(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】リチウム処理設備のための洗浄材料及びプロセス
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20231124BHJP
C23C 14/00 20060101ALI20231124BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
C23C16/44 J
C23C14/00 B
B08B3/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530837
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 US2021059695
(87)【国際公開番号】W WO2022109009
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボルティ, タパシュ
(72)【発明者】
【氏名】ディーパク, ニティン
(72)【発明者】
【氏名】ゴラディア, プレルナ ソンサリア
(72)【発明者】
【氏名】ウパディ, バーフバリ エス.
(72)【発明者】
【氏名】バグール, ニレッシュ チマンラオ
(72)【発明者】
【氏名】ヘール, スブラマニヤ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】シヴァラマクリシュナン, ヴィスウェスウォレン
【テーマコード(参考)】
3B201
4K029
4K030
【Fターム(参考)】
3B201BB82
3B201BB92
4K029AA25
4K029BA02
4K029DB14
4K029FA04
4K029FA09
4K029JA10
4K029KA03
4K029KA05
4K029KA09
4K030BA01
4K030CA17
4K030DA03
4K030DA06
4K030FA01
4K030FA10
4K030GA14
4K030JA06
4K030JA10
4K030KA22
(57)【要約】
リチウム含有堆積物を除去するための例示的な方法は、リチウム含有堆積物の表面を加熱することを含み得る。当該表面は、酸素又は窒素を含むことができ、リチウム含有堆積物は、処理チャンバの表面に堆積していてよい。本方法は、リチウム含有堆積物の表面を、水素含有前駆体と接触させることを含み得る。当該接触により、リチウム含有堆積物の表面を水素化することができる。本方法は、リチウム含有堆積物を窒素含有前駆体と接触させて、揮発性副生成物を形成することを含み得る。本方法は、リチウム含有堆積物の揮発性副生成物を、処理チャンバから排出することを含み得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム含有堆積物を除去する方法であって、
リチウム含有堆積物の表面を加熱することであって、当該表面が酸素又は窒素を含み、前記リチウム含有堆積物が処理チャンバの表面上に堆積されている、加熱すること、
前記リチウム含有堆積物の表面を、水素含有前駆体と接触させることにより、リチウム含有堆積物の表面を水素化すること、
前記リチウム含有堆積物を窒素含有前駆体と接触させて、揮発性副生成物を形成すること、及び
前記リチウム含有堆積物の前記揮発性副生成物を、前記処理チャンバから排出すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記水素含有前駆体が、二原子水素又はアンモニアを含む、請求項1に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項3】
前記リチウム含有堆積物の表面が窒化リチウムを含み、前記方法がさらに、
前記リチウム含有堆積物の表面を、二原子水素と接触させること、及び
続いて、前記リチウム含有堆積物の表面をアンモニアと接触させることにより、リチウムアミドを生成すること、
を含む、請求項2に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項4】
前記窒素含有前駆体が、ヘキサメチルジシラザンを含む、請求項1に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項5】
前記揮発性副生成物が、200℃未満、又は約200℃の沸点により特徴付けられる、請求項1に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項6】
前記リチウム含有堆積物の表面が、300℃以上、又は約300℃の温度に加熱され、その一方で前記リチウム含有堆積物のバルク領域の温度は、200℃以下、又は約200℃に維持される、請求項1に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項7】
加熱が、前記処理チャンバ内に位置するヒーターによって行われる、請求項6に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項8】
前記処理チャンバ内の真空条件下で行われる、請求項1に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項9】
リチウム含有堆積物を除去する方法の間、前記処理チャンバ内の水含有量が、100ppm未満、又は約100ppmに維持される、請求項8に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項10】
リチウム含有堆積物を除去する方法であって、
リチウム含有堆積物の表面を加熱することであって、当該表面が酸化リチウムを含み、前記リチウム含有堆積物のバルクがリチウムを含み、前記リチウム含有堆積物が、処理チャンバの表面上に堆積されている、加熱すること、
前記リチウム含有堆積物の表面を、二原子水素又はアンモニアと接触させることにより、前記リチウム含有堆積物の表面上に水酸化リチウムを生成させること、
前記リチウム含有堆積物を除去前駆体と接触させて、揮発性副生成物を形成すること、ここで前記処理チャンバ内の温度は、処理条件で300℃以下、又は約300℃に維持される、及び
前記リチウム含有堆積物の前記揮発性副生成物を、前記処理チャンバから排出すること、
を含む、方法。
【請求項11】
前記除去前駆体が、β-ジケトン、1,4,7,10-テトラオキサシクロドデカン、テトラメチルピペリジン、ジイソプロピルアミン、又はヘキサメチルジシラザンを含む、請求項10に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項12】
前記除去前駆体が、第1の除去前駆体であり、当該第1の除去前駆体により、前記リチウム含有堆積物の表面層が除去され、前記方法がさらに、
前記リチウム含有堆積物を、第2の除去前駆体と接触させて、前記リチウム含有堆積物のバルク材料の揮発性副生成物を形成すること
を含む、請求項10に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項13】
前記リチウム含有堆積物がさらに、前記リチウム含有堆積物の表面上に窒化リチウムを含む、請求項10に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項14】
前記処理チャンバ内にて真空条件下で行われる、請求項10に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項15】
リチウム含有堆積物を除去する方法の間、前記処理チャンバ内の水含有量が、100ppm未満、又は約100ppmに維持される、請求項10に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項16】
リチウム含有堆積物を除去する方法であって、
リチウム含有堆積物の表面を加熱することであって、当該表面が窒化リチウムを含み、前記リチウム含有堆積物のバルクがリチウムを含み、前記リチウム含有堆積物が、処理チャンバの表面上に堆積されている、加熱すること、
前記リチウム含有堆積物の表面を、二原子水素又はアンモニアと接触させることにより、前記リチウム含有堆積物の表面上に水酸化リチウムを生成させること、
前記リチウム含有堆積物を除去前駆体と接触させて、揮発性副生成物を形成すること、ここで前記処理チャンバ内の温度は、処理条件で300℃以下、又は約300℃に維持される、及び
前記リチウム含有堆積物の前記揮発性副生成物を、前記処理チャンバから排出すること、
を含む、方法。
【請求項17】
前記リチウム含有堆積物の表面を、二原子水素又はアンモニアと接触させることが、
前記リチウム含有堆積物の表面を、二原子水素と接触させること、及び
続いて、前記リチウム含有堆積物の表面をアンモニアと接触させることにより、リチウムアミドを生成させること、
を含む、請求項16に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項18】
前記除去前駆体が、1,4,7,10-テトラオキサシクロドデカン、テトラメチルピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、ジ-t-ブチルアミン、イソプロピルアミン、t-ブチルアミン、ヘキサメチルジシラザン、又は、ジピバロイルメタン、イソブチリルピバロイルメタン、ヘキサフルオロペンタンジオン若しくはトリフルオロアセチルピバロイルメタンを含むβ-ジケトンのうち1又は複数を含む、請求項16に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項19】
前記除去前駆体が第1の除去前駆体であり、当該第1の除去前駆体により、前記リチウム含有堆積物の表面層が除去され、前記方法がさらに、
前記リチウム含有堆積物を第2の除去前駆体と接触させて、前記リチウム含有堆積物のバルク材料の揮発性副生成物を形成することを含む、
請求項16に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【請求項20】
リチウム含有堆積物を除去する方法が、前記処理チャンバ内にて真空条件下で行われ、リチウム含有堆積物を除去する方法の間、前記処理チャンバ内の水含有量が、100ppm未満、又は約100ppmに維持される、
請求項16に記載の、リチウム含有堆積物を除去する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連案件の相互参照]
[0001]本願については、2020年11月20日に出願された米国仮出願第63/116,431号(発明の名称「CLEANING MATERIALS AND PROCESSES FOR LITHIUM PROCESSING EQUIPMENT」)の利益と優先権を主張し、その内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本技術は、薄膜堆積プロセス及びチャンバ構成要素に関する。より具体的には、本技術は、改質された構成要素及び堆積方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]薄膜電池は、基板表面に制御された材料層を生成するプロセスによって形成される。基板上に材料層を生成するためには、大面積基板上に形成するための制御された方法が必要となる。デバイスのサイズは小型化し続けているので、多層電池処理チャンバはより複雑になっている。当該処理は、別個の層及び構造を製造するために、著しい数の処理動作を有することがあるからである。これらのより複雑な製造技術により、処理チャンバ内で実行される堆積動作及び除去動作の数が増加し得る。これらの動作を任意の回数行う間に、堆積生成物がチャンバ表面に形成され、処理チャンバが汚染され、又は望ましくない堆積物が形成されることがあり、処理に影響をもたらし得る。
【0004】
[0004]したがって、高品質のデバイス及び構造を製造するために使用可能な、改善されたシステム及び方法が必要とされている。これらのニーズ、及び他のニーズは、本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0005】
[0005]リチウム含有堆積物を除去する例示的な方法は、リチウム含有堆積物の表面を加熱することを含み得る。当該表面は、酸素又は窒素を含んでいてよく、リチウム含有堆積物は、処理チャンバの表面に配置されていてよい。本方法は、リチウム含有堆積物の表面を水素含有前駆体と接触させることを含み得る。この接触により、リチウム含有堆積物の表面が水素化(hydrogenate)され得る。本方法は、揮発性副生成物を形成するために、リチウム含有堆積物を窒素含有前駆体と接触させることを含み得る。本方法は、リチウム含有堆積物の揮発性副生成物を処理チャンバから排出することを含み得る。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態では、水素含有前駆体が、二原子水素若しくはアンモニアであるか、又は二原子水素若しくはアンモニアを含み得る。リチウム含有堆積物の表面は、窒化リチウムを含み得る。本方法は、リチウム含有堆積物の表面を二原子水素と接触させることを含み得る。本方法は、続いて、リチウム含有堆積物の表面をアンモニアと接触させることを含み得る。当該後続の接触により、リチウムアミドが生成され得る。窒素含有前駆体は、ヘキサメチルジシラザンであり得るか、又はこれを含み得る。揮発性副生成物は、200℃未満(less than)、又は約200℃の沸点により特徴付けることができる。リチウム含有堆積物の表面は、300℃以上の(greater)温度、又は約300℃の温度に加熱することができ、その一方で、リチウム含有堆積物のバルク領域の温度は、200℃以下(below)、又は約200℃に維持され得る。加熱は、処理チャンバ内に配置されたヒーターを用いて行うことができる。リチウム含有堆積物を除去する方法は、処理チャンバ内の真空条件下で行われ得る。処理チャンバ内の水含有量は、リチウム含有堆積物を除去する方法の間、100ppm未満、又は約100ppmに維持され得る。
【0007】
[0007]本技術のいくつかの実施形態は、リチウム含有堆積物を除去する方法を包含し得る。本方法は、リチウム含有堆積物の表面を加熱することを含み得る。当該表面は、酸化リチウムを含み得る。リチウム含有堆積物のバルクは、リチウムであり得るか、又はリチウムを含み得る。リチウム含有堆積物は、処理チャンバの表面に配置されていてよい。本方法は、リチウム含有堆積物の表面を、二原子水素又はアンモニアと接触させることを含み得る。当該接触により、リチウム含有堆積物の表面に水酸化リチウムが生成され得る。本方法は、リチウム含有堆積物を除去前駆体と接触させて、揮発性副生成物を形成することを含み得る。処理チャンバ内の温度は、処理条件で300℃以下、又は約300℃に維持され得る。本方法は、リチウム含有堆積物の揮発性副生成物を、処理チャンバから排出することを含み得る。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態では、除去前駆体が、β-ジケトン、1,4,7,10-テトラオキサシクロドデカン、テトラメチルピペリジン、ジイソプロピルアミン、又はヘキサメチルジシラザンのうち1又は複数を含み得る。除去前駆体は、第1の除去前駆体であり得る。第1の除去前駆体は、リチウム含有堆積物の表面層を除去することができる。本方法は、リチウム含有堆積物を第2の除去前駆体と接触させて、リチウム含有堆積物のバルク材料の揮発性副生成物を形成することを含み得る。リチウム含有堆積物は、リチウム含有堆積物の表面に窒化リチウムを含むこともできる。リチウム含有堆積物を除去する方法は、処理チャンバ内の真空条件下で行われ得る。処理チャンバ内の水含有量は、リチウム含有堆積物を除去する方法の間、100ppm未満、又は約100ppmに維持され得る。
【0009】
[0009]本技術のいくつかの実施形態は、リチウム含有堆積物を除去する方法を包含し得る。本方法は、リチウム含有堆積物の表面を加熱することを含み得る。当該表面は、窒化リチウムを含み得る。リチウム含有堆積物のバルクは、リチウムであり得るか、又はリチウムを含み得る。リチウム含有堆積物は、処理チャンバの表面に配置されていてよい。本方法は、リチウム含有堆積物の表面を二原子水素又はアンモニアと接触させることを含み得る。当該接触により、リチウム含有堆積物の表面に水酸化リチウムが生成され得る。本方法は、リチウム含有堆積物を除去前駆体と接触させて、揮発性副生成物を形成することを含み得る。処理チャンバ内の温度は、処理条件で300℃以下、又は約300℃に維持され得る。本方法は、リチウム含有堆積物の揮発性副生成物を、処理チャンバから排出することを含み得る。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、リチウム含有堆積物の表面を二原子水素又はアンモニアと接触させることが、リチウム含有堆積物の表面を二原子水素と接触させることを含み得る。本方法は、続いてリチウム含有堆積物の表面をアンモニアと接触させることを含み得る。当該後続の接触により、リチウムアミドが生成し得る。除去前駆体は、1,4,7,10-テトラオキサシクロドデカン、テトラメチルピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、ジ-t-ブチルアミン、イソプロピルアミン、t-ブチルアミン、ヘキサメチルジシラザン、又は、ジピバロイルメタン、イソブチリルピバロイルメタン、ヘキサフルオロペンタンジオン若しくはトリフルオロアセチルピバロイルメタンを含むβ-ジケトンのうちの1又は複数を含むことができる。除去前駆体は、第1の除去前駆体であり得る。第1の除去前駆体は、リチウム含有堆積物の表面層を除去し得る。本方法は、リチウム含有堆積物を第2の除去前駆体と接触させて、リチウム含有堆積物のバルク材料の揮発性副生成物を形成することを含み得る。リチウム含有堆積物を除去する方法は、処理チャンバ内の真空条件下で行われ得る。処理チャンバ内の水含有量は、リチウム含有堆積物を除去する方法の間、100ppm未満、又は約100ppmに維持され得る。
【0011】
[0011]このような技術は、従来のシステム及び技術に比して多くの利点を提供することができる。例えば、本システムによって、気相除去により処理チャンバ全体の堆積物を除去可能な洗浄動作を行うことができる。さらに、本技術の実施形態による方法により、真空条件を維持しながら、処理チャンバ表面からの除去を可能にすることができ、チャンバ内の水分又は他の汚染を制限することができる。これらの実施形態及び他の実施形態は、それらの多くの利点及び特徴とともに、以下の記載及び添付図面と併せて、より詳細に説明される。
【0012】
[0012]開示された技術の性質及び利点のさらなる理解は、明細書及び図面の残りの部分を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理チャンバの概略的な断面図を示す。
【
図2】本技術のいくつかの実施形態による除去方法における例示的な動作を示す。
【0014】
[0015]図面のうちいくつかは、概略図として含まれている。これらの図面は説明を目的とするものに過ぎず、特に縮尺通りであると述べられていない限り、縮尺通りとはみなされないと理解されるべきである。さらに、概略図として、図面は理解を助けるために提供されており、現実的な表現と比較した場合にすべての態様又は情報を含むとは限らず、説明という目的のために誇張されていることがあり得る。
【0015】
[0016]添付図面では、類似の構成要素及び/又は特徴が、同じ参照符号を有し得る。また、同じ種類の様々な構成要素が、類似の構成要素同士を区別する文字により、参照ラベルに従うことによって区別され得る。本明細書において第1の参照符号のみが使用される場合、その説明は、文字に関係なく同じ第1の参照ラベルを有する類似の構成要素のいずれか1つに適用される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0017]例えば金属又はその他の多層材料における、ロールツーロール製造プロセスでは、基板が処理環境を通過する際に、当該構成要素が基板上に堆積され得る。いくつかの処理システムでは、基板がチャンバを通って移動する際に、処理チャンバ内の環境が制御され得る。その後、材料を基板にわたり層状に堆積させて、層状構造を生成することができる。しかしながらこのプロセスにより、チャンバ構成要素上に材料を堆積させることもできる。その後、洗浄動作を実行して、チャンバ表面から材料を除去し、後続の処理に対する障害又は損傷を制限することができる。
【0017】
[0018]本技術に包含される1つの非限定的な例として、リチウム堆積は、ロールツーロール又は他の堆積プロセスで行われ得る。堆積によって、所望する基板上だけでなく、処理チャンバ内の露出表面にも、リチウムが形成され得る。リチウムには、バルクリチウム材料、並びにリチウム含有材料、例えば酸化リチウム及び/又は窒化リチウム(これらはバルク材料の周囲の上部又は露出表面に形成され得る)が含まれ得る。従来の技術では通常、定期的なメンテナンス洗浄プロセスを実行することにより、これらの物質を除去していた。リチウムは水ベースの洗浄で比較的容易に除去できるものの、当該プロセスにより、チャンバについて著しいダウンタイムが発生し得る。例えば、典型的には、一定量の処理時間の後、チャンバが開かれ、手で洗浄される。洗浄後、チャンバを再び密封し、後続の処理に進む前にパージする必要がある。このダウンタイムは、洗浄のために最大1日延長されることがあり、当該プロセスによっては、アクセスが困難なチャンバ内堆積物を除去できない可能性、またチャンバから汚染物質を完全にパージできない可能性があり、後続の処理中の欠陥につながり得る。
【0018】
[0019]本技術は、イン・サイチュ(in situ)洗浄プロセスを行うことによって、これらの制限を克服することができ、当該洗浄プロセスは、チャンバ環境を大気にさらすことなく実行可能である。チャンバ環境内で反応性曝露動作を実行すること、及びいくつかの実施形態ではリチウムの融点以下の温度で除去を可能にする特定の前駆体を利用することにより、洗浄によって、より徹底的な除去が保証され、システムのダウンタイムを制限することができる。堆積又は他の処理が行われ得る本技術の実施形態によるチャンバの一般的な態様を説明した後、本技術の実施形態による洗浄処理システムの方法について説明する。蒸着システムにおける洗浄との関連で本技術を説明するが、本技術は、論じられた特定の材料及び処理に限定されることを意図していないことが理解されるべきである。記載された技術は、多数の材料(リチウムを含んでいてもよく、含まなくてもよい)について、任意の数の処理チャンバ又は処理環境において洗浄又は除去動作を行うために使用され得る。
【0019】
[0020]
図1は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システム100の断面図を示す。チャンバは特定のローラ構成を含むが、例示的なチャンバは、記載されるよりも少ない、又はそれより多い構成要素を含むことができ、図示したような特性のいずれかを含んでもよいし、また含まなくてもよいことが理解されるべきである。図面は、本技術の実施形態に従って処理チャンバに組み込み可能な様々な構成要素を、例示的に表しているからである。図示したように、いくつかの実施形態において処理システムは一般的に、
図1に示したように、基板保管スプール105aを収容するように構成されていてよく、又はそのように構成されたチャンバ部を含み得る。いくつかの実施形態によれば、処理されるフレキシブル基板110が、保管スプール105a上に設けられていてよい。保管スプールは、別個のスプールチャンバ115aに配置されていてもよく、当該スプールチャンバは、処理環境から分離された基板を維持することができる。いくつかの実施形態では、フレキシブル基板110の任意の層と貯蔵スプール105a上のフレキシブル基板の隣接層との間の直接接触を低減又は排除可能なように、フレキシブル基板110の隣接層の間にインターリーフ120aが設けられていてよい。
【0020】
[0021]動作時には、矢印108で示した基板移動方向で示されるように、基板が貯蔵スプールから巻き出されてもよい。フレキシブル基板110は、その上で蒸着を実行可能な任意の基板又はウェブ材料であり得る。例えば、基板は、銅又はアルミニウムの層、またその上で堆積を実行可能な任意の他の導電性又は絶縁性材料(いくつかの実施形態ではポリマー材料が含まれる)であり得る。フレキシブル基板110を貯蔵スプール105aから巻き出す際、存在する場合にはインターリーフ120aが、インターリーフロール122aに巻き取られてもよい。フレキシブル基板110は、システムを通る任意の数の構成を通じて、1又は複数のガイドローラ125を介してガイドされ得る。フレキシブル基板110はまた、フレキシブル基板110の走行を制御する1又は複数の基板ガイド制御ユニット130によって、例えば、フレキシブル基板110の配向(orientation)又は位置の微調整調整を行うことによって、ガイドされてもよい。
【0021】
[0022]フレキシブル基板110が貯蔵スプール105aからスプールチャンバ115a内に送り出されるにつれて、基板が処理チャンバ140を通過してもよく、当該処理チャンバ140は、処理システム内のスプールチャンバに隣接して配置されていてよい。処理チャンバ140は、いくつかの実施形態では密閉されていてよく、処理チャンバ140内に真空環境を生成するように構成されたポンプシステムと結合されていてよい。処理チャンバ140内には、コーティングドラム145が含まれていてよい。処理チャンバ内の任意の数のガイドローラ又は制御ユニットを利用して、コーティングドラム145の周りに位置するとともに、堆積ユニット155の位置に対応する1又は複数の処理領域150を通って、フレキシブル基板110を移動させることができる。各蒸着ユニット155は、対応する若しくは専用の制御ユニット及び/又は電力供給ユニット158に接続され得る。このような堆積ユニット155が6つ、処理システム100に含まれることが示されているものの、これより多い又はこれより少ない任意の数の堆積ステーションが、本技術の実施形態によるシステムに組み込み可能なことが理解されるべきである。動作中にコーティングドラム145は、システムを通してフレキシブル基板110を引き込むため、又は移動させるために、反時計回りに回転し得る。動作中にドラムは、実施されているプロセスに応じていずれかの方向に回転してよく、方向矢印108は、1つのあり得るシステム動作の説明を容易にするために含まれているに過ぎないことが、理解されるべきである。
【0022】
[0023]処理チャンバ140内の真空環境を維持するため、処理システム100は、1又は複数のシール、例えばシール128を含むことができ、これは基板が通過し得る静的又は動的なシールであり得る。当該シールにより、真空条件下で動作され得る処理チャンバ140と、フレキシブル基板110の巻き取り及び巻き戻し動作が行われ得るスプールチャンバ115との間の圧力差を維持することが可能になる。このようなセットアップにより、基板が完全に処理された後にスプール105を交換する複雑さを軽減することができる。よって処理チャンバ140は、ハンドリングチャンバ又はスプールチャンバ115内の周囲圧力若しくは制限された真空を許容しながら、任意のタイプの真空状態に維持され得る。
【0023】
[0024]堆積は、1又は複数の処理領域で行ってよく、堆積には、蒸着、原子層堆積、物理蒸着、プラズマ堆積、又はスプレーコーティング若しくは他の処理とともに実行可能な任意の他の化学蒸着が含まれ得る。基板洗浄は、洗浄ユニット160を利用する本技術の実施形態においても行われ得る。洗浄ユニット160は、基板が依然としてドラム上に配置されている間に、基板と相互作用するように処理チャンバ140内に配置されていてよい。これにより、フレキシブル基板110に対する洗浄ユニットの規定接触圧印加を容易にすることができる。追加的又は代替的に、洗浄ユニットは、コーティングドラムと次のガイドローラ又はテンションローラとの間のフレキシブル基板110のフリースパン内に位置決めされ得る。よって、1又は複数の洗浄ユニットを設けることができ、その際には各洗浄ユニットを基板の両側に、又は基板の片側表面に沿った複数の場所に、配置することができる。係合ローラ(例えば偏向ローラ165)の前に1又は複数の洗浄ユニットを配置することにより、基板上に存在し得る汚染物質粒子を、ローラと接触する前に除去することができる。このような汚染物質粒子は、堆積膜又は基板への粒子のプリントを形成することがあり、またピンホール又は他の欠陥を生じさせることがある。
【0024】
[0025]洗浄ユニット160により洗浄された後、フレキシブル基板110は、1又は複数の偏向ローラ165上を移動し得る。コーティングユニット及び洗浄ユニットの下流にある1又は複数の偏向ローラは、堆積中に基板が、後続の基板巻き取り中とは異なる張力を有することを可能にする張力ローラとしても機能し得る。図示したように1若しくは複数のガイドローラ又は制御ユニット上を移動した後、基板は第2のスプールチャンバ115bを通過してよく、ここで基板が第2のスプール105bに巻き取られてもよい。さらにいくつかの実施形態では、第2のインターリーフ120bが第2のインターリーフローラ122bから設けられていてよく、ウェブへの損傷を低減又は制限するために、フレキシブル基板110の層の間に配置されていてよい。
【0025】
[0026]
図2は、本技術のいくつかの実施形態による除去方法200における例示的な動作を示す。本方法は、上述の処理チャンバ140を含む様々な処理チャンバで実施され得る。方法200は、いくつかの任意の動作を含むことができ、当該動作は、本技術による方法のいくつかの実施形態と具体的に関連付けられていても、関連付けられていなくてもよい。例えば、多くの動作は、構造形成についてより広い範囲(技術にとって重要ではない)を提供するために記載されるか、又は容易に理解されるであろう代替的な方法論によって実行され得る。
【0026】
[0027]方法200は、列挙された動作の開始前に追加動作を含むことができ、当該追加動作は、堆積又は基板処理がなされた後に行われる洗浄操作を伴い得る。例えば、追加の処理動作は、フレキシブルな及び/又は導電性の基板上に構造を形成することを含むことができ、これには、材料の形成及び除去の両方が含まれ得る。事前の処理動作は、方法200が実行され得るチャンバ内で行われ得る。例えば、方法200は、任意選択的な動作205で、処理チャンバ(例えば上述の処理チャンバ140)を通って移送された基板上で堆積を行うことを、任意選択的に含み得る。堆積は、任意の数の堆積ユニットを利用する任意の数の動作を含むことができ、いくつかの実施形態では堆積が、例えば1又は複数の堆積ユニットで熱蒸着プロセスを実行することによって、処理チャンバを通過した基板上にリチウム金属を堆積させることを含み得る。堆積動作が完了すると(例えば、基板が再度スプールされ、処理チャンバを通して完全に引き出されたとき)、残留堆積物は、チャンバ内に、又は処理チャンバ、堆積ユニット、シールド若しくは処理チャンバに関連する他の構造の1若しくは複数の表面に、残留し得る。
【0027】
[0028]先に説明したように従来技術では、チャンバを開けて手動で洗浄操作を実行することに限られる可能性があり、これでは不完全になることがあり、またチャンバのダウンタイムの延長につながり得る。本技術では、チャンバ周辺の物質堆積物(例えばリチウム含有堆積物)の揮発性副産物を生成するプロセスを利用して、反応性除去を行うことができる。残りの開示では、リチウム含有堆積物に定期的に言及するが、記載された方法は、同様に処理チャンバから除去される他の金属又は材料にも適用可能であり得ることが理解されるべきである。よって本技術が、リチウム除去のみに限定されることは意図されていない。
【0028】
[0029]従来の洗浄では、イン・サイチュエッチング(半導体製造のための処理チャンバで通常は実行可能)が利用されていなかった可能性がある。ハロゲン前駆体(プラズマ式(plasma-enhanced)ハロゲン前駆体含む)は一般的に、チャンバ洗浄動作を実行するために使用可能な一方で、いくつかの材料は、材料と逆効果の(counterproductive)反応性を有し得る。プラズマラジカルは相互作用に必要なエネルギー量を提供し得るものの、リチウム金属堆積物が含まれる場合、生成された材料が揮発性ではない可能性もある。例えば、塩化リチウム及びフッ化リチウムはいずれも、1300℃超という沸点により特徴付けることができ、このため、処理チャンバからのリチウム含有堆積物の除去が制限されたり、妨げられたりし得る。あるいは、有機金属化合物が低温でリチウムにより形成され得る一方で、多くの有機金属化合物は自然発火性であり、いくつかの処理チャンバには適さないことがある。他の多くのリチウム生成物は、同様にリチウムの活性を低下させることがあり、これによって処理チャンバからの除去が、さらに困難になり得る。さらに、処理チャンバ内のコーティング及び他の材料に基づいて、リチウム含有堆積物の表面が酸化されることがあり、又は当該表面は、1若しくは複数の材料、例えば窒化リチウム、酸化リチウム、若しくは何らかの他のリチウム含有材料を含み得る。よって、リチウムを除去するために特定の材料を送達可能な一方で、同じ材料は、チャンバ内の堆積物上の表面材料を除去する能力が低い、又は不可能であり得る。
【0029】
[0030]リチウムの融点は低いので、その除去も困難になり得る。よって、仮にチャンバを200℃超の温度に加熱すると、例えばリチウムが溶融し始めることがあり、チャンバ又は堆積ユニットのさらなる領域に滴下して、除去が複雑になる。本技術では、チャンバ温度を制御することによってこれらの問題の一部又は全部を克服することができ、よって、表面温度については、除去前駆体との反応を容易にするために上昇可能な一方で、リチウム含有堆積物のバルク内の温度は、リチウムの融点以下に留めることができる。
【0030】
[0031]上述のようにリチウム含有堆積物の露出表面は、酸化リチウム又は窒化リチウムを含んでもよく、これにより、除去のための下にあるバルクリチウムへのアクセスを制限又は妨げることができる。本技術の実施形態では、処理チャンバから排出可能な揮発性副生成物を生成することによって堆積物を除去する前に、リチウム含有堆積物上の表面材料を改質するために、1又は複数の反応を実行し得る。例えば、リチウム含有堆積物の表面(酸化リチウム又は窒化リチウムを含み得る)は、動作210で加熱され得る。加熱は、本技術の実施形態に従って、任意の数のやり方で行われ得る。例えば、チャンバを第1の温度に加熱することが可能な一方で、第1の温度は、処理条件下でリチウムの溶融温度以下、又はほぼ溶融温度に維持され得る。例えば、チャンバ内の圧力に応じて、チャンバ温度(例えば、処理温度を制御するためにチャンバ内に配置された加熱要素の温度)は、200℃以下、又は約200℃に維持することができ、また180℃以下又は約180℃、160℃以下又は約160℃、140℃以下又は約140℃、120℃以下又は約120℃、100℃以下又は約100℃、80℃以下又は約80℃、60℃以下又は約60℃、又はそれ未満に維持され得る。
【0031】
[0032]さらに、1又は複数の加熱要素、例えばIRヒーター、ヒートランプ、又は指向性ヒーター(レーザー加熱を含む)を用いて、リチウム含有堆積物の表面を加熱することができ、これにより、当該表面を200℃以上、又は約200℃の温度に加熱しながら、堆積物のバルクを上記温度のいずれかに維持することができ、これによって表面を、250℃以上又は約250℃、300℃以上又は約300℃、350℃以上又は約350℃、400℃以上又は約400℃、450℃以上又は約450℃、500℃以上又は約500℃、550℃以上又は約550℃、600℃以上又は約600℃、650℃以上又は約650℃、700℃以上又は約700℃、750℃以上又は約750℃、800℃以上又は約800℃、850℃以上又は約850℃、900℃以上又は約900℃、1000℃以上又は約1000℃、又はより高く加熱することができる。表面に限定された加熱を生じさせるために(これによって、下にあるリチウムの融解を制限又は防止することができる)、加熱要素を短時間動作させることができ、これは、リチウム含有堆積物の1又は複数の材料と反応させるために送達された1又は複数の前駆体のパルスと、一致し得る。
【0032】
[0033]上述のようにリチウム含有堆積物は、任意の数の他のリチウム含有材料の中でもとりわけ、リチウム金属、酸化リチウム、窒化リチウム、水酸化リチウム、水素化リチウム、又はリチウムアミドのうち1又は複数を含み得る。一部の材料、例えば水酸化リチウム及びリチウムアミドは、堆積物からより容易に除去できる一方で、酸化リチウム及び窒化リチウムは、除去が困難になり得る。よって本技術のいくつかの実施形態では、動作215においてリチウム含有堆積物の表面を、水素含有前駆体と接触させることができる。水素含有前駆体は、水素を有する任意の数の前駆体(これには有機化合物、並びに二原子水素、アンモニア、又は他の任意の水素含有材料が含まれる)を含むことができ、これらは表面酸化物又は窒化物材料に1若しくは複数の水素原子を供与することができ、リチウム含有堆積物の表面を水素化することができる。
【0033】
[0034]例えば、酸化リチウム(先に説明したようにリチウム堆積物の表面で生成され得る)は、300℃超、又は約300℃で水素又はアンモニアと反応してよく、一方でバルク温度は、それより低い温度、例えば、200℃以下又は約200℃、100℃以下又は約100℃、又はそれ未満に維持される。反応により、水酸化リチウムが生成し得る。いくつかの実施形態においてアンモニアは有利なことに、水酸化リチウムと同様にリチウムアミドを生成してもよく、これは、他の副生成物(例えば水素化リチウム)よりも容易に除去でいる。さらに、窒化リチウムは、300℃超又は約300℃、又はそれより高い温度で水素又はアンモニアと反応してよく、これによりリチウムアミドが生成され得る。しかしながら、アンモニア及び窒化リチウムとの直接反応は、低温で行うのが比較的困難であり得る。よって、いくつかの実施形態ではプロセスが、最初に堆積物の表面を水素と接触させ、続いて任意選択的な操作220で第2の接触を行うことを含むことができ、ここで堆積物をその後、第2の水素含有前駆体としてアンモニアとさらに接触させてもよく、これによりリチウムアミドが生成され得る。
【0034】
[0035]いくつかの実施形態において、このプロセスは、酸化リチウム材料及び窒化リチウム材料の双方を用いて実行され得る。水素化リチウムは第1の反応においてある程度生成可能だが、水素化リチウムは、リチウムアミドにさらに容易に変換することができ(副生成物として水素)、これをチャンバから排出することができる。水素含有前駆体との2つの接触動作が行われる場合、当該動作は、いくつかの実施形態において、類似又は異なる温度で行われ得る。例えば、水素などとの第一の接触が行われた後、第2の接触のために表面温度を上昇させてもよく、これは、第1の接触が行われ得る温度よりも50℃以上、又は約50℃高い温度で行われてもよく、また第1の接触の温度よりも100℃以上、又は約100℃高い温度、又はそれより高い温度で行われ得る。窒化リチウムが含まれるいくつかの実施形態では、水素含有前駆体を提供することに加えて、又はこれに代えて、窒化リチウムを熱分解してリチウムにしてもよく、窒素がチャンバから排出され得る。分解のための温度は、チャンバ条件に応じて500℃未満、又は約500℃であってよく、この温度は堆積物の表面で維持されてもよいが、その一方でバルク温度は、より低い温度に維持される。
【0035】
[0036]1又は複数の表面反応が行われた後、除去動作は、動作225において、本技術のいくつかの実施形態においてリチウム錯体を生成し得る除去前駆体とリチウム含有堆積物とを接触させることにより、実行され得る。例えば、表面材料を除去するために、1又は複数の窒素含有材料が、表面材料と相互作用するように基板に提供され得る。表面材料を水素化された材料に変換することにより、より塩基性の材料を生成させることができ、これにより、除去材料からプロトンをより容易に引き抜くことができ、副生成物(例えば揮発性リチウム錯体)、また他の材料の中でもとりわけ、水、水素、窒素、又はアンモニアが生成され、リチウム錯体とともにチャンバから排出され得る。いくつかの実施形態では、表面材料が一旦除去されると、プロセスを継続することができ、これにより、下にあるリチウムを除去することができる。これは、除去前駆体の流れを継続することにより、又は任意選択的な操作230でリチウムを第2の除去前駆体と接触させることにより、行うことができる。表面材料及び/又は下にあるリチウム(揮発性副生成物)は、次いで、動作235において処理チャンバから排出され得る。副生成物は全て、処理条件下又は大気条件下における沸点が、200℃未満又は約200℃であることにより、及び沸点が、180℃未満又は約180℃、160℃未満又は約160℃、140℃未満又は約140℃、120℃未満又は約120℃、100℃未満又は約100℃、80℃未満又は約80℃、60℃未満又は約60℃、又はそれ未満であることにより、特徴付けされ得る。
【0036】
[0037]除去前駆体は、リチウムと反応し得る1又は複数の前駆体を含んでもよく、500℃未満、又は約500℃の沸点(真空条件下では低下し得る)によって特徴付けられてもよく、これにより、リチウム含有堆積物のバルク温度を200℃以下、又は約200℃に維持することができ、その一方で表面温度は、前述のようにアブレーション、レーザーアニール、又は表面加熱などによって、より高い温度に維持、又は瞬間的に調整され得る。例示的な除去前駆体は、1又は複数の前駆体であり得るか、又は当該前駆体を含むことができ、それは例えば、1,4,7,10-テトラオキサシクロドデカン、テトラメチルピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、ジ-t-ブチルアミン、イソプロピルアミン、t-ブチルアミン、ヘキサメチルジシラザン、又は、ジピバロイルメタン、イソブチリルピバロイルメタン、ヘキサフルオロペンタンジオン及びトリフルオロアセチルピバロイルメタンを含むβ-ジケトンであり、これらはいずれも、組み合わせを含め、第1及び/又は第2の除去前駆体として使用され得る。いくつかの実施形態では、1又は複数の追加の前駆体が、酸素を含む除去前駆体とともに送達されてよく、これは、除去前駆体に対して1未満の流量比で送達されてもよく、これにより、堆積物からのリチウムの除去を容易にすることができる。
【0037】
[0038]先に述べたように、いくつかの実施形態において本方法は、真空条件下で密閉チャンバ内にて実施されてよく、これにより、反応を維持すること、及び/又はバルクリチウム含有堆積物の温度をリチウムの融点以下に維持することを容易にすることができる。よっていくつかの実施形態では、処理チャンバ内の圧力が、500トル(Torr)以下、又は約500トルの圧力に維持されてよく、当該圧力は、400トル未満又は約400トル、300トル未満又は約300トル、200トル未満又は約200トル、100トル未満又は約100トル、50トル未満又は約50トル、10トル未満又は約10トル、5トル未満又は約5トル、1トル未満又は約1トル、0.1トル未満又は約0.1トル、0.01トル未満又は約0.01トル、又はそれより低い圧力に維持されてよい。いくつかの実施形態では、反応又は除去を容易にするために、動作の間に圧力をより高く、又はより低く調整することができるものの、本技術のいくつかの実施形態によれば、圧力は方法全体を通して維持されていてよい。
【0038】
[0039]本技術のいくつかの実施形態に従ってリチウム含有堆積物のイン・サイチュ除去を行うことにより、チャンバ環境を大気に曝すことなく洗浄動作を行うことができる。これによりコンタミネーションが制限され、これにより、後続のパージ作業を制限することによって、洗浄時間の短縮が可能になる。本技術により、処理チャンバ内の汚染物質を最小限にしながら、洗浄を行うことができる。例えば、水蒸気、並びに/又は炭素、窒素、水素、及び/若しくはハロゲン含む残留物質、又は他の汚染物質を、処理チャンバ内で制限することができ、本技術の実施形態による方法又はそれに続く排気動作を行っている間、これらはいくつかの実施形態において、処理チャンバ内で1,000ppm未満又は約1,000ppmに維持されてよい。さらに、これらの汚染物質のいずれか又は全てを、500ppm未満又は約500ppm、250ppm未満又は約250ppm、100ppm未満又は約100ppm、50ppm未満又は約50ppm、10ppm未満又は約10ppm、5ppm未満又は約5ppm、1ppm未満又は約1ppmに維持することができる。これにより、従来の技術よりもスループットが向上し、ダウンタイムを短縮することができる。
【0039】
[0040]上記明細書では、説明の目的で、本技術の様々な実施形態について理解をもたらすために、多くの点が詳細に述べられている。しかしながら当業者には、特定の実施形態が、これら詳細な点のうちのいくつかが無くても、又は追加の詳細な点とともに実施可能なことは明らかであろう。
【0040】
[0041]いくつかの実施形態が開示されている以上、本実施形態の思想から逸脱しない限りにおいて、様々な修正、代替的な構成、及び均等物を使用可能なことが、当業者により認識されるであろう。さらに、本技術を不必要にあいまいにすることを避けるため、多くのよく知られたプロセス及び要素が、記載されていない。よって上記の説明は、技術の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、方法又はプロセスは逐次的なものとして、又はステップで記載することができるが、各動作(operation)は同時に、又は列挙されたものとは異なる順序で実行可能であると理解されるべきである。
【0041】
[0042]値の範囲が示されている場合、文脈によりそうではない旨が明示されている場合を除き、当該範囲の上限と下限との間に介在する値はそれぞれ、下限の単位の最小分数まで、具体的に開示されることが理解される。言及された範囲における任意の言及された値、又は言及されていない介在する値と、当該言及された範囲における他の言及された値、又は介在する値との間のより狭い範囲が、包含される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して範囲に含まれるか、又は除外されてもよく、いずれか又は両方の制限がより小さな範囲に含まれる各範囲も、本技術に包含される(ただし、言及された範囲内の特に除外された制限は除く)。言及された範囲が端値の一方又は両方を含む場合、含まれる当該端値のいずれか又は両方を除外する範囲も含まれる。
【0042】
[0043]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈によりそうではない旨が明示されない限り、複数形への言及を含む。よって例えば、「1つの(a)前駆体」への言及は、そのような複数の前駆体を包含し、「その(the)堆積物」への言及は、当業者に知られた1又は複数の堆積物及びその均等物への言及等を包含する。
【0043】
[0044]また、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(containing)」、「包含する(include)」、及び「包含する(including)」という用語は、本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用される場合、言及された特徴、整数、構成要素、又は動作の存在を指定することを意図しているが、1若しくは複数の他の特徴、整数、構成要素、動作、行為又は群の存在又は追加を、排除するものではない。
【国際調査報告】