(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】新規インダゾールアセチレン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20231129BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20231129BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231129BHJP
C07D 487/10 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
C07D487/04 138
A61K31/454
A61P35/00
C07D487/10 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527318
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2021083279
(87)【国際公開番号】W WO2022117477
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドレンテ, コジモ
(72)【発明者】
【氏名】ゴアグラー, アニック
(72)【発明者】
【氏名】ヘウィングス, デーヴィッド スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ジェスキー, ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】オブスト ザンダー, ウルリーケ
(72)【発明者】
【氏名】リッチ, アントニオ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA07
4C050BB05
4C050CC04
4C050EE02
4C050FF02
4C050GG01
4C050GG02
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB03
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、一般式(I)を有する新規化合物
又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、R
1、R
2、R
2’、R
3、R
4、及びR
5は、本明細書に記載されるとおりである。式(I)の化合物は、医薬として使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
[式中、
R
1は水素又はハロゲンであり;
R
2及びR
2’は、独立して水素及びアルキルから選択されるか;
又はR
2及びR
2’は、それらが結合する炭素原子と一緒に、シクロアルキルを形成し;
R
3は水素又はハロゲンであり;
R
4はアルキルであり;
R
5はヒドロキシアルキル(ヘテロシクロアルキル)アルキルである]
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1が水素又はフルオロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1が水素である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R
2及びR
2’が水素又はメチルから独立して選択されるか、又はR
2及びR
2’が、それらが結合する炭素原子と一緒に、シクロプロピルを形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
2及びR
2’が同時に両方ともアルキルであるか、又はR
2及びR
2’が、それらが結合する炭素原子と一緒に、シクロアルキルを形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
2及びR
2’が同時に両方ともメチルであるか、又はR
2及びR
2’が、それらが結合する炭素原子と一緒に、シクロプロピルを形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
3が水素又はフルオロである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
4がメチルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
5がヒドロキシアルキル(ピペリジニル)アルキルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
R
5がヒドロキシメチル(ピペリジニル)メチルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;及び
2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;及び
2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の調製のための方法であって、式(B1)の化合物
を、式(B2)の化合物
と塩基、Pd(II)触媒、及びCu(I)源の存在下で反応させることを含み、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は請求項1から12のいずれか一項に記載のとおりであり、Xがハロゲンである、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の製造方法に従って製造されたときの、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
治療的活性物質としての使用のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物と、治療的に不活性な担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項17】
がん、特に非小細胞肺がんの治療又は予防に使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
がん、特に非小細胞肺がんの治療又は予防のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
がん、特に非小細胞肺がんの治療又は予防のための医薬を調製するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
がん、特に非小細胞肺がんの治療又は予防のための方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項21】
本明細書で先に記載したとおりの発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、T790M/L858R、T790M/L858R/C797S、L858R、及び/又はL858R/C797Sを含むEGFR突然変異体の選択的アロステリック阻害剤である化合物、それらの製造、それらを含有する薬学的組成物、及び治療的活性物質としてのそれらの使用に関する。
【0002】
本発明は、特に、式(I)の新規化合物
[式中、
R
1は水素又はハロゲンであり;
R
2及びR
2’は、独立して水素及びアルキルから選択されるか;
又はR
2及びR
2’は、それらが結合する炭素原子と一緒に、シクロアルキルを形成し;
R
3は水素又はハロゲンであり;
R
4はアルキルであり;
R
5はヒドロキシアルキル(ヘテロシクロアルキル)アルキルである]
又はその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0003】
受容体チロシンキナーゼのHERファミリーは、細胞増殖、分化、及び生存のメディエータである。この受容体ファミリーには、4つの異なるメンバー、すなわち、上皮増殖因子受容体(EGFR、ErbB1、又はHER1)、HER2(ErbB2)、HER3(ErbB3)、及びHER4(ErbB4)が含まれる。リガンドが結合すると、受容体はホモ二量体及びヘテロ二量体を形成し、続く内因性チロシンキナーゼ活性の活性化は、受容体の自己リン酸化及び下流シグナル伝達分子の活性化をもたらす(Yarden, Y., Sliwkowski, MX. Untangling the ErbB signalling network. Nature Review Mol Cell BiolBiol. Feb;2(2): 127-37)。過剰発現又は突然変異によるEGFRの脱調節は、結腸直腸がん、膵臓がん、神経膠腫、頭頸部がん、及び肺がんを含む多くのヒトがんの種類、特に非小細胞肺がん(NSCLC)に関係しており、いくつかのEGFR標的化剤が長年にわたって開発されてきた(Ciardiello, F., and Tortora, G. (2008).EGFR antagonists in cancer treatment.The New England journal of medicine 358, 1160-1174)。EGFRチロシンキナーゼの可逆的阻害剤であるエルロチニブ(タルセバ(登録商標))は、再発NSCLCの治療薬として数多くの国で承認されている。
【0004】
腫瘍が体細胞キナーゼドメイン変異を有するNSCLC患者の一部では、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤の顕著な単剤活性が観察されるが、野生型EGFR患者における臨床的有益性は大幅に低下する(Paez,J.et al.(2004).EGFR mutations in lung cancer:correlation with clinical response to gefitinib therapy.Science (New York, NY 304, 1497-1500)。EGFRの最も一般的な体細胞変異は、デルタ746~750が最も一般的な変異であるエクソン19欠失であり、L858Rが最も高頻度の変異であるエクソン21アミノ酸置換である(Sharma SV,Bell DW,Settleman J,Haber DA.Epidermal growth factor receptor mutations in lung cancer.Nat Rev Cancer.2007 Mar;7(3):169-81)。
【0005】
治療抵抗性は高頻度で発生し、受容体のATP部位内の二次的T790M変異に起因することが多い。いくつかの開発された変異体選択的不可逆性阻害剤はT790M変異体に対して高度に活性であるが、これらの有効性は、鍵となる共有結合をこれらが形成するシステイン残基であるC797Sの後天性突然変異によって損なわれる可能性がある(Thress,K.S.et al.Acquired EGFR C797S mutation mediates resistance to AZD9291 in non-small cell lung cancer harboring EGFR T790M.Nat.Med.21,560-562(2015))。C797S変異は、T790M標的化EGFR阻害剤に対する耐性の主要な機構であることがWangによってさらに報告された(Wang et al.EGFR C797S mutation mediates resistance to third-generation inhibitors in T790M-positive non-small cell lung cancer,J Hematol Oncol.2016;9:59)。オシメルチニブに対する耐性を引き起こす追加の突然変異は、Yangによって説明されている(例えば、L718Q)(Yang et al,Investigating Novel Resistance Mechanisms to Third-Generation EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Osimertinib in Non-Small Cell Lung Cancer Patients,Clinical Cancer Research,DOI:10.1158/1078-0432.CCR-17-2310)。Luら(Targeting EGFRL858R/T790M and EGFRL858R/T790M/C797S resistance mutations in NSCLC: Current developments in medicinal chemistry, Med Res Rev 2018; 1-32)は、NSCLC治療におけるEGFRL858R/T790M及びEGFRL858R/T790M/C797S耐性突然変異の標的化についてのレビュー記事を報告している。
【0006】
最も利用可能なEGFRチロシンキナーゼ阻害剤はキナーゼのATP部位を標的とするため、例えば薬剤耐性EGFR変異体を標的とするなど、異なる働きをする新しい治療剤が必要である。
【0007】
最近の研究では、意図的にアロステリック部位を標的にすることにより、変異選択的阻害剤につながる可能性があることが示唆されている(JiaらOvercoming EGFR(T790M)and EGFR(C797S)resistance with mutant-selective allosteric inhibitors,June2016,Nature534,129-132)。
【発明の概要】
【0008】
したがって、がんの治療及び/又は予防処置に有用なT790M/L858R、T790M/L858R/C797S、L858R及び/又はL858R/C797Sを含むEGFR変異体、特にT790M及びC797Sを含むEGFR変異体を特異的に阻害する選択的分子の生成には、満たされていないニーズが存在する。
【0009】
本明細書に記載の式(I)の化合物は、T790M/L858R、T790M/L858R/C779S、L858R及び/又はL858R/C797Sを含むEGFR変異体、特にT790M及びC797Sを含むEGFR変異体に対する改善されたEGFR効力及び選択性、並びに改善された物理化学的特性を有する。
【0010】
本明細書において、用語「アルキル」は、単独で又は組み合わせて、1~8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、特に1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、より具体的には1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を意味する。直鎖及び分岐鎖C1-C8アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec.-ブチル、異性体ペンチル、異性体ヘキシル、異性体ヘプチル、及び異性体オクチル、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びペンチルである。「アルキル」の特定の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びtert.-ブチルである。メチルは、式(I)の化合物における「アルキル」の特定の例である。
【0011】
「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」という用語は、単独で又は組み合わせて、用語「アルキル」が、前に示される意味を有する、式アルキル-O-の基、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ及びtert-ブトキシを意味する。「アルコキシ」の特例の例は、メトキシ、エトキシ、及びtert-ブトキシである。
【0012】
用語「オキシ」は、単独で又は組み合わせて、-O-基を意味する。
【0013】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、単独で又は組み合わせて、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味し、特に、フッ素又は塩素を意味する。特定の「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素である。用語「ハロ」は、別の基と組み合わせて、少なくとも1つのハロゲン、特に、1つから5つのハロゲンで置換された、特に、1つから4つのハロゲン、すなわち、1つ、2つ、3つ、又は4つのハロゲン置換された、当該基の置換を意味する。
【0014】
用語「ハロアルキル」は、単独で又は組み合わせて、少なくとも1個のハロゲンで置換された、特に1~5個のハロゲンで置換された、特に1~3個のハロゲンで置換されたアルキル基を表す。「ハロアルキル」の特定の例は、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルである。
【0015】
用語「ヒドロキシル」及び「ヒドロキシ」は、単独で又は組み合わせて、-OH基を意味する。
【0016】
用語「カルボニル」は、単独で又は組み合わせて、-C(O)-基を意味する。
【0017】
用語「アミノ」は、単独で又は組み合わせて、第一級アミノ基(-NH2)、第二級アミノ基(-NH-)、又は第三級アミノ基(-N-)を意味する。
【0018】
用語「アルキルアミノ」は、単独で又は組み合わせて、-NH-基に結合したアルキル基である。用語「ジアルキルアミノ」は、-N-原子に結合した2つのアルキル基を意味する。
【0019】
用語「スルホニル」は、単独で又は組み合わせて、-SO2-基を意味する。
【0020】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、N、O及びSから選択される1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、4~9個の環原子からなる一価飽和又は部分的に不飽和の一環式又は二環式環系を意味する。二環式とは、1個又は2個の環原子を共通に有する2個の環からなるものを意味する。「ヘテロシクロアルキル」の例は、モルホリニル、ピペリジニル、アゼチジニル、及びピペラジニルである。「ヘテロシクロアルキル」の特定の例は、ピペリジニルである。
【0021】
「シクロアルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、3~8個の環炭素原子を有する一価の飽和環状炭化水素基を表す。「シクロアルキル」の例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。「シクロアルキル」基の特定の例は、シクロプロピルである。
【0022】
「ピペリジニル」及び「ピペリジル」という用語は、互換性があり、単独で又は組み合わせて、5個の炭素環原子及び1個の窒素環原子を含む飽和単環を意味する。
【0023】
用語「薬学的に許容される塩」とは、生物学的に又はその他望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する式(I)の化合物の塩を指す。塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、特に塩酸、並びに有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等により形成される。また、これらの塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を添加して調製してもよい。無機塩基に由来する塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩等が含まれるが、これらに限定されない。有機塩基から誘導され得る塩としては、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂等の塩が挙げられるがこれらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容される塩は、塩酸塩、ギ酸塩、及びトリフルオロ酢酸塩である。
【0024】
式(I)の出発物質又は化合物のうちの1つが、1つ又は複数の反応工程の反応条件下で安定でないか又は反応性である1つ又は複数の官能基を含む場合、適切な保護基(例えば、“Protectivegroups in Organic Chemistry” by T. W. Greene and P.g. M. Wuts, 3rd Ed., 1999, Wiley, New Yorkに記載されているもの)を、当該技術分野でよく知られている方法を適用する重要な工程の前に導入することができる。このような保護基は、文献に記載されている標準的な方法を用いて、合成の後の段階において除去することができる。保護基の例は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、カルボベンジルオキシ(Cbz)、及びp-メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)である。
【0025】
式(I)の化合物は、数個の不斉中心を含み得、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体などのエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性のラセミ体又はジアステレオ異性のラセミ体の混合物として存在し得る。
【0026】
用語「不斉炭素原子」は、4つの異なる置換基を有する炭素原子を意味する。Cahn-Ingold-Prelog則によれば、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置のものであり得る。
【0027】
したがって、本発明は、特に以下に関する:
R1が水素又はフルオロである、本発明による化合物;
R1が水素である、本発明による化合物;
R1がハロゲンである、本発明による化合物;
R1がフルオロである、本発明による化合物;
R2及びR2’が、独立して、水素若しくはメチルから選択されるか;又はR2及びR2’が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキルを形成する、本発明による化合物;
R2及びR2’が、独立して、水素若しくはアルキルから選択されるか;又はR2及びR2’が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピルを形成する、本発明による化合物;
R2及びR2’が、独立して、水素若しくはメチルから選択されるか;又はR2及びR2’が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピルを形成する、本発明による化合物;
R2及びR2’が同時に両方ともアルキルであるか;又はR2及びR2’が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキルを形成する、本発明による化合物;
R2及びR2’が同時に両方ともメチルであるか;又はR2及びR2’が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピルを形成する、本発明による化合物;
R2及びR2’が、独立して、水素又はメチルから選択される、本発明による化合物;
R2及びR2’が同時に両方ともアルキルである、本発明による化合物;
R2及びR2’が同時に両方ともメチルである、本発明による化合物;
R2及びR2’が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキルを形成する、本発明による化合物;
R2及びR2’が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピルを形成する、本発明による化合物;
R3が水素又はフルオロである、本発明による化合物;
R3が水素である、本発明による化合物;
R3がハロゲンである、本発明による化合物;
R3がフルオロである、本発明による化合物;
R4がメチルである、本発明による化合物;
R5がヒドロキシアルキル(ピペリジニル)アルキルである、本発明による化合物;
R5がヒドロキシメチル(ピペリジニル)メチルである、本発明による化合物;及び
R5がヒドロキシメチル(ヘテロシクロアルキル)メチルである、本発明による化合物。
【0028】
本発明は、さらに、以下:
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;及び
2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
から選択される化合物、
又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0029】
本発明は、さらに、以下
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;及び
2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド;
から選択される化合物、
又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0030】
本発明の特定の実施態様は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関し、式(I)の化合物は、2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミドである。
【0031】
本発明の特定の実施態様は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関し、式(I)の化合物は、2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミドである。
【0032】
本発明の特定の実施態様は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関し、式(I)の化合物は、2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミドである。
【0033】
本発明の特定の実施態様は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関し、式(I)の化合物は、2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミドである。
【0034】
本明細書に記載の式(I)の化合物を製造するための方法もまた、本発明の目的である。
【0035】
本発明の式(I)の化合物の製造は、逐次的又は収束的な合成経路で行うことができる。本発明の化合物の合成を、以下のスキーム1及び具体例の説明において示す。反応及びその結果得られる生成物の精製を実行するために必要な技能は、当業者に既知である。プロセスの以下の記載において使用される置換基及び指標は、別段の断りがない限り、本明細書に前述した有意性を有する。反応の順序は、スキーム1に表示されているものに限定されないが、出発材料及びそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序を自由に変更することができる。出発物質は、市販されているか、又は以下に示す方法に類似する方法、本明細書に引用された参考文献もしくは実施例に記載されている方法、又は当技術分野で公知の方法によって調製し得る。
【0036】
スキーム1
スキーム1では、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、本明細書で定義されるとおりである。
【0037】
式IIのインダゾールは、周囲温度又は高温で、ジメチルアセトアミド又はアセトニトリルなどの溶媒中、トリエチルアミン又は炭酸セシウムなどの塩基の存在下又は好ましくは非存在下で、エチルブロモアセテート又はメチルブロモアセテートなどのアルキル化剤でアルキル化して、式IIIのインダゾールを得ることができる。この化合物をLDA又はLHMDSなどの塩基で脱プロトン化し、CDIなどでの処理により予め活性化されたプロリン誘導体で処理して、式IVの化合物を得ることができる。この反応は、THFなどの溶媒中、-78度から室温の温度で実施され得る。化合物IVの保護基は、例えばジオキサン中HCl又はTFAのような酸で処理することによって切断することができる。その後、室温又はわずかに上昇した温度でEtOHなどの溶媒中、チオシアン酸カリウムで処理すると、式Vの化合物が得られる。イミダゾールVIへの変換は、酢酸などの溶媒中で過酸化水素で処理するか又はラニーニッケルで処理するか又は当該技術分野で知られている他の方法で達成することができる。薗頭反応などのよく知られた方法及び官能基の変換のための他のよく知られた合成方法を使用することにより、アセチレン-R5を導入して化合物VIIを得ることを実施することができる。式(I)の化合物への変換は、EtOH、THF、水などの溶媒中、LiOH又はNaOHなどの塩基で鹸化し、その後HATUなどのカップリング剤でアミノチアゾール又はその誘導体とアミドカップリングすることにより達成することができる。あるいは、アミノチアゾールと、トリメチルアルミニウム又はイソプロピルマグネシウムクロリドなどの試薬とを使用して、直接エステル-アミド変換を行うことができる。
【0038】
酸を伴う式(I)の化合物の対応する薬学的に許容される塩は、当業者に公知の標準的方法、例えば、式Iの化合物を、例えばジオキサン又はテトラヒドロフランのような好適な溶媒中に溶解し、適切な量の対応する酸を加えることによって得ることができる。生成物は通常、濾過又はクロマトグラフィーによって単離できる。式Iの化合物をその薬学的に許容される塩へと塩基によって変換することは、そのような化合物をそのような塩基で処理することによって行うことができる。そのような塩を形成する1つの可能な方法は、例えば、1/n当量の例えばM(OH)nといった塩基性塩(ここで、M=金属又はアンモニウムカチオン、及びn=ヒドロキシドアニオン数)を適切な溶媒(例えば、エタノール、エタノール-水混合物、テトラヒドロフラン-水混合物)中に化合物が入った溶液に加え、蒸発又は凍結乾燥によって溶媒を除去することによる方法である。式(I)の化合物の特定の塩は、塩酸塩、ギ酸塩、及びトリフルオロ酢酸塩である。
【0039】
その調製が実施例に記載されていない限り、式(I)の化合物及び全ての中間体生成物は、類似の方法又は本明細書に記載の方法に従って調製することができる。
【0040】
本発明における一般式(I)の化合物を官能基で誘導体化して、in vivoで親化合物に変換して戻すことができる誘導体を提供できることが、理解されるであろう。
【0041】
したがって、本発明はまた、式(I)の化合物の調製のためのプロセスであって、式(B1)の化合物
を、式(B2)の化合物
と塩基、Pd(II)触媒、及びCu(I)源の存在下で反応させることを含み、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は上で定義したとおりであり、Xがハロゲンである、プロセスに関する。
【0042】
上記のプロセスにおいて、Xは好都合には臭素である。
【0043】
本発明のプロセスにおいて、塩基は、例えば、ピペリジン、モルホリン、ジイソプロピルアミンジエチルアミン、トリメチルアミン、炭酸セシウム、又はそれらの混合物である。好都合には、塩基はトリメチルアミンである。
【0044】
本発明のプロセスにおいて、触媒は、例えば、ビス-(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)ジクロリドであり得る。
【0045】
Cu(I)源は、特にヨウ化銅(I)であり得る。
【0046】
本発明のプロセスは、好都合には、例えば、DMF、THF、ジエチルアミン、トリメチルアミン、又はそれらの混合物等の溶媒中で行われ得る。好都合には、溶媒はDMFである。
【0047】
本発明のプロセスに好都合な条件は、約20℃~120℃の間、特に約40℃~110℃の間、より具体的には約60℃~100℃の間であり得る。プロセスに好都合な条件は、約80℃であり得る。
【0048】
本発明のプロセスに好都合な条件は、約0.25時間~20時間の間、特に約0.5時間~10時間の間、より具体的には約1時間~5時間の間であり得る。プロセスに好都合な条件は、約1.5時間~2.5時間の間であり得る。
【0049】
本発明はまた、本発明の方法に従って製造される場合の本発明による化合物に関する。
【0050】
本発明の別の実施態様は、本発明の化合物と、治療的不活性担体、希釈剤又は賦形剤とを含有する医薬組成物又は医薬、並びにこのような組成物及び医薬を調製するために本発明の化合物を使用する方法を提供する。一例では、式(I)の化合物は、生理学的に許容され得る担体、すなわち、生薬の投与形態に使用される用量及び濃度でレシピエントに対して毒性でない担体と、適切なpHと所望の純度で、周囲温度で混合することによって製剤化されてもよい。製剤のpHは、特定の用途及び化合物の濃度に主に依存するが、好ましくは約3~約8の範囲である。一例では、式(I)の化合物は、pH5の酢酸緩衝剤中で製剤化される。別の実施態様では、式(I)の化合物は無菌である。該化合物は、例えば、固体又は非晶質組成物として、凍結乾燥製剤として、又は水溶液として保存されてもよい。
【0051】
組成物は、適切な医療行為にかなう様式で製剤化され、服用され、投与される。これに関連して考慮すべき因子としては治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に既知であるその他の因子が挙げられる。
【0052】
本発明の化合物は、経口、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸、膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、髄腔内及び硬膜外並びに鼻腔内、並びに局所治療のために所望される場合は病巣内投与を含む、任意の適切な手段によって投与され得る。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が挙げられる。
【0053】
本発明の化合物は、例えば、錠剤、粉末、カプセル、溶液、分散液、懸濁液、シロップ、スプレー、坐薬、ジェル、乳液、パッチ等の任意の好都合な投与形態で投与され得る。そのような組成物は、薬学的調製物において一般的な要素、例えば、希釈剤、担体、pH調整剤、甘味料、充填剤及びさらなる活性剤を含む。
【0054】
典型的な製剤は、本発明の化合物と担体又は賦形剤とを混合することによって調製される。好適な担体及び賦形剤は当業者に周知であり、例えば、Ansel,Howard C.,et al.,Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems.Philadelphia:Lippincott, Williams & Wilkins, 2004; Gennaro, Alfonso R., et al.Remington: The Science and Practice of Pharmacy.Philadelphia:Lippincott,Williams & Wilkins,2000;及びRowe,Raymond C.Handbook of Pharmaceutical Excipients.Chicago,Pharmaceutical Press,2005に詳細に記載されている。製剤はまた、薬物(すなわち、本発明の化合物又はその医薬組成物)の的確な提示を提供する、又は医薬品(すなわち、医薬)の製造を補助するために、1種以上の緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、防腐剤、抗酸化剤、乳白剤(opaquing agent)、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、香味剤、希釈剤及び他の既知の添加剤も含み得る。
【0055】
よって、本発明はまた、特に、以下のものに関する:
治療的活性物質としての使用ための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩;
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、治療的不活性担体とを含む薬学的組成物;
がんの治療又は予防における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩;
非小細胞肺がんの治療又は予防における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩;
がん、特に非小細胞肺がんの治療又は予防のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用;
がん、特に非小細胞肺がんの治療又は予防のための医薬の調製のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用;及び
がん、特に非小細胞肺がんの治療または予防のための方法であって、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【0056】
本発明の特定の実施態様は、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される補助物質を含む薬学的組成物に関する。
【0057】
本発明のある実施態様、T790M/L858R、T790M/L858R/C797S、L858R及びL858R/C797Sから選択される少なくとも1つのEGFR変異によって特徴付けられるがん、特に非小細胞肺がんの治療又は予防における使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0058】
本発明のある実施態様は、T790M/L858R、T790M/L858R/C797S、L858R及びL858R/C797Sから選択される少なくとも1つのEGFR変異ががんに存在する、がん、特に非小細胞肺がんの治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩をそれを必要としている患者へ投与することを含む、方法に関する。
【0059】
さらに、本発明は、適用可能な場合は、式(I)の化合物の対応する重水素化形態の全ての置換基を含む。
【0060】
さらに、本発明は、適用可能な場合、式(I)の化合物の全ての光学異性体、すなわち、ジアステレオ異性体、ジアステレオ異性混合物、ラセミ混合物、それらの全ての対応するエナンチオマー、及び/又は互変異性体、並びにそれらの溶媒和化合物を含む。
【0061】
式(I)の化合物は、1つ又は複数の不斉中心を含むことができ、したがって、ラセミ体、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物、及び個々のジアステレオマーとして生じ得る。分子上の種々の置換基の性質に応じて、付加的な不斉中心が存在してもよい。このような不斉中心の各々は独立して2つの光学異性体を生成し、混合物及び純粋又は部分的に精製された化合物として可能性のある光学異性体及びジアステレオマーの全てが、本発明に含まれることが意図される。本発明は、これらの化合物の全てのそのような異性体形態を包含することを意味する。これらのジアステレオマーの独立した合成又はそれらのクロマトグラフィーによる分離は、本明細書に開示される方法論を適切に修正することにより、当技術分野で公知のように達成することができる。それらの絶対立体化学は、必要に応じて、既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬で誘導体化される結晶性生成物又は結晶性中間体のX線結晶学によって決定することができる。所望であれば、化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーを単離することができる。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオ異性混合物を形成し、続いて、分別再結晶化又はクロマトグラフィーのような標準的方法によって個々のジアステレオマーを分離するなど、当技術分野で公知の方法で行うことができる。
【0062】
実施態様では、光学的に純粋なエナンチオマーが提供される場合、光学的に純粋なエナンチオマーとは、化合物が所望の異性体を90重量%超、具体的には所望の異性体を95重量%超、又はより具体的には所望の異性体を99重量%超含有することを意味し、該重量パーセントは、化合物の異性体の全重量を基準とする。キラル的に純粋な又はキラル的に濃縮された化合物は、キラル選択的合成によって、又はエナンチオマーの分離によって調製することができる。エナンチオマーの分離は、最終生成物で、又は代替的に好適な中間体に対して行うことができる。
【0063】
また、本発明の一実施態様は、記載された工程のいずれか1つにより製造された場合、本明細書に記載された式(I)の化合物である。
【0064】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、医薬として(例えば、薬学的調製物の形態で)使用することができる。本発明の医薬製剤は、経口投与(例えば、錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠、硬質及び軟質ゼラチンカプセル、溶液、乳剤又は懸濁液の形態)等の内服投与、経鼻投与(例えば、鼻スプレーの形態)、直腸投与(例えば、坐剤の形態)、又は眼局所投与(例えば、溶液、軟膏、ゲル又は水溶性高分子挿入剤の形態)が可能である。しかしながら、投与は、筋肉内、静脈内、眼内等の非経口的に(例えば、滅菌注射液の形態で)行うこともできる。
【0065】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル、注射液又は局所製剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機アジュバントで処理され得る。ラクトース、コーンスターチ又はそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸又はその対応する塩等は、例えば、錠剤、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセル剤のアジュバントとして使用することができる。
【0066】
軟質ゼラチンカプセルに適したアジュバントとしては、例として、植物油、ワックス、油脂、半固形物、液体ポリオール等が挙げられる。
【0067】
液剤及びシロップ剤の製造に適したアジュバントは、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコース等である。
【0068】
注射液に適したアジュバントは、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等である。
【0069】
座剤に適したアジュバントは、例えば、天然油若しくは硬化油、ワックス、脂肪、半固体又は液体ポリオール等である。
【0070】
局所眼用製剤に適したアジュバントは、例えば、シクロデキストリン、マンニトール又は当技術分野で公知の多くの他の担体及び賦形剤である。
【0071】
さらに、薬学的調製物は、防腐剤、可溶化剤、粘度増加物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、又は酸化防止剤を含み得る。また、さらに他の治療上有用な物質をも含有し得る。
【0072】
投与量は広範に変化させることができ各特定の症例における個々の要件に適合させる。一般に、経口投与の場合、体重1kgあたり約0.1mg~約20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.5mg~約4mg(例えば、1人あたり約300mg)を1日量として、好ましくは1~3回に分けて個別に投与し、これは、適切であれば、例えば、同量で構成することができる。局所投与の場合、製剤は0.001重量%から15重量%の医薬と、0.1mgと25mgの間の必要量と含むことができる。
【0073】
式(I)の化合物を含む製剤は、1日あたりの単回投与でも、1週間あたりの単回投与でも、1日あたりの複数回の投与(2~4回)でも、1週間あたりの複数回の投与でもよい。ただし、これが示されている場合は、ここに記載されている上限又は下限を超える可能性があることは明らかである。
【0074】
薬学的組成物
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、例えば薬学的調製物の形態で、治療的活性物質として使用することができる。薬学的調製物は、経口、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョン、又は懸濁液の形態で投与することができる。しかしながら、投与は、例えば坐剤の形態で直腸でも、又は例えば注射液の形態で非経口的にも行われ得る。
【0075】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、医薬製剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機担体と共に加工することができる。ラクトース、コーンスターチ若しくはその誘導体、タルク、ステアリン酸、又はその塩等は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセルの担体として使用することができる。軟質ゼラチンカプセルに適した担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオール等である。しかしながら、活性物質の性質にもよるが、軟質ゼラチンカプセルの場合には通常、担体は必要とされない。溶液及びシロップ剤の製造に適した担体材料は例えば、水、ポリオール、グリセロール、植物油等である。坐剤に適した担体は、例えば、天然油又は硬化した油、ワックス、油脂、半液体又は液体ポリオール等である。
【0076】
さらに、薬学的調製物は、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝液、マスキング剤、又は酸化防止剤等の、薬学的に許容される補助物質を含むことができる。薬学的調製物はまた、さらに他の治療的に価値のある物質を含むことができる。
【0077】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、治療的不活性担体とを含有する医薬もまた、本発明により提供され、その生産方法は、式(I)の化合物及び/又はその薬学的に許容される塩と、必要に応じて1つ又は複数の他の治療的に価値のある物質とを、1つ又は複数の治療的不活性担体と共に生薬投与形態とすることを含む。
【0078】
投与量は、広範で変化させることができ、それぞれの具体的な症例において個々の要件に対して調整されなければならない。経口投与の場合、成人の投与量は、一般式(I)の化合物の又はその薬学的に許容される塩の対応する量の1日あたり約0.01mg~約1000mgまで変化させることができる。1日投与量は、単回投与又は分割投与で投与されてもよく、また、上限が認められる場合には上限を超えることもできる。
【0079】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明するが、本発明の代表例に過ぎない。薬学的調製物は、約1~500mg、特に1~100mgの式(I)の化合物を好都合に含有する。本発明による組成物の例は、以下の通りである。
【0080】
実施例A
以下の組成の錠剤は、通常の方法で製造される:
製造手順
1.成分1、2、3及び4を混合し、精製水で造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な粉砕装置に通す。
4.成分5を添加し、3分間混合し、適切なプレス機で圧縮する。
【0081】
実施例B-1
以下の組成のカプセル剤を製造する:
製造手順
1.材料1、2、3を適当なミキサーで30分間混合する。
2.材料4及び5を加えて3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0082】
式(I)の化合物、ラクトース及びコーンスターチを、先ずミキサー中、次いで粉砕機中で混合する。混合物をミキサーに戻し、そこにタルクを加えてよく混合する。混合物は、機械によって適切なカプセル、例えば硬質ゼラチンカプセルに充填される。
【0083】
実施例B-2
次の組成の軟質ゼラチンカプセルを製造する:
【0084】
製造手順
式(I)の化合物を他の成分の温かい融解物に溶解し、混合物を適切なサイズの軟質ゼラチンカプセルに充填する。充填した軟質ゼラチンカプセル剤を、通常の手順に従って処理する。
【0085】
【0086】
製造手順
坐剤練剤をガラス又はスチール容器中で溶かし、十分に混合し、45℃に冷却する。そこに、微粉末化された式(I)の化合物を加え、完全に分散するまで撹拌する。混合物を適切なサイズの坐剤型に注ぎ、冷えるまで放置し、その後、坐剤を型から取り出し、ろう紙又は金属箔で個々に包装する。
【0087】
【0088】
製造手順
式(I)の化合物を、ポリエチレングリコール400と注射用の水(一部)との混合物に溶解する。pHは酢酸により5.0に調整する。残量の水を加えて、体積を1.0mlに調整する。溶液をフィルタにかけ、適切な過量を用いてバイアルに充填し、滅菌する。
【0089】
実施例E
次の組成のサシェ剤(sachet)を製造する:
【0090】
製造手順
式(I)の化合物を、ラクトース、微結晶セルロース及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムと混合し、水中のポリビニルピロリドンの混合物で顆粒化する。顆粒にステアリン酸マグネシウム及び香味添加剤を混合し、サシェに充填する。
【実施例】
【0091】
略語
AcOH=酢酸; ATP=アデノシントリホスフェート; CAS=化学情報検索サービス機関; CDI=1,1’-カルボニルジイミダゾール; DCM=ジクロロメタン; DME=ジメトキシエタン; DMF=ジチルホルムアミド; DMSO=ジメチルスルホキシド;EtOAc=酢酸エチル; EtOH=エタノール; HATU=ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチル ウロニウム; LDA=リチウムジイソプロピルアミド; MeOH=メタノール; MS=質量分析; NMR=核磁気共鳴; rt=室温; THF=テトラヒドロフラン。
【0092】
以下の実施例は、本発明の例示のために提供される。これらは本発明の範囲を制限されるものとして考えられるべきではなく、単にこれらを代表するものとして理解されるべきである。
【0093】
実施例1
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
【0094】
工程1: 1-ブロモ-5-(ジフルオロメチル)-3-フルオロ-2-メチルベンゼン
3-ブロモ-5-フルオロ-4-メチルベンズアルデヒド(CAS 1370411-47-4、20.5g、89.7mmol、Eq:1.0)がDCM(98mL)に入った溶液を氷浴中で冷却した。三フッ化モルホリノ硫黄(CAS 51010-74-3、24.8g、17.3mL、135mmol、Eq:1.5)を数回に分けて添加した。反応混合物を0~5℃で20分間撹拌し、その後rtで16時間撹拌した。氷冷しながら、NaHCO
3水溶液(300mL)を注意深く添加した。反応混合物をrtで1時間撹拌した。反応混合物をDCMに注ぎ、水で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、120g、100%ペンタン)により精製して、標題化合物を無色の油(18.6g、87%収率)として得た。
1H NMR (300 MHz, chloroform-d) δ = 7.50 (s, 1H), 7.16 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.57 (t, J = 56.0 Hz, 1H), 2.50 - 2.22 (m, 3H)
【0095】
工程2: 6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-1H-インダゾール
1-ブロモ-5-(ジフルオロメチル)-3-フルオロ-2-メチルベンゼン(実施例1、工程1)(26.4g、110mmol、Eq:1.0)がTHF(240mL)に入った溶液を-75℃に冷却した。LDA(THF/ヘプタン/エチルベンゼン中2M、66.3mL、133mmol、Eq:1.2)を-70℃未満で滴下した。反応混合物を-75℃で30分間撹拌した。ギ酸エチル(16.4g、17.7mL、220mmol、Eq:2.0)を-70℃で添加した。反応混合物を-75℃で30分間撹拌した。AcOH(16.6g、15.8mL、277mmol、Eq:2.5)を-55℃未満で添加した。反応混合物をrtに温め、EtOAcに注ぎ、希釈HCl水溶液、水、及びブラインで洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮して、推定4-ブロモ-6-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-3-メチルベンズアルデヒドを黄色の油(29.5g)として得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0096】
粗推定4-ブロモ-6-(ジフルオロメチル)-2-フルオロ-3-メチルベンズアルデヒド(29.5g)をDME(150mL)に溶かした。O-メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(10.2g、122mmol、Eq:1.84)及びK2CO3(30.6g、221mmol、Eq:3.34)を添加した。反応混合物を45℃で2.5時間撹拌し、その後、焼結ガラスを通してフィルタにかけ、DMEで洗浄した(2×)。濾液を真空中で濃縮した。オキシムエーテル中間体をDMSO(150mL)に溶かした。ヒドラジン水和物(83g、80.5mL、1.66mol、Eq:25)を添加した。反応混合物を110℃で3時間撹拌した。反応混合物をEtOAc/THF 5:1に注ぎ、水及びブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、2×120g、ヘプタン中0%~30% EtOAc)により精製して、標題化合物を白色の固体として得た(13.5g、74%収率)。m/z 258.9, 260.8 [M+H]+, ESI pos, Br isotopes.
【0097】
工程3: エチル 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]アセテート
6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-1H-インダゾール(実施例1、工程2)(19g、72.8mmol、Eq:1.0)がDMF(75mL)に入った溶液に、エチル 2-ブロモアセテート(18.2g、12.2mL、109mmol、Eq:1.5)を添加した。反応混合物を100℃で16時間撹拌した。反応混合物をEtOAcに注ぎ、水及びブラインで洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、2×120g、ヘプタン中0%~20% EtOAc)により精製して、標題化合物を黄色の固体として得た(21.2g、80%収率)。m/z 346.9, 348.8, [M+H]
+, ESI pos, Br isotopes.
【0098】
工程4: tert-ブチル (2S,4R)-2-[2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-オキソ-プロパノイル]-4-フルオロ-ピロリジン-1-カルボキシレート
tert-ブチル (2S,4R)-4-フルオロ-2-(イミダゾール-1-カルボニル)ピロリジン-1-カルボキシレートの調製:
(2S,4R)-1-tert-ブトキシカルボニル-4-フルオロ-ピロリジン-2-カルボン酸(CAS 203866-14-2、30g、129mmol、Eq:1.0)がDCM(300mL)に入った溶液に、1,1’-カルボニルジイミダゾール(25g、154mmol、Eq:1.2)を0℃で数回に分けて添加した。反応混合物をrtで3時間撹拌した。反応混合物を水(3×)及び1M NaHCO
3水溶液(1×)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中30℃で濃縮して、tert-ブチル (2S,4R)-4-フルオロ-2-(イミダゾール-1-カルボニル)ピロリジン-1-カルボキシレート(36.6g、129mmol、100%収率)を白色の固体として得て、これを使用前に-20℃で保管した。
1H NMR (chloroform-d, 300 MHz) δ 8.27 (s, 1H), 7.56 (br d, 1H, J=1.4 Hz), 7.15 (br d, 1H, J=12.1 Hz), 4.9-5.2 (m, 1H), 3.6-4.1 (m, 2H), 2.0-2.9 (m, 2H), 1.2-1.5 (m, 9H).
【0099】
KOtBu(4.53g、40.3mmol、Eq:2.0)をTHF(18mL)に溶かした。反応混合物を-55℃に冷却した。2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]酢酸エチル(実施例1、工程3)(7g、20.2mmol、Eq:1.0)がTHF(24mL)に入った溶液を-50℃未満で滴下した。反応混合物を-50℃と-55℃の間で1時間撹拌した。先に調製したtert-ブチル(2S,4R)-4-フルオロ-2-(イミダゾール-1-カルボニル)ピロリジン-1-カルボキシレート(6.85g、24.2mmol、Eq:1.2)がTHF(50mL)に入った溶液を、-50℃未満で滴下した。反応混合物を-50℃で15分間撹拌し、その後、-30℃まで温めた。10%水性クエン酸(60mL)を-20℃未満で添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物をEtOAcに注ぎ、水及びブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中30℃で濃縮して、標題化合物を黄色の非晶質半固体(12.9g、20.2mmol、88%純度、100%収率)として得た。m/z 562.1, 563.9 [M+H]+, ESI pos, Br isotopes.
【0100】
工程5: エチル 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]アセテート
tert-ブチル(2S,4R)-2-[2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-オキソ-プロパノイル]-4-フルオロ-ピロリジン-1-カルボキシレート(実施例1、工程4)(12.9g、20.2mmol、Eq: 1.0)がエタノール(24mL)に入った溶液に、HCl(エタノール中1.25M、80.6mL、101mmol、Eq:5.0)を添加した。反応混合物を55℃で1時間撹拌した。反応混合物をrtに冷却し、その後、水(6mL)及びチオシアン酸カリウム(2.55g、26.2mmol、Eq:1.3)を添加した。反応混合物をrtで30分間撹拌した。エタノールを真空中30℃で除去し、ピリジン(23.9g、24.5mL、302mmol、Eq:15)を添加した。反応混合物をrtで75分間撹拌した。反応混合物をEtOAcに注ぎ、2N 水性HCl(水性相がpH1になるまで)、水、及びブラインで洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮して、標題化合物を黄色の半固体(9.65g、60%純度、57%収率)として得た。m/z 502.9, 505.9 [M+H]
+, ESI pos, Br isotopes.
【0101】
工程6: エチル 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]アセテート
p-トルエンスルホン酸一水和物(10.9g、57.5mmol、Eq:5.0)がアセトニトリル(70mL)に入った懸濁液に、過酸化水素(35% aq.、8.38g、7.42mL、86.3mmol、Eq:7.5)を0~3℃で滴下して、無色の溶液を得た。10分後、アセトニトリル(28mL)中エチル 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]アセテート(実施例1、工程5)(9.65g、11.5mmol、Eq:1.0)を8℃未満で滴下した。反応混合物を0℃で1.5時間撹拌した。反応混合物をEtOAcに注ぎ、Na
2CO
3溶液及びブラインで洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、120g、0%~60%(ヘプタン中EtOAc/EtOH/aq. NH
3 75:25:2))により精製して、標題化合物を黄色の泡として得た(3.96g、73%収率)。m/z 469.1, 471.1 [M+H]
+, ESI pos.
【0102】
工程7: 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
エチル 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]アセテート(実施例1、工程6)(200mg、0.424mmol)を2mlのメタノール及び2mlのTHFに溶かした。LiOH(水中1M)(0.4ml、0.424mmol、Eq:1.0)を室温で添加した。混合物を2時間室温で撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮乾固し、残留物を2mlのDMF中に溶かした。チアゾル-2-アミン(42g、0.424mmol、Eg:1.0)、ヒューニッヒ塩基(0.37ml、2.12mmol、Eq:5.0)、及びHATU(194mg、0.509mmol、Eq:1.2)を室温で添加した。混合物を室温で90分間撹拌した。反応混合物を水で抽出し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を水で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固した。粗生成物を、ジクロロメタン:メタノール100:0~90:10の勾配で溶出するシリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(115mg、収率49%)を明黄色の固体として得た(MS:m/e=527.1(M+H
+))。
【0103】
工程8: [1-[(4-エチニルフェニル)メチル]-4-ピペリジル]メタノール
4-エチニルベンズアルデヒド(20.5g、157.5mmol)を525mlのジクロロメタンに溶かした。ピペリジン-4-イルメタノール(20g、173.2mmol、Eq:1.1)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(53.4g、252.0mmol、Eq:1.6)室温で添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を1M炭酸ナトリウム溶液で抽出し、ジクロロメタンで2回水で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮乾固して、所望の生成物(34.8g、91%収率)を明黄色の固体として得た。MS: m/e = 527.1 (M+H
+).
【0104】
工程9: [1-[(4-エチニルフェニル)メチル]-4-ピペリジル]メタノール 塩酸塩
[1-[(4-エチニルフェニル)メチル]-4-ピペリジル]メタノール(実施例1、工程8)(34.8g)を200mlのテトラヒドロフランに溶かした。1,4-ジオキサン中4M塩化水素溶液(39.4ml、158mmol、Eq:1.0)を10~20℃で滴下した。白色沈殿物が形成され、2時間撹拌した。沈殿物を濾過して集め、50mlのテトラヒドロフランで3回洗浄し、真空中で乾燥させて、標題化合物(38.6g、92%)を白色固体として得た、MS:m/e = 527.1(M+H
+).
【0105】
工程10: 2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例1、工程7)(100mg、0.19mmol)及び[1-[(4-エチニルフェニル)メチル]-4-ピペリジル]メタノール 塩酸塩(実施例1、工程9)(76mg、0.286mmol、Eq:1.5)を5mlのDMFに溶かした。トリエチルアミン(0.1ml、0.76mmol、Eq:4.0)、ビス-(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)ジクロリド(7mg、0.01mmol、Eq:0.05)、トリフェニルホスフィン(5mg、0.019mmol、Eq:0.1)、及びヨウ化銅(I)(2mg、0.01mmol、Eq:0.05)を添加し、混合物を80℃で2時間撹拌した。反応混合物を水で抽出し、ジクロロメタンで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。粗生成物を、ジクロロメタン:メタノール100:0~75:25の勾配で溶出するシリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(7mg、収率5%)を明黄色の油として得た(MS:m/e=674.5(M+H
+))。
【0106】
実施例2
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
【0107】
工程1: tert-ブチル (2R)-2-[2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチルインダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル]ピロリジン-1-カルボキシレート
中間体1の工程3(0.65g、1.87mmol、Eq:1.0)に記載されるように調製したエチル 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]アセテートをTHF(7.58mL)に溶かし、-75℃に冷却した。LDA(THF中2M、1.12mL、2.25mmol、Eq:1.20)を5分以内に滴下した。反応混合物を-75℃で40分間撹拌したtert-ブチル (2S)-2-(イミダゾール-1-カルボニル)ピロリジン-1-カルボキシレート(中間体1の工程4と同様に、(2S)-1-tert-ブトキシカルボニル-4-フルオロ-ピロリジン-2-カルボン酸から調製)(0.77g、2.9mmol、Eq:1.55)がTHF(7.58mL)に入った溶液を-75℃でゆっくりと添加し、-75℃で30分間撹拌し、その後rtまで温め、rtで18時間撹拌した。飽和NH
4Cl溶液の添加後、反応混合物をEtOAcで2回抽出した。有機層を水で洗浄した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮して、標題化合物(1.41g、72%純度、99%収量)を得て、これをさらに精製することなく、次の工程で使用した。m/z544.1, 546.0 [M+H
]+, ESI pos.Br isotopes.
【0108】
工程2: エチル 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテート
実施例1の工程5と同様に、tert-ブチル (2R)-2-[2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチルインダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(1.4g、72%純度、1.85mmol)を、ジオキサン中HCl 4M及びチオシアン酸カリウムで処理して、標題化合物を褐色の油として得て(1.07g、85%純度、100%収率)、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。m/z 485.0, 486.9 [M+H]
+, ESI pos, Br isotopes.
【0109】
工程3: エチル 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテート
実施例1の工程6と同様に、エチル 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテート(1.06g、85%純度、1.86mmol)を過酸化水素及びp-トルエンスルホン酸一水和物で処理して、標題化合物を黄色の泡として得た(360mg、43%収率)。m/z 453.0, 454.9 [M+H]
+, ESI pos, Br isotopes.
【0110】
工程4: 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
エチル 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテート(実施例2、工程3)及びチアゾル-2-アミンから出発して、実施例1の工程7に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を明黄色の泡として得た。MS: m/e = 509.1/511.1 (M+H
+)
【0111】
工程5: 2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例2、工程4)及び[1-[(4-エチニルフェニル)メチル]-4-ピペリジル]メタノール塩酸塩(実施例1、工程9)から出発して、実施例1の工程10に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を褐色の固体として得た。MS: m/e = 656.5 (M+H
+).
【0112】
実施例3
2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
【0113】
工程1: 1-ブロモ-3-フルオロ-2-メチル-5-(トリフルオロメチル)ベンゼン
1-ブロモ-3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンゼン(12.7g)をテトラヒドロフラン(60ml)に溶かし、-75℃に冷却した。LDA(THF(27.4ml)中2.1mol/l)を滴下した。-75℃で30分間撹拌した後、ヨードメタン(8.16g)を滴下した。混合物を一晩室温まで温めた。半飽和塩化アンモニウム溶液及び酢酸エチルの添加後、層を分離し、酢酸エチルでもう一度抽出した。有機層を水で洗浄し、合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残留した褐色の液体(15.42g)を、約10mbar、60~80℃のオーブン温度でバルブツーバルブ蒸留させて、8mol%のエチルベンゼンを含有する標題化合物を無色の液体(11.91g)として得た。
【0114】
工程2: 4-ブロモ-2-フルオロ-3-メチル-6-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド
4-ブロモ-3,6-ジクロロ-2-フルオロベンズアルデヒドの合成と同様に、1-ブロモ-3-フルオロ-2-メチル-5-(トリフルオロメチル)ベンゼンを、テトラヒドロフラン中LDAで-75℃で最初に処理し、続いてN,N-ジメチルホルムアミドで処理した。4-ブロモ-3,6-ジクロロ-2-フルオロベンズアルデヒドの合成と同様に精査して、褐色の液体として粗標題化合物を得た。
【0115】
工程3: 6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール
6-ブロモ-4-クロロ-7-メトキシ-2H-インダゾールの合成と同様に、4-ブロモ-2-フルオロ-3-メチル-6-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドの溶液を過剰のヒドラジン水和物と共に加熱して、明黄色の固体として標題化合物を得た。MS:m/e=278.9([M+H]
+,Br)
【0116】
工程4: エチル 2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)アセテート
6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-1H-インダゾール(実施例3、工程3)から出発して、実施例1の工程3に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物明黄色の固体として得た。MS: m/e = 365.1/367.1 (M+H
+).
【0117】
工程5: tert-ブチル (2S,4R)-2-(2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)-4-フルオロピロリジン-1-カルボキシレート
実施例1の工程4と同様に、(2S,4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-フルオロピロリジン-2-カルボン酸をカルボニルジイミダゾールで処理して、溶液Aを得た。エチル 2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)アセテートをLDAで脱プロトン化し、-78℃で溶液Aで処理した。室温で一晩撹拌し、実施例1の工程4と同様に調査した後、粗標題化合物を得て、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した後、粗標題化合物を得て、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。MS:m/e=578.4([M-H]
-)
【0118】
工程6: エチル 2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)-2-((R)-6-フルオロ-3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテート
実施例1の工程5と同様に、tert-ブチル (2S,4R)-2-(2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)-4-フルオロピロリジン-1-カルボキシレートをジオキサン中HClを使用して脱保護し、続いてチオシアン酸カリウムと反応させて、粗標題化合物を得て、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。MS:m/e=519.3([M-H]
-)
【0119】
工程6: エチル 2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)-2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテート
実施例1の工程6と同様に、エチル 2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)-2-((R)-6-フルオロ-3-チオキソ-2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテートをAcOH中過酸化水素で処理して、標題化合物を褐色の固体として得た。MS:m/e=489.3([M+H]
+)
【0120】
工程7: 2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
エチル 2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)-2-((R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテート(実施例3、工程6)及びチアゾル-2-アミンから出発して、実施例1の工程7に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を白色の固体として得た。MS: m/e = 543.1/545.1 (M+H
+).
【0121】
工程8: 2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-2-[6-[2-(4-ホルミルフェニル)エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例3、工程7)及び4-エチニルベンズアルデヒドから出発して、実施例1の工程10に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を白色の固体として得た。MS: m/e = 593.4 (M+H
+).
【0122】
工程9: 2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[(6R)-6-フルオロ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル]-2-[6-[2-(4-formylフェニル)エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例3、工程8)及びピペリジン-4-イルメタノールから出発して、実施例1の工程8に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を白色の固体として得た。MS: m/e = 690.6 (M+H
+).
【0123】
実施例4
2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
【0124】
工程1: tert-ブチル (2R)-2-(2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)ピロリジン-1-カルボキシレート
(tert-ブトキシカルボニル)-L-プロリン(2.38g)をアルゴン下でTHF(15ml)に溶かし、0℃に冷却した。CDI(1.79g)を添加した。温度を室温まで上昇させ、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水、重炭酸ナトリウム溶液、及びブラインで洗浄した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、乾燥させた。エチル 2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)アセテート(実施例3、工程4)(2.6g)をTHF(15ml)に溶かし、-76℃で冷却した。LDA(2M、4.45ml)を-76℃で滴下した。反応混合物を-76℃で40分間撹拌した。その後、上で調製した活性化アミドがTHF(15ml)に入った溶液を-75℃で滴下した。混合物を-75℃で30分間撹拌し、rtにゆっくりと温め、rtで5時間撹拌した。反応混合物を飽和NH
4Cl溶液でクエンチし、次いで、EtOAcで抽出した。水層をEtOAcで逆抽出した。有機層をブラインで洗浄した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮して、粗標題化合物(6g、純度およそ68%)が得られ、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。MS:m/e=564.1([M+H]
+)
【0125】
工程2: エチル 2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテート
実施例1の工程5及び6と同様に、tert-ブチル (2R)-2-(2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)-3-エトキシ-3-オキソプロパノイル)ピロリジン-1-カルボキシレートをジオキサン中HClを使用して脱保護し、続いてチオシアン酸カリウムと反応させ、続いてAcOH中過酸化水素と反応させて、標題化合物を明黄色の固体として得た。MS:m/e=471.2([M+H]+)
【0126】
工程3: 2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
エチル 2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテート(実施例4、工程2)及びチアゾル-2-アミンから出発して、実施例1の工程7に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を明黄色の泡として得た。MS: m/e = 525.1/527.1 (M+H
+).
【0127】
工程4: 2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例4、工程3)及び[1-[(4-エチニルフェニル)メチル]-4-ピペリジル]メタノール塩酸塩(実施例1、工程9)から出発して、実施例1の工程10に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を明黄色の固体として得た。MS: m/e = 674.4 (M+H
+).
【0128】
実施例5
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
【0129】
工程1: (5S)-5-[2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-ケト-プロパノイル]-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル
実施例1の工程4と同様に、(2S)-1-tert-ブトキシカルボニル-5,5-ジメチル-プロリンをカルボニルジイミダゾールで処理して、溶液Aを得た。2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]酢酸 エチルエステルをLDAで脱プロトン化し、-78℃で溶液Aで処理した。室温で一晩撹拌し、実施例1の工程4と同様に精査した後、粗標題化合物を白色の泡として得て、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。MS:m/e=572.3([M+H]
+)
【0130】
工程2: 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾル-1-イル)酢酸 エチルエステル
実施例1の工程5と同様に、(5S)-5-[2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-ケト-プロパノイル]-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステルをジオキサン中HClを用いて脱保護し、続いてチオシアン酸カリウムと反応させて、粗中間体を得て、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。
【0131】
実施例1の工程6と同様に、中間体をAcOH中過酸化水素で処理して、標題化合物を無色の油として得た。MS:m/e=489.3([M+H]+)
【0132】
工程3: 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾル-1-イル)酢酸 エチルエステル(実施例5、工程2)及びチアゾル-2-アミンから出発して、実施例1の工程7に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を明黄色の泡として得た。MS: m/e = 537.2 (M+H
+).
【0133】
工程4: 2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-(4-ホルミルフェニル)エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例5、工程3)及び4-エチニルベンズアルデヒドから出発して、実施例1の工程10に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を暗褐色の泡として得た。MS: m/e = 585.4 (M+H
+).
【0134】
工程5: 2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-(4-ホルミルフェニル)エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例5、工程4)及びピペリジン-4-イルメタノールから出発して、実施例1の工程8に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を明黄色の固体として得た。MS: m/e = 684.7 (M+H
+).
【0135】
実施例6
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
【0136】
工程1: (5S)-5-[2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-ケト-プロパノイル]-4-アザスピロ[2.4]ヘプタン-4-カルボン酸 tert-ブチルエステル
実施例1の工程4と同様に、(5S)-4-tert-ブトキシカルボニル-4-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-カルボン酸をカルボニルジイミダゾールで処理して、溶液Aを得た。2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]酢酸 エチルエステルをLDAで脱プロトン化し、-78℃で溶液Aで処理した。室温で一晩撹拌し、実施例1の工程4と同様に精査した後、粗標題化合物を明黄色の泡として得て、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。MS:m/e=572.3([M+H]
+)
【0137】
工程2: 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-スピロ[6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾール-5,1’-シクロプロパン]-1-イル-酢酸 エチルエステル
実施例1の工程5と同様に、(5S)-5-[2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-ケト-プロパノイル]-4-アザスピロ[2.4]ヘプタン-4-カルボン酸 tert-ブチルエステルをジオキサン中HClを用いて脱保護し、続いてチオシアン酸カリウムと反応させて、粗中間体を得て、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。
【0138】
実施例1の工程6と同様に、中間体をAcOH中過酸化水素で処理して、標題化合物を明黄色の泡として得た。MS:m/e=481.2([M+H]+)
【0139】
工程3: 2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-スピロ[6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾール-5,1’-シクロプロパン]-1-イル-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-スピロ[6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾール-5,1’-シクロプロパン]-1-イル-酢酸 エチルエステル(実施例6、工程2)及びチアゾル-2-アミンから出発して、実施例1の工程7に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を明黄色の泡として得た。MS: m/e = 535.0 (M+H
+).
【0140】
工程4: 2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-(4-ホルミルフェニル)エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-スピロ[6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾール-5,1’-シクロプロパン]-1-イル-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-ブロモ-4-(ジフルオロメチル)-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-スピロ[6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾール-5,1’-シクロプロパン]-1-イル-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例6、工程3)及び4-エチニルベンズアルデヒドから出発して、実施例1の工程10に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を暗褐色の非晶質として得た。MS: m/e = 583.3 (M+H
+).
【0141】
工程5: 2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-(4-ホルミルフェニル)エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-スピロ[6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾール-5,1’-シクロプロパン]-1-イル-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例6、工程4)及びピペリジン-4-イルメタノールから出発して、実施例1の工程8に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を明黄色の固体として得た。MS: m/e = 682.5 (M+H
+).
【0142】
実施例7
2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
【0143】
工程1: tert-ブチル (5S)-5-[2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-オキソ-プロパノイル]-4-アザスピロ[2.4]ヘプタン-4-カルボキシレート
実施例1の工程4と同様に、(5S)-4-tert-ブトキシカルボニル-4-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-カルボン酸をカルボニルジイミダゾールで処理して、溶液Aを得た。エチル 2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)アセテートをLDAで脱プロトン化し、-78℃で溶液Aで処理した。室温で一晩撹拌し、実施例1の工程4と同様に精査した後、粗標題化合物を明褐色の泡として得て、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。MS:m/e=590.3([M+H]
+)
【0144】
工程2: エチル 2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテート
実施例1の工程5と同様に、tert-ブチル (5S)-5-[2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-オキソ-プロパノイル]-4-アザスピロ[2.4]ヘプタン-4-カルボキシレートをジオキサン中HClを用いて脱保護し、続いてチオシアン酸カリウムと反応させて、粗中間体を得て、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。
【0145】
実施例1の工程6と同様に、中間体をAcOH中過酸化水素で処理して、標題化合物を白色の泡として得た。MS:m/e=499.2([M+H]+)
【0146】
工程3: 2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
エチル 2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)アセテート(実施例7、工程2)及びチアゾル-2-アミンから出発して、実施例1の工程7に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を明黄色の泡として得た。MS: m/e = 552.9 (M+H
+).
【0147】
工程4: 2-[6-[2-(4-ホルミルフェニル)エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-スピロ[6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾール-5,1’-シクロプロパン]-1-イル-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例7、工程3)及び4-エチニルベンズアルデヒドから出発して、実施例1の工程10に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を暗褐色の泡として得た。MS: m/e = 601.4 (M+H
+).
【0148】
工程5: 2-(5-エチル-5-メチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-[2-(4-ホルミルフェニル)エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-スピロ[6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾール-5,1’-シクロプロパン]-1-イル-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例7、工程4)及びピペリジン-4-イルメタノールから出発して、実施例1の工程8に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を明黄色の固体として得た。MS: m/e = 700.6 (M+H
+).
【0149】
実施例8
2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
【0150】
工程1: 5-[2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-ケト-プロパノイル]-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル
実施例1の工程4と同様に、(2S)-1-tert-ブトキシカルボニル-5,5-ジメチル-プロリンをカルボニルジイミダゾールで処理して、溶液Aを得た。エチル 2-(6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)-2H-インダゾル-2-イル)アセテートをLDAで脱プロトン化し、-78℃で溶液Aで処理した。室温で一晩撹拌し、実施例1の工程4と同様に精査した後、粗標題化合物を明褐色の泡として得て、さらに精製することなく、次の工程に使用した。MS:m/e=590.3([M+H]
+)
【0151】
工程2: 2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾル-1-イル)酢酸 エチルエステル
実施例1の工程5と同様に、5-[2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-3-エトキシ-3-ケト-プロパノイル]-2,2-ジメチル-ピロリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステルをジオキサン中HClを用いて脱保護し、続いてチオシアン酸カリウムと反応させて、粗中間体を得て、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。
【0152】
実施例1の工程6と同様に、中間体をAcOH中過酸化水素で処理して、標題化合物を明黄色の泡として得た。MS:m/e=501.2([M+H]+)
【0153】
工程3: 2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾル-1-イル)酢酸 エチルエステル(実施例8、工程2)及びチアゾル-2-アミンから出発して、実施例1の工程7に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を明黄色の泡として得た。MS: m/e = 555.1 (M+H
+).
【0154】
工程4: 2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-(4-ホルミルフェニル)エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-[6-ブロモ-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例8、工程3)及び4-エチニルベンズアルデヒドから出発して、実施例1の工程10に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を暗褐色の泡として得た。MS: m/e = 603.4 (M+H
+).
【0155】
工程5: 2-[4-(ジフルオロメチル)-6-[2-[4-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]フェニル]エチニル]-7-メチル-インダゾル-2-イル]-2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロロ[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド
2-(5,5-ジメチル-6,7-ジヒドロピロール[1,2-c]イミダゾル-1-イル)-2-[6-[2-(4-ホルミルフェニル)エチニル]-7-メチル-4-(トリフルオロメチル)インダゾル-2-イル]-N-チアゾル-2-イル-アセトアミド(実施例8、工程4)及びピペリジン-4-イルメタノールから出発して、実施例1の工程8に記載された化学と同様の化学を用いて、標題化合物を明黄色の固体として得た。MS: m/e = 702.5 (M+H
+).
【0156】
実施例9
HTRFリン酸化EGFR LRCSアッセイ(細胞)
細胞株及び培地
BaF3-LRCS細胞株を、Crownbio(米国カリフォルニア州サンディエゴ)から得た。細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)(Gibco)を補充したRPMI ATCC(Gibco 31870)+2mMグルタミン+0.5μg/mlピューロマイシン中、37℃、5% CO2で維持した。
【0157】
プロトコル
プレートを12.5nlの試験される化合物(用量反応)のDMSO溶液又はDMSOのみで予め充填した後、12.5μlの増殖培地/ウェル中において、20000細胞/ウェルでGreiner Bio-Oneの第784-08号マイクロタイタープレートに上記のように細胞を移す。プレートを300×gで30秒間回転させた後、細胞を4時間、37℃、5%CO2、湿度95%でインキュベートした。細胞を、4μl/ウェルの補充された溶解緩衝液(Cis-bio、リン酸化EGFR HTRFキット、64EG1PEH)の化合物混合物に添加することによって溶解し、続いて、振とうしながら(400rpm)30分間室温でインキュベートした。その後、プレートを冷凍し、-80℃で一晩保管した。翌日、プレートを解凍した後に、補充した検出緩衝液中で調製した抗リン酸化EGFRクリプテートと抗リン酸化EGFR-d2抗体溶液との混合物4μlを、各ウェルに添加した。次いで、蓋をしたプレートを4時間室温でインキュベートし、その後、Envisionリーダー(PerkinElmer)を用いて616及び665nmでの蛍光発光を読み取った。データは、665対616の信号の正規化された比に10,000を乗じて、上記と同様の方法で分析した。
【0158】
【国際調査報告】