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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-05
(54)【発明の名称】半導体プロセス機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20231128BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231128BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/68 N
C23C16/455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531592
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2021131149
(87)【国際公開番号】W WO2022111354
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】202011340051.0
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】レン シァォイェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヨンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】シー シァォピン
(72)【発明者】
【氏名】ヂォン ブォ
(72)【発明者】
【氏名】ラン ユンフォン
(72)【発明者】
【氏名】チン ハイフォン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ウェンチィアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ハオ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA03
4K030EA04
4K030EA05
4K030EA06
4K030EA11
4K030GA01
4K030GA12
4K030HA01
4K030KA12
4K030LA15
5F045AA15
5F045BB08
5F045DP03
5F045DQ10
5F045EE17
5F045EG01
5F131AA02
5F131BA01
5F131CA32
5F131CA45
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA05
5F131EA23
5F131EB72
(57)【要約】
本願の実施例は半導体プロセス機器を提供し、該半導体プロセス機器はプロセスチャンバと、吸気装置と、ベースと、ガイド構造とを含み、プロセスチャンバの内部は上から下へプロセス領域及びウェハー搬送領域に分けられ、吸気装置はプロセスチャンバの頂部に設置され、プロセスガスをプロセス領域内に導入することに用いられ、ベースはウェハー搬送領域内に昇降可能に設置され、ウェハーを載置することに用いられ、ガイド構造はガス供給源に接続され、且つベースに固定設置され、ベースがプロセス位置にあるときに、ベースの外周面の外側にガスを吹き出して、ベースの外周面とプロセスチャンバの側壁の内周面との間にガスウォールを形成し、プロセス領域内のプロセスガスがウェハー搬送領域に入るのを遮断することを実現することに用いられ、プロセスチャンバの側壁に排気構造が設けられ、ベースがプロセス位置にあるときに、ガイド構造により吹き出されたガスを排出することに用いられる。本願の実施例は、プロセス領域とウェハー搬送領域との間の完全な分離を実現することができ、それによりプロセスチャンバのパージ時間を大幅に短縮し、機器の生産能力を向上させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセス機器であって、プロセスチャンバと、吸気装置と、ベースと、ガイド構造とを含み、
前記プロセスチャンバの内部は上から下へプロセス領域及びウェハー搬送領域に分けられ、前記吸気装置は前記プロセスチャンバの頂部に設置され、プロセスガスを前記プロセス領域内に導入することに用いられ、
前記ベースは前記ウェハー搬送領域内に昇降可能に設置され、ウェハーを載置することに用いられ、
前記ガイド構造はガス供給源に接続され、且つ前記ベースに固定設置され、前記ベースがプロセス位置にあるときに、前記ベースの外周面の外側にガスを吹き出して、前記ベースの外周面と前記プロセスチャンバの側壁の内周面との間にガスウォールを形成し、前記プロセス領域内の前記プロセスガスが前記ウェハー搬送領域に入るのを遮断することを実現することに用いられ、
前記プロセスチャンバの側壁に排気構造が設けられ、前記ベースが前記プロセス位置にあるときに、前記ガイド構造により吹き出されたガスを排出することに用いられることを特徴とする半導体プロセス機器。
【請求項2】
前記ガイド構造は前記ベース内に設置されたガイドスリット及びガス流路を含み、前記ガイドスリットは環状であり、前記ベースの円周方向に延設され、且つ前記ガイドスリットの開口は前記ベースの外周面にあり、
前記ガス流路の両端はそれぞれ前記ガイドスリット及び前記ガス供給源に連通し、前記ガスを前記ガイドスリット内にガイドすることに用いられることを特徴とする請求項1に記載の半導体プロセス機器。
【請求項3】
前記ベースはベース本体及び支持軸を含み、前記ベース本体は前記ウェハーを載置することに用いられ、前記ベース本体の外周面は前記ベースの外周面であり、前記支持軸は、一端が前記ベース本体に接続され、他端が前記プロセスチャンバの底壁を貫通して駆動源に接続され、前記駆動源の駆動下で前記ベース本体を昇降駆動し、
前記ガス流路は、前記ベース本体内に設置された水平部と、前記水平部から垂直下方に前記ベース本体及び前記支持軸を順に貫通する垂直部とを含み、前記水平部のガス放出端は前記ガイドスリットに連通し、前記垂直部の吸気端は前記ガス供給源に連通することを特徴とする請求項2に記載の半導体プロセス機器。
【請求項4】
前記ガス流路は複数本であり、複数本の前記ガス流路の前記水平部は前記ベース本体の円周方向に均等に配置され、且つ各本の前記ガス流路の前記水平部はいずれも前記ベース本体の半径方向に延び、複数本の前記ガス流路の前記垂直部は前記支持軸の軸線の周りに均等に配置されることを特徴とする請求項3に記載の半導体プロセス機器。
【請求項5】
前記ガイド構造は前記ベース内に設置された増圧キャビティをさらに含み、前記増圧キャビティは環状であり、前記ベースの軸線の周りに設置され、前記増圧キャビティはそれぞれ前記ガス流路のガス放出端及び前記ガイドスリットに連通し、前記増圧キャビティから排出された前記ガスの圧力を増加することに用いられることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の半導体プロセス機器。
【請求項6】
前記排気構造は前記プロセスチャンバの側壁に設置された排気口、排気キャビティ及び第1排気チャンネルを含み、前記排気口は環状であり、前記プロセスチャンバの側壁の円周方向に延設され、前記排気口の吸気端は前記側壁の内周面にあり、且つ前記ベースがプロセス位置にあるときに、前記ガイドスリットの開口に対向し、
前記排気キャビティは環状であり、前記プロセスチャンバの側壁の円周方向に延設され、且つ前記排気キャビティはそれぞれ前記排気口のガス放出端及び前記第1排気チャンネルの吸気端に連通し、前記第1排気チャンネルのガス放出端は第1ガス抽出装置に連通することを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の半導体プロセス機器。
【請求項7】
前記プロセスチャンバの側壁又は底壁に設置された第2排気チャンネルをさらに含み、前記第2排気チャンネルの両端はそれぞれ前記ウェハー搬送領域及び前記第1ガス抽出装置に連通することを特徴とする請求項6に記載の半導体プロセス機器。
【請求項8】
プロセス排気構造をさらに含み、前記プロセス排気構造は前記プロセス領域に連通し、前記プロセス領域内のプロセスガスを排出することに用いられることを特徴とする請求項1に記載の半導体プロセス機器。
【請求項9】
前記プロセス排気構造は前記プロセスチャンバの側壁に設置された排気溝、排気グリッド及び第3排気チャンネルを含み、前記排気溝は環状であり、前記プロセスチャンバの側壁の円周方向に延設され、且つ前記排気溝の開口は前記プロセスチャンバの側壁の内周面にあり、
前記排気グリッドは環状であり、前記排気溝の開口の周りに設置され、
前記第3排気チャンネルの吸気端は前記排気溝に連通し、前記第3排気チャンネルのガス放出端は第2ガス抽出装置に連通することを特徴とする請求項8に記載の半導体プロセス機器。
【請求項10】
前記プロセスチャンバ内に仕切り板がさらに設置され、前記仕切り板は環状であり、前記プロセスチャンバの側壁の円周方向に延設され、前記仕切り板の外周縁は前記プロセスチャンバの内周面に接続され、且つ前記ベースが前記プロセス位置にあるときに、前記仕切り板の上面は前記ベースの上面と面一であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体プロセス機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体加工の技術分野に関し、具体的には、半導体プロセス機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、集積回路技術が小型化、集積化、高性能化の方向に発展することに伴い、原子層成長(Atomic Layer Deposition、以下ALDと略称される)技術を用いる半導体プロセス機器は、フィルムの厚さが高度に制御でき、均一性に優れ、段差被覆率が高い等の様々な利点を有するため広く注目されており、且つ特定の分野で従来の化学気相成長(Chemical Vapor Deposition,以下CVDと略称される)技術に取って代わり、ALD技術は自体が層ごとに飽和吸着する特徴を有し、物質を単原子膜の形式でベースの表面に層ごとにメッキし、超薄で厚さが制御可能な膜層を形成することができる。
【0003】
ALD機器にとって、2種の反応前駆体が遭遇しCVD反応が発生することを回避するために、如何に反応前駆体をプロセスチャンバ内から迅速に完全にパージし、次に別の反応前駆体を導入するかは、ALD機器の大量生産における考慮に入れなければならない重要な問題である。2種の反応前駆体の遭遇は、原子レベルでのフィルムの成長速度の制御が不可能になることを引き起こし、また、2種の反応前駆体に反応が発生すると粒子が形成されることがある。従来の原子層成長技術では、通常、パージ時間を延長することにより反応前駆体を除去するが、半導体プロセス機器の生産能力が低減される。
【0004】
上記問題を解決するために、既存の1つの解決策では、分離板を追加することによりプロセスチャンバをプロセス領域及び搬送領域に分け、搬送領域に不活性ガスを導入することで、プロセス領域内のプロセスガスが搬送領域に入って粒子汚染を引き起こすことを回避し、仕切板とベースとの間に隙間があるため、該解決策はプロセスガスが搬送領域に拡散することを完全に回避することができず、反応前駆体を除去するには、依然として長いパージ時間が必要である。別の解決策の具体的な実現方法としては、ベースにボス構造を追加し、且つ該ボス構造と分離板との間に波形管、軟質材料、密封リング等の密封部材によって密封性接触を形成し、プロセス領域と搬送領域との完全な物理的分離を実現し、それによりプロセスガスが搬送領域に拡散することを完全に途絶することができ、ガスパージの時間を効果的に減少させる。しかしながら、該解決策に使用される物理的接触方法は、密封部位に粒子及び反応ガスが含まれやすいため、プロセスチャンバに粒子汚染をもたらし、また、密封部材は頻繁に移動し接触する必要があるため、その他の汚染及び移動部材の耐用年数の問題が存在する可能性があり、また、密封部材が低い温度範囲(例えば約200℃以下)内しか使用できないため、高温プロセスのニーズを満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、既存の方法の欠点に対して、半導体プロセス機器を提案することで、従来技術に存在しているパージ時間が長いためプロセスチャンバの生産能力が低いという技術的課題、及び密封部材の耐用年数が短く且つ適用性が低いという技術的課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様によれば、本願の実施例は、プロセスチャンバと、吸気装置と、ベースと、ガイド構造とを含み、
前記プロセスチャンバの内部は上から下へプロセス領域及びウェハー搬送領域に分けられ、前記吸気装置は前記プロセスチャンバの頂部に設置され、プロセスガスを前記プロセス領域内に導入することに用いられ、
前記ベースは前記ウェハー搬送領域内に昇降可能に設置され、ウェハーを載置することに用いられ、
前記ガイド構造はガス供給源に接続され、且つ前記ベースに固定設置され、前記ベースがプロセス位置にあるときに、前記ベースの外周面の外側にガスを吹き出して、前記ベースの外周面と前記プロセスチャンバの側壁の内周面との間にガスウォールを形成し、前記プロセス領域内の前記プロセスガスが前記ウェハー搬送領域に入るのを遮断することを実現することに用いられ、
前記プロセスチャンバの側壁に排気構造が設けられ、前記ベースが前記プロセス位置にあるときに、前記ガイド構造により吹き出されたガスを排出することに用いられる半導体プロセス機器を提供する。
【0007】
本願の一実施例では、前記ガイド構造は前記ベース内に設置されたガイドスリット及びガス流路を含み、前記ガイドスリットは環状であり、前記ベースの円周方向に延設され、且つ前記ガイドスリットの開口は前記ベースの外周面にあり、
前記ガス流路の両端はそれぞれ前記ガイドスリット及び前記ガス供給源に連通し、前記ガスを前記ガイドスリット内にガイドすることに用いられる。
【0008】
本願の一実施例では、前記ベースはベース本体及び支持軸を含み、前記ベース本体は前記ウェハーを載置することに用いられ、前記ベース本体の外周面は前記ベースの外周面であり、前記支持軸は、一端が前記ベース本体に接続され、他端が前記プロセスチャンバの底壁を貫通して駆動源に接続され、前記駆動源の駆動下で前記ベース本体を昇降駆動し、
前記ガス流路は、前記ベース本体内に設置された水平部と、前記水平部から垂直下方に前記ベース本体及び前記支持軸を順に貫通する垂直部とを含み、前記水平部のガス放出端は前記ガイドスリットに連通し、前記垂直部の吸気端は前記ガス供給源に連通する。
【0009】
本願の一実施例では、前記ガス流路は複数本であり、複数本の前記ガス流路の前記水平部は前記ベース本体の円周方向に均等に配置され、且つ各本の前記ガス流路の前記水平部はいずれも前記ベース本体の半径方向に延び、複数本の前記ガス流路の前記垂直部は前記支持軸の軸線の周りに均等に配置される。
【0010】
本願の一実施例では、前記ガイド構造は前記ベース内に設置された増圧キャビティをさらに含み、前記増圧キャビティは環状であり、前記ベースの軸線の周りに設置され、前記増圧キャビティはそれぞれ前記ガス流路のガス放出端及び前記ガイドスリットに連通し、前記増圧キャビティから排出された前記ガスの圧力を増加することに用いられる。
【0011】
本願の一実施例では、前記排気構造は前記プロセスチャンバの側壁に設置された排気口、排気キャビティ及び第1排気チャンネルを含み、前記排気口は環状であり、前記プロセスチャンバの側壁の円周方向に延設され、前記排気口の吸気端は前記側壁の内周面にあり、且つ前記ベースがプロセス位置にあるときに、前記ガイドスリットの開口に対向し、
前記排気キャビティは環状であり、前記プロセスチャンバの側壁の円周方向に延設され、且つ前記排気キャビティはそれぞれ前記排気口のガス放出端及び前記第1排気チャンネルの吸気端に連通し、前記第1排気チャンネルのガス放出端は第1ガス抽出装置に連通する。
【0012】
本願の一実施例では、前記半導体プロセス機器は前記プロセスチャンバの側壁又は底壁に設置された第2排気チャンネルをさらに含み、前記第2排気チャンネルの両端はそれぞれ前記ウェハー搬送領域及び前記第1ガス抽出装置に連通する。
【0013】
本願の一実施例では、前記半導体プロセス機器はプロセス排気構造をさらに含み、前記プロセス排気構造は前記プロセス領域に連通し、前記プロセス領域内のプロセスガスを排出することに用いられる。
【0014】
本願の一実施例では、前記プロセス排気構造は前記プロセスチャンバの側壁に設置された排気溝、排気グリッド及び第3排気チャンネルを含み、前記排気溝は環状であり、前記プロセスチャンバの側壁の円周方向に延設され、且つ前記排気溝の開口は前記プロセスチャンバの側壁の内周面にあり、
前記排気グリッドは環状であり、前記排気溝の開口の周りに設置され、
前記第3排気チャンネルの吸気端は前記排気溝に連通し、前記第3排気チャンネルのガス放出端は第2ガス抽出装置に連通する。
【0015】
本願の一実施例では、前記プロセスチャンバ内に仕切り板がさらに設置され、前記仕切り板は環状であり、前記プロセスチャンバの側壁の円周方向に延設され、前記仕切り板の外周縁は前記プロセスチャンバの内周面に接続され、且つ前記ベースが前記プロセス位置にあるときに、前記仕切り板の上面は前記ベースの上面と面一である。
【0016】
本願の実施例に係る解決手段は、以下の有益な効果を有する。
【0017】
本願の実施例に係る半導体プロセス機器は、ベースに固定設置されたガイド構造を利用して、ベースがプロセス位置にあるときに、該ベースの外周面の外側にガスを吹き出し、ベースの外周面とプロセスチャンバの側壁の内周面との間にガスウォールを形成し、プロセス領域とウェハー搬送領域との間の完全な分離を実現することができ、それと同時に、排気構造はガイド構造により吹き出されたガスを排出することにより、プロセスガスが気流とともに排出でき、それによりプロセス領域内のプロセスガスがウェハー搬送領域に入るのを遮断し、ウェハー搬送領域がプロセスガスによって形成された粒子に汚染されるのを回避ことができ、さらにプロセスチャンバのパージ時間を大幅に短縮し、半導体プロセス機器の生産能力を向上させることができる。且つ、本願の実施例はガスウォールを利用してプロセスガスがウェハー搬送領域に入るのを遮断し、密封部材を設置する必要がなく、長期作業によるその他の汚染も発生せず、従って密封部材の損耗、破損、高温条件に適用できない等の問題が存在せず、それにより上記ガスウォールは、適用性及び適用範囲が広く、且つ密封部材の破損によるメンテナンス時間を節約することができ、それによりメンテナンスコストを削減し、機器の生産能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下の図面を参照しつつ実施例を説明することにより、本願の上記及び/又は付加した点及び利点は明らかになり且つわかりやすくなる。
図1】本願の第1実施例に係る半導体プロセス機器のベースがプロセス位置にある場合の概略的な断面図である。
図2】本願の第1実施例に係る半導体プロセス機器のベースがウェハー搬送領域内に位置する概略的な断面図である。
図3】本願の第1実施例に用いられたベースの横方向概略的な断面図である。
図4】本願の第1実施例に用いられたベースの縦方向概略的な断面図である。
図5】本願の第1実施例に係る半導体プロセス機器の一部の概略的な断面図である。
図6】本願の第2実施例に係る半導体プロセス機器のベースがプロセス位置にある場合の概略的な断面図である。
図7】本願の第2実施例に係る半導体プロセス機器の一部の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本願を詳しく説明し、本願の実施例の例は図面に示され、終始同様又は類似の番号は同様又は類似の部材、或いは同様又は類似の機能を有する部材を示す。また、既知の技術の詳細な説明は示される本願の特徴にとって不必要なものであれば、省略する。以下に図面を参照しつつ説明した実施例は例示的なものであって、単に本願を解釈するためのものであるが、本願を制限しないものと解釈されるべきである。
【0020】
当業者であれば理解されるように、特に定義しない限り、ここに使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。さらに理解されるように、汎用辞書に定義されたそれらの用語は従来技術のコンテクストにおける意味と一致する意味を有すると理解されるべきであり、且つここのように特に定義しない限り、理想化されたもの又は正式な意味で解釈することがない。
【0021】
以下に図面を参照しながら具体的な実施例によって本願の技術解決手段、及び本願の技術解決手段が上記技術的問題をどのように解決するかを詳しく説明する。
【0022】
第1実施例
【0023】
本実施例は半導体プロセス機器を提供し、該半導体プロセス機器の構造概略図は図1に示され、プロセスチャンバ1と、吸気装置2と、ベース3と、ガイド構造8とを含み、プロセスチャンバ1の内部は上から下へプロセス領域11及びウェハー搬送領域12に分けられ、吸気装置2はプロセスチャンバ1の頂部に設置され、プロセスガスをプロセス領域11内に導入することに用いられ、ベース3はウェハー搬送領域12内に昇降可能に設置され、ウェハー(図示せず)を載置することに用いられ、ガイド構造8はガス供給源に接続され、且つベース3に固定設置され、ベース3がプロセス位置(図1におけるベース3の位置)にあるときに、ベース3の外周面の外側にガスを吹き出して、ベース3の外周面とプロセスチャンバ1の側壁の内周面との間にガスウォールを形成し、プロセス領域11内のプロセスガスがウェハー搬送領域12に入るのを遮断することを実現することに用いられ、プロセスチャンバ1の側壁に排気構造13が設けられ、ベース3がプロセス位置にあるときに、ガイド構造8により吹き出されたガスを排出することに用いられる。
【0024】
図1に示すように、該半導体プロセス機器は具体的にウェハーに対して原子層成長プロセスを実行することに用いられてもよく、該ウェハーは例えばシリコンウエハーであってもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。プロセスチャンバ1は具体的に金属材質からなる円筒構造を用いてもよい。プロセスチャンバ1の内部は上から下にプロセス領域11及びウェハー搬送領域12に分けられもよい。吸気装置2は具体的にプロセスチャンバ1の頂部に設置されてもよく、プロセスガスをプロセス領域11内に導入することに用いられる。ベース3は具体的にウェハー搬送領域12内に設置されてもよく、ベース3の天面はウェハーを載置することに用いられてもよい。
【0025】
本願の一実施例では、上記ガス供給源は例えば不活性ガス供給源であってもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0026】
本願の一実施例では、排気構造13の位置は、ベース3がプロセス位置まで上昇するときに、ガイド構造8が排気構造13と大まかに位置合わせされ、それによりガイド構造8により吹き出されたガスを排出できることを満たすべきであり、排気構造13の位置は具体的にウェハー搬送領域12の頂部に位置することができる。
【0027】
ウェハーを搬送する必要があるときに、図2に示すように、ベース3はウェハー搬送領域12内のウェハー搬送位置(図2におけるベース3の位置)にあり、この時、半導体プロセス機器のマニピュレーター(図示せず)はプロセスチャンバに入って、ウェハーをベース3に搬送することができる。その後、ベース3はウェハー搬送位置から図1に示されるプロセス位置に上昇でき、図1に示すように、プロセスチャンバ1はプロセス領域11にウェハーに対して原子層成長プロセスを容易に実行するように、ベース3はウェハーを載置しながらプロセス領域11に入ることができ、すなわちベース3の天面(すなわち、上面)はプロセス領域11内にある。プロセス中、ガイド構造8はベース3の外周面の外側にガスを吹き出して、ベース3の外周面とプロセスチャンバ1の側壁の内周面との間にガスウォールを形成し、プロセス領域11とウェハー搬送領域12との完全な分離を実現し、それと同時に、排気構造13はガイド構造8により吹き出されたガスを排出することができ、プロセスガスが気流とともに排出され得て、それによりプロセス領域11内のプロセスガスがウェハー搬送領域12に入るのを遮断することができる。
【0028】
本実施例に係る半導体プロセス機器は、上記ガイド構造8及び排気構造13を利用することで、ウェハー搬送領域12がプロセスガスによって形成された粒子に汚染されるのを回避ことができ、それにより、プロセスチャンバのパージ時間を大幅に短縮し、半導体プロセス機器の生産能力を向上させることができる。且つ、ガスウォールを利用してプロセスガスがウェハー搬送領域12に入るのを遮断することにより、密封部材を設置する必要がなく、長期作業によるその他の汚染も発生せず、従って密封部材の損耗、破損、高温条件に適用できない等の問題が存在せず、それにより上記ガスウォールは、適用性及び適用範囲が広く、且つ密封部材の破損によるメンテナンス時間を節約することができ、それによりメンテナンスコストを削減し、機器の生産能力を向上させることができる。
【0029】
ただし、本願の実施例は、プロセスチャンバ1が具体的にどのプロセスを実行するかを限定せず、例えばプロセスチャンバ1は物理気相成長又は化学気相成長プロセスの実行に用いられてもよい。従って本願の実施例はこれに限定されず、当業者は実際の状況に応じて自ら調整して設定することができる。
【0030】
本願の一実施例では、図3及び図4に示すように、ガイド構造8はベース3内に設置されたガイドスリット81及びガス流路82を含み、ガイドスリット81は環状であり、ベース3の円周方向に延設され、すなわちベース3の軸線の周りに設置され、且つガイドスリット81の開口81aはベース3の外周面311にあり、ガス流路82の両端はそれぞれガイドスリット81及びガス供給源に連通し、ガスをガイドスリット81内にガイドすることに用いられる。
【0031】
本願の一実施例では、図3及び図4に示すように、ガイドスリット81内のガスが水平方向に吹き出されるように、ガイドスリット81は水平に設置されてもよい。
【0032】
本願の一実施例では、図3及び図4に示すように、ガイド構造8はベース3内に設置された増圧キャビティ83をさらに含み、該増圧キャビティ83は環状であり、ベース3の軸線の周りに設置され、該増圧キャビティ83はそれぞれガス流路82のガス放出端及びガイドスリット81に連通し、増圧キャビティ83から排出されたガスの圧力を増加することに用いられる。
【0033】
ベース3の軸方向における増圧キャビティ83の高さはベース3の軸方向におけるガイドスリット81の高さよりもはるかに大きいため、ガスが増圧キャビティ83を通ってガイドスリット81に入る時に、ガイドスリット81のガス放出の圧力が大きく、ガスの流速が増加し、ガスの流速の増加はプロセスガスが気流とともに排気構造13によって排出されるのに寄与し、それによりプロセス領域11とウェハー搬送領域12との間の遮断効果をさらに向上させることができる。これと同時に、ガスがガス流路82から増圧キャビティ83内に入った後、増圧キャビティ83内のガスは円周方向に拡散でき、それにより円周方向のガス分布の均一性を向上させることができ、最終的に、ガスをガイドスリット81を通して均一に吹き出すようにでき、それによりベース3の周りに均一なガスウォールを形成し、円周方向のガスウォールの遮断効果の一致性を確保することができる。
【0034】
勿論、実際の応用では、具体的なニーズに応じて、ガイドスリット81とガス流路82とを直接連通してもよい。
【0035】
本願の一実施例では、図1図4に示すように、ベース3はベース本体31及び支持軸32を含み、ベース本体31はウェハーを載置することに用いられ、ベース本体31の外周面は上記ベース3の外周面311であり、支持軸32は、一端がベース本体31に接続され、他端がプロセスチャンバ1の底壁を貫通して駆動源(図示せず)に接続され、該駆動源の駆動下でベース本体31を昇降駆動し、図4に示すように、ガス流路82は、ベース本体31内に設置された水平部821と、該水平部821から垂直下方にベース本体31及び支持軸32を順に貫通する垂直部822とを含み、水平部821のガス放出端は増圧キャビティ83に連通し、垂直部822の吸気端はガス供給源に連通する。上記水平部821及び垂直部822を設置することにより、ガス通路をベース本体31の中央部に位置する支持軸32からプロセスチャンバ1の外部に引き出し、ガス供給源に連通させることができ、このようなガス通路引出方法はベース3の内部にガス通路を設置し、ガイド構造の占有空間を小さくできるだけでなく、支持軸32とプロセスチャンバ1の底壁との間の密封構造を利用してガス通路の密封を実現することができ、それにより、ガイド構造のために密封構造を単独で設計する必要がなくなり、さらに機器構造を簡略化し、設計の難しさを軽減してコストを削減する。
【0036】
図1図4に示すように、ベース本体31は具体的に金属材質からなる円盤状構造を用いてもよく、ベース本体31の上面はウェハーを載置することに用いられる。支持軸32は具体的にベース本体31と同じ材質を用い且つ一体成形されてもよく、両者は分離式構造を用いてもよく、従って本願の実施例はこれに限定されない。支持軸32の最上部はベース本体31の底面の中央部にあり、支持軸32の底端はプロセスチャンバ1の底壁を貫通した後に駆動源(図示せず)に接続され、駆動源は支持軸32によってベース本体31を駆動してプロセス位置まで上昇させ又はウェハー搬送位置まで降下させることに用いられる。駆動源は具体的にねじ機構又は伸縮シリンダー機構を用いてもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0037】
本願の一実施例では、ガス流路82は複数本であり、複数本のガス流路82の水平部821はベース本体31の円周方向に均等に配置され、且つ各本のガス流路82の水平部821はいずれもベース本体31の半径方向に延び、複数本のガス流路82の垂直部822は支持軸32の軸線の周りに均等に配置される。例えば、図3及び図4に示すように、複数のガス流路82は3つ設置されてもよいが、本願の実施例はガス流路82の具体的な数を限定せず、例えばガス流路82の具体的な数は3つ以上であってもよい。従って本願の実施例はこれに限定されず、当業者は実際の状況に応じて自ら調整して設定することができる。上記設計を用いると、複数のガス流路82がベース本体31の円周方向に均等に配置されるため、ガスはガイドスリット81により均一に流れ込み、それによりガイドスリット81から吹き出されたガスはより均一になり、ガスウォールの遮断効果をさらに向上させる。
【0038】
本願の一実施例では、ベース本体31は垂直方向に互いに重ね合わされた2つの円盤を用いてもよく、2つの円盤の互いに対向する表面、且つ縁部に接近する箇所には円環状の凹溝が対応して設置され、且つこの2つの表面には複数の溝が対応して開けられ、2つの円盤を重ね合わせた後、上記2つの表面上の円環状の凹溝は当接しガイドスリット81を形成することができ、上記2つの表面上の各溝は当接してガス流路82の水平部821を形成する。上記設計を用いると、ガス流路82の加工の難しさを軽減できるだけでなく、応用及びメンテナンスコストを大幅に削減することができる。
【0039】
ただし、本願の実施例はベース3及びガイド構造8の具体的な実施形態を限定せず、例えば、ベース本体31を一体構造とし該一体構造のベース本体31にガイドスリット81を加工してもよい。従って本願の実施例はこれに限定されず、当業者は実際の状況に応じて自ら調整して設定することができる。
【0040】
また、昇降ユニット(例えばウェバーを搬送するための突き上げピン装置)が設けられるベース3に対して、図3図4に示すように、ベース本体31内には突き上げピンが貫通するための貫通孔33が設置され、この場合、ガス流路82の位置と突き上げピンとの間の機械的干渉を回避するように、ガス流路82の水平部821は貫通孔33を避けて設置されるべきであり、それにより故障率を減らし耐用年数を延長する。
【0041】
本願の一実施例では、図1及び図5に示すように、排気構造13はプロセスチャンバ1の側壁に設置された排気口14、排気キャビティ15及び第1排気チャンネル41を含み、排気口14は環状であり、プロセスチャンバ1の側壁の円周方向に延設され、排気口14の吸気端14aはプロセスチャンバ1の側壁の内周面111にあり、且つベース3がプロセス位置にあるときに、ガイドスリット81の開口81aに対向して、ガイドスリット81の開口81aから流出したガスが反対側の排気口14の吸気端14aから排気口14に入ることができるようにする。排気キャビティ15は環状であり、プロセスチャンバ1の側壁の円周方向に延設され、且つ排気キャビティ15はそれぞれ排気口14のガス放出端及び第1排気チャンネル41の吸気端に連通し、第1排気チャンネル41のガス放出端は第1ガス抽出装置51に連通する。第1ガス抽出装置51は第1排気チャンネル41を介して排気キャビティ15内のガスを抽出する。
【0042】
本願の一実施例では、軸方向における排気口14の開口81aの高さは軸方向におけるガイドスリット81の開口81aの高さよりも大きく、このようにして、ガスがより容易で、迅速に排気口14に入り、排気口14によって排気キャビティ15内にガイドされるようにでき、それにより、ガスの排出速度を高めてガス乱流の発生を減少させることができる。
【0043】
本願の一実施例では、排気キャビティ15は例えば軸方向横断面が矩形である空洞であってもよい。
【0044】
本願の一実施例では、第1排気チャンネル41はプロセスチャンバ1の側壁に形成されてもよく、且つ第1排気チャンネル41のガス放出端は外部パイプラインを介して第1ガス抽出装置51に連通してもよい。又は、第1排気チャンネル41はパイプライン内に形成され、且つ該パイプラインの少なくとも一部がプロセスチャンバ1の側壁内に設置され、他部がプロセスチャンバ1の外部に延び第1ガス抽出装置51に連通してもよい。任意選択的に、パイプラインは例えば金属製パイプライン又はその他の耐腐食性材質からなるパイプラインを用いる。
【0045】
上記第1排気チャンネル41と排気キャビティ15を組み合わせて使用することにより、排気口14から排出されたガスをプロセスチャンバ1に引き出すことができ、それと同時に、排気キャビティ15により、排気流量を増加し、排気口14内に滞留することなくガスをスムーズに排出するのを確保することができ、それにより排気効率を向上させガス乱流の発生を減少させることができる。また、排気口14、排気キャビティ15及び第1排気チャンネル41を全てプロセスチャンバ1の側壁内に設置することにより、排気構造を簡略化し、占有空間を節約することができる。
【0046】
ただし、上記実施例では、排気口14、排気キャビティ15及び第1排気チャンネル41は全てプロセスチャンバ1の側壁内に設置されるが、本願はこれに限定されず、実際の応用では、ガイド構造により吹き出されたガスを排出できる限り、排気口14、排気キャビティ15及び第1排気チャンネル41は単独の部材として設置されてもよい。
【0047】
本願の一実施例では、図1及び図2に示すように、半導体プロセス機器はプロセスチャンバ1の側壁又は底壁に設置された第2排気チャンネル42をさらに含み、該第2排気チャンネル42の両端はそれぞれウェハー搬送領域12及び上記第1ガス抽出装置51に連通し、ウェハー搬送領域12内のガスを排出することに用いられる。
【0048】
第1排気チャンネル41と同様に、図1及び図2に示すように、第2排気チャンネル42はプロセスチャンバ1の側壁又は底壁内に形成されてもよく、且つ第1排気チャンネル41のガス放出端は外部パイプラインを介して第1ガス抽出装置51に連通してもよい。又は、第1排気チャンネル41はパイプライン内に形成され、且つ該パイプラインの少なくとも一部がプロセスチャンバ1の側壁又は底壁内に設置され、他部がプロセスチャンバ1の外部に延び第1ガス抽出装置51に連通してもよい。任意選択的に、パイプラインは例えば金属製パイプライン又はその他の耐腐食性材質からなるパイプラインを用いる。
【0049】
第2排気チャンネル42を利用して、ベース3がウェハー搬送領域12内のウェハー搬送位置(例えば図2に示される位置)にあり、ウェバーを搬送する時に、プロセスチャンバ1内の全てのガスは第2排気チャンネル42によって排出でき、ウェハー搬送領域12の粒子がプロセス領域11内に上昇しウェハーを汚染するのを回避することができ、それによりウェハーのプロセス歩留まりを大幅に向上させる。
【0050】
ただし、本願の実施例は第1排気チャンネル41及び第2排気チャンネル42の具体的な実施形態を限定せず、排気機能を実現すればよい。また、第1排気チャンネル41及び第2排気チャンネル42は異なるガス抽出装置に連通してもよい。従って本願の実施例はこれに限定されず、当業者は実際の状況に応じて自ら調整して設定することができる。
【0051】
本願の一実施例では、図1及び図2に示すように、半導体プロセス機器はプロセス排気構造をさらに含み、該プロセス排気構造はプロセス領域11に連通し、プロセス領域11内のプロセスガスを排出することに用いられる。いくつかの選択可能な実施例では、プロセス排気構造はプロセスチャンバ1の側壁に設置された排気溝71、排気グリッド72及び第3排気チャンネル43を含み、排気溝71は環状であり、プロセスチャンバ1の側壁の円周方向に延設され(すなわち、プロセスチャンバ1の軸線の周りに設置される)、且つ排気溝71の開口はプロセスチャンバ1の側壁の内周面にあり、排気グリッド72は環状であり、排気溝71の上記開口の周りに設置され、第3排気チャンネル43の吸気端は排気溝71に連通し、第3排気チャンネル43のガス放出端は第2ガス抽出装置52に連通する。第2ガス抽出装置52は第3排気チャンネル43を介してプロセス領域11内のプロセスガスを抽出する。
【0052】
本願の一実施例では、図1及び図2に示すように、排気溝71は例えば軸方向横断面が矩形である空洞であってもよい。
【0053】
本願の一実施例では、排気グリッド72が排気溝71の開口を完全に被覆できるように、軸方向における排気グリッド72の高さは軸方向における排気溝71の開口の高さと同じである。
【0054】
本願の一実施例では、第3排気チャンネル43はプロセスチャンバ1の側壁内に形成されてもよく、且つ第3排気チャンネル43のガス放出端は外部パイプラインを介して第2ガス抽出装置52に連通してもよい。又は、第3排気チャンネル43はパイプライン内に形成され、且つ該パイプラインの少なくとも一部がプロセスチャンバ1の側壁内に設置され、他部がプロセスチャンバ1の外部に延び第2ガス抽出装置52に連通してもよい。任意選択的に、パイプラインは、例えば一部がプロセスチャンバ1の側壁内に形成され、その他の部分が金属又はその他の耐腐食性材料からなるパイプラインを用いてもよい。
【0055】
プロセスの実行中に、上記プロセス排気構造を利用してプロセス領域11内のプロセスガスを直接抽出することができ、プロセス領域11内のプロセスガスがウェハー搬送領域12内に拡散するのをさらに防止することができる。しかしながら、本願の実施例はプロセス排気構造の具体的な実施形態を限定せず、当業者は実際の状況に応じて自ら調整して設定することができる。
【0056】
本願の一実施例では、図1及び図2に示すように、第1排気チャンネル41と第2排気チャンネル42の両方にはバルブ6が設置され、該バルブ6は第1排気チャンネル41及び第2排気チャンネル42を開閉することに用いられ、第3排気チャンネル43にはバルブ6が設置され、バルブ6は第1排気チャンネル41、第2排気チャンネル42を開閉することに用いられる。具体的には、バルブ6は具体的にソレノイドバルブを用い、半導体プロセス機器の上位コンピューターに接続されてもよく、上位コンピューターは実際のニーズに応じてバルブ6によって各排気パイプラインのオン/オフを制御することができる。例えば、本願の一実施例では、第3排気チャンネル43上のバルブ6が開放されると、プロセスチャンバ1がこの時にプロセス状態にあることを意味し、従って上位コンピューターは第3排気チャンネル43の状態に応じて、第1排気チャンネル41及び第2排気チャンネル42上のバルブを制御して開放させ、ベース3とプロセスチャンバ1の内壁との間にガスウォールを形成させることができ、第3排気チャンネル43上のバルブ6が閉じられると、プロセスチャンバ1がこの時にウェバー搬送状態にあることを意味し、従って上位コンピューターは第3排気チャンネル43の状態に応じて、第1排気チャンネル41上のバルブ6を制御して閉じさせ、且つ第2排気チャンネル42上のバルブ6を制御し開放させ、プロセスチャンバ1内の全てのガスを第2排気チャンネル42によって排出することができ、それによりウェハー搬送領域12内の粒子がプロセス領域に上昇することを回避し、さらにウェバーの汚染を防止する。上記設計を用いると、ウェハーの歩留まりを高めることができるだけでなく、本願の実施例の自動化制御レベルを大幅に向上させることができる。
【0057】
本願の一実施例では、図1及び図5に示すように、プロセスチャンバ1内に仕切り板17がさらに設置され、該仕切り板17は環状であり、プロセスチャンバ1の側壁の円周方向に延設され、仕切り板17の外周縁はプロセスチャンバ1の内周面に接続され、プロセスチャンバ1をプロセス領域11及びウェハー搬送領域12に仕切りすることに用いられる。ベース3がプロセス位置にあるときに、仕切り板17の上面はベース3の上面と面一である。具体的には、ベース3がプロセス位置にあるときに、ベース3の一部は仕切り板17の内側にあり、仕切り板17の上面はベース3の上面と面一である。仕切り板17を利用して、ガスウォールと組み合わせて使用し、プロセス領域11内のプロセスガスがウェハー搬送領域12内に拡散するのをさらに防止することができる。
【0058】
具体的には、仕切り板17は具体的に金属材質からなる環状板を用い、仕切り板17の外周縁は例えば溶接でプロセスチャンバ1の内壁に接続されるが、本願の実施例は具体的な接続方法を限定しない。
【0059】
本願の一実施例では、ベース本体31は本体部分と該本体部分の上方にあるボス部分とを含み、且つボス部分の外径は本体部分の外径よりも小さく、且つ該ボス部分は仕切り板17の内側にあり、本体部分は仕切り板17の下方にあり、該本体部分の外周面はベース3の外周面311である(図4参照)。且つ、ボス部分の上面は仕切り板17の上面と面一である。
【0060】
本願の一実施例では、ベース本体31のボス部分の外周面と仕切り板17の内周面との間に隙間があり、ベース本体31の本体部分の上面は仕切り板17の下面に密着していてもよいし、隙間があってもよい。上記設計を用いると、ベース3と仕切り板17との間の機械的干渉を回避することができ、それにより本願の実施例の故障率を減らす。
【0061】
実際の応用では、プロセスガスは吸気装置2から噴出されてプロセス領域11内に入り、且つベース3上のウェハーに対してプロセスを実行し、次に第3排気チャンネル43を介して排出される。プロセスの実行中に、少量のプロセスガスは仕切り板17とベース3との間の隙間に沿ってウェハー搬送領域12に拡散しようとし、このとき、ガイドスリット81により吹き出されたガスが形成したガスウォールを利用して、プロセスガスがウェハー搬送領域12内に拡散するのを防止することができ、且つガスウォールは、プロセスガスが排気口14を介して第1排気チャンネル41に入った後に排出されるように駆動し、プロセスガスがウェハー搬送領域12に拡散するのを防止することができ、それにより、プロセス領域11とウェハー搬送領域12との完全な分離が実現され、プロセスガスの方向は具体的に図5を参照できる。
【0062】
第2実施例
【0063】
図6及び図7を参照して、本実施例は半導体プロセス機器を提供し、それは同様にプロセスチャンバ1と、吸気装置2と、ベース3と、ガイド構造8’とを含み、唯一の相違点は、ガイド構造8’がベース3の外部に設置されることである。
【0064】
具体的には、ガイド構造8’は、ベース3と同期して昇降できるようにベース3に固定設置されて、且つガイド構造8’はガス供給源に接続され、ベース3がプロセス位置(図6におけるベース3の位置)にあるときに、ベース3の外周面の外側にガスを吹き出して、ベース3の外周面とプロセスチャンバ1の側壁の内周面との間にガスウォールを形成し、プロセス領域11内のプロセスガスがウェハー搬送領域12に入るのを遮断することを実現することに用いられる。
【0065】
本願の一実施例では、図7に示すように、ガイド構造8’は、ガイド本体と、該ガイド本体内に設置されたガイドスリット81’及びガス流路82’とを含み、ガイドスリット81’は環状であり、ベース3の円周方向にベース3の外周面に延設され、且つガイドスリット81’の開口は排気口14の吸気端に対向し、ガイドスリット81’の開口から流出したガスは反対側の排気口14の吸気端から排気口14に入ることができるようにする。ガス流路82’の両端はそれぞれガイドスリット81’及びガス供給源に連通し、ガスをガイドスリット81’内にガイドすることに用いられる。
【0066】
本願の一実施例では、図7に示すように、ガイド構造8’は上記ガイド本体内に設置された増圧キャビティ83’をさらに含み、該増圧キャビティ83’は環状であり、ベース3の軸線の周りに設置され、該増圧キャビティ83’はそれぞれガス流路82’のガス放出端及びガイドスリット81’に連通し、増圧キャビティ83’から排出されたガスの圧力を増加することに用いられる。
【0067】
勿論、実際の応用では、具体的なニーズに応じて、ガイドスリット81とガス流路82とを直接連通してもよい。
【0068】
本願の一実施例では、図6に示すように、ベース3はベース本体31及び支持軸32を含み、ベース本体31はウェハーを載置することに用いられ、ベース本体31の外周面は上記ベース3の外周面311であり、支持軸32は、一端がベース本体31に接続され、他端がプロセスチャンバ1の底壁を貫通して駆動源(図示せず)に接続され、該駆動源の駆動下でベース本体31を昇降駆動する。この場合、ガス流路82’は、ベース本体31の底部に設置された水平部と、該水平部から支持軸32の軸方向に沿って垂直下方に延びる垂直部とを含んでもよく、水平部のガス放出端は増圧キャビティ83’に連通し、垂直部の吸気端はガス供給源に連通する。上記水平部及び垂直部を設置することにより、ガス通路をベース本体31の中央部に位置する支持軸32からプロセスチャンバ1の外部に引き出し、ガス供給源に連通させることができ、このようなガス通路引出方法はガイド本体をベース本体31及び支持軸32に近づけて設置し、ガイド構造の占有空間を小さくできるだけでなく、支持軸32とプロセスチャンバ1の底壁との間の密封構造を利用してガス通路の密封を実現することができ、それにより、ガイド構造のために密封構造を単独で設計する必要がなくなり、さらに機器構造を簡略化し、設計の難しさを軽減してコストを削減する。
【0069】
本願の一実施例では、上記ガイド本体は、ガイドスリット81’及び増圧キャビティ83’を形成するための環状部分と、ガス流路82’を形成するためのパイプライン部分とを含む。この場合、ガス流路82’は複数本であると、上記ガイド本体のパイプライン部分は同様に複数であり、複数のガス流路82’を一対一で対応して形成する。勿論、実際の応用では、上記ガイド本体の複数のパイプライン部分は一体構造であってもよい。
【0070】
本実施例に係る半導体プロセス機器のその他の構造及び機能は上記第1実施例と同じであり、上記第1実施例において詳細に説明されるため、ここでは繰り返し説明しない。
【0071】
本願の実施例を用いて、少なくとも以下の有益な効果を実現できる。
【0072】
本願の実施例に係る半導体プロセス機器は、ベースに固定設置されたガイド構造を利用して、ベースがプロセス位置にあるときに、該ベースの外周面の外側にガスを吹き出し、ベースの外周面とプロセスチャンバの側壁の内周面との間にガスウォールを形成し、プロセス領域とウェハー搬送領域との間の完全な分離を実現することができ、それと同時に、排気構造はガイド構造により吹き出されたガスを排出することにより、プロセスガスが気流とともに排出でき、それによりプロセス領域内のプロセスガスがウェハー搬送領域に入るのを遮断し、ウェハー搬送領域がプロセスガスによって形成された粒子に汚染されるのを回避ことができ、さらにプロセスチャンバのパージ時間を大幅に短縮し、半導体プロセス機器の生産能力を向上させることができる。且つ、本願の実施例はガスウォールを利用してプロセスガスがウェハー搬送領域に入るのを遮断し、密封部材を設置する必要がなく、長期作業によるその他の汚染も発生せず、従って密封部材の損耗、破損、高温条件に適用できない等の問題が存在せず、それにより上記ガスウォールは、適用性及び適用範囲が広く、且つ密封部材の破損によるメンテナンス時間を節約することができ、それによりメンテナンスコストを削減し、機器の生産能力を向上させることができる。
【0073】
理解されるように、以上の実施形態は単に本願の原理を説明するために用いた例示的な実施形態であるが、本願はこれに限定されるものではない。当業者であれば、本願の主旨及び本質を逸脱せずに、種々の変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本願の保護範囲として見なされる。
【0074】
本願の説明において、理解されるように、用語「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などで示される方位又は位置関係は図面に示される方位又は位置関係に基づいたものであり、本願を説明しやすくし及び説明を簡素化するためのものに過ぎず、指す装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作しなければならないことを指示又は暗示するのではなく、従って、本願を制限するものではないと理解されるべきである。
【0075】
用語「第1」、「第2」は説明のためのものに過ぎず、相対重要性を指示又は暗示し、或いは指示する技術的特徴の数を暗示的に示すものではないと理解されるべきである。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は1つ又は複数の該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本願の説明において、特に説明しない限り、「複数」の意味が2つ以上である。
【0076】
本願の説明において、なお、特に明確に規定及び限定しない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続又は一体接続であってもよく、直接連結、中間素子による間接連結、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0077】
本明細書の説明において、具体的な特徴、構造、材料又は特性はいずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で組み合わせられてもよい。
【0078】
以上は単に本願の実施形態の一部であり、指摘すべきことは、当業者であれば、本願の原理を逸脱せずに、さらに種々の改良及び潤色を行うことができ、これらの改良及び潤色も本願の保護範囲として見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】