(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】燃料エマルジョン用の短鎖界面活性剤及び任意選択により長鎖界面活性剤を含む乳化剤パッケージ
(51)【国際特許分類】
C10L 1/32 20060101AFI20231207BHJP
B01J 13/00 20060101ALI20231207BHJP
C09K 23/54 20220101ALI20231207BHJP
【FI】
C10L1/32 D
B01J13/00 A
C09K23/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023526943
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2021079634
(87)【国際公開番号】W WO2022096316
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ハーハウゼン,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ショッペ,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ステッパン,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】マイスナー,イェンス
【テーマコード(参考)】
4D077
4G065
4H013
【Fターム(参考)】
4D077AA07
4D077AB09
4D077AC01
4D077AC03
4D077BA03
4D077BA07
4D077BA15
4D077DD30X
4D077DD32X
4D077DD33X
4G065AB10X
4G065BA01
4G065BB06
4G065CA02
4G065DA04
4G065EA01
4G065EA02
4H013DB03
(57)【要約】
本発明は、以下に定義される式(I)の短鎖界面活性剤、及び任意選択により以下に定義される式(II)の長鎖界面活性剤を含む乳化剤パッケージの存在下で燃料と水を乳化することによって燃料エマルジョンを調製する工程を含む、燃料エマルジョンによってディーゼルエンジンに動力を供給する方法に関する。本発明は更に、ディーゼルエンジンに動力を供給するための燃料エマルジョンに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料エマルジョンによってディーゼルエンジンに動力を供給する方法であって、式(I)
R
a-O-(AO
a)
m-R
a’ (I)
(式中、
R
aは、直鎖又は分岐C
6~14アルキルであり、
AO
aは、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、ペンチレンオキシド基、スチレンオキシド基又はこれらの混合物であり、
mは、1~100の数字であり、且つ
R
a’は、水素又はC
1~4アルキルである)の短鎖界面活性剤を含む乳化剤パッケージの存在下で燃料及び水を乳化することによって、前記燃料エマルジョンを調製する工程を含む方法。
【請求項2】
前記乳化剤パッケージが、式(II)
R
b-O-(AO
b)
n-R
b’ (II)
(式中、
R
bは、直鎖又は分岐C
16~32アルキルであり、
AO
bは、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、ペンチレンオキシド基、スチレンオキシド基又はこれらの混合物であり、
nは、1~100の数字であり、且つ
R
b’は、水素又はC
1~4アルキルである)の長鎖界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
aが分岐C
8~14アルキルである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
R
aがイソトリデシルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
AO
aがエチレンオキシド基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
R
bが直鎖C
16~22アルキルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
AO
bがエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基との混合物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
R
a’及びR
b’が水素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記乳化剤パッケージが、前記短鎖界面活性剤と前記長鎖界面活性剤とを10:1~1:10、好ましくは4:1~1:4の重量比で含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記乳化剤パッケージが、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の前記長鎖界面活性剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記乳化剤パッケージが、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の前記短鎖界面活性剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記乳化剤パッケージが、最大で10重量%のイオン性界面活性剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記乳化剤パッケージが、少なくとも10、30、又は50重量%の水、有機溶媒、又は水と前記有機溶媒との混合物を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記燃料エマルジョンが、ディーゼルを基準として0.05~0.4重量%の量で前記乳化剤パッケージを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記燃料エマルジョンが、40~80重量%の水を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記燃料が船舶用燃料である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のディーゼルエンジンに動力を供給するための燃料エマルジョン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下に定義される式(I)の短鎖界面活性剤、及び任意選択により以下に定義される式(II)の長鎖界面活性剤を含む乳化剤パッケージの存在下で燃料と水を乳化することによって燃料エマルジョンを調製する工程を含む、燃料エマルジョンによってディーゼルエンジンに動力を供給する方法に関する。本発明は更に、ディーゼルエンジンに動力を供給するための燃料エマルジョンに関する。
【背景技術】
【0002】
水性燃料エマルジョンは、ディーゼルエンジンの動力源として知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、安価で調製が容易であり、貯蔵安定性があり、市販の乳化剤を基準とし、炭素、水素、窒素及び酸素のみをベースとし、低剪断力であっても高速且つ容易に乳化することができる、燃料エマルジョン用の乳化剤パッケージを見出すことであった。乳化剤パッケージは、起泡性の低い燃料エマルジョンを生じさせる必要があり、曇点が低く、腐食防止を提供し、気泡性が低く、エマルジョンの濾過性を向上させ、燃料と水を混合するときの沈殿物を低減させるものでなければならない。乳化剤パッケージは、様々な種類の水により、高い水濃度で、様々な温度及び圧力で燃料エマルジョンを安定させなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、燃料エマルジョンによってディーゼルエンジンに動力を供給する方法であって、式(I)
Ra-O-(AOa)m-Ra’ (I)
(式中、
Raは、直鎖又は分岐C6~14アルキルであり、
AOaは、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、ペンチレンオキシド基、スチレンオキシド基又はこれらの混合物であり、
mは、1~100の数字であり、且つ
Ra’は、水素又はC1~4アルキルである)の短鎖界面活性剤を含む乳化剤パッケージの存在下で燃料及び水を乳化することによって、燃料エマルジョンを調製する工程を含む方法によって達成された。
【0005】
この目的はまた、ディーゼルエンジンに動力を供給するための燃料エマルジョンによって達成された。
【発明を実施するための形態】
【0006】
燃料は通常、アルカン、シクロアルカン及び芳香族などの炭化水素から構成されている。燃料は、石油留出から留出物又は残渣として得ることができる。燃料は通常、液体燃料である。燃料の例としては、ガソリン、ディーゼル若しくはバイオディーゼル又はこれらの混合物であり、ガソリン又はディーゼルであることが好ましい。特に、燃料はディーゼルである。ガソリンは、アルカン、アルケン及びシクロアルカンのC4~C12炭化水素を主に含有してもよい。ディーゼルは、飽和炭化水素及び芳香族炭化水素を含み得る。バイオディーゼルは、典型的に低級アルキル脂肪酸エステルを含み、例えば、トリグリセリドを低級アルコール、例えばメタノール又はエタノールでエステル交換することによって調製される。
【0007】
燃料の粘度は、40℃で1~10,000mm2/秒(ISO 3104)又は50℃で1~1000mm2/秒(ISO 3104)の範囲のように広い範囲で変動し得る。
【0008】
燃料は、MGO(船舶用ガス油)、MDO(船舶用ディーゼル油)、IFO(中間燃料油)、MFO(船舶用燃料油)、又はHFO(重燃料油)などの船舶用燃料であってよい。船舶用燃料の更なる例としては、IFO 380(最大粘度が380センチストークスの中間燃料油(<3.5%の硫黄))、IFO 180(最大粘度が180センチストークスの中間燃料油(<3.5%の硫黄))、LS 380(低硫黄(<1.0%)で最大粘度が380センチストークスの中間燃料油)、LS 180(低硫黄(<1.0%)で最大粘度が180センチストークスの中間燃料油)、LSMGO(低硫黄(<0.1%)の船舶用ガス油であり、EU硫黄指令書2005/33/ECに従って欧州の港及び錨泊地でしばしば使用されている)、又はULSMGO(超低硫黄船舶用ガス油、超低硫黄ディーゼルも指す(最大で0.0015%の硫黄)がある。更に好適な船舶用燃料は、DIN ISO 8217のカテゴリー、ISO-F- DMX、DMA、DFA、DMZ、DFZ、若しくはDFB、又はISO-F RMA、RMB、RMD、RME、RMG、若しくはRMKに従ったものである。更に好適な船舶用燃料は、留出船舶用ディーゼル又は残渣船舶用ディーゼルである。
【0009】
船舶用燃料などの燃料の粘度は、40℃で1~10,000mm2/秒(ISO 3104)又は50℃で1~1000mm2/秒(ISO 3104)の範囲のように広い範囲で変動し得る。
【0010】
燃料エマルジョンは、少なくとも10、20、25、30、35、40、50又は60重量%の燃料を含有してもよい。燃料エマルジョンは、最大で30、40、50又は60重量%の燃料を含有してもよい。燃料エマルジョンは、10~70重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の燃料を含有してもよい。
【0011】
環境的な理由から、低硫黄燃料に関心が高まっている。好適な低硫黄燃料は、1、0.5、0.2、又は0.1重量%未満の硫黄を含有し得る。例としては、0.1重量%未満の硫黄を含むShell(登録商標)ULSFOがある。主に自動車に使用されるディーゼルは、最大で2000ppm、500ppm、350ppm、50ppm又は10ppmの硫黄含有量を有し得る。
【0012】
あらゆる種類の水、例えば水道水、井戸水、海水、外洋水、雨水、蒸留水、廃水、又は脱イオン水を使用することができる。腐食を回避するために、水道水、蒸留水又は雨水などの塩素濃度の低い水が好ましい。
【0013】
水は、例えば、8.4°dH未満の°dH(ドイツ硬度)で表されるような低硬度、又は1.5mmol/l未満の炭酸カルシウムの濃度を有するものであってよい。
【0014】
水は、例えば、NaClの濃度を基準として、最大で1000、500、100、10、又は1ppmwなどの低塩分を有するものであってよい。
【0015】
燃料エマルジョンは、少なくとも10、20、30、40、50、55、60、65又は70重量%の水を含有してもよい。燃料エマルジョンは、最大で50、60、70、75、80、85又は90重量%の水を含有してもよい。燃料エマルジョンは、30~90重量%、40~80重量%、又は50~80重量%の水を含有してもよい。
【0016】
水と燃料の重量比は、1:0.1~1:10、又は1:0.2~1:5、又は1:0.7~1:3、又は好ましくは1:0.1~1:1の範囲であり得る。
【0017】
燃料エマルジョンは、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンであってよく、水中油型エマルジョンが好ましい。
【0018】
燃料エマルジョンは、マクロエマルジョン、ミニエマルジョン又はマイクロエマルジョンであってよく、マクロエマルジョンが好ましい。
【0019】
燃料エマルジョン中の分散相(例えば燃料)は、0.01~100μm、好ましくは1~100μmの直径を有し得る。
【0020】
燃料エマルジョンは、0~100℃、好ましくは15~90℃の温度で存在し得る。
【0021】
燃料エマルジョンは、1~100バール、好ましくは1~10バールの圧力で存在し得る。
【0022】
乳化剤パッケージは、式(I)
Ra-O-(AOa)m-Ra’ (I)
(式中、
Raは、直鎖又は分岐C6~14アルキルであり、
AOaは、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、ペンチレンオキシド基、スチレンオキシド基又はこれらの混合物であり、
mは、1~100の数字であり、且つ
Ra’は、水素又はC1~4アルキルである)の短鎖界面活性剤を含む。
【0023】
Raは、好ましくは直鎖又は分岐C10~14アルキルである。別の好ましい形態では、Raは、直鎖又は分岐C12~14アルキルである。別の好ましい形態では、Raは、直鎖又は分岐C10~14アルキルである。
【0024】
別の好ましい形態では、Raは、分岐C8~14アルキルである。別の好ましい形態では、Raは、分岐C10~14アルキルである。別の好ましい形態では、Raは、分岐C12~14アルキルである。Raは、特に、イソトリデシルなどの分岐C13である。
【0025】
Raのための好適な分岐アルキルは、例えば、イソ-ヘキシル-、イソ-オクチル、例えば2-エチル-ヘキシルなど、イソノニル、イソ-デシル、例えば、トリメチルヘプチル又は2-プロピルヘプチルなどである。Raは、様々な鎖長及び異性体の技術的混合物であってよい。
【0026】
AOaは、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、又はこれらの混合物であり得る。AOaは、好ましくはエチレンオキシド基である。別の好ましい形態では、AOaは、エチレンオキシド基及びプロピレンオキシド基の混合物である。AOaのアルコキシ単位(例えば、EO単位及びPO単位)は、ブロック配列でも又は統計的配列でもよく、好ましくはジブロック配列であってよい。AOaに存在するエチレンオキシド基と他のアルキレンオキシド基(例えばプロピレンオキシド基)のモル比は、50:1~1:2、又は10:1~1:1、又は5:1~1:1の範囲であり得る。
【0027】
mは、1~80、2~80、又は3~60の数字であり得る。別の形態では、mは、1~30、1~25、1~20、1~15、又は1~10の数字であり得る。別の形態では、mは、2~25、2~15、3~15、又は3~10の数字であり得る。別の形態では、mは、15~100、20~70、又は25~60の数字であり得る。別の形態では、mは、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25又は30である。別の形態では、mは、最大で80、70、60、50、40、30、20、15、10、5である。
【0028】
Ra’は、水素又はメチル、好ましくは水素であってよい。
【0029】
好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C8~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは2~25の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0030】
別の好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C10~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは2~15の数字であり、Ra’は水素である。
【0031】
好ましい形態では、Raは分岐C10~14アルキル(イソトリデシルなど)であり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは2~25の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0032】
好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C8~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは2~80の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0033】
別の好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C10~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは2~70の数字であり、Ra’は水素である。
【0034】
好ましい形態では、Raは分岐C10~14アルキル(イソトリデシルなど)であり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは20~60の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0035】
乳化剤パッケージは更に、好ましい形態では、式(II)
Rb-O-(AOb)n-Rb’ (II)
(式中、
Rbは、直鎖又は分岐C16~32アルキルであり、
AObは、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、ペンチレンオキシド基、スチレンオキシド基又はこれらの混合物であり、
nは、1~30の数字であり、且つ
Rb’は、水素又はC1~4アルキルである)の長鎖界面活性剤を含む。
【0036】
乳化剤パッケージは、別の好ましい形態では、式(I)の短鎖界面活性剤と式(II)の長鎖界面活性剤とを含む。
【0037】
Rbは、好ましくは直鎖又は分岐C16~22アルキルである。別の好ましい形態では、Rbは、直鎖又は分岐C16~18アルキルである。別の好ましい形態では、Rbは、直鎖C16~22アルキルである。別の好ましい形態では、Rbは、直鎖C16~18アルキルである。Rbは、様々な鎖長及び異性体の技術的混合物であってよい。
【0038】
AObは、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、又はこれらの混合物であり得る。AObは、好ましくはエチレンオキシド基である。別の好ましい形態では、AObは、エチレンオキシド基及びプロピレンオキシド基の混合物である。AObのアルコキシ単位(例えば、EO単位及びPO単位)は、ブロック配列でも又は統計的配列でもよく、好ましくはジブロック配列であってよい。AObに存在するエチレンオキシド基と他のアルキレンオキシド基(例えばプロピレンオキシド基)のモル比は、50:1~1:2、又は10:1~1:1、又は5:1~1:1の範囲であり得る。
【0039】
nは、1~80、2~80、又は3~60の数字であり得る。別の形態では、nは、1~30、1~25、1~20、1~15、又は1~10の数字であり得る。別の形態では、nは、2~25、2~15、3~15、又は3~10の数字であり得る。別の形態では、nは、15~100、20~70、又は25~60の数字であり得る。別の形態では、nは、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25又は30である。別の形態では、nは、最大で80、70、60、50、40、30、20、15、10、5である。
【0040】
Rb’は、水素又はメチル、好ましくは水素であってよい。好ましくは、Ra’及びRb’は、水素である。
【0041】
好ましい形態では、Rbは直鎖C14~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~25の数字であり、Rb’は水素又はメチルである。
【0042】
別の好ましい形態では、Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~15の数字であり、Rb’は水素である。
【0043】
別の好ましい形態では、Rbは直鎖C14~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~80の数字であり、Rb’は水素又はメチルである。
【0044】
別の好ましい形態では、Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは2~60の数字であり、Rb’は水素である。
【0045】
別の好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C8~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは2~25の数字であり、Ra’は水素又はメチルであり、且つ
Rbは直鎖C14~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~25の数字であり、Rb’は水素又はメチルである。
【0046】
別の好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C10~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは2~15の数字であり、Ra’は水素であり、且つ
Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~15の数字であり、Rb’は水素である。
【0047】
別の好ましい形態では、Raは分岐C10~14アルキル(イソトリデシルなど)であり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは2~25の数字であり、Ra’は水素又はメチルであり、且つ
Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~15の数字であり、Rb’は水素である。
【0048】
別の好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C8~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは2~25の数字であり、Ra’は水素又はメチルであり、且つ
Rbは直鎖C14~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~25の数字であり、Rb’は水素又はメチルであり、且つ
乳化剤パッケージは、短鎖界面活性剤と長鎖界面活性剤とを10:1~1:10、4:1~1:4、又は2:1~1:2の重量比で含む。
【0049】
別の好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C10~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは2~15の数字であり、Ra’は水素であり、且つ
Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~15の数字であり、Rb’は水素であり、且つ
乳化剤パッケージは、短鎖界面活性剤と長鎖界面活性剤とを10:1~1:10、4:1~1:4、又は2:1~1:2の重量比で含む。
【0050】
別の好ましい形態では、Raは分岐C10~14アルキル(イソトリデシルなど)であり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは2~25の数字であり、Ra’は水素又はメチルであり、且つ
Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~15の数字であり、Rb’は水素であり、且つ
乳化剤パッケージは、短鎖界面活性剤と長鎖界面活性剤とを10:1~1:10、4:1~1:4、又は2:1~1:2の重量比で含む。
【0051】
別の好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C8~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは1~80の数字であり、Ra’は水素又はメチルであり、且つ
Rbは直鎖C14~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~80の数字であり、Rb’は水素又はメチルである。
【0052】
別の好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C10~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは2~80の数字であり、Ra’は水素であり、且つ
Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~80の数字であり、Rb’は水素である。
【0053】
別の好ましい形態では、Raは分岐C10~14アルキル(イソトリデシルなど)であり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは15~80の数字であり、Ra’は水素又はメチルであり、且つ
Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~30の数字であり、Rb’は水素である。
【0054】
別の好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C8~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは1~80の数字であり、Ra’は水素又はメチルであり、且つ
Rbは直鎖C14~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~80の数字であり、Rb’は水素又はメチルであり、且つ
乳化剤パッケージは、短鎖界面活性剤と長鎖界面活性剤とを10:1~1:10、4:1~1:4、又は2:1~1:2の重量比で含む。
【0055】
別の好ましい形態では、Raは直鎖又は分岐C10~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、mは2~80の数字であり、Ra’は水素であり、且つ
Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~80の数字であり、Rb’は水素であり、且つ
乳化剤パッケージは、短鎖界面活性剤と長鎖界面活性剤とを10:1~1:10、4:1~1:4、又は2:1~1:2の重量比で含む。
【0056】
別の好ましい形態では、Raは分岐C10~14アルキル(イソトリデシルなど)であり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは20~70の数字であり、Ra’は水素又はメチルであり、且つ
Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~20の数字であり、Rb’は水素であり、且つ
乳化剤パッケージは、短鎖界面活性剤と長鎖界面活性剤とを10:1~1:10、4:1~1:4、又は2:1~1:2の重量比で含む。
【0057】
乳化剤パッケージは、短鎖界面活性剤と長鎖界面活性剤とを20:1~1:20、又は10:1~1:10、4:1~1:4、3:1~1:3、又は2:1~1:2の重量比で含んでもよい。
【0058】
別の形態では、乳化剤パッケージは、短鎖界面活性剤と長鎖界面活性剤とを20:1~1:3、又は10:1~1:2、4:1~1:1、又は4:1~2:1の重量比で含んでもよい。
【0059】
別の形態では、乳化剤パッケージは、長鎖界面活性剤と短鎖界面活性剤とを20:1~1:3、又は10:1~1:2、4:1~1:1、又は4:1~2:1の重量比で含んでもよい。
【0060】
乳化剤パッケージは、乳化剤パッケージに存在する界面活性剤(例えば、短鎖界面活性剤及び長鎖界面活性剤)の総量に基づいて計算され得る、一定の重量%の短鎖界面活性剤及び/又は長鎖界面活性剤を含んでもよい。
【0061】
乳化剤パッケージは、少なくとも0.1、0.5、1、2、5、10、20、30又は40重量%の短鎖界面活性剤を含有してもよい。
【0062】
乳化剤パッケージは、最大で100、90、80、70、60、50、40、30、20、10又は5重量%の短鎖界面活性剤を含有してもよい。
【0063】
乳化剤パッケージは、0.1~20重量%、又は0.5~10重量%、又は1~5重量%の短鎖界面活性剤を含んでもよい。別の形態では、乳化剤パッケージは、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の短鎖界面活性剤を含んでもよい。
【0064】
乳化剤パッケージは、0.1~20重量%、又は0.5~10重量%、又は1~5の短鎖界面活性剤を含んでもよく、Raは分岐C8~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは2~25の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0065】
乳化剤パッケージは、0.1~20重量%、又は0.5~10重量%、又は1~5の短鎖界面活性剤を含んでもよく、Raは分岐C10~14アルキル(イソトリデシルなど)であり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは2~25の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0066】
別の形態では、乳化剤パッケージは、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の短鎖界面活性剤を含んでもよく、Raは分岐C8~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは2~25の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0067】
別の形態では、乳化剤パッケージは、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の短鎖界面活性剤を含んでもよく、Raは分岐C10~14アルキル(イソトリデシルなど)であり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは2~25の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0068】
乳化剤パッケージは、0.1~20重量%、又は0.5~10重量%、又は1~5の短鎖界面活性剤を含んでもよく、Raは分岐C8~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは2~80の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0069】
乳化剤パッケージは、0.1~20重量%、又は0.5~10重量%、又は1~5の短鎖界面活性剤を含んでもよく、Raは分岐C10~14アルキル(イソトリデシルなど)であり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは2~60の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0070】
別の形態では、乳化剤パッケージは、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の短鎖界面活性剤を含んでもよく、Raは分岐C8~14アルキルであり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは15~80の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0071】
別の形態では、乳化剤パッケージは、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の短鎖界面活性剤を含んでもよく、Raは分岐C10~14アルキル(イソトリデシルなど)であり、AOaはエチレンオキシド基であり、mは20~60の数字であり、Ra’は水素又はメチルである。
【0072】
乳化剤パッケージは、少なくとも0.1、0.5、2、5、10、20、30又は40重量%の長鎖界面活性剤を含有してもよい。
【0073】
乳化剤パッケージは、最大で90、80、70、60、50、40、30、20、10又は5重量%の長鎖界面活性剤を含有してもよい。
【0074】
乳化剤パッケージは、0.1~20重量%、又は0.5~10重量%、又は1~5の長鎖界面活性剤を含んでもよい。別の形態では、乳化剤パッケージは、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の長鎖界面活性剤を含んでもよい。
【0075】
乳化剤パッケージは、少なくとも0.1、0.5又は2重量%の長鎖界面活性剤を含んでよく、Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~15の数字であり、Rb’は水素又はメチルである。
【0076】
乳化剤パッケージは、最大で70、60、50、40、30、20、10又は5重量%の長鎖界面活性剤を含んでよく、Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~15の数字であり、Rb’は水素である。
【0077】
別の形態では、乳化剤パッケージは、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の長鎖界面活性剤を含んでよく、Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~15の数字であり、Rb’は水素又はメチルである。
【0078】
別の形態では、乳化剤パッケージは、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の長鎖界面活性剤を含んでよく、Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~15の数字であり、Rb’は水素である。
【0079】
乳化剤パッケージは、少なくとも0.1、0.5又は2重量%の長鎖界面活性剤を含んでよく、Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~80の数字であり、Rb’は水素又はメチルである。
【0080】
乳化剤パッケージは、最大で70、60、50、40、30、20、10又は5重量%の長鎖界面活性剤を含んでよく、Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは1~80の数字であり、Rb’は水素である。
【0081】
別の形態では、乳化剤パッケージは、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の長鎖界面活性剤を含んでよく、Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは2~70の数字であり、Rb’は水素又はメチルである。
【0082】
別の形態では、乳化剤パッケージは、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の長鎖界面活性剤を含んでよく、Rbは直鎖C16~18アルキルであり、AObはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物であり、nは2~60の数字であり、Rb’は水素である。
【0083】
乳化剤パッケージは、少なくとも0.5、2又は5重量%の短鎖界面活性剤及び長鎖界面活性剤の合計を含んでもよい。
【0084】
乳化剤パッケージは、最大で100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、又は10重量%の短鎖界面活性剤及び長鎖界面活性剤の合計を含んでもよい。
【0085】
乳化剤パッケージは、1~90重量%、1~60重量%、1~35重量%、又は2~20重量%、又は5~12重量%の短鎖界面活性剤及び長鎖界面活性剤の合計を含んでもよい。
【0086】
乳化剤パッケージは、短鎖界面活性剤及び長鎖界面活性剤とは異なるアルコキシレート、アルキルグルコシド及びアルキルポリグルコシド、又はグリセリン若しくはソルビタンと脂肪酸の部分エステル(モノ、ジ及びトリエステルなど)(グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリステアレートなど)などの非イオン性界面活性剤を更に含んでもよい。
【0087】
短鎖界面活性剤及び長鎖界面活性剤と異なる好適なアルコキシレートは、
-アルコキシル化アルキルフェノール、例えば、エトキシル化ノニルフェニル、エトキシル化ドデシルフェニル、エトキシル化イソトリデシルフェノール及びそれらのエステル、例えばアセテート、
-エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、
-エトキシル化アルキルグルコシド及びアルキルポリグルコシド、
-エトキシル化脂肪族アミン、
-エトキシル化脂肪酸、
-グリセリン又はソルビタンと脂肪酸のエトキシル化部分エステル、例えばエトキシル化グリセリンモノステアレート、
-植物油又は動物性脂肪のエトキシレート、例えばコーン油エトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、獣脂エトキシレート、
-脂肪族アミン又は脂肪酸アミドのエトキシレートである。
【0088】
乳化剤パッケージは通常、最大で50、40、30、20、10、5、又は1重量%の更なる非イオン性界面活性剤を含有する。乳化剤パッケージは通常、少なくとも1、5、10、20、30、又は40重量%の更なる非イオン性界面活性剤を含有する。
【0089】
別の形態では、乳化剤パッケージは、エトキシル化脂肪酸を含まない。別の形態では、乳化剤パッケージは、脂肪酸アミドを含まない。別の形態では、乳化剤パッケージは、エトキシル化ヒマシ油を含まない。別の形態では、乳化剤パッケージは、脂肪酸アミド、エトキシル化脂肪酸及びエトキシル化ヒマシ油を含まない。
【0090】
乳化剤パッケージは通常、最大で10、8、5、4、3、2又は1重量%の全てのイオン性界面活性剤、例えばアニオン性又はカチオン性界面活性剤の合計を含有する。別の形態では、乳化剤パッケージは、いずれのイオン性界面活性剤も含まない。乳化剤パッケージは通常、分岐界面活性剤及びプロポキシル化界面活性剤の合計よりも少ない重量の全てのイオン性界面活性剤の合計を含有する。分岐界面活性剤及びプロポキシル化界面活性剤の重量の合計は通常、全てのイオン性界面活性剤の合計の1倍、1.5倍、又は2倍過剰である。
【0091】
乳化剤パッケージは通常、水性乳化剤パッケージであり、通常は水を含んでいる。乳化剤パッケージは、通常は乳化剤パッケージの総重量を基準として、少なくとも1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、又は90重量%の水を含有してもよい。
【0092】
別の形態では、乳化剤パッケージは水を実質的に含まず、例えば10、8、6、4、2、1又は0.2重量%未満の水を含有する。
【0093】
乳化剤パッケージは通常、20℃で液体、固体、又はゲルであり、液体であることが好ましい。
【0094】
乳化剤パッケージは、好ましくは水と混和性(例えば、20℃で少なくとも10重量%の量で)の有機溶媒を含んでもよい。好適な有機溶媒は、エーテル(例えば、グリコールエーテル)、ケトン、又はアルコールであり、エーテル(特にグリコールエーテル)が好ましい。
【0095】
好ましい有機溶媒は、グリコールエーテルであり、例えばメチルジグリコール、メチルトリグリコール、メチルテトラグリコール、ブチルトリグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、及びヘキシルジグリコールである。
【0096】
乳化剤パッケージは、最大で90、80、70、60、50、40、30、20、15、又は10重量%の有機溶媒、例えばグリコールエーテルを含んでもよい。
【0097】
乳化剤パッケージは、通常は乳化剤パッケージの総重量を基準として、少なくとも1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、又は90重量%の有機溶媒を含有してもよい。
【0098】
乳化剤パッケージは、0.5~30又は1~15重量%の有機溶媒、例えばグリコールエーテルを含んでもよい。
【0099】
別の形態では、乳化剤パッケージは、水、有機溶媒、又は水と有機溶媒との混合物を含んでもよい。別の形態では、乳化剤パッケージは、少なくとも1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、又は90重量%の水、有機溶媒、又は水と有機溶媒との混合物を含んでもよい。
【0100】
燃料又は乳化剤パッケージは、キャリアオイル、低温流動性向上剤、潤滑性向上剤、腐食防止剤、防曇剤(dehazer)、消泡剤、セタン価向上剤、助燃剤、抗酸化剤若しくは安定剤、帯電防止剤、メタロセン、金属不活性化剤、及び/又は染料などの更なる添加物を含んでもよい。燃料又は乳化剤パッケージは、最大で50、30、10、5、又は1重量%の更なる添加剤を含有してもよい。別の形態では、乳化剤パッケージは、更なる添加剤を含まなくてもよい。
【0101】
燃料エマルジョンは、ディーゼルを基準として最大で5、3、2、1、0.8、0.6、0.4、又は0.3重量%の量で乳化剤パッケージを含む。
【0102】
燃料エマルジョンは、ディーゼルを基準として0.001~1.0重量%、0.01~0.5重量%、0.01~0.4重量%、又は0.05~0.3重量%の量で乳化剤パッケージを含む。
【0103】
燃料エマルジョンは、燃料エマルジョンを基準として最大で2、1、0.5、0.2、0.1、0.08重量%の量で乳化剤パッケージを含む。
【0104】
燃料エマルジョンは、燃料エマルジョンを基準として0.001~0.5、0.005~0.4、0.005~0.15、又は0.02~0.08重量%の量で乳化剤パッケージを含む。
【0105】
燃料エマルジョンによってディーゼルエンジンの動力を供給することは公知である。好適なディーゼルエンジンは、例えば、大型ターボチャージャー付き2ストロークディーゼルエンジン(例えば、国際公開第2010/145652号パンフレット若しくは国際公開第2010/105620号パンフレットに記載されている)又は2ストロークディーゼルエンジン(例えば、独国特許第19747247号明細書若しくは独国特許第19747240号明細書に記載されている)である。ディーゼルエンジンは、陸上の定置用エンジン(発電機)、鉄道機関車、自動車、トラック、河船、又は海洋船に使用することができる。発電所又は海洋船の原動機として、大型の2ストロークディーゼルエンジンを使用することができる。
【0106】
燃料と水の乳化は、例えば撹拌槽内で機械的剪断エネルギーを加えること、凝集体の粉砕(ボールミル又は撹拌ボールミルなど)、振盪、ローター・ステーター混合、ポンプ又は重力によって搬送される管を通過した乱流、静的ミキサー及び向流ミキサーによって達成することができる。燃料と水の乳化はまた、燃料及び水をループを通して循環させ、例えば、燃料及び水をタンクの底部からタンクの上部にポンプで送り、これをタンク内容物の表面上で取り除くことで達成してもよい。燃料及び水を循環させる前に予備撹拌することが可能であるが、必要ではない。
【0107】
乳化剤パッケージは、異なる構成成分を含有してもよい。燃料と水とを乳化させるために、乳化前にいくつかの構成成分を燃料に添加してもよく、いくつかの構成成分を水に添加してもよい。従って、燃料エマルジョンの調製中に乳化剤パッケージの異なる構成成分を混合してもよい。好ましくは、乳化前に乳化剤パッケージの全ての構成成分が予備混合される。好ましくは、乳化前に乳化剤パッケージの全ての構成成分が燃料又は水に同時に添加される。本発明はまた、水が乳化剤パッケージに含まれる燃料エマルジョンによってディーゼルエンジンに動力を供給するための燃料に関するものであり得る。
【0108】
乳化は、0~100℃、又は10~90℃、又は20~50℃の温度で行うことができる。
【0109】
乳化は、0.5~20バール、又は1~10バールの圧力で行うことができる。
【0110】
燃料エマルジョンを調製し、ディーゼルエンジンでそれを燃焼させるまでの間の時間は、24時間、6時間、1時間、45分、30分、15分、10分、5分又は1分未満であってよい。
【0111】
ディーゼルエンジンで燃料と水を乳化させる種々の装置は、例えば、国際公開第2016/064722号パンフレット、国際公開第90/12959号パンフレット、米国特許第4,388,893号明細書、又は国際公開第00/53916号パンフレットによるものが公知である。
【実施例】
【0112】
表1に示すような乳化剤と蒸留水とを混合することによって乳化剤パッケージを調製し、乳化剤の水溶液を得た。
【0113】
添加剤パッケージをディーゼル燃料と混合することによって、エマルジョン安定性を試験するための試料を調製した。使用した乳化剤の量は、表1の全ての実験で、燃料及び水を含むエマルジョンの総体積を基準として0.05%であった。
【0114】
使用したディーゼル燃料は、添加剤パッケージを含まない透明な液体ディーゼルである、DIN ISO 8217に従った様式のDMAの船舶用ディーゼル油であり、約0.83~0.85の密度であった。
【0115】
ローター・ステーター原理に基づいたSilverson L5高剪断研究室用乳化機を用いて、室温にて7500rpmで10秒以内でエマルジョンを調製した。
【0116】
次いで、乳化した試料をメスシリンダーに入れ、最大で30分間静置した。分離した水相の量を測定した。例えば、全体積80mlの試料で8mlの分離した水相が検出された場合は、90%のエマルジョン安定性に相当する。分離した水相が検出されなかった場合、100%のエマルジョン安定性に相当する。値を表1に示す。
【0117】
以下の界面活性剤を使用した:
式(I)の短鎖界面活性剤:
非イオン性B:イソトリデカノールエトキシレート、70%の水中活性含有量、ISO 3016に従った流動点約0℃。
非イオン性C:イソトリデカノールエトキシレート、70%の水中活性含有量、HLB約18。
【0118】
【0119】
式(I)の短鎖界面活性剤が、水-燃料-エマルジョンの安定化に十分に好適であることが容易に理解される。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料エマルジョンによってディーゼルエンジンに動力を供給する方法であって、式(I)
R
a-O-(AO
a)
m-R
a’ (I)
(式中、
R
aは、
分岐C
8~14アルキルであり、
AO
aは、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、ペンチレンオキシド基
、又はこれらの混合物であり、
mは、1~100の数字であり、且つ
R
a’は、水素又はC
1~4アルキルである)の短鎖界面活性剤を含
み;且つ
式(II)
R
b
-O-(AO
b
)
n
-R
b
’ (II)
(式中、
R
b
は、直鎖又は分岐C
16~32
アルキルであり、
AO
b
は、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、ペンチレンオキシド基、又はこれらの混合物であり、
nは、1~100の数字であり、且つ
R
b
’は、水素又はC
1~4
アルキルである)の長鎖界面活性剤を更に含む乳化剤パッケージの存在下で燃料及び水を乳化することによって、前記燃料エマルジョンを調製する工程を含む方法。
【請求項2】
mが3~60の数字である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
nが3~60の数字である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
R
aがイソトリデシルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
AO
aがエチレンオキシド基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
R
bが直鎖C
16~22アルキルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
AO
bがエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基との混合物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
R
a’及びR
b’が水素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記乳化剤パッケージが、前記短鎖界面活性剤と前記長鎖界面活性剤とを10:1~1:10、好ましくは4:1~1:4の重量比で含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記乳化剤パッケージが、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の前記長鎖界面活性剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記乳化剤パッケージが、1~99重量%、5~90重量%、10~80重量%、又は20~70重量%の前記短鎖界面活性剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記乳化剤パッケージが、少なくとも10、30、又は50重量%の水、有機溶媒、又は水と有機溶媒との混合物を含む、請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記燃料エマルジョンが、ディーゼルを基準として0.05~0.4重量%の量で前記乳化剤パッケージを含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記燃料エマルジョンが、40~80重量%の水を含む、請求項
12~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記燃料が船舶用燃料である、請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれか一項に記載のディーゼルエンジンに動力を供給するための燃料エマルジョン。
【国際調査報告】