(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(54)【発明の名称】荷電粒子評価ツール、検査方法及び画像
(51)【国際特許分類】
H01J 37/244 20060101AFI20231129BHJP
H01J 37/12 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H01J37/244
H01J37/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528365
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2021080943
(87)【国際公開番号】W WO2022117285
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンストラ,ロイ,ラモン
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101EE03
5C101EE14
5C101EE53
5C101FF02
5C101GG34
5C101GG36
5C101GG37
5C101GG49
5C101HH26
(57)【要約】
荷電粒子評価ツールのためのマルチビーム電子光学系であって、複数の荷電粒子ビームの1つをサンプルに投影するようにそれぞれ構成された複数の対物レンズを含む対物レンズアレイアセンブリと、対物レンズアレイアセンブリに関連付けられ、及びサンプルから放出された荷電粒子を検出するように構成された検出器アレイと、検出器アレイとデータ通信する増幅器を含む回路と、を含み、増幅器は、検出器アレイからの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成される、マルチビーム電子光学系。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子評価ツールのためのマルチビーム電子光学系であって、
複数の荷電粒子ビームの1つをサンプルにそれぞれ投影する複数の対物レンズを含む対物レンズアレイアセンブリと、
前記対物レンズアレイアセンブリに関連付けられ、及び前記サンプルから放出された荷電粒子を検出する検出器アレイと、
検出器素子の前記検出器アレイとデータ通信する増幅器を含む回路と、を含み、
前記増幅器は、前記検出器アレイからの信号の増幅を調整するために調整可能である、マルチビーム電子光学系。
【請求項2】
前記検出器アレイは、前記荷電粒子を、その電荷を参照することによって検出する電流検出器アレイである、請求項1に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項3】
前記回路は、前記検出器アレイからの信号をデジタル出力に変換するための、前記増幅器とデータ通信するアナログ/デジタル変換器を含み、
前記増幅器は、使用される前記アナログ/デジタル変換器の入力範囲の割合を増加させるように、前記検出器アレイからの前記信号の前記増幅を調整するために調整可能である、請求項1又は2に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項4】
前記回路は、前記検出器アレイからの信号によって使用される前記アナログ/デジタル変換器の入力範囲の割合を等しくするように、前記検出器アレイからの前記信号の前記増幅を調整するために前記増幅器を調整する較正器を含む、請求項1~3の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項5】
前記増幅器は、前記増幅器の増幅率を決定するフィードバックレジスタを含む、請求項1~4の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項6】
前記フィードバックレジスタは、可変であり、好ましくは、前記フィードバックレジスタは、固定レジスタ及び可変レジスタを含み、より好ましくは、前記固定レジスタは、前記可変レジスタよりも高い抵抗値を有する、請求項5に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項7】
前記フィードバックレジスタの抵抗値は、印加電位に依存し、好ましくは、前記フィードバックレジスタは、前記フィードバックレジスタの前記抵抗値を維持するように前記印加電位を保持するサンプルアンドホールド回路を含む、請求項6に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項8】
前記回路は、前記フィードバックレジスタの前記抵抗値を決定するために前記電位を印加する電位印加器を含み、好ましくは、前記電位印加器は、前記電位を出力するデジタル/アナログ変換器を含む、請求項7に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項9】
前記回路は、それぞれの検出器素子のための複数の増幅器の各々について、前記電位印加器による前記電位の印加を順番に制御するマルチプレクサを含む、請求項8に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項10】
前記検出器アレイは、
前記サンプルから放出された前記荷電粒子を受け取る金属部材、又は、
シンチレータ若しくはPIN素子のアレイ
を含む、請求項1~9の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項11】
前記回路の少なくとも素子は、前記検出器アレイに関連付けられる、請求項1~10の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項12】
前記回路の少なくとも素子は、前記検出器アレイに構造的に一体化される、請求項1~11の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項13】
前記検出器アレイは、前記複数の対物レンズと前記サンプルとの間にあり、好ましくは、前記検出器アレイは、前記サンプルに面するか、又は、
前記複数の対物レンズは、前記検出器アレイと前記サンプルとの間にある、請求項1~12の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項14】
前記荷電粒子評価ツールの二次電子光軸と位置合わせされた二次投影装置を含み、
前記検出器アレイは、前記二次投影装置に関連付けられる、請求項1又は12に記載のマルチビーム電子光学系。
【請求項15】
複数のサブビームを用いてサンプル表面を評価する方法であって、
対物レンズアレイアセンブリを使用することにより、前記サブビームをサンプルの表面に投影することと、
前記対物レンズアレイアセンブリに関連付けられた検出器アレイにより、前記サンプルから放出された荷電粒子を検出することと、
増幅器により、前記検出器アレイからの信号を増幅することと、を含み、
前記増幅器は、前記検出器アレイからの前記信号の前記増幅を調整するために調整可能である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年12月1日に出願された欧州特許出願公開第20210844.5号の優先権を主張するものであり、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、概して、荷電粒子評価ツール、検査方法及び画像に関し、特に、荷電粒子の複数のサブビームを使用する荷電粒子評価ツール及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際、例えば光学効果及び偶発的粒子の結果として、望ましくないパターン欠陥が製作プロセス中に基板(即ちウェーハ)又はマスク上で不可避的に生じ、それにより歩留まりが低下する。従って、望ましくないパターン欠陥の程度をモニタリングすることは、ICチップの製造において重要なプロセスである。より一般的には、基板又は他の物体/材料の表面の検査及び/又は測定は、その製造中及び/又は製造後において重要なプロセスである。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いたパターン検査ツールは、物体を検査するため、例えばパターン欠陥を検出するために使用されてきた。これらのツールは、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡法技術を使用する。SEMでは、比較的高いエネルギーの電子の一次電子ビームが、比較的低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために、最終減速ステップでターゲットにされる。電子ビームは、サンプル上にプロービングスポットとして集束される。プロービングスポットにおける材料構造と、電子ビームからの着地電子と、の相互作用により、二次電子、後方散乱電子又はオージェ電子などの電子が表面から放出される。発生した二次電子は、サンプルの材料構造から放出され得る。サンプル表面にわたり、プロービングスポットとして一次電子ビームを走査することにより、サンプルの表面にわたって二次電子を放出させることができる。サンプル表面からのこれらの放出二次電子を収集することにより、パターン検査ツールは、サンプルの表面の材料構造の特徴を表す画像を取得し得る。
【0005】
[0005] 荷電粒子評価ツールによって得ることができる画像の品質を向上させることが一般的に求められている。特に、画像の詳細レベルを向上できることが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の目的は、荷電粒子評価ツールによって得ることができる画像の詳細又は他の特性の向上を支援する実施形態を提供することである。
【0007】
[0007] 本発明の第1の態様によれば、荷電粒子評価ツールのためのマルチビーム電子光学系であって、
複数の荷電粒子ビームの1つをサンプルに投影するようにそれぞれ構成された複数の対物レンズを含む対物レンズアレイアセンブリと、
対物レンズアレイアセンブリに関連付けられ、及びサンプルから放出された荷電粒子を検出するように構成された検出器アレイと、
検出器アレイとデータ通信する増幅器を含む回路と、を含み、
増幅器は、検出器アレイからの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成される、マルチビーム電子光学系が提供される。
【0008】
[0008] 本発明の第2の態様によれば、荷電粒子評価ツールのためのマルチビーム電子光学系であって、
サンプルから放出された荷電粒子を、その電荷を参照することによって検出するように構成された電流検出器アレイと、
検出器アレイとデータ通信する増幅器を含む回路と、を含み、
増幅器は、検出器アレイからの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成される、マルチビーム電子光学系が提供される。
【0009】
[0009] 本発明の第3の態様によれば、複数のサブビームを用いてサンプル表面を評価する方法であって、
対物レンズアレイアセンブリを使用することにより、サブビームをサンプルの表面に投影することと、
対物レンズアレイアセンブリに関連付けられた検出器アレイにより、サンプルから放出された荷電粒子を検出することと、
増幅器により、検出器アレイからの信号を増幅することと、を含み、
増幅器は、検出器アレイからの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成される、方法が提供される。
【0010】
[0010] 本発明の第4の態様によれば、複数のサブビームを用いてサンプル表面を評価する方法であって、
サブビームをサンプルの表面に投影することと、
検出器アレイにより、サンプルから放出された電流荷電粒子を、その電荷を参照することによって検出することと、
増幅器により、検出器アレイからの信号を増幅することと、を含み、
増幅器は、検出器アレイからの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成される、方法が提供される。
【0011】
[0011] 本発明の第5の態様によれば、荷電粒子評価ツールからのデータから形成されるサンプルの画像であって、
荷電粒子評価ツールのそれぞれの検出器からのデータから形成される複数の画像エリアであって、データは、サンプルのそれぞれのエリアから放出される荷電粒子の電流を示す、複数の画像エリアを含み、
画像エリアは、サンプルから放出される荷電粒子の異なる電流に対応して同じ数の階調を含む、画像が提供される。
【0012】
[0012] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せた例示的実施形態の説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]例示的な荷電粒子ビーム検査装置を示す概略図である。
【
図2】[0014]
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置の一部である例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
【
図3】[0015]一実施形態による例示的なマルチビーム装置の概略図である。
【
図4】[0016]一実施形態による検査装置の対物レンズの概略断面図である。
【
図5】[0017]代替実施形態による検査装置の対物レンズの概略断面図である。
【
図6】[0018]
図4又は
図5の対物レンズの底面図である。
【
図7】[0019]
図4又は
図5の対物レンズの変更形態の底面図である。
【
図8】[0020]
図4又は
図5の対物レンズに組み込まれた検出器の拡大概略断面図である。
【
図9】[0021]マクロコリメータ及びマクロ走査偏向器を含む例示的な電子光学系の概略図である。
【
図10】[0022]一実施形態によるマルチビーム装置に組み込まれる例示的な回路の概略図である。
【
図11】[0023]一実施形態によるマルチビーム装置に組み込まれる例示的な回路の一部の概略図である。
【
図12】[0024]一実施形態による例示的なマルチビーム装置の概略図である。
【
図13】[0025]
図12のマルチビーム装置の一部の概略図である。
【
図14】[0026]一実施形態による例示的なマルチビーム装置の概略図である。
【
図16】[0028]異なるクアドラントの信号が異なる率で増幅された、
図15の画像の1つのバージョンである。
【
図17】[0029]輝度範囲を補正するために後処理が行われた、
図16の画像の1つのバージョンである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0030] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表示がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致する全ての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0015】
[0031] デバイスの物理的サイズを減少させる、電子デバイスの計算能力の向上は、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることによって達成することができる。これは、更に小さい構造の作製を可能にする分解能の向上によって可能にされてきた。例えば、親指の爪の大きさであり、2019年以前に利用可能なスマートフォンのICチップは、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の1/1000未満である。従って、半導体IC製造が、数百の個々のステップを有する、複雑で時間のかかるプロセスであることは、驚くべきことではない。1つのステップのエラーであっても、最終製品の機能に劇的に影響を与える可能性がある。1つのみの「致命的欠陥」がデバイスの故障を生じさせ得る。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。例えば、50のステップを有するプロセス(ここで、ステップは、ウェーハ上に形成される層の数を示し得る)に関して75%の歩留まりを得るために、個々のステップは、99.4%を超える歩留まりを有しなければならない。個々のそれぞれのステップが95%の歩留まりを有した場合、全体的なプロセス歩留まりは、7%と低い。
【0016】
[0032] ICチップ製造設備において、高いプロセス歩留まりが望ましい一方、1時間当たりに処理される基板の数と定義される高い基板(即ちウェーハ)スループットを維持することも必須である。高いプロセス歩留まり及び高い基板スループットは、欠陥の存在による影響を受け得る。これは、欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要な場合に特に当てはまる。従って、検査ツール(走査電子顕微鏡(「SEM」)など)によるマイクロスケール及びナノスケール欠陥の高スループット検出及び識別は、高い歩留まり及び低いコストを維持するために必須である。
【0017】
[0033] SEMは、走査デバイス及び検出器装置を含む。走査デバイスは、一次電子を発生させるための電子源を含む照明装置と、一次電子の1つ又は複数の集束ビームで基板などのサンプルを走査するための投影装置と、を含む。共に、少なくとも照明装置又は照明システム及び投影装置又は投影システムは、合わせて電子光学系又は装置と呼ばれ得る。一次電子は、サンプルと相互作用し、二次電子を発生させる。検出装置は、SEMがサンプルの走査エリアの画像を生成できるように、サンプルが走査されるとき、サンプルからの二次電子を捕捉する。高スループットの検査のために、検査装置の一部は、一次電子の複数の集束ビーム、即ちマルチビームを使用する。マルチビームの成分ビームは、サブビーム又はビームレットと呼ばれ得る。マルチビームは、サンプルの異なる部分を同時に走査することができる。従って、マルチビーム検査装置は、単一ビーム検査装置よりもはるかに高速でサンプルを検査することができる。
【0018】
[0034] 既知のマルチビーム検査装置の実装形態を以下に説明する。
【0019】
[0035] 図は、概略図である。従って、図面では、コンポーネントの相対寸法は、明瞭にするために拡大される。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。説明及び図面は、電子光学装置を対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するために使用されないことが理解される。従って、本明細書全体を通して、電子への言及は、より一般的に荷電粒子への言及であると見なすことができ、荷電粒子は、必ずしも電子ではない。
【0020】
[0036] ここで、
図1を参照すると、
図1は、例示的な荷電粒子ビーム検査装置100を示す概略図である。
図1の荷電粒子ビーム検査装置100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームツール40、機器フロントエンドモジュール(EFEM)30及びコントローラ50を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。
【0021】
[0037] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加の1つ又は複数の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、基板(例えば、半導体基板若しくは他の材料でできている基板)又は検査対象のサンプル(以降では、基板、ウェーハ及びサンプルは、まとめて「サンプル」と呼ばれる)を収容する基板前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取り得る。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、サンプルを装填ロックチャンバ20に運ぶ。
【0022】
[0038] 装填ロックチャンバ20は、サンプルの周囲の気体を取り除くために使用される。これは、周囲環境の圧力より低い局所気体圧力である真空を生じさせる。装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され得、装填ロック真空ポンプシステムは、装填ロックチャンバ20内の気体粒子を取り除く。装填ロック真空ポンプシステムの動作により、装填ロックチャンバが、大気圧を下回る第1の圧力に達することが可能になる。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10にサンプルを運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。メインチャンバ真空ポンプシステムは、サンプルの周囲の圧力が、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内の気体粒子を取り除く。第2の圧力に達した後、サンプルは、電子ビームツールに運ばれ、サンプルは、電子ビームツールによって検査され得る。電子ビームツール40は、マルチビーム電子光学装置を含み得る。
【0023】
[0039] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置100を制御するように構成されたプロセッサ(コンピュータなど)であり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。
図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20及びEFEM30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部であり得ることが理解される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置のコンポーネント要素の1つの内部に位置し得るか、又はコントローラ50は、コンポーネント要素の少なくとも2つに分散され得る。本開示は、電子ビーム検査ツールを収納するメインチャンバ10の例を提供するが、本開示の態様は、広い意味において、電子ビーム検査ツールを収納するチャンバに限定されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する装置の他のツール及び他の配置にも適用できることが理解される。
【0024】
[0040] ここで、
図2を参照すると、
図2は、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置100の一部であるマルチビーム検査ツールを含む例示的な電子ビームツール40を示す概略図である。マルチビーム電子ビームツール40(本明細書では装置40とも呼ばれる)は、電子源201、投影装置230、電動ステージ209及びサンプルホルダ207を含む。電子源201及び投影装置230は、まとめて照明装置と呼ばれ得る。サンプルホルダ207は、検査のためにサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するように電動ステージ209によって支持される。マルチビーム電子ビームツール40は、検出器アレイ240(例えば、電子検出デバイス)を更に含む。
【0025】
[0041] 電子源201は、カソード(図示せず)及び抽出器又はアノード(図示せず)を含み得る。動作中、電子源201は、一次電子として電子をカソードから放出するように構成される。一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出又は加速されて、一次電子ビーム202を形成する。
【0026】
[0042] 投影装置230は、一次電子ビーム202を複数のサブビーム211、212、213に変換し、及び各サブビームをサンプル208上に誘導するように構成される。簡潔にするために3つのサブビームが示されているが、何十、何百又は何千ものサブビームが存在し得る。サブビームは、ビームレットと呼ばれ得る。
【0027】
[0043] コントローラ50は、電子放射源201、検出器アレイ240、投影装置230及び電動ステージ209など、
図1の荷電粒子ビーム検査装置100の様々な部分に接続され得る。コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を行い得る。コントローラ50は、荷電粒子マルチビーム装置を含む荷電粒子ビーム検査装置の動作を制御するための様々な制御信号を生成することもできる。
【0028】
[0044] 投影装置230は、検査のためにサブビーム211、212及び213をサンプル208上に集束させるように構成され得、サンプル208の表面に3つのプローブスポット221、222及び223を形成し得る。投影装置230は、サンプル208の表面の一セクション内の個々の走査エリアにわたってプローブスポット221、222及び223を走査するために、一次サブビーム211、212及び213を偏向させるように構成され得る。サンプル208上のプローブスポット221、222及び223への一次サブビーム211、212及び213の入射に応答して、二次電子及び後方散乱電子を含む電子がサンプル208から発生する。二次電子は、一般的に、50eV以下の電子エネルギーを有し、後方散乱電子は、一般的に、50eVと一次サブビーム211、212及び213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する。
【0029】
[0045] 検出器アレイ240は、二次電子及び/又は後方散乱電子を検出し、対応する信号を生成するように構成され、これらの信号は、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの画像を構築するために、信号処理システム(図示せず)に送られる。検出器アレイ240は、投影装置230に組み込まれ得る。代替的に、
図14に示されるように、検出器アレイ240は、投影装置230から分離され得、二次光学コラムは、二次電子及び/又は後方散乱電子を電子検出デバイスに誘導するように設けられる。
【0030】
[0046] 信号処理システムは、画像を形成するために検出器アレイ240からの信号を処理するように構成された回路60(
図10に示される)を含み得る。信号処理システムは、検出器アレイ240などのコラムのコンポーネント又は投影装置230の一部に組み込まれ得る。代替的に、信号処理システムは、コントローラ50に組み込まれ得るか、又は追加的に、信号処理システムの一部がコントローラ50に組み込まれ得る。画像処理システムは、画像取得器(図示せず)及びストレージデバイス(図示せず)を含み得る。例えば、画像処理システムは、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、コントローラの処理機能の少なくとも一部を含み得る。従って、画像取得器は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はこれらの組み合わせなど、信号通信を可能にする検出器アレイ240に通信可能に結合され得る。画像取得器は、検出器アレイ240から信号を受信し、信号に含まれるデータを処理し、そこから画像を構築することができる。従って、画像取得器は、サンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成及び取得画像へのインジケータの重畳などの様々な後処理機能を行うこともできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を行うように構成され得る。ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合され得、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存するか、又は後処理された画像を保存するために使用され得る。
【0031】
[0047] 画像取得器は、検出器アレイ240から受信された撮像信号に基づいてサンプルの1つ又は複数の画像を取得することができる。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するための走査動作に対応し得る。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。単一の画像は、ストレージに保存することができる。単一の画像は、複数の領域に分割され得るオリジナルの画像であり得る。各領域は、サンプル208の特徴を含む1つの撮像エリアを含み得る。各撮像エリアは、それぞれのサブビーム211~213から生じる二次電子に対応し得る。取得画像は、ある期間にわたって複数回サンプリングされたサンプル208の単一の撮像エリアの複数の画像を含み得る。複数の画像は、ストレージに保存することができる。画像処理システムは、サンプル208の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを行うように構成され得る。
【0032】
[0048] 画像処理システムは、検出された二次電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓の間に収集された電子分布データは、サンプル表面に入射した一次サブビーム211、212及び213の各々の対応する走査パスデータと組み合わせて、検査中のサンプル構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル208の内部又は外部の構造の様々なフィーチャを明らかにするために使用することができる。従って、再構築された画像は、サンプルに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0033】
[0049] コントローラ50は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように電動ステージ209を制御することができる。コントローラ50は、電動ステージ209が、少なくともサンプルの検査中、好ましくは継続的に例えば一定の速度である方向にサンプル208を移動させることを可能にし得る。コントローラ50は、電動ステージ209が、様々なパラメータに依存するサンプル208の移動の速度を変えるように、電動ステージ209の移動を制御することができる。例えば、コントローラ50は、走査プロセスの検査ステップの特性に応じて、ステージ速度(その方向を含む)を制御することができる。
【0034】
[0050]
図3は、評価ツールの概略図である。電子源201は、投影システム230の一部を形成する集光レンズ231のアレイに向けて電子を誘導する。電子源201は、望ましくは、輝度と全放出電流との間の良好な妥協点を有する高輝度の熱電界放出器である。何十、何百又は何千もの集光レンズ231が存在し得る。集光レンズ231は、多電極レンズを含み得、欧州特許出願公開第1602121A1号に基づく構造を有し得、この文献は、特に電子ビームを複数のサブビームに分割するためのレンズアレイ(このアレイは、サブビーム毎に1つのレンズを提供する)の開示に関して参照により本明細書に組み込まれる。集光レンズ231のアレイは、電極として機能する少なくとも2つのプレートの形態を取り得、各プレートのアパーチャは、互いに位置合わせされ、サブビームの位置に対応する。プレートの少なくとも2つは、所望のレンズ効果を実現するために、動作中に異なる電位に維持される。電圧源は、各電極に電位を印加するように構成される。更なる電圧源が電位を印加するためにサンプル208に接続され得る。電位は、サンプル208及び/又は放射源201を基準にして定義され得る。
【0035】
[0051] ある構成では、集光レンズ231のアレイは、3つのプレートアレイから形成され、これらのプレートアレイでは、荷電粒子は、各レンズに入るときと、各レンズを出るときと、で同じエネルギーを有し、この構成は、アインツェルレンズと呼ばれ得る。従って、分散は、アインツェルレンズ自体の内部(レンズの入口電極と出口電極との間)でのみ生じ、それによりオフアクシス色収差が制限される。集光レンズの厚さが薄い場合、例えば数mmである場合、そのような収差の影響は、小さいか又は無視できる。
【0036】
[0052] アレイ中の各集光レンズ231は、電子を、それぞれの中間焦点で集束するそれぞれのサブビーム211、212、213に誘導する。サブビームは、互いに対して発散する。サブビーム経路は、集光レンズ231のダウンビームで発散する。一実施形態では、偏向器235が中間焦点に設けられる。偏向器235は、ビームレット経路内で対応する中間焦点233の位置若しくはフォーカスポイント(即ち集束点)又は少なくともその周囲に配置される。偏向器は、関連付けられたサブビームの中間像面において、ビームレット経路内又はビームレット経路の近くに配置される。偏向器235は、それぞれのサブビーム211、212、213に対して作用するように構成される。偏向器235は、主光線(ビーム軸とも呼ばれ得る)がサンプル208に実質的に垂直に(即ちサンプルの公称表面に対して実質的に90°で)入射することを確実にするのに有効な量だけそれぞれのビームレット211、212、213を曲げるように構成される。偏向器235は、コリメータ又はコリメータ偏向器とも呼ばれ得る。偏向器235は、事実上、偏向器の手前では、ビームレットの経路が互いに対して発散するようにビームレットの経路をコリメートする。偏向器のダウンビームでは、ビームレット経路は、実質的に互いに平行であり、即ち実質的にコリメートされる。好適なコリメータは、2020年2月7日に出願された欧州特許出願公開第20156253.5号に開示される偏向器であり、この文献は、マルチビームアレイへの偏向器の適用に関して参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
[0053] 偏向器235の下には(即ちダウンビーム又は放射源201から更に遠くに)、サブビーム211、212、213のそれぞれに対して制御レンズを含む制御レンズアレイ250がある。制御レンズアレイ250は、それぞれの電位源に接続された3つのプレート電極アレイを含み得る。制御レンズアレイ250の機能は、ビームの縮小率に関してビーム開き角を最適化すること、及び/又は、対物レンズ234に送達されるビームエネルギーを制御することであり、対物レンズ234の各々は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208上に誘導する。
【0038】
[0054] 例示を容易にするために、本明細書では、レンズアレイは、楕円形のアレイによって概略的に示されている。各楕円形は、レンズアレイ内の複数のレンズの1つを表す。楕円形は、光学レンズで採用されることが多い両凸形状の類推から、レンズを表すために慣例的に使用される。しかしながら、本明細書で考察するような荷電粒子機構に関連して、レンズアレイは、通常、静電的に動作するため、両凸形状を採用した物理的素子を必要としない場合があることを理解されたい。代わりに、レンズアレイは、アパーチャを有する複数のプレートを含み得る。
【0039】
[0055] 任意選択的に、走査偏向器260のアレイが制御レンズアレイ250と対物レンズ234のアレイとの間に設けられる。走査偏向器260のアレイは、各サブビーム211、212、213に対して1つの走査偏向器を含む。各走査偏向器は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208全体にわたり一方向又は二方向に走査するように、サブビームを一方向又は二方向に偏向させるように構成される。
【0040】
[0056] 検出器アレイ240は、サンプル208から放出された二次電子及び/又は後方散乱電子を検出するために設けられる。一実施形態では、検出器アレイ240は、対物レンズ234とサンプル208との間にある。しかしながら、例えば
図12及び
図14に示されるように、検出器アレイ240に関して他の位置が可能である。検出器アレイ240の例示的な構成を以下に説明する。
【0041】
[0057] 対物レンズアレイに一体化された検出器アレイの例示的な実施形態が
図4に示され、
図4は、マルチビーム対物レンズアレイ240の一部の概略断面図を示す。この実施形態では、検出器アレイ240、複数の検出器素子405(例えば、捕捉用電極などのセンサ素子)である。この実施形態では、検出器アレイ240は、対物レンズアレイ241の出力側に設けられる。出力側とは、対物レンズアレイ241の出力側である。
【0042】
[0058] 対物レンズアレイ241は、10超の倍率、望ましくは50~100以上の範囲の倍率で電子ビームを縮小するように構成され得る。対物レンズアレイ241は、中央電極、下側電極及び上側電極を含み得る。中央電極、下側電極及び上側電極には、それぞれアパーチャが設けられ、そのアパーチャを通してそれぞれのサブビームが伝搬する。下側電極の電位は、サンプル208の電位に類似し得る。従って、3つの電極を有する場合、対物レンズアレイは、アインツェルレンズのアレイであり得る。
【0043】
[0059]
図5に示されるように、
図4に示される実施形態に関連した一実施形態では、電極の1つが省略され得る。2つの電極のみを有する対物レンズアレイ240では、より多くの電極を有する対物レンズアレイ240よりも収差が小さくてよい。3電極対物レンズでは、電極間の電位差をより大きくすることができるため、より強力なレンズが可能になる。追加の電極(即ち3つ以上の電極)により、例えば入射ビームに加えて二次電子も集束させるために、電子の軌道を制御する際の更なる自由度がもたらされる。アインツェルレンズにわたる2電極レンズの利点は、入ってくるビームのエネルギーが、出ていくビームと必ずしも同じではないことである。そのような2電極レンズアレイに関する電位差は、それが減速レンズアレイとして機能することを有利に可能にする。
【0044】
[0060]
図6は、検出器アレイ240の底面図であり、この検出器アレイ240は、基板404を含み、基板404上には、ビームアパーチャ406をそれぞれ取り囲む複数の検出器素子405が設けられる。ビームアパーチャ406は、基板404をエッチングすることにより形成され得る。
図6に示される構成では、ビームアパーチャ406は、矩形のアレイで示されている。ビームアパーチャ406は、これと異なるように、例えば
図7に示されるような最密六角形アレイ状に配置することもできる。
図7の六角形配置のビーム構成は、
図6に示されるような正方形ビーム構成よりも密に実装され得る。
【0045】
[0061]
図8は、検出器アレイ240の一部の断面図をより大きい縮尺で示す。検出器素子405は、検出器アレイ240の最下部表面、即ちサンプル208に最も近い表面を形成する。検出器素子405と基板404のメインボディとの間にロジック層407が設けられる。画像処理システムの少なくとも一部がロジック層407に組み込まれ得る。ロジック層407は、画像処理システムの少なくとも一部を具現化する回路60の少なくとも一部を含み得る。ロジック層407は、増幅器、例えばトランスインピーダンスアンプ(TIA)、アナログ/デジタル変換器及び読み出しロジックを含み得る。一実施形態では、検出器素子405毎に1つの増幅器及び1つのアナログ/デジタル変換器がある。ロジック層407及び検出器素子405は、CMOSプロセスを使用して製造することができ、検出器素子405が最終の金属被覆層を形成する。
【0046】
[0062] 配線層408は、基板404の背面又は内部に設けられ、基板貫通ビア409によってロジック層407に接続される。基板貫通ビア409の数は、ビームアパーチャ406の数と同じである必要はない。特に、電極信号がロジック層407内でデジタル化される場合、データバスを提供するために少数のシリコン貫通ビアのみが必要になり得る。配線層408には、制御線、データ線及び電力線が含まれ得る。ビームアパーチャ406があるにも関わらず、全ての必要な接続のための十分な空間があることに留意されたい。検出モジュール402は、バイポーラ又は他の製造技術を使用して製造することもできる。プリント回路基板及び/又は他の半導体チップは、検出器アレイ240の背面に設けられ得る。
【0047】
[0063] 上記の集積検出器アレイは、二次電子捕捉が着地エネルギーの範囲に対して最適化され得るため、調整可能な着地エネルギーを有するツールと共に使用される場合に特に有利である。検出器アレイは、最下部の電極アレイだけでなく、他の電極アレイにも一体化され得る。対物レンズに一体化される検出器モジュールの更なる詳細及び代替構成については、欧州特許出願公開第20184160.8号に見出すことができ、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
[0064] 一実施形態では、対物レンズアレイ240内の各素子は、マルチビームにおける異なるビーム又はビームの群を操作するマイクロレンズである。対物レンズアレイ240は、少なくとも2つのプレートを有し、各プレートは、複数の穴又はアパーチャを有する。一方のプレートにおける各穴の位置は、他方のプレートにおける対応する穴の位置に対応する。対応する穴は、使用時、マルチビームにおける同じビーム又はビームの群に対して作用する。アレイ内の各素子のレンズのタイプの適切な例は、2電極減速レンズである。
【0049】
[0065] 幾つかの実施形態では、対物レンズアレイアセンブリの検出器アレイ240は、対物レンズアレイ241の少なくとも1つの電極のダウンビームにある。一実施形態では、検出器(例えば、検出器モジュール)の少なくとも一部は、対物レンズアレイ240に隣接し、及び/又は、それと一体化される。例えば、検出器アレイは、CMOSチップ検出器を対物レンズアレイの底部電極に一体化することによって実装され得る。対物レンズアレイ240又は一次コラムの他のコンポーネントに検出器アレイを一体化することにより、二次コラムが置き換えられる。CMOSチップは、好ましくは、(ウェーハと電子光学系の底部との間の距離が短い(例えば、200μm以下、100μm以下又は50μm以下)ため)サンプルに面するように配向される。一実施形態では、二次電子を捕捉するための検出器素子405がCMOSデバイスの表面金属層内に形成される。検出器素子405は、他の層内に形成され得る。CMOSの電力及び制御信号は、シリコン貫通ビアによってCMOSに接続され得る。堅固にするために、穴のあるパッシブシリコン基板がCMOSチップを高電場から遮蔽することが好ましい。
【0050】
[0066] 検出効率を最大にするために、(アパーチャを除く)対物レンズアレイ240の実質的に全てのエリアが検出器素子405によって占められるように、検出器素子405の表面をできる限り大きくすることが望ましく、各検出器素子405は、アレイピッチに実質的に等しい直径を有する。一実施形態では、検出器素子405の外形は、円形であるが、これは、検出エリアを最大にするために正方形にされ得る。基板貫通ビア409の直径を最小にすることもできる。電子ビームの一般的なサイズは、約5~15ミクロンである。
【0051】
[0067] 一実施形態では、単一の検出器素子405が各ビームアパーチャ406を取り囲む。別の実施形態では、複数の検出器素子405が各ビームアパーチャ406の周りに設けられる。1つのビームアパーチャ406を取り囲む検出器素子405によって捕捉される電子は、単一の信号に合成されるか、又は独立した信号を生成するために使用され得る。検出器素子405は、半径方向に(即ち複数の同心環を形成するように)分割されるか、角度的に(即ち複数の扇状の部分を形成するように)分割されるか、半径方向及び角度的の両方で分割されるか、又は、他の任意の便利な態様で分割され得る。
【0052】
[0068] しかしながら、検出器素子405の表面の拡大は、寄生容量の増大、従って帯域幅の低下をもたらす。このため、検出器素子405の外径を制限することが望ましい場合がある。特に、検出器素子405の拡大がわずかな検出効率の向上を与えるにすぎず、しかし、キャパシタンスの大幅な増加を与える場合である。円形(環状)検出器素子405は、収集効率と寄生容量との間の良好な妥協点を提供し得る。
【0053】
[0069] 検出器素子405の外径の増大はまた、クロストーク(隣接した穴の信号に対する感度)の増加をもたらし得る。これは、検出器素子405の外径をより小さくする理由にもなり得る。特に、検出器素子405の拡大がわずかな検出効率の向上を与えるにすぎず、しかし、クロストークの大幅な増加を与える場合である。
【0054】
[0070] 検出器素子405によって収集された後方散乱電子及び/又は二次電子の電流は、例えば、TIAなどの増幅器によって増幅される。
【0055】
[0071] 幾つかの実施形態では、荷電粒子評価ツールは、サブビーム中の1つ又は複数の収差を低減する1つ又は複数の収差補正器を更に含む。一実施形態では、収差補正器の少なくともサブセットのそれぞれは、中間焦点のそれぞれ1つに配置されるか、又はそれと直接隣接する(例えば、中間像面に配置されるか又はそれと隣接する)。サブビームは、中間平面などの焦点面又はその近傍で最小の断面積を有する。これは、他の場所、即ち中間平面のアップビーム又はダウンビームで利用可能な空間(又は中間像面を有しない代替構成で利用可能となる空間)よりも多くの空間を収差補正器に提供する。
【0056】
[0072] 一実施形態では、中間焦点(若しくは中間像面)に又はそれに直接隣接して配置された収差補正器は、異なるビームにとって異なる位置にあるように見える放射源201を補正するための偏向器を含む。補正器は、各サブビームと、対応する対物レンズとの間の良好なアライメントを阻む、放射源に起因する巨視的収差を補正するために使用され得る。
【0057】
[0073] 収差補正器は、適切なコラムアライメントを阻む収差を補正することができる。そのような収差は、サブビームと補正器との間のミスアライメントにもつながり得る。このため、追加的又は代替的に、収差補正器を集光レンズ231又はその近くに配置することが望ましい場合がある(例えば、そのような収差補正器の各々は、集光レンズ231の1つ又は複数と一体化されるか、又はそれらと直接隣接する)。これは、集光レンズがビームアパーチャと垂直方向に近いか、又はビームアパーチャと一致するため、集光レンズ231又はその近傍では、収差が、対応するサブビームのシフトを依然として引き起こしていないために望ましい。しかしながら、集光レンズ又はその近傍に補正器を配置することの課題は、更に下流の場所と比べて、この場所では各サブビームの断面積が比較的大きくなり、ピッチが比較的小さくなることである。収差補正器は、欧州特許出願公開第2702595A1号に開示されるようなCMOSベースの個々のプログラマブル偏向器又は欧州特許出願公開第2715768A2号に開示されるような多極偏向器のアレイであり得、両方の文献におけるビームレットマニピュレータの記載は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
[0074] 幾つかの実施形態では、収差補正器の少なくともサブセットの各々は、対物レンズ234の1つ若しくは複数と一体化されるか、又はそれらに直接隣接する。一実施形態では、これらの収差補正器は、像面湾曲、フォーカスエラー及び非点収差の1つ又は複数を低減する。追加的又は代替的に、1つ又は複数の走査偏向器(図示せず)は、サンプル208にわたりサブビーム211、212、213を走査するために、対物レンズ234の1つ又は複数と一体化され得るか又はそれに直接隣接し得る。一実施形態では、米国特許出願公開第2010/0276606号に記載の走査偏向器が使用され得、この文献は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
[0075]
図9は、対物レンズアレイアセンブリを有する例示的な電子光学系の概略図である。対物レンズアレイアセンブリは、対物レンズアレイ241を含む。対物レンズアレイ241は、複数の対物レンズを含む。簡潔さのために、既に上記で説明した対物レンズアレイ241の特徴は、ここでは繰り返さない場合がある。
【0060】
[0076] 対物レンズアレイアセンブリは、制御レンズアレイ250を更に含み得る。制御レンズアレイ250は、複数の制御レンズを含む。各制御レンズは、それぞれの電位源に接続された少なくとも2つの電極(例えば、2つ又は3つの電極)を含む。制御レンズアレイ250は、それぞれの電位源に接続された2つ以上(例えば、3つ)のプレート電極アレイを含み得る。制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241に関連付けられる(例えば、それらの2つのアレイは、互いの近くに配置され、及び/又は互いに機械的に接続され、及び/又はユニットとして一緒に制御される)。制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241のアップビームに配置される。制御レンズは、サブビームをプリフォーカスする(例えば、サブビームが対物レンズアレイ241に到達する前にサブビームに集束作用を適用する)。プリフォーカスにより、サブビームの発散度が低減されるか、又はサブビームの収束率を高めることができる。制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ241は、一緒に動作して合成焦点距離を提供する。中間焦点のない合成動作により、収差のリスクが低減され得る。
【0061】
[0077] 一実施形態では、対物レンズアレイアセンブリを含む電子光学系は、制御レンズの焦点距離が制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間の離隔距離よりも大きくなるように、(例えば、制御レンズアレイ250の電極に印加される電位を制御することにより)対物レンズアセンブリを制御するように構成される。従って、制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ241は、比較的互いの近くに配置され得、このとき、制御レンズアレイ250からの集束作用は、弱く、制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間に中間焦点を形成しない。他の実施形態では、対物レンズアレイアセンブリは、制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間に中間焦点を形成するように構成され得る。
【0062】
[0078] 一実施形態では、制御レンズアレイは、単独で、又は対物レンズアレイ及び/又は検出器アレイなどの他の要素と組み合わせて交換可能なモジュールである。交換可能モジュールは、現場で交換可能であり得、即ち、モジュールは、フィールドエンジニアによって新しいモジュールと交換することができる。一実施形態では、複数の交換可能モジュールがツール内に含まれ、ツールを開けることなく動作可能位置と非動作可能位置との間で交換され得る。
【0063】
[0079] 一実施形態では、交換可能モジュールは、電子光学コンポーネントの位置決めのための作動を可能にするステージ上にある電子光学コンポーネントを含む。一実施形態では、交換可能モジュールは、ステージを含む。ある構成では、ステージ及び交換可能モジュールは、電子光学ツール40の一体化した部分であり得る。ある構成では、交換可能モジュールは、ステージ及びステージが支持する電子光学デバイスに限定される。ある構成では、ステージは、取り外し可能である。ある代替設計では、ステージを含む交換可能モジュールは、取り外し可能である。交換可能モジュールのための電子光学ツール40の部分は、分離可能であり、即ち、電子光学ツール40のこの部分は、交換可能モジュールのアップビームの弁及びダウンビームの弁によって画定される。弁は、交換可能モジュールに関連付けられたコラムの部分のアップビーム及びダウンビームの真空を維持しながら、交換可能モジュールが電子光学ツール40から取り外されることをそれぞれ可能にする弁のアップビーム及びダウンビームの真空から、弁間の環境を分離するように操作され得る。一実施形態では、交換可能モジュールは、ステージを含む。ステージは、ビーム経路に対して電子光学デバイスを支持するように構成される。一実施形態では、モジュールは、1つ又は複数のアクチュエータを含む。アクチュエータは、ステージに関連付けられる。アクチュエータは、ビーム経路に対して電子光学デバイスを移動させるように構成される。このような作動は、電子光学デバイス及びビーム経路を互いに対して位置合わせするために使用され得る。
【0064】
[0080] 一実施形態では、交換可能モジュールは、微小電子機械システム(MEMS)モジュールである。MEMSは、微細加工技術を使用して作られた小型機械及び電子機械要素である。一実施形態では、交換可能モジュールは、電子光学ツール40内で交換可能であるように構成される。一実施形態では、交換可能モジュールは、現場で交換可能であるように構成される。現場で交換可能とは、その中に電子光学ツール40が位置する真空を維持しながら、モジュールを取り外し、同じ又は異なるモジュールと交換することができることを意味することが意図される。モジュールに対応するコラムのセクションのみが、モジュールを取り外し、及び戻すか又は交換するために通気される。
【0065】
[0081] 制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241と同じモジュール内にあり得、即ち対物レンズアレイアセンブリ若しくは対物レンズ構成を形成し得るか、又はそれは、別のモジュール内にあり得る。
【0066】
[0082] 制御レンズアレイ250の制御レンズ及び対物レンズアレイ241の対物レンズの電極にそれぞれの電位を印加するために、電源が設けられ得る。
【0067】
[0083] 対物レンズアレイ241に加えて制御レンズアレイ250を設けることにより、サブビームの特性を制御する自由度が増す。例えば、制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間に中間焦点が形成されないように、制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ241が比較的互いの近くに設けられる場合でも、自由度の増加がもたらされる。制御レンズアレイ250を使用して、ビームの縮小率に関してビーム開き角を最適化し、及び/又は、対物レンズアレイ241に送達されるビームエネルギーを制御することができる。制御レンズは、2つ又は3つ以上の電極を含み得る。2つの電極がある場合、縮小率及び着地エネルギーは、一緒に制御される。3つ以上の電極がある場合、縮小率及び着地エネルギーを個別に制御することができる。従って、制御レンズは、(例えば、電源を使用して制御レンズ及び対物レンズの電極に適切なそれぞれの電位を印加して)それぞれのサブビームの縮小率及び/又はビーム開き角を調節するように構成され得る。この最適化は、対物レンズの数に非常に大きいマイナスの影響を与え、及び対物レンズの収差を過度に悪化させることなく(例えば、対物レンズの強度を増加させることなく)達成することができる。
【0068】
[0084] 別の構成(図示せず)では、マクロコリメータは、上部ビームリミッターのダウンビームに設けられたコリメータ素子アレイによって部分的又は全体的に置き換えられ得る。各コリメータ素子は、それぞれのサブビームをコリメートする。コリメータ素子アレイは、空間的にコンパクトになるようにMEMS製造技術を使用して形成され得る。コリメータ素子アレイは、放射源201のダウンビームのビーム経路内の第1の偏向又は集束電子光学アレイ素子であり得る。コリメータ素子アレイは、制御レンズアレイ250のアップビームにあり得る。コリメータ素子アレイは、制御レンズアレイ250と同じモジュール内にあり得る。
【0069】
[0085]
図9の実施形態では、電子光学系は、放射源201を含む。放射源201は、荷電粒子(例えば、電子)のビームを提供する。サンプル208上に集束するマルチビームは、放射源201によって提供されるビームから導出される。サブビームは、例えば、ビーム制限アパーチャのアレイを画定するビームリミッターを使用して、そのビームから導出され得る。放射源201は、輝度と全放出電流との間の良好な妥協点を有する高輝度の熱電界放出器であることが望ましい。図示した例では、コリメータは、対物レンズアレイアセンブリのアップビームに設けられる。コリメータは、マクロコリメータ270を含み得る。マクロコリメータ270は、ビームがマルチビームに分割される前に放射源201からのビームに対して作用する。マクロコリメータ270は、ビームから導出されたサブビームのそれぞれのビーム軸がサンプル208に実質的に垂直に(即ちサンプル208の公称表面に対して実質的に90°で)入射することを確実にするのに効果的な量だけビームのそれぞれの部分を曲げる。マクロコリメータ270は、巨視的なコリメーションをビームに適用する。従って、マクロコリメータ270は、ビームの個々の異なる部分に対して作用するようにそれぞれが構成された複数のコリメータ素子のアレイを含むのではなく、ビーム全体に対して作用し得る。マクロコリメータ270は、磁気レンズ又は複数の磁気レンズサブユニット(例えば、多極構成を形成する複数の電磁石)を含む磁気レンズ構成を含み得る。代わりに又は加えて、マクロコリメータは、少なくとも部分的に静電的に実装され得る。マクロコリメータは、静電レンズ又は複数の静電レンズサブユニットを含む静電レンズ構成を含み得る。マクロコリメータ270は、磁気レンズと静電レンズとの組み合わせを使用し得る。
【0070】
[0086]
図9の実施形態では、マクロ走査偏向器265を設けて、サブビームをサンプル208にわたって走査させる。マクロ走査偏向器265は、ビームのそれぞれの部分を偏向させて、サブビームをサンプル208にわたって走査させる。一実施形態では、マクロ走査偏向器265は、例えば、8極以上を有する巨視的多極偏向器を含む。偏向は、ビームから導出されたサブビームを一方向(例えば、X軸などの単一の軸と平行に)又は二方向(例えば、X軸及びY軸など、平行ではない2つの軸を基準にして)にサンプル208全体にわたって走査させるようなものである。マクロ走査偏向器265は、ビームの個々の異なる部分に対して作用するようにそれぞれが構成された偏向器素子のアレイを含むのではなく、ビーム全体に対して巨視的に作用する。図示した実施形態では、マクロ走査偏向器265は、マクロコリメータ270と制御レンズアレイ250との間に設けられる。
【0071】
[0087] 別の構成(図示せず)では、マクロ走査偏向器は、走査偏向器アレイによって部分的又は全体的に置き換えられ得る。走査偏向器アレイ260は、複数の走査偏向器を含む。走査偏向器アレイ260は、MEMS製造技術を使用して形成され得る。各走査偏向器は、それぞれのサブビームをサンプル208にわたって走査させる。従って、走査偏向器アレイ260は、サブビーム毎に走査偏向器を含み得る。各走査偏向器は、サブビームを一方向(例えば、X軸などの単一の軸と平行に)又は二方向(例えば、X軸及びY軸など、平行ではない2つの軸を基準にして)に偏向させ得る。偏向は、サブビームを一方向又は二方向(即ち1次元的又は2次元的)にサンプル208全体にわたって走査させるようなものである。走査偏向器アレイは、対物レンズアレイ241のアップビームにあり得る。走査偏向器アレイは、制御レンズアレイ250のダウンビームにあり得る。走査偏向器に関連付けられた単一のサブビームに言及したが、サブビームの複数のグループが1つの走査偏向器に関連付けられ得る。一実施形態では、欧州特許第2425444号に記載される走査偏向器(この文献は、特に走査偏向器に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、走査偏向器アレイを実装するために使用され得る。(例えば、上述のようにMEMS製造技術を使用して形成された)走査偏向器アレイは、マクロ走査偏向器よりも空間的にコンパクトであり得る。走査偏向器アレイは、対物レンズアレイ241と同じモジュール内にあり得る。
【0072】
[0088] 他の実施形態では、マクロ走査偏向器265と走査偏向器アレイとの両方が設けられ得る。そのような構成では、サンプル表面上でのサブビームの走査は、マクロ走査偏向器と走査偏向器アレイ260とを一緒に好ましくは同期して制御することにより達成され得る。
【0073】
[0089] 対物レンズアレイアセンブリは、コリメータアレイ及び/又は走査偏向器アレイを更に含み得る。
【0074】
[0090] 本明細書に記載される対物レンズアレイアセンブリの何れも検出器アレイ240を更に含み得る。検出器アレイ240は、サンプル208から放出された荷電粒子を検出する。検出される荷電粒子には、サンプル208から放出された二次電子及び/又は後方散乱電子を含め、SEMによって検出される荷電粒子の任意のものが含まれ得る。
【0075】
[0091] 一実施形態では、例えば
図3又は
図9を参照して示し、説明した構成によるマルチビーム電子光学系は、回路60を含む。回路60は、画像処理システムの機能の少なくとも一部を行うように構成される。
図10は、一実施形態による回路の概略図である。
図10は、検出器アレイ内の各検出器素子からの信号のデータ経路又はデータ経路の少なくとも第1の部分の図的表現と見なすことができる。一実施形態では、回路60は、増幅器61を含む。増幅器61は、検出器アレイ240とデータ通信する。
図10では、データ通信線は、コンポーネント間の実線として示され、矢印は、データフローの方向を示す。一実施形態では、増幅器61は、検出器アレイ240の検出器素子405の1つとデータ通信する。
【0076】
[0092]
図10では、2つの増幅器61がそれぞれの検出器素子405に接続されて示されている。一実施形態では、増幅器61は、各検出器素子405に対して設けられる。例えば、電子光学コラムに関連付けられた数百、数千又は数万個の検出器素子405及び関連付けられた増幅器61が存在し得る。簡潔さのために、
図10では2つのみ示されている。検出器素子405によって行われた二次電子の測定値は、信号として増幅器61に伝送される。増幅器61は、信号に増幅率を適用するように構成される。
【0077】
[0093]
図10に示されるように、増幅された信号は、増幅器61によりアナログ/デジタル変換器(ADC)62に出力される。ADC62は、増幅された信号をデジタル信号に変換するように構成される。一実施形態では、ADC62は、変換されたデジタル信号をシリアライザ63に出力するように構成される。複数の検出器素子405からの信号は、シリアライザ63に提供される。一実施形態では、シリアライザ63は、変換されたデジタル信号をシリアライズするように構成される。シリアライズされた信号は、例えば、信号を信号処理することにより、サンプル208の画像を形成するために使用される。
【0078】
[0094] 一実施形態において、増幅器61は、検出器アレイ240からの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成される。増幅器61によって適用される増幅率は、他の増幅器61の増幅率とは独立して調節することができる。検出器の検出器素子からの信号の強度は、必ずしも同じではないことに留意されたい。検出器素子の信号強度のばらつきは、予期されるものである。
【0079】
[0095] 増幅器61を調整することにより、使用されるADC62の入力範囲の割合を増加させるように信号の増幅を制御することが可能である。増幅率が低すぎる場合、ADC62の潜在的な入力範囲の一部が未使用のままとなる。その結果、ADC62によってシリアライザ63に出力することができる異なる可能値の範囲は、その最大値よりも小さくなる。これにより、シリアライズされた信号から生成される画像の情報損失が生じる。画像の解像度は、増幅器61に対応する画像のセクションの可能な階調数がその最大値よりも少なくなる点で低下している。
【0080】
[0096] 増幅率が大きすぎると、増幅器61によって出力される信号の範囲は、ADC62の入力範囲の上限に対応することになる。これにより、画像の情報損失が生じる。より高い値の信号は、シリアライズされた信号の同じ値にマッピングされる。より高い値の信号は、画像内で互いに区別がつかなくなる。
【0081】
[0097] 増幅器61が調整可能であると規定することにより、情報の損失を低減することができる。本発明の一実施形態では、サンプル208の画像のより高い解像度を実現することが期待される。
【0082】
[0098] 一実施形態では、検出器アレイ240は、荷電粒子を、その電荷を参照することにより、即ち直接検出するように構成される。このような検出器は、直接電流検出器と呼ばれ得る。異なる実施形態では、検出器アレイ240は、荷電粒子のエネルギーを参照することにより、即ちバンドギャップに依存して荷電粒子を検出するように構成され得る。
【0083】
[0099]
図15は、例示的画像150である。画像150は、望ましくは、高い解像度を有する。画像の各ピクセルは、グレースケールで可能な階調の数が同じである。各ピクセルは、検出器素子又は検出器素子の群からの信号に対応し得ることに留意されたい。
図16は、
図15に示される画像150の代替バージョンである。
図16に示される画像150は、4つの異なるクアドラント151~154を含む。異なるクアドラント151~154は、異なる増幅率に対応する。左上のクアドラント151は、最適に調整された増幅率を用いて受信されたデータを示す。左上のクアドラント151の各ピクセルは、
図15の画像と同様に、最大数のグレースケール階調を有する。他の3つのクアドラント152~154は、増幅率が低すぎるデータに基づく。右上のクアドラント152は、最も低い増幅率に対応する。より低い増幅率の結果、最適な画像の場合よりもピクセルが暗く見える。加えて、ピクセルが有する可能なグレースケール階調の数がより少ない。スケールの白端の階調は、不可能である。
図16に示される画像は、それぞれ異なる強度を有する4つの検出器素子を有する検出器アレイの図的表現と見なすことができる。
【0084】
[0100]
図17は、
図16に示される画像150の修正バージョンである。
図16の画像150を形成するために使用されるデータは、クアドラント151~154の輝度範囲を改善するように、後処理(即ち増幅及びADCのデータ経路における下流の処理)が施されている。その結果、グレースケールの白端でのグレースケール階調が可能である。しかしながら、
図17の画像150におけるクアドラント152~154の各々の可能なグレースケール階調の数は、
図16の画像150の場合と同じである。視覚的には、
図17に示される結果として生じる画像は、
図15と比較してコントラストが悪くなっている。
図17は、増幅器及びADCに続くデータ経路において、検出器素子からの信号強度の変動を、信号解像度の損失という代償を払って補正することを図的に示すものである。従って、画像150を生成するために使用される信号の解像度は、後処理によって改善されない。即ち、グレースケール値の制限された範囲によって示されるような信号の損失は、後処理によって回復しない。これは、
図15と比較した、
図17の画像のグレースケールの制限された範囲及びそれが有するグレースケール階調の数によって表される。
【0085】
[0101]
図15~17に示されるのと同様に、(例えば、検出器素子からの信号強度の変動を考慮して)異なる増幅器61が異なる増幅率を有する場合、(例えば、
図16に示されるように)画質が低下する。ADC62からの入力範囲の増大を用いて出力信号範囲の増大を実現するように、デジタル信号に対する後処理を使用することができるが、情報は、失われ、信号解像度は、(例えば、
図17に示されるように)制限される。
【0086】
[0102] 一実施形態では、ADC62は、増幅器61とデータ通信を行っている。ADC62は、検出器アレイ240からの信号をデジタル出力に変換するように構成される。一実施形態では、増幅器61は、使用されるADC62の入力範囲の割合を増加させるように、検出器アレイ240からの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成される。一実施形態によれば、増幅器61を調整することにより、本発明の一実施形態は、より多くの情報量を有するサンプル208の画像を実現することが期待される。
【0087】
[0103]
図11は、一実施形態による、
図10に示される回路の一部の概略図である。一実施形態では、回路は、較正器82を含む。較正器82は、検出器アレイ240からの信号の増幅を調整するために、増幅器61を調整するように構成される。一実施形態では、較正器82は、検出器アレイ240からの信号によって使用されるADC62の入力範囲の割合を等しくするように、検出器アレイ240からの信号の増幅を調整するために増幅器61を調整するように構成される。本発明の一実施形態は、画像の各セクションの可能な階調数が同じである画像を実現することが期待される。一実施形態では、可能な階調数が最適化される。一実施形態では、回路は、較正器82を制御するように構成されたスイッチ81を含む。例えば、スイッチ82は、較正プロセスを開始するために押すことができるボタンを含み得る。
【0088】
[0104]
図11に示されるように、一実施形態では、増幅器61は、増幅器61の増幅率を決定するように構成されたフィードバックレジスタ70を含む。一実施形態では、フィードバックレジスタ70は、可変である。フィードバックレジスタ70の抵抗値を調節することにより、増幅器61によって適用される増幅率を制御することができる。
【0089】
[0105] フィードバックレジスタ70は、複数のコンポーネントを含み得る。例えば、一実施形態では、フィードバックレジスタ70は、固定レジスタ71及び可変レジスタ72を含む。固定レジスタ71及び可変レジスタ72は、直列に接続される。可変レジスタ72の抵抗値を調節することにより、増幅器61によって適用される増幅率が制御される。固定レジスタ71の抵抗値は、変更されない。フィードバックレジスタ70の一部として固定レジスタ72を設けることにより、増幅率をより正確に制御することができる。固定レジスタ71を設けることにより、可変レジスタ72は、最大抵抗値を低くすることができる。その結果、可変レジスタ72に対する比例調節は、フィードバックレジスタ70の総抵抗値への影響を小さくする。可変レジスタ72を調節することにより、フィードバックレジスタ70の抵抗値をより細かく制御することができる。しかしながら、ある代替構成では、固定レジスタ71を設けなくてもよい。
【0090】
[0106] 一実施形態では、固定レジスタ71は、可変レジスタ72よりも高い抵抗値を有する。例えば、一実施形態では、固定レジスタ71は、可変レジスタ72の最大抵抗値の少なくとも2倍、任意選択的に少なくとも4倍、任意選択的に少なくとも8倍の抵抗値を有する。本発明の一実施形態は、増幅器61を制御することができる精度を向上させることが期待される。
【0091】
[0107] 一実施形態では、フィードバックレジスタ70の抵抗値は、印加電位に依存する。これは、フィードバックレジスタに戻るように印加されるシステム制御信号である。特定の値の電位を印加することにより、増幅器61の増幅率を制御することができる。例えば、増幅器61に直流を印加して、その増幅率を制御し得る。
【0092】
[0108] 較正信号は、信号対雑音比を最適化するように調整されるべきであることに留意されたい。より高い抵抗を使用することで、より高い増幅を実現することができる。フィードバック(即ち出力を入力に接続する)システムの使用時、システムは、それ自体の安定を維持することができ、これは、原理上、増幅器が機能する方法である。このように、入力電流(例えば、検出器信号)は、抵抗によって増幅されて、電圧(即ちADCへの出力電位)が生成される。しかしながら、雑音の寄与、即ち信号対雑音比の観点から、より大きいレジスタの使用時に影響がある。例えば捕捉用電極などの検出器素子によって提供される可能性がある小さい電流の使用時、レジスタからの熱雑音寄与がもたらす結果があり、これは、増幅信号の大きさを考慮すると大きい影響を与えるものである。当然のことながら、信号は、電流を表す。雑音が[測定電流の]平方根に比例するのに対して、信号対雑音の関係は、線形になる傾向があるため、増幅において信号対雑音比を向上させることができる。従って、抵抗値は、増幅を向上させるために大きいことが好ましい。これにより、ADCの入力範囲の上限に向けて入力信号が生成されることが可能になる。しかし、信号に対して雑音レベルの割合が高くなりすぎるリスクがある。このように、本発明は、雑音を導入するリスク、従って調整によるトレードオフを考慮してADC範囲を最大化するために調整可能なレジスタを使用する。
【0093】
[0109] 一実施形態では、フィードバックレジスタ70は、フィードバックレジスタ70の抵抗値を維持するために印加電位を保持するように構成されたサンプルアンドホールド回路73を含む。例えば、画像処理システムの較正を行う際、電位が印加され得る。一実施形態では、電位は、フィードバックレジスタ70に局所的に印加される。電位が設定されると、サンプルアンドホールド回路73は、電位をその値に保持する。印加された電位は、後続の較正プロセスまで保持され得る。一実施形態では、サンプルアンドホールド回路73は、少なくとも1時間、任意選択的に少なくとも1日、任意選択的に少なくとも1ヶ月、電位の値を保持するように構成される。本発明の一実施形態は、画像処理システムの較正の負担を軽減することが期待される。
【0094】
[0110] 一実施形態では、回路60は、フィードバックレジスタ70の抵抗値を決定するために電位を印加するように構成された電位印加器83を含む。一実施形態では、電位印加器83は、デジタル較正信号をアナログDC電圧に変換するように構成されたデジタル/アナログ変換器(DAC)を含む。一実施形態では、較正器82は、較正信号を電位印加器83に出力するように構成される。
【0095】
[0111] 一実施形態では、回路60は、検出器アレイ240のそれぞれの検出器素子405のための複数の増幅器61の各々について、電位印加器83による電位の印加を順番に制御するように構成されたマルチプレクサ84を含む。マルチプレクサ84は、必要に応じて関連のフィードバックレジスタ70に電圧を分配するように構成される。マルチプレクサ84を設けることで、独立した電圧を印加するために必要な異なる電源の数を減らすことができる。
【0096】
[0112] 一実施形態では、回路60の少なくとも1つの素子が検出器アレイ240に関連付けられる。例えば、増幅器61、ADC62、較正器82、スイッチ81、マルチプレクサ84及び電位印加器83の1つ又は複数が検出器アレイ240に関連付けられ得る。一実施形態では、回路60の少なくとも1つの素子がロジック層407に組み込まれる。追加的又は代替的に、一実施形態では、回路60の少なくとも1つの素子がコントローラ50に関連付けられる。
【0097】
[0113] 一実施形態では、回路60の少なくとも1つの素子は、検出器アレイ240に構造的に一体化される。回路の一部は、検出器の各検出器素子に関連付けられ得る。一実施形態では、例えば、
図3及び
図9に示され、それらを参照して説明されるように、検出器アレイは、対物レンズアレイアセンブリなどの電子光学コンポーネントのアセンブリの一部である。一実施形態では、回路60の少なくとも1つの素子は、対物レンズアレイ構成の一部及び/又は対物レンズアレイ構成の汎用部分、即ち検出器に特に割り当てられない部分を形成する検出器構成に一体化され得る。
【0098】
[0114] 電子光学コラムに関連付けられることにより、回路60の素子がコラム内に存在することができ、周囲雰囲気へのフィードスルーの必要性を回避することができる。真空チャンバの壁を通る接続が追加されるたびに、従ってフィードスルーの需要が増えることにより、真空の完全性が危険にさらされる可能性があり、及び/又は、設計の複雑さが高まる可能性がある。本発明の一実施形態は、電子ビームツール40の製造及び/又は保守を容易にすることが期待される。
【0099】
[0115] 回路60が検出器アレイ240に近接することを規定することにより、配線の引き回しが軽減される。本発明の一実施形態は、電子ビームツール40の複雑さを軽減し、信号が伝送される必要のある距離を短くすることにより、より効率的な配置を実現することが期待される。従って、このような複雑さのリスクは、ツールの性能に影響を及ぼし得るデータ経路に関係し得る。
【0100】
[0116] 一実施形態では、回路60の素子の少なくとも1つは、対物レンズアレイアセンブリに関連付けられた構造的ハードウェアに一体化される。一実施形態では、回路60の素子の少なくとも1つは、検出器アレイ240のロジック層407に一体化される。
【0101】
[0117]
図12は、一実施形態による電子ビームツール40を概略的に示す。上記で説明した特徴と同じ特徴には、同じ参照符号が付されている。簡潔さのために、そのような特徴は、
図12を参照して詳細に説明されない。例えば、放射源201、集光レンズ231、マクロコリメータ270、対物レンズアレイ241及びサンプル208は、上記で説明したようなものであり得る。
【0102】
[0118] 上記の通り、一実施形態では、検出器アレイ240は、対物レンズアレイ241とサンプル208との間にある。検出器アレイ240は、サンプル208に面し得る。代替的に、
図12に示されるように、一実施形態では、複数の対物レンズを含む対物レンズアレイ241は、検出器アレイ240とサンプル208との間にある。検出器アレイ240の検出器素子は、
図12に示されるように、マルチビームアレイの経路上にある。検出器素子は、例えば、マルチビームにおけるそれぞれの一次サブビーム211、212、213の経路の周囲に及び/又はそれに隣接して関連付けられる。
【0103】
[0119] 一実施形態では、偏向器アレイ95は、検出器アレイ240と対物レンズアレイ241との間にある。一実施形態では、偏向器アレイ95は、偏向器アレイがビームセパレータと呼ばれ得るように、ウィーンフィルタを含む。偏向器アレイ95は、サンプル208に投影された荷電粒子と、サンプル208からの二次電子と、を分離するための磁場を提供するように構成される。
【0104】
[0120] 一実施形態では、検出器アレイ240は、荷電粒子のエネルギーを参照することにより、即ちバンドギャップに依存して荷電粒子を検出するように構成される。このような検出器は、間接電流検出器と呼ばれ得る。サンプル208から放出された二次電子は、電極間の電場からエネルギーを得る。二次電子は、検出器アレイ240に到達すると、十分なエネルギーを有する。
【0105】
[0121]
図13は、
図12に示される電子ビームツール40の一部の拡大図である。一実施形態では、検出器アレイ240は、電子-光子変換器アレイ91を含む。電子-光子変換器アレイ91は、複数の蛍光ストリップ92を含む。各蛍光ストリップ92は、電子-光子変換器アレイ91の平面内に位置する。少なくとも1つの蛍光ストリップ92は、サンプル208に向けて投影される2つの隣接する荷電粒子ビーム間に配置される。
【0106】
[0122] 一実施形態では、蛍光ストリップ92は、実質的に水平方向に延在する。代替的に、電子-光子変換器アレイ91は、投影された荷電粒子ビーム用の開口93を有する蛍光材料のプレートを含み得る。
【0107】
[0123]
図13において破線で示される投影荷電粒子ビームは、蛍光ストリップ92間の開口93を介して、電子-光子変換器アレイ91の平面を通して偏向器アレイ95に向かって投影される。
【0108】
[0124] 一実施形態では、偏向器アレイ95は、磁気偏向器96及び静電偏向器97を含む。静電偏向器97は、サンプル208に向けて透過した投影荷電粒子ビームに対して、磁気偏向器96の偏向を打ち消すように構成される。従って、投影荷電粒子ビームは、水平面内でわずかにシフトされ得る。偏向器アレイ95のダウンビームのビームは、偏向器アレイ95のアップビームのビームと実質的に平行である。
【0109】
[0125] 一実施形態では、対物レンズアレイ241は、サンプル208で生じた二次電子を偏向器アレイ95に向けて導くための複数のプレートを含む。投影荷電粒子ビームに対して反対方向に移動する二次電子の場合、静電偏向器97は、磁気偏向器96の偏向を打ち消さない。代わりに、静電偏向器97及び磁気偏向器96による二次電子の偏向が加算される。従って、二次電子を検出器アレイ240の蛍光ストリップ92上に伝送するために、二次電子は、光軸に対して角度を成して移動するように偏向される。
【0110】
[0126] 蛍光ストリップ92では、二次電子の入射により、光子が生成される。一実施形態では、光子は、蛍光ストリップ92から光子輸送ユニットにより光検出器(図示せず)に運ばれる。一実施形態では、光子輸送ユニットは、光ファイバ98のアレイを含む。各光ファイバ98は、蛍光ストリップ92からの光子を光ファイバ98に結合するために蛍光ストリップ92の1つに隣接して配置されるか、又は取り付けられた1つの端部と、光ファイバ98からの光子を光検出器に投影するように配置された別の端部と、を含む。
【0111】
[0127]
図14は、一実施形態による電子ビームツール40を概略的に示す。上記の通り、一実施形態では、検出器アレイ240は、電子ビームツール40の一次電子光軸と位置合わせされる。代替的に、検出器アレイ240は、
図14に示されるように、異なる軸と位置合わせされ得る。
【0112】
[0128] 上記で説明した特徴と同じ特徴には、同じ参照符号が付されている。簡潔さのために、そのような特徴は、
図14を参照して詳細に説明されない。例えば、放射源201、一次電子ビーム202、サブビーム211、212及び213、投影装置230、集光レンズ231、プローブスポット221、222、223、コントローラ50、サンプル208、サンプルホルダ207、電動ステージ209並びに検出器アレイ240は、上記で説明したようなものであり得る。
【0113】
[0129] 電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210及びソース変換ユニット220は、電子ビームツール40によって含まれる照明装置のコンポーネントである。ガンアパーチャプレート271は、動作時、一次電子ビーム202の周辺電子を遮断してクーロン効果を低減するように構成される。ガンアパーチャプレート271は、クーロンアパーチャアレイと呼ばれ得る。クーロン効果により、一次サブビーム211、212、213の各プローブスポット221、222及び223のサイズが拡大し、従って検査解像度が悪化する場合がある。ガンアパーチャプレート271は、ソース変換ユニット220の前でも一次サブビーム(図示せず)を生成するための複数の開口も含み得、クーロンアパーチャアレイと呼ばれ得る。
【0114】
[0130] 集光レンズ210は、一次電子ビーム202を集束させる(又はコリメートする)ように構成される。ソース変換ユニット220の一実施形態では、ソース変換ユニット220は、像形成素子アレイ、収差補償器アレイ、ビーム制限アパーチャアレイ及び事前屈曲マイクロ偏向器アレイを含み得る。事前屈曲マイクロ偏向器アレイは、例えば、任意選択的であり得、集光レンズが、例えば、ビーム制限アパーチャアレイ、像形成素子アレイ及び/又は収差補償器アレイに対するクーロンアパーチャアレイから生じたサブビームの実質的に垂直な入射を保証しない実施形態において存在し得る。
【0115】
[0131] 電子ビームツール40は、検出器アレイ240に関連付けられた二次投影装置255を含み得る。一次投影装置230は、対物レンズとして機能し得る、磁性を有し得る集光レンズ231のアレイを含み得る。ビームセパレータ233及び偏向走査ユニット232は、一次投影装置230内に配置され得る。ビームセパレータ233は、ウィーンフィルタを含み得る。検出器アレイ240は、複数の検出器素子405を含み得る。
【0116】
[0132] 一次ビームを生成するために使用されるコンポーネントは、電子ビームツール40の一次電子光軸204と位置合わせされ得る。これらのコンポーネントには、電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220、ビームセパレータ233、偏向走査ユニット232及び一次投影装置230が含まれ得る。二次投影装置255及びそれに関連付けられた検出器アレイ240は、電子ビームツール40の二次電子光軸251と位置合わせされ得る。
【0117】
[0133] 本実施形態では、二次電子は、3つの二次電子ビーム261、262及び263で伝搬する。続いて、二次投影装置255は、二次電子ビーム261、262及び263の経路を検出器アレイ240の複数の検出器素子405上に集束させる。
【0118】
[0134] 検出器素子405は、二次電子ビーム261、262及び263を検出することができる。二次電子ビームが検出器素子405に入射すると、素子は、対応する強度信号出力(図示せず)を生成し得る。一実施形態では、検出器素子は、捕捉用電極であり得る。出力は、画像処理システムに向けられ得る。
【0119】
[0135] 本発明の一実施形態による評価ツールは、サンプルの定性的評価(例えば、合格/不合格)を行うツール、又はサンプルの定量的測定(例えば、フィーチャのサイズ)を行うツール、又はサンプルのマップの画像を生成するツールであり得る。評価ツールの例は、(例えば、欠陥を特定するための)検査ツール、(例えば、欠陥を分類するための)レビューツール及び計測ツール又は検査ツール、レビューツール若しくは計測ツールに関連した評価機能の任意の組み合わせを実施することができるツール(例えば、計測検査ツール)である。
【0120】
[0136] 「サブビーム」及び「ビームレット」という用語は、本明細書では互換的に使用され、両方とも、親の放射ビームを分割又は分離することにより親の放射ビームから導出された任意の放射ビームを包含するものと理解される。「マニピュレータ」という用語は、レンズ又は偏向器など、サブビーム又はビームレットの経路に影響を与える任意の素子を包含するように使用される。素子がビーム経路又はサブビーム経路に沿って位置合わせされることへの言及は、それぞれの素子がビーム経路又はサブビーム経路に沿って配置されることを意味すると理解されるものである。光学系への言及は、電子光学系を意味すると理解されるものである。
【0121】
[0137] 本発明を様々な実施形態に関連付けて説明してきたが、本明細書で開示される本発明の仕様及び実施を考慮することで本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。
【0122】
[0138] 例えば、上記の説明は、TIAを用いた二次電子の電流の増幅に向けられているが、当業者は、調整可能な増幅を行うことができる他のタイプの回路について知っている。積分器の異形体又は電流-電圧変換器などのオペアンプ及びフィードバックレジスタを含む他のトポロジーは、調整可能な増幅を行うことができる。
【0123】
[0139] 本発明は、様々な種類の検出器アレイ240に適用可能である。例えば、電子の電荷を直接検出するための例えば捕捉用電極、シンチレータ又はPIN素子が用いられ得る。検出器アレイ240は、直接電流検出器又は間接電流検出器であり得る。
【0124】
[0140] 本発明は、電子ビームツール40の様々な位置にある検出器アレイ240に適用することができる。例えば、検出器アレイ240は、コラムの底部にある対物レンズアレイ241に関連付けられ得るか、又はコラムの底部よりも上位にあり得、例えば(例えば、
図12に示されるように)一次コラム又は(例えば、
図14に示されるように)二次コラムの他の場所に位置するコラムの底部より上の対物レンズアレイ241に関連付けられ得る。
【0125】
[0141] 一実施形態では、画像処理システムの少なくとも一部を具現化する回路60は、対物レンズアレイアセンブリの一部である。回路60は、対物レンズアレイアセンブリの機械的設計に組み込まれ得る。一実施形態において、対物レンズアレイアセンブリは、制御レンズアレイ250、(
図9に示されるように、制御レンズアレイ250に関連付けられ得る)プリリミッターアレイ、対物レンズアレイ241、(
図9に示されるように対物レンズアレイ241に関連付けられ得る)ビーム成形アレイ及び検出器アレイ240を含む。代替的に、対物レンズアレイアセンブリは、制御レンズアレイ250、対物レンズアレイ241及び検出器アレイ240を含み得る。プリリミッターアレイ及びビーム成形アレイ(又は最終ビーム制限アレイ)の機能は、集光レンズ231に関連付けられたアパーチャアレイによって行われ得る(例えば、
図3を参照されたい)。
【0126】
[0142] 本発明は、様々な異なるツールアーキテクチャに適用することが可能である。例えば、電子ビームツール40は、単一ビームツールであり得るか、複数の単一ビームコラムを含み得るか、又は複数のマルチビームのコラムを含み得る。
【0127】
[0143] 任意の要素又は要素の集合は、電子ビームツール40内で交換可能であり得るか、又は現場で交換可能であり得る。電子ビームツール40内の1つ又は複数の電子光学コンポーネント、特にアパーチャアレイ及びマニピュレータアレイなどのサブビームに作用するもの又はサブビームを生成するものは、1つ又は複数のMEMSを含み得る。
【0128】
[0144] 以下の条項が提供される。
【0129】
[0145] 条項1.荷電粒子評価ツールのためのマルチビーム電子光学系であって、複数の荷電粒子ビームの1つをサンプルに投影するようにそれぞれ構成された複数の対物レンズを含む対物レンズアレイアセンブリと、対物レンズアレイアセンブリに関連付けられ、及びサンプルから放出された荷電粒子を検出するように構成された検出器アレイと、検出器素子の検出器アレイとデータ通信する増幅器を含む回路と、を含み、増幅器は、検出器アレイからの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成される、マルチビーム電子光学系。
【0130】
[0146] 条項2.検出器アレイは、荷電粒子を、その電荷を参照することによって検出するように構成された電流検出器アレイである、条項1に記載のマルチビーム電子光学系。
【0131】
[0147] 条項3.荷電粒子評価ツールのためのマルチビーム電子光学系であって、サンプルから放出された荷電粒子を、その電荷を参照することによって検出するように構成された電流検出器アレイと、検出器素子の検出器アレイとデータ通信する増幅器を含む回路と、を含み、増幅器は、検出器アレイからの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成される、マルチビーム電子光学系。
【0132】
[0148] 条項4.複数の荷電粒子ビームの1つをサンプルに投影するようにそれぞれ構成された複数の対物レンズを含む対物レンズアレイアセンブリを含み、好ましくは、検出器アレイは、対物レンズアレイアセンブリに関連付けられる、条項3に記載のマルチビーム電子光学系。
【0133】
[0149] 条項5.好ましくは、検出器アレイは、複数の検出器素子を含み、好ましくは、各検出器素子は、複数の荷電粒子ビームのそれぞれの荷電粒子ビームに関連付けられ、対物レンズアレイアセンブリは、好ましくは、制御レンズアレイを含み、各制御レンズは、対物レンズアレイの対物レンズに関連付けられ、検出器アレイは、複数の対物レンズとサンプルとの間にあるか、又は複数の対物レンズは、検出器アレイとサンプルとの間にあり、好ましくは、検出器アレイは、対物レンズアレイ内にあり、好ましくは、検出器アレイの検出器素子は、マルチビームアレイの経路にあり、好ましくは、検出器素子は、マルチビームのそれぞれの荷電粒子ビームの経路の周囲に及び/又はそれに隣接して関連付けられる、条項1、2及び4の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【0134】
[0150] 条項6.検出器アレイは、サンプルに面する、条項5に記載のマルチビーム電子光学系。
【0135】
[0151] 条項7.複数の対物レンズは、検出器アレイとサンプルとの間にある、条項1、2及び4の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【0136】
[0152] 条項8.荷電粒子評価ツールの二次電子光軸と位置合わせされた二次投影装置を含み、検出器アレイは、二次投影装置に関連付けられる、条項1~4及び7の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【0137】
[0153] 条項9.回路は、検出器アレイからの信号をデジタル出力に変換するための、増幅器とデータ通信するアナログ/デジタル変換器を含み、増幅器は、使用されるアナログ/デジタル変換器の入力範囲の割合を増加させるように、検出器アレイからの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成される、先行する条項の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【0138】
[0154] 条項10.回路は、検出器アレイからの信号によって使用されるアナログ/デジタル変換器の入力範囲の割合を等しくするように、検出器アレイからの信号の増幅を調整するために増幅器を調整するように構成された較正器を含む、先行する条項の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【0139】
[0155] 条項11.回路は、較正器を制御するように構成されたスイッチを含む、条項10に記載のマルチビーム電子光学系。
【0140】
[0156] 条項12.増幅器は、増幅器の増幅率を決定するように構成されたフィードバックレジスタを含む、先行する条項の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【0141】
[0157] 条項13.フィードバックレジスタは、可変である、条項12に記載のマルチビーム電子光学系。
【0142】
[0158] 条項14.フィードバックレジスタは、固定レジスタ及び可変レジスタを含む、条項13に記載のマルチビーム電子光学系。
【0143】
[0159] 条項15.固定レジスタは、可変レジスタよりも高い抵抗値を有する、条項14に記載のマルチビーム電子光学系。
【0144】
[0160] 条項16.フィードバックレジスタの抵抗値は、印加電位に依存する、条項13~15の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【0145】
[0161] 条項17.フィードバックレジスタは、フィードバックレジスタの抵抗値を維持するように印加電位を保持するように構成されたサンプルアンドホールド回路を含む、条項16に記載のマルチビーム電子光学系。
【0146】
[0162] 条項18.回路は、フィードバックレジスタの抵抗値を決定するために電位を印加するように構成された電位印加器を含む、条項16又は17に記載のマルチビーム電子光学系。
【0147】
[0163] 条項19.電位印加器は、電位を出力するように構成されたデジタル/アナログ変換器を含む、条項18に記載のマルチビーム電子光学系。
【0148】
[0164] 条項20.回路は、それぞれの検出器素子のための複数の増幅器の各々について、電位印加器による電位の印加を順番に制御するように構成されたマルチプレクサを含む、条項18又は19に記載のマルチビーム電子光学系。
【0149】
[0165] 条項21.検出器アレイは、サンプルから放出された荷電粒子を受け取るように構成された金属部材を含む、先行する条項の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【0150】
[0166] 条項22.検出器アレイは、シンチレータ又はPIN素子のアレイを含む、条項1~20の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【0151】
[0167] 条項23.回路の少なくとも素子は、検出器アレイに関連付けられる、先行する条項の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【0152】
[0168] 条項24.回路の少なくとも素子は、検出器アレイに構造的に一体化される、先行する条項の何れか一項に記載のマルチビーム電子光学系。
【0153】
[0169] 条項25.複数のサブビームを用いてサンプル表面を評価する方法であって、対物レンズアレイアセンブリを使用することにより、サブビームをサンプルの表面に投影することと、対物レンズアレイアセンブリに関連付けられた検出器アレイにより、サンプルから放出された荷電粒子を検出することと、増幅器により、検出器アレイからの信号を増幅することと、を含み、増幅器は、検出器アレイからの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成され、好ましくは、検出器アレイは、複数の検出器素子を含み、好ましくは、各検出器素子は、複数の荷電粒子ビームのそれぞれの荷電粒子ビームに関連付けられ、対物レンズアレイアセンブリは、好ましくは、制御レンズアレイを含み、各制御レンズは、対物レンズアレイの対物レンズに関連付けられ、検出器アレイは、複数の対物レンズとサンプルとの間にあるか、又は複数の対物レンズは、検出器アレイとサンプルとの間にあり、好ましくは、検出器アレイは、対物レンズアレイ内にあり、好ましくは、検出器アレイの検出器素子は、マルチビームアレイの経路にあり、好ましくは、検出器素子は、マルチビームのそれぞれの荷電粒子ビームの経路の周囲に及び/又はそれに隣接して関連付けられる、方法。
【0154】
[0170] 条項26.複数のサブビームを用いてサンプル表面を評価する方法であって、サブビームをサンプルの表面に投影することと、検出器アレイにより、サンプルから放出された電流荷電粒子を、その電荷を参照することによって検出することと、増幅器により、検出器アレイからの信号を増幅することと、を含み、増幅器は、検出器アレイからの信号の増幅を調整するために調整可能であるように構成される、方法。
【0155】
[0171] 条項27.荷電粒子評価ツールからのデータから形成されるサンプルの画像であって、荷電粒子評価ツールのそれぞれの検出器からのデータから形成される複数の画像エリアであって、データは、サンプルのそれぞれのエリアから放出される荷電粒子の電流を示す、複数の画像エリアを含み、画像エリアは、サンプルから放出される荷電粒子の異なる電流に対応して同じ数の階調を含む、画像。
【0156】
[0172] 本明細書及び例は、単なる例示と見なされ、本発明の真の範囲及び趣旨は、本明細書で提供される以下の特許請求の範囲及び条項によって示されることが意図される。
【国際調査報告】