(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】複数のゲート・トレンチを有する半導体パワー・デバイス及びそのようなデバイスを形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20231122BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20231122BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 658G
H01L29/78 658A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528133
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 US2021058930
(87)【国際公開番号】W WO2022103930
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウンスン
(72)【発明者】
【氏名】リヒテンヴァルナ―、ダニエル ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】リュー、セイ - ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イスラム、ネーム
(57)【要約】
半導体デバイスは、半導体層構造と、半導体層構造内のゲート・トレンチ内に形成されたゲートとを含む。ゲート・トレンチは、第1のレベルの第1の部分及び第1のレベルと異なる第2のレベルの第2の部分を備える下部表面を有する。半導体デバイスを形成する方法は、半導体層構造を設けること、半導体層構造内に第1のゲート・トレンチをエッチングすること、半導体層構造内に第2のゲート・トレンチをエッチングすること、及び、第2のゲート・トレンチの下部表面内にイオン・インプランテーションを実施することを含む。第2のゲート・トレンチは第1のゲート・トレンチより深く、第2のゲート・トレンチの少なくとも一部分は第1のゲート・トレンチに接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
半導体層構造と、
前記半導体層構造内のゲート・トレンチ内に形成されたゲートと
を備え、
前記ゲート・トレンチは、第1のレベルの第1の部分及び前記第1のレベルと異なる第2のレベルの第2の部分を備える下部表面を有する、半導体デバイス。
【請求項2】
前記半導体層構造は基板を備え、
前記第2のレベルは、前記第1のレベルより前記基板に近い、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記基板は炭化ケイ素を含む、請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記半導体層構造は、
第1の導電型を有するドリフト領域と、
前記ドリフト領域上の第2の導電型を有するウェル領域と、
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の少なくとも一部分の下方の前記第2の導電型を有する深いシールド・パターンと
を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記深いシールド・パターンは、前記ウェル領域の少なくとも一部分に接触するために延在する、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記ゲート・トレンチは、
前記ゲート・トレンチの側壁と前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第1の部分との間の第1の角部と、
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第1の部分と前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第2の部分との間の第2の角部と
をさらに備える、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記第2の角部の第2の曲率半径は、前記第1の角部の第1の曲率半径より大きい、請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記深いシールド・パターンは、前記第2の角部と前記ドリフト領域との間にある、請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記ゲート・トレンチの前記下部表面は、第3のレベルの第3の部分をさらに備え、
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第3の部分は、前記ゲート・トレンチの前記第1の部分から前記ゲート・トレンチの前記第2の部分の対向する側にある、請求項1から8までのいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1のレベル及び前記第3のレベルは、ほぼ同じレベルにある、請求項9に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
半導体デバイスであって、
第1の導電型を有する基板と、
前記基板上の前記第1の導電型を有するドリフト領域と、
前記ドリフト領域上の第2の導電型を有するウェル領域と、
前記ウェル領域及び前記ドリフト領域内に貫入するゲート・トレンチと
を備え、
前記ゲート・トレンチは、前記基板に向かって延在する凹所を備える非線形下部表面を有する、半導体デバイス。
【請求項12】
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の少なくとも一部分の下方の前記第2の導電型を有する深いシールド・パターンをさらに備える、請求項11に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記深いシールド・パターンは、前記ウェル領域の少なくとも一部分に接触するために延在する、請求項12に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記深いシールド・パターンは、前記ゲート・トレンチの前記下部表面内の前記凹所上に延在する、請求項12に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の第1の部分は、第1のレベルにあり、
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の第2の部分は、前記第1のレベルと異なる第2のレベルにある、請求項11から14までのいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項16】
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第2の部分は、前記凹所内にある、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項17】
前記ゲート・トレンチの前記下部表面は、第3のレベルの第3の部分をさらに備え、
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第3の部分は、前記ゲート・トレンチの前記第1の部分から前記ゲート・トレンチの前記第2の部分の対向する側にある、請求項15又は16に記載の半導体デバイス。
【請求項18】
前記第1のレベル及び前記第3のレベルは、ほぼ同じレベルにある、請求項17に記載の半導体デバイス。
【請求項19】
前記ゲート・トレンチは、
前記ゲート・トレンチの側壁と前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第1の部分との間の第1の角部と、
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第1の部分と前記凹所との間の第2の角部と
をさらに備える、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項20】
前記凹所は、前記ゲート・トレンチの前記下部表面の中央部分内にあり、
前記下部表面の所定の部分は、前記凹所の対向する側にある、請求項11から19までのいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項21】
半導体デバイスを形成する方法であって、
半導体層構造を設けるステップと、
前記半導体層構造内に第1のゲート・トレンチをエッチングするステップと、
前記半導体層構造内に第2のゲート・トレンチをエッチングするステップと、
前記第2のゲート・トレンチの下部表面内にイオン・インプランテーションを実施するステップと
を含み、
前記第2のゲート・トレンチは、前記第1のゲート・トレンチより深く、
前記第2のゲート・トレンチの少なくとも一部分は、前記第1のゲート・トレンチに接続される、方法。
【請求項22】
前記第2のゲート・トレンチをエッチングするステップは、前記第1のゲート・トレンチの少なくとも一部分上にマスクを形成することによって先行される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のゲート・トレンチ及び前記第2のゲート・トレンチ上にゲート絶縁層を形成するステップと、
前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するステップと
をさらに含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2のゲート・トレンチをエッチングするステップは、前記第1のゲート・トレンチをエッチングする前に実施される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のゲート・トレンチをエッチングするステップは、前記第2のゲート・トレンチの少なくとも一部分上にマスクを形成することによって先行される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2のゲート・トレンチは、前記第1のゲート・トレンチの下部表面の中央部分を通って延在し、
前記第1のゲート・トレンチの前記下部表面の所定の部分は、前記第2のゲート・トレンチの対向する側にある、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記半導体層構造は、第1の導電型を有するドリフト領域を備え、
前記方法は、前記第1のゲート・トレンチと前記第2のゲート・トレンチとの間の界面において前記ドリフト領域の角部を処理するステップであって、それにより、前記角部の曲率半径を増加させる、ステップをさらに含む、請求項21から26までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2のゲート・トレンチの前記下部表面内に前記イオン・インプランテーションを実施するステップは、角度付きイオン・インプラントを実施するステップを含む、請求項21から27までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記半導体層構造は、第1の導電型を有するドリフト領域及び第2の導電型を有するウェル領域を備え、
前記第2のゲート・トレンチの前記下部表面内に前記イオン・インプランテーションを実施するステップは、前記第2のゲート・トレンチの側壁及び前記下部表面内に前記第2の導電型を有する深いシールド・パターンの前記イオン・インプランテーションを実施するステップを含む、請求項21から26までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記深いシールド・パターンは、前記ウェル領域の少なくとも一部分に接触するために延在する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
半導体デバイスであって、
第1の導電型を有する基板と、
前記基板上の前記第1の導電型を有するドリフト領域と、
前記ドリフト領域上の第2の導電型を有するウェル領域と、
前記ウェル領域及び前記ドリフト領域内に貫入するゲート・トレンチと
を備え、
前記ゲート・トレンチは、第1の部分及び第2の部分を備える下部表面を有し、前記第2の部分は前記第1の部分より前記基板に近い、半導体デバイス。
【請求項32】
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第2の部分上に前記第2の導電型を有する深いシールド・パターンをさらに備える、請求項31に記載の半導体デバイス。
【請求項33】
前記深いシールド・パターンは、前記ウェル領域の少なくとも一部分に接触するために延在する、請求項32に記載の半導体デバイス。
【請求項34】
前記ゲート・トレンチの前記下部表面は、第3の部分をさらに備え、
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第3の部分は、前記ゲート・トレンチの前記第1の部分から前記ゲート・トレンチの前記第2の部分の対向する側にある、請求項31又は32に記載の半導体デバイス。
【請求項35】
前記ゲート・トレンチは、
前記ゲート・トレンチの第1の側壁と前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第1の部分との間の第1の角部と、
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第1の部分と前記ゲート・トレンチの第2の側壁との間の第2の角部と
をさらに備え、前記第2の側壁は、前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第1の部分と前記第2の部分との間に延在する、請求項31に記載の半導体デバイス。
【請求項36】
前記第2の角部の第2の曲率半径は、前記第1の角部の第1の曲率半径より大きい、請求項35に記載の半導体デバイス。
【請求項37】
前記第2の導電型を有する深いシールド・パターンをさらに備え、
前記深いシールド・パターンは、前記ゲート・トレンチの前記第2の角部と前記ドリフト領域との間にある、請求項35に記載の半導体デバイス。
【請求項38】
前記ゲート・トレンチの前記第1の角部の少なくとも一部分は、前記第1の角部の前記部分と前記ドリフト領域との間の前記深いシールド・パターンがない状態で、前記ドリフト領域に直接接触する、請求項37に記載の半導体デバイス。
【請求項39】
前記第1の側壁の第1の深さと前記第2の側壁の第2の深さとの比は、1~10の間である、請求項35に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月13日に出願された米国特許出願第17/097,617号からの優先権を主張し、上記出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体デバイスに関し、より詳細には、パワー半導体スイッチング・デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
金属絶縁体半導体電界効果トランジスタ(「MISFET:Metal Insulating Semiconductor Field Effect Transistor」)は、スイッチング・デバイスとして使用され得る、よく知られている型の半導体トランジスタである。MISFETは、ゲート、ドレイン及びソース端子、並びに半導体本体を有する3端子デバイスである。ソース領域及びドレイン領域は、チャネル領域によって分離される半導体本体内に形成され、ゲート電極(ゲート端子として働く、又は、ゲート端子に電気接続され得る)は、チャネル領域に隣接して配設される。MISFETは、バイアス電圧をゲート電極に印加することによってオン又はオフにされ得る。MISFETがオンにされる(すなわち、MISFETがその「オン状態(on-state)」にある)と、電流が、ソース領域とドレイン領域との間でMISFETのチャネル領域を通って伝導される。バイアス電圧が、ゲート電極から取り除かれる(又は、閾値レベル未満に減少する)と、電流は、チャネル領域を通って伝導するのを停止する。例として、n型MISFETは、n型ソース及びドレイン領域並びにp型チャネルを有する。そのため、n型MISFETは、「n-p-n」設計を有する。n型MISFETは、n型ソース及びドレイン領域を電気的に接続するp型チャネル領域内で導電性n型反転層を作成するのに十分であるゲート・バイアス電圧がゲート電極に印加されるとオンになり、それにより、ソース領域とドレイン領域との間での多数キャリア伝導を可能にする
【0004】
パワーMISFETのゲート電極は、典型的には、薄いゲート誘電体層によってチャネル領域から分離される。ほとんどの場合、ゲート誘電体層は、酸化物層(例えば、酸化ケイ素層)である。酸化物ゲート誘電体層を有するMISFETは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(「MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor」)と呼ばれる。酸化物ゲート誘電体層は、それらの優れた特性によってしばしば使用されるため、本明細書の議論は、MISFETと対照的にMOSFETに的を絞ることになるが、本明細書で説明される本発明の実施例による技法が、酸化物以外の材料で形成されるゲート誘電体層を有するデバイスに同等に適用可能であることが認識されるであろう。
【0005】
MOSFETのゲート電極は、ゲート誘電体層によってチャネル領域から絶縁されるため、MOSFETをそのオン状態に維持するか又はMOSFETをそのオン状態とそのオフ状態との間でスイッチングするために、最小ゲート電流が必要とされる。ゲート電流は、ゲートがチャネル領域と共にコンデンサを形成するため、スイッチング中に小さく維持される。そのため、最小の充電及び放電電流のみが、スイッチング中に必要とされ、複雑でないゲート・ドライブ回路部及びより高速なスイッチング速度を可能にする。MOSFETは、独立型デバイスとすることができる、又は、他の回路デバイスと組み合わせることができる。例えば、絶縁ゲート型・バイポーラ・トランジスタ(「IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor」)は、MOSFETとバイポーラ接合トランジスタ(「BJT:Bipolar Junction Transistor」)の両方を含む半導体デバイスであり、BJTは、MOSFETの高インピーダンス・ゲート電極を、BJTが提供することができる小さいオン状態伝導損失と組み合わせる。IGBTは、例えば、入力に高電圧nチャネルMOSFET及び出力にBJTを含むダーリントン対として実装することができる。BJTのベース電流は、MOSFETのチャネルを通して供給され、それにより、簡略化された外部ドライブ回路を可能にする(ドライブ回路が、MOSFETのゲート電極を充電し放電するだけであるため)。
【0006】
ハイ・パワー半導体スイッチング・デバイスであって、それらの「オン」状態において大電流を通過させ、それらの逆阻止状態において、高電圧(例えば、数千ボルト)を阻止することができる、ハイ・パワー半導体スイッチング・デバイスについての需要の増加が存在する。高い電流密度を支持し、そのような高電圧を阻止するために、パワーMOSFET及びIGBTは、典型的には、より高い電圧レベルを阻止するために、肉厚の半導体層構造の対向する側にソース及びドレインを有する垂直構造を有する。非常に高いパワーの用途において、半導体スイッチング・デバイスは、典型的には、例えば、炭化ケイ素(「SiC:silicon carbide」)等のワイド・バンドギャップ半導体材料システム(本明細書で、用語「ワイド・バンドギャップ半導体(wide band-gap semiconductor)」は、少なくとも1.4eVのバンドギャップを有する任意の半導体を包含する)で形成され、炭化ケイ素は、例えば、高電界絶縁破壊強度、高熱伝導性、高融点、及び高飽和電子ドリフト速度を含む多数の有利な特性を有する。例えば、ケイ素等の他の半導体材料を使用して形成されるデバイスに対して、炭化ケイを使用して形成される電子デバイスは、より高い温度で、ハイ・パワー密度で、より高速で、より高いパワー・レベルで、及び/又は高放射密度下で動作する能力を有することができる。
【0007】
従来のパワー半導体デバイスは、典型的には、第1の導電型を有する炭化ケイ素基板(例えば、n型基板)等の半導体基板を有し、その基板上に、第1の導電型(例えば、n型)を有するエピタキシャル層構造が形成される。このエピタキシャル層構造の一部分(1つ又は複数の別個の層を備えることができる)は、パワー半導体デバイスのドリフト領域として機能する。デバイスは、典型的には、p-n接合等の接合を有する1つ又は複数のパワー半導体デバイスを含む「活性領域(active region)」を含む。活性領域は、ドリフト領域上及び/又はドリフト領域内に形成され得る。活性領域は、逆バイアス方向の電圧を阻止し、順バイアス方向に電流を提供するための主接合として働く。パワー半導体デバイスは、活性領域に隣接する終端領域内にエッジ終端を有することもできる。1つ又は複数のパワー半導体デバイスは、基板上に形成され得、各パワー半導体デバイスは、典型的には、それ自身のエッジ終端を有することになる。基板が完全に処理された後、結果得られる構造は、個々のエッジ終端付きパワー半導体デバイスを分離するためにダイシングされ得る。パワー半導体デバイスは、単位セル構造を有することができ、単位セル構造において、各パワー半導体デバイスの活性領域は、複数の個々の「単位セル(unit cell)」デバイスを含み、複数の個々の「単位セル」デバイスは、互いに平行に配設され、共に単一パワー半導体デバイスとして機能する。
【0008】
パワー半導体デバイスは、高電圧及び/又は大電流を(順又は逆阻止状態で)阻止する又は(順方向動作状態で)通過させるように設計される。例えば、阻止状態において、パワー半導体デバイスは、数百又は数千ボルトの電位を維持するように設計され得る。しかしながら、デバイスが阻止するように設計される電圧レベルに印加電圧が近づくか又はそれを超えるとき、少なくないレベルの電流が、パワー半導体デバイスを通して流れ始める場合がある。典型的には、「漏洩電流(leakage current)」と呼ばれるそのような電流は、非常に望ましくない場合がある。漏洩電流は、デバイスの設計電圧阻止能力を超えて電圧が増加する場合に流れ始めることができ、その阻止能力は、とりわけ、ドリフト領域のドーピング及び厚さの関数とすることができる。漏洩電流は、デバイスのエッジ終端及び/又は1次接合の失敗等、他の理由で起こる場合もある。デバイスに印加された電圧が絶縁破壊電圧を超えて増加し臨界レベルに達する場合、電界の増加は、半導体デバイス内の電荷キャリアの制御不能且つ望ましくない暴走発生(runaway generation)をもたらす場合があり、アバランシェ絶縁破壊として知られる状態につながる。
【0009】
パワー半導体デバイスは、少なくない量の漏洩電流が、デバイスの設計された絶縁破壊電圧より低い電圧レベルで流れることを可能にし始めることもできる。特に、漏洩電流は、電界集中効果(electric field crowding effect)によって高電界が起こる場合がある活性領域のエッジで流れ始めることができる。この電界集中(及び、結果得られる漏洩電流の増加)を低減するために、パワー半導体デバイスの活性領域の一部又は全てを囲む上記で述べたエッジ終端が設けられ得る。これらのエッジ終端は、より広いエリアにわたって電界を拡散させることができ、それにより、電界集中を低減する。
【0010】
MOSFETトランジスタを含む垂直パワー半導体デバイスは、標準的なゲート電極設計を有することができ、その設計において、トランジスタのゲート電極は、半導体層構造の上部に形成される、又は代替的に、半導体層構造内のトレンチに埋め込まれたゲート電極を有することができる。埋め込み式ゲート電極を有するMOSFETは、典型的には、ゲート・トレンチMOSFETと呼ばれる。標準的なゲート電極設計によって、各単位セル・トランジスタのチャネル領域は、ゲート電極の下に水平に配設される。対照的に、ゲート・トレンチMOSFET設計において、チャネルは、垂直に配設される。ゲート・トレンチMOSFETは、性能の向上を提供することができるが、典型的には、より複雑な製造プロセスを利用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施例に従って、改善されたゲート・トレンチ構造を有する半導体デバイスが提供され、改善されたゲート・トレンチ構造は、デバイスの阻止及び/又は伝導性能を改善するために、ゲート・トレンチの下部表面内の凹所及び凹所に隣接するドープされたウェルを組み込む。
【0012】
本発明の幾つかの実施例によれば、半導体デバイスは、半導体層構造と、半導体層構造内のゲート・トレンチ内に形成されたゲートとを含む。ゲート・トレンチは、第1のレベルの第1の部分及び第1のレベルと異なる第2のレベルの第2の部分を備える下部表面を有する。
【0013】
幾つかの実施例において、半導体層構造は基板を備え、第2のレベルは、第1のレベルより基板に近い。
【0014】
幾つかの実施例において、基板は炭化ケイ素を含む。
【0015】
幾つかの実施例において、半導体層構造は、第1の導電型を有するドリフト領域と、ドリフト領域上の第2の導電型を有するウェル領域と、ゲート・トレンチの下部表面の少なくとも一部分の下方の第2の導電型を有する深いシールド・パターンとを備える。
【0016】
幾つかの実施例において、深いシールド・パターンは、ウェル領域の少なくとも一部分に接触するために延在する。
【0017】
幾つかの実施例において、ゲート・トレンチは、ゲート・トレンチの側壁とゲート・トレンチの下部表面の第1の部分との間の第1の角部と、ゲート・トレンチの下部表面の第1の部分とゲート・トレンチの下部表面の第2の部分との間の第2の角部とをさらに備える。
【0018】
幾つかの実施例において、第2の角部の第2の曲率半径は、第1の角部の第1の曲率半径より大きい。
【0019】
幾つかの実施例において、深いシールド・パターンは、第2の角部とドリフト領域との間にある。
【0020】
幾つかの実施例において、ゲート・トレンチの下部表面は、第3のレベルの第3の部分をさらに備え、ゲート・トレンチの下部表面の第3の部分は、ゲート・トレンチの第1の部分からゲート・トレンチの第2の部分の対向する側にある。
【0021】
幾つかの実施例において、第1のレベル及び第3のレベルは、ほぼ同じレベルにある。
【0022】
本発明の幾つかの実施例によれば、半導体デバイスは、第1の導電型を有する基板と、基板上の第1の導電型を有するドリフト領域と、ドリフト領域上の第2の導電型を有するウェル領域と、ウェル領域及びドリフト領域内に貫入するゲート・トレンチとを含む。ゲート・トレンチは、基板に向かって延在する凹所を備える非線形下部表面を有する。
【0023】
幾つかの実施例において、半導体デバイスは、ゲート・トレンチの下部表面の少なくとも一部分の下方の第2の導電型を有する深いシールド・パターンをさらに含む。
【0024】
幾つかの実施例において、深いシールド・パターンは、ウェル領域の少なくとも一部分に接触するために延在する。
【0025】
幾つかの実施例において、深いシールド・パターンは、ゲート・トレンチの下部表面内の凹所上に延在する。
【0026】
幾つかの実施例において、ゲート・トレンチの下部表面の第1の部分は第1のレベルにあり、ゲート・トレンチの下部表面の第2の部分は、第1のレベルと異なる第2のレベルにある。
【0027】
幾つかの実施例において、ゲート・トレンチの下部表面の第2の部分は、凹所内にある。
【0028】
幾つかの実施例において、ゲート・トレンチの下部表面は、第3のレベルの第3の部分をさらに備え、ゲート・トレンチの下部表面の第3の部分は、ゲート・トレンチの第1の部分からゲート・トレンチの第2の部分の対向する側にある。
【0029】
幾つかの実施例において、第1のレベル及び第3のレベルは、ほぼ同じレベルにある。
【0030】
幾つかの実施例において、ゲート・トレンチは、ゲート・トレンチの側壁とゲート・トレンチの下部表面の第1の部分との間の第1の角部と、ゲート・トレンチの下部表面の第1の部分と凹所との間の第2の角部とをさらに備える。
【0031】
幾つかの実施例において、凹所は、ゲート・トレンチの下部表面の中央部分内にあり、下部表面の所定の部分は、凹所の対向する側にある。
【0032】
本発明の幾つかの実施例によれば、半導体デバイスを形成する方法は、半導体層構造を設けること、半導体層構造内に第1のゲート・トレンチをエッチングすること、半導体層構造内に第2のゲート・トレンチをエッチングすること、及び、第2のゲート・トレンチの下部表面内にイオン・インプランテーションを実施することを含む。第2のゲート・トレンチは第1のゲート・トレンチより深く、第2のゲート・トレンチの少なくとも一部分は第1のゲート・トレンチに接続される。
【0033】
幾つかの実施例において、第2のゲート・トレンチをエッチングすることは、第1のゲート・トレンチの少なくとも一部分上にマスクを形成することによって先行される。
【0034】
幾つかの実施例において、方法は、第1のゲート・トレンチ及び第2のゲート・トレンチ上にゲート絶縁層を形成すること、並びに、ゲート絶縁層上にゲート電極を形成することをさらに含む。
【0035】
幾つかの実施例において、第2のゲート・トレンチをエッチングすることは、第1のゲート・トレンチをエッチングする前に実施される。
【0036】
幾つかの実施例において、第1のゲート・トレンチをエッチングすることは、第2のゲート・トレンチの少なくとも一部分上にマスクを形成することによって先行される。
【0037】
幾つかの実施例において、第2のゲート・トレンチは、第1のゲート・トレンチの下部表面の中央部分を通って延在し、第1のゲート・トレンチの下部表面の所定の部分は、第2のゲート・トレンチの対向する側にある。
【0038】
幾つかの実施例において、半導体層構造は、第1の導電型を有するドリフト領域を備え、方法は、第1のゲート・トレンチと第2のゲート・トレンチとの間の界面においてドリフト領域の角部を処理することであって、それにより、角部の曲率半径を増加させる、処理することをさらに含む。
【0039】
幾つかの実施例において、第2のゲート・トレンチの下部表面内にイオン・インプランテーションを実施することは、角度付きイオン・インプラントを実施することを含む。
【0040】
幾つかの実施例において、半導体層構造は、第1の導電型を有するドリフト領域及び第2の導電型を有するウェル領域を備え、第2のゲート・トレンチの下部表面内にイオン・インプランテーションを実施することは、第2のゲート・トレンチの側壁及び下部表面内に第2の導電型を有する深いシールド・パターンのイオン・インプランテーションを実施することを含む。
【0041】
幾つかの実施例において、深いシールド・パターンは、ウェル領域の少なくとも一部分に接触するために延在する。
【0042】
本発明の幾つかの実施例によれば、半導体デバイスは、第1の導電型を有する基板と、基板上の第1の導電型を有するドリフト領域と、ドリフト領域上の第2の導電型を有するウェル領域と、ウェル領域及びドリフト領域内に貫入するゲート・トレンチとを含む。ゲート・トレンチは、第1の部分及び第2の部分を備える下部表面を有し、第2の部分は第1の部分より基板に近い。
【0043】
幾つかの実施例において、半導体デバイスは、ゲート・トレンチの下部表面の第2の部分上に第2の導電型を有する深いシールド・パターンをさらに含む。
【0044】
幾つかの実施例において、深いシールド・パターンは、ウェル領域の少なくとも一部分に接触するために延在する。
【0045】
幾つかの実施例において、ゲート・トレンチの下部表面は、第3の部分をさらに備え、ゲート・トレンチの下部表面の第3の部分は、ゲート・トレンチの第1の部分からゲート・トレンチの第2の部分の対向する側にある。
【0046】
幾つかの実施例において、ゲート・トレンチは、ゲート・トレンチの第1の側壁とゲート・トレンチの下部表面の第1の部分との間の第1の角部と、ゲート・トレンチの下部表面の第1の部分とゲート・トレンチの第2の側壁との間の第2の角部とをさらに備え、第2の側壁は、ゲート・トレンチの下部表面の第1の部分と第2の部分との間に延在する。
【0047】
幾つかの実施例において、第2の角部の第2の曲率半径は、第1の角部の第1の曲率半径より大きい。
【0048】
幾つかの実施例において、半導体デバイスは、第2の導電型を有する深いシールド・パターンをさらに含み、深いシールド・パターンは、ゲート・トレンチの第2の角部とドリフト領域との間にある。
【0049】
幾つかの実施例において、ゲート・トレンチの第1の角部の少なくとも一部分は、第1の角部のその部分とドリフト領域との間の深いシールド・パターンがない状態で、ドリフト領域に直接接触する。
【0050】
幾つかの実施例において、第1の側壁の第1の深さと第2の側壁の第2の深さとの比は1~10の間である。
【0051】
幾つかの実施例による他のデバイス、装置、及び/又は方法は、添付図面及び詳細な説明の検討によって当業者に明らかになるであろう。全てのそのようなさらなる実施例が、上記実施例の任意の及び全ての組合せに加えて、本説明に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1A】MOSFETデバイスのゲート酸化物を電界集中からシールドするために使用される従来のメカニズムを示す図である。
【
図1B】MOSFETデバイスのゲート酸化物を電界集中からシールドするために使用される従来のメカニズムを示す図である。
【
図2A】本開示の幾つかの実施例による、MOSFETデバイスの概略断面図である。
【
図2B】本開示の幾つかの実施例による、MOSFETデバイスの概略断面図である。
【
図3A】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図3B】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図3C】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図3D】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図3E】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図3F】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図3G】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図3H】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図4A】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図4B】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図4C】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図4D】本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図5A】本開示の幾つかの実施例による、MOSFETデバイスの概略断面図である。
【
図5B】本開示の幾つかの実施例による、MOSFETデバイスの概略断面図である。
【
図6A】本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図6B】本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図6C】本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図6D】本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図6E】本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図6F】本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図7A】本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図7B】本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図7C】本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図7D】本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の詳細な説明において、多数の特定の詳細は、本開示の実施例の完全な理解を提供するために述べられる。しかしながら、本開示が、これらの特定の詳細なしで実施され得ることが当業者によって理解されるであろう。幾つかの例において、よく知られている方法、プロシージャ、構成要素、及び回路は、本開示を曖昧にしないために、詳細に説明されていない。本明細書で開示される全ての実施例が、別々に実装され得る或いは任意の方法及び/又は組合せで組み合わされ得ることが意図される。一実施例に関して説明した態様は、異なる実施例に組み込まれるが、それに対して具体的に説明されない場合がある。すなわち、全ての実施例及び/又は任意の実施例の特徴は、任意の方法及び/又は組合せで組み合わされ得る。
【0054】
本明細書で説明される実施例は、ゲート・トレンチ半導体デバイスの性能を改善する、デバイス及びそのようなデバイスを製造するための方法を提供する。本明細書で説明される実施例は、改善されたゲート・トレンチ構造を提供することができ、改善されたゲート・トレンチ構造は、デバイスの阻止及び/又は伝導性能を改善するために、ゲート・トレンチの下部表面内の凹所及び凹所に隣接するドープされたウェルを組み込む。
【0055】
SiCゲート・トレンチMOSFET垂直パワー・デバイスは、それらの固有の低い特定オン抵抗(specific on-resistance)によって魅力的であり、その特定オン抵抗は、軽度から中程度の逆阻止電圧レベル(例えば、650~1200V)を必要とするパワー・スイッチング動作について、より効率的な動作をもたらす場合がある。トレンチMOSFET垂直パワー・デバイスは、オン状態動作中に低い特定抵抗を示すことができる。なぜならば、チャネルがゲート・トレンチの側壁上に形成され、トレンチ設計がデバイスの全体ピッチを低減し、高集積化を可能にするからである。さらに、トレンチMOSFETの側壁チャネル内のキャリア移動度(carrier mobility)は、平面(例えば、横構造)デバイスのチャネル内の対応するキャリア移動度の2~4倍高いことが見出された。この増加したキャリア移動度は電流密度も増大させる。しかしながら、SiCゲート・トレンチMOSFET垂直パワー・デバイスは、トレンチの下部エッジにおける急峻な高電界角部の存在によって酸化物信頼性問題を受ける場合があり、急峻な高電界角部は、経時的にゲート酸化物を絶縁破壊する可能性があり、最終的に、デバイスの故障をもたらす。
図1A及び1Bは、電界集中からMOSFETデバイスのゲート酸化物をシールドするために使用される従来のメカニズムを示す。
【0056】
図1Aは、第1のワイド・バンドギャップ・パワーMOSFET100Aの概略断面図である。MOSFET100Aは下部ゲートp+シールディングを組み込む。
図1Aに示すように、パワーMOSFET100Aは、高濃度にドープした(n
+)n型炭化ケイ素基板110を含む。低濃度にドープした(n
-)炭化ケイ素ドリフト領域120は、基板110上に設けられる。中濃度にドープしたp型炭化ケイ素ウェル領域170は、n型ドリフト領域120の上表面上に形成される。中濃度にドープしたp型炭化ケイ素ウェル領域170は、例えば、エピタキシャル成長によって形成され得る。この中濃度にドープしたp型炭化ケイ素ウェル領域170は、デバイス100A用のpウェル172を提供することができる。トランジスタ・チャネル178は、以下で論じるように、pウェル172内に形成され得る。高濃度にドープしたn
+炭化ケイ素ソース領域160は、p型炭化ケイ素ウェル領域170の上領域内に形成され得る。高濃度にドープしたn
+炭化ケイ素ソース領域160は、例えば、イオン・インプランテーションによって形成され得る。
【0057】
基板110、ドリフト領域120、中濃度にドープしたp型ウェル領域170、及び高濃度にドープしたn+炭化ケイ素ソース領域160は、そこに形成される種々の領域/パターンと共に、MOSFET100Aの半導体層構造106を構成する。
【0058】
ゲート・トレンチ180は、半導体層構造106内に形成される。ゲート・トレンチ180は、高濃度にドープしたn+炭化ケイ素ソース領域160及び中濃度にドープしたp型ウェル領域170を通り、ドリフト領域120内に延在することができる。ゲート絶縁層186は、各ゲート・トレンチ180の下部表面及び側壁上に形成され得る。ゲート電極184は、それぞれのゲート・トレンチ180を満たすために、各ゲート絶縁層186上に形成され得る。垂直チャネル領域178は、ゲート絶縁層186に隣接してpウェル172内に設けられる。
【0059】
ソース接点162は、高濃度にドープしたn型ソース領域160上に形成され得る。配線層165は、ソース接点162の種々の接点を接続し得る。ドレイン接点164は、基板110の下表面上に形成され得る。ゲート接点(図示せず)は、ゲート電極184上に形成され得る。
【0060】
典型的には、酸化ケイ素層として実装されるゲート絶縁層186が過度に高い電界を受ける場合、ゲート絶縁層186は、経時的に劣化し、最終的に、半導体層構造からゲート電極184を絶縁することに失敗する可能性があり、それは、デバイス故障をもたらす可能性がある。ゲート絶縁層186の角部(例えば、ゲート絶縁層186が垂直表面から横表面に移行するエリア)は、そのような高電界を特に受け易い。ゲート絶縁層186の信頼性を改善するために、パワーMOSFET100Aは、ゲート・トレンチ180の下に深いシールド・パターン140を含む。深いシールド・パターン140は、イオン・インプランテーションによってn型ドリフト領域120の上表面内に形成される高濃度にドープした(p+)炭化ケイ素パターンとすることができる。
【0061】
深いシールド・パターン140は、逆阻止動作(reverse blocking operation)中に高電界からゲート絶縁層186の角部を保護するために使用され得る。深いシールド・パターン140は、ゲート絶縁層186のためのシールドを提供することができ、電流伝導のための2つの側壁面の利用に起因するさらなるデバイス性能を提供することができる。
【0062】
しかしながら、電界を阻止するために、深いシールド・パターン140は、pウェル172に電気接続されるべきである。
図1AのMOSFET100Aにおいて、この電気接続は、典型的には、断面図の外側に設けられ、かなりの余分な処理ステップを必要とする場合がある。さらに、
図1Aのデバイスを形成するときに、深いシールド・パターン140の形成中にゲート・トレンチ180の側壁を保護することは、ゲート・トレンチ180の下部表面から跳ね返り、側壁内にインプラントするp型イオンの横方向「散逸(straggle)」のせいで難しい場合がある。結果として、ゲート・トレンチ180の側壁は、イオン・インプランテーションによって損傷される場合がある。さらに、ゲート・トレンチ180の下側壁を形成するn型ドリフト領域120の部分は、低濃度にドープされるだけであり、p型の深いシールド・パターンは、高濃度にドープされるため、十分に多くの数のp型イオンがゲート・トレンチ180の下側壁内にインプラントされる場合、チャネル178の下方にあるn型領域はp型材料に変換され得る。これが起こる場合、デバイス100Aは、動作不能にされる場合がある。
【0063】
図1Bは、第2のワイド・バンドギャップ・パワーMOSFET100Bの概略断面図である。MOSFET100Bは、非対称p+シールドを組み込む。
図1Bにおいて、
図1Aに関して説明した構造と同様である構造の説明は、簡潔にするために反復されない。
図1Bに示すように、パワーMOSFET100Bは、各ゲート・トレンチ180の一方の側壁に沿って、pウェル172と深いシールド・パターン140との間に電気接続を組み込む。例えば、MOSFET100Bのp型材料は、ゲート・トレンチ180の下の深いシールド・パターン140から、ゲート・トレンチ180の一方の側壁に沿って、pウェル172まで連続的に延在することができる。pウェル172と深いシールド・パターン140との間の電気接続は、ゲート・トレンチ180の右側角部について頑健な保護を提供することができる。しかしながら、
図1Bに見ることができるように、深いシールド・パターン140及び/又はpウェル172は、ゲート・トレンチ180の一方の側を覆い、ゲート・トレンチ180のその側からチャネルを除去する。結果として、
図1Bに示す実施例において、1つのチャネル178(
図1Bのゲート・トレンチ180の左側)のみが、デバイスのオン状態動作中に利用可能となり得る。
【0064】
本開示は、
図1A及び1Bに関して説明した技法にわたって改善を示す実施例を提供する。本開示は、ゲート・トレンチの下部に凹所を提供することができるデュアル・トレンチを組み込むゲート・トレンチを有する半導体デバイスを提供する。デュアル・トレンチの使用は、深いシールド・パターンの配置のより精密な制御及び逆阻止動作中のデバイスの保護の増強を可能にする。
【0065】
図2A及び2Bは、本開示の幾つかの実施例による、MOSFETデバイス200A、200Bの概略断面図である。
図2Aを参照すると、パワーMOSFET200Aは、n型ワイド・バンドギャップ半導体基板110を含むことができる。基板110は、例えば、4H-SiC又は6H-SiC基板を備えることができる。他の実施例において、基板110は、異なる半導体材料(例えば、3族窒化物ベース材料、Si、GaAs、ZnO、InP)又は非半導体材料(例えば、サファイア)であるか若しくはそれを含むことができる。基板110は、n型不純物で高濃度にドープされ得る(すなわち、n
+炭化ケイ素基板)。不純物は、例えば、窒素又はリンを含むことができる。基板110のドーピング濃度は、例えば、1×10
18原子/cm
3と1×10
21原子/cm
3との間とすることができるが、他のドーピング濃度が使用され得る。基板は、幾つかの実施例において、比較的肉厚(例えば、20~100ミクロン以上)とすることができるが、デバイスの他の層及び領域の拡大を可能にするために
図2A及び2B(及び他の図)において薄い層として示される。
【0066】
低濃度にドープしたn型(n-)ドリフト領域120(例えば、炭化ケイ素)は、基板110上に設けられ得る。n型ドリフト領域120は、例えば、基板110上でのエピタキシャル成長によって形成され得る。n型ドリフト領域120は、例えば、1×1016~5×1017ドーパント/cm3のドーピング濃度を有することができる。n型ドリフト領域120は、例えば、3~100ミクロンの、基板110の上方の垂直高さを有する、肉厚領域とすることができる。幾つかの実施例において、n型ドリフト領域120の上部分は、n型ドリフト領域120の下部分より高濃度にドープされるn型電流拡散層(図示せず)を備えることができる。
【0067】
中濃度にドープしたp型ウェル領域170(例えば、炭化ケイ素)は、n型ドリフト領域120の上表面上に形成され得る。中濃度にドープしたp型ウェル領域170は、例えば、エピタキシャル成長によって形成され得る。この中濃度にドープしたp型ウェル領域170は、デバイス200A用のpウェル272を提供することができる。幾つかの実施例において、pウェル272は、5×1016/cm3と5×1019/cm3との間のドーピング濃度を有することができる。トランジスタ・チャネル278は、以下で論じるように、pウェル272内に形成され得る。
【0068】
高濃度にドープしたn+ソース領域160(例えば、炭化ケイ素)は、p型ウェル領域170の上領域内に形成され得る。高濃度にドープしたn+ソース領域160は、例えば、イオン・インプランテーションによって形成され得る。
【0069】
基板110、ドリフト領域120、中濃度にドープしたp型ウェル領域170、及び高濃度にドープしたn+ソース領域160は、そこに形成された種々の領域/パターンと共に、MOSFET200Aの半導体層構造206を構成する。本明細書で、用語「半導体層構造(semiconductor layer structure)」は、1つ又は複数の半導体層、例えば、半導体基板及び/又は半導体エピタキシャル層を含む構造を指す。
【0070】
ゲート・トレンチ280は、半導体層構造206内に形成され得る。ゲート・トレンチ280は、高濃度にドープしたn
+ソース領域160及び中濃度にドープしたp型ウェル領域170を通って、ドリフト領域120内に延在することができる。ゲート・トレンチ280は、第1のトレンチ281(第1のゲート・トレンチとも呼ばれる)及び第2のトレンチ282(第2のゲート・トレンチとも呼ばれる)を含むことができる。第1のトレンチ281の深さは第2のトレンチ282より浅いとすることができる。幾つかの実施例において、第2のトレンチ282は第1のトレンチ281に接続される。例えば、幾つかの実施例において、第2のトレンチ282の側壁は、第1のトレンチ281の下部又は側壁に接続することができる。幾つかの実施例において、第2のトレンチ282は、第1のトレンチ281の一方の側に位置することができる。
図2Aにおいて、第2のトレンチ282は、第1のトレンチ281の右側に位置するが、本開示がそれに限定されないことが理解されるであろう。
【0071】
第1のトレンチ281及び第2のトレンチ282の構成は、非線形下部表面287を有するゲート・トレンチをもたらすことができる。下部表面287は、第1のレベルの第1の部分287a、及び、第1のレベルと異なる第2のレベルの第2の部分287bを有することができる。幾つかの実施例において、第2の部分287bの第2のレベルは、第1の部分287aの第1のレベルより深い(例えば、基板110に近い)とすることができる。幾つかの実施例において、第1のトレンチ281の第1のレベルと第2のトレンチ282の第2のレベルとの差は、0.1~40μmとすることができる。幾つかの実施例において、第1のトレンチ281の第1のレベルと第2のトレンチ282の第2のレベルとの差は、0.5~20μmとすることができる。幾つかの実施例において、第1のトレンチ281の第1のレベルと第2のトレンチ282の第2のレベルとの差は、1~10μmとすることができる。第1の部分287a及び第2の部分287bは共に、比較的平坦とすることができる。結果として、ゲート・トレンチ280は、2つ以上の下部角部を有することができる。
【0072】
下部表面287の第1の部分287aは、第1のトレンチ281の下部表面に対応することができ、下部表面287の第2の部分287bは、第2のトレンチ282の下部表面に対応することができる。下部表面287の第1の部分287aの第1のレベルは、pウェル272の下部から第1の距離D1であるとすることができる。換言すれば、下部表面287の第1の部分287aは、pウェル272より遠くに第1の距離D1だけドリフト領域120内に延在することができる。距離D1は、デバイスの単位セルのピッチに依存することができる。幾つかの実施例において、距離D1は、0.1μmより大きい値から5μmまでとすることができるが、本開示はそれに限定されない。下部表面287の第1及び第2のレベルは、基板110に向かって突出するゲート・トレンチ280の下部表面287内に凹所をもたらすことができる。
【0073】
深いシールド・パターン240は、ゲート・トレンチ280の下部表面287上に形成され得る。深いシールド・パターン240は、n型ドリフト領域120の上表面内にイオン・インプランテーションによって形成される高濃度のドープした(p+)パターン(例えば、炭化ケイ素)とすることができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン240は、例えば、1×1017/cm3と1×1021/cm3との間のドーピング濃度を有することができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン240は、ゲート・トレンチ280の下部表面287の第1の部分287a及び/又は第2の部分287b上にあるとすることができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン240は、第2のトレンチ282の下部表面287b全体に沿って延在することができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン240は、第2のトレンチ282の下部表面287b及び側壁とドリフト領域120との間にあるとすることができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン240は、第1のトレンチ281の側壁又は下部表面の全てを覆わない場合がある。すなわち、第1のトレンチ281のその部分は、その部分上に深いシールド・パターン240の部分がない状態で、ドリフト領域120に直接当接することができる。
【0074】
第1のトレンチ281及び第2のトレンチ282の使用は、第1のゲート・トレンチ281の2つの角部290a、290bの形成をもたらす。第1の角部290aは、第1のトレンチ281の下部表面(例えば、第1の部分287a)と第1のトレンチ281の側壁との間の角部とすることができる。第2の角部290bは、第1のトレンチ281の下部表面(例えば、第1の部分287a)と第2のトレンチ282の側壁との間の角部とすることができる。幾つかの実施例において、第2の角部290bの曲率半径は、第1の角部290aの曲率半径より大きいとすることができる。幾つかの実施例において、第1の角部290aの少なくとも一部分は、その部分上に深いシールド・パターン240の部分がない状態で、ドリフト領域120に直接当接することができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン240は、第2の角部290b上にあり、幾つかの実施例において、それを覆うことができる。
【0075】
深いシールド・パターン240は、pウェル272に物理的に及び/又は電気的に接続するために、第2のトレンチ282の側壁に沿って延在することができる。深いシールド・パターン240とpウェル272との間の接続は、ゲート・トレンチ280の一方の側壁について改善された保護を提供することができる。ゲート・トレンチ280の対向する側壁は、MOSFET200A用のチャネル278を形成することができる。
図1Bのデバイスの場合と同様に、MOSFET200Aは、動作中に、ゲート・トレンチ280の一方の側で伝導する1つのチャネルを有することができる。しかしながら、
図1Bの実施例と対照的に、MOSFET200Aにおける第1及び第2のトレンチ281、282の使用は、ゲート・トレンチ280の第1の角部290aについて改善された保護を可能にすることができる。MOSFET200Aにおいて、深いシールド・パターン240は、関連するデバイス(
図1BのMOSFET100B等)の場合より深く(例えば、基板110に近く)形成される。深いシールド・パターン240をドリフト領域120内により深く有することは、第1の角部290aについて、逆阻止動作中にドリフト領域120内で生成される電界からの、よりよい保護を提供する。より深い第2のトレンチ282の使用は、深いシールド・パターン240が、過剰のインプラント・エネルギーなしで、形成されることを可能にする。
【0076】
第1のゲート・トレンチ281及び第2のゲート・トレンチ282の形成は、第1の深さ281sを有する第1のゲート・トレンチ281の第1の側壁、及び、第2の深さ282sを有する第2のゲート・トレンチ282の第2の側壁の形成をもたらすことができる。第1の側壁の第1の深さ281sは、半導体層構造206の上部表面から第1の角部290aまで延在する第1のゲート・トレンチ281の側壁の部分の深さ(例えば、基板の上部表面に垂直な方向の寸法)とすることができる。第2の側壁の第2の深さ282sは、第2の角部290bから第2のゲート・トレンチ282の下部表面まで延在する第2のゲート・トレンチ282の側壁の部分の深さとすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ281sと第2の側壁282sの比(例えば、281s/282s)は1以上とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ281sと第2の側壁282sの比は1と20との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ281sと第2の側壁282sの比は1と10との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ281sと第2の側壁282sの比は1と5との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ281sと第2の側壁282sの比は2と10との間とすることができる。第1の側壁の第1の深さ281sは、半導体層構造206の上部表面とゲート・トレンチ280の下部表面287の第1の部分287aとの間の距離を示すこともできる。第2の側壁の第2の深さ282sは、ゲート・トレンチ280の下部表面287の第1の部分287aと第2の部分287bとの間の距離を示すこともできる。
【0077】
図2Aを再び参照すると、ゲート絶縁層286は、第1のトレンチ281及び第2のトレンチ282を含むゲート・トレンチ280の下部表面及び側壁上に形成され得る。ゲート電極284は、ゲート・トレンチ280内にある及び/又はそれを充填するために、ゲート絶縁層286上に形成され得る。
【0078】
ソース接点162は、高濃度にドープしたn型ソース領域160上に形成され得る。配線層165は、ソース接点162の種々の接点を接続することができる。ドレイン接点164は、基板110の下表面上に形成され得る。ゲート接点(図示せず)は、ゲート電極284上に形成され得る。
【0079】
図2Aは、pウェル272から第1の距離D1だけ分離される第1のトレンチ281を示すが、本開示がそれに限定されないことが理解されるであろう。幾つかの実施例において、pウェル272と第1のトレンチ281の下部表面287aとの間の距離は変動する場合がある。例えば、
図2Bは、第1のトレンチ281がpウェル272から第2の距離D2だけ分離され、第2の距離D2が第1の距離D1より小さい本開示のMOSFET200Bの実例の実施例を示す。幾つかの実施例において、距離D2は0.1μm~5μm未満とすることができるが、本開示はそれに限定されない。
図2Aの要素と実質的に同様である
図2Bの要素は、簡潔にするために説明されない。
【0080】
図2Bを参照すると、第1のトレンチ281’の深さは、
図2Aに示す実施例より浅く作られ得る。例えば、ゲート・トレンチ280の下部表面287’の第1の部分287a’は、半導体層構造206の表面のより近くに形成され得る。結果として、下部表面287’の第1の部分287a’と第2の部分287bとの間の距離は増加することができる。より浅い第1のトレンチ281’は、第1の角部290a’及び/又は第2の角部290b’がpウェル272のより近くに配置されることをもたらすことができる。
図2Bの実施例は、逆阻止中の第1の角部290a’についてよりよい保護をもたらすことができ、一方、
図2Aの実施例は、
図2Bの実施例に対して電流が改善されるように、より大きい幅をJFET領域に提供することができる。
【0081】
やはり
図2Bを参照すると、第1のゲート・トレンチ281’及び第2のゲート・トレンチ282の形成は、第1の深さ281s’を有する第1のゲート・トレンチ281’の第1の側壁及び第2の深さ282s’を有する第2のゲート・トレンチ282の第2の側壁の形成をもたらすことができる。第1の側壁の第1の深さ281s’は、半導体層構造206の上部表面から第1の角部290a’まで延在する第1のゲート・トレンチ281’の側壁の部分の深さとすることができる。第2の側壁の第2の深さ282s’は、第2の角部290b’から第2のゲート・トレンチ282の下部表面まで延在する第2のゲート・トレンチ282の側壁の部分の深さとすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ281s’と第2の側壁282s’の比(例えば、281s’/282s’)は1以下とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ281s’と第2の側壁282s’の比は0.1と1との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ281s’と第2の側壁282s’の比は0.05と1との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ281s’と第2の側壁282s’の比は0.2と1との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ281s’と第2の側壁282s’の比は0.1と0.5との間とすることができる。第1の側壁の第1の深さ281s’は、半導体層構造206の上部表面とゲート・トレンチ280の下部表面287’の第1の部分287a’との間の距離を示すこともできる。第2の側壁の第2の深さ282s’は、ゲート・トレンチ280の下部表面287’の第1の部分287a’と第2の部分287bとの間の距離を示すこともできる。
【0082】
図3A~3Hは、本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイス200A、200Bを製造する方法を示す概略断面図である。
【0083】
図2A及び2Bの要素と同じか又は同様である
図3A~3Hの要素の説明は、簡潔にするために省略される。したがって、
図3A~3Hの説明は、先に説明した図との差に的を絞る。
【0084】
図3Aを参照すると、基板110が設けられ、ドリフト領域120は、エピタキシャル成長によって基板110上に形成される。幾つかの実施例において、基板110は、高濃度にドープした(n
+)n型炭化ケイ素であり、ドリフト領域120は、低濃度にドープした(n
-)炭化ケイ素ドリフト領域120である。幾つかの実施例において、ドリフト領域120の上部分を備えるn型炭化ケイ素電流拡散層が形成され得る。
【0085】
中濃度にドープしたp型ウェル領域170(例えば、炭化ケイ素)は、n型ドリフト領域120の上表面上に形成され得、高濃度にドープした(n+)n型ソース領域160(例えば、炭化ケイ素)は、p型ウェル領域170の上部分に形成され得る。幾つかの実施例において、p型ウェル領域170は、エピタキシャル成長によって形成され得る。幾つかの実施例において、p型ウェル領域170は、イオン・インプランテーションによって形成され得る。幾つかの実施例において、p型ウェル領域170のドーピング濃度は、不均一とすることができる。例えば、幾つかの実施例において、p型ウェル領域170の上部分は、p型ウェル領域170の下部分より高いドーピング濃度を有することができる。幾つかの実施例において、イオン・インプランテーションは、p型ウェル領域170内にソース領域160を形成するために使用され得る。n型ソース領域160、p型ウェル領域170、ドリフト領域120、及び基板110は、半導体層構造206を形成することができる。
【0086】
図3Bを参照すると、第1のマスク310は、半導体層構造206の上表面上に形成され得る。第1のマスク310は、n型ソース領域160に隣接するp型ウェル領域170の上表面を露出させる穴310Hを有することができる。
【0087】
図3Cを参照すると、エッチング・プロセスは、第1のマスク310内の穴310Hを通して実施され得る。エッチング・プロセスは、第1のトレンチ281を形成するためにp型ウェル領域170及びドリフト領域120の所定の部分を除去する異方性エッチとすることができる。第1のトレンチ281の下部表面287aは、ドリフト領域120内の第1のレベルで形成され得る。エッチング・プロセスは、第1のトレンチ281の下部表面287aがそれに対して形成されるp型ウェル領域170の下表面からの深さDを制御するように構成され得る。幾つかの実施例において、深さDは、
図2Aに示す第1の深さD1と同様になるように構成され得る。幾つかの実施例において、深さDは、
図2Bに示す第2の深さD2と同様になるように構成され得る。すなわち、基板110の上方の第1の角部290a、290a’(
図2A及び
図2B参照)の高さは、第1のトレンチ281のエッチングの深さDを制御することによって制御され得る。
【0088】
図3Dを参照すると、第2のマスク320は、半導体層構造206の上表面上及び第1のトレンチ281内に形成され得る。第2のマスク320は、第1のトレンチ281の下部表面の一部分を露出させる穴320Hを有することができる。第2のマスク320は、第1のトレンチ281の第2の側壁を露出させながら、第1のトレンチ281の第1の側壁を覆うことができる。幾つかの実施例において、第2のマスク320は、第1のマスク310を除去した後に形成され得る。幾つかの実施例において、第2のマスク320は、第1のマスク310にさらなるマスク構造を付加することによって形成され得る。
【0089】
図3Eを参照すると、エッチング・プロセスは、第2のマスク320内の穴320Hを通して実施され得る。エッチング・プロセスは、第2のトレンチ282を形成するためにp型ウェル領域170及び/又はドリフト領域120の所定の部分を除去する異方性エッチとすることができる。エッチング・プロセスは、第2のトレンチ282の下部表面287bがそこで形成される第2のレベルを制御するように構成され得る。第2のトレンチ282の下部表面287bは、第1のトレンチ281の下部表面287aの第1のレベルより深いとすることができる。幾つかの実施例において、第2のトレンチ282は第1のトレンチ281に接続される。例えば、幾つかの実施例において、第2のトレンチ282の側壁は、第1のトレンチ281の下部又は側壁に接続することができる。幾つかの実施例において、第2のトレンチ282は、第1のトレンチ281の一方の側に位置することができる。
図3Eにおいて、第2のトレンチ282は、第1のトレンチ281の右側に位置するが、本開示がそれに限定されないことが理解されるであろう。第1のトレンチ281及び第2のトレンチ282はゲート・トレンチ280を形成することができる。
【0090】
図3Fを参照すると、イオン・インプランテーション・プロセス325は、p+深いシールド・パターン240を形成するために実施され得る。幾つかの実施例において、イオン・インプランテーション・プロセス325は、1つ又は複数の角度付きイオン・インプランテーション・プロセスを含むことができる。図において、イオン・インプランテーション・プロセスは、ゲート・トレンチ280の右側壁にインプラントするために角度付けされるものとして示される。さらなる「ストレート(straight)」(すなわち、基板に垂直な)イオン・インプランテーション・プロセスが実施され得る、及び/又は、左側壁内にイオンをインプラントするさらなる角度付きイオン・インプランテーション・プロセスが任意選択で実施され得る。幾つかの実施例において、ゲート・トレンチ280の左側壁は、ゲート・トレンチ280の下部表面及び右側壁から反射するイオンによってインプラントされ得るため、角度付きイオン・インプラントは、ゲート・トレンチ280の左側壁にインプラントするために必要でないことに留意されたい。イオン・インプランテーション・プロセス325は、第2のトレンチ282内に比較的深いイオン・インプランテーションをもたらすことができる。イオン・インプランテーション・プロセス325は、第2のトレンチ282の側壁及び下部表面の所定の部分上での深いシールド・パターン240の形成をもたらすことができる。幾つかの実施例において、さらなるp型イオンは、p型ウェル領域170内の所定の部分内にインプラントされ得る。第2のマスクにより、第1のトレンチ281の少なくとも一方の側壁は、イオン・インプランテーションから保護され得る。例えば、n型ソース領域160に隣接する第1のトレンチ281の側壁は、イオン・インプランテーション・プロセス325によってインプラントされないとすることができる。これは、ゲート・トレンチ280の左側のpウェル272の下方にあるn型ドリフト領域120の部分がp型イオンをインプラントされないことを保証することができる。
【0091】
幾つかの実施例において、例えば、酸化ケイ素又は窒化ケイ素等のスペーサ誘電体は、イオン・インプランテーション・プロセス325を実施することに先だって第2のトレンチ282内に堆積され得る。スペーサ誘電体の付加は、インプランテーション深さの調整を可能にし、インプラントされたイオンの横方向散逸のより精密な制御を可能にすることができる。幾つかの実施例において、イオン・インプランテーション・プロセスは、その後、インプラントされたイオンの活性化が続き得る。
【0092】
図3Gを参照すると、第2のマスク320は、除去され得、ゲート絶縁層386は、半導体層構造206の上表面上及びゲート・トレンチ280(第1のトレンチ281及び第2のトレンチ282を含む)内に形成され得る。ゲート絶縁層386は、例えば、二酸化ケイ素(SiO
2:silicon dioxide)層を含むことができるが、SiO
xN
y、Si
xN
y、Al
2O
3等の他の絶縁材料及び/又は酸化ハフニウム等の高誘電体並びに同様なものが使用され得る。
【0093】
幾つかの実施例において、ゲート絶縁層386を形成することに先立って、さらなる処理(例えば、エッチング及び/又は酸化)が、第1のトレンチ281と第2のトレンチ282との間の界面に形成される第2の角部290b、290b’(
図2A及び2B参照)に対して実施され得る。さらなる処理は、第2の角部290b、290b’の曲率半径を増加させるために実施され得る。曲率半径を増加させる(例えば、第2の角部290b、290b’を急峻でなくする)ことによって、角部は、電界集中からよりよく保護され得る。第2の角部290b、290b’を変えるさらなる処理は、しかしながらオプションである。幾つかの実施例において、第1のトレンチ281の形成後の第2のトレンチ282のエッチングは、第2の角部290b、290b’の曲率半径を当然増加させることができる。
【0094】
電極層384は、ゲート絶縁層386上に形成され得る。電極層384は、ゲート・トレンチ280(第1のトレンチ281及び第2のトレンチ282を含む)内に形成され、且つ幾つかの実施例において、それを充填することもできる。電極層384は、例えば、シリサイド、ドープ多結晶シリコン(ポリSi又はポリ)、及び/又は安定導体を含むことができる。
【0095】
図3Hを参照すると、電極層384及びゲート絶縁層386は、ゲート電極284及びゲート絶縁層286を形成するためにエッチングされ得る。幾つかの実施例において、ゲート電極284及びゲート絶縁層286の上表面は、半導体層構造206の上表面と同一平面上にあるように形成され得るが、本開示の実施例はそれに限定されない。幾つかの実施例において、ゲート絶縁層286の少なくとも一部分は、半導体層構造206の上表面上に延在することができる。幾つかの実施例において、ゲート電極284の上表面のレベルは、半導体層構造206の上表面のレベルより上方にあるとすることができる。
【0096】
再び
図2A及び2Bを参照すると、ソース接点162は、高濃度にドープしたn型ソース領域160上に形成され得る。配線層165は、ソース接点162の種々の接点を接続するために形成され得る。ドレイン接点164は、基板110の下表面上に形成され得る。ゲート接点(図示せず)は、ゲート電極284上に形成され得る。
【0097】
図3A~3Hにおいて、第1のトレンチ281は、第2のトレンチ282の前に形成されたが、本開示の実施例はそれに限定されない。幾つかの実施例において、第2のトレンチ282は、第1のトレンチ281の前に形成され得る。
【0098】
図4A~4Dは、本開示の幾つかの実施例による、
図2A及び2Bのパワー・スイッチング・デバイス200A、200Bを製造する方法を示す概略断面図である。先に説明した図と同じか又はそれと同様である
図4A~4Dの要素の説明は、簡潔にするために省略される。したがって、
図4A~4Dの説明は、先に説明した図との差に的を絞る。
【0099】
図4Aは、
図3Aに関して説明した半導体層構造206の形成後のプロセスのステップを示す。
図4Aを参照すると、第1のマスク410は、半導体層構造206の上表面上に形成され得る。第1のマスク410は、p型ウェル領域170の上表面を露出させる穴410Hを有することができる。幾つかの実施例において、穴410Hは、n型ソース領域160から遠いp型ウェル領域170の上表面を露出させる。エッチング・プロセスは、第1のマスク410内の穴410Hを通して実施され得る。エッチング・プロセスは、第2のトレンチ282を形成するためにp型ウェル領域170及びドリフト領域120の所定の部分を除去する異方性エッチとすることができる。第2のトレンチ282の下部表面287bは、ドリフト領域120内の第2のレベルに形成され得る。
【0100】
図4Bを参照すると、イオン・インプランテーション・プロセス425は、p+深いシールド・パターン240を形成するために実施され得る。幾つかの実施例において、イオン・インプランテーション・プロセス425は、上記で論じたように、1つ又は複数の角度付き及び/又はストレート・イオン・インプランテーション・プロセスを含むことができる。イオン・インプランテーション・プロセス425は、第2のトレンチ282内に比較的深いイオン・インプランテーションをもたらすことができる。イオン・インプランテーション・プロセス425は、第2のトレンチ282の側壁及び下部表面の所定の部分上での深いシールド・パターン240の形成をもたらすことができる。幾つかの実施例において、さらなるp型イオンは、p型ウェル領域170内の所定の部分内にインプラントされ得る。
【0101】
幾つかの実施例において、例えば、酸化ケイ素又は窒化ケイ素等のスペーサ誘電体は、イオン・インプランテーション・プロセス425を実施することに先だって第2のトレンチ282内に堆積され得る。スペーサ誘電体の付加は、インプランテーション深さの調整を可能にし、インプラントされたイオンの横方向散逸のより精密な制御を可能にすることができる。
【0102】
図4Cを参照すると、第2のマスク420は、半導体層構造206の上表面上及び第2のトレンチ282内に形成され得る。第2のマスク420は、n型ソース領域160に隣接するp型ウェル領域170の上表面を露出させる穴420Hを有することができる。幾つかの実施例において、第2のマスク420は、第2のトレンチ282を完全に充填することができる。
【0103】
図4Dを参照すると、エッチング・プロセスは、第2のマスク420内の穴420Hを通して実施され得る。エッチング・プロセスは、第1のトレンチ281を形成するためにp型ウェル領域170及び/又はドリフト領域120の所定の部分を除去する異方性エッチとすることができる。エッチング・プロセスは、第1のトレンチ281の下部表面287aがそこで形成されるレベルを制御するように構成され得る。第1のトレンチ281の下部表面287aは、ドリフト領域120内の第1のレベルに形成され得る。エッチング・プロセスは、第1のトレンチ281の下部表面287aがそこで形成されるp型ウェル領域170の下表面からの深さDを制御するように構成され得る。幾つかの実施例において、深さDは、
図2Aに示す第1の深さD1と同様になるように構成され得る。幾つかの実施例において、深さDは、
図2Bに示す第2の深さD2と同様になるように構成され得る。すなわち、第1の角部290a、290a’(
図2A及び2B参照)の位置は、第1のトレンチ281のエッチングの深さを制御することによって制御され得る。
【0104】
幾つかの実施例において、第1のトレンチ281のエッチングは、第2のトレンチ282の一方の側壁の所定の部分を除去することができる。結果として、インプラントされた及び/又はイオン・インプランテーションによって損傷されたと思われる第2のトレンチ282の側壁の所定の部分は除去され得る。第2のトレンチ282の下部表面287bは、第1のトレンチ281の下部表面287aの第1のレベルより深いとすることができる。幾つかの実施例において、第2のトレンチ282は第1のトレンチ281に接続される。例えば、幾つかの実施例において、第2のトレンチ282の側壁は、第1のトレンチ281の下部及び側に接続することができる。幾つかの実施例において、第2のトレンチ282は、第1のトレンチ281の一方の側に位置することができる。
図4Dにおいて、第2のトレンチ282は、第1のトレンチ281の右側に位置するが、本開示がそれに限定されないことが理解されるであろう。第1のトレンチ281及び第2のトレンチ282はゲート・トレンチ280を形成することができる。
【0105】
図4Dを再び参照すると、第2のマスク420は、除去され得、デバイスの処理は、
図2A及び2Bに示すMOSFET200A及び200Bを形成するために、
図3G及び3Hに関して説明したプロセスと同様に継続することができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン240のインプラントされたイオンの活性化は、イオン・インプランテーション・プロセス425の後に実施され得る。幾つかの実施例において、活性化は、第1のトレンチ281の形成前に実施され得るが、幾つかの実施例において、活性化は、第1のトレンチ281の形成後に実施され得る
【0106】
幾つかの実施例において、ゲート絶縁層を形成することに先立って、さらなる処理(例えば、エッチング及び/又は酸化)が、第1のトレンチ281と第2のトレンチ282との間の界面に形成される第2の角部290b、290b’に対して実施され得る。さらなる処理は、第2の角部290b、290b’の曲率半径を増加させるために実施され得る。曲率半径を増加させる(例えば、第2の角部290b、290b’を急峻でなくする)ことによって、角部は、電界集中からよりよく保護され得る。第2の角部290b、290b’を変えるさらなる処理は、しかしながらオプションである。幾つかの実施例において、第2のトレンチ282の形成後の第1のトレンチ281のエッチングは、第2の角部290b、290b’の曲率半径を当然増加させることができる。
【0107】
先の実施例は、非対称p+シールドを有するMOSFETデバイスを説明したが、本開示はそれに限定されない。幾つかの実施例において、改善されたゲート・トレンチMOSFETデバイスは、チャネルがゲート・トレンチの両側に設けられる構成を含むことができる。
図5A及び5Bは、本開示の幾つかの実施例による、MOSFETデバイス500A、500Bの概略断面図である。
図5A及び5Bは、
図2A及び2Bに関して本明細書で説明した要素と同じか又は同様である要素に対する参照を含む。したがって、
図5A及び5Bの説明は、MOSFETデバイス500A、500BとMOSFETデバイス200A、200Bとの差に的を絞る。
【0108】
図5Aを参照すると、パワーMOSFETデバイス500Aは、高濃度にドープしたn型(n+)ワイド・バンドギャップ半導体基板110(例えば、炭化ケイ素)を含むことができる。低濃度にドープしたn型(n-)ドリフト領域120(例えば、炭化ケイ素)は、基板110上に設けられ得る。幾つかの実施例において、n型ドリフト領域120の上部分は、n型ドリフト領域120の下部分より高濃度にドープされたn型電流拡散層(図示せず)を備えることができる。中濃度にドープしたp型ウェル領域170(例えば、炭化ケイ素)は、n型ドリフト領域120の上表面上に形成され得る。この中濃度にドープしたp型ウェル領域170は、MOSFETデバイス500A用のpウェル572を提供することができる。高濃度にドープしたn
+ソース領域160(例えば、炭化ケイ素)は、p型ウェル領域170の上領域内に形成され得る。基板110、ドリフト領域120、中濃度にドープしたp型ウェル領域170、及び高濃度にドープしたn
+ソース領域160は、そこに形成される種々の領域/パターンと共に、MOSFET500Aの半導体層構造506を構成する。
【0109】
ゲート・トレンチ580は、半導体層構造506内に形成され得る。ゲート・トレンチ580は、高濃度にドープしたn+ソース領域160及び中濃度にドープしたp型ウェル領域170を通り、ドリフト領域120内に延在することができる。ゲート・トレンチ580は、第1のトレンチ581及び第2のトレンチ582を含むことができる。第1のトレンチ581の深さは、第2のトレンチ582より浅いとすることができる。幾つかの実施例において、第2のトレンチ582は第1のトレンチ581に接続される。例えば、幾つかの実施例において、第2のトレンチ582の両方の側壁は、第1のトレンチ581の下部に接続され得る。幾つかの実施例において、第2のトレンチ582は、第1のトレンチ581の中央部分に位置することができる。例えば、第2のトレンチ582は、第1のトレンチ581の下部から延在する凹所を提供することができる。
【0110】
第1のトレンチ581及び第2のトレンチ582の構成は、非線形下部表面587を有するゲート・トレンチ580をもたらすことができる。下部表面587は、第1のレベルの第1の部分587a、第2のレベルの第2の部分587b、及び第3のレベルの第3の部分587cを有することができる。幾つかの実施例において、第1のレベル及び第3のレベルは同じレベルとすることができる。幾つかの実施例において、第2のレベルは、第1のレベル及び第3のレベルと異なる。下部表面587の第1の部分587a及び第3の部分587cは、第1のトレンチ581の下部表面に対応することができる。下部表面587の第2の部分587bは、第2のトレンチ582の下部表面に対応することができる。幾つかの実施例において、第2の部分587bの第2のレベルは、第1の部分587aの第1のレベル及び第3の部分587cの第3のレベルより深い(例えば、基板110に近い)とすることができる。下部表面587の第1の部分587aの第1のレベル及び第3の部分587cの第3のレベルは、pウェル572の下部から第3の距離D3とすることができる。換言すれば、第1の部分587aの第1のレベル及び第3の部分587cの第3のレベルは、pウェル572より第3の距離D3だけ遠いドリフト領域120内に延在することができる。下部表面587の第1、第2、及び第3のレベルは、基板110に向かって突出するゲート・トレンチ580の下部表面587内に凹所をもたらすことができる。ゲート・トレンチ580の凹所は、ゲート・トレンチ580の中央部分から延在することができる。そのため、下部表面587は、エッジ部分(例えば、部分587a及び587c)より深くドリフト領域120内に延在する中央部分(例えば、部分587b)を有することができる。
【0111】
深いシールド・パターン540は、ゲート・トレンチ580の下部表面587上に形成され得る。深いシールド・パターン540は、イオン・インプランテーションによってn型ドリフト領域120の上表面に形成される高濃度にドープした(p+)(例えば、炭化ケイ素)パターンとすることができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン540は、例えば、1×1017/cm3と1×1021/cm3との間のドーピング濃度を有することができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン540は、ゲート・トレンチ580の下部表面587の第1の部分587a、第2の部分587b、及び/又は第3の部分587c上にあるとすることができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン540は、第2のトレンチ582の実質的に下部表面全体に沿って延在することができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン540は、第2のトレンチ582の下部及び側壁とドリフト領域120との間にあるとすることができる。幾つかの実施例において、深いシールド・パターン540は、第1のトレンチ581の側壁又は下部表面の全てを覆わない場合がある。すなわち、第1のトレンチ581のその部分は、その部分上に深いシールド・パターン540の部分がない状態で、ドリフト領域120に直接当接することができる。
【0112】
第1のトレンチ581及び第2のトレンチ582の使用は、ゲート・トレンチ580の2つの外側角部590a及び2つの内側角部590bの形成をもたらす。2つの外側角部590aは、第1のトレンチ581の下部表面(例えば、第1の部分587a及び第3の部分587c)と第1のトレンチ581のそれぞれの側壁との間の角部とすることができる。内側角部590bは、第1のトレンチ581の下部表面(例えば、第1の部分587a及び第3の部分587c)と第2のトレンチ582のそれぞれの側壁との間の角部とすることができる。幾つかの実施例において、内側角部590bの曲率半径は、外側角部590aの曲率半径より大きいとすることができる。幾つかの実施例において、外側角部590aの少なくとも一部分は、その部分上に深いシールド・パターン540の部分がない状態で、ドリフト領域120に直接当接することができる。幾つかの実施例において、内側角部590bは、深いシールド・パターン540によって覆われ得る。
【0113】
深いシールド・パターン540は、第2のトレンチ582の側壁及び下部表面に沿って延在することができる。深いシールド・パターンは、第1のトレンチ581の側壁の少なくとも所定の部分を露出させる(又は、延在しない)場合がある。ゲート・トレンチ580の側壁は、MOSFET500A用のゲート・トレンチ580の両側にチャネル578を形成することができる。
図1Aのデバイスの場合と同様に、MOSFET500Aは、動作中にゲート・トレンチ580の両側で伝導するチャネル578を有することができる。しかしながら、
図1Aの実施例と対照的に、MOSFET500Aにおける第1及び第2のトレンチ581、582の使用は、ゲート・トレンチ580の外側角部590aについて改善された保護を可能にすることができる。MOSFET500Aにおいて、深いシールド・パターン540は、関連するデバイス(
図1AのMOSFET100A等)の場合より深く(例えば、基板110により近く)形成される。深いシールド・パターン540をドリフト層120内により深く有することは、阻止動作中に外側角部590aについて電界からのよりよい保護を提供する。より深い第2のトレンチ582の使用は、深いシールド・パターン540が、過剰のインプラント・エネルギーなしで、形成されることを可能にする。
【0114】
第1のゲート・トレンチ581及び第2のゲート・トレンチ582の形成は、第1の深さ581sを有する第1のゲート・トレンチ581の第1の側壁、及び、第2の深さ582sを有する第2のゲート・トレンチ582の第2の側壁582sの形成をもたらすことができる。第1の側壁の第1の深さ581sは、半導体層構造506の上部表面から外側角部590aの一方まで延在する第1のゲート・トレンチ581の側壁の部分の深さ(例えば、基板の上部表面に垂直な方向の寸法)とすることができる。第2の側壁の第2の深さ582sは、内側角部590bの一方から第2のゲート・トレンチ582の下部表面まで延在する第2のゲート・トレンチ582の側壁の部分の深さとすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ581sと第2の側壁582sの比(例えば、581s/582s)は1以上とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ581sと第2の側壁582sの比は1と20との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ581sと第2の側壁582sの比は1と10との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ581sと第2の側壁582sの比は1と5との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ581sと第2の側壁582sの比は2と10との間とすることができる。第1の側壁の第1の深さ581sは、半導体層構造506の上部表面とゲート・トレンチ580の下部表面587の第1の部分587aとの間の距離を示すこともできる。第2の側壁の第2の深さ582sは、ゲート・トレンチ580の下部表面587の第1の部分587aと第2の部分587bとの間の距離を示すこともできる。
【0115】
図5Aを再び参照すると、ゲート絶縁層586は、第1のトレンチ581及び第2のトレンチ582を含むゲート・トレンチ580の下部表面及び側壁上に形成され得る。ゲート電極584は、ゲート・トレンチ580を充填するために、ゲート絶縁層586上に形成され得る。
【0116】
ソース接点162は、高濃度にドープしたn型ソース領域160上に形成され得る。配線層165は、ソース接点162の種々の接点を接続することができる。ドレイン接点164は、基板110の下表面上に形成され得る。ゲート接点(図示せず)は、ゲート電極584上に形成され得る。
【0117】
図5Aは、第3の距離D3だけpウェル572から分離される下部表面を有する第1のトレンチ581を示すが、本開示はそれに限定されないことが理解されるであろう。幾つかの実施例において、第1のトレンチ581の下部表面587a、587cの距離は、変動する場合がある。例えば、
図5Bは、第1のトレンチ581が、第4の距離D4だけpウェル572から分離され、第4の距離D4が第3の距離D3より小さい、本開示のMOSFET500Bの実例の実施例を示す。
図5Aの要素と実質的に同様である
図5Bの要素は、簡潔にするために説明されない。
【0118】
図5Bを参照すると、第1のトレンチ581’の深さは、
図5Aに示す実施例より浅く作られ得る。例えば、ゲート・トレンチ580の下部表面587’の第1の部分587a’及び第3の部分587b’は、半導体層構造506の表面のより近くに形成され得る。結果として、下部表面587’の第1の部分587a’及び第3の部分587c’を第2の部分587bから分離する距離は増加することができる。より浅い第1のトレンチ581’は、外側角部590a’がpウェル572のより近くに配置されることをもたらすことができる。
図5Bの実施例は、逆阻止中の外側角部590a’について、よりよい保護をもたらすことができ、一方、
図5Aの実施例は、
図5Bの実施例に対して電流が改善されるように、より大きい幅をJFET領域に提供することができる。
【0119】
やはり
図5Bを参照すると、第1のゲート・トレンチ581’及び第2のゲート・トレンチ582の形成は、第1の深さ581s’を有する第1のゲート・トレンチ581’の第1の側壁及び第2の深さ582s’を有する第2のゲート・トレンチ582の第2の側壁の形成をもたらすことができる。第1の側壁の第1の深さ581s’は、半導体層構造506の上部表面から外側角部590a’の一方まで延在する第1のゲート・トレンチ581’の側壁の部分の深さとすることができる。第2の側壁の第2の深さ582s’は、内側角部590b’の一方から第2のゲート・トレンチ582の下部表面まで延在する第2のゲート・トレンチ582の側壁の部分の深さとすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ581s’と第2の側壁582s’の比(例えば、581s’/582s’)は1以下とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ581s’と第2の側壁582s’の比は0.1と1との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ581s’と第2の側壁582s’の比は0.05と1との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ581s’と第2の側壁582s’の比は0.2と1との間とすることができる。幾つかの実施例において、第1の側壁の深さ581s’と第2の側壁582s’の比は0.1と0.5との間とすることができる。第1の側壁の第1の深さ581s’は、半導体層構造506の上部表面とゲート・トレンチ580の下部表面587’の第1の部分587a’との間の距離を示すこともできる。第2の側壁の第2の深さ582s’は、ゲート・トレンチ580の下部表面587’の第1の部分587a’と第2の部分587bとの間の距離を示すこともできる。
【0120】
図6A~6Fは、本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイス500A、500Bを製造する方法を示す概略断面図である。
図2A及び2Bの要素と同じか又はそれと同様である
図6A~6Fの要素の説明は、簡潔にするために省略される。したがって、
図6A~6Fの説明は、先に説明した図との差に的を絞る。
【0121】
図6Aを参照すると、基板110が設けられ、ドリフト領域120は、エピタキシャル成長によって基板110上に形成される。幾つかの実施例において、基板110は、高濃度にドープした(n
+)n型炭化ケイ素であり、ドリフト領域120は、低濃度にドープした(n
-)炭化ケイ素ドリフト領域120である。幾つかの実施例において、ドリフト領域120の上部分を備えるn型炭化ケイ素電流拡散層が形成され得る。
【0122】
中濃度にドープしたp型ウェル領域170は、n型ドリフト領域120の上表面上に形成され得、高濃度にドープした(n+)n型ソース領域160は、p型ウェル領域170の上部分に形成され得る。幾つかの実施例において、p型ウェル領域170は、エピタキシャル成長によって形成され得る。幾つかの実施例において、p型ウェル領域170は、イオン・インプランテーションによって形成され得る。幾つかの実施例において、p型ウェル領域170のドーピング濃度は、不均一とすることができる。例えば、幾つかの実施例において、p型ウェル領域170の上部分は、p型ウェル領域170の下部分より高いドーピング濃度を有することができる。幾つかの実施例において、イオン・インプランテーションは、p型ウェル領域170内にソース領域160を形成するために使用され得る。n型ソース領域160、p型ウェル領域170、ドリフト領域120、及び基板110は、半導体層構造506を形成することができる。
【0123】
図6Bを参照すると、第1のマスク610は、半導体層構造506の上表面上に形成され得る。第1のマスク610は、2つの隣接するn型ソース領域160の間でp型ウェル領域170の上表面を露出させる穴610Hを有することができる。
【0124】
エッチング・プロセスは、第1のマスク610内の穴610Hを通して実施され得る。エッチング・プロセスは、第1のトレンチ581を形成するためにp型ウェル領域170及びドリフト領域120の所定の部分を除去する異方性エッチとすることができる。第1のトレンチ581の下部表面587aは、ドリフト領域120内の第1のレベルに形成され得る。エッチング・プロセスは、第1のトレンチ581の下部表面587aがそれに対して形成されるp型ウェル領域170の下表面からの深さDを制御するように構成され得る。幾つかの実施例において、深さDは、
図5Aに示す第3の深さD3と同様になるように構成され得る。幾つかの実施例において、深さDは、
図5Bに示す第4の深さD4と同様になるように構成され得る。すなわち、外側角部590a、590a’(
図5A及び5B参照)の位置は、第1のトレンチ581のエッチングの深さDを制御することによって制御され得る。
【0125】
図6Cを参照すると、第2のマスク620は、半導体層構造506の上表面上及び第1のトレンチ581内に形成され得る。第2のマスク620は、第1のトレンチ581の下部表面587aの一部分を露出させる穴620Hを有することができる。第2のマスク620は、第1のトレンチ581の対向する側壁を覆うことができる。幾つかの実施例において、第2のマスク620は、第1のマスク610を除去した後に形成され得る。幾つかの実施例において、第2のマスク620は、第1のマスク610にさらなるマスク構造を付加することによって形成され得る。
【0126】
図6Dを参照すると、エッチング・プロセスは、第2のマスク620内の穴620Hを通して実施され得る。エッチング・プロセスは、第2のトレンチ582を形成するためにドリフト領域120の所定の部分を除去する異方性エッチとすることができる。エッチング・プロセスは、第2のトレンチ582の下部表面587bがそこで形成される第2のレベルを制御するように構成され得る。第1のトレンチ581及び第2のトレンチ582の構成は、非線形下部表面587を有するゲート・トレンチ580をもたらすことができる。下部表面587は、第1のレベルの第1の部分587a、第2のレベルの第2の部分587b、及び第3のレベルの第3の部分587cを有することができる。第2のトレンチ582の形成は、第1のトレンチ581の下部表面の第1の部分587a及び第3の部分587cを形成するために、第1のトレンチ581の下部表面587aに交差することができる。第2のトレンチ582の下部表面587bは、第1のトレンチ581の第1の部分587a及び第3の部分587cの第1のレベルより深いとすることができる。幾つかの実施例において、第2のトレンチ582は第1のトレンチ581に接続される。下部表面587の第1のレベル~第3のレベルは、基板110に向かって突出するゲート・トレンチ580の下部表面587内に凹所をもたらすことができる。ゲート・トレンチ580の下部表面587内の凹所は、ゲート・トレンチ580の中央部分から延在することができる。そのため、下部表面587は、エッジ部分(例えば、第1及び第3の部分587a及び587c)より深くドリフト領域120内に延在する中央部分(例えば、第2の部分587b)を有することができる。
【0127】
図6Eを参照すると、イオン・インプランテーション・プロセス625は、p+深いシールド・パターン540を形成するために実施され得る。幾つかの実施例において、イオン・インプランテーション・プロセス625は、1つ又は複数の角度付き及び/又はストレート・イオン・インプランテーション・プロセスを含むことができる。イオン・インプランテーション・プロセス625は、第2のトレンチ582内に比較的深いイオン・インプランテーションをもたらすことができる。イオン・インプランテーション・プロセス625は、第2のトレンチ582の側壁及び下部表面の所定の部分上での深いシールド・パターン540の形成をもたらすことができる。第2のマスク620により、第1のトレンチ581の側壁は、イオン・インプランテーションから保護され得る。例えば、n型ソース領域160に隣接する第1のトレンチ581の側壁は、イオン・インプランテーション・プロセス625によってインプラントされないとすることができる。幾つかの実施例において、イオン・インプランテーション・プロセスは、その後、インプラントされたイオンの活性化が続き得る。
【0128】
幾つかの実施例において、例えば、酸化ケイ素又は窒化ケイ素等のスペーサ誘電体は、イオン・インプランテーション・プロセス625を実施することに先だって第2のトレンチ582内に堆積され得る。スペーサ誘電体の付加は、インプランテーション深さの調整を可能にし、インプラントされたイオンの横方向散逸のより精密な制御を可能にすることができる。
【0129】
図6Fを参照すると、第2のマスク620は、除去され得、ゲート絶縁層686は、半導体層構造506の上表面上、及びゲート・トレンチ580(第1のトレンチ581及び第2のトレンチ582を含む)内に形成され得る。ゲート絶縁層686は、例えば、二酸化ケイ素(SiO
2)層を含むことができるが、SiO
xN
y、Si
xN
y、Al
2O
3等の他の絶縁材料及び/又は酸化ハフニウム等の高誘電体並びに同様なものが使用され得る。
【0130】
幾つかの実施例において、ゲート絶縁層686を形成することに先立って、さらなる処理(例えば、エッチング及び/又は酸化)が、第1のトレンチ581と第2のトレンチ582との間の界面に形成されるゲート・トレンチ580の2つの内側角部590b、590b’(
図5A及び5B参照)に対して実施され得る。さらなる処理は、内側角部590b、590b’の曲率半径を増加させるために実施され得る。曲率半径を増加させる(例えば、内側角部590b、590b’を急峻でなくする)ことによって、角部は、電界集中からよりよく保護され得る。内側角部590b、590b’を変えるさらなる処理は、しかしながらオプションである。幾つかの実施例において、第1のトレンチ581の形成後の第2のトレンチ582のエッチングは、内側角部590b、590b’の曲率半径を当然増加させることができる。
【0131】
電極層684は、ゲート絶縁層686上に形成され得る。電極層684は、ゲート・トレンチ580(第1のトレンチ581及び第2のトレンチ582を含む)内に形成され、幾つかの実施例において、それを充填することもできる。電極層684は、例えば、シリサイド、ドープ多結晶シリコン(ポリSi又はポリ)、及び/又は安定導体を含むことができる。
【0132】
図5A及び5Bに戻って参照すると、電極層684及びゲート絶縁層686は、ゲート電極584及びゲート絶縁層586を形成するためにエッチングされ得る。幾つかの実施例において、電極584及びゲート絶縁層586の上表面は、半導体層構造506の上表面と同一平面にあるように形成され得るが、本開示の実施例はそれに限定されない。幾つかの実施例において、ゲート絶縁層586の少なくとも一部分は、半導体層構造506の上表面上に延在することができる。幾つかの実施例において、ゲート電極584の上表面のレベルは、半導体層構造506の上表面のレベルより上方にあるとすることができる。
【0133】
ソース接点162は、高濃度にドープしたn型ソース領域160上に形成され得る。配線層165は、ソース接点162の種々の接点を接続し得る。ドレイン接点164は、基板110の下表面上に形成され得る。ゲート接点(図示せず)は、ゲート電極584上に形成され得る。
【0134】
図6A~6Fにおいて、第1のトレンチ581は、第2のトレンチ582の前に形成されたが、本開示の実施例はそれに限定されない。幾つかの実施例において、第2のトレンチ582は、第1のトレンチ581の前に形成され得る。
【0135】
図7A~7Dは、本開示の幾つかの実施例による、
図5A及び5Bのパワー・スイッチング・デバイス500A、500Bを製造する方法を示す概略断面図である。先に説明した図と同じか又はそれと同様である
図7A~7Dの要素の説明は、簡潔にするために省略される。したがって、
図7A~7Dの説明は、先に説明した図との差に的を絞る。
【0136】
図7Aは、
図6Aに関して説明した半導体層構造506の形成後のプロセスのステップを示す。
図7Aを参照すると、第1のマスク710は、半導体層構造506の上表面上に形成され得る。第1のマスク710は、p型ウェル領域170の上表面を露出させる穴710Hを有することができる。幾つかの実施例において、穴710Hは、n型ソース領域160からオフセットするp型ウェル領域170の上表面を露出させる。エッチング・プロセスは、第1のマスク710内の穴710Hを通して実施され得る。エッチング・プロセスは、第2のトレンチ582を形成するために、p型ウェル領域170及びドリフト領域120の所定の部分を除去する異方性エッチとすることができる。第2のトレンチ582の下部表面587bは、ドリフト領域120内の第2のレベルに形成され得る。
【0137】
図7Bを参照すると、イオン・インプランテーション・プロセス725は、p+深いシールド・パターン540を形成するために実施され得る。幾つかの実施例において、イオン・インプランテーション・プロセス725は、1つ又は複数の角度付き及び/又はストレート・イオン・インプランテーション・プロセスを含むことができる。イオン・インプランテーション・プロセス725は、第2のトレンチ582内に比較的深いイオン・インプランテーションをもたらすことができる。イオン・インプランテーション・プロセス725は、第2のトレンチ582の側壁及び下部表面の所定の部分上での深いシールド・パターン540の形成をもたらすことができる。幾つかの実施例において、さらなるp型イオンは、p型ウェル領域170の所定の部分内にインプラントされ得る。幾つかの実施例において、イオン・インプランテーション・プロセスは、その後、インプラントされたイオンの活性化が続き得る。
【0138】
幾つかの実施例において、例えば、酸化ケイ素又は窒化ケイ素等のスペーサ誘電体は、イオン・インプランテーション・プロセス725を実施することに先だって第2のトレンチ582内に堆積され得る。スペーサ誘電体の付加は、インプランテーション深さの調整を可能にし、インプラントされたイオンの横方向散逸のより精密な制御を可能にすることができる。
【0139】
図7Cを参照すると、第2のマスク720は、半導体層構造506の上表面上及び第2のトレンチ582内に形成され得る。第2のマスク720は、第2のトレンチ582の両側でn型ソース領域160に隣接するp型ウェル領域170の上表面を露出させる穴720Hを有することができる。幾つかの実施例において、第2のマスク720は、第2のトレンチ582を完全に充填しない場合がある。幾つかの実施例において、第2のトレンチ582内の第2のマスク720の部分720aの上表面は、p型ウェル領域170の下部表面から距離Dに形成され得る。
【0140】
図7Dを参照すると、エッチング・プロセスは、第2のマスク720内の穴720Hを通して実施され得る。エッチング・プロセスは、第1のトレンチ581を形成するためにp型ウェル領域170及び/又はドリフト領域120の所定の部分を除去する異方性エッチとすることができる。エッチング・プロセスは、第1のトレンチ581の下部表面がそこで形成されるレベルを制御するように構成され得る。第1のトレンチ281の下部表面は、ドリフト領域120内の第1のレベルに第1の部分587a及び第3の部分587cを有するように形成され得る。エッチング・プロセスは、第1のトレンチ581の下部表面587a、587cがそれに対して形成されるp型ウェル領域170の下表面からの深さDを制御するように構成され得る。幾つかの実施例において、深さDは、
図5Aに示す第3の深さD3と同様になるように構成され得る。幾つかの実施例において、深さDは、
図5Bに示す第4の深さD4と同様になるように構成され得る。すなわち、外側角部590a、590a’(
図5A及び5B参照)の位置は、第1のトレンチ581のエッチングの深さを制御することによって制御され得る。
【0141】
幾つかの実施例において、第1のトレンチ581のエッチングは、第2のトレンチ582の側壁の所定の部分を除去することができる。結果として、インプラントされた及び/又はイオン・インプランテーション・プロセス725によって損傷されたと思われる第2のトレンチ582の側壁の所定の部分は除去され得る。第2のトレンチ582の下部表面587bは、第1のトレンチ581の下部表面の第1及び第3の部分587a、587cの第1のレベルより深いとすることができる。幾つかの実施例において、第2のトレンチ582は第1のトレンチ581に接続される。下部表面587の第1のレベル~第3のレベルは、基板110に向かって突出するゲート・トレンチ580の下部表面587内に凹所をもたらすことができる。ゲート・トレンチ580の下部表面587内の凹所は、ゲート・トレンチ580の中央部分から延在することができる。そのため、下部表面587は、エッジ部分(例えば、部分587a及び587c)より深くドリフト領域120内に延在する中央部分(例えば、部分587b)を有することができる。第1のトレンチ581及び第2のトレンチ582は、ゲート・トレンチ580を形成することができる。
【0142】
図7Dを参照すると、第2のマスク720は、除去され得、デバイスの処理は、
図5A及び5Bに示すMOSFET500A及び500Bを形成するために、
図6Fに関して説明したプロセスと同様に継続することができる。
【0143】
本開示は、ゲート・トレンチの角部における電界集中による損傷に耐えるトランジスタ・デバイスの能力を改善する装置を説明する。デュアル・トレンチ構造を設けることによって、本明細書で説明する実施例は、改善された性能特性及びより高い堅牢性(ruggedness)を有するデバイスを可能にすることができ、これは、パワー・トランジスタ(例えば、MOSFET、MISFET、又はIGBT)内のゲート領域を改善するために特に有用であるとすることができる。
【0144】
上記で論じた実施例のうちの種々の実施例はnチャネルMOSFETの単位セルの構造を示すが、本発明のさらなる実施例によれば、各デバイス内の半導体層のそれぞれの半導体層の極性が、対応するpチャネルMOSFETを提供するために反転され得ることが認識されるであろう。
【0145】
本発明は、本発明の実施例がそこに示される添付図面を参照して上記で説明された。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書で述べる実施例に限定されるものと解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施例は、本開示が、徹底的且つ完全であるように、及び当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供される。図面において、層及び領域のサイズ及び相対的サイズは、明確にするために誇張され得る。要素又は層が、別の要素又は層「の上に(on)」存在する、それ「に接続される(connected to)」、又はそれ「に結合される(coupled to)」として言及されるとき、その要素又は層は、他の要素又は層上に直接、直接接続又は結合され得る、或いは、介在する要素又は層が存在することができることが理解されるであろう。対照的に、要素が、別の要素又は層「の直接上に(directly on)」存在する、それ「に直接接続される(directly connected to)」、又はそれ「に直接結合される(directly coupled to)」として言及されるとき、介在する要素又は層は存在しない。本明細書で使用されるように、用語「及び/又は(and/or)」は、関連する列挙項目の1つ又は複数の任意及び全ての組合せを含む。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0146】
種々の領域、層、及び/又は要素を説明するために、用語、第1及び第2が本明細書で使用されるが、これらの領域、層、及び/又は要素がこれらの用語によって制限されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの領域、層、又は要素を別の領域、層、又は要素から区別するために使用されるだけである。そのため、以下で論じる第1の領域、層、又は要素は、第2の領域、層、又は要素と呼ぶことができ、同様に、本発明の範囲から逸脱することなく、第2の領域、層、又は要素は、第1の領域、層、又は要素と呼ぶことができる。
【0147】
「下(lower)」又は「下部(bottom)」及び「上(upper)」又は「上部(top)」等の相対的な用語は、図面に示すように、1つの要素の別の要素に対する関係を説明するために本明細書で使用することができる。相対的な用語が、図面に描かれる配向に加えて、デバイスの異なる配向を包含することが意図されることが理解されるであろう。例えば、図面内のデバイスがひっくり返っている場合、他の要素の「下」側面の上に存在するものとして説明される要素は、他の要素の「上」側面の上に配向されることになる。したがって、例示的な用語「下」は、図の特定の配向に応じて、「下」及び「上」の配向を共に包含することができる。同様に、図のうちの1つの図内のデバイスがひっくり返っている場合、他の要素「の下方に(below)」又は「の下に(beneath)」あるとして説明される要素は、他の要素「の上方に(above)」配向されることになる。したがって、例示的な用語「の下方に」又は「の下に」は、上方に、及び、下方に、の両方の配向を包含することができる。
【0148】
本明細書で使用する用語は、特定の実施例のみを説明するためのものであり、本発明を制限することは意図されない。本明細書で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別段に明確に指示しない限り、複数形も含むことが意図される。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」は、本明細書で使用するとき、述べた特徴、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、要素、構成要素、及び/又はこれらの群の存在又は追加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0149】
本発明の実施例は、概略図である断面図を参照して本明細書で説明される。したがって、例えば、製造技法及び/又は公差の結果としての図の形状からの変動が予測される。そのため、本発明の実施例は、本明細書で示される領域の特定の形状に限定されるものとして解釈されるべきでなく、例えば製造に起因する形状の逸脱を含む。例えば、長方形として示すインプラント済み領域は、典型的には、インプラント済み領域からインプラントされていない領域への2値変化ではなく、その縁部において、丸い又は湾曲した特徴部及び/又はインプラント濃度の勾配を有することになる。そのため、図に示す領域は、本来概略的であり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことは意図されず、本発明の範囲を制限することは意図されない。
【0150】
本発明の幾つかの実施例は、層及び/又は領域内の多数キャリア濃度を指すn型又はp型等の導電型を有するとして特徴付けられる半導体層及び/又は領域を参照して説明される。そのため、n型材料は、負に帯電した電子の多数平衡濃度を有し、一方、p型材料は、正に帯電した正孔の多数平衡濃度を有する。一部の材料は、別の層又は領域と比較して、多数キャリアの相対的に高い(「+」)又は低い(「-」)濃度を示すために、「+」又は「-」(n+、n-、p+、p-、n++、n--、p++、p--、又は同様なものの場合として)で指定され得る。しかしながら、そのような表記は、層又は領域内の多数又は少数キャリアの特定の濃度の存在を示唆しない。
【0151】
本明細書で開示される実施例が組み合わされ得ることが理解されるであろう。そのため、第1の実施例に関して描かれる及び/又は説明される特徴は、第2の実施例にも含まれることができ、その逆も同様である。
【0152】
上記実施例は特定の図を参照して説明されるが、本発明の幾つかの実施例が、さらなる及び/又は介在する層、構造、若しくは要素を含むことができる、並びに/或いは、特定の層、構造、若しくは要素が削除され得ることが理解される。本発明の少数の例示的な実施例が説明されたが、多くの変更が、本発明の新奇な教示及び利点から実質上逸脱することなく例示的実施例において可能であることを当業者は容易に認識するであろう。したがって、全てのそのような変更は、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内に含まれることが意図される。したがって、上記が、本発明の例証であり、開示される特定の実施例に限定されるものとして解釈されないこと、及び、開示される実施例並びに他の実施例に対する変更が、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることが理解される。本発明は、本明細書に含まれる特許請求の範囲の均等物と共に、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
半導体層構造と、
前記半導体層構造内のゲート・トレンチ内に形成されたゲートと
を備え、
前記ゲート・トレンチは、第1のレベルの第1の部分及び前記第1のレベルと異なる第2のレベルの第2の部分を備える下部表面を有する、半導体デバイス。
【請求項2】
前記半導体層構造は基板を備え、
前記第2のレベルは、前記第1のレベルより前記基板に近い、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記基板は炭化ケイ素を含む、請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記半導体層構造は、
第1の導電型を有するドリフト領域と、
前記ドリフト領域上の第2の導電型を有するウェル領域と、
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の少なくとも一部分の下方の前記第2の導電型を有する深いシールド・パターンと
を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記深いシールド・パターンは、前記ウェル領域の少なくとも一部分に接触するために延在する、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記ゲート・トレンチは、
前記ゲート・トレンチの側壁と前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第1の部分との間の第1の角部と、
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第1の部分と前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第2の部分との間の第2の角部と
をさらに備える、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記第2の角部の第2の曲率半径は、前記第1の角部の第1の曲率半径より大きい、請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記深いシールド・パターンは、前記第2の角部と前記ドリフト領域との間にある、請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記ゲート・トレンチの前記下部表面は、第3のレベルの第3の部分をさらに備え、
前記ゲート・トレンチの前記下部表面の前記第3の部分は、前記ゲート・トレンチの前記第1の部分から前記ゲート・トレンチの前記第2の部分の対向する側にある、請求項1から8までのいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1のレベル及び前記第3のレベルは、ほぼ同じレベルにある、請求項9に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
半導体デバイスを形成する方法であって、
半導体層構造を設けるステップと、
前記半導体層構造内に第1のゲート・トレンチをエッチングするステップと、
前記半導体層構造内に第2のゲート・トレンチをエッチングするステップと、
前記第2のゲート・トレンチの下部表面内にイオン・インプランテーションを実施するステップと
を含み、
前記第2のゲート・トレンチは、前記第1のゲート・トレンチより深く、
前記第2のゲート・トレンチの少なくとも一部分は、前記第1のゲート・トレンチに接続される、方法。
【請求項12】
前記第2のゲート・トレンチをエッチングするステップは、前記第1のゲート・トレンチの少なくとも一部分上にマスクを形成することによって先行される、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のゲート・トレンチ及び前記第2のゲート・トレンチ上にゲート絶縁層を形成するステップと、
前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するステップと
をさらに含む、請求項
11又は
12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のゲート・トレンチをエッチングするステップは、前記第1のゲート・トレンチをエッチングする前に実施される、請求項
11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のゲート・トレンチをエッチングするステップは、前記第2のゲート・トレンチの少なくとも一部分上にマスクを形成することによって先行される、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のゲート・トレンチは、前記第1のゲート・トレンチの下部表面の中央部分を通って延在し、
前記第1のゲート・トレンチの前記下部表面の所定の部分は、前記第2のゲート・トレンチの対向する側にある、請求項
14又は
15に記載の方法。
【請求項17】
前記半導体層構造は、第1の導電型を有するドリフト領域を備え、
前記方法は、前記第1のゲート・トレンチと前記第2のゲート・トレンチとの間の界面において前記ドリフト領域の角部を処理するステップであって、それにより、前記角部の曲率半径を増加させる、ステップをさらに含む、請求項
11から
16までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のゲート・トレンチの前記下部表面内に前記イオン・インプランテーションを実施するステップは、角度付きイオン・インプラントを実施するステップを含む、請求項
11から
17までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記半導体層構造は、第1の導電型を有するドリフト領域及び第2の導電型を有するウェル領域を備え、
前記第2のゲート・トレンチの前記下部表面内に前記イオン・インプランテーションを実施するステップは、前記第2のゲート・トレンチの側壁及び前記下部表面内に前記第2の導電型を有する深いシールド・パターンの前記イオン・インプランテーションを実施するステップを含む、請求項
11から
16までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記深いシールド・パターンは、前記ウェル領域の少なくとも一部分に接触するために延在する、請求項
19に記載の方法。
【国際調査報告】