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特表2023-5515241-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸を含む経口用製剤、およびその製造方法
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  • 特表-1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸を含む経口用製剤、およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-08
(54)【発明の名称】1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸を含む経口用製剤、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4155 20060101AFI20231201BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A61K31/4155
A61P1/04
A61P3/10
A61P9/04
A61P9/12
A61P13/12
A61P19/02
A61P19/06
A61P29/00
A61K9/20
A61K47/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532829
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 KR2021017843
(87)【国際公開番号】W WO2022119270
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0165790
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソク・チョル・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジュミュン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】リ・スン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ア・ソ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC04
4C076CC09
4C076CC11
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC21
4C076DD28C
4C076DD29C
4C076DD47C
4C076EE16B
4C076EE31A
4C076FF02
4C076FF06
4C076FF09
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA52
4C086NA20
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA68
4C086ZA81
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZC31
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩から選択されるAPIを高含有量で含む経口用製剤に関する。
本発明による経口用製剤は、賦形剤中に流動化剤を含むことにより、高い含量をもって物理的性質に優れる特徴を有するため、経済性、服用の利便性が増大することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩から選択される活性製薬成分(API);および流動化剤を含む、経口用製剤。
【請求項2】
前記流動化剤は、コロイダル二酸化ケイ素、含水二酸化ケイ素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の経口用製剤。
【請求項3】
前記流動化剤の含有量は、製剤総重量を基準にして0重量%超過であり、1重量%未満である、 請求項2に記載の経口用製剤。
【請求項4】
前記流動化剤の含有量は、製剤総重量を基準にして0.2~0.8重量%である、請求項3に記載の経口用製剤。
【請求項5】
前記経口用製剤は、希釈剤、崩壊剤、結合剤および滑沢剤の中から選択される1つ以上の賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の経口用製剤。
【請求項6】
前記APIの含有量は、製剤総重量を基準にして30~55重量%である、請求項1に記載の経口用製剤。
【請求項7】
前記APIの含有量は、製剤総重量を基準にして40~50重量%である、請求項6に記載の経口用製剤。
【請求項8】
前記APIの含有量は、単位剤形当たり、50mg、100mg、200mg、または300mgである、請求項1に記載の経口用製剤。
【請求項9】
前記APIの含量は、97%以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の経口用製剤。
【請求項10】
i) APIとして1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩;と、流動化剤としてSiO2を混合して第1混合物を製造する段階;
ii) 薬学的に許容可能な賦形剤を混合して第2混合物を製造する段階;および
iii) 前記第1混合物と第2混合物を経口用製剤を製剤化する段階を含む、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩を含む経口用製剤の製造方法。
【請求項11】
前記流動化剤の含有量は、製剤総重量を基準にして0.2~0.8重量%である、請求項10に記載の経口用製剤の製造方法。
【請求項12】
前記APIの含有量は、製剤総重量を基準にして40~50重量%である、請求項10に記載の経口用製剤の製造方法。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項の製造方法により製造された、前記APIの含量が97%以上である、経口用製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月1日付韓国特許出願第10-2020-0165790号に基づいた優先権の利益を主張し、該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、体内尿酸沈着を防ぐことができるキサンチンオキシダーゼ(xanthine oxidase)阻害剤として有用な1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩から選択される活性製薬成分(API)を高含有量で含みながらも、物性に優れた経口用製剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
キサンチンオキシダーゼ(xanthine oxidase)は、ヒポキサンチン(hypoxanthine)をキサンチン(xanthine)に転換させ、また形成されたキサンチンを尿酸に転換させる酵素である。体内に尿酸が過渡に多く存在する場合、通風などを含む様々な疾患を引き起こすことが知られている。
【0004】
したがって、キサンチンオキシダーゼの活性を阻害する物質は、高尿酸血症、通風、心不全症、心血管系疾患、高血圧、糖尿病、腎疾患、関節疾患、炎症性腸疾患などのようなキサンチンオキシダーゼ関連疾患を効果的に治療することができる。
【0005】
一方、キサンチンオキシダーゼの活性を阻害する物質に関連して、韓国特許公報 第1751325号(特許文献1)では、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸および前記化合物の製造方法を提供しており、韓国特許公報 第1424013号(特許文献2)では、多様な溶媒を用いて得た多様な種類の結晶形およびその製造方法を提供している。
【化1】
【0006】
しかし、前記1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性製薬成分(API)として含む経口用製剤に対しては報告されたことがなく、特に、前記APIを高含有量で含む経口用製剤に関しては報告されたことがない。
【0007】
高含有量のAPIを含む製剤は、一般的に流動性、打錠性に優れるといえないので、かかる欠点を克服するために、湿式顆粒あるいは乾式顆粒法を用いるか、賦形剤の量を増やしてAPIの割合を低下させる方法で製造することが一般的である。
【0008】
しかし、前記高含有量製剤は、流動性の改善のための顆粒化工程を進むことにより、製造時間及び生産単価が高くなる可能性があるだけでなく、賦形剤の量を増加させることで、製剤の総重量及び体積を増加させて、生産単価の上昇及び患者の服用性を低下させるという問題がある。また、前記高含有量の製剤を製造するために顆粒化工程を付加するか、賦形剤の量を増加させるとしても、賦形剤および高含有量のAPI間の不均衡によって製剤含量に影響を与えることができることは、当該技術分野における通常の知識を有する者の技術常識である。
【0009】
したがって、高含有量の1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含みながらも、物性に優れた経口用製剤の開発が必要な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国特許公報 第1751325号(2017.06.21.)、キサンチンオキシダーゼ阻害剤として効果的な新規化合物、その製造方法およびそれを含有する薬剤学的組成物
【特許文献2】韓国特許公報 第1424013号(2014.07.22.)、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸の結晶形とその製造方法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
過量の1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含みながらも、優れた物性を有する経口用製剤を導き出すことが本発明の解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩から選択されるAPIおよび賦形剤を含み、特に、前記賦形剤中に流動化剤を含むことにより、優れた物性を有する経口用製剤および前記経口用製剤の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の経口用製剤に含まれる流動化剤は、コロイダル二酸化ケイ素、含水二酸化ケイ素およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるSiO2であり、前記流動化剤の製造当たり含有量は、製剤総重量を基準にして0.2~1重量%、または0.2~0.8重量%である。
【0014】
本発明の経口用製剤に含まれるAPIの含有量は、製剤総重量を基準にして30~50重量%である。
【0015】
本発明の経口用製剤のAPI含量は95%以上である。
【0016】
本発明の経口用製剤は、高尿酸血症、通風、心不全症、心血管系疾患、高血圧、糖尿病、腎疾患、炎症および関節疾患、炎症性腸疾患からなる群より選択されるキサンチンオキシダーゼ関連疾患の治療または予防に使用される。
【発明の効果】
【0017】
本発明による1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含む経口用製剤は、賦形剤中に流動化剤を含むことにより、高いAPI含有量にも拘らず物性に優れ、高い製剤含量が維持される。
【0018】
また、本発明による経口用製剤は、APIである1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩を高含有量で含むことにより、経済的であるだけでなく、服用の利便性を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】流動化剤(SiO2)の含有量による単位錠剤当たりAPI含量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0021】
本発明で使用されるすべての技術用語は、別途定義されない限り、本発明の関連分野における通常の知識を有する者が一般的に理解するものと同じ意味で使用される。また、本明細書には好ましい方法や試料が記載されるが、これと類似または同等のものも本発明の範疇に含まれる。本明細書に参考文献として記載されるすべての刊行物の内容は、全体が本明細書に参考として統合される。
【0022】
本発明者らは、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含む経口用製剤において、APIの含有量を高め、物性を維持または高めるために、多様な方法で研究を持続した結果、賦形剤中に流動化剤を含む物性に優れながらも、高いAPI含量を有する経口用製剤を開発した。
【0023】
この場合、流動化剤を含まない経口用製剤に比べて過量のAPIを含有しても、錠剤(裸錠)に剤形化したとき、物理的性質が維持されるため、API含有量の増加による賦形剤の含有量を増加させる必要がないので、製剤のサイズを増加させることなく、服用の利便性が増大した高含有量の経口用製剤を作製できるだけでなく、経済的という利点がある。また、高いAPI含量を有するため、最終製品の品質も優れるという利点がある。
【0024】
したがって、本発明は、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩から選択されるAPIを高含有量で含み、賦形剤中に流動化剤を含む経口用製剤を提供する。
【0025】
本発明において「薬学的に許容される塩」とは、化合物が投与される有機体に深刻な刺激を引き起こさず、化合物の生物学的活性と物性を損なわない、化合物の塩の形態を意味する。本発明の経口用製剤に含まれたAPIである1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸は、通常の方法によりその塩に転換させることができる。
【0026】
本発明において、「API含有量」は製剤または錠剤内のAPIの量を意味する。
【0027】
錠剤または顆粒型カプセルなどの経口用製剤において、飲み込みが容易になるように高含有量のAPIを含んでも単位剤形当たりのサイズを最小化することが一般的であるが、APIを高含有量で含む場合、一般的に流動性及び打錠性などの物性が阻害されるばかりか、高含有量のAPIおよび各賦形剤の不均衡により、製剤の含量に影響を与える可能性があるということが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者の技術常識である。
【0028】
実際に、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸をAPIとして含む経口用製剤において、薬学的に許容される物性を有する経口用製剤(特に、錠剤)において、APIの許容可能な含有量は30%内外に過ぎず、それ以上の含有量を含む場合、打錠性などの物理的性質が急激に低下するという問題点があった。
【0029】
本発明では、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩から選択されるAPIを高含有量で含みながらも、物理的安定性に優れるまたは良好な経口用製剤に対して多様な賦形剤を組み合わせて多角度の研究を行った。
その結果、賦形剤として流動化剤を含む場合、高含有量のAPIを含むに拘わらず、物理的安定性に優れるだけでなく、高い含量を有する経口用製剤を開発した。
【0030】
したがって、本発明の一実施態様は、i)1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩をAPIとして、ii)賦形剤中に流動化剤を含む経口用製剤を提供する。
【0031】
本発明において、前記流動化剤は、製剤総重量を基準にして0重量%超過1重量%未満、0.1重量%以上1重量%未満、0.2重量%以上1重量%未満、0重量%超過0.9重量%以下、0.1重量%以上0.9重量%以下、0.2重量%以上0.9重量%以下、0重量%超過0.8重量%以下、0.1重量%以上0.8重量%以下、または0.2重量%以上0.8重量%以下で含まれてもよい。また、前記流動化剤は、製剤総重量を基準にして0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、または0.9重量%で含まれてもよい。
【0032】
本発明において、流動化剤は、コロイダル二酸化ケイ素、含水二酸化ケイ素、タルクおよびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。但し、流動化剤として、タルク(Talc)を使用する場合、錠剤に剤形化するとき、硬度が減少し、磨損度が増加する傾向を示すので、流動化剤としては、コロイダル二酸化ケイ素、含水二酸化ケイ素、またはこれらの組み合わせのようなSiO2系を使用することが望ましい。
【0033】
本発明において、前記経口用製剤は、賦形剤として、薬学的に許容可能な希釈剤(diluent)、崩壊剤(disintegrant)、結合剤(binder)、安定化剤(stabilizer)、および滑沢剤(lubricant)などから選択される1つ以上の賦形剤をさらに含む。
【0034】
前記希釈剤、崩壊剤、結合剤、安定化剤及び滑沢剤などの賦形剤は、当該技術分野において通常使用されるものと公知されている任意のものを使用することができる。前記希釈剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、30~50重量%、40~50重量%、または45~50重量%の含有量で使用されてもよい。前記崩壊剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、1~30重量%、1~20重量%、1~10重量%、または1~5重量%の範囲の含有量で使用されてもよい。前記結合剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、1~30重量%、1~20重量%、1~10重量%、または1~5重量%の範囲の量で使用されてもよい。前記安定化剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、0.1~10重量%、0.3~5重量%、または0.5~4重量%の範囲の量で使用されてもよい。前記滑沢剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、0.1~10重量%、0.3~5重量%、または0.5~4重量%の範囲の量で使用されてもよい。
【0035】
例えば、前記希釈剤は、微結晶セルロース(microcrystalline cellulose; MCC)、ラクトース一水和物、ラクトース無水物、乳糖、澱粉、マンニトール、カルボキシメチルセルロース、ソルビトール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。前記崩壊剤は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、F-melt(登録商標)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。前記結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニル酢酸、ポビドン、ポリビニルピロリドン、コポビドン、マクロゴール、ラウリル硫酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウムまたはマグネシウムメタシリケートアルミネートのようなケイ酸塩誘導体、リン酸水素カルシウムのようなリン酸塩、炭酸カルシウムのような炭酸塩、α化澱粉、アカシアガムのようなガム類、ゼラチン、エチルセルロースのようなセルロース誘導体、およびこれらの混合物からなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。前記安定化剤は、BHT、BHA、アスコルビン酸、トコフェロール、EDTAおよびその混合物からなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、軽質無水ケイ酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。
【0036】
前記経口用製剤は、1日1回投与することができ、毎日服用できる。
【0037】
前記経口用製剤に含まれるAPIの含有量は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、30~50重量%、35~50重量%、40~50重量%、45~50重量%、30~45重量%、35~45重量%、40~45重量%、30~40重量%、または35~40重量%である。
【0038】
また、前記APIは、単位剤形当たり、例えば、50~500mg、50~400mg、50~300mg、50~200mg、50~100mg、100~500mg、100~400mg、100~300mg、100~200mg、200~500mg、200~400mg、200~300mg、300~500mg、または300~400mgを含んでもよい。
【0039】
前記APIは、単位剤形当たり、例えば、50mg、100mg、150mg、200mg、300mg、400mg、または455mgを含んでもよい。
【0040】
本発明の製剤に含まれたAPI含量は、95%~105%、96%~105%、97%~105%、98%~105%、99%~105%、100%~105%、95%~100%、96%~100%、97%~100%、または99%~100%で含まれてもよい。また、前記API含量は、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上で含まれてもよく、105%以下、104%以下、103%以下、102%以下、101%以下、または100%以下で含まれてもよい。
【0041】
前記「API含量」は、単位剤形当たり含まれたAPI含有量のうち不純物を除外した純粋なAPIの含量を意味する。具体的には、APIの純度と同じ意味になることもある。
【0042】
本発明は、i)1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩から選択されるAPI、および流動化剤を混合して第1混合物を調製する段階;ii)薬学的に許容可能な賦形剤を混合して第2混合物を製造する段階;およびiii)前記第1混合物と第2混合物を経口用製剤に製剤化する段階;を含む1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩を含む経口用製剤の製造方法を提供する。
【0043】
前記本発明の製造方法において、第1混合物および第2混合物のそれぞれを製造する段階は、混合(mixing)後、製粉(milling)する段階を含む。
【0044】
前記本発明の製造方法において、第1混合物に含まれる流動化剤は、コロイダル二酸化ケイ素、含水二酸化ケイ素およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるSiO2を含む。
【0045】
前記本発明の製造方法において、第2混合物に含まれる薬学的に許容可能な賦形剤は前述した賦形剤を選択的に含む。
【0046】
前記本発明の製造方法によって製造された製剤のAPIの含有量及び含量は、前述した本発明の経口用製剤のAPI含有量及び含量と同一である。
【0047】
前記経口用製剤は、当該技術分野に公知の任意の錠剤製造方法または顆粒製造方法などによって剤形化することができる。
【0048】
また、本発明は、前記1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸またはその薬学的に許容可能な塩をAPIとして流動化剤を含む経口用製剤を用いたヒトキサンチンオキシダーゼ関連疾患を治療または予防する方法を提供する。
【0049】
本発明の「ヒトキサンチンオキシダーゼ関連疾患」とは、ヒトキサンチンオキシダーゼを阻害することによって治療または予防できる疾患であり、例えば、高尿酸血症、通風、心不全症、心血管系疾患、高血圧、糖尿病、糖尿病関連合併症、腎疾患、関節疾患、または炎症性腸疾患などが挙げられるが、これらに限定されない。前記糖尿病関連合併症の例としては、高脂血症、動脈硬化、肥満、高血圧、網膜症、腎不全症などが挙げられる
【0050】
前記「治療」とは、発病症状を示すオブジェクトに使用されるとき、疾患の進行を中断または遅延させることを意味し、前記「予防」とは、発病症状を示さないが、そういう危険性の高いオブジェクトに使用されるとき、発症兆候を中断または遅延させることを意味する。
【0051】
別途示さない限り、本明細書および特許請求の範囲に使用されるすべての数字は、言及有無に関係なく、すべての場合に、用語「約」により修飾できるものと理解されるべきである。また、本明細書及び特許請求の範囲に使用される精密な数値は、本開示内容の追加の実施態様を形成するものと理解されるべきである。実施例に開示された数値の精度を保証するための努力を傾けた。しかし、測定されたすべての数値は、内在的に、それぞれの測定手法で実測された標準偏差から生じた特定の誤差を含有する可能性がある。
【0052】
[実施例および試験例]
実施例および比較例における各種評価は、次の通り実施した。
【0053】
[流動性分析]
実施例及び比較例の裸錠を製造するための混合物(粉末)の嵩密度(bulk density)とタップ密度(tapped density)を測定した。嵩密度は、メスシリンダーに約50gの顆粒粉末を入れた場合の体積であり、タップ密度は一定の高さでメスシリンダーを底に軽く100回叩いた後、それ以上体積変化がないときの体積を測定した。嵩密度は一定の質量の粉末が占める体積を意味し、総体積として粉末の体積と粒子との間の空隙の体積を合わせたものを意味する。
【0054】
混合物の流動性(flowability)は、Jinapong et al (2008)の方法により、前記にて測定した嵩密度とタップ密度を用いて式(1)のカール指数で計算した。
【0055】
【数1】
【0056】
カール指数は、粉末の圧縮性の尺度であり(タップ密度-嵩密度)/タップ密度のパーセントで定義される。前記指数が高いほど、粉末はより圧縮性であり、流動性がよくないことを意味する。
【0057】
下記表は、カール指数による粉末の流動性分類を示したものである。
【0058】
【表1】
【0059】
[硬度及び摩損度の分析]
硬度及び摩損度は、打錠後の錠剤(裸錠)のハンドリング及びコーティング固定で錠剤の摩損などを予測できる指標として使用される。
【0060】
摩損度試験の場合、約5gに近い量を取り、錠剤に付着している粉を除外し、質量を精密に測定した後、摩損度試験機のドラムに入れる。ドラムを100 回転した後、錠剤を取り出し、最初と同様に錠剤に付着している粉を除去した後、質量を精密に測定する。
摩損度(%)=(試験前質量-試験後質量)/(試験前質量)×100
【0061】
硬度試験の場合、テーブル硬度測定機に錠剤1錠を入れて硬度を測定し、この方法で10錠を繰り返して平均硬度を使用する。
【0062】
[崩壊時間の分析]
崩壊時間は、剤形を摂取した後、体内における溶出および吸収に影響を与える指標である。
【0063】
崩壊試験機に精製水を十分に入れた後、37±2℃に合わせる。検体4錠を崩壊試験機のガラス各管にそれぞれ入れ、規定の方法で作動させ、錠剤が完全に崩壊して消える時点の時間をそれぞれ測定し、その平均値を使用する。
【0064】
[含量の分析]
製剤化された製剤の含量を評価しようと含量試験を進めた。含量は、最終製品の重要な品質特性であって、裸錠のAPI平均含量を測定した。
【0065】
<分析条件>
移動相の調製:アセトニトリル(500ml)+精製水(500ml)+TFA(1ml)
希釈液の調製:メタノール(900ml)+精製水(100ml)
標準液及び検液の調製:標準品及び検体を希釈液で完全に溶解した後、下記UPLC分析法に従って分析する。
【0066】
カラム:Waters CSH C18(2.1mm I.D. X 100mm L, Particle size 1.7μm)
カラム温度:40°C
移動相:アセトニトリル/H2O/TFA = 500/500/1(v/v/v)
流速:0.35ml/min
検出:258nm uv
サンプル量:1μl
分析時間:6分
【0067】
[溶出率の分析]
大韓薬典第10改正溶出試験法によって下記実施例及び比較例の裸錠を溶出試験した。溶出法はパドル法を使用し、撹拌速度は50rpm、溶出温度は37±0.5℃で行った。溶出液はpH 6.8 リン酸塩緩衝液900mlで実施した。
【0068】
分析条件は、前記溶出試験で得られた液を0.45μmメンブレンフィルターで濾過した液をUPLC法を用いてAPIである1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸の濃度を分析した。
【0069】
<分析条件>
分析条件は含量分析方法と同一である。
【0070】
[実施例1~8および比較例1]
実施例1~8及び比較例1の製剤は、下記表2~4に記載された成分を該含有量で使用して錠剤(裸錠)に製造した。
【0071】
具体的には、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸(API)および流動化剤を混合(mixing)後、製粉(milling)して第1混合物を製造する。第1混合物に含まれない成分である希釈剤、崩壊剤及び滑沢剤を混合した後、製粉して第2混合物を製造する。
【0072】
流動化剤を含む実施例1~8の場合、第1混合物と第2混合物を混合した後、ロータリー打錠機(Modul P, GEA, Belgium)を用いて予圧:5.0kN、本圧:14~15kNの条件で打錠を進み裸錠を製造し、流動化剤を含まない比較例1は、混合物1を製造する工程を省略して、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸(API)とすべての賦形剤を混合した後に製粉化し、実施例1などと同じ方法で打錠を行い、裸錠を製造した。(流動化剤としては、コロイダル二酸化ケイ素を使用した場合は「SiO2」と示す。希釈剤として用いたMCC 102は微結晶セルロース成分である。滑沢剤として使用したPRUV(登録商標)は商品名で、Sodium stearyl fumarate成分である。)
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
試験例1.流動化剤含有量による製剤の特性分析
1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸をAPIとして含む経口用製剤において、賦形剤としてのSiO2流動化剤の含有有無及び含有量に応じた物性を前述した分析方法により分析した。
【0077】
具体的には、製剤化前の混合物状態の物性(嵩密度、タップ密度及びカール指数)及び前記混合物を打錠した後、裸錠状態の物性(硬度、脆性、崩壊時間、含量及び溶出率)を分析し、その結果を下記表5にまとめた。
【0078】
裸錠を製造する前の混合物の状態では、流動化剤(SiO2)の含有有無及び含有量による嵩密度とタップ密度及びカール指数は有意な差を示さなかった。
【0079】
つまり、従来の薬学的製剤に流動化剤を添加すると流動性が良くなると知られていたが、本発明のAPI(1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸)では、流動化剤を含んでも流動性が有意に増加することはなかった。
【0080】
しかし、裸錠の硬度及び摩損度を測定した結果、SiO2を含まない場合(比較例1)に比べ、SiO2を含む場合(実施例1~4)、硬度が6.7kP以上であって、裸錠の目標硬度である6.0kPをすべて満たした。一方、比較例1の場合、前記裸錠の目標硬度に満たない5.4kPに過ぎず、錠剤に製剤化するには不適合であった(表5)。
【0081】
また、裸錠のAPI含量を測定した結果、下記表6および図1に示すように、比較例1の場合、平均含量は95.3%であり、SiO2を0.2~0.8重量%で含む場合、最大98.8~99.4%まで増加するが(実施例1~3)、SiO2を1重量%含有する実施例4の場合、比較例1と類似する94.8%まで減少するため、好ましいSiO2の含量範囲は、製剤総重量を基準にして0.2~0.8重量%であることが分かる。
【0082】
次に、溶出率の場合、比較例1の場合、低い硬度を有するため、早期に速い溶出を示すが、その以後には、一定の溶出率を示す。しかし、SiO2を含む場合、一定に増加する傾度を示し、特に、実施例2(0.5重量%SiO2)の場合、60分の溶出率が最も高い傾向を示した(表5)。
【0083】
【表5】
【0084】
試験例2.流動化剤の種類による製剤の特性分析
流動化剤の種類による特性を分析するために、前記最も良い物性を示した実施例2で流動化剤の含有量(0.5重量%)は維持したまま、SiO2をTalcに変更した実施例5の物性を分析した。
【0085】
下記表6に記載されたように、裸錠を製造する前の混合物の状態で流動化剤としてタルクを含む実施例5の場合、嵩密度は実施例2、比較例1と比較して差を示さなかったが、カール指数は28%と計算された。したがって、実施例5の場合、カール指数が「Poor」カテゴリーであって直打工程に適していない。また、実施例5の場合、裸錠の硬度が5.1kPで目標硬度である6.0kPに満たしていないだけでなく、摩損度もまた実施例2に比べて3倍程度高い数値を示すので、錠剤に適していない物性を有する。
【0086】
実施例5の平均含量も実施例2に比べて低下したことが分かる。
【0087】
したがって、流動化剤としてSiO2を使用する場合、タルクに比べて全般的な物性が向上することが分かる。
【0088】
【表6】
【0089】
試験例3.API含有量による特性分析
50重量%以上のAPIを含む錠剤を製造するために、実施例2の含有量(45.5重量%)を基準にしてAPI含有量の増加(実施例6~8)による特性を分析した。
【0090】
表7によると、API含有量が増加するほど希釈剤に比べてAPIの密度が高くなるので、API含有量が増加するほど嵩密度が多少増加する傾向を示すが、流動性自体は有意な差を示さない。
【0091】
しかし、API含有量が増加するほど打錠性の減少(錠剤圧縮性の減少)により、裸錠の硬度が弱くなり、摩損度が増加し、特に、実施例8(API含有量:60重量%)では3.0kPの硬度、0.2%以上の摩損度を示すので、錠剤に剤形化するには不適合であった(表7)。
【0092】
また、裸錠のAPI含量を測定した結果、実施例2、6、7では99%以上の平均含量を示すことに対し、実施例8では94.6%の平均含量を示した(表7)。
【0093】
まとめると、APIの含有量が55重量%以下では99%以上の平均含量を示すが、60重量%の場合、平均含量は94.6%に顕著に低下し、APIの含有量が50%以上の場合、含量は優れても裸錠の硬度が低くなり、摩損度が増加するため、APIの含有量が55重量%以上の場合、錠剤に剤形化することは望ましくないことが分かる。
【0094】
【表7】
【0095】
以上、本発明について好ましい実施例を主にして説明した。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形で具現できることを理解できるだろう。したがって、前記開示された実施例は限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されるべきである。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に表れており、それと同等の範囲内にあるすべての相違点は、本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
【国際調査報告】