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特表2023-548161メラノコルチン受容体アゴニスト化合物の結晶形IVおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】メラノコルチン受容体アゴニスト化合物の結晶形IVおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/16 20060101AFI20231108BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
C07D207/16 CSP
A61K31/5377
A61P43/00 111
A61P3/04
A61P3/10
A61P29/00
A61P15/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526431
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 KR2021015475
(87)【国際公開番号】W WO2022092914
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0142400
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジン・オク・ハム
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ユン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウォン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スル・ア・チュン
(72)【発明者】
【氏名】サン・デ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウォン・パク
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA03
4C086BC73
4C086GA07
4C086GA09
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA66
4C086NA03
4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZA81
4C086ZB11
4C086ZC02
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、化学式1で表される化合物の結晶形IV、その製造方法およびこれを含む薬学的組成物に関する。本発明の化学式1で表される化合物の結晶形IVは、XRDパターン、DSCプロファイルおよび/またはTGAプロファイルによって特性化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩またはその溶媒和物の結晶形IVであって、
X線粉末回折パターンで、下記回折角(2θ値):7.76±0.2゜、9.69±0.2゜、10.12±0.2゜、10.63±0.2゜、11.93±0.2゜、12.72±0.2゜、14.57±0.2゜、16.07±0.2゜、17.65±0.2゜、18.24±0.2゜、19.10±0.2゜、19.62±0.2゜、20.09±0.2゜、21.19±0.2゜、21.62±0.2゜、22.02±0.2゜、22.25±0.2゜、22.61±0.2゜、23.59±0.2゜、24.26±0.2゜、24.78±0.2゜、25.29±0.2゜、26.15±0.2゜、28.52±0.2゜、29.38±0.2゜および29.98±0.2゜から選択される3個以上の特徴的なピークを有する、結晶形IV
【化1】
前記化学式1中、
は、C-Cアルキルである。
【請求項2】
前記化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩は、前記化合物の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩およびヨウ化水素酸塩からなる群から選択される、請求項1に記載の結晶形IV。
【請求項3】
前記化学式1の化合物の塩酸塩の溶媒和物の結晶形である、請求項1に記載の結晶形IV。
【請求項4】
前記溶媒和物は、水和物である、請求項3に記載の結晶形IV。
【請求項5】
下記化学式4の化合物の結晶形である、請求項4に記載の結晶形IV
【化2】
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の結晶形IVの製造方法であって、
結晶化溶媒に、前記化学式1の化合物を溶解させて、混合溶液を製造するステップと、
前記混合溶液から結晶を取得するステップとを含む、結晶形IVの製造方法。
【請求項7】
前記結晶化溶媒は、水、極性非プロトン性有機溶媒またはその混合物を含む、請求項6に記載の結晶形IVの製造方法。
【請求項8】
前記極性非プロトン性有機溶媒は、エチルアセテート(Ethyl Acetate)、メチルイソブチルケトン(Methyl isobutyl ketone)、ジメチルスルホキシド(Dimethylsulfoxide)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、アセトン(acetone)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、アセトニトリル(acetonitrile)またはこれらの混合物を含む、請求項7に記載の結晶形IVの製造方法。
【請求項9】
前記結晶化溶媒は、水および極性非プロトン性有機溶媒が35:1~1:35の体積比で混合された混合溶媒である、請求項7に記載の結晶形IVの製造方法。
【請求項10】
前記結晶化ステップは、前記混合溶液を攪拌するステップを含む、請求項6に記載の結晶形IVの製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の結晶形IV、および薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物。
【請求項12】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の結晶形IVおよび薬学的に許容可能な担体を含む、メラノコルチン-4受容体機能亢進用薬学的組成物。
【請求項13】
前記組成物は、肥満、糖尿、炎症または勃起不全の予防または治療用である、請求項12に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年10月29日付けの韓国特許出願第10-2020-0142400号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、メラノコルチン受容体に対する優れた亢進活性を示す新規化合物の結晶形IV、その製造方法およびこれを含む薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
レプチン(leptin)タンパク質は、脂肪細胞(adipocyte)によって分泌するホルモンであり、体内脂肪の含量の増加に伴い分泌量が増加し、視床下部(hypothalamus)で生成される様々な神経ペプチド(neuropeptide)の機能を調節することで、食欲、体脂肪含量およびエネルギー代謝をはじめ、様々な生体内機能を調節する(Schwartz,et al.,Nature 404,661-671(2000))。レプチンタンパク質による食欲と体重調節のシグナル伝達は、その下流(downstream)に様々な要因の調節により行われ、その最も代表的なものが、メラノコルチン(melanocortin)、AgRP(agoutirelated peptide)および神経ペプチドY(neuropeptide Y、NPY)ホルモンである。
【0004】
生体内のカロリー過多による結果として、血液内のレプチンの濃度が増加すると、脳下垂体(pituitary gland)でのプロオピオメラノコルチン(proopiomelanocortin;POMC)タンパク質ホルモンの分泌は増加し、AgRPとNPYの生成は減少する。POMC神経細胞から小さなペプチドホルモンであるalpha-MSH(melanocyte stimulating hormone)が生成され、このホルモンは、二次神経細胞のメラノコルチン-4受容体(Melanocortin-4 Receptor、MC4R)アゴニスト(agonist)として、食欲減少を結果的に誘導する。一方、カロリー不足による結果として、レプチンの濃度が減少すると、MC4R拮抗剤(antagonist)であるAgRPの発現が増加し、NPYの発現も増加して、結果的に食欲を増進させる。すなわち、レプチンの変化に応じて、alpha-MSHホルモンとAgRPホルモンは、MC4Rに対して亢進と拮抗の役割を行うことで、食欲調節に関わる。
【0005】
Alpha-MSHホルモンは、MC4R以外に3つのMCR subtypeにも結合して、様々な生理反応を誘導する。現在まで5種のMCR subtypeが究明されており、そのうち、MC1Rの場合、主に皮膚細胞で発現し、メラニン色素調節(skinpigmentation)に関わり、MC2Rは、副腎(adrenal gland)で主に発現し、グルココルチコイドホルモン(glucocorticoid hormone)の生成に関わると知られており、POMCから由来したACTH(adrenocorticotropic hormone)のみがそのリガンドである。中枢神経系で主に発現するMC3RとMC4Rは、食欲、エネルギー代謝および体内脂肪貯蔵効率調節などに関わり、様々な組織で発現するMC5Rは、外分泌機能(exocrine function)を調節すると知られている(Wikberg,et al.,Pharm Res 42(5)393-420(2000))。特に、MC4R受容体の活性化は、食欲の減少とエネルギー代謝の増加を誘導することで、体重を効率的に減少させる効果を示すことから、肥満治療剤の開発の主な作用点として立証されている(Review:Wikberg,Eur.J.Pharmacol 375,295-310(1999));Wikberg,et al.,Pharm Res 42(5)393-420(2000);Douglas et al.,Eur J Pharm 450,93-109(2002);O’Rahilly et al.,Nature Med 10,351-352(2004))。
【0006】
食欲と体重調節において、MC4Rの役割は、アグーチ(agouti)タンパク質の異常発現動物モデル(agouti mouse)実験により一次的に立証された。アグーチマウス(Agouti mouse)の場合、遺伝的変異によってアグーチ(agouti)タンパク質が中枢神経系にも高い濃度で発現し、視床下部でMC4Rの拮抗剤(antagonist)の役割を果たすことで、肥満を誘導することが明らかになっている(Yen,TT et al.,FASEB J.8,479-488(1994);Lu D.,et al.Nature 371,799-802(1994))。以降の研究結果では、視床下部神経で、実際、アグーチ(agouti)タンパク質と類似のAgRP(agouti-related peptide)が発現することが観察され、これらもMC4Rに対する拮抗剤として食欲調節に関わると知られている(Shutter,et al.,Genes Dev.,11,593-602(1997);Ollman,et al.Science 278,135-138(1997))。
【0007】
生体内のMC4Rアゴニストであるalpha-MSHを動物に対して大脳投与すると、食欲を減少する効果が示され、これに対して、MC4R拮抗剤(antagonist)であるSHU9119(peptide)またはHS014(peptide)を処理すると、食欲をまた増加させる現象が観察されている(Kask et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.245,90-93(1998))。それだけでなく、Melanotan II(MTII、Ac-Nle-c[Asp-His-DPhe-Arg-Trp-Lys]-NH2)とその類似のアゴニストであるHP228を用いた動物試験において、大脳、腹腔または皮下投与の後、食欲抑制、体重減少、エネルギー代謝の増加の効能などが確認されている(Thiele T.E.,et al.Am J Physiol 274(1 Pt 2),R248-54(1998);Lee M.D.,et al.FASEB J 12,A552(1998);Murphy B.,et al.J Appl Physiol 89,273-82(2000))。これとは逆に、代表的なSHU9119を動物に投与すると、顕著且つ継続した飼料摂取および体重増加を示し、MCRアゴニストが肥満治療剤になることができるという薬理学的な証拠を提供する。MTII投与時に著しく現れる食欲減少効果が、MC4R KO(knock-out)マウスでは現れないが、この実験結果は、食欲減少効果が、主に、MC4Rの活性化により行われていることをまた証明する(Marsh,et al.,Nat Genet 21,119-122(1999))。
【0008】
現在まで開発されている肥満治療剤としては、中枢神経系に作用する食欲抑制剤が主な種類であり、中でも、神経シグナル伝達物質(neurotransmitter)の作用を調節する薬物がほとんどであった。その例としては、noradrenalin agentであるフェンテルミン(phentermine)およびマジンドール(mazindol)と、serotonergic agentであるフルオキセチン(fluoxetine)およびシブトラミン(sibutramine)などがある。しかし、前記神経シグナル伝達物質調節剤の場合は、数多いsubtype受容体により、食欲阻害の他に様々な生理作用にも広範な影響を及ぼす。したがって、前記調節剤の場合、各subtype別に選択性が欠如し、長期間投与すると、様々な副作用が伴われる大きな欠点がある。
【0009】
一方、メラノコルチンアゴニストは、神経シグナル伝達物質ではなく、神経ペプチド(neuropeptide)であり、MC4R遺伝子KOマウスにおいてエネルギー代謝以外の他の機能はすべて正常である点からみて、他の生理機能に対する影響なしに、食欲阻害による体重減少のみを誘導することができるという点で作用点としての利点を有する。特に、その受容体が、現在まで開発されている新薬作用点のうち最も成功的な範疇に属するG-タンパク質結合受容体(G-protein coupled receptor、GPCR)として、subtype受容体に対する選択性の確保が相対的に容易であるという面が、既存の作用点とは大きく区別される。
【0010】
このようなメラノコルチン受容体を作用点として活用した例として、国際公開番号WO2008/007930号およびWO2010/056022号では、メラノコルチン受容体のアゴニストとしての化合物を開示している。
【0011】
また、本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねて、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対する選択的な亢進活性に優れた下記化学式1の新規な化合物およびその製造方法を発明している(韓国出願番号第10-2019-0141649号(2019.11.07.出願))。
【0012】
【化1】
【0013】
一方、薬学的に活性である成分の結晶構造は、時にはその薬物の化学的安定性に影響を及ぼす。相違する結晶化条件および貯蔵条件は、その化合物の結晶構造を変化させる可能性があり、時には異なる形態の結晶形が伴われる生産を引き起こす可能性がある。一般的に、無定形薬物生成物は、規則的な結晶構造を有しておらず、時には不良な生成物安定性、より小さい粒子径、難しい濾過、凝集しやすさおよび不良な流動性といったその他の欠陥を有する。したがって、生成物の様々な物性を改善する必要がある。このように、一つの化合物に対して、高純度および良い化学的安定性を有する結晶構造について研究する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際特許出願公開番号WO2008/007930号
【特許文献2】国際特許出願公開番号WO2010/056022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対する選択的な亢進活性に優れた無定形の新規な化合物またはその塩を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、前記新規な化合物の安定した結晶形を含む薬学的組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、
一側面において、本発明は、下記化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩またはその溶媒和物の結晶形IVであって、
X線粉末回折パターンで、下記回折角(2θ値):7.76±0.2゜、9.69±0.2゜、10.12±0.2゜、10.63±0.2゜、11.93±0.2゜、12.72±0.2゜、14.57±0.2゜、16.07±0.2゜、17.65±0.2゜、18.24±0.2゜、19.10±0.2゜、19.62±0.2゜、20.09±0.2゜、21.19±0.2゜、21.62±0.2゜、22.02±0.2゜、22.25±0.2゜、22.61±0.2゜、23.59±0.2゜、24.26±0.2゜、24.78±0.2゜、25.29±0.2゜、26.15±0.2゜、28.52±0.2゜、29.38±0.2゜および29.98±0.2゜から選択される3個以上、5個以上、7個以上、9個以上または10個以上の特徴的なピークを有する、結晶形IVを提供する。
【0018】
【化2】
【0019】
前記化学式1中、
は、C-Cアルキルである。
【0020】
前記化学式1の化合物は、非対称炭素中心と非対称軸または非対称平面を有することができ、cisまたはtrans異性体、RまたはS異性体、ラセミ体、部分立体異性体混合物および個々の部分立体異性体として存在することができ、これらのすべての異性体および混合物は、前記化学式1の化合物の範囲に含まれる。
【0021】
本明細書において、便宜上、別段の定めがない限り、化学式1の化合物は、化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その異性体およびその溶媒和物をすべて含む意味で使用される。
【0022】
本発明による一具体例において、前記化学式1のRは、C~Cアルキルである。本発明による他の具体例において、前記化学式1のRは、直鎖または分岐状C~Cアルキル、例えば、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチルである。
【0023】
本発明による他の具体例において、前記化学式1のRは、CまたはCアルキルである。本発明による他の具体例において、前記化学式1のRは、直鎖または分岐状CまたはCアルキル、例えば、エチル、n-プロピルまたはiso-プロピルである。
【0024】
本発明による一具体例において、前記薬学的に許容可能な塩は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸、酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、卜リクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機カルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸などのスルホン酸などにより形成された酸付加塩を含むが、これに制限されるものではない。
【0025】
本発明による一具体例において、前記溶媒和物(solvate)は、水和物;メタノール、エタノール、2-プロパノール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、n-ブタノール、1,4-ブタンジオール、tert-ブタノール、酢酸、アセトン、ブチルアセテート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、イソブチルアセテート、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム、トルエンおよびこれらの混合物などの有機溶媒との溶媒和物を含むことができる。
【0026】
本発明による一具体例において、前記結晶形IVは、化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩の結晶形であることができる。
【0027】
前記化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩は、下記化学式2の塩酸塩化合物であることができる。
【0028】
【化3】
【0029】
前記化学式2中、Rは、C-Cアルキルである。
【0030】
本発明によるさらに他の具体例において、前記化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩は、下記化学式3のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩であることができる。
【0031】
【化4】
【0032】
本発明による他の具体例において、前記結晶形IVは、化学式1の化合物の薬学的に許容可能な塩の溶媒和物、具体的には、水和物の結晶形であることができる。
【0033】
より具体的には、前記結晶形IVは、化学式1の化合物の塩酸塩の水和物の結晶形であることができる。
【0034】
本発明による一具体例において、前記結晶形IVは、下記化学式4の化合物の結晶形であることができる。
【0035】
【化5】
【0036】
本発明による結晶形IVは、X線粉末回折(XRD)分析時に、7.76±0.2゜、9.69±0.2゜、10.12±0.2゜、10.63±0.2゜、11.93±0.2゜、12.72±0.2゜、14.57±0.2゜、16.07±0.2゜、17.65±0.2゜、18.24±0.2゜、19.10±0.2゜、19.62±0.2゜、20.09±0.2゜、21.19±0.2゜、21.62±0.2゜、22.02±0.2゜、22.25±0.2゜、22.61±0.2゜、23.59±0.2゜、24.26±0.2゜、24.78±0.2゜、25.29±0.2゜、26.15±0.2゜、28.52±0.2゜、29.38±0.2゜および29.98±0.2゜から選択される3個以上、5個以上、7個以上、9個以上または10個以上の特徴的なピークを示す。
【0037】
本発明による一具体例において、前記結晶形IVは、図4に示したXRDパターンを有することができる。
【0038】
本発明による結晶形IVは、示差走査熱量測定(DSC)プロファイルで、30~200℃で3個の吸熱ピークが示され、220℃以上で分解による吸熱ピークが示される。
【0039】
本発明による一具体例において、前記結晶形IVは、図5に示したDSCプロファイルを有することができる。
【0040】
本発明による結晶形IVは、熱重量分析(TGA)プロファイルで、140℃以下の温度で加熱する時に、10%以下、例えば、1%~10%、3%~8%または5%の重量損失を有することができる。
【0041】
本発明による一具体例において、前記結晶形IVは、図6に示したTGAプロファイルを有することができる。
【0042】
本明細書において、
X線回折(XRD)分析は、PANalytical X’ Pert Pro MPD system,Malvern Panalytical Ltdを用いて行った結果を示す。
【0043】
示差走査熱量(DSC)分析は、DSC1,Mettler-Toledo AG、を用いて行った結果を示す。
【0044】
熱重量分析(TGA)は、TGA/DSC 1,Mettler-Toledo AGを用いて行った結果を示す。
【0045】
前記結晶形IVは、粗製の化学式1の化合物、無定形の化学式1の化合物または化学式1の化合物の他の結晶形に比べて純度がさらに高いことができ、物理的および化学的にさらに安定していることができる。
【0046】
それだけでなく、前記化学式1の化合物の結晶形IVは、公知のメラノコルチン-4-受容体アゴニストに比べて、メラノコルチン-4受容体に対する亢進能力、肥満、糖尿、炎症、勃起不全などの疾病に対する予防または治療効果にさらに優れていることができるが、本発明の効果がこれに制限されるものではない。
【0047】
他の側面において、本発明は、結晶化溶媒に、前記化学式1の化合物を溶解させて、混合溶液を製造するステップと、前記混合溶液から結晶を取得するステップとを含む、結晶形IVの製造方法を提供する。
【0048】
先ず、前記化学式1で表される化合物を結晶化溶媒に溶解させる。
【0049】
前記結晶形IVの製造のための、前記化学式1の化合物は、化学式1の化合物、その塩、その異性体、またはこれらの溶媒和物であることができる。
【0050】
前記化学式1の化合物は、韓国出願番号第10-2019-0141649号(2019年11月07日出願)の明細書に記載の製造方法によって取得されることができる。
【0051】
前記結晶化溶媒は、化合物の結晶化のための適切な溶媒であれば、特に制限なく使用可能である。一具体例において、前記結晶化溶媒は、水および極性非プロトン性有機溶媒の混合物を含む。
【0052】
前記極性非プロトン性有機溶媒は、エチルアセテート(Ethyl Acetate)、メチルイソブチルケトン(Methyl isobutyl ketone)、ジメチルスルホキシド(Dimethylsulfoxide)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、アセトン(acetone)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、アセトニトリル(acetonitrile)またはこれらの混合物を含むことができる。
【0053】
本発明による一具体例において、前記極性非プロトン性有機溶媒は、エチルアセテートを含むことができる。
【0054】
本発明による一具体例において、前記結晶化溶媒は、水および極性非プロトン性有機溶媒が35:1~1:35の体積比で混合された混合溶媒であることができ、具体的には、20:1~1:30、10:1~1:25、1:1~1:20、1:10~1:30、1:15~1:25、1:17~1:23、1:18~1:22、または1:20の体積比で混合された混合溶媒であることができる。
【0055】
前記化学式1の化合物1gに対して、結晶化溶媒は、0.5~5mL、0.7~3mL、0.8~2.5mL、1~2.4mL、1.5~2.3mL、2.0~2.2mLまたは2.1mLを使用することができる。
【0056】
前記化学式1の化合物の結晶化溶媒への溶解は、常温、例えば、20~30℃、具体的には、23~28℃または25℃で、攪拌なしにまたは攪拌の下で行われることができる。
【0057】
本発明による一具体例において、前記化学式1の化合物1gに対して、EtOAc2mLおよび蒸留水0.1mLを用いて、常温で、化学式1の化合物が溶解された混合溶液を取得することができる。
【0058】
次に、前記化学式1の化合物が溶解された混合溶液から結晶を取得するステップを含む。前記結晶の取得は、例えば、溶液を冷却させるか、溶液に酸を滴加して沈殿物を形成するか、溶媒を蒸発させるか、逆溶媒を添加して過飽和させるか、スラリー転換などの方法を使用することで行われることができる。
【0059】
また、前記結晶化ステップは、前記混合溶液を攪拌することを含むことができる。前記攪拌は、公知の手段で行うことができ、攪拌時間は、これに制限されるものではないが、例えば、15時間以上50時間以下、具体的には、15時間~50時間、15時間~45時間、15時間~40時間、15時間~35時間、20時間~30時間、23時間~28時間、23~25時間または24時間行うことができる。
【0060】
本発明による他の具体例において、前記混合溶液を常温で攪拌して形成された沈殿物を濾過および洗浄して結晶を取得することができる。
【0061】
本発明によるさらに他の具体例において、前記混合溶液の攪拌の前、攪拌の後または攪拌と同時に、混合溶液に非極性有機溶媒を添加するステップをさらに含むことができる。前記非極性有機溶媒を添加して結晶化粒子の生成速度を増加させることで取得される結晶形IVの収率または生産安定性を優秀にすることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。前記非極性有機溶媒は、非極性特性を有する有機溶媒であれば、特に制限なく使用可能であるが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、四塩化炭素、ベンゼン、クロロホルムなどを使用することができる。本発明による一具体例において、前記混合溶液から結晶化時に溶液にヘプタン(heptane)を投入するステップを含むことができる。
【0062】
前記のように取得された結晶形IVは、粗製の化学式1の化合物、化学式1の無定形化合物または化学式1の任意の結晶形に比べて純度がさらに高いことができ、物理的および化学的にさらに安定していることができるが、本発明の効果がこれに制限されるものではない。
【0063】
さらに他の側面において、本発明は、(i)前記結晶形IV;および(ii)薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0064】
本発明による結晶形IVは、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対して優れた亢進作用を示すことから、また、本発明は、上述の結晶形IVを有効成分として含むメラノコルチン受容体の機能亢進用薬学的組成物を提供することができる。具体的には、前記薬学的組成物は、メラノコルチン-4受容体機能亢進用組成物であることができる。
【0065】
また、前記薬学的組成物は、肥満、糖尿、炎症および勃起不全症に対する予防または治療に優れた効果を示すことができ、肥満の予防または治療用、糖尿の予防または治療用、炎症の予防または治療用、または勃起不全の予防または治療用組成物であることができるが、本発明の用途がこれらの疾病にのみ制限されるものではない。
【0066】
本明細書において、「担体(carrier)」とは、細胞または組織内への化合物の投入を容易にする化合物を意味する。
【0067】
本発明の結晶形IVを臨床的な目的で投与する時に、単一容量または分離容量で宿主に投与される総一日容量は、体重1kg当たり0.01~10mgの範囲が好ましいが、個々の患者に対する特異的な容量水準は、使用される特定の化合物、患者の体重、性別、健康状態、食餌、薬剤の投与時間、投与方法、排泄率、薬剤混合および疾患の重症度などに応じて変化することができる。
【0068】
本発明の結晶形IVは、目的に応じて、如何なる経路でも投与可能である。例えば、本発明の無定形の化合物は、注射または経口投与が可能である。
【0069】
本発明の薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、粒剤、シロップまたはエマルジョンのような様々な経口投与の形態であることができ、または筋肉内、静脈内または皮下投与のための注射用製剤のような非経口投与の形態であることができる。
【0070】
注射用製剤は、公知の技術に応じて、好適な分散剤、湿潤剤、懸濁剤、または賦形剤を使用して製造することができる。
【0071】
本発明の薬学的製剤に使用可能な賦形剤としては、甘味剤、結合剤、溶解剤、溶解補助剤、湿潤剤、乳化剤、等張化剤、吸着剤、崩壊剤、酸化防止剤、防腐剤、滑沢剤、充填剤、芳香剤などが含まれることができるが、これに制限されない。例えば、賦形剤として、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、グリシン、シリカ、マグネシウムアルミニウムケイ酸塩、デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、アルギニン酸、ナトリウムアルギニン酸塩、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、水、エタノール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、オレンジエッセンス、ストロベリーエッセンス、バニラ香などが使用されることができる。
【0072】
本発明の薬学的組成物が経口投与の形態である場合、使用される担体の例としては、セルロース、ケイ酸カルシウム、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、デキストロース、リン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ゼラチン、タルクなどが挙げられるが、これに制限されない。
【0073】
本発明の薬学的組成物が注射用製剤の形態である場合、前記担体としては、水、食塩水、ブドウ糖水溶液、疑似糖水溶液、アルコール、グリコール、エーテル、オイル、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリドなどが挙げられるが、これに制限されない。
【0074】
さらに他の側面において、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)の機能亢進の用途で使用するための上述の結晶形IVを提供する。
【0075】
一実施形態において、肥満、糖尿、炎症または勃起不全の治療または予防の用途で使用するための、上述の結晶形IVを提供する。
【0076】
さらに他の側面において、上述の結晶形IVを対象体(subject)に投与するステップを含むメラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)の機能亢進方法を提供する。
【0077】
さらに他の側面において、上述の結晶形IVを対象体(subject)に投与するステップを含む肥満、糖尿、炎症または勃起不全を治療する方法を提供する。
【発明の効果】
【0078】
本発明による結晶形IVは、メラノコルチン受容体、特に、メラノコルチン-4受容体(MC4R)に対して優れた亢進作用を示すことから、肥満、糖尿、炎症および勃起不全症に対する予防または治療に有用に使用されることができる。
【0079】
本発明による結晶形IVは、メラノコルチン-4受容体に対するon-target効果を示すことから、体重減少および食餌減少効果を示し、且つ不安および憂鬱に影響を及ぼさず、hERG(human ether-a-go-go related gene)阻害に対する副作用や突然変異の誘発のような安定性の問題なく投与が可能である。
【0080】
また、本発明による結晶形IVは、粗製の化学式1の化合物、化学式1の無定形化合物または化学式1の任意の他の結晶形に比べて、純度、収率、物理的および化学的安定性に優れる。
【0081】
具体的には、前記結晶形IVは、粗製の化学式1の化合物、化学式1の無定形化合物または化学式1の任意の他の結晶形に比べて、溶解性、貯蔵安定性、生成安定性に優れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】製造例4のXRD結果グラフである。
図2】製造例4のDSC結果グラフである。
図3】製造例4のTGA結果グラフである。
図4】実施例1のXRD結果グラフである。
図5】実施例1のDSC結果グラフである。
図6】実施例1のTGA結果グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0083】
以下、製造例および実施例を参照して、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明の例示であって、本発明の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【0084】
製造例1:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の製造
【化6】
【0085】
下記ステップA、B、C、DおよびEの過程を経て標題化合物を得た。
【0086】
ステップA:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アジドピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
窒素の下で、1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4R)-4-((メチルスルホニル)オキシ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(48.5g、150mmol)をN,N'-ジメチルホルムアミド(250ml)に溶解し、アジ化ナトリウム(19.5g、300ml)を添加した。80℃で16時間攪拌を行い、反応溶媒を減圧濃縮させた後、水を添加し、エチルアセテートで二回抽出をした。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮して、粗製の(crude)1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アジドピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(39.59g、98%)を取得し、精製なしに次のステップで使用した。
【0087】
MS [M+H] = 271 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.43-4.37 (m, 1H), 4.35-4.27 (br, 1H), 3.77 (s, 1.8H), 3.76 (s, 1.2H), 3.73-3.66 (m, 1H), 3.44-3.38 (m, 1H), 2.63-2.49 (m, 1H), 2.19-2.11 (m, 1H), 1.50 (s, 4.5H), 1.44 (s, 4.5H)
【0088】
ステップB:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アミノピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
前記ステップAで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アジドピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(24.59g、91.0mmol)をテトラヒドロフラン(180ml)に溶解した後、0℃で1Mトリメチルホスフィンテトラヒドロ溶液(109.2ml、109.2mmol)を徐々に添加した。同一温度で1時間攪拌をした後、常温で3時間攪拌をした。反応溶媒を減圧濃縮させた後、ジクロロメタン(100ml)と水(150ml)を入れて30分程度攪拌をさせた。層分離をし、ジクロロメタンでもう一度抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮して、粗製の1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アミノピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(20.62g、93%)を取得し、精製なしに次のステップで使用した。
【0089】
MS [M+H] = 245 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.27 (m, 1H), 3.77 (s, 1.8H), 3.76 (s,1.2H), 3.75-3.67 (m, 1H), 3.50-3.42 (m, 1H), 3.22-3.17 (m, 1H), 2.58-2.47 (m,1H), 1.82-1.71 (m, 1H), 1.48 (s, 4.5H), 1.42 (s, 4.5H)
【0090】
ステップC:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
前記ステップBで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アミノピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(20.62g、84.4mmol)をジクロロエタン(150ml)に溶解し、4-メチルシクロヘキサノン(9.5ml、101.3mmol)を添加した。0℃でナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(26.8g、126.6mmol)を添加し、常温で16時間攪拌をした。反応溶媒を減圧濃縮させ、水を添加し、エチルアセテートで二回抽出をした。有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(22.9g、80%)を得た。
【0091】
MS [M+H] = 341 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.26 (m, 1H), 3.76 (s, 1.8H), 3.75 (s, 1.2H), 3.78-3.71 (m, 1H), 3.49-3.40 (m, 1H), 3.22-3.16 (m, 1H), 2.69-2.60 (br, 1H), 2.58-2.46 (m, 1H), 1.87-1.77 (m, 1H), 1.73-1.63 (m, 1H), 1.62-1.35 (m, 8H), 1.48 (s, 4.5H), 1.42 (s, 4.5H), 0.96 (d, 3H)
【0092】
ステップD:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの製造
前記ステップCで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(37.29g、109.5mmol)をジクロロメタン(500ml)に溶解し、トリエチルアミン(61.1ml、438.1mmol)を入れた後、0℃でイソブチリルクロリド(11.7ml、219mmol)を徐々に添加した。常温で16時間攪拌をさせた後、反応溶媒を減圧濃縮させてから炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、エチルアセテートで二回抽出をした。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(38.79g、86%)を得た。
【0093】
MS [M+H] = 411 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.27 (m, 1H), 3.76 (s, 1.8H), 3.75 (s, 1.2H), 3.78-3.72 (m, 1H), 3.50-3.41 (m, 1H), 3.33-3.14 (m, 1H), 2.69-2.60 (m, 2H), 2.57-2.43 (m, 1H), 1.87-1.79 (m, 1H), 1.70-1.61 (m, 1H), 1.60-1.32 (m, 8H), 1.47 (s, 4.5H), 1.41 (s, 4.5H), 1.10 (dd, 6H), 0.99 (d, 3H)
【0094】
ステップE:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の製造
前記ステップDで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(34.0g、82.8mmol)をジクロロメタン(200ml)に溶解した後、0℃で、4N塩酸1,4-ジオキサン溶液(82.8ml、331.3mmol)を添加した。常温で6時間攪拌させた後、反応溶媒を減圧濃縮して、crude(28.7g、99%)を取得し、精製なしに次のステップで使用した。
【0095】
MS[M+H] = 311 (M+1)
【0096】
製造例2:(3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸の製造
【化7】
【0097】
国際公開番号WO2004/092126号に記載の方法で標題化合物を得た。
【0098】
MS[ M+H] = 282 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.43-7.33 (m, 4H), 3.90-3.69 (m, 3H), 3.59 (dd, J = 11.2, 10.0 Hz, 1H), 3.29 (dd, J = 11.2, 11.2 Hz, 1H), 3.18-3.09 (m, 1H), 1.44 (s, 9H)
【0099】
製造例3:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミドの製造
【化8】
【0100】
下記ステップA、BおよびCの過程を経て標題化合物を得た。
【0101】
ステップA:メチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレートの製造
製造例1で得られたメチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩(28.7g、82.73mmol)、製造例2で得られた(3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸(24.5g、86.87mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(22.2g、115.83mmol)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾールハイドレート(15.7g、115.83mmol)をN,N'-ジメチルホルムアミド(400ml)に溶解し、N,N'-ジイソプロピルエチルアミン(72.0ml、413.66mmol)を徐々に添加した。常温で16時間攪拌を行い、反応溶媒を減圧濃縮させた後、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を入れてエチルアセテートで二回抽出をした。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で二回ずつ洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、メチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート(41.19g、87%)を得た。
【0102】
MS [M+H] = 575 (M+1)
【0103】
ステップB:(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボン酸の製造
前記ステップAで得られたメチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート(39.4g、68.62mmol)をメタノール(450ml)に溶解した後、6N水酸化ナトリウム水溶液(57.2ml、343.09mmol)を添加した。常温で16時間攪拌を行い、6N塩酸水溶液でpH5程度に調整した後、反応溶液を減圧濃縮させた。濃縮液をジクロロメタンで溶解した後、溶解されない固体は、紙フィルタで濾過した。濾過液を減圧濃縮して、粗製の標題化合物(38.4g、99%)を取得し、精製なしに次のステップで使用した。
【0104】
MS [M+H] = 561 (M+1)
【0105】
ステップC:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミドの製造
前記ステップBで得られた(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボン酸(38.4g、68.60mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(18.4g、96.04mmol)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾールハイドレート(13.0g、96.04mmol)をN,N'-ジメチルホルムアミド(200ml)に溶解した後、順にモルホリン(5.9ml、68.80mmol)とN,N'-ジイソプロピルエチルアミン(59.7ml、343.02mmol)を徐々に添加した。常温で16時間攪拌を行い、反応溶液を減圧濃縮させた後、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を入れてエチルアセテートで二回抽出をした。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で二回ずつ洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過した。濾過液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド(37.05g、86%)を得た。
【0106】
MS [M+H] = 630 (M+1)
【0107】
製造例4:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩の無定形化合物の製造
【化9】
【0108】
前記製造例3で製造した化合物(MC70)1gを基準に、MBTE19mLを使用して、25℃で、化合物(MC70)を溶解した。溶解を完了した後、ヘプタン(heptane)1mLを投入してから、-5~0℃で冷却した。設定温度に逹した後、4M HCl/EtOAcを1当量滴加してから、約90分間攪拌して濾過し、標題化合物(MC71)を取得した。(収率:約90%)
【0109】
製造例4の化合物に対するXRD(図1)、DSC(図2)およびTGA(図3)分析結果をそれぞれ図1図3に添付し、分析結果、無定形化合物であることが確認された。XRD、DSCおよびTGAそれぞれの分析方法は、以下の実施例1に対する実験例において後述するとおりである。
【0110】
実施例1.
N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩の水和物の結晶形IVの製造
【化10】
【0111】
前記で製造した製造例4の化合物(MC71)1gをEtOAc2mLおよび蒸留水0.1mLを使用して、常温で溶解した。溶解を完了した後、常温で24時間電磁式攪拌機を使用して攪拌した後、窒素加圧濾過して、標題の結晶形IVを取得した。(収率:約72%)
【0112】
比較例1
前記で製造した製造例4の化合物(MC71)1gを、EtOAc1mLを使用して、常温で溶解した。溶解を完了した後、電磁式攪拌機で、約43時間攪拌したが、実施例1のような結晶が取得されなかった。
【0113】
実験例1.XRD評価
粉末XRD回折パターンは、固相検出器としてmonochromatized radiation sourceとNiフィルタ(filter)を備えたPANalytical X’Pert Pro MPD systemを使用して、以下の方法で取得した。
【0114】
約20~30mgの試料をガラス試料ホルダ(glass sample holder)に平坦な表面を有するように均一にして載せた後、機器のgeneratorを45kV(acceleration voltage)、40mA(filament emission)に設定してから、reflection mode(not-spin)で測定した。0.026゜のステップサイズ(step size)および51秒のTime per stepの条件で4~40゜範囲のブラッグ(Bragg)角(2θ)を測定した。
【0115】
取得した結晶形IVをXRDで測定した結果を図4に図示した。
【0116】
図4に示したスペクトルから確認されるように、本発明による結晶形IVは、7.76゜、9.69゜、10.12゜、10.63゜、11.93゜、12.72゜、14.57゜、16.07゜、17.65゜、18.24゜、19.10゜、19.62゜、20.09゜、21.19゜、21.62゜、22.02゜、22.25゜、22.61゜、23.59゜、24.26゜、24.78゜、25.29゜、26.15゜、28.52゜、29.38゜および29.98゜で特性ピーク(2θ)を示し、XRDの具体的な値は、下記表1に示した。
【0117】
【表1】
【0118】
実験例2.示差走査熱量測定(DSC)
Mettler Toledo DSC1 systemを使用してDSCを測定した。約2~5mgの試料を秤量し、40μL Al crucible(flat-bottomed aluminum pan with one pin-hole lid)に入れて1個のピンホール(pin hole)を形成する。次に、試料を10℃/minの速度で25℃から350℃まで加熱してDSCを測定する。測定する間に、装置の内部に70mL/minの速度で窒素ガスを供給して酸素および他の気体の流入を防ぐ。データの収集および評価は、ソフトウェアSTAReを用いて行った。
【0119】
取得した結晶形IVをDSC測定した結果を図5に図示した。
【0120】
図5から確認されるように、結晶形IVは、約63.6℃(Onset)、133.4℃(Onset)、178.2℃(Onset)で総3個の吸熱ピークが観察された。約220℃の後、分解(decomposition)による吸熱ピークが示された。温度値は、±5℃の誤差を有する。
【0121】
実験例3.熱重量分析(TGA)
Mettler Toledo TGA/DSC 1 moduleを使用してTGAを測定した。約4~8mgの試料を秤量し、100μL Al crucible(flat-bottomed aluminum crucibles)に入れる。次に、試料を10℃/minの速度で30℃から350℃まで加熱してTGAを測定する。測定する間に装置の内部に80mL/minの速度で窒素ガスを供給して酸素および他の気体の流入を防ぐ。データの収集および評価は、ソフトウェアSTAReを用いて行った。
【0122】
取得した結晶形IVをTGA測定した結果を図6に図示した。
【0123】
図6から確認されるように、結晶形IVは、100℃未満の温度で、約5.0%の重量減少が観察された。約220℃の後、分解(decomposition)による重量減少が発生した。温度値は、±5℃の誤差を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】