(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】高速入出力マージン試験のためのシステム、方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20231127BHJP
G06F 11/263 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G01R31/28 Q
G01R31/28 R
G06F11/263
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531531
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 US2021060662
(87)【国際公開番号】W WO2022115494
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】フローリッヒ・ダニエル・エス
(72)【発明者】
【氏名】ストリックリング・サム・ジェイ
【テーマコード(参考)】
2G132
5B048
【Fターム(参考)】
2G132AB06
2G132AB07
2G132AC11
2G132AD10
2G132AG05
2G132AG14
2G132AL11
5B048DD05
(57)【要約】
マージン試験装置は、被試験デバイス(DUT)に接続するように構成された少なくとも1つのインタフェースと、擬似ランダム・データのシーケンスと1つ以上の事前定義されたパラメータに基づいて試験信号のセットを作成するように構成された1つ以上のコントローラと、試験信号のセットをDUTに送信するように構成された出力部とを含む。開示されたマージン・テスタ及びその他の試験装置を用いてDUTを試験するための方法及びシステムについても記述する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイス(DUT)に接続するように構成された少なくとも1つのインタフェースと、
擬似ランダム・データ・シーケンス及び1つ以上の事前定義パラメータに基づいて試験信号のセットを生成するように構成された1つ以上のコントローラと、
上記試験信号のセットをDUTに送信するように構成された出力部と
を具えるマージン試験装置。
【請求項2】
上記事前定義信号パラメータは、時間マージン、電圧マージン又は時間マージン及び電圧マージンの両方を有する請求項1のマージン試験装置。
【請求項3】
上記1つ以上のコントローラへの任意波形発生装置入力部を更に具え、上記1つ以上のコントローラは、上記任意波形発生装置入力部で受信した信号をランダムに生成された2進数と組み合わせて、上記データ・シーケンスを作成する請求項1のマージン試験装置。
【請求項4】
上記DUTの状態に基づいてトリガ信号を生成するトリガ出力部を更に具える請求項1のマージン試験装置。
【請求項5】
ユーザが動作エンベロープを作成するために使用される上記事前定義信号パラメータを変更できるユーザ・インタフェースを更に具える請求項1のマージン試験装置。
【請求項6】
上記ユーザ・インタフェースの試験レポート画面に試験結果が表示され、特定の試験が不合格の閾値内で合格したという試験結果を表示する請求項5のマージン試験装置。
【請求項7】
上記閾値をユーザが定義可能である請求項6のマージン試験装置。
【請求項8】
マージン・テスタを動作させる方法であって、
擬似ランダム・バイナリ・データ・シーケンスを生成するステップと、
生成された上記データ・シーケンス及び1つ以上の事前定義されたパラメータに基づいて試験信号のセットを作成するステップと、
上記試験信号のセットをDUTに送信するステップと
を具えるマージン・テスタを動作させる方法。
【請求項9】
1つ以上の事前定義信号パラメータを限界内に限定するステップが、生成された上記データ・シーケンスに時間マージンを追加する処理、生成された上記データ・シーケンスに電圧マージンを追加する処理、又は、生成されたデータ・シーケンスに時間マージン及び電圧マージンの両方を追加する処理を有する請求項8の方法。
【請求項10】
擬似ランダム・バイナリ・データ・シーケンスを生成するステップが、入力として任意波形発生装置を使用して擬似ランダム・バイナリ・データ・シーケンスを生成するステップを有する請求項8の方法。
【請求項11】
上記DUTの状態に基づいてトリガ信号を生成するステップを更に具える請求項8の方法。
【請求項12】
ユーザ・インタフェースを介してユーザから上記事前定義信号パラメータを受けるステップを更に具える請求項8の方法。
【請求項13】
上記ユーザ・インタフェースの試験レポート画面上に試験結果を表示するステップを更に具え、上記試験結果の中の1つは、特定の試験が不合格の閾値内で合格したことである請求項12の方法。
【請求項14】
上記ユーザ・インタフェースを介してユーザから閾値を受けるステップを更に具える請求項13の方法。
【請求項15】
試験システムであって、
被試験デバイスと、
1つ以上のデータ・プローブを介して上記被試験デバイスに結合され、上記被試験デバイス上の信号を捕捉できるオシロスコープと、
マージン試験装置と
を具え、
該マージン試験装置が、
上記被試験デバイスに接続するように構成された少なくとも1つのインタフェースと、
データ・シーケンスを生成するように構成された擬似ランダム・バイナリ・シーケンス発生部と、
生成された上記データ・シーケンスを表す試験信号を生成するコントローラと、
上記試験信号を1つ以上の事前定義信号パラメータで限定するための動作エンベロープ定義部と、
限定された試験信号を被試験デバイスに送信するように構成された出力部と
を有する試験システム。
【請求項16】
上記事前定義信号パラメータが、時間マージン、電圧マージン又は時間マージン及び電圧マージンの両方を含む請求項15の試験システム。
【請求項17】
上記擬似ランダム・バイナリ・シーケンス発生部への任意波形発生装置入力部を更に具え、上記擬似ランダム・バイナリ・シーケンス発生部が、上記波形発生装置入力部で受信した波形信号をランダムに生成されたバイナリ数と組み合わせて、上記データ・シーケンスを作成する請求項15の試験システム。
【請求項18】
上記DUTの状態に基づいてトリガ信号を生成するマージン試験装置のトリガ出力部を更に含み、上記トリガ信号を受信する上記オシロスコープのトリガ入力部を更に含む請求項15の試験システム。
【請求項19】
ユーザ・インタフェースを更に具え、該ユーザ・インタフェースによって、ユーザは、上記動作エンベロープを作成するために使用される事前定義信号パラメータを変更できる請求項15の試験システム。
【請求項20】
試験結果が上記ユーザ・インタフェースの試験レポート画面に表示され、上記試験結果の中の1つは、特定の試験が不合格の閾値内で合格したことである請求項15の試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定システムに関し、より詳細には、電気的被試験デバイス(DUT)上で電気的マージン試験を使用してデバイスの特性評価を行うためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの通信規格は、被試験装置(DUT)が指定された適合マージンを備えた全ての性能試験に合格するかどうかを判定するための、一連のストレス試験シナリオを概説している。例えば、任意波形又は関数発生装置やビット・エラー・レート・テスタ(BERT)などの信号源を備えた試験測定装置は、ストレス試験用の波形を生成し、受信した信号に応じたDUTの性能マージンを測定するために使用できる。このような試験は、新しいデバイスを設計するエンジニアリング特性評価段階で実行され、デバイスの実際の電気的性能とシミュレートされた性能を比較して、デバイスが設計通りに動作していることを確認する。
【0003】
多くの電気装置は、高速I/O信号経路又はバスを含む。例えば、最新のパーソナル・コンピュータ(PC)のマザーボードや他のタイプの電気デバイスには、多くの場合、高速シリアルPCI Express(PCIe又はPCI-eとも略される)バスが含まれており、これは、PCI Express 高速シリアル・コンピュータ拡張バス規格に準拠して動作するバスである。PCI Express 規格のフォーマット仕様は、PCI Special Interest Group(PCI-SIG)によって維持及び開発されている。これらのバスは、通常、マザーボードと、マザーボード上のPCIeコネクタ・スロット又はポートに差し込まれるアドイン/ドーター・カードとの間の通信に使用される。マザーボード以外の多くの電気デバイスも、高速I/OのためにPCIeバスとコネクタを採用している。PCIe Generation 4(Gen4又はバージョン4)デバイスは、最大16ギガ転送/秒(GT/s)の帯域幅を実現できる。PCIe Generation 5(Gen5又はバージョン5)デバイスは、最大32GT/sの帯域幅を実現できる。
【0004】
PCIeデバイスは、相互接続又はリンクと呼ばれる論理接続を介して通信する。リンクは、同時双方向トラフィックを可能にする2つのPCIeポート間のポイント・ツー・ポイント通信チャンネルである。物理レベルでは、リンクは1つ以上のレーンで構成される。低速PCIeデバイスは、シングル・レーン(x1)リンクを使用するが、グラフィックス・アダプタなどの高速PCIeデバイスは、通常、より幅が広く高速な16レーン(x16)リンクを使用する。1つのレーンは、2つの差動信号ペアで構成され、1つのペアはデータの受信用、もう1つのペアは送信用である。従って、各レーンは、4本のワイヤ又は信号トレースで構成される。従来、PCIeデバイスのレーンの性能は、ビット・エラー・レート・テスタ(BERT)や高速信号発生装置及びオシロスコープ(スコープ)を用いて試験されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0145212号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0285225号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/0025824号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2014/0229666号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2020/0250368号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プリント回路基板(PCB)の開発のエンジニアリング・ベンチ試験やエンジニアリング特性評価段階では、基板設計の高速ルート(例えば、PCIe相互接続)がシミュレーションされるか又は設計「レシピ」又は基準設計が追跡される。その後、量産前の基板サンプルが作成され、試験されることがよくある。しかし、ビット・エラー・レート・テスタ(BERT)とオシロスコープを使用して、全ての高速I/Oについて各ボードのサンプルと各レーンを試験することは、コスト、時間、複雑さの制約により、通常は実現できない。特に、PCIeなどの高速I/O規格を試験する従来のBERT及びスコープは、データ・レートの増加に伴い、コストと複雑さが増加し続けている。単一のPCIeレーンを一度に試験する単一のトランスミッタ(Tx)及びレシーバ(Rx)試験ステーションのコストは、100万ドルを超える場合がある。これら装置は、また、従来のTx及びRx試験並びに校正や専門家(多くの場合博士レベル)のユーザにとっては、使用するのが難しく、測定が正しく行われ、装置が正常に動作する状態を維持することを確認するには、かなりの時間が必要である。更に、一般的なBERTは、一度に1つのレーンのみの試験が可能で、そのため、試験は、これらのI/Oリンクの実際の動作とは異なる環境で行われる。これらのI/Oリンクは、通常、マルチ・レーン・リンクを形成し、実際の動作時には、重大なクロストークが発生して、問題を抱える可能性がある。このため、BERTを使用してマルチ・レーン・デバイスの全てのレーンを試験すると、費用と時間がかかり、必ずしも現実世界の状況を試験できるわけではない。これらの制約の結果、従来のBERTとオシロスコープは、量産前のシリコン、基板、PCB、ケーブルの電気試験であまり使用されない。
【0007】
現在のマージン・テスタは、PCIe、USB、DDRなどの所定のコンプライアンス・パッケージ試験スクリプトに従うことができる。これらのスクリプトに合格することにより、設計及び動作仕様への最小限のコンプライアンスが保証される。しかし、堅牢な設計を開発するには、新しい設計が、単に最小限の試験スクリプトに合格することを保証するという最小限以上のことが必要になる場合がある。現在、マージン・テスタには、新しい設計を徹底的に試験する試験スクリプトを開発したり、デバイスの特性を完全に評価したりする機能はない。
【0008】
本開示技術の実施形態は、現在のマージン試験装置のこれら及び他の問題に取り組むものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態による、高速入出力(I/O)マージン試験のためのシステム、装置及び方法の実施形態が実装されても良い例示的な環境を示す概略ブロック図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態による、PCI Express マザーボード・スロットをマージン試験するための、PCI Express 高速シリアル・コンピュータ拡張バス規格に準拠した特定技術用アドイン・カード・マージン・テスタの一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態による、PCI Express アドイン・カードをマージン試験するためのPCI Express高速シリアル・コンピュータ拡張バス規格に準拠したスロットを備えたマザーボードを示すブロック図である。
【
図4】
図4は、送信(Tx)方向と受信(Rx)方向の両方でDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを評価するために、少なくとも1つの試験フィクスチャにケーブル接続されるように構成された、例示的な実施形態による複数のインタフェースを備えた汎用マージン・テスタを示すブロック図である。
【
図5】
図5は、例示的な実施形態による、Tx方向とRx方向の両方でDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するための例示的なマージン・テスタのブロック図である。
【
図6】
図6は、Tx方向とRx方向の両方で、マルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するためのマージン・テスタのコントローラで使用されても良いように構成された例示的な実施形態によるフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)の一例のブロック図である。
【
図7】
図7は、例示的な実施形態による、Tx方向とRx方向の両方で、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するための別のマージン・テスタのブロック図である。
【
図8A】
図8Aは、例示的な実施形態による、Tx方向でDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するためのマージン・テスタのコントローラで使用されても良いFPGAの例示的な出力駆動回路のオプションを示すブロック図である。
【
図8B】
図8Bは、例示的な実施形態による、Tx方向でDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するためのマージン・テスタのコントローラで使用されても良いFPGAの例示的な出力駆動回路のオプションを示すブロック図である。
【
図8C】
図8Cは、例示的な実施形態による、Tx方向でDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するためのマージン・テスタのコントローラで使用されても良いFPGAの例示的な出力駆動回路のオプションを示すブロック図である。
【
図8D】
図8Dは、例示的な実施形態による、Tx方向でDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するためのマージン・テスタのコントローラで使用されても良いFPGAの例示的な出力駆動回路のオプションを示すブロック図である。
【
図9】
図9は、例示的な実施形態による、高速I/Oマージン・テスタによって実行される被試験デバイス(DUT)の例示的なマージン試験の結果と、その結果に基づく潜在的なDUTアセンブリ又は製造上の問題の特定を示すチャートである。
【
図10】
図10は、マージン・エラー・テスタにおいて、PRBSモードを使用してユーザがカスタム試験を定義できるようにする本発明の実施形態によるインタフェースの一例である。
【
図11】
図11は、
図10のインタフェースを使用して定義されたカスタム定義試験の結果を示す本発明の実施形態によるインタフェースの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、高速I/Oマージン試験のためのシステム、装置及び方法の実施形態が実装されても良い例示的な環境を示す概略ブロック図である。マージン・テスタ102は、マルチ・レーン高速I/Oリンク110を介して被試験デバイス(DUT)104に結合される。I/Oリンク110は、Tx方向とRx方向の両方を含む。
【0011】
マージン・テスタ102は、データ接続部103を通して、マルチ・レーン高速I/Oリンク110の様々な特性を表すアイ・パターン表示又はデータのアイ・ダイアグラム108を処理、複製又は提示できる試験ステーション、PC、端末、オシロスコープ、その他の表示装置106に結合されても良い。いくつかの実施形態では、表示装置106は、マージン・テスタ102と統合される。
【0012】
データ接続部103を介して渡されるデータには、クロック信号が含まれても良く、このため、マージン・テスタ102の動作は、試験セットアップにおいて接続されることがある他の装置と同期できる。データ接続部103は、I/Oリンク110の送信(Tx)部分若しくは受信(Rx)部分又はその両方で送受信されたデータのコピーをオシロスコープ又は他の装置に送信するために使用することもできる。データ接続部103は、更に、特定の試験結果に基づいてマージン・テスタ102によって生成された1つ以上のトリガを伝達できる。後述するように、任意波形発生装置(AWG)若しくは任意関数発生装置(AFG)又はその両方などのオプションの波形発生装置105をマージン・テスタ102に結合して、試験用の信号を提供できる。いくつかの実施形態では、波形発生装置105は、マージン・テスタ102内に含まれても良い。
【0013】
アイ・パターン表示又はデータ・アイ・ダイアグラム108は、信号の電気的品質の重要なパラメータを迅速に視覚化して決定できるようにする高速デジタル信号の表現であり、従って、そこからのデータを使用して、統計的に有効なDUTの動作マージンを決定できる。アイ・パターン表示又はデータ・アイ・ダイアグラム108は、個々のビットに対応する波形の部分を縦軸に信号振幅、横軸に時間を示す単一のグラフに折り畳むことによって、デジタル波形から構築される。この構築を多数の波形サンプルに対して繰り返すことによって、結果として得られるグラフは、信号の平均統計値を表し、目(アイ)に似たものになる。
【0014】
アイ開口部は、1ビット周期に対応し、通常、アイ・パターン表示又はデータ・アイ・ダイアグラム108のユニット・インターバル(UI)幅と呼ばれる。ビット周期は、アイ・ダイアグラムの交点におけるアイ・ダイアグラムの水平開口部の大きさである。通常、高速デジタル信号の場合はピコ秒単位で測定される(つまり、5Gbps信号には、200psが使用される)。データ・レートは、ビット周期の逆数(1/ビット周期)である。アイ・ダイアグラムを説明する場合、ビット周期は、概してユニット・インターバル(UI)と呼ばれる。横軸に実際の時間の代わりにUIを使用する利点は、これは正規化されており、異なるデータ・レートのアイ・ダイアグラムを簡単に比較できることである。
【0015】
アイの幅は、アイ・ダイアグラムの水平方向の開口部の大きさである。これは、アイの交点の統計的平均の差を測定することによって計算される。立ち上がり時間は、アイ・ダイアグラムの上り勾配におけるデータの平均遷移時間の大きさである。通常、測定は傾斜の20パーセントと80パーセント又は10パーセントと90パーセントのレベルで行われる。立ち下がり時間は、アイ・ダイアグラムの下向きのデータの平均遷移時間の大きさである。通常、測定は傾斜の20パーセントと80パーセント又は10パーセントと90パーセントのレベルで行われる。
【0016】
ジッタは、データ・ビット・イベントの理想的なタイミングからの時間偏差であり、高速デジタル・データ信号の重要な特性である。ジッタを計算するには、アイ・ダイアグラムの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの遷移の交差点における時間偏差を測定する。変動は、ランダム又はデターミニスティック(deterministic)である可能性がある。偏差の時間ヒストグラムを分析することで、ジッタの量を決定できる。ピーク・ツー・ピーク(p-p)ジッタは、ヒストグラムの全幅として定義され、存在する全てのデータ・ポイントを意味する。二乗平均平方根(RMS)ジッタは、ヒストグラムの標準偏差として定義される。高速デジタル信号のジッタ測定の単位は、通常、ピコ秒である。
【0017】
マージン・テスタ102の実施形態は、特定技術用と汎用という少なくとも2つの形態をとることができる。マージン・テスタ102は、任意のリンク幅(レーン数)の任意の高速I/Oプロトコル・リンクで使用でき、限定するものではないが、ノン・リターン・トゥ・ゼロ(NRZ)、3値パルス振幅変調(PAM-3)及び4値パルス振幅変調(PAM-4)を含む、任意の形式の高速差動シグナリングを使用できる。試験に関する具体的な実施形態の例のために、PCI Expressが使用される。しかし、異なる高速シリアル・バス規格、ハードウェア、プロトコルが使用されても良い。
【0018】
図2は、例示的な実施形態による、PCI Expressマザーボード・スロット206をマージン試験するための、PCI Express 高速シリアル・コンピュータ拡張バス規格に準拠した例示的な特定技術用アドイン・カード・マージン・テスタ202を示すブロック図である。特定技術用の形態では、マージン・テスタの一実施形態は、例えば、被試験のマザーボード204のPCI Expressマザーボード・スロット206を試験するためのPCI Expressアドイン・カード・マージン・テスタ202として実装できる。PCI Expressアドイン・カード・マージン・テスタ202は、PCI Express x 16 CEM(card electromechanical)仕様のフォーム・ファクタ・アドイン・カードであっても良い。
【0019】
PCI Express アドイン・カード・マージン・テスタ202は、特定のPCI Expressフォーム・ファクタ(例えば、CEM又はM.2(以前は、次世代フォーム・ファクタ(NGFF)として知られていた)又はU.2(以前はSFF-8639として知られていた)など)用の標準的なPCI Express準拠のアドイン・カードのフォーム・ファクタであっても良い。PCI Expressアドイン・カード・マージン・テスタ202は、PCB212などの1つ以上のプリント回路基板(PCB)と、準拠したPCI Expressの物理リンク層及び論理リンク層を各レーンに実装した1つ以上のコンポーネントとを有していても良い。PCI Express アドイン・カード・マージン・テスタ202は、PCB212及びコントローラ210に結合された、コネクタ208などの多数のインタフェースを有していても良い。コントローラ210は、単一のコントローラに限定されず、連携して動作する1つ以上のコントローラを含んでもよい。
【0020】
コネクタ208は、マザーボード・スロット206とマージン・テスタ・トランスミッタを接続し、これは、コントローラ210の制御下で、マザーボード204を試験するために、制御されたノイズをリンクに注入する機能をオプションで有する。注入されるノイズとしては、例えば、電圧スイング及び正弦波ジッタが含まれても良い。すると、このようなノイズが注入された後、被試験マザーボード204上でソフトウェアを実行する必要なしに、被試験マザーボード204のレシーバで予期されるアイ・マージンを、時間(タイミング)又は電圧マージンの特定の目標に合わせて変更できる。コントローラ210は、更に、メモリ214に結合されても良く、メモリ214は、本願で説明される機能を実行するために、コントローラ210が読み出し、使用し、又は、実行しても良い命令及び他のデータを記憶しても良い。
【0021】
マージン・テスタの様々な実施形態は、ノイズ注入を伴う場合も、伴わない場合もある。コストを重視した製造試験の場合、ノイズ注入のない実施形態の方が魅力的な場合がある。準拠した物理層実装のマージン・テスタ・レシーバには、PCI Express 4.0/5.0 レーン・マージン仕様で定義されているように、リンクにマージンを取る機能が含まれる場合があるが、より高度なオンダイ(on-die)マージン機能が追加で含まれる場合もある。一実施形態では、マージン・テスタ・レシーバは、独立したエラー検出器を移動させ、データ・サンプラを使って不一致に関して比較することによってアイ・マージンを測定できる。一実装形態では、マージン・テスタ102に本願で説明する機能を実行させるコントローラ210は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)及びFPGA I/Oを用いて実装されても良い。これは、
図5、6及び7に更に詳細に示されている。構成変更可能なコントローラのハードウェア、ファームウェア又はソフトウェアの他の組み合わせも、追加で、又は、代替して使用されても良い。
【0022】
図3は、例示的な実施形態による、PCI Expressアドイン・カードをマージン試験するための、PCI Express高速シリアル・コンピュータ拡張バス規格に準拠したスロットを備えた例示的な特定技術用のマザーボード・マージン・テスタ302を示すブロック図である。マザーボード・マージン・テスタ302は、本願に開示されるマージン・テスタ102の特定技術用の実施形態の別の例であり、PCIeなどのPCI Express アドイン・カードを試験するための1つ以上のPCI Expressスロット306を備えたマザーボード・マージン・テスタ302として実装される。マザーボード・マージン・テスタ302は、PCB312及びコントローラ310に結合されたいくつかのインタフェース(例えば、1つ以上のPCI Expressスロット306)を有していても良い。例えば、このようなインタフェースは、試験のためにPCIe x 16 アドイン・カードDUT304を挿入できる1つ以上のPCI Express スロット306を有していても良い。
図2に示す実施形態とは異なり、マザーボード・マージン・テスタ302は、PCIeカードとして形成されるDUT304に対して上述のマージン試験を実行するコントローラ310及びメモリ314を含む。コントローラ310及びメモリ314は、
図2を参照して上述したコントローラ210及びメモリ214の実施形態であり、これらと同じ機能を実行できる。また、コントローラ310は、複数のレーンにわたってレーン間のスキューを変化させる量を導入するように少なくとも構成されることによって、シングル・レーン又はマルチ・レーンのレーン高速I/Oリンクの電気的マージンを評価するように構成することもできる。
【0023】
図4は、例えば、1つ以上のケーブルを介して少なくとも1つの試験フィクスチャ(fixture)に接続され、Tx方向及びRx方向のいずれか又は両方で、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを評価するように構成された多数の個別のインタフェース404を備えた例示的な実施形態による汎用マージン・テスタ402を示すブロック図である。汎用マージン・テスタ402は、コントローラ410及び関連するメモリ414を含み、メモリ414は、上述したようにコントローラ210及びメモリ214を参照して説明した機能を実行するためにコントローラ410が読み出し、使用し及び/又は実行できる命令及び他のデータを記憶しても良い。マージン・テスタ402は、試験で使用するために、波形又は関数発生装置405からの入力信号を受けても良い。簡潔にするため、これらの機能と動作の説明の繰り返しは省略する。マージン・テスタ402は、アドイン・カードを試験するための標準的な PCI Express コンプライアンス・ベース・ボード(CBB)を含む試験フィクスチャにケーブル接続することによって、アドイン・カードを試験するために使用することもできる。マージン・テスタ402のインタフェース404は、各高速差動信号用の標準的な同軸コネクタ又は他のコネクタ及びケーブルを含んでも良いし、又は、他の様々な実施形態では、ケーブル数を最小限に抑えて、DUTから別のDUTへの切り替えを効率的に行うために、カスタムの高密度コネクタ及びフィクスチャを有していても良い。
【0024】
いくつかの例では、DUTは、試験対象の相互接続であっても良く、これは、伝統的にベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)を用いて試験されている。しかし、VNAは、多くの場合、コストが高く、複雑である。更に、VNAの測定によって生成されるS(scattering)パラメータは、概して、特に高速シリアル・リンクの統計的シミュレーションで使用される場合、高周波数では、一層信頼性が低くなると考えられる。
【0025】
しかし、本開示の例は、マージン・テスタ102、202、302又は402のいずれかを使用して、1つ以上のケーブルやPCBセグメントを含むパッシブ又はアクティブ相互接続部を試験し、多数のレーンや部品にわたって実際のマージン差を素早く評価できる。これらの試験では、相互接続部の最悪のケースとリスクのレベルを簡単に特定できる。このため、マージン・テスタには、アクティブ又はパッシブの相互接続部を試験するための「VNA」モードを含めることができる。
【0026】
シングル・ポート・マージン・テスタが使用される場合、シングル・ポートのトランスミッタは、概して試験対象の相互接続部の一方の側に接続され、シングル・ポートのレシーバは、相互接続部のもう一方の側に接続される。次に、非プロトコルPRBSでのマージン試験を実行して、試験対象の相互接続部を試験できる。しかし、本開示の例は、試験対象の相互接続部を試験するためのシングル・マージン・テスタに限定されない。むしろ、試験は、第1のマージン・テスタのトランスミッタを試験対象の相互接続部に接続し、第2のマージン・テスタのレシーバを試験対象の相互接続部の他方の端部に接続した状態で、実行しても良い。この説明では、マージン・テスタ100という用語は、マージン・テスタ102、202、302若しくは402のいずれか、後述するマージン・テスタ502若しくは702、又は、それらの同等物を言及するものとして良い。
【0027】
加えて又は代替として、マルチ・ポート・マージン・テスタ100を使用して、トレーニング後のアクティブ・プロトコル状態で試験中の相互接続部を測定できる。このようなセットアップでは、試験対象の相互接続部をマルチ・ポート・マージン・テスタ100の一方のポートに接続することができ、試験対象の相互接続部の他方の側をマルチ・ポート・マージン・テスタ100の別の異なるポートに接続できる。次に、試験対象の相互接続部を試験して、トレーニング後のアクティブ・プロトコル状態のプロトコルでマージンを測定できる。あるいは、マルチ・ポート・テスタ100ではなく、マルチ・マージン・テスタ100を使用して、試験対象の相互接続部のマージン試験を実行することもできる。
【0028】
図5は、例示的な実施形態による、Tx及びRx方向のいずれか又は両方でDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するための例示的なマージン・テスタ502のブロック図である。マージン・テスタ102、202、302及び402のいずれも、マージン・テスタ502を参照して説明する構成要素や機能を含んも良い。
図5のマージン・テスタ502には、FPGA514があって、サポート・ユニット510(これには、イーサネット及び他の通信機能が含まれても良い)、システム基準クロックを提供するためのタイムベース・ユニット508、高速I/O(high-speed I/O:HSIO)出力ユニット502及びHSIO入力ユニット504に影響を与えるように結合されている。マージン・テスタ502は、AC/DC電源ユニット516によって電源が供給されても良い。HSIO出力ユニット502及びHSIO入力ユニット504は、I/Oコネクタ506にも影響を与えるように結合される。FPGA514は、プログラマブル相互接続を介して接続された構成変更可能な論理ブロック(configurable logic block:CLB)のマトリクスをベースとする半導体デバイスである。様々な実施形態において、マージン・テスタ502は、示されているよりも少ない又は多い構成要素を有しても良く、示されているいくつかの構成要素又は構成要素の機能は、マージン・テスタ502に対して影響を与えるように通信しているが、マージン・テスタの外部に配置されても良いし、マージン・テスタから分離して配置されても良いし、又は、FPGA514内に配置若しくは統合されても良い。
【0029】
FPGA514は、例えば、本願に記載のマージン・テスタ502の機能を実行するように、製造後に所望のアプリケーション又は機能要件に合わせて再プログラムできる。例えば、FPGA514上のファームウェアは、マージン・テスタ100のいずれかが、反対方向のトラフィックに基づいて、DUTレシーバでいつエラーが開始するかを推論し、エラーが発生するとマージン・ストレスを迅速に軽減して、致命的なリンク障害を防ぐためのリンク層ロジックを含む、エンドポイントとも呼ばれる標準的なPCI Expressの上流ポート(アドイン・カード・マージン・テスタ202の実施形態のようにマザーボードを試験するため)、又は、上流ポート若しくはルート・コンプレックスとも呼ばれる標準的なPCI Expressのルート・ポート(マザーボード・マージン・テスタ302の実施形態のように、アドイン・カードを試験するため)として機能しても良い。いくつかの実施形態では、FPGA514が、FPGA514内にメモリ、インタフェースなどを組み込むことができるシステム・オン・モジュール(SoM)アーキテクチャを使用して実装されるか、又は、SoMアーキテクチャを他の方法で有していても良い。SoMは、例えば、高度なRISC(Reduced Instruction Set)マシン(元々は、ARM(Acorn RISC Machine)アーキテクチャ)を用いて実装されてもよい。
【0030】
環境設定(configuration)アプリケーションやスクリプトは、FPGA514によって実装することもできるし、後述の1つ以上のオプションを複数の実行することを含めて、エンド・ユーザが、マージン・テスタ502のマージン・テスタ・オプションを容易に設定変更できるようにする、アクセス可能な別のメモリ・デバイス又は他の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。いくつかの実施形態では、マージンのスキャンのためにビット・エラー・レート(BER)の目標(ターゲット)に関するオプションを設定できる(E-6タイプのマージンについてはミリ秒単位、E-12タイプのマージンについては分単位)。例えば、そのような目標には、限定するものではないが、マージンまでの回数、マージンのタイミングや電圧、マージン・テスタ又はDUTトランスミッタのTx等化処理の補正、マージン・テスタ・レシーバのRxCTLE及びDFEの補正に関する目標が含まれる。
【0031】
いくつかの実施形態では、オプションのアプリケーションやスクリプトが提供され、マージン・テスタ502からデータを移動させて、ユーザに対して、複数の製品/サンプルにわたるマージン・データの大規模なセットを表示し、平均、実行ごとの変動及び時間の経過に伴う傾向を表示し、様々な環境設定オプション(補正したTx等化処理など)を使用して同じDUT上で複数回実行した場合のマージンを比較するための視覚化ツールを提供する。いくつかの実施形態では、被試験マザーボードにインストールするために起動可能なドライブに実装できるオプションのアプリケーションが提供され、マザーボード試験のための追加オプションのロックを解除する。このマザーボード試験には、限定するものではないが、L0の代わりにループバックで実行して特定のパターンを使用するもの、DUTトランスミッタの電圧スイングとSjマージン処理の代わりに、DUTシリコンのオンダイ・マージン機能を使用するもの、及び、両方の方法を実行して結果を比較するものが含まれる。
【0032】
いくつかの実施形態では、オプションのプラグイン・モデルが提供され、これにより、特定のDUTシリコンにプラグインが提供される場合、マージン・テスタの環境設定アプリケーションが、DUTシリコン上でRx等化処理設定を設定することも可能になる。いくつかの実施形態では、オプションのIBIS-AMI(又は同様の)ソフトウェア・モデルが、個々のマージン試験ユニットごとに提供され、これを、設計者及びシステム・インテグレータが、顧客の特定の設定に関する試験限界/方法論を確立するのを助けるために、彼らのシミュレーションに入れて使用しても良い。IBIS-AMIは、シリアライザ/デシリアライザ(SerDes)物理層(PHY)のモデリング規格であり、マルチ・ギガ・ビット・シリアル・リンクの高速、正確、統計的に重要なシミュレーションを可能にする。いくつかの実施形態では、オプションのIBIS-AMIモデルが、顧客モデル(IBIS-AMI又はS(scattering)パラメータ)とともにマージン試験ユニットに関して提供され、精度と再現性を向上させるためにディエンベッドされた、ある程度のレベルのシステムを組み込む後続の取り組みでも利用できる。マージン・テスタ502の一般的なモデルを、モデルとして提供することも、製造試験及び特性評価の一環としてチューニングを行った特定のマージン・テスタ502用に特別にチューニングされたモデルを生成することもできる。
【0033】
図6は、
図5に示すような環境設定されたフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)514の一例のブロック図であり、これは、Tx方向及びRx方向のいずれか又は両方でDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するための例示的な実施形態によるマージン・テスタ100のコントローラ210、310、410のいずれかで使用しても良い。様々な実施形態において、FPGA514は、図示されているよりも多いか又は少ないコンポーネントを有しても良く、また、図示されているいくつかのコンポーネントやこれらコンポーネントの機能は、FPGA514に影響を与えるように通信し、FPGA514の外部か又はFPGA514とは別個に配置されても良い。
【0034】
ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)接続602に影響を与えるように接続されたレジスタ・インタフェース604が図示しているが、これは、SerDesを有していても良い。レジスタ・インタフェース604は、リンク・トレーニング及びステータス・ステート・マシン(LTSSM)、Rxコントローラ606にも影響を与えるように結合される。マージン・テスタ100の動作の物理層におけるプロセスの1つは、リンク初期化及びトレーニング・プロセスである。PCI Express デバイスでは、このプロセスにより、リンク幅ネゴシエーション、リンク・データ・レート・ネゴシエーション、レーン毎のビット・ロック、レーン毎のシンボル・ロック/ブロック・アライメントなどの多くの重要なタスクが確立される。これらの機能は全て、LTSSMデバイスによって実行されるもので、LTSSMデバイスは、リモート・リンク・パートナーからの刺激とリンクの現在の状態を監視し、それに応じて応答する。レジスタ・インタフェース604は、また、LTSSMユニバーサル・シリアル・バス(USB)コントローラ608及び追加のLTSSM USBコントローラ610などの1つ以上の追加のLTSSMコントローラ・ユニットに影響を与えるように結合される。
【0035】
スキュー制御ユニット626は、また、プログラム可能なスキューを制御するためにFPGA514の一部であるか又はFPGA514に影響を与えるように結合されても良い。従来、複数のレーンにわたってレーン毎に様々な量のスキューを生成できる唯一の試験装置は、非常に複雑で高価なマルチ・レーンBERTであった。しかし、マルチ・レーンBERTは、PCIeのような最新のプロトコルのための伝送等化処理トレーニングを含む、本願で開示されるマージン・テスタのような完全なトレーニング・プロトコルを実行することができない。そのため、これまでは、非常に高価で複雑な試験設定を行わずに、プロトコルと様々なスキューを使用してラボ試験を行う方法はなかった。しかし、本開示の例は、スキュー制御ユニット626を使用して、多数の様々な方法でレーン毎の送信スキューを追加できる。
【0036】
例えば、スキュー制御ユニット626は、各レーン毎のスキュー量を設定するために、レーン毎に長さをプログラム可能な先入れ先出し(FIFO)バッファを個別に含んでもよい。加えて又は代替として、スキュー制御ユニット626は、各レーンのFPGA514ファブリック内の可変長送信FIFOをレーン毎にプログラムできる。加えて又は代替として、スキュー制御ユニット626は、各物理層トランスミッタに供給する、レーン毎にプログラム可能な可変長伝送FIFOを有するようにコントローラ・ロジックを変更できるソフトウェア・コントローラを含むことができる。
【0037】
ジッタ制御ユニット616も、FPGA514の一部として存在するか、FPGA514に影響を与えるように結合され、ジッタ挿入ユニットを制御して、DUT上でソフトウェアを実行する必要なしに、DUTレシーバで予期されるアイ・マージンを、時間(タイミング)又は電圧マージンに関する特定の目標に合わせて変更できるようにする。
【0038】
擬似ランダム・バイナリ・シーケンス(PRBS)発生部617は、DUTを試験するためのランダム化された試験データを作成するために、FPGA514の一部として存在するか又はFPGA514に影響を及ぼすように結合されても良い。PRBS発生部617は、後述するように、ジッタ及び他の試験動作をシミュレートできる外部又は内部の任意波形発生装置と連携して動作しても良い。
【0039】
マージン・テスタ100が、PCIeなどの特定のプロトコルを試験しているとき、マージン・テスタは、完全なプロトコルを実行し、リンクがLTSSMコントローラ・ユニット606、608及び608を介してアクティブ状態にトレーニングされるときに、リンク状態を追跡できる。マージン・テスタ502のFPGA514は、トレーニングが進行しながらマージン測定を繰り返し実行し、一方向又は両方向の電気的マージン対時間の形式で、リンク・トレーニング状態のログを捕捉できる。
【0040】
図7は、自己校正機能を備えたマージン・テスタ702の例を示す。マージン・テスタ702の校正は、トランスミッタをレシーバに電気的に接続することによって実行できる。これは、例えば、同じマージン・テスタ702内のトランスミッタをレシーバに電気的に接続するためのマージン・テスタ702内のスイッチによって行うことができる。これにより、外部の試験装置の必要性がなくなる。この手法は、上述したマージン・テスタ100のいずれにも使用できる。
【0041】
図7は、
図5を参照して説明した実施形態と類似している。
図7は、自己校正機能も備える共に、Tx及びRx方向のいずれか又は両方でDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するための例示的なマージン・テスタ702のブロック図である。自己校正を実行するために、1つ以上のスイッチ701を設けて、HSIO出力ユニット702内のトランスミッタの夫々をHSIO入力ユニット704のレシーバの夫々に接続できる。トランスミッタが信号を出力し、レシーバが信号を受信すると、マージン・テスタ702が所望のレンジ内にあるかどうかを判断できる。説明を簡単にするため、
図7では単一のスイッチ701が示されているが、当業者には理解されるように、トランスミッタをレシーバに接続するために複数のスイッチ701を設けることができる。スイッチ701に代えて、校正装置又は校正フィクスチャをI/Oコネクタ706に設けて、トランスミッタにレシーバへとループバックさせることで、自己校正を実行しても良い。
【0042】
マージン・テスタ702の校正を実行するために、異なる動作モードが用意されても良い。例えば、自己校正は、1つ以上のI/Oコネクタ706を通してトランスミッタをレシーバに接続できる特別なループバック・フィクスチャを使って、工場でのみ実行されても良い。用意されても良い別の動作モードとしては、エンド・ユーザにマージン・テスタ702のセルフ試験を実行させることがある。これは、マージン・テスタ702のトランスミッタをレシーバに配線できるスイッチ701を動作せるか、又は、フィクスチャを挿入することによって実行できる。自己試験中、マージン・テスタ702は、結果が指定されたレンジ外にあるか否かをフロント・パネル・インジケータ712に出力できる。
【0043】
いくつかの例では、校正は、プロトコル・モード、PRBSパターン非プロトコル・モード又はその両方で実行できる。しかし、プロトコル・モードでは、I/Oコネクタ706は、ホストと試験デバイスの両方として同時に機能できない可能性がある。マージン・テスタ702が2組のI/Oコネクタ706を有する場合、マージン・テスタ702は、2組の異なるI/Oコネクタ706を接続させるか又は第2のマージン・テスタ702が接続されても良い。内部校正は、従来の装置よりも、マージン・テスタ702についての迅速で、潜在的に安価な工場校正を提供できる。内部校正により、エンド・ユーザが、自分たち自身で校正試験を実行できるようにできる。
【0044】
図8A、8B、8C及び8Dは、例示的な実施形態による、先の図のFPGA514のようなFPGAの例示的な出力駆動オプションを示すブロック図であり、これらは、Tx方向及びRx方向のいずれか又は両方でDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するためのマージン・テスタのコントローラ210、310又は410ようなコントローラで使用されても良い。
【0045】
図8Aは、FPGA直接駆動回路オプション818を示し、これは、バッファされず、バラクタ(可変容量ダイオード)による何らか遅延の注入又はジッタ注入もない。
図8Bに示される第2出力駆動回路オプションは、バッファ付き駆動回路オプション820であって、これには、差動出力電圧(Vod)を伴う線形バッファ又は制限アンプ826があるが、バラクタによる遅延注入又はジッタ注入はない。
図8Cに示される第3出力駆動回路オプションは、バラクタによる遅延注入オプション822であり、これには、線形バッファ826及びバラクタ・コンポーネント828があり、その結果、シンボル間干渉(ISI)に加えていくらかの遅延(例えば、約3~5ピコ秒)が生じる。
図8Dに示す第4出力駆動回路オプションは、ジッタ注入オプション824であり、一実施形態では、オプションの線形バッファ826とジッタ注入回路830を含んでも良い。一実施形態では、ジッタ注入回路830は、ADSANTEC社から入手可能な、ジッタ(32GBdで約100ps)を生成する特定用途向け集積回路(ASIC)である。いくつかの実施形態では、線形バッファ826が含まれない。他の実施形態では、ジッタ注入回路は、差動ノイズ注入又は他の既知の方法によって実行されても良い。
【0046】
様々な実施形態において、マージン・テスタ100は、様々な種類のストレスを使用して、多種多様な対応する障害モードを特定しても良く、これら障害モードには、限定するものではないが、アセンブリ、相互接続(表面実装技術(SMT)、パッケージ、コネクタ、スルーホール、ビアなど)、欠陥、直列抵抗に影響を与えるもの、ISI及びベースライン・ワンダを引き起こす障害モード、アイが閉じることに影響するもの、幅が狭まる以外のことを引き起こす障害モード、機能試験の回避、オペレータ設定エラー、新たな材料、プロセスの変動、レシーバの帯域幅(これは相互接続の変更に似ている)、電源電圧変動除去比(PSRR)、垂直/水平のアイを閉じること、PLLの安定性、デザイン、レーン間のデルタ(変化量)に関連する障害モードが含まれても良い。ジッタ注入のためのバラクタ・ベースの方法は、アセンブリ関連の欠陥を悪化させるのにより効果的なことがある。
【0047】
上述のように、マージン・テスタ100は、DUTに対してマージン試験を実行するように構成又はプログラムされても良い。いくつかの実施形態では、被試験デバイス(DUT)のマルチ・レーン高速I/Oリンクを確立した後、マージン・テスタ100は、マルチ・レーン高速I/Oリンクの各高速入出力(I/O)レーン毎に、送信(Tx)方向と受信(Rx)方向のいずれか又は両方で電気的マージンを評価する。例えば、電気的マージンの評価には、マルチ・レーン高速I/Oリンクのマージン試験トランスミッタに調整可能なストレスを注入することが含まれても良い。調整可能なストレスには、マルチ・レーン高速I/Oリンクの全てのレーンに同時に印可されるジッタの注入と、電圧スイングの印可が含まれても良い。電気的マージンの評価には、マルチ・レーン高速I/Oリンクの各高速入出力(I/O)レーンに関して、送信(Tx)方向と受信(Rx)方向の両方で同時に電気的マージンを評価することも含まれることがある。
【0048】
マージン・テスタ100は、Tx方向及びRx方向のいずれか又は両方におけるDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンを試験するマージンに基づいて、潜在的なDUTアセンブリ又は製造上の問題を特定するためにも使用されても良い。この動作モードでは、マージン・テスタ100は、複数のDUTのうちの各DUTについて、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの各高速入力/出力(I/O)レーンのTx方向及び受信Rx方向のいずれか又は両方におけるタイミング・アイ幅マージンを評価する。一例では、マージン・テスタ100は、複数のDUTにわたる同じレーンに関して、所定の最小閾値を一貫して下回っている、複数のDUTの各DUTについてのタイミング・アイ幅マージン測定値の検出に基づいて、潜在的なDUT設計の問題を特定する。検出する処理は、更に又は代替として、複数のDUTにわたる様々なレーンに関する所定の閾値を夫々下回る上記複数のDUTの中のいくつかのDUTのタイミング・アイ幅マージン測定値を、評価することに基づいて、検出する処理を含んでもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、マージン・テスタ100は、次のようにプログラム又は構成されても良い。即ち、例えば、
1つ以上の異なる高速I/Oプロトコルを選択し、これらを用いて、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクに基づいてマージン試験を実行する。
複数のプロトコルをミックスして使用してDUTの複数のポートを同時に試験する。
マルチ・レーン高速I/Oリンクに対するマージン・テスタの任意の回数のマージン試験実行にわたる実行毎のマージンの変動を出力する。
DUTに固定のTx等化処理(EQ)を実装して、TxEQトレーニングの変動によるマージンの変動がどの程度であるかを試験する。
マージン・テスタのレシーバで固定CTLEを使用して、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクのマージンに対するレシーバの等化処理の影響を試験する。
マージン・テスタのレシーバで判定帰還等化処理(DFE)を使用して、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクのマージンに対するレシーバの等化処理の影響を試験する。
対象のチャンネルに基づいて、マージン・テスタの期待される想マージンを計算する。
マルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンの評価の結果として低いマージンが検出された場合に、デバッグ情報を自動的に生成する。
可変シンボル間干渉(ISI)信号源を使用するように切り替えて、どの程度のISIがマルチ・レーン高速I/Oリンクのレーンに障害を起こすかを確認する。
各レーンを個別に試験して、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクのクロストークによるマージン損失の量を特定する。
マージン・テスタのレシーバのDFEをオフにして、DFEの有無によるマージンと、マルチ・レーン高速I/Oリンクに関連する各チャンネルの非線形不連続性の量を評価する。
基準レシーバと一般的なチャンネルを使って期待されるマージンを示すマージン・テスタの特性評価データを生成し、期待よりも低いマージンが、1つのDUT及び複数のDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの全てのレーンにわたって一貫している場合でも、期待よりも低いマージンにフラグを立てることができるようにする。
マルチ・レーン高速I/Oリンクの複数の速度から選択して、それについて、電気的マージンの評価を行う。
マージン・テスタが、プロトコル固有の知識を使用して、マルチ・レーン高速I/Oリンク上を逆方向に移動するトラフィックに基づいて、DUTのレシーバでエラーがいつ発生したかを推測し、DUTについてのソフトウェアがなくても、マージン・テスタが製造ラインでマージン試験を実行できるようにする。
マルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンの評価の結果として検出された低マージンのチャンネルの時間領域反射率測定値(TDR)を自動的に捕捉する。
マルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンの評価の結果として低いマージンが検出された場合、オシロスコープへ自動的に接続し、デジタル化された波形を自動的に捕捉する。それから、
1つ以上のユーザ選択可能なオプションを実装するようにDUTシリコンを構成することによって、DUTの1つ以上のユーザ選択可能なオプションを設定する。
【0050】
いくつかの実施形態では、マージン検出器100が、DUTの校正を実行するためのオプションを提供するか又はDUTの校正を実行し、ユーザが一連の基準チャンネルを用いて期待されるマージンのセットを受け取ることができるようにできる。これらの実施形態では、校正されたマージン・テスタ100は、特別な試験モードを使用せずに、DUTの完全に動作する動作リンクを用いて、被試験デバイス(DUT)の送信(Tx)方向と受信(Rx)方向のいずれか又は両方の電気的アイ・マージンを測定し、完全な負荷とクロストークの影響を捕捉するように構成されている。マージン・テスタ用に個別に校正されたモデルも提供され、個別のシステム・チャンネル、レシーバ・モデル及びトランスミッタ・モデルの中の1つ以上を使用して期待されるマージンを計算できる。また、マージン・テスタがベンダ定義のメッセージ又は別のプロトコル・メカニズムを使用して、マージン・テスタによって、マージン試験が行われようとしていることを示すことを可能にするDUTシリコンの機能が提供され、これによりDUTシリコンは、マージン試験の期間中、エラーが原因でリンク幅又はリンク速度を低下させるロジックを無効できる。
【0051】
マージン・テスタのソフトウェア・アプリケーションも提供され、これにより、マージン・テスタが被試験チャネル・コンポーネント(例えば、裸のプリント回路基板(PCB)又はケーブル)のどちらか一方又は両方に使用される試験環境設定において、被試験チャネル・コンポーネントのマージン・テスタによる試験を実行できる。いくつかの実施形態では、マージン・テスタのハードウェアは、プリント回路基板(PCB)を製造する会社に提供され、マージン・テスタの使用に関連するデータは、PCBの製造に使用されるシリコンを提供するシリコン会社に提供される。
【0052】
また、マージン・テスタ100は、DUTのシリコンに関して異なる条件で、マージン・テスタ100によるマージン試験を実行するように、接続されたDUTを設定しても良い。マージン・テスタ100は、DUTのシリコンの異なる条件下でマージン・テスタ100によるマージン試験を実行するための環境設定及びDUTシリコン・パラメータを利用可能にするソフトウェア・プラグインを受け取ることができる。DUTシリコン・パラメータとしては、限定するものではないが、レシーバの連続時間CTLEに関連するパラメータ及びDFEに関連するパラメータの中の1つ以上が含まれても良い。
【0053】
開示された実施形態の利点、利点及び改良点には、限定するものではないが、以下の特徴が含まれる。いくつかの実施形態は、標準的なFPGA及び正弦波ジッタ注入チップ又は遅延線を含む既製のコンポーネントでほぼ完全に実装でき、従来のBERT及びオシロスコープと比較して非常に低コストである。例示的な実施形態は、特別なソフトウェアを必要とせずに、通常の動作状態で動作する完全なマルチ・レーン・リンク上で動作し、全てのレーンが同時に動作することによる影響を捕捉できる。もう1つの利点は、本開示技術の実施形態が、単一の内蔵ユニットでいずれか又は両方の方向(Tx及びRx)で試験できることである。
【0054】
様々な実施形態は、DUTにソフトウェアや変更を加える必要はなしに、製造環境(例えば、マザーボードの製造試験環境で)でも実行できる。プロトコルによって異なる試験固有のロジックをマージン・テスタ102のシリコン/ファームウェアに提供して、被試験デバイスによってマージン・テスタに返送されるデータに基づいて、DUTのレシーバでエラーが発生していることを非常に迅速に認識できる。いくつかの例示的な実施形態は、PCI Expressベンダー固有メッセージ又は他の標準プロトコル機能を通じて、マージン試験が行われることを認識し、DUTシリコンを、通常、エラーが原因で、リンク幅や速度を低下させない状態に置くためのDUTシリコン内に実装される機能を含む。これにより、ノイズ注入や電圧スイング調整を使用してDUTレシーバにおいてマージンを設けるプロセスが、通常のプロトコルのメカニズムを通じて、リンク幅や速度を低下させるリスクを伴うことなく、確実に実行できるようになる。これは、エラーの開始時期を迅速に推測し、リンクや速度の低下が発生する前にストレスを軽減するための特別なロジックの代替手段である。
【0055】
開示された技術の実施形態の追加の特徴には、コントローラ210、310、410のいずれかの制御下で、実行(例えば、構成されたFPGAに従って又は別の非一時的コンピュータ可読記憶媒体から読み出された命令を実行する)されても良い以下の機能が含まれても良い。
1つ以上の異なる高速I/Oプロトコルを選択し、これを用いて、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクに基づいてマージン試験を実行する。
複数のプロトコルをミックスして使用し、DUTの複数のポートを同時に試験する。
マルチ・レーン高速I/Oリンクに対するマージン・テスタの任意の回数のマージン試験実行にわたる実行毎のマージンの変動を出力する。
DUTに固定のTx等化処理(EQ)を実装して、TxEQトレーニングの変動によるマージンの変動がどの程度であるかを試験する。
マージン・テスタのレシーバで固定CTLEを使用して、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクのマージンに対するレシーバの等化処理の影響を試験する。
マージン・テスタのレシーバで判定帰還等化処理(DFE)を使用して、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクのマージンに対するレシーバの等化処理の影響を試験する。
対象のチャンネルに基づいて、マージン・テスタの期待されるマージンを計算する。
マルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンの評価の結果として低いマージンが検出された場合に、デバッグ情報を自動的に生成する。
可変シンボル間干渉(ISI)信号源を使用するように切り替えて、どの程度のISIがマルチ・レーン高速I/Oリンクのレーンに障害を起こすかを確認する。
各レーンを個別に試験して、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクのクロストークによるマージン損失の量を特定する。
マージン・テスタのレシーバのDFEをオフにして、DFEの有無によるマージンと、マルチ・レーン高速I/Oリンクに関連する各チャンネルの非線形不連続性の量を評価する。
基準レシーバと一般的なチャンネルを使って期待されるマージンを示すマージン・テスタの特性評価データを生成し、期待よりも低いマージンが、1つのDUT及び複数のDUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの全てのレーンにわたって一貫している場合でも、期待よりも低いマージンにフラグを立てることができるようにする。
マルチ・レーン高速I/Oリンクの複数の速度から選択して、それについて、電気的マージンの評価を行う。
マージン・テスタが、プロトコル固有の知識を使用して、マルチ・レーン高速I/Oリンク上を逆方向に移動するトラフィックに基づいて、DUTのレシーバでエラーがいつ発生したかを推測し、DUTについてのソフトウェアがなくても、マージン・テスタが製造ラインでマージン試験を実行できるようにする。
マルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンの評価の結果として検出された低マージンのチャンネルの時間領域反射率測定値(TDR)を自動的に捕捉する。
マルチ・レーン高速I/Oリンクの電気的マージンの評価の結果として低いマージンが検出された場合、オシロスコープへ自動的に接続し、デジタル化された波形を自動的に捕捉する。それから、
ソフトウェア・プラグインを供給し、1つ以上のユーザ選択可能なオプションを実装するようにDUTシリコンを構成することによって、DUTに関する1つ以上のユーザ選択可能なオプションを設定する。
コントローラ210の制御下で、上記の機能の一部は、マージン・テスタ102を動作させるためのユーザ選択可能なオプションとして提供されても良い。
【0056】
例示的な実施形態では、マージン試験には、複数の被試験デバイス(DUT)の各DUTについて、マージン・テスタ100によって、DUTのマルチ・レーン高速I/Oリンクの各高速入出力(I/O)レーンについて、Tx方向とRx方向のいずれか又は両方において、タイミング・アイ幅マージンを評価することが含まれても良い。そのため、マージン・テスタ100は、複数のDUTのうちのいくつのDUTについて、複数のDUTにわたる異なるレーンについて夫々所定の閾値を下回るタイミング・アイ幅マージン測定値を検出しても良い。次いで、複数のDUTにわたる異なるレーンについて夫々所定の閾値を下回る複数のDUTのタイミング・アイ幅マージン測定値の検出に基づいて、潜在的なDUTアセンブリ又は製造上の問題が(マージン・テスタ102によって視覚的に又は自動的に)検出されても良い。。
【0057】
一例として、一実施形態では、
図2に示されるアドイン・カード・マージン・テスタ202などのアドイン・カード・マージン・テスタは、PCIex8スロットが1つあるマザーボードの量産前のサンプルのベンチ試験/特性評価に使用されても良い。以下の試験プロセス例は、アドイン・カード・マージン・テスタ202を使用して、E-6タイミング・アイ幅マージン(左+右)に関して行われ、各レーンで同時に数ミリ秒の試験中に、スロットに関して測定されても良い。この例には、簡単にするためにタイミング(時間測定)だけが含まれているが、他の実施形態では、他の測定値が含まれていても良い。この例において、各測定は3回行われる。しかし、これは、様々な実施形態において、ユーザがプログラム可能であっても良い。
【0058】
チャート902(
図9)に示される測定は、マージン・テスタのレシーバ及びマザーボードDUTのレシーバで実行される。測定は、マザーボードDUTのレシーバで行われ、2つの方法で実行できる。第1の方法では、マージン・テスタのジッタ(Sj)と電圧スイング・スイープを使用しても良い。第2の方法では、マザーボードのレシーバでオンダイ(on-die)マージン試験を利用しても良い。例えば、マザーボードのレシーバにおけるオンダイ・マージン試験は、アドイン・カード・マージン・テスタ202のコントローラ210の制御の下で、マザーボードDUTに接続されたブートタブル・ドライブ上のソフトウェアによって、又は、マザーボードDUT上のBIOS(basic input/output system)ソフトウェアによって、サポートされている速度に関して実行されても良い。この例では、測定は16GT/sで行われるが、変更しても良く、ユーザが設定変更できても良い。
【0059】
図9は、高速I/Oマージン・テスタ102によって実行されたいくつかのDUTの例示的なマージン試験の結果と、マージン試験の結果に基づく潜在的なDUTアセンブリ又は製造上の問題の特定を示す、例示的な実施形態によるチャート902である。チャート902に示すように、5つのDUT全て(DUT#1からDUT#5)にわたるレーン2上のマージンが一貫して低いことは、全てのDUTで低いマージンが発生するため、デバイスの潜在的な設計上の問題を示している可能性がある。対照的に、DUT#1のレーン4、DUT#3のレーン0、DUT#4のレーン6についての低マージンは、これら低マージンの数値に、悪いマージンの決まったパターンがあるわけではないので、特定のDUT上の特定のレーンに関しての潜在的なアセンブリ又は製造上の問題を示している可能性がある。
【0060】
本発明の実施形態は、ユーザが非準拠モードにある間にDUTを試験できるようにするマージン・テスタ用のPRBS試験モードを提供するか、あるいは、ランダムな2進数シーケンスを試験データとして送信することによってユーザがDUTを柔軟に試験できるようにする。PRBSは、一般に、ランダムに生成された2進数(つまり、1と0)のシーケンスである。本発明の実施形態は、更に、データをデータ信号としてDUTに送信する前に、PRBSデータにジッタ、スキュー及び電圧振幅変動を組み合わせて、ランダム化されたデータ及びマージンを使用して完全なマージン試験を提供できる。
【0061】
PRBS試験により、シミュレートされた送信を試験したり、DUTの特定の部分をストレス試験したりするための堅牢な試験が可能になる。本発明の実施形態により、ユーザは、様々な規格に対する準拠性試験など、以前に定義された標準的な試験パターンを使用する必要なしに、カスタムな試験手順を定義できる。PRBSデータは、ランダム化されたデータであるため、本発明の実施形態によるマージン・テスタにより、ユーザは、試験用のパラメータを定義でき、PRBS試験モードで、定義されたパラメータ内でランダム化されたデータを生成できるようになる。ランダムなデータ・セットであるため、マージン・テスタにより、ユーザは、完全に既知の状態に限定されず、変動性のあるトレーニングを行える。従って、PRBSデータは、統計的にバランスが取れているため、PRBS試験モードを使用すると、エラー・トレーニングの効率も高まる。
【0062】
図10は、本発明の実施形態によるマージン・エラー・テスタにおいて、PRBSモードを使用して、ユーザが、カスタムな試験又は動作パラメータを定義できるようにするインタフェース1000の一例である。インタフェース1000は、上述のマージン・テスタ100のいずれかに統合されても良いし、いくつかの実施形態ではマージン・テスタのいずれかに影響を及ぼすよう(operatively)に接続されても良い。
【0063】
概して、インタフェース1000により、ユーザは、PRBSモードでDUTに送信される1組の試験信号に関するカスタムな設計を生成できる。上述及び後述のように、PRBSモードを使用してDUTの試験データを生成すると、従来の定義されたコンプライアンス試験では不可能だったDUTの部分を試験するための柔軟性と制御が得られる。
【0064】
ウィンドウ1010では、ユーザは、以前に定義された試験モード・プロファイルを選択でき、ウィンドウ1012では、ユーザは、現在の設定を新しいモード・プロファイルとして保存できる。この機能により、ユーザは、インタフェース1000上で利用可能な全ての条件及びオプションを入力する必要なく、プロファイルを簡単に再実行できる。一部の実施形態では、試験モード・プロファイルは、ローカル・ネットワーク上の中央リポジトリに記憶されても良く、このため、リンクされたマシンは、別のマシン上で定義されたプロファイルを使用できる。他の実施形態では、プロファイルは、インターネット・ストレージなどのクラウド・ネットワーク上に保存され、パスワード・アクセスなどによってその保存場所にアクセスできる人が利用できる。
【0065】
概して、PRBS試験モードの動作エンベロープ(operating envelope:動作範囲を定めるもの)又は動作サンドボックスは、時間マージン、電圧マージン及び電力状態について、1つ以上のパラメータをユーザが選択することによって定義される。時間マージンは、ウィンドウ1020で選択される。ユーザが時間マージン試験を有効にしない場合、PRBSデータは、クロック信号に合わせて接続されたDUTに送信される。言い換えれば、時間マージンが選択されていない場合、PRBSデータのタイミングに、スキューやジッタは追加されない。現在の試験システムとは異なり、本発明の実施形態は、事前定義された時間(タイミング)マージン閾値に限定されるのではなく、ユーザが合格マージン閾値及び不合格マージン閾値を定義できる機能を提供する。ウィンドウ1020は、そのような不合格閾値及び合格閾値をカスタム設計するための入力をユーザに提供する。更に、本発明の実施形態は、これもウィンドウ1020に示されているように、ユーザが警告レベル、即ちマージン・テスタに警告信号を生成させるマージン・レベル又はマージン・レベル・インターバルをカスタムに定義できるようにする。現在のシステムは合否情報のみを提供し、警告信号を含まない試験フィードバックを提供するため、この機能は設計エンジニアにとって非常に有益である。ウィンドウ1020に示すように、ユーザは、時間マージンが10ps未満の場合に合格閾値を設定し、時間マージンが4ps未満の場合に不合格閾値を設定することを選択し、時間マージンが5psと9psとの間の場合にテスタに警告信号を生成させることを選択している。
【0066】
インタフェース1000のウィンドウ1030は、DUT試験に電圧マージン試験を含める能力をユーザに提供する。デバイスの試験で知られているように、電圧マージンは、電圧マージン試験中に変化する信号振幅に基づいて、信号の状態を正確に判断するデバイスの能力を測定する。ウィンドウ1030により、ユーザは、まず、試験されるパラメータとして電圧マージン試験を含めるかどうかを決定できる。そうでない場合、DUTに送信される試験データの振幅は変化しない。ユーザが電圧マージン試験を含めることを選択した場合、PRBSデータ信号の振幅は、PRBSモード試験中に変化する。時間マージンと同様に、本発明の実施形態により、ユーザは、合格及び不合格の電圧マージン・レベル、並びに試験システムに警告としてフラグを立てる電圧マージン・レベルの範囲を選択できる。
【0067】
PRBS試験モードのいくつかの実施形態では、ウィンドウ1040に示すように、ユーザが試験を特定のリンク電力状態に限定するかどうかを選択できるようにする。その後、PRBS試験モードのリンク電力状態は選択された状態に限定され、これによりユーザは更に非常に具体的なDUT試験を定義できるようになる。
【0068】
いくつかの実施形態では、上述したようなDUTの温度範囲や他の試験パラメータなど、他の最小又は最大動作パラメータが試験環境に対する限界(limitation:制限)として含まれても良い。
【0069】
ウィンドウ1080により、ユーザは試験を実行する時間を制御できるようになる。本発明の実施形態によるマージン・テスタはランダム・データをDUTに送信しており、事前定義された試験計画に従って動作していないため、ユーザは試験期間を指示する。試験期間は、数秒から数時間、又はそれ以上に及ぶ場合があり、期間はウィンドウ1080内のスライダを使用して選択することも、テキスト・ボックスに直接入力することもできる。高速試験を選択すると、重大なエラーが早期に検出される可能性があるが、より長い試験を選択すると、大量のPRBSデータを使用してDUTをストレス試験するのに役立つ場合がある。
【0070】
ウィンドウ1070により、ユーザは、DUTの何個のレーンを同時に試験するかを制御できる。最大数のレーンが選択されている場合は、もちろん全てのレーンがPRBSデータで試験される。最大レーン数よりも少ないレーンが選択された場合、本発明の実施形態によるマージン・テスタは、最大レーン数までのどのレーンをいくつ試験するかをランダムに選択しても良い。例えば、8レーンのデバイスから7レーンが選択された場合、DUTの1つ以上のレーンは特定の試験実行中に試験されない。PRBS試験は、ランダムな試験であるため、選択されていないレーンもランダムに選択される可能性がある。
【0071】
ウィンドウ1050により、ユーザは、データをDUTの送信機(Tx)チャンネルに送信するかどうか、送信する場合にはどのように送信するかを選択できる。データは、デバイスの状態のプリセット値、つまり、以前に定義された値に基づいて送信される。又は、データは、事前に定義されたレートではなく、可変レートの試験を可能にするスペクトラム拡散クロッキング(SSC)の形式を使用して送信されても良い。同様に、ウィンドウ1060により、ユーザは、受信機(Rx)チャンネルから受信したデータに対して連続時間線形イコライザ(CTLE)を使用するか又は判定帰還イコライザ(DFE)を使用するかを選択できる。
【0072】
ユーザが開始ボタン1084を押すことによってPRBS試験モードに入ると、マージン・テスタは、ランダムに生成されたデータをDUTに送信し始める。生のバイナリ・データは、PRBS発生部によって生成される。次いで、ユーザがウィンドウ1020で時間マージン試験を有効にしている場合、データのタイミングは最大タイミング・エラーまでランダムに変化し、これもユーザが選択しても良い。更に、ユーザがウィンドウ103で電圧マージン試験を有効にしている場合、データを送信する信号の振幅は最大振幅エラーまでランダムに変化し、これもユーザが選択しても良い。PRBSで生成されたデータは、タイミング・エラーと電圧エラーの両方を試験するように変調され、試験信号のセット(a set of test signals)になって、PRBS試験モード中にDUTに送信される。また、試験信号は物理層で送信されるため、変調されたデジタル信号ではなくて、PRBSで生成されたデータにノイズを混ぜ、この混ぜたバージョンをアナログ信号としてDUTに送信することが可能である。
【0073】
DUTに供給されるランダム・データにより、ユーザは、完全に既知の状態とは対照的に、変動のあるもの(variance)をトレーニングできる。言い換えれば、PRBS試験モードのランダムな性質により、標準的な試験計画で見られる応答を超える応答がDUTに発生する可能性がある。例えば、PRBSデータにより、中間状態を経由せずにDUTが低リンク電力状態から高リンク電力状態にジャンプする可能性があり、マージン・テスタは、DUTの応答を判定できる。事前に定義された試験パターンではなく、このようなランダム・データを使用すると、DUTが予期しない動作をしたり、予期しないモードに入ったりする可能性があり、検出されたら更に調査しても良い。このように、PRBS試験モードを使用すると、特に事前定義された試験シナリオに従う場合と比較して、DUTの動作を迅速かつ効率的に調査できる。更に、PRBS試験モードでは、事前定義された試験スクリプトを実行しても検出されない潜在的な問題が検出される。また、PRBS試験モードは、DUT内の特定の対象領域に対して、高度に構成変更可能な方法でストレス試験を提供する機能を提供する。
【0074】
オシロスコープが試験装置の一部である場合、オシロスコープは、PRBS試験モード中にDUT上のデータを監視できる。オシロスコープによって測定されたこの追加情報は、DUTの動作について、テスタに更に通知できる。上述したように、マージン・テスタとオシロスコープとの間のデータ接続部103は、クロック信号を含むことができるので、マージン・テスタは、上述のオシロスコープのような他の測定装置とペアリングできる。オシロスコープと組み合わせたPRBS試験モードを含むマージン・テスタは、BERT及びオシロスコープと同様に動作し、DUTを試験するための同一又は類似の機能をはるかに低コストで提供できる。
図10を参照して説明したように、ユーザは、マージン・テスタのPRBS試験モードの試験パラメータを定義できる。次に、オシロスコープでDUTのレーン上のトラフィックを監視しながら、DUTが故障するまで駆動する。マージン検出器は、DUTエラーを報告するだけでなく、チャンネルのアイ・ダイアグラムを提供することができ、オシロスコープを使用して特定のエラーの原因となったデータを捕捉することもできる。
【0075】
関連して、本発明の実施形態によるPRBS試験モードを備えたマージン・テスタは、PRBS試験中に引き起こされたDUT応答に基づいてトリガ・イベントを生成するために使用することもできる。次に、トリガを接続されたオシロスコープに送信してDUTのレーン上のデータ・トラフィックを捕捉し、ユーザがPRBS試験モードによって生成された特定のデータを解釈してトリガ・イベントを生成できるようにする。トリガは、
図10のインタフェース1000のウィンドウ1090で定義できる。トリガ定義は、オシロスコープによってのみ認識されるものである必要はなく、イベント状態、例えば特定の電圧状態又はレベルでトリガを生成するように構成することもできる。他のトリガも可能である。
【0076】
PRBS試験モードの別の利点は、DUTが特定の動作状態に入る必要がなく、試験装置は、ユーザが、状態制限なしに、DUTの動作を調査できることである。
【0077】
図11は、本発明の実施形態による、
図10のインタフェースを使用して定義されたカスタム定義試験の結果を示すインタフェース1100の一例である。インタフェース1100は、上述のマージン・テスタ100のいずれかに統合されても良いし、いくつかの実施形態ではマージン・テスタのいずれかに影響を及ぼすよう(operatively)に接続されても良い。
【0078】
インタフェース1100は、いくつかのレポート・ウィンドウを含む。全体的なレポート・ウィンドウ1100は、PRBS試験のステータスをユーザに知らせる。図示の実施形態では、全体的な試験は不合格となっている。ウィンドウ1100の詳細は、2つのレーンが上述したユーザ定義のマージンのパラメータを満たしていないことを示している。ウィンドウ1100は、また、不合格となった試験の中の2つのレーンは、マージン・パラメータには合格したが、これらは、閾値、即ち、
図10のインタフェース1000で定義された警告閾値内にあったことを示す。設定可能な警告閾値があることは、開発者にとって有用なツールである。これにより、パラメータが、合格しているにしても閾値に近いかどうかを確認できる。このようなものは、既存のツールを使用して明確に視覚化することは、非常に困難又は不可能なことである。ウィンドウ1100は、経過時間が1分7秒であったことも報告している。実際の試験の実行時間は、ウィンドウ1080(
図10)で選択された予想実行時間と一致しない場合がある。なぜなら、例えば、電源投入状態やリンク接続状態での時間変動、又は、DUTのその他の状態変化が異なると、時間変動が生じるからである。
【0079】
レポート・ウィンドウ1120は、特定のPRBS試験に対してユーザが選択したマージン閾値を画面上に呼び出している。
【0080】
レポート・ウィンドウ1130及び1140は互いに関連しており、PRBS試験の試験結果を示す。これらの報告された結果では、レーン15はマージン試験に不合格であった。また、レーン8は、DUTのレシーバ(受信)側で警告を生成し、レーン13は、DUTのトランスミッタ(送信)側で警告を生成していた。試験結果の詳細は、ウィンドウ1140に示されるが、
図11では、省略している部分がある(truncated)。詳細には、送受信されたデータの数値表示が含まれ、更に、試験が十分に長い場合には、チャンネルのマージン健全性を示すアイ・ダイアグラムが生成される。図示されていないが、チャンネル8、13及び15の詳細は、それらが試験に不合格の理由又は試験に不合格となる閾値内にあった理由に関する情報を提供する。
【0081】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0082】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0083】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0084】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
実施例
【0085】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0086】
実施例1は、マージン試験装置であって、被試験デバイス(DUT)に接続するように構成された少なくとも1つのインタフェースと、擬似ランダム・データ・シーケンス及び1つ以上の事前定義パラメータに基づいて試験信号のセット(a set of test signals)を生成するように構成された1つ以上のコントローラと、上記試験信号のセットをDUTに送信するように構成された出力部とを含む。
【0087】
実施例2は、実施例1による実施例であって、上記事前定義信号パラメータは、時間マージン、電圧マージン又は時間マージン及び電圧マージンの両方を含む。
【0088】
実施例3は、上記実施例のいずれかによる実施例であって、1つ以上のコントローラへの任意波形発生装置入力部を更に具え、上記1つ以上のコントローラは、上記任意波形発生装置入力部で受信した信号をランダムに生成された2進数と組み合わせて、上記データ・シーケンスを作成する。
【0089】
実施例4は、上記実施例のいずれかによる実施例であって、上記DUTの状態に基づいてトリガ信号を生成するトリガ出力部を更に含む。
【0090】
実施例5は、上記実施例のいずれかによる実施例であって、ユーザが動作エンベロープ(動作範囲を定めるもの)を作成するために使用される上記事前定義信号パラメータを変更できるユーザ・インタフェースを更に具える。
【0091】
実施例6は、実施例5による実施例であって、上記ユーザ・インタフェースの試験レポート画面に試験結果が表示され、特定の試験が不合格の閾値内で合格したという試験結果を表示する。
【0092】
実施例7は、実施例6による実施例であって、上記閾値をユーザが定義可能である。
【0093】
実施例8は、マージン・テスタを動作させる方法であって、擬似ランダム・バイナリ・データ・シーケンスを生成するステップと、生成された上記データ・シーケンス及び1つ以上の事前定義されたパラメータに基づいて試験信号のセットを作成するステップと、試験信号のセットをDUTに送信するステップとを含む。
【0094】
実施例9は、実施例8の方法であって、1つ以上の事前定義信号パラメータを限界内に限定するステップが、生成された上記データ・シーケンスに時間マージンを追加する処理、生成された上記データ・シーケンスに電圧マージンを追加する処理、又は、生成されたデータ・シーケンスに時間マージン及び電圧マージンの両方を追加する処理を含む。
【0095】
実施例10は、上記実施例の方法のいずれかの方法であって、擬似ランダム・バイナリ・データ・シーケンスを生成するステップが、入力として任意波形発生装置を使用して擬似ランダム・バイナリ・データ・シーケンスを生成するステップを含む。
【0096】
実施例11は、上記実施例の方法のいずれかの方法であって、DUTの状態に基づいてトリガ信号を生成するステップを更に含む。
【0097】
実施例12は、上記実施例の方法のいずれかの方法であって、ユーザ・インタフェースを介してユーザから上記事前定義信号パラメータを受けるステップを更に具える。
【0098】
実施例13は、実施例12の方法であって、上記ユーザ・インタフェースの試験レポート画面上に試験結果を表示するステップを更に具え、上記試験結果の中の1つは、特定の試験が不合格の閾値内で合格したことである。
【0099】
実施例14は、実施例12~13の方法であって、上記ユーザ・インタフェースを介してユーザから閾値を受けるステップを更に具える。
【0100】
実施例15は、試験システムであって、被試験デバイスと、1つ以上のデータ・プローブを介して上記被試験デバイスに結合され、上記被試験デバイス上の信号を捕捉できるオシロスコープと、マージン試験装置とを有し、該マージン試験装置が、上記被試験デバイスに接続するように構成された少なくとも1つのインタフェースと、データ・シーケンスを生成するように構成された擬似ランダム・バイナリ・シーケンス発生部と、生成されたデータ・シーケンスを表す試験信号を生成するコントローラと、上記試験信号を1つ以上の事前定義信号パラメータで限定する(limit:限界内に限定する)ための動作エンベロープ定義部と、限定された試験信号を被試験デバイスに送信するように構成された出力部とを有する。
【0101】
実施例16は、実施例15のシステムであって、上記事前定義信号パラメータが、時間マージン、電圧マージン又は時間マージン及び電圧マージンの両方を含む。
【0102】
実施例17は、上記実施例15~16のいずれかのシステムであって、上記擬似ランダム・バイナリ・シーケンス発生部への任意波形発生装置入力部を更に具え、上記擬似ランダム・バイナリ・シーケンス発生部が、波形発生装置入力部で受信した波形信号をランダムに生成されたバイナリ数と組み合わせて、データ・シーケンスを作成する。
【0103】
実施例18は、上記実施例のいずれかのシステムであって、上記DUTの状態に基づいてトリガ信号を生成するマージン試験装置のトリガ出力部を更に含み、上記トリガ信号を受信する上記オシロスコープのトリガ入力部を更に含む。
【0104】
実施例18は、上記実施例のいずれかのシステムであって、ユーザ・インタフェースを更に有し、該ユーザ・インタフェースによって、ユーザは、上記動作エンベロープを作成するために使用される事前定義信号パラメータを変更できる。
【0105】
実施例18は、上記実施例のいずれかのシステムであって、試験結果が上記ユーザ・インタフェースの試験レポート画面に表示され、上記試験結果の中の1つは、特定の試験が不合格の閾値内で合格したことである。
【0106】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0107】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0108】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【国際調査報告】