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特表2023-552323光学装置計測システムおよび関連方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】光学装置計測システムおよび関連方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20231208BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
G01M11/00 T
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531496
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 US2021060585
(87)【国際公開番号】W WO2022115461
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/117,585
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フー, ジンシン
(72)【発明者】
【氏名】大東 和也
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
【テーマコード(参考)】
2G086
2H199
【Fターム(参考)】
2G086EE12
2H199CA12
2H199CA66
2H199CA68
2H199CA70
2H199CA86
(57)【要約】
光学装置計測の方法が提供される。この方法は、第1の期間中に第1の光学装置内に第1のタイプの光を供給することと、第1の期間中に頂面または底面上の第1の位置から透過された、第1のタイプの光の量を測定することと、第1の期間の後に生じる第2の期間中に、光学的吸収材料の第1のコーティングを用いて、1つまたは複数のエッジのうちの1つのエッジの少なくとも一部をコーティングすることと、第2の期間の後に生じる第3の期間中に、第1の光学装置に第1のタイプの光を供給することと、第3の期間中に頂面または底面上の第1の位置から透過された、第1のタイプの光の量を測定することとを含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学装置計測の方法であって、
a)第1の期間中に、頂面、底面、および前記頂面を前記底面に接続する1つまたは複数のエッジを備える第1の光学装置内に第1のタイプの光を供給することと、
b)前記第1の期間中に前記第1の光学装置の内部から前記頂面または前記底面上の第1の位置を通って透過された前記第1のタイプの光の量を、測定することと、
c)前記第1の期間の後に生じる第2の期間中に、光学的吸収材料の第1のコーティングを用いて、前記1つまたは複数のエッジのうちの1つのエッジの少なくとも一部をコーティングすることと、
d)前記第2の期間の後に生じる第3の期間中に、前記第1の光学装置内に前記第1のタイプの光を供給することと、
e)前記第3の期間中に前記第1の光学装置の内部から前記頂面または前記底面上の前記第1の位置を通って透過された前記第1のタイプの光の量を、測定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の光学装置と同一の形状およびサイズを有する第2の光学装置についてブロックa)~e)を繰り返すことであって、前記第2の光学装置が前記第1のコーティングの代わりに第2のコーティングを用いてコーティングされる、ブロックa)~e)を繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のコーティングが前記第1のコーティングとは異なる材料である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
f)前記第1の光学装置および前記第2の光学装置に関する、ブロックb)およびe)中の測定に基づき、前記第1のコーティングまたは前記第2のコーティングのどちらが光の吸収により適するかを判定することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ブロックf)における前記判定に基づき、追加の光学装置を、前記第1のコーティングまたは前記第2のコーティングを用いてコーティングすることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のタイプの光が前記第1の光学装置内および前記第2の光学装置内に供給される前に、前記第1の光学装置および前記第2の光学装置の形状が変更される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記変更の前において、前記第1の光学装置および前記第2の光学装置が、完成品における前記第1の光学装置および前記第2の光学装置のサイズおよび形状に実質的に対応するサイズおよび形状を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のタイプの光が、レーザから供給される青色光である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の期間中および前記第3の期間中に前記第1の光学装置の内部から前記1つまたは複数のエッジのうちの1つのエッジ上の位置を通って透過した、前記第1のタイプの光の量を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の期間中および前記第3の期間中に前記第1の光学装置の内部から前記第1の光学装置上の2つ以上の位置を通って透過した、前記第1のタイプの光の量を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のタイプの光が、前記第1の期間中において、前記第1の光学装置の前記底面上の位置を通って前記第1の光学装置内に供給され、
前記第1のタイプの光が、前記第3の期間中において、前記第1の光学装置の前記底面上の前記位置を通って前記第1の光学装置内に供給される、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のタイプの光が、前記第1の期間中において、前記第1の光学装置の前記1つまたは複数のエッジのうちの1つのエッジ上の位置を通って前記第1の光学装置内に供給され、
前記第1のタイプの光が、前記第3の期間中において、前記第1の光学装置の前記1つまたは複数のエッジのうちの前記1つのエッジ上の前記位置を通って前記第3の光学装置内に供給される、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のタイプの光が、前記第1の期間中において、前記第1の光学装置の複数の格子を通って前記第1の光学装置内に供給され、
前記第1のタイプの光が、前記第1の期間中において、前記第2の光学装置の複数の格子を通って前記第1の光学装置内に供給される、
請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の光学装置と同一の形状およびサイズを有する第2の光学装置についてブロックa)~e)を同時に実行することであって、前記第2の光学装置が前記第1のコーティングの代わりに第2のコーティングを用いてコーティングされる、ブロックa)~e)を同時に実行することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
光学装置計測の方法であって、
a)第1の期間中に、頂面、底面、および前記頂面を前記底面に接続する1つまたは複数のエッジを備える第1の光学装置内に第1のタイプの光を供給することと、
b)前記第1の期間中に前記第1の光学装置の内部から前記頂面または前記底面上の第1の位置を通って透過された、前記第1のタイプの光の量を、第1のカメラによって測定することと、
c)前記第1の期間の後に生じる第2の期間中に、光学的吸収材料の第1のコーティングを用いて、前記1つまたは複数のエッジのうちの1つのエッジの少なくとも一部をコーティングすることと、
d)前記第2の期間の後に生じる第3の期間中に、前記第1の光学装置内に前記第1のタイプの光を供給することと、
e)前記第3の期間中に前記第1の光学装置の内部から前記頂面または前記底面上の前記第1の位置を通って透過された、前記第1のタイプの光の量を、前記第1のカメラによって測定することと
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1の光学装置と同一の形状およびサイズを有する第2の光学装置についてブロックa)~e)を繰り返すことであって、前記第2の光学装置が前記第1のコーティングの代わりに第2のコーティングを用いてコーティングされる、ブロックa)~e)を繰り返すことをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
f)前記第1の光学装置および前記第2の光学装置に関する、ブロックb)およびe)中の測定に基づき、前記第1のコーティングまたは前記第2のコーティングのどちらが光の吸収により適するかを判定することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
g)前記第1の期間中および前記第3の期間中に前記第1の光学装置の内部から前記1つまたは複数のエッジのうちの1つのエッジ上の第1の位置を通って透過された、前記第1のタイプの光の量を、第2のカメラによって測定することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の光学装置と同一の形状およびサイズを有する第2の光学装置についてブロックa)~e)およびg)を繰り返すことをさらに含み、前記第2の光学装置が前記第1のコーティングの代わりに第2のコーティングを用いてコーティングされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
光学装置計測の方法であって、
a)第1の期間中に、頂面、底面、および前記頂面を前記底面に接続する1つまたは複数のエッジを備える第1の光学装置内に第1のタイプの光を供給することと、
b)前記第1の期間中に前記第1の光学装置の内部から前記頂面または前記底面上の第1の位置を通って透過された、前記第1のタイプの光の量を、第1のカメラによって測定することと、
c)前記第1の期間中に前記第1の光学装置の内部から前記1つまたは複数のエッジのうちの1つのエッジ上の第1の位置を通って透過された、前記第1のタイプの光の量を、第2のカメラによって測定することと、
d)前記第1の期間の後に生じる第2の期間中に、光学的吸収材料の第1のコーティングを用いて、前記1つまたは複数のエッジのうちの1つのエッジの少なくとも一部をコーティングすることと、
e)前記第2の期間の後に生じる第3の期間中に、前記第1の光学装置内に前記第1のタイプの光を供給することと、
f)前記第3の期間中に前記第1の光学装置の内部から前記頂面または前記底面上の前記第1の位置を通って透過された、前記第1のタイプの光の量を、前記第1のカメラによって測定することと、
g)前記第3の期間中に前記第1の光学装置の内部から前記1つまたは複数のエッジのうちの前記1つのエッジ上の前記第1の位置を通って透過された、前記第1のタイプの光の量を、前記第2のカメラによって測定することと、
h)前記第1の光学装置および前記第2の光学装置に関するブロックb)、c)、f)、およびg)中の測定に基づき、前記第1のコーティングまたは前記第2のコーティングのどちらが光の吸収により適するかを判定することであって、どちらのコーティングがより適するかを判定するために、前記第1のカメラによる前記測定が前記第2のカメラによる前記測定よりも大きく重み付けされることと
を含む、光学装置計測の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、拡張現実、仮想現実、および混合現実用の光学装置に関する。より具体的には、本明細書で説明される実施形態は、光学装置計測システム、および光学装置計測を実行する方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
仮想現実は、一般に、ユーザが見掛けの物理的存在感を得る、コンピュータ生成のシミュレートされた環境であると見なされる。仮想現実体験は3Dで生成され、実際の環境を置換する仮想現実環境を表示するためのレンズとして、ニアアイディスプレイパネルを有する眼鏡または他の着用可能なディスプレイ装置などの頭部装着型ディスプレイ(HMD)を用いて観察され得る。
【0003】
しかしながら、拡張現実において可能になる体験では、ユーザは、眼鏡または他のHMD装置のディスプレイレンズを通して、さらに周囲環境も見ることができ、ディスプレイ向けに生成されて環境の一部として出現する仮想物体の画像も見ることができる。拡張現実は、音響入力および触覚入力、ならびに仮想画像、グラフィックス、およびユーザが体験する環境を拡張するかまたは増補するビデオなどのあらゆるタイプの入力を含み得る。新興技術として、拡張現実に伴って、多くの課題および設計制約条件がある。
【0004】
拡張現実装置は、光学装置(たとえば導波管結合器)を使用して、ユーザ向けに仮想画像を生成する。そのような課題の1つには、周囲の環境に仮想画像を重ね合わせて表示することがある。これらの仮想画像を重ね合わせるために、装置(たとえばHMD)によって生成された光が、導波管結合器にインカップリングされ、導波管結合器を通って伝搬し、導波管結合器からアウトカップリングされて、仮想画像が、ユーザ向けに、あたかも周囲の環境の一部であるかのように見えるように重ね合わされる。光は、表面レリーフ格子を使用して導波管結合器に出し入れされる。
【0005】
多くの場合、仮想画像を生成するために使用される光は、導波管結合器などの光学装置の内部の意図された経路からそれる。たとえば、いくらかの光が、導波管結合器のアウトカップリング格子から伝搬することなく、光学装置のエッジに達するまで伝搬してしまうことがある。光は、次いで、光学装置のエッジを通って透過するか、または反射して装置に戻され、光学装置における様々な角度の散乱光が生じる。この、エッジを通って透過する光および光学装置の内部で散乱する光により、ユーザの光学装置によって見られる画像の品質が低下し得る。この光の、画像品質に対する悪影響を軽減するために、光学装置のエッジが、光学的吸収材料でコーティングされ得る(たとえば黒くされ得る)。従来技術では、次いで、最も有効なコーティングを判定するために、光学装置による画像出力の品質が分析されるが、これは難易度が高く、必ずしも最善のコーティングの選択につながるわけではない。
【0006】
したがって、当技術では、望ましくない光の透過を低減するために光学装置のエッジに適用される光吸収コーティングの有効性を測定するように動作可能な方法および光学装置計測システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、光学装置計測の方法が提供される。この方法は、第1の期間中に、頂面、底面、および頂面を底面に接続する1つまたは複数のエッジを備える第1の光学装置内に第1のタイプの光を供給することと、第1の期間中に頂面または底面上の第1の位置から透過された、第1のタイプの光の量を測定することと、第1の期間の後に生じる第2の期間中に、光学的吸収材料の第1のコーティングを用いて、1つまたは複数のエッジのうちの1つのエッジの少なくとも一部をコーティングすることと、第2の期間の後に生じる第3の期間中に、第1の光学装置内に第1のタイプの光を供給することと、第3の期間中に、頂面または底面上の第1の位置から透過された第1のタイプの光の量を測定することとを含む。
【0008】
別の実施形態では、光学装置計測の方法が提供される。この方法は、a)第1の期間中に、頂面、底面、および頂面を底面に接続する1つまたは複数のエッジを備える第1の光学装置内に第1のタイプの光を供給することと、b)第1の期間中に頂面または底面上の第1の位置から透過された、第1のタイプの光の量を、第1のカメラによって測定することと、c)第1の期間の後に生じる第2の期間中に、光学的吸収材料の第1のコーティングを用いて、1つまたは複数のエッジのうちの1つのエッジの少なくとも一部をコーティングすることと、d)第2の期間の後に生じる第3の期間中に、第1の光学装置内に第1のタイプの光を供給することと、e)第3の期間中に頂面または底面上の第1の位置から透過された、第1のタイプの光の量を、第1のカメラによって測定することとを含む。
【0009】
別の実施形態では、光学装置計測の方法が提供される。この方法は、a)第1の期間中に、頂面、底面、および頂面を底面に接続する1つまたは複数のエッジを備える第1の光学装置内に第1のタイプの光を供給することと、b)第1の期間中に頂面または底面上の第1の位置から透過された、第1のタイプの光の量を、第1のカメラによって測定することと、c)第1の期間中に1つまたは複数のエッジうちの1つのエッジ上の第1の位置から透過された、第1のタイプの光の量を、第2のカメラによって測定することと、d)第1の期間の後に生じる第2の期間中に、光学的吸収材料の第1のコーティングを用いて、1つまたは複数のエッジのうちの1つのエッジの少なくとも一部をコーティングすることと、e)第2の期間の後に生じる第3の期間中に、第1の光学装置内に第1のタイプの光を供給することと、f)第3の期間中に頂面または底面上の第1の位置から透過された、第1のタイプの光の量を、第1のカメラによって測定することと、g)第3の期間中に上記1つまたは複数のエッジうちの上記1つのエッジ上の第1の位置から透過された、第1のタイプの光の量を、第2のカメラによって測定することと、h)第1の光学装置および第2の光学装置に関するブロックb)、c)、f)、およびg)中の測定に基づき、第1のコーティングまたは第2のコーティングのどちらが光の吸収により適するかを判定することであって、どちらのコーティングがより適するかを判定するために、第1のカメラによる測定が第2のカメラによる測定よりも大きく重み付けされることとを含む。
【0010】
上記で列挙された本開示の特徴が詳細に理解され得るように、上記で簡単に要約された本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって入手され得、実施形態のうちいくつかが添付図に示されている。しかしながら、添付図は例示的な実施形態を示すのみであり、したがって例示的な実施形態の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、他の同等に有効な実施形態の余地があり得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】一実施形態による光学装置の正面斜視図である。
図1B】一実施形態によるエッジコートした光学装置の正面斜視図である。
図2A】一実施形態による計測システムの概略図である。
図2B】一実施形態による計測システムの概略図である。
図2C図2Aおよび図2Bを参照して上記で論じられた光学装置における位置を示す、光学装置の上面図である。
図3A】別の実施形態による計測システムの概略図である。
図3B】別の実施形態による計測システムの概略図である。
図3C図3Aおよび図3Bを参照して上記で論じられた光学装置における位置を示す、光学装置の上面図である。
図4A】別の実施形態による計測システムの概略図である。
図4B】別の実施形態による計測システムの概略図である。
図5A】別の実施形態による計測システムの概略図である。
図5B】別の実施形態による計測システムの概略図である。
図5C図5Aおよび図5Bを参照して上記で論じられた光学装置における位置を示す、光学装置の上面図である。
図6】一実施形態による、光学装置から透過された光を測定するための方法のプロセスの流れ図である。
図7】一実施形態による、図1Aの光学装置の切欠部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするために、各図に共通の同一要素を示すのに、可能なところでは同一の参照数字が用いられている。1つの実施形態の要素および特徴は、さらなる詳述なしで、他の実施形態の中に有益に組み込まれ得ることが企図されている。
【0013】
本開示の実施形態は、一般に、拡張された、仮想の、混合現実用の光学装置に関する。より具体的には、本明細書で説明される実施形態は、望ましくない光の透過を低減するために光学装置のエッジに塗布される光吸収性コーティングの有効度を測定するように機能する方法および光学装置計測システムを提供するものである。本明細書で使用される「光」は、人に見える電磁スペクトルの一部を指す。本開示の利益が当てはまる光学装置は、それに限定されないが、導波管結合器(たとえば拡張現実導波管結合器)、平坦な光学装置(たとえばメタ表面)、表面レリーフ格子ベースの導波管結合器、体積ホログラムベースの導波管結合器、バードバス導波管結合器、部分的反射ミラー配列結合器を含み、または光学部品結合器がない。その上、本開示の利益は、光学装置のエッジにおける光の吸収および/または遮断のために使用されるあらゆる技術に適合することができるので、コーティングという用語の使用は、制限されることは意味しない。たとえば、本開示の利益は、光学装置のエッジ上またはエッジのまわりに付加されたあらゆる材料(たとえば、汚れ、テープの不透明な部片など)に適用することができる。
【0014】
図1Aは、一実施形態による光学装置50の正面斜視図である。示された光学装置50は導波管結合器である。本明細書で説明される光学装置50は例示的な光学装置であり、他の光学装置も、本開示から提供される利益を得られ得ることを理解されたい。光学装置50は、基板56上に形成された複数の光学装置構造体を含み得る。基板56は透明基板であり得る。光学装置構造体は、サブミクロン寸法(たとえばナノサイズの寸法)を有するナノ構造体でよい。光学装置50において、これらの光学装置構造体は複数の格子54を含む。これらの格子54は、第1の格子54a、第2の格子54b、および第3の格子54cを含み得る。
【0015】
第1の格子54aは、光学装置50用の入力結合格子であり得る。第2の格子54bは、光学装置50用の中間格子であり得る。第3の格子54cは、光学装置50用の出力結合格子であり得る。本開示から利益を得ることができる他の光学装置は、様々な光学装置構造体を含み得、これらの光学装置構造体はある角度に曲げられてよく、二元系でもよい。その上、これらの光学装置構造体は、それに限定されないが、円形、三角形、楕円、正多角形、不規則な多角形、および/または不規則な形状の断面を有し得る。
【0016】
光学装置50は拡張現実用途向けに使用され得る。光学装置50が完成品において使用されているとき、拡張現実(AR)画像用の入来光は第1の格子54aに供給される。次いで、AR画像用の光は、第1の格子54aから第2の格子54bへと伝搬される。続いて、AR画像用の光は、第2の格子54bから第3の格子54cへと伝搬され、その後、ユーザに見えるように第3の格子54cから出力され得る。
【0017】
光学装置(たとえば光学装置50)に供給された光のいくらかは、装置内部の意図された経路からそれる。たとえば、光学装置50に供給される光は、一般に、入力結合格子54aから中間格子54bを通って、光学装置50のエッジ52に達することなく、出力結合格子54cへと、経路に沿って透過されるように意図されている。しかしながら、場合によっては、光の断片が光学装置50のエッジ52に達する。
【0018】
次いで、光のこの部分は、エッジ52に達すると、(1)エッジ52を通って透過される、(2)光学装置50の内部を通って様々な角度で反射される、または(3)エッジ52において吸収される、可能性がある。エッジ52を通って透過する光と、エッジ52から反射される光とは、どちらも、光学装置50によって生成される画像の品質を低下させる。
【0019】
エッジ52を通って透過される光の量およびエッジ52によって光学装置50の中へ反射される光の量を低減するために、光学装置50のエッジ52は、光吸収性材料のコーティングを用いてコーティングされ得る。図1Bは、一実施形態によるエッジコートした光学装置50Aの正面斜視図である(コーティングされた導波管結合器とも称される)。図1Bの光学装置50Aは、コーティングされたエッジ55を形成するために図1Aの光学装置50のエッジ52がコーティングされている(たとえば黒くされている)ことを除けば、図1Aの光学装置50と同一である。コーティングされたエッジ55は、コーティングされていないエッジ52と比較して、コーティングされたエッジ55を通して透過する光の量を低減することができる。
【0020】
その上、コーティングされたエッジ55は、コーティングされていないエッジ55と比較して、コーティングされたエッジ55から反射される光の量を低減することができる。コーティングされたエッジ55などのコーティングされたエッジは、導波管結合器から出力される画像品質を改善することができるが、コーティングされたエッジ用に使用される種々のコーティングの効力にはばらつきがあり得る。結果的に、どの光学装置に対してどのコーティングを使用するべきかを判定することの難易度が高くなってしまう。従来手法は、一般に、光学装置によって出力されるように意図された画像または他の光の品質の分析に的を絞るものであった。たとえば、導波管結合器については、種々の光吸収性コーティングの性能を比較するとき、従来は、出力結合格子54cによって出力された画像の品質が分析されてきたが、出力結合格子54cによって供給される画像の品質に影響し得る変数は、多数存在する。これらの問題に応じて、以下のシステムおよび方法が提案される。
【0021】
図2Aおよび図2Bは、一実施形態による計測システム200の概略図である。計測システム200は、光学装置(たとえば光学装置50)に光を供給して、光学装置から透過された光を測定するように機能する。コーティングのない光学装置50の側断面図が図2Aに示されている(図1Aも参照されたい)。エッジコートした光学装置50Aの側断面図が図2Bに示されている(図1Bも参照されたい)。
【0022】
計測システム200は、支持体205、第1のカメラ210、第2のカメラ220、光源230、およびプリズム240を含む。光学装置50は、エッジ52、底面53および頂面51を含む。エッジ52は、頂面51を底面53に接続する。光学装置50の底面53が支持体205に対して位置決めされ得る。支持体205は、光学装置50の周囲に類似の形状(たとえばリング形状)を有し得、そのため、光学装置50の底面53の大部分が、光学装置50に対する光の供給または光学装置50の底面53から透過する光の測定を可能にするように、露出される。他の実施形態では、光学装置50などの光学装置を支持するために、透明な支持体が使用され得る。
【0023】
第1のカメラ210は、光学装置50の頂面51上の位置51Aに向けられる。第2のカメラ220は、光学装置50の右エッジ52R上の位置52Aに向けられる。位置51A、52Aは、光学装置が光を出力するように設計されている位置から離れて配置され得る。たとえば、頂面51上の位置51Aは、光学装置50用の出力結合格子54cから離れて配置され得る(図1Aを参照されたい)。光学装置50は、エッジ52を通して光を透過するようには設計されていない。エッジを通して光を透過するように設計された光学装置については、第2のカメラ220が向けられる位置は、光学装置が光を透過するように設計されているエッジ上の位置から離れて配置されることになる。
【0024】
光L(たとえば青色光)は光源230から透過される。以下の説明では、光源230によって供給される光Lは、反射光/散乱光や光学装置50からの透過光とは別個に説明される。この説明を支援するために、光Lは、図中の塗りつぶされた黒い矢印記号で識別され、反射光/散乱光RLや透過光TL1、TL2は、図中の塗りつぶされていない矢印記号で識別される。
【0025】
光Lは、光源230からプリズム240まで透過される。プリズム240は底面53に対して位置決めされ、底面53上の位置53Aのあたりに中心がある。一実施形態では、光源230はレーザである。これらの実施形態のうち1つでは、青色光は光散乱が増加するので、光源230は青色レーザである。他の実施形態では、光源230は、種々の波長の光を、個別の時間に供給する(たとえば、青色光のみ供給し、続いて赤色光のみ供給する)か、または同時に(たとえば青色光と赤色光とを同時に)供給するように機能する。次いで、カメラ210、220は、光源230によって供給された各タイプの光に関して測定することができる。
【0026】
プリズム240は、光源230からの光Lを光学装置50の内部に結合するために使用される。光学装置50の内部で、光Lは、右エッジ52Rに達するまで全反射される。右エッジ52Rに達すると、光Lのうちいくらかが、右エッジ52Rを通って、透過光TL2として第2のカメラ220の方へ透過する。第2のカメラ220は、この透過光TL2を測定することができる。
【0027】
光Lの他の部分は、反射され、反射光RLとして光学装置50の内部を通って戻る。この反射光RLは、光学装置50の内部を通って様々な角度で散乱し得る。この散乱した反射光RLの種々の部分が、次いで、光学装置50の頂面51上の位置51Aなどの様々な位置において、光学装置50の種々の表面に出会う。反射光RLは、表面のうち1つの位置(たとえば頂面51上の位置51A)に出会った後に、次いで、再び反射されるか、または透過光TL1として光学装置50から離れるように透過する。たとえば、図2Aは、第1のカメラ210の方へ透過する透過光TL1の一部を示す。第1のカメラ210は、頂面51上の位置51Aおよびそのあたりから(すなわち第1のカメラ210の視野の範囲内から)透過するこの透過光TL1を測定することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、位置51Aは、光学装置50上の、光を出力するように設計された位置以外の位置である。たとえば、光学装置50は、光を出力するように設計された位置である出力結合格子54Cを含む(図1Aを参照されたい)。このように、出力結合格子54cが、光を出力するように設計された、光学装置50上の唯一の位置である一実施形態では、位置51Aは出力結合格子54cから離れて位置決めされ、そのため、カメラ210によって測定される光は、光学装置50が出力するように設計された光ではない。
【0029】
エッジ52の形状は、反射されて光学装置50の内部を通って戻る光の散乱にも影響し得る。たとえば、エッジの角を取ると、一直線のエッジよりも光の反射が少なくなる。加えて、エッジの角を取ると、光が、光学装置(たとえば光学装置50)の内部において、一直線のエッジの場合とは異なる位置へ反射され得る。エッジをぎざぎざにすると、一直線のエッジまたは角を取ったエッジよりも散乱が大きくなり得る。いくつかの実施形態では、光学装置のエッジ(たとえば光学装置50のエッジ52)は、光学装置の内部を通って戻る光の散乱を増加するために、さらにぎざぎざにするかまたは粗くするように改変される。光の散乱が増加すると、種々の光吸収性コーティングが、図2Aに示された位置51A、52Aなどの光学装置の望ましくない部分による光の透過を低減することに対する種々の効果の程度を増大させるのを支援することができる。
【0030】
図2Bの光学装置50Aは、コーティングされたエッジ55を形成するために図2Aの光学装置50のエッジ52がコーティングされていることを除けば、図2Aの光学装置50と同一である。それぞれの光学装置50、50Aの内部から、コーティングのないエッジ52とコーティングされたエッジ55との両方に同一量の光が入射するとき、エッジ55から透過される光の量は、エッジ52からのものよりも低減され得る。たとえば光源230が光学装置50、50Aに対して同一量の光Lを供給するとき、支持体205上にエッジコートした光学装置50Aがあって光Lを受け取ると、コーティングされたエッジ55によって、光Lが、透過光TL2としてエッジから透過するのを吸収されるかまたは阻止されることにより、支持体205上にコーティングのない光学装置50があって同量の光Lを受け取るときよりも、第2のカメラ220によって測定される透過光TL2が少なくなる。
【0031】
その上、それぞれの光学装置50、50Aの内部からコーティングのないエッジ55とコーティングされたエッジ55との両方に同一の量の光Lが入射するとき、エッジ55から反射して戻される光Lの量も、エッジ52からのものと比較して低減され得る。たとえば光源230が光学装置50、50Aに対して同一量の光Lを供給するとき、支持体205上にエッジコートした光学装置50Aがあって光Lを受け取ると、コーティングされたエッジ55によって、光Lが、反射して、後に透過光TL1として透過するのを吸収されるかまたは阻止されることにより、支持体205上に光学装置50があって同量の光Lを受け取るときよりも、第1のカメラ210によって測定される透過光TL1が少なくなる。
【0032】
図2Cは、図2Aおよび図2Bを参照して上記で論じられた光学装置50における位置を示す、光学装置50の上面図である。図2Cは、図2Aに関して断面図を得る位置を示す基準線2Aを含む。コーティングされたエッジ55が形成された後に、基準線2Aに沿った同一の図が、図2Bの断面図として使用される。図2Cは、(1)光Lが光学装置50に入る、底面53上の位置53Aと、(2)透過光TL1が第1のカメラ210の方へ透過する、頂面51上の位置51Aと、(3)透過光TL2が第2のカメラ220の方へ透過する、右エッジ52R上の位置52Aとに関する上面図の位置を示す。
【0033】
図2Cには、直線の経路211および円形の経路212も示されている。これらの経路211、212は、第1のカメラ210が、頂面51から透過した光を測定するときに、移動することができる経路、またはそうでなければ別個に観察することができる経路に相当し得るものである。第1のカメラ210は、経路211、212に沿って多数回(たとえば10回以上、100回以上など)測定するように機能する。さらなるデータを取得するために2つ以上の位置(たとえば位置51A)から測定することができ、光学装置50などの光学装置に塗布された種々のコーティングの相対的有効性を判定するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、第2のカメラ220は、光学装置50のエッジ52上の種々の位置を観察するようにも機能する。直線の経路211および円形の経路212が示されているが、不規則形状を含む任意の他の形状を有する経路も使用され得る。その上、各カメラ(たとえば第1のカメラ210)による測定は、経路211、212に示されたものよりも、互いにさらに距離を置いて行うこともできる。
【0034】
図3Aおよび図3Bは、別の実施形態による計測システム300の概略図である。計測システム300は、計測システム200を参照して上記で説明されたように光学装置50の底面53を通して光Lを供給するのではなく、エッジ52を通して光学装置50に光Lを供給するための別の機器を含むことを除けば、上記で説明された計測システム200(図2A図2Bを参照されたい)と同一である。
【0035】
図3Aにおいて、図1Aおよび図2Aを参照して上記で説明された光学装置50が、支持体205上に再び示されている。図3Bにおいて、コーティングされた光学装置50Bが支持体205上に示されている。コーティングされた光学装置50Bは、光学装置50Bのエッジ52の少なくとも一部にコーティングがないことを除けば、上記で説明されたコーティングされた光学装置50A(図1B図2Bを参照されたい)と同一である。この、コーティングがない部分は、光Lが光学装置50Bに供給される、エッジ52上の位置52Bを含み得る。
【0036】
計測システム300は光源330およびレンズ340を含む。いくつかの実施形態では、光源330は上記で論じられた光源230と同一である。レンズ340は、光源330からの光Lを、光学装置50のエッジ52上のコーティングのない位置52B上に合焦するために使用される。光Lは、それぞれの光学装置50、50Aに入った後に、右エッジ52R(図3A)、55R(図3B)に達するまで全反射される。光Lがそれぞれのエッジに達した後に、第1のカメラ210および第2のカメラ220は、コーティング前のエッジ52(図3Aを参照されたい)とコーティング後のエッジ(たとえばエッジ55R)(図3Bを参照されたい)とのどちらにおいても、対応する透過光TL1、TL2の同一の測定が可能である。
【0037】
図3Cは、図3Aおよび図3Bを参照して上記で説明された光学装置50における位置を示す、光学装置50の上面図である。図3Cは、図3Aに関して断面図を得る位置を示す基準線3Aを含む。コーティングされたエッジ55が形成された後に、基準線3Aに沿った同一の図が、図3Bの断面図として使用される。図3Cは、(1)光Lが光学装置50に入る、エッジ52上の位置52Bと、(2)透過光TL1が第1のカメラ210の方へ透過する、頂面51上の位置51Aと、(3)透過光TL2が第2のカメラ220の方へ透過する、右エッジ52R上の位置52Aとに関する上面図の位置を示す。
【0038】
図4Aおよび図4Bは、別の実施形態による計測システム400の概略図である。計測システム400は、エッジ52を通して光学装置50内に光Lを供給するための種々の機器を含むことを除けば、上記で説明された計測システム300(図3A図3Bを参照されたい)と同一である。図4A図4Bには、それぞれ図3A図3Bのものと同一の光学装置50、50Bが支持体205上に示されている。上記で説明されたように、光学装置50Bは、エッジ52上の位置52Bのコーティングがない部分を含み、ここで光Lが光学装置50B内に供給される。
【0039】
計測システム400は、光源430、光ファイバヘッド440、および光源430を光ファイバヘッド440に接続するケーブル441を含む。いくつかの実施形態では、光源430は、上記で説明された光源230、330と同一である。
【0040】
計測システム400については、光Lが同一の位置52Bに入り、透過光TL1、TL2は、どちらも計測システム300、400の同一の位置51A、52Aにおいてそれぞれのカメラ210、220によって測定されるので、光学装置50の上面図は、図3Cと同一になるはずであるため、示されない。
【0041】
図5Aおよび図5Bは、別の実施形態による計測システム500の概略図である。計測システム500は、光学装置50の底面53を通して光学装置50に光Lを供給するための種々の機器を含むことを除けば、上記で説明された計測システム200(図2A図2Bを参照されたい)と同一である。
【0042】
図5Aでは、光学装置50Cが支持体205上に示されている。光学装置50Cは、光学装置50Cが格子554を含むことを除けば、上記で説明された光学装置50と同一である。格子554は、格子54a~54cを含む光学装置50(たとえば図1Aを参照されたい)には含まれていない追加の格子であり得る。別法として、格子554は別の位置にもあり得るが、そうでなければ、上記で説明された格子54a~54cのうち1つと同一である。格子554は、計測システム500によって供給された光を光学装置50Cに結合するために使用され得る。図5Bでは、光学装置50Dが支持体205上に示されている。光学装置50Dは、光学装置50Cのエッジ52がコーティングされて、光学装置50Dのコーティングされたエッジ55を形成していることを除けば、光学装置50Cと同一である。
【0043】
計測システム500は光源530および格子554を含む。いくつかの実施形態では、光源530は上記で説明された光源230と同一である。格子554は、光源530からの光Lを光学装置50C、50Dに結合するために使用される。格子554の中心は、光学装置50C、50Dの底面53上の位置53Bのあたりにある。光Lは、それぞれの光学装置50C、50Dに入った後に、右エッジ52R(図5A)、55R(図5B)に達するまで全反射される。光Lがそれぞれのエッジに達した後に、第1のカメラ210および第2のカメラ220は、コーティング前のエッジ52(図5Aを参照されたい)とコーティング後のエッジ55(図5Bを参照されたい)とのどちらにおいても、対応する透過光TL1、TL2の同一の測定が可能である。
【0044】
図5Cは、図5Aおよび図5Bを参照して上記で説明された光学装置50C上の位置を示す、光学装置50Cの上面図である。図5Cは、図5Aに関して断面図を得る位置を示す基準線5Aを含む。コーティングされたエッジ55が形成された後に、基準線5Aに沿った同一の図が、図5Bの断面図として使用される。図5Cは、(1)光Lが光学装置50Cに入る、底面53上の位置53Bと、(2)透過光TL1が第1のカメラ210の方へ透過する、頂面51上の位置51Aと、(3)透過光TL2が第2のカメラ220の方へ透過する、右エッジ52R上の位置52Aとに関する上面図の位置を示す。
【0045】
図6は、一実施形態による、光学装置測定学を実行する方法1000のプロセスの流れ図である。方法1000は、光学装置50や類似の光学装置において実行されると説明されるが、エッジをコーティングされた(たとえば黒くされた)あらゆる光学装置に適用され得る。上記で説明されたように、光学装置50は、頂面51と、底面53と、頂面51を底面53に接続する1つまたは複数のエッジ52とを含む。
【0046】
方法はブロック1002から始まる。ブロック1002において、第1の期間中に、光源から光学装置50内に第1のタイプの光が供給され得る。たとえば、第1のタイプの光は青色光であり得る。図2Aを参照して、光源230から、第1のタイプの光が、プリズム240を通して光学装置50内に供給され得る。図3Aを参照して、光源330から、第1のタイプの光が、レンズ340を通して光学装置50内に供給され得る。図4Aを参照して、光源430から、第1のタイプの光が、光ファイバヘッド440を通して光学装置50内に供給され得る。図5Aを参照して、光源530からの光が、格子554を通して光学装置50内に供給され得る。いくつかの実施形態では、光源230、330、430、530の各々が、青色レーザなどの第1のタイプの光を供給するように機能する光源であり得る。他の実施形態では、光源が2つ以上のタイプの光(たとえば青色光および赤色光)を供給するように機能するか、またはそれぞれ別々のタイプの光を供給することができる複数の光源が使用され得る。これらの実施形態のうちいくつかでは、別々のタイプの光を、個別に供給する(たとえば、青色光のみ供給し、続いて赤色光のみ供給する)か、または同時に(たとえば青色光と赤色光とを同時に)供給することが可能である。たとえば光学装置のエッジがコーティングされた後といった、光学装置に光を供給するそれぞれの時間に、複数のタイプの光を供給することも可能であり、そのため、エッジコーティングの前後に、また、種々のコーティングを有する光学装置に対して、同一のタイプの測定が実行され得る。
【0047】
ブロック1004では、ブロック1002において光が供給されるのと同一の時間の第1の期間中に、頂面および/または底面上の第1の位置から透過された第1のタイプの光(たとえば青色光)の量が測定される。たとえば、図2A図3A図4A、および図5Aを参照して、第1の期間中に、光学装置50の頂面51上の第1の位置51Aから透過された青色光の量を測定するために第1のカメラ210が使用され得る。図には示されていないが、頂面51から第1の位置51Aにおいて透過された光の量を測定する第1のカメラ210と類似の測定を行うために底面53の下に別のカメラが設置され得る。
【0048】
加えて、ブロック1004では、ブロック1002において光が供給されるのと同一の時間の第1の期間中に、エッジ52上の位置を通って透過された第1のタイプの光(たとえば青色光)の量も測定され得る。たとえば、図2A図3A図4A、および図5Aを参照して、第1の期間中に、光学装置50のエッジ52上の位置52Aを通って透過された青色光の量を測定するために第2のカメラ220が使用され得る。ブロック1004における測定結果は、光学装置50のエッジ52の少なくとも一部がコーティングされた後の類似の測定結果に対する比較のための基準として使用され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1のカメラ210および第2のカメラ220は、頂面51またはエッジ52上の2つ以上の位置から測定することができるように移動可能である。一実施形態では、可動カメラは、直線(たとえば図2Cの経路211を参照されたい)、部分的もしくは完全に円形の線(たとえば図2Cの円形の経路212を参照されたい)、または種々の形状を有する他の経路に沿って移動することができる。カメラの移動は、パンチルト機能を有するカメラならびにカメラ全体がたとえばトラックに沿って移動可能なカメラを指し得る。他の実施形態では、光学装置50が据えられる支持体(たとえば支持体205)は、カメラ210、220が光学装置50の頂面51およびエッジ52の種々の部分を測定することができるように移動される。頂面51、底面53、および/またはエッジ52上の2つ以上の位置から測定値を取得すると、光学装置50の頂面51、底面53、またはエッジ52上の種々の位置から透過される光に大幅な変動があった場合にも、より有効な結果を達成する助けになり得る。頂面51、底面53、および/またはエッジ52上の種々の位置におけるこれらの測定は、ブロック1004において実行された場合には、ブロック1004におけるそれぞれの測定結果が、ブロック1010において対応する測定結果を得るように、ブロック1010において繰り返され得る。
【0050】
別法として、いくつかの実施形態では、第1のカメラ210および第2のカメラ220のうち1つまたは複数が、直線の経路(たとえば図2Cの経路211を参照されたい)、部分的もしくは完全に円形の経路(たとえば図2Cの円形の経路212を参照されたい)、または別の形状を有する経路などの経路に沿って配列された複数のカメラで置換され得、頂面51および/またはエッジ52のさらなる測定を可能にする。一実施形態では、複数のカメラの代わりに、第1のカメラ210および第2のカメラ220のうち1つまたは複数が、頂面51および/またはエッジ52の追加の測定を可能にするための複数の入力ヘッド(たとえば光ファイバ入力ヘッド)を含む。
【0051】
ブロック1006において、光学装置50の1つまたは複数のエッジ52のうちの1つのエッジ52の少なくとも一部が、第2の期間中に、光吸収性材料の第1のコーティングを用いてコーティングされる(たとえば黒くされるなど、暗くされる)。第1の期間が終了した後に第2の期間が始まり得る。いくつかの実施形態では、すべてのエッジ52が、たとえば図2Bに示されるように、光吸収性材料のコーティングを用いてコーティングされる。ブロック1002においてエッジ52の一部を通して光学装置50に光が供給されるいくつかの実施形態では(たとえば図3Aおよび図4Aを参照されたい)、エッジ52の、この少なくとも一部は、ブロック1006においてコーティングされないままであり得る。
【0052】
ブロック1008において、第3の期間中に、光源から、コーティングされた導波路結合器(たとえばコーティングされた光学装置50A、50B)内に第1のタイプの光が供給され得る。第2の期間が終了した後に第3の期間が始まり得る。ブロック1008において、光は、ブロック1002において供給されたのと同一のやり方で供給される。たとえば、図2Aを参照して、ブロック1002において、光源230から、光学装置50の底面53上の位置53Aのあたりに中心があるプリズム240を通して光が供給されると、次いで、ブロック1008において、光は、光源230から、光学装置50Aの底面53上の位置53Aのあたりに中心があるプリズム240を通して供給される。ブロック1002、1008において、供給される光のすべての態様は同一のままである。たとえば、光源230がレーザであるなら、レーザに供給される電力、レーザのデューティサイクル、レーザによって出力される光の波長、および光源230に関連するあらゆる他の設定は、ブロック1002、1008において同一のままとするべきである。ブロック1002、1008において、それぞれの光学装置50、50Aに同一の光を供給することにより、コーティングされたエッジ55のより正確な効果が判定され得る。
【0053】
ブロック1010では、ブロック1008において光が供給されるのと同一の時間における第3の期間中に、コーティングされた光学装置(たとえば光学装置50A、50B)に対して、ブロック1004において光学装置50に対して実行されたものと同一の測定が再び実行される。コーティングされた光学装置の頂面および/または底面上の第1の位置から透過された第1のタイプの光(たとえば青色光)の量が、この第3の期間中に測定される。たとえば、図2A図3A図4A、および図5Aを参照して、第3の期間中に光学装置50A、50B、50Dの頂面51上の第1の位置51Aから透過された、青色光の量を測定するために、第1のカメラ210が使用され得る。
【0054】
加えて、ブロック1010では、ブロック1008において光が供給されるのと同一の時間の第3の期間中に、エッジ上の位置から透過された第1のタイプの光(たとえば青色光)の量も測定され得る。たとえば、図2A図3A図4A、および図5Aを参照して、第3の期間中にコーティングされた光学装置(たとえばコーティングされた光学装置50A、50B、50D)のエッジ55上の位置55Aから透過された、青色光の量を測定するために、第2のカメラ220が使用され得る。次いで、エッジから透過される光の量、および頂面51上の第1の位置51Aなどの他の望ましくない位置から透過される光の量を低減することに関する、コーティングされたエッジ55の有効性を判定するために、ブロック1010の測定結果が分析され得る。
【0055】
ブロック1012において、光学装置50などの別の光学装置に対してブロック1002~1010を繰り返すべきかどうかが判定される。多くの場合、ブロック1002~1010は少なくとも一回繰り返され、そのため、エッジを暗くする、少なくとも2つの異なるコーティングの性能が分析され得る。ブロック1002~1010は、分析されるそれぞれの異なるコーティングについて繰り返され得る。いくつかの実施形態では、異なるコーティングは、それに限定されないが、異なる材料、異なる厚さ、および異なる不透過率を含む差を有し得る。ブロック1002~1010を繰り返すとき、互いに比較されるコーティングに関して、ブロック1002~1010の第1の実行中に使用された、コーティングがない導波路結合器(たとえば光学装置50)の同一のバージョン(たとえば、同一のサイズ、形状、材料など)が、ブロック1002~1010の第2の実行中、およびそれぞれの後続の実行中に使用され得る。いくつかの実施形態では、コーティングがない光学装置において実行された測定の間に大幅な変動がなければ、ブロック1002~1004がスキップされ得る。
【0056】
ブロック1002~1010を少なくとも一回繰り返した後に、ブロック1014において、一般に、より適するコーティングが選択され得る。たとえば、2つのコーティングが試験されて、ブロック1004および1010における測定結果が、ブロック1002~1010の第1の実行において測定された第1のコーティングがブロック1002~1010の第2の実行において測定された第2のコーティングよりも光吸収性コーティングとしてより適することを示す場合には、第1のコーティングが選択され得る。
【0057】
エッジを暗くするコーティングのうちどれがより適するかを判定することは、メトリックの数に基づき得る。たとえば、一実施形態では、ブロック1004における測定結果と比較してブロック1010における測定結果間で、第1のタイプの光(たとえば青色光)における最大の低減をもたらしたコーティングが、光の吸収により適すると判定され得る。別の実施形態では、ブロック1010における測定に関して、第1のタイプの光(たとえば青色光)の量が最低のコーティングが、光の吸収により適していると判定され得る。この、より適するコーティングが、たとえばより大規模な生産運転においてたとえば完成品に使用する、光学装置用のコーティングとして選択され得る。いくつかの実施形態では、この低減を判定するために、第1のカメラ210からの測定結果と第2のカメラ220からの測定結果との両方が使用され得る。これらの実施形態のうちいくつかでは、エッジのない面(たとえば頂面51)を通って低減された光の量には、エッジ52を通って低減された光よりも、より大きい重み付け係数が与えられ得る。他の実施形態では、より優れたコーティングを判定するのに、頂面51を通って透過する光を測定する第1のカメラ210からの測定結果のみが使用される。
【0058】
方法1000は、エッジコーティングの前(ブロック1004)とエッジコーティングの後(ブロック1010)とにおいて、ブロック1004および1010で厳密に同一の光学装置で測定すると説明されているが、これは必要ではない。たとえば、ブロック1004における測定用に、標準的な、コーティングがない光学装置が使用され得、次いで、ブロック1010が実行されるとき、コーティングされた多数の光学装置が測定され得る。その上、いくつかの実施形態では、ブロック1004が1回実行され得、次いで、コーティングされた光学装置に対して、ブロック1010が多数回(たとえば10回、100回以上)実行され得る。
【0059】
方法1000は、第1のコーティングを施された単一の導波路結合器において実行され、次いで、第2のコーティングを施された第2の導波路結合器に関して繰り返されると説明されてきたが、本開示は複数の光学装置を同時に分析することをも構想するものである。たとえば、複数の光源(たとえば図2Aの光源230)およびカメラ(たとえば第1のカメラ210および第2のカメラ220)の複数のセットを用いて、ブロック1004において、コーティングがない複数の導波路結合器が同時に分析され得、ブロック1010において、コーティングされた複数の導波路結合器が同時に分析され得る。
【0060】
図7は、一実施形態による図1Aの光学装置50の切欠部700(今後「区分700」と呼ばれる)の上面図である。区分700は頂面751およびエッジ752を含む。区分700のサイズおよび形状は、光学装置50のサイズおよび形状に対して変更されている。第1に、区分700のサイズは光学装置50よりも実質的に小さい(たとえば25%小さい、50%小さい、75%小さい、90%小さい)。区分700のサイズがこのように縮小されることにより、たとえば図2Aの計測システム200によって供給された光Lといった光が、区分700の内部を、エッジ752のうち1つに出会うまでに進む距離は、光が、光学装置50の内部を、エッジ52に達するまでに進む距離と比較して短縮される。第2に、光学装置50の形状に対する、区分700の形状は、エッジ752の表面積に属する合計の表面積の割合が、光学装置50のエッジ52に属する合計の表面積の割合と比較して増加するように変更される。
【0061】
したがって、エッジ752までの距離がより短縮されて区分700がより小さくなると、エッジ表面領域の割合がより大きくなり、光学装置50と比較して、光が区分700に有するエッジ相互作用の量が増加する。エッジ752に対するこの相互作用の増加は、光学装置のエッジがコーティングされた後に、異なるコーティングによる、ブロック1010において測定される光における差を、拡大するために使用され得る。したがって、いくつかの実施形態では、図6を参照して上記で説明された方法1000は、光と光学装置のエッジとの相互作用を拡大するために、区分700のような切欠部において実行される。たとえば、ブロック1004における測定は、区分700においてコーティングされたエッジなしで実行され得、ブロック1010における測定は、区分700のエッジ752のうちいくつかまたはすべてがコーティングされた後に実行され得る。
【0062】
次いで、区分における別のコーティングの有効性を判定することができるように、ブロック1004と1010との間に区分700に付加されるコーティング以外は区分700と同一の他の区分を使用して、方法が繰り返され得る。この方法が繰り返されるとき、区分(たとえば区分700)(光学装置とも呼ばれる)の形状は、この区分に第1のタイプの光(たとえば青色光)が供給される前に変更される(すなわち光学装置50の形状から区分700の形状に変更される)。光学装置50は、導波路結合器が完成品における構成要素として有するはずの形状と実質的に同一の形状を有し得るが、区分700は完成品に含まれる構成要素の形状ではない。
【0063】
光学装置のエッジに光吸収性コーティングを施すと、これらの光学装置の性能を改善することができる。たとえば、コーティングがないエッジ52に、光吸収性コーティングを施して、コーティングされた(たとえば黒くされた)エッジ55を形成すると、上記で説明された光学装置50の性能を改善することができる。これらのコーティングされたエッジ55では、コーティングがない対応するエッジよりもコーティングされたエッジ55を通る透過光の量が低減され、上記で説明された導波路結合器の頂面上の位置51Aなどの、光を透過するのが望ましくない他の位置からの透過光の量も低減される。コーティングされたエッジ55などのコーティングされたエッジはこれらの光学装置の性能を改善することができる(たとえば導波路結合器から出力される画像品質を改善する)が、光学装置のエッジを暗くするように使用される様々なコーティングの性能の間にはかなりのばらつきがある。その上、コーティングが異なる装置において使用されるとき、同一のコーティングについてもばらつきがあり得る。結果的に、どの光学装置に対してどのコーティングを使用するべきかを判定することが難題になり得る。従来手法は、一般に、光学装置の出力品質を分析することに的を絞ってきた。たとえば、導波路結合器については、従来手法は、導波路結合器によって出力される画像品質に的を絞ってきたが、この画像品質に影響し得る変数は多数存在する。
【0064】
上記で説明された方法およびシステムは、種々のコーティングが、望ましくない位置(たとえば、上記で説明された頂面51上の位置51Aなどの意図された光学的出力の位置以外の位置における、エッジおよび頂面または底面上の位置)から透過される光を低減するのにどの程度有効であるかを定量化することにより、これらの問題に対処するものである。透過光におけるこの低減は、エッジコーティングが実行される前後で、同一のカメラを使用して同一の測定を行うことによって定量化される。これらの測定における、エッジコーティングの前後の差は、透過光の低減に関係している。エッジに塗布されるコーティング以外は同一である複数の光学装置におけるエッジコーティングの前後に、同一の測定を実行することにより、測定結果が、意図しない透過光を低減するうえで他のコーティングよりも優れたコーティングを判定するために使用され得る。
【0065】
前述のことは本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の実施形態およびさらなる実施形態が本発明の基本的範囲から逸脱することなく考案され得、それらの範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
【国際調査報告】