(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】低金属含有量ポリオレフィンフィルタ膜
(51)【国際特許分類】
B01D 71/26 20060101AFI20231108BHJP
C08F 232/04 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B01D71/26
C08F232/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525991
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 US2021056975
(87)【国際公開番号】W WO2022094026
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス, シーザー ロペス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイバー, ジャド アリ
【テーマコード(参考)】
4D006
4J100
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA21
4D006HA71
4D006HA91
4D006HA95
4D006JA07Z
4D006JA10Z
4D006JA13C
4D006JA25C
4D006JA27Z
4D006JB07
4D006MA02
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4D006MA08
4D006MC22X
4D006MC88
4D006PA01
4D006PC01
4J100AE04Q
4J100AR03P
4J100CA04
4J100GC35
4J100JA24
(57)【要約】
液体精製のためのフィルタの成分として有用な特定のポリオレフィン膜が提供される。有利には、本開示のフィルタ膜は、特定の微量金属の濃度が大幅に低減されているため、マイクロ電子デバイスの製造に使用される液体のろ過に特に有用である。一態様では、本開示は、ポリオレフィンを含むフィルタ膜を提供し、当該ポリオレフィンは、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムから選択される金属の合計が約4ppm未満である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンを含むフィルタ膜であって、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計は、MARS6マイクロ波酸消化方法ノート概要(Microwave Acid Digestion Method Note Compendium)によって決定される場合、約4ppm未満である、ポリオレフィンを含むフィルタ膜。
【請求項2】
ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が、約3.5ppm未満である、請求項1に記載の膜。
【請求項3】
ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が、約3ppm未満である、請求項1に記載の膜。
【請求項4】
ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が、約2ppm未満である、請求項1に記載の膜。
【請求項5】
ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が、約1ppm未満である、請求項1に記載の膜。
【請求項6】
ポリオレフィンが、MARS6マイクロ波酸消化方法ノート概要(Microwave Acid Digestion Method Note Compendium)によって決定される場合、約1ppm未満のルテニウムを有する、請求項1に記載の膜。
【請求項7】
ポリオレフィンが、ポリエチレン及びポリエチレン-コ-ポリブチレンから選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の膜。
【請求項8】
ポリオレフィンが超高分子量ポリエチレンである、請求項1から6のいずれか一項に記載の膜。
【請求項9】
ポリオレフィンが、約330,000~2,200,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の膜。
【請求項10】
ポリオレフィンが、約700,000ダルトン~約1,500,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の膜。
【請求項11】
ポリオレフィンが、
A.シス又はトランス-シクロオクテンをRu II触媒と接触させた後、
B.Ru II触媒の除去又は抽出、続いて
C.ヒドラジン型又はヒドラジド型の還元剤による水素化
によって調製される、請求項1に記載の膜。
【請求項12】
Ru II触媒が、
i.(1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-4-((4-エチル-4-メチルピペラジン-1-イウム-1-イル)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)(2-イソプロポキシベンジリデン)塩化ルテニウム(II)二水和物;
ii.(1,3-ジメシチル-4-((トリメチルアンモニオ)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)クロライド;
iii.(4-((4-エチル-4-メチルピペラジン-1-イウム-1-イル)メチル)-1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)クロリド
iv.(1,3-ジメシチル-4-((トリメチルアンモニオ)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)ヘキサフルオロホスフェート;及び
v.(1,3-ジメシチル-4-((トリメチルアンモニオ)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)テトラフルオロボラート
から選択される、請求項11に記載の膜。
【請求項13】
ポリオレフィンが、ヒドラジド型又はヒドラジン型の還元剤の存在下でポリブタジエンを水素と接触させることによるポリエチレン-コ-ポリブチレンである、請求項1に記載の膜。
【請求項14】
ポリオレフィンを含むフィルタ膜を含むフィルタであって、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計は、MARS6マイクロ波酸消化方法ノート概要(Microwave Acid Digestion Method Note Compendium)によって決定される場合、約4ppm未満である、ポリオレフィンを含むフィルタ膜を含むフィルタ。
【請求項15】
ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が、約3.5ppm未満である、請求項14に記載のフィルタ。
【請求項16】
ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が、約3ppm未満である、請求項14に記載のフィルタ。
【請求項17】
ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が、約2ppm未満である、請求項14に記載のフィルタ。
【請求項18】
ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が、約1ppm未満である、請求項14に記載のフィルタ。
【請求項19】
ポリオレフィンが、MARS6マイクロ波酸消化方法ノート概要(Microwave Acid Digestion Method Note Compendium)によって決定される場合、約1ppm未満のルテニウムを有する、請求項14に記載のフィルタ。
【請求項20】
ポリオレフィンが、ポリエチレン及びポリエチレン-コ-ポリブチレンから選択される、請求項14から18のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項21】
ポリオレフィンが超高分子量ポリエチレンである、請求項14から18のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項22】
ポリオレフィンが、約330,000~2,200,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項14から18のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項23】
ポリオレフィンが、約700,000ダルトン~約1,500,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項14から18のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項24】
液体から不純物を除去するための方法であって、液体を請求項14から23のいずれか一項に記載のフィルタと接触させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリオレフィンを含むフィルタ膜であって、このような膜を含有するポリマー及びフィルタに典型的に見られる金属夾雑物を本質的に含まない、フィルタ膜に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタ製品は、有用な流体の流れから不要な材料を除去するために使用される、現代産業の不可欠なツールである。フィルタを使用して処理される有用な流体には、水、液体の工業用溶媒及び処理流体、製造又は処理(例えば、半導体製造における)に使用される工業用ガス、並びに医療又は医薬用途を有する液体が含まれる。流体から除去される望ましくない材料には、粒子、微生物、及び溶解化学種等の不純物及び夾雑物が含まれる。フィルタ用途の具体例としては、半導体及びマイクロ電子デバイス製造のための液体材料とのそれらの使用が挙げられる。
【0003】
ろ過機能を実行するために、フィルタは、フィルタ膜を通過する流体から不要な材料を除去する役割を果たすフィルタ膜を含み得る。フィルタ膜は、必要に応じて、平らなシートの形態であってもよく、巻き取られてもよく(例えば、螺旋状)、平らであってもよく、プリーツ状であってもよく、又は円盤状であってもよい。あるいは、フィルタ膜は中空糸の形態であってもよい。フィルタ膜は、ろ過されている流体がろ過入口を通って入り、ろ過出口を通過する前にフィルタ膜を通過する必要があるように、ハウジング内に収容されるか、そうでなければ支持され得る。
【0004】
フィルタ膜は、フィルタの使用、すなわちフィルタによって行われるろ過の種類に基づいて選択することができる平均孔径を有する多孔質構造から構成することができる。典型的な孔径は、マイクロメートル又はサブマイクロメートルの範囲、例えば約0.001マイクロメートル~約10マイクロメートルである。約0.001~約0.05マイクロメートルの平均孔径を有する膜は、限外フィルタ膜として分類されることがある。約0.05~10マイクロメートルの孔径を有する膜は、微孔性膜と呼ばれることもある。
【0005】
マイクロメートル又はサブマイクロメートル範囲の孔径を有するフィルタ膜は、ふるい分け機構若しくは非ふるい分け機構のいずれか、又はその両方によって流体流から望ましくない材料を除去するのに有効であり得る。ふるい分け機構は、フィルタ膜の表面で粒子を機械的に保持することによって液体の流れから粒子を除去するろ過のモードであり、これは粒子の移動を機械的に干渉し、粒子をフィルタ内に保持し、フィルタを通る粒子の流れを機械的に防止するように作用する。典型的には、粒子は、フィルタの細孔よりも大きくすることができる。「非ふるい分け」ろ過機構は、フィルタ膜が、フィルタ膜を通る流体の流れに含まれる懸濁粒子又は溶解した材料を、機械的であるとは限らない方法で保持するろ過のモードであり、例えば、微粒子又は溶解した不純物がフィルタ表面に静電的に引き付けられ保持され、流体の流れから除去される静電機構を含み、粒子は溶解していてもよく、又はろ過材の細孔よりも小さい粒径を有する固体であってもよい。
【0006】
多くのこのようなフィルタ膜はポリオレフィンから構成されており、これらは一般に様々な金属含有触媒を使用して調製される。例えば、ポリエチレン等の特定のポリオレフィンは、チーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒を使用して調製され、チタン、アルミニウム、及びマグネシウム等の金属を含有し得る。他の触媒は、クロム又はケイ素を含み得る。したがって、このような触媒は、このようなポリオレフィンから調製されたろ過材中に少量であるが潜在的に有害な量で存在する。そのまま使用される場合、ろ過材は、溶媒等の液体組成物をろ過するために使用されているときに、これらの金属を浸出させることができる。したがって、これらのろ過材は、典型的には、ポリオレフィン材料の表面又はその近くのそのような金属夾雑物を除去するために洗浄される。したがって、そのようなプロセス中に除去されない上記金属は、ポリマーマトリックス中に取り込まれたままであり、したがって、動作条件下で浸出する可能性がある。溶解した金属カチオン等のイオン性材料を溶液から除去することは、マイクロエレクトロニクス産業等の多くの産業において重要であり、非常に低い濃度のカチオン性金属夾雑物は、最終的にマイクロプロセッサ及びメモリデバイスの品質及び性能に悪影響を及ぼす可能性がある。低レベルの金属イオン夾雑物を有するポジ型及びネガ型フォトレジストを調製する能力、又は10億分の1又は1兆分の1レベルの金属イオン夾雑物を有するウェハ洗浄のためのマラゴニ(Maragoni)乾燥で使用されるイソプロピルアルコールを送達する能力は非常に望ましく、半導体製造における汚染制御の必要性のまさに2つの例である。したがって、そのような金属イオンの存在が低減又は効果的に排除される、液体組成物のろ過の改善された方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
要約すると、本開示は、液体精製及び/又はろ過のためのフィルタの成分として有用な特定のポリオレフィン膜を提供する。一実施形態では、ポリオレフィンは、ポリエチレン及びポリエチレン及びポリエチレン-コ-ポリブチレン等の共重合体から選択される。有利には、本開示のフィルタ膜は、特定の微量金属の濃度が大幅に低減されているため、マイクロ電子デバイスの製造に使用される液体のろ過に特に有用である。一態様では、本開示は、ポリオレフィンを含むフィルタ膜を提供し、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計は、MARS6マイクロ波酸消化方法ノート概要(Microwave Acid Digestion Method Note Compendium)によって決定される場合、約4ppm未満である。
【0008】
本開示は、添付の図面に関連して様々な例示的な実施形態の以下の説明を考慮してより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書に記載のフィルタ製品の一例を示す図である(概略的であり、必ずしも縮尺通りではない)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、様々な変更及び代替形態を受け入れることができるが、その詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、本開示の態様を記載された特定の例示的な実施形態に限定しないことを意図することを理解されるべきである。対照的に、その意図は、本開示の趣旨及び範囲内に入る全ての修正、等価物、及び代替物を網羅することである。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「又は」という用語は、一般に、その内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0012】
用語「約」は、一般に、列挙された値と等価である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と考えられる数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数字を含み得る。
【0013】
端点を使用して表される数値範囲は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
【0014】
ポリオレフィン中に存在する微量金属の量は、「MARS 6 Microwave Acid Digestion Method Note Compendium」,Microwave Digestion of polyethylene-High density p 511.CEM corporation.October 1,2019.Website:https://cem.com/media/contenttype/media/literature/MetNote_MARS6_Compendium_2.pdfに記載されている方法を使用して測定される。
マイクロ波消化後、試料を脱イオン(DI)水を用いて約50倍希釈して、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を用いて金属濃度を試験した。
【0015】
第1の態様では、本開示は、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が、MARS6マイクロ波酸消化方法ノート概要(Microwave Acid Digestion Method Note Compendium)によって決定される場合、約4ppm未満である、ポリオレフィンを含むフィルタ膜を提供する。この金属の総レベルは、ポリオレフィン樹脂1グラム当たりの総金属のμgに基づく。他の実施形態では、ポリオレフィンは、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムから選択される金属の合計が約3.5ppm未満、又は約3ppm未満、又は約2ppm未満、又は約1ppm未満である。
【0016】
別の実施形態では、ポリオレフィンは約1ppm未満のルテニウムを有する。一実施形態では、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、ケイ素、クロム、及びマグネシウムの合計は、0.1ppmを超え、ルテニウムは0.1ppmを超え、上述の量未満である。
【0017】
一実施形態において、ポリオレフィンは、ポリエチレン及びポリエチレン共重合体から選択される。例示的なポリオレフィンとしてはポリエチレン及びポリエチレン-コ-ポリブチレン等の共重合体が挙げられる。ポリエチレン-コ-ポリブチレン等の共重合体の物理的特性は、市販のポリエチレンと同様である。一実施形態では、ポリオレフィンはポリエチレンである。別の実施形態では、ポリエチレン-コ-ポリブチレンは、約330,000~2,200,000ダルトンの数平均分子量を有する。別の実施形態では、ポリエチレン及びポリエチレン-コ-ポリブチレンは、約700,000ダルトン~約1,500,000ダルトンの数平均分子量を有する。別の実施形態では、ポリオレフィンは超高分子量ポリエチレンである。
【0018】
第1の態様のフィルタ膜は、1-オクテンとルテニウムII触媒との開環メタセシス重合(ROMP)反応によって調製することができるポリエチレンから構成することができる。例えば、以下のスキームに従う。
【0019】
上記の反応では、ルテニウムII触媒は、開環メタセシス重合(ROMP)反応に利用されて、式(A)の不飽和ポリマー(すなわち、ポリエチレン)を提供する。反応は、一般に、ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、酢酸エチル等の非極性非プロトン性溶媒中で行われ、室温又はわずかに高い温度、例えば約23℃~約70℃で行うことができる。一実施形態では、Ru II触媒は、触媒を可溶型又は水分散性にする官能基を有し、したがって通常の水性抽出を使用した生成物の後処理中のその除去を容易にするものである。そのような官能基には、例えば、水溶液(酸性又は塩基性pH)によって式(A)のポリマーの有機溶液から触媒を効果的に除去すること、連続沈殿、ソックスレー抽出、若しくはシリカへの吸着、又はイオン交換若しくはキレート樹脂への吸着によって触媒を除去することを可能にするアンモニウム基、第四級アンモニウム基、アミン、ポリアルキレングリコール等の官能基が含まれる。あるいは、ルテニウムII触媒は、触媒を反応生成物混合物から分離するための代替手段として固体支持体につながれ、したがって、得られたポリオレフィンのルテニウム汚染を低減又は効果的に排除するものであり得る。
【0020】
適切なルテニウムII触媒の例としては、Grubbs触媒及びHoveyda-Grubbs第二世代触媒として知られているものが挙げられる。適切なメタセシス触媒には、Apeiron Synthesisから入手可能なものが含まれる。特定の触媒には
i.(1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-4-((4-エチル-4-メチルピペラジン-1-イウム-1-イル)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)(2-イソプロポキシベンジリデン)塩化ルテニウム(II)二水和物;(「FixCat」);
ii.(1,3-ジメシチル-4-((トリメチルアンモニオ)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)クロリド;(「StickyCat Cl」);
iii.(4-((4-エチル-4-メチルピペラジン-1-イウム-1-イル)メチル)-1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)クロリド(「AquaMet」)
iv.(1,3-ジメシチル-4-((トリメチルアンモニオ)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)ヘキサフルオロホスフェート;(「StickyCat PF6」);及び
v.(1,3-ジメシチル-4-((トリメチルアンモニオ)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)テトラフルオロボラート;(「StickyCat BF4」)
が含まれる。
【0021】
反応は、通常0.3~4時間の期間行われ、その後、エチルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、又はジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル等のビニルエーテルを用いて鎖切断が行われる。
【0022】
式(A)の不飽和ポリマーの次いで精製された溶液は、トリプロピルアミン等のアミンの存在下で、p-トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン型又はヒドラジド型の還元剤を使用して還元されて、式(B)によって表される飽和ポリエチレン化合物を提供し得る。
【0023】
したがって、別の態様では、本開示は上記膜を提供し、ポリオレフィンは、
A.シス又はトランス-シクロオクテンをRu II触媒と接触させた後、
B.Ru II触媒の除去又は抽出、続いて
C.ヒドラジン型又はヒドラジド型の還元剤による水素化
によって調製される。
【0024】
あるいは、第1の態様のポリオレフィンは、市販のポリブタジエン(CAS番号9003-17-2)を還元することによって調製され得る。このような還元(すなわち、水素化)は、トリブチルアミン等のアミンの存在下で、p-トルエンスルホニルヒラジド(Sigma-Aldrichから入手可能、CAS番号576-35-8)等ヒドラジン型又はヒドラジド型の還元剤を使用することによって達成することができる。他の適切な還元剤としては、ベンゼンスルホニルヒドラジド;2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルヒドラジド;2,4,6-トリメチルベンゼンスルホノヒドラジド;N,N’-ビス(p-トルエンスルホニル)ヒドラジン等が挙げられる。したがって、式(C)の化合物は、以下のスキームに従って調製され得る。式(C)の化合物は、ポリエチレン-コ-ポリブチレンと呼ばれる。
【0025】
したがって、別の態様では、本開示は上記膜を提供し、ポリオレフィンは、ヒドラジド型又はヒドラジン型の還元剤の存在下でポリブタジエンを水素と接触させることによって調製される。
【0026】
式(B)及び(C)のポリオレフィンは、一実施形態では、約330Kダルトン~約2.2Mダルトン、又は約700Kダルトン~約1.5Mダルトン、又は約1.1Mダルトンの数分子量(Mn)を有する。
【0027】
次いで、式(B)及び(C)のポリオレフィンは、様々なフィルタ構造に使用するためのフィルタ膜の製造に利用され得る。記載されるような多孔質フィルタ膜を調製するための適切なプロセスは、押出溶融キャストプロセス又は「熱誘起液-液相分離」と呼ばれることもある方法であり得る。この種のプロセスでは、ポリマーは、2つ以上の溶媒の組合わせで高温(「押出温度」)で溶解されて、例えば押出機によって加工及び成形することができる加熱されたポリマー溶液を形成する。加熱されたポリマー溶液は、押出機及び押出ダイを通過して、シート状膜の形態等に成形することができる。加熱されたポリマー溶液は、ダイを通過し、押出温度よりもはるかに低い温度、すなわち「冷却温度」にある成形表面上に分配される。押し出された加熱されたポリマー溶液が低温成形表面に接触すると、加熱されたポリマー溶液のポリマー及び溶媒は、本明細書に記載の多孔質フィルタ膜にポリマーを形成させるように1つ又は複数の相分離を受ける。多孔質ポリマー成形材料を製造する同等のプロセスの例は、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,497,752号に記載されている。
【0028】
記載されているようなフィルタ膜は、多層フィルタアセンブリ又はろ過システムで使用されるフィルタカートリッジ等のより大きなフィルタ構造体内に収容され得る。ろ過システムは、フィルタ膜が薬液からある量の不純物又は夾雑物を除去するように、例えば多層ろ過アセンブリの一部として、又はフィルタカードリッジの一部としてフィルタ膜をろ過ハウジング内に配置してフィルタ膜を薬液の流路に露出させて、薬液の流れの少なくとも一部をフィルタ膜に通過させる。多層フィルタアセンブリ又はフィルタカートリッジの構造は、フィルタアセンブリ又はフィルタカートリッジ内で複合フィルタ膜を支持して流体をフィルタ入口から複合膜(フィルタ層を含む)を通ってフィルタ出口を通って流れさせ、それによってフィルタを通過するときに複合フィルタ膜を通過させる様々な追加の材料及び構造のうちの1つ又は複数を含むことができる。フィルタアセンブリ又はフィルタカートリッジによって支持されたフィルタ膜は、とりわけ、任意の有用な形状、例えば、プリーツ状シリンダ、円筒形パッド、1つ又は複数のプリーツのない(平坦な)円筒形シート、プリーツ状シートであってもよい。
【0029】
プリーツ状円筒の形態のフィルタ膜を含むフィルタ構造の一例は、以下の成分部品:プリーツ状円筒形コーティング付きフィルタ膜の内部開口部でプリーツ状円筒形コーティング付きフィルタ膜を支持する剛性又は半剛性コア;フィルタ膜の外側でプリーツ状円筒形コーティングされたフィルタ膜の外側を支持又は取り囲む剛性又は半剛性ケージ;プリーツ状円筒形コーティングフィルタ膜の2つの対向する端部のそれぞれに位置する任意のエンドピース又は「パック」;並びに入口及び出口を含むフィルタハウジングを含むように調製することができ、そのいずれもフィルタ構造に含まれてもよいが、必須ではない場合がある。フィルタハウジングは、任意の有用かつ所望のサイズ、形状、及び材料を有し得、好ましくは適切なポリマー材料から作製することができる。
【0030】
以下の詳細な説明は、異なる図面の同様の要素に同じ番号を付した図面を参照して読まれるべきである。詳細な説明及び図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。図示された例示的な実施形態は、例示としてのみ意図されている。反対のことが明確に述べられていない限り、任意の例示的な実施形態の選択された特徴は、追加の実施形態に組み込まれてもよい。
【0031】
一例として、
図1は、プリーツ状円筒形成分10及びエンドピース22と、他の任意選択の成分との製品であるフィルタ成分30を示す。円筒形成分10は、本明細書で説明するように、フィルタ膜12を含み、プリーツ状である。エンドピース22は、円筒形フィルタ成分10の一端に取り付けられる(例えば、「ポッティングされる」)。エンドピース22は、好ましくは溶融加工可能なポリマー材料で作製され得る。コア(図示せず)をプリーツ状円筒形成分10の内部開口部24に配置することができ、ケージ(図示せず)をプリーツ状円筒形成分10の外側の周りに配置することができる。第2のエンドピース(図示せず)は、プリーツ状円筒形成分30の第2の端部に取り付けられ得る(「ポッティングされる」)。次いで、2つの対向するポッティングされた端部及び任意選択のコア及びケージを有する得られたプリーツ状円筒形成分30は、入口及び出口を含み、入口に入る流体の全量が出口でフィルタを出る前に必ずろ過膜12を通過しなければならないように構成されたフィルタハウジング内に配置され得る。
【実施例】
【0032】
材料:
全ての材料を受け取ったまま使用した。Alfa Aesar製のジクロロメタン99.6%、シス-シクロオクテン95%。Merck KgaA製のクロロホルム99.8%。Sigma Aldrich製の、(4-((4-エチル-4-メチルピペラジン-1-イウム-1-イル)メチル)-1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)クロリド(AquaMet)>99%、((1,3-ビス-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o-イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム、Hoveyda-Grubbs Catalyst(登録商標)M72>97%、シス及びトランスのデカヒドロナフタレン混合物、無水>99%、1,4-ビス(3-イソシアノプロピル)ピペラジン(SnatchCat)>95%、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール>99.0%、エチルビニルエーテル、99%、エチレングリコールビニルエーテル、97%、塩酸(HCl)37%、p-トルエンスルホニルヒドラジド>97%、トリプロピルアミン>98%、キシレン>98.5%。VWR製のイソプロピルアルコール(IPA)ギガビットグレードのKMG、ヘキサン98.5%。Strem Chemicals製の([1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4-[(トリメチルアンモニオ)メチル]イミダゾリジン-2-イリデン]-(2-i-プロポキシベンジリデン)ジクロロルテニウム(II)クロリド)(Stickycat Cl)>99%。Polysource製のポリブタジエン(P10053-Bd、Mn=1200kダルトン、D=1.18)。J.T.Baker製の水酸化テトラメチルアンモニウム(H2O中25%)。Acros organics製のカラムクロマトグラフィー用シリカゲル40um~60um、平均孔径60Å。Silicycle製のSiliaMetSチオール(SH)Metal Scavenger(R51030B)(孔径60Å)。Purolite製のPuromet MTS9100(アミドオキシム)及びPurolite製のNRW160樹脂。Whatman製のセルロースろ紙No42無灰円90mm。(商標)PTFEベースのビーカ、分液漏斗及びバイアル。
【0033】
分析方法:
試料は、「MARS 6 Microwave Acid Digestion Method Note Compendium」,Microwave Digestion of polyethylene-High density p 511.CEM corporation.October 1,2019.Website:https://cem.com/media/contenttype/media/literature/MetNote_MARS6_Compendium_2.pdfに記載されている方法に従って分析した。
【0034】
マイクロ波消化後、試料を脱イオン(DI)水を用いて約50倍希釈して、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を用いて金属濃度を試験した。
【0035】
ポリマー分子量は、Agilent1260屈折率検出器と組み合わせたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して決定した。データの取得及び取扱いは、Jordi GPCソフトウェアを用いて行った。以下の条件下でデータを得た:溶媒:クロロホルム。カラム:Jordi Resolve DVB MB+500Å、300x7.8mm、ポリスチレン標準6.57M、3.152M、885K、479.2K、194.5K、75.05K、22.29K、10.33K、4.88K、1.21K、580&162Daで較正。流速:1.0mL/分。
【0036】
試料をBruker75MHz13C溶融状態NMRにて150℃、MAS周波数2.5kHzで分析した。各実験時間は18時間であった。スペクトルの指数窓関数は3Hzであった(S/N>1000)。
【0037】
元素分析は、酸素アクセサリキットを備えたPerkin-Elmer2400を使用して決定した。
【0038】
溶融温度は、Perkin Elmerダイヤモンド示差走査熱量計(DSC)を使用して決定した。
【0039】
実施例1:
この実施例は、ポリオクテンの合成を実証し、予想されるMn=2200kダルトンである。
【0040】
代表的な実験では、180mLのクロロホルム中の11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を、3mLのクロロホルム中の3.3mgのStickycat Clの溶液に60分間滴下した。
【0041】
次いで、100mLのクロロホルムを添加し、溶液を4時間40℃に加熱した。次いで、エチルビニルエーテル2.5mLを一度に添加し、40℃で0.5時間撹拌した。
【0042】
その後、181mLのDI水中68.2mLのHCl(37%)から作られた50mLの酸溶液HCl(10%)で有機相を5回抽出した。抽出ごとに、0.2mLのエチルビニルエーテルを有機相に添加し、各抽出後に溶液を20分間撹拌した。
【0043】
抽出後、溶液を200mLのイソプロピルアルコールに注いだ。白色ポリマーが沈殿した。母液をデカントし、ポリマーを対流式オーブン中、室温で16時間乾燥させた(9.90g、収率99.0%)。マイクロ波消化及びICP-MSを使用して金属濃度を決定した。
Al=0.0ppm、Mg=0.0ppm、Ti=0.0ppm、Zn=0.0ppm、Fe=0.0ppm、Ru=5.4ppm。
したがって、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの合計は0.0ppmである。
【0044】
同じ条件下でのその後の実験の実行において、乾燥後のポリマーは5.6gであり、収率56.0%であった。マイクロ波消化及びICP-MSを使用して金属濃度を決定した。Al=0.00ppm、Mg=0.00ppm、Ti=0.28ppm、Zn=0.00ppm、Fe=0.05ppm、Ru=10.39ppm。したがって、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの合計は0.33ppmである。
【0045】
実施例2:
この実施例は、連続沈殿を使用した精製によるポリオクテンの合成を実証し、予想されるMn=2200kダルトンである。
【0046】
代表的な実験では、180mLのクロロホルム中の11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を、3mLのクロロホルム中の3.3mgのStickycat Clの溶液に60分間滴下した。
【0047】
次いで、100mLのクロロホルムを添加し、溶液を4時間40℃に加熱した。次いで、エチルビニルエーテル2.5mLを一度に添加し、40℃で0.5時間撹拌した。
【0048】
有機溶液を300mLのIPAに注ぎ、白色ポリマーが沈殿した。
【0049】
液体をデカントし、白色ポリマーを対流式オーブン中室温で10時間乾燥させた。次いで、ポリマーを30℃でジクロロメタン中180mLに再溶解し、記載量のIPAを使用して3回再沈殿させた。
【0050】
次いで、ポリマーを対流式オーブン内で室温にて16時間乾燥させた(9.20g、収率92%)。マイクロ波消化及びICP-MSを使用して金属濃度を決定した。Al=0.0ppm、Mg=0.0ppm、Ti=0.4ppm、Zn=0.1ppm、Fe=0.1ppm、Ru=0.6ppm。したがって、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの合計は0.6ppmである。
【0051】
同じ条件下でのその後の実験の実行において、乾燥後のポリマーは4.2gであり、収率42%であった。マイクロ波消化及びICP-MSを使用して金属濃度を決定した。第1の沈殿後、金属濃度はAl=0.00ppm、Mg=0.00ppm、Ti=0.00ppm、Zn=0.00ppm、Fe=11.46ppm、Ru=3.88ppmであった。第2の沈殿後、金属濃度はAl=0.00ppm、Mg=0.00ppm、Ti=0.00ppm、Zn=0.00ppm、Fe=0.00ppm、Ru=2.98ppmであった。したがって、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの合計は0.00ppmである。
【0052】
実施例3:
この実施例は、ポリオクテンの合成を実証し、予想されるMn=330kダルトンである。
【0053】
代表的な実験では、2950mLのクロロホルム中の177mLのシス-シクロオクテンの溶液を、43mLのクロロホルム中の333mgのStickycat Clの溶液に35分間滴下した。
【0054】
溶液を40℃に6時間加熱した。次いで、8mLのエチレングリコールビニルエーテルを一度に添加し、室温で4時間撹拌した。
【0055】
粘性溶液を3LのDI水で5回抽出した。8mLのエチレングリコールビニルエーテルを有機相に添加し、各抽出後に溶液を20分間撹拌した。
【0056】
抽出後、溶液を6LのIPAに注いだ。白色ポリマーが沈殿した。母液をデカントし、ポリマーを対流式オーブン中、室温で16時間乾燥させた(146g、収率97%)。マイクロ波消化及びICP-MSを使用して金属濃度を決定した。Al=2.7ppm、Mg=0.3ppm、Ti=0.0ppm、Zn=0.3ppm、Fe=0.0ppm、Ru=42.1ppm。したがって、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの合計は3.3ppmである。
【0057】
同じ条件下でのその後の実験の実行において、乾燥後のポリマーは129gであり、収率86%であった。GPC(Mn=132.2kダルトン、Mw=202.8kダルトン、D=1.5)。
【0058】
実施例4:
この実施例は、ポリオクテンの合成を実証し、予想されるMn=1100kダルトンである。
【0059】
代表的な実験では、50mLのジクロロメタン中の5.9mLのシス-シクロオクテンの溶液を、2mLのジクロロメタン中の3.5mgのAquametの溶液に4分間滴下した。
【0060】
溶液を36℃に30分間加熱し、粘性溶液を得た。次いで、200mLのヘキサンを添加し、3時間50℃に加熱した。その後、2mLのエチレングリコールビニルエーテルを一度に添加し、室温で4時間撹拌した。
【0061】
有機溶液を200mLのIPAに注ぎ、白色ポリマーが沈殿した。
【0062】
液体をデカントし、白色ポリマーを対流式オーブン中室温で10時間乾燥させた。次いで、ポリマーを30℃でジクロロメタン中300mLに再溶解した。
【0063】
粘性溶液を20mLのDI水で5回抽出した。抽出後、溶液を200mLのIPAに注いだ。白色~淡褐色のポリマーが沈殿した。母液をデカントし、ポリマーを対流式オーブン中、室温で16時間乾燥させた(4.5g、収率90%)。マイクロ波消化及びICP-MSを使用して金属濃度を決定した。Al=0.9ppm、Mg=0.7ppm、Ti=0.0ppm、Zn=0.0ppm、Fe=0.0ppm、Ru=2.4ppm。したがって、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの合計は1.6ppmである。
【0064】
同じ条件下でのその後の実験の実行において、乾燥後のポリマーは3.5gであり、収率70%であった。金属濃度は、マイクロ波消化及びICP-MSを使用して決定し、Al=0.00ppm、Mg=0.00ppm、Ti=0.00ppm、Zn=0.00ppm、Fe=0.00ppm、Ru=11.62ppmであった。したがって、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの合計は0.00ppmである。
【0065】
実施例5:(予測)
この実施例は、シリカゲル吸着を使用した精製によるポリオクテンの合成を実証し、予想されるMn=5500kダルトンである。
【0066】
代表的な実験では、170mLのクロロホルム中の11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を、3mLのクロロホルム中の1.3mgのStickycat Clの溶液に60分間滴下する。
【0067】
次いで、100mLのクロロホルムを添加し、溶液を4時間40℃に加熱する。その後、2.5mLのエチルビニルエーテルを一度に添加し、40℃で0.5時間撹拌する。
【0068】
その後、2gのシリカゲルを添加し、溶液を30分間撹拌する。次いで、減圧下(約150mbar)でろ紙を使用してシリカをろ過する。シリカを150mLのジクロロメタンにより36℃で洗浄する。シリカゲルの添加及びろ過を繰り返す。
【0069】
次いで、219mLのDI水中の81mLのHCl(37%)から作られた100mLの酸溶液HCl(10%)で粘性溶液を3回抽出する。
【0070】
抽出後、溶液を300mLのイソプロピルアルコールに注ぎ、白色ポリマーを沈殿させる。次いで、母液をデカントし、沈殿を対流式オーブン内で室温にて16時間乾燥させる。
【0071】
実施例5A
この実施例は、ポリオクテンの合成及びシリカゲル吸着を用いた精製を実証する。
【0072】
代表的な実験では、11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を、1.3mgのStickycat Clの3mLのクロロホルム中溶液に30分間かけて滴下した。
【0073】
次いで、280mLのクロロホルムを添加し、溶液を12時間60℃に加熱した。その後、2.5mLのエチルビニルエーテル及び10mgのSnatchcatを一度に添加した。次いで、溶液を40℃で0.5時間撹拌した。
【0074】
その後、2.0gのシリカゲルを溶液に添加し、40℃で2時間撹拌した。シリカをろ紙を用いて減圧下(約150mbar)でろ過した。シリカを室温でクロロホルムにより洗浄した。2.0gのシリカの添加及びろ過を濾液で繰り返した。
【0075】
次いで、219mLのDI水中の81mLのHCl(37%)で作られた100mLの酸溶液HCl(10%)で有機相を3回抽出した。
【0076】
抽出後、有機溶液を300mLのイソプロピルアルコールに注ぎ、ポリマーが沈殿した。その後、液体をデカントした。固体を回収し、対流式オーブン中、室温で16時間乾燥させた。(3.5g、収率35.0%)。GPC(Mn=486.1kダルトン、Mw=1311.2kダルトン、D=2.7)。マイクロ波消化及びICP-MSを使用して金属濃度を決定した。Al=0.83ppm、Ti=0.32ppm、Zn=0.37ppm、Fe=2.42ppm、Ru=2.40ppm。したがって、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、マグネシウム及び他の金属の合計は3.94ppmである。
【0077】
実施例6:(予測)
この実施例は、水酸化テトラメチルアンモニウムによる塩基性抽出を用いた精製によるポリオクテンの合成を実証し、予想されるMn=1100kダルトンである。
【0078】
代表的な実験では、180mLのクロロホルム中の11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を、3mLのクロロホルム中の6.7mgのStickycat Clの溶液に60分間滴下する。
【0079】
次いで、クロロホルム100mLを添加し、溶液を40℃に4時間加熱した。次いで、2.5mLのエチルビニルエーテルを一度に添加し、40℃で0.5時間撹拌する。
【0080】
120mLのDI水中30mLのNCH4OH(H2O中25%)によりNCH4OH(5%)の溶液を調製する。次いで、50mLのDI水と交互に50mLのNCH4OH(5%)溶液で有機相を3回抽出する。
【0081】
抽出後、溶液を200mLのIPAに注いで、白色ポリマーを沈殿させる。次いで、液体をデカントし、ポリマーを対流オーブン中で室温にて16時間乾燥させる。
【0082】
実施例6A
この実施例は、水酸化テトラメチルアンモニウムによる塩基性抽出を用いた精製によるポリオクテンの合成を実証し、予想されるMn=1100kダルトンである。
【0083】
代表的な実験では、180mLのクロロホルム中の11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を、3mLのクロロホルム中の6.7gのStickycat Clの溶液に60分間かけて滴下した。
【0084】
次いで、100mLのクロロホルムを添加し、溶液を60℃に4時間加熱した。その後、2.5mLのエチルビニルエーテル及び10mgのSnatchcatを一度に添加し、溶液を40℃で0.5時間撹拌した。
【0085】
その後、120mLのDI水中の30mLのNCH4OH(H2O中25%)により、NCH4OH(5%)の溶液を調製した。次いで、有機相を、50mLのDI水と交互に50mLのNCH4OH(5%)溶液で3回抽出した。
【0086】
抽出後、有機溶液を200mLのIPAに注ぎ、白色ポリマーが沈殿した。その後、液体をデカントした。固体を回収し、対流式オーブン中、室温で16時間乾燥させた。(4.13g、収率41.3%)。
【0087】
マイクロ波消化及びICP-MSを使用して金属濃度を決定した。Al=2.96ppm、Mg=0.00ppm、Ti=0.00ppm、Zn=0.00ppm、Fe=0.78pm、Ru=4.03ppm。したがって、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの合計は3.74ppmであった。
【0088】
実施例7:(予測)
この実施例は、IPA中でソックスレー抽出を用いた精製によるポリオクテンの合成を実証し、予想されるMn=2200kダルトンである。
【0089】
代表的な実験では、180mLのクロロホルム中の11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を、3mLのクロロホルム中の3.3mgのStickycat Clの溶液に60分間滴下する。
【0090】
次いで、100mLのクロロホルムを添加し、溶液を4時間40℃に加熱する。次いで、2.5mLのエチルビニルエーテルを一度に添加し、40℃で0.5時間撹拌する。
【0091】
有機溶液を300mLのIPAに注いで、白色ポリマーを沈殿させる。
【0092】
液体をデカントし、白色ポリマーを対流式オーブン中、室温で10時間乾燥させる。次いで、ポリマーを不織膜で覆われたソックスレー装置に入れ、IPAを用いて72時間連続して抽出する。
【0093】
続いて、対流式オーブン中で室温にて16時間ポリマーを乾燥させる。
【0094】
実施例7A
この実施例は、IPA中でソックスレー抽出を用いた精製によるポリオクテンの合成を実証し、予想されるMn=2200kダルトンである。
【0095】
代表的な実験では、180mLのクロロホルム中の11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を、3mLのクロロホルム中の3.2gのStickycat Clの溶液に60分間かけて滴下した。
【0096】
次いで、100mLのクロロホルムを添加し、溶液を60℃に4時間加熱した。その後、2.5mLのエチルビニルエーテルを一度に添加し、溶液を40℃で0.5時間撹拌した。
【0097】
その後、有機溶液を200mLのIPAに注ぎ、白色ポリマーが沈殿した。その後、液体をデカントした。固体を収集し、不織膜で覆い、ソックスレー装置に導入した。次いで、IPAを72時間連続使用してソックスレー装置でポリマーを抽出した。
【0098】
続いて、ポリマーを対流式オーブン内で室温にて16時間乾燥させた(3.6g、収率36%)。マイクロ波消化及びICP-MSを使用して金属濃度を決定した。Al=0.00ppm、Mg=0.00ppm、Ti=0.26ppm、Zn=0.00ppm、Fe=0.00pm、Ru=24.24ppm。したがって、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの合計は0.26ppmであった。
【0099】
実施例8:
この実施例は、実施例4におけるポリオクテンの還元によるポリエチレンの合成を実証する。
【0100】
代表的な実験では、1.00gのポリオクテン(Mn=1100kダルトン)を110mLのキシレンに溶解した。次いで、混合物を110℃に加熱した。
【0101】
反応混合物に、6.78gのp-トルエンスルホニルヒドラジドを一度に添加した。その後、4.7mLのトリプロピルアミンを一度に添加した。反応物を150℃に加熱し、還流下で7時間撹拌した。
【0102】
次いで、135℃に冷却し、300mLのIPAに一度に注いだ。白色沈殿物が形成された。ポリマーをろ紙でろ過し、40mLのアセトンで洗浄した。
【0103】
ポリマーを対流式オーブン中で24時間乾燥させた。(0.93g、収率89%)。融点130.2℃~134.5℃。
【0104】
150℃での13C溶融状態NMRは、試料中の2.72%の二重結合濃度を決定した。元素分析により、C=83.68% H=14.79%(Cに対するHのモル比=2.11)と決定された。
【0105】
実施例9:
この実施例は、酸抽出によるポリブタジエンの精製を実証する。
【0106】
代表的な実験では、1.00gのポリブタジエン(Mn=1200kダルトン、D=1.18)を100mLのヘキサンに溶解した。有機溶液を、363mLのDI水中の137mLのHCl(37%)で作られた100mLの酸溶液HCl(10%)で5回抽出した。
【0107】
溶液を100mLのIPA中で沈殿させた。ポリマーを溶液から沈殿させ、ろ紙でろ過した。ポリマーを対流式オーブン中、室温で24時間乾燥させた。
【0108】
ポリブタジエンは、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムを含む<100ppbの総金属濃度を含有していた。
【0109】
実施例10:
この実施例は、ポリブタジエンの二重結合の還元によるポリエチレン-コ-ポリブチレン樹脂等のポリエチレン共重合体の合成を実証する。
【0110】
代表的な実験では、実施例9に記載の精製を行った後、1.00gのポリブタジエン(Mn=1200kダルトン、D=1.18)を50mLのキシレンに溶解し、次いで10mgの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを添加した。次いで、混合物を110℃に加熱した。
【0111】
反応混合物に、12.03gのp-トルエンスルホニルヒドラジドを一度に添加した。その後、8.5mLのトリプロピルアミンを一度に添加した。反応物を150℃に加熱し、還流下で6時間撹拌した。
【0112】
反応混合物を135℃に冷却し、50mLのIPAに一度に注いだ。白色沈殿物が形成された。ポリマーをろ紙を用いてろ過した。固体を対流式オーブン中で24時間乾燥させた。(0.83g、収率83%)。
【0113】
ポリマーを150℃で50mLのデカヒドロナフタレンに再溶解し、室温で一度に200mLのIPAに注いだ。沈殿を2回繰り返した。ポリマーをろ紙を用いてろ過し、対流式オーブン中で24時間乾燥させた。
【0114】
150℃での13C溶融状態NMRは、試料中の3.48%の二重結合濃度を決定した。元素分析により、C=81.71% H=13.65%(Cに対するHのモル比=1.99)と決定された。融点=109.0℃。
【0115】
実施例11:(予測)
この実施例は、ポリオクテンを還元することによるポリエチレンの合成を実証し、予想されるMn=5600kダルトンである。
【0116】
代表的な実験では、10mgの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを、100mLのキシレン中の1.00gのポリオクテン(Mn=5500kダルトン)の溶液に添加する。次いで、混合物を110℃に加熱する。
【0117】
反応混合物に、6.8gのp-トルエンスルホニルヒドラジドを一度に添加する。その後、4.8mLのトリプロピルアミンを一度に添加する。反応物を150℃に加熱し、還流下で6時間撹拌する。
【0118】
その後、反応混合物を135℃に冷却し、それを一度に100mLのIPAに注ぎ入れてポリマーを沈殿させる。次いで、ろ紙を用いてポリマーをろ過し、対流式オーブン中で固体を24時間乾燥させる。
【0119】
実施例12:
この実施例は、ポリオクテンの合成及びシリカゲル吸着を用いた精製を実証する。
【0120】
代表的な実験では、180mLのクロロホルム中の11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を、3mLのクロロホルム中の3.2mgのStickycat Clの溶液に60分間かけて滴下した。
【0121】
次いで、100mLのクロロホルムを添加し、溶液を60℃に4時間加熱した。その後、2.5mLのエチルビニルエーテル及び10mgのSnatchcatを一度に添加し、溶液を40℃で0.5時間撹拌した。
【0122】
その後、5.0gのシリカゲルを溶液に添加し、40℃で2時間撹拌した。シリカをろ紙を用いて減圧下(約150mbar)でろ過した。シリカを室温でクロロホルムにより洗浄した。
【0123】
次いで、219mLのDI水中の81mLのHCl(37%)で作られた100mLの酸溶液HCl(10%)で有機相を3回抽出した。
【0124】
抽出後、有機溶液を300mLのイソプロピルアルコールに注ぎ、白色ポリマーが沈殿した。その後、液体をデカントした。固体を回収し、対流式オーブン中、室温で16時間乾燥させた。(3.56g、収率35.6%)。GPC(Mn=212.0kダルトン、Mw=430.3kダルトン、D=2.0)。マイクロ波消化及びICP-MSを使用して金属濃度を決定した。Al=1.01ppm、Mg=0.00ppm、Ti=0.22ppm、Zn=0.36ppm、Fe=1.54pm、Ru=0.19ppm。したがって、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの合計は3.13ppmであった。
【0125】
実施例13:
この実施例は、重合の前にシリカゲルに固定化されているStickycat Clを使用したポリオクテンの合成を実証する。
【0126】
代表的な実験では、反応前にStickycat Clをシリカゲルに固定化した。シリカゲルを対流式オーブン内で150℃で12時間乾燥させ、使用前に減圧下のチャンバ内で室温に冷却した。
【0127】
2mLのCHCl3中の3.2mgのStickycat Clの溶液を0.64gの乾燥シリカゲルに添加した。次いで、回転エバポレーター内でシリカゲルを乾燥させた。
【0128】
次いで、180mLのクロロホルム中の11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液をシリカゲル上の固定化Stickycat Clに60分間滴下した。不均一な反応物を激しく撹拌した。
【0129】
次いで、100mLのクロロホルムを添加し、溶液を60℃に4時間加熱した。その後、2.5mLのエチルビニルエーテル及び10mgのSnatchcatを一度に添加し、懸濁液を40℃で0.5時間撹拌した。次いで、シリカゲルをろ紙を用いて減圧下(約150mbar)でろ過した。シリカを室温でクロロホルムにより洗浄した。
【0130】
次いで、219mLのDI水中の81mLのHCl(37%)で作られた100mLの酸溶液HCl(10%)で有機相を3回抽出した。
【0131】
抽出後、有機溶液を300mLのイソプロピルアルコールに注ぎ、白色ポリマーが沈殿した。その後、液体をデカントした。固体を回収し、対流式オーブン中、室温で16時間乾燥させた。(2.10g、収率21.0%)。GPC(Mn=591.2kダルトン、Mw=1703.9kダルトン、D=2.9)。
【0132】
実施例14:(予測)
この実施例は、重合前のシリカゲル(SiliaMetS Thiol(SH)Metal Scavenger(R51030B))に固定化されているStickycat Clを使用したポリオクテンの合成を実証し、予想されるMn=2300kダルトンである。
【0133】
代表的な実験では、反応の前にStickycat Clをシリカゲル(SiliaMetS Thiol(R51030B))に固定化する。
【0134】
次いで、3.2mgのStickyCat Clの2mLのCHCl3中溶液を0.64gのシリカゲル(SiliaMetS Thiol(R51030B))に添加する。次いで、回転エバポレーター内でシリカゲルを乾燥させる。
【0135】
次いで、180mLのクロロホルム中の11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液をシリカゲル(SiliaMetS Thiol(R51030B))上の固定化されているStickycat Clに60分間滴加し、激しく撹拌する。
【0136】
次いで、280mLのクロロホルムを添加し、溶液を4時間40℃に加熱する。その後、2.5mLのエチルビニルエーテルを一度に添加し、40℃で0.5時間撹拌する。
【0137】
次いで、シリカをろ紙を用いて減圧下(約150mbar)でろ過する。シリカをジクロロメタン150mLにより室温で洗浄する。
【0138】
次いで、219mLのDI水中の81mLのHCl(37%)から作られた100mLの酸溶液HCl(10%)で粘性溶液を3回抽出する。
【0139】
抽出後、溶液を300mLのイソプロピルアルコールに注ぎ、白色ポリマーを沈殿させる。次いで、母液をデカントし、沈殿を対流式オーブン内で室温にて16時間乾燥させる。
【0140】
実施例15:(予測)
この実施例は、ポリオクテンの合成及びキレート樹脂(Puromet MTS9100)を用いた精製を実証し、予想されるMn=5500kダルトンである。
【0141】
代表的な実験では、11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を3mLのクロロホルム中の1.3mgのStickycat Clの溶液に60分間滴下する。
【0142】
次いで、100mLのクロロホルムを添加し、溶液を12時間60℃に加熱する。その後、2.5mLのエチルビニルエーテルを一度に添加し、40℃で0.5時間撹拌する。
【0143】
その後、6mLをとり、アリコートし、それを0.2gの樹脂(Puromet MTS9100)に添加し、24時間撹拌する。
【0144】
その後、液体を20mLのイソプロピルアルコールと共に別のバイアルにデカントする。バイアルを撹拌し、ポリマーを沈殿させる。次いで、液体をデカントし、室温の対流オーブン中で固体を乾燥させる。
【0145】
実施例16:(予測)
この実施例は、ポリオクテンの合成及びイオン交換樹脂(NRW160)を用いた精製を実証し、予想されるMn=5500kダルトンである。
【0146】
代表的な実験では、11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を3mLのクロロホルム中の1.3mgのStickycat Clの溶液に60分間滴下する。
【0147】
次いで、100mLのクロロホルムを添加し、溶液を12時間60℃に加熱する。その後、2.5mLのエチルビニルエーテルを一度に添加する。次いで、溶液を40℃で0.5時間撹拌する。
【0148】
その後、6mLをとり、アリコートし、それを0.2gの樹脂(NRW160)に添加し、24時間撹拌する。
【0149】
その後、液体を20mLのイソプロピルアルコールと共に別のバイアルにデカントする。バイアルを撹拌し、ポリマーを沈殿させる。次いで、液体をデカントし、室温の対流オーブン中で固体を乾燥させる。
【0150】
実施例17:
この実施例は、Hoveyda-Grubbs M720開始剤を用いたポリオクテンの合成を実証する。
【0151】
代表的な実験では、180mLのクロロホルム中の11.8mLのシス-シクロオクテンの溶液を、3mLのクロロホルム中の2.8mgのHoveyda-Grubbs M720開始剤の溶液に60分間かけて滴下した。
【0152】
次いで、100mLのクロロホルムを添加し、溶液を60℃に4時間加熱した。その後、2.5mLのエチルビニルエーテルを一度に添加し、溶液を40℃で0.5時間撹拌した。
【0153】
次いで、219mLのDI水中の81mLのHCl(37%)で作られた100mLの酸溶液HCl(10%)で有機相を3回抽出した。
【0154】
抽出後、有機溶液を300mLのイソプロピルアルコールに注ぎ、白色ポリマーが沈殿した。その後、液体をデカントした。固体を回収し、対流式オーブン中、室温で16時間乾燥させた。(0.75g、収率7.5%)。GPC(Mn=31.2kダルトン、Mw=76.4kダルトン、D=2.5)。
【0155】
態様
第1の態様では、本開示は、ポリオレフィンを含むフィルタ膜を提供し、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計は、MARS6マイクロ波酸消化方法ノート概要(Microwave Acid Digestion Method Note Compendium)によって決定される場合、約4ppm未満である。
【0156】
第2の態様では、本開示は、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が約3.5ppm未満である、第1の態様の膜を提供する。
【0157】
第3の態様では、本開示は、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が約3ppm未満である、第1の態様の膜を提供する。
【0158】
第4の態様では、本開示は、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が約2ppm未満である、第1の態様の膜を提供する。
【0159】
第5の態様では、本開示は、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が約1ppm未満である、第1の態様の膜を提供する。
【0160】
第6の態様では、本開示は、ポリオレフィンが、MARS6マイクロ波酸消化方法ノート概要(Microwave Acid Digestion Method Note Compendium)によって決定されるように、約1ppm未満のルテニウムを有する、第1の態様の膜を提供する。
【0161】
第7の態様では、本開示は、ポリオレフィンがポリエチレン及びポリエチレン-コ-ポリブチレンから選択される、第1から第6の態様のいずれか1つの膜を提供する。
【0162】
第8の態様では、本開示は、ポリオレフィンが超高分子量ポリエチレンである、第1から第6の態様のいずれか1つの膜を提供する。
【0163】
第9の態様において、本開示は、ポリオレフィンが約330,000~2,200,000ダルトンの数平均分子量を有する、第1から第8の態様のいずれか1つの膜を提供する。
【0164】
第10の態様において、本開示は、ポリオレフィンが約700,000ダルトン~約1,500,000ダルトンの数平均分子量を有する、第1から第8の態様のいずれか1つの膜を提供する。
【0165】
第11の態様において、本開示は、ポリオレフィンが、
A.シス又はトランス-シクロオクテンをRu II触媒と接触させた後、
B.Ru II触媒の除去又は抽出、続いて
C.ヒドラジン型又はヒドラジド型の還元剤による水素化
によって調製される、第1の態様の膜を提供する。
【0166】
第12の態様では、本開示は、Ru II触媒が、
i.(1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-4-((4-エチル-4-メチルピペラジン-1-イウム-1-イル)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)(2-イソプロポキシベンジリデン)塩化ルテニウム(II)二水和物;
ii.(1,3-ジメシチル-4-((トリメチルアンモニオ)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)クロリド;
iii.(4-((4-エチル-4-メチルピペラジン-1-イウム-1-イル)メチル)-1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)クロリド;
iv.(1,3-ジメシチル-4-((トリメチルアンモニオ)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)ヘキサフルオロホスフェート;及び
v.(1,3-ジメシチル-4-((トリメチルアンモニオ)メチル)イミダゾリジン-2-イリデン)ジクロロ(2-イソプロポキシベンジリデン)ルテニウム(II)テトラフルオロボラート
から選択される、第11の態様の膜を提供する。
【0167】
第13の態様では、本開示は、ポリオレフィンが、ヒドラジド型又はヒドラジン型の還元剤の存在下でポリブタジエンを水素と接触させることによって調製されるポリエチレン-コ-ポリブチレンである、第1の態様の膜を提供する。
【0168】
第14の態様では、本開示は、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が、MARS6マイクロ波酸消化方法ノート概要(Microwave Acid Digestion Method Note Compendium)によって決定される場合、約4ppm未満である、ポリオレフィンを含むフィルタ膜を含むフィルタを提供する。
【0169】
第15の態様では、本開示は、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が約3.5ppm未満である、第14の態様のフィルタを提供する。
【0170】
第16の態様では、本開示は、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が約3ppm未満である、第14の態様のフィルタを提供する。
【0171】
第17の態様では、本開示は、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が約2ppm未満である、第14の態様のフィルタを提供する。
【0172】
第18の態様では、本開示は、ポリオレフィン中のチタン、アルミニウム、鉄、亜鉛、及びマグネシウムの量の合計が約1ppm未満である、第14の態様のフィルタを提供する。
【0173】
第19の態様では、本開示は、MARS6マイクロ波酸消化方法ノート概要(Microwave Acid Digestion Method Note Compendium)によって決定されるように、ポリオレフィンが約1ppm未満のルテニウムを有する、第14の態様のフィルタを提供する。
【0174】
第20の態様では、本開示は、ポリオレフィンがポリエチレン及びポリエチレン-コ-ポリブチレンから選択される、第14から第18の態様のいずれか1つのフィルタを提供する。
【0175】
第21の態様では、本開示は、ポリオレフィンが超高分子量ポリエチレンである、第14から第18の態様のいずれか1つのフィルタを提供する。
【0176】
第22の態様では、本開示は、ポリオレフィンが約330,000~2,200,000ダルトンの数平均分子量を有する、第14から第18の態様のいずれか1つのフィルタを提供する。
【0177】
第23の態様では、本開示は、ポリオレフィンが約700,000ダルトン~約1,500,000ダルトンの数平均分子量を有する、第14から第18の態様のいずれか1つのフィルタを提供する。
【0178】
第24の態様では、本開示は、液体から不純物を除去する方法を提供し、この方法は、液体を、第14から第23の態様のいずれか1つのフィルタと接触させることを含む。
【0179】
このように本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲内で更に他の実施形態を作成及び使用することができることを容易に理解するであろう。本文書によって網羅される本開示の多くの利点は、前述の説明に記載されている。しかしながら、本開示は、多くの点で例示にすぎないことが理解されよう。本開示の範囲は、当然のことながら、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
【国際調査報告】