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特表2023-549064マイクロプレートシステムおよび容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】マイクロプレートシステムおよび容器
(51)【国際特許分類】
   B01L 3/00 20060101AFI20231115BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
B01L3/00
G01N35/02 A
G01N35/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525059
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2021079994
(87)【国際公開番号】W WO2022090399
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】20204979.7
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バリ, スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】カネッソ, ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】ホーファー, パスカル マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ルツィオ, ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】シュミドリ, ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ズムスタイン, トーマス
【テーマコード(参考)】
2G058
4G057
【Fターム(参考)】
2G058CA02
2G058CA05
2G058CB15
2G058CF09
4G057AB06
(57)【要約】
マイクロプレート(2)と、複数の容器(3)とを備えるマイクロプレートシステム(1)。マイクロプレート(2)は、約127mm~約129mmの間の範囲内の長さ、および約84mm~約86mmの間の範囲内の幅を有する。マイクロプレート(2)は、384個または1536個のレセプタクル(21)を有する。マイクロプレート(2)の各々のレセプタクル(21)は、第1の開口端および第2の開口端を有するようにマイクロプレート(2)を貫いて延びる。マイクロプレート(2)の各々のレセプタクル(21)は、複数の容器(3)のうちの1つを保持するための座を形成する。複数の容器(3)の各々は、キャップ(32)と、マイクロプレート(2)のレセプタクル(21)のうちの1つのレセプタクルの座に保持されるように形作られた管(31)とを備える。複数の容器(3)およびマイクロプレート(2)のレセプタクル(21)は、複数の容器(3)の各々が、マイクロプレート(2)内に配置されるように、レセプタクル(21)のうちの1つのレセプタクルの第1の開口端(211)を通って、レセプタクル(21)のうちの1つのレセプタクルの座(212)に保持されるまで、レセプタクル(21)のうちの1つのレセプタクルに導入できるように形作られる。各々の容器(3)の管(31)およびキャップ(32)は、互いに複数回接続および分離されるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロプレート(2)および複数の容器(3;30)を備えているマイクロプレートシステム(1;10)であって
前記マイクロプレート(2)は、約127mm~約129mmの間、約127.3mm~128.3mmの間、もしくは127.26mm~128.26mmの間の範囲内、または約127.76mmの長さ(23)を有し、
前記マイクロプレート(2)は、約84mm~約86mmの間、約84.9mm~86mmの間、もしくは84.98mm~85.98mmの間の範囲内、または約85.48mmの幅(24)を有し、
前記マイクロプレート(2)は、384個または1536個のレセプタクル(21)を有し、
前記マイクロプレート(2)の各々のレセプタクル(21)は、第1の開口端(211)および第2の開口端(213)を有するように前記マイクロプレート(2)を貫いて延び、
前記マイクロプレート(2)の各々のレセプタクル(21)は、前記複数の容器(3;30)のうちの1つを保持するための座(212)を形成し、
前記複数の容器(3;30)の各々は、キャップ(32;302)と、前記マイクロプレート(2)の前記レセプタクル(21)のうちの1つのレセプタクルの前記座(212)に保持されるように形作られた管(31;301)とを備え、
前記複数の容器(3;30)および前記マイクロプレート(2)の前記レセプタクル(21)は、前記複数の容器(3;30)の各々が、前記マイクロプレート(2)内に配置されるように、前記レセプタクル(21)のうちの1つのレセプタクルの前記第1の開口端(211)を通って、前記レセプタクル(21)のうちの前記1つのレセプタクルの前記座(212)に保持されるまで、前記レセプタクル(21)のうちの前記1つのレセプタクルに導入できるように形作られており、
前記容器(3;30)の各々の前記管(31;301)および前記キャップ(32;302)は、互いに複数回接続および分離されるように構成されている
ことを特徴とする、マイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項2】
各々の容器(3;30)の前記キャップ(32;302)は、第1のねじ構造(3024)を備え、各々の容器(3;30)の前記管(31;301)は、前記キャップ(32;302)の前記第1のねじ構造(3024)に対応する第2のねじ構造(312)を備える、請求項1に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項3】
前記管(31;301)は、開口端(311;3011)を有し、前記キャップ(32;302)は、前記管(3;30)の前記開口端(311;3011)内へともたらされるように構成されたステム部(323)を有し、前記第1のねじ構造(3024)は、前記キャップ(32;302)の前記ステム部の外側境界に配置され、前記第2のねじ構造(312)は、前記管(31;301)の内側境界に配置され、前記第1のねじ構造(3024)は、前記キャップ(32;302)が前記管(31;301)に接続されるときに前記第2のねじ構造(312)に係合する、請求項2に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項4】
前記マイクロプレート(2)の各々のレセプタクル(21)の前記座(212)は、第1の嵌合形成部を有し、各々の容器(3;30)の前記管(31;301)は、第2の嵌合形成部(314)を有し、前記マイクロプレート(2)に対する前記管(31;301)の回転が防止されるように、前記管(31;301)が前記レセプタクル(21)の前記座(212)に配置されるときに、前記レセプタクル(21)の前記座(212)の前記第1の嵌合形成部は、前記管(31;301)の前記第2の嵌合形成部(314)と協働する、請求項2または3に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項5】
前記管(31;301)の前記第2の嵌合形成部(314)は、突起を備え、前記レセプタクル(21)の前記座(212)の前記第1の嵌合形成部は、前記管(31;301)が前記レセプタクル(21)の前記座(212)に配置されるときに前記管(31;301)の前記第2の嵌合形成部(314)の前記突起を受け入れるように構成された対応するくぼみを備える、請求項4に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項6】
前記容器(3;30)の各々の前記キャップ(32;302)は、第1の圧入構造(3024)を備え、前記容器(3;30)の各々の前記管(31;301)は、前記キャップ(32;302)の前記第1の圧入構造(3024)に対応する第2の圧入構造(3012)を備える、請求項1に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項7】
前記キャップ(32;302)の前記第1の圧入構造(3024)は、前記キャップ(32;302)と前記管(31;301)とが接続されるとき、前記管の前記第2の圧入構造(3012)に押し付けられる、請求項6に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項8】
前記キャップ(32;302)の前記第1の圧入構造(3024)は、前記キャップ(32;302)の外周のシール用膨出部(3022)を備える、請求項6または7に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項9】
前記キャップ(32;302)は、前記キャップ(32;302)が前記管(31;301)に接続されるときにアクセス可能な開口を有するスナップ空洞(3023)を備える、請求項8に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項10】
前記容器(3;30)の各々の前記キャップ(32;302)は、比較的弾性変形可能な材料で作成され、前記容器(3;30)の各々の前記管(31;301)は、比較的堅固な材料で作成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項11】
前記キャップ(32;302)は、外径(dO30)を有し、前記管(31;301)は、内径(dI30)を有し、前記管(31;301)の前記内径(dI30)は、前記キャップ(32;302)の前記外径(dO30)よりも小さい、請求項10に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項12】
前記管(31;301)は、開口端(311;3011)を有し、前記キャップ(32;302)は、前記管(3;301)の前記開口端(311;3011)を通って前記管内に前進させるときに少なくとも部分的に圧縮されるように構成されている、請求項10または11に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項13】
前記管(31;301)は、突起(3016)を備えた内周を有する、請求項6~12のいずれか一項に記載のマイクロシステム(1;10)。
【請求項14】
前記複数の容器(3;30)および前記マイクロプレート(2)の前記レセプタクル(21)は、前記複数の容器(3;30)の各々が、前記マイクロプレート(2)から取り出されるように、前記レセプタクル(21)のうちの前記1つのレセプタクルの前記座(212)から前記レセプタクル(21)のうちの前記1つのレセプタクルの前記第2の開口端(213)を通って、前記マイクロプレート(2)を通して押し出すことができるように形作られている、請求項1~13のいずれか一項に記載のマイクロプレートシステム(1;10)。
【請求項15】
約127mm~約129mmの間、約127.3mm~128.3mmの間、もしくは127.26mm~128.26mmの間の範囲内、または約127.76mmの長さ(23)と、約84mm~約86mmの間、約84.9mm~86mmの間、もしくは84.98mm~85.98mmの間の範囲内、または約85.48mmの幅(24)とを有するマイクロプレート(2)の384個または1536個のレセプタクル(21)のうちの1つのレセプタクルの座(212)に保持されるように構成された容器(3;30)であって、各々のレセプタクル(21)は、第1の開口端(211)および第2の開口端(213)を有するように前記マイクロプレート(2)を貫いて延びると共に、前記座を形成しており、かつ
前記マイクロプレート(2)内に配置されるように、前記レセプタクル(21)のうちの前記1つのレセプタクルの前記第1の開口端(211)を通って、前記レセプタクル(21)のうちの前記1つのレセプタクルの前記座(212)に保持されるまで、導入できるように、かつ前記マイクロプレート(2)から取り出されるように、前記レセプタクル(21)のうちの前記1つのレセプタクルの前記座(212)から前記レセプタクル(21)のうちの前記1つのレセプタクルの前記第2の開口端(213)を通って、前記マイクロプレート(2)を通して押し出すことができるように形作られており、
管(31;301)およびキャップを備えており、
前記管(31;301)は、前記座に保持されるように形作られ、
前記管(31;301)および前記キャップ(32;302)は、互いに複数回接続および分離されるように構成されている、
ことを特徴とする、容器(3;30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、独立請求項1の冒頭部分に記載のマイクロプレートシステムに関し、より詳細には、そのようなマイクロプレートシステムのための容器に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
化学、微生物学、および薬学の業界、ならびに化学、微生物学、および薬学の研究において、標準化されたマイクロプレートが一般的に使用されている。とくには、生体分子スクリーニング協会(Society for Biomolecular Screening)(SBS)(その後継組織が、ラボラトリオートメーション・スクリーニング協会(Society for Laboratory Automation and Screening)(SLAS)である)によって策定され、米国規格協会(American National Standards Institute)(ANSI)によって承認されたマイクロプレート規格は、96個、384個、または1536個のウェルまたはレセプタクルを備える長さが127.76mmであり、幅が85.48mmであり、典型的な高さが14.35mmであるマイクロプレートを定義する。そのような標準化されたマイクロプレートのウェルまたはレセプタクルは、通常は、円形または正方形の断面と、平坦であり、丸みを帯びているか、または角錐状である対称的な底部とを有する。
【0003】
レセプタクルを備えるマイクロプレートの使用において、適切な寸法の管などの容器を、いくつかの成分を含む化学または微生物学アッセイなどの流体で満たすことができる。均質な条件を確立させるために、これらの流体は、容器内で混合されることが多い。管は、ガラス、プラスチック、または他の適切な材料で作成されてよく、例えば、試験管、微小遠心管、毛細管、貯蔵管、ライブラリ再フォーマット管、などであってよい。
【0004】
標準化されたマイクロプレートは、それぞれの規格に従って調整または構成された設備の使用を可能にするため、きわめて有益となり得る。例えば、マイクロプレートの多数の用途でロボット装置を使用することが可能である。それにより、レセプタクルの規定されたサイズおよび位置だけでなく、例えば規格に従って切り取られた角部も、マイクロプレートのエラーのない配置または配向を可能にする。とくには、マイクロプレートを自動化された処理または自動化された処理工程に使用することが望まれる場合、そのような標準化されたマイクロプレートが有益である。
【0005】
これに関連して、マイクロプレートにおける管に係る処理のハンドリングを改善するために、レセプタクルは、例えば或るマイクロプレートから別のマイクロプレートへの管の移し替えを容易にするようにさらに開発されている。これにより、マイクロプレートは、管をマイクロプレートの一方側からマイクロプレートに配置し、マイクロプレートの反対側から管を取り出すことを可能にすることができる。より具体的には、マイクロプレートの両面に開口端を備えるように、マイクロプレートを貫通して延びて構成されることが知られており、開口端の間にそれぞれの管を保持するための座が形成される。
【0006】
標準化されたマイクロプレート用の管の内部の物質または試料を保護するために、管の開口端を、箔または同様の構造で封止することが知られている。管の内部の物質または試料にアクセスするために、箔は、管の内部にアクセスできるように管から引き剥がされるか、または穿孔される。
【0007】
とくには、384個または1536個のレセプタクルを有するマイクロプレート用の管などの比較的小さい管に関して、管の封止または閉鎖ならびに開放が、比較的困難である。通常は、管および箔は、典型的には、使用後または処理後に処分される。
【0008】
したがって、384個または1536個のレセプタクルを有する標準化されたマイクロプレートが関係する場合に、改善された処理を可能にするマイクロプレートシステムまたはマイクロプレート用の容器について、ニーズが存在する。
【発明の概要】
【0009】
発明の開示
本発明によれば、このニーズが、独立請求項1の特徴によって定義されるマイクロプレートシステム、および独立請求項15の特徴によって定義される容器によって解決される。好ましい実施形態が、従属請求項の主題である。
【0010】
一態様において、本発明は、マイクロプレートと、複数の容器とを備えるマイクロプレートシステムである。マイクロプレートは、所定の長さおよび所定の幅を有する。より具体的には、長さは、約127mm~約129mmの間、約127.3mm~128.3mmの間、もしくは127.26mm~128.26mmの間の範囲内、または約127.76mmである。幅は、約84mm~約86mmの間、約84.9mm~86mmの間、もしくは84.98mm~85.98mmの間の範囲内、または約85.48mmである。
【0011】
マイクロプレートは、384個または1536個のレセプタクルを有し、各々のレセプタクルは、第1の開口端および第2の開口端を有するようにマイクロプレートを貫いて延びる。さらに、マイクロプレートの各々のレセプタクルは、複数の容器のうちの1つを保持するための座を形成する。複数の容器の各々は、キャップと、マイクロプレートの1つのレセプタクルの座に保持されるように形作られた管とを備える。
【0012】
複数の容器およびマイクロプレートのレセプタクルは、複数の容器の各々が、マイクロプレート内に配置されるように、レセプタクルのうちの1つのレセプタクルの第1の開口端を通って、レセプタクルのうちの1つのレセプタクルに保持されるまで、レセプタクルのうちの1つのレセプタクルの座に導入できるように形作られるか、または構成されている。容器の各々の管およびキャップは、互いに複数回接続および分離されるように構成されている。
【0013】
マイクロプレートを、とくには、米国規格協会(ANSI)およびラボラトリオートメーション・スクリーニング協会(SLAS)のマイクロプレート規格、すなわちANSI/SLAS 1-2004:Microplates-Footprint Dimensions、ANSI/SLAS 3-2004:Microplates-Bottom Outside Flange Dimensions、およびANSI/SLAS 4-2004:Microplates-Well Positionsを満たすように構成することができる。例えば、384個のレセプタクルを備える場合、レセプタクルは、24個のレセプタクルからなる16個の列に規則的に配置することができる。
【0014】
レセプタクルを第1および第2の開口端を有するようにマイクロプレートを貫いて延びるように構成することによって、容器をマイクロプレート内で効率的に処理またはマイクロプレートへと効率的に処理することができ、すなわち所望に応じてレセプタクルの第1または第2の端部を介してマイクロプレートの両側において処理することができる。好ましくは、複数の容器およびマイクロプレートのレセプタクルは、複数の容器の各々が、マイクロプレートから取り出されるように、レセプタクルのうちの1つのレセプタクルの座からレセプタクルのうちの1つのレセプタクルの第2の開口端を通って、マイクロプレートを通って押し出すことができるように形作られる。このような通り抜けの実施形態により、容器をマイクロプレートへと一方の側から自動的に配置し、他方の側において取り出すことが効率的であり得る。
【0015】
容器の管は、中空な内部と開口端とを備える本質的に円筒形の本体部分を有することができる。開口端は、管の内部にアクセスするために具現化されてよい。開口端の反対側の端部は、恒久的に閉鎖されていても、スパウトなどの出口を備えてもよい。出口を、取り外し可能または恒久的に固定された蓋で密封することができる。管は、とくには、薬物または医薬物質、化学化合物、研究物質、または同様の組成物などの物質を受け入れて収容するように具現化されてよい。物質は、例えば物質の物理的特性の決定が必要とされ得る体外アッセイまたは体内アッセイで使用されるように意図され得る。
【0016】
「薬物」という用語は、本明細書において使用されるとき、一般に医薬品有効成分(API)とも呼ばれる治療活性剤、ならびに複数のそのような治療活性物質の組み合わせに関する。さらに、この用語は、例えば造影剤(例えば、MRI造影剤)、トレーサ(例えば、PETトレーサ)、およびホルモンなどの患者に液体の形態で投与される必要がある診断薬または撮像剤も包含する。
【0017】
用語「薬物物質」、「医薬物質」、または「医薬」は、本明細書において使用されるとき、患者への投与に適した形態に調製または再構成された上記定義の薬物に関する。例えば、薬物物質は、薬物に加えて、賦形剤および/または他の補助成分をさらに含むことができる。本発明の文脈におけるとくに好ましい薬物物質は、薬物溶液であり、とくには経口投与、注射、または注入のための溶液である。
【0018】
本明細書において使用される用語「薬物製品」および同様の用語は、薬物物質または複数の薬物物質を含む完成した最終製品に関する。とくには、薬物製品は、適切な用量および/または投与のための適切な形態にて薬物物質を有しているすぐに使用することができる製品であってよい。例えば、薬物製品は、容器または予め充てんされたシリンジなどの投与装置を含み得る。
【0019】
用語「キャップ」は、本明細書において使用されるとき、適切なきつさで管を閉じるために適した任意の蓋またはカバーに関する。
【0020】
各々の容器の管およびキャップが互いに複数回接続および分離されるように構成されることにより、管に互いに独立に複数回アクセスすることが可能になる。これにより、管の内部の物質の効率的な多段階処理が可能になる。または、管およびキャップの複数回の使用が可能であるように、管を再使用し、管の廃棄を防止することを可能にする。とくに、より大型の容器と比較して取り扱いがより困難である小さな寸法の容器を、高度なキャップおよび管閉鎖システムを備える場合に、効率的に処理することができる。したがって、本発明によるマイクロプレートシステムは、384個または1536個のレセプタクルを有する標準化されたマイクロプレートを用いる改善されたプロセスを可能にする。
【0021】
キャップは、種々の別個のやり方で管への接続および管からの分離が可能である。とくに、キャップおよび管を、とりわけ効率的な接続のための取り付けおよび分離のための取り外しを可能にするように具現化できる。これにより、好都合なことに、そのような取り付けおよび取り外しは、例えばロボット装置などによって容器を自動的に処理することを可能にする。同時に、管内の物質の汚染または漏出を防止するために、管の充分に緊密な閉鎖を保証することができる。
【0022】
1つの好ましい実施形態において、各々の容器のキャップは、第1のねじ構造を備え、各々の容器の管は、キャップの第1のねじ構造に対応する第2のねじ構造を備える。そのようなねじ構造は、キャップの取り付けおよび取り外し、ならびに管の緊密な閉鎖の効率的な自動化された実施を可能にする。例えば、そのようなねじ構造は、キャップを管へと単純にねじ込むか、または管から緩めることを可能にする。
【0023】
これにより、好ましくは、管が開口端を有し、キャップが、管の開口端へともたらされるように構成されたステム部を有し、第1のねじ構造は、キャップのステム部の外側境界に配置され、第2のねじ構造は、管の内側境界に配置され、第1のねじ構造は、キャップが管に接続されるときに第2のねじ構造に係合する。このような構成により、管の開口端を可逆なやり方で効率的に閉じることができるように、キャップを管へとねじ込むことができる。これにより、管のキャップは、キャップと管との間で締め付けられるガスケット部または同様のシール部を備えることができる。そのようなガスケット部は、管のきわめて緊密な閉鎖をもたらすことを可能にする。このような緊密な閉鎖は、管の内部の汚染および管の内部からの漏出を防止することができる。
【0024】
好ましくは、マイクロプレートの各々のレセプタクルの座は、第1の嵌合形成部を有し、各々の容器の管は、第2の嵌合形成部を有し、マイクロプレートに対する管の回転が防止されるように、管がレセプタクルの座に配置されるときに、レセプタクルの座の第1の嵌合形成部は、管の第2の嵌合形成部と協働する。この文脈における「回転」という用語は、とくには、管の長手軸を中心とする回転に関することができる。管およびレセプタクルのこのような構成は、管をレセプタクルの座に配置すること以外に管を保持する必要なく、ねじ込みのような動作によるキャップの管への取り付けおよびキャップの管からの取り外しを可能にする。換言すると、レセプタクルに配置されるとき、嵌合形成部は、キャップをもっぱら動かす/保持することによって、単にキャップを管へとねじ込み、管から緩めることを可能にする。
【0025】
これにより、管の第2の嵌合形成部は、好ましくは突起を備え、レセプタクルの座の第1の嵌合形成部は、管がレセプタクルの座に配置されるときに管の第2の嵌合形成部の突起を受け入れるように構成された対応するくぼみを備える。このような突起および対応するくぼみによって、管の回転を、比較的単純な構造によって防止することができる。突起は、とくには管の外側境界から延びてよい。例えば、管またはその本体から半径方向に延びる翼状の様相に形作ることが可能である。くぼみは、突起とくぼみとが相互作用して、レセプタクル内の管の回転を阻止することができるようなやり方で、突起に対応する。これにより、突起とくぼみとが同じ形状を有する必要はなく、管を追加で保持することなくキャップの取り付けおよび取り外しが可能であるように充分に回転が防止される程度まで嵌合すれば充分である。好都合には、管が複数の突起を備える。このようにして、管をレセプタクルにより安定に保持することができ、キャップの着脱時の回転を効率的に防止することができる。
【0026】
別の好ましい実施形態において、各々の容器のキャップは、第1の圧入構造を備え、各々の容器の管は、キャップの第1の圧入構造に対応する第2の圧入構造を備える。
【0027】
これに関連して使用される「圧入」という用語は、ぴったりと合う嵌合部品、すなわちキャップと管との間の締結の一形態であり、とくには部品が押し合わせられた後に摩擦によって一体に保持される接合部を生む締まり嵌めまたは摩擦嵌めに関する。第1および第2の圧入構造は、キャップが管へと接続されるときに当接する例えばキャップの弾性部分と例えば管の剛体部分とを含むことができる。
【0028】
キャップおよび管に対応する圧入構造を設けることにより、キャップを管へと押し込むなどにより、キャップを管に効率的に取り付け、または接続することができる。同様に、管から引き抜くことによって管から効率的に取り外すことまたは取り除くことが可能である。とくには、そのような押し込みおよび引き抜きを、管の長手軸に沿ってもたらすことができる。
【0029】
これにより、キャップの第1の圧入構造は、好ましくは、キャップと管とが接続されるとき、管の第2の圧入構造に押し付けられる。このような押し付けによって、加えられる摩擦力は、キャップを管にしっかりと保持するために充分であり得る。例えば、そのような押し付けを、キャップまたは管のいずれか一方、またはその一部分を、弾性的に変形可能な材料でもたらすことによって達成することができる。
【0030】
キャップの第1の圧入構造は、好ましくは、キャップの外周にシール用膨出部を備える。そのようなシール用膨出部は、例えば、キャップが管へと接続されるときに変形する弾性を提供することができる。そのようなシール用膨出部によって、管を、管の内部を安全にシールすることができるようにしっかりと閉じることができる。
【0031】
これにより、キャップは、好ましくは、キャップが管に接続されるときにアクセス可能な開口を有するスナップ空洞を備える。そのようなスナップ空洞は、キャップの効率的な取り扱いを可能にする。とくには、スナップ空洞は、ツールをキャップにスナップ嵌めし、キャップを動かすか、または他のやり方で取り扱うことを可能にする。例えば、キャップをツールにスナップ留めし、ツールによってマイクロプレートのレセプタクルのうちの1つに配置されるそれぞれの管へと前進させることができる。
【0032】
別の実施形態において、各々の容器のキャップは、第1のスナップ嵌合構造を備え、各々の容器の管は、キャップの第1のスナップ嵌合構造に対応する第2のスナップ嵌合構造を備える。キャップおよび管に対応するスナップ嵌合構造を設けることにより、キャップを管へと押し込むことによってキャップを管に効率的に取り付けるか、または接続することができる。同様に、管から引き抜くことによって管から効率的に取り外すことまたは取り除くことが可能である。とくには、そのような押し込みおよび引き抜きを、管の長手軸に沿ってもたらすことができる。
【0033】
これにより、キャップの第1のスナップ嵌合構造は、好ましくは、キャップと管とが接続されるとき、管の第2のスナップ嵌合構造と係合する。キャップの第1のスナップ嵌合構造は、好ましくは、内周にリムを備える。内周は、とくには、キャップの空洞の内側境界に位置し得る。リムは、内周に沿って延びることができ、好都合には内周全体に沿って連続している。管の第2のスナップ嵌合構造は、好ましくは、外周に溝を備える。外周は、とくには、管の外側境界に位置し得る。具体的には、溝は、管の周囲を延びることができ、好都合には外周全体を巡って連続している。
【0034】
上記の好ましい実施形態のいずれかにおいて、各々の容器のキャップは、好ましくは比較的弾性変形可能な材料で作成され、各々の容器の管は、好ましくは比較的堅固な材料で作成されている。「比較的弾性変形可能」および「比較的堅固」という用語は、管およびキャップの材料のお互いに対する特性に関する。より具体的には、キャップの材料は、管の材料よりも弾性変形可能であることにより、比較的弾性変形可能である。同様に、管の材料は、キャップの材料よりも堅固であることにより、比較的堅固である。このような材料によって、管がキャップによってぴったりと閉じられることを効率的に達成することができる。
【0035】
とくに、キャップおよび管が圧入構造を有する場合、好ましくは、キャップは外径を有し、管は内径を有し、管の内径はキャップの外径よりも小さい。このような構成において、キャップを摩擦によって安全に保持することができるように、管とキャップとの間の押し込みの達成を保証することができる。
【0036】
あるいは、または加えて、キャップまたはその一部分にスリップ剤を設けることができる。そのようなスリップ剤は、例えばジメチルスルホキシドまたは同様の溶媒への耐性などの特定の耐性を必要としないいくつかの用途において、より便利または効率的な管の閉鎖を可能にすることができる。例えば、キャップを管へと進めるときの摩擦を、スリップ剤によって低減することができる。
【0037】
管は、好ましくは、開口端を有し、キャップを、好ましくは、管の開口端を通って管内に前進させるときに少なくとも部分的に圧縮されるように構成されている。そのような圧縮は、管の緊密な閉鎖を可能にする。さらに、キャップを、管内に前進させるときに安全に保持することができる。
【0038】
好ましくは、管は、突起を備えた内周を有する。そのような突起は、キャップの管への導入の程度を予め規定することを可能にする。さらに、キャップを挿入する際の抵抗を大きくすることができる。
【0039】
キャップおよび管がスナップ嵌合構造を有する場合、キャップは内径を有し、管は外径を有し、キャップの内径は管の外径よりも小さくてよい。キャップの内径は、とくには、キャップの空洞の直径であってよい。少なくともわずかに異なる内径および外径を有することによって、キャップは、チューブに取り付けられるときに変形するか、または引っ張られる。このようにして、緊密な閉鎖を効率的に達成することができる。とくに、スナップ嵌合構造を備える場合、このような寸法設定は、気密性の生成に適切であり得る。
【0040】
これにより、管は、開口端を有することができ、キャップは、管の開口端を受け入れるように構成された開放空洞を有することができ、開放空洞は、内径と、例えば内径へと向かう先細りの入口とを有することができる。このような先細りの入口を有することにより、キャップを、管への取り付けのために管に対して中心を合わせるなど、効率的に正しく位置決めすることができる。とくには、比較的小型の管に関して、そのような位置決めが有益であり得る。
【0041】
別の態様において、本発明は、約127mm~約129mmの間、約127.3mm~128.3mmの間、もしくは127.26mm~128.26mmの間の範囲内、または約127.76mmの長さと、約84mm~約86mmの間、約84.9mm~86mmの間、もしくは84.98mm~85.98mmの間の範囲内、または約85.48mmの幅とを有するマイクロプレートの384個または1536個のレセプタクルのうちの1つのレセプタクルの座に保持されるように構成された容器であって、各々のレセプタクルは、第1の開口端および第2の開口端を有するようにマイクロプレートを貫いて延びると共に、座を形成しており、かつ、マイクロプレート内に配置されるように、レセプタクルのうちの1つのレセプタクルの第1の開口端を通って、レセプタクルのうちの1つのレセプタクルの座に保持されるまで、導入できるように、かつマイクロプレートから取り出されるように、レセプタクルのうちの1つのレセプタクルの座からレセプタクルのうちの1つのレセプタクルの第2の開口端を通って、マイクロプレートを通して押し出すことができるように形作られている。本容器は、管およびキャップを備え、管は、座に保持されるように形作られ、管およびキャップは、互いに複数回接続および分離されるように構成されている。
【0042】
本発明による容器および以下で説明されるその好ましい実施形態によって、上述したマイクロプレートシステムおよびその好ましい実施形態の効果および利益を、同様に実現することができる。本発明による容器は、とくには、上述のマイクロプレートシステムの容器であってよい。
【0043】
容器のキャップは、好ましくは、第1のねじ構造を備え、管は、好ましくは、キャップの第1のねじ構造に対応する第2のねじ構造を備える。これにより、好ましくは、管が開口端を有し、キャップが、管の開口端を受け入れるように構成された開放空洞を有し、第1のねじ構造は、キャップの開放空洞の内側境界に配置され、第2のねじ構造は、管の外側境界に配置され、第1のねじ構造は、キャップが管に接続されるときに、キャップの開放空洞が管の開口端を受け入れるように第2のねじ構造と係合する。
【0044】
好ましくは、容器の管は、マイクロプレートのレセプタクルの座の第1の嵌合形成部に対応する第2の嵌合形成部を有し、キャップを管へとねじ込むときにとくに関係し得るマイクロプレートに対する管の回転が防止されるように、管がレセプタクルの座に配置されるときに、レセプタクルの座の第1の嵌合形成部は、管の第2の嵌合形成部と協働する。これにより、管の第2の嵌合形成部は、好ましくは、突起を備える。
【0045】
好ましくは、各々の容器のキャップは、第1の圧入構造を備え、各々の容器の管は、キャップの第1の圧入構造に対応する第2の圧入構造を備える。これにより、キャップの第1の圧入構造は、好ましくは、キャップと管とが接続されるとき、管の第2の圧入構造に押し付けられる。
【0046】
キャップの第1の圧入構造は、好ましくは、キャップの外周にシール用膨出部を備える。これにより、キャップは、好ましくは、キャップが管に接続されるときにアクセス可能な開口を有するスナップ空洞を備える。
【0047】
容器のキャップは、好ましくは、比較的弾性変形可能な材料で作成され、容器の管は、好ましくは比較的堅固な材料で作成されている。好ましくは、キャップは外径を有し、管は内径を有し、管の内径はキャップの外径よりも小さい。管は、好ましくは、開口端を有し、キャップを、好ましくは、管の開口端を通って管内に前進させるときに少なくとも部分的に圧縮されるように構成されている。好ましくは、管は、突起を備えた内周を有する。
【0048】
好都合な実施形態においては、キャップおよび/または管に識別コードが設けられる。そのようなコードは、キャップまたは管の種類を表すことができる。さらに、システムの適用において有用な他の情報を含んでもよい。例えば、識別コードは、バーコードまたはQRコードとして具現化される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明によるマイクロプレートシステムおよび本発明による容器を、例示的な実施形態により、添付の図面を参照して、以下でさらに詳細に説明する。
図1】本発明による第1の実施形態の複数の容器と、マイクロプレートとを備える本発明によるマイクロプレートシステムの第1の実施形態を示している。
図2図1のマイクロプレートシステムの容器のうちの1つの容器の管の上面図を示している。
図3図2の線C-Cに沿った図1のマイクロプレートシステムの容器の管の断面図を示している。
図4図1のマイクロプレートシステムの容器のうちの1つの容器のキャップの側面図を示している。
図5】本発明による第2の実施形態の複数の容器と、図1のマイクロプレートとを備える本発明によるマイクロプレートシステムの第2の実施形態を示している。
図6図5のマイクロプレートシステムの容器のうちの1つの容器の管の上面図を示している。
図7図5のマイクロプレートシステムの容器の管の断面図を示している。
図8図5のマイクロプレートシステムの容器のうちの1つの容器のキャップの断面図を示している。
図9図1および図5のマイクロプレートの上面図を示している。
図10図9の線A-Aに沿ったマイクロプレートの断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
実施形態の説明
以下の説明において、特定の用語は、便宜上使用され、本発明を限定することを意図していない。「右(right)」、「左(left)」、「上(up)」、「下(down)」、「下方(under)」、および「上方(above)」という用語は、図における方向を指す。用語は、明示的に言及された用語、ならびにそれらの派生語および同様の意味を有する用語を含む。また、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」、などの空間的に相対的な用語が、図中に示されるとおりの或る要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を説明するために使用されることがある。これらの空間的に相対的な用語は、図中に示されている位置および向きに加えて、使用中または動作中の装置のさまざまな位置および向きを包含するように意図される。例えば、図中の装置が逆さまにされる場合、他の要素または特徴の「下」または「下方」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」または「上方」になると考えられる。したがって、「下方」という例示的な用語は、上方および下方の両方の位置および向きを包含することができる。装置は、他の向き(90度回転または他の向き)にされてもよく、本明細書において使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈されてよい。同様に、種々の軸に沿った動き、および種々の軸を中心とする動きの説明は、種々の特別な装置の位置および向きを含む。
【0051】
種々の態様および例示的な実施形態の図および説明において、繰り返しを回避するために、多くの特徴が多くの態様および実施形態に共通であることを理解されたい。或る態様が説明または図から省略されていても、その態様がその態様を組み込んだ実施形態から欠落していることを意味するものではない。むしろ、その態様は、明確にするため、および冗長な説明を回避するために、省略されているかもしれない。この文脈において、以下が本明細書の残りの部分に当てはまる。図面を明確にするために、或る図が明細書の直接の関連部分では説明されていない参照符号を含む場合、先行または後続の説明部分が参照される。さらに、明確にするために、図面において部品のすべての特徴には参照符号が付されていない場合、同じ部品を示す他の図面が参照される。2つ以上の図における同様の数字は、同じ要素または類似の要素を表している。
【0052】
図1が、本発明によるマイクロプレート2と、第1の実施形態の複数の容器3とを備える本発明によるマイクロプレートシステム1の第1の実施形態を示している。マイクロプレート2は、容器3を受け入れるための複数のレセプタクル21を備える。図には、1つの単一の容器3が例示的に示されており、マイクロプレートシステムは、いくつかの同一の容器3を有する。容器3の各々は、管31およびキャップ32を備える。
【0053】
図2に、容器3のうちの1つの容器の管31が示されている。これにより、管31が、上部開口端311を備える本質的に円筒形の中空な本体313を有し、本体313が、下端において、アクセス形状315を備えて具現化されていることを、見て取ることができる。本体313の周囲から、4つの翼状突起314が、第2の嵌合形成部として放射状に延びている。突起314は、互いに直角に位置し、本体313の下部に配置されている。本体313の内側において、第2のねじ構造のねじ山312が、本体313から内側に延びている。
【0054】
図3が、管31を断面図にて示している。本体313は、壁を有し、ねじ山312は、開口端311の近くで壁から内側に延びている。さらに、本体313は、開口端311における管31の外径d3iがアクセス形状315の付近の管31の外径d3iiよりも大きくなるように、開口端311からアクセス形状315に向かってわずかに先細りを形成する。
【0055】
アクセス形状315は、上端において本体313へと移行し、下方へと先細りである円錐形部分を備える。下端において、アクセス形状315は、丸みを帯びた部分を備える。アクセス形状315の形状は、一方では、管31の内部の物質を先端状構造に集めることを可能にし、他方では、例えばピペット管によって物質におおむね完全にアクセスできることを可能にする。管31の下端は、管31を本質的に水平な表面上に上方へと配置することができるように形作られたフット部316によって形成される。
【0056】
管31は、ポリプロピレンまたは同様の材料などの比較的堅固な材料で作られる。
【0057】
図4にキャップ32がさらに詳細に示されている。これにより、キャップ32が、主要部とガスケット部322とを有する2部構成であることを見て取ることができる。主要部は、ヘッド321と、ヘッド321から下方に延びるステム323とを有する。ヘッド321は、適切なドライバツールを上方からアクセスさせることができるドライバソケット(図4では見えない)を備える。ガスケット部322は、ステム323の周りに配置され、ヘッド321に当接する平坦なシールである。あるいは、ガスケット部をリップシールなどとして具体化することも可能である。ステム323は、下端に向かって、第1のねじ構造としての雄ねじ324を備える。
【0058】
容器3の使用時に、物質が管31の内部に配置される。キャップ32は、ステム323を開口端311へともたらすことによって管31に接続されるか、または取り付けられる。ステム323の雄ねじ324が管31の雌ねじ312と係合し、キャップ32が管31にねじ込まれる。ガスケット部322は、キャップ32が管31にねじ込まれるときに圧縮されることを可能にする比較的柔らかくて弾性のある材料で作られる。このようにして、管31の開口端311がしっかりと閉じられる。
【0059】
図5が、上述の第1のものと同一のマイクロプレート2と、本発明による第2の実施形態の複数の容器30とを備える本発明によるマイクロプレートシステム10の第2の実施形態を示している。容器30の各々は、管301およびキャップ302を備える。
【0060】
図6に、容器30のうちの1つの容器の管301が、上方から、すなわち開口端3011に向かって図示されている。管301は、上部開口端3011を備える本質的に円筒形の中空な本体3013を有する。下端において、本体3013は、アクセス形状3015を備える。図7の管301の断面図に見られるように、本体3013は、軸方向に離れた2つの溝3012を第2の圧入構造として備える壁を有する。溝3012は、本体3013の外周または周囲を巡って延び、開口端3011の付近に位置する。溝3012は、マイクロプレート2のレセプタクル21のうちの1つのレセプタクルの座において、管301を2つの異なる軸方向位置に保持することを可能にする。
【0061】
管301の本体3013は、開口端3011における管301の外径d30iがアクセス形状3015の付近の管301の外径d30iiよりも大きくなるように、開口端3011からアクセス形状3015に向かってわずかに先細りである。管301の内部は、開口端3011の付近に内径dI30を有する管301の内周を定める。さらに、周状突起3016が、管301の内周を巡って延びている。
【0062】
アクセス形状3015は、上端において本体3013へと移行し、下方向には先細りである円錐形部分を備える。下端において、出口3015は、丸みを帯びた部分を備える。下方において、管はフット3014にて終わる。管301は、ポリプロピレンまたは同様の材料などの比較的堅固な材料で作られる。
【0063】
図8が、容器30のキャップ302を断面図にて示している。これにより、キャップ302が上向きに開いたスナップ嵌合空洞3023を有することが分かる。スナップ嵌合空洞3023は、キャップ302を取り扱うためのツールを受け入れるように構成され、スナップ嵌合空洞3023の内側境界に、周状リム3024がスナップ嵌合構造または第1の圧入構造として配置される。キャップ302は、比較的弾性変形可能な材料で作成され、外径dO30を有する。
【0064】
キャップ302を管301に接続するために、キャップは、上方から管3011の開口端3011に押し込まれる。これにより、管301の突起3016が、追加の抵抗をもたらす。キャップ302の外径dO30は、管301の内径dI30よりもわずかに大きい。このようにして、キャップ302が管へと押し込まれるときに、キャップ302と管301とが圧入されるように、キャップ302の圧縮が達成される。
【0065】
さらに、キャップ302の外周は、シール用膨出部としての周状突起3022を備える。管301へと押し込まれるときに、キャップ302と管301との緊密な接続が達成されるように、突起3022はさらに変形する。これにより、管301の内部の密閉が生み出される。
【0066】
図9に、本発明によるマイクロプレートシステム1、10の第1および第2の実施形態のマイクロプレート2の上面図が示されている。マイクロプレート2は、24個のレセプタクル21からなる列22を16個有する。レセプタクル21は、正方形の断面を有する。マイクロプレート21は、以下の規格、すなわちANSI/SLAS 1-2004:Microplates-Footprint Dimensions、ANSI/SLAS 3-2004:Microplates-Bottom Outside Flange Dimensions、およびANSI/SLAS 4-2004:Microplates-Well Positionsによる寸法を有する。これにより、マイクロプレートは、127.76mmの長さ23、85.48mmの幅、および図10の断面図に示されるとおりの14.35mmの高さを有する。使用される管およびキャップの種類に応じて、高さはさまざまであってよい。
【0067】
図10は、各々のレセプタクル21が、垂直方向に延びる4つの側壁214によって形成されることをさらに示している。これにより、各々のレセプタクル21は、上側の第1の開口端211および下側の第2の開口端213を有するようにマイクロプレート2を貫いて延びる。第1の開口端211の近傍に、内側へと延びる座リム212が、レセプタクルの内周に沿って座として設けられている。より具体的には、側壁214間の距離が、一般に、それぞれの管31、301の開口端311、3011における外径d3i、d30iよりもわずかに大きい一方で、この距離が、座リム212において、管31、301を保持するために縮小される。例えば、レセプタクルが384個であるマイクロプレートの実施形態において、以下の寸法が機能する。管31、301の外径d3i、d30iは、3.95mmであり、管31,301の外径3ii、d30iiは、3.63mmであり、側壁214間の距離は、座リム212の上方において4.1mmまたは4.5mmであり、側壁214間の距離は、座リム212において3.75mmであり、側壁214間の距離は、座リム212の下方において3.98mmである。
【0068】
このような構成により、容器3、30のうちの1つを、レセプタクル21の内側に配置されるまで、上方から第1の開口端211を通って下方へと前進させることができる。レセプタクルにおいて、容器は摩擦によって保持され、または座リム212でクランプされる。容器3、30を取り出すために、容器を下方へと第2の開口端213を介してレセプタクル21から押し出すことができる。
【0069】
各々のレセプタクル21の正方形断面の角部は、第1の嵌合形成部としてのくぼみを形成する。とくには、マイクロプレートシステム10の第2の実施形態において使用される場合、それぞれのレセプタクル21に配置されるときに、容器3は、4つの翼状突起314がレセプタクル21の角部に位置するように配向される。これにより、容器3は、管31の回転運動に関して固定される。このようにして、キャップ32を、管31のさらなる固定または保持を必要とせずに、管31へとねじ込むか、または取り外すことができる。
【0070】
本発明の態様および実施形態を説明する本明細書および添付の図面を、保護される発明を定義する特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。換言すると、本発明を図面および以上の説明において詳細に例示および説明してきたが、そのような例示および説明は、限定ではなく、例示または典型であると考えられるべきである。本明細書および特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな機械的、組成的、構造的、電気的、および動作的変更を行うことが可能である。いくつかの場合に、本発明を不明瞭にしてしまわないように、周知の回路、構造、および技術は詳細には示されていない。したがって、以下の特許請求の範囲の範囲および趣旨の範囲内で、当業者であれば変更および修正を行うことができることが理解されよう。とくに、本発明は、上述および後述の異なる実施形態からの特徴の任意の組み合わせを有するさらなる実施形態を包含する。
【0071】
さらに、本開示は、以上の説明または以下の説明において説明されていないかもしれないが、個別に図中に示されたすべてのさらなる特徴を包含する。また、図面および明細書に記載された実施形態の単一の代替形態およびそれらの特徴の単一の代替形態を、本発明の主題または開示された主題から放棄することができる。本開示は、特許請求の範囲または例示的な実施形態において定義された特徴からなる主題、ならびに前記特徴を含む主題を含む。
【0072】
さらに、特許請求の範囲において、「・・・を備える(comprising)」という語は、他の要素または工程を除外せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。単一のユニットまたは工程が、特許請求の範囲に記載のいくつかの特徴の機能を果たしてもよい。たとえ特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されていても、これらの手段の組み合わせを好都合に使用することができないという意味ではない。属性または値に関連する「本質的に」、「約」、「およそ」、などの用語は、とくには、それぞれ正確にその属性または正確にその値も定義する。所与の数値または範囲の文脈における「約」という用語は、例えば、所与の値または範囲の20%以内、10%以内、5%以内、または2%以内である値または範囲を指す。結合するか、または接続されると記載された構成要素は、電気的または機械的に直接結合していても、1つ以上の中間の構成要素を介して間接的に結合していてもよい。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】