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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】関節鏡切除プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20231114BHJP
   A61B 17/3209 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/3209
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519609
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 US2021057323
(87)【国際公開番号】W WO2022094258
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/107,766
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/223,651
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】510059882
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・オルソペディクス・アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】519295384
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・アジア・パシフィク・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リン、クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】グッド、ジョンソン イー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF19
4C160KK03
4C160KK14
4C160KK37
4C160KK64
(57)【要約】
外側の導電性スリーブ及び内側スリーブを有する細長いシャフトを含む、組み合わせ関節鏡組織切除プローブが開示されている。各スリーブは、切断窓を有する遠位領域を有し、内側スリーブは組織を切断するために回転可能である。外側スリーブ遠位領域の外側面は、セラミック本体(580)及び電極(570)を支持する。活性電極(570)が、互いに角度的にオフセットされた2つの部分を画定し、2つの部分が、管状遠位端に沿って円周方向及び軸方向に延在する第1の部分(571)、及び第1の部分の遠位端から管状遠位端を横切って延在する第2の部分(578)を含み、第2の部分が、電気絶縁スペーサ(580)中のノッチ(581)と係合して、電気絶縁スペーサ(580)からの活性電極の分離に抵抗するように構成された少なくとも1つのフランジ(595)を有する。電極、セラミック本体、及び外側スリーブは各々、流体アブレーション副生成物をシャフトの内部に吸引するための、第1の吸引(572、586、512)開口部を画定する。電気外科機能を維持しながら、ロープロファイルのプローブ遠位端を提供する、改善された電極取り付けの様々な方法が開示されている。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を機械的に切除し、かつ電気外科的に治療するための組織切除プローブであって、
第1の円周側面上に切断窓を有する導電性の管状遠位端と、
前記管状遠位端の第2の円周側面上に巻き付けられた電気絶縁スペーサと、
前記絶縁スペーサに固設された活性電極であって、前記活性電極が、互いに角度的にオフセットされた2つの部分を画定し、前記2つの部分が、前記管状遠位端に沿って円周方向及び軸方向に延在する第1の部分、及び前記第1の部分の遠位端から前記管状遠位端を横切って延在する第2の部分を含み、前記第2の部分が、前記電気絶縁スペーサ内のノッチと係合して、前記電気絶縁スペーサからの前記活性電極の分離に抵抗するように構成された少なくとも1つのフランジを有する、活性電極と、を備える、組織切除プローブ。
【請求項2】
前記第2の部分が、長手方向軸に垂直に延在する、請求項1に記載の組織切除プローブ。
【請求項3】
前記第2の部分が、前記組織切除プローブの最も遠位の表面を画定する、請求項1に記載の組織切除プローブ。
【請求項4】
前記第1の部分が、軸方向に先細であり、前記第1の部分の遠位端で組織を精密に切開するように構成されている、請求項1に記載の組織切除プローブ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのフランジが、前記電気絶縁スペーサ内に近位方向に延在する、請求項1に記載の組織切除プローブ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのフランジが、両側フランジを含む、請求項1に記載の組織切除プローブ。
【請求項7】
前記第2の部分が、使用中に前記活性電極上の外力をそらすように構成された遠位に面する凹面を画定する、請求項1に記載の組織切除プローブ。
【請求項8】
前記絶縁スペーサが、前記管状遠位端の周りに前記切断窓の切刃まで延在する、請求項1に記載の組織切除プローブ。
【請求項9】
前記絶縁スペーサが、前記管状遠位端の遠位に面する端面を覆うように上に延在し、それによって前記組織切除プローブの最も遠位の端部の少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の組織切除プローブ。
【請求項10】
前記活性電極が、前記絶縁スペーサを通ってトンネルに沿って延在し、それによって前記第2の部分から近位方向に分離された第2の位置に前記活性電極を保持するように構成された、前記活性電極の第1の部分から近位方向に延在するネックを含む、請求項1に記載の組織切除プローブ。
【請求項11】
絶縁スペーサの外面の周りに延在し、かつ前記管状遠位端に電気的にも機械的にも結合された、保持クリップを更に備える、請求項1に記載の組織切除プローブ。
【請求項12】
前記管状遠位端及び前記保持クリップの両方が、前記組織切除プローブの外面を画定する、請求項11に記載の組織切除プローブ。
【請求項13】
前記保持クリップが、前記活性電極に隣接して配設された遠位方向に延在するタブを含み、前記遠位方向に延在するタブが、標的間隔に従って前記活性電極の近位端及び前記保持クリップを配列し、それによって電気外科的組織効果を改善するように構成されている、請求項12に記載の組織切除プローブ。
【請求項14】
保持クリップが、両側の半径方向に引っ込んだ端部を含む、請求項11に記載の組織切除プローブ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのフランジが、前記ノッチと係合し、付随して前記活性電極を軸方向に位置決めして、前記絶縁スペーサと前記活性電極の近位端との間の軸方向間隙を維持するように構成されており、前記軸方向間隙が、使用中に前記管状遠位端に沿った応力集中を軽減するように構成されている、請求項1に記載の組織切除プローブ。
【請求項16】
組織を機械的に切除し、かつ電気外科的に治療するための組織切除プローブであって、
戻り電極を画定する管状遠位端を備え、前記管状遠位端が、
前記管状遠位端の第1の円周側面上に配設された、切刃を有するアパーチャと、
前記アパーチャの反対側の前記管状遠位端の第2の円周側面の周りに巻き付けられた絶縁スペーサと、
前記絶縁スペーサによって支持された活性電極であって、前記活性電極が、前記管状遠位端に沿って軸方向及び円周方向に延在する第1の部分と、前記第1の部分の遠位端から延在し、かつそこから角度的にオフセットされた保持フックと、を有し、前記保持フックが、前記絶縁スペーサと前記活性電極とを固設して、前記絶縁スペーサからの前記活性電極の分離に抵抗するように構成されている、活性電極と、を備える、組織切除プローブ。
【請求項17】
前記保持フックが、前記組織切除プローブの遠位に面する表面を画定する、請求項16に記載の組織切除プローブ。
【請求項18】
前記保持フックが、前記組織切除プローブの長手方向軸に向かって延在する第1の突出部と、前記絶縁スペーサの遠位端のノッチ内に嵌合するよう構成された、前記第1の突出部から延在するフランジ突出部と、を含む、請求項16に記載の組織切除プローブ。
【請求項19】
前記フランジ突出部が、前記長手方向軸に沿って延在する、請求項18に記載の組織切除プローブ。
【請求項20】
組み合わせの電気外科的及び機械的切除アセンブリの管状エンドエフェクタであって、
前記管状エンドエフェクタの第1の円周側面上に切断窓を画定する金属構成要素であって、戻り電極として構成されている、金属構成要素と、
セラミックスペーサであって、前記セラミックスペーサが前記第1の円周側面の反対側の前記管状エンドエフェクタの第2の円周側面を形成するように前記金属構成要素に固定的に結合されており、前記セラミックスペーサの遠位端が、溝を含む、セラミックスペーサと、
前記セラミックスペーサに固設された活性電極であって、前記活性電極が、前記切断窓の反対側に位置決めされており、前記活性電極が、円周治療面と、前記円周治療面の遠位端から延在し、かつそこから角度的にオフセットされた保持フックと、を含み、前記保持フックが、前記溝内で動作可能に結合し、それによって前記活性電極を前記管状エンドエフェクタで保持するための少なくとも1つの突出部を含む、活性電極と、を備える、管状エンドエフェクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が、両方とも「ARTHROSCOPIC RESECTION PROBE」と題された、2020年10月30日に出願された米国仮特許第63/107,766号、及び2021年7月20日に出願された米国仮特許第63/223,651号の利益を主張し、その全体を参照により組み込む。
【0002】
本開示は、組織を切除するための外科用装置及び関連する方法に関する。本開示は、より具体的には、組織をアブレーション、切断、又は凝固するための電気外科アセンブリと一体の機械的切除ブレードに結合された電動手持ち式器具を含む、関節鏡手術で使用するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
電気外科システムは、外科手術中に特定の機能を実行するために医師によって使用される。例えば、アブレーションモードでは、電気外科システムは、高周波数の電気エネルギーを使用して、洞組織、脂肪組織、若しくは半月板などの関節内の組織などの軟部組織、又は軟骨若しくは滑膜組織を切除する。一部の電気外科システムは、治療中に切除された組織を除去し得る吸引を含み、組織治療の速度を制御し、かつ手持ち式デバイスを冷却するのに役立つ。
【0004】
組織切除用の機械的切断ツールもまた長年使用されてきた。これらのタイプのツールは、典型的には、電動ハンドピースと、ハンドピースの遠位端に固設されている回転切断ブレードと、を含む。関節鏡手術又は内視鏡手術では、機械的切除ツール及び電気外科的ツールの両方が、単一のカニューレ内で頻繁に交換され、両方のオプションを単一のデバイスに組み合わせる必要性について言及している。これは、手術時間及び失血と関連する合併症を低減し得る。しかしながら、組み合わせデバイスは、一般に妥協を伴う傾向がある。例えば、電気外科アセンブリの少なくとも一部は、デバイスの外面上に位置し、デバイスの内側部分は、吸い上げ及び可動機械的切除構成要素専用であることが好ましい。外側プロファイルの変化を最小限に抑えて電気外科アセンブリを確実に固設することは困難である。以前に試みられた解決策は、より大きなプロファイルサイズを有するプローブを提供することによって、又は機械的切除若しくは電気外科的治療のいずれかの機能を低下させることによって妥協した。したがって、機械的切断及び電気外科的治療の両方の機能を損なうことなく器具のプロファイルサイズを最小限に保ちつつ、確実に固設された電気外科アセンブリ構造体を含む組み合わせデバイスを提供する必要がある。
【0005】
更なる例として、機械的切除ツールは、モータを含む多目的のハンドルを含み得る。これらのハンドル及び関連する構成要素は、より熱を伝導しやすい金属の導電性構成要素を含み得る。電気外科用エネルギーの印加により、これらのハンドル構成要素を通して移送され得るデバイスを通して引き出される流体が加熱され得る。以前に試みられた解決策には、バルクとなり得る絶縁若しくは導電性の低い構成要素の追加、又は代替として、治療を中断し得る温度感知の追加が含まれ得る。したがって、機械的切断及び電気外科的治療の両方の機能を損なうことなく、デバイスを通して引き出される流体温度を制限する手段を含む、組み合わせデバイスを提供する必要がある。
【0006】
表記及び用語
特定の用語が、特定のシステム構成要素を指すために、以下の説明及び特許請求の範囲全体を通して使用される。当業者であれば理解するように、電気外科システムを設計及び製造する企業は、異なる名称によって構成要素を指し得る。本書は、名称が異なるが機能が異ならない構成要素間を区別することを意図していない。
【0007】
以下の考察及び特許請求の範囲において、「含む」及び「備える」という用語は、オープンエンド形式で使用され、したがって、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきである。また、「結合(couple)」又は「結合(couples)」という用語は、間接的又は直接的な接続のいずれかを意味することが意図されている。したがって、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接接続を介して、又は他のデバイス及び接続を介した間接的な接続を介してもよい。
【0008】
単数形の項目への言及は、複数の同じ項目が存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、「said」及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形を含む。更に、任意の任意選択の要素を除外するために、特許請求の範囲が起草され得ることに留意されたい。したがって、本明細書は、特許請求の範囲の要素の列挙、又は「負」の限定の使用に関連して、そのような排他的な用語を「単独」、「のみ」などとして使用するための先行的基礎としての役割を果たす。最後に、別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有することが理解されるべきである。
【0009】
「アブレーション」は、プラズマとの組織相互作用に基づく組織の除去を意味するものとする。
【0010】
「アブレーションのモード」は、アブレーションの1つ以上の特性を指すものとする。アブレーションの欠如(すなわち、プラズマの欠如)は、「アブレーションモード」とはみなされないものとする。凝固のみを実行するモードは、アブレーションモードとはみなされないものとする。
【0011】
「活性電極」は、治療の標的となる組織と接触したとき、又は治療の標的となる組織に近接したときに電気的に誘導された組織変化効果を生じる、開示された実施形態の電極を意味するものとする。
【0012】
「戻り電極」は、活性電極に対する電荷の電流経路を提供する役割を果たす、開示された実施形態の電極、及び/又はそれ自体が、治療の標的となる組織に対して電気的に誘導された組織変化効果を生じさせない、開示された実施形態の電極を意味するものとする。
【0013】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の全ての介在する値、及びその記載される範囲内の任意の他の記載又は介在する値は、本発明内に包含されることが理解される。また、説明される発明の変形の任意の任意選択の特徴は、独立して、又は本明細書に説明される特徴のうちの任意の1つ以上と組み合わせて記載され、特許請求され得ることが企図される。
【0014】
本明細書に記述された全ての既存の主題(例えば、刊行物、特許、特許出願、及びハードウェア)は、主題が本発明の主題と矛盾し得る場合を除き(その場合、本明細書に存在するものが優先される)、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照される項目は、本出願の出願日の前にそれらの開示のみのために提供される。本明細書のいかなる規定も、本発明が先行発明により、そのような材料に先行する権利を有しないことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
例示的な実施形態の詳細な説明について、次に、添付図面を参照する。
【0016】
図1】本開示による、組み合わせ切除プローブ、及びそれに接続された関連機器を含む例示的なシステムを示す。
図2】本開示による、組み合わせ切除プローブのブレード部分を示す。
図3A】本開示による、組み合わせ切除プローブのブレード遠位部分の斜視図を示す。
図3B】本開示による、図3Aに示すブレード遠位部分の底面図を示す。
図3C】本開示による、図3Aに示すブレード遠位部分の側面図を示す。
図3D】本開示による、図3Aに示すブレード遠位部分の断面図を示す。
図4A】本開示による、組み合わせ切除プローブのブレード遠位部分の別の実施形態の上面図を示す。
図4B】本開示による、図4Aのブレード遠位部分の側面図を示す。
図5A】本開示による、組み合わせ切除プローブのブレード遠位部分の別の実施形態の斜視図を示す。
図5B】本開示による、図5Aに示すブレード遠位部分の分解図を示す。
図5C】本開示による、図5Aに示すブレード遠位部分の別のビューを示す。
図5D】本開示による、図5Aに示すブレード遠位部分の側面図を示す。
図5E】本開示による、図5Aに示すブレード遠位部分の端面図を示す。
図5E】本開示による、図5Aに示すブレード遠位部分の別の分解図を示す。
図5G】本開示による、図5Aに示すブレード遠位部分の上面図を示す。
図6】本開示による、組み合わせ切除プローブのブレード遠位部分の別の実施形態の端面図を示す。
図7】本開示による、組み合わせ切除プローブのブレード遠位部分の別の実施形態の端面図を示す。
図8A】本開示による、組み合わせ切除プローブのブレード遠位端の別の実施形態の斜視図を示す。
図8B】本開示による、図8Aに示すブレード遠位部分の断面図を示す。
図9A】本開示による、組み合わせ切除プローブのブレード遠位端の別の実施形態の上面図を示す。
図9B】本開示による、図9Aに示すブレード遠位部分の側面図を示す。
図10A】本開示による、組み合わせ切除プローブのブレード遠位端の別の実施形態の斜視図を示す。
図10B】本開示による、図10Aに示すブレード遠位部分の分解図を示す。
図10C】本開示による、図10Aに示すブレード遠位部分の上面図を示す。
図10D】本開示による、図10Aに示すブレード遠位部分の端面図を示す。
図10E】本開示による、図10Aに示すブレード遠位部分の断面図を示す。
【発明の概要】
【0017】
概して、本開示は、組織を機械的に切除する、及び組織を電気外科的に治療する両方の組み合わせデバイスを含むシステムを説明する。したがって、様々な実施形態は、機械的切断、電気外科アブレーション、及び吸引を用いて、組織を除去するための様々なシステム及び方法を対象とする。本明細書は、次に、例示的なシステムに移る。
【0018】
様々な実施形態は、ハンドル部分及びブレード部分を含む、患者の組織を除去及び治療するための組み合わせ関節鏡プローブを対象とする。ハンドル部分は、モータを制御するための制御ボックスに選択的に結合されたモータを含む。ブレード部分は、それを通って延在する内腔を有する外側スリーブと、内腔に沿った内側シャフトと、を含む。外側スリーブは、固定された又は静止スリーブとなるようにハンドル部分に固定され得る。外側スリーブは、遠位端に窓を有し、窓は、切刃を有する。内側シャフトはまた、その遠位端に切刃を有し得、内側シャフトを移動させ、外側スリーブ窓切刃と協働して組織を機械的に切断させるように動作可能なモータに結合される。内側シャフトは、回転し得る。内側シャフトは、外側スリーブ窓と軸方向に一致する窓を画定し得る。内側シャフトは、流体を除去し、かつ内側シャフト窓を通して、内側シャフトに沿って治療部位から副生成物を切除するように構成された、吸引装置と連通する細長いボアを含み得る。
【0019】
外側スリーブは、外側スリーブの遠位端に露出された導電性部分を画定する少なくとも部分的に露出されている導電性材料を含む。外側スリーブは、外側スリーブ内側内腔の一部分を画定し得る誘電体スペーサを支持し得る。誘電体スペーサは、活性電極を支持し得、活性電極を外側スリーブから電気的に絶縁する。誘電体スペーサは、好ましくはプラズマからの劣化に対して耐性があり得る任意の電気絶縁材料で形成され得る。誘電体スペーサは、セラミックで形成され得る。誘電体スペーサは、スリーブがRF発生器に電気的に結合されて、戻り電極として動作し得るように、スリーブの露出した導電性部分から活性電極を電気的に絶縁するように構成されている。
【0020】
組織切除プローブの一例が、組織の機械的切除及び電気外科的治療のために開示されている。プローブは、第1の円周側面上に切断窓を有する、導電性である管状遠位端と、第2の円周側面上に巻き付けられた電気絶縁スペーサと、を有する。活性電極は、電気絶縁スペーサに固設されている。活性電極は、互いに角度的にオフセットされた2つの部分を有する。これらの部分のうちの第1の部分は、管状遠位端に沿って円周方向及び軸方向に延在する。これらの部分のうちの第2の部分は、第1の部分の遠位端から管状遠位端を横切って延在する。第2の部分は、電気絶縁スペーサ内の対応するノッチと係合して、電気絶縁スペーサからの活性電極の分離に抵抗する、少なくとも1つのフランジを有する。
【0021】
いくつかの特定の実施形態では、第2の部分は、長手方向軸に垂直に延在する。第2の部分は、組織切除プローブの最も遠位の表面を画定し得る。第1の部分は、第1の部分の遠位端で組織を精密に切開するために、軸方向に先細であり得る。いくつかの例、実施形態では、少なくとも1つのフランジは、電気絶縁スペーサ内に近位方向に延在し得、又は少なくとも1つのフランジは、両側フランジを含み得る。第2の部分は、使用中に活性電極上の外力をそらすのに役立つ遠位に面する凹面を画定し得る。いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つのフランジは、ノッチと係合し、付随して活性電極を軸方向に位置決めして、絶縁スペーサと活性電極の近位端との間の軸方向間隙を維持し得、軸方向間隙は、使用中に管状遠位端に沿った応力集中を軽減するように構成されている。いくつかの例示的な実施形態では、絶縁スペーサは、管状遠位端の周りに切断窓の切刃まで延在し得る。絶縁スペーサは、管状遠位端の遠位に面する端面上に延在しかつそれを覆い得、それによって、組織切除プローブの最も遠位の端部の少なくとも一部分を画定する。活性電極は、絶縁スペーサを通ってトンネルに沿って延在し、それによって第2の部分から近位方向に分離された第2の位置に活性電極を保持するように構成された、活性電極の第1の部分から近位方向に延在するネックを含み得る。いくつかの例示的な実施形態では、組織切除プローブは、絶縁スペーサの外面の周りに延在し、かつ管状遠位端に電気的にも機械的にも結合する、保持クリップを含み得る。管状遠位端及び保持クリップの両方は、組織切除プローブの外面を画定し得る。保持クリップは、活性電極と同じ円周側面上に、遠位方向に延在するタブを含み得、このタブは、標的間隔に従って活性電極の近位端及び保持クリップを配列し、それによって電気外科的組織効果を改善するように構成されている。保持クリップは、両側の半径方向に引っ込んだ端部を含み得る。
【0022】
別の例示的な実施形態の組織切除プローブが、組織を機械的に切除し、かつ電気外科的に治療するために開示されている。このプローブは、戻り電極を画定する管状遠位端を含む。切刃を有するアパーチャが、管状遠位端の第1の円周側面上に配設されている。絶縁体スペーサが、アパーチャの反対側の管状遠位端の第2の円周側面の周りに巻き付けられている。活性電極が、絶縁スペーサに固設されており、活性電極は、管状遠位端に沿って軸方向及び円周方向に延在する第1の部分と、第1の部分の遠位端から延在し、かつそこから角度的にオフセットされた保持フックと、を有する。保持フックは、活性電極の遠位端を絶縁スペーサに取り付けて、絶縁スペーサからの活性電極の分離に抵抗するように構成されている。
【0023】
いくつかの特定の実施形態では、保持フックは、組織切除プローブの遠位に面する表面を画定し得る。保持フックは、組織切除プローブの長手方向軸に向かって延在する第1の突出部と、絶縁スペーサの遠位端のノッチ内に嵌合するよう構成された、第1の突出部から延在するフランジ突出部とを含み得る。フランジ突出部は、長手方向軸に沿って延在し得る。
【0024】
組み合わせの電気外科的及び機械的切除アセンブリの管状エンドエフェクタもまた本明細書に開示されている。エンドエフェクタは、管状エンドエフェクタの第1の円周側面上に切断窓を画定する金属構成要素を含む。金属構成要素は、アセンブリの戻り電極を画定する。エンドエフェクタはまた、セラミックスペーサが第1の円周側面の反対側の管状エンドエフェクタの第2の円周側面を形成するように、金属構成要素に取り付けられたセラミックスペーサを含む。セラミックスペーサの遠位端面は、溝を含む。管状エンドエフェクタはまた、セラミックスペーサに固設された活性電極を含み、活性電極は、切断窓の反対側に位置決めされている。活性電極は、円周治療面と、円周治療面の遠位端から延在し、かつそこから角度的にオフセットされた保持フックとを含む。保持フックは、溝内で動作可能に結合し、それによって活性電極を管状エンドエフェクタで保持するための少なくとも1つの突出部を含む。
【0025】
外側の導電性スリーブ及び内側スリーブを有する細長いシャフトを含み得る、関節鏡組織切除プローブの別の例示的な実施形態が、本明細書に開示されている。各スリーブは、切断窓を画定する遠位領域を含み、内側スリーブは、組織を切断するために回転可能である。プローブはまた、外側スリーブの遠位領域に沿って外側スリーブの外側面上に配設されたセラミック本体を含み得る。電極は、セラミック本体によって支持されており、第1の吸引開口部は、流体及びアブレーション副生成物を、それを通して、シャフトの内部に吸引するために、電極、セラミック本体、及び外側スリーブを通って延在する。第2の吸引開口部は、少なくとも部分的に導電性スリーブによって画定されており、かつそれを通して、シャフトの内部に吸引するために、電極から離間している。
【0026】
関節鏡組織切除プローブのいくつかの例示的な実施形態では、電極、セラミック本体及び外側スリーブは全て、第1の吸引開口部を画定する外側スリーブ切断窓から離間した360度有界穴を含む。有界穴は、シャフトの内部への有界穴を通した吸引のために整列しており、有界穴は、細長いシャフトの長手方向軸に対して横方向の軸に沿って整列している。プローブのいくつかの例示的な実施形態では、導電性スリーブ及び内側スリーブの両方が、電極から離間し、かつ整列したときに第2の吸引開口部を形成する、360度有界穴を画定する。あるいは、第2の吸引開口部は、両方のスリーブの切刃によって画定された境界によって画定され得る。第2の吸引開口部は、電極に対して近位方向に配設され得る。第2の吸引開口部は、第1の吸引開口部に対して近位方向に配設され得る。第2の吸引開口部は、両方の切断窓に対して近位方向に配設され得る。第1の吸引開口部及び第2の吸引開口部は各々、電極で安定したプラズマを形成する流量で第1の吸引開口部を通る吸引のバランスを取るように構成された開口部サイズを有し得る。第2の吸引開口部は、それを通して流体を受容し、第1の吸引開口部を通して吸引された流体を冷却し、それによってプローブの加熱を軽減するように構成され得る。
【0027】
本明細書に開示された更なる例示的な実施形態では、関節鏡組織切除プローブは、外側の導電性スリーブ及び内側スリーブを有する細長いシャフトを含み得、各スリーブは、切断窓を画定する遠位領域を有し、内側スリーブは、組織を切断するために回転可能である。セラミック本体が、外側スリーブの遠位領域上の外側スリーブの外側面に沿って配設されている。電極は、セラミック本体によって支持されており、第1の吸引開口部は、流体及びアブレーション副生成物を、それを通して、シャフトの内部に吸引するために、電極、セラミック本体、及び外側スリーブを通って延在する。プローブはまた、セラミック本体の一部分を覆い、かつ遠位領域に固設する、クリップ又はカラーを含み、クリップ又はカラーは、別々に形成されており、導電性スリーブに直接固定されている。
【0028】
いくつかの例示的な実施形態では、カラー又はクリップは、セラミック本体を導電性スリーブとカラー又はクリップとの間に円周方向に挟む。カラー又はクリップは、切断窓から近位方向に離間し得る。カラー又はクリップは、導電性スリーブ全体の周りに完全に巻き付く薄いバンドを画定し得る。カラー又はクリップは、導電性であり得、導電性スリーブと電気的に連通し得る。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の考察は、様々な実施形態を対象とする。これらの実施形態のうちの1つ以上が好ましい場合があるが、開示された実施形態は、特許請求の範囲を含む、本開示の範囲を限定するものとして、解釈されるべきではなく、又は別様に使用されるべきではない。加えて、当業者は、以下の説明が広範な応用を有し、任意の実施形態の考察はその実施形態の例示のみを意図し、特許請求の範囲を含む本開示の範囲がその実施形態に限定されることを暗示することを意図するものではないことを理解するであろう。
【0030】
本開示は、概して、機械的切除及び電気外科的組織治療を単一のデバイスに組み合わせた、組織のアブレーション、切断、収縮、及び凝固を含むがこれらに限定されないシステムを含み得る。これらの2つのモダリティを組み合わせることは、内視鏡又は関節鏡手術などの手術中の複数の器具の必要性を低減し得る。静止部材及び回転部材の両方の機械的ブレード縁面は、金属を含むことが好ましい。活性電極及び戻り電極は両方とも、ブレードの静止外側スリーブ上に配設されていることが好ましい。静止スリーブは、エネルギーRFエネルギー源と電極との間を電気的に連通させ得る。活性電極はまた、デバイスの最も遠位の表面まで、かつその周りに延在し得、これにより、標的組織への活性電極のアクセス性が改善され、それによって、標的組織への電気外科的治療が改善される。電極はまた、外側スリーブ部分の一部分と一体化され、又は外側スリーブ部分の一部分を形成し、かつ電気外科アセンブリの追加によって外径が最小限に変化するロープロファイルデバイスの遠位端を維持するように構成されている。
【0031】
例示的な外科手術システム100の概要が図1に示されており、モータ駆動ユニット(「MDU」)112を含むハンドル部分を有する組み合わせ関節鏡切除デバイス110を含む。ハンドル部分は、ブレード114に取り外し可能に結合され得る。MDU112は、コード130を介してコントローラ/電源120に動作可能に結合され得る。MDU112の作動により、ブレード114の一部分をブレードの別の部分に対して移動させて、組織を切除する。組み合わせデバイス110は、静止外側スリーブ内に配設された、MDUに結合された高速回転内側シャフトを有する市販の金属シェーバ又はバリと同様の方式で、組織を機械的に切除するように構成され得る。システム100はまた、RF電源コード116を介してブレード114にRF電力を供給するためのRF発生器140を含む。いくつかの実施形態では、コントローラ/電源120及びRF発生器140は、単一の筐体内にあり得る。いくつかの実施形態では、コントローラ/電源120及びRF発生器140は、互いに通信し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ/電源120及びRF発生器140のうちの1つで、流れ制御装置220と通信し得る(121、141)。
【0032】
組み合わせ関節鏡切除デバイス110は、MDU112に沿って延在し得、かつ吸引制御装置220に結合し得る、吸引管210を含む。吸引制御装置220は、管210を通して流体流又は陰圧を制御し得、吸い上げポンプ又は複数の吸い上げポンプ(図示せず)を含み得る。吸引制御装置220は、標的部位から、かつデバイス110に沿って組織及び流体の吸引を提供し、制御するためのロータを有する、蠕動ポンプであり得る。いくつかの実施形態では、吸引は、一貫したレベルで真空を引き込む壁吸い上げに流体的に結合され得る。吸引制御装置220は、吸引管を挟むか、又は解放する複数の位置を有するピンチ弁、又は吸引管と関連付けられた流体導管サイズ(オリフィス)を変更する代替手段を含み得る。いくつかの実施形態では、吸引は、デバイスを通した吸引に関連する値を選択的に制御し得るMDU112上に配設された制御弁によって、少なくとも部分的に制御され得る。ブレード114は、流体及び破片がブレード遠位部分230の窓を通じて吸引され得、内腔に沿って、かつ管210を通って流れるように、ブレード114を通って延在し、かつブレード遠位部分230で吸引用の吸引管210と連通する少なくとも1つの内腔を含む。
【0033】
コントローラ/電源120は、例えば、Andover、MassのSmith & Nephew,Inc.によって供給されるDyonics(登録商標)Power Shaver system又はDyonics(登録商標)EP-18 Shaver Systemとすることができる。発生器140は、例えば、Andover、MassのSmith and Nephew,Incによって供給されるCOBLATION WEREWOLF systemなどの市販の発生器とすることができる。ブレード114は、所望の用途に適合するようにサイズ決めされる。例えば、肩で使用するために、ブレードは、前立腺で使用するためのブレードとは異なるようにサイズ決めされ得る。用途には、例えば、肩、膝、及び他の関節での使用、並びに、例えば、子宮、尿道、鼻腔、口腔などの生得のオリフィスでの使用が含まれる。MDU112は、ブレード114の近位端と選択的に結合するように構成された駆動シャフト(図示せず)を含み、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、同一譲受人による米国特許第7,150,747号に開示されているものと同様の結合手段を含み得る。
【0034】
図2を参照すると、コネクタ320を有する自由端で終端するRF電源コード116を含む、例示的なブレード114が示されている。コネクタ320は、発生器140又はフットスイッチのいずれかに接続するように設計された少なくとも2つの突起322及び324を有し得る。各突起は、RF電源コード116内の2つの別個の導体のうちの1つに接続して、ブレード114用の供給経路及び戻り経路の両方を提供する。追加の突起(図示せず)が、デバイスのタイプ及び/又は流体流設定若しくは電力設定などの所望の若しくは候補設定などの、更なる情報をRF発生器/コントローラ140に提供してもよい。あるいは、コネクタは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、同一譲受人による米国特許第9,333,024号に説明されるシステムなどの、RF発生器140のコネクタに接続するように構成された一連のピンを含み得る。
【0035】
ブレード114は、他の市販の機械的切除デバイスと類似した方式で、機械的に組織を切除し得る。例えば、ブレード114は、同心円状に配置されて一方が他方の内側にある、少なくとも2つの細長いスリーブ又は管を含み得る。細長い管のうちの1つは、MDU112に固定的に取り付けられ得、かつ使用中、静止スリーブである、外側スリーブを画定する。スリーブのうちの別のスリーブは、静止外側スリーブに対して高速で回転し得るように、MDU112に結合された外側スリーブと同心の内側スリーブとして画定されている。ブレード114は、例えば、ねじ接続及び圧入接続などの様々なハブ式構造を使用して、MDU112に取り付けられ得る。MDU112の様々な実施形態は、Andover、MassのSmith & Nephew,Inc.によって製造されたモータ駆動ユニット、例えば、部品番号7205354、7205355、及び7205971などを含む。様々な切断表面が機械的切断を提供し得る。そのような表面は、例えば、湾曲した、バリ付き、直線状、波状、又は小型のブレードを含む。機械的切断は、典型的には、毎分数千サイクル(例えば、回転又は往復)の速度で達成される。
【0036】
次に、ブレード114の遠位端300の例示的な実施形態が示されている図3A~3Dに目を移す。ブレード遠位端300は、機械的かつ電気外科的に組織を治療する手段の両方を含む。ブレード遠位端300は、略管状であり、スリーブ310の第1の円周側面上に窓320を有する外側スリーブ310を含む。窓320は、窓320の外周に縁面325を有する。縁面325の少なくとも一部分は、内側スリーブ350と組み合わせて使用されたときに組織を切断するために十分鋭利である。内側スリーブ350は、外側スリーブ310の内腔又はボアに沿って延在し得、同様の窓355と、内側スリーブが回転する際に縁面325と協働して機械的に組織を切除するように構成されている縁面356と、を有し得る。
【0037】
外側スリーブ310は、好ましくは、電気コード116からスリーブ310に沿って電気経路を提供するように構成された、金属又は導電性の管である。外側スリーブ310は、外側スリーブ310の一部分を電気的に絶縁し、かつ外側スリーブの露出された部分を制御されたエリアに制限するために、層又は鞘305によって少なくとも部分的にコーティング又は覆われ得る。例えば、MDU112に隣接する、外側スリーブ310の近位部分は、コード116と電気的に結合し、それによってRF発生器140(図示せず)と電気的に結合するために、十分露出され得る。外側スリーブ310の遠位部分もまた露出され得、機械的切除のために金属縁面325を露出する。外側スリーブ310の露出した表面積(絶縁材料でコーティング又は覆われてない)は、電気外科アセンブリの戻り電極360を画定する。
【0038】
外側スリーブ310は、絶縁スペーサ380及び活性電極370を支持する。活性電極370は、スペーサ凹部386内に丸みを帯びた外側面及びネストを少なくとも部分的に有し、デバイスが5mmカニューレ内に嵌合し得るように、任意の追加的サイズ増加を最小化する。活性電極370は、ブレード114(図示せず)及びコネクタ320に沿って延在するケーブル又はワイヤを介して、RF発生器140に電気的に結合されている。活性電極370及び関連するケーブルは、好ましくは、外側スリーブ310から電気的に絶縁され、外側スリーブ310が戻り電極360として作用することを可能にする。活性電極370は、電気絶縁スペーサ380によって外側スリーブ310/戻り電極360から電気的に絶縁されている。活性電極370は、組織を選択的にアブレーションし、したがって、プラズマをその上に形成することを意図しているため、スペーサ380は、好ましくは、プラズマに由来する劣化への耐性又は耐プラズマ性もある電気絶縁材料である。材料は、アルミナ、ジルコニアなどのセラミック又はガラス材料を含み得る。
【0039】
活性電極370は、好ましくは、タングステン、チタン、白金、モリブデン、アルミニウム、金、及び銅などの、プラズマに対する劣化に耐性がある材料であるべきである。より具体的には、活性電極370は、内側及び外側のスリーブ材料とは異なる材料であり得る。ステンレス鋼は、機械的切刃に好ましいが、ステンレス鋼は、プラズマによる劣化に対する耐性が低い傾向があり、そのため、アブレーション電極370に好ましい材料ではない。しかし、タングステンは、ステンレス鋼よりも脆い金属であり、したがって、機械的切除中に粒子が形成され得るため、切刃としては好ましくない。更に、発明者らは、活性電極370の縁部又は外周と切刃325との距離が、所定の距離以上であるべきであることを見出した。この所定の距離は、切刃325上の故意ではないプラズマ形成を阻止するように構成される。この所定の距離よりも近い場合、プラズマが切刃325に沿って形成されて、標的組織以外の組織上の故意ではない組織治療を引き起こし得るだけでなく、このプラズマが切刃325を鈍くするか又は劣化させ、潜在的に苛立たしい機械的切除となり得る。活性電極370の周縁部と切刃325との間の最小距離は、デバイスの外側面に沿って測定された少なくとも2mmであるべきである。
【0040】
電気外科アセンブリに起因して、遠位端300への任意の追加的な直径を最小化するために、スペーサ380は、スリーブ310の外側面と円周方向に係合する薄い構成要素である。スペーサ380の内側面は、スリーブ310の外側面と噛み合うように輪郭付けされており、例えば、接着剤を使用して取り付けられ得る。スペーサ370は、好ましくは、外側スリーブ310に構造的完全性を提供する高強度セラミックから形成され、外側スリーブに剛性を追加し得る。スペーサ380は、接着剤を使用して固設され得、したがって、接着のためのより大きな噛み合わせ表面積が、2つの構成要素間のより高いレベルのホールドのために好ましい。図3A~3Dを通して示すように、スペーサ380は、外側スリーブ310に沿って、少なくとも鞘305まで近位方向に延在し得る。この近位方向延在は、スペーサ380の固定性を改善し得る一方、これはまた、戻り電極360の近位側を絶縁する。これにより、活性電極の近位側がより不活性になり、プラズマが形成されにくくなり得る。したがって、遠位端300は、スペーサ380の周りに環状に配設されたクリップ又はカラー390を含み得る。クリップ390は、導電性であり得、かつ外側スリーブ310と電気的に連通し得、したがって、戻り電極360の一部分を形成し得る。クリップ390は、外側スリーブ310に溶接392され得る。したがって、これにより、活性電極370の近位側に隣接する戻り電極360の標的近接が取り戻される。クリップ390はまた、スリーブ310とスペーサ380との間の固定性を増加させ得る。スペーサ370は、遠位端300の外径を最小限増加させながら、その中にクリップ390を受容するように構成された、環状ノッチを含み得る。
【0041】
図3Dに最も良く示されているように、内側スリーブ350は、吸引管210と流体連通する、それに沿った、細長い流体吸引導管312を画定し得、それによって、機械的切除中に形成された組織破片が窓320、355を通って、かつ導管312に沿って除去され得る。導管312内への第2の入口371は、活性電極アパーチャ372と整列した少なくとも1つのスペーサアパーチャ(図3Dに最も良く見られる)によって形成されている。電極370、セラミックスペーサ380、及び外側スリーブ310は各々、360度有界アパーチャを画定し得る吸引アパーチャを画定する。これらのアパーチャによって画定された第2の入口371は、外側スリーブ切断窓320から離間し得、穴は、シャフトの内部、したがって導管312を通る吸引のために整列している。複数のアパーチャは、細長いシャフトの長手方向軸に対して横方向の軸に沿って整列し得る。電気外科治療の間、内側スリーブ350は静止し得、この第2の入口371に少なくとも部分的に面するように整列し得る。この例は、「COMBINATION ELECTROSURGICAL AND MECHANICAL RESECTION DEVICE」と題され、同一所有者による、参照により本明細書に組み込まれる2020年2月24日に出願された国際特許出願第PCT2020/019479号により詳細に開示されている。第2の入口は、使用中に、活性電極370を横切るように流体を引き込み、活性電極表面を通して流体、破片、及びプラズマ副生成物を除去するように構成されている。吸引流量に関連する値の制御はまた、電気外科的組織効果を調整し得、「COMBINATION ELECTROSURGICAL AND MECHANICAL RESECTION DEVICE」と題され、同一所有者による、参照により本明細書に組み込まれる2020年2月24日に出願された国際特許出願第PCT2020/019479号にも開示されている。
【0042】
遠位端300は、デバイスの温度、特に、MDU112の外面などのデバイスの外面を調節する手段を含み得る。流体が第2の入口を通って引き出されるとき、活性電極370に電気外科用エネルギーを供給する一方で、流体温度は上昇し得る。この上昇した温度は、デバイスのハンドル及び流体ラインを含む、デバイス表面に沿った温度を上昇させ得る。これらの構成要素の各々の表面積は、IEC60601-1規格で指定されている接触温度を下回ったままでなければならない。MDU112は典型的には再利用可能のため、例えば、ポリマーで主に形成される使い捨て電気外科デバイスよりも典型的には熱伝導性が高いアルミニウムなどの金属材料で形成され得る。1つの実施形態は、所定の温度上昇の検出時に、RF発生器と通信し得る、ブレード114に沿った温度センサを含み得る。これにより、ユーザに警告をトリガして表示するか、又はRFエネルギー出力を変更し得る。温度センサは、少なくとも、同一所有者による、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,355,799号、第8,696,659号、第9,452,008号、又は第10,420,601号に開示されたものと類似し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、温度の上昇を軽減するために、より低温の流体がデバイスを通して送られ得る。これは、デバイス内腔312を通って、次いでMDU112を通って、吸引された流体の温度を調節し得る。遠位端300は、活性電極370から完全に離間したバイパス吸引経路363を含んで、より低温の流体を内腔312内かつ内腔312に沿って送り得る。経路363は、外側スリーブ及び内側スリーブ(310、350)内の両方の開口部を通って延在し得、関節空洞内から流体吸引導管312内に流体の一部分を引き込むルートを提供する。流体のこの部分は、入口371を通して、それによって活性電極アパーチャ372を通して吸引される流体よりも比較的低温であり得る。ある程度まで、RF発生器140の少なくとも電力設定及び流体吸引の速度に応じて、第2の入口371を通る吸引流体及び副生成物は、活性電極370を通過した結果、上昇した温度を有し得る。経時的に、この上昇した温度は、MDU112及びチュービング210の外面温度を上昇させ得る。二次経路363は、これらの上昇した温度により低温の流体を掛け合わせてこの流体を冷却し、それによって外面温度の上昇を軽減し得る。図3B、3C、及び3Dに示すように、バイパス経路363は活性電極370から近位方向に離間し得る。バイパス経路363は、活性電極360とは反対側の円周側面上に配設され得る。活性電極370から離間していることにより、活性電極エネルギーによる影響が少ない温度を有する流体を流体吸引導管312内に好適に引き込む。バイパス入口363は、内側スリーブ350内の穴及び外側スリーブ310を通る穴によって画定され、これらは重なっている。各穴は、360度有界穴又はアパーチャを画定し得る。
【0044】
図3Aに戻ると、2つの窓(320、355)の間の相対的な場所によって画定された、(バイパス入口363に加えて、又はその代わりに)別の任意選択のバイパス入口353が示されている。この経路353は調整可能であり、内側スリーブ350は、MDUの温度が上昇した場合に、アパーチャ入口サイズを調整する位置まで回転され得る。例えば、デバイス110に沿って位置する温度センサは、上昇した温度を示す値を感知し得、温度センサはMDU112と通信する。次に、MDU112は、内側スリーブ350を、バイパス入口353を形成する位置まで回転させ得る。温度センサが、温度が所定の値まで低下したことを示す値を感知すると、センサとMDU112との間の通信は、内側スリーブ350を完全に閉じた構成まで戻すように構成され得る。温度センサが、温度が上昇したか、又は上昇した値に留まっていることを示す値を感知すると、センサとMDU112との間の通信は、内側スリーブ350を異なる位置に移動させることによって、入口サイズを増加させるように構成され得る。図示されていない代替的な実施形態では、バイパス経路は、活性電極360から離間した複数の経路を含み得る。あるいは、バイパス経路は、内側スリーブ350(図示せず)のみを通り、内側スリーブ窓355の軸の反対側、したがって活性電極370の軸方向に反対側にある、少なくとも1つのアパーチャを含み得る。
【0045】
バイパス入口363、371に関連する流れはまた、活性電極370で形成される任意のプラズマ内の組織効果及びエネルギーを調節し得る。組み合わせデバイスは、活性電極370でプラズマを安定的に形成するには流れが強すぎる場合がある高い吸引流量を有し得る、壁吸い上げに流体結合される場合がある。流れが速すぎることにより、活性電極370で形成される任意のプラズマを消滅させるか、又は不安定化させ得る。したがって、バイパス入口363、371は、電極アパーチャ372を通る流体流量のバランスを取るか、又は統制し、それによって活性電極370でより安定したプラズマを維持し得る。例えば、RF発生器は、少なくとも、同一所有者による、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,192,424号及び同第10,448,988号に開示されているように、プラズマ安定性を示す値を感知しうる。RF発生器は、非標的プラズマ安定性に関連する値を感知すると、内側スリーブ350がバイパス入口371を形成し、かつアパーチャ372を通る流体の流れを調整する位置に移動され得、それによってプラズマが安定し得るように、MDU112と通信し得る。
【0046】
ここで図4A及び4Bに目を移すと、遠位端400の別の実施形態のビューが、明瞭な説明のために内側スリーブが除去された状態で図示されている。類似の要素には、遠位端300と同じ数字表示が与えられている。遠位端400は、活性電極470を支持する絶縁スペーサ480を支持する外側スリーブ310を含み得る。デバイス遠位端400の最小限の外径を維持するために、薄いスペーサ480は、外側スリーブ外側面の一部分の周りに円周方向に巻き付く。スペーサ480は、活性電極470を外側スリーブ310から電気的に絶縁するように構成されており、外側スリーブ310は、本明細書に開示されているように、戻り電極として電気的に接続されている。スペーサ470は、外側スリーブの外側面の周りに限られた距離で巻き付いて、外側スリーブ310に沿って、かつその周りで最も外側の境界を画定し、この境界は、活性電極470の周りの外側スリーブ310の十分な表面部分を露出し、露出した表面部分は、戻り電極360の表面積を画定する。最小限の断面プロファイルを維持するために、スペーサ480は薄い構成要素である。スペーサ480は、約0.010インチの厚さであり得る。スペーサ480の内側面は、スリーブ310の外側面と噛み合い、外側スリーブ310に接着結合され得る。本明細書で上記に開示したように、スリーブ310とスペーサ480との間に強い接合を有することになる場合、2つを噛み合わせるより大きな接触面積が好ましい。したがって、スペーサ480は、実質的に活性電極470からスリーブ310の周りに円周方向に、かつスリーブ310に沿って近位方向に延在することが好ましい。別の言い方をすると、スペーサ470は、スリーブ310と活性電極470との間の電気的絶縁に必要な最小値よりも、スリーブ310の周りかつスリーブ310に沿って更に延在し、スリーブとスペーサ480との間の固定性を増加させ得る。
【0047】
しかしながら、固定性に対するこのバイアスにより、電気外科的組織効果は損なわれ得る。戻り電極360の全体の表面積が低減される。戻り電極360の全体の表面積が活性電極470の全体の表面積に近似し始めた場合、プラズマを含み得る組織効果は、戻り電極360上で故意ではなく発射する場合がある。活性電極と戻り電極との間の距離はまた、活性電極470の外周の周りで不均一であり得る。活性電極470が、戻り電極360から一方の端部で他方の端部よりも不均一に離間している場合、組織効果は、活性電極470のいくつかの側面に沿ってのみ組織を治療し得る。活性電極と戻り電極が近いほど、電流密度は高くなる。高電流密度により、活性電極上にプラズマを形成するのが容易になる。しかしながら、活性電極470のいくつかの外周部分の間で活性と戻りとの間の間隔が他の部分よりも大きい場合、それらのエリアでは電流密度が乏しく、プラズマは対応する部分の周りに形成される可能性が低い。場合によっては、プラズマは、一部の部分に沿ってのみ形成され得、これは電極を損傷するか、又は攻撃的すぎる組織効果を形成する場合がある。戻り電極と活性電極との外周間の全体的な距離が遠すぎる場合、プラズマの発射は一貫性がなくなるか、又は達成するためにより高い電圧入力を必要とする。したがって、スリーブ310とのより強い接合のためのスペーサ480と、確実に均一な電気外科的組織効果との間のバランスが好ましい。
【0048】
クリップ390と同様に、遠位端400は、スペーサ480の近位端でスペーサ480の外面の周りに巻き付くカラー490を含む。カラー490は、遠位端400の横断面の周りに360度延在し得る。これは、スペーサ380の近位部分の補足的な固定性を提供するだけでなく、戻り電極360としても作用し得る。このカラー490は、スリーブ310とスペーサ480との間に固定性を加え、内側回転スリーブ350への干渉を回避する。カラー490は、デバイスの任意の部品の完全性を損なうことなく、処置中に臨床的に意義のある負荷に耐えることができるように、外側スリーブに対するスペーサ480の取り付けを向上させ得る。カラー490は、遠位端400の周りに延在し、外側スリーブ310に溶接480されて、それを定位置に固設し、外側スリーブ310との一貫した電気的な連通を形成し得る。カラー490は、スペーサ480の機械的保持を提供する。したがって、スペーサ480は、外側スリーブ310とカラー490との間に円周方向に挟まれている。スペーサ480は、カラー490の少なくとも一部分をネストするように構成された外側環状凹部を含み得る。カラー490は、窓320及び活性電極470から近位方向に離間し得る。カラー490は、0.0020~0.0040インチの厚さであり得る。
【0049】
電気外科的組織効果に関して、カラー490は、クリップ390と同様に、導電性であり得、外側スリーブ310と電気的に連通し、それによって戻り電極360の有効表面積に寄与し得る。カラー490は、戻り電極360の外周を活性電極470の近位端の近くに効果的に移動させ得、それによって、活性電極470をより均一に取り囲む、結果として生じる戻り電極の外周を形成する。別の言い方をすると、活性電極470と戻り電極360との間の間隔は、追加されたカラー490のために、活性電極470のより多くの側面の周りでより均一になる。カラー490は、スペーサ480及び外側スリーブ310の周りにしっかりと巻き付けられ、カラー490を外側スリーブ310に固定的に固設するための溶接部480を含み得る。溶接部480の場所の例が示されている。別の例は、スリーブ310及びカラー490の噛み合わせ部分の周りに円周方向のレーザ溶接を含み得る。戻り電極360の外側スリーブ部分とカラー490との間の電気的な連通は、溶接部480及び表面接触を介し得る。
【0050】
図5A~5Gは、上記に開示された実施形態と類似した、別の遠位端実施形態500を示している。類似の要素には、遠位端300及び400と同じ数字表示が与えられている。遠位端500は、内側スリーブ350がその中に同軸に配設されている外側スリーブ510を含む。内側スリーブ350は、外側スリーブ510に対して回転して、横方向に配設された窓を介して組織を機械的に切除し得る。外側スリーブ510は、絶縁スペーサ580によって少なくとも部分的に覆われており、スペーサ580は、活性電極570を支持する。戻り電極360は、露出した導電性表面を有し、かつ互いに電気的に連通している、複数の構成要素又は本体を含み得る。これらの構成要素は、内側スリーブ350の露出した導電性表面と、露出した導電性表面の外側スリーブ510と、保持クリップ590の、外部に露出した導電性表面と、を含み得る。
【0051】
遠位端500の構成要素の分解図が図5Bに示されており、図を簡略化するために内側スリーブ350が除去されている。外側スリーブ510は、遠位端500の第1の円周側面上に切断窓520を有する細長いスリーブを画定する。外側スリーブ510は近位方向に延在し、MDU112を含み得るハンドル端部と動作可能に結合するように構成されたハブに固定的に結合し得る。外側スリーブ510は、窓520とは反対側の第2の円周側面上に、外側スリーブ壁厚を通る吸引アパーチャ512を含む。アパーチャ512は、活性電極570を通る対応するアパーチャと連通して、組織を治療しながら流体及び破片を吸引し得る。外側スリーブ510の遠位端は、スリーブ壁の厚さを縮小させることによって形成された縮小された外径部分514を画定し得る。この部分514は、絶縁スペーサ580の内側面と係合する円周面を画定し、縮小された外径部分は、凹部として作用し、遠位端500のより小さな全体プロファイルを維持するように直径が縮小されている。外側スリーブ510は、スリーブ510の長手方向軸に向かって湾曲する先端516の周りまで延在し、湾曲部は、窓520の傾いた切刃525まで延在し、かつ傾いた切刃525を含む。
【0052】
スペーサ580は、外側スリーブ510の少なくとも縮小された直径部分514と噛み合うようにサイズ決めされており、スリーブ510の窓520とは反対側の円周側面を覆う。スペーサ580は、スリーブの遠位先端516上に延在し、固定的に結合する。スペーサ580は、ユニボディを画定し得、2つの間の噛み合わせ表面対表面接触のために、スリーブ510の外側面と整合し、かつ直接係合するように輪郭付けされた内側面を有し得る。スペーサ580の内側面は、外側スリーブ510に接着結合され得る。先端516の周りにスペーサを延在させることにより、活性電極570をスリーブ510から、したがって戻り電極360から離間させて、スリーブ510上の故意ではないプラズマ形成を減少させる。このように、スペーサ580は、遠位端500の最も遠位の端部で遠位に面する表面を画定する。非常に遠位な先端が、組織を上昇させて切開するために使用され得、活性電極570及びスペーサ580に持ち上げ荷重をかけるため、遠位先端516の周りのスペーサ580とスリーブ510との間の固定性は、使用中に特に関連し得る。遠位先端516の周りにスペーサ580を巻き付けることによって、スペーサ580のスリーブ510への固定性が改善される。スペーサ580は、スリーブ窓520の傾いた切刃境界525まで、スリーブ510の周りに延在し得る。スペーサ580は、スリーブ510の少なくとも上周側の半分を取り囲み得る。別の言い方をすると、図5C及び5Dに最も良く示されているように、スペーサ580は、遠位端500でスリーブ510の少なくとも半分の円周を覆い得る。スリーブ510の周りにスペーサ580を巻き付けることによって、スリーブ510とスペーサ580との間の接合に利用可能な表面積が増加するだけでなく、活性電極570及び戻り電極360の近位縁部と遠位縁部との間により同等の間隔を形成する。間隔G1及びG2は、図5Dに示されているように、互いに実質的に同等である。加えて、発明者らは、使用中、デバイス遠位端上にかかる主な力は、最も遠位の端部から近位方向(F)に向かう力であり、スペーサ580及び/又は活性電極570を持ち上げるように作用し、それによって活性電極570及び/又はスペーサ580をスリーブ510から分離するように作用することを見出した。スペーサ580は、好ましくは、スリーブ510の遠位に面する表面上に延在し、かつそれに接合される。
【0053】
スペーサ580は、活性電極570及びクリップ590をネスト及び固設するための複数の凹部を含む。保持クリップ590は、スペーサ580を取り囲み、スペーサ580の外側面上に形成されたノッチ又は凹部582内に位置し得る。クリップ590は、スペーサ580の周りに嵌合する、ステンレス鋼の打抜き形成されたクリップであり得る。凹部582は、クリップ590のプロファイルを反映し得、遠位端500のより滑らかでより連続的な外面を形成するのを助け得、それによって、それに沿った引っ掛かりポイントを排除又は減らす。クリップ590は、外側スリーブ510に溶接されて、クリップ580を保持し、それに電気的に結合し得る。本明細書で説明されるように、クリップ590は、スペーサ580とスリーブ510との間の補足的な固定を提供する。クリップ590は、本体部分591及び自由端592a、592bを画定し得る。自由端592a、592bは、本体部分591に対して内向きに成形され、内向きに半径方向に引っ込んでいてもよい。この半径方向の引っ込みは、好ましくは、スペーサ580の輪郭、及びスペーサ580からスリーブ510への遷移に従う。自由端592a、592bは、外側スリーブ510に固定的に結合されることが好ましい。本体591は、活性電極570と戻り電極360との間により均一な間隔を形成するように構成された遠位方向に延在するタブ593を画定し得る。タブ593は、活性電極570と同じスリーブ510の円周側面で、活性電極570に向かって遠位方向に延在し得る。タブ593は、対応する活性電極の円周の幅と同等の円周の幅を画定し得る。タブ593がなければ、活性電極570と戻り電極360の最も近い部分との間の間隔は、活性電極570の遠位端に向かって偏り、活性電極570の周りで著しく不均一となる場合がある。これは、先に説明したように、プラズマ形成及び組織効果を活性電極570の遠位先端に向けて強く偏らせ、均一かつ制御された電気外科的組織効果を妨げる場合がある。タブ593は、横方向又は円周方向の広がりを有し、活性電極570の近位縁部を取り囲むか又はそれに接近する、最も遠位の縁部を画定し得る。クリップ590の追加はまた、導電性流体と接触し得る戻り電極360の全体的な露出した表面積を増加させ、戻り電極360での任意の故意ではない組織効果を軽減する。例えば、クリップ590は、有効な戻り電極360の表面積を最大50%増加させ、活性電極570を画定して、表面積比を1:7に戻し得る。
【0054】
スペーサ580は、スリーブ510を通る対応するアパーチャ512及び活性電極アパーチャ572と流体連通し、かつそれらと重なっている、流体吸引アパーチャ586を含む。3つのアパーチャ全てが連通して、標的部位から、例えば、真空源に結合され得るデバイスに沿って、組織の破片及び流体を除去する。スペーサアパーチャ586は、突起したアパーチャを画定し得る(図5Fに最も良く見られる)。突起部は、スリーブアパーチャ512を通って延在して、活性電極と戻り電極との間の絶縁間隔を増大させ得、内側スリーブ又は外側スリーブへのアパーチャ(512、572、586)を通したプラズマの発射を阻止し得る。
【0055】
スペーサ580はまた、少なくとも2つの個別の場所に活性電極570をネストし、保持する。2つの場所は、スペーサ円周面588によって軸方向に分離され得る。第1の保持場所は、活性電極脚577を収容し、かつ覆う、軸方向トンネル587を含む。軸方向トンネル587は、脚577とスライド式に嵌合し得、それによって、活性電極570の近位端を保持する。接着剤が、保持を改善し、流体がそれに沿って侵入するのを制限するために、トンネル587内に、それに沿って挿入され得る。脚577の最も近位の端部は、デバイス(図示せず)に沿って延在する配線に電気的に結合し得る。
【0056】
トンネル587から遠位方向に延在するのは、活性電極570の円周部分571を支えるように構成された円周面588である。活性電極570は、円周部分571及び第2の電極部分578を有する単一の本体である。円周部分571は、窓520の反対側の遠位端500の円周側面上に配設された活性電極860の第1の治療面571aを画定し得る。第1の治療面571aは、遠位端500の外部輪郭に整合し得る。第1の治療面571aは、より精密な切開のために、より狭い遠位端に向かって先細であり得る。治療面571aの近位縁部573は、スペーサ580の対応する遠位縁部584から軸方向に離間していることが好ましい。この軸方向の空間は、使用時に活性電極580が折れ曲がる際に、リリーフを提供する。この空間がないと、近位縁部583は、スペーサ縁部584上に損傷応力をかけ得る。
【0057】
スペーサ580はまた、近位保持場所(脚577)から軸方向に分離された遠位場所に活性電極570を保持する。活性電極の遠位端は、第1の部分571から角度的にオフセットされ、かつ遠位端500の長手方向軸から角度的にオフセットされた、第2の電極部分578を含む。第2の電極部分578は、遠位端500の最も遠位の端部を横切って延在する、遠位に面する治療面579を画定し得る。第2の電極部分578は、半径方向の広がりを有する。表面579は、活性電極570をスペーサ580から分離又は剥離し得る治療中の力(F)をそらすように構成された、傾斜部分579aを更に含み得る。スロープ579aは、遠位に面する凹面を画定する。スロープ579aは、長手方向軸に向かって延在するにつれて近位方向に延在するように先細であり得る。治療面579は、概して、活性電極570の先端の性能を強化する。治療面579は、活性電極570の遠位先端の機能的基部に延在する。
【0058】
第2の電極部分578は、第1の治療部分571の遠位端から延在し、フック形状を画定し得る。第2の電極部分578は、スペーサ凹部581の噛み合わせ表面と係合し得る。スペーサ凹部581は、スペーサ580の最も遠位の表面から延在し得る。第2の電極部分578は、広がりを有し得、広がりは、この広がりの端部に配設された少なくとも1つの横方向フランジ595又は隆起部を有する。図5Eは、三角形を画定する一対の対向する横方向フランジ595a、595bを示している。スペーサ580内の整合凹部581は、対向する横方向フランジ595a、595bを受容し保持し得る。第2の電極部分578は、第2の個別保持部分を画定する。ノッチ又は凹部581は、対向する横方向フランジ595a、595bを受容する対向する溝を画定し得る。先に説明したように、電極570は、遠位先端(F)に装填されたとき、電極ネック577を中心に回転する傾向があり得る。著しい回転が許容された場合、電極570の恒久的なオフセット、又はネックの疲労破壊が生じる可能性がある。電極570の最も遠位の端部におけるこの第2の保持場所は、この故障モードを軽減するのに役立つ。
【0059】
フランジ及び整合溝は、互いに係合し、電極遠位端をスペーサで固設するように構成されている。図6及び図7は、代替的なフランジ及び溝形状を有する他の例示的な実施形態を示している。図6は、活性電極670が、遠位端600の最も遠位の端部を画定する第2の電極部分670を含む、遠位端600の遠位図を示している。第2の電極部分670は、「T」形状の両側フランジ695a、695bを含む。スペーサ680は、両側フランジ695a、695bと係合し、かつ電極670の遠位端をスペーサ680で固設するように構成された、整合溝685a、685bを含む。図7は、活性電極770が、遠位端700の最も遠位の端部に第2の電極部分775を含む、例示的な実施形態の遠位端700の遠位図を示している。第2の電極部分775は、湾曲した両側フランジ795a、795bを含む。
【0060】
更なる実施形態が図8A及び8Bに示されており、理解の簡略化のみを目的として活性電極870及びスペーサ860を有する遠位端800を示している。活性電極870は、活性電極870の横方向の縁部に沿った、スペーサ860に沿って両側スロットと動作可能に係合する両側レール875a、875bを含む。この実施形態は、より長い係合の長さを提示するが、遠位端800の断面積の増加を必要とし得、遠位保持フック付き端部を有する遠位端500と比較して、より大きなプロファイル端部を生み出す。
【0061】
遠位端900の別の例示的な実施形態が図9A及び9Bに示されている。同様の構成要素には、同じ数字ラベルが与えられている。この実施形態では、カラー990は、少なくともクリップ390、590、又はカラー490と同様に作用し、スペーサ980を取り囲み得る。カラー990は、2つの軸方向に延在するタブ995a、995bを含み得る。各タブ995a、995bは、活性電極570に対して横方向の側面に沿って延在して、活性電極570のより大きな外周を囲み得る。スペーサ980は、その中にカラー990を受容するための対応するノッチ又は凹部(図示せず)を含み得る。この凹部は、カラー990の形状と整合し得、より滑らかでより連続的な外面を形成するのを助け得、それによって、それに沿った引っ掛かりポイントを排除又は減らす。カラー990は、材料及び形成において、クリップ390若しくは590又はカラー490と同様であり得る。カラー990が外側スリーブ910に溶接されて、カラー990を保持し、外側スリーブ910に電気的に結合し得る。スペーサ980は、外側スリーブ510に接着結合され得、カラー990は、スペーサ980とスリーブ910との間の補足的な固定を提供する。2つの遠位方向に延在するタブ995a、995bは、活性電極570と戻り電極との間の間隔を改善するように構成されている。本明細書で説明するように、これは、先に説明したように、電気外科的組織効果を改善し得る。カラー990の追加はまた、戻り電極の全体の表面積を、クリップ590よりももっと多くなるように増加させる。例えば、カラー990は、表面積を最大100%増加させ、活性電極570を、再び表面積比が1:10に近づくように保ち得る。
【0062】
図10A~10Eは、上記に開示された実施形態と同様に機能するように構成された、組み合わせ組織切除プローブの別の例示的な実施形態の遠位端1000を示しており、したがって、類似の構成要素を含む。図10Aは、理解の簡略化のみを目的としてスペーサ及び活性電極を示している。遠位端1000は、電極570及びスペーサ580と同様に、スペーサ1060に結合された活性電極1050を含む。活性電極1050は、遠位端1000の外部円周面を画定する第1の治療部分1052を含む。第1の治療面は、より精密な組織切開のために、より精密な先端を有する遠位端まで遠位方向に延在するにつれて先細であり得る。活性電極の第1の治療部分1052は、上述の実施形態と同様に、プローブシャフトに沿って延在する吸引導管と流体連通する、第1の治療部分1052を通る吸引アパーチャ1055を含み得る。活性電極1050はまた、デバイス遠位端1000の長手方向軸に向かって延在する遠位フック1056を含む。遠位フック1056は、プローブの非常に遠位の先端で組織を電気外科的に治療し得る遠位に面する表面1057を有する。遠位に面する表面1057は、フックの遠位に面する表面578よりもより四角い、横方向の広がりを有し得る。これにより、遠位フック1056に構造的完全性を追加し得る。遠位フック1056は、活性電極1050を最も遠位の端部でスペーサ1080に固設するように構成されている。
【0063】
図10Bは、遠位端1000の構成要素の分解図を示しており、内側スリーブ310、戻り電極360の一部分を画定し得る外側スリーブ1010、絶縁スペーサ1060、戻り電極360の一部分を更に画定し得るクリップ1090、及び活性電極1050を含む。実施形態1000は、ほとんどの部品について、注記を除いて、実施形態500と類似している。例えば、実施形態1000では、遠位フック1056は、遠位端で、近位方向に延在するフランジ1059でスペーサ1060と係合する。スペーサ1060は、図10Eにより詳細に示すように、フック1056を受容してそれと係合するための対応する空洞1062及びノッチ1064を有する。
【0064】
図10Eの断面に示すように、近位方向に延在するフランジ又は突出部1059が示されている。スペーサ1060は、スペーサ1060の最も遠位の表面まで延在し、かつそれを含む、輪郭付けされた空洞1062を含み、空洞1062は、その中に遠位フック1056を受容し、かつ突出部1059と係合するように構成されている。遠位フック1056は、活性電極1050を固設するために、少なくとも部分的に空洞1062内に陥凹しており、一方で表面1057がプローブの遠位先端で組織にアクセスできるようにする。空洞1062は、突出部1059を受容するように構成された、空洞内に更に近位方向に延在するノッチ1064を含む。ノッチ1064は、突出部1059を受容及び係合して、活性電極1050の遠位端を固設し、プローブの使用中に活性電極1050のスペーサ1060からの分離に機械的に抵抗するように構成されている。ノッチ1064及び空洞1062はまた、活性電極部分1052の軸方向の場所を制限するように構成されている。ノッチ1064及び空洞1062は、活性電極1050と協働して、活性電極の治療部分1052の近位縁部1053を、スペーサ遠位縁部1066からの所定の軸方向距離に離間させる。アセンブリ中、活性電極1050は、スペーサ1060に沿って近位方向にスライドされて、スペーサに沿って横たわり得る。活性電極1050は、突出部1059が空洞1062内に配設されて、ノッチ1064の近位表面と係合するまで近くにスライドする。次に、活性電極1050は、例えば、接着剤を介して定位置に固定され得る。この場所は、使用中の活性電極の折れ曲がり及び屈曲によってスペーサ1060に応力が伝達されることを回避するように構成された、縁部1066及び1053間の軸方向間隔を画定する。デバイスの使用中、通常の状態では、遠位端1000が折れ曲がりかつ屈曲し得る。図10Cは、遠位端1000の上側を示しており、四角にされた遠位に面する表面1057aを含む先細り活性電極部分1052を示している。
【0065】
当業者は、本開示が、その概念又は本質的な特徴から逸脱せずに、他の特定の形態で具現化され得ることを理解するであろう。それゆえに、上記の例は、本明細書に説明される開示の制限ではなく、全ての点において例示的とみなされるべきである。したがって、本開示の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示されており、それゆえに、特許請求の範囲の意味及び等価性の範囲内にある全ての変更がその中に包含されることが意図される。

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
【国際調査報告】