、より好ましくは50Ω*cm未満、最も好ましくは20Ω*cm未満の体積抵抗を有する。
【0083】
少なくとも1つのカーボンブラック(D)は、好ましくは300g/L未満、より好ましくは200g/L未満のかさ密度を有する。かさ密度は、ASTM D1513-99に従って決定される。
【0084】
少なくとも1つのカーボンブラック(D)は、任意の所望の形態で存在することができる。成分(D)が粉末の形態で存在する場合が好ましい。成分(DB)が、5~70nmの範囲、より好ましくは10~60nmの範囲、最も好ましくは15~50nmの範囲の平均粒径(D50値)を有する粉末として存在する場合が、特に好ましい。
【0085】
本発明の文脈では、「D50値」は、粒子の総体積に基づく粒子の50体積%の粒子サイズがD50値より小さいか等しく、粒子の総体積に基づく粒子の50体積%の粒子サイズがD50値より大きいことを意味すると理解されるべきである。
【0086】
適切なカーボンブラックは、例えば部分燃焼カーボンブラックである。
【0087】
部分燃焼カーボンブラックは、好ましくは部分的にグラファイト構造を有し、好ましくは低速度、クエンチなし及び添加物なしによる炭素化学及び石油化学オリジンの部分オイル酸化に基づく方法によって製造される。
【0088】
さらなる添加剤(成分(E))
一実施形態では、流動性組成物(FC)は、少なくとも1つのさらなる添加剤(E)をも含む。
【0089】
適切なさらなる添加剤(E)は、それ自体当業者に知られている。さらなる添加剤(E)は、好ましくは、安定剤、染料、顔料、耐衝撃性改良剤、難燃剤及び可塑剤からなる群から選択される。
【0090】
したがって、本発明はまた、流動性組成物(FC)が、安定剤、染料、顔料、耐衝撃性改良剤、難燃剤及び可塑剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる添加剤(E)を含む成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0091】
適切な安定剤は、例えば、フェノール、タルク、アルカリ土類金属ケイ酸塩、立体障害フェノール、ホスファイト及びアルカリ土類金属グリセロホスフェートである。
【0092】
適切な染料及び顔料は、例えば、遷移金属酸化物又はニグロシンである。
【0093】
適切な耐衝撃性改良剤は、例えば、エチレンプロピレン(EPM)又はエチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム又は熱可塑性ウレタンに基づくポリマー、及びアイオノマー又はスチレンに基づくゴムである。
【0094】
適切な難燃剤は、例えば、メラミンシアヌレート、アルミニウム誘導体、マグネシウム誘導体及びハロゲン化物である。
【0095】
好適な可塑剤は、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル、炭化水素油、N-(n-ブチル)-ベンゼンスルホンアミドならびにオルト-及びパラ-トリルスルホンアミドである。
【0096】
流動性組成物(FC)の提供(ステップa))
ステップa)では、少なくとも以下の成分(A)~(C)、
(A)少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと、
(B)少なくとも1つの強化繊維と、
(C)少なくとも1つの発泡ガスと、
を含む流動性組成物(FC)が提供される。
【0097】
流動性組成物(FC)は、当業者に知られている任意の方法によって提供されることができる。
【0098】
好ましくは、合成によって提供される。
【0099】
合成方法は、当業者に知られている。
【0100】
例えば、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)、少なくとも1つの発泡ガス(C)、及び任意に少なくとも1つのカーボンブラック(D)及び/又は少なくとも1つのさらなる添加剤(E)は、押出機で合成されることができる。
【0101】
したがって、本発明はまた、少なくとも成分(A)~(C)を含む流動性組成物(FC)を得るために、流動性組成物(FC)が、少なくとも以下の成分(A)~(C):
(A)少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと、
(B)少なくとも1つの強化繊維と、
(C)少なくとも1つの発泡ガスと、
を、押出機で合成することによって提供される、成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0102】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの発泡ガス(C)は、少なくとも1つの発泡剤(C*)を分解することによって得られる。
【0103】
この場合、流動性組成物(FC)は、少なくとも以下の成分(A)、(B)及び(C*)、
(A)少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと、
(B)少なくとも1つの強化繊維と、
(C*)少なくとも1つの発泡剤と、
を含むポリマー組成物(PC)を押出機で合成することにより提供され、ここで、少なくとも1つの発泡剤(C*)は、少なくとも成分(A)~(C)を含む流動性組成物(FC)を得るために、分解されて少なくとも1つの発泡ガス(C)を得る。
【0104】
したがって、本発明はまた、流動性組成物(FC)が、少なくとも以下の成分(A)、(B)及び(C*)、
(A)少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと、
(B)少なくとも1つの強化繊維と、
(C*)少なくとも1つの発泡剤と、
を含むポリマー組成物(PC)を押出機で合成することにより提供される成形品(MA)の製造方法をも提供し、ここで、少なくとも1つの発泡剤(C*)は、少なくとも成分(A)~(C)を含む流動性組成物(FC)を得るために、分解されて少なくとも1つの発泡ガス(C)を得る。
【0105】
この場合、ポリマー組成物(PC)が、いずれの場合も少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡剤(C*)の質量パーセントの合計に基づいて、好ましくはポリマー組成物(PC)の総質量に基づいて、35~99.98質量%の範囲の少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、0.01~60質量%の範囲の少なくとも1つの強化繊維(B)、及び0.01~5質量%の範囲の少なくとも1つの発泡剤(C*)を含む場合が好ましい。
【0106】
ポリマー組成物(PC)が、いずれの場合も少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡剤(C*)の質量パーセントの合計に基づいて、好ましくはポリマー組成物(PC)の総質量に基づいて、46~89.9質量%の範囲の少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、10~50質量%の範囲の少なくとも1つの強化繊維(B)、及び0.1~4質量%の範囲の少なくとも1つの発泡剤(C*)を含む場合が特に好ましい。
【0107】
ポリマー組成物(PC)が、いずれの場合も少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡剤(C*)の質量パーセントの合計に基づいて、好ましくはポリマー組成物(PC)の総質量に基づいて、57~79.8質量%の範囲の少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、20~40質量%の範囲の少なくとも1つの強化繊維(B)、及び0.2~3質量%の範囲の少なくとも1つの発泡剤(C*)を含む場合が最も好ましい。
【0108】
したがって、本発明はまた、ポリマー組成物(PC)が、いずれの場合もポリマー組成物(PC)の総質量に基づいて、35~99.98質量%の範囲の成分(A)、0.01~60質量%の範囲の成分(B)及び0.01~5質量%の成分(C*)を含む成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0109】
ポリマー組成物(PC)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)及び少なくとも1つの発泡剤(C*)に加えて、少なくとも1つのカーボンブラック(D)をさらに含むことができる。
【0110】
したがって、本発明はまた、ポリマー組成物(PC)が少なくとも1つのカーボンブラック(D)をさらに含む成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0111】
ポリマー組成物(PC)が少なくとも1つのカーボンブラック(D)を含む場合、ポリマー組成物(PC)は、例えば、ポリマー組成物(PC)の総質量に基づいて、少なくとも1つのカーボンブラック(D)を0.01~5質量%の範囲、好ましくは0.1~4質量%の範囲、最も好ましくは0.3~3質量%の範囲で含む。
【0112】
さらに、ポリマー組成物(PC)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)、少なくとも1つの発泡剤(C*)、及び任意での少なくとも1つのカーボンブラック(D)に加えて、少なくとも1つのさらなる添加剤(E)を含むこともできる。
【0113】
したがって、本発明はまた、ポリマー組成物(PC)が、安定剤、染料、顔料、耐衝撃性改良剤、難燃剤及び可塑剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる添加剤(E)を含む成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0114】
ポリマー組成物(PC)が少なくとも1つのさらなる添加剤(E)を含む場合、ポリマー組成物(PC)は、例えば、ポリマー組成物(PC)の総質量に基づいて、少なくとも1つのさらなる添加剤(E)を0.1~2質量%の範囲、好ましくは0.2~1.5質量%の範囲、最も好ましくは0.5~1質量%の範囲で含む。
【0115】
ポリマー組成物(PC)が少なくとも1つのカーボンブラック(D)及び/又は少なくとも1つのさらなる添加剤(E)を含む場合、ポリマー組成物(PC)に存在する少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)の質量%値は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)の質量%値、少なくとも1つの強化繊維(B)の質量%値及び少なくとも1つの発泡剤(C*)の質量%値の合計が100%となるように対応して減少することも理解されるべきである。
【0116】
流動性組成物(FC)を提供するために、ステップa)の間の押出機の温度は、任意の温度でよく、通常200~350℃の範囲、好ましくは220~330℃の範囲、特に好ましくは240~310℃の範囲である。
【0117】
押出機のバレル温度は、押出機内の成分の温度よりも高くすることができ、同様に押出機のバレル温度が押出機内の成分より低いのも可能である。例として、押出機のバレル温度は、最初は、成分が加熱されているときは、押出機内の成分の温度よりも高くすることができる。押出機内の成分が冷却されているときは、押出機のバレル温度は押出機内の成分の温度よりも低くすることができる。
【0118】
本発明で与えられ、押出機に言及する温度は、押出機のバレル温度であることを意図している。「押出機のバレル温度」とは、押出機のバレルの温度を意味する。したがって、押出機のバレル温度は、押出機バレルの外壁の温度である。
【0119】
押出機としては、合成中(compounding)の温度及び圧力で使用されることができる、当業者に知られている任意の押出機が適している。一般に、押出機は、それぞれ少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)、少なくとも1つの発泡ガス(C)もしくは少なくとも1つの発泡剤(C*)、及び任意に、少なくとも1つのカーボンブラック(D)及び/又は少なくとも1つの添加剤(E)が合成される温度まで加熱されることが可能である。
【0120】
押出機は、単軸、二軸、又は多軸押出機であってよい。二軸押出機が好ましい。二軸押出機は、ダブルスクリュー押出機としても知られている。二軸押出機は、共回転であってよく、又は逆回転であってよい。単軸押出機、二軸押出機及び多軸押出機は、当業者に知られており、例えば、C.Rauwendaal:ポリマー押出、Carl Hanser Verlag GmbH&Co.KG,第5版(2014年1月16日)に記載されている。
【0121】
押出機はまた、さらなる装置、例えば混合要素又は混練要素を含んでもよい。
【0122】
混合要素は、押出機に含まれる個々の成分を混合するために役立つ。適切な混合要素は当業者に知られており、例として、静的混合要素又は動的混合要素である。
【0123】
混練要素も同様に、押出機に含まれる各成分の混練に役立つ。適切な混練要素は当業者に知られており、例えば混練スクリュー又は混練ブロック、例えばディスク混練ブロック又はショルダー混練ブロックである。それぞれ成分(A)、(B)(C)又は(C*)及び任意に(D)及び/又は(E)は、連続して又は同時に押出機に添加されることができ、押出機内で混合及び合成されて流動性組成物(FC)が得られる。
【0124】
少なくとも1つのカーボンブラック(D)は、粉末として、又はマスターバッチ(MB)の形態で、押出機に導入されることができる。好ましくは、少なくとも1つのカーボンブラック(D)は、マスターバッチ(MB)の形態で押出機に導入される。
【0125】
マスターバッチ(MB)は、好ましくは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つのカーボンブラック(D)を含む。
【0126】
好ましい実施形態では、それぞれ少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)、少なくとも1つの強化繊維(B)、少なくとも1つの発泡ガス(C)もしくは少なくとも1つの発泡剤(C*)、マスターバッチ(MB)、及び任意に少なくとも1つのさらなる添加剤(E)は、二軸押出機で合成され、そこでは、マスターバッチ(MB)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つのカーボンブラック(D)を含む。
【0127】
好ましくは、マスターバッチ(MB)は、いずれの場合もマスターバッチ(MB)の総質量に基づいて、60~80質量%の成分(A)及び20~40質量%の範囲の成分(D)、より好ましくは60~75質量%の成分(A)及び25~40質量%の範囲の成分(D)、最も好ましくは65~75質量%の成分(A)及び25~35質量%の範囲の成分(D)を含む。
【0128】
好ましくは、マスターバッチ(MB)は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つのカーボンブラック(D)を合成することによって調製される。例えば、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つのカーボンブラック(D)は、押出機で合成され、任意にその後の押出物ペレット化を伴ってその後そこから押出される。
【0129】
マスターバッチ(MB)を調製するために、成分(A)及び(D)を合成する際の押出機の温度も任意の温度とすることができ、通常200~350℃の範囲、好ましくは220~330℃の範囲、特に好ましくは240~310℃の範囲である。
【0130】
マスターバッチ(MB)がその後の押出物ペレット化によって製造される場合、ペレットは、顕微鏡によって決定されるところ、0.5~10mmの範囲、より好ましくは0.8~5mmの範囲、最も好ましくは1~3mmの範囲の平均粒径を有する。
【0131】
流動性組成物(FC)の射出(ステップb))
ステップb)では、ステップa)で提供された流動性組成物(FC)を、第1圧力(p1)で型に射出する。
【0132】
第1圧力(p1)は、好ましくは500~2500バールの範囲、より好ましくは1000~2000バールの範囲、最も好ましくは1000~1800バールの範囲であり、第1圧力(p1)は、押出機の射出ユニットで測定される。
【0133】
第1圧力(p1)は充填圧力とも呼ばれる。
【0134】
したがって、本発明はまた、ステップb)において、第1圧力(p1)が500から2500バールの範囲にある成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0135】
好ましくは、ステップa)で提供される流動性組成物(FC)は、150~400℃の範囲、より好ましくは200~350℃の範囲、最も好ましくは220~330℃の範囲、特に好ましくは240~310℃の範囲の温度で、型に射出される。
【0136】
したがって、本発明はまた、ステップb)において、流動性組成物(FC)が150~400℃の範囲の温度で型に注入される成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0137】
ステップb)では流動性組成物(FC)が射出される型は、好ましくは20~120℃の範囲の温度TMを有する。
【0138】
したがって、本発明はまた、ステップb)において、流動性組成物(FC)が射出される型が、20~120℃の範囲の温度TMを有する成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0139】
流動性組成物(FC)の冷却(ステップc))
ステップc)では、ステップb)で射出された流動性組成物(FC)が保持圧力(p2)で冷却され、保持圧力(p2)は、第1圧力(p1)より低く、成形品(MA)を得る。
【0140】
好ましくは、保持圧力(p2)は400~1500バールの範囲、より好ましくは600~1300バールの範囲、最も好ましくは700から1200バールの範囲である。保持圧力(p2)はまた、押出機の射出ユニットで測定される。
【0141】
本発明の好ましい実施形態では、保持圧力(p2)は、型のキャビティ内で測定される内圧(pi)が好ましくは300~700バールの範囲となるように、調整される。
【0142】
したがって、本発明はまた、ステップc)において、保持圧力(p2)が400~1500バールの範囲である成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0143】
ステップc)では、成形品(MA)が得られる。
【0144】
ステップc)で得られる成形品(MA)は、保持圧力(p2)を適用することによって少なくとも1つの発泡ガス(C)が圧縮されるため、好ましくは、ステップa)で提供される流動性組成物(FC)よりも少ない、少なくとも1つの発泡ガス(C)を含み、より好ましくは、ステップc)で得られる成形品(MA)は、成形品(MA)の総体積に基づいて、0~3体積%の範囲の少なくとも1つの発泡ガス(C)を含み、最も好ましくは、成形品(MA)の総体積に基づいて、体積は0~2%の範囲の少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む。
【0145】
したがって、本発明はまた、ステップc)で得られる成形品(MA)が、ステップa)で提供される流動性組成物(FC)よりも少ない、少なくとも1つの発泡ガス(C)を含み、好ましくは、ステップc)で得られる成形品(MA)は、成形品(MA)の総体積に基づいて、0~3体積%の範囲の少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む成形品(MA)の製造方法をも提供する。
【0146】
保持圧力(p2)を適用することによって、流動性組成物(FC)の密度(ρ1)が好ましくは10~20%の範囲で減少するため、成形品(MA)の密度(ρ2)は、通常、流動性組成物(FC)の密度(ρ1)よりも高い。
【0147】
流動性組成物(FC)は、当業者に知られている任意の方法によって冷却されることができる。
【0148】
流動性組成物(FC)は、好ましくは20~160℃の範囲の温度、より好ましくは60~100℃の範囲の温度まで冷却される。
【0149】
ステップd)
ステップ d)では、成形品(MA)が型から取り出される。
【0150】
したがって、本発明はまた、本発明の方法によって得られる成形品(MA)をも提供する。
【0151】
好ましくは、本発明の成形品(MA)の平行収縮(縦方向の収縮)は、従来技術の成形品の収縮と比較して、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも50%、増加しており、ここで収縮はISO 294に従って決定された。
【0152】
したがって、本発明の成形品(MA)の反りは、従来技術の成形品の収縮率と比較して、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%減少される。
【0153】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明をそれに限定するものではない。
【0154】
実施例
次の成分が採用された:
熱可塑性ポリマー(A):
(A1) ポリアミド6(PA6) (Ultramid(登録商標)B27E;BASF SE)
強化繊維(B):
(B1)ガラス繊維 (ECS 03 T-249H;Nippon Electric Glass)
発泡剤(C):
(C1)スチレン-無水マレイン酸コポリマー (SMA(登録商標)3000;Cray Valley)
カーボンブラック(D):
(D1) Ensaco(登録商標)250G (Imerys Graphite & Carbon Switzerland Ltd.)
添加剤(E):
(E1) N,N’-エチレンビス(ステアラマイド)
(E2) CuIとKIを含むマスターバッチ
表1は、使用された熱可塑性ポリマー(成分(A))の必須パラメータを示す。
【0155】
【0156】
AEGはアミノ末端基濃度を示す。これは、滴定により決定される。アミノ末端基濃度(AEG)の決定では、1gの成分(熱可塑性ポリマー)を、30mLのフェノール/メタノール混合物(フェノール:メタノールの体積比75:25)に溶解し、次いで、水中0.2N塩酸で電位差滴定法に供した。
【0157】
CEGはカルボキシル末端基濃度を示す。これは滴定によって決定される。カルボキシル末端基濃度(CEG)の決定では、1gの成分(熱可塑性ポリマー)を、30mLのベンジルアルコールに溶解した。続いて、120℃で、水中0.05N水酸化カリウム溶液で目視滴定に供した。
【0158】
熱可塑性ポリマーの溶融温度(TM)及びガラス転移温度(TG)は、それぞれ、示差走査熱量測定によって決定された。
【0159】
溶融温度(TM)を決定するために、20K/分の加熱速度で最初の加熱運転(H1)を測定した。このときの溶融温度(TM)は、加熱運転(H1)の溶融ピークの最高値における温度に対応していた。
【0160】
ガラス転移温度(TG)を決定するために、最初の加熱運転(H1)後に、冷却運転(C1)、その後続いて第2の加熱運転(H2)を測定した。冷却運転は、20K/分の冷却速度で測定された;第1の加熱運転(H1)及び第2の加熱運転(H2)は、20K/分の加熱速度で測定された。次いで、ガラス転移温度(TG)を、第2の加熱運転(H2)の段差の半分で決定した。
【0161】
零剪断速度粘度(zero shear rate viscosity)η0は、TA Instruments社製「DHR-1」回転粘度計を用い、直径25mm、プレート間隔1mmのプレート-プレート形状で決定された。未平衡試料を減圧下、80℃で7日間乾燥させ、これらを500~0.5rad/sの角度周波数範囲で時間依存周波数掃引(シーケンステスト)で分析した。さらに以下の分析パラメータを使用した:変形:1.0%、分析温度:240℃、分析時間:20分、試料調製後の予熱時間:1.5分。
【0162】
カーボンブラックマスターバッチ(MB1)の製造
表2に報告された成分を、表2に報告された比率で、二軸押出機(ZE25A UXTI)で、280rpm、260℃のバレル温度、11.2kg/hの処理量で合成し、その後、押出ペレット化した。
【0163】
【0164】
流動性組成物(FC)の提供
表3に報告された成分を、表3に報告されている比率で、二軸押出機(ZE25A UXTI)で、280rpm、260℃のバレル温度、11.2kg/hの処理量で合成した。
【0165】
【0166】
成形部品の製造
次に、上記で提供された流動性組成物(FC)を射出成形機で射出成形して、厚さ2mm、寸法60×60mmの成形部品を得る。本発明の実施例E1及び比較例C3における溶融温度は、280rpmで300℃、本発明の実施例E2では、180rpmで280℃であった。流動性組成物(FC)は、第1圧力(p1)で射出される。次いで、成形品(MA)を得るために、流動性組成物を保持圧力(p2)で冷却し、成形品(MA)を型から取り外す。本発明の実施例E1及びE2、ならびに比較例C3の第1圧力(p1)及び保持圧力(p2)を表4に記載する。
【0167】
【0168】
続いて、得られた成形部品の特性を決定した。得られた成形部品を減圧下、80℃で336時間乾燥させた後、乾燥状態で試験した。その結果を表5に示す。さらに、シャルピー試験片を作成し、同様に乾燥状態下で試験した(ISO179-2/1eU:1997+Amd.1:2011に準拠)。
【0169】
ISO 527-1:2012に従って、引張強度(tensile strength)、引張弾性率(tensile modulus of elasticity)及び破断伸び(elongation at break)を決定した。
【0170】
収縮率は、ISO294に従って決定した。
【0171】
【0172】
表5から明らかなように、成形品(MA)(成形品(MA)は少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)を含む)の製造における少なくとも1つの発泡ガス(C)の使用によって、特に成形品(MA)の平行収縮が増加し、したがって成形品(MA)の反りの軽減が達成される。成形品はまた、高い収縮率にもかかわらず、高い引張弾性率及び高い引張強度などの良好な機械的特性を示す。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップa)~d)
a)少なくとも以下の成分(A)~(C)
(A)少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと、
(B)少なくとも1つの強化繊維と、
(C)少なくとも1つの発泡ガスと、
を含む流動性組成物(FC)を提供するステップと、
b)ステップa)で提供された前記流動性組成物(FC)を、第1圧力(p
1)で型に射出するステップと、
c)ステップb)で射出された前記流動性組成物(FC)を保持圧力(p
2)で冷却して成形品(MA)を得るステップであって、前記保持圧力(p
2)は前記第1圧力(p
1)より低い、ステップと、
d)前記成形品(MA)を前記型から取り出すステップと、
を含
み、
前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)は、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド6/66(PA6/66)、ポリアミド66/6(PA66/6)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド6/6T(PA6/6T)、ポリアミド6T/6I(PA6T/6I)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド4T(PA4T)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド1010(PA1010)及びポリアミド1212(PA1212)からなる群から選択され、
ステップb)では、前記第1圧力(p
1
)は1000~2000バールの範囲にあり、ステップc)では、前記保持圧力(p
2
)は600~1300バールの範囲にある、成形品(MA)の製造方法。
【請求項2】
ステップc)で得られた前記成形品(MA)は、ステップa)で提供された前記流動性組成物(FC)よりも少ない前記少なくとも1つの発泡ガス(C)を含み、好ましくは、ステップc)で得られた前記成形品(MA)は、前記成形品(MA)の総体積に基づいて、0~3体積%の範囲の前記少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)において、前記流動性組成物(FC)は、150~400℃の範囲の温度で前記型に射出される、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)おいて前記流動性組成物(FC)が射出される前記型は、20~120℃の範囲の温度T
Mを有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリスチレン及びポリオキシメチレンからなる群から選択される、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの強化繊維(B)は、天然繊維、玄武岩繊維、アラミド繊維、ガラス繊維及びカーボンファイバからなる群から選択される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの強化繊維(B)は、ガラス繊維から選択され、前記ガラス繊維の長さと前記ガラス繊維の直径の比は20:1~30:1の範囲である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの発泡ガス(C)は、窒素、二酸化炭素及び一酸化炭素からなる群から選択される、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)において、前記流動性組成物(FC)は、前記流動性組成物(FC)の総体積に基づいて、0.01~10体積%の範囲の前記少なくとも1つの発泡ガス(C)を含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記流動性組成物(FC)は、少なくとも以下の成分(A)、(B)及び(C
*)、
(A)少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと、
(B)少なくとも1つの強化繊維と、
(C
*)少なくとも1つの発泡剤と、
を含むポリマー組成物(PC)を押出機で合成することにより提供され、ここで、前記少なくとも1つの発泡剤(C
*)は、少なくとも前記成分(A)~(C)を含む前記流動性組成物(FC)を得るために、分解されて前記少なくとも1つの発泡ガス(C)を得る、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの発泡剤(C
*)は、ガス放出ポリマー、ガス放出添加剤及びそれらからの混合物からなる群から選択される、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー組成物(PC)は、いずれの場合も前記ポリマー組成物(PC)の総質量に基づいて、35~99.98質量%の範囲の成分(A)、0.01~60質量%の範囲の成分(B)、及び0.01~5質量%の範囲の成分(C
*)を含む、請求項
10又は
11に記載の方法。
【請求項13】
前記流動性組成物(FC)は、少なくとも1つのカーボンブラック(D)をさらに含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記流動性組成物(FC)は、安定剤、染料、顔料、耐衝撃性改良剤、難燃剤及び可塑剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる添加剤(E)を含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
成形品(MA)の反りを低減するための、
請求項1~14のいずれか一項に記載の成形品(MA)の製造
方法における少なくとも1つの発泡ガス(C)の使用であって、前記成形品(MA)は少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(A)及び少なくとも1つの強化繊維(B)を含む、少なくとも1つの発泡ガス(C)の使用。
【請求項16】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法によって得られる成形品(MA)。
【国際調査報告】