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特表2023-548191化学プラントにおける動作ポイントを判定するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】化学プラントにおける動作ポイントを判定するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G05B23/02 301N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527039
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2021080986
(87)【国際公開番号】W WO2022096728
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】20206291.5
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パック,ロベルト
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA05
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF03
3C223FF05
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF14
3C223FF22
3C223FF26
3C223FF35
3C223FF42
3C223HH02
3C223HH03
(57)【要約】
化学プラントの動作状態、特にプロセスグループ内の動作状態を判定するためのコンピュータ実施方法であって、方法は、化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データを提供するステップと、化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データに基づいて、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアを判定するステップと、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアに基づいて動作状態を判定するステップと、化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、化学プラントの動作状態に関連するデータを提供するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学プラントの動作状態、特にプロセスグループ内の動作状態を判定するための、コンピュータ実施方法であって、
前記方法が、
- 化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データを提供するステップと、
- 化学プラント内の前記第1の測定ポイントに関連する前記信号時系列データに基づいて、前記信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアを判定するステップと、
- 前記信号時系列データの経時的変化度の基準に関連する前記それぞれの信号時系列スコアに基づいて前記動作状態を判定するステップと、
- 前記化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、前記化学プラントの前記動作状態に関連するデータを提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
- 化学プラント内の第2の測定ポイントに関連する信号時系列データを提供することと、
- 前記第2の測定ポイントに関連する前記信号時系列データに基づいて、前記第2の信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアを判定することと、
をさらに含み、
- 前記動作状態を判定することが、前記第1の時系列データ及び前記第2の時系列データの前記それぞれの信号時系列スコアに基づいて前記動作状態を判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
測定ポイント情報が、前記第1の測定ポイント及び前記第2の測定ポイントに提供され、前記測定ポイント情報が、技術関係標識を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記動作状態を判定することが、特に前記技術関係標識にさらに基づき、前記動作状態を判定するステップが、前記測定ポイントが技術的に関係し、特に1つのプロセスグループに属することを前記技術関係標識が示す場合にのみ、前記第1の信号時系列データ及び前記第2の時系列データの前記信号時系列データの経時的変化度の基準に関連する前記それぞれの信号時系列スコアに基づいて、前記動作状態を判定することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記動作状態を判定することが、前記信号時系列データの経時的変化度の基準に関連する前記それぞれの信号時系列スコア及びそれぞれのクラスタ分類子に基づく、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記動作状態を判定することが、オン状態又はオフ状態を判定することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、前記化学プラントの前記動作状態に関連する前記データが、オン状態又はオフ状態を示す、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
オン状態に関連する信号時系列データを選択することと、選択された前記信号時系列についての安定性スコアを判定することと、をさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記安定性スコアに基づいて安定動作を判定することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記安定性スコアに基づいてイベントを判定することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
測定ポイントから信号時系列データを提供することと、前記化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、請求項1~10のいずれか1項に従って生成される前記化学プラントの前記動作状態に関連するデータを受信することと、を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
化学プラントの動作状態を判定するためのシステムであって、前記システムが、
- 化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データを受信するように構成される、単位時間系列取得ユニットと、
- 化学プラント内の前記第1の測定ポイントに関連する前記信号時系列データに基づいて、前記信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアを判定するように構成される、オン/オフスコアユニットと、
- 前記信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアに基づいて前記動作状態を判定するように構成される、動作状態判定ユニット、並びに前記化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、前記化学プラントの前記動作状態に関連するデータを提供するように構成される、出力ユニットであって、前記データが請求項1~10のいずれか1項に従って生成される、出力ユニットと、
を備える、システム。
【請求項13】
化学プラントの動作状態を判定するためのコンピュータプログラム製品が開示され、前記コンピュータプログラム製品が、コンピューティング環境のコンピューティングデバイス上での実行時に、請求項1~10のいずれか1項に記載の化学プラントの前記動作状態を判定する方法のステップを実行するように構成される命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項14】
化学プラントをモニタリング及び/又は制御するためのコンピュータ実施方法であって、請求項1~10のいずれか1項に従って生成される、前記化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、前記化学プラントの前記動作状態に関連するデータを受信するステップと、特に受信した前記データが不安定な動作状態を示すときに、前記受信したデータに基づいて制御信号を提供し、特に前記プラントを停止するための制御信号を提供するステップと、を含む、方法。
【請求項15】
化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データに注釈を付けるためのコンピュータ実施方法であって、化学プラントの動作状態を判定するための前記方法に従って生成される、前記化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、請求項1~10のいずれか1項に従って生成される、前記化学プラントの前記動作状態に関連するデータを受信するステップと、前記プラントの前記動作状態に関連する前記データを前記信号時系列データと共に記憶するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本開示は、化学プラントにおける動作条件を判定するためのシステム、コンピュータ実施方法、及びコンピュータプログラム要素に関する。本開示は、化学プラントを制御及び/又はモニタリングするためのシステム、コンピュータ実施方法、及びコンピュータプログラム要素にさらに関する。本開示は、化学プラントにおける信号時系列に注釈を付けるための方法、システム、及びコンピュータプログラム要素にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
化学製造産業では、膨大な量の測定ポイントが、プラント中に分散されている。これらの測定ポイントの多くが、信号時系列データを生成する。これらの信号時系列データは、プラントの動作状態に関する有益な情報を含むことが多い。したがって、これらの信号時系列は、多くの場合履歴データとして記憶される。原理的に、これによって、信号時系列データの遡及的分析が可能となる。この信号時系列データの遡及的分析は、非常に長く退屈である。コンテキストのないデータは、大して情報を伝達しないため、信号時系列データは、さらなる評価のためにコンテキストにより解釈可能にされる必要がある。これは、手動で行われ得る。しかしながら、膨大な量のデータを扱うとき、典型的には、手動ではほんのわずかしかコンテキストにより解釈可能にできない。したがって、化学産業では、信号時系列データをコンテキストにより解釈可能にする必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
説明
第1の態様において、化学プラントの動作状態、特にプロセスグループ内の動作状態を判定するためのコンピュータ実施方法であって、
方法が、
- 化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データを提供するステップと、
- 化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データに基づいて、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアを判定するステップと、
- 信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれ信号時系列スコアに基づいて動作状態を判定するステップと、
- 化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、化学プラントの動作状態に関連するデータを提供するステップと、
を含む、方法が開示される。
【0004】
別の態様において、化学プラントの動作状態を判定するためのシステムが開示され、システムは、
- 化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データを受信するように構成される、時系列取得ユニットと、
- 化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データに基づいて、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアを判定するように構成される、オン/オフスコアユニットと、
- 信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアに基づいて動作状態を判定するように構成される、動作状態判定ユニット、並びに化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、化学プラントの動作状態に関連するデータを提供するように構成される、出力ユニットと、
を備える。
【0005】
別の態様において、化学プラントの動作状態を判定するためのコンピュータプログラム製品が開示され、コンピュータプログラム製品が、コンピューティング環境のコンピューティングデバイス上での実行時に、化学プラントの動作状態を判定する方法のステップを実行するように構成される命令を含む。
【0006】
別の態様において、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が開示され、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによる実行時に、化学プラントの動作状態を判定する方法のステップをコンピュータに実行させる命令を含む。
【0007】
別の態様において、化学プラントをモニタリング及び/又は制御するための方法が提案され、方法は、化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、化学プラントの動作状態に関連するデータを受信するステップと、特に、受信したデータが不安定な動作状態を示すときに、受信したデータに基づいて制御信号を提供するステップと、を含む。
【0008】
別の態様において、化学プラントをモニタリング及び/又は制御するためのシステムが開示され、システムは、化学プラントの動作状態に関連するデータを受信するための入力インターフェースと、特に、受信したデータが不安定な動作状態を示すときに、受信したデータに基づいて制御信号を提供するための出力インターフェースと、を含む。
【0009】
別の態様において、化学プラントをモニタリング及び/又は制御するためのコンピュータプログラム製品が開示され、コンピュータプログラム製品は、コンピューティング環境のコンピューティングデバイス上での実行時に、化学プラントをモニタリング及び/又は制御する方法のステップを実行するように構成される命令を含む。
【0010】
別の態様において、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が開示され、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによる実行時に、化学プラントをモニタリング及び/又は制御する方法のステップをコンピュータに実行させる命令を含む。
【0011】
別の態様において、化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データに注釈を付けるためのコンピュータ実施方法であって、化学プラントの動作状態を判定するための方法に従って生成される、化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、化学プラントの動作状態に関連するデータを受信するステップと、プラントの動作状態に関連するデータを信号時系列データと共に記憶するステップと、を含む方法が開示される。
【0012】
別の態様において、信号時系列に注釈を付けるためのシステムが開示され、システムは、化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データを受信し、化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、化学プラントの動作状態に関連するデータを受信するように構成される受信ユニットと、化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データを、化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、化学プラントの動作状態に関連するデータと共に記憶するように構成される記憶ユニットと、を含む。
【0013】
別の態様において、信号時系列に注釈を付けるためのコンピュータプログラム製品が開示され、コンピュータプログラム製品は、コンピューティング環境のコンピューティングデバイス上での実行時に、信号時系列データに注釈を付けるステップを実行するように構成される命令を含む。
【0014】
別の態様において、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が開示され、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによる実行時に、信号時系列データに注釈を付けるステップの方法のステップをコンピュータに実行させる命令を含む。
【0015】
ある態様において、化学製造プラントにおいて信号時系列をコンテキストにより解釈可能にするためのコンピュータ実施方法であって、
処理デバイスを用いて、
- 任意選択で、化学製造プラント内の少なくとも1つの測定ポイント毎に信号時系列を受信するステップと、
- 最小の1つの測定ポイント毎にそれぞれのプラント測定ポイント情報を提供するステップと、
- 信号時系列の確率論的特性に基づいて少なくとも1つの測定ポイント毎の信号時系列毎に少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを判定するステップと、
- 注釈付き信号時系列を生成するステップであって、
〇化学製造プラント内の少なくとも1つの測定ポイント毎の信号時系列、
〇少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列毎の、判定された少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコア、
〇少なくとも1つの測定ポイント毎のそれぞれのプラント測定ポイント情報、
を含む注釈付き信号時系列を生成するステップと、

- 少なくとも1つの判定されたそれぞれの信号時系列スコア及びそれぞれのクラスタ分類子に基づいて、注釈付き信号時系列をクラスタにクラスタリングするステップと、
- クラスタリングに基づいて動作状態を信号時系列に帰属させるステップと、
- コンテキストにより解釈可能にされた信号時系列を提供するステップであって、
〇1つ又は複数の測定ポイント毎の1つの信号時系列、
〇最小の測定ポイント毎の、判定された最小のそれぞれの信号時系列スコア、
〇最小の測定ポイント毎のそれぞれのプラント測定ポイント情報、
〇帰属された動作状態、
を含むコンテキストにより解釈可能にされた信号時系列を提供するステップと、
を含む方法が開示される。
【0016】
本明細書で説明されるいかなる開示及び実施形態も、上記で概説された方法、システム、処置デバイス、コンピュータプログラム製品に関し、その逆もまた同様である。有利なことに、実施形態及び実施例のいずれかによってもたらされる恩恵が、全ての他の実施形態及び実施例にも同様に当てはまり、その逆もまた同様である。
【0017】
本明細書で使用される「判定すること」は、「判定を開始すること又は判定させること」も含み、「生成すること」は、「生成を開始すること又は生成させること」も含み、「提供すること」は、「判定、生成、選択、送信、若しくは受信を開始すること、又は判定、生成、選択、送信、若しくは受信させること」も含む。「あるアクションの実行を開始すること又は実行させること」は、それぞれのアクションを実行するようにコンピューティングデバイスをトリガする、任意の処理信号を含む。
【0018】
本開示のコンテキストにおいて、「化学プラント」は、化学プロセスに基づく、例えば化学プロセスを用いて原材料を製品に変換する、任意の製造設備を指してもよい。ディスクリート製造とは対照的に、化学製造は、連続プロセス又はバッチプロセスに基づく。したがって、化学プラントのモニタリング及び/又は制御は、時間依存であり、ゆえに大規模な信号時系列データセットに基づく。化学プラントは、2秒毎に測定データポイントを作り出す1,000より多くの測定ポイントを含み得る。そのような規模では、化学プラントを制御及び/又はモニタリングするためのシステムでハンドリングされる複数テラバイトのデータが結果として生じる。小規模化学プラントは、1~10秒毎にデータポイントを作り出す2千の測定ポイントを含み得る。比較として、大規模化学プラントは、1~10秒毎にデータポイントを作り出す、2万、例えば、10,000~30,000の測定ポイントを含み得る。そのようなデータをコンテキストにより解釈可能にすることによって、数百ギガバイトから数テラバイトのハンドリングが結果として生じる。
【0019】
化学プラントは、1つ又は複数の中間生成物を介して原材料を製品に変換する1つ又は複数の化学プロセスによって、製品を製造し得る。好ましくは、化学プラントは、バリューチェーンにおける次のステップのために原材料として使用され得る製品を製造する、カプセル化された施設を提供する。化学プラントは、石油及びガス施設、ガス浄化プラント、二酸化炭素回収施設、液化天然ガス(LNG)プラント、製油所、石油化学施設、又は化学施設のような大規模プラントであってもよい。例えば、石油化学プロセス製造の上流の化学プラントは、ナフサがエチレン及びプロピレンに加工されることで始まる水蒸気クラッカーを含む。これらの上流製品は、その後、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの下流製品を導出するためにさらに化学プラントに提供され得る。その下流製品は、さらなる下流製品を導出する化学プラントのための原材料としてさらに供給され得る。化学プラントは、ディスクリート製品を製造するために使用され得る。一実施例では、1つの化学プラントは、ポリウレタン発泡材のための前駆体を製造するために使用され得る。そのような前駆体は、ポリウレタン発泡材を含む隔離プレートなどの、ディスクリート製品の製造のために第2の化学プラントに提供され得る。
【0020】
様々な中間生成物を介した最終製品へのバリューチェーン製造は、様々な場所に分散されてもよく、又はフェアブントサイト若しくは化学パークに統合されてもよい。このようなフェアブントサイト又は化学パークは、相互接続された化学プラントのネットワークを含み、そこでは、1つのプラントで製造された製品が別のプラントのための原材料として供給され得る。
【0021】
化学プラントは、複数のアセット、そのうちのいくつかを挙げると熱交換器、化学反応器、ポンプ、パイプ、蒸留塔又は吸収塔などを含み得る。化学プラントにおいて、いくつかのアセットが重要であり得る。重要なアセットは、中断されたときにプラント動作に重大な影響を及ぼすものである。これは、製造プロセスが危険にさらされることにつながり得る。製品品質の低下又は製造停止でさえも結果となり得る。最悪の場合のシナリオでは、火災、爆発、又は有毒ガス放出が、そのような中断の結果である場合がある。ゆえに、そのような重要なアセットは、関与する化学プロセス及び化学物質によっては、他のアセットよりも厳密にモニタリング及び/又は制御する必要があり得る。化学プロセス及び資産をモニタリング及び/又は制御するために、複数の測定ポイント。そのような測定ポイントは、アクタ及びセンサであってもよい。そのようなアクタ又はセンサは、プラント固有データを提供し得る。プラント固有データは、例えば、個別のアセットの動作状態、個別のアクタの動作状態、化学物質の成分、又は化学プロセスの動作状態に関するプロセス又はアセット固有データであってもよい。特に、プロセス又はアセット固有データは、以下のデータカテゴリのうちの1つ又は複数を含む。
- 原材料又は中間生成物の成分などのプロセス動作データ
- 流量、材料温度、圧力などのプロセス監視データ
- 電流、電圧などのアセット動作データ、及び
- アセット温度、アセット圧力、振動などのアセットモニタリングデータ。
【0022】
化学プラントは、1つ又は複数のプロセスグループを含み得る。プロセスグループは、例えば、プロセス中の巨視的ステップを実行する、プラント内の単位操作のグループであってもよい。プロセスグループは、単位操作を含んでもよい。プラント内のプロセスグループは、同一の動作状態を共有する化学プラント内のセクションであってもよい。特に、プロセスグループは、プロセスラインを含み得る。
【0023】
本明細書で使用される、測定ポイントの「集約」は、それらの関係に従ってグループ化測定ポイントを理解され得る。これは、技術的関係であってもよい。技術的関係は、情報、測定ポイントが属し得るプロセスグループを含み得る。
【0024】
化学製造プラント内の少なくとも1つの測定ポイントからのプラント固有信号時系列データが、処理デバイスにおいて記憶媒体から受信され得る。記憶媒体は、例えば、揮発性メモリ、ハードディスク、クラウドサービス、データベースであってもよい。プラント固有信号時系列データは、少なくとも2つの測定ポイントのうちの少なくとも1つからの実測値を含み得る。測定ポイントは、それらがセンサであるかアクタであるかに応じて、ある種類を有し得る。測定ポイントは、種類によって区別され得る。測定ポイントは、タイプによっても区別され得る。センサのタイプは、提供される信号時系列データのタイプ、例えば、温度測定値を指してもよい。
【0025】
動作状態は、プラントの動作の状態を指し、プラント内の1つ又は複数のプロセスグループの動作状態を含み得る。これらは、プラントが採用し得る状態及び/又はプロセスグループが採用し得る状態であってもよい。顕著で、適当な動作状態のいくつかの実施例が、以下で説明される。
【0026】
適当な動作状態は、オン状態であり得る。オン状態は、化学プラントが例えば製造を実行している動作状態を指してもよい。より詳細なレベルでは、オン状態は、実行中のプロセスグループの動作状態を指してもよい。オン動作状態は、製造プロセスを指してもよい。
【0027】
適当な動作状態は、安定状態であり得る。安定状態は、プラントが安定した条件下で動作しているオン状態であってもよい。より詳細なレベルでは、安定状態は、プロセスグループが安定条件下で動作していることを指してもよい。安定条件は、事前定義された仕様の範囲内でプロセスが実行する条件であってもよい。
【0028】
適当な動作状態は、オフ状態であり得る。オフ状態は、プラントが動作していない状態を指してもよい。より詳細なレベルでは、オフ状態は、プロセスグループが動作していないことを指してもよい。オフ動作状態は、製造プロセスがない動作状態を指してもよい。これは、メンテナンスに起因し得る。
【0029】
適当な動作状態は、起動状態であってもよく、起動状態は、プラントが起動しており、既にオン状態であるが、安定状態ではない状態であってもよい。より詳細には、プロセスグループは、プロセスを実行するために起動しており、既にオン状態であるが、安定状態ではない。
【0030】
これは、製造が既に実行中であるが、製品の性能品質がまだ仕様通りではなく、無駄につながる状態であり得る。
【0031】
適当な動作状態は、動作停止状態であってもよく、動作停止状態は、プラントが動作停止中であるが、依然としてオン状態である状態であってもよい。より詳細には、動作停止状態は、プロセスグループが動作停止しているが、依然としてオン状態であることを指してもよい。これは、製造が依然として実行中であるが、製品の性能品質がまだ仕様通りではなく、無駄につながる状態であり得る。
【0032】
適当な動作状態は、イベント状態であってもよく、イベント状態は、プラントがオン状態であるが、安定状態ではなく、ゆえにイベントを受けている状態であってもよい。イベントの間、プラントは、安定ではない状態にあり得る。これは、プロセス中の、又は起動状態若しくは動作停止状態の間のエラー/故障に起因し得る。
【0033】
異なるイベントタイプ、例えば、起動、動作停止、及び故障イベントが存在し得る。
動作停止状態及び起動状態は、イベント状態のサブグループであってもよい。起動状態は、オフ状態の後に続き、動作停止状態は、オフ状態に先行し得る。故障は、イベント状態のサブグループであってもよく、安定状態が先行し、且つ安定状態が後に続き得る。
【0034】
処理デバイスは、プロセッサ、プロセッサのネットワーク、1つ又は複数のプロセッサを含む1つ又は複数のコンピュータを含むコンピュータネットワーク、ステップ毎の専用プロセッサであってもよい。いくつかの又は全てのステップが、1つの処理デバイス上、又は処理デバイスのグループ上で実行され得る。
【0035】
本発明の目的は、化学プラントの動作状態の信頼性のあるロバストな判定を提供することである。
【0036】
スコアを使用することによって、測定ポイントデータの実測値から独立した動作状態の判定が可能となる。例示のために、以下の実施例が与えられる。温度センサのための閾値が、オン状態又はオフ状態を判別するために使用され得る。オフ状態では、温度センサは、周囲温度であってもよい。しかしながら、周囲温度は、暑夏においては、オフ状態からオン状態を判別する閾値を超えることがある。その場合、誤った動作状態が判定されることとなる。これは、実測値から独立したオン/オフスコアを判定することによって回避される。
【0037】
特定の信号時系列データについての少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを判定するステップが、抽象化層を提供する。これは、特に、複数の測定ポイントから信号時系列データが提供されるときに有用である。抽象化層は、異なる測定ポイントからの信号時系列スコアが比較され得るという利点、又は数学演算が信号時系列スコアに対して実行され得るという利点を有する。例えば、測定ポイントの1つのタイプ(例えば、温度)から生成される信号時系列からの信号時系列スコアが、互いに比較され得るか、又は数学演算が実行され得る。
【0038】
ある実施形態では、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアは、オン/オフスコアとも呼ばれ得る。
【0039】
少なくとも1つの測定ポイント毎の少なくとも1つの信号時系列毎に少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを判定することは、化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データに基づいて、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアを判定することとして理解され得る。
【0040】
ある実施形態では、化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データに基づいて、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアを判定することは、揮発性スコアを判定することを含み得る。揮発性スコアは、揮発性に基づき得る。揮発性は、信号時系列の経時的変化度を説明する。信号時系列についての揮発性の判定は、例えば、Somarajan,Siddarth & Shankar,Monica & Sharma,Tanmay & Ramasamy,Jeyanthi.(2019).Modelling and Analysis of Volatility in Signal time series Data:Proceedings of ICSCSP 2018,Volume 2.10.1007/978-981-13-3393-4_62に記載されている。揮発性は、無次元及びスケール不変スコアが提供されるという利点を有する。
【0041】
ある実施形態では、化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データに基づいて、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアを判定することは、アクティビティスコアを判定することを含み得る。
【0042】
ある実施形態では、少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアは、アクティビティであってもよい。アクティビティは、ある期間にわたって信号時系列内に固有値を有する可能性に関連付けられる。アクティビティスコアは、ゼロに近い分散予測子の概念に基づく。
【0043】
揮発性及びアクティビティは、解釈可能なスコアであり、それによって、スコアの検証が可能となる。
【0044】
ある実施形態では、方法は、揮発性スコア及びアクティビティスコアを判定するステップをさらに含み、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアに基づいて動作状態を判定することは、揮発性スコア及びアクティビティスコアに基づいて判定することを含む。2つの独立したスコアが考慮されるため、これによって判定の信頼性が向上する。
【0045】
ある実施形態では、少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列毎に少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを判定することは、信号時系列に対する外れ値を説明する信号時系列スコアを判定することを含み得る。
【0046】
ある態様において、少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列毎に少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを判定することは、アクティビティスコアを判定することを含み得る。
【0047】
ある実施形態では、方法は、
- 化学プラント内の第2の測定ポイントに関連する信号時系列データを提供することと、
- 第2の測定ポイントに関連する信号時系列データに基づいて、第2の信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するオン/オフスコアを判定することと、
をさらに含み、
- 動作状態を判定することが、第1の時系列データ及び第2の時系列データのオン/オフスコアに基づいて動作状態を判定することを含む。
【0048】
1つより多くの測定ポイントから提供された時系列データに基づいて動作状態を判定することによって、動作状態の判定の信頼性が向上する。これは、プラントのモニタリング及び/又は制御が高い信頼性を必要とするときに重要である。特に化学プラントでは、プロセス制御における故障が、危険状態につながることがある。2つの測定ポイントに関連する利点が開示されているが、2つより多くの測定ポイントが含まれ得ることは明らかである。
【0049】
ある実施形態では、測定ポイント情報は、第1の測定ポイント及び第2の測定ポイントに提供され、測定ポイント情報は、技術関係標識を含む。
【0050】
ある実施形態では、動作状態を判定することが、特に技術関係標識にさらに基づく。動作状態を判定するステップは、測定ポイントが技術的に関係し、特に1つのプロセスグループに属することを技術関係標識が示す場合にのみ、第1の信号時系列データ及び第2の時系列データのオン/オフスコアに基づいて動作状態を判定することを含む。
【0051】
技術的に関係する信号時系列データは、同一の動作状態、例えば、ON/OFFを共有し得る。これによって、化学プラントの動作状態、特にプロセスグループの動作状態を判定するときに、曖昧さを低下させることが可能となる。ある実施例では、技術的に関係する様々な測定ポイントの動作状態が平均されてもよく、動作状態が、平均に基づいて判定されてもよい。他の実施例では、測定ポイント間の多数決が、動作状態を判定するために追加として使用されてもよい。
【0052】
ある実施形態では、方法は、それらの技術関係に基づいてセンサを集約するステップを含む。
【0053】
ある実施形態では、動作状態を判定することは、オン/オフスコア及びそれぞれのクラスタ分類子に基づく。
【0054】
それぞれのクラスタ識別子は、信号時系列値毎に、これがオン状態に帰属するか又はオフ状態に帰属するかどうかの明白な判定を可能にする。
【0055】
オン/オフスコア及びそれぞれの分類子に基づいて動作状態を判定するためのそれぞれのクラスタ分類子は、ON/OFFクラスタ分類子である。
【0056】
一実施形態では、信号時系列データは、2つの別個の信号時系列スコア値の周囲で変動する信号時系列スコアに基づいてクラスタリングされ得る。これらの2つの別個の信号時系列スコア値は、次いで、それぞれのプロセスグループのオン又はオフ動作状態に帰属され得る。これによって、プロセスグループのオン及びオフ動作状態によるプラント固有の信号時系列データの容易なラベリングが可能となる。代替案では、クラスタ分類子は、閾値であってもよく、測定ポイントの信号時系列データは、閾値を上回るか又は下回るかに応じてクラスタリングされてもよい。
【0057】
ある実施形態では、動作状態を判定することは、オン状態又はオフ状態を判定することを含む。
【0058】
ある実施形態では、方法は、判定された動作状態に基づいて時系列データをセグメント化するステップをさらに含み得る。
【0059】
ある実施形態では、信号時系列データは、オン状態及び/又はオフ状態に基づいてセグメント化される。
【0060】
それによって、オン状態及び/又はオフ状態が、時間的に順序付けされる。これによって、減少した情報のセットが提供され、バイナリ状態表現は、節約のために必要とされるストレージがより少なくなる。
【0061】
ある実施形態では、方法は、ON状態に関連する信号時系列データを選択することと、選択された信号時系列についての安定性スコアを判定することと、をさらに含む。
【0062】
これによって、安定性スコアを査定する必要があるデータの量が減少する。それによって、必要なストレージ容量、メモリ容量、及び計算能力が低下する。さらに、それによって、プラントの動作、特にプロセスグループの動作に関連する安定動作状態を判定することが可能となる。オフ状態のプロセスグループから又はプラントからの測定ポイントが、安定動作条件として考慮されることとなる。しかしながら、これは、安定したOFFのみとなる。これは、OFF状態に関係する測定ポイントがON状態に関係する測定ポイントと共にグループ化されるときに、特に問題になり得る。
【0063】
ある実施形態では、安定性スコアは、少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアであり得る。
【0064】
安定性スコアは、信号時系列が経時的に変化する度合に関連する基準に基づき得る。言い換えると、信号時系列データの信号値は、信号系列が観測される時間に依存しない。
【0065】
ある実施形態では、方法は、安定性スコア及びそれぞれのクラスタ分類子に基づいて安定動作を判定することをさらに含む。
【0066】
安定性スコアに基づいて動作状態を判定するためのそれぞれのクラスタ分類子が、安定性クラスタ分類子である。
【0067】
一実施形態では、信号時系列データは、2つの別個の信号時系列スコア値の周囲で変動する安定性スコアに基づいてクラスタリングされ得る。これらの2つの別個の信号時系列スコア値は、次いで、それぞれのプロセスグループの安定又は不安定動作状態に帰属され得る。これによって、プラント又はプロセスグループの安定動作状態及び不安定動作状態の容易且つ信頼性のある識別が可能となる。代替案では、安定性クラスタ分類子は、閾値であってもよく、測定ポイントの信号時系列データは、閾値を上回るか又は下回るかに応じてクラスタリングされてもよい。
【0068】
これによって、安定動作状態及び/又はイベントの容易且つ信頼性のある判定が可能となる。
【0069】
プロセスグループの安定動作状態及び不安定動作状態によるプラント固有の信号時系列データの判別。
【0070】
安定性スコアを判定することによって、プラントの安定動作状態を判定することが可能となる。これは、プラントの所望の動作状態である。安定動作条件は、一貫した製品品質にとって必須であり、エネルギーの必要性が低下したプロセス条件にも関連する。不安定な動作条件は、イベントを示す場合がある。
【0071】
ある実施形態では、安定性スコアは、異常スコアに関連付けられ得る。
異常スコアは、標準信号に対する外れ値を説明する。異常スコアを判定するための様々な方法が、当技術分野において既知である(ARIMA-G.E.P.Box,G.M.Jenkins:Signal time series analysis:Forecasting and control.Holden-Day,San Francisco 1970; STL decomposition,Cleveland,R.B.et.al.1990.STL:A seasonal t rend decomposition procedure based on loess Journal of Official Statistics6(1):3-73)。異常スコアを判定するのに適した別の方法が、ハイブリッド季節的最大スチューデント化偏差テスト(HSESD:hybrid seasonal extreme studentized deviate、Automatic Anomaly Detection in the CloudVia Statistical LearningJordan Hochenbaum et al.,arXiv:1704.07706v1, Submitted on 24 Apr 2017)である。
【0072】
異常スコアは、無次元及びスケール不変スコアが提供されるという利点を有する。異常スコアは、より低い値とより高い値との間の値を提供する。これは、次いで、0と1の間の任意の値範囲に正規化され得る。0と1との間の値範囲への正規化によって、比較可能性が向上する。
【0073】
ある実施形態では、安定性スコアは、定常性スコアであってもよい。定常性は、信号時系列(というよりむしろ、それを生成するプロセス)の統計学的特性が経時的に変化しないことを説明する。信号時系列の定常性を判定するための様々な方法が、当技術分野において既知である(例えば、Dickey, D.A. und W.A.Fuller:Distribution of the Estimators for Autoregressive Signal time series with a Unit Root, Journal of the American Statistical Association, 1979, 74, S. 427-431; Kwiatkowski, D.; Phillips, P.C.B.; Schmidt, P.; Shin, Y. (1992).”Testing the null hypothesis of stationarity against the alternative of a unit root”.Journal of Econometrics.54 (1-3): 159-178.)。定常性スコアは、無次元及びスケール不変スコアが提供されるという利点を有する。
【0074】
定常性スコアは、より低い値とより高い値との間の値を提供する。これは、次いで、0と1の間の任意の値範囲に正規化され得る。0と1との間の値範囲への正規化によって、比較可能性が向上する。
【0075】
ある実施形態では、方法は、化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、化学プラントの動作状態に関連するデータを提供することをさらに含んでもよく、プラントの安定状態に関連するデータを提供することをさらに含むON状態に関連するデータを含む。
【0076】
上述の通り、安定動作条件が所望されており、モニタリング及び制御のためには、プラントが安定動作状態にあるかどうかを判定することが重要である。プラントが安定動作にある場合、モニタリングが十分である場合があり、不安定動作条件が発生する場合、プラントは、プラントの危険な条件を防止するために停止し始めることがある。このように、早期警報システムが有効化される。化学プラントの安全性が向上する。
【0077】
ある実施形態では、方法は、安定性スコアに基づいてイベントを判定するステップを含み得る。安定性スコアが不安定動作を示すときに、イベントが判定され得る。
【0078】
ある実施形態では、動作状態の判定は、前の動作状態に応じたイベントタイプの判定を含み得る。これによって、故障イベントから起動及び動作停止段階のような正常動作状態を区別することが可能となる。故障イベントは、潜在的に危険である。
【0079】
ある実施形態では、プラントの安定動作ポイントは、安定動作状態に基づいて判定され得る。安定動作ポイントは、測定ポイントからの信号時系列によって定義され得る。安定動作ポイントの判定は、化学プラントの効率的な実行にとって極めて重要であり、製品品質に密接な関係があり得る。
【0080】
ある実施形態では、方法は、測定ポイントから信号時系列データを提供すること、並びに化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した、化学プラントの動作状態に関連するデータを受信すること、特にクライアントデバイスから提供すること及びクライアントデバイスで受信することをさらに含み得る。
【0081】
ある実施態様では、異なるタイプの測定ポイント(例えば、温度、圧力)から生成される信号時系列からの信号時系列スコアが互いに比較され得るか、又は数学演算が実行され得る。
【0082】
少なくとも1つの信号時系列スコアは、スケール不変であり得る。1つのタイプの測定ポイント(例えば温度)から生成される信号時系列からの信号時系列スコアが互いに比較されるとき、又は数学演算が実行されるときに、スケール不変の信号時系列スコアは利点をもたらす。
【0083】
少なくとも1つの信号時系列スコアは、無次元であり得る。異なるタイプの測定ポイント(例えば温度、圧力)から生成される信号時系列からの信号時系列スコアが互いに比較されるとき、又は数学演算が実行されるときに、無次元の信号時系列スコアは利点をもたらす。
【0084】
それぞれの信号時系列スコアは、本来は信号時系列であってもよい。
化学製造プラント内の少なくとも1つの測定ポイントからの特定信号時系列データからそれぞれの信号時系列スコアを判定するために、ビンを定義することが有益である。ビンは、信号時系列データのシーケンスを含み得る。それぞれの信号時系列スコアを判定するために十分な量のセンサデータが利用可能であるように、シーケンスが選ばれ得る。十分な量のデータは、少なくとも25のデータポイントを含み得る。
【0085】
追加として、信号時系列データのシーケンスが、プラントの時定数に従って選ばれ得る。特に、シーケンスは、モニタリングされるプロセスの動的時定数より短くてもよい。適当な時定数は、プラントの起動手続及び/又は動作停止手続の時間であってもよい。プロセスの時定数より短いシーケンスが有益である。信号時系列データの情報が維持され、プラント内の異なる動作条件が混合されないことが保証される。ビンは、次いで、スライディングウィンドウとして信号時系列に沿って移動され得る。少なくとも1つの信号時系列スコアが、時間の関数として変動し得る。
【0086】
ある実施形態では、少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列毎に少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを判定することは、経時的な少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列のそれぞれの統計的特性が経時的に変化していない度合を説明する信号時系列スコアを判定することを含む。
【0087】
特定の信号時系列データについての少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを判定するステップは、2つ以上のそれぞれの異なる信号時系列スコアを判定することを含み得る。
【0088】
2つ以上のそれぞれの信号時系列スコアを判定することは、2つ以上のそれぞれの信号時系列のそれぞれが、プロセスグループの異なる動作状態に対して異なる感度を有し得るという利点を有し得る。
【0089】
動作状態の動作状態におけるそれぞれの変化が、信号時系列スコアの変化に反映されるとき、信号時系列スコアは、プラントの動作状態のある変化に対して感度が高いと考えられる。
【0090】
ある実施形態では、ルールセットが提供されてもよく、ルールセットは、信号時系列スコアのクラスタを動作状態に関係付ける。ある態様において、ルールセットは、それぞれの時系列の信号時系列スコアの組み合わせを動作状態に関係付けることを含み得る。
【0091】
例えば、揮発性及びアクティビティは、プラントのオン/オフ動作状態に対して感度が高いことがあり、プラントの動作状態全体を通した変化に対して感度が低いことがある。プラントのオン動作状態は、製造中のプラント又は製造中のプラントのプロセスグループを指してもよい。プラントのオフ動作状態は、プラント又はプラントのプロセスグループが製造中ではないことを指してもよい。揮発性及び異常は、その際、プラント又はプラントのプロセスグループのオン/オフ動作状態を識別することに非常に適している。
【0092】
ある実施形態では、揮発性クラスタについてのルールセットは、次いで、高揮発性スコアが、例えばプロセスグループのオン状態に関係すること、及び低揮発性が、例えばプロセスグループのオフ状態に関係することを定義し得る。
【0093】
ある実施形態では、アクティビティクラスタについてのルールセットは、次いで、高アクティビティスコアが、プロセスグループの動作状態オンに関係すること、及び低アクティビティが、プロセスグループの動作状態オフに関係することを定義し得る。
【0094】
別の実施例では、異常スコア及び定常性スコアは、プラントのオン/オフ動作状態に対する感度が高い場合があるが、プラントのオンプロセスの間の変化に対する感度も高い場合がある。次いで、これらのスコアは、プラントのオンプロセスの間の変化についての良い標識であってもよいが、プラントのプロセスグループのオン/オフ動作状態については良い標識ではない。
【0095】
ある態様において、不安定性スコアクラスタについてのルールセットは、高不安定性スコアが不安定動作状態に関係すること、及び低不安定性スコアが不安定動作状態に関係することを定義し得る。ある態様において、高い及び低いは、閾値ラインに対して定義されている。
【0096】
ある実施形態では、異常スコアクラスタについてのルールセットは、高異常スコアが不安定動作状態に関係すること、及び低異常スコアが不安定動作状態に関係することを定義し得る。ある態様において、高い及び低いは、閾値ラインに対して定義されている。
【0097】
少なくとも1つの測定ポイントについてのプラント測定ポイント情報を提供することによって、信号時系列データに関する追加情報が提供される。
【0098】
ある態様において、プラント測定ポイント情報は、測定ポイントの種類を指してもよい。測定ポイントの種類は、どのデバイスがデータを提供するか、例えばそれがセンサであるか又はアクタであるかを区別する。
【0099】
ある態様において、プラント測定ポイント情報は、測定ポイントのタイプを指してもよい。センサのタイプは、提供される信号時系列データのタイプを指してもよく、例えば、温度測定値が、同一タイプに割り当てられてもよい。
【0100】
ある態様において、プラント測定ポイント情報は、プラント内のプロセスグループに対する技術関係を示す、技術関係標識を含み得る。技術関係標識は、異なる種類又はタイプの測定ポイントが、同一プロセスグループに属するとして、互いに技術的に関係することを示し得る。それによって、例えば、プロセスグループにおけるそれらの技術関係によるセンサの集約が可能となるため、このことは有益である。これによって、プラントの動作状態には、プロセスグループのレベルについての分解能が与えられ得る。これは、技術的に関係する、例えば1つのプロセスグループからの測定ポイントが同一の動作状態を共有するときに、追加情報を追加する。実施例では、
これによって、プラントの動作状態の判定を同一のプロセスグループに属するセンサに基づくことが可能となる。それによって、同様に動作状態の判定の信頼性が強化される。測定センサの技術関係標識を提供することは、それが信号時系列に追加のコンテキストを提供するため、有益である。複数の同一製造ラインを有するプラントでは、技術的関係標識が、特定の製造ラインを指してもよい。同一の製造ラインは、それぞれ異なる動作状態であってもよい。ある実施形態では、技術関係標識は、測定ポイントの位置に基づく。
【0101】
測定センサのタイプを提供することは、それが信号時系列に追加のコンテキストを提供するため、有益である。温度変化は、例えば緩やかであってもよいが、圧力変化は、特定のシナリオでは高速であってもよい。
【0102】
ある実施形態では、プラント測定ポイント情報は、測定ポイントの種類、測定ポイントのタイプ、及び技術関係標識のリストのうちの少なくとも1つを参照する。
【0103】
プラント測定ポイント情報は、プロセス及び計装図(P&ID)から与えられてもよい。これらの図は、化学産業におけるプラントを説明するためにしばしば使用される。代替案では、プラント測定ポイント情報が、プラントのグラフ表現から与えられてもよい。
【0104】
少なくとも1つの判定されたそれぞれの信号時系列スコア及びクラスタ分類子に基づいて、注釈付き信号時系列をクラスタにクラスタリングするステップは、信号時系列データの特定のセクション内のプロセスグループの動作状態に関する追加情報を提供する。クラスタリングは、(クラスタと呼ばれる)同一グループ内のオブジェクトが他のグループ(クラスタ)内のオブジェクトよりも(ある意味において)互いにより類似しているように、オブジェクトのセットをグループ化するタスクとして理解され得る。本出願の目的上、オブジェクトは、それぞれの信号時系列スコアを表す信号時系列である。
【0105】
少なくとも1つの判定されたそれぞれの信号時系列スコアに基づいて、注釈付き信号時系列をクラスタにクラスタリングするステップは、どの信号時系列データが類似の信号時系列スコアを有するかを明らかにする際の追加情報を提供する。
【0106】
ある態様において、最小の判定されたそれぞれの信号時系列スコアに基づいて、注釈付き信号時系列データをクラスタリングするステップは、それぞれのクラスタ分類子に基づいてクラスタリングすることを含み得る。
【0107】
ある実施形態では、クラスタ分類子には、優先度が与えられ得る。
別の態様では、クラスタ分類子は、それぞれの信号時系列スコアに基づいて修正され得る。
【0108】
クラスタ分類子は、閾値を含んでもよく、クラスタは、信号時系列スコア値が閾値を上回るか又は閾値を下回るかに応じて形成される。
【0109】
クラスタ分類子は、2つの別個のクラスタを含んでもよく、クラスタリングは、信号時系列スコア値が2つの別個のクラスタのうちの1つに属する可能性に応じて実行される。クラスタリングについての適当な方法の実施例が、K平均クラスタリングであってもよい。
【0110】
クラスタ分類子は、教師なし学習によって修正され得る。
ある実施形態では、クラスタリングは、教師なし学習によって実行され得る。信号時系列データについてのクラスタリング及び教師なし学習のための様々なメカニズムが、レビュー記事(Pattern Recognition 38 (2005) 1857-1874,Clustering of signal time series data - a survey,Warren Liao)に記載されている。
【0111】
ある実施形態では、クラスタリングは、閾値を定義することによって実行されてもよく、クラスタは、信号時系列スコア値が閾値を上回るか又は閾値を下回るかに応じて形成される。
【0112】
教師なし学習は、信号時系列スコアが2つの別個の信号時系列スコア値の周囲で変動する場合に、特に有用である。訓練データセットに対して手動でデータにラベリングする必要がないため、教師なし学習は、大規模データセットに対して有用である。
【0113】
一実施形態では、信号時系列データは、2つの別個の信号時系列スコア値の周囲で変動する信号時系列スコアに基づいてクラスタリングされ得る。これらの2つの別個の信号時系列スコア値は、次いで、それぞれのプロセスグループのオン又はオフ動作状態に帰属され得る。これによって、プロセスグループのオン及びオフ動作状態によるプラント固有の信号時系列データの容易なラベリングが可能となる。
【0114】
一実施形態では、信号時系列データは、揮発性スコアに基づいてクラスタリングされ得る。揮発性スコアは、2つの別個の揮発性スコア値の周囲で変動する。これらの2つの別個の揮発性値は、次いで、オン又はオフ動作状態に帰属され得る。これによって、オン及びオフ動作状態によるプラント固有の信号時系列データの容易なラベリングが可能となる。
【0115】
信号時系列スコアが、少数の別個のスコア値を表す場合、教師なし学習は特に有用である。揮発性スコアは、概して、スコア値のバイナリ挙動を示す。
【0116】
ある実施形態では、最小の判定されたそれぞれの信号時系列スコアに基づいて、注釈付き信号時系列データをクラスタリングするステップは、揮発性スコアに基づいてクラスタリングすることを含み得る。
【0117】
ある実施形態では、揮発性スコアのクラスタリングは、教師なし学習によって実行され得る。
【0118】
ある実施形態では、これらの揮発性スコアクラスタのうちの1つが、オンに帰属してもよく、それ以外の揮発性スコアクラスタが、オフ状態に帰属してもよい。
【0119】
信号時系列スコアが、少数の別個のスコア値を表す場合、教師なし学習は、特に有用である。アクティビティスコアは、概して、スコア値のバイナリ挙動を示す。
【0120】
一実施形態では、信号時系列データは、アクティビティスコアに基づいてクラスタリングされ得る。アクティビティスコアは、2つの別個の揮発性スコア値の周囲で変動する。これらの2つの別個の揮発性値は、次いで、それぞれのプロセスグループのオン又はオフ動作状態に帰属され得る。これによって、オン及びオフ動作状態によるプラント固有の信号時系列データの容易なラベリングが可能となる。
【0121】
ある実施形態では、アクティビティスコアのクラスタリングは、教師なし学習によって実行され得る。
【0122】
ある態様において、これらのアクティビティスコアクラスタのうちの1つが、オン状態に帰属してもよく、それ以外のアクティビティスコアクラスタが、オフ状態に帰属してもよい。
【0123】
ある態様において、少なくとも1つの判定されたそれぞれの信号時系列スコアに基づいて、注釈付き信号時系列をクラスタリングすることは、揮発性スコアに基づいてクラスタリングすること、及びアクティビティスコアに基づいてクラスタリングすることを含む。2次元多変数クラスタリングにおいて信号時系列をクラスタリングする方法が、使用され得る。適切なモデルが、Zhou,Pei-Yuan et.al.(2014); A Model-Based Multivariate Signal time series Clustering Algorithmによって開示されている。
【0124】
一態様において、少なくとも1つの判定されたそれぞれの信号時系列スコアに基づいて注釈付き信号時系列をクラスタにクラスタリングすることは、信号時系列に対する外れ値を説明する信号時系列スコアに基づき得る。
【0125】
ある態様において、最小の判定されたそれぞれの信号時系列スコアに基づいて、注釈付き信号時系列データをクラスタリングするステップは、異常スコアに基づいてクラスタリングすることを含み得る。異常スコアは、下限と上限との間で変動する。
【0126】
ある態様において、異常スコアに基づいて注釈付き信号時系列データをクラスタリングするステップは、異常閾値を定義して実行されてもよく、クラスタは、異常スコア値が異常閾値を上回るか、又は異常閾値を下回るかに応じて形成される。
【0127】
異常スコアが異常閾値を上回るクラスタが、イベント状態に帰属され得る。
異常スコアが異常閾値を下回るクラスタが、イベントなし状態に帰属され得る。
【0128】
一態様において、少なくとも1つの判定されたそれぞれの信号時系列スコアに基づいて注釈付き信号時系列をクラスタにクラスタリングすることは、経時的な少なくとも1つの測定ポイント毎に1つの信号時系列毎の統計的特性が経時的に変化しない度合を説明する信号時系列スコアに基づき得る。
【0129】
ある態様において、最小の判定されたそれぞれの信号時系列スコアに基づいて、注釈付き信号時系列データをクラスタリングするステップは、定常性スコアに基づいてクラスタリングすることを含み得る。定常性スコアは、下限と上限との間で変動する。
【0130】
ある態様において、定常性スコアに基づいて注釈付き信号時系列データをクラスタリングするステップは、閾値を定義して実行されてもよく、クラスタは、定常性スコア値が閾値を上回るか、又は閾値を下回るかに応じて形成される。
【0131】
定常性スコアが定常性閾値を上回るクラスタは、安定動作状態に帰属され得る。
定常性スコアが定常性閾値を下回るクラスタは、不安定動作状態に帰属され得る。
【0132】
イベント状態に先行してオフ状態があるとき、クラスタは、起動状態に帰属され得る。
イベント状態の後にオフ状態が続くとき、クラスタは、動作停止状態に帰属され得る。
【0133】
異常及び定常の定義から、異常の検出は定常に対して抑制的であることが明らかである。イベント状態が検出されると、安定動作状態には到達できない。
【0134】
ラベルは、クラスタリングに基づいて与えられ得る。ある態様では、プロセスグループのオン/オフ動作状態についてのラベルが与えられ得る。
【0135】
別の態様では、異常/異常なしについてのラベルが与えられ得る。別の態様では、定常/非定常についてのラベルが与えられ得る。
【0136】
信号時系列は、ここでコンテキストにより解釈可能にされており、さらなる評価のために使用され得る。
【0137】
ある実施形態では、化学製造プラント内の少なくとも1つの測定ポイントは、2つ以上の測定ポイントを含み、方法は、
- それぞれのプラント測定ポイント情報に基づいて、少なくとも2つの測定ポイントのうちの1つ又は複数を選択することと、
- 選択された1つ又は複数の測定ポイント毎の1つの信号時系列毎にのみ少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを判定することと、
をさらに含む。
【0138】
それぞれのプラント測定ポイント情報に基づいて少なくとも2つの測定ポイントの1つ又は複数を選択すること、及び選択された1つ又は複数の測定ポイント毎の1つの信号時系列毎にのみ少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを判定することは、全ての測定ポイントからの全ての信号時系列が査定されなくてもよいという利点を有する。これによって、処理時間が大いに減少する。
【0139】
ある実施形態では、それぞれのプラント測定ポイント情報に基づいて少なくとも2つの測定ポイントの1つ又は複数を選択することは、測定ポイントの技術関係標識に基づいて選択することを含み得る。
【0140】
プラント測定ポイント情報に基づいて少なくとも2つの測定ポイントの信号時系列データを選択することは、有意な測定ポイントのみが選択され得るため、クラスタリングについてのよりロバストな結果をもたらし得る。
【0141】
実施例として、特定のプロセスグループのオン/オフ動作状態にのみ関心があると考えられ得る。特定のプロセスグループに関係する測定ポイントのみを選択することによる。この実施例では、選択は、プラント測定ポイント情報標識に基づく。クラスタリングは、次いで、選択される信号時系列にのみ適用され得る。これは、それぞれの信号時系列スコアがプラントの特定の動作状態に対する感度が高いことが既知である場合に、有益であり得る。例えば、流量センサが反応物質流動の変化に対して急速に反応し、プロセスグループの動作状態がオンであるときにのみ反応物質が流れる。
【0142】
ある実施形態では、それぞれのプラント測定ポイント情報に基づいて少なくとも2つの測定ポイントの1つ又は複数を選択することは、測定ポイントのタイプに基づいて選択することを含み得る。
【0143】
測定ポイントのタイプに基づいて少なくとも2つの測定ポイントの信号時系列データを選択することは、有意な測定ポイントのみが選択され得るため、クラスタリングについてのよりロバストな結果をもたらし得る。
【0144】
実施例として、測定ポイントのタイプに基づく1つより多くの測定ポイントからの信号時系列データにのみ関心があるとき、測定ポイントの特定タイプに関係する測定ポイントのみが選択され得る。この実施例では、選択は、測定ポイントのタイプに基づく。クラスタリングは、次いで、選択される信号時系列にのみ適用され得る。
【0145】
ある実施形態では、それぞれのプラント測定ポイント情報に基づいて少なくとも2つの測定ポイントの1つ又は複数を選択することは、測定ポイントの種類に基づいて選択することを含み得る。
【0146】
ある実施形態では、少なくとも1つの判定されたそれぞれの信号時系列スコアに基づいて注釈付き信号時系列をクラスタにクラスタリングするステップは、選択された1つ又は複数の測定ポイント毎の1つの信号時系列毎にのみ、注釈付き信号時系列をクラスタリングすることを含み得る。
【0147】
これは、選択された信号時系列のみがクラスタリングに使用されるという利点を有する。クラスタリングは、計算コストのかかるタスクである。したがって、プラント測定ポイント情報に基づいて1つより多くの測定ポイントから信号時系列データを選択することが有益である。これによって、クラスタリングのために評価される必要がある信号時系列データが大幅に減少し得る。
【0148】
ある実施形態では、方法は、選択された1つ又は複数の測定ポイント毎の1つの信号時系列毎に少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを集約するステップをさらに含み得る。
【0149】
集約することは、例えば、合計すること、平均すること、重み付けすることであってもよい。
【0150】
選択された測定ポイントにわたってそれぞれの信号時系列スコアを集約することによって、信号時系列スコアの信号対雑音比が増大し得る。
【0151】
選択された測定ポイントにわたってそれぞれの信号時系列スコアを集約することによって、続くクラスタリングプロセスにおけるロバスト性が向上し得る。
【0152】
ある実施形態では、注釈付き信号時系列が記憶され得る。注釈付き信号時系列を記憶することは、データの処理が後の時点でさらに評価されるときに、少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列毎に、判定された少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアの、計算コストがかかるタスクが何度も繰り返されなくてもよいという利点を有する。
【0153】
ある実施形態では、
- 少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列毎に、少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを判定することは、それぞれの揮発性スコア及び/又はそれぞれのアクティビティスコアを判定することを含み、
- 少なくとも1つの判定されたそれぞれの信号時系列スコアに基づいて注釈付き信号時系列をクラスタにクラスタリングすることは、それぞれの揮発性スコア及び/又はそれぞれのアクティビティスコアに基づいてクラスタリングすることを含み、
- 帰属された動作状態は、オン状態である。
【0154】
一実施形態では、信号時系列に対する外れ値を説明する信号時系列スコアを判定することは、オン状態に帰属することを必要とする。
【0155】
一実施形態では、少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列毎に少なくとも1つのそれぞれの異常スコアを判定することは、オン状態に帰属することを必要とする。
【0156】
一実施形態では、経時的な少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列毎に統計的特性が経時的に変化しない度合を判定することは、オン状態に帰属することを必要とする。
【0157】
一実施形態では、少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列毎に少なくとも1つのそれぞれの定常性スコアを判定することは、オン状態に帰属することを必要とする。
【0158】
ある実施形態では、それぞれの異常スコアが、オン状態に帰属する信号時系列に対してのみ判定される。プラント又はプロセスグループのオフ状態は、データ分析にとって関心を引くものではないとみられる。オン状態に帰属する信号時系列のみについて異常スコアを判定することによって、無関係のデータが査定されなくてもよい。これによって、計算時間が大いに減少する。
【0159】
ある実施形態では、それぞれの定常性スコアが、オン状態に帰属する信号時系列に対してのみ判定される。
【0160】
ある実施形態では、それぞれの定常性スコアが、オン状態に帰属する信号時系列に対してのみ判定される。プラント又はプロセスグループのオフ状態は、データ分析にとって関心を引くものではないとみられる。オン状態に帰属する信号時系列のみについて定常性スコアを判定することによって、無関係のデータが査定されなくてもよい。これによって、計算時間が大いに減少する。
【0161】
ある実施形態では、方法は、少なくとも2つのセンサの信号時系列データ毎の統計値を導出するステップをさらに含み得る。統計値は、例えば、平均、中央値、分散、標準偏差、分位数、四分位数、百分位数、欠測値であってもよい。これらの統計値によって、信号時系列データの情報コンテンツを判定することが可能となる。これによって、信号時系列データに対する制限を、信号時系列のシーケンスをさらなる評価から除外するためのこれらの制限に応じて定義することが可能となる。処理時間は、役に立つ情報を含まない信号時系列データを除外することによって、大いに減少され得る。例えば、信号時系列の分散が、ある閾値を上回る場合、これは、センサが雑音の多い信号を提供すること、及びしたがって、信号がさらなる評価に使用されなくてもよいことを示し得る。機能不全センサは、例えば、平坦な信号を提供することがあり、ゆえに信号の分散は低くなる。その結果、低い分散を有するセンサ信号が、さらなる評価から除外され得る。
【0162】
ある態様によれば、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品又はコンピュータ可読不揮発性記憶媒体は、処理デバイスによるロード及び実行時に、本明細書に開示された方法を実行するコンピュータ可読命令を含む。
【0163】
ある態様によれば、システムが提案され、システムは、入力デバイス及び出力デバイス、並びに本明細書に開示された方法を実行するように構成された処理デバイスを含む。
【図面の簡単な説明】
【0164】
図1】化学プラントの動作状態を判定するためのコンピューティングシステムのブロック/フロー図を示す。
図2】本開示による、例示的なワークフローを示す。
図3】プラントの例示的実施例を示す。
図4】例示的なプラントのプロセスグループの詳細図を示す。
図5】センサデータ及び連結プロセスの実施例を示す。
図6】本開示による、データフローを例示的に示す。
図7】イベントタイプがどのようにして前の動作状態に応じて判定され得るかを示す。
図8】化学製造プラントにおいて信号時系列をコンテキストにより解釈可能にするためのシステムが示される。
図9】化学製造プラントにおいて信号時系列をコンテキストにより解釈可能にするための方法の実施例を示す。
図10】スコア信号時系列の挙動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0165】
詳細な説明
以下では、本開示が同封の図面に関連してさらに説明される。
【0166】
図1は、本開示による化学プラントの動作状態を判定するためのコンピューティングシステム100のブロック/フロー図を示す。
【0167】
化学プラントの動作状態を判定するためのシステムは102と称され、時系列取得ユニット112を介して、化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データ114が提供され得る。この実施例では、1つより多くの測定ポイントからの信号時系列データが、提供され得る。信号時系列データは、データベース若しくは測定ポイント、又はその両方の組み合わせから提供され得る。信号時系列データは、履歴上の信号時系列データ又は現在の信号時系列データであってもよい。履歴上の信号時系列データを使用することは、履歴上の動作状態についての情報が履歴上の信号時系列データに対して利用可能でないときに有用であり得る。現在の信号時系列データの使用は、化学プラントのモニタリング及び/又は制御が想定されるときに好ましい場合がある。この実施例では、技術関係標識134が、測定ポイント毎に提供され得る。技術関係データは、例えば、測定ポイントが同一プロセスグループに属している場合に、それらの測定ポイント間の技術的関係についての情報を含み得る。実施例は、図3に示される化学プラントに関してより詳細に説明される。システム100は、ワークステーション又はシステム102、処理デバイス104を含み得る。システムは、好ましくは、1つ又は複数のプロセッサ104、並びにアプリケーション、ユニット及びその他のデータを記憶するメモリ106を含む。本開示による一実施形態では、システム102は、閲覧用の1つ又は複数のディスプレイ108を含み得る。ディスプレイ108は、ユーザがシステム102並びにそのコンポーネント及び機能と対話することを可能にし得る。これは、ユーザインターフェース110によってさらに容易にされてもよく、ユーザインターフェース110は、マウス及び又はキーボードを含み得る。
【0168】
センサ集約ユニット116は、化学プラント内の測定ポイントに関連する信号時系列データを集約するように構成されてもよく、この実施例では、これらは、3つの測定ポイントから提供された信号時系列であってもよい。センサ集約ユニットでは、時系列データが、技術関係標識134に従って集約される。オン/オフユニット120において、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアが、化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データに基づいて判定される。これは、揮発性スコアが判定されるときに揮発性検出ユニット138によってアクティビティスコアが判定されるとき、アクティビティ検出ユニット122によって実行され得る。代替案では、揮発性スコア及びアクティビティスコアの両方が、それぞれの検出ユニットによって判定され得る。動作状態ユニット136において、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアに基づいて、動作状態が判定され得る。オン状態に関連する信号時系列データの選択時に、安定性ユニット142において、安定性スコアが判定される。安定性スコアは、定常性スコアが判定されるときに定常性検出ユニット124によって、又は異常スコアが判定されるときに異常検出ユニット126によって、判定され得る。動作状態ユニット136において、定常性スコアに基づいて動作状態が判定される。これは、安定動作又は不安定動作であってもよく、不安定動作が、イベントに関連付けられる。連結ユニット140は、動作状態をそれぞれの信号時系列に連結することによって、信号時系列データに注釈を付け得る。出力128において、注釈付き信号時系列データは、図示されないデータベース内のストレージに提供され得る。
【0169】
システムは、ブロック128において出力を生成してもよく、出力は、化学プラントをモニタリング及び/又は制御することに適した化学プラントの動作状態に関連するデータ130及び又は警告132を含み得る。プラントシステム102をモニタリング及び/又は制御するためのシステムと組み合わせて、モニタリング/制御信号をさらに提供し得る。
【0170】
図2は、本開示による例示的ワークフローを示す。ワークフローは、200として示される。205において、化学プラント内の第1の測定ポイント、第2の測定ポイント210、及び第3の測定ポイント215に関連する信号時系列データが提供され、時系列データは、流量センサ332、温度センサ334、及び流量センサ322のそれぞれからのデータであり得る。信号時系列毎の測定ポイント情報は、また、時系列取得ユニット112において提供される。ステップ220において、センサ集約ユニット116が、技術関係標識を評価し、技術関係標識が、信号時系列がプロセスグループ330に関係する一方で、流量センサ322からの信号時系列がプロセスグループ320に関係することを示す。ステップ225及びステップ230において、信号時系列がそれに応じて集約される。以下では、実施例として、ワークフローがセンサグループIと連続している。ステップ235において、オン/オフ状態は、集約したセンサ毎に別個に判定される。これは、揮発性スコアを判定することによって行われ、次いで揮発性スコアに基づいて、オン/オフ状態を判定する。実施例は、不揮発性に関するフローを説明する。これは、化学プラント内の第1の測定ポイントに関連する信号時系列データに基づいて、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアを判定するステップを参照する。ステップ235において、信号時系列データの経時的変化度の基準に関連するそれぞれの信号時系列スコアに基づいて動作状態が判定される。この実施例では、これは、オン/オフ状態に関する。ステップ240において、オン/オフ状態が提供され得る。ステップ245において、判定されたオン状態についてのみ、さらなる評価が実行される。ステップ250及び255において、安定性スコアが判定される。ステップ250において、異常スコアが判定され、ステップ255において、定常性スコアが判定される。260において、異常スコアが異常を示すかどうかが判定される。示さない場合、安定した動作ポイントが、ステップ270において判定され得る。ステップ245に続く第2の分岐において、定常性スコアが、255において判定される。定常性スコアが安定動作条件を示す場合、ステップ270がその後に続き、ステップ270において安定動作ポイントが提供される。異常スコア及び定常性スコアを判定することによって、両方のスコアが安定した安定した動作状態を示すときにのみ、安定動作ポイントが提供される。ステップ260において異常が検出され、且つステップ265において非定常が検出されるときに、ステップ275において信号時系列が提供されてもよく、提供された信号時系列が、集約されたセンサについての安定性スコアを含み得る。追加として、又は代替として、イベントがステップ280において判定され得る。イベントタイプは、また、前の動作状態に応じて判定されてもよい。イベントタイプは、起動、動作停止、又は故障であってもよい。故障の場合、警報信号がモニタリングのために提供されてもよく、又は停止信号が制御のために提供されてもよく、停止信号はプラント又はプロセスグループをそれぞれ停止してもよい。
【0171】
図3は、いくつかのプロセスグループを含む化学プラントの例示を示す。この実施例では、プラントは、異なるプロセスグループ310、320、330、3340、350を含む。プロセスグループ310は、反応物質の前処理のための前処理グループであってもよく、プロセスグループ320、330、及び340は、製造トレインであってもよい。製造トレインは、プロセスグループであってもよく、前処理グループ310から製品に提供される反応物質からの反応が起こる。この実施例のプラントは、3つの同一の製造トレインを含む。全ての製造トレインは、個々の動作状態を有し得る。この実施例では、プラントは、後処理350についてのプロセスグループをさらに含む。全ての製造トレインが、前処理のためのプロセスグループ及び後処理のためのプロセスグループと通信し得る。この例示的な実施例では、各製造トレインは、信号時系列データを提供するように構成される、様々な測定ポイントを具備し得る。この実施例では、測定ポイントは、センサであり、流量センサ322、332、342、温度センサ324、334、344、及び圧力センサ326、336、346が、それぞれのプロセストレイン320、330、340に具備されており、これは、第1の桁によって示される。
【0172】
流量センサ322、温度センサ324、及び圧力センサ326は、技術的に関係している場合があり、例えば、それらは、同一のプロセストレイン320に具備されている。流量センサ332、温度センサ334、及び圧力センサ336は、技術的に関係している場合があり、例えば、それらは、同一のプロセストレイン330に具備されている。流量センサ342、温度センサ344、及び圧力センサ346は、技術的に関係している場合があり、例えば、それらは、同一のプロセストレイン340に具備されている。
【0173】
図4は、製造トレイン340内へのズームを示す。製造トレインは、測定ポイントを含んでもよく、この実施例では、測定ポイントは、第1の温度センサ344及び第2の温度センサ345、並びに第1の流量センサ342及び第2の流量センサ343である。プラント測定ポイント情報は、測定ポイント毎に提供され得る。
【0174】
第1の温度センサの場合、プラント測定ポイント情報は、
種類:センサ
タイプ:温度
技術関係標識:プロセストレイン340
であり得る。
【0175】
第2の温度センサの場合、プラント測定ポイント情報は、
種類:センサ
タイプ:温度
技術関係標識:プロセストレイン340
であり得る。
【0176】
第1の流量センサの場合、プラント測定ポイント情報は、
種類:センサ
タイプ:質量流量
技術関係標識:プロセストレイン340
であり得る。
【0177】
第2の流量センサの場合、プラント測定ポイント情報は、
種類:センサ
タイプ:体積流量
技術関係標識:プロセストレイン340
であり得る。
【0178】
図5は、センサデータ及び連結プロセスの実施例を示す。510は、センサ1からの信号時系列に関係する。それから揮発性520が判定されて示され、揮発性は時系列である。クラスタリングステップ530において、時系列データは、オフ及びオン動作状態540に帰属される。さらなる判定ステップ550では、定常性スコア555がオン状態についてのみ判定される。ステップ560において、動作状態の安定性が、定常性スコアに基づいて判定される。これは、上述のようにクラスタリングによって行われる。最後に、動作状態570は、信号時系列データに帰属される。左から右への下部のラインで、連結された信号時系列データの実施例が示されている。
【0179】
図6は、本開示によるデータフローを例示的に示す。集約毎に、集約は、技術的に関係する1つ又は複数の測定ポイントからの信号データを含む。最初に、動作状態間で、オン及びオフが判別される。オン状態に関連する信号時系列データは、次いで、例えば図2に関して説明されたように安定性スコアを判定することによって、さらに評価される。安定性スコアに基づいて、動作状態が安定しているか、又はイベントが発生していたかが判定される。イベントが判定されると、イベントのタイプが、さらに判定され得る。この実施例では、3つのイベントタイプのみが示されている。起動、動作停止、及び故障である。
【0180】
図7は、イベントタイプがどのようにして前の動作状態に応じて判定され得るかを示す。不安定な動作状態であるオン状態が後に続き、その後に安定したオン状態が続く、オフ状態は、プラントの起動プロセスに関係し得る。
【0181】
不安定なオン状態が後に続き、その後に安定したオン状態が続く、安定したオン状態は、故障イベントについての指標であり得る。プラントは、安定した動作状態で実行されており、故障イベント後に安定した動作状態に回復される。最後の実施例は、動作停止プロセスが判定され得る実施例を示す。安定したオン状態の後に不安定なオン状態が続き、その後にオフ状態が続く。実施例は、図10の略図に即している。
【0182】
図8では、化学製造プラントにおいて信号時系列をコンテキストにより解釈可能にするためのシステム1000が示される。システム1000は、出力デバイス1300を含み、この実施例では、出力デバイスは、化学プラントにおいてコンテキストにより解釈可能にされた信号時系列を表示するためのモニタである。追加として、又は代替として、出力デバイスは、データ記憶デバイスであってもよい。追加として、又は代替として、出力デバイスは、データベースであってもよい。追加として、又は代替として、出力デバイスは、別の処理デバイスへの接続であってもよい。システムは、化学製造プラント内の少なくとも1つの測定ポイント毎に1つの信号時系列を提供するための入力デバイス1100をさらに含む。システムは、処理デバイス1200をさらに含み、この実施例の目的上、処理デバイスは、多目的コンピュータであるが、任意の他の適当な処理デバイスであってもよい。処理デバイスは、化学製造プラントにおいて信号時系列をコンテキストにより解釈可能にするための方法を実行するように構成される。
【0183】
化学製造プラントにおいて信号時系列をコンテキストにより解釈可能にするための方法の実施例が、図9に示される。
【0184】
処理デバイスにおける第1のステップ700において、化学製造プラント内の少なくとも1つの測定ポイント毎に1つの信号時系列を受信する。この実施例では、第1の時系列からの第1の信号時系列が、第1の温度センサから受信され、第2の時系列が、第2の温度センサから受信され、第3の時系列が、第1の流量センサから受信され、第4の時系列が、第4の流量センサから受信される。
【0185】
第2のステップ720において、最小の測定ポイント毎にそれぞれのプラント測定ポイント情報を提供し、センサ毎の測定ポイント情報が提供される。
【0186】
この実施例では、ステップ730において、信号時系列の確率論的特性に基づいて少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列毎に少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコアを判定することが、時系列アクティビティスコア及び揮発性スコアを判定することを含む。アクティビティスコア及び揮発性スコアは、時系列である。
【0187】
この実施例では、ステップ740において、
- 化学製造プラント内の少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列、
- 少なくとも1つの測定ポイント毎の1つの信号時系列毎の、判定された少なくとも1つのそれぞれの信号時系列スコア、
- 少なくとも1つの測定ポイント毎のそれぞれのプラント測定ポイント情報、
を含む注釈付き信号時系列を生成することが、
- 以下を含む第1の温度センサについての注釈付き信号時系列
〇第1の温度センサの温度信号時系列
〇第1の温度センサについての判定された揮発性時系列
〇第1の温度センサについての判定されたアクティビティ時系列
〇第1の温度センサについてのプラントセンサ情報
- 以下を含む第1の温度センサについての注釈付き信号時系列
〇第2の温度センサの温度信号時系列
〇第2の温度センサについての判定された揮発性時系列
〇第2の温度センサについての判定されたアクティビティ時系列
〇第2の温度センサについてのプラントセンサ情報
- 以下を含む第1の流量センサについての注釈付き信号時系列
〇第1の流量センサの温度信号時系列
〇第1の流量センサについての判定された揮発性時系列
〇第1の流量センサについての判定されたアクティビティ時系列
〇第1の流量センサについてのプラントセンサ情報
- 以下を含む第2の流量センサについての注釈付き信号時系列
〇第2の流量センサの温度信号時系列
〇第2の流量センサについての判定された揮発性時系列
〇第2の流量センサについての判定されたアクティビティ時系列
〇第2の流量センサについてのプラントセンサ情報
を生成することを含む。
【0188】
少なくとも1つの判定されたそれぞれの信号時系列スコア及びそれぞれのクラスタ分類子に基づいて、注釈付き信号時系列をクラスタにクラスタリングするステップ760は、この実施例では、第1の温度センサの揮発性スコアに対して実行される。揮発性スコアのための分類子は、高低2つのクラスタを含み得る。これは、図5に示されている。クラスタリングは、揮発性スコア値が高クラスタにより近いか又は低クラスタにより近いかを査定することによって、実行され得る。適切な方法が、k平均クラスタリングである。クラスタリングは、第1の温度センサについてのアクティビティスコアに対しても実行され得る。
【0189】
ステップ780において、クラスタリング及びルールセットに基づいて動作状態を信号時系列に帰属させる。先行するクラスタリングステップにおいて、第1の温度センサの揮発性スコアの全ての要素が、高クラスタ及び低クラスタのいずれかに割り当てられる。揮発性クラスタについてのルールセットは、高揮発性がプロセスグループの動作状態のオン状態に関係することを定義する。揮発性クラスタについてのルールセットは、低揮発性がプロセスグループの動作状態のオフ状態に関係することを定義する。ルールセットは、動作状態のオフ状態の間、センサが、著しく変化する信号を生成しないという仮定に基づく。ここで、第1の流量センサの信号時系列のシーケンス毎に、プロセスグループがオン状態であるか又はオフ状態であるかが、コンテキストにより解釈可能にされる。
【0190】
ステップ790において、
- 1つ又は複数の測定ポイント毎の1つの信号時系列、
- 最小の測定ポイント毎の、判定された最小のそれぞれの信号時系列スコア、
- 最小の測定ポイント毎のそれぞれのプラント測定ポイント情報、
- 帰属された動作状態、
を含む、コンテキストにより解釈可能にされた信号時系列が
提供される。
【0191】
図10は、アクティビティスコア、揮発性スコア、異常スコア、及び定常性スコアがプロセスグループの動作状態に応じてどのように変動し得るかを、例示的シナリオについて示している。x軸に沿って、プラントの動作状態が示される。左から右へ、プラントがオフ状態であり、これが、低揮発性スコア及び低アクティビティスコアによって示される。プラントの起動時に、揮発性スコア及びアクティビティスコアが、増加のようなステップを示す。これによって、これらの2つのスコアはオン状態とオフ状態とを区別するために存立可能なスコアになる。定常性スコアは、経時的により安定した進展を示す。しかしながら、起動段階の後、プラントが通常の動作条件にあるとき、定常性スコアは、比較的平坦な勾配を示す。閾値は、安定動作状態と不安定動作状態とを区別するように定義され得る。安定動作状態の間の定常性と同様に、異常スコアは、比較的平坦な勾配を示す。この例示では、イベントとして示される故障状態が発生する。異常スコア及び定常性スコアの両方が、強い変動を示す。イベント後、両方のスコアは本質的に回復し、再び安定した動作状態を示す。動作停止の間、定常性スコアは、もはや安定した動作状態を示さない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】