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特表2023-550246流体ハンドリングシステム、方法およびリソグラフィ装置
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  • 特表-流体ハンドリングシステム、方法およびリソグラフィ装置 図1
  • 特表-流体ハンドリングシステム、方法およびリソグラフィ装置 図2a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】流体ハンドリングシステム、方法およびリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521129
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2021079380
(87)【国際公開番号】W WO2022111919
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】20209779.6
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ロプス、コーネリウス、マリア
(72)【発明者】
【氏名】ユーメレン、エリク、ヘンリクス、エヒディウス、カタリナ
(72)【発明者】
【氏名】ガットビージョ、ジョヴァンニ、ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ベレンゼン、クリスチアヌス、ヴィルヘルムス、ヨハネス
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA12
2H197BA17
2H197CA03
2H197CA06
2H197CD12
2H197CD13
2H197DB27
(57)【要約】
【解決手段】リソグラフィ装置のための流体ハンドリングシステムが開示される。流体ハンドリングシステムは、投影システムから投影される放射ビームが液浸液を通過することによって基板の表面を照射できるように、リソグラフィ装置における投影システムの一部および基板の表面の間の液体制限空間に液浸液を制限するように構成される。流体ハンドリングシステムは、共に流体を取り出すように構成される第1取出部および第2取出部の間に設けられるダンパを備える。ダンパは、ダンパの表面および基板の表面の間の液浸液のメニスカスを支持するように構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置のための流体ハンドリングシステムであって、
投影システムから投影される放射ビームが液浸液を通過することによって基板の表面を照射できるように、リソグラフィ装置における投影システムの一部および基板の表面の間の液体制限空間に液浸液を制限するように構成され、
共に流体を取り出すように構成される第1取出部および第2取出部の間に設けられるダンパであって、ダンパの表面および基板の表面の間の液浸液のメニスカスを支持するように構成されるダンパを備える、
流体ハンドリングシステム。
【請求項2】
第1取出部を通じて流体の流れを制御するように構成される第1バルブを更に備える、および/または、第2取出部を通じて流体の流れを制御するように構成される第2バルブを更に備える、請求項1に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項3】
第1取出部は、使用中に、それを通じて流れる流体が実質的に液浸液から成るように構成される、および/または、第2取出部は、使用中に、それを通じて流れる流体が実質的に気体によって構成されるように構成される、請求項2に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項4】
第1取出部は、第1取出導管および第1取出開口を備え、
第1取出導管は、第1取出開口を通じて取り出される流体を受け取るように構成され、
第2取出部は、第2取出導管および第2取出開口を備え、
第2取出導管は、第2取出開口を通じて取り出される流体を受け取るように構成される、
請求項1から3のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項5】
第1取出導管および第2取出導管の両方からの流体を受け取るように構成される第3取出導管を更に備える、請求項4に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項6】
第3取出導管を通じて流体の流れを制御するように構成される第3バルブを更に備える、請求項5に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項7】
第1取出部は、使用中に、それを通じた流体流量が実質的に一定であるように構成される、および/または、第1取出部は、使用中に、それを通じた流体流量が、基板および流体ハンドリングシステムの間の相対移動がない時に、メニスカスを静止状態に保持できる実質的な最小流量であるように設けられる、請求項1から6のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項8】
ダンパ、第1取出部および/または第2取出部は、使用中に、メニスカスが、流体ハンドリングシステムに対する基板の移動に応じて、ダンパの表面に沿って移動するように構成される、および/または、第1取出部および第2取出部の間のダンパ表面の長さは、1mmおよび100mmの間、好ましくは1mmおよび50mmの間、および好ましくは20mmより長い、および/または、ダンパの表面は基板の表面に実質的に平行であるように構成される、請求項1から7のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項9】
ダンパの表面の第1端は第1取出部にあり、
ダンパの表面の第2端は第2取出部にあり、
ダンパの表面は、ダンパの表面および基板の表面の間隔が、第1端より第2端でより大きい、または、より小さいように構成される、
請求項1から8のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項10】
ダンパの表面は、曲がっている、傾斜している、または波形になっている、請求項9に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項11】
ダンパは第1ダンパであり、
前記装置は、第1ダンパと異なる第1取出部の側に設けられ、液浸液が第2ダンパの表面および基板の表面の間で支持されるように構成される第2ダンパを更に備え、
第1ダンパの表面の少なくとも一部および基板の表面の間隔は、第2ダンパの表面の少なくとも一部および基板の表面の間隔より大きい、
および/または、
流体ハンドリングシステムは、液浸液を制限するように構成される内表面を有する流体ハンドリング構造を備え、
第1および第2取出部は、流体ハンドリング構造の内表面から径方向に離れて配置され、
第2取出部は、第1取出部より流体ハンドリング構造の内表面から更に離れて配置される、
請求項1から10のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項12】
複数の第1取出部がある、および/または、複数の第2取出部がある、請求項1から11のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項13】
複数の第1取出部は、液体制限空間の中央の周りに設けられ、
複数の第1取出部は、オプションで円形、正方形、長方形または星形、またはそれらの任意の組合せのいずれかの形状で設けられ、
および/または、
複数の第2取出部は、液体制限空間の中央の周りに設けられ、
複数の第2取出部は、オプションで円形、正方形、長方形または星形、またはそれらの任意の組合せのいずれかの形状で設けられる、
請求項12に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項14】
複数の第2取出部は、液体制限空間の中央の周りに設けられ、
複数の第2取出部は、オプションで円形、正方形、長方形または星形、またはそれらの任意の組合せのいずれかの形状で設けられる、
請求項12に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の流体ハンドリングシステムを備えるリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2020年11月25日に出願された欧州出願20209779.6の優先権を主張し、その全体が参照によって本書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、流体ハンドリングシステムおよびデバイス製造方法に関する。本発明は、リソグラフィ装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に適用するように構成される装置である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用されうる。リソグラフィ装置は、例えば、基板(例えば、ウェーハ)上に提供される放射感応性材料(レジスト)の層上に、パターニングデバイス(例えば、マスク)のパターン(しばしば「デザインレイアウト」または「デザイン」とも表される)を投影してもよい。公知のリソグラフィ装置は、全体パターンをターゲット部分上に一回で露光することによって各ターゲット部分が照射されるいわゆるステッパと、放射ビームを通じて所定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンしながら、この方向に平行または非平行に基板を同時にスキャンすることによって各ターゲット部分が照射されるいわゆるスキャナを含む。
【0004】
半導体製造プロセスが継続的に進歩するにつれて、一般的に「ムーアの法則」と表されるトレンドに従って、過去数十年に亘ってデバイス毎のトランジスタ等の機能要素の量が着実に増加しながら、回路要素の寸法は継続的に低減されている。半導体産業は、ムーアの法則に遅れないように、ますます小さいフィーチャを生成することを可能にする技術を追い求めている。パターンを基板上に投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用してもよい。この放射の波長は、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nmおよび13.5nmである。
【0005】
より小さいフィーチャの解像度における更なる改良が、比較的高い屈折率を有する水等の液浸流体を露光中に基板上に提供することによって実現されてもよい。液浸流体の効果は、流体中の露光放射が気体中より短い波長を有するため、より小さいフィーチャの結像を可能にすることである。液浸流体の効果は、システムの実効的な開口数(NA)を増加させ、焦点深度も増加させるという点にもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液浸流体は、流体ハンドリング構造によって、リソグラフィ装置の投影システムおよび基板の間の局所的な領域に制限されてもよい。このような液浸流体の使用は、基板の表面上における液滴の存在に繋がりうる。このような液滴は、基板上に乾燥スポットをもたらし、液滴が液浸液のメニスカスに当たると、液浸液中に捕捉された気体による泡の形成に繋がりうるため、問題となりうる。液浸液中の泡は、基板上にプリントされる欠陥に繋がりうる。このような泡が導入される可能性は、基板の相対速度を低減することによって低減されうるが、これはリソグラフィ装置のスループットを制限してしまう。
【0007】
本発明の目的は、スループットを増加させる、および/または、基板上の欠陥を低減するための手段が取られる流体ハンドリングシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様によれば、リソグラフィ装置のための流体ハンドリングシステムが提供される。流体ハンドリングシステムは、投影システムから投影される放射ビームが液浸液を通過することによって基板の表面を照射できるように、リソグラフィ装置における投影システムの一部および基板の表面の間の液体制限空間に液浸液を制限するように構成される。流体ハンドリングシステムは、共に流体を取り出すように構成される第1取出部および第2取出部の間に設けられるダンパであって、ダンパの表面および基板の表面の間の液浸液のメニスカスを支持するように構成されるダンパを備える。
【0009】
発明の第2態様によれば、第1態様の流体ハンドリングシステムを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0010】
発明の第3態様によれば、リソグラフィ装置におけるデバイス製造方法が提供される。リソグラフィ装置は、基板を保持するように構成される基板ホルダ、基板ホルダによって保持される基板上に放射ビームを投影するように構成される投影システム、および第1態様に係る流体ハンドリングシステムを有する。方法は、流体ハンドリングシステムの少なくとも一部および基板の表面の間の空間に液浸液を制限するために流体ハンドリングシステムを使用することと、空間における液浸液を通じて基板上にパターン形成された放射のビームを投影することと、ダンパの表面および基板の間の液浸液のメニスカスを支持することと、メニスカスが基板の移動に応じてダンパの表面に沿って移動するように、放射ビームの伝播方向に実質的に垂直なスキャン方向に基板を駆動することと、を備える。
【0011】
本発明の更なる実施形態、特徴および利点や、本発明の各種の実施形態、特徴および利点の構造および動作が、付随的な図面を参照しながら以下で詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下では、対応する参照符号が対応する部分を表す以下の付随的な模式図を参照して、例示のみを目的として発明の実施形態が記述される。
【0013】
図1は、リソグラフィ装置の模式的な概要を示す。
【0014】
図2a、2b、2cおよび2dは、それぞれ、全周に亘って延在してもよい、各バージョンの左側および右側に例示される異なる特徴を有する流体ハンドリングシステムの二つの異なるバージョンを断面で示す。
【0015】
図3aおよび3bは、第1および第2動作状態それぞれにおける第1実施形態に係る流体ハンドリングシステムを示す。
【0016】
図4は、第2実施形態に係る流体ハンドリングシステムを示す。
【0017】
図5は、第3実施形態に係る流体ハンドリングシステムを示す。
【0018】
図6は、第4実施形態に係る流体ハンドリングシステムを示す。
【0019】
図示される特徴は必ずしも実寸通りではなく、示されるサイズおよび/または配置に限定されるものではない。図は、発明に必須ではないオプションの特徴を含むと理解される。更に、装置の全ての特徴が図のそれぞれにおいて示される訳ではなく、図は特定の特徴を記述する上で関連するコンポーネントのいくつかのみを示してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本文書では、「放射」および「ビーム」の用語が、紫外放射(例えば、365、248、193、157または126nmの波長を有するもの)を含む全てのタイプの電磁放射を包含するために使用される。
【0021】
このテキストで使用される「レチクル」、「マスク」または「パターニングデバイス」の用語は、入射する放射ビームに、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応するパターン形成された断面を付与するために使用されうる一般的なパターニングデバイスを表すものと広義に解釈されてもよい。用語「ライトバルブ」も、この文脈で使用されうる。古典的なマスク(透過型または反射型、バイナリ型、位相シフト型、ハイブリッド型等)の他に、他のこのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDアレイを含む。
【0022】
図1は、リソグラフィ装置を模式的に示す。リソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、UV放射またはDUV放射)を調整するように構成される照明システム(イルミネータとも表される)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに応じてパターニングデバイスMAを正確に配置するように構成される第1ポジショナPMに接続されるマスクサポート(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに応じて基板サポートWTを正確に配置するように構成される第2ポジショナPWに接続される基板サポート(例えば、基板テーブル)WTと、基板Wのターゲット部分C(例えば、一または複数のダイを含む)上に、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに形成されたパターンを投影するように構成される投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。コントローラ500は、装置の全体動作を制御する。コントローラ500は、中央制御システムまたはリソグラフィ装置の各種のサブシステム内における複数の別のサブコントローラのシステムでもよい。
【0023】
稼働中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して、放射源SOからの放射ビームBを受ける。照明システムILは、放射の方向付け、形成および/または制御のための、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型および/または他のタイプの光学コンポーネント等の各種のタイプの光学コンポーネント、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの面で、その断面において所望の空間および角度強度分布を有するように、放射ビームBを調整するために使用されてもよい。
【0024】
ここで使用される用語「投影システム」PSは、使用中の露光放射、および/または、液浸液または真空の使用等の他の要素にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁気型および/または静電型の光学システム、またはそれらの任意の組合せを含む各種のタイプの投影システムを包含するものと広義に解釈されるべきである。用語「投影レンズ」のここでの使用は、より一般的な用語「投影システム」PSと同義に解釈されてもよい。
【0025】
リソグラフィ装置は、投影システムPSと基板Wの間の液浸空間11を満たすために、基板Wの少なくとも一部が比較的高い屈折率を有する水等の液浸液によって覆われてもよいタイプである(液浸リソグラフィとも表される)。液浸技術に関するより多くの情報は、参照によって本書に援用されるUS6,952,253において与えられている。
【0026】
リソグラフィ装置は、二つ以上の基板サポートWTを有するタイプ(「デュアルステージ」とも呼ばれる)でもよい。このような「マルチステージ」装置では、基板サポートWTが並行的に使用されてもよい、および/または、他の基板W上にパターンを露光するために他方の基板サポートWT上の他方の基板Wが使用されている間に、基板Wの後続の露光の準備ステップが一方の基板サポートWT上に位置する基板W上で実行されてもよい。
【0027】
基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置は測定ステージ(不図示)を備えてもよい。測定ステージは、センサおよび/またはクリーニングデバイスを保持するように設けられる。センサは、投影システムPSの特性または放射ビームBの特性を測定するように設けられてもよい。測定ステージは、複数のセンサを保持してもよい。クリーニングデバイスは、リソグラフィ装置の部分、例えば投影システムPSの部分または液浸液を提供するシステムの部分をクリーニングするように設けられてもよい。測定ステージは、基板サポートWTが投影システムPSから離れている時に、投影システムPSの下を移動してもよい。
【0028】
稼働中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されているマスクMA等のパターニングデバイス上に入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によってパターン形成される。マスクMAを経た放射ビームBは、基板Wのターゲット部分C上にビームを集光する投影システムPSを通過する。第2ポジショナPWおよび位置測定システムIFによって、例えば、放射ビームBの経路中の集光および整列位置に異なるターゲット部分Cを配置するために、基板サポートWTが正確に駆動されうる。同様に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に配置するために、第1ポジショナPMおよび適切な他の位置センサ(図1では明示的に示されない)が使用されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して整列されてもよい。図示される基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占めるが、これらはターゲット部分の間の空間に配置されてもよい。ターゲット部分Cの間に配置される基板アライメントマークP1、P2は、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0029】
発明を明らかにするために、デカルト座標系が使用される。デカルト座標系は、三つの軸、すなわち、x軸、y軸およびz軸を有する。三つの軸のそれぞれは、他の二つの軸に直交する。x軸周りの回転は、Rx回転と表される。y軸周りの回転は、Ry回転と表される。z軸周りの回転は、Rz回転と表される。x軸およびy軸は水平面を定め、z軸は鉛直方向を定める。デカルト座標系は発明を限定するものではなく、説明のためだけに使用される。代わりに、円筒座標系等の他の座標系が発明を明らかにするために使用されてもよい。例えば、z軸が水平面に沿う成分を有するように、デカルト座標系の方向は異なるものでもよい。
【0030】
液浸技術は、より小さいフィーチャの解像度の向上を可能にするために、リソグラフィシステムに導入されている。液浸リソグラフィ装置では、比較的高い屈折率を有する液浸液の液体層が、装置の投影システムPS(これを通じてパターン形成されたビームが基板Wに向かって投影される)と基板Wの間の液浸空間11に介在する。液浸液は、投影システムPSの最終要素の下で、基板Wの少なくとも一部を覆う。このように、露光中の基板Wの少なくとも一部が液浸液に浸る。
【0031】
商用化されている液浸リソグラフィでは、液浸液は水である。水は、典型的には、半導体製造プラントにおいて一般的に使用される超純水(UPW)等の高純度の蒸留水である。液浸システムでは、UPWが頻繁に浄化され、液浸空間11への液浸液としての供給の前に、追加的な処理ステップを経なければならない場合もある。フッ化炭化水素等の炭化水素および/または水溶液等の、高い屈折率を有する水以外の他の液体も液浸液として使用されうる。更に、液体以外の他の流体も、液浸リソグラフィにおける使用が見込まれている。
【0032】
本明細書では、最終要素100と最終要素100に対向する表面の間の液浸空間11に使用中の液浸液が制限される局所化された液浸についての記述において参照がなされる。対向する表面は、基板Wの表面または基板Wの表面と同一面上の支持ステージ(または、基板サポートWT)の表面である(なお、以下のテキストにおける基板Wの表面への参照は、特に断らない限り、加えてまたは代えて基板サポートWTの表面も表し、逆も同様である)。投影システムPSと基板サポートWTの間に存在する流体ハンドリング構造12は、液浸液を液浸空間11に制限するために使用される。液浸液によって満たされた液浸空間11は平面視で基板Wの最表面より小さく、下方で基板Wおよび基板サポートWTが移動する間、液浸空間11は投影システムPSに対して実質的に静止したままである。
【0033】
非制限液浸システム(いわゆる「オールウェット」液浸システム)および浴式液浸システム等の他の液浸システムも見込まれている。非制限液浸システムでは、液浸液が最終要素100の下の表面より多くを覆う。液浸空間11外の液体は、薄い液体フィルムとして存在する。液体は、基板Wまたは基板Wおよび基板Wと同一面上の基板サポートWTの表面全体を覆ってもよい。バス型システムでは、基板Wが液浸液の浴槽に完全に浸る。
【0034】
流体ハンドリング構造12は、液浸液を液浸空間11に供給し、液浸液を液浸空間11から除去することで、液浸液を液浸空間11に制限する構造である。それは、流体供給システムの一部である特徴を含む。PCT特許出願公報番号WO99/49504に開示された配置は、液浸空間11の液浸液を供給または回収し、投影システムPS下のステージの相対移動に応じて動作するパイプを備える初期の流体ハンドリング構造である。より新しいデザインでは、流体ハンドリング構造が、投影システムPSの最終要素100と基板サポートWTまたは基板Wの間の液浸空間11の境界の少なくとも一部に沿って延び、部分的に液浸空間11を定める。
【0035】
流体ハンドリング構造12は、異なる機能の選択肢を有してもよい。各機能は、流体ハンドリング構造12がその機能を実現することを可能にする対応する特徴から得られてもよい。流体ハンドリング構造12は、バリアメンバ、シールメンバ、流体供給システム、流体除去システム、液体制限構造等の、それぞれ機能を表す多くの異なる用語によって表されてもよい。
【0036】
バリアメンバとしての流体ハンドリング構造12は、液浸空間11からの液浸液の流れに対するバリアである。液体制限構造としての構造は、液浸液を液浸空間11に制限する。シールメンバとしての流体ハンドリング構造12のシーリングフィーチャは、液浸液を液浸空間11に制限するためのシールを形成する。シーリングフィーチャは、ガスナイフ等のシールメンバの表面における開口からの追加的な気体流を含んでもよい。
【0037】
一実施形態では、流体ハンドリング構造12が流体供給システムとして液浸流体を供給してもよい。
【0038】
一実施形態では、流体ハンドリング構造12が流体制限システムとして少なくとも部分的に液浸流体を制限してもよい。
【0039】
一実施形態では、流体ハンドリング構造12が流体制限構造等のバリアメンバとして液浸流体に対するバリアを提供してもよい。
【0040】
一実施形態では、流体ハンドリング構造12が、例えば液浸流体の流れおよび/または位置の制御を支援するために、気体流を生成または使用してもよい。
【0041】
気体流は液浸流体を制限するためのシールを形成してもよく、流体ハンドリング構造12はシールメンバと表されてもよい。このようなシールメンバは流体制限構造でもよい。
【0042】
一実施形態では、液浸液が液浸流体として使用される。この場合の流体ハンドリング構造12は、液体ハンドリングシステムでもよい。以上の記述を参照して、これらの段落における流体に関して定義される特徴への参照は、液体に関して定義される特徴を含むものと理解される。
【0043】
リソグラフィ装置は、投影システムPSを有する。基板Wの露光中、投影システムPSは、パターン形成された放射のビームを基板W上に投影する。基板Wに到達するために、放射ビームBの経路は、投影システムPSから、投影システムPSと基板Wの間の流体ハンドリング構造12によって制限された液浸液を通過する。投影システムPSは、ビームの経路の最後に液浸液と接触するレンズ要素を有する。液浸液と接触するこのレンズ要素は、「最終レンズ要素」または「最終要素」と表されてもよい。最終要素100は、少なくとも部分的に流体ハンドリング構造12によって囲まれる。流体ハンドリング構造12は、最終要素100の下方および対向する表面の上方に液浸液を制限してもよい。
【0044】
図2a、2b、2cおよび2dは、各種の流体ハンドリングシステムに存在してもよい異なる特徴を示す。デザインは、特に断らない限り、図2a、2b、2cおよび2dと同じいくつかの特徴を共有してもよい。ここで記述される特徴は、示されるようにまたは必要に応じて、個別にまたは組合せで選択されてもよい。図は、全周に亘って延在してもよい、左側および右側に例示される異なる特徴を有する流体ハンドリングシステムの異なるバージョンを示す。このように、例えば、流体ハンドリングシステムは、全周に亘って延在する同じ特徴を有してもよい。例えば、流体ハンドリングシステムは、図2aの左側、または図2aの右側、または図2bの左側、または図2bの右側、または図2cの左側、または図2cの右側、または図2dの左側、または図2dの右側の特徴のみを有してもよい。あるいは、流体ハンドリングシステムには、これらの図からの特徴の任意の組合せが、周方向の異なる位置に提供されてもよい。流体ハンドリングシステムは、以下で記述される各種の流体ハンドリング構造12を備えてもよい。
【0045】
図2aは、最終要素100の底面の周りの流体ハンドリング構造12を示す。最終要素100は、逆円錐台形状を有する。円錐台形状は、平らな底面および円錐面を有する。円錐台形状は、平らな表面から突出して平らな底面を有する。平らな底面は、放射ビームBが通過してもよい最終要素100の底面の光学的にアクティブな部分である。最終要素100は、コーティング30を有してもよい。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の少なくとも一部を囲む。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面に対向する内表面を有する。内表面および円錐面は、相補的な形状を有してもよい。流体ハンドリング構造12の頂面は、実質的に平らでもよい。流体ハンドリング構造12は、最終要素100の円錐台形状の周りにフィットしてもよい。流体ハンドリング構造12の底面は実質的に平らでもよく、使用中に底面は基板サポートWTおよび/または基板Wの対向面と平行でもよい。このように、流体ハンドリング構造12の底面は、基板Wの表面に対向する表面と表されてもよい。底面および対向面の間の距離は、30から500マイクロメートルの範囲内でもよく、望ましくは80から200マイクロメートルの範囲内でもよい。
【0046】
流体ハンドリング構造12は、最終要素100より基板Wおよび基板サポートWTの対向面の近くまで延在する。液浸空間11は、従って、流体ハンドリング構造12の内表面、円錐台部分の平らな表面および対向面の間で定められる。使用中、液浸空間11は液浸液で満たされる。液浸液は、最終要素100および流体ハンドリング構造12の間の相補的な表面の間のバッファ空間(一実施形態では、相補的な内表面および円錐面の間の空間の少なくとも一部)の少なくとも一部を満たす。
【0047】
液浸液は、流体ハンドリング構造12の表面に形成される開口を通じて、液浸空間11に供給される。液浸液は、流体ハンドリング構造12の内表面における供給開口20を通じて供給されてもよい。代えてまたは加えて、液浸液は、流体ハンドリング構造12の底面に形成される下方供給開口23から供給される。下方供給開口23は、放射ビームBの経路を囲んでもよく、アレイまたは単一スリットにおける一連の開口として形成されてもよい。液浸液は液浸空間11を満たすために供給され、投影システムPS下の液浸空間11を通じた流れは層状になる。下方供給開口23からの液浸液の供給は、追加的に泡の液浸空間11内への進入を防ぐ。この液浸液の供給は、液体シールとして機能してもよい。
【0048】
液浸液は、内表面に形成される回収開口21から回収されてもよい。回収開口21を通じた液浸液の回収は、減圧の適用によって行われてもよい。回収開口21を通じた回収は、液浸空間11を通じた液浸液の流速の結果でもよい。あるいは、回収は、両方の結果でもよい。回収開口21は、平面視において供給開口20の反対側に配置されてもよい。加えてまたは代えて、液浸液は、流体ハンドリング構造12の頂面に配置されるオーバーフロー回収部24を通じて回収されてもよい。供給開口20および回収開口21の機能が入れ替えられてもよい(すなわち、液体の流れ方向が逆になる)。この場合、流体ハンドリング構造12および基板Wの相対動作に応じて、流れの方向を変えられる。
【0049】
加えてまたは代えて、液浸液は、流体ハンドリング構造12の下方から、その底面に形成される回収開口25を通じて回収されてもよい。回収開口25は、液浸液のメニスカス33を流体ハンドリング構造12に対して保持する機能を担ってもよい。メニスカス33は、流体ハンドリング構造12および対向面の間に形成され、液体空間および外部気体環境の間の境界として機能する。回収開口25は、単相流の液浸液を回収してもよい多孔プレートでもよい。底面における回収開口は、液浸液が回収される一連のピニング開口32でもよい。ピニング開口32は、二相流の液浸液を回収してもよい。
【0050】
オプションで、流体ハンドリング構造12の内表面に対する径方向の外側に、ガスナイフ開口26が設けられる。気体は、液浸空間11における液浸液の液体制限を支援するために高められた速度で、ガスナイフ開口26を通じて供給されてもよい。供給される気体は湿っていてもよく、実質的に二酸化炭素を含んでもよい。ガスナイフ開口26の径方向の外側に、ガスナイフ開口26を通じて供給される気体を回収するための気体回収開口28が設けられる。
【0051】
更なる開口、例えば、大気、気体ソースまたは真空に開放されたものが、流体ハンドリング構造12の底面、すなわち、基板Wに対向する流体ハンドリング構造12の表面に存在してもよい。このようなオプションの更なる開口50の一例が、図2aの右側における点線で示される。示されるように、更なる開口50は、双方向矢印によって示されるように、供給部または取出部でもよい。例えば、供給部として構成される場合、更なる開口50は、液体供給部または気体供給部その他の任意の供給部に接続されてもよい。あるいは、取出部として構成される場合、更なる開口50は、流体を取り出すために使用されてもよく、例えば、大気、気体ソースまたは真空に接続されてもよい。例えば、少なくとも一つの更なる開口50は、ガスナイフ開口26および気体回収開口28の間、および/または、ピニング開口32およびガスナイフ開口26の間に存在してもよい。
【0052】
図2aの左側および右側の流体ハンドリング構造12の二つの異なるバージョンは、メニスカス33を留める。図2aの右側の流体ハンドリング構造12のバージョンは、ピニング開口32の固定された位置のために、実質的に最終要素100に対して固定された位置にメニスカス33を留めてもよい。図2aの左側の流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口25の下方にメニスカス33を留めてもよく、メニスカス33は、回収開口25の長さおよび/または幅に沿って移動してもよい。露光時に放射ビームBを基板Wの両端まで向けるために、基板Wを支持する基板サポートWTが投影システムPSに対して駆動される。リソグラフィ装置によって露光される基板Wのアウトプットを最大化するために、基板サポートWTが(および、基板Wも)、可能な限り速く駆動される。しかし、臨界相対速度(しばしば、臨界スキャン速度と表される)があり、それを超えると流体ハンドリング構造12および基板Wの間のメニスカス33が不安定になる。不安定なメニスカス33は、例えば、一または複数の液滴の形で液浸液を失うという、より大きいリスクを伴う。更に、不安定なメニスカス33は、特に制限された液浸液が基板Wの縁を超えた時に液浸液内への気泡の混入をもたらすという、より大きいリスクを伴う。
【0053】
基板Wの表面上に存在する液滴は、熱負荷を与える可能性があり、欠陥の原因になりうる。液滴は、蒸発して乾燥しみを残す可能性があり、移動して粒子等の汚染物質を運ぶ可能性があり、より大きい液浸液の塊と衝突してより大きい塊内に気体の泡を導入する可能性があり、蒸発してそれが配置される表面に対して熱負荷を与える可能性がある。このような熱負荷は、表面が結像中の基板Wに対するリソグラフィ装置のコンポーネントの位置決めと関連する場合、ディストーションの原因および/または位置決め誤差のソースになりうる。このように、表面上の液滴の形成は望ましくない。このような液滴の形成を避けるために、基板サポートWTの速度はメニスカス33が安定している臨界スキャン速度までに制限される。これは、リソグラフィ装置のスループットを制限する。
【0054】
図2aにおける流体ハンドリングシステムの左側は、スプリング60を備えてもよい。スプリング60は、流体ハンドリング構造12に対して基板Wの方向の付勢力を及ぼすように構成される調整可能な受動スプリングでもよい。このように、スプリング60は、基板Wの上方の流体ハンドリング構造12の高さを制御するために仕様されうる。このような調整可能な受動スプリングは、その全体が参照によって本書に援用されるUS7,199,874において記述されている。他の付勢デバイス(例えば、電磁力を使用するもの)も適切である。スプリング60は、オプションで図2aの左側と共に示されるが、図2aの左側の他の特徴と共に含まれる必要はない。スプリング60は、他のいずれの図にも示されないが、図2a、2b、2c、または2dに関して記述される他の各種の流体ハンドリングシステムと共に含まれうる。
【0055】
図2bは、最終要素100に対するメニスカス33の移動を可能にする流体ハンドリング構造12の二つの異なるバージョンを左側および右側に示す。メニスカス33は、移動する基板Wの方向に移動してもよい。これはメニスカス33および移動する基板Wの間の相対速度を小さくし、安定性の向上およびメニスカス33の崩壊のリスクの低減をもたらしうる。メニスカス33が崩壊する基板Wの速度を大きくすることで、投影システムPSの下方における基板Wの移動を速くできる。このようにスループットが高められる。
【0056】
図2aと共通する図2bに示される特徴は、同じ参照番号を共有する。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面と相補的な内表面を有する。流体ハンドリング構造12の底面は、円錐台形状の平らな底面より対向面に近い。
【0057】
液浸液は、流体ハンドリング構造12の内表面に形成される供給開口34を通じて液浸空間11に供給される。供給開口34は、内表面の底側(例えば、円錐台形状の底面より下方)に配置される。供給開口34は、放射ビームBの経路から離れた周りで、内表面の周りに配置される。
【0058】
液浸液は、流体ハンドリング構造12の底面における回収開口25を通じて液浸空間11から回収される。流体ハンドリング構造12の下方で対向面が移動するため、メニスカス33が回収開口25の表面上を対向面の移動と同じ方向に移動する可能性がある。回収開口25は、多孔部材で形成されてもよい。液浸液は、単相で回収されてもよい。液浸液は、二相流で回収されてもよい。二相流は、流体ハンドリング構造12内のチャンバ35で受け取られて、液体および気体に分離される。液体および気体は、別のチャネル36、38を通じてチャンバ35から回収される。
【0059】
流体ハンドリング構造12の底面の内周部39は、プレート40を形成するために内表面から液浸空間11内に延在する。内周部39は、放射ビームBの形状およびサイズにマッチするサイズの小さい開口を形成する。プレート40は、いずれかの端部で液浸液を隔離する機能を担ってもよい。供給される液浸液は、開口に向かって内側に流れ、内側開口を通り、プレート40の下方で包囲する回収開口25に向かって径方向の外側に流れる。
【0060】
流体ハンドリング構造12は、図2bの右側に示されるように、二つの部分(内側部分12aおよび外側部分12b)で構成されてもよい。内側部分12aおよび外側部分12bは、主に対向面に平行な面内で互いに相対的に移動してもよい。内側部分12aは、供給開口34を有してもよいし、オーバーフロー回収部24を有してもよい。外側部分12bは、プレート40および回収開口25を有してもよい。内側部分12aは、内側部分12aおよび外側部分12bの間を流れる液浸液を回収するための中間回収部42を有してもよい。
【0061】
このように、図2bの流体ハンドリング構造の二つの異なるバージョンは、基板Wと同じ方向におけるメニスカス33の移動を許容し、スキャン速度の高速化およびリソグラフィ装置のスループットの向上を可能にする。しかし、図2bの左側の流体ハンドリング構造12における回収開口25の表面上のメニスカス33の移動速度は遅い可能性がある。図2bの右側の流体ハンドリング構造12は、内側部分12aおよび最終要素100に対して外側部分12bを移動させることによって、より速いメニスカス33の移動を可能にする。しかし、内側部分12aおよび外側部分12bの間の接触を防ぐために、その間に十分な液浸液が提供されることを担保するように、中間回収部42を制御することは困難である可能性がある。
【0062】
図2cは、図2aおよび/または2bに関して前述されたような流体ハンドリング構造12に対して液浸液のメニスカス33を留めるために使用されてもよい、流体ハンドリング構造12の二つの異なるバージョンを左側および右側に示す。図2aおよび/または2bと共通する図2cに示される特徴は、同じ参照番号を共有する。
【0063】
流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面と相補的な内表面を有する。流体ハンドリング構造12の底面は、円錐台形状の平らな底面より対向面に近い。液浸液は、流体ハンドリング構造12の表面に形成される開口を通じて液浸空間11に供給される。液浸液は、流体構造12の内表面における供給開口34を通じて供給されてもよい。代えてまたは加えて、液浸液は、流体構造12の内表面における供給開口20を通じて供給されてもよい。代えてまたは加えて、液浸液は、下方供給開口23を通じて供給される。液浸液は、取出部(例えば、内表面に形成される回収開口21および/またはオーバーフロー回収部24および/または後述されるような流体ハンドリング構造12の表面における一または複数の開口)を介して回収されてもよい。
【0064】
図2cの左側および右側の流体ハンドリング構造12の二つの異なるバージョンは、メニスカス33を留める。図2cの右側の流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口32aの固定された位置のために、実質的に最終要素100に対して固定された位置にメニスカス33を留めてもよい。図2cの左側の流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口25の下方にメニスカス33を留めてもよく、メニスカス33は、回収開口25の長さおよび/または幅に沿って移動してもよい。
【0065】
図2bに関して前述されたように、流体ハンドリング構造12の底面の内周部は、左側に示されるようなプレート40を形成するために、内表面から液浸空間11内に延在してもよい。前述されたように、これは、小さい開口を形成してもよい、いずれかの端部で液浸液を隔離してもよい、および/または、液浸液を開口に向かって内側に流し、内側開口を通し、プレート40の下方で包囲する回収開口25に向かって径方向の外側に流してもよい。この特徴は図2cにおける左側に示されるが、オプションで他の示される特徴と組み合わせられてもよい。好ましくは、左側に示されるように、液浸液は、流体ハンドリング構造12の内表面に形成される供給開口34を通じて液浸空間11に供給される。供給開口34は、内表面の底側(例えば、円錐台形状の底面より下方)に配置される。供給開口34は、放射ビームBの経路から離れた周りで、内表面の周りに配置される。代えてまたは加えて、液浸液は、流体構造12の内表面における供給開口20を通じて供給されてもよい。代えてまたは加えて、液浸液は、下方供給開口23を通じて供給される。供給開口34が好ましい液体供給部であるが、供給開口34、供給開口20および/または下方供給開口23の任意の組合せが提供されてもよい。
【0066】
図2cの左側に示されるように、流体ハンドリングシステムは、前述されたような流体ハンドリング構造12および更なるデバイス3000を備えてもよい。流体ハンドリング構造12は、回収開口25等の取出部および下方供給開口23等の液体供給開口を有してもよい。流体ハンドリング構造12は、更なるデバイス3000との組合せで、図2aの左側、図2aの右側、図2bの左側、図2bの右側または図2cの右側(後述される)に関して開示されるような任意の構成を備えてもよいと理解される。
【0067】
更なるデバイス3000は、液滴キャッチャと表されてもよい。更なるデバイス3000は、流体ハンドリング構造12が表面上を移動した後の、基板Wの表面上の液体の残存を低減するために提供される。更なるデバイス3000は、液体供給部3010および少なくとも一つの取出部3020を備えてもよい。少なくとも一つの取出部3020は、平面視で少なくとも一つの供給部3010を囲む形状に形成されてもよい。少なくとも一つの液体供給部3010は、更なるデバイス3000の少なくとも一部および基板Wの表面の間の空間3110に、更なる液体を提供するように構成されてもよい。更なるデバイス3000は、少なくとも一つの取出部3020を介して、液体の少なくとも一部を回収するように構成されてもよい。更なるデバイス3000は、基板Wの表面上に残った液体を、空間3110における液体と合わせるために使用されてもよく、基板Wの表面上に残存する液体の量が低減されるように、液体を取り出すために更なるデバイス3000が使用される。
【0068】
図2cでは、更なるデバイス3000が、流体ハンドリング構造12と別のデバイスとして示される。更なるデバイス3000は、流体ハンドリング構造12の近傍に配置されてもよい。あるいは、更なるデバイス3000は、流体ハンドリング構造12の一部でもよい(すなわち、流体ハンドリング構造12と一体的に構成されてもよい)(図3d参照。但し、いずれの構成も選択可能である)。
【0069】
更なるデバイス3000は、流体ハンドリング構造12によって提供される液体と別の液体を空間3110に提供するように構成されてもよい。
【0070】
加えてまたは代えて、流体ハンドリング構造12は、図2cの右側に示されるようなコンポーネントを有してもよい。より具体的には、流体ハンドリング構造12は、流体ハンドリング構造12の表面に形成される、少なくとも一つの液体供給部、二つの取出部(例えば、回収開口32aおよび32b)および二つの気体供給部(例えば、気体供給開口27aおよび27b)を備えてもよい。気体供給開口27aは、省略されうる、すなわち、オプションである。少なくとも一つの液体供給部は、前述された流体ハンドリング構造12の底面における下方供給開口23、供給開口20、または図2bの左側に関して記述された流体ハンドリング構造12の内表面に形成される液体供給開口34と同じでもよい。液体供給部、取出部および気体供給部は、流体ハンドリング構造12の表面に形成されてもよい。具体的には、これらのコンポーネントは、基板Wに対向する流体ハンドリング構造12の表面、すなわち、流体ハンドリング構造12の底面に形成されてもよい。
【0071】
二つの取出部の少なくとも一つは、内部に多孔質材料37を備えてもよい。多孔質材料37は、開口(例えば、流体ハンドリング構造12が、下方の流体ハンドリング構造12から流体を取り出し、単相流の液浸液を回収してもよい回収開口32a)内に提供されてもよい。回収開口32b等の二つの取出部の他方は、二相取出部として液浸流体を回収してもよい。多孔質材料37は、流体ハンドリング構造12の底面と同一平面上になくてもよい。
【0072】
具体的には、流体ハンドリング構造12は、液体供給部(例えば、下方供給開口23)を備えてもよい。液体供給部の径方向の外側に第1取出部(例えば、回収開口32a)があり、第1取出部の径方向の外側に第1気体供給部(例えば、気体供給開口27a)があり、第1気体供給部の径方向の外側に第2取出部(例えば、回収開口32b)があり、第2取出部の径方向の外側に第2気体供給部(例えば、気体供給開口27b)がある。図2aと同様に、更なる開口、例えば、大気、気体ソースまたは真空に開放されたものが、(流体ハンドリング構造12に関して)前述されたように、流体ハンドリング構造12の底面に存在してもよい。
【0073】
例えば、少なくとも一つの更なる開口(不図示)は、流体ハンドリング構造12の底面に提供されてもよい。更なる開口はオプションである。更なる開口は、以上の配置において記述されたように、第1取出部(例えば、回収開口32a)および第1気体供給部(例えば、気体供給開口27a)の間に設けられてもよい。代えてまたは加えて、更なる開口は、以上の配置において記述されたように、第2取出部(例えば、回収開口32b)および第2気体供給部(例えば、気体供給開口27b)の間に設けられてもよい。更なる開口は、前述された更なる開口50と同じでもよい。
【0074】
オプションで、流体ハンドリング構造12は、凹部29を備える。凹部29は、回収開口32aおよび回収開口32bの間、または、気体供給開口27aおよび回収開口32bの間に提供されてもよい。凹部29の形状は、流体ハンドリング構造12の周りで一様でもよく、オプションで傾斜表面を含んでもよい。回収開口32aおよび回収開口32bの間に凹部29が提供される場合、図2cに示されるように、気体供給開口27bが傾斜表面に提供されてもよい。凹部29が供給開口27aおよび回収開口32bの間に提供される場合、気体供給開口27bが傾斜表面または基板Wの表面に平行な流体ハンドリング構造12の底面の一部に提供されてもよい。あるいは、凹部29の形状は、流体ハンドリング構造12の周りで変動してもよい。凹部29の形状は、気体供給部から供給される気体の流体ハンドリング構造12の下方の流体に対する影響を変えるために変動してもよい。
【0075】
図2dは、流体ハンドリング構造12の二つの異なるバージョンを左半分および右半分に示す。図2dの左半分の流体ハンドリング構造12は、液浸液のバッファ量を保持する液体注入バッファ41aと、液体注入バッファから空間11に液浸液を供給する液体注入孔41を有する。液体注入孔41の外側には、多孔部材が設けられる内側回収バッファ43aに液体を導くための内側液体回収開口43が設けられる。図2cに関して記述されたものと同様の凹部29は、内側液体回収開口43の外側に設けられる。流体ハンドリング構造12の下面における凹部29の外側には、外側回収孔44aが開いている気体案内溝44が設けられる。外側回収孔44aは、多孔部材が設けられる外側回収バッファ44bに二相回収流を導く。最も外側には、気体シーリングバッファ容量45aおよび流体ハンドリング構造12下の空間の間を接続し、液浸液に含ませるために気体流を提供する気体シーリング孔45が設けられる。
【0076】
図2dの右半分の流体ハンドリング構造12は、その内側傾斜面に液体供給開口20を有する。流体ハンドリング構造12の下方には、(内側から外側に向かって)多孔部材37が設けられる取出開口25と、第1ガスナイフ開口26aと、第2ガスナイフ開口26bと、第3ガスナイフ開口26cが設けられる。これらの開口のそれぞれは、バッファ容量を提供する流体ハンドリング構造12の下方における溝内に開口する。流体ハンドリング構造12の最も外側の部分は、流体ハンドリング構造12および基板Wの間のより大きい間隔を提供するようにステップ状になっている。
【0077】
図2a~2dは、流体ハンドリングシステムの一部として使用されうる異なる構成の例を示す。以上で提供された例は具体的な取出部および回収部を参照したが、全く同じタイプの取出部および/または回収部を使用する必要はないと理解される。いくつかの場合、部材の位置を示すために異なる用語が使用されるが、同じ機能的特徴が提供されてもよい。前述の取出部の例は、回収開口21、オーバーフロー回収部24、回収開口25(好ましくは、多孔プレートおよび/またはチャンバ35を備える)、気体回収開口28、ピニング開口32、回収開口32a、回収開口32b、および/または中間回収部42を含む。前述の供給部の例は、供給開口20、下方供給開口23、ガスナイフ開口26、気体供給開口27a、気体供給開口27b、および/または供給開口34を含む。一般的に、流体、液体または気体を取り出す/回収するために使用される取出部は、それぞれ、流体、液体または気体を取り出す/回収する他の使用例の少なくともいずれかと交換可能である。同様に、流体、液体または気体を供給するために使用される供給部は、それぞれ、流体、液体または気体を供給する他の使用例の少なくともいずれかと交換可能である。取出部は、取出部内に流体、液体または気体を引き込む減圧に接続されることで、空間から流体、液体または気体を取り出してもよい/回収してもよい。供給部は、対応する供給部に接続されることで、空間に流体、液体または気体を供給してもよい。
【0078】
前述されたように、液浸流体/液体の使用は基板上のより小さいフィーチャの解像度を高める上で有用であるが、基板上に導入される欠陥に関する液浸流体/液体の使用上の課題がある。
【0079】
一般的に、液浸液が使用される場合、液浸液の液滴が基板Wの表面上に残されうる。液浸液の縁におけるメニスカス33は、基板Wの表面上の液滴と衝突しうる。液滴がメニスカス33に当たると、気体が液浸液内に捕捉されうる。これは、液浸液中の泡をもたらす。液浸液における泡の形成は、基板W上の欠陥に繋がりうる。基板Wの表面上に残る液滴は、乾燥スポットをもたらしうる、および/または、レジストの化学的特性に影響を及ぼしうるため、欠陥に繋がる。
【0080】
液滴の発生率は流体ハンドリングシステムに対する基板Wの移動速度と共に増加することが知られている。いくつかの場合では、臨界スキャン速度以下では液滴形成がない/無視でき、臨界スキャン速度以上では無視できない液滴形成がある。臨界スキャン速度は、液浸液および基板W上に提供されるレジストの間の静的後退接触角度に関する。静的後退接触角度が増加すると、臨界スキャン速度も増加する。臨界スキャン速度はリソグラフィ装置のスループットの制限要因となりうるため、臨界スキャン速度を大きくすることが望ましい。臨界スキャン速度を大きくするための努力は、レジストの組成を変えることによって、または、レジスト上にトップコートを提供することによって、静的後退接触角度を増加させることを含む。しかし、更なる改善が望まれる。
【0081】
本発明は、少なくとも一つの液滴に関する課題の影響を低減しうる。本発明は、全てのタイプの局所液浸リソグラフィ装置において使用されてもよい液滴緩和システムの各種の実施形態を含む。
【0082】
以下で詳細に記述されるように、実施形態は、基板および流体ハンドリングシステムの相対移動に応じて流体のメニスカスが移動する流体ハンドリングシステムを提供する。有利なことには、これは、実質的な液滴形成を伴わずに、流体ハンドリングシステムおよび基板の間の相対移動の最大許容可能速度を増加させる。
【0083】
図3aおよび3bは、第1実施形態に係る流体ハンドリングシステム301の一部を示す。流体ハンドリングシステム301は、投影システムPSの一部および基板Wの表面の間の液体制限空間に液浸液を制限してもよい。液浸液は、前述された液浸流体のいずれかでもよい。例えば、液浸液は水でもよい。投影システムPSから投影される放射ビームBは、液浸液を通じて基板Wの表面を照射してもよい。
【0084】
図3aは、液浸液のメニスカス310を支持する流体ハンドリングシステム301の一部のみを示す。メニスカス310は、液浸液および流体ハンドリングシステム301の周囲環境の間の境界を形成する。図3aには示されないが、流体ハンドリングシステム301の主要部は、矢印306によって示される方向に配置される。流体ハンドリングシステム301の主要部は、液浸液を備えてもよく、図2aから2dを参照して以上で開示された各種の構造または投影システムPSの下方で液浸液を局所化する任意の他のシステムの任意の部分を備えてもよい。特に、流体ハンドリングシステム301の主要部は、図2aから2dを参照して記述されたようなレンズバス11等のレンズバスを備えてもよい。
【0085】
図3aに示されるように、流体ハンドリングシステム301は、基板Wの上方に設けられる。基板Wは、ウェーハ305およびウェーハ305上のレジストコーティング304を備えてもよい。流体ハンドリングシステム301および基板Wの間にはチャネル308がある。方向306に配置される流体ハンドリングシステム301の主要部と、メニスカス310の間のチャネル308の一部は、液浸液を備えてもよい。メニスカス310と、方向307に配置される流体ハンドリングシステム301の外部環境の間のチャネル308の一部は、気体を備えてもよい。
【0086】
流体ハンドリングシステム301は、第1取出部302を備える。第1取出部302は、第1取出導管302bを備える。第1取出導管302bは、流体の導管であり、流体ハンドリングシステム301から出る液浸液の流れを提供してもよい。第1取出部302は、チャネル308の上表面に設けられる第1取出開口302aも備える。第1取出開口302aは、第1取出導管302bの端である。
【0087】
流体ハンドリングシステム301は、第2取出部303を備える。第2取出部303は、第2取出導管303bを備える。第2取出導管303bは、気体等の流体の導管である。第2取出部303は、チャネル308の上表面に設けられる第2取出開口303aも備える。第2取出開口303aは、第2取出導管303bの端である。
【0088】
第1取出部302および第2取出部303の間には、ダンパ311と表されるチャネル308の上表面がある。ダンパ311の長さは、チャネル308の長さに沿った第1取出部302および第2取出部303の間隔を定める。
【0089】
第1取出部302は、流体流309によって液浸液を取り出すように構成されてもよい。第1取出部302を通じた流体流のみが、実質的に液浸液の流体流309でもよい。但し、第1取出部302は、流体ハンドリングシステム301の外部環境から気体を取り出してもよい。このように、第1取出部302を通じた流体流は二相流でもよい。
【0090】
第2取出部303は、チャネル308から気体を取り出すように構成されてもよい。図3bは、気体取出の気体流314を示す。気体流314は、チャネル308において減圧を生成してもよい。
【0091】
図3aおよび3bには示されないが、方向306に配置される流体ハンドリングシステム301の主要部は、液浸液を制限するように構成される内表面を有する流体ハンドリング構造を備えてもよい。第1取出部302および第2取出部303は、流体ハンドリングシステム301の主要部から径方向に離れて配置される。第2取出部303は、第1取出部302より流体ハンドリング構造の内表面から更に離れて配置されてもよい。あるいは、第1取出部302および第2取出部303は、流体ハンドリングシステム301の主要部の一部でもよい。第2取出部303は、第1取出部302より流体ハンドリングシステム301の中央から更に離れて配置されてもよい。
【0092】
流体ハンドリングシステム301の第1動作状態が図3aに示される。第1動作状態では、基板Wおよび流体ハンドリングシステム301の間に相対移動がない。第1取出部302は、第1動作状態において、それを通じて取り出される液浸液の量が、チャネル308に沿った実質的に同じ位置にメニスカス310を維持するために必要とされる量を実質的に超えないように構成されてもよい。第1取出部302を通じた流体流量は、基板Wおよび流体ハンドリングシステム301の間に相対移動がない場合、実質的にメニスカス310を静止状態に保持できる最小流量である。
【0093】
流体ハンドリングシステムの第2動作状態が図3bに示される。第2動作状態では、基板Wが流体ハンドリングシステム301に対して移動してもよい。第2動作状態は、スキャン方向におけるスキャン移動を含む。スキャン方向は、放射ビームBの伝播方向に実質的に垂直でもよい。スキャン方向は、図3bに示されるような方向312でもよい。なお、第2動作状態は、基板Wおよび流体ハンドリングシステム301の間のスキャン移動以外の相対移動を含んでもよい。例えば、第2動作状態は、スキャン移動の前の準備移動を含んでもよい。
【0094】
第1取出部302は、それを通じて取り出される液浸液の量が第1および第2動作状態の両方において実質的に同じになるように構成されてもよい。方向312における基板Wの移動は、チャネル308内の液浸液に対する剪断力を生成する。このため、メニスカス310は、方向313にチャネル308に沿って移動する。チャネル308内への液浸液の流れの増加は、クエット流れと表されてもよいし、剪断駆動流または圧力駆動流と表されてもよい。気体流314によるチャネル308における減圧の生成も、チャネル308に沿ったメニスカス310の移動を支持する。
【0095】
第2動作状態では、第1取出部302を通じた流体流によって、メニスカス310が静止状態に保持されない。第1取出部302を通じた流体流は、流体ハンドリングシステム301および基板Wの間の相対移動がない場合に限り、メニスカス310を静止状態に維持するために十分である。従って、第2動作状態では、メニスカス310がチャネル308に沿って移動する。有利なことには、流体ハンドリングシステム301および基板Wの間の相対移動の最大許容可能速度が大きくなっている。メニスカス310および基板Wの間の相対移動速度は、有意な液滴形成が起こらないように臨界スキャン速度以下である。流体ハンドリングシステム301およびメニスカス310の間の相対移動速度は、流体ハンドリングシステム301および基板Wの間の相対移動速度を増加させる。流体ハンドリングシステム301および基板Wの間の相対移動速度は、チャネル308内のメニスカス310が実質的に静止状態である公知のシステムの臨界スキャン速度のそれの二倍まで増加しうる。
【0096】
メニスカス310がチャネル308に沿って移動してもよい距離は、第1取出部302および第2取出部303の間のダンパ311の表面の長さに依存する。第1取出部302および第2取出部303の間のダンパ311の表面の長さは、約1mmおよび約100mmの間であり、好ましくは約1mmおよび約50mmの間であり、好ましくは約20mmより長い、好ましくは約30mmより長い、より好ましくは約30mmより長い。
【0097】
ダンパ311は、その表面特性がメニスカス310の端の適切な移動をサポートするように構成されてもよい。特に、ダンパ311の表面は、コーティングされてもよいし、疎液性、親液性または多孔性のいずれかに構成されてもよい。
【0098】
ダンパ311の表面は、それが基板Wの表面に実質的に平行であるように構成されてもよい。
【0099】
あるいは、ダンパ311の表面は、基板Wの表面から離れるように曲がっていてもよいし、傾斜していてもよい。ダンパ311の表面の第1端は第1取出部302にあり、ダンパ311の表面の第2端は第2取出部303にある。ダンパ311の表面は、ダンパ311の表面および基板Wの表面の間隔が、第1端より第2端でより大きくなるように構成されてもよい。
【0100】
前述されたダンパ311は、第1ダンパ311と表されてもよい。少なくとも図3aおよび3bに示されるように、流体ハンドリングシステム301は、第2ダンパ315を備えてもよい。第2ダンパ315の表面は、第1ダンパ311に対する第1取出部302の他の側における、チャネル308の上表面の長さ部分である。第2ダンパ315は、第2ダンパ315の表面および基板Wの表面の間で液浸液が支持されるように構成されてもよい。
【0101】
第2ダンパ315の表面は、基板Wの表面に平行でもよい。第2ダンパ315の表面および基板Wの表面の間隔は、第1ダンパ311の表面の全部または少なくとも一部および基板Wの表面の間隔と同じでもよい。代えてまたは加えて、第1ダンパ311の表面の全部または少なくとも一部および基板Wの表面の間隔は、第2ダンパ315の表面の少なくとも一部および基板Wの表面の間隔より大きくてもよい。
【0102】
第2実施形態が図4に示される。第2実施形態の流体ハンドリングシステム301は、第1実施形態の流体ハンドリングシステム301の前述された特徴の全てを備えてもよい。第2実施形態の流体ハンドリングシステム301は、第1バルブ401および第2バルブ402を更に備える点において、第1実施形態の流体ハンドリングシステム301と異なる。
【0103】
第1バルブ401は、第1取出部302を通じて流体の流れを制御するために設けられてもよい。第1バルブ401は、第1取出部302の第1取出導管302bに設けられてもよい。
【0104】
第2バルブ402は、第2取出部303を通じて流体の流れを制御するために設けられてもよい。第2バルブ402は、第2取出部303の第2取出導管303bに設けられてもよい。
【0105】
有利なことには、第1バルブ401および第2バルブ402が、チャネル308内の流体流および圧力の制御を改善できる。これによって、チャネル308に沿ったメニスカス310の移動の制御が改善される。
【0106】
図4は、ここで開示される流体ハンドリングシステム301のいずれかの実施形態に存在してもよい、流体ハンドリングシステム301の更なる特徴も示す。
【0107】
例えば、流体ハンドリングシステム301は、流体供給開口403を更に備えてもよい。流体供給開口403は、チャネル308の上表面における開口でもよい。流体供給開口403は、チャネル308の上表面の長さによって、第1取出部302から隔てられてもよい。前述されたように、これは第2ダンパ315の表面でもよい。流体供給開口403は、チャネル308内への液浸液の供給部でもよい。チャネル308に対する液浸液の供給は、チャネル308内の液浸液の加圧を生成してもよい。図3aおよび3bには示されないが、ここで示される実施形態は、流体供給開口403を備えてもよい。実施形態は、チャネル308内の流体流および圧力の制御を改善するための、流体供給開口403でのバルブの使用も含む。
【0108】
第2取出部303で始まり、流体ハンドリングシステム301の外部環境に向かって方向307に延在する、チャネル308の上表面316の長さ部分も図4に示される。図4に示されるように、第2取出部303に隣接するチャネル308の上表面316の一部は、基板Wの表面に平行でもよい。第2取出部303から更に離れたチャネル308の上表面316の他の一部は、チャネル308の上表面316および基板Wの表面の間隔が変わるように傾斜していてもよい/曲がっていてもよい。図4に示されるように、チャネル308の上表面316および基板Wの表面の間隔は増加してもよい。但し、実施形態は、チャネル308の上表面316および基板Wの表面の間隔が局所的に減少した後に増加する場合も含む。チャネル308内の気体の圧力は、上表面316の形状に依存しうる。表面316の形状は、所期の動作条件の下でメニスカス310の移動をサポートするために、チャネル308内の気体の適切な圧力を生成するように決定されてもよい。
【0109】
第3実施形態が図5に示される。第3実施形態の流体ハンドリングシステム301は、第1および第2実施形態の流体ハンドリングシステム301の前述された特徴の一部または全部を備えてもよい。
【0110】
第3実施形態の流体ハンドリングシステム301は、第3取出導管501を更に備える点において、第1および第2実施形態の流体ハンドリングシステム301と異なる。第3取出導管501は、第1取出導管302bおよび第2取出導管303bの両方と流体が流通可能である。接続導管502が、第2取出導管303bおよび第3取出導管501の間に設けられてもよい。接続導管502は、第2取出導管303bの一部でもよい。第3取出導管501を通じた流体の流れは、液浸液および気体の両方を備えてもよい(すなわち、二相流)。
【0111】
第3実施形態の第1実施例では、第1取出導管302b、第2取出導管303bおよび第3取出導管501にバルブが設けられなくてもよい。所期の動作条件の下で、気体および/または液浸液の圧力が、チャネル308に沿ったメニスカス310の移動を提供する上で適切であるように、第1取出導管302b、第2取出導管303bおよび/または第3取出導管501の形状/幾何学的配置が調整される。有利なことには、チャネル308内で自然に生成される圧力が、メニスカス310の移動を受動的にサポートする上で適切である。
【0112】
第3実施形態の第2実施例では、第3取出導管501にバルブが設けられるが、第1取出導管302bおよび第2取出導管303bにはバルブが設けられない。第1実施例について記述されたように、チャネル308に沿ったメニスカス310の移動をサポートする上で適切な圧力を自然に生成するために、第1取出導管302bおよび第2取出導管303bの形状/幾何学的配置が調整されてもよい。第3取出導管501におけるバルブは、第3取出導管501を通じた流体流を制御するために使用されてもよい。これは、メニスカス310移動の制御を改善しうる。
【0113】
第3実施形態の第3実施例では、第1取出導管302b、第2取出導管303bおよび第3取出導管501の一部または全部にバルブが設けられる。第1取出導管302bおよび第2取出導管303bにおけるバルブは、第2実施形態について記述されて図4に示されたものと同じでもよい。有利なことには、バルブはメニスカス310移動の制御を改善しうる。
【0114】
第4実施形態が図6に示される。第4実施形態の流体ハンドリングシステム301は、第1、第2および第3実施形態の流体ハンドリングシステム301の前述された特徴のいくつかを備えてもよい。
【0115】
第4実施形態は、第1取出部302を備えるが、第2取出部303を備えない点において、第1、第2および第3実施形態と異なる。
【0116】
第4実施形態では、チャネル308に沿ったメニスカス310の移動が、動作中にチャネル308において生成する内在圧力によって受動的にサポートされてもよい。例えば、表面張力が、チャネル308に沿ったメニスカス310の移動をサポートする、チャネル308における減圧をもたらしてもよい。
【0117】
第1取出部302を通じた流体流を制御するためのバルブ601が、第1取出導管302bに設けられてもよい。バルブ601は、チャネル308内の流体流および/または圧力の制御を改善し、メニスカス310の移動の制御を改善する。
【0118】
前述された実施形態は、メニスカス310がチャネル308に沿って移動してもよい、流体ハンドリングシステム301の多くのデザインを提供する。メニスカス310の一端はダンパ311の表面に沿って移動し、メニスカス310の他端は基板Wの表面に沿って移動する。
【0119】
公知のシステムでは、液浸液のメニスカスが流体ハンドリングシステムに対して静止状態に保持される。流体ハンドリングシステムおよび基板の間のチャネル308におけるピニング開口を通じた流体流は、流体ハンドリングシステムおよび基板の間の相対移動がある時にメニスカスを開口に対して保持する。このように、公知のシステムでは、開口および基板の間でメニスカスが静止状態に保持される。メニスカスは、ダンパおよび基板の間で移動可能に支持されない。
【0120】
実施形態および公知のシステムの重要な違いは、実施形態では、第1取出部302を通じた流体流が公知のシステムより少ないという点である。全ての動作条件の下で、第1取出部302を通じた流体流が、流体ハンドリングシステム301および基板Wの間の相対移動がない時にメニスカス310を静止状態に保持するために必要とされる量を実質的に超えない。このため、メニスカス310は、流体ハンドリングシステム301および基板Wの間の相対移動がある時に、チャネル308に沿って移動する。このように、メニスカス310は、ダンパ311および基板Wの間で支持されうる。
【0121】
前述された実施形態では、単一の第1取出部302のみが記述された。しかし、実施形態は、複数の第1取出部302がある場合を含む。複数の第1取出部302は、流体ハンドリングシステム301の中央の周りに設けられてもよい。複数の第1取出部302は、任意の構成で設けられてもよい。例えば、これらは、円形、正方形、長方形または星形の構成でもよい。
【0122】
各第1取出部302の第1取出開口302aは、任意の形状を有してもよい。例えば、各第1取出開口302aは、円形、正方形、長方形またはスロット形でもよい。
【0123】
前述された実施形態では、単一の第2取出部303のみが記述された。しかし、実施形態は、複数の第2取出部303がある場合を含む。複数の第2取出部303は、流体ハンドリングシステム301の中央の周りに設けられてもよい。例えば、これらは、円形、正方形、長方形または星形の構成でもよい。第2取出部303の構成は、第1取出部302の構成と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0124】
各第2取出部303の第2取出開口303aは、任意の形状を有してもよい。例えば、各第2取出開口303aは、円形、正方形、長方形またはスロット形でもよい。
【0125】
図3aから6には示されないが、実施形態は、チャネル308または任意の導管内の状態を測定するための多くのセンサを備える流体ハンドリングシステム301も含む。例えば、流体ハンドリングシステム301は、温度、圧力または他のタイプのセンサのいずれかを備えてもよい。流体ハンドリングシステム301は、センサによる測定結果に応じて制御されてもよい。例えば、いずれかのバルブは、測定された圧力に応じて駆動されてもよい。基板Wが流体ハンドリングシステム301に対して駆動される速度も、センサ測定結果に応じて制御されてもよい。
【0126】
実施形態は、図2aから2dに示される流体ハンドリングシステムのいずれに組み込まれてもよい。例えば、図2aでは、ピニング開口32が代わりに実施形態の第1取出部302として動作してもよい。更なる開口50は、代わりに実施形態の第2取出部303として動作してもよい。ピニング開口32および更なる開口50の間隔も、メニスカス310が移動するための適切な距離を提供するために大きくされてもよい。同様に、図2cでは、回収開口32aが代わりに実施形態の第1取出部302として動作してもよい。回収開口32bは、代わりに実施形態の第2取出部303として動作してもよい。回収開口32aおよび回収開口32bの間隔も、メニスカス310が移動するための適切な距離を提供するために大きくされてもよい。
【0127】
実施形態は、具体的に前述されたものからの更なる特徴の存在および使用を含む。特に、実施形態の流体ハンドリングシステム301は、第1取出部302および第2取出部303を通じた流体流を制御するための一または複数のポンプを含んでもよい。第1取出部302および第2取出部303を通じた流体流を制御するためのポンプの一つは、加えてまたは代えて、流体ハンドリングシステム301の外部にあってもよい。
【0128】
実施形態は、前述された技術に対する多くの変更および変形も含む。
【0129】
例えば、第2実施形態の変形例では、第1取出導管302bおよび第2取出導管303bのいずれかのみにバルブが設けられてもよい。
【0130】
実施形態の変形例では、一または複数のバルブの代わりに可変ポンプが使用されてもよい。
【0131】
実施形態は、多孔質材料および/またはふるいを備える第1取出部302および/または第2取出部303のそれぞれを含む。
【0132】
前述された実施形態では、第1取出開口302a、第2取出開口303aおよびダンパ311の表面が、チャネル308の上表面にあるものとして記述された。水平に設けられる基板Wの典型的な構成では、表面がチャネル308の上表面である。しかし、実施形態は、より一般的に、基板Wの表面に実質的に平行な流体ハンドリングシステム301の表面に設けられる、第1取出開口302a、第2取出開口303aおよびダンパ311の表面を含む。基板Wの表面は、水平に設けられる場合に限定されない。
【0133】
本発明は、リソグラフィ装置を提供してもよい。リソグラフィ装置は、前述されたようなリソグラフィ装置の一部または全部の他の特徴またはコンポーネントを有してもよい。例えば、リソグラフィ装置は、オプションで、ソースSO、照明システムIL、投影システムPS、基板サポートWT等の少なくとも一または複数を備えてもよい。
【0134】
具体的には、リソグラフィ装置は、基板Wの表面の領域に対して放射ビームBを投影するように構成される投影システムPSを備えてもよい。リソグラフィ装置は、以上の実施形態および変形例のいずれかにおいて記述された流体ハンドリングシステム301を更に備えてもよい。
【0135】
リソグラフィ装置は、基板Wを流体ハンドリングシステム301に対して駆動するように構成されるアクチュエータを備えてもよい。このように、アクチュエータは、基板Wの位置(あるいは、流体ハンドリングシステム301の位置)を制御するために使用されてもよい。アクチュエータは、基板サポート(例えば、基板テーブル)WTおよび/または基板Wを保持するように構成された基板ホルダおよび/または基板サポートWTを正確に配置するように構成される第2ポジショナPWでもよい、または、を備えてもよい。
【0136】
本テキストにおいて、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用についての具体的な参照がなされたかもしれないが、ここで記述されるリソグラフィ装置は他の用途を有してもよいと理解されるべきである。可能性のある他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリのためのガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造を含む。
【0137】
文脈が許す限り、発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組合せで実装されてもよい。発明の実施形態は、一または複数のプロセッサによって読み出されて実行されてもよい機械読取可能媒体上に格納された命令によって実装されてもよい。機械読取可能媒体は、機械(例えば、演算デバイス)によって読み取り可能な形態で、情報を格納または送信するための任意のメカニズムを含んでもよい。例えば、機械読取可能媒体は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響または他の形態の伝送信号(例えば 搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、その他を含んでもよい。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして記述されてもよい。但し、このような記述は単に便宜的なものであり、このようなアクションは実際には、演算デバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスによってもたらされ、アクチュエータまたは他のデバイスに物理的な世界と相互作用させてもよいと理解されるべきである。
【0138】
本テキストにおいて、リソグラフィ装置の文脈における発明の実施形態についての具体的な参照がなされたかもしれないが、発明の実施形態は他の装置で使用されてもよい。発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、またはウェーハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニングデバイス)等のオブジェクトを測定または処理する任意の装置の一部を構成してもよい。これらの装置は、一般的にリソグラフィツールと表されてもよい。このようなリソグラフィツールは、大気(非真空)条件を使用してもよい。
【0139】
以上において、光学リソグラフィの文脈における発明の実施形態の使用についての具体的な参照がなされたかもしれないが、発明は、文脈が許す限り、光学リソグラフィに限定されないと理解される。
【0140】
実施形態は、以下の番号が付された項目を含む:
1.リソグラフィ装置のための流体ハンドリングシステムであって、投影システムから投影される放射ビームが液浸液を通過することによって基板の表面を照射できるように、リソグラフィ装置における投影システムの一部および基板の表面の間の液体制限空間に液浸液を制限するように構成され、共に流体を取り出すように構成される第1取出部および第2取出部の間に設けられるダンパであって、ダンパの表面および基板の表面の間の液浸液のメニスカスを支持するように構成されるダンパを備える、流体ハンドリングシステム。
2.第1取出部を通じて流体の流れを制御するように構成される第1バルブを更に備える、項目1に記載の流体ハンドリングシステム。
3.第2取出部を通じて流体の流れを制御するように構成される第2バルブを更に備える、項目1または2に記載の流体ハンドリングシステム。
4.第1取出部は、使用中に、それを通じて流れる流体が実質的に液浸液から成るように構成される、項目1から3のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
5.第2取出部は、使用中に、それを通じて流れる流体が実質的に気体によって構成されるように構成される、項目1から4のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
6.第1取出部は、第1取出導管および第1取出開口を備え、第1取出導管は、第1取出開口を通じて取り出される流体を受け取るように構成され、第2取出部は、第2取出導管および第2取出開口を備え、第2取出導管は、第2取出開口を通じて取り出される流体を受け取るように構成される、項目1から5のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
7.第1取出導管および第2取出導管の両方からの流体を受け取るように構成される第3取出導管を更に備える、項目6に記載の流体ハンドリングシステム。
8.第3取出導管を通じて流体の流れを制御するように構成される第3バルブを更に備える、項目7に記載の流体ハンドリングシステム。
9.第1取出部は、使用中に、それを通じた流体流量が実質的に一定であるように構成される、項目1から8のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
10.第1取出部は、使用中に、それを通じた流体流量が、基板および流体ハンドリングシステムの間の相対移動がない時に、メニスカスを静止状態に保持できる実質的な最小流量であるように設けられる、項目1から9のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
11.ダンパ、第1取出部および/または第2取出部は、使用中に、メニスカスが、流体ハンドリングシステムに対する基板の移動に応じて、ダンパの表面に沿って移動するように構成される、項目1から10のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
12.第1取出部および第2取出部の間のダンパ表面の長さは、1mmおよび100mmの間、好ましくは1mmおよび50mmの間、および好ましくは20mmより長い、項目1から11のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
13.ダンパの表面は基板の表面に実質的に平行であるように構成される、項目1から12のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
14.ダンパの表面の第1端は第1取出部にあり、ダンパの表面の第2端は第2取出部にあり、ダンパの表面は、ダンパの表面および基板の表面の間隔が、第1端より第2端でより大きい、または、より小さいように構成される、項目1から12のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
15.ダンパの表面は、曲がっている、傾斜している、または波形になっている、項目14に記載の流体ハンドリングシステム。
16.ダンパは第1ダンパであり、前記装置は、第1ダンパと異なる第1取出部の側に設けられ、液浸液が第2ダンパの表面および基板の表面の間で支持されるように構成される第2ダンパを更に備え、第1ダンパの表面の少なくとも一部および基板の表面の間隔は、第2ダンパの表面の少なくとも一部および基板の表面の間隔より大きい、項目1から15のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
17.流体ハンドリングシステムは、液浸液を制限するように構成される内表面を有する流体ハンドリング構造を備え、第1および第2取出部は、流体ハンドリング構造の内表面から径方向に離れて配置され、第2取出部は、第1取出部より流体ハンドリング構造の内表面から更に離れて配置される、項目1から16のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
18.複数の第1取出部がある、項目1から17のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
19.複数の第1取出部は、液体制限空間の中央の周りに設けられ、複数の第1取出部は、オプションで円形、正方形、長方形または星形、またはそれらの任意の組合せのいずれかの形状で設けられる、項目18に記載の流体ハンドリングシステム。
20.複数の第2取出部がある、項目1から19のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
21.複数の第2取出部は、液体制限空間の中央の周りに設けられ、複数の第2取出部は、オプションで円形、正方形、長方形または星形、またはそれらの任意の組合せのいずれかの形状で設けられる、項目20に記載の流体ハンドリングシステム。
22.項目1から21のいずれかに記載の流体ハンドリングシステムを備えるリソグラフィ装置。
23.基板の表面に実質的に平行な面において投影システムに対して基板を支持するように構成される基板ホルダを駆動するように構成される、位置決めシステムを更に備える、項目22に記載の装置。
24.基板を保持するように構成される基板ホルダ、基板ホルダによって保持される基板上に放射ビームを投影するように構成される投影システム、および項目1から21のいずれかに記載の流体ハンドリングシステムを有するリソグラフィ装置におけるデバイス製造方法であって、流体ハンドリングシステムの少なくとも一部および基板の表面の間の空間に液浸液を制限するために流体ハンドリングシステムを使用することと、空間における液浸液を通じて基板上にパターン形成された放射のビームを投影することと、ダンパの表面および基板の間の液浸液のメニスカスを支持することと、メニスカスが基板の移動に応じてダンパの表面に沿って移動するように、放射ビームの伝播方向に実質的に垂直なスキャン方向に基板を駆動することと、を備える方法。
【0141】
発明の具体的な実施形態が前述されたが、発明は記述されたものと異なる態様で実施されてもよいと理解される。以上の記述は例示を目的としており、発明を限定する趣旨ではない。従って、記述された発明に対して以下の請求項の範囲から逸脱することなく変更が加えられてもよいことは当業者にとって明らかである。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置のための流体ハンドリングシステムであって、
投影システムから投影される放射ビームが液浸液を通過することによって基板の表面を照射できるように、リソグラフィ装置における投影システムの一部および基板の表面の間の液体制限空間に液浸液を制限するように構成され、
共に流体を取り出すように構成される第1取出部および第2取出部の間に設けられるダンパであって、ダンパの表面および基板の表面の間の液浸液のメニスカスを支持するように構成されるダンパを備え、
第1取出部および第2取出部の間のダンパ表面の長さは、20mmおよび100mmの間である、
流体ハンドリングシステム。
【請求項2】
第1取出部を通じて流体の流れを制御するように構成される第1バルブを更に備える、および/または、第2取出部を通じて流体の流れを制御するように構成される第2バルブを更に備える、請求項1に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項3】
第1取出部は、使用中に、それを通じて流れる流体が実質的に液浸液から成るように構成される、および/または、第2取出部は、使用中に、それを通じて流れる流体が実質的に気体によって構成されるように構成される、請求項2に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項4】
第1取出部は、第1取出導管および第1取出開口を備え、
第1取出導管は、第1取出開口を通じて取り出される流体を受け取るように構成され、
第2取出部は、第2取出導管および第2取出開口を備え、
第2取出導管は、第2取出開口を通じて取り出される流体を受け取るように構成される、
請求項1から3のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項5】
第1取出導管および第2取出導管の両方からの流体を受け取るように構成される第3取出導管を更に備える、請求項4に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項6】
第3取出導管を通じて流体の流れを制御するように構成される第3バルブを更に備える、請求項5に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項7】
第1取出部は、使用中に、それを通じた流体流量が実質的に一定であるように構成される、および/または、第1取出部は、使用中に、それを通じた流体流量が、基板および流体ハンドリングシステムの間の相対移動がない時に、メニスカスを静止状態に保持できる実質的な最小流量であるように設けられる、請求項1から6のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項8】
ダンパ、第1取出部および/または第2取出部は、使用中に、メニスカスが、流体ハンドリングシステムに対する基板の移動に応じて、ダンパの表面に沿って移動するように構成される、および/または、ダンパの表面は基板の表面に実質的に平行であるように構成される、および/または、ダンパの表面は疎液性コーティングを備える、請求項1から7のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項9】
ダンパの表面の第1端は第1取出部にあり、
ダンパの表面の第2端は第2取出部にあり、
ダンパの表面は、ダンパの表面および基板の表面の間隔が、第1端より第2端でより大きい、または、より小さいように構成される、
請求項1から8のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項10】
ダンパの表面は、曲がっている、傾斜している、または波形になっている、請求項9に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項11】
ダンパは第1ダンパであり、
前記装置は、第1ダンパと異なる第1取出部の側に設けられ、液浸液が第2ダンパの表面および基板の表面の間で支持されるように構成される第2ダンパを更に備え、
第1ダンパの表面の少なくとも一部および基板の表面の間隔は、第2ダンパの表面の少なくとも一部および基板の表面の間隔より大きい、
および/または、
流体ハンドリングシステムは、液浸液を制限するように構成される内表面を有する流体ハンドリング構造を備え、
第1および第2取出部は、流体ハンドリング構造の内表面から径方向に離れて配置され、
第2取出部は、第1取出部より流体ハンドリング構造の内表面から更に離れて配置される、
請求項1から10のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項12】
複数の第1取出部がある、および/または、複数の第2取出部がある、請求項1から11のいずれかに記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項13】
複数の第1取出部は、液体制限空間の中央の周りに設けられ、
複数の第1取出部は、オプションで円形、正方形、長方形または星形、またはそれらの任意の組合せのいずれかの形状で設けられ、
および/または、
複数の第2取出部は、液体制限空間の中央の周りに設けられ、
複数の第2取出部は、オプションで円形、正方形、長方形または星形、またはそれらの任意の組合せのいずれかの形状で設けられる、
請求項12に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項14】
複数の第2取出部は、液体制限空間の中央の周りに設けられ、
複数の第2取出部は、オプションで円形、正方形、長方形または星形、またはそれらの任意の組合せのいずれかの形状で設けられる、
請求項12に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の流体ハンドリングシステムを備えるリソグラフィ装置。
【国際調査報告】