(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】粘着フィルム、これを含む光学部材及びこれを含む光学表示装置
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20231109BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20231109BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20231109BHJP
C08F 2/02 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J4/02
C09J11/06
C08F2/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527447
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 KR2021016105
(87)【国際公開番号】W WO2022098183
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0148638
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シン,ドン ミョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジェ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,イル ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク,キョン ゴン
【テーマコード(参考)】
4J004
4J011
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA01
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004DB03
4J004EA05
4J004FA08
4J011FA07
4J011FB01
4J011PA47
4J011QA03
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4J011SA02
4J011SA16
4J011SA20
4J011UA01
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4J011WA07
4J040FA131
4J040HD35
4J040JA09
4J040JB08
4J040JB09
4J040KA13
4J040LA02
4J040NA17
4J040PA32
(57)【要約】
ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体及び水酸基を有する(メタ)アクリレートを含む単量体混合物、及びエポキシ系シランカップリング剤を含む組成物で形成される粘着フィルムであって、前記粘着フィルムは、式1のせん断変形率の変化率が約10%以下である、粘着フィルム、これを含む光学部材及びこれを含む光学表示装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体及び水酸基を有する(メタ)アクリレートを含む単量体混合物、及びエポキシ系シランカップリング剤を含む組成物で形成される粘着フィルムであって、
前記粘着フィルムは、下記式1のせん断変形率の変化率が約10%以下である、粘着フィルム。
【数1】
(前記式1において、Aは、粘着フィルムの初期せん断変形率(単位:%)で、
Bは、粘着フィルム及び粘着フィルムの両面に離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された粘着シートを60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置し、25℃で2時間放置した後の前記粘着シートから得た粘着フィルムのせん断変形率値(単位:%)である。)
【請求項2】
前記式1において、Aは約10%以上で、Bは約10%以上である、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項3】
前記粘着フィルムは、-20℃での初期モジュラスが約0.3MPa以下である、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項4】
前記粘着フィルムは、60℃での初期モジュラスが約0.05MPa以下である、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項5】
前記粘着フィルムは、下記式2の剥離強度の変化率が約20%以下である、請求項1に記載の粘着フィルム。
【数2】
(前記式2において、Cは、ガラス板、粘着フィルム、及びコロナ処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムが順次積層された試験片における前記粘着フィルムの前記ガラス板に対する初期剥離強度(単位:gf/25mm)で、
Dは、前記試験片を60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置し、25℃で2時間放置した後の前記粘着フィルムの前記ガラス板に対する剥離強度(単位:gf/25mm)である。)
【請求項6】
前記式2において、Dは約400gf/25mm以上である、請求項5に記載の粘着フィルム。
【請求項7】
前記粘着フィルムは、60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置した後の-20℃でのモジュラスが約0.3MPa以下である、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項8】
粘着フィルムは、下記式3のモジュラスの変化率が約10%以下である、請求項1に記載の粘着フィルム。
【数3】
(前記式3において、Eは、粘着フィルムの60℃での初期モジュラス(単位:MPa)で、
Fは、粘着フィルム及び粘着フィルムの両面に離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された粘着シートを60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置し、25℃で2時間放置した後の前記粘着フィルムの60℃でのモジュラス(単位:MPa)である。)
【請求項9】
前記エポキシ系シランカップリング剤は、前記単量体混合物100重量部に対して約0.2重量部乃至約5重量部で含まれる、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項10】
前記エポキシ系シランカップリング剤は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランのうち1種以上を含む、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項11】
前記ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、分岐鎖を有する、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項12】
前記ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基がないアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基があるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの混合物を含む、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項13】
前記アルキレングリコール基がないアルキル基及び前記アルキレングリコール基があるアルキル基は、それぞれ分岐鎖を有する、請求項12に記載の粘着フィルム。
【請求項14】
前記非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基がないアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、前記単量体混合物のうち約50重量%乃至約80重量%で含まれる、請求項12に記載の粘着フィルム。
【請求項15】
前記非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基があるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、前記単量体混合物のうち約10重量%乃至約40重量%で含まれる、請求項12に記載の粘着フィルム。
【請求項16】
前記単量体混合物のうち、
前記ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、前記単量体混合物のうち約50重量%乃至約99重量%で含まれ、前記水酸基を有する(メタ)アクリレートは約1重量%乃至約50重量%で含まれる、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項17】
前記粘着フィルムは、有機ナノ粒子をさらに含む、請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項18】
前記有機ナノ粒子は、前記単量体混合物100重量部に対して約0.1重量部乃至約20重量部で含まれる、請求項17に記載の粘着フィルム。
【請求項19】
前記有機ナノ粒子は、下記式4を満足するコア-シェル型ナノ粒子を含む、請求項17に記載の粘着フィルム。
【数4】
(前記式4において、Tg(c)は、コアのガラス転移温度(単位:℃)で、
Tg(s)は、シェルのガラス転移温度(単位:℃)である。)
【請求項20】
光学フィルム、及び前記光学フィルムの少なくとも一面に形成された粘着フィルムを含み、前記粘着フィルムは、請求項1乃至請求項19のいずれか1項の粘着フィルムを含む、光学部材。
【請求項21】
請求項20の光学部材を含む、光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着フィルム、これを含む光学部材及びこれを含む光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学表示装置には、粘着フィルムによって複数個の光学素子が積層されている。既存の粘着フィルムは、離型フィルムの一面に粘着フィルム用組成物をコーティングして硬化させた後、光学素子の大きさによって打ち抜いて製造される。
【0003】
近年、フォルダブル性能を有する光学表示装置に対する開発が進められながら、フォルダブル性能を有する粘着フィルムに対しても開発が進められている。フォルダブル性能を有する粘着フィルムは、既存の粘着フィルムに比べてレオロジー物性において大きな差を示している。
【0004】
一方、粘着フィルムの耐久性と関連して、防水性を有する粘着フィルムが要求されている。すなわち、粘着フィルム又は粘着フィルムが付加された光学表示装置を水に浸水させたときにも、粘着フィルムが高い剥離力を有し、浸水前に比べてレオロジー物性の変化がなく、フォールディング性能が確実に具現され得る粘着フィルムに対する必要性も大きくなっている。よって、既存のフォールディング性能と共に、優れた防水性を有し、高温高湿で長期間放置した後にも剥離強度の変化率が低く、優れたフォールディング性能を有し得る粘着フィルムを開発する必要がある。
【0005】
本発明の背景技術は、韓国公開特許第2017-0070370号などに開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、低温でのフォールディング性及び高温でのフォールディング性に優れた粘着フィルムを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、高温高湿で長期間放置した後にも、低温での優れたフォールディング性及び高温での優れたフォールディング性を具現し、屈曲信頼性に優れた粘着フィルムを提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、高温高湿で長期間放置した後にも、高温高湿で長期間放置する前に比べて剥離強度、レオロジー物性及び耐久性の変化が少なく、防水性が要求されるフォルダブルディスプレイ装置に適した粘着フィルムを提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、優れた防水性を有し、防水性が要求されるフォルダブルディスプレイ装置に適した粘着フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点は粘着フィルムである。
【0011】
1.粘着フィルムは、ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体及び水酸基を有する(メタ)アクリレートを含む単量体混合物、及びエポキシ系シランカップリング剤を含む組成物で形成され、前記粘着フィルムは、下記式1のせん断変形率(shear strain) の変化率が約10%以下である。
【0012】
【0013】
(前記式1において、Aは、粘着フィルムの初期せん断変形率値(単位:%)で、
Bは、粘着フィルム及び粘着フィルムの両面に離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された粘着シートを60℃及び95%の相対湿度で10日間放置し、25℃で2時間放置した後の前記粘着シートから得た粘着フィルムのせん断変形率値(単位:%)である。)
【0014】
2.1において、前記式1において、Aは約10%以上で、Bは約10%以上であってもよい。
【0015】
3.1-2において、前記粘着フィルムは、-20℃での初期モジュラスが約0.3MPa以下であってもよい。
【0016】
4.1-3において、前記粘着フィルムは、60℃での初期モジュラスが約0.05MPa以下であってもよい。
【0017】
5.1-4において、前記粘着フィルムは、下記式2の剥離強度の変化率が約20%以下であってもよい。
【0018】
【0019】
(前記式2において、Cは、ガラス板、粘着フィルム、及びコロナ処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムが順次積層された試験片における前記粘着フィルムの前記ガラス板に対する初期剥離強度(単位:gf/25mm)で、
Dは、前記試験片を60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置し、25℃で2時間放置した後の前記粘着フィルムの前記ガラス板に対する剥離強度(単位:gf/25mm)である。)
【0020】
6.5において、前記式2において、Dは、約400gf/25mm以上であってもよい。
【0021】
7.1-6において、前記粘着フィルムは、60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置した後の-20℃でのモジュラスが約0.3MPa以下であってもよい。
【0022】
8.1-7において、前記粘着フィルムは、下記式3のモジュラスの変化率が約10%以下であってもよい。
【0023】
【0024】
(前記式3において、Eは、粘着フィルムの60℃での初期モジュラス(単位:MPa)で、
Fは、粘着フィルム及び粘着フィルムの両面に離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された粘着シートを60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置し、25℃で2時間放置した後の前記粘着フィルムの60℃でのモジュラス(単位:MPa)である。)
【0025】
9.1-8において、前記エポキシ系シランカップリング剤は、前記単量体混合物100重量部に対して約0.2重量部乃至約5重量部で含まれてもよい。
【0026】
10.1-9において、前記エポキシ系シランカップリング剤は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランのうち1種以上を含むことができる。
【0027】
11.1-10において、前記ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、分岐鎖を有することができる。
【0028】
12.1-11において、前記ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基がないアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基があるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの混合物を含むことができる。
【0029】
13.12において、前記アルキレングリコール基がないアルキル基及び前記アルキレングリコール基があるアルキル基は、それぞれ分岐鎖を有することができる。
【0030】
14.12-13において、前記非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基がないアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、前記単量体混合物のうち約50重量%乃至約80重量%で含まれてもよい。
【0031】
15.12-14において、前記非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基があるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、前記単量体混合物のうち約10重量%乃至約40重量%で含まれてもよい。
【0032】
16.1-15において、前記単量体混合物のうち、前記ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、前記単量体混合物のうち約50重量%乃至約99重量%で含まれ、前記水酸基を有する(メタ)アクリレートは、約1重量%乃至約50重量%で含まれてもよい。
【0033】
17.1-16において、前記粘着フィルムは、有機ナノ粒子をさらに含むことができる。
【0034】
18.17において、前記有機ナノ粒子は、前記単量体混合物100重量部に対して約0.1重量部乃至約20重量部で含まれてもよい。
【0035】
19.17-18において、前記有機ナノ粒子は、下記式4を満足するコア-シェル型ナノ粒子を含むことができる。
【0036】
【0037】
(前記式4において、Tg(c)は、コアのガラス転移温度(単位:℃)で、
Tg(s)は、シェルのガラス転移温度(単位:℃)である。)
【0038】
本発明の光学部材は、光学フィルム及び前記光学フィルムの少なくとも一面に形成された本発明の粘着フィルムを含む。
【0039】
本発明の光学表示装置は、本発明の粘着フィルムを含む。
【発明の効果】
【0040】
本発明は、低温でのフォールディング性及び高温でのフォールディング性に優れた粘着フィルムを提供することができる。
【0041】
本発明は、高温高湿で長期間放置した後にも、低温での優れたフォールディング性及び高温での優れたフォールディング性を具現し、屈曲信頼性に優れた粘着フィルムを提供することができる。
【0042】
本発明は、高温高湿で長期間放置した後にも、高温高湿で長期間放置した前に比べて剥離強度、レオロジー物性及び耐久性の変化が少なく、防水性が要求されるフォルダブルディスプレイ装置に適した粘着フィルムを提供することができる。
【0043】
本発明は、優れた防水性を有し、防水性が要求されるフォルダブルディスプレイ装置に適した粘着フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明におけるせん断変形率の測定の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
[発明を実施するための最善の形態]
添付の実施例によって、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0046】
本明細書において、「アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを意味し得る。
【0047】
本明細書において、「共重合体」は、オリゴマー、ポリマー又は樹脂を含むことができる。
【0048】
本明細書において、有機ナノ粒子の「平均粒径」は、Malvern社のゼータサイザーナノ(Zetasizer nano)-ZS装備を用いて水系又は有機系溶媒で測定し、Z-平均(average)値で表現される有機ナノ粒子の粒径、及びSEM/TEM観察時に確認される粒径である。
【0049】
本明細書において、「モジュラス」は、貯蔵モジュラス(G’)である。
【0050】
本明細書において、「せん断変形率」は、60℃で測定した値であって、一定のせん断方向の力が加えられたときの変形程度を意味する。
図1を参照すると、一定の力で時間によって実験例での条件で粘着フィルムに加えられるひずみ(strain)を測定したとき、600秒でのひずみ値がせん断変形率に該当する。
【0051】
本明細書において、「ホモポリマーのガラス転移温度」は、測定対象単量体のホモポリマーに対してTA Instrument社のDSCディスカバリー(Discovery)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)を意味し得る。具体的には、測定対象単量体のホモポリマーに対して20℃/分の速度で180℃まで温度を上げた後、徐々に冷やしながら-100℃まで冷却させた後、10℃/分の速度で100℃まで昇温したときの吸熱転移曲線をデータとして得た後、前記吸熱転移曲線の変曲点をガラス転移温度として決定することができる。
【0052】
本明細書において、数値範囲の記載時、「X乃至Y」は、X以上Y以下(X≦そして≦Y)を意味する。
【0053】
本発明の粘着フィルムは、低温でのフォールディング性及び高温でのフォールディング性に優れ、高温高湿で長期間放置した後にも、低温での優れたフォールディング性及び高温での優れたフォールディング性を示し、屈曲信頼性が優秀になり得る。本発明の粘着フィルムは、高温高湿で長期間放置した後にも、高温高湿で長期間放置する前に比べて剥離強度、レオロジー物性及び耐久性の変化が少なく、防水性が要求されるフォルダブルディスプレイ装置に適した粘着フィルムを提供した。そこで、本発明の粘着フィルムは、優れた防水性を有し、防水性が要求されるフォルダブルディスプレイ装置に適切に使用され得る。
【0054】
以下、本発明の一実施例に係る粘着フィルムを説明する。
【0055】
本実施例に係る粘着フィルム(以下、「粘着フィルム」)は、ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体及び水酸基を有する(メタ)アクリレートを含む単量体混合物、及びエポキシ系シランカップリング剤を含む組成物で形成され、前記粘着フィルムは、下記式1のせん断変形率の変化率が約10%以下である。
【0056】
【0057】
(前記式1において、Aは、粘着フィルムの初期せん断変形率(単位:%)で、
Bは、粘着フィルム及び粘着フィルムの両面に離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された粘着シートを60℃及び95%の相対湿度で10日間放置し、25℃で2時間放置した後の前記粘着シートから得た粘着フィルムのせん断変形率値(単位:%)である。)
【0058】
一具体例において、粘着フィルムは、前記式1のせん断変形率の変化率が、例えば、約0%、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、具体的には0%乃至10%になってもよく、さらに具体的には0%乃至5%、さらに例を挙げると、0.1%乃至4%であってもよい。
【0059】
一具体例において、前記式1のせん断変形率A及びBは、それぞれ約10%以上、例えば、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、具体的には10%乃至30%、さらに具体的には18%乃至25%になってもよい。前記範囲では、フォールディング信頼性が確保されるという効果があり得る。
【0060】
前記離型ポリエチレンテレフタレートフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムのうち粘着フィルムと接する面に離型処理(例:シリコン処理又はフッ素処理)されたフィルムであって、厚さが30μm乃至100μmのフィルムになってもよい。
【0061】
粘着フィルムを形成する組成物には、ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体、及び水酸基を有する(メタ)アクリレートを含む単量体混合物が含まれている。その結果、粘着フィルムは、初期剥離強度が高く、低温でのフォールディング性が優秀になり得る。
【0062】
一具体例において、粘着フィルムは、ガラス板に対する初期剥離強度が約400gf/25mm以上、例えば、400gf/25mm、450gf/25mm、500gf/25mm、550gf/25mm、600gf/25mm、650gf/25mm、700gf/25mm、750gf/25mm、800gf/25mm、850gf/25mm、900gf/25mm、950gf/25mm、1000gf/25mm、具体的には400gf/25mm乃至1000gf/25mmになってもよい。前記範囲では、粘着フィルムは、被着体に対する剥離強度に優れ、フォールディング過程でも粘着フィルムが被着体から剥離されないので、優れたフォールディング性を具現することができる。
【0063】
前記「初期剥離強度」は、粘着フィルムの剥離強度測定用試験片を60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置する前に測定された剥離強度を意味する。
【0064】
ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、粘着フィルムの低温での初期モジュラスを低下させ、粘着フィルムが低温でのフォールディング性を有することができる。一具体例において、粘着フィルムは、-20℃での初期モジュラスが約0.3MPa以下、例えば、0.01MPa、0.05MPa、0.1MPa、0.15MPa、0.2MPa、0.25MPa、0.3MPa、具体的には、0.01MPa乃至0.3MPa、0.05MPa乃至0.15MPaになってもよい。前記範囲では、粘着フィルムの低温で粘弾性を確保できるようにし、その結果、低温での優れたフォールディング性を有することができる。
【0065】
ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、粘着フィルムの高温での初期モジュラスを低下させ、粘着フィルムが高温でのフォールディング性を有するように助けることができる。一具体例において、粘着フィルムは、60℃での初期モジュラスが約0.05MPa以下、例えば、0.01MPa、0.02MPa、0.03MPa、0.04MPa、0.05MPa、具体的には、0.01MPa乃至0.05MPa、0.02MPa乃至0.03MPaになってもよい。前記範囲では、粘着フィルムの高温での粘弾性を確保できるようにし、その結果、高温での優れたフォールディング性及び復元性を有するように助けることができる。
【0066】
ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、粘着フィルムの初期せん断変形率を約10%以上、例えば、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、例えば、10%乃至30%、18%乃至25%にすることができる。前記範囲では、低温フォールディング信頼性が確保され得る。
【0067】
ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、(メタ)アクリル酸エステルのうちエステル部位に分岐鎖型アルキル基、分岐鎖型アルキレン基、分岐鎖型アルキレンオキシ基、又はこれらを含有する官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。分岐鎖型アルキル基、分岐鎖型アルキレン基又は分岐鎖型アルキレンオキシ基は、粘着フィルムの低温でのモジュラスをさらに低下させ、低温でもフォールディング性をさらに良好にすることができる。
【0068】
分岐鎖型アルキル基は、炭素数3乃至20の分岐鎖型アルキル基であって、例えば、エチルヘキシル基、イソオクチル基又はイソデシル基などになってもよい。分岐鎖型アルキレン基は、炭素数3乃至20の分岐鎖型アルキレン基であって、エチルヘキシレン基、イソオクチレン基又はイソデシレン基などになってもよい。分岐鎖型アルキレンオキシ基は、炭素数3乃至20の分岐鎖型アルキレンオキシ基であってもよい。
【0069】
ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、好ましくは、ホモポリマーのガラス転移温度が、例えば、-100℃、-95℃、-90℃、-85℃、-80℃、-75℃、-70℃、-65℃、-60℃、-55℃、-50℃、例えば、-100℃乃至-50℃、さらに好ましくは-80℃乃至-50℃になってもよい。前記範囲では、低温でのモジュラスを低下させるという効果があり得る。
【0070】
ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、前記単量体混合物のうち1種以上、すなわち、1種又は2種以上で含まれてもよい。ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、前記単量体混合物のうち約50重量%乃至約99重量%、例えば、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、具体的には60重量%乃至90重量%、さらに具体的には70重量%乃至85重量%で含まれてもよい。前記範囲では、低温でのモジュラスを低下させ、低温でのフォールディング性に優れるという効果があり得る。
【0071】
一具体例において、ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体は、非置換の炭素数3乃至20、好ましくは、炭素数3乃至10としてアルキレングリコール基がないアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び非置換の炭素数3乃至20、好ましくは、炭素数10乃至20としてアルキレングリコール基があるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの混合物を含むことができる。これを通じて、本発明の効果を容易に具現することができ、高温高湿で長期間放置した後にも、フォールディング性及び剥離強度を維持することを助けることができる。
【0072】
非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基がないアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチルアクリレート、及びイソデシルアクリレートのうち1種以上を含むことができる。前記アルキレングリコール基がないアルキル基は、分岐鎖を有することができる。
【0073】
非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基があるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、複数個のアルキレングリコール単位を有する多官能の(メタ)アクリレートを含むことができる。前記アルキレングリコール単位は、同種又は異種で含まれてもよい。前記アルキレングリコール単位は、炭素数1乃至5のアルキレングリコール単位、例えば、エチレングリコール、及びプロピレングリコールを含むことができる。前記アルキレングリコール基があるアルキル基は、分岐鎖を有することができる。
【0074】
非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基がないアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、前記単量体混合物のうち約50重量%乃至約80重量%、例えば、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、具体的には50重量%乃至70重量%で含まれてもよい。前記範囲では、剥離強度が高く、低温での優れたフォールディング性及び高温での優れたフォールディング性を確保することができる。
【0075】
非置換の炭素数3乃至20としてアルキレングリコール基があるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、前記単量体混合物のうち約10重量%乃至約40重量%、例えば、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、具体的には15重量%乃至30重量%で含まれてもよい。前記範囲では、剥離強度が高く、低温での優れたフォールディング性及び高温での優れたフォールディング性を確保することができる。
【0076】
水酸基を有する(メタ)アクリレートは、粘着フィルムの剥離強度を提供することができる。水酸基を有する(メタ)アクリレートは、1個以上の水酸基を含有する炭素数1乃至10のアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含むことができる。例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートのうち1種以上を含み得るが、これに制限されない。
【0077】
水酸基を有する(メタ)アクリレートは、前記単量体混合物のうち1種以上、すなわち、1種又は2種以上で含まれてもよい。水酸基を有する(メタ)アクリレートは、前記単量体混合物のうち約1重量%乃至約50重量%、例えば、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、具体的には10重量%乃至40重量%、さらに具体的には15重量%乃至30重量%で含まれてもよい。前記範囲では、粘着フィルムの剥離強度及び耐久信頼性がさらに向上し得る。
【0078】
前記単量体混合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体、及び水酸基を有する(メタ)アクリレート以外に、共重合性単量体をさらに含むことができる。共重合性単量体は、単量体混合物にさらに含まれ、粘着フィルムに追加的な効果を提供することができる。共重合性単量体は、上述した単量体とは異なる単量体であって、アミン基を有する単量体、アルコキシ基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、フェニル基を有する単量体、シラン基を有する単量体、カルボン酸基を有する単量体、及びアミド基含有単量体のうち1種以上を含むことができる。
【0079】
アミン基を有する単量体は、モノメチルアミノエチルアクリレート、モノエチルアミノエチルアクリレート、モノメチルアミノプロピルアクリレート、モノエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、N-tert-ブチルアミノエチルアクリレート、アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドアクリレートなどのアミン基含有アクリル系単量体になってもよいが、これに制限されることはない。
【0080】
アルコキシ基を有する単量体は、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシプロピルアクリレート、2-エトキシプロピルアクリレート、2-ブトキシプロピルアクリレート、2-メトキシペンチルアクリレート、2-エトキシペンチルアクリレート、2-ブトキシヘキシルアクリレート、3-メトキシペンチルアクリレート、3-エトキシペンチルアクリレート、及び3-ブトキシヘキシルアクリレートになってもよく、これに制限されることはない。
【0081】
リン酸基を有する単量体は、2-メタクリロイルオキシエチルジフェニルホスフェートアクリレート、トリメタクリロイルオキシエチルホスフェートアクリレート、トリアクリロイルオキシエチルホスフェートアクリレートなどのリン酸基を有するアクリル系単量体になってもよいが、これに制限されることはない。
【0082】
スルホン酸基を有する単量体は、スルホプロピルアクリレートナトリウム、2-スルホエチルアクリレートナトリウム、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基を有するアクリル系単量体になってもよいが、これに制限されることはない。
【0083】
フェニル基を有する単量体としては、p-tert-ブチルフェニルアクリレート、o-ビフェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどのフェニル基を有するアクリル系ビニル単量体が可能であるが、これに制限されることはない。
【0084】
シラン基を有する単量体は、2-アセトアセトキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエチル)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどのシラン基を有するビニル単量体になってもよいが、これに制限されることはない。
【0085】
カルボン酸基を有する単量体は、アクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、3-カルボキシプロピルアクリレート、4-カルボキシブチルアクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸及び無水マレイン酸などになってもよいが、これに制限されることはない。
【0086】
アミド基含有単量体は、アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N,N-メチレンビスアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミドなどになってもよいが、これに制限されることはない。
【0087】
共重合性単量体は、前記単量体混合物のうち30重量%以下、好ましくは、0重量%乃至30重量%で含まれてもよい。前記範囲では、被着剤との粘着力及び光学的物性が調節され得る。
【0088】
エポキシ系シランカップリング剤は、粘着フィルムを高温高湿で長期間放置した後のせん断変形率値を初期せん断変形率に比べて大きな変化のない類似する値にすることによって、粘着フィルムを高温高湿で長期間放置する前と長期間放置した後の前記式1のせん断変形率の変化率を10%以下にすることができる。
【0089】
その結果、粘着フィルムは、粘着フィルムを高温高湿で長期間放置した後にも、低温でのフォールディング性及び高温でのフォールディング性を維持することができ、高温高湿で長期間放置した後にも剥離強度の変化率を低下させることによって、粘着フィルムが優れた防水性を示すことができる。
【0090】
一具体例において、粘着フィルムは、前記式1のせん断変形率の変化率が約10%以下になってもよい。本発明者は、上述する単量体混合物にエポキシ系シランカップリング剤を含ませることによって、上述した本発明の効果があることを確認した。エポキシ系シランカップリング剤以外に、アミノ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、(メタ)アクリル系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、及びイソシアネート系シランカップリング剤を使用したとき、本発明の上述した効果が得られないことを確認した。
【0091】
一具体例において、粘着フィルムは、下記式2の剥離強度の変化率が約50%以下、例えば、0%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、例えば、0.1%乃至20%、0.5%乃至10%、さらに例を挙げると、1%乃至5%になってもよい。前記範囲では、粘着フィルムの高温高湿下での長期間放置による剥離強度の変化率が低いので、高温高湿で放置した後にもフォールディング性を容易に維持することができる。
【0092】
【0093】
(前記式2において、Cは、ガラス板、粘着フィルム、及びコロナ処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムが順次積層された試験片における前記粘着フィルムの前記ガラス板に対する初期剥離強度(単位:gf/25mm)で、
Dは、前記試験片を60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置し、25℃で2時間放置した後の前記粘着フィルムの前記ガラス板に対する剥離強度(単位:gf/25mm)である。)
【0094】
前記式2において、Dは、約400gf/25mm以上、例えば、400gf/25mm、450gf/25mm、500gf/25mm、550gf/25mm、600gf/25mm、650gf/25mm、700gf/25mm、750gf/25mm、800gf/25mm、例えば、400gf/25mm乃至800gf/25mmになってもよい。前記範囲では、前記式2の剥離強度の変化率に容易に到達し得る。
【0095】
一具体例において、粘着フィルムは、60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置した後の-20℃でのモジュラスが約0.3MPa以下、例えば、0.01MPa、0.05MPa、0.1MPa、0.15MPa、0.2MPa、0.25MPa、0.3MPa、例えば、0.01MPa乃至0.3MPa、0.05MPa乃至0.15MPaになってもよい。前記範囲では、粘着フィルムが高温高湿で放置した後にも-20℃での初期モジュラスに比べて変化が少ないので、粘着フィルムの低温での粘弾性を確保できるようにし、その結果、低温での優れたフォールディング性を有することができる。
【0096】
一具体例において、粘着フィルムは、60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置した後の60℃でのモジュラスが約0.04MPa以下、例えば、0.01MPa、0.015MPa、0.02MPa、0.025MPa、0.03MPa、0.035MPa、0.04MPa、例えば、0.01MPa乃至0.035MPaになってもよい。前記範囲では、粘着フィルムが高温高湿で放置した後にも、-60℃での初期モジュラスに比べて変化が少ないので、粘着フィルムの高温での粘弾性を確保できるようにし、その結果、高温での優れたフォールディング性を有するように助けることができる。
【0097】
一具体例において、粘着フィルムは、下記式3のモジュラスの変化率が約10%以下、例えば、0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、例えば、0%乃至10%になってもよい。前記範囲では、粘着フィルムの高温高湿下での長期間放置による高温モジュラスの変化率が低いので、低温から高温まで折り畳みを繰り返しても、フォールディング特性が良好であるという効果がある。
【0098】
【0099】
(前記式3において、Eは、粘着フィルムの60℃での初期モジュラス(単位:MPa)で、
Fは、粘着フィルム及び粘着フィルムの両面に離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された粘着シートを60℃及び95%の相対湿度内で10日間放置し、25℃で2時間放置した後の前記粘着フィルムの60℃でのモジュラス(単位:MPa)である。)
【0100】
前記離型ポリエチレンテレフタレートフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムのうち粘着フィルムと接する面に離型処理(例:シリコン処理又はフッ素処理)されたフィルムとして、厚さが30μm乃至100μmのフィルムになってもよい。
【0101】
前記「エポキシ系シランカップリング剤」は、アルコキシシランモノマー又はアルコキシシランオリゴマーとして1種以上のエポキシ基を有するシランカップリング剤を意味する。前記「エポキシ基」は、3,4-エポキシシクロヘキシル基などを含むエポキシシクロヘキシル基、3-グリシドキシプロピル基を含むグリシドキシアルキル基などを意味し得る。例えば、エポキシ系シランカップリング剤は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランのうち1種以上を含むことができる。
【0102】
エポキシ系シランカップリング剤は、前記単量体混合物100重量部に対して約0.2重量部以上で含まれてもよい。前記範囲では、粘着フィルムを高温高湿で長期間放置した後、前記式1の変化率に到逹し得る。好ましくは、エポキシ系シランカップリング剤は、前記単量体混合物100重量部に対して0.2重量部乃至5重量部、例えば、0.2重量部、0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.6重量部、0.7重量部、0.8重量部、0.9重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、例えば、0.2重量部乃至1重量部、さらに具体的には0.2重量部乃至0.6重量部で含まれてもよい。
【0103】
前記組成物は、開始剤をさらに含むことができる。開始剤は、組成物を硬化させることによって粘着フィルムを形成したり、前記組成物のうち前記単量体混合物を重合させることによって前記単量体混合物の部分重合体を形成することができる。
【0104】
開始剤は、光重合開始剤、及び熱重合開始剤のうち一つ以上を含むことができる。
【0105】
光重合開始剤としては、光照射などによる硬化過程でラジカル重合性化合物の重合反応を誘導できるものであれば、いずれも使用可能である。例えば、光重合開始剤としては、ベンゾイン系、ヒドロキシケトン系、アミノケトン系又はホスフィンオキシド系光開始剤などを使用することができ、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2'-ジエトキシアセトフェノン、2,2'-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチル卜リクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2'-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノンなどのアセトフェノン化合物、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2-(ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、2-メチルチオキサントン(thioxanthone)、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン]及び2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドなどを挙げることができる。
【0106】
熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系化合物、過酸化物系化合物又はレドックス系化合物などの通常の開始剤を使用することができる。前記アゾ系化合物の例としては、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2-トリルアゾビス(イソブチロニトリル)、2,2-トリルアゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-ニトアゾビス-2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル、ジメチル-2,2-メチルアゾビス(2-メチルプロピオネート)及び2,2-ピオアゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)などを挙げることができ、過酸化物系化合物の例としては、過乳酸カリウム、過硫酸アンモニウム又は過酸化水素などの無機過酸化物;又はジアシルペルオキシ、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、ビス(4-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシカーボネート、ブチルペルオキシネオデカノエート、ジプロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジエトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジエトキシヘキシルペルオキシジカーボネート、ヘキシルペルオキシジカーボネート、ジメトキシブチルペルオキシジカーボネート、ビス(3-メトキシ-3-メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、ジブチルペルオキシジカーボネート、ジセチル(dicetyl)ペルオキシジカーボネート、ジミリスチル(dimyristyl)ペルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシピバレート(peroxypivalate)、ヘキシルペルオキシピバレート、ブチルペルオキシピバレート、トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ジメチルヒドロキシブチルペルオキシネオデカノエート、アミルペルオキシネオデカノエート、ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシネオヘプタノエート、アミルペルオキシピバレート(pivalate)、t-ブチルペルオキシピバレート、t-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ラウリルペルオキシド、ジラウロイル(dilauroyl)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド又はジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物を挙げることができ、レドックス系化合物の例としては、過酸化物界化合物と還元剤を併用した混合物などを挙げることができるが、これに制限されることはない。
【0107】
開始剤は、前記単量体混合物100重量部に対して約0.0001重量部乃至約5重量部、具体的には0.001重量部乃至3重量部、さらに具体的には0.001重量部乃至1重量部で含まれてもよい。前記範囲では、硬化反応を完全に行うことができ、残量の開始剤によって粘着フィルムの光透過率が低下することを防止することができ、さらに、気泡の発生を低下させることができ、優れた反応性を有することができる。
【0108】
前記組成物は、架橋剤をさらに含むことができる。架橋剤は、前記組成物の架橋度を高め、粘着フィルムの機械的強度を高めることができる。
【0109】
架橋剤は、活性エネルギー線で硬化が可能な多官能性(メタ)アクリレートを含むことができる。例えば、架橋剤は、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリール化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレート又は9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの2官能性アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能型ウレタン(メタ)アクリレート又はトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの3官能型アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート又はペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型アクリレート;及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレート(ex.イソシアネート単量体及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物)などの6官能型アクリレートなどを挙げることができるが、これに制限されることはない。
【0110】
架橋剤は、前記単量体混合物100重量部に対して約0.001重量部乃至約5重量部、例えば、0.001重量部、0.05重量部、0.1重量部、0.15重量部、0.2重量部、0.25重量部、0.3重量部、0.35重量部、0.4重量部、0.45重量部、0.5重量部、0.55重量部、0.6重量部、0.65重量部、0.7重量部、0.75重量部、0.8重量部、0.85重量部、0.9重量部、0.95重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、具体的には0.003重量部乃至3重量部、具体的には0.005重量部乃至1重量部で含まれてもよい。前記範囲では、優れた剥離強度及び信頼性増加の効果がある。
【0111】
前記組成物は、添加剤をさらに含むことができる。添加剤は、粘着フィルム用組成物に含まれるものであって、当業者に知られている通常の添加剤を含むことができる。例えば、添加剤は、顔料、紫外線吸収剤、レベリング剤、及び帯電防止剤のうち1種以上を含み得るが、これに制限されない。
【0112】
粘着フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が約-100℃乃至約-10℃、例えば、-100℃、-95℃、-90℃、-85℃、-80℃、-75℃、-70℃、-65℃、-60℃、-55℃、-50℃、-45℃、-40℃、-35℃、具体的には-70℃乃至-35℃になってもよい。前記範囲では、低温及び高温でのフォールディング信頼性の改善効果があり得る。好ましくは、粘着フィルムは、ガラス転移温度が-70℃乃至-45℃になってもよい。前記範囲では、低温及び高温でのフォールディング信頼性の改善効果があり、引張方向へのフォールディング時にもストレスを緩和させることができ、フォールディング性が優秀になり得る。
【0113】
粘着フィルムは、可視光領域(例:波長380nm乃至780nm)でヘイズ(haze)が約2%以下、具体的には0.1%乃至1%になり、全光線透過率が約90%以上、具体的には95%乃至99%になってもよい。前記範囲では、光学透明性が良くなるので、粘着フィルムが光学表示装置に使用され得る。
【0114】
粘着フィルムの厚さは、約10μm乃至約300μm、具体的には12μm乃至175μmになってもよい。前記範囲では、粘着フィルムが光学表示装置に使用され得る。
【0115】
粘着フィルムは、減圧粘着フィルム(pressure sensitive adhesive)であって、前記単量体混合物を開始剤で部分重合させ、エポキシ系シランカップリング剤を含ませることによって組成物を製造した後、前記組成物を離型フィルムにコーティングしてから、硬化、例えば、光硬化させることによって製造することができる。硬化は、無酸素状態で低圧ランプを用いて波長300nm乃至400nmで照射量400mJ/cm2乃至3000mJ/cm2の照射を含むことができる。前記組成物を製造するとき、開始剤、架橋剤、添加剤などをさらに含ませることができる。部分重合は、溶液重合、懸濁重合、光重合、バルク重合、又はエマルジョン重合を含むことができる。具体的には、溶液重合は、単量体混合物に開始剤を添加し、50℃乃至100℃で行うことができる。開始剤としては、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンなどを含むアセトフェノン系、及び1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの光重合開始剤を使用することができる。部分重合は、25℃で300cPs乃至50,000cPs、具体的には500cPs乃至9,000cPsの粘度を有することができる。
【0116】
以下、本発明の他の実施例に係る粘着フィルムを説明する。
【0117】
粘着フィルムは、ホモポリマーのガラス転移温度が約-50℃以下である単量体及び水酸基を有する(メタ)アクリレートを含む単量体混合物、エポキシ系シランカップリング剤及び有機ナノ粒子を含む組成物で形成され、前記粘着フィルムは、前記式1のせん断変形率の変化率が約10%以下である。前記粘着フィルムは、有機ナノ粒子をさらに含む点を除いては、本発明の一実施例の粘着フィルムと実質的に同一である。
【0118】
有機ナノ粒子は、有機ナノ粒子を含まない場合に比べて高温での粘着フィルムのモジュラスをさらに高め、粘着フィルムにおいて高温での剥離及び/又は浮き上がり及び/又は気泡が発生することを防止し、高温での信頼性をさらに高めることができる。有機ナノ粒子は、ガラス転移温度が高いので、粘着フィルムの高温でのモジュラスを高めることができる。
【0119】
有機ナノ粒子は、前記単量体混合物100重量部に対して約0.1重量部乃至約20重量部、例えば、0.1重量部、0.5重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部、15重量部、16重量部、17重量部、18重量部、19重量部、20重量部、具体的には0.5重量部乃至12重量部、具体的には0.5重量部乃至8重量部で含まれてもよい。前記範囲では、高温での粘着フィルムのモジュラスを高め、粘着フィルムの常温及び高温でのフォールディング性を良好にし、粘着フィルムの低温及び/又は常温での粘弾性が優秀になり得る。
【0120】
有機ナノ粒子の平均粒径は、約10nm乃至約400nm、具体的には10nm乃至300nm、さらに具体的には30nm乃至280nm、さらに具体的には50nm乃至280nmになってもよい。前記範囲では、粘着フィルムのフォールディングに影響を与えることなく、可視光領域で全光線透過率が90%以上であって、粘着フィルムの透明度が良好になり得る。
【0121】
有機ナノ粒子は、前記単量体混合物で形成された部分(メタ)アクリル系重合体又は(メタ)アクリル系重合体との屈折率の差が約0.1以下、例えば、0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、具体的には0以上0.05以下、具体的には0以上0.02以下になってもよい。前記範囲では、粘着フィルムの透明度が優秀になり得る。有機ナノ粒子の屈折率は、約1.35乃至約1.70、具体的には1.40乃至1.60になってもよい。前記範囲では、粘着フィルムの透明度が優秀になり得る。
【0122】
有機ナノ粒子には、コア-シェル型を始めとして、ビード(Bead)型などの単純ナノ粒子なども含まれ得るが、これに限定しない。コア-シェル型の場合、前記コアとシェルは、下記式4を満足することができる。すなわち、コアとシェルは、いずれも有機物質であるナノ粒子であってもよい。上記のような粒子形態を有する場合、粘着フィルムのフォールディング性が良く、弾性及び柔軟性のバランス物性に効果があり得る。
【0123】
【0124】
(前記式4において、Tg(c)は、コアのガラス転移温度(単位:℃)で、
Tg(s)は、シェルのガラス転移温度(単位:℃)である。)
【0125】
本明細書において、「シェル」は、有機ナノ粒子のうち最外郭層を意味する。コアは、一つの球形粒子であってもよい。しかし、コアは、前記ガラス転移温度を有するのであれば、球形粒子を覆う追加的な層をさらに含むこともできる。
【0126】
具体的には、コアのガラス転移温度は、約-150℃乃至約10℃、例えば、-150℃、-140℃、-130℃、-120℃、-110℃、-100℃、-90℃、-80℃、-70℃、-60℃、-50℃、-40℃、-30℃、-20℃、-10℃、0℃、10℃、具体的には-150℃乃至-5℃、さらに具体的には-150℃乃至-20℃になってもよい。前記範囲では、粘着フィルムの低温及び/又は常温で粘弾性効果があり得る。コアは、前記ガラス転移温度を有するポリアル キルアクリレート、ポリシロキサン及びポリブタジエンのうち1種以上を含むことができる。
【0127】
ポリアルキルアクリレートは、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリエチルヘキシルアクリレート、ポリエチルヘキシルメタクリレート、及びポリシロキサンのうち一つ以上を含むことができ、必ずしもこれに制限されることはない。
【0128】
ポリシロキサンは、例えば、オルガノシロキサン(共)重合体になってもよい。オルガノシロキサン(共)重合体としては、架橋されていないものを使用してもよく、架橋された(共)重合体を使用してもよい。耐衝撃性及び着色性のために架橋状態のオルガノシロキサン(共)重合体を使用することができる。これは、架橋された形態のオルガノシロキサンであって、具体的には、架橋されたジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン又はその2以上の混合物などを含むことができる。2以上のオルガノシロキサンが共重合された形態を使用することによって、屈折率を1.41乃至1.50に調節することができる。
【0129】
オルガノシロキサン(共)重合体の架橋状態は、各種有機溶媒によって溶解される程度に基づいて判断することができる。架橋状態が深化されるほど、溶媒によって溶解される程度が小さくなる。架橋状態を判断するための溶媒としては、アセトンやトルエンなどを使用することができ、具体的には、オルガノシロキサン(共)重合体は、アセトンやトルエンによって溶解されない部分を有することができる。オルガノシロキサン共重合体のトルエンに対する不溶性成分が30%以上になってもよい。
【0130】
追加的に、前記オルガノシロキサン(共)重合体には、アルキルアクリレート架橋重合体をさらに含むことができる。前記アルキルアクリレート架橋重合体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなどを使用することができる。例えば、ガラス転移温度が低いn-ブチルアクリレート又は2-エチルヘキシルアクリレートを使用することができる。
【0131】
具体的には、シェルのガラス転移温度は、約15℃乃至約150℃、例えば、15℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、具体的には35℃乃至150℃、さらに具体的には50℃乃至140℃になってもよい。前記範囲では、アクリル系共重合体のうち有機ナノ粒子の分散性が優秀になり得る。シェルは、前記ガラス転移温度を有するポリアルキルメタクリレートを含むことができる。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート及びポリシクロヘキシルメタクリレートのうち一つ以上を含むことができ、必ずしもこれに制限されることはない。
【0132】
コアは、有機ナノ粒子のうち約30重量%乃至約99重量%、具体的には40重量%乃至95重量%、さらに具体的には50重量%乃至90重量%で含まれてもよい。前記範囲では、広い温度範囲で粘着フィルムのフォールディング性が良好になり得る。シェルは、有機ナノ粒子のうち約1重量%乃至約70重量%、具体的には5重量%乃至60重量%、さらに具体的には10重量%乃至50重量%で含まれてもよい。前記範囲では、広い温度範囲で粘着フィルムのフォールディング性が良好になり得る。
【0133】
有機ナノ粒子は、前記粘着フィルムのうち約0.1重量%乃至約20重量%、例えば、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、具体的には0.5重量%乃至12重量%、具体的には0.5重量%乃至8重量%で含まれてもよい。前記範囲では、高温での粘着フィルムのモジュラスを高め、粘着フィルムの常温及び高温でのフォールディング性を良くし、粘着フィルムの低温及び/又は常温での粘弾性が優秀になり得る。
【0134】
有機ナノ粒子は、通常の乳化重合、懸濁重合、及び溶液重合方法で製造され得る。
【0135】
本発明の一実施例に係る光学部材は、光学フィルム、及び前記光学フィルムの少なくとも一面に形成された粘着フィルムを含み、粘着フィルムは、本発明の各実施例に係る粘着フィルムを含む。よって、光学部材は、良好なベンディング及び/又は良好なフォールディング特性を有し、フレキシブルディスプレイ装置に使用され得る。
【0136】
一実施例において、光学フィルムは、ディスプレイ装置のうち一定の光学的機能、例えば、偏光、光学補償、ディスプレイ画質の改善、及び/又は導電性を提供するものであって、光学フィルムとしては、ウィンドウフィルム、ウィンドウ、偏光板、カラーフィルター、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射偏光フィルム、反射防止フィルム、補償フィルム、輝度向上フィルム、配向膜、光拡散フィルム、ガラス飛散防止フィルム、表面保護フィルム、OLED素子バリア層、プラスチックLCD基板、ITO(indium tin oxide)、FTO(fluorinated tin oxide)、AZO(aluminum dopped zinc oxide)、CNT(carbon nanotube)、Agナノワイヤ、グラフェンなどを含む透明電極フィルムなどを挙げることができる。光学フィルムは、本発明の属する分野で通常の知識を有する者によって容易に製造され得る。
【0137】
例えば、タッチパッドに粘着フィルムを用いてウィンドウや光学フィルムを付着させ、タッチパネルを形成することができる。又は、従来のように、通常の偏光フィルムに粘着フィルムを適用することもできる。
【0138】
他の実施例において、光学フィルムは、光学的に透明な光学フィルムであって、光学フィルム及び粘着フィルムを含む光学部材は、ディスプレイ素子の支持層として機能することができる。例えば、ディスプレイ素子は、ウィンドウフィルムなどを含むことができる。ウィンドウフィルムは、前記光学部材及び前記光学部材上に形成されたウィンドウコーティング層(例:シリコン系コーティング層)を含むことができる。具体的には、光学フィルムは、可視光線領域での全光線透過率が90%以上で、トリアセチルセルロースなどを含むセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートなどを含むポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレートなどを含むポリアクリレート樹脂、環状オレフィンポリマー樹脂、アクリル樹脂、及びポリアミド樹脂のうち一つ以上の樹脂で形成されたフィルムであってもよい。光学フィルムの厚さは、10μm乃至100μm、具体的には20μm乃至75μm、さらに具体的には30μm乃至50μmになってもよい。前記範囲では、光学フィルムがディスプレイ素子の支持層として使用され得る。
【0139】
光学部材は、光学フィルム及び光学フィルムの一面に形成された粘着フィルムが形成された2層の光学部材であってもよい。又は、光学部材は、2個以上の光学フィルムを含み、前記光学フィルムのうち少なくとも2個以上が本発明の粘着フィルムによって積層された3層以上のフィルム積層体であってもよい。
【0140】
一具体例において、光学部材は、第1光学フィルム、第2光学フィルム、及び前記第1光学フィルムと前記第2光学フィルムが本発明の粘着フィルムによって積層された3層のフィルム積層体であってもよい。前記第1光学フィルムと前記第2光学フィルムは、それぞれポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、環状オレフィンポリマー樹脂、及びアクリル樹脂のうち一つ以上の樹脂で形成されたフィルムであってもよい。前記第1光学フィルムと前記第2光学フィルムは、それぞれ厚さが10μm乃至100μm、具体的には20μm乃至75μm、さらに具体的には30μm乃至50μmになり、前記粘着フィルムの厚さが10μm乃至100μmになってもよい。前記範囲では、良好なフォールディング性を維持しながら耐衝撃性が極大化されるという効果があり得る。前記第1光学フィルムと前記第2光学フィルムは、それぞれ厚さ及び材質が同じか異なり得る。
【0141】
本発明の光学表示装置は、本発明の粘着フィルムを含む。
【0142】
光学表示装置は、有機発光素子表示装置、液晶表示装置などを含むことができる。光学表示装置は、フレキシブルディスプレイ装置を含むことができる。しかし、光学表示装置は、ノン・フレキシブルディスプレイ装置を含むこともできる。
【0143】
[発明を実施するための形態]
以下、本発明の好ましい実施例を通じて、本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。ただし、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであって、如何なる意味でも、これによって本発明が制限されると解釈してはならない。
【0144】
製造例:有機ナノ粒子の製造
乳化重合方法で有機ナノ粒子を製造した。コアはポリブチルアクリレート、シェルはポリメチルメタクリレートで、シェルは有機ナノ粒子のうち35重量%、コアは有機ナノ粒子のうち65重量%で、平均粒径は100nmで、屈折率は1.48である有機ナノ粒子を製造した。
【0145】
実施例1
下記表1のように、単量体混合物100重量部、開始剤Irgacure 651 100ppm、及び前記製造例で製造した有機ナノ粒子3重量部を反応器内でよく混合した。30分間反応器内の溶存酸素を窒素気体に交換し、数分間低圧水銀ランプを用いて紫外線照射を行うことによって前記単量体混合物を部分重合させ、25℃で40cps乃至50cpsの粘度を有する粘性液体を製造した。その後、低圧水銀ランプをオフにし、反応器内を空気で30分間冷やしながら重合反応を終決させ、前記単量体混合物から製造された(メタ)アクリル系プレポリマーを得た。前記反応器内には、前記単量体混合物から製造された(メタ)アクリル系プレポリマー、未反応の単量体及び有機ナノ粒子を含む。
【0146】
その後、開始剤として、Omnirad 127 0.2重量部とOmnirad 651 0.1重量部の混合物と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)0.035重量部と、シランカップリング剤としてエポキシ系シランカップリング剤であるKBM-403(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社)0.2重量部とを混合し、粘着フィルム用組成物を製造した。
【0147】
離型PETフィルムの一面に前記製造した粘着フィルム用組成物を所定の厚さでブレードを用いてコーティングした後、離型PETフィルムを合わせ、紫外線波長で低圧水銀ランプを用いて1200mJ/cm2で照射することによって1次硬化させた後、金属ハライドランプを用いて2000mJ/cm2で照射することによって2次硬化させ、PET離型フィルム-粘着フィルム-PET離型フィルムの積層体である粘着シートを製造した。
【0148】
実施例2乃至実施例5
実施例1において、粘着フィルム用組成物の構成を下記表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で粘着シートを製造した。
【0149】
比較例1乃至比較例4
実施例1において、粘着フィルム用組成物の構成を下記表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で粘着シートを製造した。
【0150】
実施例と比較例で製造した粘着シートからPET離型フィルムを剥離することによって粘着フィルムを製造し、粘着フィルムに対して下記表1の物性を評価し、その結果を下記表1に示した。
【0151】
(1)剥離強度(単位:gf/25mm):実施例と比較例の粘着シートからサンプル(長さ×幅:25mm×25mm)である粘着シートを得た。PETフィルム(長さ×幅×厚さ:150mm×25mm×75μm)の一面をコロナ処理機を用いて1回当たり78dose(単位:W/(m/minm))の線量で放電させながらコロナ2回処理(総線量:156dose)でコロナ処理した。前記コロナ処理されたPETフィルムのコロナ処理された面にサンプルの粘着シートのうち一側のPET離型フィルムを除去し、粘着フィルムの一面を合わせ、粘着シートのうち他側のPET離型フィルムを除去した後、粘着フィルムの他の一面をガラス板(ソーダライムガラス)に合わせ、2kgハンドローラーで圧着することによって試験片を製造した。
【0152】
製造した試験片を剥離強度測定機であるTA.XT-Plusテクスチャアナライザー(Texture Analyzer)(Stable Micro System(製))に固定させた。TA.XT-Plusテクスチャアナライザーを用いて、25℃でガラス板から粘着フィルムとPETフィルムを300mm/minの速度で180゜に引っ張り、ガラス板から粘着フィルムとPETフィルムが剥離されはじめるときの剥離強度を測定し、この値を「初期剥離強度」とした。
【0153】
実施例と比較例の粘着シートから長さ×幅(25mm×25mm)である粘着シートを得た。上記のように試験片を製造し、試験片を60℃及び95%の相対湿度下のチャンバー内で10日間放置した後で取り出し、前記試験片を25℃で2時間置いた後、前記初期剥離強度測定と同一の方法で剥離強度を測定し、この値を「高温高湿後の剥離強度」とした。
【0154】
(2)モジュラス(単位:MPa):実施例と比較例で製造した粘着フィルムを複数個で積層させ、500μmの厚さでサンプルを製作した。前記粘着フィルムサンプルの積層物を直径8mmの穿孔機を用いて穿孔し、これを試験片として使用した。動的粘弾性測定装置であるレオメーター(Rheometer)(TA社、DHR3)を用いて、-50℃乃至100℃の温度区間において5℃/minの温度上昇速度で温度スィープ試験(temperature sweep test)モードで1%のひずみ及び1Hzの条件下でモジュラスを測定した。-20℃及び60℃のそれぞれでモジュラスを獲得し、この値を「初期モジュラス」とした。
【0155】
実施例と比較例で製造した粘着シート(粘着フィルムの両側面に離型PETフィルムが積層された状態)を60℃及び95%の相対湿度下のチャンバー内で10日間放置してから取り出した後、25℃で2時間置いた。その後、粘着フィルムを得た後、前記初期モジュラス測定と同一の方法でモジュラスを測定し、この値を「高温高湿後のモジュラス」とした。
【0156】
(3)せん断変形率(単位:%):実施例と比較例の粘着シートから両側のPETフィルムを離型させ、粘着フィルム(長さ×幅:100mm×25mm)を得た。粘着フィルムの複数個を積層させ、直径が8mmである穿孔機を用いて積層物を穿孔し、上部面及び下部面を有する円柱試験片(厚さ:400μm、直径:8mm)を製造した。
【0157】
製造した円柱試験片の上部面と下部面が、それぞれ動的粘弾性測定装置であるレオメーター(TA社、DHR3)の上部ジグと下部ジグに噛み合うように装着した。チャンバーの温度60℃、軸力(Axial force)1N、トルク(Torque)2000Paにセッティングし、時間を600秒と指定し、600秒であるときの変形率値をせん断変形率とし、この値を「初期せん断変形率」とした。
【0158】
実施例と比較例で製造した粘着シート(粘着フィルムの両面に離型PETフィルムが積層された状態)を60℃及び95%の相対湿度下のチャンバー内で10日間放置してから取り出した後、25℃で2時間置いた。その後、粘着フィルムを得てから、前記初期せん断変形率測定と同一の方法でせん断変形率を測定し、この値を「高温高湿後のせん断変形率」とした。式1を用いて変化率を計算した。
【0159】
(4)屈曲信頼性1(@-20℃):
ウィンドウフィルム、粘着フィルム、偏光子、粘着フィルム、及びOLEDパネルの順に積層されたモジュール試験片を製作した。前記モジュールの製作時、下記ウィンドウフィルム、粘着フィルム、偏光子、粘着フィルム、及びOLEDパネルを使用した。
【0160】
-ウィンドウフィルム:PETフィルム(厚さ:100μm、コスモシャイン(Cosmoshine)TA015、東洋紡株式会社)に取り替えた。
【0161】
-粘着フィルム:実施例と比較例で製造した粘着フィルムを使用した。
【0162】
-偏光子:ヨードが染着したPVA樹脂を使用した。80μm厚さのポリビニルアルコールフィルム(鹸化度:99.5、重合度:2000)を0.3%ヨード水溶液に浸漬させて染着した後、延伸比が5.0になるようにMD延伸を行った。次いで、延伸されたポリビニルアルコールフィルムを3%濃度のホウ酸溶液と2%ヨウ化カリウム水溶液に浸漬させることによって色相補正を行った後、50℃で4分間乾燥することによって偏光子(厚さ25μm)を製造した。
【0163】
-OLEDパネル:PETフィルム(厚さ:100μm、コスモシャインTA015、東洋紡株式会社)に取り替えた。
【0164】
前記製造したモジュール試験片を長さ×幅170mm×110mmに切断し、60℃及び95%の相対湿度下のチャンバー内で10日間放置した後、-20℃で10万回フォールディングさせたとき、前記モジュール試験片で気泡、クラック及びデラミネーション(delamination)が発生するかどうかを評価した。フォールディング時、前記モジュール試験片の長さ方向及びOLEDパネル方向にフォールディングし、フォールディング時、曲率半径は1.5mmとし、1分当たり30サイクルのフォールディング率とした。このとき、1サイクルは、試験片を前記曲率半径でフォールディングしながら180゜に広げることを意味する。気泡、クラック及びデラミネーションが発生しない場合は「OK」と評価し、気泡、クラック、及びデラミネーションのうち1種以上が発生した場合は「NG」と評価した。
【0165】
(5)屈曲信頼性2(@60℃):(4)と同一の方法でモジュール試験片を製造した。60℃及び95%の相対湿度下のチャンバー内で10日間放置した後、60℃で(4)と同一の方法で屈曲信頼性を評価した。
【0166】
【0167】
*単量体1:2-エチルヘキシルアクリレート(分岐鎖型、ホモポリマーのTg:-70℃)
*単量体2:4-ヒドロキシブチルアクリレート(ホモポリマーのTg:-40℃)
*単量体3:2-エチルヘキシルジエチレングリコールアクリレート(ホモポリマーのTg:-72℃)
*Omnirad 127(IGM Resins B.V.)
*Omnirad 651(IGM Resins B.V.)
*DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
*SC1:エポキシ系シランカップリング剤、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業株式会社)
*SC2:メタクリル系シランカップリング剤、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(KBE-503、信越化学工業株式会社)
*SC3:アクリル系シランカップリング剤、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-5103、信越化学工業株式会社)
*SC4:アミノ系シランカップリング剤、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-903、信越化学工業株式会社)
前記表1に示したように、本発明の粘着フィルムは、式1の場合に10%以下であって、高温高湿で長期間放置した後にも、高温高湿で長期間放置する前に比べてレオロジー物性の変化が低く、防水性が優秀になり得る。また、式2及び式3の値がそれぞれ本願の範囲を満足することによって、低温でのフォールディング性及び高温でのフォールディング性が優秀になり得る。
【0168】
その一方で、本発明を満足できない比較例は、低温でのフォールディング性及び高温でのフォールディング性を有することができなく、式1の場合に10%を著しく超えており、高温高湿で長期間放置した後にも、高温高湿で長期間放置する前に比べてレオロジー物性の変化が高く、防水性が低いため、防水性が要求されるフォルダブルディスプレイに使用できない。
【0169】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。
【国際調査報告】