(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】下流側圧力検知を用いた昇華制御
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20231124BHJP
H01L 21/683 20060101ALN20231124BHJP
【FI】
C23C16/448
H01L21/68 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528358
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 US2021059681
(87)【国際公開番号】W WO2022109003
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリース・マービン・クレイトン
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ・ダビンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウォンセナクーム・パンヤ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F131
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA01
4K030EA05
4K030EA06
4K030FA01
4K030FA10
4K030GA02
4K030JA09
4K030JA10
4K030JA16
4K030KA41
4K030KA43
4K030KA45
4K030LA15
5F131AA02
5F131BA01
5F131CA06
5F131EA03
5F131EA04
5F131EB11
5F131EB16
5F131EB81
5F131KA23
(57)【要約】
【解決手段】ガス流を制御するシステムは、固体前駆体を収容するアンプルを含む。ヒータは、アンプルを加熱し、固体前駆体をガス前駆体に昇華させる。マスフローコントローラは、アンプルから基板処理チャンバへのガス前駆体の流れを調節する。圧力センサは、マスフローコントローラに入力されるガス前駆体の圧力を測定する。コントローラは、圧力および圧力設定値に基づいて、閉ループ制御を用いて電気ヒータに電力を印加する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流を制御するシステムであって、
固体前駆体材料を収容するアンプルと、
前記アンプルを加熱し、前記固体前駆体材料をガス前駆体に昇華させるヒータと、
前記アンプルから処理チャンバへの前記ガス前駆体の流れを調節するマスフローコントローラと、
前記マスフローコントローラに入力される前記ガス前駆体の圧力を測定する圧力センサと、
前記圧力および圧力設定値に基づいて、閉ループ制御を用いて前記ヒータに電力を印加するコントローラと、
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記圧力が前記圧力設定値よりも小さい場合に前記ヒータへの電力を増加させ、前記圧力が前記圧力設定値よりも大きい場合に前記ヒータへの電力を減少させる、
システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記固体前駆体材料は、モリブデンおよびタングステンのいずれかである、
システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記圧力および前記圧力設定値に基づいて、前記ヒータに印加される電力のデューティサイクルを変化させる、
システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記圧力および前記圧力設定値に基づいて、(a)および(b)のうちの少なくとも一方を変化させ、
(a)は前記ヒータに印加される電圧を含み、(b)は前記ヒータを流れる電流を含む、
システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
前記閉ループ制御は、比例積分制御を含む、
システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記圧力と前記圧力設定値との差に基づいて調整を決定し、前記調整に基づいて、前記ヒータに印加される前記電力を選択的に調整する、
システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、
前記アンプルの温度を測定する温度センサをさらに備え、
前記コントローラは、さらに前記アンプルの前記温度および温度設定値に基づいて、前記ヒータに電力を印加する、
システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、
前記コントローラは、
前記圧力と前記圧力設定値との第1の差に基づいて、第1の調整を決定し、
前記第1の調整に基づいて前記温度設定値を選択的に調整し、
前記アンプルの前記温度と前記温度設定値との第2の差に基づいて、第2の調整を決定し、
前記第2の調整に基づいて、前記ヒータに印加される前記電力を選択的に調整する、
システム。
【請求項10】
請求項8に記載のシステムであって、
前記コントローラは、
前記アンプルの前記温度と前記温度設定値との第1の差に基づいて、第1のデューティサイクルを決定し、
前記圧力と前記圧力設定値との第2の差に基づいて、調整を決定し、
前記第1のデューティサイクルおよび前記調整に基づいて、第2のデューティサイクルを決定し、
前記第2のデューティサイクルで前記ヒータに電力を印加する、
システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記圧力が、第1の所定の圧力よりも小さいか、前記第1の所定の圧力よりも大きい第2の所定の圧力よりも大きいかのいずれかである場合に、前記閉ループ制御を無効化する、
システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記圧力が所定の圧力よりも小さい場合に、警告を発生させる、
システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、
前記コントローラは、温度センサによって測定された前記アンプルの温度が所定の温度以上である場合に、警告を発生させる、
システム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって、
前記圧力センサは、前記アンプルと前記マスフローコントローラとの間に配置されている、
システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって、
前記マスフローコントローラは、前記圧力センサを備える、
システム。
【請求項16】
ガス流を制御する方法であって、
固体前駆体材料をアンプルに収容し、
前記アンプルを加熱し、前記固体前駆体材料をガス前駆体に昇華させ、
マスフローコントローラによって、前記アンプルから基板処理チャンバへの前記ガス前駆体の流れを調節し、
圧力センサによって、前記マスフローコントローラに入力される前記ガス前駆体の圧力を測定し、
前記圧力および圧力設定値に基づいて、閉ループ制御を用いて前記ヒータに電力を印加すること、
を備える、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記電力を印加することは、前記圧力が前記圧力設定値よりも小さい場合に前記ヒータへの電力を増加させ、前記圧力が前記圧力設定値よりも大きい場合に前記ヒータへの電力を減少させることを備える、
方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、
前記電力を印加することは、前記圧力および前記圧力設定値に基づいて、前記ヒータに印加される電力のデューティサイクルを変化させることを備える、
方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、
前記電力を印加することは、前記圧力および前記圧力設定値に基づいて、(a)前記ヒータに印加される電圧、および(b)前記ヒータを流れる電流のうちの少なくとも一方を変化させることを備える、
方法。
【請求項20】
ガス流を制御するシステムであって、
固体前駆体材料を収容するアンプルと、
前記アンプルを加熱し、前記固体前駆体材料をガス前駆体に昇華させるヒータと、
(a)前記アンプルとマスフローコントローラとの間の前記ガス前駆体の圧力、および(b)圧力設定値に基づいて、閉ループ制御を用いて前記ヒータに電力を印加するコントローラと、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年11月19日出願の米国仮特許出願第63/116,041号の利益を主張する。上記の出願は、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、処理チャンバへのプロセスガス流を制御するためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、アンプルの下流で測定された昇華ガスの圧力に基づいてアンプルの加熱を制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ここに提供される背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示することを目的としている。この背景技術に記載されている範囲内での本発明者らの研究、およびその他の点で出願時に先行技術と認められない可能性がある記載の態様は、明示的にも暗示的にも、本開示に対する先行技術とは認められない。
【0004】
基板処理システムを用いて、半導体ウエハなどの基板を処理することができる。基板に対して実行可能な処理としては、特に限定されないが、堆積、エッチング、洗浄などが挙げられる。
【0005】
処理チャンバ内に設けられた台座や静電チャック(ESC:Electrostatic Chuck)などの基板支持台の上に、基板を配置することができる。処理中、混合ガスを処理チャンバに導入することができ、プラズマを用いて化学反応を開始することができる。
【0006】
基板処理システムのコントローラは、処理チャンバに出入りするガス流を制御するように構成することができる。コントローラはまた、プラズマ点火などのために、処理チャンバ内の1つ以上の電極に印加される電力を制御するように構成することができる。コントローラは、1つ以上の電圧および/または電流の測定値に基づいて、1つ以上の電極に印加される電力を制御することができる。
【発明の概要】
【0007】
一の特徴において、ガス流を制御するシステムが記載される。アンプルは、固体前駆体材料を収容する。ヒータは、前記アンプルを加熱し、前記固体前駆体材料をガス前駆体に昇華させる。マスフローコントローラは、前記アンプルから処理チャンバへの前記ガス前駆体の流れを調節する。圧力センサは、前記マスフローコントローラに入力される前記ガス前駆体の圧力を測定する。コントローラは、前記圧力および圧力設定値に基づいて、閉ループ制御を用いて前記ヒータに電力を印加する。
【0008】
さらなる特徴において、前記コントローラは、前記圧力が前記圧力設定値よりも小さい場合に前記ヒータへの電力を増加させ、前記圧力が前記圧力設定値よりも大きい場合に前記ヒータへの電力を減少させる。
【0009】
さらなる特徴において、前記固体前駆体材料は、モリブデンおよびタングステンのいずれかである。
【0010】
さらなる特徴において、前記コントローラは、前記圧力および前記圧力設定値に基づいて、前記ヒータに印加される電力のデューティサイクルを変化させる。
【0011】
さらなる特徴において、前記コントローラは、前記圧力および前記圧力設定値に基づいて、(a)および(b)のうちの少なくとも一方を変化させ、(a)は前記ヒータに印加される電圧を含み、(b)は前記ヒータを流れる電流を含む。
【0012】
さらなる特徴において、前記閉ループ制御は、比例積分制御を含む。
【0013】
さらなる特徴において、前記コントローラは、前記圧力と前記圧力設定値との差に基づいて調整を決定し、前記調整に基づいて、前記ヒータに印加される前記電力を選択的に調整する。
【0014】
さらなる特徴において、温度センサは、前記アンプルの温度を測定し、前記コントローラは、前記アンプルの前記温度および温度設定値にさらに基づいて、前記ヒータに電力を印加する。
【0015】
さらなる特徴において、前記コントローラは、前記圧力と前記圧力設定値との第1の差に基づいて、第1の調整を決定し、前記第1の調整に基づいて前記温度設定値を選択的に調整し、前記アンプルの前記温度と前記温度設定値との第2の差に基づいて、第2の調整を決定し、前記第2の調整に基づいて、前記ヒータに印加される前記電力を選択的に調整する。
【0016】
さらなる特徴において、前記コントローラは、前記アンプルの前記温度と前記温度設定値との第1の差に基づいて、第1のデューティサイクルを決定し、前記圧力と前記圧力設定値との第2の差に基づいて、調整を決定し、前記第1のデューティサイクルおよび前記調整に基づいて、第2のデューティサイクルを決定し、前記第2のデューティサイクルで前記ヒータに電力を印加する。
【0017】
さらなる特徴において、前記コントローラは、前記圧力が、第1の所定の圧力よりも小さいか、前記第1の所定の圧力よりも大きい第2の所定の圧力よりも大きいかのいずれかである場合に、前記閉ループ制御を無効化する。
【0018】
さらなる特徴において、前記コントローラは、前記圧力が所定の圧力よりも小さい場合に、警告を発生させる。
【0019】
さらなる特徴において、前記コントローラは、温度センサによって測定された前記アンプルの温度が所定の温度以上である場合に、警告を発生させる。
【0020】
さらなる特徴において、前記圧力センサは、前記アンプルと前記マスフローコントローラとの間に配置されている。
【0021】
さらなる特徴において、前記マスフローコントローラは、前記圧力センサを含む。
【0022】
一の特徴において、ガス流を制御する方法は、固体前駆体材料をアンプルに収容することと、前記アンプルを加熱し、前記固体前駆体材料をガス前駆体に昇華させることと、マスフローコントローラによって、前記アンプルから基板処理チャンバへの前記ガス前駆体の流れを調節することと、圧力センサによって、前記マスフローコントローラに入力される前記ガス前駆体の圧力を測定することと、前記圧力および圧力設定値に基づいて、閉ループ制御を用いて前記ヒータに電力を印加することと、を含む。
【0023】
さらなる特徴において、電力を前記印加することは、前記圧力が前記圧力設定値よりも小さい場合に前記ヒータへの電力を増加させ、前記圧力が前記圧力設定値よりも大きい場合に前記ヒータへの電力を減少させることを含む。
【0024】
さらなる特徴において、電力を前記印加することは、前記圧力および前記圧力設定値に基づいて、前記ヒータに印加される電力のデューティサイクルを変化させることを含む。
【0025】
さらなる特徴において、電力を前記印加することは、前記圧力および前記圧力設定値に基づいて、(a)前記ヒータに印加される電圧、および(b)前記ヒータを流れる電流のうちの少なくとも一方を変化させることを含む。
【0026】
一の特徴において、ガス流を制御するシステムは、固体前駆体材料を収容するアンプルと、前記アンプルを加熱し、前記固体前駆体材料をガス前駆体に昇華させるヒータと、(a)前記アンプルとマスフローコントローラとの間の前記ガス前駆体の圧力、および(b)圧力設定値に基づいて、閉ループ制御を用いて前記ヒータに電力を印加するコントローラと、を含む。
【0027】
本開示のさらなる適用分野は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および図面から明らかとなる。なお、詳細な説明および具体例は、例示を目的とするに過ぎず、本開示の範囲を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示は、以下の詳細な説明および添付の図面から、より十分に理解されることとなる。
【0029】
【
図1】
図1は、静電チャック(ESC)を含む例示的な基板処理システムの機能ブロック図である。
【0030】
【
図2】
図2は、例示的なガス供給システムの機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、例示的なガス供給システムの機能ブロック図である。
【0031】
【
図4】
図4は、例示的なシステムコントローラの機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、例示的なシステムコントローラの機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、例示的なシステムコントローラの機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、例示的なシステムコントローラの機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、例示的なシステムコントローラの機能ブロック図である。
【0032】
【
図9】
図9は、アンプルの下流で測定された圧力に基づいて、アンプルの加熱を制御することを示すフローチャートである。
【0033】
図面において、類似および/または同一の要素を特定するために同じ参照符号を繰り返し用いる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0034】
いくつかの材料は、固体から気体へと昇華することができる。アンプルは密閉容器であり、固体昇華材料を収容することができる。固体昇華材料は、基板上に膜を堆積させるためのものなどの、固体前駆体材料とすることができる。例えば、固体昇華材料は、タングステンまたはモリブデンとすることができる。ヒータによってアンプルを加熱し、固体前駆体材料を気体に移行させることができる。例えば、ヒータは電気ヒータとすることができる。その後、マスフローコントローラ(MFC)によって、アンプルから処理チャンバ(例えば、基板上に膜を堆積させるためのもの)へのガス流を調節することができる。
【0035】
アンプルの温度に基づいてヒータに電力を印加するために、コントローラを設けることができる。例えば、コントローラは、温度および温度設定値に基づいてヒータに電力を印加することができる。一実施形態において、MFCに入力されるガスの圧力が所定の圧力未満になると、基板の処理が不十分となり、基板を廃棄しスクラップすることになる可能性がある。目標の基板処理を達成するためには、MFCに入力されるガスの圧力の安定性が重要となり得る。例えば、ガスの圧力の安定性は、均一な膜堆積を達成するために重要となり得る。
【0036】
本願では、圧力センサを用いて、アンプルとMFCとの間のガス前駆体の圧力を測定する。例えば、コントローラは、閉ループ制御を用いて、圧力センサによって測定された圧力と圧力設定値とに基づいて、アンプル(ひいては、固体昇華材料)の加熱を制御することができる。閉ループ制御の一例として、比例積分(Pl:proportional integral)制御がある。アンプルとMFCとの間で測定された圧力に基づく閉ループ制御によって、基板処理のためにMFCに入力されるガスの圧力の安定性を最大化することができる。
【0037】
図1は、例示的な基板処理システム100の機能ブロック図である。基板処理システム100は、静電チャック(ESC)101を含むことができる。
図1は、容量結合プラズマ(CCP:Capacitive Coupled Plasma)システムを示しているが、本願は、誘導結合プラズマシステムならびに他の種類の処理システム、熱システム、およびプラズマ処理システムにも適用可能である。ESC101は、処理のために基板をESC101に静電的に固定することができる。種々の実装形態において、ESC101を省略することもでき、別の基板支持台を使用することもできる。
【0038】
基板処理システム100は、処理チャンバ104を含む。ESC101は、処理チャンバ104内に収容されている。処理チャンバ104はまた、他の構成要素も収容するとともに、無線周波数(RF:radio frequency)プラズマを閉じ込める。例えば、処理チャンバ104は、上部電極105を収容することができる。動作中、基板107(例えば、半導体ウエハ)は、ESC100の上に配置されている。基板101は、ESC101に静電的に固定することができる。
【0039】
シャワーヘッド109は、ガスを導入し、分配することができる。シャワーヘッド109は、上部電極105を含むか、または上部電極105として機能することができる。シャワーヘッド109は、ステム部111を含むことができる。ステム部111は、処理チャンバ104の上面に接続された一端を含むことができる。シャワーヘッド109は、略円筒形とすることができる。シャワーヘッド108は、処理チャンバ104の上面から離間した位置で、ステム部111の反対端から半径方向外側に延びることができる。シャワーヘッド109の基板対向面は、処理のためにガスが通過する孔を含むことができる。あるいは、上部電極105は、導電性プレートを含むことができる。このような例では、ガスは別の方法で導入することができる。
【0040】
ベースプレート103は、下部(バイアス)電極110を含むことができる。ESC101およびベースプレート103の一方または両方は、温度制御素子(TCE:Temperature Control Element)を含むことができる。ESC101とベースプレート103との間に中間層114を配置することができる。中間層114は、ESC101をベースプレート103に接合するか、または他の方法で接着させることができる。一例として、中間層114は、ESC101をベースプレート103に接合するのに適した接着材料で形成することができる。
【0041】
ベースプレート103は、1つ以上のガス流路および/または1つ以上の冷却剤流路を含むことができる。ガス流路は、裏側ガスを基板107の裏側に流すことができる。冷却剤流路は、ベースプレート103に冷却剤を流す。
【0042】
RF発生システム120は、RF電圧を発生させて上部電極105と下部電極110とに出力する。上部電極105および下部電極110の一方は、DC接地、AC接地、または浮遊電位とすることができる。あくまでも一例として、RF発生システム120は、RF電圧を発生させる1つ以上のRF発生器122を含むことができる。1つ以上のRF発生器122の出力は、1つ以上の整合モジュール124によって上部電極105および/または下部電極110に供給される。整合モジュール124は、そのインピーダンスを上部電極105および下部電極110のインピーダンスに整合させるように構成されている。整合モジュール124は、反射を最小化するようにインピーダンスを整合させることができる。
【0043】
一例として、プラズマRF発生器123は、上部電極105に印加される電力を生成することができる。プラズマRF整合モジュール125は、プラズマRF発生器123からの電力を、上部電極105のインピーダンスにインピーダンス整合させることができる。プラズマRF整合モジュール125は、(インピーダンス整合された)電力を、第1の伝送線126を介して上部電極105に印加することができる。バイアスRF発生器127は、下部電極110に印加される電力を生成することができる。バイアスRF整合モジュール128は、バイアスRF発生器127からの電力を、下部電極110のインピーダンスにインピーダンス整合させることができる。バイアスRF整合モジュール128は、(インピーダンス整合された)電力を、第2の伝送線129を介して下部電極110に印加することができる。ここで提供する例ではRFシステムを含んでいるが、本願は非RFシステムにも適用可能である。
【0044】
ガス供給システム130は、1つ以上のガス源132-1、132-2・・・132-N(ガス源132と総称する)を含むことができる。Nはゼロより大きい整数である。ガス源132は、1種類以上の前駆体およびそのガス混合物を供給することができる。ガス源132はまた、エッチングガス、キャリアガス、および/またはパージガスを供給することができる。気化した前駆体を使用することもできる。
【0045】
1つ以上のガス源132は、バルブ134-1、134-2・・・134-N(バルブ134と総称する)、およびマスフローコントローラ136-1、136-2・・・136-N(マスフローコントローラ136と総称する)によってマニホールド140に接続することができる。マニホールド140の出力は、処理チャンバ104に供給することができる。あくまでも一例として、マニホールド140の出力は、シャワーヘッド109に供給することができる。種々の実装形態において、バルブ134は省略することができる。
【0046】
基板処理システム100は、冷却システムを含むことができる。冷却システムは、温度コントローラ142を含むことができる。温度コントローラ142をシステムコントローラ160とは別体として示しているが、温度コントローラ142をシステムコントローラ160の一部として実装することもできる。ベースプレート103は、複数の温度制御ゾーン(例えば、4つのゾーン)を含むことができる。温度制御ゾーンの各々は、1つ以上の温度センサと1つ以上の温度制御素子(TCE)とを含むことができる。温度コントローラ142は、一のゾーンの1つ以上の温度センサによって測定された1つ以上の温度に基づいて、そのゾーンのTCEの動作を制御することができる。
【0047】
また、温度コントローラ142は、ガス源132の1つ以上からガス流路への裏側ガスの流量を制御することができる。また、温度コントローラ142は、冷却剤アセンブリ146を介して冷却剤流路を流れる冷却剤の温度および流量を制御することができる。冷却剤アセンブリ146は、冷却剤をリザーバから冷却剤流路に圧送する冷却剤ポンプを含むことができる。また、冷却剤アセンブリ146は、冷却剤から空気などに熱を移す熱交換器を含むことができる。冷却剤は、例えば、液体冷却剤とすることができる。
【0048】
バルブ156およびポンプ158を用いて、処理チャンバ104から反応物を排出することができる。ロボット170は、基板をESC101の上に載置したり、ESC101から取り出したりすることができる。例えば、ロボット170は、ESC101とロードロック172との間で基板を搬送することができる。システムコントローラ160は、ロボット170の動作を制御することができる。また、システムコントローラ160は、ロードロック172の動作を制御することができる。
【0049】
図2は、例示的なガス供給システムの機能ブロック図である。ガス源の一種として、アンプル204を使用することができる。アンプル204は、固体前駆体材料208を含むことができる。固体前駆体材料208は、例えば、モリブデン、タングステン、またはガスに昇華可能な別の適切な種類の固体材料とすることができる。また、アンプル204はキャニスターと呼ぶこともできる。
【0050】
ヒータ212は、固体前駆体材料208の昇華の制御などのために、アンプル204を加熱する。ヒータ212は、抵抗性ヒータまたは別の適切な種類の電気ヒータを含むことができる。ヒータ212は、アンプル204を取り囲むことができる。また、ヒータ212は、アンプル204の底部の下に配置することもできる。電気ヒータの例を提供しているが、別の種類のヒータを使用することもできる。
【0051】
固体前駆体材料208からのガス(ガス前駆体)は、アンプル204からマスフローコントローラ(MFC)216に流れる。MFC216は、処理チャンバ104へのガス前駆体の流れを調節する。種々の実装形態において、アンプル204とMFC216との間にバルブを配置して、アンプル204からのガス前駆体の流れを制御するように作動させることができる。
【0052】
圧力センサ220は、アンプル204とMFC216との間など、アンプル204の下流のガス前駆体の圧力を測定する。圧力センサ220は、MFC216から所定の距離未満の位置にてガス前駆体の圧力を測定することができる。圧力センサ220の位置がMFC216から所定の距離未満であることにより、アンプル204から処理チャンバ104へのガス前駆体の制御の精度を高めることができる。所定の距離は、例えば、約12インチ(約30.48センチメートル)または別の適切な距離とすることができる。「約」とは、種々の実装形態において、±10パーセントを意味することができる。
【0053】
図3の例に示すように、圧力センサ220をMFC216の内部に実装して、MFC216に入力されるガス前駆体の圧力を測定することができる。
【0054】
温度センサ224は、アンプル204の温度やヒータ212の温度などの温度を測定する。詳細は後述するが、システムコントローラ160は、圧力センサ220によって測定された圧力に基づいて、ヒータ212への電力の印加を制御する。システムコントローラ160は、温度センサ224によって測定された温度にさらに基づいて、ヒータ212への電力の印加を制御することができる。
【0055】
図4は、システムコントローラ160の例示的な実装形態を示す機能ブロック図である。ヒータ制御モジュール404は、電源から直流(DC)電力などの電力を受け取る。ヒータ制御モジュール404は、ヒータ212への電力の印加を制御する。例えば、ヒータ制御モジュール404は、ヒータ212に印加される電力のデューティサイクルを制御することができる。デューティサイクルとは、各所定の期間においてその電力が印加される期間を指すことができる。各所定の期間における残りの期間中は、電力を印加することができない。
【0056】
PWM制御の例を提供しているが、本願は、他の種類の制御にも適用可能である。例えば、ヒータ制御モジュール404は、(a)ヒータ212に印加される電圧、および(b)ヒータ212を流れる電流のうちの少なくとも一方を制御することができる。
【0057】
ヒータ制御モジュール404は、調整モジュール408からのヒータ調整に基づいて、ヒータ212に印加される電力を選択的に調整する(増加または減少させる)。ヒータ制御モジュール404は、例えば、ヒータ調整に基づいて、デューティサイクル、ヒータ212に印加される電圧、およびヒータ212を流れる電流を調整することができる。例えば、ヒータ制御モジュール404は、ヒータ調整が増加するにつれて、デューティサイクル(現在のデューティサイクルに対して)、電圧(現在の電圧に対して)、および電流(現在の電流に対して)のうちの少なくとも1つを増加させることができる。ヒータ制御モジュール404は、ヒータ調整が減少するにつれて、デューティサイクル、電圧、および電流のうちの少なくとも1つを減少させることができる。あるいは、ヒータ制御モジュール404は、ヒータ調整が増加するにつれて、デューティサイクル、電圧、および電流のうちの少なくとも1つを減少させ、ヒータ調整が減少するにつれて、デューティサイクル、電圧、および電流のうちの少なくとも1つを増加させることができる。
【0058】
調整モジュール408は、圧力センサ220によって測定された圧力と圧力設定値との差に基づいて、ヒータ調整を決定する。あくまでも一例として、調整モジュール408は、測定圧力から圧力設定値を減算した値に基づいて、ヒータ調整を設定することができる。あるいは、調整モジュール408は、圧力設定値から測定圧力を減算した値に基づいて、ヒータ調整を設定することができる。
【0059】
調整モジュール408は、差をゼロに向けて、またはゼロに調整するように、閉ループ(CL:closed loop)制御を用いてヒータ調整を決定する。例えば、調整モジュール408は、測定圧力が圧力設定値よりも小さい場合にヒータ調整を増加させ、測定圧力が圧力設定値よりも大きい場合にヒータ調整を減少させることができる。閉ループ制御の例としては、比例積分微分(PIO:proportional integral derivative)制御、比例積分(Pl)制御、積分(I)制御、および他の種類のCL制御が挙げられる。
【0060】
種々の実装形態において、調整モジュール408は、測定圧力と圧力設定値との差に等しくなるようにヒータ調整を設定することができる。ヒータ制御モジュール404は、ON/OFF制御によって、ヒータ212への電力の印加を制御することができる。ON/OFF制御は、測定圧力が圧力設定値よりも小さい場合に、(例えば、ヒータ調整によって示されるように)ヒータ制御モジュール404がヒータ212に電力を印加することを含むことができる。ヒータ制御モジュール404は、測定圧力が圧力設定値または圧力設定値に第1の所定のヒステリシス量を加算した値に等しくなるまで、ヒータ212への電力印加を継続することができる。ヒータ制御モジュール404は、測定圧力が圧力設定値または圧力設定値に第1の所定のヒステリシス量を加算した値以上となった場合に、ヒータ212への電力印加を停止することができる。ヒータ制御モジュール404は、測定圧力が圧力設定値または圧力設定値から第2の所定のヒステリシス量を減算した値よりも小さくなるまで、電力の不印加を継続することができる。ヒータ制御モジュール404は、測定圧力が圧力設定値または圧力設定値から第2の所定のヒステリシス量を減算した値以下となった場合に、ヒータ212への電力印加を開始することができる。ヒータ制御モジュール404は、上述したように、測定圧力が圧力設定値または圧力設定値に第1の所定のヒステリシス量を加算した値以上となるまで、電力印加を継続することができる。これにより、測定圧力を、ほぼ圧力設定値に、または第1および第2の所定のヒステリシス量によって定義される圧力設定値を中心とした範囲内に維持することができる。
【0061】
図5は、システムコントローラ160の例示的な実装形態を示す機能ブロック図である。調整モジュール408は、上述したように、ヒータ調整(第1の調整)を決定する。
図5の例では、温度設定値モジュール504が、ヒータ調整に基づいて、温度設定値を(現在値に対して)選択的に調整する(増加または減少させる)。温度設定値は、温度センサ224によって測定された温度に対する設定値である。例えば、温度設定値モジュール504は、第1の調整が増加するにつれて、温度設定値を増加させることができる。温度設定値モジュール504は、第1の調整が減少するにつれて、温度設定値を減少させることができる。あるいは、温度設定値モジュール504は、第1の調整が増加するにつれて、温度設定値を減少させ、第1の調整が減少するにつれて、温度設定値を増加させることができる。
【0062】
第2の調整モジュール508は、温度センサ224によって測定された温度と温度設定値との差に基づいて、第2の(ヒータ)調整を決定する。あくまでも一例として、第2の調整モジュール508は、測定温度から温度設定値を減算した値に基づいて、第2の調整を設定することができる。あるいは、第2の調整モジュール508は、温度設定値から測定温度を減算した値に基づいて、第2の調整を設定することができる。
【0063】
第2の調整モジュール508は、差を最小化するように、閉ループ(CL)制御を用いて第2の調整を決定する。すなわち、第2の調整モジュール508は、差をゼロに向けて調整するように、閉ループ制御を用いて第2の調整を決定する。例えば、第2の調整モジュール508は、測定温度が温度設定値よりも小さい場合に第2の調整を増加させ、温度が温度設定値よりも大きい場合に第2の調整を減少させることができる。閉ループ制御の例としては、比例積分微分(PIO)制御、比例積分(Pl)制御、積分(I)制御、および他の種類のCL制御が挙げられる。
【0064】
種々の実装形態において、第2の調整モジュール508は、温度と温度設定値との差に等しくなるように第2の調整を設定することができる。
【0065】
ヒータ制御モジュール512は、電源からDC電力などの電力を受け取る。ヒータ制御モジュール512は、ヒータ212への電力の印加を制御する。例えば、ヒータ制御モジュール512は、ヒータ212に印加される電力のデューティサイクルを制御することができる。PWM制御の例を提供しているが、本願は、他の種類の制御にも適用可能である。例えば、ヒータ制御モジュール512は、(a)ヒータ212に印加される電圧、および(b)ヒータ212を流れる電流のうちの少なくとも1つを制御することができる。
【0066】
ヒータ制御モジュール512は、第2の調整に基づき、ヒータ212に印加される電力を選択的に調整する(増加または減少させる)。例えば、ヒータ制御モジュール512は、第2の調整に基づいて、デューティサイクル、ヒータ212に印加される電圧、およびヒータ212を流れる電流のうちの少なくとも1つを調整することができる。例えば、ヒータ制御モジュール512は、第2の調整が増加するにつれて、デューティサイクル(現在のデューティサイクルに対して)、電圧(現在の電圧に対して)、および電流(現在の電流に対して)のうちの少なくとも1つを増加させることができる。ヒータ制御モジュール404は、第2の調整が減少するにつれて、デューティサイクル、電圧、および電流のうちの少なくとも1つを減少させることができる。あるいは、ヒータ制御モジュール512は、第2の調整が増加するにつれて、デューティサイクル、電圧、および電流のうちの少なくとも1つを減少させ、第2の調整が減少するにつれて、デューティサイクル、電圧、および電流のうちの少なくとも1つを増加させることができる。
【0067】
図6は、システムコントローラ160の例示的な実装形態を示す機能ブロック図である。第1の調整モジュール604は、圧力センサ220によって測定された圧力と所定の圧力範囲との比較に基づいて、第1の(ヒータ)調整を決定する。所定の圧力範囲は、第1の所定の圧力と、第1の所定の圧力よりも小さい第2の所定の圧力とによって境界が定められる。
【0068】
第1の調整モジュール604は、測定圧力が第1および第2の所定の圧力間の所定の圧力範囲内にある場合、第1の調整を変更せずにおく(すなわち、第1の調整を維持する)。測定圧力が第1の所定の圧力よりも大きい場合、第1の調整モジュール604は、第1の調整を減少させることができる。例えば、第1の調整モジュール604は、測定圧力が第1の所定の圧力よりも大きい間、所定の期間ごとに所定のデクリメント量だけ第1の調整を減少させることができる。測定圧力が第2の所定の圧力よりも小さい場合、第1の調整モジュール604は、第2の調整を増加させることができる。例えば、第1の調整モジュール604は、測定圧力が第2の所定の圧力よりも小さい間、所定の期間ごとに所定のインクリメント量だけ第1の調整を増加させることができる。
【0069】
温度設定値モジュール608は、第1の調整に基づいて、温度設定値を(現在値に対して)選択的に調整する(増加または減少させる)。例えば、温度設定値モジュール608は、第1の調整が増加する場合に温度設定値を増加させ、第1の調整が減少する場合に温度設定値を減少させることができる。あるいは、温度設定値モジュール608は、第1の調整が増加するにつれて温度設定値を減少させ、第1の調整が減少するにつれて温度設定値を増加させることができる。種々の実装形態において、温度設定値モジュール608は、所定のインクリメント量およびデクリメント量だけ温度設定値をインクリメントおよびデクリメントすることができる。
【0070】
第2の調整モジュール508は、上述したように、温度センサ224によって測定された温度と温度設定値との差に基づいて、第2の調整を決定する。ヒータ制御モジュール512は、上述したように、第2の調整に基づいて、ヒータ212に印加される電力を選択的に調整する(増加または減少させる)。
【0071】
図7は、システムコントローラ160の例示的な実装形態を示す機能ブロック図である。デューティサイクルモジュール704は、温度センサ224によって測定された温度と温度設定値との差に基づいて、第1のデューティサイクルを決定する。デューティサイクルモジュール704は、測定温度と温度設定値との差に基づいて、第1のデューティサイクルを設定することができる。デューティサイクルモジュール704は、例えば、差を第1のデューティサイクルに関連付ける式またはルックアップテーブルを用いて、第1のデューティサイクルを決定することができる。デューティサイクルモジュール704は、例えば、測定温度が温度設定値よりも大きい場合に第1のデューティサイクルを減少させ、測定温度が温度設定値よりも小さい場合に第1のデューティサイクルを増加させることができる。
【0072】
調整モジュール708は、調整に基づいて第1のデューティサイクルを調整することによって、第2のデューティサイクルを決定する。例えば、調整モジュール708は、(a)第1のデューティサイクルに調整を加算した値、(b)第1のデューティサイクルから調整を減算した値、または(c)第1のデューティサイクルに調整を乗算した値に基づいて、またはそれと等しくなるように、第2のデューティサイクルを設定することができる。
【0073】
調整モジュール712は、圧力センサ220によって測定された圧力と圧力設定値との差に基づいて、調整を決定する。調整モジュール712は、例えば、(圧力と圧力設定値との)差を調整に関連付ける式またはルックアップテーブルを用いて、調整を決定することができる。デューティサイクルモジュール704は、例えば、測定圧力が圧力設定値よりも大きい場合に調整を減少させ、測定圧力が圧力設定値よりも小さい場合に調整を増加させることができる。
【0074】
ヒータ制御モジュール716は、電源からDC電力などの電力を受け取る。ヒータ制御モジュール716は、第2のデューティサイクルに基づいて、または第2のデューティサイクルでヒータ212に電力を印加する。
【0075】
上述の各例は、MFC216への安定した圧力入力を達成するために、温度設定値、圧力設定値、およびヒータ212に印加される電力のうちの少なくとも1つを調整することを含む閉ループ制御を提供する。種々の実装形態において、ON/OFF制御を使用することができる。
図7の例などの種々の実装形態において、並列閉ループを用いて、測定温度および測定圧力の両方に基づいて、ヒータ212に印加される電力を増加または減少させることができる。
【0076】
図8は、システムコントローラ160の例示的なコンポーネントの機能ブロック図である。設定値モジュール804は、温度設定値および圧力設定値のうちの少なくとも一方を設定または初期化することができる。例えば、設定値モジュール804は、アンプル204の使用開始時に温度設定値を所定の温度に初期化することができる。初期化後は、温度設定値を上述したように選択的に制御して、MFC216に入力される圧力を制御することができる。
【0077】
種々の実装形態において、ヒータ制御モジュールは、温度センサ220によって測定された圧力が所定の圧力範囲外である場合に、ヒータ212に印加される電力を制限することができる。種々の実装形態において、所定の圧力範囲は、ユーザ入力に基づいて設定することができる。さらに、圧力が所定の圧力範囲外である場合に、設定値モジュール804は、温度設定値を所定の範囲外温度に設定することができる。所定の温度範囲は、ユーザ入力に基づいて設定することができる。
【0078】
有効化/無効化モジュール808は、測定圧力が所定の圧力範囲外である場合に、圧力および圧力設定値に基づく閉ループ制御(例えば、調整モジュール408、第1の調整モジュール604、調整モジュール712)を無効化することができる。これにより、温度超過イベント、温度不足イベント、圧力超過イベント、および圧力不足イベントの可能性を最小化することができる。有効化/無効化モジュール808は、測定圧力が所定の圧力範囲内にある場合に、圧力および圧力設定値に基づく閉ループ制御を再有効化することができる。また、有効化/無効化モジュール808は、閉ループ制御を再有効化する前に、温度センサ224によって測定された温度が所定の上限温度未満であることを要求することができる。再有効化する場合、無効化発生時の温度設定値および圧力設定値を使用することができる。
【0079】
警告モジュール812は、警告デバイス816を介して、アンプル204(および固体前駆体材料)を交換するための警告を選択的に生成することができる。警告モジュール812は、例えば、温度センサ224によって測定された温度が所定の最高温度以上である場合に、警告を生成することができる。これに加えて、またはこれに代えて、警告モジュール812は、圧力センサ220によって測定された圧力が、アンプル204からMFC216に適切な量のガス前駆体を供給するための所定の最小温度未満である場合に、警告を生成することができる。警告モジュール812は、例えば、ディスプレイに所定のメッセージを表示し、インジケータを点灯させ、かつ/または、ユーザにアンプル204を交換するよう警告する1つ以上の他のアクションを行うことができる。視覚的な警告を行う例を提供しているが、警告モジュール812は、これに加えて、またはこれに代えて、1つ以上のスピーカを介した聴覚的な警告および1つ以上の触覚デバイスを介した触覚的な警告のうちの少なくとも一方を生成することができる。
【0080】
以上のことから、アンプル204は、MFC216から離れた位置に配置して、処理チャンバ104と一体化しないようにすることができる。例えば、アンプル204は、処理チャンバ104付近のサブファブまたは製造フロアに配置することができる。種々の実装形態において、アンプル204は、処理チャンバ104と一体化することができる。
【0081】
図9は、MFC216に入力されるガス前駆体の圧力を制御する例示的な方法を示すフローチャートである。制御はまずステップ904にて、圧力センサ220が、アンプル204からMFC216に入力されるガス前駆体の圧力を測定する。また、ステップ904にて、温度センサ224がアンプル204の温度を測定することもできる。
【0082】
ステップ908にて、ヒータ制御モジュール(例えば、404、512、716)は、
図4~8の例において上述したように、閉ループ制御を用いて、測定圧力に基づいてヒータ212への電力印加を制御する。ヒータ制御モジュールは、
図4~8の例において上述したように、温度センサ224によって測定された測定温度にさらに基づいて、ヒータ212への電力印加を制御することができる。
【0083】
上述の記載は本質的に例示に過ぎず、本開示、その用途、または使用を限定することを何ら意図していない。本開示の広範な教示内容は、種々の形態で実施可能である。したがって、本開示には特定の例が含まれているが、図面、明細書、および下記の特許請求の範囲を詳しく調べることにより、他の変更形態も明らかになるため、本開示の真の範囲はそれらに限定されるべきではない。また、方法における1つ以上の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行できることを理解されたい。さらに、各実施形態について特定の特徴を有するものとして説明したが、本開示のいずれかの実施形態に関連して説明したこれらの特徴のいずれか1つ以上を、他の実施形態のいずれかの特徴に含めて、かつ/または(明示されてなくとも)組み合わせて実施することができる。すなわち、上述した実施形態は相互に排他的ではなく、1つ以上の実施形態を互いに置き換えることも本開示の範囲内である。
【0084】
要素間(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間など)の空間的および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「次の」、「の上に」、「の上方に」、「の下方に」、「配置された」などを含む種々の用語を用いて説明される。「直接的に」と明示されていない限り、上記の開示において第1の要素と第2の要素との関係が説明されている場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係とすることもできるし、第1の要素と第2の要素との間に1つ以上の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的な関係とすることもできる。本明細書において使用される場合、「A、B、およびCの少なくとも1つ」という表現は、非排他的論理和を用いて論理(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうち少なくとも1つ、Bのうち少なくとも1つ、およびCのうち少なくとも1つ」を意味すると解釈すべきでない。
【0085】
いくつかの実装形態において、コントローラはシステムの一部であり、システムは上述した例の一部とすることができる。このようなシステムは、1つ以上の処理ツール、1つ以上のチャンバ、1つ以上の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理用コンポーネント(ウエハ台座やガス流量システムなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、処理後におけるシステムの動作を制御するための電子機器と一体化することができる。電子機器は「コントローラ」と呼ぶこともでき、1つ以上のシステムの様々なコンポーネントまたはサブ部品を制御することができる。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示したいずれのプロセスも制御するようにプログラムすることができる。これらのプロセスには、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ツールに対するウエハの搬入出、ならびに、特定のシステムと接続または連携されたその他の移送ツールおよび/またはロードロックに対するウエハの搬入出が含まれる。
【0086】
広義には、コントローラは、様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義することができ、命令の受信、命令の送出、動作の制御、洗浄動作の有効化、エンドポイント測定の有効化などを行う。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアとしてのチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または1つ以上のマイクロプロセッサ、もしくはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含むことができる。プログラム命令は、様々な個別の設定(またはプログラムファイル)としてコントローラに通信される命令とすることができ、半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ用に、またはシステムに対して、特定のプロセスを実施するための動作パラメータを定義する。いくつかの実施形態において、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはウエハダイの製造において1つ以上の処理工程を達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部とすることができる。
【0087】
いくつかの実装形態において、コントローラは、コンピュータの一部とすることもできるし、コンピュータに結合することもできる。ここで、コンピュータは、システムと一体化しているか、システムに結合されているか、その他の形でシステムとネットワーク接続されているか、これらを組み合わせた形態をとる。例えば、コントローラは、「クラウド」上に存在することもできるし、工場ホストコンピュータシステムのすべてまたは一部に存在することもできる。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能になる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを有効化して、製造工程の進捗状況の監視、過去の製造工程履歴の調査、または複数の製造工程から傾向もしくは性能指標の調査を行うことができ、現在の処理のパラメータを変更したり、現在の処理に続く処理工程を設定したり、新たなプロセスを開始したりできる。いくつかの例において、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)からシステムに対して、ネットワークを介してプロセスレシピを提供できる。ここで、ネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含むことができる。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力やプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含むことができる。これらのパラメータおよび/または設定はその後、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラは、データとして命令を受信する。このデータは、1つ以上の動作において実行される各処理工程のパラメータを指定する。なお、これらのパラメータは、実行するプロセスの種類、およびコントローラが連携または制御するように構成されているツールの種類に対して固有のパラメータとすることができることを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、1つ以上の個別のコントローラを備えることなどによって分散することができる。これらの個別のコントローラはネットワーク化され、本明細書に記載のプロセスおよび制御といった共通の目的に向けて動作する。このような目的のための分散コントローラの一例として、(例えばプラットフォームレベルで、または遠隔コンピュータの一部として)遠隔設置された1つ以上の集積回路と通信するチャンバに搭載された1つ以上の集積回路が挙げられる。これらの集積回路は協働して、チャンバにおけるプロセスを制御する。
【0088】
システムの非限定的な例として、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD:Physical Vapor Deposition)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALO:Atomic Layer Deposition)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE:Atomic Layer Etch)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製造および/または生産に関連するかもしくは使用可能なその他のあらゆる半導体処理システムが挙げられる。
【0089】
上述した通り、ツールによって実行される1つ以上のプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはツールモジュール、他のツールコンポーネント、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、付近のツール、工場内の各所に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハコンテナの受け渡しを行う材料輸送で使用されるツールのうち、1つ以上と通信してもよい。
【国際調査報告】