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特表2023-550357パージリングを介した局所的なプラズマアークの防止
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】パージリングを介した局所的なプラズマアークの防止
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20231124BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528948
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 US2021056339
(87)【国際公開番号】W WO2022108707
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/117,404
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リーサー・カール・フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー・ブラッドリー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケシャヴァマーシー・アルン
(72)【発明者】
【氏名】ロハム・サッサン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA03
5F045AA08
5F045AA15
5F045AC07
5F045AC15
5F045AC16
5F045DP14
5F045EE04
5F045EF01
5F045EF05
5F045EF08
5F045EG02
5F045EH14
5F045EM07
5F045EM09
5F045EM10
5F045EN04
5F045GB06
5F045GB15
(57)【要約】
【解決手段】パージリングは、ガスを受け入れるように構成された供給ポートを含む。外側チャネルは、供給ポートに接続される。出口ネットワークは、パージリングの内径に近接したガスの出口流用に構成される。パージリングは、外側チャネルから出口ネットワークに半径方向にガスを流すように構成された複数のチャネルを含む。パージリングは、外側チャネルと出口ネットワークとの間の半径方向におけるガスの流れを低減するように構成された複数の通路を含む。複数のチャネルおよび複数の通路は、出口ネットワークの円周全体にわたってガスの出口流の均一な圧力を提供するように構成される。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パージリングであって、
ガスを受け入れるように構成された供給ポートと、
前記供給ポートに接続された外側チャネルと、
前記パージリングの内径に近接した前記ガスの出口流用に構成された出口ネットワークと、
前記外側チャネルから前記出口ネットワークに半径方向に前記ガスを流すように構成された複数のチャネルと、
前記外側チャネルと前記出口ネットワークとの間の前記半径方向における前記ガスの流れを低減するように構成された複数の通路と、
を備え、
前記複数のチャネルおよび前記複数の通路は、前記出口ネットワークの円周全体にわたって前記ガスの前記出口流の均一な圧力を提供するように構成される、
パージリング。
【請求項2】
請求項1に記載のパージリングであって、
前記外側チャネルは、前記出口ネットワークへの前記ガスの半径方向の流れが生じる前に圧力平衡を達成するように構成される、
パージリング。
【請求項3】
請求項1に記載のパージリングであって、
前記外側チャネルと前記出口ネットワークを接続する分配容積であって、前記分配容積は、前記複数のチャネルと、前記複数の通路とを含む分配容積
をさらに備える、パージリング。
【請求項4】
請求項3に記載のパージリングであって、
前記分配容積を前記出口ネットワークに接続し、前記出口ネットワークへの前記ガスの半径方向の流れが生じる前に圧力平衡を達成するように構成されるリザーバ
をさらに備える、パージリング。
【請求項5】
請求項1に記載のパージリングであって、
パージリング入口から第1の半径方向距離を中心とする第1のチャネルの第1の半径方向幅は、前記パージリング入口により近い第2の半径方向距離を中心とする第2のチャネルの第2の半径方向幅よりも大きい、
パージリング。
【請求項6】
請求項1に記載のパージリングであって、
前記パージリング入口から第1の半径方向距離を中心とする第1の通路の第1の半径方向幅は、前記パージリング入口により近い第2の半径方向距離を中心とする第2の通路の第2の半径方向幅よりも小さい、
パージリング。
【請求項7】
請求項1に記載のパージリングであって、
前記複数の通路のうちのある通路は、多孔質媒体を備える、パージリング。
【請求項8】
請求項1に記載のパージリングであって、
前記出口ネットワークは、出口開口のアレイを含み、各出口開口は、前記ガスの前記出口流の対応する部分を提供するように構成される、パージリング。
【請求項9】
請求項8に記載のパージリングであって、
前記出口開口のアレイにおける出口開口は、前記出口ネットワークの前記円周の周囲に対称的に分布される、パージリング。
【請求項10】
請求項8に記載のパージリングであって、
前記出口開口のアレイは、前記パージリングの底面上に構成される、パージリング。
【請求項11】
請求項1に記載のパージリングであって、
前記出口ネットワークは、前記円周の周りに構成された1つまたは複数の連続チャネルを含む、パージリング。
【請求項12】
請求項11に記載のパージリングであって、
少なくとも1つの連続チャネルは、多孔質媒体を備える、パージリング。
【請求項13】
プロセスチャンバの台座アセンブリであって、
基板を支持するための台座と、
台座の周辺に載置されるように構成されたパージリングであって、前記パージリングは、
ガスを受け入れるように構成された供給ポートと、
前記供給ポートに接続された外側チャネルと、
前記パージリングの内径に近接した前記ガスの出口流用に構成された出口ネットワークと、
前記外側チャネルから前記出口ネットワークに半径方向に前記ガスを流すように構成された複数のチャネルと、
前記外側チャネルと前記出口ネットワークとの間の前記半径方向における前記ガスの流れを低減するように構成された複数の通路と、
を含み、
前記複数のチャネルおよび前記複数の通路は、前記出口ネットワークの円周全体にわたって前記ガスの前記出口流の均一な圧力を提供するように構成される
パージリングと、
を備える、台座アセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載の台座アセンブリであって、
前記パージリングは、前記基板の下に位置するように構成される、台座アセンブリ。
【請求項15】
請求項13に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記外側チャネルは、前記出口ネットワークへの前記ガスの半径方向の流れが生じる前に圧力平衡を達成するように構成される、
プロセスチャンバ。
【請求項16】
請求項13に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングは、前記外側チャネルと前記出口ネットワークを接続する分配容積を備え、前記分配容積は、前記複数のチャネルと、前記複数の通路とを含む、
プロセスチャンバ。
【請求項17】
請求項16に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングは、前記分配容積を前記出口ネットワークに接続し、前記出口ネットワークへの前記ガスの半径方向の流れが生じる前に圧力平衡を達成するように構成されるリザーバをさらに備える、
プロセスチャンバ。
【請求項18】
請求項13に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、パージリング入口から第1の半径方向距離を中心とする第1のチャネルの第1の半径方向幅は、前記パージリング入口により近い第2の半径方向距離を中心とする第2のチャネルの第2の半径方向幅よりも大きい、
プロセスチャンバ。
【請求項19】
請求項13に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記パージリング入口から第1の半径方向距離を中心とする第1の通路の第1の半径方向幅は、前記パージリング入口により近い第2の半径方向距離を中心とする第2の通路の第2の半径方向幅よりも小さい、
プロセスチャンバ。
【請求項20】
請求項13に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記複数の通路のうちのある通路は、多孔質媒体を備える、
プロセスチャンバ。
【請求項21】
請求項13に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記出口ネットワークは、出口開口のアレイを含み、各出口開口は、前記ガスの前記出口流の対応する部分を提供するように構成される、プロセスチャンバ。
【請求項22】
請求項21に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記出口開口のアレイにおける出口開口は、前記出口ネットワークの前記円周の周囲に対称的に分布される、プロセスチャンバ。
【請求項23】
請求項21に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記出口開口のアレイは、前記パージリングの底面上に構成される、プロセスチャンバ。
【請求項24】
請求項13に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記出口ネットワークは、前記円周の周りに構成された1つまたは複数の連続チャネルを含む、プロセスチャンバ。
【請求項25】
請求項16に記載のプロセスチャンバであって、
少なくとも1つの連続チャネルは、多孔質媒体を備える、プロセスチャンバ。
【請求項26】
プロセスチャンバであって、
複数のステーションであって、各ステーションは、台座アセンブリを含み、各台座アセンブリは、
基板を支持するための台座と、
前記台座の周辺に載置されるように構成されたパージリングであって、前記パージリングは、
ガスを受け入れるように構成された供給ポートと、
前記供給ポートに接続された外側チャネルと、
前記パージリングの内径に近接した前記ガスの出口流用に構成された出口ネットワークと、
前記外側チャネルから前記出口ネットワークに半径方向に前記ガスを流すように構成された複数のチャネルと、
前記外側チャネルと前記出口ネットワークとの間の前記半径方向における前記ガスの流れを低減するように構成された複数の通路と、
を含み、
前記複数のチャネルおよび前記複数の通路は、前記出口ネットワークの円周全体にわたって前記ガスの前記出口流の均一な圧力を提供するように構成される
パージリングと、
均等なガス流で前記ガスを前記複数のステーションの各々の台座アセンブリに分配するためのガス分配システムと
を含む複数のステーション
を含む、プロセスチャンバ。
【請求項27】
請求項26に記載のプロセスチャンバであって、
前記プロセスチャンバのステーション隔壁を通して送られるガス送給構造であって、前記ガス送給構造は、対応する導管を介して前記ガス送給構造を対応するステーションの対応する台座アセンブリに接続するための、前記ガス送給構造における対応するアクセスポートを介して前記ガスを前記複数のステーションの各々に送給するガス送給構造と、
前記複数のステーションの各々へのガス流がほぼ等しくなるように、前記対応するステーションへの前記ガス流を調節する前記対応する導管内の少なくとも1つの流れ抵抗器と
をさらに備える、プロセスチャンバ。
【請求項28】
請求項27に記載のプロセスチャンバであって、
前記少なくとも1つの流れ抵抗器は、前記対応する導管内に構成された第1の流れ抵抗器および第2の流れ抵抗器を含む、プロセスチャンバ。
【請求項29】
請求項26に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングは、前記基板の下に位置するように構成される、プロセスチャンバ。
【請求項30】
請求項26に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記外側チャネルは、前記出口ネットワークへの前記ガスの半径方向の流れが生じる前に圧力平衡を達成するように構成される、
プロセスチャンバ。
【請求項31】
請求項26に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングは、前記外側チャネルと前記出口ネットワークを接続する分配容積を備え、前記分配容積は、前記複数のチャネルと、前記複数の通路とを含む、
プロセスチャンバ。
【請求項32】
請求項31に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングは、前記分配容積を前記出口ネットワークに接続し、前記出口ネットワークへの前記ガスの半径方向の流れが生じる前に圧力平衡を達成するように構成されるリザーバをさらに備える、
プロセスチャンバ。
【請求項33】
請求項26に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、パージリング入口から第1の半径方向距離を中心とする第1のチャネルの第1の半径方向幅は、前記パージリング入口により近い第2の半径方向距離を中心とする第2のチャネルの第2の半径方向幅よりも大きい、
プロセスチャンバ。
【請求項34】
請求項26に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記パージリング入口から第1の半径方向距離を中心とする第1の通路の第1の半径方向幅は、前記パージリング入口により近い第2の半径方向距離を中心とする第2の通路の第2の半径方向幅よりも小さい、
プロセスチャンバ。
【請求項35】
請求項26に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記複数の通路のうちのある通路は、多孔質媒体を備える、
プロセスチャンバ。
【請求項36】
請求項26に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記出口ネットワークは、出口開口のアレイを含み、各出口開口は、前記ガスの前記出口流の対応する部分を提供するように構成される、プロセスチャンバ。
【請求項37】
請求項36に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記出口開口のアレイにおける出口開口は、前記出口ネットワークの前記円周の周囲に対称的に分布される、プロセスチャンバ。
【請求項38】
請求項36に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記出口開口のアレイは、前記パージリングの底面上に構成される、プロセスチャンバ。
【請求項39】
請求項26に記載のプロセスチャンバであって、
前記パージリングでは、前記出口ネットワークは、前記円周の周りに構成された1つまたは複数の連続チャネルを含む、プロセスチャンバ。
【請求項40】
請求項39に記載のプロセスチャンバであって、
少なくとも1つの連続チャネルは、多孔質媒体を備える、プロセスチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体基板処理機器ツールに関し、より詳細には、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングに関する。
【背景技術】
【0002】
膜均一性の改善は、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)技術およびプラズマ原子層堆積(ALD)技術において重要である。PECVDプロセスおよびALDプロセスを実施するチャンバシステムは、様々な原因による不均一性を導入する場合がある。特に、PECVDおよびALDを実施するマルチステーションモジュールは、方位角の不均一性およびエッジドロップの影響に寄与する可能性がある大型のオープンリアクタを特徴とする。不均一性はまた、シングルステーションモジュールにも存在する。例えば、標準的な台座構成は、プラズマ処理中にウエハのエッジの近くで所望の流れプロファイルおよび/または材料条件を提供しない。特に、標準的な台座構成は、PECVDおよび/またはALDプロセス中にウエハエッジに対して電荷を生成する場合があり、これにより処理中にウエハからセラミック台座への放電またはアーク放電の確率が発生し、結果としてウエハの不均一性および/または台座の損傷が生じる。ダイがウエハエッジにますます近づくにつれて、エッジにおけるウエハの不均一性は、例えば、歩留まりに大きな悪影響を及ぼす。台座への損傷および/または不均一な堆積プロファイルを最小限に抑えるための最善の努力にもかかわらず、従来のPECVDおよびプラズマALDスキームは、依然として改善の必要がある。
【0003】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途見なされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0004】
本開示の実施形態は、このような状況で生じるものである。
【発明の概要】
【0005】
本実施形態は、関連技術に見られる1つまたは複数の問題を解決することに関し、具体的には、分配ネットワークまたは二次内部通路および/もしくはプレナムならびにチャネルの容積を通して不活性ガスを送給するように設計された半径方向内部通路および/もしくはプレナムで構成されたセラミックパージリングを使用してウエハの周囲にプラズマシースを局所的に希釈し、正確かつ制御された質量流量で不活性ガスをウエハの周囲に送給することでウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配することを可能にすることを含む、半導体プロセスを実施することに関する。本開示のいくつかの発明の実施形態を、以下に説明する。
【0006】
堆積チャンバ(例えば、PECVD、ALDなど)は、高周波(RF)源、ウエハ、および源に対向する接地面を有する1つまたは複数のステーションを含む。パージリングは、堆積プロセス中のウエハエッジにおける過剰な電荷の蓄積を低減および/または阻止するために使用される。本開示の実施形態では、単一のガス入力ポートを有するパージリングは、ウエハエッジ上の電荷を低減し、それによって堆積処理中にウエハからセラミック台座への放電またはアーク放電の確率を低減する。
【0007】
本開示の実施形態は、パージリングを含む。パージリングは、ガスを受け入れるように構成された供給ポートを含む。パージリングは、供給ポートに接続された外側チャネルを含む。パージリングは、パージリングの内径に近接したガスの出口流用に構成された出口ネットワークを含む。パージリングは、外側チャネルから出口ネットワークに半径方向にガスを流すように構成された複数のチャネルを含む。パージリングは、外側チャネルと出口ネットワークとの間の半径方向におけるガスの流れを低減するように構成された複数の通路を含む。複数のチャネルおよび複数の通路は、出口ネットワークの円周全体にわたってガスの出口流の均一な圧力および/または速度を提供するように構成される。
【0008】
本開示の他の実施形態は、膜を堆積するためのプロセスチャンバの台座アセンブリを含む。台座アセンブリは、基板を支持するための台座と、台座の周辺に載置されるように構成されたパージリングとを含む。パージリングは、基板を支持するための台座を含む。パージリングは、ガスを受け入れるように構成された供給ポートを含む。パージリングは、供給ポートに接続された外側チャネルを含む。パージリングは、パージリングの内径に近接したガスの出口流用に構成された出口ネットワークを含む。パージリングは、外側チャネルから出口ネットワークに半径方向にガスを流すように構成された複数のチャネルを含む。パージリングは、外側チャネルと出口ネットワークとの間の半径方向におけるガスの流れを低減するように構成された複数の通路を含む。パージリングでは、複数のチャネルおよび複数の通路は、出口ネットワークの円周全体にわたってガスの出口流の均一な圧力および/または速度を提供するように構成される。
【0009】
本開示のさらに他の実施形態は、プロセスチャンバを含む。プロセスチャンバは、複数のステーションを含み、各ステーションは、台座アセンブリを含む。各台座アセンブリは、基板を支持するための台座と、台座の周辺に載置されるように構成されたパージリングと、均等なガス流でガスを複数のステーションの各々の台座アセンブリに分配するためのガス分配システムとを含む。パージリングは、ガスを受け入れるように構成された供給ポートを含む。パージリングは、供給ポートに接続された外側チャネルを含む。パージリングは、パージリングの内径に近接したガスの出口流用に構成された出口ネットワークを含む。パージリングは、外側チャネルから出口ネットワークに半径方向にガスを流すように構成された複数のチャネルを含む。パージリングは、外側チャネルと出口ネットワークとの間の半径方向におけるガスの流れを低減するように構成された複数の通路を含む。パージリングでは、複数のチャネルおよび複数の通路は、出口ネットワークの円周全体にわたってガスの出口流の均一な圧力および/または速度を提供するように構成される。
【0010】
これらおよび他の利点は、明細書全体および特許請求の範囲を読めば当業者によって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
実施形態は、添付の図面と併せて解釈される以下の説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【0012】
図1図1は、ウエハを処理する、例えば、ウエハ上に膜を形成するために使用される基板処理システムを示す図である。
【0013】
図2A図2Aは、一実施形態による、4つの処理ステーションが設けられたマルチステーション処理ツールの上面図である。
【0014】
図2B図2Bは、本開示の一実施形態による、図2Aのマルチステーション処理ツールの斜視図である。
【0015】
図3図3は、一実施形態による、インバウンドロードロックおよびアウトバウンドロードロックを有するマルチステーション処理ツールの一実施形態の概略図である。
【0016】
図4A図4Aは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの断面の上面図である。
【0017】
図4B図4Bは、本開示の一実施形態による、1つまたは複数の通路の周囲のガスの流れを示す、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの断面の上面図である。
【0018】
図4C図4Cは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリング内のチャネルの例示的な数およびチャネルの例示的な幅を列挙する表である。
【0019】
図4D図4Dは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリング上の角度位置に対するガスの速度を示すグラフである。
【0020】
図5A図5Aは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲にパージガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの断面を含む斜視図であり、パージリングは、分配容積から送給されるガスの流出用に構成された複数のオリフィスを含む出口ネットワークを含む。
【0021】
図5B図5Bは、本開示の一実施形態による、図5Aに示すパージリングの断面を含む別の斜視図である。
【0022】
図5C図5Cは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの断面を含む斜視図であり、パージリングは、分配容積から送給されるガスの流出用に構成された出口チャネルを含む出口ネットワークを含む。
【0023】
図5D図5Dは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの断面を含む斜視図であり、パージリングは、内側レッジ上に配置された一連の出口ポートを含む出口ネットワークを含み、出口ポートは、分配容積から送給されるガスの流出用に構成される。
【0024】
図6A-1】図6A-1は、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの分配容積におけるチャネルの図4Aの線A--Aに沿った断面図であり、出口チャネルは、下方および内方の配向に構成される。
【0025】
図6A-2】図6A-2は、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの分配容積におけるチャネルの断面図であり、出口チャネルは、下方および外方の配向に構成される。
【0026】
図6A-3】図6A-3は、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの分配容積におけるチャネルの断面図であり、出口チャネルは、上方および内方の配向に構成される。
【0027】
図6A-4】図6A-4は、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの分配容積におけるチャネルの断面図であり、出口チャネルは、上方および外方の配向に構成される。
【0028】
図6B図6Bは、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの断面を含む切断図であり、theを示す図である。
【0029】
図6C図6Cは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの分配容積における通路の図4Aの線B--Bに沿った断面図である。
【0030】
図7図7は、本開示の一実施形態による、均等なガス流でガスをプロセスチャンバ内の複数のステーションの台座アセンブリに分配するためのガス分配システムを示す図であり、台座アセンブリの各々は、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングを含む。
【0031】
図8A図8Aは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングと、ガスをパージリングに送給するための導管とを含む台座アセンブリの断面図である。
【0032】
図8B図8Bは、本開示の一実施形態による、ガス導管を、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたセラミックパージリング、およびガスをパージリングに送給するための導管に接続する結合界面の断面図である。
【0033】
図8C図8Cは、本開示の一実施形態による、ガスを、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングに送給するための導管内に構成された流れ抵抗器、およびガスをパージリングに送給するための導管の断面図である。
【0034】
図8D図8Dは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングを含む台座アセンブリの断面図である。
【0035】
図9A図9Aは、本開示の一実施形態による、4つの処理ステーションが設けられたマルチステーション処理ツールの上面図であり、均等なガス流でガスを複数のステーションの各々の台座アセンブリに分配するためのガス分配システムを示す図である。
【0036】
図9B図9Bは、本開示の一実施形態による、4つの処理ステーションが設けられたマルチステーション処理ツールのチャンバインサートの上面図であり、チャンバのステーション隔壁における開口部を通して送られる図9Aのガス分配システムを示す図である。
【0037】
図9C図9Cは、本開示の一実施形態による、4つの処理ステーションが設けられたマルチステーション処理ツールのチャンバインサートの底面図であり、チャンバのステーション隔壁における開口部を通して送られる図9Aのガス分配システムを示す図である。
【0038】
図10図10は、上述のシステムを制御するための制御モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の詳細な説明は、例示の目的で多くの具体的な詳細を含むが、当業者は、以下の詳細に対する多くの変形および変更が本開示の範囲内であることを理解するであろう。したがって、以下に説明する本開示の態様は、この説明に続く特許請求の範囲に対する一般性を失うことなく、また限定を課すことなく記載されている。
【0040】
一般的に言えば、本開示の様々な実施形態は、シングルステーションおよびマルチステーションシステムにおけるウエハ処理(例えば、PECVDおよびALDプロセス)中に膜の均一性を改善するシステムについて説明する。特に、本開示の様々な実施形態は、ウエハの周囲のプラズマシースを局所的に希釈するセラミックパージリングを含む台座アセンブリを説明しており、パージリングは、堆積プロセス中に正確な量の不活性ガス流を送給するように設計されている。パージリングを通して、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセス中など、十分な不活性質量ガス流がウエハの周囲に導入され、ウエハエッジにおける過剰な電荷の蓄積を阻止する。PECVDプロセスは、プラズマを生成するガスの化学反応を通じて基板上に薄膜を堆積するために使用される。このようにして、ウエハエッジ上のこの電荷の減少により、プロセス中にウエハからセラミック台座への放電またはアーク放電の確率が低減され、これによりいくつかの実施態様では、特にウエハのエッジにおけるウエハ均一性が向上する。特に、パージリングは、パージリングにより不活性ガスをウエハ周囲に送給するために、650℃の範囲の温度に耐えるように構成された高温セラミックで構成される。セラミックパージリングの幾何学的形状は、積層セラミック技術を利用して、不活性ガスを二次内部通路および/またはプレナム&チャネルの分配容積に送給するための内部半径方向通路および/またはプレナムの分布を作製する。これらの内部チャネルは、積層セラミック技術を使用して形成され、不活性ガス用の可変流路に対する幾何学的形状を形成する。一実施形態では、リングの周囲におけるオリフィスの正確なパターンにより、不活性ガスは正確かつ制御された質量流量でウエハの周囲に送給される。一実施形態では、1つの不活性ガス供給ポートがプロセスチャンバ内の効率のために設けられる。これまで、1つの不活性ガス供給ポートを有するパージリング内の質量流量の分配は本質的に非常に非対称であり、供給ポートの近くのガス流は多く、供給ポートの反対側の点に達するまでパージリング周囲のガス流は減少する。しかし、本開示の実施形態は、パージリングの周囲のガスの流れを変化させるように構成されたパージリングを提供する。特に、本開示の実施形態のパージリングは、質量流量の分配をウエハ周囲の対称的な分配に補正する流体可変流量アプローチを提供するように構成される。これは、複数の内部流路および/またはコンダクタンスチャネルの設計、ガスの排出を可能にする1つまたは複数のオリフィス、適切なタイプの1つまたは複数のオリフィスの選択、1つまたは複数のオリフィスの望ましい数の選択、オリフィスの形状、サイズ、および直径などにより達成される。さらに他の実施形態では、アーク抑制に加えて、本開示の実施形態は、C3H6の希釈による裏面炭素堆積の防止に利用することができる可能性があり得る。
【0041】
1つまたは複数のステーションの1つまたは複数の台座アセンブリを含み、かつウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配する(例えば、ウエハ周囲に沿って方位角方向に均一な圧力でガスの流れを送給する、および/またはウエハ周囲に沿って方位角方向に均一な速度もしくは速さでガスの流れを送給する)ように構成された対応するパージリングを含むプロセスチャンバを開示する様々な実施形態の利点は、プロセスチャンバ内の1つまたは複数のステーションへのガスのより経済的かつより効率的な送給を提供する。加えて、パージリングの各々は、単一の供給ポート(例えば、パージ入口)、ならびにウエハ周囲への通路およびチャンネルの分配容積の適切な構成を使用して、パージリング内のガスのより効率的な送給を提供する。
【0042】
様々な実施形態の上記の一般的な理解により、次に実施形態の例示的な詳細が様々な図面を参照して説明される。1つまたは複数の図において同様に番号付けされた要素および/または構成要素は、一般に、同じ構成および/または機能を有することを意図している。さらに、図は一定の縮尺で描かれていない場合があるが、新規の概念を示し強調することを意図している。本実施形態は、これらの具体的な詳細の一部または全部なしで実践することができることが明らかであろう。他の例では、本実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセス動作は詳細に説明されていない。
【0043】
図1は、PECVDまたはALDプロセスで形成される膜など、基板上に膜を堆積するために使用され得るリアクタシステム100を示している。より詳細には、図1は、ウエハ101を処理するために使用される基板処理システム100を示している。システムは、下部チャンバ部分102bおよび上部チャンバ部分102aを有するチャンバ102を含む。中心コラムが台座140を支持するように構成され、台座140は、一実施形態では電力供給電極である。台座140は、整合ネットワーク106を介して電源104に電気的に結合される。電源は、制御モジュール110、例えば、コントローラによって制御される。制御モジュール110は、プロセス入力および制御部108を実行することによって基板処理システム100を動作させるように構成される。プロセス入力および制御部108は、電力レベル、タイミングパラメータ、プロセスガス、パージリングへのパージガス、ウエハ101の機械的移動など、例えばウエハ101の上に膜を堆積または形成するためのプロセスレシピを含むことができる。
【0044】
中心コラム(例えば、中央シャフトまたはスピンドルとしても知られる)160は、リフトピン(図示せず)と連動することができ、リフトピンの各々は、リフトピン制御部122によって制御される対応するリフトピン作動リング120によって作動される。リフトピンは、台座140からウエハ101を上昇させ、ロボットアーム(例えば、エンドエフェクタなど)がウエハをプロセスチャンバに送給する(例えば、ロードする)こと、および/またはプロセスチャンバ250からウエハを取り出す(例えば、アンロードする)ことを可能にするために使用される。一実施形態では、例えば、キャリアリングを使用せずにステーション間でウエハを移送するように構成されたリングレスウエハ送給システムが実装される。基板処理システム100は、プロセスガス114、例えば、設備からのガス化学物質供給に接続されたガス供給マニホールド112をさらに含む。実施される処理に応じて、制御モジュール110は、ガス供給マニホールド112を介したプロセスガス114の送給を制御する。次に、選択されたガスはシャワーヘッド150内に流され、そのウエハ101に面するシャワーヘッド150の面と台座140の上に存在するウエハ101との間に画定された空間容積に分配される。ALDプロセスでは、ガスは、吸収、または吸収された反応剤との反応のために選択された反応剤であり得る。
【0045】
さらに、ガスは、予め混合されていてもいなくてもよい。プロセスの堆積およびプラズマ処置段階中に正しいガスが送給されることを確実にするために、適切な弁調節および質量流量制御機構を用いることができる。プロセスガスは、出口を介してチャンバを出る。真空ポンプ(例えば、1段または2段の機械式ドライポンプおよび/またはターボ分子ポンプ)がプロセスガスを引き出し、スロットル弁または振り子弁などの閉ループ制御流量制限デバイスによってリアクタ内を適切に低い圧力に維持する。
【0046】
台座140の外側および/または周辺領域を取り囲むパージリング200もまた、示されている。一実施形態では、パージリング200は、図1に示すように、台座140上に配置されたウエハ101の下に位置決めされる。パージリング200は、パージガス(例えば、不活性ガス、窒素など)をウエハエッジに供給し、堆積プロセス中のウエハエッジにおける過剰な電荷の蓄積を低減および/または阻止するように設計されている。パージガスは、ガス送給システムに接続されたガス供給ライン840から送給される。一実施形態では、パージリング200はステーション内に留まり、ステーション間、例えば、マルチステーション処理チャンバおよび/またはシステム内で回転されない。他の実施形態では、チャンバは、シングルステーションチャンバである。コントローラ110ならびに/またはプロセス入力および制御部108を使用して、パージリングへのパージガスの送給を制御することができる。
【0047】
図2Aは、4つの処理ステーションが設けられたマルチステーション処理ツール250の上面図を示している。この上面図は、下部チャンバ部分102b(例えば、図示のために上部チャンバ部分102aが除去されている)であり、4つのステーション(例えば、ステーション1、2、3、および4)は、例えば、キャリアリングを使用せずにステーション間でウエハを移送するように構成されたリングレスウエハ送給システムによってアクセスされ得る。リングレスウエハ送給システムは、1つまたは複数のパドル225を含み、パドル225の各々は、例えばリフトピンを使用して台座から持ち上げられる対応するウエハと連動するように構成される。パドル225の端部は、ウエハをあるステーションから別のステーションに移送するときなどにウエハの下面と連動するように構成された3つの動的ウエハ接触パッド226を含むことができる。パドル225の端部は、対応するウエハの下に対応するパドルを配向させるときに追加の移動を行うように関節運動し得る。各パドルは、回転機構220を使用して(例えば、一斉に)回転させることができ、それにより(例えば、ロボットアームを使用してステーション1とロードロックとの間でウエハをロードおよび/またはアンロードして)チャンバ250内からステーションに導入されたウエハは、リングレスウエハ送給システムを使用してステーションからステーションへと移送および/または回転され、したがってさらなるプラズマ処理、処置、ならびに/または膜の堆積、ウエハの送給および/もしくは除去をそれぞれのウエハ101上で行うことができるようになる。
【0048】
開口部210が、マルチステーション処理ツール250のステーション隔壁211内に示されており、壁211は、ステーションの各々を分離する。一実施形態では、開口部210は、図9A図9Cを参照して以下でさらに説明されるように、マルチステーション処理ツール内でガス供給導管またはガス送給構造710を送るために使用することができる。ガス供給導管710は、図7を参照してさらに説明されるように、パージガスをステーションの各々に送給するために利用されるガス分配システム内に含まれる。
【0049】
図2Bは、本開示の一実施形態による、図2Aで導入されたマルチステーション処理ツール250の斜視図を示している。より詳細には、下部チャンバ部分102bは、各ステーションの内部容積を完全に見えるようにするために、台座アセンブリ(例えば、台座140、パージリング200、スピンドル160など)なしで示されている。例えば、開口部210は、図2Bでは明確に示されている。また、各ステーション(例えば、1、2、3、および4)は、台座140のスピンドル160(例えば、中央シャフト)を着座させるように構成されたステーション接続部221を含む。また、中心穴215が示されており、ウエハを特定のステーションに割り出すために使用される回転機構を受け入れるように構成される。
【0050】
図3は、インバウンドロードロック302およびアウトバウンドロードロック304を有する図2A図2Bのマルチステーション処理ツール250の一実施形態の概略図を示す。ロボット306は、大気圧において、ポッド308を介してロードされたカセットから、大気圧ポート310を介してインバウンドロードロック302に基板を移動させるように構成される。インバウンドロードロック302は真空源(図示せず)に結合され、したがって大気圧ポート310が閉じている場合、インバウンドロードロック302をポンプダウンすることができる。インバウンドロードロック302はまた、処理チャンバ102bと連動するチャンバ搬送ポート316を含む。したがって、チャンバ搬送316が開かれると、別のロボット(図示せず)(例えば、リングレスウエハ送給システム)が、基板をインバウンドロードロック302から処理のために第1のプロセスステーションの台座140に移動させることができる。
【0051】
図示のマルチステーション処理チャンバ250は、図3に示す実施形態において1から4まで番号が付けられた4つのプロセスステーションを含む。図3に図示されるプロセスステーションの各々は、パージリング200と、プロセスガス送給ライン入口またはパージ入口(図示せず)とを含む。パージリングは、堆積プロセス中のウエハエッジにおける過剰な電荷の蓄積を低減および/または阻止するように構成される。ウエハエッジ上の電荷の減少により、プロセス中にウエハからセラミック台座への放電またはアーク放電の確率が低減され、これにより特にウエハのエッジにおけるウエハ均一性が向上する。
【0052】
図4Aは、本開示の一実施形態による、パージリング200の水平断面の上面図を示している。パージリング200は、本開示の実施形態では、ウエハ周囲にパージガス(例えば、不活性ガス)を対称的かつ半径方向に分配するように構成される。特に、パージリング200は、処理(例えば、堆積)中にウエハの周囲のプラズマシースを希釈するように構成され、パージリングの円周410の周囲のすべての点において対称的な流れでパージリング全体にわたって半径方向に通路およびチャネルを通ってガスを送給するように構成され、円周は、ウエハ周囲へのガスの流出用に構成された出口ネットワークと位置合わせされ得る。具体的には、パージリングは、ウエハ周囲に沿って方位角方向に均一な圧力でガスの流れを送給し、かつ/またはウエハ周囲に沿って方位角方向に均一な速度もしくは速さでガスの流れを送給するように構成される。
【0053】
パージリング200は、極端な条件(例えば、高温、高圧など)下でガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2、蒸気など)をウエハ(図示せず)のエッジに送給するように構成される。一実施形態では、パージリング200は、ガス分配システム(図示せず)からガスを受け入れるように構成された単一の供給ポートまたはパージ入口420を含む。パージリング200は、処理(例えば、堆積)中にウエハエッジでプロセスガス(例えば、アルゴン、C3H6など)を置換するのに十分なパージガスの流れを供給し、より詳細には、ウエハエッジから台座へのアーク放電(例えば、放電)を防止するように構成される。すなわち、ウエハから台座への静電気放電によるアーク放電は、ウエハエッジでのパージガスの導入によりウエハエッジにおけるプロセスガスを減少させることによって低減および/または排除される。
【0054】
図4Aに示すように、パージリング200は、ガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素など)を受け入れるように構成された供給ポートまたはパージ入口420を含み、いくつかの実施形態では、ガスは、蒸気の形態である。また、パージリングは、供給ポート420に接続された外側チャネル450を含む。一実施形態では、外側チャネル450は、パージリング200の外径470に近接して構成される。外側チャネル450は、ガス分配の第1の段階においてパージリングの周囲にパージガスを分配する。例えば、外側チャネル450は、外側チャネル全体にわたるパージガスの円周方向の流れを可能にするために低い流体抵抗を示す。このようにして、ガスは、ガス分配の第2の段階において複数のチャネルおよび複数の通路内に半径方向に進入または漏洩する前に、外側チャネル450内で圧力平衡に達する。すなわち、外側チャネル450は、出口ネットワークへのガスの半径方向の流れが生じる前に圧力平衡を達成するように構成される。示すように、パージ入口420からの入力として供給される入力ガス流435は、外側チャネル450内を反対方向に流れる。すなわち、パージ入口420からパージリング200に進入した後のガスは、外側チャネル450内をパージ入口から(例えば、パージリング200の上半分に向かって)反時計回り方向に流れ、また、外側チャネル450内を(例えば、パージリング200の下半分に向かって)時計回り方向に流れる。
【0055】
パージリング200は、パージリング200の内径475に近接したガスの出口流用に構成された出口ネットワーク460を含む。例えば、出口ネットワーク460は、ウエハエッジの周囲のすべての点において対称的なガスの流出を供給する任意の構成とすることができる。すなわち、ガスの圧力は出口ネットワーク460全体にわたって均一であり、ガスの対称的な流出を供給する。すなわち、ガスの流れは、ウエハ周囲(例えば、パージリングの円周)に沿って方位角方向に均一な圧力で送給され、および/またはガスの流れは、ウエハ周囲に沿って方位角方向に均一な速度もしくは速さで送給される。ウエハエッジへのガスの均等な分配は、プロセスガスからウエハエッジ上に蓄積する可能性がある静電気放電によるウエハエッジからの台座の周囲のすべての点におけるアーク放電を防止するのに役立つ。場合によっては、これにより、ウエハエッジに近接した領域を含むウエハ全体にわたって処理中に均一な膜堆積が可能になる。
【0056】
パージリングは、複数のチャネル490と、外側チャネル450と出口ネットワーク460を接続する複数の通路430とを含む。チャネルおよび通路は、出口ネットワーク460に関連付けられた円周410の周囲でパージガスを出口ネットワーク460に均等に分配するように構成される。具体的には、チャネルおよび通路は、出口ネットワーク460を画定する円周410のすべての点においてパージガスの半径方向かつ対称的な流れを供給するように構成され、円周は、パージリング200の内径475に近接して位置する。すなわち、チャネルおよび通路は、均一なガス流でガスを出口ネットワーク460に関連付けられた円周410内のすべての点に送給する。より具体的には、チャネルおよび通路は、出口ネットワーク460の円周410の周囲で(例えば、送給点において)方位角方向にガスの出口流の均一な圧力を提供するように構成される。それに対応して、チャネルおよび通路は、出口ネットワーク460の円周410の周囲または円周410全体にわたるガスの出口流の均一な速さ(例えば、速度の大きさ)を提供するように構成される。このようにして、出口ネットワーク460は、均一に半径方向かつ対称的にガスをウエハエッジに送給することができる。すなわち、本開示の実施形態は、非対称の幾何学的形状で構成されるパージリングの円周の周囲に方位角方向に均一な圧力および/または速度でガスを送給する。例えば、圧力は、パージリングによって送給されるガスが逆の圧力勾配を克服し、ウエハ上の裏面の堆積を回避することができるように計算することが可能である。
【0057】
一実施形態では、パージリング200は、チャネルおよび通路が対称線440によって画定されたパージリングの2つの半体の間に対称的に構成されるように、線440の周りに対称的に構成される。より詳細には、線440は、パージリング200の2つの半体(例えば、平面の上および下)が対称的に構成される対称平面を表すことができる。示すように、対称線440(対称平面を表すことができる)は、中心441を起点とする半径を画定することができる。例えば、パージ入口420は、線440上の0度の半径方向上に位置する。また、パージ入口420の反対側では、線440は、180度の半径方向(例えば、通路430Iの中心)を画定する。
【0058】
特に、複数の通路430において、各通路は、外側チャネルと出口ネットワークとの間の半径方向におけるガスの流れを低減するように構成される。すなわち、通路は、出口ネットワーク460へのガスの半径方向の流れを制限する。例えば、通路は、通路内、通路における、および通路の周りのパージガスの自由な流れをブロック、方向転換、および/または制限する。一実施形態では、通路は、ガスの流れを低減するように構成された構造を含むプレナムを備える。別の実施形態では、通路は、多孔質媒体を備え、多孔質媒体は、細孔(例えば、穴など)を有する任意の媒体として定義することができる。さらに別の実施形態では、通路の一部は、固体媒体を備える。図4Aに示すように、通路430Aの中心は、線440上の0度に位置する。追加の通路が、パージリング200内に構成される。反時計回り方向に移動する通路430Aに加えて、パージリング200は、通路430B、通路430C、通路430D、通路430F、通路430G、通路430H、および通路430Iを含む。より詳細には、通路430Iの中心は、線440上の180度に位置する。
【0059】
一実施形態では、複数の通路430内の通路は、供給ポートまたはパージ入口420の反対側の円周における点(例えば、180度)に達するまでパージリング200の円周410の周囲を半径方向に移動すると、サイズ(例えば、半径方向幅)が減少する。特に、パージリング入口からの半径方向距離を中心とする第1の通路の半径方向幅は、パージリング入口により近い半径方向距離を中心とする第2の通路の半径方向幅よりも小さい。例えば、通路430Iの半径方向幅は、通路430H、または通路430G、または通路430F、または通路430E、または通路430D、または通路430C、または通路430Bの少なくとも1つの半径方向幅よりも小さい。対称線および/または平面440に関する対称拘束条件のため、通路430Aは、通路430I、または通路430H、または通路430G、または通路430f、または通路430E、または通路430D、または通路430C、または通路430Bの少なくとも1つよりも小さくてもよい。
【0060】
一実施形態では、通路の中心の少なくとも一部は、パージリング200の円周410全体にわたって均一に分布させる(例えば、対称的に半径方向に分布させる)ことができる。別の実施形態では、通路は、パージリング200の円周410の周りに非対称的に分布される。
【0061】
前述のように、パージリング200は、パージリングの2つの半体が同一であり得る対称平面を画定し得る対称線440の周りに対称性を示すことができる。したがって、対称線440および/または対称平面の下に位置するパージリング200の下半分は、上述の対称線および/または平面440の上に位置するパージリング200の上半分と同様に構成され、0度に位置する通路430Aの中心から始まり、180度に位置する通路430Iの中心で終わり、時計回り方向に移動する。すなわち、対称線および/または平面440の上の通路は、対称線および/または平面440の下に位置する通路と同様に構成され得る。
【0062】
2つの通路間の間隔は、チャネルを画定する。特に、パージリング200は、複数のチャネル490を含み、各チャネルは、外側チャネル450から出口ネットワーク460に半径方向にガスを流すように構成される。例えば、チャネルは、外側チャネル450から出口ネットワーク460にガスを無制限に流すように構成される。示すように、チャネル1は、通路430Aと430Bとの間に形成され、チャネル2は、通路430Bと430Cとの間に形成され、チャネル3は、通路430Cと430Dとの間に形成され、チャネル4は、通路430Dと430Eとの間に形成され、チャネル5は、通路430Eと430Fとの間に形成され、チャネル6は、通路430Fと430Gとの間に形成され、チャネル7は、通路430Gと430Hとの間に形成され、チャネル8は、通路430Hと430Iとの間に形成される。
【0063】
一実施形態では、通路は、チャネルの幅(例えば、半径方向幅)がパージ入口420からの距離に基づいて半径方向にサイズが増加するように構成される。特に、チャネルは、供給ポートまたはパージ入口420の反対側の円周における点(例えば、180度)に達するまでパージリングの円周410の周囲を半径方向に移動するとき、半径方向にサイズが増加する。すなわち、パージ入口420により近い(例えば、0度に位置するパージ入口420から90度未満の)チャネルは、パージ入口420から遠い(例えば、0度に位置するパージ入口420から90度を超える)チャネルよりも小さい幅(例えば、半径方向幅)を有する。特に、パージリング入口からの半径方向距離を中心とする第1のチャネルの半径方向幅は、パージリング入口により近い半径方向距離を中心とする第2のチャネルの半径方向幅よりも大きい。例えば、チャネル8の半径方向の幅は、チャネル7、またはチャネル6、またはチャネル5、またはチャネル4、またはチャネル3、またはチャネル2、またはチャネル1の少なくとも1つの半径方向幅よりも大きい。
【0064】
一実施形態では、チャネルは、パージリング200の円周410の周りに対称的に分布される(例えば、チャネルの中心の少なくとも一部が互いに等距離にあり得る)。別の実施形態では、チャネルは、パージリング200の円周410の周りに非対称的に分布される。
【0065】
いくつかの実施形態では、複数のチャネルおよび複数の通路は、外側チャネル450と出口ネットワーク460を接続する分配容積480内に構成される。分配容積は、出口ネットワーク460に関連付けられた円周410の周囲でパージガスを出口ネットワーク460に均等に分配するように構成される。具体的には、分配容積480は、出口ネットワーク460を画定する円周410のすべての点においてパージガスの半径方向かつ対称的な流れを供給するように構成され、円周は、パージリング200の内径475に近接して位置する。すなわち、分配容積480は、均一なガス流でガスを出口ネットワーク460に関連付けられた円周410内のすべての点に送給する。このようにして、出口ネットワーク460は、均一に半径方向かつ対称的にガスをウエハエッジに送給することができる。
【0066】
前述のように、パージ入口420においてパージリング200への入力として供給されるガスは、まず、第1の段階において外側チャネル450全体を流れる。例えば、入力ガス流435は、前述のように、パージ入口420から外側チャネル450内を反対方向に流れる。したがって、入力ガス流435は、圧力平衡に達するまで外側チャネル450全体を流れ、その時点でパージガスが第2の段階においてチャネルおよび通路内に半径方向に漏洩する。第2の段階におけるチャネルおよび通路の個々および組み合わせの動作のさらなる議論が、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲にガス(例えば、パージガス、不活性ガス、N2、窒素など)を対称的に分配するように構成されたパージリング200の断面の上面図を示している図4Bで提供される。特に、複数の通路430および複数のチャネル490は、出口ネットワーク460の円周410にわたるガスの出口流の均一な圧力および/または速度を提供するように構成される。
【0067】
図4Bは、本開示の一実施形態による、1つまたは複数の通路の周囲のガスの流れを示している。通路は、通路内のパージガスの自由な流れをブロック、方向転換、および/または制限するように構成される。例えば、ガスは、外側チャネル450から複数の通路430の各々に進入するように示されており、通路は各々、外側チャネル450と出口ネットワーク460との間の半径方向におけるガスの流れを低減するように構成される。例えば、ガスの流れは、通路の各々内で主に非半径方向であってもよい。すなわち、対応する通路におけるガスの流れは、パージリング200の中心441に向かう方向など、出口ネットワーク460への直接経路を辿ることはできない。その代わりに、ガスは、隣接するチャネルに向かうなどのガスの方向転換を示す各通路における矢印によって示されるように、対応する通路内で様々な方向に流れる。例えば、チャネル1とチャネル2との間の通路430Bは、ガスが隣接するチャネルの両方に向かって方向転換されることを示す。また、ガスの一部は、通路の構成に応じて、パージリングの中心に向かうなど、出口ネットワーク460に向かってある程度導かれる場合がある。
【0068】
また、第2の段階では、開放チャネル設計により、チャネルの各々を通るガスの流れは、パージガスが自由に、かつ/または出口ネットワーク460に向かって、例えばパージリング200の中心に向かって直接流れるように制限されない。すなわち、チャネルは、外側チャネル450から出口ネットワーク460に半径方向にガスが流れるように構成される。
【0069】
したがって、分配容積480内の複数の通路430および複数のチャネル、ならびに分配容積内の通路およびチャネルの構成は、1つの供給ポートまたはパージ入口420のみを使用して、パージリング200の出口ネットワーク460に関連付けられた円周410全体にわたるパージガスの対称的かつバランスのとれた半径方向の流れを供給する。通路および/またはチャネルの構成がない場合、パージ入口420により近い(例えば、パージ入口の90度以内の)出口ネットワーク460の出口ポートからのガスの流れが多くなり、かつパージ入口420からさらに離れた(例えば、パージ入口から90度よりも離れた)出口ネットワークの出口ポートからのガスの流れが少なくなるなど、パージリング全体にわたるガスの非対称分配が存在することになる。
【0070】
しかし、本開示の実施形態の通路および/またはチャネルの構成(例えば、複数の内部流路および/またはコンダクタンスチャネル、出口ネットワークの1つまたは複数の出口開口または出口ポート、出口開口または出口ポートの形状など)により、パージリング200は、1つの供給ポートまたはパージ入口420を使用して、対称的かつバランスのとれたガスの半径方向の流れを供給する。具体的には、通路および/またはチャネルの構成は、パージリング200の内径475の周り、より具体的にはパージリング200の出口ネットワーク460に関連付けられた円周410の周りのガスの対称的な半径方向の分配を提供するために、パージリング全体にわたる流体の可変流量を供給する。
【0071】
特に、複数のベクトルF(v)が、パージリング200の内径475の周りに存在する。ベクトルの各々は、出口ネットワーク460に関連付けられた円周410上の対応する点を起点とし、パージリング200の中心441に向かう方向を有し得る。すなわち、各ベクトルF(v)は、対応する出口開口、オリフィス、出口ポート、または開口部などの出口ネットワークを起点とし、中心441に向かう対応する方向を有する。したがって、ベクトルF(v)は、出口ネットワーク460に関連付けられたパージリングの円周410の周りに分布される。
【0072】
加えて、通路および/またはチャンネルの構成は、出口ネットワークからのガスの対称的な半径方向の分配を提供する。すなわち、出口ネットワーク460に関連付けられた円周410の各点におけるガスの流れは均一であり、それにより複数のベクトルF(v)の各々の大きさはほぼ等しい。例えば、速度円425は、すべてのベクトルF(v)についてほぼ等しい速度(例えば、大きさ)を示し、円周410と速度円425との間の各ベクトルに沿った距離は、パージリング200のすべての半径方向線においてほぼ等しい。すなわち、ベクトルF(v)の各々は、ほぼ同じ速度を有する。先に紹介したように、ベクトルF(v)の各々は、ガスの流速およびパージリングの中心に向かう方向を示す。このようにして、ガスは、正確かつ制御された均一な方式でウエハの周囲に送給される。すなわち、ガスの質量流量または半径方向流速は、パージリング200がガスの半径方向に対称的な流れを供給するように、出口ネットワーク460の円周410におけるすべての点で均一である。具体的には、本開示の実施形態は、パージリングの円周の周囲に方位角方向に均一な圧力および/または速度でガスを送給する。
【0073】
図4Cは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲にガスを対称的に分配するように構成されたパージリング200内のチャネルの例示的な数およびチャネルの例示的な幅を列挙する表435、ならびにパージリングの通路およびチャネルの再投影図を示しており、パージリングは、半径方向に対称的な流れとなるように構成される。表435は、例示の目的で、8つのチャネル(例えば、図示されていない対称線および/または平面の周りの半分)を有するパージリングを示しているが、他の実施形態は、より多いまたはより少ない数のチャネルを有するパージリングをサポートする。
【0074】
特に、表435は、対称線および/または対称平面の両側におけるチャネルの様々な厚さを示す。議論の目的で、図4Aおよび図4Bに示すチャネル1~8について論じられるが、これらは対称線440および/または対称平面の両側におけるチャネルを表すものである。一実施形態では、複数のサイズのチャネルは、パージガスの流れが、出口ネットワーク460に関連付けられた円周410の周囲など、パージリング200の周囲のすべての角度位置で均一のままであるように、パージガスの半径方向の流れの変動を低減するのに役立つ。
【0075】
再投影図445は、チャネル1~8の水平レイアウトを示し、チャネルの変化する幅(例えば、半径方向幅)を示している。特に、パージ入口420により近い(0度に位置する)チャネルは、前述のように、パージ入口420の対向点(例えば、180度)により近いチャネルなど、パージ入口420から遠いチャネルよりも半径方向幅が小さい。また、再投影図445は、複数の通路430(例えば、通路430A…430I)を示し、通路430Aは、約0度を中心とし、通路430Iは、約180度を中心とする。
【0076】
一実施形態では、少なくとも通路430B、430C、430D、430F、430G、および430Hを含む、通路の各々の中心の少なくともいくつかは、前述のように、互いに等距離(例えば、距離「d」)にある。すなわち、複数の通路の中心は、一実施形態では、パージリング200の出口ネットワーク460に関連付けられた円周410全体にわたって半径方向に均等に分布させることができる。別の実施形態では、通路は、非対称的に分布される。また、チャネル(例えば、チャネル1~8)は、円周410全体にわたって対称的または非対称的に分布させることができる。
【0077】
一実施形態では、チャネルは、前述のように、供給ポートまたはパージ入口420の反対側の円周における点に達するまでパージリングの円周の周囲を半径方向に移動すると、サイズ(例えば、半径方向幅)が増加する。例示の目的で、パージ入口420に最も近いチャネル1は、4ユニットの幅を有する。一方、パージ入口420から最も遠いチャネル8は、24ユニットの幅を有する。チャネル1とチャネル8との間に半径方向に位置するチャネルは、パージ入口420からの半径方向距離に基づいて対応する幅を有する。すなわち、パージ入口420から遠いチャネルは、表435によって示されるように、パージ入口420により近いチャネルよりも幅が大きい。特に、パージリングからの半径方向距離を中心とする第1のチャネルの半径方向幅は、パージリング入口により近い半径方向距離を中心とする第2のチャネルの半径方向幅よりも大きい。
【0078】
入口ポート420からさらに遠ざかるチャネルのサイズの増加は、ウエハ周囲にガスを対称的に分配するため(例えば、均等な質量流量の分配)、言い換えれば、出口ネットワーク460に関連付けられた円周410の周囲のすべての点において均等かつ均一なガス流を供給するために、パージリング200内の円周方向に、より具体的には出口ネットワーク460内でパージ入口420からさらに離れた点においてガスの流れ(例えば、質量流量の分配)の増加を促進するように設計されている。従来、本開示の実施形態の通路および/またはチャネル構成がない場合、パージリング内部の質量流量の分配は非常に非対称であり、パージ入口に近いほどガス流が多くなり、パージ入口の反対側の点ではガス流が非常に少なくなる。しかし、本開示の実施形態の通路および/またはチャネル構成は、パージリング200および出口ネットワーク460全体にわたって均一な質量流量の分配を可能にし、ウエハ周囲にガスが対称的に分配されるように、パージリング200の出口ネットワーク460に関連付けられた円周410のすべての点にわたって均等かつ均一なガス流を供給する。
【0079】
それに対応して、チャネルがパージ入口420から半径方向にさらに遠ざかるにつれてチャネルのサイズが増加するため、通路のサイズ(例えば、半径方向幅)は、前述のように、供給ポート420の反対側の円周における点(例えば、180度)に達するまでパージリングの円周の周囲を半径方向に移動すると、サイズ(例えば、半径方向幅)が減少し得る。例えば、通路は、0度でパージ入口420から半径方向に遠ざかるにつれてサイズが徐々に減少し得る。例示の目的で、通路430B、430C、430D、430E、430F、430G、430H、および430Iは、通路430Bが最大の幅を有し、通路430Iが最小の幅を有するように、サイズ(例えば、半径方向幅)が順次減少してもよい。一実施形態では、対称線および/または平面440に関する対称拘束条件のため、0度を中心とする通路430Aは、隣接する通路430Bよりも半径方向幅が小さくなり得る。
【0080】
図4Dは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲にガスを対称的に分配するように構成されたパージリング上の角度位置(例えば、y軸)に対するガスの速度(例えば、x軸)の変動を示すグラフ465である。示すように、特に、グラフ465は、パージリングの内径、またはパージリング200の出口ネットワーク460に関連付けられた円周410の周りのガスの出口流量および/または圧力の変動が少ないことを示す。すなわち、出口ネットワーク460からのガス流の速度は、円周の周囲のすべての点においてほぼ等しい。それに対応して、出口ネットワーク460から送給されるガスの圧力は、円周の周囲のすべての点においてほぼ等しい。例えば、0度に位置するパージ入口420に近い点におけるガスの速度および/または圧力は、パージ入口から最も遠い点(例えば、180度)におけるガスの速度および/または圧力にほぼ等しい。
【0081】
図5Aは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲にガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2など)を対称的に分配するように構成されたパージリング200の断面を含む斜視図を示す図500Aである。示すように、パージリング200は、ガスの流出用に構成された複数の出口開口を含む出口ネットワーク460を含み、パージリングは、ガスが半径方向に対称的な流れとなるように構成され、それにより均等かつ均一なガス流が、出口ネットワーク460に関連付けられた円周410の周囲のすべての点においてパージリングを出るようになっている。
【0082】
例えば、パージリングは、パージ入口420(図示せず)でガス分配システムからガスを受け入れるように構成された外側チャネル450を含む。外側チャネルは、ガスが分配容積480に送給される前のガス分配の第1の段階において外側チャネル450全体にわたって圧力平衡に達するように、ガスに対して低い流体抵抗を示すように構成される。すなわち、外側チャネル内で平衡に達した後、ガスは、前述のように、複数の通路および複数のチャネルを含む分配容積480に漏洩する。例えば分配容積480)内の通路およびチャネルは、均一かつ対称的な半径方向のガス流をリザーバ510に供給するように構成され、リザーバは、実施形態では、分配容積480内のチャネルおよび通路、ならびに/またはチャネルおよび通路を出口ネットワーク460に接続する。このようにして、出口ネットワーク460にガスを半径方向に流す前など、ガスを出口ネットワークに送給するとき、圧力平衡がリザーバ510内でも達成される。分配容積480の周囲のすべての点および/またはリザーバ510の周囲のすべての点において均一なガス流を有することによって、出口ネットワーク460を出るガス流は、ウエハ周囲にガスを対称的に分配する。
【0083】
出口ネットワーク460は、ウエハ周囲にガスを対称的に分配するために任意の方式で構成することができる。一実施形態では、出口ネットワークは、出口ネットワーク内に複数の出口開口を含み、各出口開口は、ガスの出口流の対応する部分を提供するように構成される。一実施形態では、出口ネットワークは、出口開口のアレイを備える。出口開口は、いかなる形状および形態であってもよく、開口部、オリフィス、出口ポートなどを含んでもよい。実施形態では、出口開口は、出口ネットワーク460に関連付けられた円周410の周りに対称的または非対称的に分布させることができる。別の実施形態では、複数の出口開口は、パージリング200の底面515上に構成される。
【0084】
例えば、出口開口460Aは、リザーバ510に接続されたチャネル520Aに接続される。一実施形態では、チャネル520Aは、出口開口460Aからパージリング200の内径475に向かう方向へのガスの流出を促進するように角度付けされる。特に、出口ネットワーク460は、一実施形態では、出口開口に至るチャネル(チャネル520Aを含む)がリザーバ510から内径475に向かって延びるときに横方向内方に延びて対応する出口開口に接続されるように、下方の方向に配向される。このようにして、ガスは、図8Dに関連してさらに説明されるように、ウエハ周囲の対応する部分の周囲にガスを分配するため、例えばウエハ周囲にプロセスガスを希釈するために、ウエハ周囲(例えば、パージリング200の内径475のわずかに上に位置し、かつ内径475と重なるに向かって導かれる。他の実施形態では、出口ネットワーク460は、一実施形態では、出口開口に至るチャネル(チャネル520Aを含む)がリザーバ510から延びて内径475から遠ざかるときに横方向外方に延びて対応する出口開口に接続されるように、下方の方向に配向される。さらに他の実施形態では、出口ネットワークは、チャネルがリザーバから上面590に向かって上方に延びて対応する出口開口(図示せず)に接続されるように、上方の方向に配向され、チャネルは、内径475に向かって横方向内方に、または内径475から離れる方向に外方に延びることができる。図6A-1~図6A-4は、様々な例示的な実施形態における出口ネットワーク460のチャネルおよび出口開口の異なる配向を示している。図示していないが、チャネルおよび出口開口の他の配向もサポートされることが理解される。
【0085】
図5Bは、本開示の一実施形態による、図5Aに示すパージリング200の断面を含む別の斜視図を示す図500Bである。断面は、チャネルも通路も存在しない領域、または通路がパージガスの流れを完全に制限するように構成される領域を示し得る。特に、リザーバ510が示されており、角度付けされたチャネル520は、リザーバ510を出口ネットワーク460の少なくとも1つの出口ポート(例えば、出口開口)に接続する。
【0086】
リザーバ510は、リング形状、環状、環状リング形状などを有してもよく、リザーバ510は、容積を有する。一実施形態では、リザーバ510は連続的であり、それによりリザーバ510は、パージリング全体にわたって中断せずに続く内部容積またはチャネルを有する。別の実施形態では、リザーバ510は、異なるセクションが分配容積480を出口ネットワーク460の対応する部分に接続するように、セクション化されてもよい。
【0087】
図5Cは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲にガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2など)を対称的に分配するように構成されたパージリング200’の断面を含む斜視図を提供する図500Cである。特に、パージリング200’は、チャネルおよび通路を介してリザーバ510に接続される外側チャネル450を含む。一実施形態では、外側チャネル450は、チャネルおよび通路を含む分配容積を介してリザーバ510に接続される。リザーバ510は、チャネルおよび通路を、ガスの流出用に構成された1つまたは複数の連続チャネル530を含む出口ネットワークに接続する。1つまたは複数の連続チャネル530は、出口ネットワークの円周、例えば例示の目的で、円周410を辿るように構成され得る。例えば、出口ネットワークは、全周にわたって1つの連続チャネルであってもよいし、または円周の周囲に構成されたチャネルの複数のセクションにセクション化されていてもよい。一実施形態では、1つまたは複数の連続チャネルの少なくとも1つは、多孔質媒体を備える。出口チャネル530は、パージリング200’からの均一かつ対称的な半径方向のガス流を供給し、それにより出口ネットワークを出るガス流は、前述のように、ウエハ周囲にガスを対称的に分配する。
【0088】
図5Dは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲にガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2など)を対称的に分配するように構成されたパージリング200’の断面を含む斜視図を示す図500Dである。特に、パージリング200’’は、外側チャネル450に近接または隣接して位置する内側レッジ540上に配置された一連の出口ポート550または出口開口を含む出口ネットワークを有する。内側レッジは、パージリング200’全体にわたって外側チャネルを辿り、かつ/または外側チャネルに近接して位置してもよい。示すように、出口ポート550は、本開示の一実施形態に従って、ガスの流出用に構成される。示すように、内側レッジ540は、少なくとも出口ポート550A、550B、および550Cを含む。出口ポートは、パージリング200’の内径475’に向かう方向にガスを導くように配置される。このようにして、ガスは、ウエハ周囲の対応する部分の周囲にパージガスを分配するために、ウエハ周囲(例えば、パージリング200’’の内径475’のわずかに上に位置し、かつ内径475’と重なるに向かって導かれる。
【0089】
図6Aは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲にガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2など)を対称的に分配するように構成された、少なくとも図4A図4Bで先に紹介したパージリング200におけるチャネル610の図4Aの線A--Aに沿った断面600Aである。一実施形態では、チャネル610は、チャネルおよび通路を含む分配容積480に位置する。図6Aに示すチャネル610は、前述のように、外側チャネルと出口ネットワーク460との間で半径方向にガスの流れを供給する。特に、チャネル610は、半径方向のガスに対する低い流体抵抗を提供し、かつ出口ネットワーク460への無制限の半径方向経路を提供する。
【0090】
示すように、パージリング200の断面600Aは、パージ入口420で受け入れられるガスに対して円周方向に低い流体抵抗を提供するように構成された外側チャネル450を含む。したがって、ガスは、第1の段階において圧力平衡に達するまで、外側チャネル450の周囲を円周方向に流れる。圧力平衡に達した後、ガスは、複数の通路および複数のチャネル内に半径方向に流れ、かつ/または漏洩する。いくつかの実施形態では、ガスは、通路およびチャネルを含む分配容積内に半径方向に流れる。例えば、ガスは、チャネル610内に半径方向に、リザーバ510に向かう方向に流れる。さらに、ガスは、リザーバから出口ネットワーク460のチャネル520M-1を通って流れ、出口ポート460M(例えば、出口開口)を出る。前述のように、出口ネットワーク460は、一実施形態では、出口開口(出口開口460M-1を含む)に至るチャネル(チャネル520M-1を含む)がリザーバ510から内径475に向かって延びるときに下方および横方向内方に延びて対応する出口開口に接続されるように、下方の方向に配向される。チャネル520M-1は任意の場所でリザーバ510にアクセスすることができ、図6A-1に示す構成は例示的であることが理解される。リザーバ510は圧力平衡に達するように構成され、それによりガスの対称的な半径方向の流れが出口ネットワーク460全体にわたって供給される。すなわち、出口ポート460M-1からのガスの流出は、出口ネットワーク460における別の出口ポートからのガスの流出とほぼ等しい。
【0091】
図6A-2は、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの分配容積におけるチャネルの断面600A-2であり、出口チャネルは、下方および外方の配向に構成される。線A-2は、図4Aの線A--Aの位置決めと同様であり、断面600A-2は、出口ネットワーク460の異なる配向および構成を示す。特に、出口ネットワーク460-2は、一実施形態では、出口開口(出口開口460M-2を含む)に至るチャネル(チャネル520M-2を含む)が内径475から離れてリザーバ510から外側チャネル450に向かって延びるときに下方および横方向外方に延びて対応する出口開口に接続されるように、下方の方向に配向される。チャネル520M-2は任意の場所でリザーバ510にアクセスすることができ、図6A-2に示す構成は例示的であることが理解される。
【0092】
図6A-3は、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの分配容積におけるチャネルの断面であり、出口チャネルは、上方および内方の配向に構成される。線A-3は、図4Aの線A--Aの位置決めと同様であり、断面600A-3は、出口ネットワーク460の異なる配向および構成を示す。特に、出口ネットワーク460-3は、一実施形態では、出口開口(出口開口460M-3を含む)に至るチャネル(チャネル520M-3を含む)がリザーバ510から内径475に向かって延びるときに上方および横方向内方に延びて対応する出口開口に接続されるように、上方の方向に配向される。チャネル520M-3は任意の場所でリザーバ510にアクセスすることができ、図6A-3に示す構成は例示的であることが理解される。
【0093】
図6A-4は、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたパージリングの分配容積におけるチャネルの断面であり、出口チャネルは、上方および外方の配向に構成される。線A-4は、図4Aの線A--Aの位置決めと同様であり、断面600A-2は、出口ネットワーク460の異なる配向および構成を示す。特に、出口ネットワーク460-2は、一実施形態では、出口開口(出口開口460M-4を含む)に至るチャネル(チャネル520M-4を含む)が内径475から離れてリザーバ510から外側チャネル450に向かって延びるときに上方および横方向外方に延びて対応する出口開口に接続されるように、上方の方向に配向される。チャネル520M-4は任意の場所でリザーバ510にアクセスすることができ、図6A-4に示す構成は例示的であることが理解される。
【0094】
図6Bは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲にガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2など)を対称的に分配するように構成された、少なくとも図4A図4Bで先に紹介したパージリング200の断面を含む斜視切断図600Bである。切断図600Bは、パージリング200の底部を示している。特に、外側チャネル450は、前述のように、パージ入口420で受け入れられるガスに対して円周方向に低い流体抵抗を提供するように構成される。
【0095】
外側チャネル450内の圧力平衡に達した後、ガスは、複数の通路430および複数のチャネル内に半径方向に流れ、かつ/または漏洩する。一実施形態では、ガスは、通路およびチャネルを含む分配容積480内に半径方向に流れる。例えば、通路430Xおよび430Yは、チャネル610の両側に、チャネル610に隣接して位置する。通路430Xおよび430Yの各々は、ガスがこれらの通路430Xおよび430Yによってチャネル610に向かって少なくとも部分的に方向転換されるように、分配容積を通るガスの半径方向の流れを制限する。前述のように、チャネルは、外側チャネルから出口ネットワークに半径方向にガスを流すように構成される。一実施態様では、チャネルは、先に紹介したように、分配容積480を通って出口ネットワーク460に向かうガスの無制限の半径方向の流れを供給する。すなわち、通路は、チャネルに存在する半径方向の流体抵抗と比較して、より高い半径方向の流体抵抗を提供する。したがって、通路およびチャネルの構成は、パージリング200全体にわたって均等かつ均一な半径方向のガス流をリザーバ510に供給するように構成される。
【0096】
前述のように、リザーバ510は圧力平衡に達するように構成され、それによりガスの対称的な半径方向の流れが出口ネットワーク460全体にわたって供給される。例えば、出口ネットワーク460は、パージリング200の円周410全体にわたって分布された複数の出口開口または出口ポートを含んでもよい。したがって、出口ネットワーク460における任意の出口開口または出口ポートからのガスの流出は、出口ネットワークにおける別の出口開口または出口ポートからのガスの流出とほぼ等しい。
【0097】
図6Cは、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲にガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2など)を対称的に分配するように構成されたパージリングにおける例示的な通路の線B--Bに沿った断面600Cである。一実施態様では、通路は、前述のように、通路およびチャネルを含む分配容積480に位置する。示すように、パージリング200の断面600Cは、パージ入口420で受け入れられるガスに対して円周方向に低い流体抵抗を提供するように構成された外側チャネル450を含む。したがって、ガスは、第1の段階において圧力平衡に達するまで、出口チャネルの周囲を流れる。圧力平衡に達した後、ガスは、複数の通路および複数のチャネル内に半径方向に流れ、かつ/または漏洩する。一実施態様では、ガスは、通路およびチャネルを含む分配容積480内に半径方向に流れる。
【0098】
断面600Cでは、ガスは通路430C内に流れ、概してリザーバ510に向かう方向に流れ、通路430は、半径方向のガスの流れを低減するように構成される。通路430Cは、チャネル2とチャネル3との間に位置する。通路430Cは、先に紹介したように、ガスが出口ネットワーク460に向かって流れるときに分配容積480を通るガスの流れを制限、迂回、方向転換などするように構成される。特に、通路430Cは、チャネル内に存在する流体抵抗と比較してガスに対して半径方向により高い流体抵抗を提供し、そのため、通路430Cを通る出口ネットワーク460への制限された半径方向経路を提供する。その後、ガスは、リザーバから出口ネットワーク460のチャネル520Pを通って流れ、出口ポート460Pを出る。リザーバ510は圧力平衡に達するように構成され、それによりガスの対称的な半径方向の流れが出口ネットワーク460全体にわたって供給される。すなわち、出口開口または出口ポート460Pからのガスの流出は、出口ネットワーク460における別の出口開口または出口ポートからのガスの流出とほぼ等しい。
【0099】
通路430Cは、様々な程度の流体抵抗に対して構成され得る。通路は、平坦であってもよい表面482を有する固体または多孔質媒体であり得る(例えば、図6Bの通路430Y参照)。例えば、表面482と上面481との間の距離「d」は、異なる値の流体抵抗を提供するために選択可能とすることができる。表面482と上面481との間の空間は、流体の流れを供給する。一般に、例示の目的で、少なくとも半径方向において、空間内の距離「d」が大きくなると、流体抵抗が小さくなり(通路の高さが低くなる)、距離「d」が小さくなると、流体抵抗が大きくなる(例えば、通路の高さが大きくなる)。さらに、通路の多孔度、サイズ、および/または形状を変化させることもまた、流体抵抗に影響を及ぼす。例えば、通路に対して平坦な表面を有する代わりに、通路430Cの表面482は、表面積を増加させるために全表面にわたってリブを付けられてもよく、それによって少なくとも半径方向における対応する通路内の流体抵抗が増加する。本開示の実施形態では、複数の通路430における1つまたは複数の通路は、様々な程度の流体抵抗を提供するように異なるように構成され得る。
【0100】
図7は、本開示の一実施形態による、均等なガス流でガスをマルチステーションプロセスチャンバ内の複数のステーションの台座アセンブリの各々に分配するように構成されたガス分配システム700を示している。ガス分配システム700は、均一なガスの流れが供給分岐部の各々でステーションの各々(例えば、STN1、STN2、STN3、およびSTN4)に供給されるように、ステーション間でバランスのとれたガスの送給を行う。ガス分配システム700は、処理チャンバ内に存在する高温および高圧などの極端な条件で動作するように構成される。
【0101】
一実施形態では、対応するステーションの台座アセンブリの各々は、本開示の一実施形態による、ウエハ周囲にガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2など)を対称的に分配するように構成されたパージリングを含む。前述のように、パージリングは、1つの供給ポート(例えば、パージ入口420)で対称的かつバランスのとれた半径方向の流れを供給する。特に、パージリングは、流体の可変流量を供給するように、例えば、出口ネットワーク(例えば、複数の出口ポート)のすべての点において半径方向に対称的な流れを供給するように構成される。したがって、一実施形態では、出口ネットワーク内のすべての点におけるガス流の半径方向流速は、均一である。さらに、別の実施形態では、出口ネットワーク内のすべての点におけるガス流の圧力は、均一である。
【0102】
特に、ガス分配システム700は、ガス源を提供する設備760を含む。超高純度(UHP)および高精度の圧力調節器750が、低圧を提供するなど、圧力を調節するために設けられる。精密マスフローコントローラ(MFC)740が、ガスを低流量および低圧力に制御するように構成される。特に、MFC740は圧力に敏感ではなく、ガスに対して精密な低流量MFCを提供する。また、UHP2ポート/2位置弁730が設けられる。設備760、UHP圧力調節器750、MFC740、およびUHP2ポート/2位置弁730は、可撓性ガスラインまたは導管などのガス送給構造または導管710内に設けられるか、またはそれらに接続される。
【0103】
特に、ガス送給構造または導管710は、プロセスチャンバの内部ステーション隔壁211を通して送られ、ガス送給構造710は、対応するアクセスポート(例えば、ポート920)を介してステーションの各々へのガスの送給を行う。例えば、各アクセスポートは、対応するステーションに至る供給分岐部に対応する。示すように、ガス送給構造710は、4つの供給分岐部720-1、720-2、720-3、および720-4を含む。供給分岐部の各々は、対応するアクセスポートに接続され、ガスを対応するステーション内の台座アセンブリのパージリングに送給するように構成される。例えば、供給分岐部720-1は、ガスをステーション1に供給し、供給分岐部720-2は、ガスをステーション2に供給し、供給分岐部720-3は、ガスをステーション3に供給し、供給分岐部720-4は、ガスをステーション4に供給する。強調表示されたエリアZが、図8Aの供給分岐部720-1の構成要素を示すために拡大される。
【0104】
図8Aは、本開示の一実施形態による、前述のように、ウエハ周囲にガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2など)を対称的に分配するように構成されたパージリング200と、ガスをパージリング200に送給するための強調表示エリアZ内の供給分岐部720-1とを含む台座アセンブリ800Aの部分断面を示す図である。図8Aの構成要素は、各ステーションへのガスの送給を示すために概略化されている。特に、台座アセンブリ800Aは、スピンドル160を含む。ステーション接続部221が、対応するステーションにスピンドルを着座させるように構成される。回転機構(図示せず)が、台座140を回転させる目的でスピンドル160に接続され得る。スピンドル160は、前述のように、基板を支持するように構成された台座140に接続される。パージリング200は、台座140の外周に近接して位置し、パージリング200と台座140の連動については、図8Dに関連して以下でより詳細に説明される。
【0105】
強調表示されたエリアZも図8Aに示されており、先に紹介したように、ガス送給構造710からガスをパージリング200に送給する供給分岐部720-1の拡大図を提供する。特に、ガス送給構造710は、一実施形態では三方向コネクタであってもよいアクセスポート920を含み、1つの接続部が分岐部720-1に至る。ガス送給構造710は、前述のように、高精度のガス流量(例えば、ガスを低流量および低圧力に制御)をアクセスポート920(例えば、分配マニホールド、三方向コネクタなど)に供給する。ガス送給構造710は、可撓性チューブ(例えば、金属など)および接続部を含むことができる。
【0106】
供給分岐部720-1は、対応するステーションへのガス流を調節するように構成された少なくとも1つの流体抵抗器830を含み得る。複数の流体抵抗器を設けることにより、より精密な制御が提供される。このようにして、複数のステーションの各々へのガス流を調節することで均一に近いまたはほぼ等しいガス流をステーションの各々に供給することができ、ガスの調節は、対応する分岐部の流体抵抗器を通じて行うことができる。例えば、第1の流れ抵抗器830aおよび第2の流れ抵抗器830bは、供給分岐部720-1のガス供給ライン820(例えば、導管)に設けられ得る。結合界面840が、金属ガス供給ライン820をセラミックパージリング200に接続されたセラミック導管またはチューブに連動させ、図8Bに関連してさらに説明される。
【0107】
図8Bは、セラミックから金属への遷移を行うように構成された結合界面840の断面の拡大図である。特に、結合界面840は、本開示の一実施形態によれば、金属ガス導管を、ウエハ周囲に不活性ガスを対称的に分配するように構成されたセラミックパージリング、およびガスをパージリングに送給するための導管に連動させる。示すように、セラミックである供給導管829は、一端でパージリング200に接続され、他端で円錐シールを介してカプラ842に接続される。特に、ナット841aおよびウェーブワッシャ843a(例えば、ベローズコンプライアントであり得る)が、供給導管829をカプラ842に固着するために使用される。また、金属であるガス供給導管820は、一端で、ガスを送給するアクセスポートに接続される(例えば、前述の供給分岐部を介して)。ガス供給導管820は、他端で円錐シールを介してカプラ842に接続される。特に、ナット841b(例えば、ニッケル合金)およびウェーブワッシャ843b(例えば、ベローズコンプライアントであり得る)が、ガス供給ラインまたは導管820をカプラ842に固着するために使用される。
【0108】
示すように、距離「p」は、追加の流れ制御を提供するために、供給導管820と供給導管829との間で可変であってもよい。例えば、距離「p」が大きくなるほど、パージリング200へのガスの流れに影響を及ぼす流体抵抗が大きくなる。
【0109】
図8Cは、本開示の一実施形態による、ガスを、ウエハ周囲にガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2など)を対称的に分配するように構成されたパージリング200に送給するための導管内に構成された流れ抵抗器830’の断面図であり、流れ抵抗器830’は、ガスをパージリングに送給するための導管内に含めることができる。示すように、流れ抵抗器830’は、流体抵抗を提供するように構成されたベローズの形態であり得る。
【0110】
図8Dは、本開示の一実施形態による、パージリング200と連動する台座140の周囲を示す例示的な台座アセンブリ800Dの断面である。パージリング200は、供給チューブ829を通してガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2など)を受け入れ、供給チューブ829は、ガスをパージリング200を含む対応するステーションに送給するように共に構成された、ガス送給構造710を含むガス分配システム700に接続される。前述のように、パージリング200は、パージ入口(例えば、入口420)(図示せず)で受け入れられるガスに対して円周方向に低い流体抵抗を提供するように構成された外側チャネル450を含む。したがって、ガスは、第1の段階において圧力平衡に達するまで、出口チャネルの周囲を円周方向に流れる。圧力平衡に達した後、ガスは、前述のように、複数の通路および複数のチャネル内に半径方向に流れ、かつ/または漏洩する。一実施態様では、ガスは、前述のように、通路およびチャネルを含む分配容積480内に半径方向に流れる。例えば、ガスは、通路およびチャネルを通ってリザーバ510に向かう方向に半径方向に流れる。さらに、ガスは、リザーバ510からチャネル520を通って出口ネットワークの出口開口または出口ポートに流れる。リザーバ510は圧力平衡に達するように構成され、それによりガスの対称的な半径方向の流れが出口ネットワーク全体にわたって供給される。すなわち、出口ネットワークからのガスの流出は、半径方向に対称的かつ均一なガスの流れをウエハ周囲に供給するために、出口ネットワークに関連付けられた円周の周囲のすべての点においてほぼ等しい。
【0111】
一実施形態では、パージリングは、ウエハのロードおよび/またはアンロード中にパージリング200が移動しないように静止している。例えば、ウエハの送給中、リフトピン890が移動空間895を通って上方に移動し、ウエハをプロセスチャンバ間でロードおよび/またはアンロードする目的で、ロボットアーム(例えば、エンドエフェクタ)がウエハと係合するのを可能にするのに十分な距離だけ、ウエハ101をMCA850から台座の上面870の上に上昇させる。他の実施形態では、パージリングはまた、ステーションからステーションへのウエハの回転中にパージリング200が移動しないように静止している。例えば、ウエハの回転中、リフトピン890が移動空間895を通って上方に移動し、ウエハを適切なステーションに割り出す目的で、回転機構220のパドル225がウエハ101と係合するのを可能にするのに十分な距離だけ、ウエハ101をMCA850から台座の上面870の上に上昇させ、それによりウエハはマルチステーションプロセスチャンバ内であるステーションから別のステーションに回転される。
【0112】
台座140は、ウエハ101を支持するように構成された上面870を含む。ウエハ支持体または最小接触面積(MCA)850は、高い精度もしくは公差が必要な場合、および/または欠陥リスクを低減するために最小限の物理的接触が望ましい場合、表面(例えば、ウエハ101の上面870および底面)間の嵌合精度を改善するために使用することができる。台座140は、台座140の周囲に段差(例えば、下り段差)を含んでもよく、段差の上面875は、ウエハを支持するために使用される台座の上面870よりも低くすることができる。追加のパージリング支持体855は、パージリングがパージリング支持体855上に存在するとき、パージリング200と段差の上面875との間の制御された距離を維持することを可能にする。パージリング支持体855の代わりに、パージリング200は、台座140の段差の上面875上に位置するMCAを使用して支持されてもよい。
【0113】
ウエハ100がMCA850によって支持され、パージリング200がパージリング支持体855によって支持される場合、いくつかの実施形態では、ウエハ100のエッジ領域がパージリング200の内側部分209の上に配置される。すなわち、ウエハ100は、パージリング200の内径475を超えて延び、内径475と重なる。一実施形態では、段差のパージリング支持体855上に存在するパージリング200の上面879は、ウエハを支持するために使用される台座の上面870よりも低くすることができる。段差の上面875から距離を置いた位置でのパージリングの支持、ならびに台座140の上面870から距離を置いた位置でのウエハの支持は、ウエハのエッジ領域とパージリング200の内側部分209(例えば、内径475の近くの上面879)との間に垂直方向の分離(例えば、0.5~10mm)を作り出すように調整される。このようにして、パージリング200を通過し(例えば、外側チャネル450を介して、分配容積480を通ってリザーバ510に至り、出口ネットワークを通って出る)、パージリング200、台座140、およびウエハ1010の間に形成された空間を通過するパージガスの流れ860が許容される。特に、パージガスは、パージリング200の内側部分209の周囲およびウエハ101のエッジの下で流れ860を辿り、前述のように、ウエハエッジでプロセスガスを希釈するためにウエハエッジ近くの容積に集まる。具体的には、パージガスは、ウエハエッジにおける電荷の蓄積を低減するためにウエハエッジの周囲のプラズマシースの局所的な希釈をもたらし、それによってプロセス(例えば、PECVD、ALDなど)中にウエハからセラミック台座への放電またはアーク放電の確率を低減する。別の実施形態では、ウエハ101のエッジの周囲に存在するパージガスが正の逆流を生成し、ウエハの裏面、特にウエハエッジの近くでの堆積を制限する(例えば、ウエハのエッジの下、およびパージリングの上面879の上のギャップにおけるプラズマ形成を最小限に抑える)。
【0114】
図9Aは、本開示の一実施形態による、4つの処理ステーションが設けられたマルチステーション処理ツール250の上面図を示しており、均等なガス流でガス(例えば、パージガス、不活性ガス、窒素、N2など)をステーションの各々の台座アセンブリに分配するためのガス分配システムを示す。マルチステーション処理ツール250は図2Aで先に紹介されており、図2Aに関連した関連構成要素(例えば、同様の番号が付された構成要素)の議論は図9Aに関連しているため、明瞭さおよび簡潔さのために繰り返さない。
【0115】
図9Aに示すように、ガス送給構造710(例えば、可撓性導管)は、対応する開口部210など、プロセスチャンバ250の内部ステーション隔壁211を通して送られる。このようにして、ガス送給構造または導管710は各ステーションに存在し、ガスをステーションの各々に送給するためにアクセスすることができる。特に、ガス送給構造710は、対応するアクセスポート(例えば、ポート920)、および対応する供給分岐部(例えば、720-1、720-2、720-3、および720-4)を介してガスをステーションの各々に送給する。供給分岐部の各々は、ガスを対応するステーション内の対応する台座アセンブリの対応するパージリングに送給するように構成され、各パージリングは、対応するパージ入口420においてガスを受け入れる。
【0116】
図9Bは、本開示の一実施形態による、4つの処理ステーションを有するマルチステーション処理ツール(例えば、ツール250)のチャンバインサート910aおよび910bの上面図を示している。示すように、図9Aのガス送給構造または導管710は、マルチステーション処理ツールまたはチャンバのステーション隔壁211における開口部210を通して送られる。特に、ステーション隔壁211の各々は、一対のインサート910aおよび910bを含むことができる。さらに、各対のインサート910aおよび910bは、チャンバの対応する外壁に近接して位置する。また、各対のインサート910aおよび910bは、ステーション間でガス送給構造710を送るために使用され得る開口部210を含む。このようにして、ガス送給構造710は、ガス送給の目的でステーションの各々に存在する。
【0117】
図9Cは、本開示の一実施形態による、4つの処理ステーションを有するマルチステーション処理ツール(例えば、ツール250)の図9Bに示すチャンバインサート910aおよび910bの底面図を示している。図9Cのチャンバインサートの底面図では、ステーション隔壁211における開口部210が露出している。前述のように、ガス分配構造または導管710は、マルチステーションチャンバ250のステーション隔壁211における開口部210を通して(例えば、チャンバインサート910aおよび910bの開口部210を介して)送られる。
【0118】
特に、ガス分配構造または導管710は、均等なガス流でガスを複数のステーションの各々の台座アセンブリに均一に分配するように構成される。示すように、ステーション内に含まれるガス分配構造710の一部は、導管の2つの異なる金属片を接合する1つまたは複数の圧縮フィッティング925と、ガスを対応するステーションに供給するように構成されたアクセスポート920とを含み得る。例えば、図9Cは、ステーション1を通して送られるガス分配構造710を示し、アクセスポート920は、分岐部720-1などを通して、ガス分配構造710におよびパージリング200のパージ入口420に接続される。パージリング200は、前述のように、出口ネットワーク(例えば、出口ポート)から半径方向に対称的かつ均一なガス流を供給するように構成され、それによりパージガスが処理中にウエハエッジにおいて均等に分配される。
【0119】
図10は、上述のシステムを制御するための制御モジュール1000を示す。例えば、制御モジュール1000は、プロセッサと、メモリと、1つまたは複数のインターフェースとを含むことができる。制御モジュール1000は、感知された値に部分的に基づいてシステム内のデバイスを制御するために用いられ得る。単なる一例として、制御モジュール1000は、感知された値および他の制御パラメータに基づいて、弁1002、フィルタヒータ1004、ポンプ1006、ガス分配システム700、および他のデバイス1008の1つまたは複数を制御することができる。制御モジュール1000は、単なる一例として、圧力計1010、流量計1012、温度センサ1014、および/または他のセンサ1016から感知された値を受信する。制御モジュール1000を用いて、前駆体の送給および膜の堆積中のプロセス条件を制御することもできる。制御モジュール1000は、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスと、1つまたは複数のプロセッサとを含む。
【0120】
制御モジュール1000は、前駆体送給システムおよび堆積装置の活動を制御することができる。制御モジュール1000は、プロセスタイミング、送給システム温度、およびフィルタにわたる圧力差、弁位置、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、基板温度、RF電力レベル、基板チャックまたは台座位置、パージガスの送給、および特定のプロセスの他のパラメータを制御するための一連の命令を含むコンピュータプログラムを実行する。制御モジュール1000はまた、圧力差を監視し、蒸気前駆体の送給を1つまたは複数の経路から1つまたは複数の他の経路に自動的に切り替えることができる。いくつかの実施形態では、制御モジュール1000に関連付けられたメモリデバイスに記憶された他のコンピュータプログラムを用いることができる。
【0121】
典型的には、制御モジュール1000に関連付けられたユーザインターフェースが存在する。ユーザインターフェースは、ディスプレイ1018(例えば、装置および/またはプロセス条件のディスプレイスクリーンおよび/またはグラフィカルソフトウェアディスプレイ)、およびポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイス1020を含むことができる。
【0122】
プロセスシーケンスにおける前駆体の送給、堆積、および他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムは、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語(例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートランなど)で書かれ得る。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトは、プログラムに識別されたタスクを実施するためにプロセッサによって実行される。
【0123】
制御モジュールパラメータは、例えば、フィルタ圧力差、プロセスガス組成および流量、パージガス流量、温度、圧力、RF電力レベルおよび低周波RF周波数などのプラズマ条件、冷却ガス圧力、ならびにチャンバ壁温度などのプロセス条件に関連する。
【0124】
システムソフトウェアは、多くの異なる方法で設計または構成することができる。例えば、様々なチャンバ構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトは、パージガスの送給を含む、本発明のプロセスを実行するために必要なチャンバ構成要素の動作を制御するために書かれてもよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムのセクションの例には、基板位置決めコード、プロセスガス制御コード、パージガス制御コード、圧力制御コード、ヒータ制御コード、およびプラズマ制御コードが挙げられる。
【0125】
基板位置決めプログラムは、基板を台座またはチャック上にロードし、基板とガス入口および/またはターゲットなどのチャンバの他の部分との間の間隔を制御するために使用されるチャンバ構成要素を制御するためのプログラムコードを含むことができる。プロセスガス制御プログラムは、チャンバ内の圧力を安定化するために、ガス組成および流量を制御するためのコード、ならびに任意選択で、堆積前にガスをチャンバ内に流すためのコードを含むことができる。パージガス制御プログラムは、パージガスの送給を制御するためのコードを含むことができる。フィルタ監視プログラムは、測定された差を所定の値と比較するコードおよび/または経路を切り替えるためのコードを含むことができる。圧力制御プログラムは、例えば、チャンバの排気システムのスロットル弁を調節することによってチャンバの圧力を制御するためのコードを含むことができる。ヒータ制御プログラムは、前駆体送給システム、基板、および/またはシステムの他の部分の構成要素を加熱するための加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含むことができる。あるいは、ヒータ制御プログラムは、基板チャックへの熱伝達ガス(ヘリウムなど)の送給を制御することができる。
【0126】
堆積中に監視することができるセンサの例には、限定はしないが、質量流量制御モジュール、圧力マノメータ1010などの圧力センサ、送給システム、台座、またはチャックに位置する熱電対、および状態センサ1020が挙げられる。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムをこれらのセンサからのデータと共に使用して、所望のプロセス条件を維持することができる。以上は、シングルまたはマルチチャンバ半導体処理ツールにおける本開示の実施形態の実施を説明したものである。
【0127】
いくつかの実施態様では、コントローラはシステムの一部であり、そのようなシステムは上述した例の一部であってもよい。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(基板台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理機器を備えることができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの送給、パージガスの送給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送給設定、位置および動作設定、特定のシステムに接続または連動するツールおよび他の移送ツールに対する基板の搬入と搬出、および/またはロードロックに対する基板の搬入と搬出が含まれる。
【0128】
広義には、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体基板上で、または半導体基板用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0129】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。
【0130】
リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理ステップのためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラが連動または制御するように構成されるツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを備えることによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0131】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用されてもよい任意の他の半導体処理システムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0132】
上記のように、ツールによって実施される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【0133】
実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提供されたものである。これは、網羅的であること、または本開示を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されるものではなく、適用可能であれば、具体的に図示または説明されていない場合であっても、交換可能であり、選択された実施形態で使用することができる。また、これは多くの方法で変更されてもよい。そのような変形は本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、すべてのそのような修正は本開示の範囲内に含まれることを意図している。
【0134】
前述の実施形態は、明確な理解のために多少詳しく説明されてきたが、一定の変更および修正が添付の特許請求の範囲の範囲内で実践されてもよいことは明らかであろう。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示と見なされるべきであり、実施形態は本明細書に述べられる詳細に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の範囲および均等物内で修正されてもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A-1】
図6A-2】
図6A-3】
図6A-4】
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図10
【国際調査報告】