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特表2023-550526ヒドロシリル化硬化阻害剤及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ヒドロシリル化硬化阻害剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20231124BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20231124BHJP
   C08K 5/05 20060101ALI20231124BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20231124BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20231124BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231124BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20231124BHJP
【FI】
C08L83/07
C08K5/103
C08K5/05
B29C64/314
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y70/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532235
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021060443
(87)【国際公開番号】W WO2022115397
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/119,152
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】719000328
【氏名又は名称】ダウ・東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】バイヤー、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】バッカー、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 智子
【テーマコード(参考)】
4F213
4J002
【Fターム(参考)】
4F213AA33
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL23
4F213WL42
4J002CP04X
4J002CP14W
4J002DA028
4J002DA038
4J002DA116
4J002DD076
4J002DE078
4J002DE138
4J002DE238
4J002DE248
4J002DG048
4J002DG058
4J002DJ008
4J002DJ018
4J002DJ048
4J002EC037
4J002EC047
4J002EC057
4J002EH077
4J002EZ006
4J002FD018
4J002FD028
4J002FD058
4J002FD068
4J002FD078
4J002FD138
4J002FD14X
4J002FD156
4J002FD168
4J002FD178
4J002FD188
4J002FD207
(57)【要約】
本開示は、少なくとも2つ又は少なくとも3つの末端ケイ素結合水素基を含有するポリオルガノシロキサン架橋剤と、分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレートから選択される1種以上のヒドロシリル化硬化阻害剤化合物と、を有する、ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物に関する。このような組成物の硬化から得られ、エラストマー生成物を含み得る硬化生成物もまた開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物であって、
(A)分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含み、不飽和基がアルケニル基及びアルキニル基から選択され、25℃で1000mPa.s~200,000mPa.sの範囲の粘度を有する、1つ以上のポリオルガノシロキサン、
(B)少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つの末端ケイ素結合水素基を含有するポリオルガノシロキサン、
(C)少なくとも1つのヒドロシリル化触媒、
(D)分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレート化合物からなるか、又はそれを含むヒドロシリル化硬化阻害剤、を含む、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
前記マルチアクリレートが、分子当たり3~10のアクリレート基を含有する、請求項1に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
前記マルチアクリレートが、トリアクリレート、テトラアクリレート、ペンタアクリレート、ヘキサアクリレート又はこれらの混合物から選択される、請求項1~2のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
前記マルチアクリレートが、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ-/ヘキサ-アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、又はこれらの混合物から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
成分(D)が、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、1-フェニル-2-プロピン-1-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール、及びこれらの混合物から選択される1種以上のアセチレンアルコールを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
1種以上の補強充填剤及び/又は非補強充填剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項7】
接着促進剤、離型剤、接着触媒、酸化防止剤、顔料、導電性充填剤、熱伝導性充填剤、ポットライフ延長剤、難燃剤、潤滑剤、離型剤、UV光安定剤、殺菌剤、湿潤剤、熱安定剤、圧縮永久歪み添加剤及び可塑剤又はこれらの混合物から選択される1種以上の添加剤を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項8】
触媒(C)及び架橋剤(B)が別々に貯蔵されるように、前記ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が、使用前に2つの部分、すなわち、触媒(C)、ポリオルガノシロキサン(A)、及び存在する場合には充填剤を含有する部分(A)、並びに成分(B)、前記架橋剤、及びポリオルガノシロキサン(A)、及び存在する場合には任意に充填剤を含有する部分(B)で貯蔵される、請求項1~7のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項9】
成分Dの分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有する前記マルチアクリレート化合物が、部分A、部分B、又は部分A及び部分Bに貯蔵され得る、請求項8に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項10】
成分(D)が、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、1-フェニル-2-プロピン-1-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール、及びこれらの混合物から選択される1種以上のアセチレンアルコールを更に含み、1種以上のアセチレンアルコールが部分Bの組成物中に貯蔵される、請求項8又は9に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の硬化生成物である、硬化シリコーン材料。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物におけるヒドロシリル化硬化阻害剤としての、分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレート化合物の使用。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の前記組成物におけるヒドロシリル化硬化阻害剤及び接着促進剤としての、請求項12に記載の分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレート化合物の使用。
【請求項14】
硬化シリコーン材料を調製する方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の前記ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の前記成分を混合し、前記組成物を80℃~250℃の間の温度で硬化させることによる、方法。
【請求項15】
前記硬化シリコーン材料が3次元(3D)物品であり、前記方法が更に
(i)ある量の、請求項1~10のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を印刷して層を形成することと、
(ii)前記層を加熱して、少なくとも部分的に硬化した層を形成することと、
(iii)請求項1~10のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の第2の量を、前記少なくとも部分的に硬化した層上に前記3Dプリンタで印刷して、後続の層を形成することと、
(iv)前記後続の層を加熱して、少なくとも部分的に硬化した後続の層を形成することと、所望により、
(v)工程iii)及びiv)を繰り返すことが、3D物品を形成するために繰り返されてもよいことと、を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の硬化を阻害するのに好適な阻害剤化合物を含む、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物に関する。阻害剤化合物は、分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を含有するマルチアクリレートである。例えば、エラストマー材料を含むこのような組成物を硬化させた生成物である硬化材料もまた、本明細書に開示される。
【0002】
シリコーンゴム組成物を硬化させる最も重要な方法の1つは、ヒドロシリル化(別様では付加硬化とも称される)反応経路によるものであり、この反応経路では、ポリオルガノシロキサンポリマー、例えば、不飽和有機基、典型的にはアルケニル基及び/又はアルキニル基を有するポリジオルガノシロキサンポリマーが、複数のシリコーン結合水素(-Si-H)結合を含有する1つ以上の架橋分子と、好適な硬化剤の存在下で反応する。硬化剤は、通常、白金金属族(白金、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、及びパラジウム)、又はこのような金属のうちの1種以上の化合物から選択される。白金及びロジウム化合物が、ヒドロシリル化反応におけるこれらの触媒の活性レベルの高さから、好ましい。
【0003】
これらの硬化剤の多く、特に白金及びロジウム化合物の存在下では、室温であっても、上記成分が一緒に混合されるとすぐに硬化が始まる。この反応が迅速であるため、反応プロセスをある程度制御するための予防手段が必要となる。これらは、組成物を複数の部分に分けて長期間貯蔵することを含む傾向がある(二元系組成物が最も一般的であり、その一方は不飽和ポリシロキサン及びヒドロシリル化触媒を含有し、他方はオルガノ水素ポリシロキサン架橋剤を含有する)。
【0004】
追加的又は代替的に、必要な場合、硬化プロセスに対する更なる制御を提供するために、硬化阻害剤が組成物に組み込まれる。硬化阻害剤は、関係する部分中のその他の成分によって悪影響を受けないが、通常は架橋剤を含有する部分中に存在するという条件で、このような二元系組成物のいずれか又は両方中に貯蔵されてもよい。ヒドロシリル化阻害剤は、触媒がヒドロシリル化反応を触媒するのを効果的に阻害又は遅延させ得る。しかしながら、ヒドロシリル化阻害剤がその抑制機能を失うと、ヒドロシリル化反応が急速に起こる。したがって、組成物は、特に室温又はその付近で2つの部分に分割された場合、長期間貯蔵され得る。
【0005】
多種多様な硬化阻害剤が提案されている。これらには、ジアルキルホルムアミド、チオアミド、アルキルチオ尿素と、有機リン化合物と、ベンゾトリアゾールと、ニトリルと、アセチレンアルコールと、トリス-トリオルガノシリルアミンと、テトラメチルグアニジンカルボキシレートと、アミノアルキルアルコキシシランと、イソシアヌレートと、ジアジリジンと、高級アルキルアミンと、ジアルキルマレイン酸エステルと、ジアルキルアセチレンジカルボキシレートと、が挙げられる。これらのうちエチニルシクロヘキサノール(ETCH)などのアセチレンアルコール化合物が最も一般的に使用されている。これらの系を用いて、室温での長いポットライフ(数時間から数日まで)と組み合わせて、高温での速い硬化速度(数秒から数分)を達成し得る。
【0006】
例えばジアクリル酸のアルキレングリコールエステル又はジメタクリル酸のアルキレングリコールエステルといった、アルキレングリコールエステルなどのアクリル化合物又はメタクリル化合物及び誘導体は、ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物において、その接着性を増加させるために使用されることが知られている(接着促進剤)。更に、アクリレートは、ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物中に存在する場合、架橋剤中の(例えば、ケイ素結合水素基(-Si-H)との)ヒドロシリル化反応に化学的に関与することができ、したがって、硬化中に架橋してシリコーンエラストマーになることも知られている。架橋シリコーンマトリックスへのこの共有結合は、強力な接着を達成するのに有益であるが、現在の理論は、アクリレートがヒドロシリル化硬化を強力に妨害し得ることを示唆しており、従来のアプローチによるこれらの系の阻害を困難にしている。
【0007】
予期せぬことに、1つ又は2つのアクリレート基を有する化合物は接着促進剤として使用するのに好適であるが、1分子当たり3つ以上の、すなわち少なくとも3つのアクリレート基を有する化合物は、特にヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物のためのヒドロシリル化硬化阻害剤として機能し、組成物中で使用される架橋剤は、分子当たり3つ以上のケイ素結合水素(-Si-H)基を有するポリオルガノシロキサンであり、各-Si-H基は、M(H)基と記載されることもある末端-Si-H基であることが現在確認された。
【0008】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が提供されるが、これは、
(A)分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含み、不飽和基がアルケニル基及びアルキニル基から選択され、25℃で1000mPa.s~200,000mPa.sの範囲の粘度を有する、1つ以上のポリオルガノシロキサン、
(B)少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つの末端ケイ素結合水素基(-Si-H)を含有するポリオルガノシロキサン、
(C)少なくとも1種のヒドロシリル化触媒、
(D)分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレート化合物からなるか、又はそれを含むヒドロシリル化硬化阻害剤、を含む。
【0009】
上記のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の硬化生成物であるシリコーンエラストマーもまた、提供される。
【0010】
本明細書では、分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレート化合物の、組成物中のヒドロシリル化硬化阻害剤(D)としての使用もまた提供され、その他の点では、
(A)分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含み、不飽和基がアルケニル基及びアルキニル基から選択され、25℃で1000mPa.s~200,000mPa.sの範囲の粘度を有する、1つ以上のポリオルガノシロキサン、
(B)少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つの末端ケイ素結合水素基(-Si-H)を含有するポリオルガノシロキサン、
(C)少なくとも1種のヒドロシリル化触媒、を含む。
【0011】
驚くべきことに、モノアクリレート分子、ジアクリレート分子及びメタクリレートは接着促進剤として良好に機能するようであるが、それらは本明細書の成分(B)を含むヒドロシリル化硬化組成物に対して阻害及び/又は遅延効果を有さないようであり、一方、本明細書に記載される成分(D)の分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレートは有することが見出された。したがって、誤解を避けるために、本明細書における成分(D)は、モノアクリレート、ジアクリレート又はメタクリレートからなるものではない。
【0012】
更に、成分(B)は、D(H)基と称される場合もある非末端ケイ素結合水素基のみを含有する架橋剤からなるものではない。
【0013】
成分(A)
成分(A)は、分子当たり少なくとも2つの不飽和基を有するポリジオルガノシロキサンなどのポリオルガノシロキサンであり、不飽和基は、アルケニル基、アルキニル基又はアルケニル基とアルキニル基との混合物から選択される。あるいは、成分(A)は、アルケニル基、アルキニル基、又はアルケニル基とアルキニル基との混合物から選択される、分子当たり少なくとも3つの不飽和基を有する。
【0014】
成分A)の不飽和基は、成分A)の末端、ペンダント、又はその両方の位置であってもよい。例えば、不飽和基は、アルケニル基及び/又はアルキニル基であってもよい。アルケニル基は、2~30個、代替的に2~24個、代替的に2~20個、代替的に2~12個、代替的に2~10個、代替的に2~6個の炭素原子を有してもよい。アルケニルは、ビニル基、アリル基、メタリル基、プロペニル基、及びヘキセニル基によって例示されるが、これらに限定されない。アルキニル基は、2~30個、代替的に2~24個、代替的に2~20個、代替的に2~12個、代替的に2~10個、代替的に2~6個の炭素原子を有してもよい。アルキニルは、エチニル基、プロピニル基、及びブチニル基によって例示されてもよいが、これらに限定されない。
【0015】
成分(A)は、式(I)の複数の単位を有し:
SiO(4-a)/2 (I)、
式中、各Rは独立して、脂肪族ヒドロカルビル基、芳香族ヒドロカルビル基、又はオルガニル基(すなわち、官能基の種類とは無関係に、炭素原子において1つの自由原子価を有する、任意の有機置換基)から選択される。飽和脂肪族ヒドロカルビルとしては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルなどのアルキル基、並びにシクロヘキシルなどのシクロアルキル基が例示されるが、これらに限定されない。不飽和脂肪族ヒドロカルビルは、上記のアルケニル基及びアルキニル基によって例示されるが、これらに限定されない。芳香族炭化水素基としては、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、スチリル、及び2-フェニルエチルが例示されるが、これらに限定されない。オルガニル基としては、クロロメチル及び3-クロロプロピルなどのハロゲン化アルキル基(フルオロ含有基を除く)、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基などの窒素含有基、ポリオキシアルキレン基、カルボニル基、アルコキシ基、及びヒドロキシル基などの酸素含有基が例示されるが、これらに限定されない。更なるオルガニル基としては、硫黄含有基、リン含有基、ホウ素含有基が挙げられてもよい。下付き文字「a」は0、1、2、又は3である。
【0016】
シロキシ単位は、Rがメチル基である場合、短縮形(略記)、すなわち、「M」、「D」、「T」、及び「Q」で記述されてよい(シリコーン命名法についての更なる教示は、Walter Noll,Chemistry and Technology of Silicones,dated 1962,Chapter I,pages 1-9に見出され得る)。M単位は、式中、a=3であるシロキシ単位、すなわち、RSiO1/2に相当し、D単位は、式中、a=2であるシロキシ単位、すなわち、RSiO2/2に相当し、T単位は、式中、a=1であるシロキシ単位、すなわち、RSiO3/2に相当し、Q単位は、式中、a=0であるシロキシ単位、すなわち、SiO4/2に相当する。成分(A)のポリジオルガノシロキサンのようなポリオルガノシロキサンは実質的に線状であるが、ある割合で含有してもよいが、分子内での(上述したような)T単位の存在に起因していくらかの分岐があり得、したがって構造(I)におけるaの平均値は約2である。
【0017】
成分(A)上の典型的な基の実施例としては、主にアルケニル、アルキニル、アルキル、及び/又はアリール基、あるいはアルケニル、アルキル、及び/又はアリール基が挙げられる。基は、ペンダント位置(D又はTシロキシ単位上)であってもよい、又は末端(Mシロキシ単位上)であってもよい。
【0018】
アルケニル基以外の成分(A)に結合するケイ素結合有機基は、典型的には、1~10個の炭素原子を含有する一価飽和炭化水素基及び典型的には6~12個の炭素原子を含有する一価芳香族炭化水素基から選択され、これらは、非置換であるか、又は本発明の組成物の硬化を妨げない基、例えば、ハロゲン原子で置換される。ケイ素結合有機基の好ましい種は、例えば、メチル、エチル、及びプロピルなどのアルキル基、並びにフェニルなどのアリール基である。
【0019】
成分(A)は、例えばアルケニル基及び/又はアルキニル基を含有する、ポリジメチルシロキサン、アルキルメチルポリシロキサン、アルキルアリールポリシロキサン、又はこれらのコポリマーから選択されてもよく(アルキルに対する言及は、2つ以上の炭素を有するアルキル基を意味する)、任意の好適な末端基を有してよく、それらは、例えば、トリアルキル末端、アルケニルジアルキル末端アルキニルジアルキル末端であってもよい、又は各ポリマーが分子当たりアルケニル基及びアルキニル基から選択される少なくとも2つの不飽和基を含有するという条件で、任意のその他の好適な末端基の組み合わせで終端されてもよい。一実施形態では、このようなポリマーの末端基はシラノール末端基を有さない。
【0020】
したがって、成分(A)は、例えば、以下のものであってもよい。
ジアルキルアルケニル末端ポリジメチルシロキサン、例えば、ジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンと、ジアルキルアルケニル末端ジメチルメチルフェニルシロキサン、例えば、ジメチルビニル末端ジメチルメチルフェニルシロキサンと、トリアルキル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサンと、ジアルキルビニル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサンコポリマーと、ジアルキルビニル末端メチルフェニルポリシロキサン、
ジアルキルアルケニル末端メチルビニルメチルフェニルシロキサンと、ジアルキルアルケニル末端メチルビニルジフェニルシロキサンと、ジアルキルアルケニル末端メチルビニルメチルフェニルジメチルシロキサンと、トリメチル末端メチルビニルメチルフェニルシロキサンと、トリメチル末端メチルビニルジフェニルシロキサンと、又はトリメチル末端メチルビニルメチルフェニルジメチルシロキサン。
【0021】
これらの実施形態では、25℃の温度で、分子当たり少なくとも2つの不飽和基を有するポリジオルガノシロキサンなどの成分Aのポリオルガノシロキサンは、典型的には流動性液体である。一般に、成分Aのポリオルガノシロキサンは、25℃で1000MPa.s~200,000MPa.s、あるいは25℃で1000MPa.s~150,000MPa.s、あるいは25℃で1000MPa.s~100,000MPa.s、あるいは25℃で1000MPa.s~75,000MPa.sの粘度を有する。粘度は、1000MPa.s未満の粘度に関して、スピンドルLV-4を備えたBrookfield(商標)回転式粘度計(1,000~2,000,000MPa.sの範囲の粘度用に設計されたもの)、又はスピンドルLV-1を備えたBrookfield(商標)回転式粘度計(15~20,000MPa.sの範囲の粘度用に設計されたもの)のいずれかを使用して25℃で測定されてもよく、また速度、すなわち剪断速度を、ポリマー粘度に従って、例えば、0.005s-1から1s-1(0.3~60rpm)に従って(この場合1s-1が好ましい)、適合させる。
【0022】
成分(B)は、1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つの末端ケイ素結合水素(-Si-H)を含有するポリオルガノシロキサンの形態の架橋剤である。少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つの末端-Si-H基を有するとは、少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのM単位、すなわちRSiO1/2単位を有することを意味し、ここで、1つのRは水素である。これは、文献においてM(H)として同定されることがある。
【0023】
通常、成分(B)は、3つ以上の末端-Si-H基を含有し、それにより、水素原子が成分(A)中の不飽和のアルケニル基又はアルキニル基と反応して、それらとネットワーク構造を形成することにより、組成物を硬化し得る。あるいは、成分(A)が1分子当たり2つ超(>)のアルケニル基又はアルキニル基を有する場合、成分(B)のいくつか又は全てが1分子当たり2つの末端-Si-Hを有してもよい。
【0024】
1分子(B)当たり少なくとも2つ又は3つの末端-Si-H基を含有するポリオルガノシロキサンの分子構成は、特に制限されず、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、又はシリコーン樹脂系であり得る。
【0025】
成分(B)で使用されるケイ素結合有機基の実施例は、メチル、エチル、プロピル、ブテニル、ペンテニル、ヘキシルなどのアルキル基と、フェニル、トリル、キシリルなどのアリール基と、3-クロロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基と、によって例示され得、好ましくはメチル基及びフェニル基である。
【0026】
1分子(B)当たり少なくとも2つ又は3つの末端(M(H))ケイ素結合水素基(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサンの実施例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
(a)分岐及び/又は鎖延長ジメチル水素シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
(b)ジメチル水素シロキシ末端ジメチルシロキサン-メチル水素シロキサンコポリマー、
(c)(CHHSiO1/2単位、(CHSiO1/2単位、及びSiO4/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、
(d)(CHHSiO1/2単位及びSiO4/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、
(e)(CHHSiO1/2単位、SiO4/2単位及び(CSiO1/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、並びにメチルがフェニル基又はその他のアルキル基によって置換されたその代替物。
【0027】
その他のものとしては、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、末端化水素化物、ポリフェニルメチルシロキサン末端化水素化物、ポリフェニル-(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、又はフェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン等が挙げられる。あるいは、架橋剤である成分Bは、充填剤、例えば、上記のうちの1つで処理されたシリカであってもよい。
【0028】
1分子(B)当たり少なくとも2つ又は3つの-Si-H基を含有するポリオルガノシロキサンは、典型的には、成分(B)中のケイ素結合水素原子と、組成物中の全ての不飽和基のものとのモル比が、0.5:1~20:1、あるいは0.5:1~5:1、あるいは0.6:1~3:1となるような量で、添加される。この比が0.5:1未満である場合、十分に硬化した組成物が得られない。この比が20:1を超える場合、加熱された場合に、硬化した組成物の硬度が増加する傾向がある。
【0029】
成分(B)のケイ素結合水素(Si-H)の含有量は、ASTM E168に準拠して定量的赤外線分析を使用して決定される。本発明において、ケイ素結合水素のアルケニル(ビニル)及び/又はアルキニルに対する比は、ヒドロシリル化硬化プロセスに依存する場合に重要である。一般に、これは、組成物中のアルケニル基の総重量%、例えば、ビニル[V]と、組成物中のケイ素結合水素[H]の総重量%とを計算することによって決定され、ここで、水素の分子量を1、ビニルの分子量を27として、ビニルに対するケイ素結合水素のモル比は27[H]/[V]である。
【0030】
この成分の分子量は特に限定されないが、粘度は、典型的には25℃で15~50,000mPa.sであり、1000MPa.s未満の粘度に関して、スピンドルLV-4を備えたBrookfield(商標)回転式粘度計(1,000~2,000,000MPa.sの範囲の粘度用に設計されたもの)、又はスピンドルLV-1を備えたBrookfield(商標)回転式粘度計(15~20,000MPa.sの範囲の粘度用に設計されたもの)のいずれかを使用することに依存し、また速度、すなわち剪断速度を、ポリマー粘度に従って、例えば、0.005s-1から1s-1(0.3~60rpm)に従って(この場合1s-1が好ましい)、適合させる。
【0031】
典型的には、成分(A)中の不飽和基の数及び成分(B)中のSi-H基の数に応じて、成分(B)は、全組成物の0.1~20重量%、あるいは全組成物の0.5~20重量%、あるいは全組成物の0.5~10重量%、更に別の方法としては全組成物の0.5%~5重量%の量で存在することとなる。
【0032】
成分(C)は、少なくとも1種のヒドロシリル化(付加)硬化触媒である。通常、白金金属族(白金、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、及びパラジウム)、又はこのような金属のうちの1種以上の化合物の触媒から選択される。白金及びロジウム化合物が、ヒドロシリル化反応におけるこれらの触媒の活性レベルの高さから、好ましい。成分(C)は、成分(A)の不飽和基(例えば、アルケニル基)と、成分(B)のSi-H基との間の反応を触媒し、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物がその対応するエラストマーへと硬化した場合に、架橋ネットワークをもたらす。
【0033】
触媒(C)は、白金族金属、活性炭などの担体上に堆積された白金族金属、酸化アルミニウム若しくは二酸化ケイ素などの金属酸化物、シリカゲル若しくは粉末状木炭、又は白金族金属の化合物若しくは錯体であり得る。
【0034】
好ましいヒドロシリル化触媒(C)の実施例は、白金系触媒、例えば、白金黒、酸化白金(Adams触媒)、様々な固体担体上の白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、及び塩化白金酸と、オレフィンなどのエチレン性不飽和化合物及びエチレン性不飽和のケイ素結合炭化水素基を含有するオルガノシロキサンとの錯体である。使用可能な可溶性白金化合物としては、例えば、式(PtCl(オレフィン)及びH(PtCl.オレフィン)の白金-オレフィン錯体を挙げることができ、この文脈では、エチレン、プロピレンなどの、2~8個の炭素原子を有するアルケン、ブテンの異性体及びオクテンの異性体、又はシクロペンテン、シクロヘキセン、及びシクロヘプテンなどの、5~7個の炭素原子を有するシクロアルカンの使用が優先される。その他の可溶性白金触媒は、例えば、式(PtClの白金-シクロプロパン錯体であり、アルコール、エーテル、及びアルデヒド若しくはそれらの混合物とのヘキサクロロ白金酸の反応生成物、又はエタノール溶液中の重炭酸ナトリウムの存在下でのメチルビニルシクロテトラシロキサンとのヘキサクロロ白金酸の反応生成物である。リン、硫黄、及びアミン配位子を有する白金触媒、例えば、(PhP)PtCl、及びsym-ジビニルテトラメチルジシロキサンなど、ビニルシロキサンとの白金の錯体も、使用され得る。
【0035】
したがって、好適な白金系触媒の具体的な実施例としては、
(i)米国特許第3,419,593号に記載されている、塩化白金酸のエチレン性不飽和炭化水素基を含有するオルガノシロキサンとの錯体、
(ii)六水和物形態又は無水形態のいずれかの塩化白金酸、
(iii)塩化白金酸をジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和有機ケイ素化合物と反応させることを含む方法によって得られる、白金含有触媒;
(iv)(COD)Pt(SiMeCl(式中、「COD」は1,5-シクロオクタジエンである)などの米国特許第6,605,734号に記載されているアルケン-白金-シリル錯体、及び/又は
(v)典型的には溶媒中に、例えばトルエンを使用してもよい、約1重量%の白金を含有する白金とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体であるカルステッド触媒が挙げられる。これらは、米国特許第3,715,334号及び同第3,814,730号に記載されている。
【0036】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物のヒドロシリル化触媒(C)は、全組成物中に、触媒量、すなわち、付加/ヒドロシリル化反応を触媒作用し、所望の条件下で組成物をエラストマー材料に硬化させるために十分な量又は数量で存在する。様々なレベルのヒドロシリル化触媒(C)を使用して、反応速度及び硬化速度を調整し得る。ヒドロシリル化触媒(C)の触媒量は、一般に、組成物の重量に基づいた百万部当たりの白金族金属の重量部(ppm)で、0.01ppm~10,000ppm、あるいは0.01~5000ppm、あるいは0.01~3,000ppm、あるいは0.01~1,000ppmである。特定の実施形態において、触媒の触媒量は、組成物の重量に基づいて、0.01~1,000ppm、あるいは0.01~750ppm、あるいは0.01~500ppm、あるいは0.01~100ppmの範囲の金属であってもよい。範囲は、指定されたように、触媒内の金属含有量のみ、又は触媒全体(その配位子を含む)に関連し得るが、典型的には、これらの範囲は、触媒内の金属含有量のみに関連する。触媒は、単一種として、又は2種以上の異なる種の混合物として添加されてもよい。典型的には、触媒パッケージが提供される形態/濃度に依存して、存在する触媒の量は、組成物の0.001~3.0重量%の範囲内である。
【0037】
成分(D)は、分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を含む1種以上のマルチアクリレート化合物からなるか、又はそれを含む、ヒドロシリル化硬化阻害剤である。成分(D)の分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレートは、本明細書において、ヒドロシリル化硬化阻害剤として機能して、室温でのヒドロシリル化(付加)反応プロセスを阻害及び/又は遅延させてプロセス安定性を向上させるために提供される。分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を含む1種以上のマルチアクリレート化合物は、分子当たり3~10のアクリレート基、例えば、トリアクリレート、テトラアクリレート、ペンタアクリレート及びヘキサアクリレート、あるいは分子当たり3~6のアクリレート基、あるいは分子当たり3~5のアクリレート基を含有してもよい。例えば、少なくとも3つのアクリレート基を含む1種以上のマルチアクリレート化合物は、以下を含んでもよい。
【0038】
【化1】
【0039】
組成物中に存在する阻害剤の種類に応じて、触媒の金属1モル当たり阻害剤1モル程度の低い阻害剤濃度が、場合によっては硬化速度の十分な遅延を与えるであろう。例えば、本明細書の成分Dの場合、触媒の金属1モル当たり2000モルまでの阻害剤又はそれ以上の阻害剤濃度が必要とされる場合がある。所与の組成物における、所与の阻害剤に対する最適な濃度は、通常の実験で容易に決定される。例えば、成分D単独で、又は1種以上のその他のヒドロシリル化硬化阻害剤と組み合わせて存在するヒドロシリル化硬化阻害剤(複数可)は、典型的には、組成物の0.0125~10重量%、あるいは組成物の0.0125~5重量%、あるいは組成物の0.025~3重量%の総ヒドロシリル化硬化阻害剤含有量で存在する。
【0040】
硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用目的に応じて、任意の添加剤が組成物中に存在してもよい。実施例としては、1種以上の標準的なヒドロシリル化硬化阻害剤、充填剤、接着促進剤、離型剤、接着触媒、酸化防止剤並びに/又は顔料及び/若しくは着色剤が挙げられる。その他の添加剤としては、導電性充填剤、熱伝導性充填剤、ポットライフ延長剤、難燃剤、潤滑剤、離型剤、UV光安定剤、殺菌剤、湿潤剤、熱安定剤、圧縮永久歪み添加剤、及び可塑剤などが挙げられ得る。
【0041】
成分(D)の分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレートは、唯一のヒドロシリル化硬化阻害剤である必要はない。その他の標準的なヒドロシリル化硬化阻害剤が、本明細書に記載される組成物中に更に存在してもよい。これらとしては、ヒドラジン、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、有機窒素化合物、アセチレンアルコール、シリル化アセチレンアルコール、マレエート、フマレート、エチレン性又は芳香族性不飽和アミド、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン性シロキサン、不飽和炭化水素モノエステル及びジエステル、共役エン-イン、ヒドロペルオキシド、ニトリル、ジアジリジンが挙げられてもよく、米国特許第3989667号に記載されるようなアルケニル置換シロキサン、例えば環状メチルビニルシロキサンが使用されてもよい。
【0042】
周知のヒドロシリル化硬化阻害剤の一分類としては、米国特許第3445420号に開示されているアセチレン化合物が挙げられる。2-メチル-3-ブチン-2-オールなどのアセチレンアルコールは、25℃で白金含有触媒の活性を抑制する好ましい分類のヒドロシリル化硬化阻害剤である。典型的には、これらのヒドロシリル化硬阻害剤を含有する組成物は、実用的な速度で硬化させるために、70℃以上の温度に加熱する必要がある。
【0043】
アセチレンアルコール及びその誘導体の実施例としては、1-エチニル-1-シクロヘキサノール(ETCH)、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、1-フェニル-2-プロピン-1-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール、及びこれらの混合物が挙げられる。アセチレンアルコールの誘導体としては、少なくとも1個のケイ素原子を有するこれらの化合物が挙げられてもよい。
【0044】
本明細書の成分(D)の分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレートに加えて、標準的なヒドロシリル化硬化阻害剤が存在する場合、存在するヒドロシリル化硬化阻害剤の総量は、組成物の重量に対して、組成物の0.0125~10重量%、あるいは0.0125~5重量%、あるいは0.025~3重量%のままである。
【0045】
組成物はまた、好ましくは細かく分割された1種以上の補強充填剤、1種以上の非補強充填剤、又はこれらの混合物を含んでもよい。
【0046】
存在する場合、補強充填剤は、微粉化ヒュームドシリカ及び/又は微粉化沈殿シリカ及び/又は好適なシリコーン樹脂によって例示されてもよい。
【0047】
沈殿シリカ、ヒュームドシリカ及び/又はコロイダルシリカが、一般的に少なくとも50m/g(ISO9277:2010に従ったBET法)というそれらの比較的高い表面積から特に好ましい。一般的に、50~450m/g(ISO9277:2010に従ったBET法)、あるいは50~400m/g(ISO9277:2010に従ったBET法)の表面積を有する充填剤を使用する。これらの種類のシリカは全て市販されている。
【0048】
典型的には、このような補強充填剤は、本来親水性であり(例えば、未処理シリカ充填剤)、したがって、通常、それらを疎水性にするために処理剤で処理される。これらの表面改質された補強充填剤は凝集せず、表面処理により充填剤が成分(A)によって容易に濡れるため、成分(A)のポリオルガノシロキサンに均質に組み込まれ得る。
【0049】
補強充填剤は、充填剤の取り扱いを容易にし、その他の成分との均質な混合物を得、処理中のオルガノシロキサン組成物のクレーピングを防止するために適用可能な、当該技術分野において開示されている任意の低分子量有機ケイ素化合物で表面処理されてもよい。例えば、充填剤(複数可)を疎水性にして、ひいては取り扱いをより容易にし、その他の成分との均質な混合物を得るようにするオルガノシラン、ポリジオルガノシロキサン、又はオルガノシラザン、例えば、ヘキサアルキルジシラザン、短鎖シロキサンジオールである。具体例としては、シラノール末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン、シラノール末端ビニルメチル(ViMe)シロキサン、シラノール末端メチルフェニル(MePh)シロキサン、各分子中に平均2~20のジオルガノシロキサンの繰り返し単位を含有する液体ヒドロキシルジメチル末端ポリジオルガノシロキサン、ヒドロキシルジメチル末端フェニルメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンなどのヘキサオルガノジシロキサン、ジビニルテトラメチルジシロキサンと、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、ジビニルテトラメチルジシラザン及びテトラメチルジ(トリフルオロプロピル)ジシラザンなどのヘキサオルガノジシラザンと、ヒドロキシルジメチル末端ポリジメチルメチルビニルシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、並びに限定されないが、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、クロロトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、トリクロロメチルシランを含むシランが挙げられる。
【0050】
少量の水を、加工助剤としてシリカ処理剤と一緒に添加し得る。
【0051】
表面処理は、充填剤を組成物に導入する前に行ってもよい、あるいは、通常はポリオルガノシロキサン成分(A)及び当該充填剤を実質的に含むベース材料の調製中に、その場で行ってもよい。
【0052】
存在する場合、補強充填剤は、組成物の2.5~40重量%、あるいは組成物の5.0~35重量%、あるいは組成物の7.5~35wt%の量で存在する。
【0053】
非補強充填剤は、代替的に又は追加的に、本明細書の組成物中に含まれてもよい。これらは、例えば、破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、ウォラストナイト、アルミナイト、硫酸カルシウム(硬石膏)、石膏、硫酸カルシウム、粉末炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、粘土例えばカオリン、アルミニウム三水酸基化合物、水酸化マグネシウム(水滑石)、グラファイト、炭酸銅、例えばマラカイト、炭酸ニッケル、例えばザラカイト、炭酸バリウム、例えばウイザライト及び/又は炭酸ストロンチウム、例えばストロンチアナイトが挙げられてもよい。
【0054】
その他の非補強性充填剤としては、酸化アルミニウム、かんらん石族と、ざくろ石族と、アルミノシリケートと、環状アルミノシリケートと、鎖状アルミノシリケートと、層状アルミノシリケートからなる群からのシリケートと、が挙げられてもよい。かんらん石族は、ケイ酸塩鉱物、例えばフォルステライト及びMgSiOを含むが、これらに限定されない。ざくろ石族は、赤色ざくろ石と、MgAlSi12と、緑ざくろ石と、CaAlSi12などの粉末ケイ酸塩鉱物と、を含むが、これらに限定されない。アルミノシリケートは、珪線石と、AlSiOと、ムライトと、3Al.2SiOと、カイヤナイトと、AlSiOなどの粉末ケイ酸塩鉱物と、を含むが、これらに限定されない。環状ケイ酸塩は、非補強充填剤として利用されてもよく、これは、コージェライト及びAl(Mg,Fe)[SiAlO18]などのケイ酸塩鉱物を含む、がこれらに限定されない。鎖状ケイ酸塩族は、粉末ケイ酸塩鉱物、例えば、珪灰石及びCa[SiO]を含むが、これらに限定されない。層状ケイ酸塩は、代替的に又は追加的に、非補強充填剤として使用されてもよく、適切な群は、ケイ酸塩鉱物、例えば、雲母と、KAI14[SiAl20](OH)と、葉蝋石と、Al[Si20](OH)と、タルクと、Mg[Si20](OH)と、蛇絞石、例えばアスベストと、カオリナイトと、Al[Si10](OH)と、バーミキュライトなどのケイ酸塩鉱物と、が挙げられるが、これらに限定されない。1つの代替例では、充填剤は、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、炭酸カルシウム、タルク、雲母、石英、及び酸化アルミニウムのうちの1つ以上から選択される。
【0055】
本明細書に記載されるヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物はまた、接着促進剤を含んでもよい。しかしながら、成分D、マルチアクリレートは、接着促進剤として更に機能する可能性があり、したがって、ヒドロシリル化硬化阻害剤としての成分Dの使用は、追加の接着促進剤の必要性をなくすという利点を有し得ることに留意されたい。しかしながら、必要であれば、追加の接着促進剤を組成物中に利用してもよい。存在する場合、追加の接着促進剤は、1つ以上のモノアクリレート、ジアクリレート、又はメタクリレートを含んでもよい。実施例としては、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘプタンジオールジアクリレート、オクタンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、及び又はウンデカンジオールジアクリレートなどの、C4~20アルカンジオールジアクリレートなどの、ジアクリレートが挙げられてもよい。モノアクリレートの実施例としては、メタクリロキシメチル-トリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-メチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-ジメチルメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-メチルジエトキシシラン、3-メタクリルオキシイソブチル-トリメトキシシラン、又は類似のメタクリルオキシ置換アルコキシシランと、3-アクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-メチルジメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-ジメチル-メトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-トリエトキシシラン、又は類似のアクリルオキシ置換アルキル含有アルコキシシランと、などの、メタクリル基又はアクリル基を含有するアルコキシシランが挙げられる。一実施形態では、必要に応じて、追加の接着促進剤は、存在する場合、1つ以上のモノアクリレート、ジアクリレート又はメタクリレートを含まない。
【0056】
接着促進剤として使用され得るエポキシ含有アルコキシシランの実施例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、5,6-エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられてもよい。
【0057】
接着触媒、すなわち、上記の接着促進剤の反応を活性化及び/又は加速するために使用される縮合触媒もまた利用されてもよい。このような縮合触媒は、チタネート(例えばテトラプロポキシチタネート)、ジルコネート、有機アルミニウムキレート、チタンキレート及び/又はジルコニウムキレートを含む有機金属触媒から選択されてもよい。
【0058】
例えば、チタネート系触媒及びジルコネート系触媒は、一般式Ti[OR又はZr[ORによる化合物を含んでもよく、式中、各Rは同じでも異なっていてもよく、1~20個の炭素原子、あるいは1~10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状であってもよい一価の、一級、二級、又は三級脂肪族炭化水素基を表す。任意選択的に、チタネート又はジルコネートは、部分不飽和基を含有してもよい。Rの好ましい実施例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、三級ブチル基及び分岐状二級アルキル基、例えば2,4-ジメチル-3-ペンチル基が挙げられるが、これらに限定されない。各Rが同じである場合、好ましくは、Rは、イソプロピル基、分岐状二級アルキル基又は三級アルキル基、特に三級ブチル基である。具体的な実施例としては、限定されるものではないが、ジルコニウムテトラプロピレート及びジルコニウムテトラブチレート、テトラ-イソプロピルジルコネート、ジルコニウム(IV)テトラアセチルアセトネート(ジルコニウムAcAcと呼ばれることもある)、ジルコニウム(IV)ヘキサフルオルアセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)トリフルオロアセチルアセトネート、テトラキス(エチルトリフルオロアセチルアセトネート)ジルコニウム、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンチオネート)ジルコニウム、ジルコニウム(IV)ジブトキシビス(エチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシビス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンチオネート)ジルコニウム、又は配位子として使用されるβ-ジケトン(それらのアルキル置換及びフッ素置換された形態を含む)を有する類似のジルコニウム錯体が挙げられる。上記ジルコネートのチタネート等価物もまた含まれる。
【0059】
好適なアルミニウム系縮合触媒としては、Al(OC、l(OC(CCOCHCOC1225)、Al(OC(OCOCH)、及びAl(OC(OCOC1225)のうちの1つ以上が挙げられてもよい。
【0060】
必要及び/又は有益とみなされる場合、接着促進剤は、その他のシランカップリング剤、2つ以上のアクリレート基を含有する有機化合物及び/又は反応性シロキサンなどのその他の原料もまた含んでもよい。
【0061】
接着促進剤の例としては、シランカップリング剤、例えばメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、及び1,6-ビス(トリメチルシリル)ヘキサン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はグリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0062】
1種以上の接着促進剤(複数可)は、典型的には、組成物の約0.1~6重量%、あるいは、組成物の0.1~4重量%の総量で組成物中に存在する。
【0063】
導電性充填剤の実施例としては、金属粒子、金属酸化物粒子、金属コーティング金属粒子(銀メッキニッケルなど)、金属コーティング非金属コア粒子(銀コーティングタルク、又はマイカ、又は石英など)及びこれらの組み合わせが挙げられる。金属粒子は、粉末、フレーク又はフィラメントの形態であってもよく、それらの混合物又は誘導体であってよい。
【0064】
熱伝導性充填剤の実施例としては、窒化ホウ素、アルミナ、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、及び酸化アルミニウムなど)、グラファイト、ダイヤモンド、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0065】
顔料の実施例としては、二酸化チタン、酸化クロム、酸化ビスマスバナジウム、酸化鉄、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物に利用され得る着色剤又は染色剤の実施例としては、顔料、バット染料、反応染料、酸性染料、クロム染料、分散染料、カチオン性染料、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書に記載される二元系湿気硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、必要に応じて添加され得る1種以上の顔料及び/又は着色剤を更に含んでもよい。顔料及び/又は着色剤は、有色、白色、黒色、金属効果、及び発光性、例えば蛍光性及びリン光性であってもよい。顔料は必要に応じて利用され、組成物を着色する。本明細書の組成物と適合性がある限り、任意の好適な顔料を利用してもよい。二元系湿気硬化型オルガノポリシロキサン組成物では、顔料及び/又は着色(非白色)充填剤、例えばカーボンブラックを触媒パッケージに用いて、エンドシーラント製品を着色してもよい。
【0067】
好適な白色顔料及び/又は着色剤としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛、硫化亜鉛、リトポン、酸化ジルコニウム、及び酸化アンチモンが挙げられる。
【0068】
好適な非白色無機顔料及び/又は着色剤としては、針鉄鉱、鱗鉄鉱、赤鉄鉱、マグヘマイト、及びマグネタイト黒酸化鉄、黄酸化鉄、褐色酸化鉄、及び赤酸化鉄などの酸化鉄顔料と、青鉄顔料と、酸化クロム顔料と、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウム辰砂等のカドミウム顔料と、バナジン酸ビスマス、バナジン酸モリブデン酸ビスマスなどのビスマス顔料と、チタン酸コバルトグリーンなどの混合金属酸化物顔料と、クロムイエロー、モリブデン酸レッド、及びモリブデン酸オレンジなどの、クロム酸塩顔料及びモリブデン酸顔料と、ウルトラマリン顔料と、酸化コバルト顔料と、チタン酸ニッケルアンチモンと、鉛クロムと、カーボンブラックと、ランプブラック、及び金属効果顔料、例えばアルミニウム、銅、酸化銅、青銅、ステンレス鋼、ニッケル、亜鉛、及び黄銅と、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
好適な有機非白色顔料及び/又は着色剤としては、フタロシアニン顔料、例えばフタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーンと、モノアリーリドイエロー、ジアリーリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、複素環式イエロー、DANオレンジ、キナクリドン顔料、例えばキナクリドンマゼンタ及びキナクリドンバイオレットと、金属化アゾレッド及び非金属化アゾレッド及びその他のアゾ顔料を含む有機レッド、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、アゾ顔料レーキ、β-ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアゾ縮合顔料、イソインドリノン、及びイソインドリン顔料、多環式顔料、ペリレン及びペリノン顔料、チオインディゴ顔料、アントラピリミドン顔料、フラバントロン顔料、アンサントロン顔料、ジオキサジン顔料、トリアリールカルボニウム顔料、キノフタロン顔料、及びジケトピロロピロール顔料と、が挙げられる。
【0070】
典型的には、顔料及び/又は着色剤は、微粒子である場合、10nm~50μmの範囲、好ましくは40nm~2μmの範囲の平均粒径を有する。顔料及び/又は着色剤は、存在する場合、触媒パッケージ組成物の2重量%から、あるいは3重量%から、あるいは5重量%~20重量%まで、あるいは触媒パッケージ組成物の15重量%まで、あるいは触媒パッケージ組成物の10重量%までの範囲で存在する。
【0071】
本発明の好ましい実施形態では、顔料及び染料は、成分(a)中に25:75~70:30の比率で分散されて構成される顔料マスターバッチの形態で使用される。
【0072】
更なる添加剤としては、トリメチルシリル又はOH末端シロキサンなどのシリコーン流体が挙げられる。このようなトリメチルシロキシ又はOH末端ポリジメチルシロキサンは、典型的には25℃で150mPa.s未満(<)の粘度を有する。このようなシリコーン流体は、存在する場合、硬化性シリコーンエラストマー組成物中に、組成物の総重量に基づいて0.1~5重量%の範囲の量で存在してもよい。
【0073】
ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物は、以下のものを含んでもよい。
成分(A)である、分子当たり少なくとも2つのアルケニル基含を有し、25℃で1000mPa.s~200,000mPa.sの範囲の粘度を有し、組成物の総重量に基づいて5~95重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて35~85重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて40~80重量%、更にあるいは組成物の総重量に基づいて50~80重量%の量の1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
成分(B)である、1分子当たり少なくとも2つ又は3つのケイ素結合水素原子を含有し、全組成物の0.1~40重量%、あるいは全組成物の0.5~20重量%、あるいは全組成物の0.5~10重量%、更にあるいは全組成物の1~5重量%の量のポリオルガノシロキサンと、
成分(C)である、全組成物の0.01~10重量%、あるいは全組成物の0.01~5重量%、更にあるいは全組成物の0.05~2重量%の量の少なくとも1種のヒドロシリル化触媒と、
成分(D)である、分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を含む1種以上のマルチアクリレート化合物からなるか、又はそれを含むヒドロシリル化硬化阻害剤であって、これは、典型的には、組成物の0.0125~10重量%、あるいは組成物の0.0125~5重量%、あるいは組成物の0.025~3重量%の量で存在する。本明細書における任意の組成物の総重量%は、100重量%である。
【0074】
上述したヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、通常、使用前に2つ以上の部分で貯蔵されるが、必要に応じて1つの部分の組成物として提供され、適切に調製されてもよい。二元系組成物、すなわち、部分(A)及び部分(B)を有する場合、
部分(A)は、典型的には、存在する場合、ポリオルガノシロキサン(A)及び充填剤に加えて触媒(C)を含有し、
部分(B)は、通常、成分(B)の架橋剤及びポリオルガノシロキサン(A)、並びに存在する場合には充填剤を含む。
【0075】
使用前の多元系組成物の利用は、貯蔵中の早期硬化を防止するために、触媒(C)を架橋剤(B)とは別々に貯蔵するように設計されている。本明細書に記載される成分Dの分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレート化合物は、多くの従来のヒドロシリル化硬化阻害剤、例えば貯蔵中の凝集及び沈殿、したがって触媒とのアルキノール/Pt錯体の分離を回避するために一般に部分Bの組成物中に保持されなければならないアルキノールとは異なり、部分A又は部分B中に組み込まれてもよい。
【0076】
任意の添加剤は、部分(A)又は部分(B)のいずれか又は両方に存在し得るが、それらの存在は、それぞれの部分に存在するその他の成分にいかなる形でも有害でないことを条件とする。
【0077】
本発明のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の成分の均質な混合は、ニーダーミキサ、Z-ブレードミキサ、2本ロールミル(オープンミル)、3本ロールミル、Haake(商標)Rheomix OS Labミキサ、スクリュー押出機又は二軸押出機などの好適な混合手段を使用して行ってもよい。その他の好適なミキサとしては、Hauschild & Co KG(ドイツ)によってSpeedMixer(商標)のブランド名で販売されているミキサが挙げられ、例えば、DC150.1FV、DAC400FVZ及びDAC600FVZが、代替的に使用されてもよい。
【0078】
硬化可能なヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、射出成形、プレス成形、押出成形、トランスファー成形、プレス加硫、カレンダー加工によって加工(又は硬化)されてもよい。
【0079】
本明細書で上に記載したようなヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、ロール塗り、展着塗り、3D印刷等の任意の好適な手段によって基材の表面に適用され、上記のとおりに硬化されてもよい。3D印刷法を使用する場合。3次元(3D)物品を形成する典型的な方法は、複数の工程を含んでもよい。例えば、本方法は、(i)本明細書に記載される第1のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を3Dプリンタによって印刷して、層を形成することを含んでもよい。本方法は、(ii)層を加熱して、少なくとも部分的に硬化した層を形成することを更に含んでもよい。なお、本方法は、(iii)本明細書に記載される第2のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を、少なくとも部分的に硬化した層上に3Dプリンタによって印刷して、後続の層を形成することを含んでもよい。本方法は、(iv)後続の層を加熱して、少なくとも部分的に硬化した後続の層を形成することを更に含んでもよい。任意選択的に、任意の追加の層について、独立して選択される硬化性シリコーン組成物を用いて、工程iii)及びiv)を繰り返して、3D物品を形成してもよい。
【0080】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を基材上に適用した後、組成物は、80℃~250℃の範囲の硬化温度で硬化される。このような温度は、一般に、関与する材料によって決定される。
【0081】
本明細書で提供されるヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、自動車用途、医療用途、消費者用途及び産業用途、電子用途を含むがこれらに限定されない様々な産業における多種多様な製品の調製において使用されてもよい。自動車用途では、これは、シリコーンシール又はガスケット、プラグ及びコネクタ、各種センサのコンポーネント、膜、隔壁、気候換気コンポーネント等を有するハウジングを含んでもよい。電子用途としては、携帯電話カバーシール、携帯電話付属品、精密電子機器、電気スイッチ及びスイッチカバー、腕時計及びリストバンド、ウェアラブル器具、例えば、フェースマスク、ウェアラブル電子デバイスなどが挙げられてもよい。
【0082】
本明細書で提供されるヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、携帯電話、モバイル通信機器、ゲーム機、時計、画像受信機、DVD機器、MD機器、CD機器、及びその他の精密電子機器、電子レンジ、冷蔵庫、電気炊飯器、テレビ、液晶テレビ及びプラズマテレビの薄型ディスプレイ、各種家電製品、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、及びその他のオフィス自動化(OA)機器、コネクタシール、スパークプラグキャップ、各種センサのコンポーネント、及びその他の自動車コンポーネントのパーツに使用されてもよい。
【実施例
【0083】
以下の実施例は、ヒドロシリル化硬化阻害剤としての前述のマルチアクリレートの官能性を示すために提供される。使用した組成物の異なる成分の粘度値を、1000MPa.s未満の粘度に関して、速度、すなわち剪断速度が1s-1(60rpm)で、スピンドルLV-4を備えたBrookfield(商標)回転式粘度計(1,000~2,000,000MPa.sの範囲の粘度用に設計されたもの)、又はスピンドルLV-1を備えたBrookfield(商標)回転式粘度計(15~20,000MPa.sの範囲の粘度用に設計されたもの)のいずれかを使用して測定した。特に指示がない限り。特に指示がない限り、全ての粘度を25℃で測定した。
【0084】
以下の実施例では、
マスターバッチMB1は、25℃で約53,000MPa.sの粘度を有する70.8重量%のジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンのMB1と、約300m/gの表面積を有する22.4重量%のヒュームドシリカ充填剤のMB1と、を含有し、残りは疎水化処理剤であった。シリカは疎水化されており、ビニル官能化を含有していない。
マスターバッチMB2は、25℃で約55,000MPa.sの粘度を有する66.6重量%のジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンのMB2と、約300m/gの表面積を有する25.8重量%のヒュームドシリカ充填剤のMB2と、を含有し、残りは疎水化処理剤であった。シリカは疎水化されており、約0.178mmol/gのビニル官能化を有した。
ポリマーA1は、25℃で53,000mPa.sの粘度を有するビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサンであった。
ポリマーA2は、25℃で370mPa.sの粘度を有するビニル末端ポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルビニルシロキサン)であった。
架橋剤B1は、SiHとしてHを0.97重量%有し、粘度が22mPa.sである、HMeSiO0.5封鎖MQ樹脂であった。これは、M(H)架橋剤であった。
架橋剤B2は、SiHとしてHを0.70重量%有し、25℃で、粘度が~48mPa.sである、MeSiO0.5末端ポリ(ジメチル-co-メチル水素)シロキサンであった。これは、D(H)架橋剤である。
OH末端PDMSは、約21MPa.sの粘度を有するヒドロキシジメチル末端ポリジメチルシロキサンであった。
使用したテトラアクリレートは、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート(上記)であった。
使用したトリアクリレートは、トリメチロールプロパントリアクリレート(上記)であった。
使用したジアクリレートは、
【0085】
【化2】
【0086】
使用した組成物を2つの部分に調製し、次に、2つの部分を一緒に混合して、最終ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を提供した。表1aは、実施例1、実施例5及びC.5の部分A及び部分Bの組成物の実施例を提供する。表1b等に提供される後続の組成物は、混合後の組み合わされた部分A+部分B組成物である。
【0087】
【表1】
【0088】
一連の実施例を、表1aに示したものと同様の部分A組成物及び部分B組成物を用いて調製した。部分A組成物及び部分B組成物を、最初に2つのマスターバッチを混合し、次に各部分からの残りの成分を添加することによって調製した。部分A及び部分Bの組成物を調製したら、必要に応じて、それらを一緒に混合し得た。以下の表に提供される組成物は、混合後に組み合わされた部分A及び部分Bの組成物である。
【0089】
【表2】
【0090】
次に、表1bに特定された実施例を試験して、硬化パラメータTc2、Tc60、Tc90、すなわち、2%、60%及び90%の硬化に達するのにかかる時間の詳細を提供した。これらの試験を、Alpha Technologies社製のPremier MDRMoving Dieレオメータで、ASTM D5289-19aに従って実施した。測定を、120℃で10分間の硬化期間中に行った。
【0091】
各実施例について、25℃で1、24、48、72時間保管後、TA Instruments社製のプレート-プレートAR2000EXレオメータを使用して、500マイクロメートルのセル間隙及び10s-1の剪断速度で、組成物の硬化遅延に関するヒドロシリル化硬化阻害剤(複数可)の存在の効果を報告するために、粘度測定をDIN 53018に従って行った。結果を以下の表1cに提供する。
【0092】
【表3】
【0093】
実施例1(実施例1)マルチアクリレートがヒドロシリル化硬化阻害剤として明確に機能することを明確に示す。以前に認められたヒドロシリル化硬化阻害剤は、実施例1の組成物中には存在せず、硬化を遅延させるその能力は、48時間超(>)後でも依然として明らかである。したがって、マルチアクリレートが唯一のヒドロシリル化硬化阻害剤として存在し得ることを明確に示す。
【0094】
上記実施例を、一連の比較実施例C.1~C.9と比較し、その組成を、以下の表2a及び表2bに示す。
【0095】
【表4】
【0096】
表2bにおいて、使用したジメタクリレートは、以下の構造を有するヘキサンジオール-ジメタクリレートであった。
【0097】
【化3】

使用したトリメタクリレートは、以下の構造を有するトリメチロールプロパントリメタクリレートであった。
【0098】
【化4】
【0099】
【表5】
【0100】
次に、前述の比較組成物を、Tc2、Tc60、Tc90、及び粘度の経時変化についても、上記と同じ試験方法を使用して評価し、結果を表2c及び2dに示す。
【0101】
【表6】
【0102】
これは、比較実施例C.1、C2及びC3から、標準的なD(H)架橋剤を使用して標準的なヒドロシリル化硬化シリコーンゴム組成物にアクリレートを添加することにより、硬化プロセスが減速され、ゲル化前の時間が短縮されることが分かる。この問題は、例えば実施例1において、マルチアクリレートヒドロシリル化硬化阻害剤を使用する場合に克服される。
【0103】
実施例1をC6と比較した場合、マルチアクリレートは、M(H)架橋剤に対してのみヒドロシリル化硬化阻害剤として機能することが分かる。例えば、C.6を使用すると、24時間だけ室温で硬化した組成物が見られる。
【0104】
実施例2は、3日後に1317Pa.sの粘度を示し、これは、例えば、同じモル量のアクリレートを使用するC7(ジアクリレート)と比較して有意な改善であり、共阻害剤として追加のETCHを有するにもかかわらず、またより遅い硬化を示すにもかかわらず、24時間後に既にゲル化されている。
【0105】
実施例2、3及び7(実施例2、実施例3及び実施例7へ)は、先述したようなマルチアクリレートヒドロシリル化硬化阻害剤を使用した場合の経時的な粘度増加率の低下が、C.3(D(H)架橋剤及びテトラアクリレート)と比較して、実施例3(M(H)架橋剤及びテトラアクリレート)から分かるように、M(H)型架橋剤と組み合わせた場合にのみ明らかであることを示す。実施例3は、硬化が速く、経時的な粘度増加の速度が遅いが、C.3は、経時的な粘度増加が比較的より早い。
【0106】
実施例4は、より多いマルチアクリレート装填量の使用が、接着性を増加させるために利用され得ることを示す。実施例4と、C.5と、を比較すると、等モルのアクリルオキシ濃度でジアクリレートを使用すると、120℃で同様の硬化速度が得られることが分かるが、これは、おそらく予想されるにすぎない。
【0107】
【表7】
【0108】
C7~9の組成物は、本明細書に記載されるマルチアクリレートヒドロシリル化硬化阻害剤を使用したものとは異なり、遅延されなかったことが分かる。これは、ジシレート並びにマルチメタクリレートが、ヒドロシリル化プロセスに対して同様の遅延効果を提供しないことを明確に示している。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物であって、
(A)分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含み、不飽和基がアルケニル基及びアルキニル基から選択され、25℃で1000mPa.s~200,000mPa.sの範囲の粘度を有する、1つ以上のポリオルガノシロキサン、
(B)少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つの末端ケイ素結合水素基を含有するポリオルガノシロキサン、
(C)少なくとも1つのヒドロシリル化触媒、
(D)分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレート化合物からなるか、又はそれを含むヒドロシリル化硬化阻害剤、を含む、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
前記マルチアクリレートが、分子当たり3~10のアクリレート基を含有する、請求項1に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
前記マルチアクリレートが、トリアクリレート、テトラアクリレート、ペンタアクリレート、ヘキサアクリレート又はこれらの混合物から選択される、請求項1~2のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
前記マルチアクリレートが、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ-/ヘキサ-アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、又はこれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
成分(D)が、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、1-フェニル-2-プロピン-1-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール、及びこれらの混合物から選択される1種以上のアセチレンアルコールを更に含む、請求項1又は2に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
1種以上の補強充填剤及び/又は非補強充填剤を更に含む、請求項1又は2に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項7】
接着促進剤、離型剤、接着触媒、酸化防止剤、顔料、導電性充填剤、熱伝導性充填剤、ポットライフ延長剤、難燃剤、潤滑剤、離型剤、UV光安定剤、殺菌剤、湿潤剤、熱安定剤、圧縮永久歪み添加剤及び可塑剤又はこれらの混合物から選択される1種以上の添加剤を更に含む、請求項1又は2に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項8】
触媒(C)及び架橋剤(B)が別々に貯蔵されるように、前記ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物が、使用前に2つの部分、すなわち、触媒(C)、ポリオルガノシロキサン(A)、及び存在する場合には充填剤を含有する部分(A)、並びに成分(B)、前記架橋剤、及びポリオルガノシロキサン(A)、及び存在する場合には任意に充填剤を含有する部分(B)で貯蔵される、請求項1に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項9】
成分Dの分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有する前記マルチアクリレート化合物が、部分A、部分B、又は部分A及び部分Bに貯蔵され得る、請求項8に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項10】
成分(D)が、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、1-フェニル-2-プロピン-1-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール、及びこれらの混合物から選択される1種以上のアセチレンアルコールを更に含み、1種以上のアセチレンアルコールが部分Bの組成物中に貯蔵される、請求項8又は9に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の硬化生成物である、硬化シリコーン材料。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の組成物におけるヒドロシリル化硬化阻害剤としての、分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレート化合物の使用。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の前記組成物におけるヒドロシリル化硬化阻害剤及び接着促進剤としての、請求項12に記載の分子当たり少なくとも3つのアクリレート基を有するマルチアクリレート化合物の使用。
【請求項14】
硬化シリコーン材料を調製する方法であって、請求項1に記載の前記ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の前記成分を混合し、前記組成物を80℃~250℃の間の温度で硬化させることによる、方法。
【請求項15】
前記硬化シリコーン材料が3次元(3D)物品であり、前記方法が更に
(i)ある量の、請求項1~10のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を印刷して層を形成することと、
(ii)前記層を加熱して、少なくとも部分的に硬化した層を形成することと、
(iii)請求項1~10のいずれか一項に記載のヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の第2の量を、前記少なくとも部分的に硬化した層上に前記3Dプリンタで印刷して、後続の層を形成することと、
(iv)前記後続の層を加熱して、少なくとも部分的に硬化した後続の層を形成することと、所望により、
(v)工程iii)及びiv)を繰り返すことが、3D物品を形成するために繰り返されてもよいことと、を含む、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】