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特表2023-548290半導体デバイスのためのパッシベーション構造
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  • 特表-半導体デバイスのためのパッシベーション構造 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】半導体デバイスのためのパッシベーション構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20231109BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20231109BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20231109BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231109BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231109BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 652T
H01L29/78 655F
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 652J
H01L29/78 658J
H01L29/78 652F
H01L29/06 301F
H01L29/44 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525025
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 US2021057675
(87)【国際公開番号】W WO2022098627
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】17/088,686
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ブラント、エドワード ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マクファーソン、ジョー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ハリントン、ザ サード、トーマス イー.
(72)【発明者】
【氏名】リュー、セイ - ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ハル、ブレット
(72)【発明者】
【氏名】ジ、イン - ファン
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA03
4M104BB01
4M104FF10
(57)【要約】
半導体デバイス、特に半導体デバイスのためのパッシベーション構造が開示される。半導体デバイスは、能動領域と、能動領域の外周部に沿って配置されるエッジ終端領域と、エッジ終端領域に沿ってダイ・シールを形成できるパッシベーション構造とを含むことができる。パッシベーション構造は、エッジ終端領域に沿ったパッシベーション構造の機械的な強度及び付着力を向上させる配置のいくつかのパッシベーション層を含むことができる。パッシベーション層のうちの少なくとも1つにより形成される界面は、パワー・サイクル中の熱膨張及び熱収縮に関係する力をより均等に分散させるように働くパターンを設けられてもよく、これによりパッシベーション構造のクラッキング及び層剥離を減少させる。パターニングされた層は、パッシベーション構造の上に重なる部分に対応するパターンを形成する配置でパッシベーション構造内に少なくとも一部が埋め込まれてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリフト領域と、
前記ドリフト領域の一部分を含む能動領域と、
前記ドリフト領域内で、前記能動領域の外周部に沿って配置されたエッジ終端領域と、
前記エッジ終端領域上のパッシベーション構造と、
前記パッシベーション構造内に形成されているパターニングされた層と
を備える、半導体デバイス。
【請求項2】
前記パターニングされた層が、前記パッシベーション構造内に埋め込まれている、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記パターニングされた層が、ポリシリコンを含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記パッシベーション構造が、前記ドリフト領域上の第1のパッシベーション層、及び前記第1のパッシベーション層上にある第2のパッシベーション層を含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記パターニングされた層が、前記第1のパッシベーション層と前記第2のパッシベーション層との間に配置されている、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記第2のパッシベーション層が、前記パターニングされた層の少なくとも一部分と位置合わせされている少なくとも1つの突起を形成している、請求項5に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記パッシベーション構造が、前記第2のパッシベーション層上にある第3のパッシベーション層をさらに備え、前記第2のパッシベーション層の前記少なくとも1つの突起が、前記第3のパッシベーション層内に延びている、請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの突起が、複数の突起を含み、前記第3のパッシベーション層の上面が、前記パッシベーション構造の少なくともある部分では平坦である、請求項7に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記パッシベーション構造が、前記第3のパッシベーション層上にある第4のパッシベーション層をさらに備え、前記第3のパッシベーション層の前記上面が、前記第4のパッシベーション層との界面を形成している、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記エッジ終端領域が、前記ドリフト領域内に複数のガード・リングをさらに備え、
前記パターニングされた層の前記少なくとも1つの部分が、前記複数のガード・リングのうちの個々のガード・リングと位置合わせされている、
請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記パターニングされた層の前記少なくとも1つの部分が、前記複数のガード・リングのうちの少なくとも2つの個々のガード・リングと位置合わせされている、請求項10に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記複数のガード・リングのうちの少なくとも1つのガード・リングが、前記パターニングされた層の直接上に重なる部分がない、請求項10に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記複数のガード・リングのうちの前記少なくとも1つのガード・リングが、前記複数のガード・リングのうちのすべての他のガード・リングよりも前記能動領域の近くに配置されている、請求項12に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記パターニングされた層のうちの前記少なくとも1つの部分が、前記パッシベーション構造内にフィールド・プレートを形成している、請求項10に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記パターニングされた層のうちの前記少なくとも1つの部分が、縦にオフセットした位置に前記複数のガード・リングのうちの前記個々のガード・リングと位置合わせされている、請求項10に記載の半導体デバイス。
【請求項16】
前記パターニングされた層が、前記第1のパッシベーション層上に配置され、前記パターニングされた層が、前記エッジ終端領域の外側エッジへ向かう方向に前記第1のパッシベーション層の側壁を通過してさらに延びている、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項17】
前記パターニングされた層が、前記能動領域の外周部の周りに少なくとも1つの連続するリングを形成している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項18】
前記パターニングされた層が、前記能動領域の外周部の周りに少なくとも1つのセグメント化されたリングを形成している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つのセグメント化されたリングが、前記パターニングされた層の第1のセグメント化されたリング及び第2のセグメント化されたリングを備え、
前記第1のセグメント化されたリングのリング・セグメントが、前記第2のセグメント化されたリングのリング・セグメントに対して横方向にオフセットした位置に配置されている、
請求項18に記載の半導体デバイス。
【請求項20】
前記ドリフト領域が、炭化ケイ素(SiC)を含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項21】
前記能動領域が、炭化ケイ素(SiC)金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備える、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項22】
ドリフト領域と、
前記ドリフト領域の一部分を含む能動領域と、
前記ドリフト領域内で、前記能動領域の外周部に沿って配置されたエッジ終端領域と、
前記エッジ終端領域上のパッシベーション構造であって、前記パッシベーション構造のパッシベーション層が、前記パッシベーション構造の追加のパッシベーション層内に部分的に延びている、少なくとも1つの突起を形成している、パッシベーション構造と
を備える、半導体デバイス。
【請求項23】
前記少なくとも1つの突起が、前記能動領域の前記外周部の周りに少なくとも1つの突起リングを形成している、請求項22に記載の半導体デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの突起リングが、前記能動領域の前記外周部の周りで連続的である、請求項23に記載の半導体デバイス。
【請求項25】
前記少なくとも1つの突起リングが、前記能動領域の前記外周部の周りでセグメント化されている、請求項23に記載の半導体デバイス。
【請求項26】
前記少なくとも1つの突起が、複数の突起を含み、
前記パッシベーション層が、前記複数の突起の隣接する突起間に複数の凹部を形成し、
前記追加のパッシベーション層の部分が、前記複数の凹部の各々の凹部内に延びている、
請求項22に記載の半導体デバイス。
【請求項27】
前記複数の凹部とは反対である前記追加のパッシベーション層の上面の少なくとも一部分が平坦である、請求項26に記載の半導体デバイス。
【請求項28】
前記複数の凹部が、第1の凹部及び第2の凹部を含み、
前記第1の凹部が、前記第2の凹部の幅よりも広い幅を備え、
前記第1の凹部が、前記第2の凹部よりも前記エッジ終端領域の外側エッジのより近く配置されている、
請求項27に記載の半導体デバイス。
【請求項29】
前記パッシベーション構造内にパターニングされた層をさらに備え、前記パターニングされた層が、前記少なくとも1つの突起と位置合わせされている、請求項22に記載の半導体デバイス。
【請求項30】
前記パターニングされた層が、ポリシリコンを含む、請求項29に記載の半導体デバイス。
【請求項31】
前記少なくとも1つの突起が、複数の突起を含み、
前記パターニングされた層の不連続な部分が、前記複数の突起の各々の突起と位置合わせされている、
請求項29に記載の半導体デバイス。
【請求項32】
前記エッジ終端領域が、前記ドリフト領域内に複数のガード・リングを備え、
前記パターニングされた層の不連続な部分が、前記複数のガード・リングの個々のガード・リングと位置合わせされている、
請求項29に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体デバイスに関し、詳細には半導体デバイスのためのパッシベーション構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタ及びダイオードなどの半導体デバイスは、現代の電子デバイスでは至るところに存在する。窒化ガリウム(GaN)及び炭化ケイ素(SiC)などのワイド・バンドギャップ半導体材料システムが、スイッチング速度、パワー取り扱い能力、及び熱伝導度などの分野ではデバイス性能の境界を押し広げるために半導体デバイスにおいてますます利用されてきている。実例は、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、ショットキー・バリア・ダイオード、PiNダイオード、高電子移動度トランジスタ(HEMT)などの個別デバイス、及び1つ又は複数の個別デバイスを含むモノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)などの集積回路を含む。
【0003】
半導体デバイスは、典型的には半導体ダイの能動領域に形成される。高電圧及び大電流をサポートするように製造された半導体ダイでは、電界の集中が、半導体ダイの適正な動作を妨げることがある。電界の集中は、半導体ダイのエッジで特に問題になる。したがって、エッジ終端領域が、ダイのエッジの電界を低下させるために半導体ダイの外周付近で能動領域を囲む。エッジ終端領域がないと、電界は、ダイのエッジに集中するはずであり、ダイの性能を悪くさせるはずである。例えば、降伏電圧、漏れ電流、及び/又はダイの信頼性が、著しく低下することがある。具体的に、ダイは、高い動作電圧に付随することがある熱ストレス(例えば、150℃より高い温度)を受けるときに逆バイアス下で漏れ電流に悩まされることがある。いくつかのエッジ終端構造が、ダイのエッジでの電界の集中を低下させるために提案されてきているが、提案された構造の多くが、高温で高電圧の動作条件にともなう熱衝撃及びパワー・サイクルに耐えることに対して適していないことがある。
【0004】
技術は、従来の半導体デバイスに関連する難題を克服することができる半導体デバイス用の改善されたエッジ終端構造を探し求め続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、半導体デバイスに関し、特に半導体デバイスのためのパッシベーション構造に関する。半導体デバイスは、能動領域と、能動領域の外周部に沿って配置されるエッジ終端領域と、エッジ終端領域に沿ってダイ・シールを形成できるパッシベーション構造とを含むことができる。パッシベーション構造は、エッジ終端領域に沿ったパッシベーション構造の機械的な強度及び付着力を向上させる配置内のいくつかのパッシベーション層を含むことができる。パッシベーション層のうちの少なくとも1つにより形成される界面は、パワー・サイクル中の熱膨張及び熱収縮に関係する力をより均等に分散させるように働くパターンを設けられてもよく、これによりパッシベーション構造のクラッキング及び層剥離を減少させる。パターンは、複数のパッシベーション層のうちの少なくとも1つにいくつかの突起及び凹部を含むことができる。パターニングされた層は、パッシベーション構造の上に重なる部分にパターンを形成するようにパッシベーション構造内に少なくとも一部が埋め込まれてもよい。
【0006】
1つの態様では、半導体デバイスは:ドリフト領域と、ドリフト領域の一部分を含む能動領域と、ドリフト領域内にあり、能動領域の外周部に沿って配置されたエッジ終端領域と、エッジ終端領域上のパッシベーション構造と、パッシベーション構造内に形成されるパターニングされた層とを備える。ある実施例では、パターニングされた層が、パッシベーション構造内に埋め込まれる。ある実施例では、パターニングされた層が、ポリシリコンを含む。パッシベーション構造が、ドリフト領域上の第1のパッシベーション層及び第1のパッシベーション層上にある第2のパッシベーション層を含むことができる。ある実施例では、パターニングされた層が、第1のパッシベーション層と第2のパッシベーション層との間に配置される。ある実施例では、第2のパッシベーション層が、パターニングされた層の少なくとも一部分と位置合わせされる少なくとも1つの突起を形成する。
【0007】
半導体デバイスのパッシベーション構造が、第2のパッシベーション層上にある第3のパッシベーション層をさらに備えることができ、第2のパッシベーション層の少なくとも1つの突起が、第3のパッシベーション層内に延びる。ある実施例では、少なくとも1つの突起が複数の突起を含み、第3のパッシベーション層の上面が、パッシベーション構造の少なくともいくつかの部分で平坦である。パッシベーション構造が、第3のパッシベーション層上にある第4のパッシベーション層をさらに備え、第3のパッシベーション層の上面が、第4のパッシベーション層との界面を形成する。ある実施例では、エッジ終端領域が、ドリフト領域内に複数のガード・リングをさらに備え、パターニングされた層の少なくとも1つの部分が、複数のガード・リングのうちの個々のガード・リングと位置合わせされる。ある実施例では、パターニングされた層の少なくとも1つの部分が、複数のガード・リングのうちの少なくとも2つの個々のガード・リングと位置合わせされる。複数のガード・リングのうちの少なくとも1つのガード・リングは、パターニングされた層の直接上に重なる部分がないことがある。ある実施例では、複数のガード・リングのうちの少なくとも1つのガード・リングが、複数のガード・リングのうちのすべての他のガード・リングよりも能動領域の近くに配置される。ある実施例では、パターニングされた層のうちの少なくとも1つの部分が、パッシベーション構造内にフィールド・プレートを形成する。パターニングされた層のうちの少なくとも1つの部分が、縦にオフセットした位置で複数のガード・リングのうちの個々のガード・リングと位置合わせされる。ある実施例では、パターニングされた層が、第1のパッシベーション層上に配置され、パターニングされた層が、エッジ終端領域の外側エッジへ向かう方向に第1のパッシベーション層の側壁を通過してさらに延びる。
【0008】
ある実施例では、パターニングされた層が、能動領域の外周部の周りに少なくとも1つの連続するリングを形成する。ある実施例では、パターニングされた層が、能動領域の外周部の周りに少なくとも1つのセグメント化されたリングを形成する。少なくとも1つのセグメント化されたリングが、パターニングされた層の第1のセグメント化されたリング及び第2のセグメント化されたリングを備え、第1のセグメント化されたリングのリング・セグメントが、第2のセグメント化されたリングのリング・セグメントに対して横方向にオフセットした位置に配置される。
【0009】
ある実施例では、ドリフト領域が炭化ケイ素(SiC)を含む。ある実施例では、能動領域が、SiC金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備える。
【0010】
別の態様では、半導体デバイスは:ドリフト領域と、ドリフト領域の一部分を含む能動領域と、ドリフト領域内にあり、能動領域の外周部に沿って配置されたエッジ終端領域と、エッジ終端領域上のパッシベーション構造であって、パッシベーション構造のパッシベーション層がパッシベーション構造の追加のパッシベーション層内に部分的に延びる少なくとも1つの突起を形成する、パッシベーション構造とを備える。少なくとも1つの突起が、能動領域の外周部の周りに少なくとも1つの突起リングを形成できる。ある実施例では、少なくとも1つの突起リングが、能動領域の外周部の周りで連続的である。ある実施例では、少なくとも1つの突起リングが、能動領域の外周部の周りでセグメント化される。
【0011】
ある実施例では、少なくとも1つの突起が、複数の突起を含み、パッシベーション層が、複数の突起の隣接する突起間に複数の凹部を形成し、追加のパッシベーション層の一部分が、複数の凹部の各々の凹部内に延びる。ある実施例では、複数の凹部とは反対の追加のパッシベーション層の上面の少なくとも一部分が平坦である。ある実施例では、複数の凹部が、第1の凹部及び第2の凹部を含み、第1の凹部が、第2の凹部の幅よりも広い幅を備え、第1の凹部が、第2の凹部よりもエッジ終端領域の外側エッジのより近くに配置される。
【0012】
半導体デバイスは、パッシベーション構造内にパターニングされた層をさらに備えることができ、パターニングされた層が少なくとも1つの突起と位置合わせされる。ある実施例では、パターニングされた層がポリシリコンを含む。ある実施例では、少なくとも1つの突起が複数の突起を含み、パターニングされた層の不連続な部分が、複数の突起の各々の突起と位置合わせされる。ある実施例では、エッジ終端領域が、ドレイン領域内に複数のガード・リングを備え、パターニングされた層の不連続な部分が、複数のガード・リングの個々のガード・リングと位置合わせされる。
【0013】
別の態様では、個々に若しくは一緒に前述の態様のうちのいずれか並びに/又は本明細書において説明されるような様々な別々の態様及び特徴は、さらなる利点のために組み合わせられてもよい。本明細書において開示したような様々な特徴及び要素のいずれかは、本明細書において反対に指示されない限り1つ又は複数の他の開示した特徴及び要素と組み合わせられてもよい。
【0014】
当業者は、本開示の範囲を認識し、添付の描画図面に関連する好ましい実施例の下記の詳細な説明を読んだ後で本開示のさらなる態様を理解するであろう。
【0015】
この明細書に組み込まれ、一部を形成する添付の描画図面は、開示の原理を説明するように働く記載とともに開示のいくつかの態様を図示する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本開示による例示的な半導体デバイスの上面説明図である。
図1B】半導体デバイスがMOSFETを含む実施例に関する図1Aの半導体デバイスの一部分の断面図である。
図2A図1Bの半導体デバイスに類似する半導体デバイスの部分断面図であり、エッジ終端領域のより詳細な図を提供する。
図2B図2Aの半導体デバイスの上面説明図である。
図3図2Aの半導体デバイスに類似しており、構造的な安定性の向上を提供するエッジ終端領域内にパッシベーション層の配置をさらに含む半導体デバイスの部分断面図である。
図4図3の半導体デバイスに類似する半導体デバイスの部分断面図であるが、パターニングされた層の個々の部分が複数のガード・リングのうちの1つよりも多くと位置合わせされる。
図5図3の半導体デバイスに類似する半導体デバイスの部分断面図であるが、少なくとも1つのガード・リングが上に重なる配置と位置合わせされたパターニングされた層の一部分を持たない。
図6図3の半導体デバイスに類似する半導体デバイスの部分断面図であるが、少なくとも1つのガード・リングが第1のパッシベーション層を貫通するパターニングされた層の部分に電気的に接続される。
図7図3の半導体デバイスに類似する半導体デバイスの部分断面図であるが、パターニングされた層の部分が縦にオフセットした方式で下にあるガード・リングと位置合わせされる。
図8A】パターニングされた層が本開示の原理にしたがって能動領域の外周部の周りに1つ又は複数の連続するリングを形成する半導体デバイスの一部分の上面図である。
図8B】パターニングされた層が本開示の原理にしたがって能動領域の外周部の周りに1つ又は複数のセグメント化されたリングを形成する半導体デバイスの一部分の上面図である。
図9図3の半導体デバイスに類似する半導体デバイスの部分断面図であるが、パターニングされた層が第1のパッシベーション層の外周部にリングを形成する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
下記に記述する実施例は、当業者が実施例を実行することを可能にするために必要な情報を表現し、実施例を実行する際の最良の形態を図解する。添付の描画図面を考慮して下記の説明を読むと、当業者は、開示の概念を理解し、本明細書では特に扱われていないこれらの概念の応用を認識するであろう。これらの概念及び応用が、本開示及び別記の特許請求の範囲の範囲内になることが理解されるはずである。
【0018】
第1の、第2の、等の用語が、様々な要素を説明するために本明細書では使用されることがあるとはいえ、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素をもう1つとは区別するために使用されるに過ぎない。例えば、本開示の範囲から逸脱せずに、第1の要素は第2の要素と称されてもよく、同様に、第2の要素が第1の要素と称されてもよい。本明細書において使用するように、「及び/又は」という用語は、関連して列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。
【0019】
層、領域、又は基板などのある要素が別の要素の「上に(on)」ある又は「上へと(onto)」延びると称されるとき、他の要素の直接上にある若しくは直接上内に延びてもよいこと、又は介在する要素もまた存在してもよいことを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」ある又は「直接上へと」延びると称されるとき、介在する要素が存在しない。同じように、層、領域、又は基板などのある要素が、別の要素の「上方に(over)」ある、又は「上方に」延びると称されるとき、他の要素の直接上方にある、若しくは直接上方に延びてもよいこと、又は介在する要素もまた存在してもよいことを理解されたい。対照的に、ある要素がもう1つの要素の「直接上方に」ある、又は「直接上方に」延びると称されるとき、介在する要素が存在しない。ある要素が別の要素に「接続される(connected)」又は「結合される(coupled)」と称されるとき、他の要素に直接接続される、若しくは結合されてもよいこと、又は介在する要素が存在してもよいこともまた理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続される」又は「直接結合される」と称されるとき、介在する要素が存在しない。
【0020】
「より下に(below)」若しくは「より上に(above)」又は「上部に(upper)」若しくは「下部に(lower)」又は「水平に(horizontal)」若しくは「垂直に(vertical)」などの相対的な用語は、図に図示したように1つの要素、層、又は領域の別の要素、層、又は領域に対する関係を記述するために本明細書では使用されることがある。これらの用語及び上に論じたものは、図に描かれた向きに加えてデバイスの違った向きを包含することを意図するものであることを理解されたい。
【0021】
本明細書において使用される用語法は、単に特定の実施例を説明する目的のためであり、開示を限定することを意図するものではない。本明細書において使用されるように、「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」という単数形は、文脈が明らかに別様に指示しない限り、同様に複数形を含むものである。本明細書において使用されるときに「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」という用語が、述べた特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在若しくは追加を排除しないことをさらに理解されたい。
【0022】
別様に規定しない限り、本明細書において使用される(技術用語及び科学用語を含め)すべての用語は、この開示が属する技術分野において当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を持つ。本明細書において使用される用語が、この明細書の文脈及び関連する技術分野におけるそれらの意味と整合する意味を持つように解釈されるべきであることがさらに理解され、本明細書において明示的にそのように規定されない限り、理想化された概念で又は過度に形式的な概念では解釈され得ないであろう。
【0023】
実施例は、本明細書では開示の実施例の模式的説明図を参照して説明される。それはそうとして、層及び要素の実際の寸法が異なることがあり、例えば、製造技術及び/又は許容誤差の結果として説明図の形状からの変動が予想される。例えば、方形又は矩形として図示された又は説明された領域が、丸まった又は曲がった外形を持つことがあり、直線として示された領域が何らかの異形を有してもよい。このように、図に図示された領域は模式的であり、それらの形状は、デバイスの領域の正確な形状を図示することを意図するものではないし、開示の範囲を限定することを意図するものでもない。加えて、構造又は領域のサイズは、説明的な目的のために他の構造又は領域に比較して誇張されることがあり、したがって、本主題の一般的な構造を図解するために提供され、等尺で描かれることも描かれないこともある。複数の図間の共通の要素が、共通の要素番号を用いて本明細書において示されることがあり、その後には再び説明されないことがある。
【0024】
本開示は、半導体デバイスに関し、特に半導体デバイスのためのパッシベーション構造に関する。半導体デバイスは、能動領域、能動領域の外周部に沿って配置されるエッジ終端領域、及びエッジ終端領域に沿ってダイ・シールを形成できるパッシベーション構造を含むことができる。パッシベーション構造は、配置内にいくつかのパッシベーション層を含むことができ、配置がエッジ終端領域に沿ったパッシベーション構造の機械的な強度及び付着力を向上させる。複数のパッシベーション層のうちの少なくとも1つにより形成される界面は、パワー・サイクル中の熱膨張及び熱収縮に関係する力をより均等に分散させるように働くパターンを設けられてもよく、これによりパッシベーション構造内のクラッキング及び層剥離を減少させる。パターンは、複数のパッシベーション層のうちの少なくとも1つに多数の突起及び凹部を含むことがある。パターニングされた層は、パッシベーション構造の上に重なる部分にパターンを形成するためにパッシベーション構造に少なくとも部分的に埋め込まれることがある。
【0025】
図1Aは、本開示による例示的な半導体デバイス10の上面説明図である。半導体デバイス10は、能動領域12及び半導体デバイス10の外周部の付近で能動領域12を囲むエッジ終端領域14を含む。特定の用途に応じて、能動領域12は、とりわけ、1つ又は複数の金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、ダイオード、ショットキー・ダイオード、ジャンクション・バリア・ショットキー(JBS)ダイオード、PiNダイオード、及び絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)などの、能動領域内に形成された1つ若しくは複数の半導体デバイス又は半導体デバイス・セルを含むことができる。半導体デバイス10は、ワイド・バンドギャップ半導体デバイス、例えば、炭化ケイ素(SiC)系のデバイスを含むことができる。エッジ終端領域14は、半導体デバイスの性能を向上させるために半導体デバイス10のエッジの電界の集中を減少させるように構成される。例えば、エッジ終端領域14は、下記に詳細に論じるように、半導体デバイス10の降伏電圧を高め、経時的な半導体デバイス10の漏れ電流を減少できる。実例として、エッジ終端領域14は、1つ又は複数のガード・リング、接合終端エクステンション(JTE)、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0026】
図1Bは、半導体デバイス10がMOSFETを含む実施例に関する図1Aの半導体デバイス10の一部分の断面図を図示する。例示的なMOSFETが説明される一方で、本開示の原理は、とりわけダイオード、ショットキー・ダイオード、JBSダイオード、PiNダイオード、及びIGBTを含め上に列挙した他の半導体デバイスに適用可能である。半導体デバイス10は、基板16及び基板16上のドリフト領域18を含む。ドリフト領域18は、ワイド・バンドギャップ半導体材料、例えば、SiCの1つ又は複数のドリフト層を具現化できる。エッジ終端領域14の内側エッジ14Aが、能動領域12からエッジ終端領域14を線引きするために縦の破線により示される。エッジ終端領域14の外側エッジ14Bは、半導体デバイス10の外周エッジに対応してもよい。エッジ終端領域14では、いくつかのガード・リング20がドリフト領域18に設けられる。具体的に、ガード・リング20は、基板16とは反対のドリフト領域18の上面18Aに隣接し、それどころか直接隣接して設けられる。ガード・リング20は、イオン注入によって形成されてもよく、使用される注入物は、ドリフト領域18がn型層として構成されるとき、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、又はいずれかの他の好適なp型ドーパントを含んでもよい。各々のガード・リング20は、ドリフト領域18のドーピング型とは反対であるドーピング型を有する小領域をエッジ終端領域14内に形成する。本実例では、ドリフト領域18はn型層であり、一方でガード・リング20はp型小領域である。しかしながら、本開示の原理は、図1Bに図示したようなドーピング型が逆であり得る反対の極性構成を有するデバイスに同等に当てはまる。例示的な目的で、5つのガード・リング20が図1Bに図示される。様々な実施例では、ガード・リング20の数は、用途に応じて、5以上、又は10以上、又は20以上、又は5から20までの範囲内、又は10から20までの範囲内であってもよい。
【0027】
電圧がドリフト領域18によりサポートされるとき、エッジ終端領域14の外側エッジ14Bの電界集中は、エッジ終端領域14の内側エッジ14Aよりも実質的に大きくなる傾向がある。ある実施例では、表面空乏保護領域22がさらに、エッジ終端領域14の外側エッジ14Bのドリフト領域18に設けられることもある。表面空乏保護領域22は、ドリフト領域18と同じドーピング型であるが、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高いドーピング濃度を有してもよい。このようにして、表面空乏保護領域22は、半導体デバイス10の性能をさらに向上させるためにドリフト領域18の上面18Aでの空乏化を防止できる。ある実施例では、表面空乏保護領域22が注入によって設けられる。パッシベーション層24が、ドリフト領域18の上面18Aを不動態化するために基板16とは反対のドリフト領域18の上面18Aに設けられてもよい。パッシベーション層24は、いずれかの好適な材料の絶縁性材料の1つ又は複数の層、例えば、酸化物及び/又は窒化物系の誘電体層の1つ又は複数の層で具現化できる。ある実施例では、パッシベーション層24は、フィールド酸化物層、1つ若しくは複数の金属間誘電体層、及び上部絶縁性層のうちの1つ又は複数を含む多層構造を具現化できる。
【0028】
基板16は、1×1017cm-3と1×1020cm-3との間のドーピング濃度を有することがある。様々な実施例では、基板16のドーピング濃度は、1×1017cm-3と1×1020cm-3との間の任意の小範囲で用意されてもよい。例えば、基板16のドーピング濃度は、1×1018cm-3と1×1020cm-3との間、1×1019cm-3と1×1020cm-3との間、1×1017cm-3と1×1019cm-3との間、1×1017cm-3と1×1018cm-3との間、及び1×1018cm-3と1×1019cm-3との間であってもよい。
【0029】
ドリフト領域18は、1×1014cm-3と1×1018cm-3との間のドーピング濃度を有することがある。様々な実施例では、ドリフト領域18のドーピング濃度は、1×1014cm-3と1×1018cm-3との間の任意の小範囲で用意されてもよい。例えば、ドリフト領域18のドーピング濃度は、1×1015cm-3と1×1018cm-3との間、1×1016cm-3と1×1018cm-3との間、1×1017cm-3と1×1018cm-3との間、1×1014cm-3と1×1017cm-3との間、1×1014cm-3と1×1016cm-3との間、1×1014cm-3と1×1015cm-3との間、1×1015cm-3と1×1017cm-3との間、1×1015cm-3と1×1016cm-3との間、及び1×1016cm-3と1×1017cm-3との間であってもよい。表面空乏保護領域22は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高いドーピング濃度を有することがある。様々な実施例では、表面空乏保護領域22は、ドリフト領域18のドーピング濃度の2倍から10倍までの範囲内のドーピング濃度を有することがある。
【0030】
ガード・リング20は、5×1016cm-3と1×1021cm-3との間のドーピング濃度を有することがある。様々な実施例では、ガード・リング20のドーピング濃度は、5×1016cm-3と1×1021cm-3との間の任意の小範囲で用意されてもよい。例えば、ガード・リング20のドーピング濃度は、5×1018cm-3と1×1021cm-3との間、5×1019cm-3と1×1021cm-3との間、5×1020cm-3と1×1021cm-3との間、5×1016cm-3と1×1020cm-3との間、5×1016cm-3と1×1019cm-3との間、及び5×1016cm-3と1×1020cm-3との間であってもよい。
【0031】
上に論じたように、能動領域12は、1つ又は複数の半導体デバイスを含むことができる。図1Bの実例では、能動領域12は、少なくとも1つのMOSFETセル26、例えば、ドリフト領域18がSiCの1つ又は複数の層を含むSiC系のMOSFETを含む。MOSFETセル26は、基板16及びドリフト領域18を含む。いくつかの接合注入部28が、ドリフト領域18に、具体的には基板16とは反対のドリフト領域18の上面18Aに設けられる。接合注入部28は、ドリフト領域18のドーピング型と反対であるドーピング型を有する第1のウェル領域28A及びドリフト領域18と同じであるドーピング型を有する第2のウェル領域28Bを含む。接合注入部28は、JFET領域30によって互いに分離される。JFET領域30は、ドリフト領域18のドーピング型と同じドーピング型で、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高いドーピング濃度を有する。ソース・コンタクト32が、基板16とは反対のドリフト領域18の上面18Aの複数の接合注入部28のうちの各々1つの上方に設けられ、その結果、ソース・コンタクト32が第1のウェル領域28Aの一部及び第2のウェル領域28Bと接触する。他の半導体デバイスに関しては他の絶縁性材料を含んでもよいゲート酸化物層34は、JFET領域30及び複数の接合注入部28のうちの各々1つの一部の上方で基板16とは反対のドリフト領域18の上面18Aに設けられ、その結果、ゲート酸化物層34が複数の第2のウェル領域28Bのうちの各々1つと部分的に重なる。ゲート・コンタクト36が、ゲート酸化物層34上に設けられる。ドレイン・コンタクト38が、ドリフト領域18とは反対の基板16の表面に設けられる。MOSFETセル26は、能動領域12の全面にわたって並べられてもよい、又は望まれる機能を与えるために1つ又は複数の他の半導体デバイス(例えば、ダイオード)と望まれるパターンに並べられてもよい。
【0032】
図2Aは、図1Bの半導体デバイス10に類似する半導体デバイス40の部分断面図であり、エッジ終端領域14のより詳細な図を提供する。エッジ終端領域14は、複数のガード・リング20間のドリフト領域18の上面18Aに形成された表面電荷補償領域42を含むことができる。表面電荷補償領域42は、イオン注入によって形成されてもよく、ドリフト領域18のドーピング型とは反対であるドーピング型を有することがある。このように、表面電荷補償領域42は、ガード・リング20と同じドーピング型を有するがガード・リング20よりも低いドーピング濃度を有する。本実例では、ドリフト領域18はn型層であり、一方で表面電荷補償領域42及びガード・リング20は、p型ドーピングを有する。しかしながら、本開示の原理は、反対の極性構成を有するデバイスに同等に当てはまる。表面電荷補償領域42は、ガード・リング20の対応する厚さ以下であるドリフト領域18の上面18Aに関係する厚さを有することがある。表面電荷補償領域42は、第1のパッシベーション層24-1とドリフト領域18との間の界面の表面電荷に対するガード・リング20の感度を低下できる。
【0033】
図示したように、第1のパッシベーション層24-1は、ドリフト領域18の上面18A及びガード・リング20の上に形成されることがある。第1のパッシベーション層24-1は、酸化物層又は図1Bのゲート酸化物層34と同じ製造ステップで形成され、同じ材料を含む他の絶縁層を含むことができる。ある実施例では、第1のパッシベーション層24-1は、図1Bのゲート酸化物層34の厚さよりも厚い厚さを有することがある。例えば、第1のパッシベーション層24-1の厚さは、図1Bのゲート酸化物層34の厚さの2倍から100倍までであってもよい。MOSFET用途に関して、第1のパッシベーション層24-1は、二酸化シリコンを含んでもよい。他の実施例では、第1のパッシベーション層24-1は、図1Bのゲート酸化物層34とは異なる誘電体材料を含む。様々な用途では、第1のパッシベーション層24-1は、半導体デバイス40に関するフィールド酸化物と称されることがある。第2のパッシベーション層24-2が、第1のパッシベーション層24-1の上に設けられることがある。ある実施例では、第2のパッシベーション層24-2は、二酸化シリコン層と窒化シリコン層との組み合わせを含んでもよい1つ又は複数の誘電体層を含むことができ、誘電体層は、複数の金属インターコネクト配線を電気的に絶縁するための金属間誘電体として働き、さらにポリシリコン・ゲート及び配線を金属インターコネクト配線から電気的に絶縁するための層間誘電体としても働くことができる。半導体デバイス40では、能動領域12内の第2のパッシベーション層24-2の1つ又は複数の部分は、ゲート・インターコネクト36’及びソース・インターコネクト32’を少なくとも部分的に画定し、絶縁するように働く。図2Aのこの断面では、ソース・コンタクト(図1Bの32)は、ソース・インターコネクト32’が半導体デバイス40の異なる部分においてソース・コンタクト(図1Bの32)と電気的に接続するランナー又はバスとして構成されるので見えない。図示したように、第2のパッシベーション層24-2は、外側エッジ14Bへ向かう方向に第1のパッシベーション層24-1と重なることがあり、ドリフト領域18の上面18A及び表面空乏保護領域22と接触することがある。第3のパッシベーション層24-3が、第2のパッシベーション層24-2、ゲート・インターコネクト36’及びソース・インターコネクト32’の上方に設けられることがある。第3のパッシベーション層24-3は、二酸化シリコン層と窒化シリコン層との組み合わせを含むことができる1つ又は複数の誘電体層を含むことができ、誘電体層は、半導体デバイス40の下にある部分に対する拡散バリア及び/又は水分バリアを形成できる。第3のパッシベーション層24-3は、外側エッジ14Bへ向かう方向に第2のパッシベーション層24-2と重なることがあり、ドリフト領域18の上面18A及び表面空乏保護領域22と接触することがある。最後に、第4のパッシベーション層24-4が第3のパッシベーション層24-3の上に設けられることがある。ある実施例では、第4のパッシベーション層24-4は、化学的安定性、機械的安定性、及び高温安定性を有する材料、例えば、半導体デバイス40用の耐スクラッチ・コーティングを形成できるポリイミドを含むことができる。加えて、パッシベーション層24-1から24-4は、半導体デバイス40が個片化されるときのソー・ストリート又はスクライブ・ストリート用の余裕を与えるためにエッジ終端領域14の外側エッジ14Bまで完全には広がらなくてもよい。パッシベーション層24-1から24-4のうちの1つ又は複数の組み合わせは、半導体デバイス40に関するパッシベーション構造及び/又はダイ・シールと称されることがある。本実例では、ドリフト領域18がn型層であり、一方でガード・リング20がp型小領域であるとはいえ、逆の極性構成もまた本開示に対して適用可能である。
【0034】
半導体デバイス40が電気的に作動されると、ドリフト領域18の裏側(例えば、図1Bのドレイン・コンタクト38)からの電位は、エッジ終端領域14に沿って電界を集中させる傾向がある。半導体デバイス40がブロッキング・モードであるとき、ドリフト領域18によりサポートされる電圧は、外側エッジ14Bで高くなる傾向があり、ガード・リング20の各々で内側エッジ14Aへ向かう方向に低下する。この点に関して、関係する動作温度が高いほど、エッジ終端領域14には熱ストレスが導入されることがあり、パッシベーション層24-1から24-4のうちの1つ又は複数で構造的な破損を助長することがある。例えば、動作条件及び/又は品質認定試験中の熱衝撃及びパワー・サイクルが、複数のパッシベーション層24-1から24-4のうちの1つ又は複数の層剥離及び/又はクラッキングをもたらすことがあり、これにより破局的なデバイス故障を引き起こす。特に、層剥離及び/又はクラッキングは、似ていない材料特性及び/又は異なる材料特性を有するパッシベーション層24-1から24-4のうちの隣接するものがパワー・サイクル中に熱膨張及び熱収縮を受けるときに、より問題であり得る。似ていない材料特性は、とりわけ熱膨張係数(CTE)のミスマッチを含むことがある。実例として、層剥離及び/又はクラッキングは、第2のパッシベーション層24-2が二酸化シリコンを含み、第3のパッシベーションが窒化シリコンを含む配置では、第2のパッシベーション層24-2と第3のパッシベーション層24-3との間の界面で生じることがある。このような構造的な破損の可能性は、第2のパッシベーション層24-2と第3のパッシベーション層24-3との間の界面がエッジ終端領域14の大部分の至るところで実質的に平坦であるときにより高いことがある。これに関して、熱ストレスに関係する力は、第2及び第3のパッシベーション層24-2、24-3の連続する平坦部分の面内で、沿って働くことになる。このことは、半導体デバイス40が自動車ドライブトレーンなどの用途でより高い動作パワーを取り扱うために適した、大きなデバイス・サイズにスケーリングされるときに特に問題になることがある。
【0035】
図2Bは、図2Aの半導体デバイス40の上面説明図である。図2Bは、能動領域12に対するエッジ終端領域14の相対的な位置を一般的に図示するために提供される。能動領域12は、内側領域12’及び外側領域12”を含んでもよい。デバイス・コアと称されることがある内側領域12’は、図1Bに図示されたようなソース・コンタクト32及びゲート・コンタクト36を含むことができ、外側領域12”は、図2Aに図示されたようなゲート・インターコネクト36’及びソース・インターコネクト32’を含むことができる。エッジ終端領域14は、内側領域14’及び外側領域14”を含むことができる。外側領域14”には、図2Aのパッシベーション層24-1から24-4が存在せず、それによって先に説明したようにソー・ストリート又はスクライブ・ストリートの部分を形成する。
【0036】
図3は、図2Aの半導体デバイス40に類似しており、構造的な安定性の向上を提供するエッジ終端領域14内のパッシベーション層24-1から24-4の配置をさらに含む半導体デバイス44の部分断面図である。パッシベーション層24-1から24-4の任意の組み合わせが、半導体デバイス44に関するパッシベーション構造又はダイ・シールと称されることがある。図示したように、第1のパッシベーション層24-1とは反対の第2のパッシベーション層24-2の上面は、いくつかの突起24-2’及び第3のパッシベーション層24-3と非平面界面又はパターン形成界面を形成するために複数の突起24-2’のうちの隣接するもの間に形成されるいくつかの対応する凹部24-2”が形成される。第3のパッシベーション層24-3の部分は、第2のパッシベーション層24-2を覆うように凹部24-2”内及び突起24-2’の上方に形成される。このようにして、第2のパッシベーション層24-2と第3のパッシベーション層24-3との間の界面は、一連の隣接及び非平面のセグメントへと細分化され、パワー・サイクル中の熱膨張及び熱収縮に関係する力を分断することにより付着力を向上させるように働くことができ、これによりクラッキング及び層剥離を減少させる。突起24-2’及び凹部24-2”は、凹凸パターンで1つ又は複数の横方向に交互に繰り返してもよい。エッジ終端領域14が図2Bに図示したように能動領域12の外周部の周りに設けられてもよいので、突起24-2’及び凹部24-2”は、能動領域12をいずれか部分的に又は完全に囲む突起リング及び凹部・リングを具現化できる。図解の目的で、突起24-2’及び凹部24-2”は、四角の外形で表現される、しかしながら、突起24-2’及び凹部24-2”は、丸まった外形、湾曲した外形、及び/又は角度を付けた外形を有してもよく、直線で表された境界は、幾分かの不規則性を有してもよい。
【0037】
ある実施例では、パターニングされた層46は、対応するパターンで第2のパッシベーション層24-2の突起24-2’及び凹部24-2”の形成を助長するために第1のパッシベーション層24-1上に設けられる。特に、パターニングされた層46の不連続な部分は、複数のガード・リング20のうちの1つ又は複数と位置合わせされてもよい。第2のパッシベーション層24-2が第1のパッシベーション層及びパターニングされた層46の上に形成されるときに、第2のパッシベーション層24-2の部分は、突起24-2’を形成するようにパターニングされた層46の上方にコンフォーマルに形成できる。加えて、第2のパッシベーション層24-2の他の部分は、第1のパッシベーション層24-1上で、及び凹部24-2”を形成するためにパターニングされた層46の不連続な部分間に形成されたスペース内でコンフォーマルである。図示したように、パターニングされた層46は、第1のパッシベーション層24-1と接触しているパターニングされた層46の部分を除いて、第2のパッシベーション層24-2内に埋め込まれる又は部分的に埋め込まれることがある。このようにして、パターニングされた層46は、パッシベーション層24-1から24-4のうちの1つ又は複数により形成されるパッシベーション構造内に埋め込まれてもよい。第3のパッシベーション層24-3が、次いで凹部24-2”を埋め、突起24-2’を覆う方式で第2のパッシベーション層24-2上に形成されることがある。ある実施例では、パターニングされた層46の不連続な部分のうちの隣接するもの間の相対的な間隔が、エッジ終端領域14の内側エッジ14Aから外側エッジ14Bへの方向に大きくなることがある。このようにして、凹部24-2”の相対的な幅もまた、内側エッジ14Aから外側エッジ14Bへと大きくなることがあり、その結果、外側エッジ14Bに近い凹部24-2”は広く、内側エッジ14Aに近い凹部24-2”よりも多くの第3のパッシベーション層24-3で埋められる。このような構成は、クラッキング及び層剥離が生じやすいことがある外側エッジ14Bの近くの構造的な安定性の向上を提供できる。図示したように、凹部24-2’の幅に応じて、第3のパッシベーション層24-3は、能動領域12に最も近いパターニングされた層46の部分の上方に図示したように平坦な上面又は第4のパッシベーション層24-4との平坦な界面を形成できる。第3のパッシベーション層24-3はまた、外側エッジ14Bに最も近いパターニングされた層46の部分の上方に図示したように、下にある第2のパッシベーション層24-2にコンフォーマルである上面、又は第4のパッシベーション層24-4との界面も形成できる。例えば、外側エッジ14Bに最も近い凹部24-2”は、第4のパッシベーション層24-4の一部分がこの凹部24-2”にコンフォーマルである第3のパッシベーション層24-3部分内に延びる、又は下に向かって突出するために十分に広い。ある実施例では、第3のパッシベーション層24-3の上面の形状は、厚さの増加がより平坦な上面を一般に助長するはずであり、厚さの減少がよりコンフォーマルな上面を一般に助長するはずである第3のパッシベーション層24-3の総合的な厚さを調節することにより、さらに制御されてもよい。このようにして、突起24-2’のパターンは、パッシベーション構造の全体(例えば、図3のすべての4つのパッシベーション層24-1から24-4)を通しては伸びないことがある。むしろ突起24-2’のパターンは、パターニングされた層46の間隔のうちの1つ若しくは複数並びに/又は上に重なっているパッシベーション層24-3、24-4のうちの1つ若しくは複数の相対的な厚さに依存して、上に重なっているパッシベーション層(例えば、図3では24-3及び24-4の部分)によって最終的に全体にわたり平滑化されることがある。他の実施例では、パターニングされた層46の間隔及び/又は上に重なっているパッシベーション層24-3、24-4のうちの1つ若しくは複数の相対的な厚さは、突起24-2’のパターンがパッシベーション構造(24-1から24-4)の全体を通して形成されることを可能にするように配置されてもよい。その上さらなる実施例では、突起24-2’のパターンは、半導体デバイス44のある部分内だけ全体にわたり平滑化されてもよい。例えば、第3のパッシベーション層24-3は、内側エッジ14Aの近くの突起24-2’のパターンの部分の全体にわたって平坦化し、一方で第3のパッシベーション層24-3の他の部分は、図3では外側エッジ14Bの近くでコンフォーマルである。
【0038】
パターニングされた層46は、第1のパッシベーション層24-1及び第2のパッシベーション層24-2とは非反応性である任意の材料を含むことができる。ある実施例では、パターニングされた層46は、周囲のパッシベーション層24-1から24-3よりも熱ストレス下で機械的な安定性の向上を示す材料を含む。例えば、パターニングされた層46は、熱サイクル下で変形に耐えるために、パッシベーション層24-1から24-4のいずれよりも大きな弾性率を有することがある。このようにして、パターニングされた層46はまた、第2のパッシベーション層24-2の膨張及び収縮も減少させることができる。ある実施例では、パターニングされた層46は、n型又はp型にドープされてもよいポリシリコンを含むことができ、他の実施例では、パターニングされた層46は、低ドープ又はアンドープであるポリシリコンを含むことができる。ある実施例では、パターニングされた層46は、ゲート・コンタクト36と同じ材料(例えば、ポリシリコン)を含むことができ、これにより、ゲート・コンタクト36と同じ製造ステップでパターニングされた層46を形成するという利点を提供する。他の実施例では、パターニングされた層46は、他のパッシベーション材料又は誘電体材料などの他の材料、及び金属層を含むことができる。その上さらなる実施例では、パターニングされた層46は、上に説明した材料及びその組み合わせのうちのいずれかの多層を含め多層構造を具現化できる。
【0039】
パターニングされた層46は、実施例によっては導電性材料又は非導電性材料を含むことができる。パターニングされた層46が導電性材料、例えば、ドープしたポリシリコン層又は金属層を含むときに、パターニングされた層46の各々の不連続な部分は、図3に図示したように複数のガード・リング20のうちの1つと位置合わせされることがある。このようにして、パターニングされた層46の不連続な部分は、半導体デバイス44内の電界を安定化させるために対応するガード・リング20に容量結合されることがある。ある実施例では、パターニングされた層46の不連続な部分は、ドリフト領域18に平行な方向に測定したときに、対応するガード・リング20の幅と同じか狭い、いずれかの幅を有することができる。他の実施例では、パターニングされた層46の不連続な部分は、対応するガード・リング20の幅よりも広い幅を有することができる。その上さらなる実施例では、パターニングされた層46の不連続な部分の幅は、エッジ終端領域14の外側エッジ14Bと比較して他の場所では、小さくても、大きくても又は同じであってもよい。対応するガード・リング20の幅と比較してパターニングされた層46の不連続な部分の幅は、特定の用途では電界に対して調整されることがある。上に説明したように、ガード・リング20は、能動領域12の外周部の周りにリングとして形成されてもよい。ある実施例では、パターニングされた層46の不連続な部分は、また能動領域12の外周部の周りにも形成されるパターニングされた層46の対応するリングを形成する。
【0040】
図4は、図3の半導体デバイス44に類似する半導体デバイス48の部分断面図であるが、パターニングされた層46の個々の部分が複数のガード・リング20のうちの1つよりも多くと位置合わせされる。図4では、パターニングされた層46の不連続な部分は、2つの別個の隣接するガード・リング20の上方に広がるように配置される。さらなる実施例では、パターニングされた層46の不連続な部分は、本開示の原理から乖離せずに3つ以上の別個のガード・リング20の上方に広がるように配置されてもよい。図示したように、隣接するガード・リング20間の間隔は、エッジ終端領域14の内側エッジ14Aから外側エッジ14Bへ向かう方向に徐々に増加することがある。したがって、パターニングされた層46の個々の不連続な部分及び第2のパッシベーション層24-2の対応する凹部24-2”の幅もまた、外側エッジ14Bへ向かう方向に大きくなることがある。先に説明したように、パターニングされた層46は、導電性材料又は非導電性材料を含むことができる。導電性材料に関して、パターニングされた層46は、電界を調整するために多数のガード・リング20と位置合わせされてもよい。非導電性材料に関して、パターニングされた層46は、半導体デバイス48の電界への最小の影響でガード・リング20間にあるドリフト領域18の部分の至るところに設けられてもよい。ある実施例では、パターニングされた層46の部分は、特定の用途の電界要件に応じて、図4に関して説明したようなパターニングされた層46の他の部分と組み合わせて図3に関して説明したように設けられることがある。
【0041】
図5は、図3の半導体デバイス44に類似する半導体デバイス50の部分断面図であるが、少なくとも1つのガード・リング20が上に重なる配置でガード・リングと位置合わせされるパターニングされた層46の一部分を持たない。図示したように、パターニングされた層46の部分は、能動領域12の最も近くに配置されるガード・リング20と位置合わせされない。ある配置では、特にパターニングされた層46が導電性材料を含むときに、能動領域12の余りにも近くに配置されたパターニングされた層46の部分を有することは、ソース・インターコネクト32’の近くで絶縁の弱さ又は絶縁破壊を引き起こすことがある。これに関して、パターニングされた層46は、能動領域12の最も近くに配置される複数のガード・リング20のうちの1つ又は複数の上方には直接設けられないことがある。そのような配置では、ソース・インターコネクト32’に最も近い凹部24-2”は、複数の凹部24-2”のうちの他のものよりも広い幅であってもよく、一方で他の凹部24-2”の幅は、先に説明したように外側エッジ14Bに向かう方向に、その時には徐々に大きくなってもよい。能動領域12に近く、より広い幅の凹部24-2”を有することは、他の突起24-2’及び凹部24-2”との組み合わせでパッシベーション構造の機械的な強度をさらに高めるように働くことができる。他の実施例では、パターニングされた層46は、突起24-2’及び凹部24-2”の異なるパターンを提供する他のガード・リング20の上方に配置されないことがある。例えば、パターニングされた層46は、突起24-2’間により広い幅の凹部24-2”を設けるために1つ置きのガード・リング20の上方にだけ設けられてもよい。このような交互の配置はまた、半導体デバイス50にとっての異なる電界パターンを提供するために利用されてもよい。ある実施例では、半導体デバイス50のパターニングされた層46の部分もまた、特定の用途の電界要件に応じて、図4に関して上に説明したように設けられてもよい。
【0042】
図6は、図3の半導体デバイス44に類似する半導体デバイス52の部分断面図であるが、少なくとも1つのガード・リング20が第1のパッシベーション層24-1を貫通するパターニングされた層46の部分に電気的に接続される。図6では、能動領域12に最も近いパターニングされた層46の部分46’が、第1のパッシベーション層24-1に形成された開口部を貫通して下にあるガード・リング20に電気的に接続される。加えて、パターニングされた層46の部分46’は、下にあるガード・リング20に電気的に接続され、そうでなければパッシベーション層24-1、21-2により囲まれる、フィールド・プレート54を形成するようにパッシベーション層24-1の上方に延びる。他の実施例では、フィールド・プレート54は、対応するガード・リング20に直接電気的に接続されないことがあり、その結果、第1のパッシベーション層24-1がフィールド・プレート54とガード・リング20との間に完全に広がる。得られるフィールド・プレート54の寸法は、効率向上のためにエッジ終端領域14に沿った電界プロファイルを調整するように決定されてもよい。フィールド・プレート54が下にあるガード・リング20と位置合わせされるので、フィールド・プレート54は、能動領域12の周りに連続するフィールド・プレート・リング又はセグメント化されたフィールド・プレート・リングを形成できる。用途に応じて、パターニングされた層46の他の部分のうちの1つ又は複数もまた、対応する下にあるガード・リング20と位置合わせされるフィールド・プレート又はフィールド・プレート・リングを形成できる。さらなる実施例では、複数のフィールド・プレート54のうちの1つ又は複数は、複数のガード・リング20のうちの隣接するものの上方に延びてもよい。図6に図示したように、パターニングされた層46のどの部分も、図5に関して説明したように能動領域12に最も近いガード・リング20の上方には設けられない。他の実施例では、半導体デバイス52のパターニングされた層46の部分もまた、特定の用途の電界要件に応じて、図6と組み合わせて図3及び/又は図4に関して説明したように設けられてもよい。
【0043】
図7は、図3の半導体デバイス44に類似する半導体デバイス56の部分断面図であるが、パターニングされた層46の部分が縦にオフセットした方式で下にあるガード・リング20と位置合わせされる。図示したように、パターニングされた層46の各々の不連続な部分が、オフセットした方式で複数のガード・リング20のうちの対応する1つの上方に設置され、その結果、パターニングされた層46の各々の不連続な部分もまた、ガード・リング20に隣接する第1のパッシベーション層24-1の部分の上方に延びる。パターニングされた層46の相対的な位置及び寸法は、図6のフィールド・プレート54に関して説明したような類似の方式で効率向上のためにエッジ終端領域14に沿った電界プロファイルを調整するために決定されてもよい。パターニングされた層46のすべての部分がガード・リング20に対してオフセットした方式で図示されている一方で、他の実施例は、オフセットしたパターニングされた層46の単一の部分、又はオフセットしたパターニングされた層46のすべてではないが多数の部分を含むことができる。この点について、パターニングされた層46の部分は、特定の用途の電界要件に応じて、図3図4図5、及び図6のうちのいずれかに図示されたようなパターニングされた層46の配置のうちのいずれかと組み合わせて図7に図示したように設けられてもよい。
【0044】
先に説明した実施例のうちのいずれかのパターニングされた層46は、能動領域12の周りに1つ若しくは複数の連続するリング又は1つ若しくは複数のセグメント化されたリングを形成できる。図8Aは、パターニングされた層46が能動領域12の外周部の周りに1つ又は複数の連続するリングを形成する半導体デバイス58のある部分の上面図である。図8Bは、パターニングされた層46が能動領域12の外周部の周りに1つ又は複数のセグメント化されたリングを形成する半導体デバイス60のある部分の上面図である。図8A及び図8Bの両方では、ソース・インターコネクト32’の部分が、エッジ終端領域14の隣に認められる。図8A及び図8Bに与えられる図は、図2Bに図示されたようなエッジ終端領域14の外周エッジに沿った任意の場所で取られてもよい。例示のために、第2の、第3の、及び第4のパッシベーション層24-2から24-4は、パターニングされた層46の配置を示すために省略される。加えて、図8A及び図8Bが本開示の原理を表現するために4つのリングを図示しているが、パターニングされた層46は、用途に応じて、1つ若しくは複数、又は5以上、又は10以上、又は20以上、又は1から20までの範囲内、又は5から20までの範囲内、又は10から20までの範囲内を含め任意の数のリングを形成できる。
【0045】
図8Aに図示したように、パターニングされた層46は、互いに分離された一連のリングを形成し、各々のリングが、エッジ終端領域14内で連続する。先に説明したように、パターニングされた層46の各々のリングは、上に重なっているパッシベーション層内に対応する突起を形成でき、パターニングされた層46の各々のリング間のスペースは、熱ストレス下での機械的な安定性向上のために上に重なっているパッシベーション層に対応する凹部を形成できる。この点について、パターニングされた層46の各々のリングに対応する突起もまた、能動領域12の周りに連続するリング突起を形成できる。したがって、エッジ終端領域14は、内側エッジ14Aから外側エッジ14Bへ向かう方向に交互の突起及び凹部を設けられる。
【0046】
図8Bに図示したように、パターニングされた層46は、エッジ終端領域14を通り能動領域12の周りに延びる一連のリング・セグメントを形成する。図8Aに図示したような連続するリングを形成するよりはむしろ、パターニングされた層46は、エッジ終端領域14内で能動領域12の周りに不連続なリング又はセグメント化されたリングを形成する。このようにして、エッジ終端領域14は、少なくとも2つの方向に、例えば、内側エッジ14Aから外側エッジ14Bへ向かう第1の方向に、及び第1の方向に垂直な第2の方向に、交互の突起及び凹部を設けられる。図8Bにさらに図示したように、パターニングされた層46の各々のセグメント化されたリング内のリング・セグメントの相対的な位置は、熱ストレス下での機械的な安定性をさらに向上させるために、外側エッジ14Bへ向かう方向で隣接するセグメント化されたリング内の、リング・セグメント同士の相対的な位置を横方向にオフセットされる。
【0047】
図9は、図3の半導体デバイス44に類似する半導体デバイス62の部分断面図であるが、パターニングされた層46が第1のパッシベーション層24-1の外周部にリングを形成する。図9では、ゲート・コンタクト36及びゲート酸化物層34の一部分が能動領域12に見られる。エッジ終端領域14には、パターニングされた層46が、第1のパッシベーション層24-1の上面、及びエッジ終端領域14の外側エッジ14Bの最も近くに配置される、第1のパッシベーション層24-1の側壁に沿って設けられる。このようにして、パターニングされた層46は、第1のパッシベーション層24-1を通り越し、重なって延びてもよい。ある実施例では、パターニングされた層46の重なった部分は、ドリフト領域18及び/又は存在するとき、ドリフト領域18の表面電荷補償領域42と直接接触してもよい。他の実施例では、パターニングされた層46の重なった部分は、絶縁性層64によりドリフト領域18から分離されてもよい。絶縁性層64は、ゲート酸化物層34と同じ製造ステップで形成される同じ材料を含んでもよく、又は絶縁性層64は、ゲート酸化物層34とは異なる材料を含んでもよい。第1のパッシベーション層24-1に対して重なる方式でパターニングされた層46を設けることによって、第2のパッシベーション層24-2の対応する突起24-2’は、熱ストレスがこの場所ではより大きいことがある実施例に関して外側エッジ14Bのより近くに設けられることがある。ある実施例では、図9のパターニングされた層46は、特定の用途の電界要件に応じて、図3図4図5図6、及び図7のうちのいずれかに図示されたようなパターニングされた層46の配置のうちのいずれかと組み合わせて設けられてもよい。加えて、図9に図示されたようなパターニングされた層46は、図8A及び図8Bに図示されたような連続するリング又は不連続なリングを形成できる。
【0048】
本開示がMOSFETを含む例示的な実施例を提供する一方で、本開示の原理はまた、他の半導体デバイス、例えば、とりわけ、ダイオード、ショットキー・ダイオード、JBSダイオード、PiNダイオード、及びIGBTのエッジ終端構造にも適用可能である。本開示の半導体デバイスは、ワイド・バンドギャップ半導体デバイス、例えばSiC系のデバイスを具現化できる。
【0049】
前述の態様のうちのいずれか、並びに/又は本明細書において説明したような様々な別々の態様及び特徴が、追加の利点のために組み合わせられてもよいことが考えられる。本明細書において開示したような様々な実施例のうちのいずれかは、本明細書において逆に指示されない限り1つ又は複数の他の開示した実施例と組み合わせられてもよい。
【0050】
当業者は、本開示の好ましい実施例への改善及び修正を認識するであろう。すべてのそのような改善及び修正は、本明細書において開示した概念及び後記の特許請求の範囲の範囲内であると考えられる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリフト領域と、
前記ドリフト領域の一部分を含む能動領域と、
前記ドリフト領域内で、前記能動領域の外周部に沿って配置されたエッジ終端領域と、
前記エッジ終端領域上のパッシベーション構造と、
前記パッシベーション構造内に形成されているパターニングされた層と
を備える、半導体デバイス。
【請求項2】
前記パターニングされた層が、前記パッシベーション構造内に埋め込まれている、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記パッシベーション構造が、前記ドリフト領域上の第1のパッシベーション層、及び前記第1のパッシベーション層上にある第2のパッシベーション層を含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記パターニングされた層が、前記第1のパッシベーション層と前記第2のパッシベーション層との間に配置されている、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第2のパッシベーション層が、前記パターニングされた層の少なくとも一部分と位置合わせされている少なくとも1つの突起を形成している、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記パッシベーション構造が、前記第2のパッシベーション層上にある第3のパッシベーション層をさらに備え、前記第2のパッシベーション層の前記少なくとも1つの突起が、前記第3のパッシベーション層内に延びている、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記エッジ終端領域が、前記ドリフト領域内に複数のガード・リングをさらに備え、
前記パターニングされた層の前記少なくとも1つの部分が、前記複数のガード・リングの個々のガード・リングと位置合わせされている、
請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記パターニングされた層の前記少なくとも1つの部分が、前記パッシベーション構造内にフィールド・プレートを形成している、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記パターニングされた層が、前記能動領域の外周部の周りに少なくとも1つの連続するリングを形成している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記パターニングされた層が、前記能動領域の外周部の周りに少なくとも1つのセグメント化されたリングを形成している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【国際調査報告】