(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(54)【発明の名称】電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20231116BHJP
H01L 23/48 20060101ALI20231116BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/48 G
H02M7/48 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534265
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 US2022025680
(87)【国際公開番号】W WO2022226142
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】マクファーソン,ブライス
(72)【発明者】
【氏名】パスモア,ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】シュプバック,ロベルト・エム
(72)【発明者】
【氏名】スタバック-スミス,ジェニファー
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA21
5H770DA41
5H770DA44
5H770JA10X
5H770QA01
5H770QA05
5H770QA06
5H770QA08
5H770QA27
(57)【要約】
本開示は、基板と、第1および第2の複数の縦型電力デバイスと、第1および第2の端子アセンブリとを有する電力モジュールを説明する。基板は第1のトレースおよび第2のトレースを有する上面を有する。第1の複数の縦型電力デバイスおよび第2の複数の縦型電力デバイスは、電力回路の一部を形成するように電気的に結合される。第1の複数の縦型電力デバイスは、第1のトレースと、第1の端子アセンブリの第1の細長バーの底部との間に、電気的および機械的に直接結合される。第2の複数の縦型電力デバイスは、第2のトレースと、第2の端子アセンブリの第2の細長バーの底部との間に、電気的および機械的に直接結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力モジュールであって、
第1のトレースおよび第2のトレースを有する上面を有する基板と、
電力回路の一部を形成するように電気的に結合された、第1の複数の縦型電力デバイスおよび第2の複数の縦型電力デバイスと、
第1の細長バー、少なくとも2つの第1の端子接点、および前記第1の細長バーと前記少なくとも2つの第1の端子接点との異なる点の間にそれぞれ延在する、少なくとも2つの第1の端子レッグを備える、第1の端子アセンブリと、
第2の細長バー、少なくとも2つの第2の端子接点、および前記第2の細長バーと前記少なくとも2つの第2の端子接点との異なる点の間にそれぞれ延在する、少なくとも2つの第2の端子レッグを備える、第2の端子アセンブリと、
上面と底面との間に4つの側面を含み、前記第1の端子アセンブリおよび前記第2の端子アセンブリの少なくとも一部を封入する、ハウジングとを備え、
前記少なくとも2つの第1の端子レッグのうちの第1および第2の端子レッグは、前記ハウジングの第1および第2の側面の外に延在し、前記少なくとも2つの第1の端子接点が、前記ハウジングの前記底面の上方に、前記ハウジングの前記底面と平行に延在するように折り重なり、
前記少なくとも2つの第2の端子レッグのおのおのは、前記ハウジングの第3の側面の外に延在し、曲がり、前記少なくとも2つの第2の端子接点は、前記ハウジングの前記底面と75度から105度の間の角度を形成し、前記第3の側面は、前記ハウジングの前記第1の側面と第2の側面との間にある、電力モジュール。
【請求項2】
前記第1の複数の縦型電力デバイスは、前記第1のトレースと、前記第1の端子アセンブリの前記第1の細長バーの底部との間に電気的および機械的に直接結合され、
前記第2の複数の縦型電力デバイスは、前記第2のトレースと、前記第2の端子アセンブリの前記第2の細長バーの底部との間に電気的および機械的に直接結合される、請求項1に記載の電力モジュール。
【請求項3】
複数の第1のエンボスは、前記第1の細長バーに設けられ、前記基板に向かって付勢され、
複数の第2のエンボスは、前記第2の細長バーに設けられ、前記基板に向かって付勢され、
前記第1の複数の縦型電力デバイスのおのおのは、前記第1のトレースと、前記第1の端子アセンブリの前記第1の細長バーの前記複数の第1のエンボスのうちの1つのエンボスの底部との間に電気的および機械的に直接結合され、
前記第2の複数の縦型電力デバイスのおのおのは、前記第2のトレースと、前記第2の端子アセンブリの前記第2の細長バーの前記複数の第2のエンボスのうちの1つのエンボスの底部との間に電気的および機械的に直接結合される、請求項2に記載の電力モジュール。
【請求項4】
前記基板の対向する側面に近接する前記第2のトレースに電気的および機械的に結合された、第3の端子アセンブリおよび第4の端子アセンブリをさらに備え、
前記第3の端子アセンブリは、前記ハウジングの前記第1の側面の外に延在する第3の端子レッグと、前記ハウジングの前記底面の上方に、前記ハウジングの前記底面と平行に延在する第3の端子接点とを備え、
前記第4の端子アセンブリは、前記ハウジングの前記第2の側面の外に延在する第4の端子レッグと、前記ハウジングの前記底面の上方に、前記ハウジングの前記底面と平行に延在する第4の端子接点とを備える、請求項3に記載の電力モジュール。
【請求項5】
前記基板の対向する側面に近接する前記第2のトレースに電気的および機械的に結合された、第3の端子アセンブリおよび第4の端子アセンブリをさらに備え、
前記第3の端子アセンブリは、前記ハウジングの前記第1の側面の外に延在する第3の端子レッグと、前記ハウジングの前記底面の上方に、前記ハウジングの前記底面と平行に延在する第3の端子接点とを備え、
前記第4の端子アセンブリは、前記ハウジングの前記第2の側面の外に延在する第4の端子レッグと、前記ハウジングの前記底面の上方に、前記ハウジングの前記底面と平行に延在する第4の端子接点とを備える、請求項1に記載の電力モジュール。
【請求項6】
第1のピンバーと、前記第1のピンバーから、前記ハウジングの第4の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、少なくとも1つの第1のピンレッグとを含む第1のピンアセンブリであって、前記第4の側面は、前記ハウジングの前記第3の側面に対向している、第1のピンアセンブリと、
第2のピンバーと、前記第2のピンバーから、前記ハウジングの前記第4の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、少なくとも1つの第2のピンレッグとを含む第2のピンアセンブリとをさらに備える、請求項1に記載の電力モジュール。
【請求項7】
前記第1の端子アセンブリはさらに、前記ハウジングの前記第4の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、第3のピンレッグを備える、請求項6に記載の電力モジュール。
【請求項8】
前記第1のピンバーは、前記第2のピンバーと、前記第1の端子アセンブリの前記第1の細長バーとの間にあり、
前記少なくとも1つの第2のピンレッグは、前記少なくとも1つの第1のピンレッグと、前記第3のピンレッグとの間にある、請求項7に記載の電力モジュール。
【請求項9】
第1のピンバーと、前記第1のピンバーから、前記ハウジングの前記第3の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、少なくとも1つの第1のピンレッグとを含む、第1のピンアセンブリと、
第2のピンバーと、前記第2のピンバーから、前記ハウジングの前記第3の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、少なくとも1つの第2のピンレッグとを含む、第2のピンアセンブリであって、前記少なくとも1つの第1のピンレッグおよび前記少なくとも1つの第2のピンレッグは、前記少なくとも2つの第2の端子接点の間にある、第2のピンアセンブリとをさらに備える、請求項1に記載の電力モジュール。
【請求項10】
前記第2の端子アセンブリはさらに、前記ハウジングの前記第3の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、第3のピンレッグを備える、請求項9に記載の電力モジュール。
【請求項11】
前記第1のピンバーは、前記第2のピンバーと、前記第2の端子アセンブリの前記第2の細長バーとの間にあり、
前記少なくとも1つの第2のピンレッグは、前記少なくとも1つの第1のピンレッグと前記第3のピンレッグとの間にある、請求項10に記載の電力モジュール。
【請求項12】
第1のピンバーと、前記第1のピンバーから、前記ハウジングの第4の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、少なくとも1つの第1のピンレッグとを含む、第1のピンアセンブリであって、前記第4の側面は、前記ハウジングの前記第3の側面に対向している、第1のピンアセンブリと、
第2のピンバーと、前記第2のピンバーから、前記ハウジングの前記第4の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、少なくとも1つの第2のピンレッグとを含む、第2のピンアセンブリと、
第3のピンバーと、前記第3のピンバーから、前記ハウジングの前記第3の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、少なくとも1つの第3のピンレッグとを含む、第3のピンアセンブリと、
第4のピンバーと、前記第4のピンバーから、前記ハウジングの前記第3の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、少なくとも1つの第4のピンレッグとを含む、第4のピンアセンブリであって、前記少なくとも1つの第3のピンレッグおよび前記少なくとも1つの第4のピンレッグは、前記少なくとも2つの第2の端子接点の間にある、第4のピンアセンブリとをさらに備える、請求項1に記載の電力モジュール。
【請求項13】
前記第1の端子アセンブリはさらに、前記ハウジングの前記第4の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる第5のピンレッグを備え、
前記第2の端子アセンブリはさらに、前記ハウジングの前記第3の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる第6のピンレッグを備える、請求項12に記載の電力モジュール。
【請求項14】
前記電力回路は、電力ループおよび少なくとも1つの信号ループを備え、
前記電力ループは、前記第1の複数の縦型電力デバイスおよび前記第2の複数の縦型電力デバイスを通過する、請求項1に記載の電力モジュール。
【請求項15】
前記電力ループは、前記少なくとも1つの信号ループから独立している、請求項14に記載の電力モジュール。
【請求項16】
前記少なくとも1つの信号ループは、前記第1の複数の縦型電力デバイスまたは前記第2の複数の縦型電力デバイスに、少なくとも1つの制御信号を提供する、請求項15に記載の電力モジュール。
【請求項17】
前記電力ループは、前記電力モジュールのボンドワイヤを通過しない、請求項14に記載の電力モジュール。
【請求項18】
前記第1の複数の縦型電力デバイスおよび前記第2の複数の縦型電力デバイスは、電力電界効果トランジスタを備え、前記電力回路は、ハーフHブリッジ回路である、請求項1に記載の電力モジュール。
【請求項19】
前記第2の端子アセンブリはさらに、前記第1の細長バーから前記第1のトレースまで延在する複数のジャンパを備え、前記複数のジャンパは、前記第1のトレースに電気的および機械的に接続できる、請求項1に記載の電力モジュール。
【請求項20】
電力モジュールであって、
第1のトレースおよび第2のトレースを有する上面を有する基板と、
電力回路の一部を形成するように電気的に結合された、第1の複数の縦型電力デバイスおよび第2の複数の縦型電力デバイスと、
第1の細長バー、少なくとも2つの第1の端子接点、および前記第1の細長バーと前記少なくとも2つの第1の端子接点との異なる点の間にそれぞれ延在する、少なくとも2つの第1の端子レッグを備える、第1の端子アセンブリであって、複数の第1のエンボスは、前記第1の細長バーに設けられ、前記基板に向かって付勢される、第1の端子アセンブリと、
第2の細長バー、少なくとも2つの第2の端子接点、および前記第2の細長バーと前記少なくとも2つの第2の端子接点との異なる点の間にそれぞれ延在する、少なくとも2つの第2の端子レッグを備える、第2の端子アセンブリであって、複数の第2のエンボスは、前記第2の細長バーに設けられ、前記基板に向かって付勢される、第2の端子アセンブリとを備え、
前記第1の複数の縦型電力デバイスのおのおのは、前記第1のトレースと、前記第1の端子アセンブリの前記第1の細長バーの前記複数の第1のエンボスのうちの1つのエンボスの底部との間に電気的および機械的に直接結合され、
前記第2の複数の縦型電力デバイスのおのおのは、前記第2のトレースと、前記第2の端子アセンブリの前記第2の細長バーの前記複数の第2のエンボスのうちの1つのエンボスの底部との間に電気的および機械的に直接結合される、電力モジュール。
【請求項21】
前記第1の複数の縦型電力デバイスは、前記第1のトレースと、前記第1の端子アセンブリの前記第1の細長バーの底部との間に電気的および機械的に直接結合され、
前記第2の複数の縦型電力デバイスは、前記第2のトレースと、前記第2の端子アセンブリの前記第2の細長バーの底部との間に電気的および機械的に直接結合される、請求項20に記載の電力モジュール。
【請求項22】
前記基板の対向する側面に近接する前記第2のトレースに電気的および機械的に結合された、第3の端子アセンブリおよび第4の端子アセンブリをさらに備え、
前記第3の端子アセンブリは、前記電力モジュールのハウジングの第1の側面の外に延在する第3の端子レッグと、前記ハウジングの底面の上方に、前記ハウジングの底面と平行に延在する第3の端子接点とを備え、
前記第4の端子アセンブリは、前記ハウジングの第2の側面の外に延在する第4の端子レッグと、前記ハウジングの上面の上方に、前記ハウジングの上面と平行に延在する第4の端子接点とを備える、請求項21に記載の電力モジュール。
【請求項23】
第1のピンバーと、前記第1のピンバーから、前記電力モジュールのハウジングの第4の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、少なくとも1つの第1のピンレッグとを含む、第1のピンアセンブリであって、前記第4の側面は、前記ハウジングの第3の側面に対向している、第1のピンアセンブリと、
第2のピンバーと、前記第2のピンバーから、前記ハウジングの前記第4の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、少なくとも1つの第2のピンレッグとを含む、第2のピンアセンブリとをさらに備える、請求項20に記載の電力モジュール。
【請求項24】
前記第1の端子アセンブリはさらに、前記ハウジングの前記第4の側面の外に延在し、その後、前記ハウジングの前記底面に対して75度から105度の間の角度で曲がる、第3のピンレッグを備える、請求項23に記載の電力モジュール。
【請求項25】
前記第1のピンバーは、前記第2のピンバーと、前記第1の端子アセンブリの前記第1の細長バーとの間にあり、
前記少なくとも1つの第2のピンレッグは、前記少なくとも1つの第1のピンレッグと、前記第3のピンレッグとの間にある、請求項24に記載の電力モジュール。
【請求項26】
前記電力回路は、電力ループおよび少なくとも1つの信号ループを備え、
前記電力ループは、前記第1の複数の縦型電力デバイスおよび前記第2の複数の縦型電力デバイスを通過し、
前記電力ループは、前記少なくとも1つの信号ループから独立しており、
前記少なくとも1つの信号ループは、前記第1の複数の縦型電力デバイスまたは前記第2の複数の縦型電力デバイスに、少なくとも1つの制御信号を提供する、請求項20に記載の電力モジュール。
【請求項27】
前記電力ループは、前記電力モジュールのボンドワイヤを通過しない、請求項26に記載の電力モジュール。
【請求項28】
前記基板、前記第1の複数の縦型電力デバイス、および前記第2の複数の縦型電力デバイスは、炭化ケイ素を備える、請求項20に記載の電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、高電力用途のための電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]高電力用途では、回路の全部または一部の複数のコンポーネントが、電子モジュールにパッケージ化されることが多い。これらのモジュールは、一般に、コンポーネントと、コンポーネントが取り付けられる回路ボードまたは基板をカプセル化する熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの成形ハウジングに収容された電力モジュールと称される。電力モジュールの入力/出力接続は、他のシステムへの組込みや接続を容易にするために、ハウジングの外に延在する端子アセンブリによって提供される。そのようなシステムは、電気自動車、電力変換、および制御などを含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]本開示は、基板と、第1および第2の複数の縦型電力デバイスと、第1および第2の端子アセンブリとを備える電力モジュールに関する。基板は、第1のトレースおよび第2のトレースを有する上面を有する。第1の複数の縦型電力デバイスおよび第2の複数の縦型電力デバイスは、電力回路の一部を形成するように電気的に結合される。第1の端子アセンブリは、第1の細長バー、少なくとも2つの第1の端子接点、および、第1の細長バーと少なくとも2つの第1の端子接点との異なる点の間にそれぞれ延在する、少なくとも2つの第1の端子レッグ(terminal leg)を有する。第2の端子アセンブリは、第2の細長バー、少なくとも2つの第2の端子接点、および、第2の細長バーと少なくとも2つの第2の端子接点との異なる点の間にそれぞれ延在する、少なくとも2つの第2の端子レッグを有する。第1の複数の縦型電力デバイスは、第1のトレースと、第1の端子アセンブリの第1の細長バーの底部との間に電気的および機械的に直接結合される。第2の複数の縦型電力デバイスは、第2のトレースと、第2の端子アセンブリの第2の細長バーの底部との間に熱的、電気的、および機械的に直接結合される。
【0004】
[0004]電力モジュールはまた、第3の端子アセンブリおよび第4の端子アセンブリを有し得る。第3および第4の端子アセンブリは、基板の対向する側面に近接する第1のトレースに熱的、電気的、および機械的に結合され得る。
【0005】
[0005]1つの実施形態では、基板は、4つの側面を有し、第3の端子アセンブリは、第1の側面にあり、第4の端子アセンブリは、第1の側面に対向する第2の側面に近接し、第1の端子アセンブリは、第1の側面と第2の側面との間にある第3の側面に近接し、第2の端子アセンブリは、第1の側面と第2の側面との間であり、第3の側面に対向する第4の側面に近接している。
【0006】
[0006]1つの実施形態では、ハウジングは、第1の端子アセンブリおよび第2の端子アセンブリの少なくとも一部をカプセル化する。少なくとも2つの第1の端子レッグのおのおのは、ハウジングの側面部の外に延在し、少なくとも2つの第1の端子接点が、ハウジングの上端部と平行に延在するように折り重なる。同様に、少なくとも2つの第2の端子レッグのおのおのは、ハウジングの側面部の外に延在し、少なくとも2つの第2の端子接点が、ハウジングの上端部と平行に延在するように折り重なる。
【0007】
[0007]1つの実施形態では、第3の端子アセンブリおよび第4の端子アセンブリが、基板の対向する側面に近接する第1のトレースに電気的および機械的に結合され、基板は、4つの側面を有し、第3の端子アセンブリは、第1の側面にあり、第4の端子アセンブリは、第1の側面に対向する第2の側面に近接し、第1の端子アセンブリは、第1の側面と第2の側面との間にある第3の側面に近接し、第2の端子アセンブリは、第1の側面と第2の側面との間であり、第3の側面に対向する第4の側面に近接している。
【0008】
[0008]第3の端子アセンブリは、ハウジングの側面部の外に延在する第3の端子レッグと、ハウジングの上端部の上方に、ハウジングの上端部と平行に延在する第3の端子接点とを有し得る。第4の端子アセンブリは、ハウジングの側面部の外に延在する第4の端子レッグと、ハウジングの上端部の上方に、ハウジングの上端部と平行に延在する第4の端子接点とを有し得る。
【0009】
[0009]ハウジングの上面および底面は、電力モジュールの特定の導電要素間の表面距離を効果的に拡張する沿面拡張部(creepage extender)として機能する複数の溝を有し得る。
【0010】
[0010]1つの実施形態では、第1の端子アセンブリの第1のバーおよび少なくとも2つの第1の端子レッグはU字形状を形成し、第2の端子アセンブリの第2のバーおよび少なくとも2つの第2の端子レッグは、U字形状を形成する。
【0011】
[0011]1つの実施形態では、電力モジュールは、第1のピンバー(pin bar)と、第1のピンバーから延在する少なくとも1つの第1のピンレッグ(pin leg)とを有する第1のピンアセンブリも有する。第1のピンバーは、第1のバーに隣接して、少なくとも2つの第1の端子レッグの間に配置され得る。第2のピンアセンブリは、第2のピンバーと、第2のピンバーから延在する少なくとも1つの第2のピンレッグとを有し得る。第2のピンバーは、第2のバーに隣接して、少なくとも2つの第2の端子レッグの間に配置され得る。
【0012】
[0012]少なくとも1つの第1のピンレッグは、2つの第1のピンレッグを有し得、少なくとも1つの第2のピンレッグは、2つの第2のピンレッグを有し得る。そのような実施形態では、電力モジュールはまた、第3および第4のピンアセンブリを有し得る。第3のピンアセンブリは、第3のピンバーと、第3のピンバーから延在する少なくとも1つの第3のピンレッグとを有し得、第3のピンバーは、第1のピンバーに隣接して、2つの第1のピンレッグの間に配置される。第4のピンアセンブリは、第4のピンバーと、第4のピンバーから延在する少なくとも1つの第4のピンレッグとを有し得、第4のピンバーは、第2のピンバーに隣接して、2つの第2のピンレッグの間に配置される。
【0013】
[0013]1つの実施形態では、少なくとも1つの第3のピンレッグは、2つの第3のピンレッグを有し得、少なくとも1つの第4のピンレッグは、2つの第4のピンレッグを有し得る。
【0014】
[0014]1つの実施形態では、第1のピンアセンブリは、第1のボンドワイヤを介して、第1の複数の縦型電力デバイスの第1の接点に電気的に接続され得る。第2のピンアセンブリは、第2のボンドワイヤを介して、第2の複数の縦型電力デバイスの第2の接点に電気的に接続され得る。第3のピンアセンブリは、第3のボンドワイヤを介して、第1の複数の縦型電力デバイスの第3の接点に電気的に接続され得る。第4のピンアセンブリは、第4のボンドワイヤを介して、第2の複数の縦型電力デバイスの第4の接点に電気的に接続される。
【0015】
[0015]1つの実施形態では、電力モジュールは、第1の端子アセンブリ、第2の端子アセンブリ、第1のピンアセンブリ、および第2のピンアセンブリの少なくとも一部をカプセル化するハウジングを有する。少なくとも1つの第1のピンレッグおよび少なくとも1つの第2のピンレッグは、ハウジングのそれぞれの側面部の外に延在し、その後、ハウジングの先端に向かって75度から105度の間の角度で上向きに曲がる。他の実施形態は、70度から110度、80度から100度、85度から95度、および87度から93度の間の角度を含み得る。
【0016】
[0016]1つの実施形態では、第1の複数の縦型電力デバイスおよび第2の複数の縦型電力デバイスは、電界効果トランジスタである。さらに、第1のピンアセンブリは、第1の複数の縦型電力デバイスのゲート接点またはソース接点のうちの1つに電気的に結合され、第2のピンアセンブリは、第2の複数の縦型電力デバイスのゲート接点またはソース接点のうちの1つに電気的に結合される。
【0017】
[0017]1つの実施形態では、第3のピンアセンブリは、第1の複数の縦型電力デバイスのゲート接点またはソース接点のうちの他方に電気的に結合される。第4のピンアセンブリは、第2の複数の縦型電力デバイスのゲート接点またはソース接点のうちの他方に電気的に結合される。
【0018】
[0018]1つの実施形態では、第1の複数の縦型電力デバイスは、互いに並列に電気的に結合された少なくとも3つの第1の縦型トランジスタを有し、第2の複数の縦型電力デバイスは、互いに並列に電気的に結合された少なくとも3つの第2の縦型トランジスタを有する。この実施形態では、少なくとも3つの第1の縦型トランジスタおよび少なくとも3つの第2の縦型トランジスタは、炭化ケイ素トランジスタであり得、基板は、炭化ケイ素であり得る。特定の電力デバイス位置は、完全に実装された(fully populated)実施形態におけるよりも、少ない電力取扱能力しか必要としない用途のために削除され(depopulated)得る。
【0019】
[0019]1つの実施形態では、第1の複数の縦型電力デバイスおよび第2の複数の縦型電力デバイスは、電力電界効果トランジスタを備え、電力回路は、ハーフHブリッジ回路である。
【0020】
[0020]1つの実施形態では、第1の端子アセンブリは、第1の細長バーから第2のトレースまで延在する複数のジャンパを有し、複数のジャンパは、第2のトレースに電気的および機械的に接続できる。
【0021】
[0021]1つの実施形態では、第1の端子アセンブリおよび第2の端子アセンブリは、共通のリードフレームのコンポーネントである。
[0022]1つの実施形態では、電力回路は、電力ループおよび少なくとも1つの信号ループを有する。電力ループは、第1の複数の縦型電力デバイスおよび第2の複数の縦型電力デバイスを通過する。電力ループは、少なくとも1つの信号ループから独立している。少なくとも1つの信号ループは、第1の複数の縦型電力デバイスまたは第2の複数の縦型電力デバイスに、少なくとも1つの制御信号を提供し得る。1つの構成では、電力ループは、電力モジュールとのボンドワイヤを通過しない。
【0022】
[0023]1つの実施形態では、第1の端子アセンブリと第2の端子アセンブリとの両方が、少なくとも1つの軸に沿って対称性を有する。
[0024]上記に基づいて、本開示は、次世代の炭化ケイ素(SiC)および他の材料系の電力デバイスおよび電力エレクトロニクス用途向けに設計された小型、高電圧、高電流、低インダクタンスのハーフブリッジ電力モジュールに関する。本開示は、デバイスの上部パッドを相互接続し、外部端子としても機能する多機能銅層を備えた、サイズとコストが最適化された電力基板を組み込んだ斬新なレイアウトを利用する。
【0023】
[0025]別の実施形態では、電力モジュールは、基板、第1の複数の縦型電力デバイス(vertical power device)、第2の複数の縦型電力デバイス、ハウジング、および様々な端子アセンブリ(terminal assembly)を備える。基板は、第1のトレースおよび第2のトレースを有する上面を有する。第1の複数の縦型電力デバイスおよび第2の複数の縦型電力デバイスは、電力回路の一部を形成するように電気的に結合される。第1の端子アセンブリは、第1の細長バー(elongated bar)、少なくとも2つの第1の端子接点(terminal contact)、および第1の細長バーと少なくとも2つの第1の端子接点との異なる点の間にそれぞれ延在する、少なくとも2つの第1の端子レッグを備える。第2の端子アセンブリは、第2の細長バー、少なくとも2つの第2の端子接点、および第2の細長バーと少なくとも2つの第2の端子接点との異なる点の間にそれぞれ延在する、少なくとも2つの第2の端子レッグを備える。
【0024】
[0026]ハウジングは、上面と底面との間に4つの側面を含み、ハウジングは、第1の端子アセンブリおよび第2の端子アセンブリの少なくとも一部を封入する。少なくとも2つの第1の端子レッグのうちの第1の端子レッグは、ハウジングの第1の側面の外に延在し、少なくとも2つの第1の端子接点が、ハウジングの底面の上方に、ハウジングの底面と平行に延在するように折り重なる。少なくとも2つの第2の端子レッグのおのおのは、ハウジングの第3の側面の外に延在し、下向きに曲がり、少なくとも2つの第2の端子接点は、ハウジングの底面と75度から105度の間の角度を形成し、第3の側面は、ハウジングの第1の側面と第2の側面との間にある。他の実施形態は、70度から110度、80度から100度、85度から95度、および87度から93度の間の角度を含み得る。
【0025】
[0027]電力モジュールは、第1の複数の縦型電力デバイスが、第1のトレースと、第1の端子アセンブリの第1の細長バーの底部との間に電気的および機械的に直接結合されるように構成され得る。第2の複数の縦型電力デバイスはまた、第2のトレースと、第2の端子アセンブリの第2の細長バーの底部との間に電気的および機械的に直接結合され得る。
【0026】
[0028]1つの実施形態では、複数の第1のエンボス(embossment)が、第1の細長バーに設けられ、基板に向かって付勢され、複数の第2のエンボスが、第2の細長バーに設けられ、基板に向かって付勢される。第1の複数の縦型電力デバイスのおのおのは、第1のトレースと、第1の端子アセンブリの第1の細長バーの第1の複数のエンボスのうちの1つのエンボスの底部との間に電気的および機械的に直接結合される。第2の複数の縦型電力デバイスのおのおのは、第2のトレースと、第2の端子アセンブリの第2の細長バーの第2の複数のエンボスのうちの1つのエンボスの底部との間に電気的および機械的に直接結合される。
【0027】
[0029]電力モジュールは、基板の対向する側面に近接する第2のトレースに電気的および機械的に結合された、第3の端子アセンブリおよび第4の端子アセンブリをさらに含み得る。第3の端子アセンブリは、ハウジングの第1の側面の外に延在する第3の端子レッグと、ハウジングの底面の上方に、ハウジングの底面と平行に延在する第3の端子接点とを含み得る。第4の端子アセンブリは、ハウジングの第2の側面の外に延在する第4の端子レッグと、ハウジングの底面の上方に、ハウジングの底面と平行に延在する第4の端子接点とを備える。
【0028】
[0030]電力モジュールはさらに、第1のピンバーと、第1のピンバーから、ハウジングの第4の側面の外に延在し、その後、ハウジングの底面に対して75度から105度の間の角度で下向きに曲がる、少なくとも1つの第1のピンレッグとを含む第1のピンアセンブリを含み得る。第4の側面は、ハウジングの第3の側面に対向している。第2のピンアセンブリは、第2のピンバーと、第2のピンバーから、ハウジングの第4の側面の外に延在し、その後、ハウジングの底面に対して75度から105度の間の角度で下向きに曲がる、少なくとも1つの第2のピンレッグとを含む。他の実施形態は、70度から110度、80度から100度、85度から95度、および87度から93度の間の角度を含み得る。
【0029】
[0031]電力モジュールはまた、第3および第4のピンアセンブリを含み得る。第3のピンアセンブリは、第3のピンバーと、第3のピンバーから、ハウジングの第3の側面の外に延在し、その後、ハウジングの底面に対して75度から105度の間の角度で下向きに曲がる、少なくとも1つの第3のピンレッグとを含み得る。第4のピンアセンブリは、第4のピンバーと、少なくとも1つの第4のピンレッグとを含み得、少なくとも1つの第4のピンレッグは、第4のピンバーから、ハウジングの第3の側面の外に延在し、その後、ハウジングの底面に対して75度から105度の間の角度で下向きに曲がる。少なくとも第3の第1のピンレッグおよび少なくとも1つの第4のピンレッグは、少なくとも2つの第2の端子接点の間にある。他の実施形態は、70度から110度、80度から100度、85度から95度、および87度から93度の間の角度を含み得る。
【0030】
[0032]特定の実施形態では、第1の端子アセンブリは、ハウジングの第4の側面の外に延在し、その後、ハウジングの底面に対して75度から110度の間の角度で下向きに曲がる第5のピンレッグを含み得る。同様に、第2の端子アセンブリは、ハウジングの第3の側面の外に延在し、その後、ハウジングの底面に対して75度から110度の間の角度で下向きに曲がる第6のピンレッグを含み得る。他の実施形態は、70度から110度、80度から100度、85度から95度、および87度から93度の間の角度を含み得る。
【0031】
[0033]電力回路は、電力ループおよび少なくとも1つの信号ループを含み得、電力ループは、第1の複数の縦型電力デバイスおよび第2の複数の縦型電力デバイスを通過する。電力ループは、少なくとも1つの信号ループから独立し得る。さらに、少なくとも1つの信号ループは、第1の複数の縦型電力デバイスまたは第2の複数の縦型電力デバイスに、少なくとも1つの制御信号を提供し得る。特定の実施形態では、電力ループは、電力モジュールのボンドワイヤを通過しない。
【0032】
[0034]第1の複数の縦型電力デバイスおよび第2の複数の縦型電力デバイスは、電力電界効果トランジスタ(power field effect transistor)を含み得、電力回路は、ハーフHブリッジ回路である。
【0033】
[0035]第2の端子アセンブリは、第1の細長バーから第1のトレースまで延在する複数のジャンパを含み得、複数のジャンパは、第1のトレースに電気的および機械的に接続できる。
【0034】
[0036]さらに別の実施形態では、電力モジュールは以下のように構成される。基板は、第1のトレースおよび第2のトレースを有する上面を有する。第1の複数の縦型電力デバイスおよび第2の複数の縦型電力デバイスは、電力回路の一部を形成するように電気的に結合される。第1の端子アセンブリは、第1の細長バー、少なくとも2つの第1の端子接点、および、第1の細長バーと少なくとも2つの第1の端子接点との異なる点の間にそれぞれ延在する、少なくとも2つの第1の端子レッグを有し、複数の第1のエンボスは、第1の細長バーに設けられ、基板に向かって付勢される。第2の端子アセンブリは、第2の細長バー、少なくとも2つの第2の端子接点、および、第2の細長バーと少なくとも2つの第2の端子接点との異なる点の間にそれぞれ延在する、少なくとも2つの第2の端子レッグを有し、複数の第2のエンボスは、第2の細長バーに設けられ、基板に向かって付勢される。
【0035】
[0037]第1の複数の縦型電力デバイスのおのおのは、第1のトレースと、第1の端子アセンブリの第1の細長バー内の第1の複数のエンボスのうちの1つのエンボスの底部との間に電気的および機械的に直接結合され得る。第2の複数の縦型電力デバイスのおのおのは、第2のトレースと、第2の端子アセンブリの第2の細長バー内の第2の複数のエンボスのうちの1つのエンボスの底部との間に電気的および機械的に直接結合される。
【0036】
[0038]これら設計の特徴は、スケーラビリティとモジュール性である。レイアウトは、(1)より大きなデバイスを収容するか、(2)より多くのデバイスを並列に配置するために、幅を広げたり、長くしたりできる。基本的に、パッケージの概念は、パッケージが提供するパフォーマンス上の利点を失うことなく、電力処理のニーズを満たすためにスケールアップまたはスケールダウンできる。これらのパッケージを並列に配置して、コンバータの電流を増加させたり、および/または、(DC-DC電力変換でよく使用される)フルブリッジや(モータドライブやインバータで使用される)3相などのトポロジを形成することも容易である。
【0037】
[0039]スケーラビリティおよびモジュール性は、この製品設計の態様であり、提供物および構成の幅広いポートフォリオがプラットフォームによってサポートされ得る。以下に説明するように、本開示は、特定の用途の必要性を最もよく満たすために拡大または縮小することができる。
【0038】
[0040]当業者は、添付の図面に関連付けられた以下の詳細な説明を読んだ後、本開示の範囲を理解し、その追加の態様を理解するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0039】
[0041]本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を例示し、説明とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】[0042]
図1Aは、典型的なハーフHブリッジ回路の概要図である。
図1Bは、典型的なハーフHブリッジ回路の概要図である。
【
図2】[0043]
図1AのハーフHブリッジ回路の実際の実施を例示する図である。
【
図3】[0044]本開示の第1の実施形態による電力モジュールの外部構造の等角図(isometric view)である。
【
図4】[0045]本開示の第1の実施形態の内部構造の等角図である。
【
図5】[0046]本開示の第1の実施形態の内部構造の上面図である。
【
図6】[0047]本開示の第1の実施形態の分解図である。
【
図7】[0048]本開示の代替実施形態の内部構造の上面図である。
【
図8】[0049]本開示の第1の実施形態の例示的な電力ループを例示する図である。
【
図9A】[0050]本開示による低インダクタンス母線(bus bar)下層への端子接続の第1の実施形態を例示する図である。
【
図9B】[0051]本開示による低インダクタンス母線上層への端子接続の第1の実施形態を例示する図である。
【
図9C】[0052]本開示による低インダクタンス母線上層への端子接続の第2の実施形態を例示する図である。
【
図10】[0053]
図10Aは、本開示による低インダクタンス母線下層への端子接続の第2の実施形態を例示する図である。 [0054]
図10Bは、本開示による低インダクタンス母線上層への端子接続の第3の実施形態を例示する図である。
【
図11】[0055]本開示の第1の実施形態による例示的な信号ループを例示する図である。
【
図12】[0056]本開示の1つの実施形態による電力基板への直接結合を例示する図である。
【
図13】[0057]相互コンダクタンスのミスマッチによるデバイス間の電流経路の平準化を例示する図である。
【
図14A】[0058]本開示の1つの実施形態による電力モジュールの外部ハウジングの正面等角図である。
【
図14B】本開示の1つの実施形態による電力モジュールの外部ハウジングの背面等角図である。
【
図14C】[0059]
図14Aの電力モジュールの外部ハウジングの上面図である。
【
図15】[0060]本開示の1つの実施形態による電力モジュールハウジングの輪郭を例示する図である。
【
図16A】[0061]
図16Aは、本開示による信号ピンアセンブリの様々な例を例示する図である。
【
図16B】
図16Bは、本開示による信号ピンアセンブリの様々な例を例示する図である。
【
図16C】
図16Cは、本開示による信号ピンアセンブリの様々な例を例示する図である。
【
図16D】
図16Dは、本開示による信号ピンアセンブリの様々な例を例示する図である。
【
図17A】[0062]
図17Aは、本開示による信号ピントリミングの例を例示する図である。
【
図18】[0063]本開示の1つの実施形態によるリードフレームの特徴を例示する図である。
【
図19A】[0064]
図19Aは、本開示によるリードフレーム部分の等角図である。
【
図20】[0065]本開示によるリードフレームアレイの1つの実施形態を例示する図である。
【
図21】[0066]本開示による電力モジュールのより大きな変形例を例示する図である。
【
図22A】[0067]
図22Aは、本開示による、完全に実装された(fully populated)電力モジュールを例示する図である。
【
図22B】
図22Bは、本開示による、部分的に実装された電力モジュールを例示する図である。
【
図23】[0068]本開示の1つの実施形態による、より高電力のハーフブリッジを形成するために積層バス配線を有する並列化された電力モジュールの例を例示する図である。
【
図24】[0069]本開示の1つの実施形態によるフルブリッジトポロジとして構成された電力モジュールを例示する図である。
【
図25】[0070]本開示の1つの実施形態による三相トポロジとして構成された電力モジュールを例示する図である。
【
図26】[0071]本開示の1つの実施形態による、レッグ毎に並列に2つの電力モジュールを有する三相トポロジとして配置された電力モジュールを例示する図である。
【
図27】[0072]本開示の別の実施形態による電力モジュールの外部構造の第1の等角図(isometric view)である。
【
図28】[0073]本開示の
図27の実施形態による電力モジュールの外部構造の第2の等角図である。
【
図29】[0074]本開示の
図27の実施形態による電力モジュールの内部構造の等角図である。
【
図30】[0075]本開示の
図27の実施形態による電力モジュールの内部構造の平面図である。
【
図31】[0076]本開示の
図27の実施形態による電力モジュールの分解図(exploded view)である。
【
図32】[0077]ハウジングが取り除かれた、本開示の
図27の実施形態による電力モジュールの外部構造の第3の等角図である。
【
図33A】[0078]
図33Aは、本開示によるリードフレーム部分(lead frame section)の等角図である。
【
図34】[0079]本開示によるリードフレームアレイの1つの実施形態を示す図である。
【
図35】[0080]本開示による電力モジュールの、より高い電力取扱能力(power handling capability)を有する電力モジュールのための追加の電力デバイスをサポートする、より広い変形例を示す第1の等角図である。
【
図36】本開示による電力モジュールの、より高い電力取扱能力を有する電力モジュールのための追加の電力デバイスをサポートする、より広い変形例を示す第2の等角図である。
【
図37】[0081]本開示による電力モジュールの、より低い電力取扱能力を有する電力モジュールのためのより少ないまたはより小さな電力デバイスをサポートする、より狭い変形例を示す第1の等角図である。
【
図38】本開示による電力モジュールの、より低い電力取扱能力を有する電力モジュールのためのより少ないまたはより小さな電力デバイスをサポートする、より狭い変形例を示す第2の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[0082]以下に説明する実施形態は、当業者が実施形態を実施できるようにするために必要な情報を表し、実施形態を実施する最良のモードを例示する。添付の図面に照らして以下の説明を読むと、当業者は、本開示の概念を理解し、本明細書で特に言及されていないこれらの概念の用途を認識するであろう。これらの概念および用途は、本開示および添付の特許請求の範囲内にあることを理解されたい。
【0042】
[0083]本明細書では第1、第2などの用語を使用して様々な要素を説明するが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は単に、ある要素を別の要素と区別するために使用される。たとえば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連付けられたリスト項目の1つまたは複数の任意およびすべての組合せを含む。
【0043】
[0084]層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上」にある、または「上に」延在していると称されるとき、それは、他の要素の上に直接ある、またはその上に直接延在する、または介在要素が存在し得ることが理解される。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」ある、または「直接上に」延在すると称される場合、介在要素は存在しない。同様に、層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上方に」ある、または「上方に」延在すると称される場合、他の要素の真上に直接ある、または直接延在できる、または、介在要素も存在し得ることが理解される。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上方」にある、または「直接上方に」延在すると称される場合、介在要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続」または「結合」されていると称される場合、それは他の要素に直接接続または結合できるか、または介在要素が存在し得ることも理解される。対照的に、要素が別の要素に「直接接続されている」または「直接結合されている」と称される場合、介在要素は存在しない。
【0044】
[0085]「下方」または「上方」または「上側」または「下側」または「水平」または「垂直」などの相対的な用語は、本明細書では、図に例示されるように、1つの要素、層、または領域と、別の要素、層、または領域との関係を説明するために使用され得る。これらの用語および上記で論じた用語は、図に示した向きに加えて、デバイスの様々な向きを包含することが意図されていることが理解される。
【0045】
[0086]本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみ目的とされ、開示を限定するように意図されていない。本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別のことを示さない限り、複数形も含むように意図される。「備える」、「備えている」、「含む」、および/または「含んでいる」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、完全体(integer)、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことが理解される。
【0046】
[0087]別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解される。
【0047】
[0088]本開示は、高電力用途で使用される電力モジュールに関する。電力モジュールは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、ダイオードなど、様々な回路トポロジに配置された1つまたは複数の電力半導体デバイスを含み得る。典型的な回路トポロジは、単一スイッチ、ハーフHブリッジ回路、フルHブリッジ回路、および6パックと称されることが多い3相スイッチング回路を含むが、これらに限定されない。
【0048】
[0089]以下の議論では、ハーフブリッジ回路を使用して、本明細書で開示されるパッケージングの概念の理解を容易にする。基本的なハーフHブリッジ回路は、
図1Aおよび
図1Bに例示されるように、モータなどの負荷に様々な電圧を切り替えるために使用される一般的な電力回路である。ハーフHブリッジ回路の主要なコンポーネントは、V+端子とV-端子との間に直列に結合されたハイサイドトランジスタ(high-side transistor)Q1とローサイドトランジスタ(low-side transistor)Q2である。この例では、トランジスタQ1、Q2が、ドレイン(D)、ゲート(G1、G2)、ソース(S)、およびソース-ケルビン(K1、K2)接続を備えた電力MOSFETであると仮定する。トランジスタQ1のドレイン(D)は、V+端子に結合され、トランジスタQ2のソース(S)は、V-端子に結合される。トランジスタQ1のソースと、トランジスタQ2のドレインとはともに結合され、負荷(図示せず)に接続する本質的に出力ノードであるMID端子を表す。
【0049】
[0090]取扱電力を高めるために、複数の電力デバイスを互いに並列に結合することができる。例示された実施形態では、
図2に示すように、トランジスタQ1は、互いに並列に結合された3つのトランジスタQ1’、Q1’’、Q1’’’によって表され、トランジスタQ2は、互いに並列に結合された3つのトランジスタQ2’、Q2’’、Q2’’’によって表される。簡潔さと読み易さのために、並列トランジスタQ1’、Q1’’、Q1’’’は、まとめてトランジスタQ1と呼ばれ、トランジスタQ2’、Q2’’、Q2’’’は、まとめてトランジスタQ2と呼ばれる。この例では、トランジスタQ1、Q2は、縦型のNチャネルMOSFETであり、ドレイン接点は、デバイスの底部にあり、ソース、ゲート、およびソース-ケルビン接点は、デバイスの上端にある。
図2のハーフHブリッジ回路は、以下に説明する電力モジュールの実施形態で実施されるが、本明細書で提供される概念から恩恵を受ける多くのタイプの回路の1つに過ぎない。
【0050】
[0091]第1の実施形態による例示的な電力モジュール10が、
図3、
図4、
図5、および
図6に例示される。
図3は、成形可能なハウジング12を備えた電力モジュール10の等角図である。
図4および
図5は、カプセル化成形ハウジング12を除いた電力モジュール10の等角図および平面図である。
図6は、電力モジュール10の分解図である。以下の説明では、
図3、
図4、
図5、および
図6のおのおのをまとめて参照する。
【0051】
[0092]電力モジュール10のコアには、電力デバイス16がその上面に取り付けられた基板14が存在する。この実施形態では、電力デバイス16は、トランジスタQ1(すなわち、Q1’、Q1’’、Q1’’’)およびトランジスタQ2(すなわち、Q2’、Q2’’、Q2’’’)である。V端子アセンブリ18と称される第1の端子アセンブリは、電力モジュール10の側面Aの近くのトランジスタQ2(16)の上方に取り付けられる。V-端子18アセンブリは導電性であり、トランジスタQ2の上側面のソース接点に直接取り付けられて、
図2のV-ノードを形成する。
【0052】
[0093]V+端子アセンブリ22と称される2つの対向する端子は、側面Cおよび側面Dの近くの基板14の上面上の第1のトレース/パッド34(
図6)に取り付けられる。トランジスタQ1は、トランジスタQ1のドレインが、第1のトレース/パッド34に直接取り付けられるように、基板14上に取り付けられる。したがって、トランジスタQ1のドレインおよびV+端子アセンブリ22は、
図2のV+ノードを形成する。
【0053】
[0094]MID-端子アセンブリ20と称される別の端子アセンブリは、電力モジュール10の側面Bの近くのトランジスタQ1(16)の上方に取り付けられる。MID-端子アセンブリ20は導電性であり、トランジスタQ1の上側面のソース接点に直接取り付けられる。MID-端子アセンブリ20は、トランジスタQ2のドレイン接点が直接結合する第2のトレース/パッド34まで延在し、直接結合する一体型ジャンパ20Jを含む。したがって、トランジスタQ2のドレイン接点、トランジスタQ1のソース接点、およびMID-端子アセンブリ20は、
図2のMIDノードを形成する。
【0054】
[0095]トランジスタQ1のゲートおよびソース-ケルビン接点(G1、K1)は、それぞれボンドワイヤ32を使用して、ピンアセンブリ24、26に電気的に結合される。同様に、トランジスタQ2のゲートおよびソース-ケルビン接点(G2、K2)は、それぞれボンドワイヤ32を使用して、ピンアセンブリ28、30に電気的に結合される。ピンアセンブリ24、26、28、30は、基板14の上面に直接取り付けられ、それらピンアセンブリが互いに電気的に絶縁されるだけではなく、高電力のV-ノード、V+ノード、およびMID-ノードからも電気的に絶縁される。ピンアセンブリ24、26、28、30、V-端子アセンブリ18、対向するMID-端子アセンブリ20、およびV+端子アセンブリ22の設計および形状に関する詳細は、以下でさらに提供される。特に、そのような設計は、電力モジュール10によって提供される電子機器に入力ノードまたは出力ノードを提供する追加のピンまたはピンアセンブリを含み得る。これらの追加のピンおよびピンアセンブリは、電流検知、温度検知、バイアス印加などに使用できる。
【0055】
[0096]ここで、
図6の電力モジュール10の分解図を参照する。図の下から説明を始めると、トランジスタQ1、Q2を含む電力デバイス16は、デバイス取付材料40を使用して、取付位置38で第1のトレース34および第2のトレース36に取り付けられる。デバイス取付材料40は、はんだ、接着剤、焼結金属などであり、機械的構造、高い電流相互接続、および高い熱伝導率を提供する。
【0056】
[0097]ピンアセンブリ24、26、28、30、V-端子アセンブリ18、MID-端子アセンブリ20、およびV+端子アセンブリ22は、単一のリードフレーム44から形成される。リードフレーム取付材料42を使用して、V-端子アセンブリ18、MID-端子アセンブリ20、およびV+端子アセンブリ22の対応する底部分に接続される電力デバイス16および基板14の上端の部分。リードフレーム取付材料は、はんだ、接着剤、焼結金属、レーザ溶接、超音波溶接などであり得、機械的構造、高い電流相互接続、および高い熱伝導率を提供する。リードフレーム44は、典型的には、高電流の外部接続および内部相互接続のための金属接点ストリップである。接点は、単一のシートにともに接合され、多くの場合、シート毎に複数の製品があり、形成および個別化される前にアレイとして処理される。
【0057】
[0098]ボンドワイヤ32は、通常、電力デバイス16の制御接点を様々なピンアセンブリ24、26、28、30に接続するために使用される。ボンドワイヤ32は、比較的高電流の電気的相互接続を支持することができる超音波または熱音波で結合された大径ワイヤであり得る。あるいは、ピンアセンブリ24、26、28、30は、電力デバイス16に、基板18上のトレースなどに直接結合され得る。
【0058】
[0099]ハウジング12は、トランスファまたは射出成形プロセスを使用して形成され、機械的構造、高電圧絶縁を提供し得る。ハウジング12は、電力モジュール10の内部部品をカプセル化する。ハウジング12に使用される成形化合物は、機械的構造、高電圧絶縁、熱膨張係数(CTE)マッチング、および低湿度吸収を提供できるトランスファまたは圧縮成形されたエポキシ成形化合物(EMC)であり得る。
【0059】
[00100]V-端子アセンブリ18は、2つの端子レッグ18Lの間に存在する第1の細長バー18Bを含む。例示される実施形態では、第1の細長バー18Bと2つの端子レッグ18Lとが一緒になってU字形状を形成する。T字形状、V字形状、およびC字形状など、他の形状が想定される。端子レッグ18Lのおのおのは、V-端子接点18Cを提供するために、第1のバー18Bから電力モジュール10の側面Aに向かって外側に延在し、ハウジング12の側面を通過し、ハウジング12の上端に向かって上方に曲がり、その後、ハウジング12の上端の一部の上方を内側に曲がる形状を有する。このように、端子レッグ18Lのおのおのの遠位部分は、その中間部分の上方で折り返される。上述のように、V-端子アセンブリ18の第1のバー18Bの底部分は、トランジスタQ2(電力デバイス16)のソース接点に直接取り付けられる。エンボスE(図示せず)は、以下でさらに説明する実施形態で説明されるように提供され得る。端子レッグ18Lの露出した遠位端におけるV-端子接点18Cは、第1の端子アセンブリ18のための端子接点を提供する。
【0060】
[00101]同様に、MID-端子アセンブリ20は、2つの端子レッグ20Lの間に存在する第2の細長バー20Bを含む。第2のバー20Bおよび2つの端子レッグ20Lは、例示される実施形態では一緒になってU字形状を形成する。T字形状、V字形状、およびC字形状など、他の形状が想定される。端子レッグ20Lのおのおのは、MID-端子接点20Cを提供するために、第2のバー20Bの端部から電力モジュールの側面Bに向かって外側に延在し、ハウジング12の側面を通過し、ハウジング12の上端に向かって上方に曲がり、その後、ハウジング12の上端の一部の上方を内側に曲がる形状を有する。このように、端子レッグ20Lのおのおのの遠位部分は、その中間部分の上方で折り返される。MID-端子アセンブリ20の第2のバー20Bの底部分は、トランジスタQ1(電力デバイス16)のソース接点に直接取り付けられる。エンボスE(図示せず)は、以下でさらに説明する実施形態で説明されるように提供され得る。第2の端子レッグ30の露出した遠位端は、第2の端子アセンブリ20のための端子接点を提供する。
【0061】
[00102]この実施形態におけるMID-端子アセンブリ20はまた、第2のバー20Bから第1の端子アセンブリ18の第1のバー18Bに向かって延びる、複数(3つ)の一体的に形成されたジャンパ20Jを含む。ジャンパ20Jの遠位端は、上述のように、基板14の上面上の第1のトレース34に直接取り付けられる。ジャンパ20Jは、単一のバーに置換され得る。さらに、ジャンパ20Jの数は、実施形態によって変動し得る。特定の実施形態では、MID-端子アセンブリ20に結合される電力デバイス16毎に1つのジャンパ20Jが存在する。
【0062】
[00103]2つの対向するV+端子アセンブリ22はおのおの、第1の端子アセンブリ18および第2の端子アセンブリ20の端子レッグ18L、20Lと同様の形状である。他の形状も想定される。対向する各端子22の一端は、基板14の上端の第2のトレース36に直接取り付けられる。基板14から、対向する各端子22は、電力モジュール10の側面Cおよび側面Dに向かって外側に延在し、ハウジング12のそれぞれの側面を通過し、ハウジング12の上端に向かって上向きに曲がり、次に、ハウジング12の上端の一部の上方を内側に曲がる。このように、V+端子アセンブリ22のおのおのの遠位部分は、その中間部分の上方で折り返される。対向する端子22の露出した遠位端は、V+端子アセンブリ22のための端子接点22Cを提供する。例示されるように、V-端子アセンブリ18およびMID-端子アセンブリ20は、電力モジュール10の対向する側面A、Bに配置される。2つの対向するV+端子アセンブリ22は、電力モジュール10の残りの対向する側面C、Dに配置される。特に、V-端子接点18C、V+端子接点22C、およびMID-端子接点20Cは、用途に応じて同一平面または非平面とすることができる。V-端子接点18C、V+端子接点22C、およびMID端子接点20Cはまた、異なる構成に形成され得、いくつかはC字形状を形成する2つの屈曲部を有し、いくつかはL字形状などを形成する1つの屈曲部のみを有し得る。接点を、2つ、3つ、またはそれ以上の異なる平面に配置する非平面構成では、これらの接点を外部母線に接続するための追加オプションを提供する場合がある。
【0063】
[00104]ネストされた(nested)信号ピンアセンブリ24、26および信号ピンアセンブリ28、30のグループが、V-端子アセンブリ18の端子レッグ18Lと、MID-端子アセンブリ20の端子レッグ20Lとの間に設けられる。例示される実施形態におけるピンアセンブリ24、26、28、30はU字形状であり、ピンバー24B、26B、28B、30Bと、各ピンバー24B、26B、28B、30Bから延在する一対のピンレッグ24L、26L、28L、30Lとを含む。他の実施形態は、信号ピンバー24B,26B,28B,30Bのために、L字形状およびT字形状を使用し得る。ピンレッグ24L、26L、28L、30Lは、ハウジング12のそれぞれの側面を通って外側に延在し、垂直に上向きに曲がる。ボンドワイヤ32は、電力デバイス16を、ピンアセンブリ24、26、28、30のピンバー24B、26B、28B、30Bに電気的に接続する。
【0064】
[00105]一般に、電力モジュールには2つのカテゴリの電気ループ、すなわち、電力ループと信号ループとがある。電力ループは、トランジスタQ1、Q2のドレイン(またはコレクタ)およびソース(またはエミッタ)を介して負荷に電力を供給するための、トランジスタQ1、Q2を通過する高電圧、高電流経路であり、負荷は、通常、MID-端子アセンブリ20に接続される。信号ループは、トランジスタQ1、Q2のゲートG1、G2(またはベース)およびソースS(またはエミッタ)を通過する低電圧、低電流経路である。ゲート-ソース(またはベース-エミッタ)信号経路は、トランジスタQ1、Q2を作動させて、トランジスタQ1、Q2を効果的にオンまたはオフにする。以下に詳述するように、信号ループはまた、トランジスタQ1、Q2のソース-ケルビン接続K1、K2を伴い得る。
【0065】
[00106]電力ループは効果的に、V+端子アセンブリ22とV-端子アセンブリ18との間に延びている。V+端子アセンブリ22およびV-端子アセンブリ18は、典型的には、大きなキャパシタンスと並列のバッテリなどのDC電力の両側に接続される。例示された電力モジュール10の例示的な電力ループが、
図8に図示される。
【0066】
[00107]対向するV+端子アセンブリ22は、基板14上の第2のトレース36の対向する端部に直接取り付けられる。電力は、2つのV+端子アセンブリ22の接点22Cおよびレッグ22Cを通って電力モジュール10に流れ込む。したがって、電力は、端子アセンブリ22を介して基板14上の第2のトレース36の両端に流れ、トランジスタQ1のドレイン接点に流れる。トランジスタQ1のドレイン接点は、トランジスタQ1の底部にあり、第2のトレース36にも直接取り付けられる。トランジスタQ1は、2つのV+端子アセンブリ22が第2のトレース36に取り付けられている点の間で第2のトレース36に取り付けられ、トランジスタQ1は、互いに、および2つのV+端子アセンブリ22の取り付け点から等間隔に離間されている。
【0067】
[00108]次に、電力は、トランジスタQ1のドレインからトランジスタQ1のソースまで、トランジスタQ1を通って上向きに流れる。トランジスタQ1のソースは、中間端子アセンブリ20の第2のバー20Bの底側面に取り付けられる。中間端子アセンブリ20の中間端子ジャンパ20Jは、中間端子アセンブリ20の第2のバー20Bを、基板14上の第1のトレース34に接続する。トランジスタQ2のドレインは、第1のトレース34に直接取り付けられ、互いに等間隔に離間されている。トランジスタQ2のドレインから、電力は、トランジスタQ2を通ってトランジスタQ2のソースに流れる。トランジスタQ2のソースは、V-端子アセンブリ18の第1のバー18Bの底側面に直接接続される。したがって、電力は、第1のバー18Bに沿って、対向するレッグ18Lを介してV-端子アセンブリ18の接点18Cに流れる。
【0068】
[00109]対称なV+端子アセンブリ22および対称なV-端子アセンブリ18を使用することによって、デバイス間の電流共有が平準化され、より小さな外部接点を使用することができ、これは、リードフレームのパネル化に役立ち、インダクタンスは、電力ループの全体的な電流経路を短縮することによって大幅に低減される。以下でさらに説明するように、V-端子アセンブリ18、MID-端子アセンブリ20、およびV+端子アセンブリ22の接点18C、20C、22Cは、レーザ溶接、はんだ、超音波溶接、機械的結合(クランプ、スプリングなど)、導電性接着剤、または他の導電性結合を使用して、電気的に結合された外部相互接続であり得る。
【0069】
[00110]電流は、閉回路を通って流れる必要がある。したがって、パッケージ自体の浮遊インダクタンスだけが、全ループインダクタンスに寄与する要因ではない。電力供給、外部バス配線およびワイヤリング、ならびに電力モジュール10自体にわたって提供される電力供給およびコンデンサの容量を含む全ループのインダクタンスを考慮すべきである。このように、電力モジュール10の内部レイアウトは、低インダクタンスでなければならないだけでなく、V-端子アセンブリ18、MID-端子アセンブリ20、V+端子アセンブリ22の位置も、低インダクタンス積層バス配線または類似の相互接続方法が、電力モジュール10を、DC電源へ接続することを可能にする必要がある。
【0070】
[00111]端子を高性能なバス配線に接続するための多くの効果的なアプローチがある。
図9Aおよび
図9Bは、V-端子アセンブリ18、MID-端子アセンブリ20、およびV+端子アセンブリ22にそれぞれ接続するために、積層母線、すなわち、V-母線48、MID母線50、およびV+母線52を使用するアプローチを示している。このように、バス配線用の金属プレーンは、電力モジュール10の上端の上方で延びている。明確化のために、V-母線48、MID母線50、およびV+母線52の金属成分のみが図示され、積層フィルム自体は図示されていない。例示される構成は、並列化またはマルチモジュールトポロジの形成などのために、隣接する電力モジュール10を互いに近くに配置できる、高密度で低インダクタンスのソリューションを提供する。
【0071】
[00112]特に
図9Aを参照して示すように、V-母線48は、本体48Bを有し、本体48Bから2つの接点48Cが延在する。接点48Cは、V-端子アセンブリ18の接点18Cに物理的および電気的に接続される。同様に、MID母線50は本体50Bを有し、本体50Bから2つの接点50Cが延在する。接点50Cは、MID端子アセンブリ20の接点20Cに物理的および電気的に接続される。
図9Bを参照すると、V+母線52は本体52Bを有し、本体52Bから単一の幅広接点52Cが延在する。接点52Cは、対向するV+端子アセンブリ22の接点22Cに物理的および電気的に接続される。V+母線52の開口部は、V-母線48の接点48Cへのアクセスと、ゲートG2およびソース-ケルビンK2信号用のピンアセンブリ28、30の通過とを提供する。
図9Bは、V+端子アセンブリ22が、V-端子アセンブリ18と同一平面上にならないようにV+端子アセンブリ22を持ち上げることによって、いくつかの状況で回避できるV+母線48の曲がりを示している。
【0072】
[00113]
図9Cは、V+母線52の代替構成を提供する。V+母線52は、本体52Bから延びる延長部52Eを有する。本体は、延長部52Eから、V+端子アセンブリ22の接点22まで下降する2つの対向する脚部52Fを有する。
図9Cにおける構成は、
図9Bの構成に比べて歪みの緩和と剛性の低下と引き換えに、いくらかのインダクタンスをわずかに犠牲にする(つまり、積層面積が少ないためインダクタンスが増加する)。
【0073】
[00114]
図10Aおよび
図10Bには、別のバス配線アプローチが例示される。ここで、バス配線は、電力モジュール10の側面に沿って、または周囲に沿ってより長く延びている。これは、一般に、接触領域または電力モジュール10により多くのアクセスが必要な状況で有用であり得る。たとえば、はんだ付けツールまたは溶接ツールが、様々な接点の金属面に直接触れる必要がある場合などである。
【0074】
[00115]特に
図10Aを参照すると、V-母線48’は本体48B’を有し、本体48B’から2つの接点48C’が延在する。V-母線48’は、電力モジュール10の周囲の外側に偏位され、2つの接点48C’は、V-端子アセンブリ18の接点18Cと接触するために内向きおよび下向きに延在する前に、電力モジュール10の対向する側面に巻き付く。同様に、MID母線50’は、本体50B’を有し、本体50B’から2つの接点50C’が延在する。MID母線50’は、電力モジュール10の周囲の外側に偏位され、2つの接点50C’は、MID-端子アセンブリ20の接点20Cと接触するために内向きおよび下向きに延在する前に、電力モジュール10の対向する側面に巻き付く。
【0075】
[00116]
図10Bを参照すると、V+母線52’は、電力モジュール10の周囲の外側に偏位され、V-母線48’の上方にある。V+母線52’は、V+端子アセンブリ22のそれぞれの接点22Cと接触するために内向きおよび下向きに延びる前に、電力モジュール10の対向する側面に巻き付く2つの接点52C’を有する。特定のシステム構成に応じて、さらに多くのバス配線アプローチおよびモジュールの変形例を想定できる。最終的な目標は、様々なエンドユーザソリューションを可能にする、多用途で効果的な端子配置を提供することである。
【0076】
[00117]各トランジスタ(Q1、Q2)位置の信号ループ、またはゲート接続およびソース接続も、低インピーダンスの恩恵を受けて、スイッチング中のトランジスタQ1、Q2のゲートへの電圧応力を最小化する。抵抗器を追加することでゲート応力を緩衝または低減できるが、多くの場合、パッケージがより複雑になり、コストがより高くなり、スイッチング速度がより遅くなる。最も重要なことは、最適なスイッチング性能を得るには、電力ループと信号ループとを互いに完全に独立させて、高速で適切に制御されたダイナミクスでスイッチング損失を低く抑える必要があることである。
【0077】
[00118]ドレイン-ソース(またはコレクタ-エミッタ)およびゲート-ソース(またはゲート-エミッタ)ループは、デバイスのソース(またはエミッタ)で同じ接続を共有する。電力経路が信号経路に結合すると、正または負のいずれかのフィードバックによって、追加のダイナミクスが導入される。通常、負のフィードバックは、電力経路の結合が制御信号と競合する(つまり、制御信号がデバイスをオンにしようとしているときに、電力経路の結合がデバイスをオフにしようとする)ため、余分な損失をもたらす。デバイスが破壊されるまで電力経路の結合が制御信号を増幅するため、正のフィードバックは通常、不安定となる。最終的に、電力経路と信号経路との結合は、スイッチング品質の低下、スイッチング速度の低下、損失の増加、および破壊の可能性をもたらす。
【0078】
[00119]したがって、独立ループは、スイッチング品質を改善する。例示された実施形態では、電力源接続は、一方が他方と重複または干渉しないように、(ソースケルビンと称される)信号源から別個の経路を有する。個々の接続がトランジスタに近づくほど、スイッチング性能が向上する。
【0079】
[00120]
図11は、例示される実施形態の内部信号ループを例示する。トランジスタQ1の信号ループは、G1ピンアセンブリ24に流れて通過し、その後、ボンドワイヤ32を通過してトランジスタQ1のゲート接点に流れ、ここで、信号がトランジスタQ1に与えられる。信号ループは、トランジスタQ1のソース接点を介してトランジスタQ1から流れる。ソース接点から、信号ループは、別のボンドワイヤ32を通って流れ、K1ピンアセンブリ26に直接流れ、K1ピンアセンブリ26を通過する。
【0080】
[00121]同様に、トランジスタQ2の信号ループは、G2ピンアセンブリ28に流れて通過し、その後、ボンドワイヤ32を通過してトランジスタQ2のゲート接点に流れ、ここで、信号がトランジスタQ2に与えられる。信号ループは、トランジスタQ2のソース接点を介してトランジスタQ2から流れる。ソース接点から、信号ループは、別のボンドワイヤ32を通って流れ、K2ピンアセンブリ30に直接流れ、K2ピンアセンブリ30を通過する。図示されるように、これは電力ループと信号ループとが完全に独立している真のソース-ケルビン実装である。
【0081】
[00122]
図11における信号ループは、単なる1つの実施形態である。
図12に図示されるように、他の実施形態は、基板14の上端に追加の信号トレース54を含み得る。そのような実施形態では、ボンドワイヤ32の1つのセットが、最初にトランジスタのゲートおよびソース接点を、追加の信号トレース54に接続し、ボンドワイヤ32の第2のセットが、これらの追加の信号トレース54を、適切なピンアセンブリ24~30(G1、G2、K1、K2)に接続する。後者の構成では、信号ピンの実装が単純になるが、必要な基板面積が大幅に大きくなり、コストの増加をもたらす可能性がある。最終的に、レイアウトは、両方と互換性があるように柔軟性があり、各実施形態は、異なる用途または仕様に対して強化または最適化され得る。
【0082】
[00123]並列デバイス間の相互コンダクタンスのミスマッチにおいて、さらなる問題が生じる。相互コンダクタンスは、実質的にデバイスの電流ゲインであり、入力電圧に対する出力電流間の関係に対応する。スイッチング中、入力電圧が上昇し、それに伴い出力電流も上昇する。これは炭化ケイ素電力デバイスでは一般的であるが、並列接続されたデバイス間に相互コンダクタンスの差がある場合、デバイスはおのおの、わずかに異なるオン特性を有する。デバイスに異なる電流が流れるため、各デバイスには、わずかに異なる電圧が与えられる。これらの電圧のミスマッチにより、スイッチング中にデバイス間を流れる「平準化電流(balancing current)」が発生する。
【0083】
[00124]この平準化電流は、電力ループの代わりに信号ループを通る可能性がある最小インピーダンスの経路を好む。結合された電力ループと信号ループとの干渉の問題と同様に、この平準化電流は、スイッチング品質に影響を与える可能性がある。信号ループは、高電流を流すことを意図されていないため、制御されていないこの高電流が信号ループに流れると、信頼性の問題をもたらす可能性がある。
【0084】
[00125]1つの実施形態では、デバイスの上側面のソースパッドを横切って延びる金属シートにわたる非常に低いインダクタンスが見出される。これらの経路が
図13に示される。比較すると、ソース結合経路の有効な経路長および断面積は、比較的高いインピーダンスを有する。実際には、平準化電流は、電力接点を通って流れ、信号と干渉しない。
【0085】
[00126]ここで
図14A~
図14Dを参照すると、パッケージは、トランスファ成形、圧縮成形、射出成形、または同様のプロセスによって保護プラスチックまたはエポキシハウジング12によって包まれる。ハウジング12のいくつかの注目すべき特徴は、
図14A~
図14Dで強調され、以下で議論される。
図14Bに図示されるように、電力基板14の裏面金属は、電力モジュール10の下面に露出され、熱パッド56を提供する。熱パッド56は、電力モジュール10から熱を除去するための熱接触面として使用される。熱パッド56は、電力モジュール10からの廃熱の除去をさらに支援するために、焼結、はんだ付け、エポキシ化、または同様にヒートシンクまたはコールドプレート(図示せず)に取り付けることができる。
【0086】
[00127]ハウジングの特徴は、製造方法に基づいて変動し得る。
図14A~
図14Dの実施形態は、トランスファ成形の構造的特徴を代表している。4つの押さえピン痕跡(hold-down pin vestige)57が図示されているが、電力モジュール10の全体的なサイズに応じて、それより多くても少なくてもよい。押さえピン(図示せず)は、トランスファ成形プロセス中に電力基板を直接押し下げて、熱パッド56の露出部分のプラスチックブリードまたはフラッシュの量を制限する。これにより、熱面に破片がなく、効率的に熱を除去することができる。ハウジング12の周囲にエジェクタマーク58もある。エジェクタマーク58は、電力モジュール10がまだ熱いうちに金型(図示せず)から取り外すために使用されるエジェクタピン(図示せず)によって作られる小さな窪みである。これらの特徴の特定の場所と関連付けられた形状は、特定の製品サイズと実装によって異なる。
【0087】
[00128]クリアランスおよび沿面は、高電圧製品にとって重要な態様であり得る。異なる電位の導体間のクリアランスは、導体間の空気中の最短の直接経路である。沿面は、導体間の表面に沿った最短の直接経路である。安全基準を満たすことは困難であり、多くの場合、製造方法(ツーリング、エポキシフローなど)および製品サイズ(設置面積および出力密度)と相容れない。小型のトランスファ成形パッケージ、特に薄型で高電圧のSiCベースの製品では、適切な平準化の達成は困難である。
【0088】
[00129]特定の実施形態では、クリアランス距離は適切であり、標準内である。沿面距離を増加させ、対応して最大許容電圧を増加させるために、沿面拡張部60が使用される。沿面拡張部60は、異なる電位にある導体間の表面距離を拡張する溝、リップル、または他の表面増強物である。例示されるように、沿面拡張部60は、プラスチックまたはエポキシハウジング14の一部として含まれ、コストを追加することなく特別な機能を提供する。
図14Cおよび
図14Dは、電力モジュール10のハウジング12上のこれらの特徴の1つの実装を示す。特定の設計実装に応じて、上側面と裏面で他のパターンが可能である。
【0089】
[00130]電力ループの長さを最小限に抑えるために、V-端子アセンブリ18およびMID-端子アセンブリ20用の縁電力接点の一部またはすべてが、
図15に図示されるように、ピンアセンブリ24、26、28、30などの信号接点と比較して、ハウジング12の縁から挿入され得る。ピンアセンブリ24、26、28、30によって提供される信号接点は、デバイスからのボンドワイヤ32をよりよく収容するために、より多くの空間を必要とする。したがって、それらのハウジング部分は、ハウジング12全体の縁から外側に延在する。この輪郭のある特徴により、独立した電力ループおよび信号ループのおのおののインダクタンスを最適化できる。
【0090】
[00131]ピンアセンブリ24、26、28、30は、デバイスを平行に収容するために水平ストリップに沿って延びる。外部的には、接点のピンを形成する複数の方法があり、プリント回路ボードのゲートドライバ、ワイヤなどに取り付けられる。いくつかのバリエーションが、
図16A~
図16Dに示される。簡潔化かつ明確化のために、ピンアセンブリ28、30のみが議論されるが、同じ概念がピンアセンブリ24、26に適用される。
【0091】
[00132]第1のアプローチが
図16Aに図示されており、ピンアセンブリ28、30は、上述のようにU字形状で同心状である。これらの実施形態では、ピンのレッグは、ハウジングのそれぞれの側面部から出て、ハウジングの先端に向かって75度から105度の間の角度で上向きに曲がる。他の実施形態は、70度から110度、80度から100度、85度から95度、および87度から93度の間の角度を含み得る。
【0092】
[00133]第1のアプローチは、製品の対称性を利用する。ピンアセンブリ28、30がハウジング12から出る場所に応じて、外側ピンアセンブリ30のピンバー30Bの穴30Hが、張力緩和を提供する。
図16Bに提供されている第2のアプローチは、張力緩和用の穴を含んでいない。代わりに、ピンアセンブリ28、30のU字形状の屈曲部では、U字形状であり、ハウジング12の一部がピンに存在することを可能にするため、張力緩和は、ピンバー30Bに固有のものである。他のアプローチでは、
図16Cおよび
図16Dに示すように、3つのピンを使用することができる。これらのアプローチでは、外側ピンアセンブリ28は、2つのレッグ28Lを有するU字形状のままである。しかしながら、中央に配置された内側ピンアセンブリ30は、単一のレッグ30Lしか有していない。ピンアセンブリ30のバー30Bは、
図16Cの角のある形状または三角形の形状、または
図16DのT字形状など、実質的に任意の形状をとることができる。
【0093】
[00134]エンドシステムの特定のニーズおよびそのゲートドライバのフォーマットに応じて、考慮されるピンアセンブリのバリエーションはさらに多くある。例示される実施形態は、モジュール性および柔軟性を念頭に置いて開発され、多数の潜在的な製品のバリエーションを可能にする。
【0094】
[00135]他のピン変形は、
図17Aおよび
図17Bに例示されるように、ピンアセンブリ24、26、28、30からレッグの一部をトリミングすることを含む。たとえば、ピンアセンブリ24、26、28、30から1つのレッグを削除して、PCB上のゲートおよびまたはソース-ケルビンドライバが、(前の実施形態の4つとは対照的に)2つの接点のみを使用できるようにする。非対称アプローチは、外部バス配線によって使用される金属領域の量を最大化するのに役立つ。
図17Aでは、内側ピンアセンブリ26、30は、両方のレッグ26L、30Lをそれぞれ有する。外側ピンアセンブリ24、28は、ピンアセンブリ24、28のおのおのに対して1つのレッグ24L、28Lのみが残るようにトリミングされた1つのレッグを有する。
図17Bでは、内側ピンアセンブリ26、30と外側ピンアセンブリ24、28との両方が、ピンアセンブリ24、26、28、30のおのおのに対して1つのレッグ24L、26L、28L、30Lのみが残るようにトリミングされた1つのレッグを有する。
【0095】
[00136]上述のように、端子およびピンアセンブリ18~30は、リードフレーム44から形成され、機能を組み合わせて、高電流内部相互接続、ボンドワイヤ位置、および外部端子接触面を提供する。リードフレーム44の一部または部品は、トランジスタQ1、Q2の上側面ソースパッドへ、および基板14への両方に取り付けられる。リードフレーム44は、はんだ付け、焼結、導電性エポキシ、レーザ溶接、超音波溶接などを含むいくつかの手法で、様々なコンポーネントに取り付けることができる。
図18に図示されるように、穴、スロット、フェザリング縁(feathered edge)などの表面強化機能は「はんだまたはエポキシキャッチ」と称され、結合の強度を強化するために使用できる。
【0096】
[00137]上側面ソースパッドに直接取り付けられるリードフレーム44上のストリップは、いくつかの際立った特徴を有し得る。パッケージ化されるデバイスの特定のレイアウトに応じて、様々なはんだキャッチ実装(solder catch implementation)がある。また、熱膨張による応力緩和と、強化された成形フローのために、デバイス間にリップル(図示せず)を含めることもできる。応力緩和のさらなる手段として、リードフレーム44の様々な屈曲を使用することができる。
【0097】
[00138]電力モジュール10の外部で、端子およびピンアセンブリ18~30は、母線、ワイヤ、プリント回路基板などに取り付けられる。システム内の振動により、端子およびピンアセンブリ18~30が引っ張られる場合がある。これらの外力が、電力デバイスまたはボンドワイヤを押したり引いたりしないことが望ましい。この目的のために、必要に応じて、リードフレーム44に穴、および/または他の保持機能が配置され、引っ張られたときに、敏感な内部コンポーネントではなく、これらの穴を埋める成形化合物が歪みを受けるようになる。
【0098】
[00139]リードフレーム44の穴62および/または他の保持機能は、トランスファ成形プロセスで使用される押さえピンの位置に合わせて配置される。理想的には、これらのピンは、基板を直接押し付ける。これらの穴62は、ピンがこれを達成できるようにクリアランスを提供する。また、アセンブリが成形された後の張力緩和としても機能する。
【0099】
[00140]リードフレーム44は、エッチングまたはスタンピングプロセスのいずれかで、板金(sheet metal)から製造され得る。この一例が、
図19Aおよび
図19Bに表される。接点機能および内部機能は、狭いタブによって外部フレームに接合される。パネルやマガジンでの処理を合理化するために、板金の多くは、最初は平坦である。内側の曲げのみが形成される。製品の製造中、アセンブリに必要な複数の加熱プロセスが原因で、大きな銅領域を分割するために熱膨張スロットが追加される。これらは、アセンブリの膨張および反りを制限する。
【0100】
[00141]リードフレーム44が電力デバイスおよび基板に取り付けられ、ワイヤボンドされ、成形された後、接合タブの位置で外側フレームから切り離される。外部接点の曲げは、多くの場合、手続き的なステップと、選択的なトリミングとによって折り曲げて形成される。
【0101】
[00142]自動化された量産製品のために、これらのリードフレーム44はしばしばアレイにパターン化される。これらのアレイは複数の機械で取り扱われ、多くの場合、マガジンまたはラックからロードされる。上縁および底縁の穴は、固定、位置決め、キーイング、および取扱いのために使用される。4つのリードフレーム44を有する例示的なリードフレームアレイ64が、
図20に図示される。リードフレーム44およびリードフレームアレイ64の特定の特徴は、製品の構成、製品サイズのバリエーション、および製造機器のタイプによって異なる。
【0102】
[00143]例示された実施形態の潜在的な利点は、広範囲のシステムおよび用途の電力処理および予算要件を最もよく満たすために、主要なレイアウトを拡大または縮小できることである。電力モジュール10は、関連する寸法をパラメトリックに伸ばすことによって、デバイスの幅と長さの様々な組合せに、様々な数で対応することができる。特に、このように電力モジュール10をスケーリングしても、基本的なパッケージングアプローチの核となる利点を減少または制限することはない。スケーラビリティの例が、
図5および
図21に表され、ここで、
図5は、3つのトランジスタQ1(16)および3つのトランジスタQ2(16)を有する電力モジュール10を例示し、
図21は、6つのトランジスタQ1(16)および6つのトランジスタQ2(16)を有する横方向に伸ばされた電力モジュール10を例示する。
【0103】
[00144]特定の実施形態では、コンポーネントを製造するために必要な固有の製品ツールの数を最小限に抑えるために、材料の共有セットが望ましい。そのため、スケーラビリティの代替形態は、同じ基板およびリードフレームレイアウトを維持し、設定されたフットプリント内のデバイスの数または規模を調整することである。たとえば、ある場合(高電流)には、デバイスの幅を広げたり、他の場合(低コスト)には、幅を狭くしたりすることができる。完全に実装された電力モジュール10に対して、最大取扱電力を低減するために、位置を削除することもできる。例が、
図22Aおよび
図22Bに提供される。
図22Aおよび
図22Bの両方の電力モジュール10は、トランジスタQ1(16)用の5つの位置と、トランジスタQ2(16)用の5つの位置とを有するように、
図5に提供されたるものに対して横方向に伸ばされる。
図22Aの電力モジュール10は、5つのトランジスタQ1(16)および5つのトランジスタQ2(16)で完全に実装されている。
図22Bの電力モジュール10は、3つのトランジスタQ1(16)および3つのトランジスタQ2(16)で実装されている。そのため、
図22Bにおける2つの位置(未実装の位置70)は、意図的に未実装のままにしてあり、同じタイプのコンポーネントが両方のシナリオで適用されると仮定すると、
図22Aの場合に対して取扱電力が40%減少することに相当し得る。特定の実施形態では、1つのトランジスタQ1(16)および1つのトランジスタQ2(16)のみが適用される。
【0104】
[00145]スケーラビリティ機能により、パッケージ内の最適化が可能になる。また、外部から拡張または最適化できる設計を提供することも役立つ。電力モジュール10のハーフブリッジレッグは、多くのトポロジのバリエーションを形成するように配置することができる。ほとんどの場合、V-端子アセンブリ18およびV+端子アセンブリ20のおのおのは、同じ低インダクタンス母線に接続される。中間端子アセンブリ22またはAC出力は、(1)高電流用の並列パッケージに接続されるか、(2)個々のブリッジレッグ用に分離された状態に保たれるか、または(3)両方の組合せを有するかのいずれかである。
【0105】
[00146]
図23は、3つの電力モジュール10A、10B、10CのV-端子アセンブリ、V+端子アセンブリ、およびMID-端子アセンブリがそれぞれ、細長いV-母線(図示せず)、細長いV+母線72、および細長いMID母線74に並列に接続された、積層バス配線による並列構成の例を例示している。並列の電力モジュール10Xの数は、システムの電力要件に適切に、または最適に一致するように増減できる。この機能により、同じコア製品をすべての電力レベルの多くのシステムで、費用対効果の高い方式で使用できる。
【0106】
[00147]
図24は、適切なバス配線を使用して単一のフルHブリッジ回路を形成するように接続された2つのハーフHブリッジ電力モジュール10A、10Bの例を示す。例示されるように、2つの電力モジュール10A、10BのV-端子アセンブリ(図示せず)およびV+端子アセンブリ22は、細長いV-母線(図示せず)および細長いV+母線72にそれぞれ並列に接続される。電力モジュール10AのMID-端子アセンブリ20には第1のMID-母線74Aが設けられ、電力モジュール10BのMID-端子アセンブリ20には第2のMID-母線74Bが設けられる。
【0107】
[00148]
図25は、3つのブリッジレッグを有し、積層バス配線を適用する3相トポロジを例示している。3つの電力モジュール10A、10B、10Cが提供される。電力モジュール10A、10B、10CのV-端子アセンブリ(図示せず)およびV+端子アセンブリ22は、細長いV-母線(図示せず)および細長いV+母線72にそれぞれ並列に接続される。第1のMID-母線74Aは、電力モジュール10AのMID-端子アセンブリ20のために提供され、第2のMID-母線74Bは、電力モジュール10BのMID-端子アセンブリ20のために提供され、第3のMID-母線74Cは、電力モジュール10CのMID-端子アセンブリ20のために提供される。
【0108】
[00149]
図23および
図24で提供される概念は組み合わせることができる。
図26は、積層バス配線を適用して、ブリッジレッグ毎に並列に2つの電力モジュール10を備えた3つのブリッジレッグを提供する構成を示す。特に、3つのMID-母線74A、74B、74Cを使用して、電力モジュール10A、10Bは、第1のレッグに対して並列に接続され、電力モジュール10C、10Dは、第2のレッグに対して並列に接続され、電力モジュール10E、10Fは、第3のレッグに対して並列に接続される。
【0109】
[00150]上述された概念のいくつかを組み込んだ別の例示的な電力モジュール100が、
図27~
図32に示される。
図27は、ハウジング112を有する電力モジュール100の上部の等角図である。
図28は、電力モジュール100の底部の等角図である。
図29および
図30は、成形ハウジング(molded housing)112のない電力モジュール100の底部の等角図および平面図である。
図31は、電力モジュール100の分解図である。以下の説明は、
図27~
図31のおのおのをまとめて参照する。
【0110】
[00151]電力モジュール100のコアには、基板114があり、その上面に電力デバイス116が取り付けられる。この実施形態では、電力デバイス116は、トランジスタQ1(すなわち、Q1’,Q1’’,Q1’’’)およびQ2(すなわち、Q2’,Q2’’,Q2’’’)である。この実施形態におけるV-端子アセンブリ118は、電力モジュール100の側面Aの近くのトランジスタQ2(116)の上方に依然として取り付けられている。V-端子アセンブリ118は導電性であり、トランジスタQ2の上側面のソース接点に直接取り付けられて、
図2のV-ノードを形成する。この実施形態では、4つのQ1トランジスタと4つのQ2トランジスタが例示されているが、当業者は、トランジスタQ1,Q2の数、サイズ、および能力が、電力モジュール100の性能および電力要件に基づいて、用途に応じて変化できることを認識するであろう。
【0111】
[00152]2つの対向するV+端子アセンブリ122は、側面Cおよび側面Dの近くの基板114の上面上の第1のトレース/パッド134(
図31)に取り付けられる。トランジスタQ1は、トランジスタQ1のドレインが、第1のトレース/パッド134に直接取り付けられるように、基板114上に取り付けられる。したがって、トランジスタQ1のドレインおよびV+端子アセンブリ122は、
図2のV+ノードを形成する。
【0112】
[00153]MID-端子アセンブリ120は、電力モジュール100の側面Bの近くのトランジスタQ1(116)の上方に取り付けられる。MID-端子アセンブリ120は導電性であり、トランジスタQ1の上側面のソース接点に直接取り付けられる。MID-端子アセンブリ120は、トランジスタQ2のドレイン接点が直接結合する第2のトレース/パッド136まで延在し、直接結合する一体型ジャンパ120Jを含む。したがって、トランジスタQ2のドレイン接点、トランジスタQ1のソース接点、およびMID-端子アセンブリ20は、
図2のMIDノードを形成する。
【0113】
[00154]トランジスタQ1のゲートおよびソース-ケルビン接点(G1,K1)は、それぞれボンドワイヤ132を使用して、ピンアセンブリ124,126に電気的に結合される。同様に、トランジスタQ2のゲートおよびソース-ケルビン接点(G2,K2)は、それぞれボンドワイヤ132を使用して、ピンアセンブリ128,130に電気的に結合される。ピンアセンブリ124,126,128,130は、基板114の上面に直接取り付けられ、それらピンアセンブリが互いに電気的に絶縁されるだけではなく、高電力のV-ノード、V+ノード、およびMID-ノードからも電気的に絶縁される。ピンアセンブリ124,126,128,130、V-端子アセンブリ118、対向するMID-端子アセンブリ120、およびV+端子アセンブリ122の設計および形状に関する詳細は、以下でさらに提供される。特に、そのような設計は、電力モジュール100によって提供される電子機器に入力ノードまたは出力ノードを提供する追加のピンまたはピンアセンブリを含み得る。これらの追加のピンおよびピンアセンブリは、電流検知、温度検知、バイアスなどに使用できる。
【0114】
[00155]ここで、
図31の電力モジュール100の分解図を参照する。図の下から説明を始めると、トランジスタQ1,Q2を含む電力デバイス116は、デバイス取付材料(device attach material)140を使用して、取付位置138で第1のトレース134および第2のトレース136に取り付けられる。デバイス取付材料140は、はんだ、接着剤、焼結金属などであり得、機械的構造、高い電流相互接続、および高い熱伝導率を提供する。
【0115】
[00156]ピンアセンブリ118’,120’,124,126,128,130、V-端子アセンブリ118、MID-端子アセンブリ120、およびV+端子アセンブリ122は、単一のリードフレーム144から形成される。この実施形態では、ピンアセンブリ118’は、V-端子アセンブリ118からの延長であり、ピンアセンブリ120’は、MID-端子アセンブリ120からの延長である。ピンアセンブリ118’,120’,124,126,128,130の形状および使用に関するさらなる詳細は、以下でさらに提供される。
【0116】
[00157]V-端子アセンブリ118、MID-端子アセンブリ120、およびV+端子アセンブリ122の対応する底部分に接続される電力デバイス116および基板114の先端の部分は、リードフレーム取付材料142を使用して接続される。上述のように、リードフレーム取付材料142は、はんだ、接着剤、焼結金属、レーザ溶接、超音波溶接などであり、機械的構造、高電流相互接続、および高熱伝導率を提供する。リードフレーム144は、典型的には、高電流の外部接続および内部相互接続のための金属接点ストリップである。接点は、単一のシートにともに接合され、多くの場合、シート毎に複数の製品があり、形成および個別化される前にアレイとして処理される。
【0117】
[00158]ボンドワイヤ132は、通常、電力デバイス116の制御接点を様々なピンアセンブリ124,126,128,130に接続するために使用される。ボンドワイヤ132は、比較的高電流の電気的相互接続を支持することができる超音波または熱音波で結合された大径ワイヤであり得る。あるいは、ピンアセンブリ126,126,128,130は、電力デバイス116に、基板118上のトレースなどに直接結合され得る。ピンアセンブリ118’,120’は、それぞれのV-端子アセンブリ118およびMID-端子アセンブリ120と一体化され、本質的にこれらの延長部であるため、これらの接続にボンドワイヤは不要である。
【0118】
[00159]ハウジング112は、トランスファまたは射出成形プロセス(injection molding process)を使用して形成され、機械的構造および高電圧絶縁を提供し得る。ハウジング112は、電力モジュール110の内部部品をカプセル化する。ハウジング112に使用される成形化合物は、機械的構造、高電圧絶縁、熱膨張係数(CTE)マッチング、および低湿度吸収を提供できるトランスファまたは圧縮成形されたエポキシ成形化合物(EMC)であり得る。
【0119】
[00160]一般に、
図27~
図32に移って、特に
図29および
図30に示すように、V-端子アセンブリ118は、2つの端子レッグ118Lの間に存在する第1の細長バー118Bを含む。上述した電力モジュール10と電力モジュール100との間の顕著な相違点は、V-端子接点118Cが、V+端子アセンブリ122のV+端子接点122Cと同じ側に配置されるように、V-端子アセンブリ118が再構成されることである。この構成は、上述した電力モジュール10よりも電力デバイス116(Q2)との重なりが大きく、回路内インダクタンスが小さい、わずかにより最適化された母線(母線118B)を提供し得る。電力モジュール10では、V-端子接点18Cは両方とも、MID端子アセンブリ20のMID-端子接点20Cの対向する1つの側面に配置された。
【0120】
[00161]特に、それぞれの端子レッグ118Lは、第1のバー118Bから、電力モジュール100の対向する側面Cおよび側面Dに向かって外側に延在し、ハウジング112の一方の側面を通過し、ハウジング112の先端に向かって上向きに曲がり、その後、ハウジング112の先端の一部の上方で内側に向きを変えて、それぞれの対向するV-端子接点118Cを提供する形状を有する。端子レッグ118Lのおのおのの遠位部分は、その中間部分の上方で折り返される。V-端子アセンブリ118の第1のバー118Bの底部は、トランジスタQ2(電力デバイス116)のソース接点に直接取り付けられる。端子レッグ118Lの露出した遠位端におけるV-端子接点118Cは、V-端子アセンブリ118のための端子接点を提供する。
【0121】
[00162]MID-端子アセンブリ120は、2つの端子レッグ120Lの間に存在する第2の細長バー120Bを含む。第2のバー120Bおよび2つの端子レッグ120Lは、ともに、例示される実施形態においてU字形状を形成する。T字形状、V字形状、およびC字形状など、他の形状も想定される。端子レッグ120Lのおのおのは、第2のバー120Bの端部から電力モジュールの側面Bに向かって外側に延在し、ハウジング112の側面を通過し、ハウジング112の先端に向かって75度から105度の間の角度で、上向きに曲がるような形状を有する。他の実施形態は、70度から110度、80度から100度、85度から95度、および87度から93度の間の角度を含み得る。端子レッグ120Lの露出した遠位端は、MID-端子アセンブリ120のためのMID-端子接点120Cを提供する。
【0122】
[00163]上述した電力モジュール10と電力モジュール100との間の第2の顕著な相違点は、MID-端子接点120Cが、電力モジュール10(たとえば、
図3)で行われているように、ハウジング112の底面上に折り返されないことである。ピンアセンブリ120’,124,126と同様に、MID-端子接点120Cは、ハウジング112が存在する平面に対して実質的に垂直である。端子レッグ120Lは、効果的にL字形状を形成し、端子レッグ120Lの垂直部分は、MID-端子接点120Cを形成する。端子レッグ120Lは、第2のバー120Bから延在する。MID-端子アセンブリ120の第2のバー120Bの底部は、トランジスタQ1(電力デバイス116)のソース接点に直接取り付けられる。
【0123】
[00164]この実施形態におけるMID-端子アセンブリ120はまた、第2のバー120BからV-端子アセンブリ118の第1のバー118Bに向かって延在する、複数(2つ)の一体形成されたジャンパ120Jを含む。ジャンパ20Jの遠位端は、上述のように、基板114の上面上の第2のトレース136に直接取り付けられる。ジャンパ120Jは、単一のバーに置換され得る。さらに、ジャンパ120Jの数は、実施形態によって変動し得る。たとえば、上述の電力モジュール10には、3つのジャンパ120Jが提供された。特定の実施形態では、MID-端子アセンブリ120に結合される電力デバイス116ごとに、1つのジャンパ120Jが存在する。
【0124】
[00165]この実施形態では、MID-端子アセンブリ120の端子レッグ120Lおよび端子接点120Cは、従来式の、より容易に利用可能な側面溶接作業を使用して、より厚い外部母線への溶接を可能にする。MID-端子アセンブリ120は、電力モジュール100のAC出力を伝送するので、より厚い母線が、より高い電流の用途のために好ましいか、または必要とされ得る。
【0125】
[00166]対向するV+端子アセンブリ122のおのおのについて、一端は、基板114の先端上の第1のトレース134に直接取り付けられる。基板114から、対向する各端子122は、電力モジュール100の側面Cおよび側面Dに向かって外側に延在し、ハウジング112のそれぞれの側面を通過し、ハウジング112の先端に向かって上向きに曲がり、その後、ハウジング12の先端の一部の上方を内側に曲がる。このように、V+端子アセンブリ122のおのおのの遠位部分は、その中間部分の上方で折り返される。対向する端子122の露出した遠位端は、V+端子アセンブリ122のための端子接点122Cを提供する。
【0126】
[00167]特に
図29および
図30を参照して示すように、ネストされた信号ピンアセンブリ118’,120’,124,126、および信号ピンアセンブリ128,130のグループが、ハウジング112の対向する側面に提供される。ピンアセンブリ126,130は、T字形状であり、おのおのが、ピンバー126B,130Bと、それぞれのピンバー126,130の中央部分から延在するピンレッグ126L,130Lとを含む。ピンレッグ126L,130Lは、電力モジュール100の底側面に向かって約90度回転する前に、それぞれのピンバー130Bから横方向外側に延在する。
【0127】
[00168]ピンアセンブリ124,128は、一般にL字形状であり、おのおのが、ピンバー124B,128Bと、それぞれピンバー126,130の遠位部分から延在するピンレッグ124L,128Lとを含む。ピンレッグ126L,130Lは、それぞれのピンバー126B,130Bから横方向外側に延在し、ピンアセンブリ126,130のピンレッグ126L,130Lに向かって曲がり、外側に向かって約90度曲がり、その後、電力モジュール100の底側面に向かって約90度曲がる。他の実施形態は、75度から105度、70度から110度、80度から100度、85度から95度、および87度から93度の間の角度を含み得る。
【0128】
[00169]本質的に追加のピンレッグであるピンアセンブリ118’,120’は、それぞれのV-端子アセンブリ118およびMID-端子アセンブリ120の端子レッグ118L,120Lの一体延長部である。ピンアセンブリ118’は、母線118Bおよび/または端子レッグ118Lから横方向に延在してから、電力モジュール100の底側面に向かって約90度回転し、最終的にピンアセンブリ130のピンレッグ130Lに沿って延在する。ピンアセンブリ120’は、母線120Bおよび/または端子レッグ120Lから横方向に延在してから、電力モジュール100の底側面に向かって75度から105度回転し、最終的にピンアセンブリ126のピンレッグ126Lに沿って延びる。ピンアセンブリ130のピンレッグ130Lの端部分は、ピンアセンブリ118’の端部分と、ピンアセンブリ128のピンレッグ128Lとの間に存在する。他の実施形態は、70度から110度、80度から100度、85度から95度、および87度から93度の間の角度を含み得る。
【0129】
[00170]ピンアセンブリ118’をV-端子アセンブリ118から直接延在させることによって、ピンアセンブリ118’は、ピンアセンブリ118’とピンアセンブリ130Lとの間の電圧差を分析することによって、V-およびローサイドソースケルビン信号電圧(K2)に対応する、電流および過電流事象を感知するために使用することができる。同様に、ピンアセンブリ120’をMID-端子アセンブリ120から直接延在させることによって、ピンアセンブリ120’は、ピンアセンブリ120’とピンアセンブリ126との間の電圧差を分析することによって、V-およびハイサイドソースケルビン信号電圧(K1)に対応する、電流および過電流事象を感知するために使用することができる。概略的には、ピンアセンブリ118’およびピンアセンブリ120’は、
図1BのS2信号およびS1信号にそれぞれ対応する。
図1Aおよび
図1Bは本質的に同一であり、S1端子およびS2端子は、本実施形態のピンアセンブリ120’,118’に対応する。ボンドワイヤ132は、電力デバイス116を、ピンアセンブリ124,126,128,130のピンバー124B,126B,128B,130Bに電気的に接続する。
【0130】
[00171]特に
図27、
図28、および
図32を参照して示すように、電力モジュール100の内部機構は、トランスファ成形、圧縮成形、射出成形、または同様のプロセスによって保護プラスチックまたはエポキシハウジング112によって包まれる。ハウジング112のいくつかの注目すべき特徴は、以下で強調され、議論される。
図28および
図32に示されるように、電力基板114の裏面金属は、電力モジュール100の下面に露出され、熱パッド156を提供する。熱パッド156は、電力モジュール100から熱を除去するための熱接触面として使用される。熱パッド156は、電力モジュール100からの廃熱の除去をさらに支援するために、焼結、はんだ付け、エポキシ化、または同様にヒートシンクまたはコールドプレート(図示せず)に取り付けることができる。
【0131】
[00172]ハウジング112の特徴は、製造方法に基づいて変動し得る。例示される実施形態は、トランスファ成形の構造的特徴を代表している。
図27に例示されるように、4つの押さえピン痕跡157が図示されているが、電力モジュール100の全体的なサイズに応じて、より多くても少なくてもよい。押さえピン(図示せず)は、トランスファ成形プロセス(transfer molding process)中に電力基板を直接押し下げて、熱パッド156の露出部分のプラスチックブリード(plastic bleed)またはフラッシュ(flash)の量を制限する。これにより、熱面に破片がなく、効率的に熱を除去することができる。ハウジング112の周囲にエジェクタマーク158もある。エジェクタマーク158は、電力モジュール100をまだ熱いうちに金型(図示せず)から取り出すために使用されるエジェクタピン(図示せず)によって作られる小さな窪みである。これらの特徴の特定の場所と関連付けられた形状は、特定の製品サイズと実装によって異なる。
【0132】
[00173]クリアランスおよび沿面は、高電圧製品にとって重要な態様であり得る。異なる電位の導体間のクリアランスは、導体間の空気中の最短の直接経路である。沿面は、導体間の表面に沿った最短の直接経路である。安全基準を満たすことは困難であり、多くの場合、製造方法(ツーリング、エポキシフローなど)および製品サイズ(設置面積と出力密度)と相容れない。小型のトランスファ成形パッケージ、特に薄型で高電圧のSiCベースの製品では、適切な平準化の達成は困難である。
【0133】
[00174]特定の実施形態では、クリアランス距離は適切であり、基準内である。沿面距離を増加させ、対応して最大許容電圧を増加させるために、前述した電力モジュール10について
図14Aおよび
図14Bに例示されるような、沿面拡張部60が使用される。沿面拡張部60は、異なる電位にある導体間の表面距離を拡張する溝、リップル(ripple)、または他の表面増強物である。
【0134】
[00175]上述したように、電力モジュールには2つのカテゴリの電気ループ、すなわち、電力ループと信号ループとがある。電力ループは、トランジスタQ1,Q2のドレイン(またはコレクタ)およびソース(またはエミッタ)を介して負荷に電力を供給するための、トランジスタQ1,Q2を通過する高電圧、高電流経路であり、負荷は、通常、MID-端子アセンブリ120に接続される。信号ループは、トランジスタQ1,Q2のゲートG1,G2(またはベース)およびソースS(またはエミッタ)を通過する低電圧、低電流経路である。ゲート-ソース(またはベース-エミッタ)信号経路は、トランジスタQ1,Q2を作動させて、トランジスタQ1,Q2を効果的にオンまたはオフにする。以下に詳述するように、信号ループはまた、トランジスタQ1,Q2のソース-ケルビン接続K1,K2を伴い得る。
【0135】
[00176]電力ループは効果的に、V+端子アセンブリ122とV-端子アセンブリ118との間に延びている。V+端子アセンブリ122およびV-端子アセンブリ118は、典型的には、大きなキャパシタンスと並列のバッテリなどのDC電源の両側に接続される。
【0136】
[00177]対向するV+端子アセンブリ122は、基板114上の第1のトレース134の対向する端部に直接取り付けられる。電力は、2つのV+端子アセンブリ122の接点122Cおよびレッグ122Lを通って電力モジュール100に流れ込む。したがって、電力は、端子アセンブリ122を介して基板114上の第1のトレース134の両端に流れ、トランジスタQ1のドレイン接点に流れる。トランジスタQ1のドレイン接点は、トランジスタQ1の底部にあり、第2のトレース136にも直接取り付けられる。トランジスタQ1は、2つのV+端子アセンブリ22が第1のトレース134に取り付けられる点の間で第1のトレース134に取り付けられ、トランジスタQ1は、互いに、および2つのV+端子アセンブリ122の取り付け点から等間隔に離間されている。
【0137】
[00178]電力は、その後、トランジスタQ1のドレインからトランジスタQ1のソースまで、トランジスタQ1を通って上向きに流れる。トランジスタQ1のソースは、エンボスEにおいて、中間端子アセンブリ20の第2のバー120Bの底側面に取り付けられる。中間端子アセンブリ120の中間端子ジャンパ120Jは、中間端子アセンブリ120の第2のバー120Bを、基板114上の第2のトレース136に接続する。トランジスタQ2のドレインは、第2のトレース136に直接取り付けられ、互いに等間隔に離間されている。トランジスタQ2のドレインから、電力は、トランジスタQ2を通ってトランジスタQ2のソースに流れる。トランジスタQ2のソースは、エンボスEにおいて、V-端子アセンブリ118の第1のバー118Bの底側面に直接接続される。したがって、電力は、第1のバー118Bに沿って、対向するレッグ118Lを介してV-端子アセンブリ118の接点118Cに流れる。
【0138】
[00179]特に
図29および
図30を参照して示すように、V-端子アセンブリの第1のバー118BおよびMID-端子アセンブリの第2のバー120Bのおのおのに、複数のエンボスEを設けることができる。エンボスEは、電力デバイス116のおのおのの上方に設けられ、第1のバー118Bおよび第2のバー120Bの部分を、電力デバイスの先端に向かって下方に延在するように機能する。したがって、第1のバー118Bおよび第2のバー120Bの残りの非エンボス部分により、基板114の先端と、第1のバー118Bおよび第2のバー120Bの底部との間に、より多くの空間ができる。この追加の空間は、ハウジング112を形成するのに使用される成形化合物を、この領域に流入させて充填するのに必要な圧力量を低減することによって、ハウジング112の製造を助ける。
【0139】
[00180]第1のバー118Bおよび第2のバー120Bはまた、基板114上の押さえ位置に対応する窪み領域を有する。前の実施形態で述べたように、押さえピン(図示せず)は、トランスファ成形プロセスで使用され、押さえピンは、一般に、基板114を直接押して、電力モジュール100のコンポーネントの一部またはすべてを、ハウジング112が形成されている適所に保持する。
【0140】
[00181]対称なV+端子アセンブリ122および対称なV-端子アセンブリ118を使用することによって、デバイス間の電流共有が平準化され、より小さな外部接点を使用することができ、これは、リードフレームのパネル化に役立ち、インダクタンスは、電力ループの全体的な電流経路を短縮することによって大幅に低減される。以下にさらに説明されるように、V-端子アセンブリ118、MID-端子アセンブリ120、およびV+端子アセンブリ122の接点118C,120C,122Cは、レーザ溶接、はんだ、超音波溶接、機械的結合(クランプ、スプリングなど)、導電性接着剤、または他の任意の導電性結合を使用して、電気的に結合された外部相互接続であり得る。
【0141】
[00182]電流は、閉回路を通って流れる必要がある。したがって、パッケージ自体の浮遊インダクタンスだけが、全ループインダクタンスに寄与する要因ではない。電力供給、外部バス配線およびワイヤリング、ならびに電力モジュール100自体にわたって提供される電力供給およびコンデンサの容量を含む全ループのインダクタンスを考慮すべきである。このように、電力モジュール100の内部レイアウトは、低インダクタンスでなければならないだけでなく、V-端子アセンブリ118、MID-端子アセンブリ120、およびV+端子アセンブリ122の位置も、低インダクタンス積層バス配線または類似の相互接続方法が、電力モジュール100を、DC電源に接続することを可能にする必要がある。
【0142】
[00183]この実施形態では、各トランジスタ(Q1,Q2)位置の信号ループ、またはゲート接続およびソース接続も、低インピーダンスの恩恵を受けて、スイッチング中のトランジスタQ1,Q2のゲートへの電圧応力を最小化する。さらに、電力ループおよび信号ループは互いに独立しており、高速で十分に制御されたダイナミクスでスイッチング損失を低く抑えることができる。
【0143】
[00184]この実施形態の内部信号ループは、
図11に示されるものと同様である。トランジスタQ1の信号ループは、G1ピンアセンブリ124に流れて通過し、その後、ボンドワイヤ132を通過してトランジスタQ1のゲート接点に流れ、ここで、信号が、トランジスタQ1に与えられる。信号ループは、トランジスタQ1のソース接点を介してトランジスタQ1から流れる。ソース接点から、信号ループは、別のボンドワイヤ132を通って流れ、K1ピンアセンブリ126に直接流れ、K1ピンアセンブリ126を通過する。
【0144】
[00185]同様に、トランジスタQ2の信号ループは、G2ピンアセンブリ128に流れて通過し、その後、ボンドワイヤ132を通過してトランジスタQ2のゲート接点に流れ、ここで、信号がトランジスタQ2に与えられる。信号ループは、トランジスタQ2のソース接点を介してトランジスタQ2から流れる。ソース接点から、信号ループは、別のボンドワイヤ132を通って流れ、K2ピンアセンブリ130に直接流れ、K2ピンアセンブリ130を通過する。図示されるように、これは電力ループと信号ループとが完全に独立している真のソース-ケルビン実装である。
【0145】
[00186]電力ループの長さを最小限に抑えるために、V-端子アセンブリ118およびMID-端子アセンブリ120用の縁電力接点の一部またはすべてが、ピンアセンブリ124,126,128,130などの信号接点と比較して、ハウジング112の縁から挿入され得る。ピンアセンブリ124,126,128,130によって提供される信号接点は、デバイスからのボンドワイヤ132をよりよく収容するために、より多くの空間を必要とする。したがって、それらのハウジング部分は、ハウジング112全体の縁から外に延在する。この輪郭のある特徴により、独立した電力ループおよび信号ループのおのおののインダクタンスを最適化できる。
【0146】
[00187]上述のように、端子およびピンアセンブリ118~130は、リードフレーム144から形成され、機能を組み合わせて、高電流内部相互接続、ボンドワイヤ位置、および外部端子接触面を提供する。リードフレーム144の一部または部分は、トランジスタQ1,Q2の上側面ソースパッドへ、および基板114への両方に取り付けられる。リードフレーム144は、はんだ付け、焼結、導電性エポキシ、レーザ溶接、超音波溶接などを含むいくつかの手法で、様々なコンポーネントに取り付けることができる。
図18に図示されるように、穴、スロット、フェザリング縁(feathered edge)などの表面強化機能は「はんだまたはエポキシキャッチ(epoxy catch)」と称され、結合の強度を強化するために使用できる。
【0147】
[00188]上側面ソースパッドに直接取り付けられるリードフレーム144上のストリップは、いくつかの際立った特徴を有し得る。パッケージ化されるデバイスの特定のレイアウトに応じて、様々なはんだキャッチ実装がある。また、熱膨張による応力緩和(thermal expansion stress relief)と、強化された成形フローのために、デバイス間にリップル(図示せず)を含めることもできる。応力緩和のさらなる手段として、リードフレーム144の様々な屈曲を使用することができる。
【0148】
[00189]リードフレーム144は、エッチングまたはスタンピングプロセスのいずれかで、板金から製造される。この一例が、
図33Aおよび
図33Bに表される。接点機能および内部機能は、狭いタブによって外部フレームに接合される。パネルやマガジンでの処理を合理化するために、板金の多くは、最初は平坦である。内側の曲げのみが形成される。製品の製造中、アセンブリに必要な複数の加熱プロセスが原因で、大きな銅領域を分割するために熱膨張スロットが追加される。これらは、アセンブリの膨張と反り(warpage)を制限する。
【0149】
[00190]リードフレーム144が電力デバイス116および基板114に取り付けられ、ワイヤボンドされ、成形された後、接合タブの位置で外側フレームから切り離される。外部接点の曲げは、多くの場合、手続き的なステップと、選択的なトリミングとによって折り曲げて形成される。
【0150】
[00191]自動化された量産製品のために、これらのリードフレーム144はしばしばアレイにパターン化される。これらのアレイは複数の機械で取り扱われ、多くの場合、マガジンまたはラックからロードされる。上縁および底縁の穴は、固定、位置決め、キーイング、および取扱いのために使用される。4つのリードフレーム144を有する例示的なリードフレームアレイ164が、
図34に図示される。リードフレーム144およびリードフレームアレイ164の特定の特徴は、製品の構成、製品サイズのバリエーション、および製造機器のタイプによって異なる。
【0151】
[00192]
図35および
図36は、電力モジュール100のより広い変形例の底面図および先端等角図である。上述したように、より広い変形例は、ローサイドおよびハイサイドトランジスタのためのより多くの電力デバイス116の包含をサポートし、これは一般に、電力モジュール100のための、より高い電力取扱処理能力に対応する。
【0152】
[00193]上述した電力モジュール10および電力モジュール100は、多くの同じ要素、ならびにいくつかの独自の要素を有する。これら要素のおのおのは、任意の組合せで組み合わせることができる。たとえば、エンボスEおよび独自のピンアセンブリ118’,120’,124,126,128,130を、電力モジュール10に組み込むことができる。
【0153】
[00194]炭化ケイ素(SiC)電力デバイスは、高電圧阻止、低いオン抵抗、高電流、高速スイッチング、低いスイッチング損失、高い接合温度、および高い熱伝導率を含む、高レベルの性能上の利点を提供する。最終的に、これらの特性により、面積または体積毎の処理電力である、潜在的な電力密度が大幅に増加する。
【0154】
[00195]しかしながら、この可能性を達成するには、パッケージおよびシステムレベルで重大な課題に対処する必要がある。より高い電圧、電流、およびスイッチング速度は、より小さく、より制限された領域に適用される非常に高い物理的応力に現れる。SiC技術が提供するものを十分に活用するために、次の課題のうちの1つまたは複数が対処される。
・パッケージ内(内部レイアウト)とパッケージ外(相互接続)との両方で共通の回路トポロジを提供する。
・伝導損失およびスイッチング損失からの廃熱を、デバイスから除去する。
・高電圧電位間の効果的な電気絶縁を提供する。
・高速スイッチング中の高電圧のオーバーシュートを最小限に抑えるために、低電力ループインダクタンスを提供する。
・ゲート電圧のオーバーシュートと発振を最小限に抑えるために、低い信号ループインダクタンスを達成する。
・電力デバイスの並列化のために内部レイアウトを最適化して、動的および定常状態の電流共有を達成する。
・過熱なしで高電流を流すために、低い電力ループ抵抗を提供する。
・モジュールの並列接続に適した外部端子配置を提供し、回路トポロジへの簡単な配置を特徴付ける。
・電力デバイスの平準化された配置を提供する。
【0155】
[00196]パッケージコンポーネントの内部レイアウトまたは物理的配置は、これらの要因のおのおのに顕著な影響を与える。パッケージの内部のデバイスの数が増加するにつれて、最適なレイアウトを実現することはますます困難になる。並列接続は、パッケージの電流能力を向上させるためのSiCデバイスの一般的な技法である。より多くのデバイスを並列に接続すると、熱拡散、電力ループインダクタンス、信号ループインダクタンス、およびパッケージサイズの間のトレードオフを平準化することが次第に困難になる。ハーフブリッジトポロジを形成すると、電力ループインダクタンスや、スイッチ位置間の均等な熱伝達などの重要なパラメータが、いっそう設計上の課題になるため、レイアウト上の課題がさらに増える。
【0156】
[00197]性能に加えて、広範な市場および用途にアピールするために、コストは低く保たれるべきである。コスト削減に役立ついくつかの技法は、以下を含む。
・同じコンポーネントから複数の機能を提供することにより、個々のコンポーネントの使用を制限する。
・設計を通じて、各コンポーネントの機能およびパフォーマンスを最適化する。
・二次動作または終了動作の要件を制限する。
・高収率で知られている従来の、または確立された製造方法を使用する。
・可能であれば、パネル、ストリップ、アレイ、マガジンなどを使用して、バッチ処理または連続処理を使用する。
・ストリップまたはパネルで製造される部品のサイズを決定して、その原材料を最大限に活用するなど、サブコンポーネントの製造方法に基づいて、パッケージのサイズと形状を最適化する。
【0157】
[00198]最終的に、内部スケーラビリティと外部モジュール性との組合せは、広範囲のシステム要件に適用できる高度に適応可能なコアレイアウトとなる。
[00199]本開示は、以下に関するが、これらに限定されない。
・次世代のSiC製品向けに高度に最適化されたハーフブリッジパッケージ設計。
・(より大きなデバイス、またはより多くの並列化によって)より多くのSiC領域を可能にするために、パッケージを長くしたり広げたりすることによって製品を実装できるスケーラブルなレイアウト。
・複数のパッケージを並列接続したり、共通の回路トポロジに配置したりするのを容易にするための、外部端子位置へのモジュール式のアプローチ。
・超低インダクタンスの、平準化された電力ループレイアウト。
・低インダクタンスの、平準化された信号ループレイアウト。
・信号ループの真のケルビン実装。
・左回りまたは右回りの信号ピンの互換性。
・独自部品の使用数を最小限に抑えることによる低コスト化。
・電力基板面積の最小化による低コスト化。
・リードフレームアレイ処理による低コスト化。
・よく採用されているリードフレームアレイ処理とトランスファ成形とを利用した高い製造性。
・パッケージの上側面と底側面に成形された電圧沿面拡張部。
・リードフレームへのデバイス上側面の直接電力接続。
【0158】
[00200]上記で提供される概念は、上記のうちの1つ、いくつか、またはすべてに対処して、独特で斬新な電力モジュール10および100を提供する。当業者は、本開示に対する改良および変形を認識するであろう。そのような改良および変形はすべて、本明細書に開示された概念の範囲内であるとみなされる。
【国際調査報告】