(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(54)【発明の名称】セラミック電極プレート付きプラズマ源
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20231121BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H05H1/46 M
C23C16/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528134
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 US2021058378
(87)【国際公開番号】W WO2022103672
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ムーア, ロバート ビー.
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジャレッド アーマッド
(72)【発明者】
【氏名】シャル, マーク デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】田中 努
(72)【発明者】
【氏名】ガラチチェンコ, アレキサンダー ヴィー.
(72)【発明者】
【氏名】ジルノ, ドミートリイ エー.
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA05
2G084CC03
2G084CC05
2G084CC12
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD22
2G084DD23
2G084DD63
2G084FF02
2G084FF14
2G084FF38
2G084FF39
4K030FA01
(57)【要約】
基板処理チャンバと共に使用するためのプラズマ源アセンブリが記載されている。このアセンブリは、その中に複数の開孔が形成されたセラミック下部プレートを含む。プラズマ源アセンブリを含む基板処理チャンバにおける基板の処理方法も記載されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ源アセンブリであって、
上面、底面、及び外周縁部を有する導電性プレートを含む第1の電極と、
上面、底面、及び外周縁部を有する導電性プレートを含む第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極とを分離し、前記第1の電極の外周縁部及び前記第2の電極の外周縁部に配置された誘電体スペーサであって、前記第2の電極はその中に複数の開孔を含み、セラミック材料を含む、誘電体スペーサと、
前記第1の電極に電気的に接続された給電部と
を備える、プラズマ源アセンブリ。
【請求項2】
前記セラミック材料は、反応結合セラミック材料を含む、請求項1に記載のプラズマ源アセンブリ。
【請求項3】
前記反応結合セラミック材料は、反応結合炭化ケイ素を含む、請求項2に記載のプラズマ源アセンブリ。
【請求項4】
複数の開孔は、幅と、前記幅より大きい長さとを有する細長いスロットを含む、請求項2に記載のプラズマ源アセンブリ。
【請求項5】
前記長さは、前記幅の2倍から3倍の範囲である、請求項4に記載のプラズマ源アセンブリ。
【請求項6】
第2の電極の上面は面積を有し、複数の細長いスロットは、前記第2の電極の上面の面積の68%を超える開口面積を画定する、請求項5に記載のプラズマ源アセンブリ。
【請求項7】
前記開孔は、レーザで形成された開孔である、請求項4に記載のプラズマ源アセンブリ。
【請求項8】
前記開孔は、レーザで穿孔された開孔である、請求項7に記載のプラズマ源アセンブリ。
【請求項9】
前記開孔は、超音波加工された開孔である、請求項4に記載のプラズマ源アセンブリ。
【請求項10】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に間隙を提供するように離間している、請求項1に記載のプラズマ源アセンブリ。
【請求項11】
プラズマ源アセンブリであって、
上面、底面、及び外周縁部を有する導電性プレートを含む第1の電極と、
上面、底面、及び外周縁部を有する導電性プレートを含む第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極とを分離し、前記第1の電極の外周縁部及び前記第2の電極の外周縁部に配置された誘電体スペーサであって、前記第2の電極は、反応結合炭化ケイ素と、その中の複数の開孔とを含み、前記複数の開孔は、幅と、前記幅の2倍から3倍大きい範囲の長さを有する細長いスロットを含む、誘電体スペーサと、
前記第1の電極に電気的に接続された給電部と
を備える、プラズマ源アセンブリ。
【請求項12】
基板処理チャンバにおける基板の処理方法であって、
前記基板処理チャンバに基板を載置することであって、前記基板処理チャンバは、
上面、底面、外周縁部、及びガスがそれを通って流れ得る複数の開孔を有する導電性プレートを含む第1の電極と、
セラミック材料から作られ、上面、底面、外周縁部、及びガスがそれを通って流れ得る複数の開孔を有する、導電性プレートを含む第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極とを分離し、前記第1の電極の外周縁部及び前記第2の電極の外周縁部に配置された誘電体スペーサと、
前記第1の電極に電気的に接続された給電部と
を備える、前記基板処理チャンバに基板を載置することと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間にプラズマを形成することと
を含む方法。
【請求項13】
前記セラミック材料は、反応結合セラミック材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反応結合セラミック材料は、反応結合炭化ケイ素を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の開孔は、幅と、前記幅より大きい長さとを有する細長いスロットを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記長さは、前記幅の2倍から3倍の範囲である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第2の電極の上面は面積を有し、複数の細長いスロットは、前記第2の電極の上面の面積の68%を超える開口面積を画定する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記開孔は、レーザで形成された開孔である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記開孔は、レーザで穿孔された開孔である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記開孔は、超音波加工された開孔である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、基板の処理装置及び方法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、基板処理チャンバと共に使用するためのプラズマ源に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体デバイスの形成は、複数の基板処理チャンバを含む基板処理システム又はプラットフォームで一般的に行われ、これらのシステム又はプラットフォームは、クラスタツールとも称され得る。幾つかの実施例では、マルチチャンバ処理プラットフォーム又はクラスタツールの目的は、制御された環境において、基板に対して2つ以上のプロセスを順次実行することである。しかし、他の実施例では、マルチチャンバ処理プラットフォームが、基板に対して単一の処理ステップのみを実行する場合がある。基板が処理される速度を最大化するために、追加のチャンバを採用する場合がある。後者の場合、基板に対して実行されるプロセスは、通常バッチプロセスであり、比較的多数の基板、例えば25枚又は50枚の基板が、所定のチャンバで同時に処理される。バッチ処理は、原子層堆積(ALD)プロセス、及び一部の化学気相堆積(CVD)プロセスのように、個々の基板に対して経済的に実行可能な方法で実行するには時間がかかりすぎるプロセスに特に有益である。
【0003】
[0003]幾つかの基板処理チャンバでは、容量結合プラズマを使用して、基板に薄膜を堆積させる、又はALDもしくはCVDによって基板に堆積した膜を処理する。このようなチャンバは、プラズマALD(PEALD)チャンバ及びプラズマCVD(PECVD)チャンバと称され得る。プラズマは、金属から作られ得る上部プレート及び下部プレートの形態の2つの離間した電極間に形成される。プラズマを形成するために適切な導電性を示し、金属下部プレートに関連する金属汚染の問題を最小限に抑える下部プレートを提供する必要がある。また、PEALDやPECVDのプロセス中に、その中をガスが通過し得る多数の小さい密集した開孔を有する下部プレートを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示の1又は複数の実施形態は、上面、底面、及び外周縁部を有する導電性プレートを含む第1の電極と、上面、底面、及び外周縁部を有する導電性プレートを含む第2の電極と、第1の電極と第2の電極とを分離し、第1の電極の外周縁部及び第2の電極の外周縁部に配置された誘電体スペーサであって、第2の電極は、セラミック材料と、その中に複数の開孔とを含む、誘電体スペーサと、第1の電極に電気的に接続された給電部とを備える、プラズマ源アセンブリを対象とする。
【0005】
[0005]本開示の追加の実施形態は、上面、底面、及び外周縁部を有する導電性プレートを含む第1の電極と、上面、底面、及び外周縁部を有する導電性プレートを含む第2の電極と、第1の電極と第2の電極とを分離し、第1の電極の外周縁部及び第2の電極の外周縁部に配置された誘電体スペーサであって、第2の電極は、反応結合炭化ケイ素と、その中の複数の開孔とを含む、誘電体スペーサと、第1の電極に電気的に接続された給電部とを備える、プラズマ源アセンブリを対象とする。
【0006】
[0006]本開示の更なる実施形態は、基板処理チャンバにおける基板の処理方法を対象とし、本方法は、基板処理チャンバに基板を載置することであって、基板処理チャンバは、上面、底面、外周縁部、及びガスがそれを通って流れ得る複数の開孔を有する導電性プレートを含む第1の電極と、セラミック材料から作られ、上面、底面、外周縁部、及びガスがそれを通って流れ得る複数の開孔を有する導電性プレートを含む第2の電極と、第1の電極と第2の電極とを分離し、第1の電極の外周縁部及び第2の電極の外周縁部に配置された誘電体スペーサと、第1の電極に電気的に接続された給電部とを備える、基板処理チャンバに基板を載置することを含む。本方法は更に、第1の電極と第2の電極との間にプラズマを形成することを含む。
【0007】
[0007]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を単に示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の1又は複数の実施形態に係るプラズマ源アセンブリを示す断面図である。
【
図2】本開示の1又は複数の実施形態に係るプラズマ源アセンブリの一部を示す等角図である。
【
図3】本開示の1又は複数の実施形態に係るプラズマ源アセンブリを含む基板処理チャンバを示す断面図である。
【
図4】A及びBは、本開示の1又は複数の実施形態に係る底部電極の上面図である。
【
図5】本開示の1又は複数の実施形態に係る方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0014]本開示の実施形態は、本開示の1又は複数の実施形態に係るプラズマ源アセンブリ及びプラズマ源アセンブリを含む基板処理チャンバを提供するものである。本開示の更なる実施形態は、基板処理チャンバにおける基板の処理方法を提供するものである。
【0010】
[0015]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「基板」及び「ウエハ」は互換的に使用され、いずれもプロセスが作用する表面、又は表面の一部を指す。また、基板への言及は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、基板の一部のみを指す場合があることが当業者には理解されよう。更に、基板への堆積への言及は、ベア基板と、その上に1又は複数の膜又は特徴が堆積又は形成された基板の両方を意味し得る。
【0011】
[0016]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「反応性ガス」、「前駆体」、「反応物」等は互換的に使用され、基板表面と反応する種を含むガスを意味する。例えば、第1の「反応性ガス」は、単に基板の表面に吸着し、第2の反応性ガスとの更なる化学反応に利用可能であってよい。
【0012】
[0017]ここで、1又は複数の実施形態に係るプラズマ源アセンブリ100を示す
図1を参照する。図示した実施形態では、プラズマ源アセンブリ100は、上面102t、底面102b及び外周縁部102pを有する導電性プレートを含む第1の電極102を備える。プラズマ源アセンブリ100は更に、上面104t、底面104b、及び外周縁部104pを有する導電性プレートを含む第2の電極104を備える。本開示に図示し、説明する実施形態では、第1の電極102は、第2の電極104の上に配置され、間隙132によって分離されるため、第1の電極102は、上部プレートと称され得、第2の電極104は、下部プレートと称され得る。
【0013】
[0018]プラズマ源アセンブリ100は更に、第1の電極102と第2の電極104とを分離し、第1の電極102の外周縁部102p及び第2の電極104の外周縁部104pに配置された誘電体スペーサ106を備える。第1の電極102及び第2の電極に給電部108が電気的に接続されている。幾つかの実施形態では、プラズマ源アセンブリは更に、第1の電極の底面102bと誘電体スペーサ106との間に配置された第1のOリング112を備えていてよい。1又は複数の実施形態では、第2の電極104の上面104tと誘電体スペーサ106との間に第2のOリング114が配置されていてよい。1又は複数の実施形態によれば、第1の電極102及び第2の電極104の形状は概ね円形であり、第1の電極102及び第2の電極104は各々ディスク形状を有する。しかしながら、プラズマ源アセンブリは、特定の形状を有する電極に限定されない。電極がディスク形状である実施形態では、幾つかの実施形態における誘電体スペーサ106は、リング形状であり、第1の電極102及び第2の電極104を取り囲んでいる。
図1では、誘電体スペーサ106は、互いに当接する2つの別々の部品で構成されたものとして図示したが、
図2に示すように、誘電体スペーサ106は、
図3に示すように、単一部品であり得る。幾つかの実施形態では、第3のOリング113が第1の電極102の上面102tに配置され、外周縁部102pに隣接していてよい。幾つかの実施形態では、第4のOリング115が第2の電極104の底面104bに接触し、周縁部に隣接していてよい。
【0014】
[0019]1又は複数の実施形態によれば、第1のOリング112は、第1の電極102の外周縁部102pに隣接して位置し、第2のOリング114は、第2の電極104の外周縁部104pに隣接して位置する。
【0015】
[0020]1又は複数の実施形態によれば、第1のOリング112及び第2のOリング114の各々は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の、処理チャンバの温度に耐えることができる材料を含む。幾つかの実施形態では、第3のOリング113及び第4のOリング115は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の、処理チャンバの温度に耐えることができる材料を含む。
【0016】
[0021]
図1に示すプラズマ源アセンブリ100は更に、誘電体スペーサ106を取り囲み、それと接触する導電性材料を含むパージリング120と、パージリング120と電気的に連結している給電部108とを備える。1又は複数の実施形態では、パージリング120は、アルミニウム又はステンレス鋼等の金属を含み、誘電体スペーサ106は、アルミナ又は石英等のセラミックから作られたリングを含む。
【0017】
[0022]図示したプラズマ源アセンブリ100の実施形態では、第1の電極102及び第2の電極104は、第1の電極102と第2の電極104との間に間隙132を提供するように離間している。1又は複数の実施形態では、第1の電極102及び第2の電極104は、第1の電極102と第2の電極104との間にプラズマを形成することを可能にする材料を含む。幾つかの実施形態では、第1の電極102及び第2の電極104は、シリコンから作られる、又はシリコンを含む。第1の電極102は、ドープされたシリコンを含み得る。特定の実施形態では、第2の電極104は、本明細書で更に説明するように、セラミック材料から作られている。
【0018】
[0023]
図2に示すように、第1の電極は、ガスが第1の電極102を通過して間隙132に入ることを可能にする複数の開孔117を含む。幾つかの実施形態では、第2の電極104は、ガスが基板処理チャンバ200のペデスタル152上の基板150に向かって通過することを可能にする複数の開孔119を含む。
【0019】
[0024]幾つかの実施形態では、第1のOリング112は、第1の電極102の外周縁部102pに隣接する第1の電極の下面102bに接触している円形断面のOリングを含み、第2のOリング114は、第2の電極104の外周縁部104pに隣接する第2の電極104の上面104tに接触している円形断面のOリングを含む。
【0020】
[0025]本開示の特定の実施形態では、プラズマ源アセンブリは、上面102t、底面102b及び外周縁部102p、並びにガスがそれを通って流れ得る複数の開孔117を有する導電性プレートを含む第1の電極102を備える。上面104t、底面104b及び外周縁部104p、並びにガスがそれを通って流れ得る複数の開孔119を有する導電性プレートを含む第2の電極104が存在する。図示の実施形態では、第1の電極102と第2の電極104とを分離し、第1の電極の外周縁部及び第2の電極の外周縁部に配置された誘電体スペーサ106が存在する。第1の電極102に電気的に接続された給電部108と、第1の電極102の底面102bと誘電体スペーサ106との間に配置された円形断面のOリングの形態の第1のOリング112とがあり、第1のOリング112は、第1の電極の外周縁部102pと同軸である。第2の電極104の上面114tと誘電体スペーサ106との間に配置された円形断面のOリングの形態の第2のOリング114があり、第2のOリング114は、第2の電極104の外周縁部104pと同軸である。
【0021】
[0026]
図3に示すように、プラズマ源アセンブリ100は、例えばPEALD又はPECVDチャンバ等の基板処理チャンバ200に組み込むことができる。プラズマ源は、セラミック等の絶縁体材料を含むアイソレータ140と、金属を含むリッド142とを含み得る。プラズマ源アセンブリは更に、導管の形状のガス入口160を含む。ガス入口160は、処理ガス、例えばアルゴン又はプラズマを形成するための他の適切なガスを供給するためのガス供給部に接続される。給電部108は、無線周波数(RF)又はマイクロ波電源等の適切な電源に接続される。基板処理チャンバ200は、エンクロージャ170の中にあってよい。基板180は、サセプタ又は他の適切な基板支持体であってよい基板支持体172上に載置され得る。プラズマの周波数は、使用される特定の反応性種に応じて調整され得る。好適な周波数は、2MHz、13.56MHz、40MHz、60MHz及び100MHzを含むが、これらに限定されない。
【0022】
[0027]ここで、第2の電極104の代替実施形態を示す
図4A及び
図4Bを参照する。1又は複数の実施形態によれば、第2の電極104(又は下部プレート)は、セラミック材料を含む。1又は複数の実施形態に従って本明細書で使用する「セラミック材料」は、無機質で非金属の材料を指す。セラミック材料の非限定的な例としては、炭化ケイ素、シリコン処理された炭化ケイ素、ホウ化ケイ素、シリコン処理されたホウ化ケイ素、窒化ケイ素、シリコン処理された窒化ケイ素、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、金属基複合セラミック、例えばAl/SiC、AlSiB、AlSiN、等が挙げられる。幾つかの実施形態では、第2の電極は、シリコン、モリブデン、レニウム又はタングステン等の耐火金属を含む。
【0023】
[0028]1又は複数の実施形態では、下部プレートは、反応結合セラミック材料を含む。1又は複数の実施形態に従って本明細書で使用する「反応結合セラミック材料」は、第1の元素が第2の元素に注入されたセラミック材料を指す。例えば、本明細書で更に説明するように、反応結合炭化ケイ素は、炭素に注入されたシリコンを含む。
【0024】
[0029]1又は複数の実施形態に従って本明細書で使用する「反応結合」は、多孔質セラミックプリフォームが2つ以上の元素のインシトゥ化学反応によって緻密化するプロセスを指す。反応結合窒化ケイ素は、下部プレートの形状に形成され、その後、窒素/水素又は窒素/ヘリウムの混合雰囲気中で高温、例えば、1200℃から1250℃で反応させた微細に分割したシリコン粉末から作られる。窒素は多孔質体に浸透し、シリコンと反応して孔内に窒化ケイ素を形成する。次に、この部品はシリコンの融点直下の1400℃等の第2の高温に加熱される。窒素の流量と加熱速度は厳密に制御され、反応結合の全プロセスは最長で2週間にも及ぶ。窒化処理では、最大で60%の重量増加が生じるが、窒化処理中の寸法変化は0.1%未満である。反応結合は、「ネットシェイプ」プロセスと呼ばれることもあり、優れた寸法制御を可能にし、焼成後に必要な高価な機械加工及び仕上げの量を削減することができる。1又は複数の実施形態では、反応結合は焼結助剤を利用しないため、反応結合窒化ケイ素部品の高温強度及び耐クリープ性は、プラズマ源下部プレート用途に許容される。
【0025】
[0030]幾つかの実施形態によれば、反応結合炭化ケイ素は、炭化ケイ素と炭素の微細に分割した均質混合物から製造される。この混合物から形成された部品は、高温で液体又は蒸気のシリコンに暴露される。シリコンは炭素と反応し、更に炭化ケイ素を形成し、元の粒子を互いに結合させる。シリコンはまた、残っている全ての空孔を埋める。反応結合炭化ケイ素は、焼結時の寸法変化がわずかである。反応結合部品は、シリコンの融点まで温度が上昇しても、ほぼ一定の強度を示す。
【0026】
[0031]反応結合炭化ケイ素の製造プロセスには、液体又は蒸気との反応もしくは液体又は蒸気からの堆積によって孔に充填する浸透が含まれる場合がある。液体反応の場合、この技法は溶融浸透と呼ばれ、蒸気相の場合、化学蒸気浸透と呼ばれる。
【0027】
[0032]幾つかの実施形態では、反応結合炭化ケイ素は、シリコン処理された炭化ケイ素と呼ばれ、シリコン浸透セラミックと呼ばれることがある。浸透は、材料に、プラズマ源下部プレートの要件に調整され得る機械的、熱的、及び電気的特性の独特の組み合わせを付与する。
【0028】
[0033]したがって、幾つかの実施形態によれば、反応結合プロセス及び反応結合セラミックの特徴は、出発材料中のポア空間が浸透によって充填されることである。したがって、名目上、処理中に体積変化は生じない。これは、焼結及び熱プレスプロセスで部品の収縮(通常は20%の線収縮)によってポア空間が閉じられるのと比較して、非常に異なっている。反応結合セラミックの別の特徴は、溶融したSiが水と同じように固化すると膨張することである。そのため、完成した反応結合セラミックは、完全な緻密性を持つ。
【0029】
[0034]1又は複数の実施形態によれば、セラミック材料、金属マトリックス複合材又は反応結合セラミックは、その後、下部プレートを形成するために複数の開孔を含むように機械加工される。したがって、幾つかの実施形態では、直径D
e及び厚さTを有する第2の電極104(又は下部プレート)を提供するために、プレートを所望の形状、例えばディスクの形状に形成する。例えばSiC等のセラミック材料又は本明細書に開示される他の材料のいずれかを反応結合させることによってプレートを形成した後に、
図4A及び
図4Bに示すようにディスクに開孔119を機械加工する。
図4Aでは、図示した開孔119は丸形又は円形であり、各開孔は直径D
aを有する。
図4Bでは、開孔119sは、長さL及び幅Wを有する細長いスロットの形態である。
【0030】
[0035]1又は複数の実施形態によれば、第1の電極102の開孔117及び第2の電極104の開孔119が丸形である実施形態では、第1の電極の開孔117及び第2の電極104の開孔は、2mm未満、1mm未満又は0.5mm未満の直径を有し、開孔117により、ガスが第1の電極102を通過して間隙132に入ることが可能になる。また、
図4Aの開孔119の直径D
a又は
図4Bの第2の電極104の開孔119sの長さL及び幅Wは、第2の電極104の開孔119の面積の合計を第2の電極104上面の面積で割ったものからなる開口面積率を提供するため、荷電イオンのみが第2の電極104の開孔119又は119sを通過する。
【0031】
[0036]幾つかの実施形態では、第2の電極104のすべての開孔119の開口面積率は、すべての開孔119又は119sの開口面積の合計を第2の電極104の上面の面積で割ったものと等しい。
図4Aに示すような丸形又は円形の開孔119の場合、開孔119のおおよその開口面積率は、第2の電極104の67%を超えないように制限される。
図4Bに示す形態の細長いスロットの開孔119sは、第2の電極104の上面の面積の67%を超える、68%を超える、69%を超える又は70%を超える第2の電極104の開口面積率を提供する。円形電極における第2の電極104の上面の面積はπr
2に等しく、rは第2の電極104の直径D
eの1/2であることが理解されよう。1又は複数の実施形態によれば、
図4Bの開孔119は、1mmの幅Wと、幅Wの2倍から3倍の範囲、例えば2W、2.1W、2.2W、2.3W、2.4W、2.5W、2.6W、2.7W、2.8W、2.9W、又は3Wの長さとを有する細長いスロットの形態である。幾つかの実施形態では、第2の電極104の厚さは、1mmから2mmの範囲である。
【0032】
[0037]1又は複数の実施形態によれば、開口面積率を最大化するための開孔119又は119sの高密度は、開孔119又は119sの超音波加工により達成される。超音波加工は、微細な研磨粒子の存在下で材料表面に対するツールの高周波、低振幅振動を利用することによって、部品の表面から材料を除去するプロセスである。超音波加工ツールは、0.05から0.125の振幅で部品の表面に対して垂直又は直交方向に移動する。微細な研磨粒子は水と混合されてスラリを形成し、部品及びツールの先端部全体に分配される。
図4Aに示すような丸形の開孔119又は
図4Bに示すような細長いスロットである開孔119sを形成する従来の機械的プロセスは、マイクロクラックによる第2の電極104の脆化を引き起こすことなくシリコンに形成することは困難であると判断された。超音波加工により、セラミック材料、特に反応結合炭化ケイ素等の反応結合セラミック材料から作られた
図4A及び
図4Bに示す第2の電極104等のセラミック電極に開孔を形成できることがわかっている。他の実施形態では、
図4Aに示すような丸形である開孔119又は
図4Bに示すような細長いスロットである開孔119sは、レーザ穿孔又は自由形レーザ切除等のレーザ切除によって形成される。レーザ穿孔及びレーザ切除により、セラミック材料、特に、反応結合炭化ケイ素等の反応結合セラミック材料から作られた
図4A及び
図4Bに示す第2の電極104等のセラミック電極に開孔を形成できることがわかっている。
【0033】
[0038]1又は複数の実施形態では、第2の電極における開孔は、超音波加工された開孔、例えば、丸形の又は細長いスロットである超音波加工された開孔である。開孔が円形の超音波加工された開孔である実施形態では、電極の開孔は、電極の上面の面積の最大67%の開口面積を有する。開孔が細長いスロットの超音波加工された開孔である実施形態では、電極の開孔は、電極の上面の面積の67%を超える、68%を超える、69%を超える又は70%を超える開口面積を有する。
【0034】
[0039]1又は複数の実施形態では、第2の電極の開孔は、丸形の又は細長いスロットであるレーザで形成された開孔、例えばレーザで穿孔された開孔又はレーザで切除された開孔である。開孔がレーザで切除された又はレーザで穿孔された開孔等の丸形のレーザで形成された開孔である実施形態では、電極の開孔は、電極の上面の面積の最大67%の開口面積を有する。開孔がレーザで切除された又はレーザで穿孔された開孔等の細長いスロットのレーザで形成された開孔である実施形態では、電極の開孔は、電極の上面の面積の67%を超える、68%を超える、69%を超える又は70%を超える開口面積を有する。
【0035】
[0040]1又は複数の実施形態によれば、第2の電極材料の選択が、本明細書に記載の材料のうちの1つ、例えばセラミック材料、反応結合炭化ケイ素等の反応結合セラミック材料であることにより、従来の金属電極に関連する金属汚染の問題を最小限に抑えながら、必要な電気的特性を有する電極を製造することができる。本明細書に記載の超音波加工又はレーザ加工の使用は、他の製造方法に固有のコスト及び製造上の制限を緩和し、したがって、電極の上面の面積の67%を超える、68%を超える、69%を超える、70%を超える等の高い電極の上面の開口面積率を有するより広い範囲の形状寸法の開孔が可能になる。更に、セラミック材料、特に反応結合炭化ケイ素等の反応結合セラミック材料は、プラズマ処理条件中に破損することなく電極の強度及び耐久性を維持しながら、電極の上面の開孔の高い密度及び開口面積率を形成することを可能にする。
【0036】
[0041]ここで、基板処理チャンバにおける基板の処理方法500に関連する別の態様を示す
図5を参照する。本方法は、510において、基板処理チャンバに基板を載置することを含む。基板処理チャンバは、本明細書に図示し説明するチャンバと同様であってよく、幾つかの実施形態では、上面、底面、外周縁部、及びガスがそれを通って流れ得る複数の開孔を有する導電性プレートを含む第1の電極と;セラミック材料から作られ、上面、底面、外周縁部、及びガスがそれを通って流れ得る複数の開孔を有する導電性プレートを含む第2の電極と;第1の電極と第2の電極とを分離し、第1の電極の外周縁部及び第2の電極の外周縁部に配置された誘電体スペーサと;第1の電極に電気的に接続された給電部とを含む。方法500は更に、520において、ガスをチャンバに流すことと、530において、給電部に電力を印加することとを含み得る。540において、本方法は、第1の電極と第2の電極との間にプラズマを形成又は衝突させることを含む。
【0037】
[0042]1又は複数の方法の実施形態では、セラミック材料は、反応結合セラミック材料を含む。1又は複数の方法の実施形態では、反応結合セラミック材料は、反応結合炭化ケイ素を含む。1又は複数の方法の実施形態では、複数の開孔は、幅と、幅よりも大きい長さとを有する細長いスロットを含む。
【0038】
[0043]1又は複数の方法の実施形態では、スロットの長さは、幅の2倍から3倍の範囲である。1又は複数の方法の実施形態では、第2の電極上面は面積を有し、複数のスロットは、第2の電極上面の面積の68%を超える開口面積を画定する。
【0039】
[0044]1又は複数の方法の実施形態では、開孔は、レーザで形成された開孔である。1又は複数の方法の実施形態では、開孔は、レーザで穿孔された開孔である。1又は複数の方法の実施形態では、開孔は、超音波加工された開孔である。
【0040】
[0045]1又は複数の実施形態によれば、基板は、層を形成する前及び/又は層を形成した後に、処理に供される。この処理は、同じチャンバで、又は1又は複数の別個の処理チャンバで実行することができる。幾つかの実施形態では、基板は、更なる処理のために、第1のチャンバから別個の第2のチャンバに移動される。基板は、第1のチャンバから別個の処理チャンバに直接移動させることができる、又は第1のチャンバから1又は複数の移送チャンバに移動させ、その後所望の別個の処理チャンバに移動させることができる。従って、処理装置は、移送ステーションと連結した複数のチャンバを含み得る。この種の装置は、「クラスタツール」又は「クラスタシステム」等と称され得る。
【0041】
[0046]一般に、クラスタツールは、基板の中心探し及び配向、ガス抜き、アニール、堆積及び/又はエッチングを含む種々の機能を実行する複数のチャンバを含むモジュールシステムである。1又は複数の実施形態によれば、クラスタツールは、少なくとも第1のチャンバと中央移送チャンバとを含む。中央移送チャンバは、処理チャンバとロードロックチャンバとの間で基板を行ったり来たりさせるロボットを収納し得る。移送チャンバは、通常、真空条件に維持され、基板をあるチャンバから別のチャンバへ、及び/又はクラスタツールの前端に位置決めされたロードロックチャンバへ行ったり来たりさせるための中間ステージを提供する。本開示に適合させることができる2つの周知のクラスタツールは、Centura(登録商標)及びEndura(登録商標)であり、いずれもカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されている。しかし、チャンバの正確な配置及び組み合わせは、本明細書に記載のプロセスの特定のステップを実行する目的で変更することができる。使用され得る他の処理チャンバには、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、前洗浄、化学洗浄、RTP等の熱処理、プラズマ窒化、ガス抜き、配向、水酸化及び他の基板プロセスが含まれるが、これらに限定されない。堆積プロセス、例えばCLD、ALD、CVDのいずれも、本明細書に記載のプラズマ源アセンブリを含む基板処理チャンバで実行され得る。上記の場合、これらのプロセスは、プラズマCLD、ALD、又はCVDと称され得る。クラスタツール上のチャンバでプロセスを実施することにより、後続の膜を堆積させる前に酸化させることなく、大気中の不純物による基板の表面汚染を回避することができる。
【0042】
[0047]1又は複数の実施形態によれば、基板は継続的に真空条件下又は「ロードロック」条件下にあり、1つのチャンバから次のチャンバに移動されるときに周囲空気に暴露されることはない。したがって、移送チャンバは真空下にあり、真空圧力下で「ポンプダウン」される。不活性ガスが、処理チャンバ又は移送チャンバに存在していてよい。幾つかの実施形態では、不活性ガスは、基板の表面に層を形成した後、反応物の一部又は全部を除去するためのパージガスとして使用される。1又は複数の実施形態によれば、パージガスは、反応物が堆積チャンバから移送チャンバへ及び/又は追加の処理チャンバへ移動するのを防ぐために、堆積チャンバの出口で注入される。したがって、不活性ガスの流れは、チャンバの出口でカーテンを形成する。
【0043】
[0048]処理中、基板は加熱又は冷却され得る。そのような加熱又は冷却は、基板支持体(例えば、サセプタ)の温度を変化させること、及び加熱又は冷却されたガスを基板表面に流すことを含むが、これらに限定されない任意の適切な手段によって達成することができる。幾つかの実施形態では、基板支持体は、基板温度を導電的に変化させるように制御することができるヒータ/クーラを含む。1又は複数の実施形態では、採用されるガス(反応性ガス又は不活性ガスのいずれか)は、基板温度を局所的に変化させるために加熱又は冷却される。幾つかの実施形態では、基板温度を対流的に変化させるために、基板表面に隣接するチャンバ内にヒータ/クーラが位置決めされる。
【0044】
[0049]基板は、処理中に静止していてもよい、又は回転していてもよい。回転する基板は、連続的に又は不連続なステップで回転させることができる。例えば、基板は、プロセス全体を通して回転させることができる、又は異なる反応性ガス又はパージガスへの曝露の間に基板を少量だけ回転させることができる。処理中に基板を(連続的又は段階的に)回転させることで、例えば、ガス流形状の局所的な変動の影響を最小限に抑えて、より均一な堆積又はエッチングを行うことができる。
【0045】
[0050]前述の内容は本発明の実施形態を対象としているが、以下の特許請求の範囲によって決定されるその基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実施形態を考案することが可能である。
【国際調査報告】