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特表2023-549744ペデスタル近傍のプラズマチャンバの周囲の磁気材料シールド
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  • 特表-ペデスタル近傍のプラズマチャンバの周囲の磁気材料シールド 図1A
  • 特表-ペデスタル近傍のプラズマチャンバの周囲の磁気材料シールド 図1B
  • 特表-ペデスタル近傍のプラズマチャンバの周囲の磁気材料シールド 図2A
  • 特表-ペデスタル近傍のプラズマチャンバの周囲の磁気材料シールド 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ペデスタル近傍のプラズマチャンバの周囲の磁気材料シールド
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20231121BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20231121BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231121BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231121BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H05H1/46 A
C23C16/44 B
H01L21/31 C
H01L21/302 101B
C23C16/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527319
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021057195
(87)【国際公開番号】W WO2022098567
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】17/088,407
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コノス ジョセフ, ジョブ ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ガンタ, サティヤ スワループ
(72)【発明者】
【氏名】ベラ, カロル
(72)【発明者】
【氏名】グエン, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ピンソン, ジェイ ディー., ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】ダナクシルル, アクシャイ
(72)【発明者】
【氏名】アラヤヴァリ, カウシク コマンドア
(72)【発明者】
【氏名】ライ, カンフェン
(72)【発明者】
【氏名】トアン, レン-コアン
(72)【発明者】
【氏名】サン, ジェニファー ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】カラル, アニル クマール
(72)【発明者】
【氏名】パーンデー, アブヒシェク
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB14
2G084BB27
2G084BB28
2G084CC04
2G084CC05
2G084CC08
2G084CC09
2G084FF02
2G084FF04
2G084FF15
2G084FF27
2G084FF28
2G084FF29
4K030FA01
4K030KA08
5F004AA01
5F004AA15
5F004BA03
5F004BA09
5F004BB08
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB28
5F004BB29
5F004BD04
5F004CB01
5F004DA17
5F004DA26
5F004DA27
5F045AA08
5F045AC02
5F045AC11
5F045BB02
5F045DP03
5F045EB03
5F045EB06
5F045EC02
5F045EC05
5F045EF05
5F045EH14
5F045EH16
5F045EH18
5F045EH19
5F045EJ03
5F045EM05
5F045GB08
(57)【要約】
プラズマチャンバは、内部に処理領域を有するチャンバ本体と、チャンバ本体上に配置され、処理領域を囲むライナと、ライナ内に配置された基板支持体と、ライナの周囲に配置された複数の磁石を備えた磁石アセンブリと、ライナの周囲に配置された磁気材料シールドであって、基板支持体の近傍の処理領域を封入する磁気材料シールドとを含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に処理領域を有するチャンバ本体、
前記チャンバ本体上に配置され、前記処理領域を囲むライナ、
前記ライナ内に配置された基板支持体、
前記ライナの周囲に配置された複数の磁石を備えた磁石アセンブリ、及び
前記ライナの周囲に配置された磁気材料シールドであって、前記基板支持体の近傍の前記処理領域を封入する磁気材料シールド
を備えているプラズマチャンバ。
【請求項2】
前記磁気材料シールドが、50,000以上の相対的透磁率を有する高透磁率磁気材料を含む、請求項1に記載のプラズマチャンバ。
【請求項3】
前記高透磁率磁気材料が、ニッケル-モリブデン合金を含む、請求項2に記載のプラズマチャンバ。
【請求項4】
前記磁石アセンブリの周囲に形成され、前記複数の磁石から発生する磁界を前記処理領域に閉じ込めるスリーブをさらに備えている、請求項1に記載のプラズマチャンバ。
【請求項5】
前記磁気材料シールドが、前記チャンバ本体の長さの方向に延在する円筒形状である、請求項1に記載のプラズマチャンバ。
【請求項6】
前記磁気材料シールドが、前記チャンバ本体の長さの方向に2インチと10インチとの間の長さを有する、請求項5に記載のプラズマチャンバ。
【請求項7】
前記磁気材料シールドが、前記チャンバ本体の長さの方向において前記磁石アセンブリから一定の距離に位置付けされている、請求項5に記載のプラズマチャンバ。
【請求項8】
プラズマチャンバにおいて使用するためのシールドであって、
50,000以上の相対的透磁率を有する高透磁率磁気材料を備え、
前記高透磁率磁気材料が、プラズマチャンバのチャンバ本体内に配置されたライナの周囲に位置付けされるように構成され、
前記高透磁率磁気材料が、前記プラズマチャンバの処理領域を封入するように構成されている、シールド。
【請求項9】
前記高透磁率磁気材料が、ニッケル-モリブデン合金を含む、請求項8に記載のシールド。
【請求項10】
前記高透磁率磁気材料が、前記チャンバ本体の長さの方向に延在する円筒形状である、請求項8に記載のシールド。
【請求項11】
前記高透磁率磁気材料が、前記チャンバ本体の長さの方向に2インチと10インチとの間の長さを有するように成形されている、請求項10に記載のシールド。
【請求項12】
前記高透磁率磁気材料が、前記チャンバ本体の長さの方向において前記ライナの周囲に配置された磁石アセンブリから一定の距離に位置付けされている、請求項10に記載のプラズマチャンバ。
【請求項13】
リッドアセンブリ、
スペーサによって前記リッドアセンブリに連結されたチャンバ本体であって、前記スペーサ及び前記チャンバ本体が、処理領域を画定する、チャンバ本体、
前記処理領域の外側で前記スペーサに連結された回転可能な磁石アセンブリ、
前記処理領域内に配置されかつ移動可能な基板支持体であって、前記基板支持体を昇降させるように構成されたアクチュエータに連結された基板支持体、及び
前記スペーサの周囲に配置された磁気材料シールドであって、前記基板支持体の近傍の前記処理領域を封入する磁気材料シールド
を備えている処理チャンバ。
【請求項14】
前記リッドアセンブリが、熱交換器を備えている、請求項13に記載の処理チャンバ。
【請求項15】
前記スペーサが、複数の加熱素子を備えている、請求項13に記載の処理チャンバ。
【請求項16】
前記スペーサが、前記処理領域を囲むライナを備えている、請求項13に記載の処理チャンバ。
【請求項17】
前記回転可能な磁石アセンブリが、複数の磁石を備えている、請求項13に記載の処理チャンバ。
【請求項18】
前記磁気材料シールドが、50,000以上の相対的透磁率を有する高透磁率磁気材料を含む、請求項13に記載の処理チャンバ。
【請求項19】
前記磁気材料シールドが、前記チャンバ本体の長さの方向に2インチと10インチとの間の長さを有する、請求項13に記載の処理チャンバ。
【請求項20】
前記磁気材料シールドが、前記チャンバ本体の長さの方向において前記回転可能な磁石アセンブリから一定の距離に位置付けされている、請求項13に記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、半導体処理装置に関し、より具体的には、処理領域内のプラズマ密度プロファイルを調整するための、プラズマチャンバ内に配置された基板支持体の近傍の処理領域を封入する、プラズマチャンバの周囲に配置された高透磁率磁気材料シールドに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]プラズマ化学気相堆積(PECVD)のような基板の低圧プラズマ処理では、永久磁石のアセンブリを用いてプラズマ密度プロファイルを制御し、プラズマをプラズマチャンバ内に閉じ込めることで平均的なプラズマ密度を高め、結果的に材料の堆積及び堆積速度の均一性が向上する。従来、チャンバ内で発生する磁界を感応機器又はチャンバの外部の隣接チャンバから遮蔽するために、永久磁石のアセンブリは、固定位置でシールド内に収容されている。しかしながら、固定位置に配置された永久磁石のアセンブリによって発生する磁界が適切に調整されないことがあるため、材料の堆積及び堆積速度の均一性をさらに向上させるためのプラズマ密度プロファイルの調整が行われない場合がある。
【0003】
[0003]したがって、プラズマチャンバの処理領域における磁界プロファイルの調整を可能にしながら、隣接するチャンバとの相互作用を避けるためにチャンバ内の磁界がチャンバ外部に漏れることを防止する、改良されたシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示の実施形態は、プラズマチャンバを提供する。プラズマチャンバは、内部に処理領域を有するチャンバ本体と、チャンバ本体上に配置され、処理領域を囲むライナと、ライナ内に配置された基板支持体と、ライナの周囲に配置された複数の磁石を備えた磁石アセンブリと、ライナの周囲に配置された磁気材料シールドであって、基板支持体の近傍の処理領域を封入する磁気材料シールドとを含む。
【0005】
[0005]本開示の実施形態は、プラズマチャンバにおいて使用するためのシールドをさらに提供する。シールドは、50,000以上の相対的透磁率を有する高透磁率磁気材料を含む。高透磁率磁気材料は、プラズマチャンバのチャンバ本体内に配置されたライナの周囲に位置付けされるように構成されており、高透磁率磁気材料は、プラズマチャンバの処理領域を封入するように構成されている。
【0006】
[0006]本開示の実施形態は、処理チャンバをさらに提供する。処理チャンバは、リッドアセンブリと、スペーサによってリッドアセンブリに連結されたチャンバ本体であって、スペーサ及びチャンバ本体が、処理領域を画定する、チャンバ本体と、処理領域の外側でスペーサに連結された回転可能な磁石アセンブリと、処理領域内で配置されかつ移動可能な基板支持体とを含む。基板支持体が、基板支持体を昇降させるように構成されたアクチュエータに連結されており、磁気材料シールドが、スペーサの周囲に配置され、磁気材料シールドが、基板支持体の近傍の処理領域を封入する。
【0007】
[0007]本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができる。そのうちの幾つかの実施形態は添付の図面で例示されている。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】一実施形態に係る、例示的な処理チャンバの概略断面図である。
図1B】一実施形態に係る、例示的な処理チャンバの概略断面図である。
図2A】一実施形態に係る、チャンバ本体の等角図である。
図2B】一実施形態に係る、チャンバ本体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0010]理解を容易にするために、可能な場合には、図面で共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号が使用された。さらなる記述がなくても、ある実施形態の要素及び特徴を他の実施形態に有利に組み込むことができるように意図されている。
【0010】
[0011]本開示の実施形態は、概して、半導体処理装置に関し、より具体的には、プラズマチャンバ内に配置された基板支持体の近傍の処理領域を封入する、プラズマチャンバの周囲に配置された高透磁率磁気材料シールドに関する。プラズマ化学気相堆積(PECVD)のような基板の低圧プラズマ処理では、チャンバ本体上に置かれた永久磁石のアセンブリを用いてプラズマ密度プロファイルを制御し、プラズマをプラズマチャンバ内に閉じ込めることで平均的なプラズマ密度を高め、結果的に材料の堆積及び堆積速度の均一性が向上する。本明細書に記載された実施形態は、プラズマチャンバ内に配置された基板支持体の近傍の処理領域を封入する、プラズマチャンバの周囲に配置された磁性材料シールドを提供する。磁性材料シールドは、処理領域における磁界プロファイル、すなわち、プラズマ密度プロファイルを調整して、材料の堆積及び堆積速度の均一性の向上を達成する。
【0011】
[0012]図1A及び図1Bは、堆積プロセスを実施するのに適した例示的な処理チャンバ100の概略断面図である。
【0012】
[0013]処理チャンバ100は、リッドアセンブリ102、チャンバ本体106上の配置されたスペーサ104、及び基板支持体108を含む。リッドアセンブリ102は、面板110及び熱交換器112を含む。チャンバ本体106は、スペーサ104によってリッドアセンブリ102に連結されている。
【0013】
[0014]リッドアセンブリ102は、処理ガス源114に連結されている。処理ガス源114は、基板支持体108に支持された基板Wに膜を形成するための前駆体ガスを含む。処理ガス源114は、リッドアセンブリ102内に配置されたプレナム116に前駆体ガスを供給する。リッドアセンブリ102は、前駆体ガスを処理ガス源114からプレナム116内へ誘導するための1つ又は複数のチャネルを含む。プレナム116から前駆体ガスが処理領域118内に流入する。幾つかの実施形態では、別の処理ガス源(図示せず)が、スペーサ104を貫通する注入口(図示せず)を介して、処理領域118に流体的に連結されている。
【0014】
[0015]リッドアセンブリ102は、任意選択的な遠隔プラズマ源120にも連結されている。遠隔プラズマ源120は、リッドアセンブリ102と基板Wとの間の、スペーサ104の内部に形成された処理領域118に洗浄ガスを供給するための洗浄ガス源122に連結されている。一実施例では、洗浄ガスは、リッドアセンブリ102を通して軸方向に形成された中央導管124を通して供給される。別の実施例では、洗浄ガスは、前駆体ガスを誘導するチャネルと同じチャネルを通して供給される。例示的な洗浄ガスとしては、酸素及び/若しくはオゾンなどの酸素含有ガス、並びにNFなどのフッ素含有ガス、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0015】
[0016]遠隔プラズマ源120に加えて、又は遠隔プラズマ源の代替として、リッドアセンブリ102が、第1の高周波(RF)電源126にさらに連結されている。第1のRF電源126は、洗浄ガスから発生するプラズマなどのプラズマの維持又は発生を容易にする。一実施例では、遠隔プラズマ源120が省かれており、洗浄ガスは、第1のRF電源126を介して、インシトゥ(その場)でプラズマへイオン化される。基板支持体108は、第2のRF電源128に連結されている。第1のRF電源126は、高周波RF電源(例えば、約13.56MHz~約120MHz)であってもよく、第2のRF電源128は、低周波RF電源(例えば、約2MHz~約13.56MHz)であってもよい。他の周波数も想定されることに留意されたい。幾つかの実装形態では、第2のRF電源128は、混合周波数RF電源であり、高周波数と低周波数の両方の電力を供給する。二重周波数RF電源を、特に第2のRF電源128のために利用することにより、膜堆積が改善される。一実施例では、第2のRF電源128を利用することで、2つの周波数の電力が供給される。約2MHzから約13.56MHzの第1の周波数は、堆積された膜への種の注入を改善するが、約13.56MHzから約120MHzの第2の周波数は、膜のイオン化及び堆積速度を向上させる。
【0016】
[0017]処理領域118内にプラズマを生成又は維持するために、第1のRF電源126及び第2のRF電源128の一方又は両方が利用される。例えば、(単独で又は遠隔プラズマ源120と共に)第2のRF電源128を堆積プロセス中に利用してもよく、第1のRF電源126を洗浄プロセス中に利用してもよい。幾つかの堆積プロセスでは、第1のRF電源126は、第2のRF電源128と共に使用される。堆積又はエッチングプロセスの間、第1のRF電源126及び第2のRF電源128の一方又は両方が、処理空間118内に約100ワット(W)から約20,000Wの電力を供給し、前駆体ガスのイオン化を促進する。幾つかの実施形態では、第1のRF電源126及び第2のRF電源128の少なくとも一方がパルス化される。
【0017】
[0018]基板支持体108は、Z方向の移動をもたらすアクチュエータ(図示せず)に連結されている。基板支持体108は、可撓性の設備ケーブル130にも連結されており、これにより、第2のRF電源128との通信だけでなく、他の電力接続及び流体接続を維持しながら、基板支持体108の垂直移動が可能となる。スペーサ104がチャンバ本体106上に配置される。スペーサ104の一定の高さにより、処理領域118内での基板支持体108の垂直移動が可能となる。スペーサ104の高さは、約0.5インチと約20インチとの間である。一実施例では、基板支持体108は、リッドアセンブリ102に対して、第1の距離132A(図1Aに示す)から第2の距離132B(図1Bに示す)へ移動可能である。一実施形態では、第2の距離132Bは、第1の距離132Aの約3分の2である。例えば、第1の距離132Aと第2の距離との差は、約5インチから約6インチである。
【0018】
[0019]処理チャンバ100は、基板搬送口134をさらに含む。基板搬送口134は、ドア136によって選択的に封止される。ドア136は、処理領域118の真空封止を促進する。ドア136は、処理領域118内で対称的なRF印加及び/又はプラズマ対称性をもたらす。一実施例では、ドア136は、ステンレス鋼、アルミニウム、又はそれらの合金など、RF電力の導電を促進する材料で形成されている。
【0019】
[0020]スペーサ104は、処理領域118を囲むライナ138を含む。幾つかの実施形態では、スペーサ104及びライナ138は、単一の部材で作られている。ライナ138は、スペーサ104に接合(例えば、拡散接合)されてもよい。
【0020】
[0021]スペーサ104は、スペーサ104の本体に埋め込まれるか、又は熱的に連通している複数の加熱素子140をさらに含む。加熱素子140は、スペーサ104の温度を約80℃以上に維持するために利用される。加熱素子140の各々は、カートリッジヒータであってもよい。
【0021】
[0022]ライナ138は、処理領域118に露出される内部表面142を含む。幾つかの実施形態では、内部表面142は、アルミニウム、チタン、又はそれらの合金を含む1つ又は複数の材料を含み得る。ライナ138の内部表面142は、アルミニウム、チタン、又はそれらの合金のうちの1つ又は複数でコーティングされてもよい。幾つかの実施形態では、内部表面142は、1つ又は複数のセラミック含有材料を含んでもよい。一実施例では、ライナ138は、リッドアセンブリ102から、基板支持体108を越えて、処理チャンバ100の底部に隣接するところまで延びる。かような実施例では、ライナ138は、処理チャンバ100の底部を接触せずに、そこから離隔される場合がある。
【0022】
[0023]スペーサ104は、磁石アセンブリ146をさらに含む。磁石アセンブリ146は、ライナ138の周囲に配置された複数の磁石148を含み得る。磁石148は、アクチュエータ(図示せず)に連結され、処理チャンバ100の長手方向軸150の周りを回転する。磁石148は、長手方向軸150に沿って垂直方向(Z方向)に移動するように適合され得る。各々の磁石148は、任意の形状の永久磁石、又は電磁石、又はそれらの組合せであってよい。幾つかの実施形態では、複数の磁石148が、スペーサ104の周囲に円形に配置される。複数の磁石148は、2つの半円状に配置される。第1の半円状の各々の磁石148(図2A及び図2Bでは148aと示される)は、N極が基板支持体108に向くように(長手方向軸150に対して実質的に平行に)配向されている。第2の半円状の各々の磁石148(図2A及び図2Bでは148bと示される)は、S極が基板支持体108に向くように(長手方向軸150に対して実質的に平行に)配向されている。
【0023】
[0024]磁石アセンブリ146は、処理領域118におけるプラズマの閉じ込め及び/又は調整を補助する。磁石アセンブリ146は、堆積プロセス中、処理領域118内に共振キャビティ170をさらに形成する。共振キャビティ170は、プラズマシースを基板Wに向けて垂直下方(Z方向)に伸ばす磁束を提供する。
【0024】
[0025]磁石アセンブリ146は、X/Y平面に、並びにZ方向に磁界をもたらす。磁石アセンブリ146は、処理領域118及び/又は共振キャビティ170内のプラズマの調整も可能にする。プラズマ中の渦電流をモニタリングして、磁石148の位置及び磁石148の回転速度の一方又は両方を調整するための測定基準を定めることができる。追加的に又は代替的に、基板W上にあらかじめ堆積させた膜の計測を行い、その結果を利用して磁石148の位置及び/又は回転速度を変化させることもできる。したがって、共振キャビティ170及び磁石アセンブリ146は、基板上の膜のより優れた均一性をもたらす。
【0025】
[0026]各々の磁石148は、スペーサ104のスリーブ154内に形成されたキャビティ152内に位置決めされる。一実施例では、磁石148は、加熱素子140の下方に位置付けされる。スリーブ154の材料及び厚さは、スリーブ154の透磁率を制御することによって、磁石148が発生させる磁界を処理領域118に閉じ込めることを可能とする。磁界を処理領域118に閉じ込めることで、隣接する処理チャンバの近傍の処理領域への磁界の影響を緩和し、プロセスの均一性を向上させることができる。処理チャンバ100及び磁石アセンブリ146に連結されたコントローラ156は、処理中に処理チャンバ100及び磁石アセンブリ146の様態を制御するように構成される。
【0026】
[0027]処理チャンバ100は、基板支持体108を含むカソードアセンブリ158をさらに含む。カソードアセンブリ158は、カソードアセンブリ158をZ方向に垂直方向に移動させるアクチュエータ160に連結されている。堆積プロセスのためにカソードアセンブリ158の位置を調整する能力により、最適な膜品質を達成することができる。
【0027】
[0028]カソードアセンブリ158は、設備インターフェース162をさらに含む。設備インターフェース162は、RF電源のための接続、及びその他の電気的及び流体的接続を設ける。設備インターフェース162は、設備ケーブル130を介して、基板支持体108に連結される。その他の接続先としては、電源164、冷却源166、及びガス供給部168が挙げられる。電源164を利用して、基板支持体108の一部である静電チャック144に電力供給することができる。電源164は、DC電源であってもよい。デチャックは、静電チャック144をドレインするコントローラ156によって促進される。さらに、処理チャンバ100内の動作を容易にするために、設備ケーブル130が、任意選択的に整合ネットワークを介して、第2のRF電源128に連結される。一実施例では、設備ケーブル130は、PECVDプロセス中にRF電力の伝達を促進する。
【0028】
[0029]図2A及び図2Bは、それぞれチャンバ本体106の等角図と上面図である。本明細書に記載された実施形態では、スペーサ104は、ライナ138の周囲に配置され、かつ基板支持体108の近傍の処理領域118を封入する磁気材料シールド(以下、単に「シールド」と呼ぶ)200を含む。
【0029】
[0030]シールド200は、約50,000以上、例えば、約80,000と約100,000との間の相対的透磁率(すなわち、自由空間に対する相対的透磁率)を有する高透磁率磁気材料で形成されている。シールド200は、ライナ138付近の磁界強度を減衰させて、チャンバ本体106の壁への過剰な堆積又はエッチングを防止するだけでなく、処理領域118内の磁界プロファイル(ひいては、プラズマ密度プロファイル)のさらなる調整性をもたらす。処理領域118内の磁界プロファイルは、例えば、処理領域118に対するシールド200の位置、並びにシールド200の材料、大きさ、及び/又は形状によって調整され得る。
【0030】
[0031]処理領域118内の磁界プロファイルの調整に高感度をもたらす好適な高透磁率磁気材料には、ニッケル、鉄、銅、クロム、モリブデン、又はシリコンのうちの1つ又は複数が含まれる。かような高透磁率磁気材料の例としては、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HyMu80(登録商標))及びニッケル-イオン合金(例えば、MuMETAL(登録商標))が挙げられる。
【0031】
[0032]シールド200は、Z方向に延びる円筒形状であってもよい。幾つかの実施形態では、シールド200は、多角形のような非円筒形状の断面を有する。シールド200は、約2インチと約10インチとの間のZ方向の長さを有し得る。シールド200は、複数の磁石148を含む磁石アセンブリ146からZ方向に一定距離の固定位置に配置されてもよい。シールド200の位置は、固定されてもよく、又は処理領域内のプラズマ密度プロファイルのさらなる調整性をもたらすために移動可能であってもよい。
【0032】
[0033]シールド200は、アルミニウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの非反応性材料でコーティングされ、処理チャンバ100内の前駆体ガス又は洗浄ガスによる汚染が防止され得る。
【0033】
[0034]本明細書に記載された実施形態では、チャンバ本体の周囲に配置され、かつチャンバ本体内に配置された基板支持体の近傍の処理領域を封入する磁気材料シールドが説明されている。磁気材料シールドを使用することで、チャンバ本体の内部壁の近傍の磁界を低減させ、チャンバ本体の内部壁への過剰な堆積やエッチングを防止することができる。磁気材料シールドを使用することで、チャンバ本体の外側に貫通する磁界を減衰させ、隣接して配置された任意のチャンバとの相互作用を防ぎ、付近のユーザの安全を確保する。磁気材料シールドの位置を変更する能力により、処理領域内の磁界プロファイル及びプラズマ密度プロファイルのさらなる調整性がもたらされる。
【0034】
[0035]以上の記載は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案してもよい。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2A
図2B
【国際調査報告】