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特表2023-551813傾斜した角度を有する構造を形成するためのリソグラフィ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】傾斜した角度を有する構造を形成するためのリソグラフィ方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231206BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531501
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 US2021060520
(87)【国際公開番号】W WO2022115430
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/119,497
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュー, ヨンアン
(72)【発明者】
【氏名】フー, ジンシン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジェンハン
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
【テーマコード(参考)】
2H197
2H199
【Fターム(参考)】
2H197AB13
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA10
2H197HA10
2H197JA15
2H197JA17
2H199CA12
2H199CA53
2H199EA10
(57)【要約】
本開示は一般に、透明な基板上に配設されたナノ構造を備える光学装置を形成する方法に関する。ナノ構造を形成する第1のプロセスは、ガラス基板上に第1の材料の第1の層を堆積させることと、第1の層に1つまたは複数のトレンチを形成することと、第1の材料の第1の部分と第2の材料の第2の部分が交互に配された第1の交互層を形成するために、1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料の第2の層を堆積させることと、を含む。第1の交互層を覆って追加の交互層を形成するために、第1のプロセスは1回または複数回繰り返される。各交互層の各第1の部分は、隣り合う交互層の隣り合う第1の部分と接触させかつそこからある距離だけずらして配設される。第2のプロセスは、複数のナノ構造を形成するために、各交互層から第1の部分または第2の部分のいずれかを除去することを含む。
【選択図】図4C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィツールを使用して複数の傾斜したナノ構造を形成する方法であって、
第1のプロセスを実行することであり、
透明な基板の第1の表面上に第1の材料を含む第1の層を堆積させること、
1つまたは複数のトレンチを形成するために、前記第1の材料を含む前記第1の層の1つまたは複数の第1の部分を除去すること、ならびに、
前記1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料を含む第2の層を堆積させることで、その結果互いに接触して交互に配された前記第1の材料を含む第1の残存部分および前記第2の材料を含む第2の残存部分を備える第1の交互層が形成され、前記第2の材料は前記第1の材料とは異なっている、1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料を含む第2の層を堆積させること、を含む、第1のプロセスを実行することと、
前記第1のプロセスを1回または複数回繰り返すことであり、その結果前記第1の交互層を覆って1つまたは複数の追加の交互層が形成され、各交互層の各第1の残存部分は隣り合う交互層の隣り合う第1の残存部分と接触し、かつそこから第1の距離だけずらされる、前記第1のプロセスを1回または複数回繰り返すことと、
第2のプロセスを実行することであり、
各交互層から各第2の残存部分を除去すること、および、
各第1の残存部分の側壁をエッチングすることで、その結果前記側壁が平滑化されて前記第1の材料を含む前記複数の傾斜したナノ構造が形成され、前記複数の傾斜したナノ構造の各々は前記透明な基板の前記第1の表面から0°から約90°までの角度で配設される、各第1の残存部分の側壁をエッチングすること、を含む、第2のプロセスを実行することと、を含む、リソグラフィツールを使用して複数の傾斜したナノ構造を形成する方法。
【請求項2】
前記第1のプロセスは、前記交互層の合計が約20nmから約2μmまでの高さを有するまで1回または複数回繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各第1の残存部分は第1の幅を有し、前記第1の幅は前記第1の距離よりも大きく、前記第1の距離は約10nmから約200nmまでである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の材料はTi、Sb、Sn、Zr、Al、またはHfを含み、前記第2の材料は有機平坦化層、スピンオンガラス、SiN、またはSi含有材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各第1の残存部分の前記側壁はCHF、CH、CHF、CF、またはOを使用してエッチングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
各交互層は約10nmから約100μmまでの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記リソグラフィツールはg線、h線、i線、248nm、193nm、193nm液浸、または極端紫外線リソグラフィツールである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
リソグラフィツールを使用して複数の傾斜したナノ構造を形成する方法であって、
第1のプロセスを実行することであり、
透明な基板の上に第1の材料を含む第1の層を堆積させること、
1つまたは複数のトレンチを形成するために、前記第1の材料を含む前記第1の層の1つまたは複数の第1の部分を除去すること、
前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む第2の層を前記第1の材料を覆って前記1つまたは複数のトレンチ内に堆積させること、ならびに、
前記第2の材料を含む前記第2の層をエッチングし平坦化することで、その結果互いに接触して配設されている前記第1の材料を含む第1の残存部分および前記第2の材料を含む第2の残存部分を備える第1の交互層が形成され、前記第1の交互層は約10nmから約100μmまでの厚さを有する、前記第2の材料を含む前記第2の層をエッチングし平坦化すること、を含む、第1のプロセスを実行することと、
前記第1のプロセスを1回または複数回繰り返すことであり、その結果前記第1の交互層を覆って1つまたは複数の追加の交互層が形成され、各交互層の各第2の残存部分は隣り合う交互層の隣り合う第2の残存部分と接触し、かつそこから第1の距離だけずらされて配設される、前記第1のプロセスを1回または複数回繰り返すことと、
第2のプロセスを実行することであり、
各交互層から各第1の残存部分を除去すること、および、
前記第2の材料を含む複数の傾斜したナノ構造を形成するために、各第2の残存部分の側壁をエッチングすること、を含む、第2のプロセスを実行することと、を含む、リソグラフィツールを使用して複数の傾斜したナノ構造を形成する方法。
【請求項9】
前記複数の傾斜したナノ構造の各々は、前記透明な基板の第1の表面から0°から約90°までの角度で配設される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各第2の残存部分は第1の幅を有し、前記第1の幅は前記第1の距離よりも大きく、前記第1の距離は約10nmから約200nmまでである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の材料はTi、Sb、Sn、Zr、Al、またはHfを含み、前記第2の材料は有機平坦化層、スピンオンガラス、SiN、またはSi含有材料を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
各第2の残存部分の前記側壁はCHF、CH、CHF、CF、O、またはClを使用してエッチングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のプロセスは、前記交互層の合計が約20nmから約2μmまでの高さを有するまで1回または複数回繰り返される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記リソグラフィツールはg線、h線、i線、248nm、193nm、193nm液浸、または極端紫外線リソグラフィツールである、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
リソグラフィツールを使用して複数の傾斜したナノ構造を形成する方法であって、
第1のプロセスを実行することであり、
透明な基板の第1の表面上に第1の材料を含む第1の層を堆積させることで、前記第1の材料はTi、Sb、Sn、Zr、Al、またはHfを含む、透明な基板の第1の表面上に第1の材料を含む第1の層を堆積させること、
1つまたは複数のトレンチを形成するために、前記第1の材料を含む前記第1の層の1つまたは複数の第1の部分を除去すること、ならびに、
1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料を含む第2の層を堆積させることで、その結果互いに接触して交互に配された前記第1の材料を含む第1の残存部分および前記第2の材料を含む第2の残存部分を備える第1の交互層が形成され、前記第2の材料は有機平坦化層、スピンオンガラス、SiN、またはSi含有材料を含む、1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料を含む第2の層を堆積させること、を含む、第1のプロセスを実行することと、
前記第1のプロセスを1回または複数回繰り返すことであり、その結果前記第1の交互層を覆って1つまたは複数の追加の交互層が形成され、各交互層の各第1の残存部分は隣り合う交互層の隣り合う第1の残存部分と接触し、かつそこから第1の距離だけずらされて配設され、各第1の残存部分は第1の幅を有し、前記第1の幅は前記第1の距離よりも大きい、前記第1のプロセスを1回または複数回繰り返すことと、
第2のプロセスを実行することであり、
前記複数の傾斜したナノ構造を形成するために、各交互層から各第1の残存部分または各第2の残存部分のいずれかを除去すること、および、
前記複数の傾斜したナノ構造の各々の側壁を前記側壁を平滑にするためにエッチングすること、を含む、第2のプロセスを実行することと、を含む、リソグラフィツールを使用して複数の傾斜したナノ構造を形成する方法。
【請求項16】
前記複数の傾斜したナノ構造の各々は、前記透明な基板の前記第1の表面から0°から約90°までの角度で配設される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の距離は約10nmから約200nmまでであり、各交互層は約10nmから約100μmまでの厚さを有し、前記第1のプロセスは前記交互層の合計が約20nmから約2μmまでの高さを有するまで1回または複数回繰り返される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記リソグラフィツールはg線、h線、i線、248nm、193nm、193nm液浸、または極端紫外線リソグラフィツールである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のプロセスを実行することは各交互層から各第1の残存部分を除去することを含み、各第2の残存部分の前記側壁はCHF、CH、CHF、CF、O、またはClを使用してエッチングされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のプロセスを実行することは各交互層から各第2の残存部分を除去することを含み、各第1の残存部分の前記側壁はCHF、CH、CHF、CF、またはOを使用してエッチングされる、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は一般に、透明な基板上に配設されたナノ構造を備える光学装置を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想現実とは一般に、コンピュータによって生成される、ユーザが中で見かけ上の物理的存在を有する模擬的環境と考えられる。仮想現実体験は3Dで生成することができ、実際の環境を置き換えた仮想現実環境を表示するためのニアアイディスプレイパネル、例えばレンズを有する、眼鏡または他のウェアラブルディスプレイデバイスなどのヘッドマウントディスプレイ(HMD)で見ることができる。
【0003】
拡張現実はまた、ユーザが眼鏡または他のHMDデバイスの表示レンズを通して周囲の環境を見ることのできる体験を可能にするが、ユーザが表示用に生成され環境の一部として現れる仮想オブジェクトの画像を見ることも可能にする。拡張現実は、音声入力および触覚入力などのあらゆるタイプの入力、ならびに、ユーザが体験する現実の環境を補強または拡張する視覚的な画像、グラフィックス、およびビデオを含み得る。新興の技術として、拡張現実には多くの課題および設計上の制約がある。
【0004】
そのような課題の1つは、仮想画像を周囲環境に重ね合わせて表示することである。画像の重ね合わせを補助するために、複数のナノ構造を備える導波路が使用される。生成された光は導波路を通って伝播し、この光は最終的に導波路を出て周囲環境に重ね合わされる。複数のナノ構造のサイズに起因して、形成プロセスを正確に制御することは困難である。図1A図1Bは、一実施形態に係る、導波路100の複数のナノ構造108を形成する従来の方法を示す図である。図1Aでは、基板102の上面102a上に第1の材料104が堆積されている。第1の材料104上にパターニングされたハードマスク106が堆積される。
【0005】
図1Bでは、ハードマスク106によって覆われていない第1の材料104の部分112がイオンビーム110を使用して除去またはエッチングされて、複数の傾斜したナノ構造108が形成される。本明細書で使用する場合、傾斜したとは、xy方向に角度がついているなど、x軸およびy軸の両方からずらされた角度を指す。言い換えれば、複数の傾斜したナノ構造108は、基板の上面102aに対して平行でも垂直でもない。複数のナノ構造108の傾斜プロファイルはイオンビーム110の角度によって制御されるが、この制御は困難であり、各ナノ構造108がx方向全体にわたって一貫した厚さまたは幅を有することを保証するために、しばしばオーバーエッチングが必要となる。その場合、オーバーエッチングによって基板102の部分114が意図せず除去される可能性がある。
【0006】
したがって当技術分野では、ナノ構造を形成する改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は一般に、透明な基板上に配設されたナノ構造を備える光学装置を形成する方法に関する。ナノ構造を形成する第1のプロセスは、ガラス基板上に第1の材料の第1の層を堆積させることと、第1の層に1つまたは複数のトレンチを形成することと、第1の材料の第1の部分と第2の材料の第2の部分が交互に配された第1の交互層を形成するために、1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料の第2の層を堆積させることと、を含む。第1の交互層を覆って追加の交互層を形成するために、第1のプロセスは1回または複数回繰り返される。各交互層の各第1の部分は、隣り合う交互層の隣り合う第1の部分と接触させかつそこからある距離だけずらして配設される。第2のプロセスは、複数のナノ構造を形成するために、各交互層から第1の部分または第2の部分のいずれかを除去することを含む。
【0008】
リソグラフィツールを使用して複数の傾斜したナノ構造を形成する方法は、透明な基板の第1の表面上に第1の材料の第1の層を堆積させることと、1つまたは複数のトレンチを形成するために、第1の材料の第1の層の1つまたは複数の第1の部分を除去することと、1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料の第1の層を堆積させることであって、その結果互いに接触して交互に配された第1の材料の第1の残存部分および第2の材料の第2の残存部分を備える第1の交互層が形成され、第2の材料は第1の材料とは異なっている、1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料の第1の層を堆積させることと、を含む、第1のプロセスを実行すること、を含む。方法は、第1のプロセスを1回または複数回繰り返すことであって、その結果第1の交互層を覆って1つまたは複数の追加の交互層が形成され、各交互層の各第1の残存部分は隣り合う交互層の隣り合う第1の残存部分と接触し、かつそこから第1の距離だけずらされて配設される、第1のプロセスを1回または複数回繰り返すこと、を更に含む。方法は、各交互層から各第2の残存部分を除去することと、各第1の残存部分の側壁をエッチングすることであって、その結果側壁が平滑化されて第1の材料を含む複数の傾斜したナノ構造が形成され、複数の傾斜したナノ構造の各々は透明な基板の第1の表面から0°から約90°までの角度で配設される、各第1の残存部分の側壁をエッチングすることと、を含む、第2のプロセスを実行すること、を更に含む。
【0009】
リソグラフィツールを使用して複数の傾斜したナノ構造を形成する方法は、透明な基板の上に第1の材料の第1の層を堆積させることと、1つまたは複数のトレンチを形成するために、第1の材料の第1の層の1つまたは複数の第1の部分を除去することと、第1の材料とは異なる第2の材料の第1の層を第1の材料を覆って1つまたは複数のトレンチ内に堆積させることと、第2の材料の第1の層をエッチングし平坦化することであって、その結果互いに接触して配設されている第1の材料の第1の残存部分および第2の材料の第2の残存部分を備える第1の交互層が形成され、第1の交互層は約10nmから約100μmまでの厚さを有する、第2の材料の第1の層をエッチングし平坦化することと、を含む、第1のプロセスを実行すること、を含む。方法は、第1のプロセスを1回または複数回繰り返すことであって、その結果第1の交互層を覆って1つまたは複数の追加の交互層が形成され、各交互層の各第2の残存部分は隣り合う交互層の隣り合う第2の残存部分と接触し、かつそこから第1の距離だけずらされて配設される、第1のプロセスを1回または複数回繰り返すこと、を更に含む。方法は、各交互層から各第1の残存部分を除去することと、第2の材料を含む複数の傾斜したナノ構造を形成するために、各第2の残存部分の側壁をエッチングすることと、を含む、第2のプロセスを実行すること、を更に含む。
【0010】
リソグラフィツールを使用して複数の傾斜したナノ構造を形成する方法は、透明な基板の第1の表面上に第1の材料の第1の層を堆積させることであって、第1の材料はTi、Sb、Sn、Zr、Al、またはHfを含む、透明な基板の第1の表面上に第1の材料を含む第1の層を堆積させることと、1つまたは複数のトレンチを形成するために、第1の材料の第1の層の1つまたは複数の第1の部分を除去することと、1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料の第1の層を堆積させることであって、その結果互いに接触して交互に配された第1の材料の第1の残存部分および第2の材料の第2の残存部分を備える第1の交互層が形成され、第2の材料は有機平坦化層、スピンオンガラス、SiN、またはSi含有材料を含む、1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料の第1の層を堆積させることと、を含む、第1のプロセスを実行すること、を含む。方法は、第1のプロセスを1回または複数回繰り返すことであって、その結果第1の交互層を覆って1つまたは複数の追加の交互層が形成され、各交互層の各第1の残存部分は隣り合う交互層の隣り合う第1の残存部分と接触し、かつそこから第1の距離だけずらされて配設され、各第1の残存部分は第1の幅を有し、第1の幅は第1の距離よりも大きい、第1のプロセスを1回または複数回繰り返すこと、を更に含む。方法は、複数の傾斜したナノ構造を形成するために、各交互層から各第1の残存部分または各第2の残存部分のいずれかを除去することと、複数の傾斜したナノ構造の各々の側壁をこの側壁を平滑にするためにエッチングすることと、を含む、第2のプロセスを実行すること、を更に含む。
【0011】
上に列挙した本開示の特徴の様式を詳細に理解できるように、実施形態を参照して上で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明を行うことができ、それら実施形態のうちのいくつかが付属の図面に図示されている。ただし、付属の図面は例示的な実施形態のみを図示しており、したがってその範囲を限定するものとみなすべきではなく、他の等しく有効な実施形態を許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】一実施形態に係る、導波路の複数のナノ構造を形成する従来の方法を示す図である。
図1B】一実施形態に係る、導波路の複数のナノ構造を形成する従来の方法を示す図である。
図2A】開示される実施形態に係る、ナノ構造ベースの形成の様々な図である。
図2B】開示される実施形態に係る、ナノ構造ベースの形成の様々な図である。
図2C】開示される実施形態に係る、ナノ構造ベースの形成の様々な図である。
図2D】開示される実施形態に係る、ナノ構造ベースの形成の様々な図である。
図2E】開示される実施形態に係る、ナノ構造ベースの形成の様々な図である。
図2F】開示される実施形態に係る、ナノ構造ベースの形成の様々な図である。
図2G】開示される実施形態に係る、ナノ構造ベースの形成の様々な図である。
図2H】開示される実施形態に係る、ナノ構造ベースの形成の様々な図である。
図3】一実施形態に係る、図2A図2Hのナノ構造ベースを形成する方法の図である。
図4A】開示される実施形態に係る、図2A図2Hのナノ構造ベースからナノ構造を形成する様々な図である。
図4B】開示される実施形態に係る、図2A図2Hのナノ構造ベースからナノ構造を形成する様々な図である。
図4C】開示される実施形態に係る、図2A図2Hのナノ構造ベースからナノ構造を形成する様々な図である。
図5A】開示される実施形態に係る、図2A図2Hのナノ構造ベースからナノ構造を形成する様々な図である。
図5B】開示される実施形態に係る、図2A図2Hのナノ構造ベースからナノ構造を形成する様々な図である。
図5C】開示される実施形態に係る、図2A図2Hのナノ構造ベースからナノ構造を形成する様々な図である。
図6A】一実施形態に係る、図4A図4Cのナノ構造を形成する方法の図である。
図6B】一実施形態に係る、図5A図5Cのナノ構造を形成する方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするために、可能な場合は、複数の図に共通する同一の要素には同一の参照符号を使用している。一実施形態の要素および特徴を、更に詳述することなく他の実施形態に有利に組み込むことのできることが企図されている。
【0014】
以下では本開示の実施形態について言及する。ただし本開示は記載される特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。代わりに、本開示を実施および実践するために、以下の特徴、要素、および実施形態の任意の組み合わせが企図される。更に、本開示の実施形態は他の可能な解決策および/または先行技術に対する利点を達成し得るが、所与の実施形態が特定の利点を達成するか否かによって本開示が限定されることはない。したがって、以下の態様、特徴、実施形態、および利点は単なる例示であり、請求項に明示的に記載されている場合を除き、添付の特許請求の範囲の要素または限定事項とはみなされない。同様に、「本開示」への言及は、本明細書に開示された何らかの発明の主題の一般化として解釈されるものではなく、また、請求項に明示的に記載されている場合を除き、添付の特許請求の範囲の要素または限定事項とみなされるものではない。
【0015】
本開示は一般に、透明な基板上に配設されたナノ構造を備える光学装置を形成する方法に関する。ナノ構造を形成する第1のプロセスは、ガラス基板上に第1の材料を含む第1の層を堆積させることと、第1の層に1つまたは複数のトレンチを形成することと、第1の交互層を形成するために1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料を含む第2の層を堆積させることであって、第1の交互層は第1の材料を含む第1の部分および第2の材料を含む第2の部分を含む、第1の交互層を形成するために1つまたは複数のトレンチ内に第2の材料を含む第2の層を堆積させることと、を含む。第1の交互層を覆って追加の交互層を形成するために、第1のプロセスは1回または複数回繰り返される。各交互層の各第1の部分は、隣り合う交互層の隣り合う第1の部分と接触させかつそこからある距離だけずらして配設される。第2のプロセスは、複数のナノ構造を形成するために、各交互層から第1の部分または第2の部分のいずれかを除去することを含む。
【0016】
図2A図2Hは、開示される実施形態に係る、ナノ構造ベース200の形成、または複数のナノ構造の形成における第1のプロセスの、様々な図を示す。ナノ構造ベース200は、図4A図6Bで更に後記するように、複数の傾斜した構造、例えば導波路を含むナノ構造を形成するために使用されることになる。図3は、一実施形態に係る、ナノ構造ベース200の形成、または複数のナノ構造の形成における第1のプロセスの、方法300を示す。このため図2A~2Hは図3とともに説明されている。方法300はリソグラフィツールを使用して実行される。例えば、使用可能なリソグラフィツールとしては、g線、h線、i線、248nm、193nm、193nm液浸(193i)、タルボリソグラフィ、または極端紫外線リソグラフィ(EUV)などが挙げられる。
【0017】
工程302では、図2Aに示すように、第1の材料204を含む第1の層204aが、透明な基板202の第1の表面202a上に堆積される。第1の層204aはリソグラフィツールを使用して堆積され得る。いくつかの実施形態では、第1の材料204は金属を含む。例えば、第1の材料204はとりわけ、Ti、Sb、Sn、Zr、Al、またはHfを含み得る。第1の層204aは、y方向に約10nmから約100μmまで、例えば約30nmから約500nmまでの、第1の厚さ214を有する。例えば、第1の厚さ214は、EUV、193、および193iリソグラフィツールを利用する場合、約10nmから約1μmまでであり得、または、g線、h線、およびi線リソグラフィツールを利用する場合、約100nmから約100μmまで、例えば約100nmから約5μmまでであり得る。いくつかの実施形態では、基板202はガラスを含む。
【0018】
工程304では、図2Bに示すように、1つまたは複数の第1のトレンチ206aを形成するために、第1の材料204を含む第1の層204aの第1の部分が除去される。第1の層204aの第1の部分は、1つまたは複数の第1のトレンチ206aを形成するために、リソグラフィツールのリソグラフィパターニングによって除去され得る。第1のトレンチ206aの各々は、x方向に同じ幅212を有する。同様に、第1の材料204の各残存部分は、x方向に同じ幅216を有する。幅212および幅216は、各々が個々に約20nmから約5,000nmまでであり得る。その場合、第1の材料204の各残存部分は、x方向に同じ距離だけ離間されており、その距離は第1のトレンチ206aの幅212に等しい。いくつかの実施形態では、第1のトレンチ206aの幅212は、第1の材料204の残存部分の幅216に等しい。5つの第1トレンチ206aが示されているが、任意の数の第1のトレンチ206aを形成してもよく、第1のトレンチ206aの数は限定的であることを意図していない。
【0019】
工程306では、図2Cに示すように、第2の材料208を含む第1の層208aが、第1の材料204の残存部分を覆っておよび1つまたは複数の第1のトレンチ206a内に堆積される。第2の材料208はとりわけ、有機平坦化層(OPL)、スピンオンガラス、SiN、または他のSi含有材料であり得る。いくつかの実施形態では、第1の材料204は、OPL、スピンオンガラス、SiN、または他のSi含有材料を含み、第2の材料208は、Ti、Sb、Sn、Zr、Al、またはHfを含む。工程308では、図2Dに示すように、第2の材料208が1つまたは複数の第1のトレンチ206a内に残って、第1の厚さ214を有する第1の交互層210aが形成されるように、第2の材料208を含む第1の層208aの頂部が、平坦化およびエッチングによって除去される。
【0020】
工程310では、図2Eに示すように、リソグラフィツールを使用して、第1の材料204の第2の層204bが、第1の交互層210を覆って堆積される。いくつかの実施形態では、第2の層204bは、第1の層204aと同じ厚さ214を有する。ただし、第2の層204bは第1の層204aと異なる厚さを有してもよい。工程312では、図2Fに示すように、1つまたは複数の第2のトレンチ206bを形成するために、リソグラフィツールのリソグラフィパターニングによって、第1の材料204を含む第2の層204bの第2の部分が除去される。第2の層204bの第2の部分は、工程304で上記したように、1つまたは複数の第2のトレンチ206bを形成するために、リソグラフィパターニングによって除去され得る。同じ数の第1のトレンチ206aおよび同じ数の第2のトレンチ206bを形成してもよい。
【0021】
1つまたは複数の第2のトレンチ206bの各々は、1つまたは複数の第1のトレンチ206aからx方向に第1の距離218だけずらされており、この時点で第2の材料208で充填されている。その場合、第1の交互層210aの第1の材料204は、第1の材料204の第2の層204bの残存部分からx方向に第1の距離218だけずらされているが、依然として接触を維持している。第1の距離218は約1nmから約5μmまでである。例えば、第1の距離218は、193および248リソグラフィツールを利用する場合には、約10nmから約50nmまで(例えば約10nmから約20nmまで)であり、g線、h線、およびi線リソグラフィツールを利用する場合には、約500nmから約5μmまでであり、EUVおよび193iリソグラフィツールを利用する場合には、約1nmから約50nmまで(例えば約1nmから約5nmまで)である。第1の距離218は第1の材料204を含む部分の幅216を上回らない。リソグラフィツールのアライメント能力に起因して、第1の距離218のアライメント、または1つもしくは複数の第2のトレンチ206bと1つもしくは複数の第1のトレンチ206aとのアライメントは正確に制御される。
【0022】
工程314では、工程306~312が1回または複数回繰り返される。この結果、図2Gに示すように、第1の交互層210aを覆っておよび1つまたは複数の第2のトレンチ206b内に、第2の材料208を含む第2の層208bが堆積される。次いで、図2Hに示すように、第2の材料208が1つまたは複数の第2のトレンチ206b内にだけ残って、第1の厚さ214を有する第2の交互層210bが形成されるように、第2の材料208を含む第2の層208bの頂部が、平坦化およびエッチングによって除去される。
【0023】
方法300の工程306~312を1回または複数回繰り返すことにより、第1の材料204および第2の材料208を含む追加の交互層(全体として交互層210と称する)が形成され、その場合、交互層210の第1の材料204は、隣り合う交互層210の第1の材料204に対してx方向に第1の距離218だけずらされている。同様に、交互層210の第2の材料208は、隣り合う交互層210の第2の材料208に対してx方向に第1の距離218だけずらされている。各交互層210は、基板202の第1の表面202aと実質的に平行な平面を有する。交互層210の全てが全体として所望のy方向における高さ220に達すると、ナノ構造ベース200が完成し、方法300が終了する。
【0024】
本明細書で使用する場合、第1の距離218はずれの距離218と入れ替え可能に使用され得るが、これは、交互層210の第1の材料204を含む各部分が、隣り合う交互層210の隣り合う第1の材料204を含む部分からずらされる距離、および、交互層210の第2の材料208を含む各部分が、隣り合う交互層210の隣り合う第2の材料208を含む部分からずらされる距離を指す。上で指摘したように、ずれの距離218は、第1の材料204を含む各部分または第2の材料208を含む各部分の幅を上回ることはできないが、その理由は、隣り合う交互層210の隣り合う第1の材料204を含む部分が互いに接触しており、隣り合う交互層210の隣り合う第2の材料208を含む部分が互いに接触しているからである。
【0025】
図4A図4Cは、複数の実施形態に係る、図2A図2Hのナノ構造ベース200からのナノ構造400の形成、または、複数のナノ構造の形成における第2のプロセスの、様々な図を示す。ナノ構造400は導波路であり得る。図5A図5Cは、複数の実施形態に係る、図2A図2Hのナノ構造ベース200からのナノ構造500の形成、または、複数のナノ構造の形成における代替の第2のプロセスの、様々な図を示す。ナノ構造500は導波路であり得る。図6Aは、いくつかの実施形態に係る、図4A図4Cのナノ構造400を形成する方法600を示す。図6Bは、いくつかの実施形態に係る、図5A図5Cのナノ構造500を形成する方法650を示す。このため、図4A図4C図6Aとともに説明されており、図5A図5C図6Bとともに説明されている。
【0026】
方法300は方法600と方法650の両方と併用することができる。例えば、方法300の完了後に次いで方法600を使用することができる。例えば、方法300の完了後に次いで方法650を使用することができる。方法600および650は各々がリソグラフィツールを使用して個々に実施され得る。例えば、使用可能なリソグラフィツールとしては、g線、h線、i線、248nm、193nm、193i、またはEUVが挙げられる。
【0027】
図4Aは、上記の方法300を使用して形成されたナノ構造ベース200を示す。ナノ構造ベース200は、y方向の高さ420を有する複数の交互層210を備える。高さ420は約20nmから約1μmまでである。いくつかの実施形態では、高さ420は約20nmから約2μmまでである。3つの交互層210が示されているが、ナノ構造ベース200は任意の数の交互層210を有してもよく、交互層210の数は限定的であることを意図していない。
【0028】
方法600の工程602では、図4Bに示すように、第2の材料208を含む複数のナノ構造408を形成するために、第1の材料204が除去される。複数のナノ構造408は、事前に第1の材料204が配設された複数のトレンチ424によって間隔を置かれる。第1の材料204がTi、Sb、Sn、Zr、Al、またはHfを含む実施形態では、第1の材料204は酸化物エッチングによって除去され得る。第1の材料204は、依然として基板202上に配設されている状態で除去される。
【0029】
工程604では、図4Cに示すように、複数のナノ構造408の側壁422は、側壁422が実質的に平滑または平面状になり、傾斜角度428で配設されるようにエッチングされる。第2の材料208がOPL、スピンオンガラス、SiN、または他のSi含有材料を含む実施形態では、側壁422は、CHF、CH、CHF、CF、O、またはClを使用してエッチングされ得る。複数のナノ構造408は、依然として基板202上に配設されている状態でエッチングされる。側壁422のエッチングは比較的軽微であり、結果的に複数のナノ構造408の各々の誘電体体積の合計は、実質的にエッチングの影響を受けない。
【0030】
傾斜角度428は0°から約90°までであり得る。傾斜角度428は、図2A図2Hで上記したように、ずれの距離218、または交互層210の各第2の材料208の部分が隣り合う交互層210の各第2の材料208の部分からずらされる距離に依存し得る。リソグラフィツールによって堆積されることに起因して各交互層210のずれの距離218は正確にアライメントされるので、傾斜角度428を正確に制御することができる。
【0031】
図5Aは、上記の方法300を使用して形成されたナノ構造ベース200を示す。ナノ構造ベース200は、y方向の高さ520を有する複数の交互層210を備える。高さ520は約20nmから約1μmまでである。いくつかの実施形態では、高さ520は約20nmから約2μmまでである。交互層210の数を制御することで、角度のサイズ428および528によって高さ420および520がそれぞれ決定され得る。3つの交互層210が示されているが、ナノ構造ベース200は任意の数の交互層210を有してもよく、交互層210の数は限定的であることを意図していない。
【0032】
方法650の工程652では、図6Bに示すように、第1の材料204を含む複数のナノ構造504を形成するために、第2の材料208が除去される。複数のナノ構造504は、事前に第2の材料208が配設された複数のトレンチ526によって間隔を置かれる。第2の材料208がOPL、スピンオンガラス、SiN、または他のSi含有材料を含む実施形態では、第2の材料208はSiNエッチングによって除去され得る。第2の材料208は、依然として基板202上に配設されている状態で除去される。
【0033】
工程654では、図5Cに示すように、複数のナノ構造504の側壁522は、側壁522が実質的に平滑または平面状になり、傾斜角度528で配設されるようにエッチングされる。第1の材料204がTi、Sb、Sn、Zr、Al、またはHfを含む実施形態では、側壁522はCHF、CH、CHF、CF、またはOを使用してエッチングされ得る。複数のナノ構造504は、依然として基板202上に配設されている状態でエッチングされる。側壁522のエッチングは比較的軽微であり、結果的に複数のナノ構造504の各々の誘電体体積の合計は、実質的にエッチングの影響を受けない。
【0034】
傾斜角度528は0°から約90°までであり得る。傾斜角度528は、図2A図2Hで上記したように、ずれの距離218、または交互層210の各第1の材料204の部分が隣り合う交互層210の各第1の材料204の部分からずらされる距離に依存し得る。リソグラフィツールによって堆積されることに起因して各交互層210のずれの距離218は正確にアライメントされるので、傾斜角度528を正確に制御することができる。
【0035】
このように、リソグラフィツールを利用することによって、複数の傾斜したナノ構造をガラス基板上に直接パターニングすることができ、複数の傾斜したナノ構造の各々の傾斜した角度を正確に制御することができる。同様に、リソグラフィツールのアライメント機能に起因して、各交互層における第1および第2の材料の各部分のアライメントは正確に制御される。更に、複数のナノ構造を形成する上記した方法は複数のリソグラフィツールで利用することができ、方法の実施に際して柔軟性を高め、コストを下げることが可能になる。
【0036】
上記の内容は本開示の実施形態に向けられているが、本開示の他の更なる実施形態がその基本的範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
【国際調査報告】