(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】誘導自己集合(DSA)用のホスホネート終端ブラシポリマー
(51)【国際特許分類】
C07F 9/09 20060101AFI20231114BHJP
C08F 2/40 20060101ALI20231114BHJP
C08F 12/08 20060101ALI20231114BHJP
C08F 20/12 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
C07F9/09 Z CSP
C08F2/40
C08F12/08
C08F20/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523589
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(85)【翻訳文提出日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2021078756
(87)【国際公開番号】W WO2022084221
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ウンジョン
(72)【発明者】
【氏名】バスカラン・ドゥライラジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジフン
【テーマコード(参考)】
4H050
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB46
4J011NA12
4J011NB04
4J011NB05
4J100AB02P
4J100AL03P
4J100CA01
4J100CA27
4J100DA01
4J100DA04
4J100FA03
4J100FA04
4J100FA19
4J100JA38
(57)【要約】
開示された発明は、構造(I)の化合物、及び1~約1.1の範囲の多分散性を有する構造(II)のポリマー、前記ポリマーとスピンキャスト溶剤とを含む組成物、前記組成物を用いて金属上にピン止め層を選択的に形成する方法、及び上層のブロックコポリマーのケモエピタキシ誘導自己集合を起こすための前記ピン止め層の使用方法、及びエッチングによりこの自己集合層を基材中にパターン転写するその後の方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造(I)の化合物であって、
R
2が、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
前記化合物。
【化1】
【請求項2】
R
2が、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の構造(Ia)を有し、ここで、
R
2が、H、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項1または2に記載の化合物。
【化2】
【請求項4】
R
3が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
R
4が、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである;
請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R
3及びR
4が、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される、請求項3または4に記載の化合物。
【請求項6】
L
1及びL
2が、双方とも直接原子価結合である、請求項3~5のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が構造(Ib)を有し、ここで
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1が、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項1または2に記載の化合物。
【化3】
【請求項8】
R
3が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
R
4が、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである;
請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R
3及びR
4が、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される、請求項7または8に記載の化合物。
【請求項10】
L
1が直接原子価結合であり、及び以下の構造(Ic)を有する、請求項7~9のいずれか一つに記載の化合物。
【化4】
【請求項11】
以下の構造(II)のポリマーであって、
R
1が、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、アリール、またはアルキレンアリール(すなわち-アルキレン-アリール)であり;
R
2が、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり;
Bが、直接原子価結合、またはメチレンスペーサ(-CH
2-)であり、
Aが、スチレン系ポリマー鎖、またはアクリル系ポリマー鎖であり;そして
1~1.1の範囲の多分散性を有する;
前記ポリマー。
【化5】
【請求項12】
R
1が、Hであり;
R
2が、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり;そして
Aがスチレン系ポリマー鎖である;
請求項11に記載のポリマー。
【請求項13】
以下の構造(IIa)を有し、ここで
R
2が、H、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項11または12に記載のポリマー。
【化6】
【請求項14】
R
3が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
R
4が、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである;
請求項13に記載のポリマー。
【請求項15】
R
3及びR
4が、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される、請求項13または14に記載のポリマー。
【請求項16】
L
1及びL
2が双方とも直接原子価結合である、請求項13~15のいずれか一つに記載のポリマー。
【請求項17】
以下の構造(IIb)を有する、請求項13~16のいずれか一つに記載のポリマー。
【化7】
【請求項18】
以下の構造(IIc)を有し、
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1が、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項11または12に記載のポリマー。
【化8】
【請求項19】
R
3が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
R
4が、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである;
請求項18に記載のポリマー。
【請求項20】
R
3及びR
4が、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される、請求項18または19に記載のポリマー。
【請求項21】
以下の構造(IId)を有する、請求項18~20のいずれか一つに記載のポリマー。
【化9】
【請求項22】
R
1が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキルもしくはC3~C8環状アルキル、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)であり;
R
2が、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり;そして
Aが、アクリル系ポリマー鎖である;
請求項11に記載のポリマー。
【請求項23】
以下の構造(IIf)を有し、
R
alkが、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキルであり;
R
2が、H、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項11または22に記載のポリマー。
【化10】
【請求項24】
R
3が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
R
4が、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである;
請求項23に記載のポリマー。
【請求項25】
R
3及びR
4が、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される、請求項23または24に記載のポリマー。
【請求項26】
L
1及びL
2が双方とも直接原子価結合である、請求項23~25のいずれか一つに記載のポリマー。
【請求項27】
以下の構造(IIg)を有する、請求項23~26のいずれか一つに記載のポリマー。
【化11】
【請求項28】
構造(IIh)を有し、ここで
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1が、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項11または22に記載のポリマー。
【化12】
【請求項29】
R
3が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
R
4が、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである;
請求項28に記載のポリマー。
【請求項30】
R
3及びR
4が、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される、請求項28または29に記載のポリマー。
【請求項31】
L
1及びL
2が双方とも直接原子価結合であり、そして構造(II)のポリマーが以下の構造(IIi)を有する、請求項28~30のいずれか一つに記載のポリマー。
【化13】
【請求項32】
以下の構造(III)を有するスチレン系ポリマーであり、ここで
R
e1が、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、アリール、またはアルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)であり;
R
2が、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり;
R
5が、H、C1~C4線状アルキルであり;R
6が、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;nが繰り返し単位の数であり;そして
前記スチレン系ポリマーが1~1.1の範囲の多分散性を有する;
請求項12~21のいずれか一つに記載のポリマー。
【化14】
【請求項33】
R
e1が、Hであり;
R
2が、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサである;
請求項32に記載のポリマー。
【請求項34】
以下の構造(IIIa)を有し、ここで
R
2が、H、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項32または33に記載のポリマー。
【化15】
【請求項35】
R
3が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;
R
4が、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである;
請求項34に記載のポリマー。
【請求項36】
R
3及びR
4が、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される、請求項34または35に記載のポリマー。
【請求項37】
L
1及びL
2が双方とも直接原子価結合である、請求項34~36のいずれか一つに記載のポリマー。
【請求項38】
以下の構造(IIIb)を有する、請求項34~37のいずれか一つに記載のポリマー。
【化16】
【請求項39】
以下の構造(IIIc)を有し、
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1が、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項32~34のいずれか一つに記載のポリマー。
【化17】
【請求項40】
R
3が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
R
4が、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである;
請求項39に記載のポリマー。
【請求項41】
R
3及びR
4が、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される、請求項39または40に記載のポリマー。
【請求項42】
L
1及びL
2が双方とも直接原子価結合であり、及び以下の構造(IIId)を有する、請求項37~39のいずれか一つに記載のポリマー。
【化18】
【請求項43】
以下の構造(IV)を有するアクリル系ポリマーであり、ここで
R
alkが、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキルまたはC3~C8環状アルキルであり;
R
2が、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり;
R
7が、HまたはC1~C4線状アルキルであり;
R
8が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキルまたはC3~C8環状アルキルであり;
R
e2が、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、またはC3~C8環状アルキルから選択される末端基であり;
n1が、構造(IV)の前記アクリレートポリマー中の繰り返し単位の数であり;そして前記アクリル系ポリマーが、1~1.1の範囲の多分散性を有する;
請求項22~31のいずれか一つに記載のポリマー。
【化19】
【請求項44】
R
alkが、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキルであり;
R
e2が、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項43に記載のポリマー。
【請求項45】
以下の構造(IVa)を有し、ここで
R
alkが、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキルであり;
R
2が、H、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項43または44に記載のポリマー。
【化20】
【請求項46】
R
3が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
R
4が、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである、
請求項45に記載のポリマー。
【請求項47】
R
3及びR
4が、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される、請求項45または46に記載のポリマー。
【請求項48】
L
1及びL
2が双方とも直接原子価結合である、請求項45~47のいずれか一つに記載のポリマー。
【請求項49】
以下の構造(IVb)を有する、請求項45~48のいずれか一つに記載のポリマー。
【化21】
【請求項50】
以下の構造(IVc)を有し、ここで
R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そして
L
1が、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である;
請求項43または44に記載のポリマー。
【化22】
【請求項51】
R
3が、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;
R
4が、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである;
請求項50に記載のポリマー。
【請求項52】
R
3及びR
4が、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される、請求項50または51に記載のポリマー。
【請求項53】
L
1が直接原子価結合であり、及び以下の構造(IVd)を有する、請求項43~52のいずれか一つに記載のポリマー。
【化23】
【請求項54】
請求項1~21のいずれか一つに記載のポリマー及びスピンキャスト溶剤を含む、組成物。
【請求項55】
金属製表面領域及び非金属製表面領域の両方を含む基材上に、ピン止め層ブラシを選択的に形成する方法であって、次のステップ;
i)請求項54に記載の前記組成物を前記基材上にコーティングして膜を形成するステップ、
ii)前記膜を、約120℃~約250℃の温度で約1分間~約1時間ベークして、ベークされた膜を形成するステップ、
iii)前記のベークされた膜を溶剤で洗浄して、グラフトしていないポリマーを除去して、前記基材の前記金属製表面領域上にのみピン止め層ブラシを形成するステップ、
を含む、前記方法。
【請求項56】
前記金属製表面領域が、Cu、Au、Ag、W、Ta、Nb、Fe、Ni、Co、Mo、Al、Pt、Rh、Pb、Cd、Ti、Zr、Hf、及びRuからなる群から選択され、及び前記非金属製表面領域が、Si、SiOx(酸化ケイ素)、SiNx(窒化ケイ素)、SiON(酸窒化ケイ素)及び有機誘電性基材からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
次のステップ:
ia)金属製表面領域及び非金属製表面領域の両方を含む基材上に、請求項54に記載の前記組成物をコーティングして、膜を形成するステップ、
iia)前記膜を、約120℃~約250℃の温度で、約1~約1時間、ベークして、ベークされた膜を形成するステップ、
iiia)前記ベークされた膜を溶剤で洗浄して、グラフトされていないポリマーを除去して、ピン止め層ブラシが前記基材の前記金属製表面領域上にのみ存在するグラフトされた基材を形成するステップ、
iva)前記グラフトされた基材を、中性層組成物でコーティングして、中性層コーティングを形成するステップ、
va)前記中性層コーティングを硬化するステップ、
via)硬化していない中性層を溶剤を用いて洗い落して、前記基材の前記非金属製領域に中性誘導ブラシを残して、前記基材上にケモエピタキシ誘導層を形成するステップ、
viia)前記ケモエピタキシ誘導層を、ブロックコポリマー溶液でコーティングして、ブロックコポリマーのコーティングを形成するステップ、
viiia)ブロックコポリマーの前記コーティングをアニールして、前記ケモエピタキシ誘導層上に、ブロックコポリマーの誘導自己集合膜を形成するステップ、
を含む方法。
【請求項58】
前記基材において、前記金属製表面領域がタングステンであり、及び前記非金属製表面領域がケイ素または酸化ケイ素である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ブロックコポリマーが、スチレン系繰り返し単位及びアルキルアクリル系繰り返し単位を含むブロックコポリマーである、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
前記ブロックコポリマーが、アルキルアクリル系繰り返し単位及びスチレン系繰り返し単位のAB型ジブロックコポリマーであるか、またはアルキルアクリル系繰り返し単位及びスチレン系繰り返し単位のABA型トリブロックコポリマーである、請求項57~59のいずれか一つに記載の方法。
【請求項61】
請求項11~53のいずれか一つに記載のポリマーの製造のための、請求項1~10のいずれか一つに記載の化合物の使用。
【請求項62】
基材上にピン止め層ブラシを形成するための、請求項11~53のいずれか一つに記載のポリマーまたは請求項54に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された発明は、懸垂ホスホネート部分を有する新規のアクリレート化合物であって、グラフト可能な末端基としてこれらのホスホネートを有する、アクリレートまたはスチレン含有ポリマーを形成することができる新規のアクリレート化合物、並びに金属基材上に極性または非極性ブラシ層を選択的に形成することができる、スピンキャスト溶剤を含む組成物に関する。本発明は、これらの組成物を用いて基材上に極性または非極性ブラシを形成する方法、及び誘導自己集合にこれらのブラシを使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
慣用のリソグラフィの方策では、基材または層状の基材上にコーティングされたフォトレジスト上にマスクを通して露光するために紫外(UV)線を使用し得る。ポジ型もしくはネガ型フォトレジストが有用であり、そしてこれらは、慣用の集積回路(IC)プラズマ加工技術を用いた乾式現像を可能とするようにケイ素などの耐熱性元素を含むこともできる。ポジ型フォトレジストでは、マスクを通過したUV放射線は、フォトレジスト中で光化学的反応を引き起こして、露光された領域が、現像剤溶液でまたは慣用のICプラズマ加工によって除去されるようになる。これとは反対に、ネガ型フォトレジストでは、マスクを通過したUV放射線が、放射線に曝された領域を現像剤溶液または慣用のICプラズマ加工では除去され難くする。ゲート、ビアまたはインターコネクタなどの集積回路図形が次いで基材または層状基材中にエッチングされ、そして残ったフォトレジストは除去される。慣用のリソグラフィ露光プロセスを用いると、集積回路図形の図形寸法には限界がある。パターン寸法の更なる縮小は、収差、焦点、プロキシミティ効果、達成可能な最小露光波長及び達成可能な最大開口数に関連した制限の故に放射線露光を用いては達成が困難である。誘導自己集合化は、先に記載のような慣用のリソグラフィの欠点の幾つかの解消のために関心が持たれてきた有望な方策の一つである。
【0003】
具体的には、ブロックコポリマーの誘導自己集合化は、通常は図形サイズが10nmから50nmまでの範囲のナノスケールのオーダーの図形の微小寸法(CD)を達成できる、微細電子デバイスの製造のための非常に小さなパターン化された図形を生成するのに有用な方法である。ブロックコポリマーの誘導自己集合のための慣用の方策を用いた10nm未満の図形を達成することは困難である。ブロックコポリマーのグラフォエピタキシ及びケミカルエピタキシに基づく方法などの誘導自己集合法が、リソグラフィ技術の解像能力を拡張するために望ましい。
【0004】
これらの技術は、EUV、電子ビーム、ディープUVまたは液浸リソグラフィについてより高い解像度を持つパターンの生成を可能にする及び/またはCDコントロールを改善することによって慣用のUVリソグラフィ技術を増強するために使用することができる。誘導自己集合用ブロックコポリマーは、耐エッチング性のポリマー単位のブロックと、易エッチング性のポリマー単位のブロックとを含み、これは、基材上にコーティング、整列及びエッチングされると、高解像度パターンの領域を与える。
【0005】
誘導自己集合に適したブロックコポリマーの既知の例は、ミクロ相分離することができ、かつプラズマエッチングに耐性のある炭素を豊富に含むブロック(例えばスチレンや、またはSi、Ge、Tiのような何らかの他の元素を含むもの)とプラズマエッチングまたは除去性が高いブロックとを含み、高解像度のパターン画定を供することができるものである。高エッチング性ブロックの例には、酸素を豊富に含みかつ耐熱性元素を含まず、更に高エッチング性ブロックを形成することができるモノマー、例えばメチルメタクリレートを含み得る。自己集合パターンを画定するエッチングプロセスに使用されるプラズマエッチングガスは、典型的には、集積回路(IC)の製造プロセスに使用されるガスである。このようにして、慣用のリソグラフィ技術と比べて非常に微細なパターンを典型的なIC基材上に生成でき、そうしてパターンの増倍が達成される。
【0006】
グラフォエピタキシ誘導自己集合方法では、ブロックコポリマーは、慣用のリソグラフィ(紫外線、ディープUV、及び電子ビーム、極端紫外線(EUV)露光源)で予めパターン化されて、ライン/スペース(L/S)またはコンタクトホール(CH)パターンなどのトポグラフィ図形が形成された基材上で自己組織化する。L/S誘導自己集合アレイの一例では、ブロックコポリマーは、プリパターンの側壁間のトレンチにサブリソグラフィピッチを有する自己整列したラメラ型領域を形成することができ、そうして、トポグラフィライン間のトレンチ中の空間をより微細のパターンに分割することによりパターン解像度を増強する。同様に、慣用のリソグラフィによって画定されるプリパターン化されたコンタクトホールまたはプリパターン化されたポストのアレイの内での誘導自己集合によって適当なブロックコポリマーがそれ自体で配列するグラフォエピタキシを用いることによってコンタクトホールなどの図形もより密度高く生成でき、そうしてエッチングした時にコンタクトホールのより密度の高いアレイを与えるエッチング可能なドメインと耐エッチング性のドメインとのより密度の高いアレイが形成される。加えて、ブロックコポリマーは、適切な寸法を持つプリパターンホールの中央に単一のより小さいエッチング可能なドメインを形成でき、プリパターン中のホールの潜在的な縮小及び調整を提供できる。その結果、グラフォエピタキシは、パターン調整及びパターン増倍の両方を提供する可能性を持つ。
【0007】
化学エピタキシDSA法では、ブロックコポリマーの自己集合は、異なる化学親和性の領域を持つが、自己集合化プロセスを誘導するトポグラフィを持たないかまたは僅かにしか持たない表面上で起こる。例えば、化学的プリパターンは、リソグラフィ(UV、ディープUV、電子ビーム、EUV)及びナノファブリケーションプロセスを用いて生成でき、ライン・アンド・スペース(L/S)パターンに異なる化学的親和性の表面を形成する。これらの領域は、僅かなトポグラフィ差しか生まないかまたはトポグラフィ差を生まないことがあるが、ブロックコポリマードメインの誘導自己集合に表面化学的パターンを与える。この技術は、プリパターンの空間周波数よりも大きい空間周波数を持つこれらのブロックコポリマードメインの正確な置換を可能にする。整列したブロックコポリマードメインは、次いで、プラズマまたは湿式エッチング加工の後に、下にある基材中にパターン転写することができる。加えて、ケミカルエピタキシは、ブロックコポリマー自己集合体が、表面ケミストリ、寸法、及び下にある化学パターンの粗さの変動を調整することができ、そうして、最終の自己集合したブロックコポリマードメインパターンに向上したラインエッジラフネス及びCDコントロールを与えるという利点を持つ。コンタクトホール(CH)アレイなどの他のタイプのパターンも、ケモエピタキシを用いて生成または調整することができる。
【0008】
BCPが相分離を起こす能力は、フローリーハギンズ相互作用パラメータ(x)に依存する。PS-b-PMMA(ポリ(スチレン-ブロック-メチルメタクリレート)が、誘導自己集合(DSA)用途にとって最も有望な候補である。しかし、PS-b-PMMAの最小のハーフピッチは、PSとPMMAとの間の比較的低い相互作用パラメータ(x)の故に約10nmに制限される。更なる図形の微小化を可能とするために、二つのブロックの間のより大きな相互作用パラメータ(より大きなカイ)を有するブロックコポリマーが非常に望ましい。
【0009】
リソグラフィ用途には、基材に対して垂直なブロックコポリマードメインの配向が望ましい。両方のブロックがBCP-空気界面で類似の表面エネルギーを持つPS-b-PMMAなどの慣用のブロックコポリマーでは、これは、ポリマー-基材界面のところでグラフトもしくは架橋されている非優先的もしくは中性材料の層上にブロックコポリマーをコーティング及び熱アニールすることによって達成できる。高Chiブロックコポリマーのドメイン間の相互作用パラメータの比較的大きな差異のために、BCP-空気及びBCP-基材の相互作用を制御することが重要である。垂直に配向したBCPドメインを生成するための多くの配向制御法が、高ChiBCPを用いて実行されている。例えば、ポリスチレン-b-ポリエチレンオキシド(PS-b-PEO)、ポリスチレン-b-ポリジメチルシロキサン(PS-b-PDMS)、ポリスチレン-b-ポリ(2-ビニルピリジン)(PS-b-P2VP)、ポリラクチド-b-ポリ(トリメチルシリルスチレン)PLA-b-PTMSS及びPDMS-b-PHOSTの配向制御のためには、溶剤蒸気アニーリングが使用されてきた。溶剤蒸気アニール法の溶剤蒸気チャンバ及び動力学の導入は、DSA加工プロセスを複雑にする恐れがある。その代わりに、ポリマードメインの垂直な配向を達成するために、中性下層とトップコート材料との組み合わせがPS-b-P2VP、PS-b-PTMSS及びPLA-b-PTMSSに適用されてきた。しかし、追加的なトップコート材料は、プロセスコスト及び煩雑さを高め得る。それ故、優先的及び非優先的基材の範囲上で簡単な熱アニーリングを用いた、トップコート不在の高ChiBCPシステムに対する要望が存在する。
【0010】
共有結合した膜を基材の表面上に形成するグラフトされたポリマーは、プラズマ堆積法、電気化学的堆積法または自己集合化によって製造することができる。共有結合の強さは、膜の接着性を決めるが、これらの膜は、スピンキャスティングによって製造される膜などの二次的な力を介してのみ基材表面と相互作用する膜と比べて、一般的にかなり接着性が強い。その結果、このより強い接着形成の故に、基材材料上でのグラフトポリマー膜の形成は、様々な用途に有用である。それらの中でも、一つの例は、バイオ材料であり、この場合、基材は、バルク機械的特性を妥協することなく、医療用補装具などの材料の表面にポリマーをグラフトすることによってバイオ適合性にされる。
【0011】
基材表面上でのポリマーのグラフト化も、これらの表面の生物付着防止を与えるためまたはそれらの耐腐食性を高めるために使用されてきた。
【0012】
基材表面上でのポリマーのグラフト化が、これらの基材の表面性質を変化させてより良好なコーティングを起こすコーティング溶液;金属もしくは金属酸化物ナノパーティクルの懸濁液においても、これらの懸濁液のコーティング能力及び安定性は、これらのナノパーティクルの表面でのポリマーのグラフト化によって改善し得る。
【0013】
ケイ素または酸化ケイ素基材の表面上へのポリマーブラシのグラフトは、これらの表面上に中性層を形成するために使用することができ、中性層は、ブロックコポリマーを、自己集合または誘導自己集合の間に基材表面に対して垂直にそれらのドメインを配向させる。
【0014】
ブロックコポリマーの誘導自己集合は、ナノスケールオーダーの図形の微小寸法(CD)を達成できる、微細電子デバイスの製造のためのより一層小さなパターン化された図形を生成するために有用な方法である。誘導自己集合法は、マイクロリソグラフィ技術の解像能力を拡張するために望ましい。慣用のリソグラフィ法では、基材または層状基材上にコーティングされたフォトレジスト層にマスクを通して露光するために、紫外(UV)線を使用し得る。ポジ型もしくはネガ型フォトレジストが有用であり、そしてこれらは、慣用の集積回路(IC)プラズマ加工技術を用いた乾式現像を可能とするようにケイ素などの耐熱性元素を含むこともできる。ポジ型フォトレジストでは、マスクを通過したUV放射線は、フォトレジスト中で光化学的反応を引き起こして、露光された領域が、現像剤溶液でまたは慣用のICプラズマ加工によって除去されるようになる。これとは反対に、ネガ型フォトレジストでは、マスクを通過したUV放射線が、放射線に曝された領域を現像剤溶液または慣用のICプラズマ加工では除去され難くする。ゲート、ビアまたはインターコネクタなどの集積回路図形が次いで基材または層状基材中にエッチングされ、そして残ったフォトレジストは除去される。慣用のリソグラフィ露光プロセスを用いると、集積回路図形の図形寸法には限界がある。パターン寸法の更なる縮小は、収差、焦点、プロキシミティ効果、達成可能な最小露光波長及び達成可能な最大開口数に関連した制限の故に放射線露光を用いては達成が困難である。大規模集積へのニーズの故に、デバイスの回路寸法及び図形は絶え間なく縮小されてきた。過去には、図形の最終の解像度は、それ自体に限界のある、フォトレジストの露光に使用される光の波長に依存してきた。誘導集合技術、例えばブロックコポリマーイメージングを用いたグラフォエピタキシ及びケモエピタキシは、CD変動を低下させつつ、解像度を高めるために使用される非常に望ましい技術である。これらの技術は、慣用のUVリソグラフィ技術を増強するか、またはEUV、電子ビーム、ディープUVまたは液浸リソグラフィを用いた方法において、更により高い解像度及びCD制御を可能とするために、使用することができる。誘導自己集合ブロックコポリマーは、エッチング耐性のコポリマー性単位のブロックと、エッチングされ易いコポリマー性単位のブロックとを含み、このブロックコポリマーは、基材上でコーティング、整列及びエッチングされた時に、非常に高密度のパターンの領域を与える。
【0015】
中性層は、誘導自己集合に使用されたブロックコポリマーのいずれのブロックセグメントにも親和性を持たない、基材上の層または処理された基材の表面である。ブロックコポリマーの誘導自己集合のグラフォエピタキシ法では中性層が有用である、というのも、これらは、基材に対する耐エッチング性ブロックポリマーセグメント及び高エッチング性ブロックポリマーセグメントの適切な配置をもたらす誘導自己集合のためのブロックポリマーセグメントの適切な配置または配向を可能とするからである。例えば、慣用の放射線リソグラフィで画定されたライン・アンド・スペース図形を含む表面では、中性層は、ブロックセグメントが基材の表面に対して垂直に配向するようにブロックセグメントを配向することを可能とするが、このような配向は、慣用のリソグラフィで画定されるライン間の長さに対するブロックコポリマー中のブロックセグメントの長さに依存してパターン調整とパターン増倍の両方に理想的な配向である。基材が、ブロックセグメントのうちの一つとあまりに強く相互作用すると、このセグメントがその表面上に平坦に横たわって、セグメントと基材との間の接触面が最大化されるだろう;このような表面は、慣用のリソグラフィにより生成された図形に基づいたパターンの調整またはパターンの増倍のいずれかを達成するために使用できる望ましい垂直な整列を乱すことになるであろう。基材の選択された小さな領域を変性またはピン止めして、これらを、ブロックコポリマーの一つのブロックと強く相互作用するようにし、基材の残部は中性層でコーティングされた状態で残すことは、ブロックコポリマーのドメインを所望の方向に整列させるのに有用であり得、そしてこれは、パターン増倍のために使用されるピン止めケモエピタキシまたはグラフォエピタキシの基本となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
酸性化合物、熱酸発生剤、光酸発生剤、熱ラジカル発生剤、光化学的ラジカル発生剤、塩基性添加剤、熱塩基発生剤または光塩基発生剤などの、基材上でのグラフト反応を促進するための活性化成分を存在させることなく、簡単なスピンコーティング、その後のポストコートベークを介して化学結合を起こして、半導体(例えば、Si、GaAsなど)、金属(Cu、W、Mo、Al、Zr、Ti、Hf、Auなど)及び金属酸化物(酸化銅、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなど)基材上にグラフトしたポリマー層を形成することができる新規材料への要望がある。このような熱的にまたは光化学的に反応性の添加剤化合物の存在は望ましくない、なぜならば、これらの化合物の小さなサイズ及び反応性は、それらをグラフト膜から他の層に拡散させ、そうして腐食などの望ましくない反応を起こす恐れがあるためである。他には、グラフト可能なポリマーが、スピンキャスト溶剤などの有機溶剤中のグラフト液の溶液の貯蔵寿命に悪影響を及ぼす恐れのある過度に反応性の高いグラフトサイトを含まないグラフト材料への要望もある。また、グラフトベークを変えることにより特定のタイプの基材に対する選択的グラフトを持つようにすることができる新規グラフト材料への要望もある。このようにして、プラズマ堆積または電気化学的グラフトを使用する必要なく簡単なスピンコートプロセスによって、これらの材料の表面特性、例えばコーティング可能性及び耐腐食性を変えることができ、また本発明の新規材料を用いた新規選択的グラフトプロセスの場合にも、異なる材料が一つの基材上に存在しているトポグラフィパターンまたは化学的パターンを含む基材上に、一種のみの材料をワンステップでコーティングすることができる。また、層に形成した時に、自己集合ブロックコポリマーに対して中性のままであり、及び誘導自己集合技術のプロセスステップによって損傷をなおも受けず、及び更に、誘導自己集合材料及びプロセスのリソグラフィ性能を更に増強することができ、特に、プロセスステップ数を減らし、そして良好なリソグラフィ性能をもってより良好なパターン解像を与える、新規の中性層組成物への要望もある。また、中性層基材で垂直に配向されたドメインを強制的に所望の方向に整列させるために、例えばケモエピタキシアプローチにおいて、他は中性層でコーティングされた金属または金属酸化物基材の小さな領域のためのコーティング可能なピン止め材料への要望もある。また、異なる材料を用いたパターンを含む基材上で選択的に一つのタイプの材料のみを選択的に形成してピン止め領域を形成する極性及び非極性ブラシ組成物への要望もある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、アクリレートモノマーまたはスチレン系モノマーと反応して、それぞれ、ホスホネート末端基を有するアクリレートポリマーまたはスチレン系ポリマーであって、それぞれスピンキャスト溶媒と供に処方した時に、金属基材上で極性または非極性ピン止め層ブラシ層、すなわち、DSAで使用された特定のデバイス構造における誘導自己集合に有用な極性または非極性ピン止め層ブラシ層であって、ジブロックコポリマーまたはトリブロックコポリマーの各々のブロックが、金属及び誘電性領域(例えばSi、SiOx)の両方を含む基材上に定着しなければならない極性または非極性ピン止め層ブラシ層を形成するが、非金属基材上にはグラフトしない、アクリレートポリマーまたはスチレン系ポリマーを形成することができる、懸垂ホスホネート部分を含む新規化合物に関する。この問題を解決するために、これらの異なる領域は、それぞれジブロックコポリマーにおける二つのブロックに似た二つの異なる成分でコーティングする必要がある。ここでは、これらの極性及び非極性末端ホスホネート部分を含む組成物は、金属領域と相互作用するが、誘電性領域とは相互作用しない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
開示される発明の一つの観点は、構造(I)の化合物に関し、式中、
R2は、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R3)(R4)であり、R3及びR4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;L1及びL2は、独立して、直接原子価結合またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。
【0019】
【化1】
本発明の他の観点の一つは、1~約1.1の範囲の多分散性を有する、構造(II)のポリマーに関し、式中、R
1は、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、アリール、またはアルキレンアリール(すなわち-アルキレン-アリール)であり;
R
2は、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり、R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;
L
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり;
Bは、直接原子価結合、またはメチレンスペーサ(-CH
2-)であり、
Aは、スチレン系ポリマー鎖、またはアクリル系ポリマー鎖である。
【0020】
【化2】
本発明の他の観点の一つは、構造(II)のポリマー及びスピンキャスト溶媒を含む組成物である。
【0021】
本発明の他の観点の一つは、前記組成物を用いたピン止め層の形成方法、及び上層のブロックコポリマーの誘導自己集合化に前記ピン止め層を用いたケモエピタキシ方法、及びこの誘導自己集合したブロックポリマー層を基材中にエッチングするその後のプロセスを含む。
【0022】
前記の一般的な説明及び以下の詳細な説明はどちらも、実例及び説明のためのものであり、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではないと理解されたい。本出願において、単数形の使用は複数も包含し、他に記載がなければ、単数形は「少なくとも一つ」を意味し、「または」の使用は「及び/または」を意味する。更に、「含む」という記載、並びに「含まれる」などの他の動詞形の使用は限定的ではない。また、「要素」または「成分」などの記載は、他に具体的に記載がなければ、一つの構成単位を含む要素及び成分と、並びに1つ超の構成単位を含む要素または成分との両方を包含する。他に記載がなければ、ここで使用する「及び」という接続詞は両立的であることを意図し、そして「または」という接続詞は、排他的であることを意図していない。例えば、「または、その代わりに」という表現は、排他的であることを意図している。ここで使用する「及び/または」という記載は、単一要素の使用も含む、前述される要素の任意の組み合わせを指す。
【0023】
ここで使用する各章の表題は、文書構成を目的としたものであって、記載の主題を限定するものと解釈するべきではない。限定はされないが特許、特許出願、論文、書籍及び専門書を始めとした本願で引用する全ての文献または文献の一部は、全ての目的に関してそれらの内容の全てが本明細書中に掲載されたものとする。ここに掲載されたものとする文献参照及び類似の資料の一つ以上における用語の定義が、本願明細書におけるものと矛盾する場合は、本願の定義が優先する。
【0024】
他に記載がなければ、「アルキル」は、線状、分岐状(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチルなど)、または環状(例えば、シクロヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチルなど)、多環式(例えば、ノルボルニル、アダマンチルなど)であることができる炭化水素基を指す。これらのアルキル部分は、以下に記載のように置換されていてもまたは置換されていなくともよい。「アルキル」という用語は、C1~C8炭素を有するこのような部分を指す。構造上の理由から、線状アルキルはC1から始まり、他方で、分岐状アルキル及び環状アルキルはC3から始まり、そして多環式アルキルはC5から始まると理解される。更に、以下に記載のアルキルから誘導される部分、例えばアルキルオキシは、他に記載がなければ、同じ炭素数範囲を有するものと理解される。上記とは異なるアルキル基の長さが規定される場合は、アルキルの前記の定義は、前記の全てのタイプのアルキル部分を包含する点でなおも有効であり、及び所与のタイプのアルキル基の最小炭素数に関しての前記の構造に関する考察はなおも該当する。
【0025】
アルキルオキシ(別称ではアルコキシ)は、オキシ(-O-)部分を介して結合したアルキル基を指す(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、1,2-イソプロポキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなど)。これらのアルキルオキシ部分は、以下に記載のように置換されていてもまたは置換されていなくともよい。
【0026】
ハロまたはハライドは、一つの結合手によって有機部分に結合するハロゲン、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0027】
ハロアルキルは、水素のうちの少なくとも一つが、F、Cl、Br、I、または1超のハロ部分が存在する場合にはこれらの混合物の群から選択されるハライドによって置き換えられている、上述したものなどの、線状、環状または分岐状の飽和アルキル基を指す。フルオロアルキルは、これらの部分の特定のサブグループである。
【0028】
「アルキレン」という用語は、二つ以上の結合手を有する、線状、分岐状または環状であることができる炭化水素基を指す(例えば、結合手が二つの場合は、メチレン、エチレン、1,2-イソプロピレン、1,4-シクロヘキシレンなど、結合手が三つの場合は、1,1,1-置換メタン、1,1,2-置換エタン、1,2,4-置換シクロヘキサンなど)。この場合もまた、可能な炭素数範囲、例えば非限定的な例としてC1~C20を指定する時は、この範囲は、C1から始まる線状アルキレンを包含するが、C3から始まる分岐状アルキレンまたはシクロアルキレンのみを指定する。これらのアルキレン部分は、以下のように、置換されていてもまたは置換されていなくともよい。
【0029】
「アリール」または「芳香族基」という用語は、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、アントラシル、ビフェニル類、ビス-フェニル類、トリス-フェニル類などを始めとした、炭素原子数6~24の基を指す。これらのアリール基は、更に、任意の適当な置換基、例えば先に記載したようなアルキル、アルコキシ、アシルまたはアリール基で置換されていてよい。
【0030】
明細書に他に記載がなければ、「置換された」という記載は、アリール、アルキル、アルキルオキシ、フルオロアルキル、フルオロアルキルオキシ、縮合芳香族環、アレーン、ヘレロアレーンについて言う時は、置換されていないアルキル、置換されたアルキル、置換されていないアリール、アルキルオキシアリール(アルキル-O-アリール-)、ジアルキルオキシアリール((アルキル-O-)2-アリール)、ハロアリール、アルキルオキシ、アルキルアリール、ハロアルキル、ハライド、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アセチル、アルキルカルボニル、ホルミル、エテニル(CH2=CH-)、フェニルエテニル(Ph-CH=CH-)、アリールエテニル(アリール-CH=CH)、及びエテニレンアリーレン部分を含む置換基(例えばAr(-CH=CH-Ar-)z(zは1~3))の群から選択される一つ以上の置換基も含むこれらの部分のうちの一つを指す。置換されたアリール及び置換されたアリールエテニル置換基の具体的な非限定的な例は、次に挙げるものであり、ここで
【0031】
【0032】
【化4】
本発明の一つの観点は、構造(I)の化合物であり、式中、R
2は、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり、R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;L
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。
【0033】
【化5】
式(I)の前記化合物の他の観点の一つでは、R
2は、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり、R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;L
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。
【0034】
更に別の観点の一つでは、前記化合物は構造(Ia)を有し、ここでR2は、H、または-P(=O)(R3)(R4)であり;R3及びR4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてL1及びL2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。この態様の他の観点の一つでは、R3はC1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;R4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。この態様の更に別の観点の一つでは、R3及びR4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。本発明のこの観点の更に別の態様の一つでは、前記化合物は、L1及びL2が双方とも直接原子価結合であるものである。
【0035】
【化6】
他の観点の一つでは、構造(I)の化合物は、より具体的な構造(Ib)を有し、ここで、R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてL
1は、 直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。この態様の他の観点の一つでは、R
3はC1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;R
4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。この態様の他のより具体的な観点の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、またはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。
【0036】
【化7】
構造(Ib)の化合物のより具体的な態様の一つでは、これは構造(Ic)を有する。この態様の一つの観点では、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。この態様の他の観点の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシから選択される。他の観点の一つでは、R
3及びR
4はエチルである。他の観点の一つでは、R
3及びR
4はメチルである。
【0037】
【化8】
構造(Ib)の化合物のより具体的な態様の一つでは、これは構造(Id)を有する。この態様の一つの観点では、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。この態様の他の観点の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシから選択される。他の観点の一つでは、R
3及びR
4はエチルである。他の観点の一つでは、R
3及びR
4はメチルである。
【0038】
【化9】
構造(Ib)の化合物のより具体的な態様の一つでは、これは構造(Ie)を有する。この態様の一つの観点では、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。この態様の他の観点の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシから選択される。他の観点の一つでは、R
3及びR
4はエチルである。他の観点の一つでは、R
3及びR
4はメチルである。
【0039】
【化10】
本発明の他の観点の一つは、1~約1.1の範囲の多分散性を有する構造(II)のポリマーであり、ここで、R
1は、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、アリール、またはアルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)であり;
R
2は、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり、R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;
L
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり;
Bは、直接原子価結合、またはメチレンスペーサ(-CH
2-)であり;そして
Aは、スチレン系ポリマー鎖、またはアクリル系ポリマー鎖である。
【0040】
【化11】
構造(II)のポリマーの他の観点の一つは、R
1がHであり;R
2がH、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;R
3及びR
4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてL
1及びL
2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり、そしてAがスチレン系ポリマー鎖であるものである。
【0041】
構造(II)のポリマーの他の観点の一つは、これが式(IIa)を有し、式中、R2がH、または-P(=O)(R3)(R4)であり;R3及びR4が、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてL1及びL2が、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であるものである。この態様の他の観点の一つでは、R3は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてR4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。この態様の更に別の観点の一つでは、R3は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;R4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。
【0042】
【化12】
このポリマーの他の態様の一つでは、これは、それが構造(IIa)を有する前記ポリマーの上記態様のいずれかであり、ここで、R
3は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてR
4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであるものである。このポリマーの他の態様の一つでは、これは、それが構造(IIa)を有する前記ポリマーの上記態様のいずれかであり、ここで、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択されるものである。このポリマーの更に別の観点の一つでは、これは、それが構造(IIa)を有する前記ポリマーの上記態様のいずれかであり、ここで、L
1及びL
2は双方とも直接原子価結合であるものである。
【0043】
このポリマーの他の観点の一つでは、これは、それが構造(IIa)を有する前記ポリマーの上記態様のいずれかであり、より具体的な構造(IIb)を有するものである。
【0044】
【化13】
構造(II)のポリマーの他の観点の一つでは、これは構造(IIc)を有し、式中、R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてL
1は、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。この態様の他の観点の一つでは、R
3は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてR
4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。この態様の他の観点の一つでは、R
3は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてR
4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。この態様の更に別の観点の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。
【0045】
【化14】
構造(IIc)のポリマーの他の観点の一つでは、これは構造(IId)を有する。この態様の一つの観点では、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。この態様の他の観点の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシから選択される。他の観点の一つでは、R
3及びR
4はエチルである。他の観点の一つでは、R
3及びR
4はメチルである。
【0046】
【化15】
構造(IIc)のポリマーの他の観点の一つでは、これは構造(IIe)を有する。この態様の一つの観点では、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。この態様の他の観点の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシから選択される。他の観点の一つでは、R
3及びR
4はエチルである。他の観点の一つでは、R
3及びR
4はメチルである。
【0047】
【化16】
構造(II)のポリマーの他の観点の一つでは、R
1は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキルまたはC3~C8環状アルキル、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)であり;R
2は、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;L
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり;Aはアクリル系ポリマー鎖である。
【0048】
【化17】
構造(II)のポリマーの他の観点の一つでは、これは構造(IIf)を有し、ここで、R
alkは、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキルであり;R
2は、H、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてL
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。この態様の他の観点の一つでは、R
3はC~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;R
4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。この観点の更に別の態様の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。この態様の更に別の観点の一つでは、L
1及びL
2は、双方とも、直接原子価結合である。この観点の更に別の態様の一つでは、これは構造(IIg)を有する。
【0049】
【化18】
構造(II)のポリマーの他の態様の一つでは、これは構造(IIh)を有し、ここで、R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;L
1は、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。この観点の他のより具体的な態様の一つでは、R
3は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;R
4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。この観点の他のより具体的な態様の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。この態様の他の観点の一つでは、L
1は直接原子価結合であり、そして構造(II)のポリマーは構造(IIi)を有する。この態様の他の観点の一つでは、これは構造(IIj)を有する。
【0050】
【化19】
前記ポリマーが構造(II)を有する本発明の上記の態様の一つの観点では、前記ポリマーaは、構造(III)を有するスチレン系ポリマーであり、ここで
R
e1は、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、アリールまたはアルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)であり;R
2は、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;
R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;
L
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり;
R
5は、H、C1~C4線状アルキルであり;R
6は、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;nは、繰り返し単位の数であり;更にここで、前記スチレン系ポリマーは、1~1.1の範囲の多分散性を有する。
【0051】
【化20】
構造(III)のスチレン系ポリマーの一つの観点では、R
e1はHであり;R
2は、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてL
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。
【0052】
上記の構造(III)のスチレン系ポリマーの一つの観点では、これは構造(IIIa)を有し、ここで、R2は、H、または-P(=O)(R3)(R4)であり;R3及びR4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;L1及びL2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。
【0053】
【化21】
構造(IIIa)のスチレン系ポリマーの一つの観点では、R
3は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;R
4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。
【0054】
構造(IIIa)のスチレン系ポリマーの上記の態様の他の観点の一つでは、R3及びR4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。この態様の一つの観点では、L1及びL2は、双方とも、直接原子価結合である。
【0055】
前記スチレン系ポリマーの他の観点の一つでは、これは、構造(IIIb)を有し、ここで、置換基Re1、R5、R6、R4、R3は、異なる態様において様々であってよく、そしてn及び多分散性は、構造(III)及び(IIIa)について先に記載した通り様々であってよい。
【0056】
【化22】
前記スチレン系ポリマーの他の観点の一つでは、これは構造(IIIc)を有し、ここで、置換基R
e1、R
5、R
6、R
4、R
3及びn及び多分散性は、構造(III)及び(IIIa)について先に記載した通り様々であってよい。この態様の一つの具体的な態様では、R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてL
1は、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。この観点の一つの具体的な態様では、R
3は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてR
4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。この態様の他の観点の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。この態様の更に別の観点の一つでは、これは、置換基が、この態様について先に記載したように様々でってよい構造(IIId)を有する。この態様の他の観点の一つでは、これは構造(IIIe)を有する。
【0057】
【化23】
本発明の他の観点の一つでは、前記の本発明のポリマーは、構造(IV)を有するアクリル系ポリマーであり、ここで、R
alkは、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキルまたはC3~C8環状アルキルであり;R
2は、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;L
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり;R
7は、HまたはC1~C4線状アルキルであり;R
8は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキルまたはC3~C8環状アルキルであり;R
e2は、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、またはC3~C8環状アルキルから選択される末端基であり;n1は、前記アクリレートポリマー中の繰り返し単位の数であり;そして更に、前記アクリル系ポリマーは、1~1.1の多分散性を有する。この態様の一つの観点では、R
alkは、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキルであり;R
2は、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてL
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサである。この態様の他の観点の一つでは、R
alkは、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキルであり;R
2は、H、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてL
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。
【0058】
【化24】
他の観点の一つでは、前記のアクリル系ポリマーは構造(IVa)を有し、ここで、置換基R
e2、R
7、R
8及びn1及び多分散性は、構造(IV)を有する前記アクリル系ポリマーについて先に記載した通り様々であってよく、更にここで、R
alkは、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキルであり;R
2は、H、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり;R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;L
1及びL
2は、独立して、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。この態様の更に別の観点の一つでは、R
3は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてR
4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。この態様の他の観点の一つでは、R
3は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてR
4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。この態様の更に別の観点の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。更に別の態様の一つでは、L
1及びL
2は、双方とも直接原子価結合である。更に別の態様の一つでは、前記ポリマーは構造(IVb)を有する。
【0059】
【化25】
他の観点の一つでは、前記のアクリル系ポリマーは構造(IVc)を有し;ここで、置換基R
e2、R
7、R
8及びn1及び多分散性は、前記アクリル系ポリマーにおいて先に記載通りに様々であってよく、R
3及びR
4は、独立して、アリール、アルキレンアリール(すなわち、-アルキレン-アリール)、C2~C8アルキレンオキシアルキル(すなわち、-アルキレン-O-アルキル)、C2~C8ハロアルキル、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてL
1は、直接原子価結合、またはC1~C8アルキレンスペーサ基である。この態様の一つの観点では、R
3は、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシであり;そしてR
4は、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシである。この態様の更に別の観点の一つでは、R
3及びR
4は、独立して、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシまたはC3~C8環状アルキルオキシから選択される。前記のアクリル系ポリマーの更に別の観点の一つでは、L
1は直接原子価結合であり、そしてL
2は直接原子価結合またはC1~C8アルキレンスペーサ基であり、R
2は、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)であり、そして該ポリマーは、構造(IVd)を有する。構造(IVc)を有する態様のより具体的な観点の一つでは、これは構造(IVe)を有する。構造(IVd)を有するより具体的な態様の一つでは、これは構造(IVf)を有し、ここで、R
2は、H、ハライド、C1~C8線状アルキル、C3~C8分岐状アルキル、C3~C8環状アルキル、C1~C8線状アルキルオキシ、C3~C8分岐状アルキルオキシ、C3~C8環状アルキルオキシ、または-P(=O)(R
3)(R
4)である。
【0060】
【化26】
本発明の他の観点の一つは、上記の本発明によるポリマーのいずれか一つ及び有機系スピンキャスト溶剤を含む組成物である。
【0061】
該新規組成物の上記の態様においては、該有機系スピンキャスト溶剤は、前記新規ポリマー及び先に記載したような他の追加的な任意成分を溶解することができるものである。この有機系スピンキャスト溶剤は、単一の溶剤または複数種の溶剤の混合物であってよい。適当な溶剤は、有機溶剤であり、これには、例えばグリコールエーテル誘導体、例えばエチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、またはジエチレングリコールジメチルエーテル;グリコールエーテルエステル誘導体、例えばエチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、またはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA);カルボキシレート、例えばエチルアセテート、n-ブチルアセテート及びアミルアセテート;二塩基性酸のカルボキシレート、例えばジエチルオキシレート及びジメチルマロネート;グリコール類のジカルボキシレート、例えばエチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテート;及びヒドロキシカルボキシレート、例えば乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、グリコール酸エチル、及び3-ヒドロキシプロピオン酸エチル;ケトンエステル、例えばピルビン酸メチルまたはピルビン酸エチル;アルキルオキシカルボン酸エステル、例えば3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、またはエトキシプロピオン酸メチル;ケトン誘導体、例えばメチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンまたは2-ヘプタノン;ケトンエーテル誘導体、例えばジアセトンアルコールメチルエーテル;ケトンアルコール誘導体、例えばアセトールまたはジアセトンアルコール;ケタールまたはアセタール、例えば1,3ジオキサラン及びジエトキシプロパン;ラクトン、例えばブチロラクトン;アミド誘導体、例えばジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド、アニソール及びこれらの混合物などが挙げられ得る。
【0062】
該新規組成物は、ポリマー及び溶剤の他に、コーティングを容易にするための添加剤として界面活性剤を含んでよい。
【0063】
前記発明の他の観点の一つは、前記新規ポリマーが、有機系スピンキャスト溶剤も含めた前記組成物の全重量の約0.1重量%~10重量%の量で存在する新規組成物である。他の観点の一つでは、これは、約0.1重量%~約2重量%の量で存在する。更に別の態様の一つでは、これは、約0.5重量%~約1.5重量%の量で存在する。更に別の態様の一つでは、これは、約0.75重量%~約1.5重量%の量で存在する。更に別の態様の一つでは、これは、約1重量%の量で存在する。
【0064】
本発明の他の観点の一つは、金属製表面領域及び非金属製表面領域の両方を含む基材上にピン止め層ブラシを選択的に形成する方法であって、次のステップ:
i)先に記載の組成物を前記基材上にコーティングして、膜を形成するステップ、
ii)前記膜を、約120℃~約250℃の温度で約1分間~約1時間ベークして、ベークされた膜を形成するステップ、
iii)前記のベークされた膜を溶剤で洗浄して、グラフトしていないポリマーを除去して、前記基材の前記金属製表面領域上にのみピン止め層ブラシを形成するステップ、
を含む、前記方法である。
【0065】
ステップi)~iii)を含む前記方法の他の観点の一つは、ステップii)において、前記ベークが、約1分間から約30分間まで行われる方法である。ステップii)におけるこの態様の更に別の態様の一つでは、前記膜は、約150℃~約170℃でベークされる。この態様の更に別の観点の一つでは、これは約180℃でベークされる。更に別の観点の一つでは、これは、約30分間、ベークされる。
【0066】
ピン止め層ブラシを選択的に形成する前記方法の他の観点の一つは、前記金属製表面領域が、Cu、Au、Ag、W、Ta、Nb、Fe、Ni、Co、Mo、Al、Pt、Rh、Pb、Cd、Ti、Zr、Hf、及びRuからなる群から選択され、そして前記非金属製表面領域は、Si、SiOx(酸化ケイ素)、SiNx(窒化ケイ素)、SiON(酸窒化ケイ素)及び有機系誘電性基材からなる群から選択される方法である。
【0067】
この発明の他の観点の一つは、次のステップ;
ia)先に記載した組成物を、金属製表面領域及び非金属製表面領域の両方を含む基材上にコーティングして、膜を形成するステップ、
iia)前記膜を、約120℃~約250℃で約1分間~約1時間ベークして、ベークされた膜を形成するステップ、
iiia)前記ベークされた膜を溶剤で洗浄して、グラフトされていないポリマーを除去して、ピン止め層ブラシが、前記基材の前記金属製表面領域上にのみ存在するグラフトされた基材を形成するステップ、
iva)前記グラフトされた基材を、中性層組成物でコーティングして、中性層コーティングを形成するステップ、
va)前記中性層コーティングを硬化するステップ、
via)硬化してない中性層を、溶剤を用いて洗浄して除去して、前記基材の前記非金属製領域中に中性誘導ブラシを残して、前記基材上に、ケモエピタキシ誘導層を形成するステップ、
viia)前記ケモエピタキシ誘導層を、ブロックコポリマー溶液でコーティングして、ブロックコポリマーのコーティングを形成するステップ、
viiia)ブロックコポリマーの前記コーティングをアニールして、前記ケモエピタキシ誘導層上に、ブロックコポリマーの誘導自己集合膜を形成するステップ、
を含む前記方法である。
【0068】
ステップia)~viiia)を含む方法の他の観点の一つは、ステップiia)において、前記ベークを約1分間から約30分間まで行う方法である。ステップiia)におけるこの態様の更に別の観点の一つでは、前記膜は、約150℃~約170℃でベークされる。この態様の更に別の観点の一つでは、これは約180℃でベークされる。更に別の観点の一つでは、これは約30分間ベークされる。
【0069】
ステップia)~viiia)を含む方法の他の観点の一つは、前記基材に関して、前記金属製表面領域がタングステンであり、そして前記非金属製表面領域がケイ素または酸化ケイ素である方法である。
【0070】
ステップia)~viiia)を含む方法の他の観点の一つは、前記ブロックコポリマーが、スチレン系繰り返し単位とアルキルアクリル系繰り返し単位とを含むブロックコポリマーである。
【0071】
ステップia)~viia)を含む方法の他の観点の一つは、前記ブロックコポリマーが、アルキルアクリル系繰り返し単位とスチレン系繰り返し単位とのAB型ジブロックコポリマーであるか、またはアルキルアクリル系繰り返し単位とスチレン系繰り返し単位とのABA型トリブロックコポリマーである方法である。
【0072】
ブロックコポリマーの具体的な非限定的な例は、ポリ(スチレン-b-ビニルピリジン)、ポリ(スチレン-b-ブタジエン)、ポリ(スチレン-b-イソプレン)、ポリ(スチレン-b-メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン-b-アルケニル芳香族類)、ポリ(イソプレン-b-エチレンオキシド)、ポリ(スチレン-b-(エチレン-プロピレン))、ポリ(エチレンオキシド-b-カプロラクトン)、ポリ(ブタジエン-b-エチレンオキシド)、ポリ(スチレン-b-t-ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート-b-t-ブチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド-b-プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン-b-テトラヒドロフラン)、ポリ(スチレン-b-イソプレン-b-エチレンオキシド)、ポリ(スチレン-b-ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルメタクリレート-b-ジメチルシロキサン)、または上記のブロックコポリマーの少なくとも一つを含む組み合わせである。これらの全てのポリマー性材料は、ICデバイスの製造に典型的に使用されるエッチング技術に対し耐性のある繰り返し単位に富む少なくとも一つのブロック、及びこれらの同じ条件下に迅速にエッチングされる少なくとも一つのブロックの存在という点で共通する。これは、自己集合ポリマーパターンを、基材上に転写することを可能にする。
【0073】
この発明の他の観点の一つは、先に記載のポリマーの製造のための、先に記載した式(I)の化合物の使用である。
【0074】
この発明の他の観点の一つは、ピン止め層ブラシを基材上に形成するための、先に記載のポリマーまたは組成物の使用である。
【実施例】
【0075】
本発明のより具体的な態様及びこのような態様の裏付けとなる実験結果を記載する。例は、開示された発明をより十分に説明するために以下に記載したものであり、開示された発明を如何様にも限定するものと解釈するべきではない。
【0076】
様々な改良及び変更を、開示された発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示された発明及びここに提供される具体例に対して行うことができることは当業者には明らである。それ故、以下の例によって提供される記載を含めた開示された発明は、いずれの請求項の範囲及びそれらと等価のものの範囲内に入る、開示された発明の改良及び変更を包含することが意図される。
【0077】
DPE-ホスホネート(I~IV)の合成
例1:ジエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネート(DPE-I)の合成(スキーム1に記載)
1Lの二つ首フラスコ及びマグネチックバーを、真空下に炉中で十分に乾燥した。メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド82g(223mmol)を加え、真空下に乾燥し、次いで窒素を充填した。600mLのTHFを加え、そして反応容器を氷浴で冷却した。n-ブチルリチウム156mL(ヘキサン中1.6M、249mmol)を、氷浴冷却下に容器にゆっくりと加え、そして、氷浴を取り外して、容器温度を室温まで自然に高めた。殆どの固形物が消失するまで、反応を1時間維持した(生成したイリドはTHF中に可溶)。イリド反応の間に、別の二つ首フラスコ中のTFH100mL中の4-ブロモベンゾフェノン50g(192mmol)の溶液を用意した。4-ブロモベンゾフェノン溶液を、氷浴下にカニューレによりイリド反応容器に移し、反応を1または2時間攪拌した。この反応を水で停止し、そして酢酸エチルで希釈した。混合物を、1%HCl水溶液及びNaCl水溶液で抽出し、そしてMgSO4を用いて乾燥した。MgSO4を濾別した後、溶液を回転蒸発器で濃縮した。白色の固形トリフェニルホスホニウムオキサイドを、2/1ヘキサン/酢酸エチルを加えて析出させ、そして濾別した。次いで、溶液を再び濃縮した。ヘキサンを用いたシリカカラムクロマトグラフィ、その後の溶剤蒸発及び真空下での乾燥によって、無色の液状生成物としての4-(1,1-ジフェニルエチレン)-Br(I)43g(92.7%)が得られた。4-ブロモ-DPE(I)13g(51.7mmol)を、500mLの二つ首フラスコに加え、窒素を充填し、そしてTHF200mL中に溶解した。1.6M nBuLiの35.5mL(56.9mmol)を、-78℃浴でゆっくりと加え、そして反応を同じ温度で10分間、放置した。別の500mLの二つ首フラスコに、ジエチルクロロホスフェート9.7mL(67.2mmol)を窒素下に加えた。THF100mLを加え、そして溶液を-78℃まで冷却した。リチウム化されたDPE溶液を、カニューレにより20分間かけて、THF中の前記の別個のジエチルクロロホスフェートに移した。この溶液を30分間攪拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、そして水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、そして一緒にした有機層をMgSO4で乾燥した。濾過してMgSO4を除去した後、溶剤を蒸発させて有機層を濃縮した。酢酸エチル中50%のヘキサンを通したシリカカラムクロマトグラフィにより、淡黄色の油状物12.5g(76.3%)が得られた。1H NMR(400MHz,CDCl3),ppm(δ),7.81(1H,dd,J=6.0Hz),7.79(1H,dd,J=6.0Hz),7.47-7.44(2H,m),7.37-7.32(5H,m),5.57(1H,s),5.55(1H,s),4.21-4.12(4H,m),1.37(6H,t,J=5.3Hz)。
【0078】
例2:ジメチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネート(DPE-II)の合成(スキーム2に記載)
ジエチルクロロホスフェートの代わりにジメチルクロロホスフェートを使用したことを除き、例1の手順に倣って合成した。1H NMR(400MHz,CDCl3),ppm(δ),7.81(1H,dd,J=6.1Hz),7.77(1H,dd,J=6.1Hz),7.49-7.46(2H,m),7.38-7.32(5H,m),5.58(1H,s),5.55(1H,s),3.83(3H,s),3.80(3H,s)。
【0079】
例3:フェニルエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスフィネート(DPE-III)の合成(スキーム3に記載)
ジエチル4-(1,1-ジフェニレンエチレン)ホスフェート(DPE-I)25gを500mLフラスコに加え、そして塩化オキサリルをゆっくりと加え、その後、氷浴で数滴のジメチルホルムアミドを加えた。この反応溶液を、ドラフトチャンバー中でガスを放出させつつ、50℃で一晩攪拌し続けた。全ての残渣、過剰の塩化オキサリル及び溶剤を蒸発させて除去した後、フェニルマグネシウムブロマイド(ジエチルエーテル中2M)を、-78℃でTHF溶液中にゆっくりと加え、そして温度を室温まで徐々に高めた。この溶液を酢酸エチルで希釈し、そして水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、そして一緒にした有機層をMgSO4で乾燥した。MgSO4を除去して濾過した有機層を、溶剤を蒸発させて濃縮した。酢酸エチル中30%のヘキサンを用いたシリカカラムクロマトグラフィにより、淡黄色の油状物14.5gが得られた。1H NMR(400MHz,CDCl3),ppm(δ),7.89-7.77(4H,m),7.57-7.42(5H,m),7.36-7.30(5H,m),5.55(1H,s),5.53(1H,s),4.19-4.12(2H,m),1.39(3H,t,J=9.18Hz)。
【0080】
例4:エチルエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスフィネート(DPE-IV)の合成(スキーム4に記載)
フェニルマグネシウムブロマイドの代わりにエチルマグネシウムクロライド(ジエチルエーテル中2M)を用いて例2の手順に倣って合成した。1H NMR(400MHz,CDCl3),ppm(δ),7.77(1H,dd,J=6.18Hz),7.75(1H,dd,J=6.18Hz),7.48(1H,dd,J=6.13Hz),7.47(1H,dd,J=6.13Hz),7.40-7.32(5H,m),5.57(1H,s),5.56(1H,s),4.17-4.11(1H,m),3.95-3.89(1H,m),2.0-1.87(3H,m),1.34(3H,t,J=5.3Hz),1.18(3H,t,J=5.8Hz),1.13(3H,t,J=5.8Hz)。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【化37】
スキーム11
例5:ジエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートでキャップしたPMMA(PMMA-A)の合成(スキーム5に記載)
二つのロータフローストップコック及び19接続ガラスジョイントを供したキャリブレート済みのアンプルに、25mLのMMA(アルミナカラムを通過させ及び脱気したもの)を入れた。MMAを低温に維持しつつ強力な真空下に注意深く脱気した後、モノマーのMMA(25mL)の所望の量を集め、そしてアンプルを、ストップコックを用いて真空下に閉めた。グローブボックス中で、ジエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネート(DPE-1)の必要量を小瓶中に計り取り(Sec-BuLiに対して1.2モル過剰)、そして約5~10mLのトルエン中に溶解し、そして一つのロータフローストップコック及び19Fジョイントを供したキャリブレート済みのアンプル中に移した。この溶液を、直ぐに、希薄なヘキシルDPE-Li溶液(アニオン錯体を形成する、2重量%の1,1’-ジフェニルエチレン及び当モル量のsec-ブチルリチウムを含むトルエン溶液)で、淡橙/赤色が持続するまで滴定した。溶液色は弱くなり、次いで黄色に維持された。ストップコックを閉じた後、アンプルをグローブボックスから取り出した。MMAサンプル及びDPEサンプルの両方を、ガラスジョイント及びイエローグリースを用いてフラスコに取り付けた。LiClの必要量(Sec-BuLiに対して10倍過剰)を計り取り、そして前記フラスコに素早く加え、そして真空/アルゴンへのアクセスのためのゴムチューブと接続した三方セプタムアダプタで閉じた。真空をフラスコに適用し、そしてLiClをヒートガンを用いて乾燥した。10分後、フラスコを室温にし、そしてアルゴンを充填した。正圧下に、約250mLの無水THFを、カニューレ移送により前記フラスコに移した。フラスコ温度を、ドライアイス/アセトン浴を用いて-78℃に低めた。LiCl/THF溶液を、持続的なレモン色/黄色が得られるまで、Sec-BuLi(1.4M)で滴定した。フラスコを-78℃にしつつ、MMAアンプルにアルゴンを充填し、そして圧力平衡ストップコックを閉じた。5分後、ドライアイス/アセトン浴を取り除き、そしてフラスコを室温にした。黄色/sec-BuLiの消失までに15~30分間かかる(過剰のsec-BuLiの完全消失が観察された)。無色の溶液が得られた後、フラスコ温度を-78℃に低め、そして活性DPE開始剤を生成するのに必要な量のsec-BuLiを、気密ガラスシリンジを用いて加えた。次いで、ロータフローストップコックを開いて滴定された4-ジエチルホスフェート-DPE溶液を加えた。その結果、黄色から、活性DPE-Li開始剤の色である暗赤色への変色が起こった。2~3分後、前記開始剤溶液を迅速な攪拌下に維持しつつ、MMAを3~6分間内に滴下した。反応を更に10分間続け、そして脱気した3mLのメタノールで停止した。フラスコを室温にし、そして数滴のHClと混合した水中に析出させてポリマーを回収した。このポリマーを酢酸エチル中に溶解し、その後、水で洗浄し、次いでヘキサン中に析出させた。析出したポリマーを濾過し、そして60℃、真空中で乾燥すると、Mn=4.8k、PDI=1.05の4-ジエチルホスフェートキャップドPMMAが定量的な収量で得られた。
【0092】
例6:ジメチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートでキャップされたPMMA(PMMA-B)の合成(スキーム6に記載)
ジエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートの代わりにジメチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートを用いて例5の手順に倣って合成した。Mn=4.7k、PDI=1.06。
【0093】
例7:フェニルエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスフィネートでキャップしたPMMA(PMMA-C)の合成(例7に記載)
ジメチル4-(1、1-ジフェニルエチレン)ホスホネートの代わりにフェニルエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスフィネートを用いて例5の手順に倣って合成した。Mn=6.5k、PDI=1.04。
【0094】
例8:4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスフィン酸でキャップしたPMMA(PMMA-D)の合成(スキーム8に記載)
ジメチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートでキャップしたPMMA(PMMA-B)を、室温で一晩、ヨードトリメチルシランで処理し、次いで水中に析出した。濾過されたポリマーを減圧炉で乾燥した。Mn=11.3k、PDI=1.06。
【0095】
例9:ジエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートでキャップしたPS(PS-A)の合成(スキーム9に記載)
ステップ1:スチレン(カラムに通し及び脱気したもの)25mLを、二つのロータフローストップコック及び19F接続ガラスジョイントを供したキャリブレート済みのアンプル中に入れた。スチレンを低い温度に維持しつつ強力な真空下に注意深く脱気した後、前記の25mLのスチレンモノマーを集め、そしてアンプルを、ストップコックを用いて真空下に閉めた。グローブボックス中で、ジエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネート(DPE-I)を小瓶中に計り取り(Sec-BuLiに対して1.2モル過剰)、そして約5~10mLのトルエン中に溶解し、そして一つのロータフローストップコック及び19Fジョイントを供したキャリブレート済みのアンプル中に移した。この溶液を、淡い橙色が持続するようになるまで、希薄なヘキシルDPE-Li溶液で直ぐに滴定した。ストップコックを閉じた後、アンプルをグローブボックスから取り出した。前記のスチレンアンプル及びDPEアンプルの両方を、ガラスジョイント及びイエローグリースを用いてフラスコに取り付けた。このフラスコに真空を適用し、そしてヒートガンを用いて乾燥した。10分後、フラスコを室温にし、そしてアルゴンを充填した。正圧下に、約250mLの無水THFを、カニューレ移送を介してフラスコに移した。フラスコ温度を、ドライアイス/アセトン浴を用いて-78℃に低めた。THF溶液を、持続的なレモン色/黄色が得られるまで、Sec-BuLi(1.4M)で滴定した。このフラスコを-78℃としつつ、スチレンアンプルにアルゴンを充填し、そして圧力平衡ストップコックを閉じた。5分後、ドライアイス/アセトン浴を取り除き、そしてフラスコを室温にした。黄色/sec-BuLiの消失までに15~30分間かかる(過剰のsec-BuLiの完全消失が観察された)。無色の溶液が得られた後に、フラスコ温度を-78℃に低下し、そして7.9mLのsec-BuLi(1.4M)開始剤を、気密ガラスシリンジを用いて加えた。2~3分後、開始剤溶液を迅速な攪拌下に維持しつつ、スチレンを3~6分間内で滴下した。反応を、更に30分間続けた。次いで、ジエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートを、前記アンプルから加え、直ぐに生じた深い赤色は、DPE部分のリビングアニオンを示唆した。1分後、この反応混合物を、3mLの脱気したメタノールで停止した。このフラスコを室温にし、そして2Lのイソプロパノール中に析出させてポリマーを回収した。析出したポリマーを濾過し、そして酢酸エチル中に溶解し、そして水で洗浄した。有機層を、イソプロパノール中に析出し、そしてポリマーを70℃で真空下に乾燥すると、ジエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートでキャップしたPS(PS-A)を定量的な収量で与えた(Mn=9k、PDI=1.08)。
【0096】
例10:エチルエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートでキャップしたPS(PS-B)の合成(スキーム10に記載)
ジエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートの代わりにエチルエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスフィネートを用いて例9の手順に倣って合成した。Mn=5k、PDI=1.09。
【0097】
例11:9:ジメチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートでキャップされたPS(PS-C)の合成(スキーム11に記載)
ジエチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートの代わりにジメチル4-(1,1-ジフェニルエチレン)ホスホネートを用いて例9の手順に倣って合成した。Mn=10.6k、PDI=1.07。
【0098】
ブラシ性能試験
ブラシポリマーを、1重量%固形物含有率でPGMEA中に溶解した。1%溶液を、タングステン及び酸化ケイ素ウェハのそれぞれに1500rpmでコーティングし、そしてこれらを、窒素下に110℃/5分でベークし、そして未反応のブラシをPGMEAで洗い流した。ウェハを窒素下に5分間、230℃でベークした後、ウェハ接触角を、各々のウェハ上に水を垂らして測定した。
【0099】
【0100】
前記表中のPMMA-A、-B及び-Cブラシは、タングステン金属及び酸化ケイ素間のWCA及びXPSから判断した時に、W上では高い炭素含量を示すが、SiOX上ではかなり少なり炭素含量を示すことによって、良好なコントラストを示す。PS-Aは、タングステン上ではより親油性であるが、酸化ケイ素上では親水性であることを示し、両ウェハ上で大きく異なる水接触角を示した。
【0101】
開示及び特許請求される発明を、或る程度の詳細さを持って開示及び説明したが、開示は、例として記載したものに過ぎないこと、及び条件やステップの順序についての多数の変更を、開示及び特許請求される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって行使できると認識される。
【国際調査報告】