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特表2023-552149持続放出パリペリドン注射可能製剤に関連する投与レジメン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】持続放出パリペリドン注射可能製剤に関連する投与レジメン
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20231207BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20231207BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20231207BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231207BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231207BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231207BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231207BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K9/10
A61P25/18
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532443
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021062144
(87)【国際公開番号】W WO2022111858
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/119,382
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ゴパール,シュリハリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカタサブラマニアン,ラジャ
(72)【発明者】
【氏名】ティージョリン,ユイブレシュト
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076BB15
4C076CC01
4C076DD09
4C076DD26Z
4C076DD30Z
4C076DD43
4C076DD43Z
4C076EE23
4C076FF16
4C076FF31
4C076FF36
4C076FF61
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA23
4C086NA05
4C086NA12
4C086ZA18
(57)【要約】
本発明は、長時間作用型の注射可能パルミチン酸パリペリドン製剤で患者を治療する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液の第1の用量を投与されてきた、パルミチン酸パリペリドンの投与を必要とする患者に、パルミチン酸パリペリドンを投与するための方法であって、前記第1の用量の投与の6ヶ月後である時点の最大2週間前又は3週間後までに、前記パルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液の第2の用量を前記患者の三角筋又は殿筋に投与することを含み、前記第1の用量と前記第2の用量との間にパルミチン酸パリペリドンの介在用量が存在しない、方法。
【請求項2】
前記第2の用量が、殿筋に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が、前記第1の用量の投与時に定常状態のパリペリドン血漿濃度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者が、精神病、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、又は双極性障害の治療を必要とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記患者が、統合失調症の治療を必要とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の用量が、約1092mgのパルミチン酸パリペリドン又は約1560mgのパルミチン酸パリペリドンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の用量が、約1092mgのパルミチン酸パリペリドン又は約1560mgのパルミチン酸パリペリドンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の用量及び前記第2の用量が各々、約1092mgのパルミチン酸パリペリドンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の用量及び前記第2の用量が各々、約1560mgのパルミチン酸パリペリドンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記患者におけるパリペリドン血漿濃度が、前記第2の用量の投与時に約5~約50ng/mLである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の用量が、1092mgのパルミチン酸パリペリドンを含む場合、前記患者における前記パリペリドン血漿濃度が、前記第2の用量の投与時に約5~約30ng/mLである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の用量が、1560mgのパルミチン酸パリペリドンを含む場合、前記患者における前記パリペリドン血漿濃度が、前記第2の用量の投与時に約9~約40ng/mLである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記パリペリドン血漿濃度が、前記第2の用量の投与後に約10~約150ng/mLのピークに達する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の用量が、1092mgのパルミチン酸パリペリドンである場合、前記患者における前記パリペリドン血漿濃度が、前記第2の用量の投与後に約10~約125ng/mLのピークに達する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の用量が、1560mgのパルミチン酸パリペリドンである場合、前記患者における前記パリペリドン血漿濃度が、前記第2の用量の投与後に約35~約145ng/mLのピークに達する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記パルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液が、
約280mg/mL~約350mg/mLの前記パルミチン酸パリペリドンと、
約8mg/mL~約12mg/mLの湿潤剤と、
1つ又は2つ以上の緩衝剤と、
約65mg/mL~約85mg/mLの懸濁化剤と、
100%になるまでの適量の水と、を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記懸濁液が、約pH6.0~約pH8.0である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ又は2つ以上の緩衝剤が、クエン酸一水和物、リン酸二水素ナトリウム一水和物、リン酸水素二ナトリウム無水物、又は水酸化ナトリウムを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記パルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液が、
約312mg/mLのパルミチン酸パリペリドンと、
約10mg/mLのポリソルベート20と、
約75mg/mLのポリエチレングリコール4000と、を含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年11月30日に出願された米国仮特許出願第63/119,382号の利益を主張し、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、長時間作用型の注射可能パルミチン酸パリペリドン製剤による治療を必要とする精神病患者を治療する方法に関する。
【0003】
(発明の背景)
抗精神病薬の薬物療法は、統合失調症、統合失調症性感情障害、及び統合失調症様障害の治療において主力である。抗精神病薬は、1950年代半ばに初めて導入された。これらの典型的な薬剤又は第一世代薬剤は、通常、統合失調症の陽性症状を制御する上で有効であるが、陰性症状又は疾患に関連する認識機能障害を緩和する上でさほど有効ではない。リスペリドン及びオランザピンによって代表される、非定型抗精神病薬又は第二世代薬剤は、1990年代に開発され、一般的に、統合失調症に関連する陽性症状及び陰性症状の両方に対する有効性を特徴とする。
【0004】
パルミチン酸パリペリドンは、第2世代薬剤の非定型抗精神病薬の特徴的ドーパミンD及びセロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン型2A)拮抗作用を呈するモノアミン作動性拮抗薬である、パリペリドン(9-ヒドロキシ-リスペリドン)のパルミチン酸エステルである。パリペリドン(9-OHリスペリドン)は、リスペリドンの主要活性代謝物である。持続放出(extended release、ER)浸透圧制御放出経口送達(osmotic controlled release oral delivery、OROS)パリペリドンは、錠剤として、統合失調症の治療及び効果維持のために米国において販売されている。
【0005】
パルミチン酸パリペリドンは、通常、抗精神病薬で治療される、統合失調症及び他の関連疾患の治療用の長時間作用型で筋肉内(intramuscular、i.m.)注射可能な水性ナノ懸濁液として開発されている。非常に低い水溶性のため、パルミチン酸パリペリドンなどのパリペリドンエステルは、パリペリドンに加水分解され、体循環に使用可能になる前に、筋肉内注射後に緩慢に溶解する。
【0006】
精神疾患を有する多くの患者は、利用可能な経口抗精神病薬で症状の安定性を達成する。しかしながら、最大75%が、毎日の経口治療レジメンに従うことが困難である、すなわち、遵守問題を有すると推定される。遵守問題は、しばしば、症状の悪化、準最適治療反応、頻繁な再発及び再入院、並びにリハビリ療法及び心理社会的療法からの効果の取得不能をもたらす。月1回のパルミチン酸パリペリドン注射液は、パリペリドンの持続した血漿濃度を与えるように開発されており、これは、投与コンプライアンスを大いに高め得る。水性ナノ懸濁液として製剤化されたパルミチン酸パリペリドンは、米国特許第6,077,843号及び同第6,555,544号に記載されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。加えて、患者を治療するためのパルミチン酸パリペリドンの投与レジメンは、米国特許第9,439,906号及び同第10,143,693号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
パルミチン酸パリペリドンは、筋肉内注射によって投与される非定型抗精神病薬である。パルミチン酸パリペリドンの原型製剤は、月1回の抗精神病薬であり、多くの国で成人の統合失調症の治療用に承認された。月1回のパルミチン酸パリペリドンの急性及び持続性効果並びに忍容性プロファイルは、合計3800人を超す患者の臨床試験で実証されている。症状の急性的悪化に対して初期にパルミチン酸パリペリドンに反応した患者に月1回のパルミチン酸パリペリドンで治療を継続すると、プラセボに無作為に割り付けられた患者と比べて再発リスクが約4倍低下した。後に開発された3ヶ月製剤は、実質的により長い投与間隔を提供し、注射液は3ヶ月に1回投与される。この持続投与間隔は、以前から使用可能な長時間作用型の注射可能製剤より非遵守の機会が少ないと見込まれ、したがって統合失調症の患者において治療量以下の血漿濃度とその関連するマイナスの因果関係との結果としての再発リスクを減少させる。
【0008】
パリペリドンは、3つの製剤、すなわち、経口持続放出製剤(INVEGA(登録商標)持続放出[ER]錠剤、INVEGA(登録商標)長時間放出[prolonged-release、PR]錠剤)とも称される)と、2つの長時間作用型注射可能(long-acting injectable、LAI)製剤(パルミチン酸パリペリドン1ヶ月注射液[INVEGA SUSTENNA(登録商標)又はXEPLION(登録商標)]、及びパルミチン酸パリペリドン3ヶ月注射液[INVEGA TRINZA(登録商標)又はTREVICTA(登録商標)])とにおいて、現在利用可能である。本明細書に開示されるように、遵守及び利便性を更に改善することを目的として、6ヶ月に1回の投与(パルミチン酸パリペリドン6ヶ月注射)を意図した別のパルミチン酸パリペリドン製品が開発されている。
【0009】
定期的に薬物を服用しない患者は、多くの結果、最も顕著には統合失調症の再発を被る可能性がある。経口抗精神病薬については、わずか1日の投与間隔が、再入院のリスクを倍増させ得る。これは、典型的には、精神医学的共存症の悪化、雇用の喪失、教育の中断、及び家族関係の障害をもたらす。生物学的結果としては、特に前頭葉におけるニューロンのシナプス可塑性の喪失が挙げられる。機能的統合失調症の再発は、シナプスニューロン接合部のレベルでの剪定に関連付けられている。全体として、これは、脳室の拡大を伴う脳の灰白質の広範な収縮によって放射線学的に測定することができる。これらの変化は、脳のCT/MRIスキャンで見ることができる。各々の再発が続くたびに、脳への更なる進行性変化が典型的に観察される。現在、統合失調症の治療法は知られておらず、この疾患を治療する唯一の証明された方法は、社会的及び行動的介入とともに抗精神病薬の長期投与によるものである。統合失調症再発の最も強力な予測因子は、抗精神病薬の遵守である。
【0010】
6ヶ月に1回与えられることが意図されるパルミチン酸パリペリドン製品は、正確に6ヶ月の時点で治療のために来ることを覚えている患者に関して難題を提示する。これは、1ヶ月の長さが28~31日の間で変動するという事実によって更に悪化する。注射は、医療専門家によって与えられることが意図され、自己投与されないので、患者が診療所への訪問を予定し、注射を受けるための柔軟性を有することを可能にすることは、重要な考慮事項である。ほとんどの他の抗精神病薬レジメン(経口及びLAI)は、典型的には、1ヶ月サイクルにわたって与えられ、患者は、処方の補充又は注射のいずれかを受けるために診療所に戻る。6ヶ月の投与間隔は、コンプライアンスを確実にするための独特の課題を提示する。
【0011】
患者はまた、薬物の投与を抜かすことがある。その結果、自身の定期的に予定された用量を抜かした患者に対して投与レジメンを再開する必要がある。
【0012】
その上、体重増加は、抗精神病薬を必要とする患者の治療において非常に一般的な現象である。統合失調症又は統合失調症性感情障害又は任意の他の精神病性障害を有する患者における抗精神病薬による長期治療の間に、肥満及び他の心血管リスク因子が増加し、患者の長期罹患率及び死亡率にさえもほとんど悪影響を及ぼす。重度の精神障害を有する患者はまた、特に病気の初期段階にある若い患者において、体重増加のような治療副作用のために、スティグマ形成及び生活の質の低下に直面する。体重増加を回避又は安定化することは、それらの患者が彼らの社会生活を維持し、スティグマを減少させ、生活の質を向上させるのに役立ち得る。体重の減少又は現在の体重の安定化のいずれの可能性も、リスペリドン又はパリペリドンで治療される、長期の症状保護を必要とする患者にとって、有益であろう。
【0013】
(発明の概要)
一実施形態では、本開示は、パルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液の第1の用量を投与されてきた、パルミチン酸パリペリドンの投与を必要とする患者に、パルミチン酸パリペリドンを投与するための方法であって、第1の用量の投与の6ヶ月後である時点の最大2週間前又は3週間後までに、パルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液の第2の用量を患者の三角筋又は殿筋に投与することを含み、第1の用量と第2の用量との間にパルミチン酸パリペリドンの介在用量が存在しない、方法を提供する。
【0014】
他の実施形態では、本開示は、自身の定期的に予定された薬物用量を抜かした患者に対して再開投与レジメンを提供し、レジメンは、患者の最終用量から経過した時間に依存する。例えば、本開示は、第1のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第1の懸濁液)の第1の用量を投与されてきた、パルミチン酸パリペリドンの投与を必要とする患者に、パルミチン酸パリペリドンを投与するための方法であって、第1の懸濁液の第1の用量の投与後6ヶ月及び3週間を超えるが、第1の懸濁液の第1の用量の投与後8ヶ月未満である時点で、第2のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第2の懸濁液)の再開負荷用量を患者の三角筋に投与することと、第2の懸濁液の再開負荷用量の投与後約1ヶ月(±7日)である時点で、第1の懸濁液の維持用量を患者の三角筋又は殿筋に投与することと、を含む、方法を提供する。
【0015】
他の再開レジメンは、第1のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第1の懸濁液)の第1の用量を投与されてきた、パルミチン酸パリペリドンの投与を必要とする患者に、パルミチン酸パリペリドンを投与することを含み、そのような投与は、第1の懸濁液の第1の用量の投与後8ヶ月後~11ヶ月の時点で、第2のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第2の懸濁液)の156mgのパルミチン酸パリペリドンの第1の再開負荷用量を患者の三角筋に投与することと、第2の懸濁液の第1の再開負荷用量を投与してから約8日目(±4日)に、第2の懸濁液の156mgのパルミチン酸パリペリドンの第2の再開負荷用量を患者の三角筋に投与することと、第2の懸濁液の第2の再開負荷用量を投与してから約1ヶ月(±7日)後に、第1の懸濁液の維持用量の約1092mg~約1560mgのパルミチン酸パリペリドンを患者の三角筋又は殿筋に投与することと、を伴う。
【0016】
他の再開レジメンは、第1のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第1の懸濁液)の第1の用量を投与されてきた、パルミチン酸パリペリドンの投与を必要とする患者に、パルミチン酸パリペリドンを投与することを含み、そのような投与は、(1)第1の懸濁液の第1の用量の投与後11ヶ月超の時点で、第2のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第2の懸濁液)の234mgのパルミチン酸パリペリドンの第1の再開負荷用量を患者の三角筋に投与することと、(2)第2の懸濁液の第1の再開負荷用量を投与してから約8日目(±4日)に、第2の懸濁液の156mgのパルミチン酸パリペリドンの第2の再開負荷用量を患者の三角筋に投与することと、(3)第2の再開負荷用量を投与してから約1ヶ月(±7日)後に、第2の懸濁液の39mg~約234mgのパルミチン酸パリペリドンの第1の再開維持用量を患者の三角筋又は殿筋に投与することと、(4)第2の懸濁液の第1の再開維持用量を投与してから約1ヶ月(±7日)後に、第2の懸濁液の約39mg~約234mgのパルミチン酸パリペリドンの第2の再開維持用量を患者の三角筋又は殿筋に投与することと、(5)第2の懸濁液の第2の再開維持用量を投与してから約1ヶ月(±7日)後に、第2の懸濁液の約39mg~約234mgのパルミチン酸パリペリドンの第3の再開維持用量を患者の三角筋又は殿筋に投与することと、(6)第2の懸濁液の第3の再開維持用量を投与してから約1ヶ月(±7日)後に、第1の懸濁液の維持用量の約1092mg~約1560mgのパルミチン酸パリペリドンを患者の三角筋又は殿筋に投与することと、を伴う。追加の再開維持用量は、第1の懸濁液の維持用量の前に投与されてもよい(例えば、第4の再開維持用量、第5の再開維持用量など)。特定の実施形態では、パルミチン酸パリペリドンの再開維持用量は、約156~約234mgである。
【0017】
本開示はまた、1ヶ月間隔(PP1M)又は3ヶ月間隔(PP3M)のいずれかでパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液で治療されてきた患者の体重を安定化又は減少させる方法であって、PP1M又はPP3Mの最終用量を投与することと、次いで、6ヶ月の投与間隔(PP6M)を有するパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液の初回用量を投与することをと、含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】パルミチン酸パリペリドン6ヶ月製剤の二重盲検無作為化実薬対照並行群試験のフローチャートを示す。
図2】12ヶ月目までの二重盲検期間中の再発までの時間のカプラン・マイヤープロットを示す。
図3】12ヶ月目に無再発のままであった対象の推定パーセンテージ(95%CI)のForestプロットを示す。
図4】二重盲検試験におけるPP3M(350mg当量又は525mg当量)及びPP6M(700mg当量又は1000mg当量)の投与後のパリペリドンの血漿濃度時間プロファイルの中央値を示す。
図5】パリペリドン製剤にわたるPK血漿濃度及び臨床有効性(再発までの時間の中央値)の比較を示す。
図6】最終定常状態1000mg当量のPP6M注射から6ヶ月超及び3週間及び最大8ヶ月が経過した場合(最終PP6M投与の7ヶ月後及び7.5ヶ月後)の抜かした用量シミュレーションを示す。
図7】最終1000mg当量のPP6M注射から8ヶ月~11ヶ月が経過した場合(最終PP6M投与の8、10、及び11ヶ月後)の抜かした用量シミュレーションを示す。
図8】最終1000mg当量のPP6M注射から11ヶ月超が経過した場合(最終PP6M投与の12、15、及び18ヶ月後)の抜かした用量シミュレーションを示す。
図9】PP6Mで治療されてきた患者についての二重盲検ベースラインからの平均体重変化及び異常体重変化を示す棒グラフを示す。
図10】PP6Mで治療されている様々な体重のクラス(正常、過体重、及び肥満)の患者の平均体重変化を示す棒グラフを示す。
図11】PP6Mで治療されている様々な年齢群の患者の平均体重変化を示す棒グラフを示す。
【0019】
(詳細な記述)
本発明に開示されている発明的主題は、本開示の一部を形成する、添付の実施例に関連して解釈される以下の発明を実施するための形態を参照することにより、より容易に理解することができる。本発明は、本明細書に記載する及び/又は示す特定の製剤、方法、又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される専門用語は実施例を用いて具体的な実施形態を記載する目的のためだけのものであり、請求した発明を制限することを意図するものではないことが理解すべきである。
【0020】
値が、記述語「約」又は「実質的に」の使用によって近似値として表現されるとき、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。一般的に、用語「約」又は「実質的に」の使用は、開示する発明主題によって得ようとしている所望の特性に依存して変動し得る近似値を示すが、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるべきである。
【0021】
別個の実施形態の文脈において明確性のために本明細書に記載される、本発明のある特定の特徴はまた、単一の実施形態内に組み合わされて提供されてもよいことが理解される。すなわち、明白に不適合であるか又は除外されない限り、それぞれ個別の実施形態は、任意の他の実施形態に適合するとみなされ、このような組み合わせは、別の実施形態であると考えられる。逆に、単一の実施形態に照らして簡潔にするために記載される本発明の異なる特徴は、別々に又は任意の部分的組み合わせとして提供されてもよい。
【0022】
存在する場合、全ての範囲は、包括的であり、組み合わせ可能である。例えば、「1~5」の範囲を列挙するとき、列挙した範囲は「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2及び4~5」、「1~3及び5」などの範囲を任意選択的に含むと解釈すべきである。加えて、代替物のリストが明確に提供される場合、そのようなリストはまた、代替物のいずれかが除外されてもよい実施形態を含み得る。例えば、「1~5」の範囲が記載されている場合、そのような記載は、1、2、3、4、又は5のいずれかが除外される状況を支持することができる。したがって、「1~5」という記述は、「1及び3~5であるが、2ではない」又は単に「2は含まれない」を支持し得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「PP1M」は、約1ヶ月の投与間隔に好適な量のパルミチン酸パリペリドンを有するパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液又は他のタイプの製剤を指す。市販の例としては、INVEGA SUSTENNA(登録商標)又はXEPLION(登録商標)が挙げられる。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,439,906号も参照されたい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「PP3M」は、約3ヶ月の投与間隔に好適な量のパルミチン酸パリペリドンを有するパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液又は他のタイプの製剤を指す。市販の例としては、INVEGA TRINZA(登録商標)又はTREVICTA(登録商標)が挙げられる。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,143,693号も参照されたい。
【0025】
本明細書で使用される場合、「PP6M」は、約6ヶ月の投与間隔に好適な量のパルミチン酸パリペリドンを有するパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液又は他のタイプの製剤を指す。
【0026】
パリペリドンは、精神病の治療に有効であり、統合失調症及び統合失調症性感情障害を治療するために使用されている。したがって、PP6Mは、統合失調症及び/又は統合失調症性感情障害又は双極性障害を含むがこれらに限定されない精神病性障害の治療に好適である。
【0027】
PP6Mは、典型的には、PP1M(例えば、INVEGA SUSTENNA(登録商標))で数ヶ月間、特定の実施形態では少なくとも4ヶ月間、約156mg又は約234mgのパルミチン酸パリペリドンのPP1M用量で適切に治療されてきた患者に投与される。PP1Mの最終2回の用量は、PP6M開始前と同じ投薬量強度であることが更に好ましい。代替的に、PP6Mは、PP3M(例えば、INVEGA TRINZA(登録商標))で少なくとも1回の3ヶ月サイクルにわたって適切に治療されてきた患者に、約546mg又は約819mgのパルミチン酸パリペリドンのPP3M用量で投与する。
【0028】
PP6Mは、典型的には、約1000mg~約1600mgのパルミチン酸パリペリドンの範囲の用量で提供されて、6ヶ月の投与間隔にわたってパリペリドンの持続的治療濃度を提供する。好ましくは、PP6Mは、約1092mg又は約1560mgパルミチン酸パリペリドンの用量強度で提供される。製剤は、活性部分のパリペリドンに加水分解され、それぞれパリペリドンの約700mg当量又は約1000mg当量の用量強度を生じる。
【0029】
PP6Mは、好ましくは、700mg当量の(3.5mL)又は1000mg当量(5.0mL)のパリペリドン(それぞれ1092mg又は1560mgのパルミチン酸パリペリドンとして)(プランジャストッパ、プランジャロッド、及び先端キャップ(ブロモブチルゴム)、バックストップ、及び針、好ましくは薄壁20ゲージ(G)、1 1/2インチの安全針を有する)のどちらかで事前充填した事前充填シリンジ(環状オレフィンコポリマー)において提供される。
【0030】
PP6Mは、筋肉内使用を意図している。任意の他の経路で投与することが推奨されない。不注意による血管内注射を防ぐように注意すべきである。用量は、好ましくは、単回注射で投与される。例えば、分割注射は、放出プロファイルを変化させ得る。そうでなければ、注射は、患者の筋肉、特に三角筋又は殿筋の深部にゆっくりと投与されることが好ましい。典型的には、PP6Mは、注射の体積を考慮して殿筋に投与される。
【0031】
筋肉内注射
典型的には、患者の体重にかかわらず、PP6Mは、薄壁シリンジ、例えば、20ゲージ(gauge、G)、1 1/2インチ針を使用して三角筋又は殿筋に筋肉内投与される。三角筋に投与される程度まで、パルミチン酸パリペリドンは、典型的には三角筋の中心に、好ましくは1回の注射当たり2つの三角筋の間で交互に投与される(すなわち、反対の三角筋が次の予定された投与間隔で使用される)。PP6Mについては、殿部筋肉内投与が好ましい。例えば、PP6Mは、殿筋の上部外側四分円に投与することができる。殿部注射は、1回の注射当たり2つの殿筋の間で交互に行われるべきである(すなわち、反対の殿筋が次の予定された投与間隔で使用される)ことも好ましい。
【0032】
不完全投与
PP6Mは、典型的には高度に濃縮された製品である。結果として、重要な考慮事項は、投与前に製品の完全な懸濁/再懸濁を確実にすることである。不完全な投与を避けるために、シリンジを振とう及び/又は機械的に攪拌して、懸濁液の均一な分散液を得る。例えば、シリンジは、好ましくは、少なくとも15秒間、シリンジ先端キャップを上に向けた状態で素早く振とうされる。短時間休ませてもよく、次いで、シリンジを更に15秒間再度振とうしてもよく、好ましくは振とうする。次いで、再懸濁を確実にし、注射中に針が詰まらないようにするために、好ましくは、注射を最終振とうの直後又は5分以内に行う。
【0033】
PP6Mの遅い放出特徴のために、この製品は、経口からLAI抗精神病薬療法に直ちに移行している患者に使用することを意図していない。むしろ、PP6Mは、PP6Mの開始時にPP1M又はPP3Mのいずれかで十分に治療されている患者において使用されることが意図されている。適切に治療されたという決定は、典型的には、処方する臨床医の判断に委ねられる。典型的には、PP6M投与は、A)少なくとも4ヶ月間、PP1M(例えば、INVEGA SUSTENNA(登録商標))で適切に治療された1ヶ月後、又はB)PP3M(例えば、INVEGA TRINZA(登録商標))用量が適切な治療として確立された3ヶ月後に、開始される。PP6Mは、最終PP1M注射の1ヶ月(±7日)後、又は最終PP3M注射の3ヶ月(±14日)後に投与されてもよい。
【0034】
最初のPP6M注射の後、PP6Mは、6ヶ月ごとに投与されるべきである。必要に応じて、個々の患者の忍容性及び/又は有効性に基づいて、パルミチン酸パリペリドンを1092mg~1560mg範囲内で増加させて6ヶ月ごとに用量の調整を行うことができる。典型的には、投薬量は、約1092mg又は約1560mgのパルミチン酸パリペリドンに調整される。PP6Mの長時間作用性のため、調整した用量に対する患者の反応は数ヶ月間現れないことがある。
【0035】
投与期間
本明細書に記載されるように、非遵守は、精神病患者、特に、開業医又は介護者に相談することなく薬物を急に中止することが多い統合失調症を有する患者の治療における主要な問題である。遵守の欠如は、再発の最も強力な予測因子として同定されており、これは、典型的には、精神医学的共存症の悪化、雇用の喪失、教育の中断、及び家族関係の障害をもたらす。経口抗精神病薬については、わずか1日の投与間隔が、再入院のリスクを倍増させ得る。長時間作用型の注射可能(LAI)抗精神病薬は、この問題に対処し、非遵守患者のための適時介入を確実にして、再発及び入院を予防するために開発された。
【0036】
しかしながら、臨床診療において一般的に遭遇する困難は、対象が、LAI抗精神病薬の以前の維持注射を受けた後、特定の日に診療所に戻る必要があることである。注射が与えられ得るウィンドウを有することは、処方者、患者、及び介護者により大きな柔軟性を与えるであろう。このウィンドウは、多くの場合、医療専門家によって処方され、かつ/又は規制機関によって設定される。
【0037】
以前に、PP1Mについては、標的注射日(投与間隔に基づく予定注射日)の前後±1週間の投与ウィンドウを確立した。PP3Mについて、このウィンドウは、標的注射日あたり±2週間に拡大された。ここで、PP6Mの標的注射日の最大2週間前まで及び最大3週間後までの投与ウィンドウが使用され得、更なる投与柔軟性を提供し得ることが見出された。
【0038】
投与推奨は、歴史的に、7.5ng/mLの閾値を超えるパリペリドン血漿濃度を目標としてきた。この閾値は、60%の中枢ドーパミン2型(Dopamine type 2、D2)受容体占有率と関連付けられているが、60%~80%の範囲の受容体占有率が、満足のいく抗精神病応答に必要であると考えられている。実施例の項(実施例7を参照)に反映されるように、シミュレーションを行って、再発までの時間の中央値とパリペリドン濃度の中央値が7.5ng/mL未満になる点との間の関係を評価した。血漿パリペリドン濃度の中央値が7.5ng/mLに減少した時点と、再発までの時間の中央値、すなわち、対象の半分が再発を経験したが、対象の他の半分が後で再発したか、又は試験中に再発しなかった時点との間に、数週間から数ヶ月続く明らかな遅延が観察された。したがって、治療効果は、7.5ng/mL閾値に基づいて予測される効果よりも延長されており、再発保護ウィンドウは、正の方向に更に持続され得るようである。
【0039】
一実施形態では、PP6Mの標的注射日(すなわち、予定された6ヶ月の時点)の最大2週間前まで及び最大3週間後までの投与ウィンドウが使用される。したがって、本開示は、パルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液の第1の用量を投与されてきた、パルミチン酸パリペリドンの投与を必要とする患者に、パルミチン酸パリペリドンを投与するための方法であって、第1の用量の投与の6ヶ月後である時点の最大2週間前又は3週間後までに、パルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液の第2の用量を患者の三角筋又は殿筋、好ましくは殿筋に投与することを含み、第1の用量と第2の用量との間にパルミチン酸パリペリドンの介在用量が存在しない、方法を含む。第1の用量及び第2の用量は、記載された方法の順序内の用量であるが、必ずしも患者に投与されるまさに第1(初回)又は第2の用量を指すわけではないことを認識されたい。
【0040】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される場合、「月」は、グレゴリオ暦の月を指し、28日(例えば、2月)程度の短さから31日(例えば、10月)、例えば、28、29、30、又は31日まで変動し得る。6ヶ月の時点は、6つの連続する暦月を反映する。本明細書に示すように、シミュレーションを含む実施例に反映される特定の試験は、1ヶ月間使用される30日に基づいていた。「週」は、7日を指す。
【0041】
いくつかの実施形態では、他の投与ウィンドウが考慮されてもよい。例えば、PP6Mの標的注射日の最大1週間前及び最大2週間後、又は最大1週間前及び最大3週間後、又は最大2週間前及び最大2週間後の投与ウィンドウ。更に他の実施形態では、第2の用量は、投与ウィンドウの一部分として、第1の用量の投与の6ヶ月後である時間の4週間後まで、又は5週間後までに投与される。第1の用量の投与の6ヶ月後である時間の前及び後のこれらの期間の任意の組み合わせが利用され得る。特定の実施形態では、投与ウィンドウは、定常状態のパリペリドン血漿濃度に到達した患者に適用される。
【0042】
第1の用量及び第2の用量は、独立して、典型的には約1000mg~約1600mgのパルミチン酸パリペリドンである。特に、第1の用量及び第2の用量は、独立して、約1092mg又は約1560mgのパルミチン酸パリペリドンである。他の実施形態では、第1の用量及び第2の用量は各々、約1092mgのパルミチン酸パリペリドンである。別の実施形態では、第1の用量及び第2の用量は各々、約1560mgのパルミチン酸パリペリドンである。
【0043】
典型的には、患者におけるパリペリドン血漿濃度は、第2の用量の投与時に約5~約50ng/mL、又は第2の用量の投与時に約10~約40ng/mLである。例えば、第1の用量が1092mgのパルミチン酸パリペリドンである場合、患者におけるパリペリドン血漿濃度は、第2の用量の投与時に、約5~約30ng/mL、又は約10~約25ng/mLである。第1の用量が1560mgのパルミチン酸パリペリドンである場合、患者におけるパリペリドン血漿濃度は、第2の用量の投与時に、約9~約40ng/mL、又は約20~約30ng/mLである。これに関連して、「第2の用量の時点」は、第2の用量直前の濃度レベルを指し、典型的にはCトラフ値を表す。
【0044】
他の態様では、患者におけるパリペリドン血漿濃度は、第2の用量の投与後に約10~約150ng/mL、又は第2の用量の投与後に約35ng/mL~約125ng/mLのピークを達成する。例えば、第1の用量が1092mgのパルミチン酸パリペリドンである場合、患者におけるパリペリドン血漿濃度は、第2の用量の投与後に、約10~約125ng/mL、又は約50~約90ng/mLのピークに達する。第1の用量が1560mgのパルミチン酸パリペリドンである場合、患者におけるパリペリドン血漿濃度は、第2の用量の投与後、約35~約145ng/mL、又は約70~約110ng/mLのピークに達する。
【0045】
特定の実施形態では、PP3M及びPP6Mは、同じ製剤を有し得る。このような実施形態では、PP6Mの薬物動態特性は、PP3Mと同様であるが、このようなPP6Mは、より多量の薬物及びより長い投与頻度を考慮すると、より高いピーク及びより低いトラフを有すると予想されるだろう。実施例6に示されるように、絶対薬物血漿濃度は、その標的間隔でのPP3Mに対してその標的間隔でのPP6Mについてより低かった。PP3Mが標的注射日の前後に±2週間の投与ウィンドウを確立したことを考慮すると、標的間隔点でより低い薬物血漿濃度をもたらす製剤のために投与ウィンドウを正の方向に拡大することは示唆されなかった。しかし、本明細書に反映されるように、治療効果は、薬物動態データに基づいて予測される効果よりも延長され、したがって、投与ウィンドウが正の方向に更に維持することを可能にすることが発見された。
【0046】
抜かした用量
LAI抗精神病薬を投与された患者は、定期的に医療提供者に戻り、薬物の注射を受ける。それらの投与のタイミングは、典型的には注意深く処方される。本明細書中に記載されるように、任意の所与の抗精神病薬について、最適な投与サイクルが、任意の不都合な副作用又は効力の損失なしにそれらの薬物を受容し得る投与ウィンドウ(±)とともに推奨される。本開示では、PP6Mの初回用量の後、PP6Mは、6ヶ月ごとに投与されるべきである。PP6Mの抜かした用量は避けるべきであるが、処方された投与ウィンドウ内で与えられる注射は抜かした用量とはみなされないであろう。必要に応じて、個々の患者の忍容性及び/又は有効性に基づいて、1092mg~1560mgのパルミチン酸パリペリドンの用量レベル間で6ヶ月ごとに用量の調整を行うことができる。
【0047】
しかしながら、これにも関わらず、統合失調症患者が、病気の間のある時点で従順でなくなることが頻繁に起こる。したがって、集団薬物動態シミュレーションに基づいて、投与ウィンドウを超えてPP6Mの用量を抜かした場合のガイドラインが提供される。
【0048】
本開示は、患者が完全に又は部分的に非遵守になった場合に、患者がPP6Mによる治療を再開することができる機構を提供する。PP6Mの投与は、最初にPP1M/PP3Mで安定化される患者に依存するので、これは、患者が新たに開始しなければならない必要性を低減するだろう。加えて、治療効果が、薬物動態データに基づいて予想される効果よりも延長されることが発見されたので、少なくとも1回のPP6M注射を受けた患者は、より長期間にわたって無再発であると予想される。これは、非遵守の状況であっても、再発の予防に対するPP6Mの正の効果を提供する。
【0049】
本開示は、自身の定期的に予定された薬物用量を抜かした患者、すなわち、処方された投与ウィンドウの外にある患者に対して再開投与レジメンを提供し、レジメンは、患者の最終用量から経過した時間に依存する。いくつかの実施形態では、抜かした用量は、最終注射後、6ヶ月及び3週間にわたるが、7~9ヶ月未満、例えば、8ヶ月未満である。
【0050】
例えば、投与ウィンドウが、標的注射日の最大2週間前及び最大3週間後である限り、本開示は、第1のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第1の懸濁液)の第1の用量を投与されてきた、パルミチン酸パリペリドンの投与を必要とする患者に、パルミチン酸パリペリドンを投与するための方法であって、第1の懸濁液の第1の用量の投与後6ヶ月及び3週間を超えるが、第1の懸濁液の第1の用量の投与後7~9ヶ月未満、例えば、8ヶ月未満である時点で、第2のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第2の懸濁液)の再開負荷用量を患者の三角筋に投与することと、第2の懸濁液の再開負荷用量の投与後約1ヶ月(±7日)である時点で、第1の懸濁液の維持用量を患者の三角筋又は殿筋に投与することと、を含む、方法を提供する。一実施形態では、第2の懸濁液の再開負荷用量及び第1の懸濁液の維持用量は、以下の表1に示されるような第1の懸濁液の第1の用量に基づいて選択され、第1の懸濁液の投与は、好ましくは、患者の殿筋における投与である。
【0051】
【表1】
【0052】
異なる投与ウィンドウが処方される範囲で、上記と同じ再開投与レジメンが実施され得るが、外側投与ウィンドウパラメータに基づいて調整され得る。例えば、投与ウィンドウが、標的注射日の最大1週間前及び最大2週間後であった場合、第2の懸濁液の再開負荷用量は、第1の懸濁液の第1の用量の投与後6ヶ月及び2週間を超えるが、第1の懸濁液の第1の用量の投与後7~9ヶ月未満、例えば、8ヶ月未満である時点で投与される。
【0053】
他の再開レジメンは、最終注射の7~9ヶ月後及び10~14ヶ月後の抜かした用量に基づく。例えば、本開示は、第1のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第1の懸濁液)の第1の用量を投与されてきた、パルミチン酸パリペリドンの投与を必要とする患者に、パルミチン酸パリペリドンを投与することを含み、第1の懸濁液の第1の用量の投与後7~9ヶ月、例えば、8ヶ月~最大10~14ヶ月を含む、例えば、最大11ヶ月を含む時点で、第2のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第2の懸濁液)の156mgのパルミチン酸パリペリドンの第1の再開負荷用量を患者の三角筋に投与することと、第2の懸濁液の第1の再開負荷用量を投与してから約8日目(±4日)に、第2の懸濁液の156mgのパルミチン酸パリペリドンの第2の再開負荷用量を患者の三角筋に投与することと、第2の懸濁液の第2の再開負荷用量を投与してから約1ヶ月(±7日)後に、第1の懸濁液の維持用量の約1092mg~約1560mgのパルミチン酸パリペリドンを患者の三角筋又は殿筋に投与することと、を含む。一実施形態では、第1の懸濁液の第1の用量は、約1092mgのパルミチン酸パリペリドンであり、第1の懸濁液の維持用量は、約1092mgのパルミチン酸パリペリドンである。別の実施形態では、第1の懸濁液の第1の用量は、約1560mgのパルミチン酸パリペリドンであり、第1の懸濁液の維持用量は、約1560mgのパルミチン酸パリペリドンである。好ましい実施形態では、第1の懸濁液の投与は、患者の殿筋に行われる。
【0054】
他の再開レジメンは、最終注射から10~14ヶ月超の抜かした用量に基づく。例えば、本開示は、第1のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第1の懸濁液)の第1の用量を投与されてきた、パルミチン酸パリペリドンの投与を必要とする患者に、パルミチン酸パリペリドンを投与することを含み、(1)第1の懸濁液の第1の用量の投与後10~14ヶ月超、例えば、11ヶ月超の時点で、第2のパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液(第2の懸濁液)の234mgのパルミチン酸パリペリドンの第1の再開負荷用量を患者の三角筋に投与することと、(2)第2の懸濁液の第1の再開負荷用量を投与してから約8日目(±4日)に、第2の懸濁液の156mgのパルミチン酸パリペリドンの第2の再開負荷用量を患者の三角筋に投与することと、(3)第2の再開負荷用量を投与してから約1ヶ月(±7日)後に、第2の懸濁液の39mg~約234mgのパルミチン酸パリペリドンの第1の再開維持用量を患者の三角筋又は殿筋に投与することと、(4)第2の懸濁液の第1の再開維持用量を投与してから約1ヶ月(±7日)後に、第2の懸濁液の約39mg~約234mgのパルミチン酸パリペリドンの第2の再開維持用量を患者の三角筋又は殿筋に投与することと、(5)第2の懸濁液の第2の再開維持用量を投与してから約1ヶ月(±7日)後に、第2の懸濁液の約39mg~約234mgのパルミチン酸パリペリドンの第3の再開維持用量を患者の三角筋又は殿筋に投与することと、(6)第2の懸濁液の第3の再開維持用量を投与してから約1ヶ月(±7日)後に、第1の懸濁液の維持用量の約1092mg~約1560mgのパルミチン酸パリペリドンを患者の三角筋又は殿筋に投与することと、を含む。好ましくは、第1の懸濁液は、殿筋に投与される。一実施形態では、第1の懸濁液の第1の用量は、約1092mgのパルミチン酸パリペリドンであり、第1の懸濁液の維持用量は、約1092mgのパルミチン酸パリペリドンである。別の実施形態では、第1の懸濁液の第1の用量は、約1560mgのパルミチン酸パリペリドンであり、第1の懸濁液の維持用量は、約1560mgのパルミチン酸パリペリドンである。他の実施形態では、第2の懸濁液の第2及び第3の再開維持用量は、同じである。追加の再開維持用量は、第1の懸濁液の維持用量の前に、1ヶ月(±7日)間隔で投与されてもよい(例えば、第4の再開維持用量、第5の再開維持用量など)。特定の実施形態では、パルミチン酸パリペリドンの再開維持用量は、約156~約234mgである。再開レジメンのいずれかに関して、第1の懸濁液の維持用量の投与後に、第1の懸濁液は、典型的には、本明細書に記載されるように6ヶ月間隔で投与される。
【0055】
特定の実施形態では、第1の懸濁液は、PP6Mであり、第2の懸濁液は、PP1Mである。PP1M及びPP6Mに基づく例示的な再開レジメンは、実施例8に更に開示される。再開レジメンの目標は、適用された再開レジメンによるオーバーシュートを生じることなく、抜かした用量の前のようなパリペリドン血漿濃度への迅速な復帰を達成することである。本方法は、本明細書に記載される抜かされた投与レジメンの列挙された用量の間、例えば、第1の用量と再開負荷用量との間のパルミチン酸パリペリドンの介入用量を企図しないことが認識されるべきである。
【0056】
本開示の別の態様は、ほとんどの治療が体重増加を引き起こす患者集団における体重の安定化又は減少に対する、より長く作用するパルミチン酸パリペリドン治療について観察された効果である。特に、PP1M又はPP3Mで十分に治療されてきた患者をPP6Mに移行させることは、良好な薬理学的有効性を維持し、再発予防を維持しながら、パリペリドン誘発性体重増加を低減、停止、又は潜在的に部分的に逆転させることができることが見出された。
【0057】
結果として、本開示は、リスペリドン又はパリペリドンで治療された過体重患者であって、長期の症状保護、したがって抗精神病薬治療を必要とするが、連続的な体重増加が許容されない患者に対する、満たされていない医学的必要性を満たす。長期治療中の体重増加は、より高い罹患率及び死亡率(例えば、心血管疾患による)のリスク因子を増加させる代謝効果を有する。加えて、体重増加は、患者の可動性及び機能性に影響を与え、生活の質を著しく低下させる可能性がある。本明細書に開示されるPP6M製剤及びレジメンは、他のパリペリドン又はパルミチン酸パリペリドン製剤(例えば、PP1M又はPP3M)と比較して同じ効力を提供しながら、患者のための体重ニュートラル又は体重減少治療を可能にする。
【0058】
一実施形態では、本開示は、1ヶ月間隔(PP1M)又は3ヶ月間隔(PP3M)のいずれかでパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液で治療されてきた患者の体重を安定化又は減少させる方法であって、PP1M又はPP3Mの最終用量を投与することと、次いで、6ヶ月の投与間隔(PP6M)を有するパルミチン酸パリペリドン持続放出注射可能懸濁液の初回用量を投与することをと、含む方法を提供する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、又は少なくとも6ヶ月間、PP1Mで治療されている。他の実施形態では、患者は、少なくとも1回の3ヶ月間隔、少なくとも2回の3ヶ月間隔、又は少なくとも3回の3ヶ月間隔の間、PP3Mで治療されている。
【0059】
患者がPP1Mで治療されている実施形態では、PP6Mの初回用量は、PP1Mの最終用量が投与されてから約1ヶ月(±7日)後に投与される。典型的には、PP1Mの最終用量が、約156mgパルミチン酸パリペリドンである場合、PP6Mの初回用量は、約1092mgパルミチン酸パリペリドンである。他の態様では、PP1Mの最終用量が、約234mgパルミチン酸パリペリドンである場合、PP6Mの初回用量は、約1560mgパルミチン酸パリペリドンである。
【0060】
患者がPP3Mで治療されている実施形態では、PP6Mの初回用量は、PP1Mの最終用量が投与されてから約3ヶ月(±14日)後に投与される。典型的には、PP3Mの最終用量が、約546mgパルミチン酸パリペリドンである場合、PP6Mの初回用量は、約1092mgパルミチン酸パリペリドンである。他の態様では、PP3Mの最終用量が、約819mgパルミチン酸パリペリドンである場合、PP6Mの初回用量は、約1560mgパルミチン酸パリペリドンである。
【0061】
PP6Mの初回用量の後、PP6Mは、本明細書に記載されるように6ヶ月間隔で投与される。
【0062】
データの更なる分析は、過体重患者(約25及び約30未満の体格指数(body mass index、BMI))及びより若い患者(約18~約25歳)において特定の利益を示した。
【0063】
特定の実施態様では、PP1M又はPP3Mの最終用量時に、患者は、約25~約30未満の体格指数(BMI)を有する。
【0064】
他の態様では、PP1M又はPP3Mの最終用量時に、患者は、約18歳~約25歳の年齢を有する。
【0065】
典型的には、体重安定化は、PP6Mへの移行の時点から(PP6Mの初回用量の時点から)約-1~約+1、又は約-0.5~約+0.5のBMI変化を指す。好ましくは、BMI変化は、約0である。体重減少に関して、PP6Mへの移行の時点からの負の体重変化は、体重減少として見ることができる。このような安定化又は体重減少は、PP6Mへの移行時点から約12ヶ月以内に起こり得る。
【0066】
他の態様では、患者の体重は、PP1M若しくはPP3Mの最終用量時に、PP6Mの初回投与時に、PP6Mへの移行後のその後の時点で、又はそれらの組み合わせで評価又は決定される。
【0067】
パルミチン酸パリペリドン製剤
パリペリドンエステルは、(+)-及び(-)-パリペリドンのラセミ混合物を含有する、ベンズイソキサゾール誘導体の化学分類に属する抗精神病薬であり、それらは、米国特許第5,254,556号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。パルミチン酸パリペリドンの化学名は、(±)-3-[2-[4-(6-フルオロ-1,2-ベンズイソキサゾール-3-イル)-1-ピペリジニル]エチル]-6,7,8,9-テトラヒドロ-2-メチル-4-オキソ-4H-ピリド[1,2-c]ピリミジン-9-イルヘキサデカノアートである。構造式は、以下である。
【0068】
【化1】
【0069】
パリペリドンエステルは、米国特許第5,254,556号及び同第6,077,843号(これらの両方が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、医薬賦形剤で注射可能な剤形に製剤化され得る。注射可能な製剤は、水性担体内で製剤化され得る。
【0070】
参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,439,906号に記載されているように、1ヶ月水性製剤は、ナノ粒子が約2,000nm未満~約100nmの平均サイズを有するナノ粒子懸濁液である。例えば、ナノ粒子は、約1600nm~約400nm、又は約1400nm~約900nmの平均粒径(d50)を有する。d90は、約5,000nm未満、又は約4,400nm未満である。d10は、約300nm~約600nmである。本明細書で使用される場合、d10:この値よりも小さい直径を有する粒子の割合が10%であり、d50:この値より小さい直径を有する粒子の割合が50%であり、d90:この値より小さい直径を有する粒子の割合が90%である。ただし、これらは、沈降場フロー分画、光子相関分光法、又はディスク遠心分離などの当技術分野で公知の従来技術によって測定される場合である。
【0071】
特定の実施形態では、3ヶ月(PP3M)製剤は、約20μm未満~約1μmの平均粒径を有する。他の実施形態では、粒子は、約5μm~約15μm、約3μm~約10μm、又は約5μm~約9μmの平均粒径(d50)を有する。d90は、約50μm、約10μm~約30μm、又は約10μm~約20μmである。d10は、約1μm~約10μm、又は約1μm~約5μmである。
【0072】
特定の実施形態では、6ヶ月(PP6M)製剤は、約30μm未満~約1μm、又は約20μm~約1μmの平均粒径を有する。他の実施形態では、粒子は、約3μm~約25μm、約5μm~約15μm、約3μm~約10μm、又は約5μm~約9μmの平均粒径(d50)を有する。d90は、60μm、又は約50μm、約10μm~約30μm、又は約10μm~約20μmである。d10は、約1μm~約15μm、約1μm~約10μm、又は約1μm~約5μmである。
【0073】
好適な水性ナノ粒子製剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,555,544号に記載されている。いくつかの実施形態では、製剤には、微小粒子、界面活性剤、懸濁化剤、並びに防腐剤、緩衝剤、及び等張化剤からなる群から選択される、任意の1つ又は2つ以上の付加的成分が含まれる。
【0074】
パルミチン酸パリペリドン製剤の有用な表面変性剤は、活性薬剤の表面に物理的に付着するが、そこに化学的に結合しないものを含むと考えられる。好適な表面変性剤は、好ましくは、既知の有機及び無機医薬賦形剤から選択され得る。そのような賦形剤は、種々のポリマー、低分子量オリゴマー、天然物、及び界面活性剤を含む。好ましい表面変性剤は、非イオン性及びアニオン性界面活性剤を含む。賦形剤の代表的な例として、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、グリセリルモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ろう、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000などのマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、市販のTWEENS(商標))、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非晶質セルロース、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)、ポロキサマー、チロキサポール、及びポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)が挙げられる。これらの賦形剤の大半は、American Pharmaceutical Association及びThe Pharmaceutical Society of Great Britainから共同出版された、the Handbook of Pharmaceutical Excipients,the Pharmaceutical Press,1986に詳細に記載されている。表面変性剤は、市販されており、及び/又は当該技術分野において既知の技術によって調製され得る。2つ以上の表面変性剤は、組み合わせて使用され得る。
【0075】
特に好ましい表面改質剤としては、ポリビニルピロリドン、チロキサポール、ポロキサマー(例えば、BASFから入手可能な、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマーであるPLURONIC(商標)F68、F108、及びF127)、ポロキサミン(例えば、BASFから入手可能な、エチレンジアミンへのエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの逐次添加から誘導される四官能性ブロックコポリマーであるTETRONIC(商標)908(T908))、デキストラン、レシチン、Aerosol OT(商標)(AOT)(Cytec Industriesから入手可能なスルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステルである)、DUPONOL(商標)P(DuPontから入手可能なラウリル硫酸ナトリウムである)、TRITON(商標)X-200(Rohm and Haasから入手可能なアルキルアリールポリエーテルスルホネートである)、TWEEN(商標)20、40、60、及び80(ICI Speciality Chemicalsから入手可能なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである)、SPAN(商標)20、40、60、及び80(脂肪酸のソルビタンエステルである)、ARLACEL(商標)20、40、60、及び80(Hercules,Inc.から入手可能な脂肪酸のソルビタンエステルである)、CARBOWAX(商標)3550及び934(Union Carbideから入手可能なポリエチレングリコールである)、CRODESTA(商標)F110(Croda Inc.から入手可能なステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロースとの混合物である)、CRODESTA(商標)SL-40(Croda,Inc.から入手可能である)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムクロリド(hexyldecyl trimethyl ammonium chloride、CTAC)、ウシ血清アルブミン及びSA90HCO(C1817CH(CON(CH)CH(CHOH)CHOH)である)が挙げられる。特に有用であると判明した表面変性剤には、チロキサポール及びポロキサマー、好ましくは、Pluronic(商標)F108及びPluronic(商標)F68が含まれる。
【0076】
Pluronic(商標)F108は、ポロキサマー338に相当し、x、y、及びzの平均値が、それぞれ、128、54、及び128である、式HO[CHCHO][CH(CH)CHO][CHCHO]Hに概して一致するポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンブロックコポリマーである。ポロキサマー338の他の市販名は、Hodagから入手可能なHodag NONIONIC(商標)1108-F、及びICI Americasから入手可能なSYNPERONIC(商標)PE/F108である。
【0077】
パルミチン酸パリペリドン及び表面変性剤の最適相対量は、種々のパラメータに依存する。表面改質剤の最適量は、例えば、選択される特定の表面改質剤、表面改質剤がミセルを形成する場合には表面改質剤の臨界ミセル濃度、抗精神病薬の表面積などに依存し得る。特定の表面改質剤は、好ましくは、パルミチン酸パリペリドンの表面積1平方メートル当たり約0.1~約1mgの量で存在する。パルミチン酸パリペリドン(9-パルミチン酸ヒドロキシリスペリドン)の場合において、表面変性剤として、PLURONIC(商標)F108を使用することが好ましく、約6:1の両方の成分の相対量(w/w)が好適である。
【0078】
本発明の粒子は、液分散媒体内で、パルミチン酸パリペリドンを分散させる工程と、粉砕媒体の存在下で、抗精神病薬の粒径を有効な平均粒径に減少させるように、機械的手段を適用する工程とを含む方法によって調製され得る。粒子は、表面変性剤の存在下で、寸法を減少することができる。あるいは、粒子は、摩耗後、表面変性剤と接触することができる。
【0079】
本明細書に記載される粒子を調製するための一般的な手順は、(a)パルミチン酸パリペリドンを得ることと、(b)パルミチン酸パリペリドンを液体媒体に添加して、プレミックスを形成することと、(c)有効な平均粒径に減少させるために、粉砕媒体の存在下で、プレミックスを機械的手段に供することと、を含む。
【0080】
パルミチン酸パリペリドンは、当該技術分野において既知の技術を用いて調製され得る。ふるい分析によって決定されるように、パルミチン酸パリペリドンの粒径が約100μm未満であることが好ましい。パルミチン酸パリペリドンの粒径が約100μmを超える場合、次に、パルミチン酸パリペリドンの粒子を100μm未満の寸法に減少させることが好ましい。
【0081】
次に、パルミチン酸パリペリドンは、プレミックスを形成するために本質的に不溶性である、液体媒体に添加され得る。液体媒体中のパルミチン酸パリペリドンの濃度(重量パーセンテージによる重量)は大きく異なり得、選択される表面変性剤、及び他の要因に依存する。組成物中のパルミチン酸パリペリドンの好適な濃度は、約0.1~約60%まで幅があり、好ましくは、約0.5~約30%であり、より好ましくは、約7%(w/v)である。PP1Mについては、1mL当たり約100mg当量のパリペリドン、又は1mL当たり約156mgのパルミチン酸パリペリドンの濃度を使用することが目下好ましい。PP3Mについては、1mL当たり約200mg当量のパリペリドン、又は1mL当たり約312mgのパルミチン酸パリペリドンの濃度を使用することが好ましい。PP6Mについては、1mL当たり約200mg当量のパリペリドン、又は1mL当たり約312mgのパルミチン酸パリペリドンの濃度を使用することが好ましい。
【0082】
より好ましい手順は、有効な平均粒径を減少させるために機械的手段に供する前のプレミックスへの表面変性剤の添加を含む。表面変性剤の濃度(重量パーセンテージによる重量)は、約0.1%~約90%、好ましくは、約0.5%~約80%まで幅があり得、より好ましくは、約7%(w/v)である。
【0083】
プレミックスは、分散内の有効な平均粒径を所望の粒径に減少させるために、それを機械的手段に供することにより、直接使用され得る。ボールミルが摩耗に使用される場合、プレミックスを直接使用することが好ましい。あるいは、抗精神病薬、及び任意で、表面変性剤は、均質分散が達成されるまで、例えば、ローラーミル又はコーレス型混合器などの好適な攪拌を用いて液体媒体内で分散され得る。
【0084】
抗精神病剤の有効な平均粒径を減少させるために適用される機械的手段は、便宜上、分散ミルの形態を取り得る。好適な分散ミルには、ボールミル、磨砕ミル、振動ミル、遊星ミル、サンドミル及びビーズミルなどの媒体ミルが含まれる。媒体ミルは、粒径の所望の減少を提供するために必要とされるミリング時間が比較的短いため、好ましい。媒体ミリングについて、いくつかの実施形態では、プレミックスの見かけ粘度は、好ましくは、約0.1Pa・s~約1Pa・sである。いくつかの実施形態では、ボールミリングについて、プレミックスの見かけ粘度は、好ましくは、約1mPa・s~約100mPa・sである。
【0085】
粒子サイズ減少工程のための粉砕媒体は、好ましくは約3mm未満、より好ましくは約1mm未満の平均サイズを有する形態の球状又は粒状の硬質媒体から選択することができる。そのような媒体は、望ましくは、より短い処理時間で本発明の粒子を提供することができ、粉砕機器に与える摩耗をより少なくすることができる。粉砕媒体のための材料の選択は、重要ではないと考えられる。しかしながら、マグネシア、ケイ酸ジルコニウム、及びガラス粉砕媒体で安定化された約95%ZrOは、医薬組成物の調製に許容可能な粒子を提供する。更に、ポリマービーズ、ステンレス鋼、チタニア、アルミナ、及びイットリウムで安定化された約95%ZrOなどの他の媒体が有用である。好ましい粉砕媒体は、約2.5g/cmを超える密度を有し、マグネシア及びポリマービーズで安定化された約95%ZrOを含む。
【0086】
摩耗時間は大きく異なり得、特定の機械的手段及び選択される処理条件に主に依存する。ローリングミルについて、粒径の小さい粒子では最大2日間又はそれ以上の処理時間が必要とされ得る。
【0087】
粒子は、典型的には、抗精神病薬を著しく分解しない温度で寸法を減少する。約30℃~約40℃未満の処理温度が、通常好ましい。必要に応じて、処理装置は、従来の冷却装置で冷却され得る。方法は、従来、周辺温度の条件下、及び粉砕処理に安全かつ効果的な処理圧力で実行される。
【0088】
表面変性剤は、プレミックス中に存在しない場合、典型的には、摩耗後に、例えば、上でプレミックスに関して記載される量を分散物に添加されなければならない。その後、分散物は、例えば、激しく振とうすることにより混合され得る。任意で、分散物は、例えば、超音波電力供給を用いて、分散工程に供され得る。
【0089】
本発明に記載の水性組成物は、好都合に、懸濁化剤及び緩衝剤、並びに任意で防腐剤及び等張剤のうちの1つ又は2つ以上を更に含む。特定の成分は、これらの薬剤のうちの2つ以上として同時に機能し得、例えば、防腐剤及び緩衝剤のように作用するか、あるいは緩衝剤及び等張剤のように作用し得る。
【0090】
本発明に記載の水性懸濁液中での使用のための好適な懸濁化剤(物理的安定剤とも称される)は、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、キトサン、デキストラン、ゼラチン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、及びポリオキシ-プロピレンエーテルである。好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、約0.5~約2%、最も好ましくは、約1%(w/v)の濃度で使用される。
【0091】
本発明による水性懸濁液中で使用するために記載された界面活性剤から選択される好ましい湿潤剤は、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、例えば、ポリソルビン酸20及びポリソルビン酸80、レシチン、ポリオキシエチレン、及びポリオキシプロピレンエーテル、デオキシコール酸ナトリウムである。好ましくは、ポリソルビン酸20は、約0.5~約3%、より好ましくは、約0.5~約2%、最も好ましくは、約1.1%(w/v)の濃度で使用される。
【0092】
好適な緩衝剤は、弱酸の塩であり、分散液を約pH6.0から塩基性にするのに十分な量で使用すべきである。好ましくは、pHは、約6.0~約9.0の範囲内、又は約6.0~約8.0の範囲内、又は約6.5~約7.5である。例えば、pHは、約6.0~約6.5、又は約6.5~約7.0、又は約7.0~約7.5、又は約7.5~約8.0、又は約8.0~約8.5、又は約8.5~約9.0の範囲内である。リン酸水素二ナトリウム(無水)(典型的には、約0.9%(w/v))及びリン酸二水素ナトリウム一水和物(典型的には、約0.6%(w/v))の混合物の使用が特に好ましい。この緩衝剤は、分散体を等張性にし、加えて、その中に懸濁されるエステルの凝集傾向を低下させる。
【0093】
防腐剤は、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、クロロブトール、没食子酸塩、ヒドロキシベンゾエート、EDTA、フェノル、クロロクレゾール、メタクレゾール、塩化ベンゼトニウムクロライド、ミリスチル-ガンマ-塩化ピコリニウム、硝酸フェニルアセタート、及びチメロサールからなる群から選択することができる、抗菌剤及び抗酸化剤である。特に、それは、最大約2%(w/v)、好ましくは、最大約1.5%(w/v)の濃度で使用され得るベンジルアルコールである。
【0094】
等張剤は、例えば、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、乳糖、硫酸ナトリウムである。懸濁液は、好都合に、約0%~約10%(w/v)の等張剤を含む。マンニトールは、約0%~約7%の濃度で使用され得るが、より好ましくは、恐らくイオンが懸濁されたエステルの凝集を阻止するのを助けるため、約1%~約3%(w/v)、特に約1.5%~約2%(w/v)の1つ又は2つ以上の電解質が、懸濁液を等張性にするために使用される。特に、緩衝剤の電解質は、等張剤としての機能を果たす。
【0095】
注射可能な製剤の特に望ましい特性は、それが投与され得る容易性に関連する。特に、そのような注射は、できる限り短い時間内で、できる限り細い針を使用して実行可能でなければならない。これは、シリンジ中に(例えばバイアルから)容易に取り込まれ、細い針を通して注射され得る特定の粘度を維持することによって、本発明の水性懸濁液で達成され得る。例えば、PP1M粘度は、室温で約75mPa・s未満、又は約60mPa・s未満であり、23G、1インチ針、又は22G、1 1/2インチ針が、典型的に使用される。PP3Mについては、22G、1 1/2インチ針、又は22G、1インチ針が、典型的に使用される。また、PP6Mについては、20G、1 1/2インチの針が典型的に使用される。
【0096】
理想的には、本発明に記載の水性懸濁液は、注射量を最小限に保つように耐えることができる程度の、多くのパルミチン酸パリペリドン、及びできる限り少量の他の成分を含む。
【0097】
特にPP3M又はPP6Mについて、組成物は、(a)約200~約500mg/mLのパルミチン酸パリペリドンと、(b)約2~約25mg/mLの湿潤剤と、(c)約2.5~約50mg/mLの1つ又は2つ以上の緩衝剤と、(d)約25~約150mg/mLの懸濁化剤と、(e)任意選択的に、最大約2%(w/v)の防腐剤と、(f)100%になるまでの適量の水と、を含むか、又はそれらから本質的になる。典型的には、PP3M又はPP6M組成物は、約6.0~約8.0のpH、好ましくは約6.5~約7.5のpHを有する。
【0098】
他の実施形態では、PP3M又はPP6Mについて、組成物は、(a)約250~約400mg/mLのパルミチン酸パリペリドンと、(b)約5~約20mg/mLの湿潤剤と、(c)約5~約25mg/mLの1つ又は2つ以上の緩衝剤と、(d)約50~約100mg/mLの懸濁化剤と、(e)任意選択的に、最大約2%(w/v)の防腐剤と、(f)100%になるまでの適量の水と、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0099】
他の実施形態では、PP3M又はPP6Mについて、組成物は、(a)約280~約350mg/mLのパルミチン酸パリペリドンと、(b)約8~約12mg/mLの湿潤剤と、(c)約5~約15mg/mLの1つ又は2つ以上の緩衝剤と、(d)約65~約85mg/mLの懸濁化剤と、(e)任意選択的に、最大約2%(w/v)の防腐剤と、(f)100%になるまでの適量の水と、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0100】
特定の実施形態では、PP3M又はPP6M中の活性成分は、パルミチン酸パリペリドン(約312mg/mL)である。特定の実施形態では、PP3M又はPP6M中の非活性成分は、ポリソルベート20(約10mg/mL)、ポリエチレングリコール4000(約75mg/mL)、クエン酸一水和物(約7.5mg/mL)、リン酸二水素ナトリウム一水和物(約6mg/mL)、水酸化ナトリウム(約5.4mg/mL)、及び注射用水である。例示されたPP3Mは、実施例2に開示されている。例示されたPP6Mは、実施例3に開示されている。
【0101】
特に、PP1Mのための組成物は、組成物の総体積に基づく重量で、(a)約1%~50%(w/v)のパルミチン酸パリペリドンと、(b)約0.1%~5%(w/v)の湿潤剤と、(c)1つ又は2つ以上の緩衝剤と、(d)約0.1%~約5%(w/v)の懸濁化剤と、(e)任意選択的に、最大約2%(w/v)の防腐剤と、(f)100%になるまでの適量の水と、を含むか、又はそれらから本質的になる。典型的には、PP1M組成物は、約6.0~約8.0のpH、好ましくは約6.5~約7.5のpHを有する。
【0102】
組成物PP1Mは、好ましくは、組成物の総体積に基づく重量で、(a)約2%~40%(w/v)のパルミチン酸パリペリドンと、(b)約0.25%~3%(w/v)の湿潤剤と、(c)1つ又は2つ以上の緩衝剤と、(d)約0.25%~約3%(w/v)の懸濁化剤と、(e)任意選択的に、最大約2%(w/v)の防腐剤と、(f)100%になるまでの適量の水と、を含むか、又はそれらから本質的に一貫している。
【0103】
PP1Mのための組成物は、より好ましくは、組成物の総体積に基づく重量で、(a)約3%~20%(w/v)のパルミチン酸パリペリドンと、(b)約0.5%~2%(w/v)の湿潤剤と、(c)1つ又は2つ以上の緩衝剤と、(d)約0.5%~約2%(w/v)の懸濁化剤と、(e)任意選択的に、最大約2%(w/v)の防腐剤と、(f)100%になるまでの適量の水と、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0104】
特にPP1Mについて、組成物は、(a)約50~約250mg/mLのパルミチン酸パリペリドンと、(b)約2~約25mg/mLの湿潤剤と、(c)約2.5~約50mg/mLの1つ又は2つ以上の緩衝剤と、(d)約5~約75mg/mLの懸濁化剤と、(e)任意選択的に、最大約2%(w/v)の防腐剤と、(f)100%になるまでの適量の水と、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0105】
他の実施形態では、PP1Mについて、組成物は、(a)約100~約200mg/mLのパルミチン酸パリペリドンと、(b)約5~約20mg/mLの湿潤剤と、(c)約5~約25mg/mLの1つ又は2つ以上の緩衝剤と、(d)約10~約50mg/mLの懸濁化剤と、(e)最大約2%(w/v)の防腐剤と、(f)100%になるまでの適量の水と、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0106】
他の実施形態では、PP1Mについて、組成物は、(a)約140~約180mg/mLのパルミチン酸パリペリドンと、(b)約8~約16mg/mLの湿潤剤と、(c)約5~約15mg/mLの1つ又は2つ以上の緩衝剤と、(d)約20~約40mg/mLの懸濁化剤と、(e)任意選択的に、最大約2%(w/v)の防腐剤と、(f)100%になるまでの適量の水と、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0107】
最も好ましくは、PP1M中の有効成分は、パルミチン酸パリペリドン(約156mg/mL)である。最も好ましくは、PP1M中の不活性成分は、ポリソルベート20(約12mg/mL)、ポリエチレングリコール4000(約30mg/mL)、クエン酸一水和物(約5mg/mL)、リン酸二水素ナトリウム一水和物(約2.5mg/mL)、リン酸水素二ナトリウム無水物(約5mg/mL)、水酸化ナトリウム(約2.84mg/mL)、及び注射用水である。例示されたPP1Mは、実施例1に開示されている。
【0108】
好ましくは、水性懸濁液は、無菌条件下で作製され、防腐剤は使用されない。無菌でパルミチン酸パリペリドンを調製する適切な方法は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2006/114384号に記載されている。
【0109】
好ましい水性剤形は、ポリソルビン酸20、ポリエチレングリコール4000、クエン酸一水和物、リン酸水素二ナトリウム無水物、リン酸二水素ナトリウム一水和物、水酸化ナトリウム、及び注射用の水である、非活性成分を含有する。
【0110】
用量又は投与は、典型的には、パルミチン酸パリペリドンのミリグラム(milligram、mg)で表される。
【0111】
6ヶ月間隔での投与では、パルミチン酸パリペリドン投与は、パリペリドンのmg当量(mg当量)で表され得、約1092及び1560mgのパルミチン酸パリペリドンが、それぞれ、約700及び1000mg当量のパリペリドンに相当する。6ヶ月の投与では、患者に、約700mg当量~約1000mg当量のパリペリドン又は約1092mg~約1560mgのパルミチン酸パリペリドンを投与することが好ましい。
【0112】
3ヶ月間隔での投与では、パルミチン酸パリペリドン投与は、パリペリドンのmg当量(mg当量)で表され得、約273、410、546、及び819mgのパルミチン酸パリペリドンが、それぞれ、約175、263、350、及び525mg当量のパリペリドンに相当する。3ヶ月の投与では、患者に、約175mg当量~約525mg当量のパリペリドン又は約273mg~約819mgのパルミチン酸パリペリドンを投与することが好ましい。
【0113】
1ヶ月間隔での投与では、パルミチン酸パリペリドン投与は、パリペリドンのmg当量(mg当量)で表され得、約39、78、117、156、及び234mgのパルミチン酸パリペリドンが、それぞれ、約25、50、75、100、及び150mg当量のパリペリドンに相当する。1ヶ月の投与では、患者に、約25mg当量~約150mg当量のパリペリドン又は約39mg~約234mgのパルミチン酸パリペリドン、又は約100mg当量~約150mg当量パリペリドン又は約156mg~約234mgのパルミチン酸パリペリドン、例えば、約156mgのパルミチン酸パリペリドン又は約234mgのパルミチン酸パリペリドンを投与することが好ましい。
【0114】
本明細書で使用される「抗精神病薬」又は「抗精神病薬の薬物療法」という用語は、精神病性障害の患者において精神病の症状を減らすか又は改善するために使用される任意の薬物療法を意味する。
【0115】
本明細書に使用されるように、用語「精神病患者」は、「精神障害」の治療又は実験対象となっているヒトを指し、「精神疾患」は、米国精神医学会(American Psychiatric Association、APA)の診断及び統計マニュアル第5版(Diagnostic and Statistical Manual Fifth Edition、(DSM-5))に提供されているものを指す。当業者は、パリペリドンエステル(例えば、パルミチン酸パリペリドン)が、リスペリドンの全ての既知の使用のために精神病患者に投与され得ることを理解する。これらの精神障害としては、統合失調症;双極性障害;又は精神病、攻撃行動、不安、若しくは抑鬱が現れる他の病状が挙げられるが、これに限定されない。DSM-5に記載されているように、統合失調症は、統合失調症、統合失調症性感情障害、及び統合失調症様障害を特徴とする状態を指す。双極性障害は、双極性障害I及び双極性障害IIを含む、双極性障害を特徴とする状態を指す。DSMは、米国精神医学会命名法及び統計特別委員会(Task Force on Nomenclature and Statistics of the American Psychiatric Association)によって作成されたものであり、診断分類における明確な説明を提供する。精神病であるか、あるいは精神病特性に関連し得る病理学的精神状態は、DSMにおいて特徴付けられた以下の障害を含むが、それらに限定されない。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Revised,5th Ed.(2013)を参照されたい。当業者は、病理学的精神状態のための代替的な命名法、疾病分類、及び分類システムが存在し、これらのシステムが、医学における科学的進歩とともに進化することを認識する。治療され得る病理学的精神状態の例には、軽度知的障害、中等度知的障害、重度知的障害、最重度知的障害、特定不能の知的障害重症度、自閉症障害、レット障害、小児期崩壊性障害、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害、注意欠陥/多動性障害混合型、注意欠陥/多動性障害不注意優位型、注意欠陥/多動性障害衝動性優位型、注意欠陥/多動性障害NOS、行為障害(小児期発症小児期発症及び青年期型、反抗的行為障害、特定不能の破滅行動障害、単独攻撃性型、行為障害、未分化型、トウレット障害、慢性運動性又は音声チック障害、一過性チック障害、チック障害NOS、アルコール中毒性せん妄、アルコール離脱性せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、妄想を伴うアルコール誘発性精神病性障害、幻覚を伴うアルコール誘発性精神病性障害、アンフェタミン若しくは同様に作用する交感神経作用薬中毒、アンフェタミン若しくは同様に作用する交感神経作用薬せん妄、妄想を伴うアンフェタミン若しくは同様に作用する交感神経作用薬誘発型精神病、幻覚を伴うアンフェタミン若しくは同様に作用する交感神経作用薬誘発型精神病、妄想を伴う大麻誘発性精神病性障害、幻覚を伴う大麻誘発性精神病性障害、コカイン中毒、コカイン中毒性せん妄、妄想を伴うコカイン誘発性精神病性障害、幻覚を伴うコカイン誘発性精神病性障害、ハルシノジェン中毒、ハルシノジェン中毒性せん妄、妄想を伴うハルシノジェン誘発性精神病性障害、妄想を伴うハルシノジェン誘発性精神病性障害、ハルシノジェン誘発性気分障害、ハルシノジェン誘発性不安障害、特定不能のハルシノジェン関連障害、吸入中毒、吸入中毒性せん妄、吸入誘発性持続性認知症、妄想を伴う吸入誘発性精神病性障害、幻覚を伴う吸入誘発性精神病、吸入誘発性気分障害、吸入誘発性不安障害、特定不能の吸入関連障害、オピオイド中毒性せん妄、妄想を伴うオピオイド誘発性精神病性障害、オピオイド中毒性せん妄、幻覚を伴うオピオイド誘発性精神病性障害、オピオイド誘発性気分障害、フェンシクリジン(Phencyclidine、PCP)若しくは同様に作用するアリールシクロヘキシルアミン中毒、フェンシクリジン(PCP)若しくは同様に作用するアリールシクロヘキシルアミン中毒性せん妄、妄想を伴うフェンシクリジン(PCP)若しくは同様に作用するアリールシクロヘキシルアミン誘発性精神病性障害、幻覚を伴うフェンシクリジン(PCP)若しくは同様に作用するアリールシクロヘキシルアミン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン(PCP)若しくは同様に作用するアリールシクロヘキシルアミン気分障害、フェンシクリジン(PCP)若しくは同様に作用するアリールシクロヘキシルアミン誘発性不安障害、特定不能のフェンシクリジン(PCP)若しくは同様に作用するアリールシクロヘキシルアミン関連障害、鎮静薬、睡眠薬、若しくは抗不安薬中毒、鎮静薬、睡眠薬、若しくは抗不安薬中毒性せん妄、鎮静薬、睡眠薬、若しくは抗不安薬離脱せん妄、鎮静薬、睡眠薬、若しくは抗不安薬誘発性持続性認知症、妄想を伴う鎮静薬、睡眠薬、若しくは抗不安薬誘発性精神病性障害、幻覚を伴う鎮静薬、睡眠薬、若しくは抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静薬、睡眠薬、若しくは抗不安薬誘発性気分障害、鎮静薬、睡眠薬、若しくは抗不安薬誘発性不安障害、他(又は未知)の薬物中毒、他(又は未知)の薬物誘発性せん妄、他(又は未知)の薬物誘発性持続性認知症、妄想を伴う他(又は未知)の薬物誘発性精神障害、幻覚を伴う他(又は未知)の薬物誘発性精神病性障害、他(又は未知)の薬物誘発性気分障害、他(又は未知)の薬物誘発性不安障害、特定不能な他(又は未知)の薬物障害、脅迫性障害、心的外傷後ストレス障害、全般性不安障害、特定不能な不安障害、身体醜形障害、心気症(又は心気性神経症)、身体化障害、識別不能型身体表現性障害、特定不能な身体表現性障害、間欠性爆発性障害、窃盗癖、病的賭博、放火狂、抜毛狂、及び衝動調節障害NOS、統合失調症様障害、統合失調症性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神性障害、妄想を伴う全身病状による精神病性障害、幻覚を伴う全身病状による精神病性障害、特定不能な精神病性障害、大鬱、単一エピソード、重度、精神病性特徴なし、大鬱、再発性、重度、精神病性特徴なし、双極性障害、混合、重度、精神病性特徴なし、双極性障害、混合、重度、精神病性特徴あり、双極性障害、躁病性、重度、精神病性特徴なし、双極性障害、躁病性、重度、精神病性特徴あり、双極性障害、鬱病、重度、精神病性特徴なし、双極性障害、鬱病、重度、精神病性特徴あり、双極性II障害、特定不能な双極性障害、人格障害、パラノイヤ、人格障害、統合失調症、人格障害、統合失調症性、人格障害、反社会的、並びに人格障害、境界が挙げられるが、それらに限定されない。
【0116】
本明細書で使用される「治療的に有効な量」という用語は、治療される疾患若しくは障害の症状の緩和を含む、研究者、医師、又は他の臨床医により求められているヒトにおける生体学的反応又は医薬反応を引き出す活性化合物又は薬学的作用物質の量を意味する。
【0117】
疾患の治療分野の当業者は、上に列記される疾患の治療のために、投与すべき有効な量のパリペリドンを決定することができる。一例として、精神障害の治療のためのパリペリドンの有効な量は、1日当たり約0.01mg/体重kg~約2mg/体重kgである。年2回の投与では、患者に、約700mg当量~約1000mg当量のパリペリドン又は約1092mg~約1560mgのパルミチン酸パリペリドンを投与することが好ましい。パルミチン酸パリペリドンの量は、パルミチン酸部分がエステルから除去された後に、パリペリドンの等価用量を提供するのに十分な量で提供される(例えば、1560mgは、パリペリドン1000mgに相当する)。6ヶ月の投与では、患者に、約700mg当量~約1000mg当量のパリペリドン又は約1092mg~約1560mgのパルミチン酸パリペリドンを投与することが好ましい。
【0118】
以下の実施例は、この開示内に記載する概念の一部を示すために提供される。実施例は、特定の実施形態を記載するものとみなされるが、本明細書に記載されるより一般的な実施形態を限定するものとみなされるべきではない。以下の非限定的な例は、本発明を更に図解するために提供される。特に明記しない限り、実施例4~9におけるPP1M、PP3M、及びPP6Mへの言及は、実施例1(PP1M)、実施例2(PP3M)、及び実施例3(PP6M)に記載された製剤を指す。
【0119】
実施例1:1ヶ月持続放出製剤(PP1M)
以下の表2は、筋肉内(IM)注射に好適な100mg/mL当量のパリペリドンの例示的な1ヶ月持続放出製剤(PP1M)を含む。
【0120】
【表2】
PEG400又はMacroGol4000と等価
【0121】
PP1Mは、シリンジに異なる体積の100mg/mL当量のバルク懸濁液を充填することによって得られる25mg当量~150mg当量の範囲の投薬量強度を有する事前充填シリンジにおいて提供することができる。表3は、シリンジサイズ及び公称充填体積を含む異なる投薬量強度を示す。
【0122】
【表3】
【0123】
表4は、PP1Mを包装するために使用されるシリンジ構成要素を記載する。
【0124】
【表4】
【0125】
実施例2:3ヶ月持続放出製剤(PP3M)
以下の表5は、筋肉内(IM)注射に好適な200mg/mL当量のパリペリドンの例示的な3ヶ月持続放出製剤(PP3M)を含む。
【0126】
【表5】
【0127】
PP3Mは、シリンジに異なる体積の200mg/mL当量のバルク懸濁液を充填することによって得られる175mg当量~525mg当量の範囲の投薬量強度を有する事前充填シリンジにおいて提供することができる。表6は、シリンジサイズ及び公称充填体積を含む異なる投薬量強度を示す。
【0128】
【表6】
【0129】
表7は、PP3Mを包装するために使用されるシリンジ構成要素を記載する。
【0130】
【表7】
【0131】
実施例3:6ヶ月持続放出製剤(PP6M)
以下の表8は、筋肉内(IM)注射に好適な200mg/mL当量のパルミチン酸パリペリドンの例示的な6ヶ月持続放出製剤(PP6M)を含む。
【0132】
【表8】
【0133】
PP6Mは、シリンジに異なる体積の200mg/mL当量のバルク懸濁液を充填することによって得られる700mg当量~1000mg当量の範囲の投薬量強度を有する事前充填シリンジにおいて提供することができる。表9は、シリンジサイズ及び公称充填体積を含む異なる投薬量強度を示す。
【0134】
【表9】
【0135】
表10は、6ヶ月持続放出製剤を包装するために使用されるシリンジ構成要素を記載する。
【0136】
【表10】
【0137】
実施例4:パルミチン酸パリペリドン6ヶ月製剤の二重盲検無作為化実薬対照並行群試験
試験計画
無作為化二重盲検実薬対照多施設介入性並行群非劣性試験。図1に、試験デザインのフローチャートを示す。再発なしに進行した全ての適格な対象は、スクリーニング期(最大28日まで)、PP1M又はPP3Mのいずれかを用いた1回の注射サイクルを含む維持期(それに応じて1又は3ヶ月の期持続期間を生じる)、及び二重盲検期(12ヶ月)に参加した。二重盲検相は、PP3M(実薬対照)の4回の注射サイクル、又はPP6M(治験薬と交互プラセボ)の2回の注射サイクルを含むように設計した。
【0138】
維持期の前に、何人かの対象は、経口抗精神病薬、注射可能なリスペリドン、又は以前に開始されたがまだ安定化されていないPP1Mに関する試験に入った場合、PP1Mの1~5回の注射を伴う移行期に参加した。移行期と維持期の組み合わせは、以下、非盲検期と称される。
【0139】
無作為化:702人の対象は、PP3M(n=224)又はPP6M(n=478)治療群に1:2の比で無作為化された。無作為化は、試験センター及び維持用量レベル(中又は高)によって階層化した。
【0140】
有効性についての主要な分析集団:二重盲検試験薬物の少なくとも1回の用量を受けた全ての無作為化対象として定義される二重盲検治療意図(Double-blind Intent-to-Treat、DB ITT)分析セット。
【0141】
主要な有効性変数:生存のカプラン・マイヤー累積推定値に基づく、12ヶ月の二重盲検期の終了時に再発していない対象のパーセンテージ。
【0142】
有効性についての追加の分析集団:二重盲検試験薬物の少なくとも1回の用量を受け、主要なプロトコル違反、すなわち、意図された試験集団の違反、治療割り当ての誤り、又は除外された薬物の使用などの有効性に影響を与え得る主要なプロトコル逸脱を有さなかった全ての無作為化された対象として定義される、プロトコルごとの分析セット。
【0143】
安全性の分析集団:DB ITTと同じ。
【0144】
計画された試料サイズ:試験の二重盲検のための試料サイズは、主要なエンドポイントについて最低80%の検出力を提供する決定に基づいて、549人の無作為化された対象であった。試料サイズ決定は、PP3M群における予測生存率(12ヶ月で無再発のままである対象のパーセンテージ)が85%であり、片側有意レベルが2.5%であるべきであるという仮定を含む。これらの仮定を考慮して、1:2の比(PP3M:PP6M)で無作為化した549人の対象は、12ヶ月で無再発のままである対象のパーセンテージについて10%の非劣性マージンによってPP6MがPP3Mより悪くないことを80%の検出力で実証することが必要であった。
【0145】
主目的
主要な有効性の目的は、PP6M(700又は1000mg当量)の単回投与からなる注射サイクルが、対応する用量のPP1M(100若しくは150mg当量)又はPP3M(350若しくは525mg当量)で以前に安定化された統合失調症を有する対象における再発の予防について、PP3M(350又は525mg当量)の2回連続投与注射よりも有効であることを実証することである。
【0146】
対象及び治療情報
本試験は、20ヶ国及び126施設にわたって841人の対象を登録した。そのうち、702人の対象は、1:2の比率(PP3Mに224人及びPP6Mに478人)で2つの治療群のうちの1つに無作為化された。DB ITT集団における702人の対象のうち、23人の対象がパープロトコル集団から除外され、パープロトコル分析セットに含まれる対象の数は、PP3M及びPP6M治療群についてそれぞれ217人及び462人である。DB ITT分析対象集団では、対象のうちの521人(74.2%)は白色人種であり、480人(68.4%)は男性であった。平均(SD)年齢は40.8(11.53)歳であり、18~69歳の範囲であった。
【0147】
702人の無作為化された対象のうち、571人(81.3%)の対象が、再発事象なしで12ヶ月の二重盲検期を完了し、47人(6.7%)の対象が、再発事象を有することによって二重盲検期を完了した。離脱の最も多かった理由は、54人(7.7%)の対象による「対象による離脱」であった。
【0148】
有効性
主要な有効性エンドポイントは、生存のカプラン・マイヤーの12ヶ月累積推定値に基づく、12ヶ月の二重盲検期の終了時に再発していない対象のパーセンテージであった。両側0.05有意レベルで統計分析試験を実施した。
【0149】
主要有効性エンドポイント
DB ITT集団において、PP3M群の11人(4.9%)の対象及びPP6M群の36人(7.5%)の対象が、12ヶ月の二重盲検期の間に再発事象を経験した。無再発のままであった対象のパーセンテージにおける治療群(PP6M-PP3M)間の推定差(95%CI)は、-2.9%(-6.8%、1.1%)である。95%信頼区間の下限は、事前に指定された-10%の非劣性マージンよりも大きく、したがって、PP6Mは、PP3Mに対して非劣性であると宣言することができる(図2)。
【0150】
パープロトコル分析集団において、PP3M群の10人(4.6%)の対象及びPP6M群の35人(7.6%)の対象が、二重盲検期の間に再発事象を経験した。結果は、DB ITT分析集団について得られた結果と同様であり、PP3Mに対するPP6Mの非劣性を更に確認する(図3)。
【0151】
二重盲検期から脱退した対象について追跡期中に収集されたデータを含めることによって、主要な有効性分析のために、補足分析を行った。結果は、主要有効性分析と一致する。
【0152】
DB ITT分析集団について、二重盲検期中のPP6M治療群の対象についての再発の瞬間リスク(ハザード)対二重盲検期におけるPP3Mの対象についてのリスクの比(95%CI)は、唯一の因子として治療を用いるコックス比例ハザードモデルに基づいて、1.57(95%CI:0.8、3.08)であった。したがって、PP6M対象におけるハザード率は、PP3M治療対象のハザード率の1.57倍である。
【0153】
安全性
全体として、PP6M群の297人/478人(62.1%)の対象及びPP3M群の131人/224人(58.5%)が、二重盲検相中に少なくとも1つのTEAEを経験した。二重盲検期中の最も一般的な(≧5%)TEAEは、PP6M群では体重増加(8.4%)、注射部位疼痛(7.7%)、頭痛(6.7%)、上気道感染(5.0%)であり、PP3M群では体重増加(7.6%)、鼻咽頭炎(5.8%)、頭痛(5.4%)であった。
【0154】
非盲検(移行期と維持期を組み合わせた)及び二重盲検期において、それぞれ1人及び3人が死亡した。二重盲検期における3人の死亡のうち、1人(0.2%)はPP6M群であり、2人(0.9%)はPP3M群であった。
【0155】
39人の対象(PP6Mでは24人[5.0%]、PP3Mでは15人[6.7%])が、二重盲検期中に重篤なTEAEを経験した。
【0156】
二重盲検期の間、試験薬物は、治療群にわたって以下の発生率を有する有害事象のために恒久的に停止された:PP6M群における16人(3.3%)の対象、及びPP3M群における6人(2.7%)の対象。
【0157】
略記
DB:二重盲検。
OL:非盲検。
MA:維持。
PANSS:統合失調症の陽性及び陰性症候群スケール。
PP:プロトコルごと。
KM:カプラン・マイヤー。
ITT:治療意図。
SD:標準偏差。
CI:信頼区間。
TEAE:治療中に発生した有害事象。
【0158】
実施例5:投与変換
PP1M又はPP3M用量からPP6M用量への変換を以下の表11に記載する。
【0159】
【表11】
【0160】
PP1M(少なくとも4ヶ月の治療後)又はPP3M(少なくとも1回の3ヶ月注射サイクル)のいずれかで十分に治療され、用量調整を必要としない患者は、PP6Mに切り替えることができる。PP6Mは、PP1M(±7日)又はPP3M(±14日)の次の予定された用量の代わりに開始されるべきである。PP6Mの用量は、表11上記に示すように、PP3M又はPP1Mの以前の対応する用量に基づくべきである。PP1MからPP6Mに移行する場合、一貫した維持用量を確立するために、PP1Mの最終2回の用量は、PP6Mを開始する前と同じ投薬量強度であることが推奨される。
【0161】
PP1M又はPP3Mによる前治療期間は、パリペリドン血漿濃度がPP6Mへの移行前に定常状態であるか又は定常状態に近づくことを確実にする。
【0162】
モデルベースのシミュレーションは、PP1M(治療の少なくとも4ヶ月後)からPP6Mに直接移行する対象が、PP3M(少なくとも1回の3ヶ月注射サイクル後)からPP6Mに移行する対象と比較した場合、同様のパリペリドン曝露レベルを有することを示唆する。その結果、対象は、PP6M投与を開始する前に最初にPP3Mに移行することなく、PP1MからPP6Mに直接移行し得る。
【0163】
実施例6-PP1M又はPP3Mから移行する対象におけるPP6Mの薬物動態プロファイル
目的
この試験の目的は、PP1M(100若しくは150mg当量)又はPP3M(350若しくは525mg当量)の対応する用量から移行した統合失調症を有する対象において、殿筋に投与されたPP6M(700又は1000mg当量)の薬物動態(pharmacokinetic、PK)プロファイルを評価することであった。
【0164】
対象及び方法
この臨床試験は、無作為化、二重盲検、実薬対照、多施設、介入性、並行群試験であった。再発なしに進行した全ての適格な対象は、スクリーニング期(最大28日まで)、パルミチン酸パリペリドン1ヶ月(paliperidone palmitate 1-month、PP1M)又はパルミチン酸パリペリドン3ヶ月(paliperidone palmitate 3-month、PP3M)のいずれかによる1回の注射サイクルを含む維持期(それに応じて1又は3ヶ月の期持続期間を生じる)、及び二重盲検期(12ヶ月)に参加した。二重盲検期は、パルミチン酸パリペリドン6ヶ月(paliperidone palmitate 6 month、PP6M)(治験薬と交互プラセボ)の2回の注射サイクル又はPP3M(実薬対照)の4回の注射サイクルを含むように設計した。パリペリドン血漿濃度の時間経過を決定するために、試験の非盲検期(PP1M及びPP3M)並びに二重盲検期(PP3M及びPP6M)中に複数の薬物動態血液試料を採取した。PK評価の目的は、血漿パリペリドン濃度並びにPKパラメータの時間経過(最大及び最小血漿濃度及びそれらの関連するタイミングなど)を特徴とすることであった。したがって、3つのPK試料は、PP6M投与の約1ヶ月後に予想されるパリペリドンピーク付近で毎週スケジュールされ、6つのPK試料は、6ヶ月の投与間隔の終わりに近づいたときに毎週スケジュールされた。
【0165】
結果
PP1M及びPP3M投与後の維持期におけるパリペリドンの薬物動態
維持期におけるPP1Mの投与後、100mg当量用量の投与後の中央値tmax、は、8日であり、150mg当量用量の投与後の7日の中央値tmaxと同等であった。350又は525mg当量の投与後、(PP3M)中央値tmaxは、同等であり、28日であった。目視検査に基づいて、Cトラフ、Cmax、及びAUC3Mは、PP1M及びPP3Mの両方について用量に比例して増加するようであった。用量正規化平均Cトラフ、Cmax、及びAUC3Mは、PP1M及びPP3Mについて同等であった。ピーク/トラフ比もまた、PP1M及びPP3Mについて同等であった。
【0166】
PP6M及びPP3M投与後の二重盲検期におけるパリペリドンの薬物動態。
平均用量正規化トラフ濃度は、1日目のPP3M及びPP6Mについて同等であった(それぞれ24.6ng/mL及び25.0ng/mL)。後の時点で、PP6Mを受けた対象は、PP3Mを受けた対象(183日目に22.2ng/mL及び365日目に24.1ng/mL)と比較して、約25~28%低いトラフ濃度(183日目に16.7ng/mL及び365日目に17.3ng/mL)を有した。二重盲検相における350若しくは525mg当量のPP3M又は700若しくは1000mg当量のPP6Mの第1の投与後に、中央値tmaxが、全ての治療について同等であった、すなわち、約28日であった。同様に、二重盲検期の第2の6ヶ月における350又は525mg当量のPP3M又は700若しくは1000mg当量のPP6Mの投与後に、中央値tmaxが、同等であり、29~32日の範囲であった。目視検査に基づいて、Cトラフ、Cmax、及びAUC6Mは、二重盲検期における第1及び第2の用量の各々の投与後に、PP6M(700又は1000mg当量)について用量に比例して増加するようであった。同様に、パリペリドンについてのPK曝露パラメータ(Cトラフ、Cmax、及びAUC6M)は、二重盲検期におけるPP3M用量(350又は525mg当量)の1回目及び3回目の用量の後、用量に比例するようである。用量正規化平均Cmaxは、PP3Mと比較した場合、PP6Mについてわずかに高かった(1.4~1.5倍)。平均用量正規化総パリペリドン曝露(AUC6M)は、PP3M及びPP6M投与後の二重盲検期において同等であった。結果を以下の表12及び図4に要約する。
【0167】
維持期及び二重盲検期におけるPP3M投与後の中央値ピーク対トラフ比は、用量にわたって同等であり、維持期及び二重盲検期においてそれぞれ1.85~1.92及び1.66~2.11の範囲であった。PP6Mを6ヶ月に1回投与した後の二重盲検期における中央値ピーク対トラフ比は、2.71~3.41の範囲であった。
【0168】
二重盲検期におけるPP6M投与後の中央値ピーク対トラフ比は、用量にわたって同等であり、2回目の投与(2.71~3.20の範囲)と比較して1回目の投与後にわずかに高かった(3.32~3.41の範囲)。
【0169】
いくつかの群についての投与投薬量、維持期製品、維持期における注射部位、性別、年齢、及びクレアチニンクリアランスカテゴリーごとの層別化後、Cmax、AUC6MについてのPP3M及びPP6M亜群についての高い対象間変動に起因して範囲が重複していたので、臨床的に有意な差は観察されなかった。
【0170】
二重盲検期におけるPP6M投与後の用量正規化平均パリペリドン曝露(Cmax、AUC6M)は、維持期においてPP1M又はPP3Mを受けた対象の亜群間で同等であった。
【0171】
【表12】
n=92(Cトラフについて)並びにn=97(AUC3M及びAUC6Mについて)
n=108(Cトラフについて)
n=182(Cトラフについて)及びn=215(AUC6Mについて)
n=181(Cトラフについて)及びn=222(AUC6Mについて)
n=82(Cトラフについて)並びにn=84(AUC3M及びAUC6Mについて)
n=95(Cトラフについて)
n=160(Cトラフについて)及びn=185(AUC6Mについて)
n=177(Cトラフについて)及びn=194(AUC6Mについて)
【0172】
実施例7-PP6M維持治療のための投与ウィンドウ
集団PKシミュレーション:Cmax及びCトラフに対する投与間隔の持続又は短縮の効果
定期的に予定された6ヶ月の維持注射の2週間前及び3週間後の投与ウィンドウの許容性を以下のように評価した。
PP6Mの中用量強度(700mg当量)を使用して、投与間隔の維持がより低いCトラフをもたらす最悪のシナリオをシミュレートした。表13に示されるように、700mg当量でのPP6M定常状態に達した後の予定された6ヶ月注射に対して1、2、及び3週間遅延した注射について、中央値Cトラフは、15.8ng/mLからそれぞれ15.3(-3.2%)、14.9(-5.6%)、及び14.4(-8.9%)ng/mLに減少した。
PP6Mの最高用量強度(1000mg当量)を使用して、投与間隔の短縮が最も高いCmaxをもたらす最悪のシナリオをシミュレートした。以下に再現される表13に示されるように、1000mg当量でのPP6M定常状態に達した後の予定された6ヶ月注射に対して1週間前及び2週間前に投与された注射について、中央値Cmaxは、76.1ng/mLからそれぞれ76.3(+0.3%)及び76.6(+0.7%)に増加した。
【0173】
【表13】
【0174】
再発予防試験における再発までの時間の中央値に基づく臨床効果の持続期間
PKシミュレーションを行って、図5に示すように、二重盲検期前の各試験における最終定常状態用量(経口パリペリドンER12mg、PP1M150mg当量、PP3M525mg当量、及びPP6M1000mg当量)の投与後に、再発までの時間の中央値と、パリペリドン濃度の中央値が7.5ng/mLに減少した時点との間の関係を評価した。血漿パリペリドン濃度の中央値が7.5ng/mLに減少した時点と、再発までの時間の中央値、すなわち、対象の半分が再発を経験したが、対象の他の半分が後で再発したか、又は試験中に再発しなかった時点との間に、数週間から数ヶ月続く明らかな遅延が観察された。したがって、治療効果は、7.5ng/mL閾値に基づいて予測される効果よりも延長されており、再発保護ウィンドウは、正の方向に更に持続するようである。
【0175】
図5に関して、シミュレーションは、1)12mgの経口パリペリドンER、2)150mg当量のPP1M、3)525mg当量のPP3M、及び4)1000mg当量のPP6Mの定常状態用量投与を、代表的なシナリオとして各製剤について高用量レベルを使用して、停止した後のパリペリドン血漿濃度の減衰を示す。再発までの時間の中央値は、最終カプラン・マイヤー推定値に基づいて、以下の試験:経口パリペリドンER(R076477SCH301)、PP1M(R092670PSY3001)、及びPP3M(R092670PSY3012)からのプラセボ群から計算した。
【0176】
したがって、PP6Mによる維持治療のための標的6ヶ月日の最大2週間前及び3週間後までの投与ウィンドウが可能であり、有効性の喪失又は副作用の悪化なしに、スケジューリング柔軟性を提供し、治療遵守を強化する。
【0177】
実施例8:抜かした投与
集団薬物動態シミュレーションに基づいて、投与ウィンドウを超えてPP6Mの用量を抜かした場合のガイドラインが提供される。PP6Mの最終注射から6ヶ月超及び3週間~最大8ヶ月未満が経過した場合、以下の再開レジメンを使用することができる。
【0178】
【表14】
【0179】
PP6Mの最終注射から8ヶ月~11ヶ月が経過した場合、以下の再開レジメンを使用することができる。
【0180】
【表15】
【0181】
PP6Mの最終注射から11ヶ月超が経過した場合、PP1M製品の処方情報に記載されているようにPP1Mによる治療を再開する。次いで、患者が少なくとも4ヶ月間PP1Mで十分に治療された後、PP6Mを再開することができる。一貫した維持用量を確立するために、PP1Mの最終2回の用量は、PP6Mを再開する前と同じ用量強度であるべきであることが推奨される。
【0182】
投与抜かし後の再開レジメン及びPP6M維持レジメンの継続のタイミングは、最終PP6M投与からの時間間隔に依存する。これらの推奨は、図6図8に示されるように、PP6Mによる治療で安定化された患者における抜かした用量のシナリオに対処するために行われたシミュレーションに基づく。基準は、適用された再開レジメンによるオーバーシュートを生じることなく、抜かした用量の前のようなパリペリドン血漿濃度への迅速な復帰を達成することであった。
【0183】
図6に関して、中央の実線は、パリペリドン濃度の中央値を表し、下の点線と上の点線との間の影付き領域は、90%予測バンドを表す。三角筋における標準的なPP1M4ヶ月治療(開始用量、続いて維持用量)、続いてPP6M投与。最終PP6M用量の遅延が示され、高用量レベルで150mg当量のPP1Mを三角筋への1回用量で行われた再開が示される。薄い点描領域は、PP6M投与間隔が変化する前のトラフ濃度からピーク濃度までの範囲(90%予測バンドによって画定される)を表す。
【0184】
図7に関して、中央の実線は、パリペリドン濃度の中央値を表し、下の点線と上の点線との間の影付き領域は、90%予測バンドを表す。三角筋における標準的なPP1M4ヶ月治療(開始用量、続いて維持用量)、続いてPP6M投与。最終PP6M用量の遅延が示され、100mg当量のPP1Mを三角筋への2回用量で行われた再開が示される。薄い点描領域は、PP6M投与間隔が変化する前のトラフ濃度からピーク濃度までの範囲(90%予測バンドによって画定される)を表す。
【0185】
図8に関して、中央の実線は、パリペリドン濃度の中央値を表し、下の点線と上の点線との間の影付き領域は、90%予測バンドを表す。三角筋における標準的なPP1M4ヶ月治療(開始用量、続いて維持用量)、続いてPP6M投与。最終PP6M用量の遅延が示され、4ヶ月の三角筋内PP1M治療として再開が行われる。薄い点描領域は、PP6M投与間隔が変化する前のトラフ濃度からピーク濃度までの範囲(90%予測バンドによって画定される)を表す。
【0186】
これらのガイドラインは、患者が完全に又は部分的に非遵守になった場合に患者がPP6Mによる治療を再開することができ、それによって新たに治療を開始する必要性を低減する機構を提供する。
【0187】
実施例9-PP6M治療に関連する体重変化
実施例4に記載した試験の知見に基づいて、図9に示すように、長時間作用型製剤(PP6M)に切り替えた短時間作用型パリペリドン製剤(PP1M、PP3M)で安定化した統合失調症を有する患者は、12ヶ月の二重盲検期の間にPP3M(活性対照)で治療した患者と比較して、二重盲検期(12ヶ月)の間に実質的により少ない全体的な体重増加及びより多くの体重減少を示した。例えば、PP6Mの患者集団における体重増加はごくわずかであり(12ヶ月で0.1kg、図9の左のグラフ)、より高いパーセンテージの患者が、その体重の7%を超える大きな体重減少を示した(図9の右のグラフ)。
【0188】
データを更に分析し、過体重の患者(BMIが25~<30の間)は、年齢群18~25の患者(図11)と同様に、PP6Mへの切り替え(図10)から利益を受けることが分かった。体重に対する有益な効果を示す一方で、試験はまた、治療意図セット及びパープロトコル分析セットの両方において、12ヶ月の期間の終わりにおける再発までの時間の主要なエンドポイントに対して、PP3Mと比較してPP6Mの非劣性有効性を示した。PP6Mについて観察された安全性プロファイルは、PP1M及びPP3M製剤の以前の試験と一致し、新たな安全性シグナルは現れなかった。
【0189】
体重増加のほとんどが試験の二重盲検ベースライン(1日目)で報告されたので、体重増加が非盲検安定化期中に起こったことが示された。二重盲検期(12ヶ月)中に認められた体重増加の増加はなく、より低頻度の注射による平均体重増加に対する安定化効果が示唆された。したがって、体重が増加している患者は、PP6Mに切り替えて、彼らの体重の安定化を助けるか、又は体重減少を支持することができる。
【0190】
ベースライン(DB)から二重盲検エンドポイントまで、体重、胴囲、及びBMIの変化は、PP6M群に対してPP3M群において数値的に高かった。体重におけるベースライン(MA)から二重盲検エンドポイントまでの平均(SD)増加は、PP6M及びPP3M群についてそれぞれ0.10(4.959)kg及び0.96(5.103)kgであった。
【0191】
DBベースラインから二重盲検エンドポイントまで、PP6M群の対象の10.6%及びPP3M群の対象の13.2%が、異常な体重増加(≧7%)を経験した。PP6M群の対象の9.1%及びPP3M群の対象の6.8%が、DBベースラインから二重盲検エンドポイントまでの体重の異常な減少(≧7%)を経験した。
【0192】
図10に関して、ベースライン(DB)BMIによる平均(SD)変化は、正常な(<25)ベースラインBMIを有する対象について、PP6M群において0.28(3.404)kgであり、PP3M群において1.42(4.456)kg、過体重(BMI25~<30)の対象について、PP6M群において-0.53(4.386)kg及びPP3M群において1.15kg(4.814)kg、並びに肥満(BMI≧30)の対象について、PP6M群において0.71(6.448)kg及びPP3M群において0.30(5.955)kgであった。
【0193】
図11に関して、年齢による平均(SD)変化は、18~25歳の年齢群の対象について、PP6M群において-0.65(4.955)kg及びPP3M群において4.33(7.112)kg、25~50歳群の対象について、PP6M群において0.29(4.878)kg及びPP3M群において0.91(4.600)kg、51~65歳群の対象について、PP6M群において-0.31(5.247)kg及びPP3M群において-1.20(4.763)kg。並びに65歳を超える対象について、PP6M群において1.76(4.738)kg及び5.47(5.707)kgであった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】