(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】添加剤、これを含むリチウム二次電池用電解液およびリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20231115BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20231115BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20231115BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20231115BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/052
H01M4/505
H01M4/525
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526094
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 KR2021016923
(87)【国際公開番号】W WO2022114661
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0160280
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】522242111
【氏名又は名称】ソガン ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ディベロプメント ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】SOGANG UNIVERSITY RESEARCH & BUSINESS DEVELOPMENT FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】35 Baekbeom-ro,Mapo-gu,Seoul 04107(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】テ・ジン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ダヒュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミンソ・キム
(72)【発明者】
【氏名】サンフン・キム
(72)【発明者】
【氏名】テフン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ボンジン・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ミュンフイ・ウ
(72)【発明者】
【氏名】ウォンソク・チョ
(72)【発明者】
【氏名】サンヒュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヘジン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ボキョン・リュ
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ04
5H029AJ06
5H029AJ07
5H029AJ12
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029HJ01
5H029HJ02
5H050AA10
5H050AA12
5H050AA13
5H050AA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050FA05
5H050HA01
5H050HA02
(57)【要約】
化学式1で表される添加剤、これを含むリチウム二次電池用電解液およびリチウム二次電池を提供する。前記化学式1に関する詳細内容は明細書に記載したとおりである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される添加剤:
【化1】
(前記化学式1において、
A、BおよびCは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の含窒素ヘテロ環であり、
前記A、BおよびCに含有されている窒素は、それぞれP=O基とシグマ結合で連結されている)。
【請求項2】
前記A、BおよびCは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の含窒素芳香族ヘテロ環または置換もしくは非置換の含窒素非芳香族ヘテロ環である、請求項1に記載の添加剤。
【請求項3】
前記置換もしくは非置換の含窒素芳香族ヘテロ環は、
置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジン基、置換もしくは非置換のチアジン基、置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のイソインドリル基、置換もしくは非置換のベンズオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンズチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、または置換もしくは非置換のフェノキサジニル基である、請求項2に記載の添加剤。
【請求項4】
前記置換もしくは非置換の含窒素非芳香族ヘテロ環は、
置換もしくは非置換の2-ピロリン基、置換もしくは非置換の3-ピロリン基、置換もしくは非置換のピロリジン基、置換もしくは非置換のピラゾリジン基、置換もしくは非置換のイミダゾリジン基、置換もしくは非置換のピペリジン基、置換もしくは非置換のピペラジン基、置換もしくは非置換のモルホリン基、置換もしくは非置換のチオモルホリン基、置換もしくは非置換のジチアジン基、置換もしくは非置換のインドリン基、または置換もしくは非置換のイソインドリン基である、請求項2に記載の添加剤。
【請求項5】
前記A、BおよびCは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のピロリジン基、置換もしくは非置換のピペリジン基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、または置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基である、請求項1に記載の添加剤。
【請求項6】
前記A、BおよびCは、それぞれ独立して、下記グループ1に羅列された置換基の中で選択されるいずれか一つである、請求項1に記載の添加剤:
【化2】
。
【請求項7】
非水性有機溶媒、
リチウム塩、および
請求項1~6のいずれか一に記載の添加剤
を含むリチウム二次電池用電解液。
【請求項8】
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1重量%~10重量%の含有量で含まれる、請求項7に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項9】
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1重量%~5.0重量%の含有量で含まれる、請求項7に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項10】
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1重量%~3.0重量%の含有量で含まれる、請求項7に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項11】
正極活物質を含む正極;
負極活物質を含む負極;および
請求項7に記載の電解液
を含むリチウム二次電池。
【請求項12】
前記正極活物質は、下記化学式4で表されるものである、請求項11に記載のリチウム二次電池:
[化学式4]
Li
xM
1
1-y-zM
2
yM
3
zO
2
(前記化学式4において、0.5≦x≦1.8、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦y+z<1であり、M
1、M
2およびM
3は、それぞれ独立して、Ni、Co、Mn、Al、Sr、MgまたはLaなどの金属およびこれらの組み合わせから選択されるいずれか一つであり得る)。
【請求項13】
前記正極活物質は、下記化学式4-1~化学式4-3のうちの少なくとも一つで表されるリチウム複合酸化物である、請求項11に記載のリチウム二次電池:
[化学式4-1]
Li
x1Ni
y1Co
z1Al
1-y1-z1O
2
(前記化学式4-1において、1≦x1≦1.2、0<y1<1、且つ0<z1<1である);
[化学式4-2]
Li
x2Ni
y2Co
z2Mn
1-y2-z2O
2
(前記化学式4-2において、1≦x2≦1.2、0<y2<1、且つ0<z2<1である);
[化学式4-3]
Li
x3CoO
2
(前記化学式4-3において、0.5<x3≦1である)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、添加剤、これを含むリチウム二次電池用電解液およびリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、再充電が可能であり、従来の鉛蓄電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などと比較して単位重量当たりのエネルギー密度が3倍以上高く、高速充電が可能であるため、ノートパソコンや携帯電話、電動工具、電気自転車用として商品化されており、追加的なエネルギー密度向上のための研究開発が活発に行われている。
【0003】
このようなリチウム二次電池は、リチウムを挿入(intercalation)および脱離(deintercalation)することができる正極活物質を含む正極と、リチウムを挿入および脱離することができる負極活物質を含む負極とを含む電池セルに電解液を注入して使用される。
【0004】
特に電解液は、リチウム塩が溶解された有機溶媒を使用しており、このような電解液はリチウム二次電池の安定性および性能を決定するため重要である。
【0005】
電解液のリチウム塩として最も多く使用されているLiPF6は、電解液の有機溶媒と反応して溶媒の枯渇を促進させ、多量のガスを発生させるという問題を有している。LiPF6が分解されるとLiFおよびPF5が生成し、これが電池内の電解液の枯渇を招き、高温性能劣化および安全性に脆弱な結果を招く。
【0006】
そこで、高温条件でも性能低下しない、安全性が向上した電解液が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施形態の目的は、熱的安定性が改善された添加剤を提供することにある。
【0008】
他の一実施形態の目的は、前記添加剤を適用することによって寿命特性、高温安全性および高温信頼性を向上させ、特に高温保存時にガス発生量および抵抗増加率を減少させることによって高温保存特性および貫通安全性が改善されたリチウム二次電池用電解液を提供することにある。
【0009】
また他の一実施形態の目的は、前記リチウム二次電池用電解液を含むリチウム二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、下記化学式1で表される添加剤を提供する。
【化1】
前記化学式1において、
A、BおよびCは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の含窒素ヘテロ環であり、
前記A、BおよびCに含有されている窒素は、それぞれP=O基とシグマ結合で連結されている。
【0011】
前記A、BおよびCは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の含窒素芳香族ヘテロ環または置換もしくは非置換の含窒素非芳香族ヘテロ環であり得る。
【0012】
前記置換もしくは非置換の含窒素芳香族ヘテロ環は、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジン基、置換もしくは非置換のチアジン基、置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のイソインドリル基、置換もしくは非置換のベンズオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンズチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、または置換もしくは非置換のフェノキサジニル基であり得る。
【0013】
前記置換もしくは非置換の含窒素非芳香族ヘテロ環は、置換もしくは非置換の2-ピロリン基、置換もしくは非置換の3-ピロリン基、置換もしくは非置換のピロリジン基、置換もしくは非置換のピラゾリジン基、置換もしくは非置換のイミダゾリジン基、置換もしくは非置換のピペリジン基、置換もしくは非置換のピペラジン基、置換もしくは非置換のモルホリン基、置換もしくは非置換のチオモルホリン基、置換もしくは非置換のジチアジン基、置換もしくは非置換のインドリン基、または置換もしくは非置換のイソインドリン基であり得る。
【0014】
前記A、BおよびCは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のピロリジン基、置換もしくは非置換のピペリジン基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、または置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基であり得る。
【0015】
前記A、BおよびCは、例えば、それぞれ独立して、下記グループ1に列挙された置換基の中から選択され得る。
【化2】
【0016】
本発明の他の一実施形態は、非水性有機溶媒、リチウム塩および前述した添加剤を含むリチウム二次電池用電解液を提供する。
【0017】
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1重量%~10重量%の含有量で含まれ得る。
【0018】
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1重量%~5.0重量%の含有量で含まれ得る。
【0019】
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1重量%~3.0重量%の含有量で含まれ得る。
【0020】
本発明のまた他の一実施形態は、正極活物質を含む正極;負極活物質を含む負極;および前述した電解液を含むリチウム二次電池を提供する。
【0021】
前記正極活物質は、下記化学式4で表されるリチウム複合酸化物であり得る。
[化学式4]
LixM1
1-y-zM2
yM3
zO2
(前記化学式4において、0.5≦x≦1.8、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦y+z<1であり、M1、M2およびM3は、それぞれ独立して、Ni、Co、Mn、Al、Sr、MgまたはLaなどの金属およびこれらの組み合わせから選択されるいずれか一つであり得る。)
【0022】
一例として、前記正極活物質は、下記化学式4-1~化学式4-3のうちの少なくとも一つで表されるリチウム複合酸化物であり得る:
[化学式4-1]
Lix1Niy1Coz1Al1-y1-z1O2
(前記化学式4-1において、1≦x1≦1.2、0<y1<1、且つ0<z1<1である);
[化学式4-2]
Lix2Niy2Coz2Mn1-y2-z2O2
(前記化学式4-2において、1≦x2≦1.2、0<y2<1、且つ0<z2<1である);
[化学式4-3]
Lix3CoO2
(前記化学式4-3において、0.5<x3≦1である)。
【発明の効果】
【0023】
熱的安全性が改善された添加剤を適用することによって、高温放置後の電池の内部抵抗上昇およびガス発生が抑制され、電圧降下が抑制されて、高温特性および貫通安全性が改善されたリチウム二次電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態によるリチウム二次電池を示す概略図である。
【
図2】化学式aの化合物の
1H-NMRスペクトルである。
【
図3】化学式aの化合物の
13C-NMRスペクトルである。
【
図4】化学式aの化合物の
31P-NMRスペクトルである。
【
図5】実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池に対する熱露出による温度および電圧変化を示すグラフである。
【
図6】実施例1~3、比較例1および2のリチウム二次電池に対する150mm/s貫通後のセル表面の温度変化、およびセルの電圧変化を示すグラフである。
【
図7】実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池のCID(Current Interrupt Device)作動時点を測定したグラフである。
【
図8】実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池の常温充放電サイクル特性を示すグラフである。
【
図9】実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池を60℃で30日間放置した後の抵抗増加率および電池の容量回復率の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池について添付した図面を参照して詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、これによって本発明が制限されず、本発明は後述する請求項の範疇のみにより定義される。
【0026】
リチウム二次電池は、使用する分離膜と電解液の種類によりリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池およびリチウムポリマー電池などに分類することができ、形態により円筒型、角型、コイン型、パウチ型などに分類することができ、サイズによりバルクタイプと薄膜タイプに分類することができる。これら電池の構造と製造方法は、当該分野に広く知られているため、詳細な説明は省略する。
【0027】
ここではリチウム二次電池の一例として円筒型リチウム二次電池を例に挙げて説明する。
図1は一実施形態によるリチウム二次電池の構造を概略的に示すものである。
図1を参照すれば、一実施形態によるリチウム二次電池100は、正極114、正極114と対向して位置する負極112、正極114と負極112との間に配置されているセパレータ113、および正極114、負極112およびセパレータ113を含浸する電解液(図示せず)を含む電池セルと、前記電池セルを収容している電池容器120と、前記電池容器120を密封する密封部材140とを含む。
【0028】
本明細書で「置換」とは、別途の定義がない限り、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が、重水素、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換もしくは非置換のC1~C30アミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換のC1~C40シリル基、C1~C30アルキル基、C1~C10アルキルシリル基、C6~C30アリールシリル基、C3~C30シクロアルキル基、C3~C30ヘテロシクロアルキル基、C6~C30アリール基、C2~C30ヘテロアリール基、C1~C20アルコキシ基、C1~C10トリフルオロアルキル基、シアノ基、またはこれらの組み合わせにyほって置換されることを意味する。
【0029】
本発明の一例で、「置換」は、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が、重水素、C1~C30アルキル基、C1~C10アルキルシリル基、C6~C30アリールシリル基、C3~C30シクロアルキル基、C3~C30ヘテロシクロアルキル基、C6~C30アリール基、またはC2~C30ヘテロアリール基で置換されることを意味する。また、本発明の具体的な一例で、「置換」は、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が、重水素、C1~C20アルキル基、またはC6~C30アリール基で置換されることを意味する。また、本発明の具体的な一例で、「置換」は、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が、重水素、C1~C5アルキル基、またはC6~C18アリール基で置換されることを意味する。また、本発明の具体的な一例で、「置換」は、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が、重水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基またはナフチル基で置換されることを意味する。
【0030】
本明細書で「ヘテロ」とは、別途の定義がない限り、一つの作用基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を1~3個含有し、残りは炭素であることを意味する。
【0031】
本明細書で「ヘテロ環(heterocyclic group)」は、芳香族ヘテロ環および非芳香族ヘテロ環を含む上位概念であり、アリール基、シクロアルキル基、これらの縮合環またはこれらの組み合わせのような環化合物内に、炭素(C)の代わりにN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1個を含有する環を意味する。前記ヘテロ環基が縮合環である場合、前記ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1個以上含むことができる。
【0032】
一例として「芳香族ヘテロ環(aromatic heterocyclic group)基」は、アリール基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1個を含有することを意味する。2以上のヘテロアリール基は、シグマ結合を通じて直接連結されたり、前記ヘテロアリール基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに縮合され得る。前記ヘテロアリール基が縮合環である場合、それぞれの環ごとに前記ヘテロ原子を1~3個含むことができる。
【0033】
本明細書で「シグマ結合」とは、原子の核に結合する軸に沿って形成されるオービタル同士で互いに平行に重なって強力な結合を形成する結合を意味する。つまり、原子同士で直接的に単結合を形成することを意味する。
【0034】
以下、一実施形態による添加剤について説明する。
【0035】
本発明の一実施形態による添加剤は、下記化学式1で表される:
【化3】
(前記化学式1において、
A、BおよびCは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の含窒素ヘテロ環であり、
前記A、BおよびCに含有されている窒素は、それぞれP=O基とシグマ結合で連結されている)。
【0036】
本発明の一実施形態による添加剤は、ホスフィンオキシド基(P=O)の「P」にNが含まれている含窒素ヘテロ環が3個置換された構造であり、前記「P」および「N」はシグマ結合で連結されている。
【0037】
ホスフィンオキシド基(P=O)の「P」にシグマ結合で連結されるNは、孤立電子対を有し、孤立電子対はキレーティングが可能であるため、高温露出時にHFにキレーティングすることによってHFをトラップすることができ、リチウム塩の分解産物である、強いルイス酸であるPF5にキレーティングして安定化させることによって追加的な副反応を抑制することができる。
【0038】
また、前記孤立電子対は、正極活物質の遷移金属にもキレーティングすることによって正極表面の安定化にも役立つ。
【0039】
このような構造は、キレーティング時に、正極および負極の表面にそれぞれ被膜を形成することによって高温保存時に電極/電解質の界面抵抗増加を抑制し、高温での追加的な電解質副反応によるガス発生を抑制する。また、被膜を形成せずに電解質に残存していた添加剤は、高温露出時、正極表面に追加的な絶縁被膜を形成して、熱安全性特性を改善させる効果を奏する。この構造は特に、キレーティング時に、負極に厚い絶縁被膜を形成するが、これはバッテリーが貫通される状況でも負極に累積されている電子が抜け出ないようにして、バッテリー短絡による発火を抑制する。
【0040】
一例として前記A、BおよびCは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の含窒素芳香族ヘテロ環または置換もしくは非置換の含窒素非芳香族ヘテロ環であり得る。
【0041】
例えば前記置換もしくは非置換の含窒素芳香族ヘテロ環は、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジン基、置換もしくは非置換のチアジン基、置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のイソインドリル基、置換もしくは非置換のベンズオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンズチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、または置換もしくは非置換のフェノキサジニル基であり得る。
【0042】
例えば前記置換もしくは非置換の含窒素非芳香族ヘテロ環は、置換もしくは非置換の2-ピロリン基、置換もしくは非置換の3-ピロリン基、置換もしくは非置換のピロリジン基、置換もしくは非置換のピラゾリジン基、置換もしくは非置換のイミダゾリジン基、置換もしくは非置換のピペリジン基、置換もしくは非置換のピペラジン基、置換もしくは非置換のモルホリン基、置換もしくは非置換のチオモルホリン基、置換もしくは非置換のジチアジン基、置換もしくは非置換のインドリン基、または置換もしくは非置換のイソインドリン基であり得る。
【0043】
一例として前記A、BおよびCは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のピロリジン基、置換もしくは非置換のピペリジン基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、または置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基であり得る。
【0044】
具体的な一例として前記A、BおよびCは、それぞれ独立して、下記グループ1に羅列された置換基の中から選択され得る。
【化4】
【0045】
前記A、BおよびCは、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。
【0046】
例えば前記A、BおよびCは、それぞれ置換もしくは非置換のイミダゾリル基であり得る。
【0047】
最も具体的な一実施例によれば、前記添加剤は、下記化学式aで表され得る。
【化5】
【0048】
本発明の他の一実施形態によるリチウム二次電池用電解液は、非水性有機溶媒、リチウム塩および前述した添加剤を含む。
【0049】
前記添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1重量%~10重量%の含有量で含まれ得、具体的に0.1重量%~5.0重量%の含有量で含まれ得、より具体的に0.1重量%~3.0重量%の含有量で含まれ得る。
【0050】
添加剤の含有量範囲が前記のような場合、高温での抵抗増加を防止し、ガス発生量を低減させて貫通安全性および高温信頼性が改善されたリチウム二次電池を実現することができる。
【0051】
つまり、前記添加剤の含有量が0.1重量%未満の場合、高温保存特性が低下する問題点があり、10重量%を超える場合、界面抵抗増加により寿命が低下する問題点がある。
【0052】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割を果たす。
【0053】
前記非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を使用することができる。
【0054】
前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、デカノリド(decanolide)、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができる。また、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを使用することができる。また前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、前記非プロトン性溶媒としては、R-CN(Rは、炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合方向環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0055】
前記非水性有機溶媒は、単独でまたは一つ以上混合して使用することができ、一つ以上混合して使用する場合の混合比率は、目的とする電池性能により適切に調節することができ、これは当該分野に従事する者に幅広く理解され得る。
【0056】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用することが好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは、1:1~1:9の体積比で混合して使用することが電解液の性能が優れるように現れ得る。
【0057】
前記非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。この時、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒は、1:1~30:1の体積比で混合され得る。
【0058】
前記芳香族炭化水素系溶媒としては、下記化学式2の芳香族炭化水素系化合物を使用することができる:
【化6】
(前記化学式2において、R
201~R
206は、互いに同じかまたは異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、ハロアルキル基およびこれらの組み合わせからなる群より選択される)。
【0059】
前記芳香族炭化水素系溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,3,4-トリフルオロトルエン、2,3,5-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロトルエン、2,3,4-トリクロロトルエン、2,3,5-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3-ジヨードトルエン、2,4-ジヨードトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,3,4-トリヨードトルエン、2,3,5-トリヨードトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものが挙げられる。
【0060】
前記電解液は、電池寿命を向上させるためにビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートまたは下記化学式3のエチレン系カーボネート系化合物を寿命向上添加剤としてさらに含むこともできる:
【化7】
(前記化学式3において、R
207およびR
208は、互いに同じかまたは異なり、水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO
2)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択され、前記R
207およびR
208のうちの少なくとも一つはハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO
2)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択されるが、ただし、R
207およびR
208が同時に水素ではない)。
【0061】
前記エチレン系カーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネートまたはフルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合、その使用量は適切に調節することができる。
【0062】
前記リチウム塩は、非水性有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。このようなリチウム塩の代表的な例としては、LiPF6、LiBF4、LiDFOP、LiDFOB、LiPO2F2、LiSbF6、LiAsF6、LiN(SO2C2F5)2、Li(CF3SO2)2N、LiN(SO3C2F5)2、Li(FSO2)2N(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide:LiFSI)、LiC4F9SO3、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiN(CxF2x+1SO2)(CyF2y+1SO2)(ここで、xおよびyは自然数であり、例えば1~20の整数である)、LiCl、LiIおよびLiB(C2O4)2(リチウムビスオキサラトボレート(lithium bis(oxalato) borate:LiBOB)からなる群より選択される一つまたは二つ以上が挙げられる。リチウム塩の濃度は、0.1M~2.0M範囲内で使用することが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度および粘度を有するため、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0063】
本発明のまた他の一実施形態は、正極活物質を含む正極;負極活物質を含む負極;および前述した電解液を含むリチウム二次電池を提供する。
【0064】
前記正極は、正極集電体および前記正極集電体上に位置する正極活物質層を含み、前記正極活物質層は、正極活物質を含む。
【0065】
前記正極活物質としては、リチウムの可逆的な挿入および脱離が可能な化合物(リチエイテッド挿入化合物)を使用することができる。
【0066】
具体的にはコバルト、マンガン、ニッケルおよびこれらの組み合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうちの少なくとも1種を使用することができる。
【0067】
もちろん、前記複合酸化物の表面にコーティング層を有するものも使用することができ、または前記複合酸化物とコーティング層を有する複合酸化物を混合して使用することもできる。このコーティング層は、コーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートおよびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選択される少なくとも一つのコーティング元素化合物を含むことができる。これらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質であり得る。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を使用することができる。コーティング層形成工程は、前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えばスプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングすることができれば如何なるコーティング方法を用いてもよく、これについては当該分野に従事する者によく理解され得る内容であるため、詳細な説明は省略する。
【0068】
正極活物質は、例えば下記化学式4で表されるリチウム複合酸化物のうちの1種以上であり得る:
[化学式4]
LixM1
1-y-zM2
yM3
zO2
(前記化学式4において、
0.5≦x≦1.8、0≦y<1、0≦z<1、0≦y+z<1、M1、M2およびM3は、それぞれ独立して、Ni、Co、Mn、Al、Sr、MgまたはLaなどの金属およびこれらの組み合わせから選択されるいずれか一つであり得る)。
【0069】
一実施例において、前記M1は、Co、Mn、Al、Sr、MgまたはLaなどの金属であり得、前記M2およびM3は、それぞれ独立して、NiまたはCoであり得る。
【0070】
具体的な一実施例において、前記M1は、MnまたはAlであり得、前記M2およびM3は、それぞれ独立して、NiまたはCoであり得るが、これに限定されるものではない。
【0071】
より具体的な一実施例において、前記正極活物質は、下記化学式4-1~化学式4-3のうちの少なくとも一つで表されるリチウム複合酸化物であり得る:
[化学式4-1]
Lix1Niy1Coz1Al1-y1-z1O2
(前記化学式4-1において、1≦x1≦1.2、0<y1<1、且つ0<z1<1が挙げられる);
[化学式4-2]
Lix2Niy2Coz2Mn1-y2-z2O2
(前記化学式4-2において、1≦x2≦1.2、0<y2<1、且つ0<z2<1である);
[化学式4-3]
Lix3CoO2
(前記化学式4-3において、0.5<x3≦1である)。
【0072】
一例として、前記化学式4-1において、1≦x1≦1.2、0.5≦y1<1、且つ0<z1≦0.5であり得る。
【0073】
具体的な一例として、前記化学式4-1において、1≦x1≦1.2、0.6≦y1<1、且つ0<z1≦0.5であり得る。
【0074】
より具体的な一例として、前記化学式4-1において、1≦x1≦1.2、0.7≦y1<1、且つ0<z1≦0.5であり得る。
【0075】
例えば、前記化学式4-1において、1≦x1≦1.2、0.8≦y1<1、且つ0<z1≦0.5であり得る。
【0076】
一例として、前記化学式4-2において、1≦x2≦1.2、0.3≦y2<1、且つ0.3≦z2<1であり得る。
【0077】
具体的な一例として、前記化学式4-2において、1≦x2≦1.2、0.6≦y2<1、且つ0.3≦z2<1であり得る。
【0078】
より具体的な一例として、前記化学式4-2において、1≦x2≦1.2、0.7≦y2<1、且つ0.3≦z2<1であり得る。
【0079】
例えば、前記化学式4-2において、1≦x2≦1.2、0.8≦y2<1、且つ0.3≦z2<1であり得る。
【0080】
前記正極活物質の含有量は、正極活物質層全体重量に対して90重量%~98重量%であり得る。
【0081】
本発明の一実施形態において、前記正極活物質層は、選択的に導電材およびバインダーを含むことができる。この時、前記バインダーの含有量は、正極活物質層全体重量に対して1重量%~5重量%であり得る。
【0082】
前記導電材およびバインダーの含有量は、正極活物質層全体重量に対してそれぞれ1重量%~5重量%であり得る。
【0083】
前記導電材は、正極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を招かない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0084】
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また正極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たし、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化ポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンラバー、アクリル化スチレン-ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを 使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0085】
前記正極集電体としては、Alを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0086】
前記負極は、負極集電体およびこの負極集電体の上に形成される負極活物質を含む負極活物質層を含む。
【0087】
前記負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を含む。
【0088】
前記リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質としては、炭素物質であって、リチウム二次電池で一般に使用される炭素系負極活物質は如何なるものでも使用することができ、その代表的な例としては、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらを共に使用することができる。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0089】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属との合金を使用することができる。
【0090】
前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としては、Si、Si-C複合体、SiOx(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族元素、第14族元素、第15族元素、第16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO2、Sn-R(前記Rは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族元素、第14族元素、第15族元素、第16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)などが挙げられ、またこれらのうちの少なくとも一つとSiO2を混合して使用することもできる。
【0091】
前記元素QおよびRとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0092】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物またはリチウムチタン酸化物などが挙げられる。
【0093】
具体的な一実施例において、前記負極活物質は、Si系活物質および炭素系活物質を含むSi-C複合体であり得る。
【0094】
前記Si-C複合体でSi系活物質の平均粒径は、50nm~200nmであり得る。
【0095】
前記Si系活物質の平均粒径が前記範囲に含まれる場合、充放電時に発生する体積膨張を抑制することができ、充放電時に粒子破砕による伝導性経路(conductive path)の断絶を防止することができる。
【0096】
前記Si系活物質は、前記Si-C複合体の全体重量に対して1~60重量%で含まれ得、例えば3~60重量%で含まれ得る。
【0097】
具体的な他の一実施例において、前記負極活物質は、前述したSi-C複合体と共に結晶質炭素をさらに含むことができる。
【0098】
前記負極活物質がSi-C複合体および結晶質炭素と共に含む場合、前記Si-C複合体および結晶質炭素は、混合物の形態で含まれ得、この場合、前記Si-C複合体および結晶質炭素は、1:99~50:50の重量比で含まれ得る。より具体的には前記Si-C複合体および結晶質炭素は、5:95~20:80の重量比で含まれ得る。
【0099】
前記結晶質炭素は、例えば黒鉛を含むことができ、より具体的には天然黒鉛、人造黒鉛またはこれらの混合物を含むことができる。
【0100】
前記結晶質炭素の平均粒径は、5μm~30μmであり得る。
【0101】
本明細書において、平均粒径は、累積分布曲線(cumulative size-distribution curve)において体積比で50%での粒子サイズ(D50)であり得る。
【0102】
前記Si-C複合体は、Si-C複合体の表面を囲むシェルをさらに含むことができ、前記シェルは、非晶質炭素を含むことができる。
【0103】
前記非晶質炭素は、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスまたはこれらの混合物を含むことができる。
【0104】
前記非晶質炭素は、炭素系活物質100重量部に対して1~50重量部、例えば5~50重量部、または10~50重量部で含まれ得る。
【0105】
前記負極活物質層において負極活物質の含有量は、負極活物質層全体重量に対して95重量%~99重量%であり得る。
【0106】
本発明の一実施形態において、前記負極活物質層は、バインダーを含み、選択的に導電材をさらに含むこともできる。前記負極活物質層においてバインダーの含有量は、負極活物質層全体重量に対して1重量%~5重量%であり得る。また導電材をさらに含む場合には負極活物質を90重量%~98重量%、バインダーを1重量%~5重量%、導電材を1重量%~5重量%使用することができる。
【0107】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また負極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たす。前記バインダーとしては、非水溶性バインダー、水溶性バインダーまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0108】
前記非水溶性バインダーとしては、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化ポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0109】
前記水溶性バインダーとしては、ゴム系バインダーまたは高分子樹脂バインダーが挙げられる。前記ゴム系バインダーは、スチレン-ブタジエンラバー、アクリル化スチレン-ブタジエンラバー(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンラバー、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムおよびこれらの組み合わせから選択されるものであり得る。前記高分子樹脂バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせから選択されるものであり得る。
【0110】
前記負極バインダーとして水溶性バインダーを使用する場合、粘性を付与できるセルロース系化合物をさらに含むことができる。このセルロース系化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としては、Na、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤の使用含有量は、負極活物質100重量部に対して0.1重量部~3重量部であり得る。
【0111】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を招かない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0112】
前記負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステレンス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0113】
リチウム二次電池の種類により正極と負極との間にセパレータが存在することもできる。このようなセパレータは、多孔性基材であるか;または複合多孔性基材であり得る。
【0114】
多孔性基材は、空隙を含む基材として、前記空隙を通じてリチウムイオンが移動することができる。前記多孔性基材は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンまたはこれらの2層以上の多層膜を使用することができ、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜を使用することができることはもちろんである。
【0115】
前記複合多孔性基材は、多孔性基材および前記多孔性基材上に位置する機能層を含む形態であり得る。前記機能層は、追加的な機能付加が可能になる観点で、例えば耐熱層、および接着層のうちの少なくとも一つであり得、例えば前記耐熱層は、耐熱性樹脂および選択的にフィラーを含むことができる。
【0116】
また、前記接着層は、接着性樹脂および選択的にフィラーを含むことができる。
【0117】
前記フィラーは、有機フィラーであるか、または無機フィラーであり得る。
【0118】
図1を参照すれば、一実施形態によるリチウム二次電池100は、負極112、負極112と対向して位置する正極114、負極112と正極114との間に配置されているセパレータ113、および負極112、正極114およびセパレータ113を含浸する電解液(図示せず)を含む電池セルと、前記電池セルを収容している電池容器120、および前記電池容器120を密封する密封部材140を含む。
【実施例】
【0119】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。かかる下記の実施例は、本発明の一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
【0120】
添加剤の合成
合成例:化学式aの化合物
【化8】
前記化学式aの化合物は、
図2~
図4によるNMR分析データから確認した。
図2は化学式aの化合物の
1H-NMRスペクトルである。
図3は化学式aの化合物の
13C-NMRスペクトルである。
図4は化学式aの化合物の
31P-NMRスペクトルである。
【0121】
リチウム二次電池の作製
実施例1
正極活物質としてLiNi0.91Co0.07Al0.02O2、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンおよび導電材としてケッチェンブラックをそれぞれ97:2:1の重量比で混合して、N-メチルピロリドンに分散させて正極活物質スラリーを製造した。
【0122】
前記正極活物質スラリーを厚さ14μm のアルミニウム箔の上にコーティングし、110℃で乾燥した後、圧延(press)して正極を製造した。
【0123】
負極活物質として黒鉛とSi-C複合体が93:7の重量比で混合された混合物を用い、負極活物質とスチレン-ブタジエンゴムバインダーおよびカルボキシメチルセルロースをそれぞれ97:1:2の重量比で混合して、蒸溜水に分散させて負極活物質スラリーを製造した。
【0124】
前記Si-C複合体は、人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面に石炭系ピッチがコーティングされたものである。
【0125】
前記負極活物質スラリーを厚さ10μmの銅箔の上にコーティングし、100℃で乾燥した後、圧延(press)して負極を製造した。
【0126】
前記製造された正極および負極と厚さ25μmのポリエチレン材質のセパレータを組み立てて電極組立体を製造し、電解液を注入してリチウム二次電池を作製した。
【0127】
電解液組成は下記のとおりである。
(電解液組成)
塩:LiPF6 1.5M
溶媒:エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート:ジメチルカーボネート(EC:EMC:DMC=20:10:70の体積比)
添加剤:前記合成例による化学式aの化合物0.5重量%を含む組成物
(ただし、前記電解液組成における「重量%」は、電解液全体(リチウム塩+非水性有機溶媒+添加剤)含有量を基準にした値である。)
【0128】
実施例2
前記化学式aの化合物を1.0重量%添加したことを除き、前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を作製した。
【0129】
実施例3
前記化学式aの化合物を2.0重量%添加したことを除き、前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を作製した。
【0130】
比較例1
添加剤が含まれていない電解液を使用したことを除き、前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を作製した。
【0131】
比較例2
【化9】
シグマアルドリッチ社で市販中である前記トリフェニルホスフィンオキシド(CASNo. 791-28-6)を1.0重量%添加したことを除き、前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を作製した。
【0132】
評価1:熱露出の評価
実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池に対して3.0V放電状態で0.5C充電速度で4.2V/3hrカットオフ条件で充電した後、熱露出した場合の評価を実施した。
実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池をチャンバーに入れた後、温度を常温から140℃まで1分当たり5℃の上昇速度で温度を増加させ、前記温度で1時間ほど維持させながらリチウム二次電池の変化を観察し、その結果を
図5に示した。この時、点線は時間による電圧変化を示し、実線は時間による温度変化を示す。
【0133】
図5は実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池に対する熱露出による温度および電圧変化を示すグラフである。
【0134】
図5を参照すれば、実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池で電圧急降下が観察された。円筒型電池が高温に急激に露出されると、ガスが発生して内圧が増加し、これによってバッテリー保護回路(CID)が作動して、電圧を読み取ることができなくなる。電圧急降下が現れたことから、実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池は高温露出によるガス発生により、保護回路が作動したことが分かる。
【0135】
しかし、実施例1~3によるリチウム二次電池は140℃の温度に露出させても、140℃の温度を維持したまま熱暴走が起こらない反面、比較例1および2によるリチウム二次電池は140℃の温度に露出される場合、140℃で温度が維持されているようだが、それぞれ240℃(78分時点)、200℃(42分時点)まで急激な熱暴走が現れていることを確認できる。これによって、比較例1および2によるリチウム二次電池は単純にガスだけが発生したのではなく、熱暴走まで起こって電池が爆発したことが分かる。
【0136】
したがって、実施例1~3によるリチウム二次電池が比較例1および2によるリチウム二次電池に比べて熱的安定性が高いことが分かる。
【0137】
評価2:貫通安全性の評価
実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池に対して次のような方法で貫通特性を評価し、結果を
図6に示した。
貫通限界評価はSOC(state of charge)50(全体容量100の半分に該当する容量)まで充電した後、2.5パイネイル(nail)を利用して150mm/sで貫通評価を行い、セル表面に温度センサーおよび電圧センサーを付着して貫通中の電圧または温度プロファイルを得た。
【0138】
図6は実施例1~3、比較例1および2のリチウム二次電池に対する150mm/s貫通後のセル表面の温度変化、およびセルの電圧変化を示すグラフである。
【0139】
実施例1~3、比較例1および2のリチウム二次電池において、電圧が0Vに落ちたことは貫通により、正極/負極短絡が発生したことを意味する。この時、電池は短絡による火炎が発生するため、発火の危険性が高い。貫通により正極/負極が互いに接触して、短絡が発生した時、比較例1および2によるリチウム二次電池は、火炎が発生した後、発火して、電池温度が480℃以上まで上昇する反面、実施例1~3によるリチウム二次電池は、短絡により火炎は発生するが、温度が300℃未満に維持されて、電池が発火しないことが分かる。つまり、実施例によるリチウム二次電池は、正極/負極が接触して、短絡が発生しても、発火しない結果から、熱的安定性に優れていることが分かる。
【0140】
評価3:CID作動時点の測定
実施例1~3、比較例1および2のリチウム二次電池を0.5C充放電速度で4.35V CC/CV方式で3時間充電した後、90℃チャンバーで20時間放置してCID(Current Interrupt Device)作動時点を測定した。
前記CID(Current Interrupt Device)は、密閉された素子内の圧力変化、つまり、圧力上昇を感知して一定の圧力以上になる場合、それ自体が電流を遮断する素子として、これは当業界で自明であるため、これについての説明は省略する。前記測定結果は
図7に示した。
【0141】
図7は実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池のCID(Current Interrupt Device)作動時点を測定したグラフである。
【0142】
CID作動時点を測定してリチウム二次電池の高温保存特性を評価することができる。
【0143】
図7を参照すれば、比較例1および2は、90℃高温保存時、約8時間前に急激な電圧降下を示すが、本発明の一実施例による添加剤を含む実施例は、電圧降下を示す時間が最小10時間以上になって電解液分解を遅延させることによって抵抗増加が減少してOCVドロップ(drop)が遅延する効果を示すことが分かる。つまり、本発明によるリチウム二次電池は、高温保存時にガス発生が抑制される効果に優れている。
【0144】
評価4:常温充放電サイクル特性の評価
実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池を次のような条件で充放電後のサイクル特性を評価し、その結果を
図8に示した。
25℃、2.5V~4.2Vで0.5CのCレート(C-rate)で250サイクル充放電を実施しながら放電容量の変化、および直流内部抵抗(DC-IR:Direct current internal resistance)の変化を測定してその結果を
図8に共に示した。
【0145】
図8は実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池の常温充放電サイクル特性を示すグラフである。
【0146】
図8を参照すれば、実施例1~3の場合、比較例1および2に比べて寿命特性がより優れており、内部抵抗増加程度も改善されることが分かる。
【0147】
評価5:高温保存特性の評価
実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池を次のような条件で保存した後の内部抵抗および容量維持率を測定し、その結果を
図9に示した。
高温(60℃)で10日間隔で保存した後、SOC 50で、0.5C律速放電条件で、直流内部抵抗(DC-IR:Direct current internal resistance)を測定した。
【0148】
また、実施例1~3、比較例1および2により作製されたそれぞれのリチウム二次電池に対して、放電容量を測定した。次に、10日間隔で高温保存した後(60℃)、0.2Cで2回の充放電を実施して、2回の放電容量を測定した。高温保管前放電容量に対する、高温保存後、放電容量比を求めて、1回目の放電容量を容量維持率(retention capacity)、2回目の放電容量を容量回復率(recovery capacity)で示した。
【0149】
図9は実施例1~3、比較例1および2によるリチウム二次電池を60℃で30日間放置した後、抵抗増加率および電池の容量回復率の測定結果を示すグラフである。
【0150】
図9を参照すれば、実施例1~3の場合、比較例1および2に比べて高温保存特性がより優れていることが分かる。
【0151】
以上を通じて本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0152】
100・・・リチウム二次電池
112・・・負極
113・・・セパレータ
114・・・正極
120・・・電池容器
140・・・密封部材
【国際調査報告】