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特表2023-550331低抵抗率コンタクト及びインターコネクト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】低抵抗率コンタクト及びインターコネクト
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20231124BHJP
   C23C 16/08 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528357
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2021058099
(87)【国際公開番号】W WO2022108762
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/198,880
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイ・チュウキン・スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ナ・ジェオン-セオク
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA06
4K030AA07
4K030AA16
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA12
4K030BA20
4K030FA01
4K030HA01
4K030JA10
4K030JA18
(57)【要約】
【解決手段】メタライゼーションスキームは、モリブデン(Mo)の原子層堆積(ALD)を含み、いくつかの実施形態では、バリア層なしのフィーチャにおけるMoのALDを含む。いくつかの実施形態では、ALD Mo膜の堆積の後に、Mo膜の化学蒸着(CVD)又は物理蒸着(PVD)が続いてもよい。いくつかの実施形態では、CVD又はPVD Mo膜は、メタライゼーションスタックの一部である。他の実施形態では、CVD又はPVD Mo膜は、犠牲被覆層として堆積される。いくつかの実施形態では、ALD Mo膜の堆積の後に、タングステン(W)などの別の金属のCVD又はPVDが続いてもよい。いくつかの実施形態では、CVD又はPVD W膜は、メタライゼーションスタックの一部である。他の実施形態では、CVD又はPVD W膜は、犠牲被覆層として堆積される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
複数のフィーチャを含む構造において、原子層堆積(ALD)によってモリブデン(Mo)のバルク層を堆積して、前記複数のフィーチャをMoで少なくとも部分的に充填することと、
化学蒸着(CVD)又は物理蒸着(PVD)によって、前記Moのバルク層上にタングステン(W)のバルク層を堆積することと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記複数のフィーチャが、第1の限界寸法を有する1つ又は複数のフィーチャの第1のセットと、第2の限界寸法を有する1つ又は複数のフィーチャの第2のセットとを含み、前記第1の限界寸法が前記第2の限界寸法よりも小さく、前記第1のセットの前記フィーチャの充填が、前記Moのバルク層を堆積することによって完了し、かつ前記第2のセットの前記フィーチャの充填が、前記Wのバルク層を堆積することによって完了する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記複数のフィーチャの少なくとも一部の前記充填が、前記Wのバルク層によって完了する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記Wのバルク層が、前記複数のフィーチャの上面の上のみに堆積され、かつ前記複数のフィーチャの中にはない、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記Wのバルク層のすべてを除去することをさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記複数のフィーチャが、前記フィーチャにおける任意のMo堆積の前に、酸化物表面を含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記Moが前記複数のフィーチャに形成され、形成された前記Moと前記酸化物表面の間にバリア層は配置されていない、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記Moのバルク層を堆積する前に核形成層を堆積することをさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記核形成層を堆積することが、窒化モリブデン又は酸窒化モリブデンの層を形成することを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記窒化モリブデン又は酸窒化モリブデンの層をモリブデンに変換することをさらに含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記Moのバルク層及び前記Wのバルク層が、同じチャンバで堆積される、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記Moのバルク層及び前記Wのバルク層が、前記同じチャンバの異なるステーションで堆積される、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記Moのバルク層及び前記Wのバルク層が、異なるチャンバで堆積される、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記異なるチャンバが、共通の真空環境に接続される、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記異なるチャンバが、共通の真空環境に接続されない、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記Wのバルク層を堆積する前に、堆積された前記Moのバルク層の表面を金属ハロゲン化物で処理することをさらに含む、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記原子層堆積(ALD)によってMoのバルク層を堆積することが、Mo前駆体と共反応物の交互パルスに前記構造を曝露することを含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記Mo前駆体が、ハロゲン化モリブデン又はオキシハロゲン化モリブデンである、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記Mo前駆体が、六フッ化モリブデン(MoF6)、六塩化モリブデン(MoCl5)、二塩化二酸化モリブデン(MoO2Cl2)、四塩化酸化モリブデン(MoOCl4)、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)、(MoOF4)、二臭化二酸化モリブデン(MoO2Br2)、MoO2I、及びMo411Iのうちの1つである、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、前記Mo前駆体が有機金属前駆体である、方法。
【請求項21】
方法であって、
フィーチャの第1のセットを含む構造をチャンバに提供することと、
フィーチャの第1のセットを含む構造において、原子層堆積(ALD)によってモリブデン(Mo)のバルク層を堆積して、フィーチャをMoで部分的に充填することと、
Moで部分的に充填された前記フィーチャを含む前記構造を、前記チャンバから搬出することと
を含む、方法。
【請求項22】
方法であって、
フィーチャの第1のセットを含む構造をチャンバに提供することであって、前記フィーチャの第1のセットが、モリブデン(Mo)で少なくとも部分的に充填されている、ことと、
タングステン(W)のバルク層を前記Mo上に堆積することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
PCT出願願書が、本出願の一部として、本明細書と同時に提出されている。同時に提出されたPCT出願願書に特定され、本出願がその利益又は優先権を主張する各出願は、その全体がすべての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ここで提供される背景技術の説明は、本開示の文脈を大まかに提示することを目的とする。現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究は、この背景技術の欄で説明される範囲内において、出願時に先行技術として別途みなされ得ない説明の態様と同様に、明示又は暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0003】
金属の堆積は、多くの半導体製造プロセスの不可欠な部分である。これらの材料は、水平配線、隣接する金属層間のビア、及び金属層とデバイスの間のコンタクトに使用されることがある。しかし、デバイスが小型化し、より複雑なパターニングスキームが業界で利用されるようになると、低抵抗率の金属膜の堆積が課題となる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、複数のフィーチャを含む構造において、原子層堆積(ALD)によってモリブデン(Mo)のバルク層を堆積して、複数のフィーチャをMoで少なくとも部分的に充填することと、化学蒸着(CVD)又は物理蒸着(PVD)によって、Moのバルク層上にタングステン(W)のバルク層を堆積することとを含む方法に関する。
【0005】
いくつかの実施形態において、複数のフィーチャは、第1の限界寸法を有する1つ又は複数のフィーチャの第1のセットと、第2の限界寸法を有する1つ又は複数のフィーチャの第2のセットとを含み、第1の限界寸法は第2の限界寸法よりも小さく、第1のセットのフィーチャの充填は、Moのバルク層を堆積することによって完了し、かつ第2のセットのフィーチャの充填は、Wのバルク層を堆積することによって完了する。いくつかの実施形態では、複数のフィーチャの少なくとも一部の充填は、Wのバルク層によって完了する。いくつかの実施形態では、Wのバルク層は、複数のフィーチャの上面の上のみに堆積され、かつ複数のフィーチャの中にはない。いくつかの実施形態では、方法は、Wのバルク層のすべてを除去することをさらに含む。いくつかの実施形態では、複数のフィーチャは、フィーチャにおける任意のMo堆積の前に、酸化物表面を含む。いくつかのそのような実施形態では、Moは複数のフィーチャに形成され、形成されたMoと酸化物表面の間にバリア層は配置されていない。
【0006】
いくつかの実施形態において、方法は、Moのバルク層を堆積する前に核形成層を堆積することをさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、核形成層を堆積することは、窒化モリブデン又は酸窒化モリブデンの層を形成することを含む。いくつかのそのような実施形態では、方法は、窒化モリブデン又は酸窒化モリブデンの層をモリブデンに変換することをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、Moのバルク層及びWのバルク層は、同じチャンバで堆積される。いくつかの実施形態では、Moのバルク層及びWのバルク層は、同じチャンバの異なるステーションで堆積される。いくつかの実施形態では、Moのバルク層及びWのバルク層は、異なるチャンバで堆積される。いくつかのそのような実施形態では、異なるチャンバは、共通の真空環境に接続され、他のそのような実施形態では、異なるチャンバは、共通の真空環境に接続されない。
【0008】
いくつかの実施形態において、方法は、Wのバルク層を堆積する前に、堆積されたMoのバルク層の表面を金属ハロゲン化物で処理することをさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、原子層堆積(ALD)によってMoのバルク層を堆積することは、Mo前駆体と共反応物の交互パルスに構造を曝露することを含む。いくつかのそのような実施形態では、Mo前駆体は、ハロゲン化モリブデン又はオキシハロゲン化モリブデンである。いくつかのそのような実施形態では、Mo前駆体は、六フッ化モリブデン(MoF6)、六塩化モリブデン(MoCl5)、二塩化二酸化モリブデン(MoO2Cl2)、四塩化酸化モリブデン(MoOCl4)、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)、(MoOF4)、二臭化二酸化モリブデン(MoO2Br2)、MoO2I、及びMo411Iのうちの1つである。いくつかの実施形態では、共反応物は水素(H2)である。いくつかの実施形態では、Mo前駆体は有機金属前駆体である。
【0010】
本開示の別の態様は、フィーチャの第1のセットを含む構造をチャンバに提供することと、フィーチャの第1のセットを含む構造において、原子層堆積(ALD)によってモリブデン(Mo)のバルク層を堆積して、フィーチャをMoで部分的に充填することと、Moで部分的に充填されたフィーチャを含む構造をチャンバから搬出することとを含む方法に関する。いくつかの実施形態において、原子層堆積(ALD)によってMoのバルク層を堆積することは、Mo前駆体と共反応物の交互パルスに構造を曝露することを含む。いくつかのそのような実施形態では、Mo前駆体は、ハロゲン化モリブデン又はオキシハロゲン化モリブデンである。いくつかのそのような実施形態では、Mo前駆体は、六フッ化モリブデン(MoF6)、六塩化モリブデン(MoCl5)、二塩化二酸化モリブデン(MoO2Cl2)、四塩化酸化モリブデン(MoOCl4)、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)、(MoOF4)、二臭化二酸化モリブデン(MoO2Br2)、MoO2I、及びMo411Iのうちの1つである。いくつかの実施形態では、共反応物は水素(H2)である。いくつかの実施形態では、Mo前駆体は有機金属前駆体である。
【0011】
いくつかの実施形態において、方法は、Moのバルク層を堆積する前に核形成層を堆積することをさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、核形成層を堆積することは、窒化モリブデン又は酸窒化モリブデンの層を形成することを含む。いくつかのそのような実施形態では、方法は、窒化モリブデン又は酸窒化モリブデンの層をモリブデンに変換することをさらに含む。
【0012】
本開示のさらに別の態様は、フィーチャの第1のセットを含む構造をチャンバに提供することであって、フィーチャの第1のセットが、モリブデン(Mo)で少なくとも部分的に充填されている、ことと、タングステン(W)のバルク層をMo上に堆積することとを含む方法に関する。
【0013】
いくつかの実施形態において、構造は、第1の限界寸法を有する1つ又は複数のフィーチャの第1のセットと、第2の限界寸法を有する1つ又は複数のフィーチャの第2のセットとを含む複数のフィーチャを含み、第1の限界寸法は第2の限界寸法よりも小さく、第1のセットのフィーチャは、Moによって完全に充填され、かつ第2のセットのフィーチャの充填は、Wのバルク層を堆積することによって完了する。
【0014】
いくつかの実施形態において、フィーチャの第1のセットの少なくとも一部の充填は、Wのバルク層によって完了する。いくつかの実施形態では、Wのバルク層は、フィーチャの第1のセットの上面の上のみに堆積され、かつフィーチャの第1のセットの中にはない。
【0015】
いくつかの実施形態において、方法は、Wのバルク層のすべてを除去することをさらに含む。いくつかの実施形態では、Moは複数のフィーチャに形成され、形成されたMoと酸化物表面の間にバリア層は配置されていない。
【0016】
本開示のこれら及び他の態様は、図面を参照して以下でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A図1Aは、導電材料で充填される異なるサイズのフィーチャを有する構造の断面の概略的な例である。
【0018】
図1B図1Bは、モリブデン(Mo)膜の原子層堆積(ALD)後の図1Aの構造を示す概略的な例である。
【0019】
図1C図1Cは、タングステン(W)膜の化学蒸着(CVD)後の図1Bの構造を示す概略的な例である。
【0020】
図1D図1Dは、化学機械平坦化(CMP)後の図1Cの構造を示す概略的な例である。
【0021】
図2図2は、構造の概略的な例であり、ここで、ALD Mo膜は、より小さなフィーチャを完全に充填し、かつより大きなフィーチャを部分的に充填し、CVD Mo膜は、より大きなフィーチャの残りの部分を充填する。
【0022】
図3A図3Aは、Mo膜のALDにより構造のフィーチャを完全に充填した後の図1Aの構造の概略的な例である。
【0023】
図3B図3Bは、W被覆膜のCVD後の図1Bの構造の概略的な例である。
【0024】
図3C図3Cは、化学機械平坦化(CMP)後の図3Bの構造を示す概略的な例である。
【0025】
図4図4は、Mo膜を形成するALD法の一例における特定の動作を示すフロー図である。
【0026】
図5図5は、Moを堆積する方法の例における特定の動作を示すフロー図である。
図6図6は、Moを堆積する方法の例における特定の動作を示すフロー図である。
【0027】
図7図7は、WのCVD堆積の前に、Moを金属ハロゲン化物で処理する方法の一例における特定の動作を示すフロー図である。
【0028】
図8図8は、ALD及び/又はCVDに使用され得るプロセスステーションの一例の概略図を示す。
【0029】
図9図9は、複数のチャンバを含む処理システムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書に提供されるのは、ロジック及びメモリ用途用の低抵抗メタライゼーションスタック構造、及び関連する製造方法である。方法は、モリブデン(Mo)の原子層堆積(ALD)を含み、いくつかの実施形態では、バリア層なしのフィーチャにおけるMoのALDを含む。いくつかの実施形態では、ALD Mo膜の堆積の後に、Mo膜の化学蒸着(CVD)又は物理蒸着(PVD)が続いてもよい。いくつかの実施形態では、CVD又はPVD Mo膜は、メタライゼーションスタックの一部である。他の実施形態では、CVD又はPVD Mo膜は、犠牲被覆層として堆積される。いくつかの実施形態では、ALD Mo膜の堆積の後に、タングステン(W)などの別の金属のCVD又はPVDが続いてもよい。いくつかの実施形態では、CVD又はPVD W膜は、メタライゼーションスタックの一部である。他の実施形態では、CVD又はPVD W膜は、犠牲被覆層として堆積される。メタライゼーションは、ミドルオブライン(MOL)及びバックエンドオブライン(BEOL)のメタライゼーションを含む任意の適切な文脈で実行されてもよい。
【0031】
様々な実施形態によれば、1つ又は複数の利点が実現され得る。いくつかの実施形態では、低抵抗率膜は、拡散バリア又は他の介在膜なしで、エッチングされた誘電体に直接堆積されてもよい。これにより、抵抗率を低くすることができる。いくつかの実施形態では、プロセスは効率的であり、かつ拡張性が高く、比較的高速のCVD又はPVDプロセスを使用して、大きなフィーチャ及び/又は被覆層を充填する。
【0032】
本開示の一態様は、基板上のフィーチャを導電材料で充填することに関する。いくつかの実施形態では、構造は、異なるサイズのフィーチャを含む。図1Aは、そのような構造の一例を示し、構造は、誘電体層109にエッチングされた小さなフィーチャ102と、大きなフィーチャ104、106、及び108とを含む。各フィーチャ102、104、106、及び108は、底面と側壁面とを有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、フィーチャの底面は、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、W、Mo、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、及びチタン(Ti)などの金属表面であってもよい。いくつかの実施形態では、底面は、元素金属表面である。いくつかの実施形態では、底面は、窒化チタン(TiN)表面、窒化モリブデン(MoNx)、窒化タングステン(WN)、炭窒化タングステン(WCxy)、炭化タングステン(WCx)、炭化チタンアルミニウム(TiAlxy)、又は窒化タンタル(TaN)表面などの金属化合物であり得る。底面は、下地金属コンタクト、電極、又は他の導電性コンポーネント(図示せず)の一部であってもよい。底面は、バリア層又は接着層などの薄い層ではなく、下地層の主導体の一部であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、側壁面は誘電体表面であってもよい。このような表面は、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEOX)などのアルコキシド、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)酸化物、流動性シリコン系酸化物、炭素ドープシリコン系酸化物などのシリコン系酸化物を含む。いくつかの実施形態では、これらの表面は、フィーチャを取り囲む主誘電体層109の一部である。いくつかの実施形態では、側壁面は、酸化物ではなく、窒化物(例えば、Sixy)であってもよい。窒化物は、シリコン系窒化物又はシリコン系酸窒化物であってもよい。フィーチャ102、104、106、及び108の表面は、フィーチャ間で同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0035】
図1Bは、Mo膜111のALD堆積後の構造を示す。より小さなフィーチャ102は、ALD Mo膜111によって完全に充填されるが、より大きなフィーチャ104、106、及び108は、ALD Mo膜111によって部分的に充填される。モリブデンのALDについては、以下でさらに説明する。
【0036】
図1Cは、W膜113のCVD堆積後の構造を示す。W膜113により、より大きなフィーチャ104、106、及び108のフィーチャ充填が完了する。図1Dは、化学機械平坦化(CMP)後の構造を示す。見られるように、W膜113は、より大きなフィーチャ104、106、及び108の各々において、導電性コンポーネント(例えば、コンタクト、インターコネクト、ラインなど)の一部を形成する。より小さなフィーチャ102は、Mo膜のみで充填されている。
【0037】
図1A図1Dに例示された方法及び結果として得られるメタライゼーションスキームは、様々な利点を有し、ALD Mo膜111が誘電体上に直接堆積され得る低抵抗率膜であること、及びWのCVDが高速かつ拡張可能なプロセスであることが含まれる。その結果、スタック全体が低い抵抗率を有し、かつ効率的に製造され得る。代替的な実施形態では、CVDの代わりに、スパッタリング又は他のPVDプロセスを使用してWを堆積してもよい。
【0038】
図2は、別の実施形態に係る構造の一例を示す。図2において、ALD Mo膜111は、より小さなフィーチャ102を完全に充填し、かつより大きなフィーチャ104、106、及び108を部分的に充填する。CVD Mo膜215は、より大きなフィーチャ104、106、及び108の残りの部分を充填する。Mo膜215は、より大きなフィーチャ104、106、及び108の各々において、導電性コンポーネントの一部を形成する。代替的な実施形態では、CVDの代わりに、スパッタリング又は他のPVDプロセスを使用してMoを堆積してもよい。
【0039】
図1A図1D及び図2の例では、構造は、ALD Moによって完全に充填されるより小さなフィーチャを含む。本明細書に記載の方法はまた、ALD Moで部分的に充填されるフィーチャのみを含む構造で実施されてもよい。その後、フィーチャ充填は、上述のようにCVD又はPVD W、若しくはCVD又はPVD Moで完了する。
【0040】
本開示の別の態様は、フィーチャをALD Moで充填することと、犠牲被覆層を堆積することとを含む方法に関する。図3A図3Cは、そのような方法中の構造の例を示す。まず、図3Aでは、図1Aに示す構造がALD Mo膜111で充填される。図3Aの例では、すべてのフィーチャがALD Mo膜111で完全に充填される。ALD充填プロセス後、ある程度の量のALD Mo膜がフィーチャ102、104、106、及び108の上に堆積される。フィーチャ間の構造上にもALD Mo膜が堆積されてもよい。図3Bでは、W膜113は、充填されたフィーチャの上にCVDによって堆積される。図1DのW膜とは異なり、図3BのW膜113は、純粋な犠牲膜である。したがって、CMPの後、図3Cに示すように、ALD Mo膜111のみがフィーチャ102、104、106、及び108に存在する。代替的な実施形態では、CVD Wの代わりに、PVD W、CVD Mo、又はPVD Moが犠牲膜で使用されてもよい。
【0041】
この説明の文脈では、CVDは、反応物がリアクタ内の気相に同時に存在し、かつ一般に同時に導入されるプロセスを指し、ALDは、反応物を連続的なパルスで導入する、通常はパージによって分離されるプロセスを指す。フィーチャを導電材料で充填するためにALD及び/又はCVD反応に使用され得る反応物及び反応条件の例は、以下で与えられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、ALDは、基板の表面への1つ又は複数の反応物の吸着と、その後の所望の材料への吸着層の化学変換とに依存する。ALDは、基板の表面で発生し、時間的に分離され、かつ吸着した反応物の量によって通常、制限される連続的な反応を用いるため、優れたステップカバレッジを有する薄いコンフォーマル層を提供する。以下の説明では、モリブデン含有反応物はMo前駆体と呼ばれ、かつ共反応物と反応する。
【0043】
以下にさらに説明するように、いくつかの実施形態では、Mo前駆体を還元剤共反応物と反応させて、純粋なMo膜を形成する。様々な実施形態によれば、各ALDサイクルは、Mo前駆体又は共反応物のいずれかの表面上でのパルス及び吸着で始まり、その後に他方のパルスが続いてもよい。他の実施形態では、Mo前駆体(例えば、有機金属Mo前駆体)をいくつかの反応物と順次反応させてもよい。そして、他の実施形態では、ALDプロセスは、共反応物なしのMo前駆体の分解を含んでもよい。
【0044】
図4は、Mo膜を形成するALD法の一例を示す。まず、動作405において、Mo前駆体は、充填すべきフィーチャを有する基板を含むチャンバへとパルス状に供給される。Mo前駆体の例は、以下に提供される。前駆体は、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、又は窒素(N2)などの不活性ガスの流れの中で気化した状態で導入することができる。Mo前駆体がパルス状に供給された後、任意選択のパージ415が発生してもよい。アルゴン又は任意の不活性ガスを使用して、気相に残る任意のMo前駆体をチャンバからパージしてもよい。パージは、不活性ガスを一定の圧力で流し、それによってチャンバの圧力を下げ、かつ別のガス曝露を開始する前にチャンバを再加圧することによって実施されてもよい。パージは、約0.25秒から約30秒、約0.25秒から約20秒、約0.25秒から約5秒、又は約0.5秒から約3秒の間の持続時間で行われてもよい。
【0045】
基板は、動作425において、共反応物に曝露される。上記に示したように、共反応物は、Mo前駆体を還元し、元素Moを形成するための還元剤であり得る。他の実施形態では、共反応物は、Mo前駆体と反応して元素Moを形成する任意の適切な1つ又は複数の共反応物である。反応物は、水素含有反応物であってもよい。いくつかの実施形態では、水素含有反応物は、熱(非プラズマ)水素(H2)であってもよい。
【0046】
プラズマベースのプロセスでは、H2から生成されるリモートプラズマ又はインサイチュプラズマが使用されてもよい。任意選択のパージが435で実行され、その後、動作445において、膜が完全に成長するまで動作405~435を繰り返してもよい。様々な実施形態によれば、これは、図1A図3に関して上述したように、フィーチャが部分的又は全体的に充填されるときであってもよい。
【0047】
Mo堆積中の基板温度は、300℃から750℃の間であってもよく、特定の実施形態では、450℃から550℃の間であってもよい。基板温度は、サーマルバジェット及び堆積化学物質に依存する。サーマルバジェットは用途に依存し、メモリ用途では高い堆積温度は問題にならないだろうが、ロジック用途ではサーマルバジェットを超過する可能性がある。
【0048】
図4で堆積されたALD Mo層は、図1図3に関して上述したように、フィーチャにおけるバルク導電材料の全体又は一部を形成する。いくつかの実施形態では、それは、別個のALDプロセスによって形成されるMo核形成層上に堆積されてもよい。核形成層は、バルク堆積をサポートするために使用できる薄いコンフォーマル層である。いくつかの実施形態では、Mo核形成層は、ホウ素含有還元剤(例えば、B26)又はシリコン含有還元剤(例えば、SiH4)の1つ又は複数を共反応物として使用して堆積される。例えば、1つ又は複数のS/Moサイクル又はMo/Sサイクルを使用して、Mo核形成層を堆積してもよい。S/Moは、シランのパルスの後にMo含有前駆体のパルスが続くことを指す。別の例では、1つ又は複数のB/Moサイクル又はMo/Bサイクルを使用して、その上にバルクMo層が堆積されるMo核形成層を堆積させてもよい。B/Moサイクル及びS/Moサイクル(又はMo/B及び/若しくはMo/S)は共に、Mo核形成層、例えばx(B/Mo)+y(S/Mo)(x及びyは整数)を堆積するために使用されてもよい。B含有還元剤及びS含有還元剤の例は、以下で与えられる。Mo核形成層の堆積のために、いくつかの実施形態では、Mo含有前駆体は、非酸素含有前駆体、例えば、六フッ化モリブデン(MoF6)又は六塩化モリブデン(MoCl6)であってもよい。酸素含有前駆体中の酸素は、シリコン又はホウ素を含有する還元剤と反応して、不純な高抵抗率膜であるMoSixy又はMoBxyを形成し得る。酸素含有前駆体は、酸素の取り込みを最小限にして使用されてもよい。いくつかの実施形態では、H2は、ホウ素含有還元ガス又はシリコン含有還元ガスの代わりに、Mo核形成層堆積のための還元ガスとして使用されてもよい。Mo核形成層の堆積に関する厚さの例は、5Åから30Åの範囲である。この範囲の下端の膜は連続的でないこともあるが、連続的なバルクMo成長を開始するのに役立つ限り、厚さは十分であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、核形成層又はバルクMo層の堆積中の還元剤パルスは、Mo前駆体パルスよりも低い基板温度で行われてもよい。例えば、又はB26若しくはSiH4(又は他のホウ素若しくはシリコン含有還元剤)パルスは、300℃未満の温度で行われ、Moパルスは300℃より高い温度で行われてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、Mo層のALD形成は、還元剤層によって開始され得る。そのようなプロセスの一例は、図5のフロー図に示されている。動作502において、基板が還元剤ガスに曝露されて、還元剤層を形成する。いくつかの実施形態では、還元剤ガスは、シラン、ボラン、又はシランとジボランの混合物であってもよい。還元剤のさらなる例は、以下で与えられる。いくつかの実施態様において、還元剤層は、Mo前駆体を還元できる、シリコン又はシリコン含有材料、リン又はリン含有材料、ゲルマニウム又はゲルマニウム含有材料、ホウ素又はホウ素含有材料、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。様々な実施形態によれば、水素はバックグラウンドで流されても、流されなくてもよい。(水素は、タングステン前駆体を還元できるが、シラン及びジボランなどの十分な量のより強い還元剤とのガス混合物では還元剤として機能しない)。いくつかの実施形態では、還元剤ガスは、ジボランなどの少量のホウ素含有ガスと他の還元剤とを含む混合物である。少量のホウ素含有ガスの添加は、他の還元剤の分解係数及び付着係数に大きな影響を与えることができる。基板を2つの還元剤、例えばシランとジボランに順次曝露することが実施されてもよいことに留意されたい。しかしながら、ガスの混合物を流すことにより、非常に少量の少数ガス、例えば、少なくとも100:1の比のシランとジボランの添加を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、キャリアガスが流されてもよい。いくつかの実施形態では、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、又は他の不活性ガスなどのキャリアガスが、動作502の間に流されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、還元剤層は、元素シリコン(Si)、元素ホウ素(B)、元素ゲルマニウム(Ge)、又はそれらの混合物を含んでもよい。例えば、還元剤層は、元素Si及びBを含んでもよい。これは、吸着されたシラン又はジボラン分子とは異なり、かつ還元剤ガス中の化合物の分解を含むことができる。Bの量は、還元剤層の高い堆積速度を達成しつつ、低い抵抗率を達成するように調整されてもよい。いくつかの実施形態では、還元剤層は、5%から80%の間のB、例えば、5%から50%の間のB、5%から30%の間のB、又は5%から20%の間のBを有してもよく、残りは、Si、場合によってはHから実質的に成る。水素原子が存在し、例えば、SiHx、BHy、GeHz、又はそれらの混合物であり、x、y及びzは、独立して、0から対応する還元剤化合物の化学量論当量よりも小さい数までの間であってもよい。いくつかの実施形態では、組成は、還元剤層の厚さを通じて変化し得る。例えば、還元剤層は、還元剤層の底部で20%Bであり、かつ層の上部で0%Bであってもよい。還元剤層の全厚さは、10Åから50Åの間であってもよく、いくつかの実施形態では、15Åから40Åの間、又は20Åから30Åの間である。還元剤層は、フィーチャに沿ってコンフォーマルに並ぶ。
【0052】
動作502中の基板温度は、膜がコンフォーマルになるように、温度T1に維持されてもよい。温度が高すぎる場合、膜は下地構造のトポグラフィに適合しない場合がある。いくつかの実施形態では、90%又は95%より高いステップカバレッジが達成される。シラン、ジボラン、及びシラン/ジボラン混合物の場合、適合性は300℃で優れており、400℃以上の温度で劣化する場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、動作502中の温度は、高くても350℃、又は高くても325℃、高くても315℃、又は高くても300℃である。いくつかの実施形態では、300℃未満の温度が使用される。例えば、温度は、たった200℃と低くてもよい。
【0053】
動作502は、任意の好適な持続時間にわたって実行されてもよい。いくつかの例では、持続時間の例として、約0.25秒から約30秒の間、約0.25秒から約20秒の間、約0.25秒から約5秒の間、又は約0.5秒から約3秒の間が挙げられる。
【0054】
動作504において、チャンバは、任意選択でパージされて、基板の表面に吸着されなかった過剰な還元剤を除去する。パージは、不活性ガスを一定の圧力で流し、それによってチャンバの圧力を下げ、かつ別のガス曝露を開始する前にチャンバを再加圧することによって実施されてもよい。不活性ガスの例として、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、及びこれらの混合物が挙げられる。パージは、約0.25秒から約30秒、約0.25秒から約20秒、約0.25秒から約5秒、又は約0.5秒から約3秒の間の持続時間で行われてもよい。
【0055】
動作506において、基板は、基板温度T2でMo前駆体に曝露される。酸素含有前駆体の使用は、不純物の混入及びより高い抵抗率をもたらす可能性がある。しかし、酸素が取り込まれる場合、非常に薄い、場合によっては不連続な還元剤層が、許容できる抵抗率のために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、又は他の不活性ガスなどのキャリアガスが、動作506の間に流されてもよい。温度の例は、500℃から700℃である。
【0056】
動作506は、任意の適切な持続時間にわたって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、Mo前駆体のソークを含み、いくつかの実施形態では、Mo前駆体パルスの系列を含んでもよい。様々な実施形態によれば、動作506は、H2の存在下で実行されてもよいし、されなくてもよい。H2が使用される場合、いくつかの実施形態では、H2及びMo含有前駆体は、ALDタイプのモードで適用されてもよい。例えば、以下の通りである。
2のパルス
アルゴンパージ
バックグラウンドにH2を伴うか、又は伴わない、Mo含有前駆体のパルス
アルゴンパージ
繰り返し
【0057】
基板温度T2は、Mo含有前駆体が還元剤層と反応して元素Moを形成するのに十分な高さである。還元剤層全体がMoに変換される。いくつかの実施形態では、温度は少なくとも450℃であり、100%又は100%に近い変換を得るために少なくとも550℃であってもよい。結果として得られたフィーチャは、ここでMoのコンフォーマル膜に沿って並ぶ。Moのコンフォーマル膜は10Åから50Åの間であってもよく、いくつかの実施形態では、15Åから40Åの間、又は20Åから30Åの間である。一般的には、還元剤層とほぼ同じ厚さになる。いくつかの実施形態では、変換中の体積膨張のため、還元剤層よりも最大5%厚くなることがある。チャンバは、動作508においてパージされてもよい。
【0058】
次に、図4を参照して説明したALDプロセスが実行されてもよい。図5に記載されたプロセスは、酸化物誘電体表面又は窒化チタン(TiN)などのバリア層を含む表面上にMoを直接堆積するために使用されてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、ALD Mo膜は、その後の処理中に純金属膜に変換される金属窒化物又は金属酸窒化物膜を最初に堆積することによって、酸化物又はTiNバリア表面上に直接堆積されてもよい。図6は、モリブデンを堆積する方法における動作を例示するプロセスフロー図である。動作602において、コンフォーマル核形成層が、ALDによって構造上に形成される。上述したように、これは、パルスの間に任意選択のパージを伴う連続的なパルスのMo前駆体及び還元剤のサイクルに構造を曝露することを含み得る。サイクルは、所望の厚さの核形成層が基板上に形成されるまで繰り返されてもよい。上述のように、前駆体及び還元剤の順序は、シーケンスが還元剤添加、続いて金属含有前駆体添加によって開始され得るように逆転されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、還元剤は、アンモニア(NH3)、又はヒドラジン(N24)などの他の窒素含有還元剤である。誘電体上へのNH3の化学吸着は、水素(H2)の化学吸着よりも有利である。いくつかの実施形態では、還元剤及び前駆体は、還元剤の解離なしに反応するように選択される。NH3は、解離することなく、金属酸塩化物及び金属塩化物と反応する。これは、例えば、H2を還元剤として使用する金属酸塩化物からのALDとは対照的であり、H2は表面で解離して吸着した原子状水素を形成し、誘電体表面上の金属の初期核形成中に非常に低い濃度の反応種及び低い表面被覆率をもたらす。NH3と金属酸塩化物又は金属塩化物前駆体を使用することにより、同じ金属前駆体のH2還元で使用するよりも最大数百度低い堆積温度で、核形成の遅延が低減又は排除される。
【0061】
いくつかの実施形態では、還元剤は、B26又はSiH4などのホウ素含有又はシリコン含有還元剤であってもよい。これらの還元剤は、金属塩化物前駆体と共に使用されてもよい。ただし、金属酸塩化物と共に使用する場合、B26及びSiH4は、ALDプロセス中に副生成物として形成される水と反応し、固体のB23及びSiO2を形成するが、これは絶縁性であり、かつ膜に残り、抵抗率を増加させる。NH3の使用はまた、Al23を含む特定の表面上で、B26及びSiH4のALDプロセスよりも密着性を向上させる。結果として得られる核形成層は、一般に純粋な元素膜ではなく、金属窒化物又は金属酸窒化物膜である。いくつかの実施形態では、特に堆積が低温で行われる場合、堆積からの残留塩素又はフッ素が存在する場合がある。いくつかの実施形態では、痕跡量の残留塩素又はフッ素しか存在しない。いくつかの実施形態では、核形成層は非晶質層である。膜中の不純物(例えば、酸素、NH3、塩素、又は他のハロゲン)は、非晶質微細構造の成長を促進する。いくつかの実施形態では、堆積される核形成層は、非晶質金属酸窒化物層又は非晶質金属窒化物層である。非晶質特性は、その後に堆積される導体における大きな粒成長をテンプレート化する。酸化物表面に対する窒化物又は酸窒化物の表面エネルギーは、酸化物表面に対する金属の表面エネルギーよりもはるかに有利であり、誘電体上での連続的かつ滑らかな膜の形成を促進する。これにより、薄く連続した層を形成することが可能になる。核形成層の厚さの例は、堆積した状態で5~30Åの範囲である。これは、温度に応じて、例えば約5~50のALDサイクルであってもよい。
【0062】
以下に説明するように、その後の処理中に、核形成層は、厚さが減少する純粋な(又は不純物の少ない)元素金属膜に変換されてもよい。核形成層が堆積される表面は、特定の用途に依存する。いくつかの実施形態では、核形成層は、誘電体(例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン等)表面上に直接堆積される。いくつかの実施形態では、核形成層は、窒化チタン又は他の表面上に直接堆積される。以下でさらに論じるように、動作602を実行することによって、その後の元素金属堆積は、任意の表面上で実行されてもよい。
【0063】
核形成層の堆積後、任意選択の動作604を実行してもよい。動作604において、モリブデン前駆体及び還元剤のパルスの低温ALDサイクルが実行される。
【0064】
「より低い」温度は、実行される場合、動作604における温度が、後続の動作606よりも低いことを指す。温度例は、500℃未満、550℃未満、450℃未満、400℃未満、又は350℃未満であってもよい。この動作では、還元剤は動作602とは異なり、特定の例では、水素(H2)であってもよい。特に、H2は、核形成層よりも不純物が著しく少ない元素膜の堆積をもたらすこともある。温度は、いくつかの実施形態において、動作602で使用されるのと同じ温度であってもよい。Mo前駆体はまた、動作602で採用されたのと同じ、又は異なる前駆体であってもよい。いくつかの実施形態では、同じ前駆体が使用され、還元剤のみが変更される。いくつかの実施形態では、動作604は、Mo窒化物又はMo酸窒化物核形成層の元素金属膜への変換を促進する場合がある。様々な実施形態によれば、動作604は、主導体の相当の量の膜を堆積させても、堆積させなくてもよい。
【0065】
さらなる任意選択の動作606において、基板温度が上げられる。動作604が実行されるいくつかの実施形態では、動作606も実行される。他の実施形態では、動作606のみが実行されてもよい。例えば、核形成層の堆積が比較的低い温度(例えば、400℃未満)で起こる場合、温度は、動作606において、主導体の堆積が行われるより高い温度まで上げられてもよい。いくつかの実施形態では、温度は500℃より高くてもよく、いくつかの実施形態では、600℃より高くてもよい。いくつかの実施形態では、バルク堆積のために、より低い温度(例えば、400℃から500℃の間、エンドポイントを含む)が使用されてもよい。温度は、以前の動作の温度に応じて、上昇させても、させなくてもよい。
【0066】
次に、方法は、バルクMo層がALDによって堆積される動作608に(動作602、604、又は606のいずれかから)進んでもよい。動作604のように(実行される場合)、H2が還元剤として使用されてもよい。
【0067】
動作604~608の1つ又は複数の間、核形成層は元素Mo層に変換される。これはまた、不純物、すなわち任意の非金属成分を除去することとして特徴付けられることもある。核形成層は、その後に堆積される元素Mo層よりも多くの不純物を有することもあるが、スタックの抵抗率が核形成層を含まないスタックと同じであるか、同程度になるように、不純物は十分に除去される。厚さも減少し、例えば、堆積された膜での30Åは、約10Åの金属をスタックに与えることもある。
【0068】
様々な実施形態によれば、核形成層の元素Mo膜への変換を促進するために、以下の1つ又は複数が採用されてもよい:1)核形成層が堆積されるよりも高い温度(例えば、550℃)でバルクMo層を堆積すること、2)上記の動作604を参照して説明したように、より低温のALD H2/金属前駆体サイクルを実行すること、及び3)バルクMo層のインサイチュ堆積、これによりバルク堆積の前に核形成層は空気又は他の酸化に曝露されない。特にMo酸塩化物は、元素金属への変換が比較的容易である。結果として得られる、変換された核形成層及び純金属層は、それぞれ1%未満の原子不純物を有することを特徴とする場合がある。
【0069】
いくつかの実施形態では、Moが堆積されるフィーチャは、誘電体及び金属表面を有する。例えば、フィーチャは、誘電体層にエッチングされて、下地導体へのコンタクトを提供してもよい。このような実施形態では、Moは、金属表面に対して選択的に、又は非選択的に堆積されてもよい。選択的堆積は、誘電体表面に対する、Co、W、又はCu表面などの金属表面上への堆積の優先順位を指す。これは、堆積速度の比率として、又は一定数の堆積サイクル後の堆積厚の比率として定量化されてもよい。底部金属表面を有するフィーチャでは、選択的堆積は、ボトムアップフィルをもたらす。非選択的堆積は、コンフォーマルフィルをもたらす。Moを選択的に堆積するために、MoxxHalzなどのオキシハロゲン化Moを使用してもよく、式中、Halはハロゲン(フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、又はヨウ素(I))であり、x、y、及びzは、安定した分子を形成できる0より大きい任意の数である。還元剤は、オキシハロゲン化モリブデンと反応して、元素モリブデンを形成する。いくつかの実施形態では、還元剤は、熱又はプラズマ水素(H2)である。温度は、選択性、粒径、及び抵抗に影響を与える。温度が高いと、Mo膜の選択性が低下し、誘電体表面の酸化物又は窒化物上、並びに金属含有底面上での成長をもたらす場合がある。しかし、温度が低すぎると、不純物準位が高くなる場合があり、かつ粒径が減少することもあり、抵抗が高くなる。基板温度は、塩素含有化学物質を用いてMoを選択的に堆積させるために、350℃から600℃の間であってもよい。温度を下げると選択性を改善できる。したがって、いくつかの実施形態では、基板温度は、塩素含有前駆体の場合、約350℃から550℃の間、又は350℃から450℃の間であってもよい。フッ素含有化学物質のための基板温度は、より低くてもよく、例えば、150℃から350℃であってもよい。より高い温度は、非選択的堆積のために使用されてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、フィーチャへのMoのALD充填は、充填を調整するために1つ又は複数の抑制動作及び/又はエッチング動作を含むことができる。窒素含有化学物質は、例えば、モリブデン核形成を抑制するために使用できる。いくつかの実施形態では、N2プラズマ又はアンモニアガスへのモリブデン表面の曝露は、フィーチャの上部でのさらなるモリブデン核形成を選択的に抑制して、フィーチャ底部での堆積及びボトムアップフィルを促進するために使用できる。ハロゲン含有化学物質は、フィーチャの上部で堆積されたモリブデンを優先的にエッチングして、フィーチャ底部での堆積及びボトムアップフィルを促進するために使用できる。抑制動作及びエッチング動作は、充填されたフィーチャで成長するボイド及び/又はシームを防止するために使用されてもよい。
【0071】
モリブデン材料のALDのためのMo前駆体の例として、MoF6及びMoCl6などのハロゲン化モリブデン、二塩化二酸化モリブデン(MoO2Cl2)及び四塩化酸化モリブデン(MoOCl4)などのオキシハロゲン化モリブデン、並びにモリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)が挙げられる。式MoxxHalzの他のオキシハロゲン化Moでは、式中、Halはハロゲン(フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、又はヨウ素(I))であり、x、y、及びzは、安定した分子を形成できる0より大きい任意の数である。これらは、四フッ化酸化モリブデン(MoOF4)、二臭化二酸化モリブデン(MoO2Br2)、オキシヨウ化モリブデンMoO2I、及びMo411Iを含む。
【0072】
特定の実施形態では、有機金属前駆体もまた、シクロペンタジエニル配位子を有するMo前駆体を含む例と共に使用されてもよい。さらなる例として、式Mo2nの前駆体が挙げられ、式中、各Lは、アミダート配位子、アミジネート配位子、及びグアニジネート配位子から独立して選択され、nは2~5である。Mo2n前駆体は、複数のモリブデン-モリブデン結合(二重結合、又は2~5の結合次数を有する任意の多重結合など)を含む。さらなる例として、ハロゲン化物含有ヘテロレプティックモリブデン化合物(すなわち、異なる種類の配位子を有する化合物)が挙げられる。このような前駆体の特定の例は、モリブデンと、モリブデンとの結合を形成する少なくとも1つのハロゲン化物と、N、O、及びS元素のいずれかを有する少なくとも1つの有機配位子とを含む化合物であり、これらの元素のいずれかの原子は、モリブデンとの結合を形成する。窒素又は酸素結合を提供する好適な有機配位子の例として、アミジネート、アミダート、イミノピロリジナート、ジアザジエン、β-イミノアミド、α-イミノアルコキシド、β-アミノアルコキシド、β-ジケチミナート、β-ケトイミナート、β-ジケトナート、アミン、及びピラゾレートが挙げられる。硫黄結合を提供する好適な有機配位子の例として、チオエーテル、チオレート、ジチオレン、ジチオレート、及びα-イミノチオレンが挙げられる。これらの配位子は、置換されていてもよく、非置換であってもよい。いくつかの実施形態では、これらの配位子は、H、アルキル、フルオロアルキル、アルキルシリル、アルキルアミノ、及びアルコキシ置換基からなる群から独立して選択される1つ又は複数の置換基を含む。有機配位子は、中性又はアニオン性(例えば、モノアニオン性又はジアニオン性)であり得、かつモリブデンは、+1、+2、+3、+4、+5、及び+6などの種々の酸化状態であり得る。
【0073】
上述したように、多くのMo前駆体は、還元剤と反応してMo膜を形成する。還元剤の例としては、H2、ジボラン(B26)及び他のボランを含むホウ素含有還元剤、シラン(SiH4)及び他のシランを含むシリコン含有還元剤、ヒドラジン、並びにゲルマンを挙げることができる。シランの例として、ジシラン(Si26)が挙げられ、ボランの例として、Bnn+4、Bnn+6、Bnn+8、Bnmが挙げられ、式中、nは1~10の整数であり、mは、mとは異なる整数である。また、他のホウ素含有化合物、例えば、アルキルボラン、アルキルホウ素、アミノボラン(CH32NB(CH22、C2nn+2などのカルボランを使用してもよい。
【0074】
いくつかの実施態様では、別個の反応物を使用しなくてもよく、例えば、金属含有前駆体は、熱又はプラズマアシスト分解を受けてもよい。いくつかの実施態様では、H2は、高純度膜を堆積するためのバルク層堆積のための還元剤として使用される。
【0075】
いくつかの実施形態では、MoのALDの後にCVDプロセスが続く。上述のMo前駆体及び共反応物は、MoのCVDのために使用できる。このようなプロセスでは、反応物は、リアクタ内で同時に気相に存在する。反応物は、一般に(必ずしもそうではないが)同時にリアクタに導入される。一例では、MoF6及びH2の両方が、CVD反応のためにリアクタ内に流されて、Moを形成する。
【0076】
いくつかの実施形態では、MoのALDの後にCVDプロセスが続いて、Wを堆積させる。タングステンのCVDのためのW含有前駆体の例として、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、六フッ化タングステン(WF6)、六塩化タングステン(WCl6)、及び五塩化タングステン(WCl5)などのハロゲン化タングステンが挙げられる。また、いくつかの実施形態では、WO2Cl2、WOBr4、WOCl4、及びWOF4を含むオキシハロゲン化タングステンが使用されてもよい。MDNOW(メチルシクロペンタジエニル-ジカルボニルニトロシル-タングステン)及びEDNOW(エチルシクロペンタジエニル-ジカルボニルニトロシル-タングステン)などの有機金属前駆体を使用してもよい。Mo又はWのPVDは、ターゲット材料をスパッタ堆積することによって行うことができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、CVD Mo堆積に先行して、ALD Mo層上へのMo核形成層の堆積が行われる。いくつかの実施形態では、CVD Moバルク層は、核形成層を介在させずにALD Moバルク層上に直接堆積される。核形成層は、上述のように、いくつかの実施形態では、ALDプロセスによって堆積されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、CVD W堆積に先行して、ALD Mo層上へのW核形成層の堆積が行われる。いくつかの実施形態では、CVD Wバルク層は、核形成層を介在させずにALD Wバルク層上に直接堆積される。核形成層は、上述のW前駆体及び還元剤を使用するALDプロセスによって堆積されてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、ALD Mo層は、Mo又はWのCVD又はPVD堆積の前に処理される。図7は、ALD Mo膜がCVD堆積の前に金属ハロゲン化物で処理される、特定の実施形態に係るプロセスを示す。図7では、動作705において、ALD Mo膜を含む基板が提供される。上記に示したように、フィーチャは、部分的に製造された半導体デバイスの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、基板は、Mo及び誘電体表面を含む。例えば、図1Bを参照すると、いくつかの実施形態では、誘電体層109の表面は、より大きなフィーチャにおいて露出されてもよい(図示せず)。
【0080】
Mo膜の表面は、空気又は他の酸化的な環境への曝露により形成された酸化物を含んでもよい。基板は、以下でさらに説明するように、処理チャンバに提供されてもよい。Mo膜は、動作715において、金属ハロゲン化物に曝露される。金属ハロゲン化物は、基板を収容するチャンバにガスとして提供され、かつチャンバ内にパルス状に供給されるか、又は連続的に流されてもよい。金属ハロゲン化物は、基板上の誘電体表面にほとんど又は全くダメージを与えることなく、フィーチャの下面上のあらゆる酸化物を効果的に低減できる。これは、誘電体にダメージを与える可能性がある他のハロゲン化物処理とは異なる。例えば、三フッ化窒素は誘電体をエッチングし、その結果、フィーチャの限界寸法が増加する。ハロゲン化合物は、アンモニア又はヒドラジンなどの他の還元剤よりも、酸化された層を除去するのに有効である。
【0081】
金属ハロゲン化物は、揮発性であるか、又は基板温度以下で基板に送達されるのに十分な蒸気圧を有する任意のものである。動作715中の基板温度の例は、100℃から450℃の範囲であり、いくつかの実施形態では、350℃から450℃の範囲である。いくつかの金属ハロゲン化物では、より高い温度が誘電体エッチングをもたらす場合がある。金属ハロゲン化物は、Mo、W、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、及びバナジウム(V)を含む任意の適切な金属、並びにフッ素F、Cl、Br、及びIを含む任意のハロゲン化物を含んでもよい。使用され得るハロゲン化タングステンの例として、WF6、WCl6、五塩化タングステンWCl5、及び六臭化タングステンWBr6が挙げられる。使用され得るハロゲン化モリブデンの例として、MoF6及びMoCl6が挙げられる。使用され得るハロゲン化ニオブの例として、五塩化ニオブ(NbCl5)、四ヨウ化ニオブ(NbI4)、及び五臭化ニオブ(NbBr5)が挙げられる。使用され得るハロゲン化タンタルの例として、五フッ化タンタル(TaF5)、五ヨウ化タンタル(TaI5)、及び五塩化タンタル(TaCl5)が挙げられる。使用され得るハロゲン化バナジウムの例として、五フッ化バナジウム(VF5)が挙げられる。使用され得るハロゲン化クロムの例として、五フッ化クロム(CrF5)及び二ヨウ化クロム(CrI2)が挙げられる。使用され得るハロゲン化チタンの例として、四塩化チタン(TiCl4)が挙げられる。
【0082】
金属ハロゲン化物は、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の不活性ガスと混合されてもよい。不活性ガスは、金属ハロゲン化物を希釈し、かつ還元速度を制御するために使用されてもよい。動作315の間のチャンバ圧力の例は、1~30Torrの範囲である。処理時間は、2秒から4分、又は2秒から60秒の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、処理時間は、2分~3分程度であってもよい。
【0083】
特定の金属ハロゲン化物への曝露は、ガス源、ガス入口、及び/又はチャンバ内で形成される他のハロゲン化物への曝露を含んでもよいことが理解される。例えば、WBr6は、五臭化タングステン(WBr5)及び四臭化タングステン(WBr4)に、WF6は五フッ化タングステン(WF5)及び四フッ化タングステン(WF4)に分解することもある。金属ハロゲン化物は、二量体や他のオリゴマーを含む様々な形態をとることもあり、例えば、MoCl5は二量体Mo2Cl10を形成する。金属ハロゲン化物は、酸素を含まないものであってもよい。(いくつかの金属オキシハロゲン化物、四塩化酸化モリブデン(MoOCl4)は、金属酸化物をエッチング/還元できるが、一般的に金属ハロゲン化物より効果が低い。他の金属オキシハロゲン化物は、ALD又はCVD堆積に関連して上記に記載されている)。特定の金属ハロゲン化物の選択は、酸化シリコン又は他の誘電体材料に対する金属酸化物のエッチング選択性に依存する。725で、WがMo膜上に堆積される。これは、核形成層なしで行うことができる。動作725は、CVD又はPVDプロセスを含んでもよい。
【0084】
図7はMo上にWを堆積する例を示しているが、ALD Mo層の金属ハロゲン化物処理は、統合スキームに従って任意の導電材料の堆積前に行われてもよい。
【0085】
動作715及び725は、同じチャンバ又は異なるチャンバで行われてもよく、チャンバは、共通の真空下で統合されても、されなくてもよい。いくつかの実施形態では、これらの動作は、マルチステーションチャンバの異なるステーションで実行される。
【0086】
いくつかの実施形態では、フィーチャ面は、動作715の間に金属ハロゲン化物からのハロゲンの取り込みの影響を受けやすい場合がある。動作725は、取り込まれたハロゲンの脱着又はその他の除去を助けるために、比較的高い温度を使用してもよい。いくつかの実施形態では、比較的高い温度でのH2のような還元ガスへの曝露が、残留ハロゲンを除去するために使用されてもよい。そのような動作は、動作715と725の間に行われてもよい。
【0087】
様々な実施形態によれば、ALD Mo膜及びその後に堆積されるCVD膜は、同じ又は異なるチャンバで堆積されてもよい。ALD Mo及び/又はCVD Mo若しくはCVD Wを堆積する装置のさらなる説明は、以下に提供される。PVD堆積は、典型的には、ALD Moとは別のチャンバで行われる。ALD Mo膜とCVD Mo又はCVD W膜が共通の真空下で同じチャンバ又は異なるチャンバで堆積される実施形態では、CVD Mo又はW堆積は、金属ハロゲン化物処理を介在させずにALD Mo堆積の後に行われてもよい。
【0088】
装置
上記に示したように、ALD及びCVD動作は、同じ又は異なるチャンバで、かつ同じ又は異なるステーションで実行されてもよい。図8は、ALD及び/又はCVDに使用され得るプロセスステーション800の一例の概略図を示す。プロセスステーション800は、プロセスガスを分配シャワーヘッド806に送達するための反応物送達システム801aと流体連通する。反応物送達システム801aは、シャワーヘッド806に送達するためのプロセスガス(堆積用の金属前駆体含有ガス及び水素含有ガスなど)を混ぜ合わせ、かつ/又は条件を調整するための混合容器804を含む。1つ又は複数の混合容器入口弁820は、混合容器804へのプロセスガスの導入を制御してもよい。
【0089】
図8の実施形態は、混合容器804に供給されるプロセス固体のための気化ポイント805を含む。別のシナリオでは、気化プロセス固体は、シャワーヘッド806に直接供給されてもよい。気化は、昇華又は固体から液体を経て気体への気化であり得る。WF6及びMoF6を除いて、金属ハロゲン化物は一般に室温で固体である。
【0090】
一例として、図8の実施形態は、混合容器804に供給される液体反応物を気化させるための気化ポイント803を含む。いくつかの実施形態では、気化ポイント803は、加熱された気化器であってもよい。いくつかの実施形態では、液体前駆体又は液体反応物は、液体インジェクタ(図示せず)で気化されてもよい。例えば、液体インジェクタは、液体反応物のパルスを混合容器804の上流のキャリアガス流に注入してもよい。一実施形態では、液体インジェクタは、液体をより高い圧力からより低い圧力に急減圧することによって反応物を気化させてもよい。別の例では、液体インジェクタは、液体を霧化して分散した微小液滴にし、その後、加熱された送達管内で気化させてもよい。より小さな液滴は、より大きな液滴よりも速く気化し、液体の注入から完全な気化までの間の遅延を減少させ得る。より速い気化は、気化ポイント803から下流の配管の長さを減少させ得る。あるシナリオでは、液体インジェクタは、混合容器804に直接取り付けられてもよい。別のシナリオでは、液体インジェクタは、シャワーヘッド606に直接取り付けられてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、気化ポイント803の上流の液体流コントローラ(LFC)が、気化及びプロセスチャンバ802への送達のための液体の質量流量を制御するために設けられてもよい。例えば、LFCは、LFCの下流に位置する熱式質量流量計(MFM)を含んでもよい。そして、LFCのプランジャーバルブは、MFMと電気的に連通している比例-積分-微分(PID)コントローラによって提供されるフィードバック制御信号に応答して調整されてもよい。しかし、フィードバック制御を使用して液体流を安定させるには、1秒以上かかることもある。これは、液体反応物を添加するための時間を延長する場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードの間で動的に切り替えられてもよい。いくつかの実施形態では、これは、LFC及びPIDコントローラのセンスチューブを無効にすることによって実行されてもよい。
【0092】
シャワーヘッド806は、基板812に向かってプロセスガスを分配する。図8に示す実施形態では、基板812は、シャワーヘッド806の下に位置し、台座808の上に静止して示されている。シャワーヘッド806は、任意の適切な形状を有してもよく、かつ基板812にプロセスガスを分配するためのポートの任意の適切な数及び配置を有してもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、台座808は、基板812とシャワーヘッド806の間の容積に基板812を曝露するために、上げ下げされてもよい。いくつかの実施形態では、台座808は、ヒータ810を介して温度制御されてもよい。台座808は、様々な開示された実施形態を実行するための動作中に、約150℃から約600℃の間などの、任意の適切な温度に設定されてもよい。いくつかの実施形態では、台座の高さは、適切なコンピュータコントローラ850によってプログラム的に調整されてもよいことが理解されよう。プロセス段階の終了時に、台座808は、別の基板搬送段階の間に下げられ、台座808からの基板812の除去を可能にしてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、シャワーヘッド806の位置は、台座808に対して調整され、基板812とシャワーヘッド806の間の容積を変化させてもよい。さらに、台座808及び/又はシャワーヘッド806の垂直位置は、本開示の範囲内の任意の適切な機構によって変化させてもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態では、台座808は、基板812の向きを回転させるための回転軸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらの調整例の1つ又は複数が、1つ又は複数の適切なコンピュータコントローラ850によってプログラム的に実行されてもよいことが理解されよう。
【0095】
プラズマがPECVD又はPEALDに使用され得るいくつかの実施形態では、シャワーヘッド806及び台座808は、プラズマに電力を供給するために高周波(RF)電源814及び整合ネットワーク816と電気的に連通する。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギーは、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、及びプラズマ電力パルスタイミングの1つ又は複数を制御することによって制御されてもよい。例えば、RF電源814及び整合ネットワーク816は、ラジカル種の所望の組成を有するプラズマを形成するために、任意の適切な電力で動作させてもよい。同様に、RF電源814は、任意の適切な周波数のRF電力を提供してもよい。いくつかの実施形態では、RF電源814は、高周波及び低周波のRF電源を互いに独立して制御するように構成されてもよい。低周波RF周波数の例は、0kHzから900kHzの間の周波数を含み得るが、これらに限定されない。高周波RF周波数の例は、1.8MHzから2.45GHzの間の周波数、又は約13.56MHzより高い、又は27MHzより高い、又は80MHzより高い、又は60MHzより高い周波数を含み得るが、これらに限定されない。任意の適切なパラメータが、表面反応のためのプラズマエネルギーを提供するために、離散的又は連続的に調整されてもよいことが理解されよう。
【0096】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1つ又は複数のプラズマモニタによってインサイチュ監視されてもよい。あるシナリオでは、プラズマ電力は、1つ又は複数の電圧、電流センサ(例えば、VIプローブ)によって監視されてもよい。別のシナリオでは、プラズマ密度及び/又はプロセスガス濃度は、1つ又は複数の発光分光分析センサ(OES)によって測定されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のプラズマパラメータは、そのようなインサイチュのプラズマモニタからの測定に基づいてプログラム的に調整されてもよい。例えば、OESセンサは、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループで使用されてもよい。いくつかの実施形態において、プラズマ及び他のプロセス特性を監視するために、他のモニタが使用されてもよいことが理解されよう。このようなモニタは、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、及び圧力変換器を含み得るが、これらに限定されない。
【0097】
いくつかの実施形態では、コントローラ850に対する命令は、入力/出力制御(IOC)順序付け命令を介して提供されてもよい。一例では、プロセス段階の条件を設定するための命令は、プロセスレシピの対応するレシピ段階に含まれてもよい。場合によっては、プロセスレシピ段階は、プロセス段階のためのすべての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるように、順次配列されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のリアクタパラメータを設定するための命令が、レシピ段階に含まれてもよい。
【0098】
例えば、ALD堆積の場合、第1のレシピ段階は、第1の反応ガス(例えば、Mo前駆体ガス)の流量を調整するための命令と、キャリアガス又はパージガスの流量を調整するための命令と、第1のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでもよい。第2の後続のレシピ段階は、反応ガス(例えば、H2)の流量を調整又は停止するための命令と、キャリアガス又はパージガスの流量を調整するための命令と、第2のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでもよい。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内の任意の適切な方法でさらに細分化及び/又は反復されてもよいことが理解されよう。
【0099】
さらに、いくつかの実施形態では、プロセスステーション800の圧力制御は、バタフライバルブ818によって提供されてもよい。図8の実施形態に示すように、バタフライバルブ818は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供される真空を絞る。しかしながら、いくつかの実施形態では、プロセスステーション800の圧力制御は、プロセスステーション800に導入される1つ又は複数のガスの流量を変化させることによっても調整されてよい。
【0100】
上述のように、ALD Mo及びその後のCVD動作は、単一又はマルチステーションチャンバの単一のステーションで、マルチステーションチャンバの異なるステーションで、又は異なるチャンバで実行されてもよい。異なるチャンバで実行される場合、ALD Mo堆積の酸化を防ぐために、チャンバは共通の真空環境下で統合されてもよい。同様に、金属ハロゲン化物処理(実行する場合)は、後続のCVD処理と同じ又は異なるチャンバで実行されてもよい。また、金属ハロゲン化物処理及び金属酸化物の除去後の酸化を防ぐために、チャンバは共通の真空下におかれてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも比較的短い時間、酸化を防止するためのパッシベーション効果を提供する金属ハロゲン化物処理と統合されていなくてもよい。
【0101】
図9は、複数のチャンバを含む処理システムの一例を示す。システム900は、搬送モジュール903を含む。搬送モジュール903は、清浄な真空環境を提供して、処理されている基板が様々なリアクタモジュール間を移動する際に、汚染のリスクを最小化する。搬送モジュール903には、実施形態に係るALD及びCVDを実行できるマルチステーションリアクタ909が取り付けられている。いくつかの実施形態では、リアクタ909は、CVDの前に金属ハロゲン化物曝露も実行する。核形成層堆積(実行する場合)は、後続のバルク層堆積と同じ又は異なるステーション又はチャンバで実行されてもよい。
【0102】
リアクタ909は、開示された実施形態に従って動作を順次実行し得る複数のステーション911、913、915、及び917を含んでもよい。例えば、ステーション911がALD Mo堆積を行い、ステーション911が図7に関して説明した金属ハロゲン化物還元処理を行い、かつステーション915及び917がバルク層堆積CVDを行うように、リアクタ909は構成されてもよい。別の例では、ステーション911が図6に関して説明したALD核形成層堆積を行い、ステーション913がバルクMoのALD堆積を行い、かつステーション915及び917がCVDを行うように、リアクタ909は構成されてもよい。
【0103】
2つ以上のステーション、例えば、2~6個のステーションが、マルチステーションリアクタに含まれてもよく、動作は適切に分配される。例えば、2ステーションリアクタは、第1のステーションで基板を金属ハロゲン化物に曝露し、次いで第2のステーションでCVD堆積を行うように構成されてもよい。図8に関して上述したように、ステーションは、加熱された台座又は基板支持体、1つ又は複数のガス入口又はシャワーヘッド又は分散板を含んでもよい。
【0104】
また、搬送モジュール903には、1つ又は複数の単一若しくはマルチステーションモジュール907が取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、ALDは、モジュール907で実行されてもよく、その後、基板は、CVD又はPVD堆積のために別のモジュール(例えば、別のモジュール907又はリアクタ909)に真空下で搬送される。
【0105】
システム900はまた、処理の前後にウェハが保管される1つ又は複数のウェハソースモジュール901を含む。大気用搬送チャンバ919内の大気ロボット(図示せず)は、最初にソースモジュール901からロードロック921にウェハを取り出してもよい。搬送モジュール903内のウェハ搬送装置(一般には、ロボットアームユニット)は、ウェハをロードロック921から搬送モジュール903に搭載されたモジュールへ、及びモジュール間で移動する。
【0106】
いくつかの実施形態では、MoのALD堆積は、第1のチャンバで行われ、第1のチャンバはシステム900のようなシステムの一部であってもよく、W又は他の導電材料のCVD又はPVD堆積は、別のチャンバで行われ、別のチャンバは、共通の搬送モジュールに接続されていなくてもよいが、別のシステムの一部である。このような場合、基板は、任意選択の金属ハロゲン化物処理及びCVD堆積又はPVD堆積のために、別のシステムのソースモジュールに供給されてもよい。
【0107】
様々な実施形態において、システムコントローラ929が、堆積中のプロセス条件を制御するために採用される。コントローラ929は、典型的には、1つ又は複数のメモリデバイスと1つ又は複数のプロセッサとを含む。プロセッサは、CPU又はコンピュータ、アナログ及び/又はデジタル入力/出力接続、ステッピングモータコントローラボードなどを含んでもよい。
【0108】
コントローラ929は、装置のすべての活動を制御してもよい。システムコントローラ929は、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウェハ温度、高周波(RF)電力レベル、ウェハチャック又は台座の位置、及び特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令のセットを含む、システム制御ソフトウェアを実行する。コントローラ929に関連づけられたメモリデバイスに記憶される他のコンピュータプログラムは、いくつかの実施形態で採用されてもよい。
【0109】
典型的には、コントローラ929に関連づけられたユーザインタフェースが存在する。ユーザインタフェースは、ディスプレイスクリーン、装置及び/又はプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、並びに、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイスを含んでもよい。
【0110】
システム制御論理は、任意の適切な方法で構成されてもよい。一般に、論理は、ハードウェア及び/又はソフトウェアで設計又は構成できる。駆動回路を制御するための命令は、ハードコーディングされてもよいし、ソフトウェアとして提供されてもよい。命令は「プログラミング」によって提供されてもよい。このようなプログラミングは、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、及び特定のアルゴリズムをハードウェアとして実装した他のデバイスにおいて、ハードコーディングされた論理を含む、任意の形式の論理を含むと理解される。プログラミングはまた、汎用プロセッサ上で実行され得るソフトウェア又はファームウェア命令を含むと理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコーディングされてもよい。
【0111】
ゲルマニウム含有還元剤パルス、水素流、及びタングステン含有前駆体パルス、並びにプロセスシーケンスの他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムコードは、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語、例えば、アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranなどで書くことができる。コンパイルされたオブジェクトコード又はスクリプトは、プロセッサによって実行され、プログラム内で特定されたタスクを実行する。また、示したように、プログラムコードはハードコーディングされていてもよい。
【0112】
コントローラパラメータは、例えば、プロセスガス組成及び流量、温度、圧力、冷却ガス圧力、基板温度、並びにチャンバ壁温度などのプロセス条件に関する。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供され、ユーザインタフェースを利用して入力されてもよい。
【0113】
プロセスを監視するための信号は、システムコントローラ929のアナログ及び/又はデジタル入力接続によって提供されてもよい。プロセスを制御するための信号は、成膜装置のアナログ及びデジタル出力接続で出力される。
【0114】
システムソフトウェアは、多くの方法で設計又は構成されてもよい。例えば、開示された実施形態に従って堆積プロセスを実行するのに必要なチャンバコンポーネントの動作を制御するために、様々なチャンバコンポーネントのサブルーチン又は制御オブジェクトが書かれてもよい。この目的のためのプログラム又はプログラムのセクションの例として、基板位置決めコード、プロセスガス制御コード、圧力制御コード、及びヒータ制御コードが挙げられる。
【0115】
いくつかの実施態様では、コントローラ929はシステムの一部であり、システムは上述の例の一部であり得る。このようなシステムは、1つ又は複数の処理ツール、1つ又は複数のチャンバ、1つ又は複数の処理用プラットフォーム、及び/又は特定の処理コンポーネント(ウェハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウェハ又は基板の処理前、処理中、及び処理後にそれらの動作を制御するための電子機器と統合されてもよい。電子機器は「コントローラ」と呼ばれることもあり、1つ又は複数のシステムの様々なコンポーネント又は子部品を制御してもよい。コントローラ929は、処理要件及び/又はシステムの種類に応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、いくつかのシステムでの高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、液体送達設定、位置及び動作設定、ツールへのウェハの搬入出、並びに、特定のシステムに接続又は連動する他の搬送ツール及び/又はロードロックへのウェハの搬入出を含む、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。
【0116】
大まかに言えば、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの、様々な集積回路、論理、メモリ、及び/又はソフトウェアを有する電子機器として定義され得る。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、特定用途向け集積回路(ASICs)として定義されるチップ、及び/又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ又は複数のマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、半導体ウェハに対して、半導体ウェハのために、又はシステムに対して、特定のプロセスを実行するための動作パラメータを定義する、様々な個々の設定(又はプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であってもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、1つ又は複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、及び/又はウェハのダイの製造中に1つ又は複数の処理ステップを達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0117】
コントローラ929は、いくつかの実施態様において、システムに統合された、システムに接続された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、又はそれらの組み合わせであるコンピュータの一部であってもよく、又はそのようなコンピュータに接続されていてもよい。例えば、コントローラ929は、「クラウド」、すなわちファブホストコンピュータシステムの全体又は一部であってもよく、これによりウェハ処理の遠隔アクセスが可能になる。コンピュータは、製造動作の現在の進行状況を監視し、過去の製造動作の履歴を調査し、複数の製造動作から傾向又は性能基準を調査し、現在の処理のパラメータを変更し、処理ステップを設定して現在の処理を追跡し、又は新たなプロセスを開始するために、システムへの遠隔アクセスを可能にしてもよい。いくつかの例では、遠隔コンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを介してシステムにプロセスレシピを提供でき、ネットワークはローカルネットワーク又はインターネットを含んでもよい。遠隔コンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力又はプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでもよく、パラメータ及び/又は設定は次いで遠隔コンピュータからシステムへと伝達される。いくつかの例では、コントローラは、1つ又は複数の動作中に実施される処理ステップのそれぞれのパラメータを指定する、データの形式の命令を受け取る。パラメータは、実施されるプロセスの種類及びコントローラがインタフェース接続する又は制御するように構成されたツールの種類に特有のものであってもよい。したがって、上述したように、コントローラは、共にネットワーク化され、本明細書に記載のプロセス及び制御などの共通の目的にむけて動作する1つ又は複数の個別のコントローラを含むことなどにより、分散されてもよい。そのような目的のための分散型コントローラの一例は、遠隔地に設置され(プラットフォームレベルで、又は遠隔コンピュータの一部としてなど)、チャンバでのプロセスを協同で制御する1つ又は複数の集積回路と通信するチャンバ上の1つ又は複数の集積回路である。
【0118】
システムの例は、プラズマエッチングチャンバ又はモジュール、成膜チャンバ又はモジュール、スピンリンスチャンバ又はモジュール、金属メッキチャンバ又はモジュール、洗浄チャンバ又はモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバ又はモジュール、PVDチャンバ又はモジュール、CVDチャンバ又はモジュール、ALDチャンバ又はモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバ又はモジュール、イオン注入チャンバ又はモジュール、トラックチャンバ又はモジュール、並びに半導体ウェハの製作及び/又は製造に関連し得る、又は使用し得る、任意の他の半導体処理システムを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0119】
上述のように、ツールによって実行される1つ又は複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路又はモジュール、他のツールコンポーネント、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接ツール、近隣ツール、工場全体に配置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場内のツール位置及び/又はロードポートへウェハの容器を搬入出する材料搬送に用いられるツールの、1つ又は複数と通信してもよい。
【0120】
コントローラ929は、種々のプログラムを含んでもよい。基板位置決めプログラムは、基板を台座又はチャックに搭載し、かつ基板とガス入口及び/又はターゲットなどのチャンバの他の部分との間の間隔を制御するために用いられるチャンバコンポーネントを制御するためのプログラムコードを含んでもよい。プロセスガス制御プログラムは、ガス組成、流量、及びパルス時間を制御するためのコード、並びに任意選択でチャンバ内の圧力を安定させるために堆積前にガスをチャンバ内に流すためのコードを含んでもよい。圧力制御プログラムは、例えば、チャンバの排気システムの絞り弁を調整することによって、チャンバ内の圧力を制御するためのコードを含んでもよい。ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含んでもよい。或いは、ヒータ制御プログラムは、ヘリウムなどの熱伝達ガスのウェハチャックへの送達を制御してもよい。
【0121】
堆積中に監視され得るチャンバセンサの例として、質量流量コントローラ、マノメータなどの圧力センサ、及び台座又はチャックに配置された熱電対が挙げられる。適切にプログラムされたフィードバック及び制御アルゴリズムは、所望のプロセス条件を維持するために、これらのセンサからのデータと共に使用されてもよい。
【0122】
上記では、単一チャンバ又はマルチチャンバの半導体処理ツールでの開示された実施形態の実施を説明した。本明細書に記載された装置及びプロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽電池パネル等の製造又は生産のために、リソグラフィパターニングツール又はプロセスと共に使用されてもよい。典型的には、必ずしもそうではないが、このようなツール/プロセスは、共通の製造設備で一緒に使用され、又は実施される。膜のリソグラフィパターニングは、典型的には、以下のステップの一部又はすべてを含み、各ステップにはいくつかの可能なツールが提供される:(1)スピンオンツール又はスプレーオンツールを用いて、ワークピース、すなわち基板上にフォトレジストを塗布すること、(2)ホットプレート、炉、又はUV硬化ツールを用いて、フォトレジストを硬化させること、(3)ウェハステッパ等のツールを用いて、フォトレジストを可視光、UV光、又はX線光に曝露すること、(4)ウェットベンチ等のツールを用いて、レジストを現像してレジストを選択的に除去し、それによってパターニングすること、(5)ドライエッチング又はプラズマアシストエッチングツールを用いて、レジストパターンを下層膜又はワークピースに転写すること、及び(6)RF又はマイクロ波プラズマレジストストリッパ等のツールを用いて、レジストを除去すること。
【0123】
結論
前述の実施形態は、理解を明確にする目的である程度詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲の範囲内で特定の変更及び変形が実施されてもよいことは明らかであろう。本実施形態のプロセス、システム、及び装置を実施する多くの代替的な方法があることに留意されたい。したがって、本実施形態は、例示的なものであって制限的なものではないとみなされ、かつ本実施形態は、本明細書で与えられる詳細に限定されるものではない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】