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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】粘着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/00 20060101AFI20231115BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20231115BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20231115BHJP
【FI】
C09J133/00
C09J133/04
C09J7/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527470
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2022002781
(87)【国際公開番号】W WO2022182193
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0026662
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ビュン ス
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒュン チェオル
(72)【発明者】
【氏名】リー、フイ ジェ
(72)【発明者】
【氏名】リュ、セウン イェオン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジン ホ
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004FA08
4J040DF061
4J040EF181
4J040EF281
4J040LA06
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA17
4J040NA19
(57)【要約】
本出願は、フレキシブルデバイスに適用されて繰り返し変形と回復に効果的に対応し、変形前後に不良(例えば、変形跡の観察など)が発生せず、裁断性と作業性に優れており、浮き上がり、剥離及び/又は気泡発生なども誘発されない粘着剤及びその用途を提供しうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋されたアクリル共重合体を含み、
-20℃での貯蔵弾性率が100,000Pa以下であり、
ガラスに対する常温剥離力が500gf/inch以上である、粘着剤。
【請求項2】
架橋されたアクリル共重合体を含み、
下記数1による弾性率の変化率が2500以下である、粘着剤:
[数1]
弾性率変化率=(M20-M25)/45
数1において、M20は、-20℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率であり、M25は、25℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率である。
【請求項3】
架橋されたアクリル共重合体を含み、
前記アクリル共重合体は、結晶性アクリル共重合体である、粘着剤。
【請求項4】
25℃での貯蔵弾性率が10,000Pa以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項5】
前記アクリル共重合体は、結晶性アクリル共重合体である、請求項1または2に記載の粘着剤。
【請求項6】
前記アクリル共重合体は、融点が-20℃以下である、請求項3または5に記載の粘着剤。
【請求項7】
前記アクリル共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート単位、下記化1の単位及び極性官能基含有単位を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤:
【化1】
化1において、Rは、水素またはアルキル基を表し、Rは、炭素数11~13のアルキル基を表す。
【請求項8】
前記アルキル(メタ)アクリレート単位は、炭素数1~10の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有する、請求項7に記載の粘着剤。
【請求項9】
前記極性官能基含有単位は、ヒドロキシ基含有モノマー由来単位である、請求項7または8に記載の粘着剤。
【請求項10】
前記アクリル共重合体は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位を25~65重量%の割合で含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項11】
前記アクリル共重合体は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して50~300重量部の前記化1の単位を含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項12】
前記アクリル共重合体は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して10~100重量部の前記極性官能基含有単位を含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項13】
前記化1の単位が前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して60重量部以上結晶性アクリル共重合体に含まれており、前記化1の単位の重量(A)の前記極性官能基含有単位の重量(B)に対する割合が1.5以上である、請求項7~12のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項14】
基材フィルム、及び前記基材フィルムの一面または両面に形成された請求項1~13のいずれか一項に記載の粘着剤を含む粘着剤層を有する、粘着フィルム。
【請求項15】
1つ以上のフォールディング軸またはローリング軸を通じてフォールディングまたはローリングできるように構成されたディスプレイパネル、及び
前記ディスプレイパネルの一面または両面に存在し、請求項1~13のいずれか一項に記載の粘着剤を含む粘着剤層を含む、フレキシブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月26日付で提出された大韓民国特許出願第10-2021-0026662号に基づいて優先権を主張し、当該大韓民国特許出願文献に開示された内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、粘着剤に関する。
【背景技術】
【0003】
フレキシブル(Flexible)デバイスは、新しい概念のデバイスで、その例としては、いわゆるフォルダブル(Foldable)デバイスやローラブル(Rollable)デバイスが含まれる。
【0004】
フォルダブルデバイスに適用される粘着剤層は、繰り返し折り畳まれた後に伸ばされるか、または巻き付けられた後に開かれる。
【0005】
したがって、フォルダブルデバイスに適用される層は、前記繰り返し変形に効果的に追従し、変形時に加えられる力がなくなると、再び元の形状に回復できることが求められる。
【0006】
通常、粘着剤の弾性率、特に低温での弾性率が低いほど、前記のような繰り返し変形に効果的に追従することが知られている。
【0007】
しかし、粘着剤層の弾性率が低すぎると、変形のために加えられた力がなくなったときに回復する特性が低下し、裁断性や作業性が低下するという問題がある。
【0008】
したがって、裁断性や作業性を考慮すると、粘着剤層が一定レベル以上の弾性率を有することが好ましいが、回復性、裁断性と作業性などが所望のレベルで確保されるとともに、変形に効果的に追従する粘着剤層を得ることは容易ではない。
【0009】
また、裁断性や作業性を考慮して弾性率を高めると、粘着剤層に基本的に要求される剥離力が低下するという問題がある。
【0010】
したがって、フレキシブルデバイスに適した物性の粘着剤層を提供することは容易ではない課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本出願は、粘着剤に関する。本出願は、フォルダブルデバイスに適した粘着剤を提供することを一つの目的とする。一例において本出願は、低温ではフォルダブルデバイスに適した低い弾性率を示し、高温では相対的に高い弾性率を示し、同時に適正レベルの粘着力(剥離力)を示す粘着剤層を形成できる粘着剤を提供することを一つの目的とする。
【0012】
本出願は、さらに前記粘着剤を含む粘着フィルムまたはフレキシブルデバイスを提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書で言及する物性のうち、測定温度が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は、常温で測定した物性である。
【0014】
本明細書において用語の常温とは、特に加温及び減温していない状態での温度であって、約10℃~30℃の範囲内のいずれかの温度、例えば、約15℃以上、18℃以上、20℃以上または約23℃以上であり、また約27℃以下の温度を意味しうる。また、特に規定しない限り、本明細書で言及する温度の単位は、℃である。
【0015】
本明細書で言及する物性のうち、測定圧力が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は、常圧で測定した物性である。
【0016】
本明細書において用語の常圧とは、特に加圧及び減圧されていない状態での圧力であって、通常、大気圧レベルである約740mmHg~780mmHg程度の圧力を意味する。
【0017】
本明細書で言及する物性のうち、測定湿度が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は、前記常温及び常圧状態での自然そのままの湿度で測定した物性である。
【0018】
本出願は、粘着剤に関する。本出願の粘着剤は、アクリル共重合体を含んでもよい。
【0019】
本明細書において用語の共重合体とは、モノマー混合物の重合反応の結果物を意味する。
【0020】
本明細書において用語のモノマー単位とは、前記重合反応後のモノマーの状態を意味する。
【0021】
本明細書において用語のアクリル共重合体は、アクリルモノマー単位を主成分として含む共重合体である。このとき、主成分は、前記アクリル共重合体において前記アクリルモノマー単位の割合が50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上または95重量%以上の場合を意味する。アクリル共重合体において前記アクリルモノマー単位の含量の上限には特に制限はない。例えば、前記アクリル共重合体は、前記アクリルモノマー単位を100重量%以下、99重量%以下、98重量%以下、97重量%以下、96重量%以下または95重量%以下で含んでもよい。
【0022】
本明細書において用語のアクリルモノマーは、アクリル酸やメタクリル酸または前記アクリル酸やメタクリル酸の誘導体(例えば、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル)を意味する。
【0023】
本明細書において用語の(メタ)アクリルは、アクリルやメタクリルを意味する。
【0024】
本出願の粘着剤において、前記アクリル共重合体が架橋性である場合、粘着剤内で前記アクリル共重合体は架橋前状態であってもよく、または架橋後状態であってもよく、適切には架橋状態であってもよい。したがって、前記粘着剤は、架橋された前記アクリル共重合体を含んでもよい。
【0025】
粘着剤は、前記アクリル共重合体を主成分として含んでもよい。例えば、前記粘着剤内で前記アクリル共重合体の割合は、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、97重量%以上または99重量%以上程度であってもよい。粘着剤において前記アクリル共重合体の含量の上限には特に制限はない。例えば、前記アクリル共重合体は、前記粘着剤内に100重量%以下、99重量%以下、98重量%以下、97重量%以下、96重量%以下または95重量%以下程度で含んでもよい。粘着剤が溶媒または溶剤などのように最終粘着剤層には含まれない成分を含む場合、前記アクリル共重合体の含量は、前記最終粘着剤層に含まれない成分を除く粘着剤内での含量である。
【0026】
本明細書で言及する粘着剤の貯蔵弾性率と剥離力は、前記粘着剤組成物が架橋された状態(すなわち、粘着剤組成物に含まれているアクリル共重合体が架橋された状態)での貯蔵弾性率と剥離力であり、したがって、前記は粘着剤または粘着剤層の貯蔵弾性率と剥離力であってもよい。
【0027】
本出願の粘着剤は、低温で低い貯蔵弾性率を示すことができる。
【0028】
本明細書において貯蔵弾性率は、下記実施例に示される方式で測定された結果である。
【0029】
例えば、粘着剤は、-20℃での貯蔵弾性率が100,000Pa以下であってもよい。前記粘着剤の-20℃での貯蔵弾性率は、他の例において、98,000Pa以下、96,000Pa以下、95,000Pa以下、94,000Pa以下、93,000Pa以下、92,000Pa以下、90,000Pa以下、88,000Pa以下、86,000Pa以下、85,000Pa以下、84,000Pa以下、83,000Pa以下、82,000Pa以下、80,000Pa以下、78,000Pa以下、76,000Pa以下、74,000Pa以下、72,000Pa以下、70,000Pa以下、68,000Pa以下、66,000Pa以下、64,000Pa0、0以下、62,000Pa以下、60,000Pa以下、58,000Pa以下、56,000Pa以下または54,000Pa以下程度であってもよい。前記-20℃での貯蔵弾性率の下限には特に制限はなく、例えば、30,000Pa以上、40,000Pa以上、42,000Pa以上、44,000Pa以上、45,000Pa以上、46,000Pa以上、48,000Pa以上、50,000Pa以上、52,000Pa以上、54,000Pa以上、55,000Pa以上、56,000Pa以上、58,000Pa以上、60,000Pa以上、62,000Pa以上、64,000Pa以上、65,000Pa以上、66,000Pa以上、68,000Pa以上、70,000Pa以上、72,000Pa以上、74,000Pa以上、75,000Pa以上、76,000Pa以上、78,000Pa以上、80,000Pa以上、82,000Pa以上、84,000Pa以上、86,000Pa以上、88,000Pa以上、90,000Pa以上、92,000Pa以上、94,000Pa以上または96,000Pa以上程度であってもよい。
【0030】
粘着剤が相対的に低温である-20℃で前記範囲の貯蔵弾性率を示すことによってフレキシブルデバイスに適用されて繰り返し変形と回復に効果的に対応しうる。
【0031】
本出願の粘着剤は、低温で前記のように低い貯蔵弾性率を示すとともに、相対的に高温では一定レベル以上の高い貯蔵弾性率を示すことができる。粘着剤の貯蔵弾性率は温度に依存する関数であり、通常、温度が上昇すると、貯蔵弾性率は低下する。したがって、粘着剤の高温での貯蔵弾性率は、通常、低温での貯蔵弾性率に比べて低い。しかし、粘着剤が低温で貯蔵弾性率が低い場合に高温での貯蔵弾性率も相対的に低下するため、低温で貯蔵弾性率が低い粘着剤の高温での貯蔵弾性率は、低温で貯蔵弾性率が高い粘着剤の高温での貯蔵弾性率に比べて低い。
【0032】
しかし、本出願では、前記低温で低い貯蔵弾性率とともに高温で相対的に高い貯蔵弾性率を示すことができる。すなわち、本出願の粘着剤は、温度による貯蔵弾性率のグラフにおいて相対的に緩やかな傾きを示すことができる。
【0033】
例えば、本出願の粘着剤は、下記数1による弾性率の変化率が2500以下であってもよい。
【0034】
[数1]
弾性率変化率=(M20-M25)/45
【0035】
数1において、M20は、前記粘着剤の-20℃での貯蔵弾性率(単位:Pa)であり、M25は、前記粘着剤の25℃での粘着剤の貯蔵弾性率(単位:Pa)である。
【0036】
前記弾性率変化率は、2400以下、2300以下、2200以下、2100以下、2000以下、1900以下、1800以下、1700以下、1600以下、1500以下、1400以下、1300以下、1200以下、1100以下、1000以下、900以下または800以下程度であってもよい。前記弾性率変化率の下限は、特に制限されず、例えば、前記変化率は、100以上、200以上、300以上、400以上、500以上、600以上、700以上、800以上、900以上、1000以上、1100以上、1200以上、1300以上または1400以上程度であってもよい。
【0037】
前記のような弾性率変化率を示す粘着剤層は、フォルダブルデバイスで繰り返し変形と回復に効果的に追従し、作業性と裁断性も優秀に維持できる。しかし、前述したように低温で弾性率が低い粘着剤は、高温でも相対的に低い弾性率を示すため、前記弾性率変化率を満たすことは容易ではない課題である。本出願では、前記アクリル共重合体として、後述する所定のアクリル共重合体を適用することにより、前記のような弾性率変化率を満たすことができる。
【0038】
前記粘着剤の25℃での貯蔵弾性率は、10,000Pa以上であってもよい。前記25℃での貯蔵弾性率は、他の例において、12,000Pa以上、13,000Pa以上、14,000Pa以上、15,000Pa以上、16,000Pa以上、17,000Pa以上、18,000Pa以上、20,000Pa以上、21,000Pa以上、22,000Pa以上、23,000Pa以上、24,000Pa以上、26,000Pa以上、28,000Pa以上、30,000Pa以上、32,000Pa以上、34,000Pa以上、36,000Pa以上、38,000Pa以上または40,000Pa以上程度であってもよい。前記25℃での貯蔵弾性率の上限には特に制限はないが、前記弾性率は、例えば、約100,000Pa以下、98,000Pa以下、96,000Pa以下、94,000Pa以下、92,000Pa以下、90,000Pa以下、88,000Pa以下、86,000Pa以下、84,000Pa以下、82,000Pa以下、80,000Pa以下、78,000Pa以下、76,000Pa以下、74,000Pa以下、72,000Pa以下、70,000Pa以下、68,000Pa以下、66,000Pa以下、64,000Pa以下、62,000Pa以下、60,000Pa以下、58,000Pa以下、56,000Pa以下、54,000Pa以下、52,000Pa以下、50,000Pa以下、48,000Pa以下、46,000Pa以下、44,000Pa以下、42,000Pa以下、40,000Pa以下、38,000Pa以下、36,000Pa以下、35,000Pa以下、34,000Pa以下、32,000Pa以下、30,000Pa以下、28,000Pa以下、26,000Pa以下、25,000Pa0以下、24,000以下、22,000Pa以下、20,000Pa以下または18,000Pa以下程度であってもよい。
【0039】
本出願の粘着剤は、前記のように相対的に高い高温弾性率を示すとともに、高い剥離力を示すことができる。例えば、前記粘着剤は、ガラスに対する常温剥離力が約500gf/inch以上であってもよい。
【0040】
前記常温剥離力は、約25℃で測定した剥離力であり、この剥離力の測定方法は、実施例に記載されている。
【0041】
前記剥離力は、他の例において、600gf/inch以上、700gf/inch以上、800gf/inch以上、900gf/inch以上、1000gf/inch以上、1100gf/inch以上、1200gf/inch以上、1300gf/inch以上、1400gf/inch以上、1450gf/inch以上、1500gf/inch以上、1550gf/inch以上、1600gf/inch以上または1700gf/inch以上程度であってもよい。前記常温剥離力の上限には特に制限はなく、例えば、前記常温剥離力は、5000gf/inch以下、4500gf/inch以下、4000gf/inch以下、3500gf/inch以下、3000gf/inch以下、2800gf/inch以下、2600gf/inch以下、2500gf/inch以下、2400gf/inch以下、2200gf/inch以下、2000gf/inch以下、1800gf/inch以下、1600gf/inch以下または1500gf/inch以下程度であってもよい。
【0042】
このような貯蔵弾性率及び剥離力が確保された粘着剤は、フレキシブルデバイスに適用されて繰り返し変形と回復に効果的に対応し、変形前後に不良(例えば、変形跡の観察など)が発生せず、裁断性と作業性に優れており、浮き上がり、剥離及び/又は気泡発生なども誘発されない。
【0043】
本出願では、前記のような特定物性の粘着剤を形成するために特定のアクリル共重合体を適用する。
【0044】
前記アクリル共重合体は、少なくともアルキル(メタ)アクリレート単位、下記化1の単位及び極性官能基含有単位を含んでもよい。前記共重合体は、必要に応じて任意のモノマー単位であり、下記化2の単位をさらに含んでもよい。
【0045】
前記において単位は、モノマー単位を意味する。
【0046】
[化1]
【0047】
化1においてRは、水素またはアルキル基を表し、Rは、炭素数11~13のアルキル基を表す。
【0048】
[化2]
【0049】
化2においてRは、水素またはアルキル基を表し、Rは、芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基である。
【0050】
前記モノマー単位を含むアクリル共重合体は、所望の粘着剤を形成するのに効果的である。
【0051】
前記アクリル共重合体は、前記化1の単位及び/又は極性官能基含有単位の所定割合下でいわゆる結晶性共重合体で形成されるか、または結晶性共重合体に類似した性質を有する。本明細書において用語の結晶性共重合体とは、本明細書の実施例に記載されたDSC(Differential Scanning Calorimeter)測定方法において所定範囲で融点(melting point)が確認される共重合体を意味する。
【0052】
アクリル共重合体は、非結晶性共重合体として知られている。しかし、前記化1の単位が所定の割合で存在する場合、そして、場合に応じて前記化1の単位が所定の割合で存在する極性官能基と相互作用する場合、このような共重合体は結晶性を示すか、少なくとも結晶性に類似した性質を示すことができる。このように結晶性を有するか、または結晶性に類似した性質を示す共重合体が適用される場合、前述した特性の粘着剤を効率的に形成してもよい。したがって、このような共重合体が適用された粘着剤を通じて上述した弾性率及び剥離力特性を示す粘着剤層を効果的に形成しうる。
【0053】
共重合体に含まれるアルキル(メタ)アクリレート単位としては、例えば、炭素数1~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する単位を使用してもよい。前記アルキル基は、他の例において炭素数2~20、炭素数3~10、炭素数4~10、炭素数4~9または炭素数4~8のアルキル基であってもよい。前記アルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、置換または非置換されたものであってもよい。一例において、前記アルキル基として直鎖または分岐鎖であり、また非置換されたアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用して前記単位を形成してもよい。
【0054】
前記アルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートまたはイソオクチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0055】
前記アクリル共重合体は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位を約10~80重量%の範囲内の割合で含んでもよい。前記アルキル(メタ)アクリレート単位の割合は、他の例において、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上または55重量%以上であってもよく、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下または35重量%以下程度でもよい。このような範囲内で所望の粘着剤を効果的に形成しうる。
【0056】
前記極性官能基含有単位は、極性官能基を有するモノマーによって形成された単位である。このようなモノマーは、通常、重合性基(ex.炭素炭素二重結合)及び極性官能基を同時に含む。
【0057】
極性官能基を有するモノマーとしては、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー及び窒素含有モノマーなどが挙げられ、本出願では、特にヒドロキシ基含有モノマーを適用することが有利であるが、これに制限されるものではない。
【0058】
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2-ヒドロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられ、カルボキシル基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二重体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物などが挙げられ、窒素含有モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドンまたはN-ビニルカプロラクタムなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。前記のうち1種または2種以上の混合が使用されてもよい。
【0059】
前記極性官能基含有単位は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して約5~100重量部の割合でアクリル共重合体に含まれてもよく、このような割合下で粘着剤層の耐久性と粘着性と剥離力を安定的に維持しうる。前記極性官能基含有単位は、他の例において、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して10重量部以上、15重量部以上、20重量部以上、25重量部以上、30重量部以上、35重量部以上、40重量部以上、45重量部以上または50重量部以上含まれてもよく、95重量部以下、90重量部以下、85重量部以下、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、65重量部以下、60重量部以下、55重量部以下、50重量部以下、45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下、25重量部以下または20重量部以下で含まれてもよい。
【0060】
化1において単位は、長鎖のアルキル基を含む単位であり、このような単位は一定割合以上共重合体に含まれ、必要に応じて極性官能基と相互作用して共重合体に結晶性または結晶性に類似した性質を付与しうる。
【0061】
化1の単位においてRは、水素または炭素数1~4のアルキル基であってもよく、具体的には水素、メチルまたはエチル基であってもよい。
【0062】
化1においてRは、炭素数11~13のアルキル基であり、このようなアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、置換または非置換であってもよい。一例において、Rは、直鎖であり、また非置換されたアルキル基であってもよい。例えば、ラウリル(メタ)アクリレート及び/又はテトラデシル(メタ)アクリレートなどを使用して化1の単位を形成してもよい。
【0063】
化1の単位は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して約50~300重量部の割合でアクリル共重合体に含まれてもよい。前記化1の単位の割合は、他の例において前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して約55重量部以上、60重量部以上、65重量部以上、70重量部以上、75重量部以上、80重量部以上、85重量部以上、90重量部以上、95重量部以上、100重量部以上、105重量部以上、110重量部以上、115重量部以上、120重量部以上、125重量部以上、130重量部以上、135重量部以上または140重量部以上であってもよく、280重量部以下、260重量部以下、240重量部以下、220重量部以下、200重量部以下、180重量部以下、160重量部以下、140重量部以下、120重量部以下、100重量部以下、90重量部以下、80重量部以下、70重量部以下または65重量部以下程度であってもよい。
【0064】
アクリル共重合体に任意のモノマー単位として含まれてもよい化2の単位は、側鎖に芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基を含む単位である。
【0065】
粘着剤内で前記芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基は、その状態で存在してもよく、後述する水素除去反応またはラジカル反応を経た後の状態で存在してもよい。
【0066】
化2の単位において芳香族ケトン基は、電磁波に晒されると、重合体鎖から水素除去(hydrogen abstraction)を誘導する芳香族ケトン基またはそのような芳香族ケトン基を含む置換基を意味する。
【0067】
電磁波に晒されると、芳香族ケトン基は、他の重合体鎖からまたは重合体鎖の他の部分から水素原子を除去しうる。このような除去はラジカルの形成を引き起こし、ラジカルは、重合体鎖の間に、または同一重合体鎖内に架橋結合を形成してもよい。このような芳香族ケトン基のカテゴリーには、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、またはアントロキノンの誘導体などの芳香族ケトン基が含まれる。
【0068】
芳香族ケトン基を有する化2の単位を誘導するモノマーとしては、4-ベンゾイルフェニル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4'-ブロモベンゾフェノン及び/又は4-アクリロイルオキシエトキシ-4'-ブロモベンゾフェノンなどがあるが、これに制限されるものではない。
【0069】
化2の単位において(メタ)アクリロイル基は、適切なラジカル開始剤の存在下で電磁波に晒されると、フリーラジカル重合を誘導する(メタ)アクリロイル基またはそれを含む置換基を意味する。このような(メタ)アクリロイル基は、電磁波の照射により前記芳香族ケトン基に類似した作用をすることができる。
【0070】
前記Rが(メタ)アクリロイル基である化2の単位は、例えば、前駆体共重合体を製造し、次に不飽和試薬化合物とさらに反応させて(メタ)アクリロイル基を導入して形成してもよい。通常、前記(メタ)アクリロイル基の導入は、(1)前駆体共重合体上の求核性基と不飽和試薬化合物上の求電子性基(すなわち、不飽和試薬化合物は、求電子性基及び(メタ)アクリロイル基の両方を含む。)との間の反応、または(2)前駆体共重合体上の求電子性基と不飽和試薬化合物上の求核性基(すなわち、不飽和試薬化合物は、求核性基及び(メタ)アクリロイル基の両方を含む)との間の反応を伴う。求核性基と求電子性基との間のこれらの反応は、典型的には開環反応、付加反応または縮合反応である。
【0071】
このような場合、前駆体共重合体は、ヒドロキシ、カルボン酸(-COOH)、または無水物(-O-(CO)-O-)基を有する。前駆体共重合体がヒドロキシ基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えて、カルボン酸(-COOH)、イソシアネート(-NCO)、エポキシ(すなわち、オキシラニル)または無水物基を有する。前駆体共重合体がカルボキシル基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えて、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、イソシアネート、アジリジニル、アゼチジニルまたはオキサゾリニル基を有する。前駆体(メタ)アクリレート共重合体が無水物基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えてヒドロキシまたはアミン基を有する。
【0072】
一例において、前駆体共重合体は、カルボキシル基を有し、不飽和試薬化合物は、エポキシ基を有してもよい。例示的な不飽和試薬化合物には、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルが含まれる。他の例において、前駆体共重合体は、無水物基を有し、これはヒドロキシ-置換されたアルキル(メタ)アクリレート、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの不飽和試薬化合物と反応する。さらに他の例において、前駆体共重合体は、ヒドロキシ基を有し、不飽和試薬化合物は、イソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基を有する。このような不飽和試薬化合物にはイソシアネートアルキル(メタ)アクリレート、例えば、イソシアネートエチル(メタ)アクリレートが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0073】
前記(メタ)アクリロイル基は、一例において、化学式CH=CHR-(CO)-Q-L-(ここで、Lは、連結基であり、Qは、オキシ(-O-)または-NH-である)で表される。前記において、Lは、アルキレン、アリーレンまたはこれらの組み合わせを含み、(メタ)アクリロイル基を形成するように反応する、前駆体共重合体及び特定の不飽和試薬化合物によって選択的に-O-、-O-(CO)-、-NH-(CO)-、-NH-、またはこれらの組み合わせをさらに含む。一部の特定の例において、前記(メタ)アクリロイル基は、前駆体共重合体の化学式-(CO)-O-R-OHで表されるヒドロキシ含有基と化学式HC=CHR-(CO)-O-R-NCOで表されるイソシアネートアルキル(メタ)アクリレートである不飽和試薬化合物との反応により形成されるHC=CHR1-(CO)-O-R-NH-(CO)-O-R-O-(CO)-である。前記においてR及びRは、それぞれ独立してアルキレン基、例えば、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、または1~4個の炭素原子を有するアルキレンである。また、前記においてRは、メチルまたは水素である。
【0074】
化2の単位においてRは、水素または炭素数1~4のアルキル基であってもよく、具体的には、水素、メチルまたはエチル基であってもよい。
【0075】
化2の単位は、含まれる場合に前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して約0.001~5重量部の割合でアクリル共重合体に含まれてもよく、このような割合下で電磁波の照射により所望の粘着剤層を効果的に形成しうる。
【0076】
化2の単位の割合は、他の例において、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して約0.003重量部以上、0.005重量部以上、0.007重量部以上、0.009重量部以上、0.01重量部以上、0.015重量部以上、0.02重量部以上、0.025重量部以上、0.03重量部以上、0.035重量部以上、0.04重量部以上、0.045重量部以上、0.05重量部以上、0.055重量部以上、0.06重量部以上、0.065重量部以上、0.07重量部以上、0.075重量部以上、0.08重量部以上、0.085重量部以上、0.09重量部以上、0.1重量部以上であってもよく、4.5重量部以下、4重量部以下、3.5重量部以下、3重量部以下、2.5重量部以下、2重量部以下、1.5重量部以下、1重量部以下、0.5重量部以下、0.3重量部以下、0.1重量部以下、0.08重量部以下、0.06重量部以下、0.04重量部以下または0.02重量部以下程度であってもよく、重量部以下、このような割合下で電磁波の照射により、所望の粘着剤層を効果的に形成しうる。
【0077】
アクリル共重合体は、上述したモノマー単位にさらに目的を損なわない限り(例えば、共重合体の結晶性を損なわない限り)、他のモノマー単位を適切に含んでもよい。
【0078】
一例において、前記粘着剤に含まれるアクリル共重合体は、結晶性アクリル共重合体であってもよい。前述したように、用語の結晶性共重合体とは、本明細書の実施例に記載のDSC(Differential Scanning Calorimeter)測定方法において所定の範囲で融点(melting point)が確認される共重合体を意味する。
【0079】
一例において、前記アクリル共重合体としては、前記方式で確認される融点が約-20℃以下程度の結晶性アクリル共重合体を使用してもよい。前記結晶性アクリル共重合体の融点は、他の例において、約-25℃以下、-30℃以下、-35℃以下または-40℃以下であってもよく、-100℃以上、-95℃以上、-90℃以上、-85℃以上、-80℃以上、-75℃以上、-70℃以上、-65℃以上、-60℃以上、-55℃以上、-50℃以上または-45℃以上程度であってもよい。このような融点を有するアクリル共重合体は、所望の粘着剤を効果的に形成しうる。
【0080】
前記結晶性アクリル共重合体の具体的な組成は、特に制限されるものではない。一例において、前記結晶性アクリル共重合体は、前述した3種の単位(アルキル(メタ)アクリレート単位、化1の単位及び極性官能基含有単位)を少なくとも含む共重合体であってもよい。ただし、前述したアクリル共重合体がすべて結晶性を示すものではない。アクリル共重合体が結晶性を示すためには、前述した単位の中で化1の単位がアルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して少なくとも60重量部以上含まれる必要がある。結晶性アクリル共重合体において前記化1の単位の割合は、他の例において前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して65重量部以上、70重量部以上、75重量部以上、80重量部以上、85重量部以上、90重量部以上、95重量部以上または100重量部以上であってもよく、2000重量部以下、1500重量部以下、1000重量部以下、900重量部以下、800重量部以下、700重量部以下、650重量部以下、600重量部以下、550重量部以下、500重量部以下、450重量部以下、400重量部以下、350重量部以下、300重量部以下、250重量部以下、200重量部以下または150重量部以下程度であってもよい。
【0081】
結晶性アクリル共重合体において前記化1の単位の重量(A)と前記極性官能基含有単位の重量(B)の割合(A/B)は、1.5以上または1.5超過であってもよい。前記割合(A/B)は、他の例において、1.7以上、1.9以上、2.1以上、2.3以上、2.5以上、2.7以上、2.9以上、3.1以上、3.3以上、3.5以上、3.7以上または3.9以上であってもよく、または10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2.5以下または2以下程度であってもよい。また、結晶性アクリル共重合体において前記極性官能基含有単位は、ヒドロキシ基含有単位であってもよい。一例において、炭素数3以上または4以上のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが前記結晶性アクリル共重合体を適切に形成してもよい。その理由は明確ではないが、化1の単位のアルキル基(R)と前記ヒドロキシアルキル基の相互作用がアクリル共重合体の結晶性の発現に寄与するものと考えられる。
【0082】
結晶性アクリル共重合体では、前記アルキル(メタ)アクリレート単位を約20~70重量%の範囲内の割合で含んでもよい。前記アルキル(メタ)アクリレート単位の割合は、他の例において、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上または45重量%以上であってもよく、または65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下または45重量%以下程度であってもよい。このような範囲内で所望の粘着剤層を効果的に形成しうる。
【0083】
その理由は明確ではないが、前記割合で含まれる各モノマー単位の相互作用または規則性によってアクリル共重合体に結晶性が付与され、融点が確認されるものと考えられる。
【0084】
前記アクリル共重合体としては、重量平均分子量が100万以上の共重合体を使用してもよい。本明細書において重量平均分子量は、GPC(gel permeation chromatography)により測定されたポリスチレン換算値を意味する。また、特に規定しない限り、前記重量平均分子量の単位は、g/molである。
【0085】
前記共重合体の重量平均分子量は、一例において、110万以上、120万以上、130万以上、140万以上、150万以上、160万以上、170万以上、180万以上、190万以上または200万以上であってもよく、500万以下、400万以下、300万以下、250万以下または200万以下程度であってもよい。
【0086】
共重合体の重量平均分子量が低く設定されるほど、架橋後の物性変化が大きいが、重量平均分子量が低すぎると、高温及び/又は高湿条件下での耐久性の側面で不利である。しかし、本出願の場合、前述した特定の共重合体を使用することにより、重量平均分子量を適正レベルに維持した状態でも所望の粘着剤層を効果的に形成しうる。
【0087】
前記粘着剤層は、架橋剤をさらに含んでもよい。架橋剤は、前記アクリル共重合体と反応して架橋構造を具現しもよい。
【0088】
架橋剤の種類は特に限定されず、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物などの一般的な架橋剤を使用してもよい。このようなタイプの架橋剤は、熱の印加によって架橋構造を具現する、いわゆる熱架橋剤であり、後述するラジカル架橋剤とは異なるものである。前記イソシアネート系化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及び前記のいずれかのポリオール(ex.トリメチロールプロパン)との反応生成物からなる群から選ばれる1つ以上が挙げられ、エポキシ系化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N',N'-テトラグリシジルエチレンジアミン及びグリセリンジグリシジルエーテルからなる群から選ばれる1つ以上が挙げられる。アジリジン系化合物の具体例としては、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル-1-(2-メチルアジリジン)及びトリ-1-アジリジニルホスフィンオキシドからなる群から選ばれる1つ以上が挙げられるが、これに制限されるものではない。また、前記において金属キレート系化合物の具体例としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム及び/又はバナジウムなどの多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0089】
粘着剤層において前記架橋剤は、前記アクリル共重合体100重量部に対して0.01重量部~10重量部または0.01重量部~5重量部の量で含まれてもよい。前記範囲で粘着剤層の凝集力と耐久性などを考慮して調節されてもよい。一例において、前記架橋剤の割合は、約0.02重量部以上、約0.03重量部以上、約0.04重量部以上、約0.05重量部以上、0.06重量部以上、0.07重量部以上、0.08重量部以上または0.09重量部以上であってもよく、約9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、6重量部以下、5重量部以下、4重量部以下、約3重量部以下、約2重量部以下、約1重量部以下、約0.8重量部以下、約0.6重量部以下、約0.4重量部以下、約0.2重量部以下、約0.15重量部以下、約0.1重量部以下、0.09重量部以下、0.08重量部以下または0.07重量部以下程度であってもよい。
【0090】
前記含量範囲において適切なレベルで前記アクリル共重合体を架橋させるように架橋剤の含量が選択されれば、所望の粘着剤を効果的に形成しうる。
【0091】
粘着剤層は、前記架橋剤として、前記熱架橋剤とは異なるタイプの架橋剤であり、いわゆる、ラジカル架橋剤を含んでもよい。このような架橋剤は、ラジカル反応により架橋構造を具現する。このようなラジカル架橋剤としては、いわゆる多官能性アクリレートが挙げられ、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl puivalicl acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorine)などの二官能性アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、三官能性ウレタン(メタ)アクリレート、またはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの三官能性アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの四官能性アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの五官能性アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(ex.イソシアネートモノマー及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応生成物などの六官能性アクリレートなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0092】
粘着剤層において前記ラジカル架橋剤も目的に応じて適正な割合で存在してもよく、例えば、前記アクリル共重合体100重量部に対して0.01重量部~10重量部または0.01重量部~5重量部の量で含まれてもよい。
【0093】
前記ラジカル架橋剤は、必須成分には該当しない。
【0094】
粘着剤は、前記成分の他にも必要に応じて適正な添加成分を含んでもよく、例えば、ラジカル開始剤や紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤及び/又は架橋触媒などの成分をさらに含んでもよい。
【0095】
本出願において前記粘着剤を形成する方法は、特に制限されるものではない。例えば、粘着剤を形成する各成分(共重合体と架橋剤など)を配合した粘着剤組成物を前記組成物に適用されたアクリル共重合体及び/又は架橋剤のタイプを考慮して適正な架橋方式を適用して前記粘着剤を形成してもよい。例えば、前記アクリル共重合体及び/又は架橋剤が熱の印加により架橋されるタイプであれば、適切な熱を印加して架橋物を形成することができ、電磁波の照射により架橋されるタイプであれば適切な電磁波を照射して架橋物を形成することができ、その他の架橋方式も適用されてもよい。
【0096】
このような粘着剤は、前述した弾性率及び/又は剥離力特性を示すことができる。
【0097】
このような本出願の粘着剤の厚さは特に制限されず、適用される用途を考慮して通常の粘着剤の厚さを有してもよい。
【0098】
例えば、前記粘着剤は、約5μm~100μmの範囲内で適切なレベルの厚さを有してもよい。
【0099】
本出願は、さらに基材フィルム及び前記基材フィルムの一面または両面に形成された粘着剤層を含む粘着フィルムまたは光学積層体に関する。光学積層体の場合、前記基材フィルムは、光学フィルムであってもよい。前記粘着剤層は、前述した粘着剤を含んでもよい。
【0100】
本出願の粘着剤層は、基材フィルムの一面または両面に形成されて粘着フィルムを形成してもよく、または光学フィルムである前記基材フィルムの一面または両面に形成されて光学積層体を形成してもよい。
【0101】
このときに適用できる前記基材フィルムの種類は、特に制限されるものではない。前記基材フィルムとしては、通常、粘着フィルムの形成に適用できる基材フィルムが適用されてもよい。
【0102】
例えば、基材フィルムとしては、PET(poly(ethylene terephthalate))フィルム、PTFE(poly(tetrafluoroethylene))フィルム、PP(polypropylene)フィルム、PE(polyethylene)フィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、COP(cyclic olefin polymer)フィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、エチレン-プロピレン共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸メチル共重合体フィルム及び/又はポリイミドフィルムなどが使用されてもよいが、これに制限されるものではない。
【0103】
前記基材フィルムの厚さなどは特に制限されず、目的に適した範囲内で適正な厚さを有してもよい。
【0104】
基材フィルムとして光学フィルムが適用される場合、前記光学フィルムの種類にも特に制限はない。一例において、前記光学フィルムは、偏光フィルム、偏光板または位相差フィルムなどであってもよい。このような場合にも前記光学フィルムは、目的に応じて適切な範囲の厚さを有してもよい。
【0105】
前記粘着フィルムや光学積層体は、また、必要に応じて前記粘着剤層を使用する前まで保護するための離型フィルムまたは保護フィルムをさらに含んでもよい。
【0106】
本出願は、さらに前記粘着剤を含む粘着剤層、粘着フィルムまたは光学積層体を含むフレキシブルデバイスに関する。前記デバイスにおいて、前記粘着剤を含む粘着剤層、粘着フィルムまたは光学積層体の適用形態には、特に制限はない。例えば、前記粘着剤層は、前記デバイスにおいて、いわゆるOCA(Optically Clear Adhesive)またはOCR(Optically Clear Resin)の用途として使用されてもよく、したがって、前記粘着剤層、粘着フィルムまたは光学積層体の適用形態は、通常のOCAまたはOCRの適用形態と同じであってもよい。
【0107】
このような場合、一例において、前記フレキシブルデバイスは、ディスプレイパネル及び前記ディスプレイパネルの一面または両面に存在する前記粘着剤層、粘着フィルムまたは光学積層体を含んでもよい。このような場合、前記ディスプレイパネルは、1つ以上のフォールディング軸またはローリング軸を通じてフォールディングまたはローリングできるように構成されてもよい。
【0108】
前記のようなフレキシブルデバイスを構成する他の要素は特に制限はなく、公知のフレキシブルデバイスの構成要素を制限なく採用してもよい。
【発明の効果】
【0109】
本出願は、フレキシブルデバイスに適用されて繰り返し変形と回復に効果的に対応し、変形前後に不良(例えば、変形跡の観察など)が発生せず、裁断性と作業性に優れており、浮き上がり、剥離及び/又は気泡発生なども誘発されない粘着剤を提供しうる。
【0110】
本出願は、さらに前記粘着剤を含む粘着剤層、それを含む粘着フィルムまたは光学フィルム及びフォルダブルデバイスやローラブルデバイスなどのフレキシブルデバイスを提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
図1】ダイナミックフォールディングテストにおいて適用された試片の構造を示す図である。
図2】ダイナミックフォールディングテストが行われる過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0112】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例によって制限されるものではない。
【0113】
1.貯蔵弾性率の評価
貯蔵弾性率は、ARES G2(Advanced Rheometric Expansion System G2)(TA社)を使用して評価した。厚さが約0.8mm程度の粘着剤層を直径約8mm程度の円形に裁断して試片を製造した。前記粘着剤層は、厚さが約25μm程度の粘着剤層を前記0.8mm程度の厚さとなるように重ねて製造した。直径約8mmのパラレルプレートフィクスチャー(parallel plate fixture)を使用して前記試片に対して測定温度での貯蔵弾性率を評価した。前記評価時に評価条件は、周波数1Hz及びストレイン(strain)5%とした。
【0114】
2.剥離力の評価
測定対象である粘着フィルム(離型フィルム/粘着剤層/基材フィルムの構造)を幅が約25mm程度で、長さが約100mm程度の長方形に裁断して試片を製造した。次に剥離フィルムを剥離し、粘着剤層をソーダライムガラス(soda lime glass)にJIS Z 0237の規定に従って2kgのローラーを使用して取り付け、常温で1日放置した。その後、TA(Texture Analyzer)装備(Stable Micro System社)を使用して常温で180度の剥離角度及び0.3m/minの剥離速度で粘着剤層を剥離しながら剥離力を測定した。
【0115】
3.融点及びガラス転移温度の評価
共重合体の融点は、通常のDSC(Differential Scanning Calorimeter)装備を使用した測定方法によって測定した。装備としては、DSC-STAR3装備(Mettler Toledo社)を使用した。試料(共重合体)約10mgを専用ペン(pan)に充填し、昇温条件を10℃/分、冷却条件は、-10℃/分としてN雰囲気で吸熱及び発熱量を温度に応じて確認し、融点及びガラス転移温度を測定した。測定温度の範囲は、-120℃~200℃であった。その条件は、まず常温(約30℃)から-120℃まで約-10℃/分の速度で冷却し、再び200℃まで10℃/分の昇温速度で加熱した(一次加熱)。その後、再び約-10℃/分の速度で-120℃まで冷却し、再び200℃まで10℃/分の昇温速度で加熱した(二次加熱)。
【0116】
融点とガラス転移温度は、前記二次加熱時に評価した。
【0117】
4.重量平均分子量の評価
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を使用して測定し、測定条件は、下記の通りである。重量平均分子量の測定時に検量線の作製には、標準ポリスチレン(Aglient system(製))を使用して測定結果を換算した。
【0118】
<GPC測定条件>
測定機:Aglient GPC(Aglient 1200 series,U.S.)
カラム:PL Mixed B 2個連結
カラム温度:40℃
溶離液:THF(Tetrahydrofuran)
流速:1.0μL/分
濃度:~1mg/mL(100μl injection)
【0119】
5.ダイナミックフォールディングテスト
ダイナミックフォールディングテストは、図1に示した試片を製造して行った。図1に示す試片のように両面にハードコート層100が形成された厚さ約50μm程度のポリイミドフィルム200、粘着剤層300、偏光板400、粘着剤層300及びディスプレイパネル500を順次積層して製造された積層体を横の長さが約7.8cmで、縦の長さが約17cm程度の長方形の形状に裁断して試片を製造した。次に、図2に示すように、前記試片を5mm間隔の平行板の間に挟んで折りたたむフォールディングを25℃で20万回繰り返し、サンプルを回収した後、サンプルでの気泡の発生、浮き上がり/剥離の発生及びハードコート層のクラックの発生などの不良を目視で観察した。前記不良のうち1つでも発生した場合をNGと評価し、前記不良がすべて発生しなかった場合をPASSと評価した。
【0120】
製造例1.共重合体(A)の製造
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、ラウリルアクリレート(LA)及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)を40:40:20の重量比(2-EHA:LA:HBA)で反応器内の溶媒であるエチルアセテートに投入し、ラジカル開始剤(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))を約500ppm添加した後、約62℃で約8時間重合反応させて重合物(共重合体(A))を製造した。
【0121】
前記共重合体(重合物)(A)は、約-44℃程度の範囲内で融点を示した。
【0122】
製造例2~11.共重合体の製造
適用したモノマーの重量比率及び重合物(共重合体)の重量平均分子量を下記表1に示すようにしたことを除いては、製造例1と同様に共重合体(重合物)を製造した。
【0123】
【表1】
【0124】
実施例1.
製造例1の共重合体(重合物)(A)100重量部に対して約0.07重量部のイソシアネート架橋剤(xylylene diisocyanate)及び0.005重量部の触媒を配合して粘着剤組成物を製造した。前記触媒としては通常、ヒドロキシ基とイソシアネート基のウレタン反応を促進する触媒を使用した。前記製造された粘着剤組成物を基材フィルム(PET(poly(ethylene terephthalate))フィルム上にコンマコーター(comma coater)で塗布し、140℃で約3分程度保持して厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0125】
実施例2~11及び比較例1~4.
適用した共重合体の種類及び架橋剤と触媒の割合を下記表2のように変更したことを除いては、実施例1と同様に粘着剤組成物及び粘着剤層を製造した。このとき架橋剤と触媒としては実施例1と同じ種類を使用した。下記表2において、架橋剤と触媒の割合は、共重合体100重量部に対する重量部である。
【0126】
【表2】
【0127】
前記実施例及び比較例の粘着剤層について評価した貯蔵弾性率、剥離力及びダイナミックフォールディングテストの結果は、下記表3にまとめた通りである。
【0128】
下記表3において、貯蔵弾性率の単位は、Paであり、剥離力の単位は、gf/inchである。また、下記表3において弾性率変化率は、前記数1により確認された物理量である。
【0129】
【表3】
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋されたアクリル共重合体を含み、
-20℃での貯蔵弾性率が100,000Pa以下であり、
ガラスに対する常温剥離力が500gf/inch(0.193N/mm)以上である、粘着剤。
【請求項2】
架橋されたアクリル共重合体を含み、
下記数1による弾性率の変化率が2500以下である、粘着剤:
[数1]
弾性率変化率=(M20-M25)/45
数1において、M20は、-20℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率であり、M25は、25℃での前記粘着剤の貯蔵弾性率である。
【請求項3】
架橋されたアクリル共重合体を含み、
前記アクリル共重合体は、結晶性アクリル共重合体である、粘着剤。
【請求項4】
25℃での貯蔵弾性率が10,000Pa以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項5】
前記アクリル共重合体は、結晶性アクリル共重合体である、請求項1または2に記載の粘着剤。
【請求項6】
前記アクリル共重合体は、融点が-20℃以下である、請求項3または5に記載の粘着剤。
【請求項7】
前記アクリル共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート単位、下記化1の単位及び極性官能基含有単位を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤:
【化1】
化1において、Rは、水素またはアルキル基を表し、Rは、炭素数11~13のアルキル基を表す。
【請求項8】
前記アルキル(メタ)アクリレート単位は、炭素数1~10の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有する、請求項7に記載の粘着剤。
【請求項9】
前記極性官能基含有単位は、ヒドロキシ基含有モノマー由来単位である、請求項7または8に記載の粘着剤。
【請求項10】
前記アクリル共重合体は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位を25~65重量%の割合で含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項11】
前記アクリル共重合体は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して50~300重量部の前記化1の単位を含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項12】
前記アクリル共重合体は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して10~100重量部の前記極性官能基含有単位を含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項13】
前記化1の単位が前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して60重量部以上結晶性アクリル共重合体に含まれており、前記化1の単位の重量(A)の前記極性官能基含有単位の重量(B)に対する割合が1.5以上である、請求項7~12のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項14】
基材フィルム、及び前記基材フィルムの一面または両面に形成された請求項1~13のいずれか一項に記載の粘着剤を含む粘着剤層を有する、粘着フィルム。
【請求項15】
1つ以上のフォールディング軸またはローリング軸を通じてフォールディングまたはローリングできるように構成されたディスプレイパネル、及び
前記ディスプレイパネルの一面または両面に存在し、請求項1~13のいずれか一項に記載の粘着剤を含む粘着剤層を含む、フレキシブルデバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
本出願の粘着剤は、前記のように相対的に高い高温弾性率を示すとともに、高い剥離力を示すことができる。例えば、前記粘着剤は、ガラスに対する常温剥離力が約500gf/inch(0.193N/mm)以上であってもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
前記剥離力は、他の例において、600gf/inch(0.232N/mm)以上、700gf/inch(0.270N/mm)以上、800gf/inch(0.309N/mm)以上、900gf/inch(0.347N/mm)以上、1000gf/inch(0.386N/mm)以上、1100gf/inch(0.425N/mm)以上、1200gf/inch(0.463N/mm)以上、1300gf/inch(0.502N/mm)以上、1400gf/inch(0.541N/mm)以上、1450gf/inch(0.560N/mm)以上、1500gf/inch(0.579N/mm)以上、1550gf/inch(0.598N/mm)以上、1600gf/inch(0.618N/mm)以上または1700gf/inch(0.656N/mm)以上程度であってもよい。前記常温剥離力の上限には特に制限はなく、例えば、前記常温剥離力は、5000gf/inch(1.93N/mm)以下、4500gf/inch(1.74N/mm)以下、4000gf/inch(1.54N/mm)以下、3500gf/inch(1.35N/mm)以下、3000gf/inch(1.16N/mm)以下、2800gf/inch(1.08N/mm)以下、2600gf/inch(1.00N/mm)以下、2500gf/inch(0.965N/mm)以下、2400gf/inch(0.927N/mm)以下、2200gf/inch(0.849N/mm)以下、2000gf/inch(0.772N/mm)以下、1800gf/inch(0.695N/mm)以下、1600gf/inch(0.618N/mm)以下または1500gf/inch(0.579N/mm)以下程度であってもよい。
【国際調査報告】