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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】静電クランプ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20231124BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L21/68 R
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529977
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2021078514
(87)【国際公開番号】W WO2022106125
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】20208312.7
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ファン エーデン、フスターフ、ガレイン
(72)【発明者】
【氏名】グエン、クン、ヴォン
(72)【発明者】
【氏名】マカレンコ、クセニヤ セルゲーヴナ
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197CD02
2H197CD03
2H197CD05
2H197GA01
2H197GA04
2H197GA17
2H197GA18
2H197HA03
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA10
5F131AA32
5F131BA13
5F131CA05
5F131CA09
5F131CA17
5F131CA32
5F131CA68
5F131DA09
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA02
5F131EB11
5F131EB22
5F131EB54
5F131EB56
5F131EB78
5F131EB79
(57)【要約】
【解決手段】物体を静電力によって保持するための静電クランプが開示される。静電クランプは、物体が保持される平面を規定するために表面から延びる複数の導電性バールを有する誘電体部材と、複数のバールの間に延びて複数のバールを接続する導電性要素とを備える。導電性要素は、誘電体部材の表面に形成される一以上のトレンチ内に配置される。静電クランプの製造方法も開示される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を静電力によって保持するための静電クランプであって、前記静電クランプは、
前記物体が保持される平面を規定するために表面から延びる複数の導電性バールを有する誘電体部材と、
前記複数のバールの間に延びて前記複数のバールを接続する導電性要素と、を備え、
前記導電性要素は、前記誘電体部材の前記表面に形成される一以上のトレンチ内に配置される、静電クランプ。
【請求項2】
前記導電性要素は、前記誘電体部材の前記表面の高さに、または、前記誘電体部材の前記表面の高さよりも下に配置され、
前記導電性要素の上面は、前記誘電体部材の前記表面の高さよりも約1マイクロメートルの距離だけ下にある、請求項1に記載の静電クランプ。
【請求項3】
前記誘電体部材と前記導電性要素との間の接点を備える三重点接点は、前記誘電体部材の前記表面の高さよりも下にある、請求項1または2に記載の静電クランプ。
【請求項4】
各バールは、誘電体材料および導電層を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の静電クランプ。
【請求項5】
前記導電性要素は、前記導電層の延長部として形成される、請求項4に記載の静電クランプ。
【請求項6】
前記導電性要素の上に形成される絶縁体または誘電体材料の層を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の静電クランプ。
【請求項7】
前記絶縁体または誘電体材料の層は、前記誘電体部材の前記表面と実質的に同一平面にある、請求項6に記載の静電クランプ。
【請求項8】
前記導電性要素は、接地基準に導電的に結合される、請求項1から7のいずれか一項に記載の静電クランプ。
【請求項9】
前記バールは、前記誘電体部材の前記表面に同心円状に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の静電クランプ。
【請求項10】
複数の導電性要素を備え、各導電性要素は、リング状に配置される複数のバールの間に延びてそれらを接続する、請求項9に記載の静電クランプ。
【請求項11】
前記物体は、
リソグラフィ投影技術で使用される基板と、
リソグラフィ投影装置、レチクル処理装置およびレチクル製造装置の少なくとも一つにおけるリソグラフィ投影レチクルまたはレチクルブランクと、
の少なくとも一つである、請求項1から10のいずれか一項に記載の静電クランプ。
【請求項12】
前記誘電体部材にわたる電位差を生成して静電クランプ力を発生させるように構成される電極をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の静電クランプ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の静電クランプを備えるリソグラフィ装置。
【請求項14】
リソグラフィ装置において静電力によって物体を保持するための静電クランプを製造する方法であって、前記方法は、
誘電体部材の表面に、複数のバールと、前記複数のバールの間に延びる一以上のトレンチとを形成するステップと、
前記複数のバールおよび前記誘電体部材の前記表面の上に導電層を形成するステップと、
前記誘電体部材の前記表面から前記導電層の一部を除去し、前記一以上のトレンチ内に配置され、前記複数のバールの間に延び、前記複数のバールを接続する導電性要素を規定するステップと、を備える方法。
【請求項15】
前記導電性要素の上に絶縁体または誘電体材料の層を形成するステップをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2020年11月18日に出願された欧州出願第20208312.7号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、静電クランプに関し、特にリソグラフィ装置における基板またはレチクルを保持する静電クランプに関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを形成するための装置である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用できる。リソグラフィ装置は、例えば、基板(例えば、ウェハ)上に設けられた放射線感受性材料(レジスト)の層上に、パターニングデバイス(例えば、マスク)のパターン(「デザインレイアウト」または「デザイン」とも呼ばれることが多い)を投影しうる。
【0004】
半導体製造プロセスの進歩に伴い、回路素子の寸法は継続的に小さくなる一方で、トランジスタなどの機能素子のデバイスあたりの量は、一般に「ムーアの法則」と呼ばれる傾向にしたがって、数十年にわたって着実に増加している。ムーアの法則に対応するために、半導体業界では、より小さなフィーチャを作成できる技術が求められている。基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用しうる。この放射の波長は、基板上にパターニングされるフィーチャの最小サイズを規定する。現在使用される典型的な波長は、365nm(i線)、248nm(KrF)、193nm(ArF)および13.5nm(EUV)である。4nmから20nmの範囲内、例えば6.7nmまたは13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長の放射を使用するリソグラフィ装置よりも基板上に小さなフィーチャを形成するために使用されうる。
【0005】
このような短波長では、リソグラフィ装置内でのパターニングデバイスおよび/または基板の正確な位置決めが重要である。
【0006】
このようなリソグラフィ装置は、パターニングデバイスおよび/または基板をそれぞれマスクテーブルまたはウェハテーブルなどの物体サポートにクランプするための一以上のクランプを備えうる。クランプは、例えば、機械式クランプ、真空クランプ、または静電クランプであってもよい。EUVリソグラフィ装置の領域は必然的に真空に近い条件下で動作するため、静電クランプはEUV波長での動作に特に適しているかもしれない。
【0007】
静電クランプは、多くの場合、一般的に非導電性の環境である低圧水素リッチ環境内に維持される。そのため、クランプの誘電体表面または非接地表面に電荷が蓄積する可能性がある。蓄積される電荷は表面にわたって不均一に分布する可能性がある。このような不均一に分布する蓄積電荷は、リソグラフィ装置の一般的な動作に悪影響を与える可能性がある。例えば、クランプの帯電した表面に電荷が不均一に分布すると、クランプに比較的近接するリソグラフィ装置の構成要素や基板自体に不必要な変形を生じさせる可能性があり、リソグラフィ装置内のパターニングデバイスおよび/または基板の正確な位置決めに影響を与える可能性がある。
【0008】
特に、いくつかの静電ウェハクランプは、当該技術分野で「マンハッタンライン」として知られる等間隔の金属線を備える誘電体表面を有し、この金属線は、パターニングデバイスおよび/または基板を保持するための平面を規定する突起または「バール」を導電的に接続する。このようなマンハッタンラインおよびバールは、電子放出源を提供する可能性があり、したがってクランプの上面の電界の大きさおよび/または分布に影響を与える可能性がある。
【0009】
蓄積される静電荷は、例えばイソプロピルアルコールを用いるクランプの洗浄によって除去できる。しかしながら、これは、高真空装置内からクランプを取り外すことを一般に必要とし、現実的な解決策ではない。
【0010】
本発明の少なくとも一つの態様の少なくとも一つの実施形態の目的は、上記で特定される従来技術の欠点の少なくとも一つを取り除くこと、または、少なくとも軽減することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1の態様によれば、物体を静電力によって保持するための静電クランプが提供される。静電クランプは、物体が保持される平面を規定するために表面から延びる複数の導電性バールを有する誘電体部材と、複数のバールの間に延びて複数のバールを接続する導電性要素とを備える。導電性要素は、誘電体部材の表面に形成される一以上トレンチ内に配置される。
【0012】
有利には、誘電体部材内に(例えばトレンチ内に)導電性要素を凹ませる(配置する)ことにより、三重点接点および導電性要素の鋭いエッジがトレンチの誘電体側壁に面しうる。したがって、トレンチの隣接する側壁によって電子が阻止されるため、これらの場所で生じる可能性のある電界増強は、制限された電界電子放出を提供しうる。したがって、導電性要素からの電界放出に起因する誘電体部材の表面上の寄生電荷の増加は実質的に減少する。その結果、周期的誘導帯電(cycle-induced charging)の上記問題は、クランプの可用性を低下させ、生産効率を低下させ、および/または、潜在的な表面損傷を引き起こす可能性があるインライン放電または誘電体表面の処理といった代替的な解決策を回避できる程度まで、十分に軽減されうる。
【0013】
導電性要素は、誘電体部材の表面の高さ以下に配置されてもよい。
【0014】
誘電体部材と導電性要素との間の接点を備える三重点接点は、誘電体部材の表面の高さよりも下にあってよい。三重点接点は、誘電体部材と、導電性要素と、真空またはほぼ真空との間の接点を備えてもよい。
【0015】
各バールは、誘電体材料および導電層を備えてもよい。
【0016】
導電性要素は、導電層の延長部として形成されてもよい。
【0017】
静電クランプは、導電性要素の上に形成される絶縁体または誘電体材料の層を備えてもよい。
【0018】
有利には、導電性要素の上に形成される絶縁体または誘電体材料の層を形成することにより導電性要素を完全に埋め込むことによって、周囲の誘電体および/または絶縁体材料によって電子が阻止されるため、導電性要素とトレンチの側壁と真空に近い環境との間の三重点で発生する可能性がある電界増強による電界電子放出を防止しうる。したがって、導電性要素からの電界放出に起因する誘電体部材の表面での寄生電荷の増加が妨げられる。
【0019】
絶縁体または誘電体材料の層は、誘電体部材の表面と実質的に同一平面にあってもよい。
【0020】
導電性要素は、接地基準に導電的に結合されてもよい。
【0021】
バールは、誘電体部材の表面上に同心円状に配置されてもよい。
【0022】
静電クランプは、複数の導電性要素を備えてもよい。各導電性要素は、リング状に配置される複数のバールの間に延びてそれらを接続してもよい。
【0023】
物体は、リソグラフィ投影技術で使用される基板であってもよい。物体は、リソグラフィ投影装置、レチクル処理装置およびレチクル製造装置の少なくとも一つにおけるリソグラフィ投影レチクルまたはレチクルブランクであってもよい。
【0024】
静電クランプは、誘電体部材にわたる電位差を生成して静電クランプ力を発生させるように構成される電極をさらに備えてもよい。
【0025】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様に係る静電クランプを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0026】
本開示の第3の態様によれば、リソグラフィ装置において静電力によって物体を保持するための静電クランプを製造する方法が提供される。この方法は、誘電体部材の表面に、複数のバールと、複数のバールの間に延びる一以上のトレンチとを形成するステップを備える。
【0027】
この方法は、複数のバールおよび誘電体部材の表面の上に導電層を形成するステップを備える。
【0028】
この方法は、誘電体部材の表面から導電層の一部を除去し、一以上のトレンチ内に配置され、複数のバールの間に延びてそれらを接続する導電性要素を規定するステップを備える。
【0029】
この方法は、導電性要素の上に絶縁体または誘電体材料の層を形成するステップをさらに備えてもよい。
【0030】
上記概要は、単なる例示を意図し、限定を意図するものではない。本開示は、組み合わせまたは単独で具体的に記載されているか否か(特許請求の範囲を含む)にかかわらず、単独または様々な組み合わせの一以上の対応する態様、実施形態、または特徴を含む。本開示の任意の態様にしたがって上記で定義される特徴、または本開示の任意の特定の実施形態に関連する下記の特徴は、単独で、または任意に他で定義される特徴と組み合わせて利用されてもよく、または任意の他の態様または実施形態において利用されてもよく、本開示のさらなる態様または実施形態を形成するために利用されてもよいことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の実施の形態は、単なる例示として、添付の概略的な図面を参照しながら、下記で説明されるであろう。
図1】リソグラフィ装置および放射源を備えるリソグラフィシステムを示す図である。
図2】マンハッタンラインによって接続される複数の導電性バールを有する静電クランプの一部を示す斜視図である。
図3図1の静電クランプと基板の間の電界分布を示す図である。
図4a】本開示の第1実施形態に係る誘電体部材の表面に形成されるトレンチ内に配置される導電性要素を有する静電クランプの一部を示す斜視図である。
図4b図4aの静電クランプの一部を示すX-X線断面図である。
図5】本開示の第2実施形態に係る誘電体部材の表面に形成されるトレンチ内に配置される導電性要素を有する静電クランプの一部を示す斜視図である。
図6】本開示の第3実施形態に係る誘電体部材の表面に形成されるトレンチ内に配置される導電性要素を有する静電クランプの一部を示す斜視図である。
図7】本開示のある実施形態に係るリソグラフィ装置において静電力によって物体を保持するための静電クランプを製造する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、放射源SOおよびリソグラフィ装置LAを備えるリソグラフィシステムを示す。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するよう構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するよう構成されるサポート構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するよう構成される基板テーブルとしても知られる基板サポートWTとを備える。
【0033】
照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調整するように構成される。さらに、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11を含んでもよい。ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11は、所望の断面形状および所望の強度分布を有するEUV放射ビームBを一緒に提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、または代えて、他のミラーまたはデバイスを含んでもよい。
【0034】
このように調整された後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果として、パターン化されたEUV放射ビームB'が生成される。投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB'を基板W上に投影するよう構成される。その目的のために、投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB'を、基板サポートWTによって保持される基板W上に投影するよう構成される複数のミラー13、14を備えてもよい。投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB'に縮小係数を適用してもよく、これにより、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを有する像を形成してもよい。例えば、4または8の縮小係数が適用されてもよい。投影システムPSは、図1では2枚のミラー13、14のみを有するように示されているが、投影システムPSは、異なる枚数のミラー(例えば、6枚または8枚のミラー)を含んでもよい。
【0035】
基板Wは、以前に形成されたパターンを含んでもよい。この場合、リソグラフィ装置LAは、パターン化されたEUV放射ビームB'によって形成される像を、基板W上に以前に形成されたパターンと位置合わせする。
【0036】
相対真空、つまり大気圧よりかなり低い圧力の少量のガス(例えば水素)は、放射源SO、照明システムIL、および/または投影システムPS内に提供されてもよい。
【0037】
放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源、放電生成プラズマ(DPP)源、自由電子レーザ(FEL)、またはEUV放射を生成可能な任意の他の放射源であってもよい。
【0038】
基板サポートは、基板Wを基板サポートWTにクランプするように構成されるチャックとしても知られるクランプ200を備える。クランプ200は、基板サポートWTの凹部内に保持されてもよい。クランプ200は、静電クランプ200であり、図2を参照してより詳細に説明される。
【0039】
静電クランプ200の本体は、一般に、形状およびサイズにおいて基板Wに対応する。クランプの少なくとも上面(例えば使用時に基板Wに隣接する表面)上において、クランプは、当該技術分野でバールとして知られる突起を有する。バールは、クランプの上面から延びて基板Wが保持される平面を規定する。
【0040】
「上側」の用語は、静電クランプ200が特定の向きで描かれる図1の例示的なリソグラフィ装置LAの文脈で使用されることが理解されよう。開示されるクランプは、様々な向きで配置されてもよく、したがって「上側」の用語は、説明される特定の使用例の文脈で解釈されるべきであることが理解されよう。
【0041】
実際の実施形態において、例えば200mm、300mmまたは450mmの直径のクランプにわたって数百、数千、または数万のバールが分布することができる。バールの先端は、一般に小さな面積(例えば1mm未満)を有し、静電クランプ200の上面から延びるバールの総面積は、上面の総表面積の総面積の約10%未満となる。バールの配置により、基板W、静電クランプ200または基板サポートWTの表面上にある可能性のある粒子は、バールの間に落ちる可能性が高く、したがって基板または基板ホルダの変形を生じさせない可能性が高い。パターンを形成してもよいバール配置は、基板Wおよび基板サポートWTに適切な分布の力を与えるために、規則的であることができ、または所望のばらつきを有することができる。
【0042】
図2は、静電クランプ200の誘電体部材245の一部の斜視図を示し、誘電体部材245は、表面205(例えば、使用中の基板Wに隣接する表面)を有する。
【0043】
描かれる部分は、第1バール210および第2バール215を示す。各バール210、215は、導電層またはコーティングを備え、導電性要素220によって結合される。静電クランプ200の誘電体表面205は、一般に反復的および/または規則的なパターンでレイアウトされ、当該技術分野で「マンハッタンライン」として知られる、複数の導電性要素220を備えてもよい。
【0044】
導電性要素220は、導電性要素220が上方に持ち上げられ、例えば静電クランプ200の誘電体表面205に対して同一平面とはならないように、静電クランプ200の誘電体表面205に形成される。
【0045】
使用中、静電クランプ200の誘電体表面205は、繰り返されるクランプの結果として、導電性要素220の隣において局所的に過剰な電荷を蓄積する可能性がある。この現象は、当該技術分野において「周期誘起荷電(CIC;Cycle-Induced-Charging)」として知られ、基板Wと静電クランプ200の間に作用するクランプ力を不安定にさせる、または不均一に分布させる可能性がある。このような力は、例えば基板を変形させる可能性があり、したがって、リソグラフィ装置LA内の基板Wの正確な位置決めに影響を与える可能性がある。
【0046】
さらに、導電性要素220の構造、特に鋭いエッジ225および三重点接点230(例えば導電性要素220と誘電体表面205とほぼ真空との間の接点)は、ファウラー・ノルドハイム電界電子放出を生じさせる可能性がある。ファウラー・ノルドハイム電界電子放出の後に、連続する二次電子放出イベントを介して誘電体表面205に電荷が拡散し、利用可能なトラップサイトを介して電荷ホッピングが生じる可能性がある。このような電荷は誘電体表面205に蓄積する可能性があり、そのような電荷の過剰はクランプの安定性に悪影響を与える可能性がある。
【0047】
これは、図1の静電クランプ200と基板Wとの間の電界の分布を示す図3にさらに詳細に示されている。
【0048】
図3の図表は、図2に描かれる静電クランプ200の一部の誘電体表面205を示す。また、導電性要素220、一つのバール210、およびバール210によって支持される基板Wも断面に示される。
【0049】
使用中、基板Wと導電性要素220とバール210と誘電体表面205との間の体積235は、比較的低圧または真空に近い環境となる。この体積235内の電気力線の分布も描かれている。
【0050】
上述のように、導電性要素220の問題は、導電性要素220が電子源として機能する可能性があり、電子が誘電体表面205に定着して時間経過とともに蓄積し、望ましくない静電荷を生成する可能性があることである。
【0051】
すなわち、静電クランプ200の電極(図3に不図示)に高電位が印加される場合、誘電体表面205を有する誘電体部材245の内部および体積235に強い電界が存在する可能性がある。電界は導電性表面に常に直交するため、導電性要素220の鋭いエッジ225および三重点接点230の周囲の電界が増強される。
【0052】
図3において、電気力線の密度は電界強度を示す。電界増強は、導電性要素220の鋭いエッジ225および三重点接点230で明確に見ることができる。
【0053】
すなわち、正の電極電位時の場合のように、このような高電界が鋭いエッジ225および三重点接点230に向けられると、電界放出が生じ、そこで導電性要素220の導電性材料から電子が引き出されて体積235に放出され、そこで電界によって加速される。導体のエッジで生成される電界はエッジの半径に反比例するために、これらの場所での電界は特に高くなり、その結果、エッジが鋭いほど半径がより小さくなり、より高い電界となる。
【0054】
図4aは、本開示の第1実施形態に係る、誘電体部材445の表面405に形成されるトレンチ440内に配置される導電性要素420を有する静電クランプの一部の斜視図を示す。
【0055】
図4aに描かれる静電クランプの一部は、リソグラフィ装置LAで使用される基板Wなどの基板を静電的にクランプするように構成可能なクランプ200向けであってもよい。追加的または代替的に、図4aに示される静電クランプの一部は、リソグラフィ投影装置、レチクル処理装置およびレチクル製造装置の少なくとも一つにおけるリソグラフィ投影レチクルまたはレチクルブランクを静電的にクランプするように構成可能なクランプ向けであってもよい。
【0056】
誘電体部材445から延びる第1バール410および第2バール415も示されている。バール410、415は円筒形状として示されるが、バール410、415が基板Wやレチクル(不図示)などの物体を支持するのに適した他の形状を有することができることが理解されよう。いくつかの実施形態において、バール410、415は、それらの高さ全体にわたって同じ形状および寸法を有する。他の実施形態において、バール410、415は先細(テーパー状)であってもよい。バール410、415は寸法が異なってもよい。例えば、異なる実施形態におけるバールは、約1マイクロメートルから約5ミリメートルの距離だけ突出してもよい。
【0057】
図4aには二つのバール410、415のみが示されているが、静電クランプマップは、数百、数千、さらには数万のバールといった、より多くのバールを備え、バールは、基板Wといった物体を支持するための平面470を規定することが理解されよう。
【0058】
さらに、例示のみを目的として、導電性要素420は直線状であるように描かれており、例えば、バール410、415は、直線状の導電性要素420によって規定される直線経路上に配置される。例示的な実施形態において、静電クランプは、平行に、または別のパターンで配置される複数の直線状の導電性要素420を備えてもよく、バールも複数の直線内に配置されてもよい。
【0059】
本開示の範囲内にある他の実施形態において、導電性要素420は、曲線、円または螺旋といった異なる形状または配置を有してもよい。いくつかの実施形態において、導電性要素420は、誘電体表面405の外周および/または中心から放射状に延びるように配置されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、バールは、誘電体部材445の表面405に同心円状(同心リング状)に配置されてもよく、複数の導電要素は、リング状に配置された複数のバールのそれぞれの間に延びてそれらを接続してもよい。
【0061】
上述のように、図4aの実施形態において、導電性要素420は、誘電体部材445の表面405に形成されるトレンチ440内に配置される。図4aの例示的な実施形態において、トレンチ440は、傾斜した側壁を有するように形成される。例えば、いくつかの実施形態において、誘電体部材445の表面405によって規定される平面に対する傾斜の角度は、30度から40度の間であってもよい。このような傾斜した側壁は、下記でより詳細に説明されるように、ウェットエッチングのプロセスによって形成されてもよい。
【0062】
図4aの例示的な実施形態において、トレンチ440の側壁は実質的に平坦である。本開示の範囲内に含まれる他の実施形態において、トレンチ440の側壁はカーブしてもよいし、または概して非直線であってもよい。したがって、いくつかの実施形態において、トレンチ440を形成するプロセスは等方性ウェットエッチングを備えてもよく、他の実施形態において、トレンチ440を形成するプロセスは異方性ウェットエッチングを備えてもよい。
【0063】
本開示の実施形態において、導電性要素420は、誘電体部材465の表面405の高さ(レベル)に、またはその下に配置される。図4aに示されるように、導電性要素420の上面460は、誘電体部材465の表面405の下にあり、例えばそれよりも相対的に低い。いくつかの実施形態において、導電性要素420の上面460は、誘電体部材445の上面405と実質的に同じ高さ(レベル)にあってもよい。いくつかの実施形態において、導電性要素420の上面460は、誘電体部材445の表面405の高さ(レベル)よりも約1マイクロメートルの距離だけ下にあってもよい。
【0064】
特に、誘電体部材445と導電性要素420との間の接点を備える三重点接点430は、誘電体部材445の表面405の高さ(レベル)よりも下にある。
【0065】
有利には、誘電性部材445内に(例えばトレンチ内に)導電性要素420を凹ませる(配置する)ことによって、三重点接点430および鋭いエッジ225が誘電体トレンチ壁に面する。したがって、トレンチ440の隣接する側壁によって電子が阻止されるため、これらの位置で発生する可能性のある電界増強は、制限された電界電子放出を提供しうる。したがって、導電性要素420からの電界放出に起因する誘電体部材445の表面405での寄生電荷の蓄積は、実質的に減少しうる。
【0066】
有利なことに、周期誘起荷電の上記問題は、クランプの可用性を低下させ、生産効率を低下させ、および/または潜在的な表面損傷を引き起こす可能性があるインライン放電または誘電体表面の処理といった代替的な解決策を回避できる程度まで、十分に軽減されうる。
【0067】
図4bは、図4aの静電クランプの一部の断面図であり、X-X線に沿って見た断面図である。
【0068】
図4bから、誘電体部材445は、物体が保持される平面470を規定するために誘電体部材445の表面405から延びる複数のバール410、415を備えることが分かる。各バール410、415は、誘電体材料および導電層450を備える。誘電体材料は、誘電体部材445を形成する誘電体材料と同じであってもよいことが理解されよう。例えば、いくつかの実施形態において、リソグラフィプロセスは、下記でより詳細に説明されるように、静電クランプの製造中に、表面405または誘電体部材445上にバール410、415を規定するために使用される。
【0069】
また、図4bの例示的な実施形態において、導電性要素420は、導電層450の延長部として形成されることが分かる。例えば、いくつかの実施形態において、導電性バール410、415は、複数の誘電体バール410、415および誘電体部材445の表面上にTiNまたはCrNといったコーティングなどの導電層450を設けることによって形成され、続いて誘電体部材445の表面から導電層450の一部を除去し、トレンチ440内に配置され、複数のバール410、415の間に延びてそれらを接続する導電性要素420を規定する。導電層450は、物体が保持される平面470を導電層450が規定するように、バール410、420の表面の上を延びるであろう。このような製造方法は、下記でより詳細に説明される。
【0070】
図4bには、電極455も示される。単なる例示を目的として、電極455は、誘電体部材445内に埋め込まれるものとして示される。他の実施形態において、電極455は、静電クランプの別個の層または構成要素として形成されてもよく、いくつかの実施形態において、静電クランプは、複数の電極を備えてもよいことが理解されよう。使用中、電極455は、誘電体部材445にわたる電位差を生成して静電クランプ力を発生させるように構成されてもよい。導電性要素420は、したがってバール410、415の全ては、接地基準に導電的に結合されてもよい。接地は、ゼロボルトであってもよいし、いくらかの他の固定電圧であってもよいことが理解されよう。接地がゼロボルトであることの利点は、同様に接地電位であってもよいリソグラフィ装置LAの他の部分にクランプを容易に接続してもよいことである。
【0071】
また、バール410、415をトレンチ440内に凹ませる(配置する)ことによって、誘電体部材445の表面405に対する前記バール410、415の全体の高さが減少することも理解されよう。したがって、いくつかの実施形態において、バール410、415の高さは、バール410、415の間に粒子をトラップし続けるのに十分な高さを維持することを保証するために、トレンチ440の深さに対応する量だけ増加させてもよい。
【0072】
代わりに、トレンチ440内に凹ませる場合であっても、バール410、415の最終的な全体の高さがバール410、415の間に欠陥粒子をトラップするのに十分であろうと評価される場合には、減少したバール高さが維持されてもよい。有利なことに、特定のクランプ圧力を達成するためには、バール高さを低くすることなく同じクランプ圧力を達成するのに必要な電極電圧に比べて、電極電圧が低減されうるため、バール高さの減少は、周期誘起荷電を低減させる可能性がある。
【0073】
図5は、本開示の第2実施形態に係る、誘電体部材545の表面505に形成されるトレンチ540内に配置される導電性要素520を有する静電クランプの一部の斜視図を示す。
【0074】
また、誘電体部材545から延びる第1バール510および第2バール515も示されている。図5には二つのバール510、515のみが示されているが、上記でより詳細に説明されたように、静電クランプマップが基板Wなどの物体を支持するためのさらに多くのバールを備えることが理解されよう。
【0075】
図5の例示的な実施形態において、トレンチ540は垂直側壁を有するように形成される。例えば、いくつかの実施形態において、誘電体部材545の表面505によって規定される平面に対する側壁の角度は、実質的に90度である。トレンチ540は、下記でより詳細に説明されるように、反応性イオンエッチングのプロセスによって形成されてもよい。
【0076】
本開示の実施形態において、導電性要素520は、誘電体部材565の表面505の高さ(レベル)またはその下に配置される。図5に示されるように、導電性要素520の上面560は、誘電体部材565の表面505の高さよりも下に配置される。すなわち、導電性要素520は、誘電体部材545内に完全に凹んでおり、例えば誘電体部材545内に埋め込まれる。
【0077】
いくつかの実施形態において、導電性要素520の上面560は、誘電体部材545の表面505の高さ(レベル)よりも約1マイクロメートルの距離だけ下にある。
【0078】
他の実施形態において、導電性要素520の上面560は、誘電体部材の表面505と同じ高さ(レベル)であってもよく、例えば誘電体部材の表面505と同一平面にあってもよい。
【0079】
特に、図5の例示的な実施形態において、図2および図4aに示されるような三重点接点230、430は、導電性要素520を誘電体部材445内に埋め込むことによって完全に除去されていることが分かる。
【0080】
新たな三重点接点525が導電性要素520の上面560とトレンチ540の側壁との間の接点に効果的に形成されるが、これらの新たな三重点接点525は、電界電子放出の観点ではそれほど問題にはならない。これは、三重点接点525を形成する導電性要素520の上側の角部がトレンチ540の側壁に面しているためである。したがって、この場所で発生する可能性のある電界増強は、電界電子放出を引き起こすことができず、電子はトレンチ540の隣接する誘電体側壁によって直接阻止される。
【0081】
図6は、本開示の第3実施形態に係る、誘電体部材645の表面605に形成されるトレンチ640内に配置される導電性要素620を有する静電クランプの一部の斜視図を示す。
【0082】
また、誘電体部材645から延びる第1バール610および第2バール615も示されている。図5aには二つのバール610、615のみが示されているが、上記でより詳細に説明されたように、静電クランプマップは、基板Wなどの物体を支持するためのさらに多くのバールを備えることが理解されよう。
【0083】
図5の実施形態と同様に、トレンチ640は垂直側壁を有するように形成され、導電性要素620はトレンチ640内に形成される。例えば、いくつかの実施形態において、誘電体部材645の表面605によって規定される平面に対する側壁の角度は、実質的に90度である。トレンチ640は、下記でより詳細に説明されるように、反応性イオンエッチングのプロセスによって形成されてもよい。
【0084】
図6の実施形態の多くの特徴は、概して図5の実施形態の特徴に対応しており、したがって、簡潔性のためにさらに詳細な説明がなされないことが認識されよう。
【0085】
しかしながら、図5の実施形態とは対照的に、絶縁体または誘電体材料の層680が導電性要素620の上に形成される。図6の例示的な実施形態において、絶縁体または誘電体材料の層680は、誘電体部材645の表面605と実質的に同一平面にある。製造方法は、下記でより詳細に説明される。
【0086】
このような絶縁体または誘電体材料の層は、図4aおよび図4bの実施形態、例えば傾斜側壁を有するトレンチ440を備える実施形態の導電性要素420の上に形成されてもよいことが理解されよう。
【0087】
両方(傾斜または垂直側壁トレンチ)の場合において、絶縁体または誘電体材料の層の効果は、ほぼ真空と誘電体部材645と導電性要素620との間に三重点接点が形成されないように、導電性要素を完全に埋め込むことである。
【0088】
有利には、導電性要素620を完全に埋め込むことによって、電子が周囲の誘電体および/または絶縁体材料によって阻止されるため、これらの場所で発生する可能性がある電界増強による電界電子放出を防止しうる。したがって、導電性要素620からの電界放出に起因する誘電体部材645の表面605での寄生電荷の蓄積が妨げられる。
【0089】
図7は、本開示のある実施形態に係る、リソグラフィ装置において静電力によって物体を保持するための静電クランプを製造する方法を示す。
【0090】
この方法は、誘電体部材の表面に、複数のバールと、複数のバールの間に延びる一以上のトレンチとを形成する第1ステップ710を備える。
【0091】
第1ステップ710は、例えば誘電体部材445、545、645である、ガラス基板などの誘電体部材上にフォトレジストの第1層を堆積させることを備えてもよい。フォトレジストの第1層は、スピンコーティングまたはスプレーなどの既知の技術を使用して堆積されてもよい。
【0092】
リソグラフィのプロセスは、フォトレジストの第1層を特定のバールレイアウトでパターニングするために使用されてもよい。エッチングのプロセスは、バールが規定されるように誘電体部材をエッチングするために使用されてもよい。続いて、残存するフォトレジストの第1層が除去され、複数の規定されたバールを有する誘電体表面が残される。
【0093】
次に、フォトレジストの第2層は、バールを含むトレンチ、例えばトレンチ450、540、640が規定されるように、堆積、パターニングおよび露光されてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態において、例えば図5aの実施形態に示されるような垂直側壁を有するトレンチ440を形成するために、フォトレジストの第2層は、反応性イオンエッチング(RIE)に適している。
【0095】
続いて、誘電体部材をエッチングするプロセスは、トレンチ440、540、640を形成する。いくつかの実施形態において、例えば傾斜側壁を有するトレンチを形成する場合、エッチングのプロセスはウェットエッチングとなる。いくつかの実施形態において、例えば垂直側壁を有するトレンチを形成する場合、エッチングプロセスは反応性イオンエッチングとなる。次に、残存するフォトレジストの第2層が除去される。
【0096】
第2ステップ720は、複数のバールおよび誘電体部材の表面の上に導電層を形成することを備えてもよい。いくつかの実施形態において、これは、CrNコーティングの付与を備えてもよい。
【0097】
第3ステップ730は、誘電体部材の表面から導電層の一部を除去し、一以上のトレンチ内に配置され、複数のバールの間に延び、複数のバールを接続する導電性要素を規定することを備えてもよい。
【0098】
第3ステップ730は、フォトレジストの第3層の堆積と、その後のリソグラフィを使用するフォトレジストの第3層のパターニングとを備えてもよい。したがって、トレンチ内に、導電性要素または「マンハッタンライン」が規定されてもよい。特に、アンダーエッチングを補償するために、第3ステップ730のリソグラフィプロセスに使用されるマスクは、第1ステップ710でトレンチを規定するために使用されるマスクとは異なっていてもよい。
【0099】
その後、規定されたマンハッタンラインの外側のCrNが除去され、続いて、残存するフォトレジストの第3層が除去される。
【0100】
上記プロセスで説明される方法は、多種多様な異なる処理条件を使用して実行されてもよく、それら全てが開示される方法の範囲内に入ることが理解されよう。例えば、この方法は、異なるタイプのフォトレジスト、異なるマスクデザイン、異なるエッチング液の使用、異なるCrN堆積方法、異なるCrN組成、エッジの正確な幾何学配置などを使用して実行されてもよい。
【0101】
この方法のいくつかの実施形態において、残存するフォトレジストの第2層は、第1ステップ710において除去されない。代わりに、第2ステップ720は、複数のバールおよび誘電体材料の表面の上と、残存するフォトレジストの第2層の上とに、導電層を形成することを備える。
【0102】
この実施形態において、後続の第3ステップは、規定されたトレンチの外側の導電層が除去されるように、残存するフォトレジストの第2層を溶解させるプロセスを備える。この実施形態において、同じ第2フォトレジスト層が両方のステップに使用されるため、反応性イオンエッチングによって形成されたトレンチが自動的に完全に充填される。
【0103】
この方法のいくつかの実施形態は、導電性要素の上に絶縁体または誘電体材料の層を形成するさらなるステップを備えてもよく、例えば、トレンチの側壁と導電性要素の角部とを備える三重点接点を絶縁体または誘電体材料の層が被覆する図6に描かれるような実施形態を形成してもよい。絶縁体または誘電体材料の層は、バールの上には延びない。
【0104】
誘電体または絶縁体材料は、導電性要素の上にスピンコートまたはスプレーされてもよい。例えば一以上のマスクとフォトレジストを用いるリソグラフィプロセスは、誘電体または絶縁体材料の層をトレンチに制限するために採用されてもよい。誘電体または絶縁体材料は、硬化または焼成されてもよい。誘電体または絶縁体材料は、ポリマーを備えておもよい。誘電体または絶縁体材料は、二酸化シリコンを備えてもよい。
【0105】
本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及しているが、本書に記載されるリソグラフィ装置は他の用途を有してもよいことが理解されよう。可能性のある他の用途は、集積光学システム、磁区ドメインメモリ用の案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ (LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造を含む。
【0106】
本書では、リソグラフィ装置の文脈で本発明の実施形態について具体的な言及がなされたかもしれないが、本発明の実施形態は他の装置で使用されてもよい。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、またはウェハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニングデバイス)といった物体を測定または処理する任意の装置の部分を形成してもよい。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと呼ばれるかもしれない。そのようなリソグラフィツールは、真空条件または大気(非真空)条件を使用してもよい。
【0107】
上記では、光リソグラフィの文脈で本発明の実施形態の使用について具体的な言及がなされたかもしれないが、本発明は、文脈が許せば、光リソグラフィに限定されず、他の用途、例えばインプリントリソグラフィで使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0108】
本発明の特定の実施形態が上述されたが、本発明は、記載以外の方法で実施されてもよいことが理解されるであろう。上記の説明は、限定ではなく、例示を意図したものである。したがって、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、説明された本発明に変更が加えられてもよいことは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
【国際調査報告】