(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】センサ配置を有する半導体デバイスのための保護構造
(51)【国際特許分類】
H01L 21/76 20060101AFI20231110BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20231110BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20231110BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H01L29/78 652R
H01L29/78 652Q
H01L29/78 655A
H01L29/78 652T
H01L29/78 657F
H01L29/78 657G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526947
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021048335
(87)【国際公開番号】W WO2022098421
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ブラント、エドワード ロバート
(72)【発明者】
【氏名】リュー、セイ - ヒョン
(57)【要約】
センサ配置を含む半導体デバイスのための保護構造が開示される。半導体デバイスは、センサ領域34、例えば、デバイスの全能動エリアの一部分を占有する電流センサ領域を含む。電流センサ領域は、動作中のデバイス負荷電流のモニタリングを提供するように構成されることがある。本開示による半導体デバイスは、半導体デバイスがデバイス故障なしに過渡電圧事象に耐えることを可能にするように構成される1つ又は複数の保護構造を含む。保護構造は、半導体デバイスのデバイス領域32とセンサ領域34との間の遷移領域26Tに設けられる絶縁性層52を含む。絶縁性層は、ゲート絶縁性層40の絶縁破壊電圧よりも高い絶縁破壊電圧を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリフト領域と、
前記ドリフト領域の第1の部分を含むデバイス領域と、
前記ドリフト領域の第2の部分を含むセンサ領域と、
前記デバイス領域と前記センサ領域との間に配置された遷移領域と
を備え、前記遷移領域が、
ゲート・コンタクトと、
前記ゲート・コンタクトと前記ドリフト領域との間に配置されたゲート絶縁性層と、
前記ゲート・コンタクトと前記ドリフト領域との間に配置された絶縁性層であって、前記ゲート絶縁性層の絶縁破壊電圧よりも高い絶縁破壊電圧を有する、絶縁性層と
を備える、半導体デバイス。
【請求項2】
前記センサ領域が、電流センサを形成している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記ドリフト領域の前記第1の部分が、第1のコンタクトと第2のコンタクトとの間に電気的に接続され、前記ドリフト領域の前記第2の部分が、前記第1のコンタクトとセンサ・コンタクトとの間に電気的に接続されている、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備え、前記第1のコンタクトが、ドリフト・コンタクトであり、前記第2のコンタクトが、ソース・コンタクトである、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記遷移領域内の前記ドリフト領域の上面には、前記絶縁性層がない、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記絶縁性層の前記絶縁破壊電圧が、前記ゲート絶縁性層の前記絶縁破壊電圧よりも少なくとも1.5倍高い、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記絶縁性層の前記絶縁破壊電圧が、前記ゲート絶縁性層の前記絶縁破壊電圧よりも1.5倍高いから200倍高いまでの範囲内である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記絶縁性層の前記絶縁破壊電圧が、前記ゲート絶縁性層の前記絶縁破壊電圧よりも5倍高いから200倍高いまでの範囲内である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記絶縁性層の厚さが、前記ゲート絶縁性層の厚さよりも少なくとも1.5倍厚い、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記絶縁性層の前記厚さが、前記ゲート絶縁性層の前記厚さよりも1.5倍厚いから100倍厚いまでの範囲内である、請求項9に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記絶縁性層の厚さが、前記ゲート絶縁性層の厚さよりも少なくとも2倍厚い、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記絶縁性層の前記厚さが、前記ゲート絶縁性層の前記厚さよりも2倍厚いから100倍厚いまでの範囲内である、請求項11に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記絶縁性層が、前記センサ領域の横方向エッジの周りにリングを形成している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記絶縁性層の一部分が、前記絶縁性層の他の部分の厚さよりも厚い厚さを有する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記ドリフト領域が、前記遷移領域に位置合わせされているドープト領域を含み、前記ドープト領域が、前記ドリフト領域のドーピング型とは反対であるドーピング型を有する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項16】
前記絶縁性層が、前記ドープト領域上にあり、前記絶縁性層の幅が、前記ドープト領域の幅よりも小さい、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項17】
前記絶縁性層が、前記ドープト領域上にあり、前記絶縁性層の幅が、前記ドープト領域の幅と同じである、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項18】
デバイス領域と電流センサ領域とを備える炭化ケイ素(SiC)金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)デバイスであって、少なくとも10キロボルト/マイクロ秒(kV/μs)の経時的な電圧変化率(dV/dt)に耐えるように構成されている、SiC MOSFETデバイス。
【請求項19】
前記dV/dtが、少なくとも30kV/μsである、請求項18に記載のMOSFETデバイス。
【請求項20】
前記dV/dtが、少なくとも50kV/μsである、請求項18に記載のMOSFETデバイス。
【請求項21】
前記dV/dtが、少なくとも100kV/μsである、請求項18に記載のMOSFETデバイス。
【請求項22】
前記dV/dtが、10kV/μsから100kV/μsまでの範囲内である、請求項18に記載のMOSFETデバイス。
【請求項23】
前記dV/dtが、10kV/μsから200kV/μsまでの範囲内である、請求項18に記載のMOSFETデバイス。
【請求項24】
前記SiC MOSFETデバイスが、1サイクルから1000サイクルまでの範囲内の前記dV/dtに耐えるように構成されている、請求項18に記載のMOSFETデバイス。
【請求項25】
前記電流センサ領域及び前記デバイス領域の一部を形成するドリフト領域であって、前記電流センサ領域が遷移領域によって前記デバイス領域から横方向に間隔を空けられる、前記ドリフト領域と、
ゲート・コンタクト及びゲート絶縁性層であって、前記ゲート絶縁性層が前記ゲート・コンタクトと前記ドリフト領域との間にある、ゲート・コンタクト及びゲート絶縁性層と、
前記遷移領域内の絶縁性層であって、前記ゲート・コンタクトと前記ドリフト領域との間に配置され、前記ゲート絶縁性層の絶縁破壊電圧よりも高い絶縁破壊電圧を有する、絶縁性層と
をさらに備える、請求項18に記載のMOSFETデバイス。
【請求項26】
前記絶縁性層の厚さが、前記ゲート絶縁性層の厚さよりも1.5倍厚いから50倍厚いまでの範囲内である、請求項25に記載のMOSFETデバイス。
【請求項27】
ドリフト領域と、
前記ドリフト領域の第1の部分を含むデバイス領域と、
前記ドリフト領域の第2の部分を含むセンサ領域と、
前記デバイス領域と前記センサ領域との間に配置された遷移領域と、
を備え、前記遷移領域が、
ゲート・コンタクトと、
前記ゲート・コンタクトと前記ドリフト領域との間に配置されたゲート絶縁性層と、
前記ゲート・コンタクトと前記ドリフト領域との間に配置された絶縁性層であって、前記ゲート絶縁性層の厚さよりも厚い厚さを有する、絶縁性層と
を備える、半導体デバイス。
【請求項28】
前記絶縁性層の前記厚さが、前記ゲート絶縁性層の前記厚さよりも少なくとも1.5倍厚い、請求項27に記載の半導体デバイス。
【請求項29】
前記絶縁性層の前記厚さが、前記ゲート絶縁性層の前記厚さよりも1.5倍厚いから100倍厚いまでの範囲内である、請求項28に記載の半導体デバイス。
【請求項30】
前記絶縁性層の前記厚さが、前記ゲート絶縁性層の前記厚さよりも少なくとも2倍厚い、請求項27に記載の半導体デバイス。
【請求項31】
前記絶縁性層の前記厚さが、前記ゲート絶縁性層の前記厚さよりも2倍厚いから100倍厚いまでの範囲内である、請求項30に記載の半導体デバイス。
【請求項32】
前記センサ領域が、電流センサを形成している、請求項27に記載の半導体デバイス。
【請求項33】
前記ドリフト領域の前記第1の部分が、第1のコンタクトと第2のコンタクトとの間に電気的に接続され、前記ドリフト領域の前記第2の部分が、前記第1のコンタクトとセンサ・コンタクトとの間に電気的に接続されている、請求項27に記載の半導体デバイス。
【請求項34】
金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備え、前記第1のコンタクトが、ドリフト・コンタクトであり、前記第2のコンタクトが、ソース・コンタクトである、請求項33に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エネルギー省により授与された契約番号DE-EE0006521のもとに政府資金を用いて行われた。米国政府は、この発明にある一定の権利を有する。
【0002】
本開示は、半導体デバイスに関し、詳細にはセンサ配置を有する半導体デバイスのための保護構造に関する。
【背景技術】
【0003】
トランジスタ及びダイオードなどの半導体デバイスは、現代の電子デバイスでは至るところに存在する。窒化ガリウム(GaN)及び炭化ケイ素(SiC)などのワイド・バンドギャップ半導体材料システムが、スイッチング速度、パワー取り扱い能力、及び熱伝導度などの分野ではデバイス性能の境界を押し広げるために半導体デバイスにおいてますます利用されてきている。実例は、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、ショットキー・バリア・ダイオード、PiNダイオード、高電子移動度トランジスタ(HEMT)などの個別デバイス、及び1つ又は複数の個別デバイスを含むモノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)などの集積回路を含む。
【0004】
パワー・スイッチング用途のための半導体デバイスは、典型的には、場合によってエッジ終端領域によって囲まれることがある半導体ダイのデバイス領域を含む。デバイス領域は、能動部分又は能動領域を形成し、一方でエッジ終端領域は、低い逆電圧での絶縁破壊の防止のためデバイス・エッジに沿った電界の集中を減少させるように働くことができるパワー半導体デバイスの非能動部分を形成する。いくつかの半導体デバイスの能動領域は、デバイスに関する選択的電流伝導能力及び電圧ブロッキング能力を提供するために、1つ又は複数の電極間に相互に並列に電気的に結合される、多数のユニット・セルを含むことができる。
【0005】
パワー・スイッチング用途のための半導体デバイスにおける電流センシングは、過電流又は短絡事象のような潜在的な故障メカニズムを検出し低減させるために動作負荷電流をモニタするための方法である。MOSFET又は金属-絶縁体-半導体電界効果トランジスタ(MISFET)の実例では、電流センシングは、少数の能動領域ユニット・セル用に別のソース・コンタクトを設けることによって実現されることがある。別のソース・コンタクトが、比例的に少量の全デバイス負荷電流に対して別の経路を形成するように配置される。別の経路に沿った負荷電流の量が測定され、デバイスの残りの部分に沿った全負荷電流を計算するために使用されることがある。半導体デバイス内の電流センシング配置が提案されてきている一方で、従来の構造は、経験されることがある様々な不利な動作条件に耐えるために好適ではないことがある。
【0006】
技術は、従来の半導体デバイスに関係する難題を克服することができる電流センシングを有する改良された半導体デバイスを探し求め続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、半導体デバイスに関し、詳細にはセンサ配置を含む半導体デバイスのための保護構造に関する。半導体デバイスは、センサ領域、例えば、デバイスの全能動エリアの一部分を占有する電流センサ領域を含むことができる。電流センサ領域は、動作中のデバイス負荷電流のモニタリングを提供するように構成されてもよい。本開示による半導体デバイスは、半導体デバイスがデバイス故障なしに過渡電圧事象に耐えることを可能にするように構成される1つ又は複数の保護構造を含む。保護構造は、半導体デバイスのデバイス領域とセンサ領域との間の遷移領域に設けられる絶縁性層を含むことができる。絶縁ゲート半導体デバイスの実例では、保護構造の絶縁性層は、ゲート絶縁性層の絶縁破壊電圧よりも高い絶縁破壊電圧を有する材料を含むことができる。
【0008】
1つの態様では、半導体デバイスは:ドリフト領域と、ドリフト領域の第1の部分を含むデバイス領域と、ドリフト領域の第2の部分を含むセンサ領域と、デバイス領域とセンサ領域との間に配置された遷移領域とを備え、遷移領域が:ゲート・コンタクトと、ゲート・コンタクトとドリフト領域との間に配置されたゲート絶縁性層と、ゲート・コンタクトとドリフト領域との間に配置された絶縁性層であって、ゲート絶縁性層の絶縁破壊電圧よりも高い絶縁破壊電圧を有する、絶縁性層とを備える。センサ領域が電流センサを形成できる。ある実施例では、ドリフト領域の第1の部分が、第1のコンタクトと第2のコンタクトとの間に電気的に接続され、ドリフト領域の第2の部分が、第1のコンタクトとセンサ・コンタクトとの間に電気的に接続される。ある実施例では、半導体デバイスが、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備え、第1のコンタクトがドリフト・コンタクトであり、第2のコンタクトがソース・コンタクトである。ある実施例では、遷移領域内のドリフト領域の上面には、絶縁性層がない。絶縁性層の絶縁破壊電圧が、ゲート絶縁性層の絶縁破壊電圧よりも少なくとも1.5倍高い、又は1.5倍高いから200倍高いまでの範囲内、若しくはゲート絶縁性層の絶縁破壊電圧よりも1.5倍高いから200倍高いまでの範囲内であってもよい。ある実施例では、絶縁性層の厚さが、ゲート絶縁性層の厚さよりも少なくとも1.5倍厚い、又はゲート絶縁性層の厚さよりも1.5倍厚いから100倍厚いまでの範囲内である。ある実施例では、絶縁性層の厚さが、ゲート絶縁性層の厚さよりも少なくとも2倍厚い、又はゲート絶縁性層の厚さよりも2倍厚いから100倍厚いまでの範囲内である。ある実施例では、絶縁性層が、センサ領域の横方向エッジの周りにリングを形成する。ある実施例では、絶縁性層の一部分が、絶縁性層の他の部分の厚さよりも厚い厚さを有する。ある実施例では、ドリフト領域が、遷移領域に位置合わせされるドープト領域を含み、ドープト領域が、ドリフト領域のドーピング型とは反対であるドーピング型を有する。ある実施例では、絶縁性層がドープト領域上にあり、絶縁性層の幅がドープト領域の幅よりも小さい。ある実施例では、絶縁性層がドープト領域上にあり、絶縁性層の幅がドープト領域の幅と同じである。
【0009】
別の態様では、炭化ケイ素(SiC)MOSFETデバイスは、デバイス領域と電流センサ領域とを備え、SiC MOSFETデバイスが、少なくとも10キロボルト/マイクロ秒(kV/μs)の経時的な電圧変化率(dV/dt)に耐えるように構成される。ある実施例では、dV/dtが、少なくとも30kV/μs、若しくは少なくとも50kV/μs、若しくは少なくとも100kV/μs、又は10kV/μsから100kV/μsまでの範囲内、若しくは10kV/μsから200kV/μsまでの範囲内である。ある実施例では、SiC MOSFETデバイスが、1サイクルから1000サイクルまでの範囲内のdV/dtに耐えるように構成される。ある実施例では、MOSFETデバイスは:電流センサ領域及びデバイス領域の一部を形成するドリフト領域であって、電流センサ領域が遷移領域によってデバイス領域から横方向に間隔を空けられる、ドリフト領域と、ゲート・コンタクト及びゲート絶縁性層であって、ゲート絶縁性層がゲート・コンタクトとドリフト領域との間にある、ゲート・コンタクト及びゲート絶縁性層と、遷移領域内の絶縁性層であって、ゲート・コンタクトとドリフト領域との間に配置され、ゲート絶縁性層の電圧よりも高い絶縁破壊電圧を有する、絶縁性層とをさらに備える。ある実施例では、絶縁性層の厚さが、ゲート絶縁性層の厚さよりも1.5倍厚いから50倍厚いまでの範囲内である。
【0010】
別の態様では、半導体デバイスは:ドリフト領域と、ドリフト領域の第1の部分を含むデバイス領域と、ドリフト領域の第2の部分を含むセンサ領域と、デバイス領域とセンサ領域との間に配置された遷移領域を備え、遷移領域が:ゲート・コンタクトと、ゲート・コンタクトとドリフト領域との間に配置されたゲート絶縁性層と、ゲート・コンタクトとドリフト領域との間に配置された絶縁性層であって、ゲート絶縁性層の厚さよりも厚い厚さを有する、絶縁性層とを備える。ある実施例では、絶縁性層の厚さが、ゲート絶縁性層の厚さよりも少なくとも1.5倍厚い、又はゲート絶縁性層の厚さよりも1.5倍厚いから100倍厚いまでの範囲内である。ある実施例では、絶縁性層の厚さが、ゲート絶縁性層の厚さよりも少なくとも2倍厚い、又はゲート絶縁性層の厚さよりも2倍厚いから100倍厚いまでの範囲内である。ある実施例では、センサ領域が電流センサを形成する。ある実施例では、ドリフト領域の第1の部分が、第1のコンタクトと第2のコンタクトとの間に電気的に接続され、ドリフト領域の第2の部分が、第1のコンタクトとセンサ・コンタクトとの間に電気的に接続される。ある実施例では、半導体デバイスが、MOSFETを備え、第1のコンタクトがドリフト・コンタクトであり、第2のコンタクトがソース・コンタクトである。
【0011】
別の態様では、個々に若しくは一緒に前述の態様のうちのいずれか並びに/又は本明細書において説明されるような様々な別々の態様及び特徴は、さらなる利点のために組み合わせられてもよい。本明細書において開示したような様々な特徴及び要素のいずれかは、本明細書において反対に指示されない限り1つ又は複数の他の開示した特徴及び要素と組み合わせられてもよい。
【0012】
当業者は、本開示の範囲を認識し、添付の描画図面に関連する好ましい実施例の下記の詳細な説明を読んだ後で本開示のさらなる態様を理解するであろう。
【0013】
この明細書に組み込まれ、一部を形成する添付の描画図面は、開示の原理を説明するように働く記載とともに開示のいくつかの態様を図示する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施例による、例示的な半導体デバイスに関する上面視レイアウトの説明図である。
【
図2A】本開示の原理による、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)又は金属-絶縁体-半導体電界効果トランジスタ(MISFET)配置例に関する電流センサの実装形態についての等価回路の図である。
【
図2B】本開示の原理による、MOSFET又はMISFET配置例に関する電流センサの実装形態についての別の等価回路の図である。
【
図3】半導体デバイス内に組み込まれたセンサ・コンタクトを含む半導体デバイスの一部分の断面図である。
【
図4】
図3の半導体デバイスに類似しており、過渡電圧事象、欠陥、及び他の関連する損傷からゲート絶縁性層をシールドするために遷移領域に配置された保護構造をさらに含む半導体デバイスの一部分の断面図である。
【
図5】本開示の実施例による、センサ・コンタクトに対する保護構造の配置を図示する半導体デバイスに関する上面視レイアウトの説明図である。
【
図6】絶縁性層が平坦でない形状を形成する実施例に関する、
図4の半導体デバイスに類似する半導体デバイスの一部分の断面図である。
【
図7】絶縁性層が半導体デバイスの遷移領域に沿ったドリフト領域の上面のより大きな部分を覆うように形成される、実施例に関する
図4の半導体デバイスに類似する半導体デバイスの一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
下記に記述する実施例は、当業者が実施例を実行することを可能にするために必要な情報を表現し、実施例を実行する際の最良の形態を図解する。添付の描画図面を考慮して下記の説明を読むと、当業者は、開示の概念を理解し、本明細書では特に扱われていないこれらの概念の応用を認識するであろう。これらの概念及び応用が、本開示及び別記の特許請求の範囲の範囲内になることが理解されるはずである。
【0016】
第1の、第2の、等の用語が、様々な要素を説明するために本明細書では使用されることがあるとはいえ、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素をもう1つとは区別するために使用されるに過ぎない。例えば、本開示の範囲から逸脱せずに、第1の要素は第2の要素と称されてもよく、同様に、第2の要素が第1の要素と称されてもよい。本明細書において使用するように、「及び/又は」という用語は、関連して列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。
【0017】
層、領域、又は基板などのある要素が別の要素の「上に(on)」ある又は「上へと(onto)」延びると称されるとき、他の要素の直接上にある若しくは直接上内に延びてもよいこと、又は介在する要素もまた存在してもよいことを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」ある又は「直接上へと」延びると称されるとき、介在する要素が存在しない。同じように、層、領域、又は基板などのある要素が、別の要素の「上方に(over)」ある、又は「上方に」延びると称されるとき、他の要素の直接上方にある、若しくは直接上方に延びてもよいこと、又は介在する要素もまた存在してもよいことを理解されたい。対照的に、ある要素がもう1つの要素の「直接上方に」ある、又は「直接上方に」延びると称されるとき、介在する要素が存在しない。ある要素が別の要素に「接続される(connected)」又は「結合される(coupled)」と称されるとき、他の要素に直接接続される、若しくは結合されてもよいこと、又は介在する要素が存在してもよいこともまた理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続される」又は「直接結合される」と称されるとき、介在する要素が存在しない。
【0018】
「より下に(below)」若しくは「より上に(above)」又は「上部に(upper)」若しくは「下部に(lower)」又は「水平に(horizontal)」若しくは「垂直に(vertical)」などの相対的な用語は、図に図示したように1つの要素、層、又は領域の別の要素、層、又は領域に対する関係を記述するために本明細書では使用されることがある。これらの用語及び上に論じたものは、図に描かれた向きに加えてデバイスの違った向きを包含することを意図するものであることを理解されたい。
【0019】
本明細書において使用される用語法は、単に特定の実施例を説明する目的のためであり、開示を限定することを意図するものではない。本明細書において使用されるように、「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」という単数形は、文脈が明らかに別様に指示しない限り、同様に複数形を含むものである。本明細書において使用されるときに「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」という用語が、述べた特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在若しくは追加を排除しないことをさらに理解されたい。
【0020】
別様に規定しない限り、本明細書において使用される(技術用語及び科学用語を含め)すべての用語は、この開示が属する技術分野において当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を持つ。本明細書において使用される用語が、この明細書の文脈及び関連する技術分野におけるそれらの意味と整合する意味を持つように解釈されるべきであることがさらに理解され、本明細書において明示的にそのように規定されない限り、理想化された概念で又は過度に形式的な概念では解釈され得ないであろう。
【0021】
実施例は、本明細書では開示の実施例の模式的説明図を参照して説明される。それはそうとして、層及び要素の実際の寸法が異なることがあり、例えば、製造技術及び/又は許容誤差の結果として説明図の形状からの変動が予想される。例えば、方形又は矩形として図示された又は説明された領域が、丸まった又は曲がった外形を持つことがあり、直線として示された領域が何らかの異形を有してもよい。このように、図に図示された領域は模式的であり、それらの形状は、デバイスの領域の正確な形状を図示することを意図するものではないし、開示の範囲を限定することを意図するものでもない。加えて、構造又は領域のサイズは、説明的な目的のために他の構造又は領域に比較して誇張されることがあり、したがって、本主題の一般的な構造を図解するために提供され、等尺で描かれることも描かれないこともある。複数の図間の共通の要素が、共通の要素番号を用いて本明細書において示されることがあり、その後には再び説明されないことがある。
【0022】
本開示は、半導体デバイスに関し、詳細にはセンサ配置を含む半導体デバイスのための保護構造に関する。半導体デバイスは、センサ領域、例えば、デバイスの全能動エリアの一部分を占有する電流センサ領域を含むことができる。電流センサ領域は、動作中のデバイス負荷電流のモニタリングを提供するように構成されてもよい。本開示による半導体デバイスは、半導体デバイスがデバイス故障なしに過渡電圧事象に耐えることを可能にするように構成される1つ又は複数の保護構造を含む。保護構造は、半導体デバイスのデバイス領域とセンサ領域との間の遷移領域に設けられる絶縁性層を含むことができる。絶縁ゲート半導体デバイスの実例では、保護構造の絶縁性層は、ゲート絶縁性層の絶縁破壊電圧よりも高い絶縁破壊電圧を有する材料を含むことができる。
【0023】
図1は、本開示の実施例による、例示的な半導体デバイス10に関する上面視レイアウトの説明図である。例示のために、半導体デバイス10は、ゲート・コンタクト14及びいくつかのソース・コンタクト16用の開口部を形成されたパッシベーション構造12を含む縦型金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)デバイスである。ゲート・コンタクト14及びソース・コンタクト16はまた、それぞれゲート・コンタクト・パッド及びソース・コンタクト・パッドとも称されることがある。MOSFETが図示されているが、本開示の原理は、他の半導体デバイス、例えば、とりわけ、他のMOSFET、金属-絶縁体電界効果トランジスタ(MISFET)、ダイオード、ショットキー・ダイオード、ジャンクション・バリア・ショットキー(JBS)ダイオード、PiNダイオード、及び絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)に適用可能である。半導体デバイス10は、ワイド・バンドギャップ半導体デバイス、例えば、炭化ケイ素(SiC)系のデバイス、及びまださらに4H-SiC系のデバイスを含むことができる。半導体デバイス10は、ドレイン・コンタクト・パッド(図示せず)がデバイス10の裏側に位置する縦型パワー・デバイスである。ゲート・コンタクト14及びソース・コンタクト16は、外部回路への半導体デバイス10のカップリングのための表面として設けられてもよい。エッジ終端領域18が、デバイス10の外周に沿って配置されることがある。エッジ終端領域18は、半導体デバイス10の性能を向上させるため半導体デバイス10のエッジの電界の集中を低減するために配置されることがある。例えば、エッジ終端領域18は、半導体デバイス10の絶縁破壊電圧を高めることができる、及び/又は経時的な半導体デバイス10の漏れ電流を低減できる。実例として、エッジ終端領域18は、1つ又は複数のガード・リング、接合終端エクステンション(JTE)、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0024】
半導体デバイス10は、センサ・コンタクト20、又はセンサ・コンタクト・パッドをさらに備えることができる。センサ・コンタクト20は、半導体デバイス10内に少なくとも部分的に組み込まれる任意のタイプのセンサ、例えば、温度センサ、歪センサ、又は電流センサ用のコンタクトを提供できる。電流センサのケースでは、センサ・コンタクト20に対応する電流センサ領域は、そうでなければ半導体デバイス10用の能動領域10’の一部を形成するはずの半導体デバイス10のエリアを占有できる。
図1の実例では、エッジ終端領域18は、半導体デバイス10の非能動領域10”から半導体デバイス10の能動領域10’を線引きするように働くことができ、センサ・コンタクト20は、そうでなければ能動領域10’の一部を形成するはずの電流センサ領域を画定する。これに関して、センサ・コンタクト20は、半導体デバイス10の残りの能動領域のサイズよりも小さいサイズを一般に有することができる。センサ・コンタクト20は、センサ・モニタリングのための1つ又は複数の外部回路素子へ、例えば、ワイアボンド又は他の電気的接続により電気的に接続されてもよいコンタクト・パッドを提供する。電流センサのケースでは、センサ・コンタクト20は、センサ・コンタクト20に電気的に結合される半導体デバイス10のセンサ領域を流れる負荷電流の一部分をモニタリングするための1つ又は複数の外部回路素子に電気的に接続されることがある。
【0025】
図2A及び
図2Bは、本開示の原理によるMOSFET又はMISFET配置のための電流センサの実装形態に関する等価回路を表す。
図2Aは、
図1のソース・コンタクト20がセンス抵抗器(R
sense)に電気的に結合される等価回路22を図示する。
図2Aの破線の四角形が、
図1の半導体デバイス10を表し、等価回路22の残りの部分が半導体デバイス10の外部であることをともなう。別のソース・コンタクトとしてセンサ・コンタクト(
図1の20)を形成することにより、半導体デバイス10は、これにより、共通ドレイン及び共通ゲートに接続されるデバイスMOSFET(M
D)及びセンシングMOSFET(M
sense)を含む。MOSFET(M
D及びM
S)の各々のためのソース接続部は、ドレインからの電流の流れ(I
D)がMOSFET(M
D及びM
sense)の全体にわたって分割されてもよいように並列に結合される。デバイスMOSFETのソースからの電流の流れのセンシングMOSFETのソースからの電流の流れに対する比率は、能動領域により占有される半導体デバイス10の面積のセンサ領域により占有される半導体デバイス10の面積に対する比率に対応する。実例として、
図2Aは、電流の流れの比率が能動領域とセンサ領域との相対的な面積に基づいて1:250で設定される実施例を図示する。このようにして、1アンペア(A)の電流が半導体デバイス10を通り流れると、4ミリアンペア(mA)の電流がセンシングMOSFET(M
sense)のソース経路から流れることになる。センシングMOSFET(M
sense)からのソース経路に沿ってセンス抵抗器(R
sense)を配置することによって、対応するセンス電圧(V
sense)が測定され、上に説明した比率にしたがってデバイスMOSFET(M
D)の負荷電流に相関付けられることがある。他の電流センシング構成が、半導体デバイス10の配置を用いて可能である。例えば、
図2Bは、半導体デバイス10の外にある部分に対する仮想接地構成に関する等価回路24を図示する。仮想接地センシングは、より高い値のセンス電圧(V
sense)が必要とされる用途で使用されることがある。この構成では、演算増幅器(OA)及びフィードバック抵抗器(Rf)が、センシングMOSFET(M
sense)からのソース経路に結合される。このようにして、センス電圧(V
sense)は、フィードバック抵抗器(Rf)及び演算増幅器(OA)の出力に基づいて計算されてもよい。
【0026】
図3は、
図1のセンサ・コンタクト20を含む半導体デバイス26の一部分の断面図を図示する。実例として、半導体デバイス26は、プレーナ型MOSFETとして配置されるが、本開示の原理は、とりわけ、トレンチ型MOSFET、MISFET、ダイオード、ショットキー・ダイオード、JBSダイオード、PiNダイオード、及びIGBTを含め他の半導体デバイスに適用可能である。半導体デバイス26は、基板28及び基板28上のドリフト領域30を含む。ドリフト領域30は、ワイド・バンドギャップ半導体材料、例えば、SiCの1つ又は複数のドリフト層を含むことができる。基板28は、1×10
17cm
-3と1×10
20cm
-3との間のドーピング濃度を有することがある。様々な実施例では、基板28のドーピング濃度は、1×10
17cm
-3と1×10
20cm
-3との間の任意の小範囲で用意されてもよい。例えば、基板28のドーピング濃度は、1×10
18cm
-3と1×10
20cm
-3との間、1×10
19cm
-3と1×10
20cm
-3との間、1×10
17cm
-3と1×10
19cm
-3との間、1×10
17cm
-3と1×10
18cm
-3との間、及び1×10
18cm
-3と1×10
19cm
-3との間であってもよい。
【0027】
ドリフト領域30は、1×1014cm-3と1×1018cm-3との間のドーピング濃度を有することがある。様々な実施例では、ドリフト領域30のドーピング濃度は、1×1014cm-3と1×1018cm-3との間の任意の小範囲で用意されてもよい。例えば、ドリフト領域30のドーピング濃度は、1×1015cm-3と1×1018cm-3との間、1×1016cm-3と1×1018cm-3との間、1×1017cm-3と1×1018cm-3との間、1×1014cm-3と1×1017cm-3との間、1×1014cm-3と1×1016cm-3との間、1×1014cm-3と1×1015cm-3との間、1×1015cm-3と1×1017cm-3との間、1×1015cm-3と1×1016cm-3との間、及び1×1016cm-3と1×1017cm-3との間であってもよい。
【0028】
縦の破線は、デバイス領域32をセンサ領域34から線引きする半導体デバイス26の1つ又は複数の遷移領域26
Tを示すために設けられる。
図1の上面図に図示されたような単一の統合されたセンサ・コンタクト20を有する実施例に関して、
図3では破線により示された遷移領域26
Tは、センサ・コンタクト20を囲む連続的な遷移領域26
Tであってもよい。半導体デバイス26は、
図2A及び
図2Bの等価回路により図示されたように互いに並列に電気的に結合される両方のデバイス領域32及びセンサ領域34に多数のユニット・セルを含むことができる。
図3では、各々のMOSFETセルは、ドリフト領域30に、具体的に基板28とは反対のドリフト領域30の上面30Aに設けられた一対の接合注入部36を含む。接合注入部36は、ドリフト領域30のドーピング型とは反対のドーピング型を有する第1のウェル領域36A及びドリフト領域30のドーピング型と同じであるドーピング型を有する第2のウェル領域36Bを含む。接合注入部36は、接合電界効果トランジスタ(JFET)領域38によって互いに分離されてもよい。JFET領域38は、ドリフト領域30のドーピング型と同じドーピング型を有し、いくつかの実施例では、ドリフト領域30のドーピング型よりも高いドーピング濃度を有する。多数のソース・コンタクト16が、デバイス領域32内のドリフト領域30の上面30Aの接合注入部36の全体にわたって設けられ、その結果、各々のソース・コンタクト16が第1のウェル領域36A及び第2のウェル領域36Bの一部分に接触する。類似の方式で、センサ・コンタクト20が、センサ領域34のドリフト領域30の上面30A上の接合注入部36の全体にわたって設けられ、その結果、各々のセンサ・コンタクト20が対応する第1のウェル領域36Aの一部分及び第2のウェル領域36Bと接触する。この点に関して、センサ・コンタクト20は、センサ領域34用の別のソース・コンタクトを形成できる。ある実施例では、ドリフト領域30及び第2のウェル領域36Bは、n型ドーピングを含むことができ、一方で第2のウェル領域36Aがp型ドーピングを含むが、反対極性の構成もまた、本開示に適用可能である。
【0029】
ゲート絶縁性層40、又はデバイス・タイプによってはゲート酸化物層が、JFET領域38及び各々1つの接合注入部36の一部の全体にわたって基板28とは反対のドリフト領域30の上面30Aに設けられ、その結果、ゲート絶縁性層40が第2のウェル領域36Bのうちの各々1つと部分的に重なる。ゲート絶縁性層40は、ある実施例では、例えばゲート絶縁性層40がゲート酸化物層と称されることがあるMOSFET構成では、二酸化シリコンの薄層を含むことができる。他の実施例では、ゲート絶縁性層40は、非酸化物絶縁性材料及び二酸化シリコンを超える他の酸化物材料を含め、任意の絶縁性材料を含むことができる。ゲート・コンタクト42が、ゲート絶縁性層40上に設けられる。図示したように、ゲート・コンタクト42及びゲート酸化物は、デバイス領域32及びセンサ領域34の両方のMOSFETセルに対して、遷移領域26
Tを横切って設けられることがある。デバイス領域32及びセンサ領域34の両方のMOSFETセルの各々に対するゲート・コンタクト42は、
図1の同じゲート・コンタクト・パッド14に結合されることがある。代わりの構成では、半導体デバイス26は、ゲート・コンタクト42及びゲート絶縁性層40の部分が本開示の原理から逸脱せずに、ドリフト領域30のトレンチ内に存在できるトレンチ型MOSFETを具現化できる。パッシベーション層44が、ソース・コンタクト16及びセンサ・コンタクト20との電気的絶縁を与えるためにゲート・コンタクト42の上方に設けられる。ある実施例では、パッシベーション層44は、金属間誘電体と称される1つ又は複数の誘電体層を含むことができる。MOSFETセルは、デバイス領域32及びセンサ領域34の至るところに並べられることがある、又は所望の機能を与えるために1つ又は複数の他の半導体デバイス(例えば、ダイオード)と所望のパターンに並べられることがある。
【0030】
ドレイン・コンタクト46が、ドリフト領域30とは反対の基板28の表面に設けられる。したがって、ドリフト領域30の部分とデバイス領域32に配置される対応するMOSFETセルとは、ドレイン・コンタクト46とソース・コンタクト16との間に電気的に接続される。類似の方式で、ドリフト領域30の部分とセンサ領域34に配置される対応するMOSFETセルとは、ドレイン・コンタクト46とセンサ・コンタクト20との間に電気的に接続される。少数のMOSFETセルだけが図示されるが、センサ領域34内のMOSFETセルの数のデバイス領域32内のMOSFETセルの数に対する比率は、センサ領域34に対する所望の電流比率に応じて1:1、又は1:100、又は1:250、又は1:1,000,000の程度であってもよい。ある実施例では、センサ領域34は、エッジ終端領域内にある半導体デバイス26の利用可能な能動エリアの、高々20%、又は高々10%、又は高々5%を占有するように配置されてもよい。電流センシング用途に関して、センサ領域34は、電流センサ領域と称されることがある。遷移領域26Tに位置合わせされるドリフト領域30のドープト領域48が、設けられてもよい。ドープト領域48は、第1のウェル領域36Aのドーピング型と同じであり、ドリフト領域30のドーピング型とは反対であるドーピング型を有することがある。この点に関して、ドープト領域48は、遷移領域26Tを横切って延びるゲート・コンタクト42の部分をシールドするように構成されてもよい。しかしながら、このレイアウトでは、半導体デバイス26は、動作中及び/又はデバイス試験中に生じることがある過渡電圧事象に脆弱なことがある。特に、大きな経時的な電圧変化率(dV/dt)が、スイッチング事象中に誘起されることがある。大きいdV/dtは、遷移領域26T内にあるゲート絶縁性層40の絶縁破壊又は他の欠陥及び損傷を引き起こすことがある。
【0031】
図4は、
図3の半導体デバイス26に類似しており、過渡電圧事象、欠陥、及び他の関連する損傷からゲート絶縁性層40をシールドするために、遷移領域26
Tに配置された保護構造をさらに含む、半導体デバイス50の一部分の断面図を図示する。絶縁性層52が、ゲート絶縁性層40に対する保護を与えるために、ドリフト領域30の上面30Aに設けられる。絶縁性層52は、上面30Aがドープト領域48を含むエリア内のドリフト領域30の上面30Aにさらに設けられることがある。ある実施例では、絶縁性層52は、ゲート絶縁性層40及びゲート・コンタクト42が形成される前に、ドリフト領域30上に形成されることがあり、これにより遷移領域26
T内のゲート・コンタクト42とドリフト領域30との間に絶縁性層52を配置する。この点に関して、絶縁性層52は、薄いゲート絶縁性層40が遷移領域26
T内のドリフト領域30の上面30Aを完全に覆うことを妨げ、その結果、上面30Aの少なくとも一部分には遷移領域26
T内ではゲート絶縁性層40がない。加えて、ゲート絶縁性層40が、遷移領域26
Tでは絶縁性層52とゲート・コンタクト42との間に設けられないことがあり、それによりゲート絶縁性層40の全体的な存在を低減する。上に説明した配置のいずれでも、絶縁性層52は、ゲート絶縁性層40が損傷を最も受けやすい遷移領域26
Tに沿った過渡電圧事象の影響を低減するシールド又はバリアを提供する。特に、遷移領域26
Tに沿ったゲート絶縁性層40とドリフト領域30の上面30Aとの間の界面により形成されるウィーク・スポットが低減される。
【0032】
ある実施例では、絶縁性層52は、ゲート絶縁性層40の絶縁破壊電圧よりも高い絶縁破壊電圧を有する構造を含む。例えば、絶縁性層52の絶縁破壊電圧は、ゲート絶縁性層40の絶縁破壊電圧よりも少なくとも1.5倍高い、若しくは少なくとも2倍高い、若しくは少なくとも3倍高い、若しくは少なくとも5倍高い、若しくは少なくとも10倍高い、若しくは少なくとも50倍高い、若しくは少なくとも100倍高い、若しくは少なくとも200倍高い、又は先の値のうちのいずれかにより規定される終点を有する任意の範囲であってもよい。例えば、絶縁性層52の絶縁破壊電圧は、ゲート絶縁性層40の絶縁破壊電圧よりも1.5倍高いから200倍高いまでの範囲内、又は1.5倍高いから100倍高いまでの範囲内、又は5倍高いから100倍までの範囲内、又は5倍高いから200倍高いまでの範囲内であってもよい。特定の実例では、絶縁性層52は、650ボルト(V)から750Vまでの範囲内の絶縁破壊電圧を有し、一方でゲート絶縁性層40は、40Vから60Vまでの範囲内の絶縁破壊電圧を有する。ある実施例では、絶縁性層52は、ゲート絶縁性層40の材料よりも高い絶縁破壊電圧を有する別の材料を含むことができる。そのような実施例では、絶縁性層52及びゲート絶縁性層40の厚さは、絶縁性層52がより高い絶縁破壊電圧を有する限り同じであっても異なっていてもよい。他の実施例では、絶縁性層52及びゲート絶縁性層40は同じ材料を含むことができ、より高い絶縁破壊電圧が、ゲート絶縁性層40の対応する厚さ又は高さよりも厚い、ドリフト領域30からの厚さ又は高さを有する絶縁性層52を設けることによって実現される。例えば、絶縁性層52の厚さは、ゲート絶縁性層40の厚さの少なくとも1.5倍、若しくは少なくとも2倍、若しくは少なくとも3倍、若しくは少なくとも100倍、又はゲート絶縁性層40の厚さの1.5倍から50倍までの範囲内、若しくは1.5倍から100倍までの範囲内、若しくは2倍から50倍までの範囲内、若しくは2倍から100倍までの範囲内であってもよい。特定の実例では、絶縁性層52は、550ナノメートル(nm)から650nmまでの範囲内の厚さを有し、ゲート絶縁性層40は、30nmから50nmまでの範囲内の厚さを有する。MOSFET用途に関して、ゲート絶縁性層40は、ゲート酸化物を含むことができ、絶縁性層52は、上に説明したように、より厚いフィールド酸化物層を含むことができる。そのような実施例では、ゲート絶縁性層40及び絶縁性層52の両者は、MOSFET用途において使用される他のゲート酸化物の中で、二酸化シリコンを含むことができる。
【0033】
絶縁性層52により設けられる保護構造を有することによって、半導体デバイス50の全体的な構造は、高速スイッチング中に引き起こされることがある1つ又は複数のdV/dt事象を含め、過渡電圧事象を取り扱うことに対して、より強健である。例えば、本開示の絶縁性層52を有するSiC MOSFETデバイスは、これによってデバイス故障なしに少なくとも10キロボルト/マイクロ秒(kV/μs)のdV/dtに耐える又は定格化されるように構成され得る。その上さらなる実施例では、SiC MOSFETデバイスは、少なくとも30kV/μs、若しくは少なくとも50kV/μs、若しくは少なくとも100kV/μs、又は10kV/μsから100kV/μsまでの範囲内、若しくは10kV/μsから200kV/μsまでの範囲内、若しくは50kV/μsから150kV/μsまでの範囲内、若しくは100kV/μsから200kV/μsまでの範囲内、又はデバイス故障なしに先の値のうちのいずれかにより決定される終点を有する任意の範囲に耐えるように構成される。その上さらなる実施例では、SiC MOSFETデバイスは、単一のスイッチング・サイクルから少なくとも1000スイッチング・サイクル以上にわたってのdV/dt値のうちのいずれかに耐えることができる。上に説明した実施例のいずれかでは、例示的なSiC MOSFETは、4H-SiC MOSFETデバイスを含むことができる。
【0034】
図5は、本開示の実施例によるセンサ・コンタクト20に対する、絶縁性層52の保護構造配置を図示する、半導体デバイス54に関する上面視レイアウトの説明図である。半導体デバイス54の一部分が、説明図の左に分解図で与えられる。説明目的で、上に重なるセンサ・コンタクト20、ソース・コンタクト16、及びパッシベーション構造12が、分解図の画像部分では省略される。それはそうとして、ドリフト領域30へのオーミック・コンタクトを形成するセンサ・コンタクト20の部分20’、又はそのエクステンションが、先に説明したようにセンサ領域34のユニット・セルのパーツを形成するアレイで図示される。同様の方式で、ドリフト領域30へのオーミック・コンタクトを形成するソース・コンタクト16の部分16’、又はそのエクステンションが、デバイス領域32のユニット・セルのパーツを形成するアレイで図示される。部分16’はまた、パッシベーション構造12の下にパターニングされ、ソース・コンタクト16の外側のコンタクト金属を表すことができる。図示したように、絶縁性層52は、センサ領域34とデバイス領域32との間の線引きを提供するためにセンサ・コンタクト20及びセンサ領域34の横方向エッジの周りに1つ又は複数の連続するリングを形成できる。
【0035】
図6は、絶縁性層52が平坦でない形状を形成する実施例に関する
図4の半導体デバイス50に類似する、半導体デバイス56の一部分の断面図を図示する。
図6では、絶縁性層52のより厚い部分52’が、絶縁性層52の中心に沿って形成されて、ドリフト領域30とは反対である絶縁性層52の1つ又は複数の平坦でない表面を形成する。このようにして、絶縁性層52によって与えられる保護構造の厚くなった量は、ドリフト領域30に対する絶縁性層52の横方向のフットプリントを大きくせずに、遷移領域26
T内に形成されることがある。絶縁性層52の厚さの厚くなった部分52’が絶縁性層52の中央に図示されるが、厚さの厚くなった部分52’は、実施例に応じてセンサ領域34又はデバイス領域32のいずれかの近くに配置されてもよい。さらなる実施例では、絶縁性層52は、多数の厚さの厚くなった部分52’で形成されてもよい。
図6では、厚さの厚くなった部分52’は、絶縁性層52に関する階段的なプロファイルを形成する。他の実施例では、厚さの厚くなった部分52’は、絶縁性層52の横方向エッジに向かって、直線的な方式及び/又は湾曲した方式のうちの1つ又は複数で勾配を付けられるピークを形成してもよい。
【0036】
図7は、絶縁性層52がドリフト領域30の上面30Aのより大きな部分を覆うように形成される実施例に関する、
図4の半導体デバイス50に類似する半導体デバイス58の一部分の断面図を図示する。図示したように、絶縁性層52は、ドリフト領域30のドープト領域48の横方向の幅に近い又は同じである横方向の幅で形成されることがある。このようにして、ゲート絶縁性層40用の材料の量は、遷移領域26
Tに沿っている半導体デバイス58のエリアをさらに低減することができる。ゲート絶縁性層40が絶縁性層52の上方に形成しない実施例に関して、ゲート絶縁性層40は、これゆえに、過渡電圧事象からの影響をさらに低減させるために遷移領域26
Tからさらに遠く離れて間隔を空けられる。絶縁性層52が
図7ではドープト領域48の横方向の幅と同じ横方向の幅で示される一方で、絶縁性層52は、ドープト領域48の幅よりも狭い、大きくなった幅で形成されることがある。例えば、絶縁性層52は、様々な実施例では、ドープト領域48の幅の少なくとも50%、若しくは少なくとも75%、若しくは少なくとも90%で、又は50%から100%までの範囲内の幅で形成されてもよい。
【0037】
本開示がMOSFETを含む例示的な実施例を提供する一方で、本開示の原理はまた、他の半導体デバイス、例えば、とりわけ、MOSFET、ダイオード、ショットキー・ダイオード、JBSダイオード、PiNダイオード、及びIGBTにも適用可能である。本開示の半導体デバイスは、ワイド・バンドギャップ半導体デバイス、例えばSiC系のデバイスを具現化できる。
【0038】
前述の態様のうちのいずれか、並びに/又は本明細書において説明したような様々な別々の態様及び特徴が、追加の利点のために組み合わせられてもよいことが考えられる。本明細書において開示したような様々な実施例のうちのいずれかは、本明細書において逆に指示されない限り1つ又は複数の他の開示した実施例と組み合わせられてもよい。
【0039】
当業者は、本開示の好ましい実施例への改善及び修正を認識するであろう。すべてのそのような改善及び修正は、本明細書において開示した概念及び後記の特許請求の範囲の範囲内であると考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリフト領域と、
前記ドリフト領域の第1の部分を含むデバイス領域と、
前記ドリフト領域の第2の部分を含むセンサ領域と、
前記デバイス領域と前記センサ領域との間に配置された遷移領域と
を備え、前記遷移領域が、
ゲート・コンタクトと、
前記ゲート・コンタクトと前記ドリフト領域との間に配置されたゲート絶縁性層と、
前記ゲート・コンタクトと前記ドリフト領域との間に配置された絶縁性層であって、前記ゲート絶縁性層の絶縁破壊電圧よりも高い絶縁破壊電圧を有する、絶縁性層と
を備える、半導体デバイス。
【請求項2】
前記センサ領域が、電流センサを形成している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記ドリフト領域の前記第1の部分が、第1のコンタクトと第2のコンタクトとの間に電気的に接続され、前記ドリフト領域の前記第2の部分が、前記第1のコンタクトとセンサ・コンタクトとの間に電気的に接続されている、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備え、前記第1のコンタクトが、ドリフト・コンタクトであり、前記第2のコンタクトが、ソース・コンタクトである、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記遷移領域内の前記ドリフト領域の上面には、前記絶縁性層がない、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記絶縁性層の前記絶縁破壊電圧が、前記ゲート絶縁性層の前記絶縁破壊電圧よりも少なくとも1.5倍高い、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記絶縁性層の厚さが、前記ゲート絶縁性層の厚さよりも少なくとも1.5倍厚い、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記絶縁性層が、前記センサ領域の横方向エッジの周りにリングを形成している、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記絶縁性層の一部分が、前記絶縁性層の他の部分の厚さよりも厚い厚さを有する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記ドリフト領域が、前記遷移領域に位置合わせされているドープト領域を含み、前記ドープト領域が、前記ドリフト領域のドーピング型とは反対であるドーピング型を有する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記絶縁性層が、前記ドープト領域上にあり、前記絶縁性層の幅が、前記ドープト領域の幅
以下である、請求項1
0に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記半導体デバイスが、前記デバイス領域と
前記電流センサ領域とを備える炭化ケイ素(SiC)金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)デバイスであって、
前記SiC MOSFETデバイスが、少なくとも10キロボルト/マイクロ秒(kV/μs)の経時的な電圧変化率(dV/dt)に耐えるように構成されている、
請求項1に記載の半導体デバイス。
【国際調査報告】