IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2023-552372カルド/スピロ部分を含有するビスマレイミドに基づく誘電材料
<>
  • 特表-カルド/スピロ部分を含有するビスマレイミドに基づく誘電材料 図1
  • 特表-カルド/スピロ部分を含有するビスマレイミドに基づく誘電材料 図2
  • 特表-カルド/スピロ部分を含有するビスマレイミドに基づく誘電材料 図3
  • 特表-カルド/スピロ部分を含有するビスマレイミドに基づく誘電材料 図4
  • 特表-カルド/スピロ部分を含有するビスマレイミドに基づく誘電材料 図5
  • 特表-カルド/スピロ部分を含有するビスマレイミドに基づく誘電材料 図6
  • 特表-カルド/スピロ部分を含有するビスマレイミドに基づく誘電材料 図7
  • 特表-カルド/スピロ部分を含有するビスマレイミドに基づく誘電材料 図8
  • 特表-カルド/スピロ部分を含有するビスマレイミドに基づく誘電材料 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】カルド/スピロ部分を含有するビスマレイミドに基づく誘電材料
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/12 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
C08G73/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533827
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 EP2021083942
(87)【国際公開番号】W WO2022117715
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】20211961.6
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラルビッグ,グレゴア
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,フランク エゴン
(72)【発明者】
【氏名】ミスキウィッチ,パヴェル
【テーマコード(参考)】
4J043
【Fターム(参考)】
4J043PB03
4J043PB24
4J043SA06
4J043SB01
4J043TA21
4J043TA22
4J043TB03
4J043XA14
4J043ZB47
(57)【要約】
本発明は、特に電子デバイスの製造に好適である新しいクラスの誘電性ポリマー材料に関する。誘電性ポリマー材料は、ビスマレイミド化合物を反応させることによって形成され、好ましい材料特性のバランスの取れた有利なプロファイルを示す。ビスマレイミド化合物は、分子の中間部分に繰り返し単位を含むカルド部分および/またはスピロ部分を有し、分子の各末端にマレイミド基を有するオリゴマー構造を有する。さらに、前記誘電ポリマー材料を形成する方法、およびそれを誘電材料として含む電子デバイスが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)または(2)で表されるビスマレイミド化合物:
【化1】
式中:
Tは、出現毎に互いに独立してカルドまたはスピロ部分を含む二価または多価の結合単位であり;
Xは、出現毎に互いに独立して1以上の脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シロキサン、カルドまたはスピロ部分を含む二価または多価の結合単位であり;
【化2】
は単結合または二重結合を表し;
およびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して1以上の脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シロキサン、カルドまたはスピロ部分を含む結合単位であり;
は、RまたはRであり;
は、Hまたは1~5個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、Hまたは1~5個の炭素原子を有するアルキルであり;
nは、1から60までの整数であり;および
mは、1から60までの整数である。
【請求項2】
Tにおいて含まれるカルドまたはスピロ部分は、式(3a)~(3g)のいずれか1つで表される:
【化3】
式中
【化4】
は結合部位を表し;
Lは、1~5個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲニル、PhまたはCNであり;
は、O、SまたはCHであり;および
qは、0から4までの整数である、請求項1に記載のビスマレイミド化合物。
【請求項3】
Xは、出現毎に互いに独立して2個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の脂肪族部分、6個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の芳香族部分、4個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換のヘテロ芳香族部分、2個から50個までのケイ素原子を有する置換または非置換のシロキサン部分、13個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分、またはそれらの組み合わせである、請求項1または2に記載のビスマレイミド化合物。
【請求項4】
およびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して2個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の脂肪族部分、6個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の芳香族部分、4個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換のヘテロ芳香族部分、2個から50個までのケイ素原子を有する置換または非置換のシロキサン部分、13個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分、またはそれらの組み合わせであり;および
は、RまたはRである、請求項1~3のいずれか一項に記載のビスマレイミド化合物。
【請求項5】
ビスマレイミド化合物は、式(4)または(5)で表される:
【化5】
式中:
は、出現毎に互いに独立して13個から80個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分であり;
は、出現毎に互いに独立して2個から80個までの炭素原子を有する置換または非置換の脂肪族部分、6個から80個までの炭素原子を有する置換または非置換の芳香族部分、4個から80個までの炭素原子を有する置換または非置換のヘテロ芳香族部分、2個から50個までのケイ素原子を有する置換または非置換のシロキサン部分、13個から80個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分、またはそれらの組み合わせであり;
およびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して2個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の脂肪族部分、6個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の芳香族部分、4個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換のヘテロ芳香族部分、2個から50個までのケイ素原子を有する置換または非置換のシロキサン部分、13個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分、またはそれらの組み合わせであり;
は、RまたはRであり;および
は、Hまたは1~5個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、Hまたは1~5個の炭素原子を有するアルキルであり;
nは、1から60までの整数であり;および
mは、1から60までの整数である、請求項1に記載のビスマレイミド化合物。
【請求項6】
は式(6)で表され:
【化6】
式中
【化7】
は結合部位を表し;
は、-O-、-S-、-CO-、-(CO)-O-、-O-(CO)-、-S-(CO)-、-(CO)-S-、-O-(CO)-O-、-(CO)-NRGT-、-NRGT-(CO)-、-NRGT-(CO)-NRGT-、-NRGT-(CO)-O-、-O-(CO)-NRGT-および単結合からなるリストから選択され、ここでRGTは、出現毎に互いに独立してHまたは1~5個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、式(3a)~(3g)のいずれか1つで表され:
【化8】
式中
【化9】
は結合部位を表し;
Lは、1~5個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲニル、PhまたはCNであり;
は、O、SまたはCHであり;および
qは0から4までの整数である、請求項5に記載のビスマレイミド化合物。
【請求項7】
は、13個から80個までの炭素原子、好ましくは25個から50個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分である、請求項5または6に記載のビスマレイミド化合物。
【請求項8】
は、式(7)で表され:
【化10】
式中
【化11】
は結合部位を表し;
は、-O-、-S-、-CO-、-(CO)-O-、-O-(CO)-、-S-(CO)-、-(CO)-S-、-O-(CO)-O-、-(CO)-NRGX-、-NRGX-(CO)-、-NRGX-(CO)-NRGX-、-NRGX-(CO)-O-、-O-(CO)-NRGX-および単結合からなるリストから選択され、ここでRGXは、出現毎に互いに独立してHまたは1~5個の炭素原子を有するアルキルであり;
は、式(8a)~(8g)の1つを表し:
【化12】
式中
【化13】
は結合部位を表し;
Lは、1~5個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲニル、PhまたはCNであり;
は、O、SまたはCHであり;および
qは、0から4までの整数である、請求項5~7のいずれか一項に記載のビスマレイミド化合物。
【請求項9】
およびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して5個から60個までの炭素原子を有する置換または非置換の脂肪族部分、6個から30個までの炭素原子を有する置換または非置換の芳香族部分、13個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分、またはそれらの組み合わせであり;および
は、RまたはRである、請求項1~8のいずれか一項に記載のビスマレイミド化合物。
【請求項10】
およびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して式(9)で表され:
【化14】
式中
【化15】
は結合部位を表し;
pは、0から10までの整数であり;
は、-O-、-S-、-CO-、-(CO)-O-、-O-(CO)-、-S-(CO)-、-(CO)-S-、-O-(CO)-O-、-(CO)-NRGR-、-NRGR-(CO)-、-NRGR-(CO)-NRGR-、-NRGR-(CO)-O-、-O-(CO)-NRGR-および単結合からなるリストから選択され、
ここでRGRは、出現毎に相互に独立してHまたは1~5個の炭素原子を有するアルキルであり;
Rは、式(10a)~(10k)のいずれか1つであり:
【化16】
式中
【化17】
は結合部位を表し;
Lは、1~5個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲニル、PhまたはCNであり;
は、O、SまたはCHであり;
qは、0から4までの整数であり;
xおよびyは、互いに独立して0から10までの整数であり;
、RIIおよびRIIIは、互いに独立して1~10個の炭素原子を有する線状アルキル基、または3~10個の炭素原子を有する分枝状アルキル基である、請求項1~9のいずれか一項に記載のビスマレイミド化合物。
【請求項11】
およびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して式(9)で表され:
【化18】
式中
【化19】
は結合部位を表し;
pは、0から8までの整数であり;
は、-O-、および単結合からなるリストから選択され,
Rは、式(11a)~(11f)のいずれか1つを表し:
【化20】
式中
【化21】
は結合部位を表す、請求項1~10のいずれか一項に記載のビスマレイミド化合物。
【請求項12】
以下の:
(i)請求項1~11のいずれか一項に記載の、1以上のビスマレイミド化合物を含む配合物を提供する;および
(ii)該配合物を硬化させる
ステップを含む、誘電性ポリマー材料を形成するための方法。
【請求項13】
配合物が、ビスマレイミド化合物と反応することのできる、1以上の追加の化合物をさらに含む、請求項12に記載の誘電性ポリマー材料を形成するための方法。
【請求項14】
配合物が、1以上の無機充填剤をさらに含む、請求項12または13に記載の誘電性ポリマー材料を形成するための方法。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか一項に記載の方法により得ることができる誘電性ポリマー材料。
【請求項16】
請求項1~11のいずれか1項において定義されるとおりのビスマレイミド化合物に由来する少なくとも1の繰り返し単位を含む誘電性ポリマー材料。
【請求項17】
繰り返し単位は、式(12)または(13)で表される構造単位を含む、請求項16に記載の誘電性ポリマー材料:
【化22】
式中
【化23】
T、X、R、R、nおよびmは、請求項1~11のいずれか一項において定義される。
【請求項18】
請求項15~17のいずれか一項に記載の誘電性ポリマー材料を含む電子デバイス。
【請求項19】
前記電子デバイスはマイクロ電子デバイスであり、前記誘電ポリマー材料は前記マイクロ電子デバイスの再配線層に再不動態化材料として含まれる、請求項18に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、電子デバイスの製造に特に好適である新規な誘電性ポリマー材料を提供する。誘電性ポリマー材料は、新しいタイプのビスマレイミド化合物を反応させることによって形成され、特に、例としてウェハレベルパッケージング(WLP)および低誘電接着剤用途などの高度な電子パッケージング用途における要件に関して、好ましい材料特性のバランスの取れた有利なプロファイルを示す。本発明の誘電性ポリマー材料は、(a)好ましい熱機械特性、例えば、高いガラス転移温度(Tg)、低い熱膨張係数(CTE)、高い破断点伸び、および高い引張強度、(b)好ましい誘電特性、例えば低い誘電率と低い誘電正接、(c)高い接着強度、および(d)従来技術の材料と比較して有益なスピンコーティング挙動、
を包含する材料特性のバランスのとれた有利なプロファイルを示す。
【0002】
本発明の誘電性ポリマー材料は、ビスマレイミド化合物を反応させることによって形成される。ビスマレイミド化合物として、カルド/スピロ部分を含む特定のビスマレイミド化合物が本明細書に記載されている。かかる化合物は光構造化可能であり、電子デバイス製造におけるさまざまな用途、例としてパッケージ化された電子デバイス(再配線層(RDL)またはダイアタッチの導電性または半導体コンポーネントの不動態化を含む)、薄膜配合物および/または接着剤配合物における再不動態化層の調製用、の出発材料として使用され得る。さらに、前記ビスマレイミド化合物は、優れた膜形成能力を有し、従来の溶媒から加工してスピンオン材料として誘電性ポリマーを形成することが容易である。
【0003】
本発明のビスマレイミド化合物は、分子の中間部分に繰り返し単位を含むカルドおよび/またはスピロ部分を有し、分子の各末端にマレイミド基を有するオリゴマー構造を有する。さらに、前記誘電性ポリマー材料を形成する方法が提供される。さらに、本発明は、誘電性ポリマー材料、および誘電性材料として前記ポリマー材料を含む電子デバイスに関する。本発明のビスマレイミド化合物および関連する誘電性ポリマー材料は、望ましくない熱機械膨張による機械的変形(反り)によって引き起こされる欠陥デバイスの数が大幅に減少する、マイクロ電子デバイスの費用効果が高く信頼性の高い製造を可能にする。
【0004】
本発明の背景
ソリッドステートトランジスタが真空管技術に取って代わり始めたたところ、抵抗器、コンデンサー、ダイオードなどの電子部品をリード線でカードのプリント基板に直接取り付けることが可能になり、現在も使用されている基本的な構成要素またはパッケージングのレベルが確立された。複雑な電子機能には、単一のプリント回路カード上で相互接続できるよりも多くの個別コンポーネントがよく必要になる。多層カードの機能は、多層マザーボード上へのドーターカードの3次元パッケージングの開発が伴った。集積回路により、抵抗器やダイオードなどの多くの個別回路要素を、集積回路チップまたはダイとして知られる個別の比較的小さなコンポーネントに埋め込むことができる。しかしながら、信じられないほどの回路集積度にもかかわらず、一部には、集積回路自体の技術のせいで、通常は複数のパッケージングレベルが必要になる。集積回路チップは非常に壊れやすく、端子が非常に小さい。第1レベルのパッケージングは、機械的な保護、冷却、および繊細な集積回路への電気接続機能の提供という主要な機能を実現する。一部のコンポーネント(高電力抵抗器、機械スイッチ、コンデンサ)はチップ上に容易に統合できないため、プリント回路カードなどの少なくとも1つの追加のパッケージングレベルが利用される。メインフレームコンピューターなどの非常に複雑な用途の場合は、複数のパッケージングレベルの階層が必要である。
【0005】
今日の半導体産業の要件を満たすために、さまざまな高度なパッケージング技術が存在する。先進のパッケージング技術-ウェハレベルパッケージング(WLP)、ファンアウトウェハレベルパッケージング(FOWLP)、2.5Dインターポーザ、チップオンチップスタッキング、パッケージオンパッケージスタッキング、組み込みIC-すべては、薄い基板、再配線層、および高解像度インターコネクトなどの他のコンポーネントを要する。最終消費者市場では、より小型で薄型のデバイスの低価格化と高機能化が常に求められている。このため、競争力のある製造コストで、より微細な機能と向上した信頼性を備えた次世代パッケージングの必要性が高まっている。
【0006】
ウェーハレベルパッケージング(WLP)は、次世代の小型高性能電子デバイスにとって最も有望な半導体パッケージ技術の1つである。一般に、WLPは、集積回路がまだウェハの一部である間に集積回路をパッケージングするプロセスである。これは、ウェーハを個々の回路に切断してからパッケージングする、より従来の方法とは対照的である。WLPは再配線層(RDL)に基づいており、これによりダイとはんだボールの間の接続が可能になり、信号伝播が向上し、フォームファクタが小さくなる(図1を参照)。WLPの主な応用分野は、サイズの制約があるため、スマートフォンとウェアラブルである。
【0007】
現在の材料では、WLPプロセスは中程度のチップサイズのアプリケーションに限定されている。この制限の理由は、不適切な熱機械特性と、これらの材料の最適化されていない加工に基づく。次世代マイクロチップRDLに使用される誘電体材料は、特定の要件を満たす必要がある。低い誘電率に加えて、例として高いガラス転移温度(Tg)、低い熱膨張係数(CTE)、高い破断点伸び、および高い引張強度などの熱機械的特性は重要な役割を果たす。さらに、いくつかの対象用途は、10μmを超える不動態層が必要であり、スピンコーティングプロセスで堆積することが好ましい。従来技術の材料とは対照的に、本発明の材料は、同等のモル質量およびモル質量分布でより高い粘度を示す。結果として、一般に、スピンコーティングにより記載のスピロ/カルドポリマーを適用することにより、より厚い膜厚を達成することができる。
【0008】
上記の要件の一部を満たす重要な材料クラスは、最先端のさまざまな刊行物に記載されているイミド延長マレイミド(imide-extended maleimide)化合物である。
US2004/0225026A1およびUS2011/0130485A1は、イミド延長されたモノ-、ビス-またはポリマレイミド化合物を含む熱硬化性(接着剤)組成物に関する。イミド延長マレイミド化合物は、適切な無水物と好適なジアミンを縮合してアミン末端化合物を得ることで調製される。次いで、これらの化合物を過剰の無水マレイン酸と縮合して、イミド延長マレイミド化合物が得られる。イミド延長マレイミド化合物は、熱硬化性組成物に組み込まれると、熱安定性を犠牲にすることなく、組成物の脆性を低減し、靱性を高めるといわれている。
US2011/0049731A1およびUS2013/0228901A1は、半導体ウェハ不動態層の応力を低減するための材料および方法に関する。不動態化層として使用するための低弾性率のフォトイメージャブルポリイミドを含有する組成物、および半導体ウェハおよびそれから作られた不動態化層を含むデバイスが記載される。
【0009】
US2017/0152418A1は、イミド延長されたモノマレイミド、ビスマレイミド化合物、およびポリマレイミド化合物を含有する熱硬化性マレイミド樹脂から製造されるマレイミド接着フィルムに関する。マレイミド接着フィルムは光構造化可能であり、電子機器、集積回路、半導体デバイス、受動デバイス、太陽電池、太陽電池モジュール、および/または発光ダイオードの製造に好適であると言われている。
【0010】
しかしながら、上記のイミド延長マレイミド化合物は、産業で使用される一般的な溶媒中では好ましくない溶解性を有し、また、例として、低いガラス転移温度と低い破断伸びなどの好ましくない熱機械的性質を有するところ、WLP用途には好適ではない。
半導体産業におけるもう1つの傾向は、高周波領域での低誘電特性(低誘電率、低誘電正接)を備えた材料の需要に関する。プリント回路基板での信号伝送速度の増加に伴い、信号の周波数も増加した。さらに、5G時代には、特定の要件を満たす独自の特性を備えた信頼性の高い材料が必要である。一般に、低誘電率材料の場合、これらの絶縁膜の極性は通常低いため、接着強度は劣る。低誘電挙動と良好な接着特性を組み合わせた新材料は、今後のさまざまな用途の開発にとって大きな関心を集めている。
【0011】
WO2019/141833A1は、優れたフィルム形成能力、優れた機械的特性、低い誘電率、および低い熱膨張係数を有する誘電性ポリマーに関する。誘電性ポリマーは、メソゲン基を有する重合性化合物から調製され、電子デバイスの不動態層を調製するための誘電性材料として使用され得る。
これらの材料には多くの有益な特性があるが、これらの材料の可能性を最大限に発揮するには、ガラス転移温度やスピンコーティング挙動などの一部の特性を向上または改善する必要がある。
【0012】
ガラス転移温度を上げる1つのオプションは、ポリマー主鎖に沿ってペンダントループを導入することである。カルドまたはスピロ部分は、より優れた機械的および熱的特性を伴う溶解性と鎖の剛性を高めるために使用されている。かかるポリマーは、高いガラス転移温度Tg、良好な熱安定性および溶解性を提供すると報告されている。これに関連して、次の刊行物が言及されている。
P. Wen et al., Materials Chemistry and Physics, 139, 2013, 923-930: Synthesis and characterizations of cardo polyimides based on new spirofluorene diamine monomer.

M Hasegawa et al, Polymer 169, 2019, 167-184: Synthesis and asymmetric spiro-type colorless poly(ester imide)s with low coefficients of thermal expansion, high glass transition temperatures, and excellent solution-processability.

L. Zhang et al., Designed Molecules and Polymers, 2014, 17, 637-646 describes the synthesis, characterization, and curing kinetics of novel bismaleimide monomers containing fluorene cardo group and aryl ether linkage.

L. Zhang et al., High Performance Polymers, 2016, 28, 215-224 relates to the preparation and properties of bismaleimide resins based on novel bismaleimide monomer containing fluorene cardo structure.
しかしながら、材料特性の観点から見ると、上記の化合物および材料は、現代のパッケージング用途、特にフォトイメージャブル誘電体に好適な誘電体に対するすべての要件を満たしているわけではない。
【0013】
本発明の目的
本発明の目的は、従来技術の欠点および不利な点を克服すること、および特に、例としてウェハーレベルパッケージング(WLP)などの高度な電子パッケージング用途における、ならびに、低誘電性接着剤用途のための要件に関して、好ましい材料特性のバランスのとれた有利なプロファイルを示す新しいクラスの誘電性ポリマー材料を提供することである。
【0014】
ゆえに、本発明の目的は、(a)例として高いガラス転移温度(Tg)、低い熱膨張係数(CTE)、高い破断点伸び、および高い引張強度などの好ましい熱機械特性、(b)例として低い誘電率と低い誘電正接などの好ましい誘電特性、(c)高い接着強度、(d)従来技術の材料と比較して有益なスピンコーティング挙動を包含する材料特性のバランスのとれた有利なプロファイルを示す、誘電性ポリマー材料を提供することである。
本発明のさらなる目的は、前記誘電性ポリマー材料を得ることができるビスマレイミド化合物を提供することである。本発明の目的は、そのようなビスマレイミド化合物が光構造化可能であり、例としてパッケージ化された電子デバイス(再配線層(RDL)またはダイアタッチにおける導電性または半導体コンポーネントの不動態化を包含する)、薄膜配合物および/または接着剤配合物における再不動態化層の調製のためなどの、電子デバイス製造における様々な用途の出発材料として使用できることである。さらに、前記ビスマレイミド化合物は、優れたフィルム形成能力を有し、従来の溶媒からの加工が容易でなければならない。
さらに、本発明の目的は、ビスマレイミド化合物を使用して前記誘電性ポリマー材料を形成する方法を提供することである。最後に、本発明の目的は、誘電体材料として前記ポリマーを含む電子デバイスを提供することである。
【0015】
本発明の目的は、ビスマレイミド化合物および関連する誘電性ポリマー材料によって、マイクロ電子デバイスの費用効果が高く信頼性の高い製造が可能となり、望ましくない熱機械特性による機械的変形(反り)によって引き起こされる欠陥デバイスの数が大幅に減少することである。
【発明の概要】
【0016】
本発明の概要
本発明者らは、驚くべきことに、カルド/スピロ部分を含む新しいタイプの特定のビスマレイミド化合物から形成される誘電性ポリマー材料によって上記の目的が達成されることを見出した。誘電性ポリマー材料は、(a)例として高いガラス転移温度(Tg)、低い熱膨張係数(CTE)、高い破断点伸び、および高い引張強度などの好ましい熱機械特性、(b)例として低い誘電率と低い誘電正接などの好ましい誘電特性、(c)高い接着強度、(d)従来技術の材料と比較して有益なスピンコーティング挙動を包含する材料特性のバランスのとれた有利なプロファイルを示す。
【0017】
本発明のビスマレイミド化合物は、式(1)または式(2)
【化1】
式中:
Tは、出現毎に互いに独立してカルドまたはスピロ部分を含む二価または多価、好ましくは二価または四価の結合単位であり;
Xは、出現毎に互いに独立して1以上の脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シロキサン、カルドまたはスピロ部分を含む二価または多価、好ましくは二価または四価の結合単位であり;
【化2】
は単結合または二重結合を表し;
およびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して1以上の脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シロキサン、カルドまたはスピロ部分を含む結合単位であり;
は、RまたはRであり;
は、Hまたは1~5個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはHまたはCHであり;
は、Hまたは1~5個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはHまたはCHであり;
nは、1から60まで、好ましくは1から50まで、より好ましくは2から30まで、最も好ましくは3から20までの整数であり;および
mは、1から60まで、好ましくは1から50まで、より好ましくは2から30まで、最も好ましくは3から20までの整数である、で表される。
【0018】
前記ビスマレイミド化合物は、新しいクラスの誘電性ポリマー材料を形成するためのモノマー化合物として使用される。前記誘電性ポリマー材料は、以下の方法によって調製され、これも本発明の一部を形成する。
【0019】
以下の:
(i)1以上の本発明のビスマレイミド化合物を含む配合物を提供する;および
(ii)該配合物を硬化させる
ステップを含む誘電性ポリマー材料を形成するための方法。
【0020】
さらに、上述の誘電性ポリマー材料を形成するための方法によって得ることができるか、またはそれによって得られる誘電性ポリマー材料が提供される。
さらに、本発明によるビスマレイミド化合物に由来する少なくとも1つの繰り返し単位を含む誘電性ポリマー材料が提供される。
最後に、本発明による誘電性ポリマー材料を含む電子デバイスが提供される。
本発明の好ましい態様は、以下および従属請求項に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、ファンアウトウェーハレベルパッケージング(WLP)構造の概略図。
図2図2は、さらなる構造添加剤なしで5wt.-%のIrgacureOXE-02を使用して化合物(7)から得られたポリマー材料のDMA測定。
図3図3は、構造添加剤として10wt.-%1,1’-(メチレンビス(2-エチル-6-メチル-4,1-フェニレン))ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)および5phrIrgacureOXE-02を使用して化合物(7)から得られるポリマー材料のDMA測定。
図4図4は、さらなる構造添加剤なしで5wt.-%のIrgacureOXE-02を使用して化合物(8)から得られたポリマー材料のDMA測定。
図5図5は、さらなる構造添加剤なしで5wt.-%のIrgacureOXE-02を使用して化合物(9)から得られたポリマー材料のDMA測定。
図6図6は、さらなる構造添加剤なしで5wt.-%のIrgacureOXE-02を使用して、化合物(10)から得られたポリマー材料のDMA測定。
図7図7は、さらなる構造添加剤なしで5wt.-%のIrgacureOXE-02を使用して化合物(11)から得られたポリマー材料のDMA測定。
図8図8は、構造添加剤として10wt.-%1,1’-(メチレンビス(2-エチル-6-メチル-4,1-フェニレン))ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)および5phrIrgacureOXE-02を使用して化合物(11)から得られるポリマー材料のDMA測定。
図9図9は、化合物(7)および(11)のスピンコーティング挙動。
【0022】
詳細な記載
定義
本明細書で使用される用語「結合単位」は、分子の2つ以上の部分を結合する有機構造単位に関する。結合単位は通常、異なる部分で構成される。結合単位は二価または多価であってもよく、好ましくは二価または四価である。
本明細書で使用される用語「スピロ化合物」は、1つの共通の四級結合原子を介して直角に接続された2つの環からなるスピロ中心を有する化合物を表す。通常、炭素原子はスピロ中心として機能する。最も単純なスピロ化合物は二環式である、または、より大きな環系の一部として二環式部分を有し、どちらの場合においてもスピロ中心を策定する共通の四級結合原子を介して2つの環が接続されている。スピロ中心は、それに結合する隣接基とともに、いわゆる「スピロ部分」を形成し、スピロ化合物の特徴的な構造単位とみなすことができる。スピロ部分は、好ましくは-C(O)Rv、-C(O)ORv、-NRvRw、-ORv、-Rx、-CN、-Fおよび-Clからなるリストから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、ここでR=H、C6-C14アリールまたはC1-C14アルキル、R=H、C6-C14アリールまたはC1-C14アルキルおよびR=C6-C14アリールまたはC1-C14アルキル、好ましくはR=H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニル、R=H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルおよびR=メチル、エチル、プロピルまたはフェニル。スピロ部分は、好ましくはC=C二重結合、C≡C三重結合、アミド、カルバメート、カーボネート、エステル、エーテル、第二級または第三級アミン、およびケトからなるリストから選択される1つまたは複数の官能基を含有してもよい。スピロ部分は、典型的には、化学化合物の少なくとも2つの隣接するさらなる構造単位に結合している。ポリマースピロ化合物は「スピロポリマー」とも称される。
【0023】
本明細書において使用される用語「カルドポリマー」は、ポリマー鎖の主鎖中の炭素も環構造に組み込まれているポリマーのサブグループを説明する。これらの主鎖炭素は第4級中心であり、いわゆる「カルド部分」の一部を形成する。したがって、環状側鎖基はポリマー鎖の平面に対して垂直に位置し、ループ構造を形成する。カルド構造はスピロ構造に非常に似ているが、カルド中心に結合するリングは1つだけであるのに対し、スピロ中心には2つのリングが結合する。カルド中心は、それに結合する隣接基とともに、いわゆる「カルド部分」を形成し、これはカルドポリマーの特徴的な構造単位とみなすことができる。カルド部分は、好ましくは-C(O)Rv、-C(O)ORv、-NRvRw、-ORv、-Rx、-CN、-Fおよび-Clからなるリストから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、ここでR=H、C6-C14アリールまたはC1-C14アルキル、R=H、C6-C14アリールまたはC1-C14アルキルおよびR=C6-C14アリールまたはC1-C14アルキル、好ましくはR=H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニル、R=H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルおよびR=メチル、エチル、プロピルまたはフェニル。カルド部分は、好ましくはC=C二重結合、C≡C三重結合、アミド、カルバメート、カーボネート、エステル、エーテル、第二級または第三級アミン、およびケトからなるリストから選択される1つまたは複数の官能基を含有してもよい。カルド部分は、典型的には、化学化合物の少なくとも2つの隣接するさらなる構造単位に結合している。
【0024】
本明細書において使用される用語「脂肪族部分」は、化合物の構造の一部を形成する直鎖、分枝鎖、環式または架橋環式脂肪族単位に関する。脂肪族部分は、N、O、S、およびPから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい。脂肪族部分は、好ましくは-C(O)Rv、-C(O)ORv、-NRvRw、-ORv、-Rx、-CN、-Fおよび-Clからなるリストから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、ここでR=H、C6-C14アリールまたはC1-C14アルキル、R=H、C6-C14アリールまたはC1-C14アルキルおよびR=C6-C14アリールまたはC1-C14アルキル、好ましくはR=H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニル、R=H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルおよびR=メチル、エチル、プロピルまたはフェニル。脂肪族部分は、好ましくはC=C二重結合、C≡C三重結合、アミド、カルバメート、カーボネート、エステル、エーテル、第二級または第三級アミン、およびケトからなるリストから選択される1つまたは複数の官能基を含有してもよい。脂肪族部分は、典型的には、化学化合物の少なくとも2つの隣接するさらなる構造単位に結合している。
【0025】
本明細書において使用される用語「芳香族部分」は、化合物の構造の一部を形成する単環式または多環式の芳香族または複素芳香族単位に関する。多環芳香族単位は、1つの平面内に固定された2つ以上の接続された芳香環系を包含する。複素芳香族単位は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する。芳香族部分は、好ましくは-C(O)Rv、-C(O)ORv、-NRvRw、-ORv、-Rx、-CN、-Fおよび-Clからなるリストから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、ここでR=H、C6-C14アリールまたはC1-C14アルキル、R=H、C6-C14アリールまたはC1-C14アルキルおよびR=C6-C14アリールまたはC1-C14アルキル、好ましくはR=H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニル、R=H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルおよびR=メチル、エチル、プロピルまたはフェニル。芳香族部分は、典型的には、化学化合物の少なくとも2つの隣接するさらなる構造単位に結合している。
本明細書において使用される用語「シロキサン部分」は、少なくとも1つのSi-O-Si結合を含む化合物の構造単位を指す。シロキサン部分は、直鎖状、分枝鎖状、または環状であってもよい。シロキサン部分は、好ましくは-C(O)Rv、-C(O)ORv、-NRvRw、-ORv、-Rx、-CN、-Fおよび-Clからなるリストから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、ここでR=H、C6-C14アリールまたはC1-C14アルキル、R=H、C6-C14アリールまたはC1-C14アルキルおよびR=C6-C14アリールまたはC1-C14アルキル、好ましくはR=H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニル、R=H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルおよびR=メチル、エチル、プロピルまたはフェニル。シロキサン部分は、典型的には、化学化合物の少なくとも2つの隣接するさらなる構造単位に結合している。
【0026】
用語「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、ランダム、および交互コポリマー、ターポリマー、クォーターポリマーなど、およびそれらのブレンドおよび変性物を包含するが、これらに限定されない。さらに、特に限定しない限り、用語「ポリマー」は、材料の考えられるすべての配置異性体を包含するものとする。これらの立体配置は、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびアタクチック対称を包含するが、これらに限定されない。ポリマーは高い相対分子量の分子であり、その構造は本質的に、実際または概念的に低い相対質量の分子(つまりモノマー)から派生した単位(つまり繰り返し単位)の複数の繰り返しでを含む。本発明の文脈において、ポリマーは60を超えるモノマーから構成される。ポリマーは通常、異なる鎖長を持つ分子の混合物であるため、モル質量分布を有する。
用語「オリゴマー」は、モノマーの数が原則として無制限であるポリマーとは対照的に、少数のモノマー単位で構成される分子複合体である。ダイマー、トリマー、およびテトラマーは、たとえば、それぞれ2つ、3つ、および4つのモノマーから構成されるオリゴマーである。本発明の文脈において、オリゴマーは最大60個のモノマーから構成され得る。
【0027】
本明細書において使用される用語「モノマー」は、重合を受け、それによってポリマーまたはオリゴマーの本質的な構造に構成単位(繰り返し単位)を与えることができる分子を指す。
本明細書において使用される用語「ホモポリマー」は、(現実の、暗黙の、または仮想の)(real, implicit or hypothetical)モノマーの1種に由来するポリマーを表す。
【0028】
本明細書において使用される用語「コポリマー」は、一般に、2種以上のモノマーから誘導され、2種以上の対応する繰り返し単位を含む任意のポリマーを意味する。一態様において、コポリマーは2種以上のモノマーの反応生成物であり、かくして2種以上の対応する繰り返し単位を含む。コポリマーは、2種、3種、4種、5種または6種の繰り返し単位を含むことが好ましい。3つのモノマー種の共重合によって得られるコポリマーは、ターポリマーとも称される。4つのモノマー種の共重合によって得られるコポリマーは、クォーターポリマーとも称される。コポリマーは、ブロック、ランダム、および/または交互コポリマーとして存在し得る。
【0029】
本明細書において使用される用語「ブロックコポリマー」は、隣接するブロックが構造的に異なる、すなわち、隣接するブロックは、異なる種のモノマーに由来する、または同じ種のモノマーに由来するが、異なる組成または繰り返し単位の配列分布を有する繰り返し単位を含む。
さらに、本明細書において使用する用語「ランダムコポリマー」は、鎖内の任意の部位で所定の繰り返し単位を見つける確率が、隣接する繰り返し単位の性質に依存しない巨大分子で形成されたポリマーを指す。通常、ランダム共重合体では、繰り返し単位の配列分布はベルヌーイ統計に従う。
【0030】
本明細書で使用される用語「交互コポリマー」は、交互の順序で2種の繰り返し単位を含む巨大分子からなるコポリマーを表す。
【0031】
「電子実装」は電子工学分野の主要分野であり、多種多様な技術を包含する。個別コンポーネント、集積回路、MSI(中規模集積回路)およびLSI(大規模集積回路)チップ(通常はビームリードによってリードフレームに取り付けられる)を、多層回路基板(カードとも称される)の穴を通してプレートに挿入することを指し、所定の位置にはんだ付けされる。電子システムのパッケージングでは、機械的損傷からの保護、冷却、高周波ノイズ放射、静電気放電によるメンテナンスからの保護、オペレータの利便性、およびコストを考慮する必要がある。
【0032】
本明細書において使用される用語「マイクロ電子デバイス」は、非常に小さな電子設計およびコンポーネントの電子デバイスを指す。常にではないが、通常、これはマイクロメートルスケール以下を意味する。これらのデバイスは通常、半導体材料から作られ、パッケージ化された構造で相互接続されてマイクロ電子デバイスを形成する1つ以上のマイクロ電子部品を含有する。通常の電子設計の電子コンポーネントの多くは、マイクロエレクトロニクス同等品として入手可能である。これらは、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、抵抗器、ダイオードを包含し、当然、絶縁体や導体もすべてマイクロ電子デバイス内で見つけることができる。マイクロエレクトロニクスでは、コンポーネント、リード、パッドのサイズが異常に小さいため、ワイヤボンディングなどの独自の配線技術もよく使用される。
【0033】
好ましい態様
ビスマレイミド化合物
本発明はまた、式(1)または(2)で表されるビスマレイミド化合物:
【化3】
式中:
Tは、出現毎に互いに独立してカルドまたはスピロ部分を含む二価または多価、好ましくは二価または四価の結合単位であり;
Xは、出現毎に互いに独立して1以上の脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シロキサン、カルドまたはスピロ部分を含む二価または多価、好ましくは二価または四価の結合単位であり;
【化4】
は単結合または二重結合を表し;
およびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して1以上の脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、シロキサン、カルドまたはスピロ部分を含む結合単位であり;
は、RまたはRであり;
は、Hまたは1~5個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはHまたはCHであり;
は、Hまたは1~5個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはHまたはCHであり;
nは、1から60まで、好ましくは1から50まで、より好ましくは2から30まで、最も好ましくは3から20までの整数であり;および
mは、1から60まで、好ましくは1から50まで、より好ましくは2から30まで、最も好ましくは3から20までの整数である、に関する。
【0034】
Tおよび/またはXが多価結合単位を表す場合、そのような多価結合単位は、好ましくは、隣接する環状イミド部分のそれぞれの2つの炭素原子に結合する。Tおよび/またはXが四価の結合単位を表す場合、そのような四価の結合単位は、隣接する環状イミド部分のそれぞれの2つの炭素原子に結合することが好ましい。
【0035】
好ましくは、式(1)および/または(2)において、Tに含まれるカルドまたはスピロ部分は、式(3a)~(3g)の1つによって表される:
【化5】
式中
【化6】
は結合部位を表し;
Lは、1~5個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲニル、PhまたはCN、好ましくはメチル、F、Cl、PhまたはCNであり;
は、O、SまたはCHであり;および
qは、0から4までの、好ましくは0から2までの、より好ましくは0または1、最も好ましくは0の整数である。
【0036】
好ましくは、式(2)におけるXは、出現毎に互いに独立して2個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の脂肪族部分、6個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の芳香族部分、4個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換のヘテロ芳香族部分、2個から50個までのケイ素原子を有する置換または非置換のシロキサン部分、好ましくはジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン部分、13個から100個までの炭素原子、好ましくは25個から50個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分、またはそれらの組み合わせである。
【0037】
好ましくは、式(1)および/または(2)におけるRおよびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して2個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の脂肪族部分、6個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の芳香族部分、4個から100個まで炭素原子を有する置換または非置換のヘテロ芳香族部分、2個から50個までのケイ素原子を有する置換または非置換のシロキサン部分、好ましくはジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン部分、13個から100個までの炭素原子、好ましくは25個から50個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分またはそれらの組み合わせであり、およびRは、RまたはRである。RおよびRのための好ましいカルドまたはスピロ部分は、上記式(3a)~(3g)で表される。
【0038】
本発明の好ましい態様において、ビスマレイミド化合物は、式(4)または(5)で表され:
【化7】
式中:
は、出現毎に互いに独立して13個から80個まで、好ましくは25個から50個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分であり;
は、出現毎に互いに独立して2個から80個までの炭素原子を有する置換または非置換の脂肪族部分、6個から80個までの炭素原子を有する置換または非置換の芳香族部分、4個から80個までの炭素原子を有する置換または非置換のヘテロ芳香族部分、2個から50個までのケイ素原子を有する置換または非置換のシロキサン部分、好ましくはジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン部分、13個から80個までの、好ましくは25個から50個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分、またはそれらの組み合わせであり;
およびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して2個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の脂肪族部分、6個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換の芳香族部分、4個から100個までの炭素原子を有する置換または非置換のヘテロ芳香族部分、2個から50個までのケイ素原子を有する置換または非置換のシロキサン部分、好ましくはジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン部分、13個から100個まで、好ましくは25個から50個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分、またはそれらの組み合わせであり;
は、RまたはRであり;および
は、Hまたは1~5個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはHまたはCHであり;
は、Hまたは1~5個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはHまたはCHであり;
nは、1から60まで、好ましくは1から50まで、より好ましくは2から30まで、および最も好ましくは3から20までの整数であり;および
mは、1から60まで、好ましくは1から50まで、より好ましくは2から30まで、および最も好ましくは3から20までの整数である。
【0039】
好ましくは、式(4)および/または(5)におけるTは、式(6)で表され:
【化8】
式中
【化9】
は結合部位を表し;
は、-O-、-S-、-CO-、-(CO)-O-、-O-(CO)-、-S-(CO)-、-(CO)-S-、-O-(CO)-O-、-(CO)-NRGT-、-NRGT-(CO)-、-NRGT-(CO)-NRGT-、-NRGT-(CO)-O-、-O-(CO)-NRGT-および単結合からなるリストから選択され、
ここでRGTは、出現毎に互いに独立してHまたは1~5個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはHまたはCHであり;
は、式(3a)~(3g)のいずれか1つで表され:
【化10】
式中
【化11】
は結合部位を表し;
Lは、1~5個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲニル、PhまたはCN、好ましくはメチル、F、Cl、PhまたはCNであり;
は、O、SまたはCHであり;および
qは、0から4まで、好ましくは0から2まで、より好ましくは0または1、最も好ましくは0の整数である。
【0040】
好ましくは、式(5)におけるXは、13個から80個までの炭素原子、好ましくは25個から50個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分である。
【0041】
より好ましくは、式(5)におけるXは、式(7)で表され:
【化12】
式中
【化13】
は結合部位を表し;
は、-O-、-S-、-CO-、-(CO)-O-、-O-(CO)-、-S-(CO)-、-(CO)-S-、-O-(CO)-O-、-(CO)-NRGX-、-NRGX-(CO)-、-NRGX-(CO)-NRGX-、-NRGX-(CO)-O-、-O-(CO)-NRGX-および単結合からなるリストから選択され、
ここでRGXは、出現毎に互いに独立してHまたは1~5個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはHまたはCHであり;
は、式(8a)~(8g)のいずれか1つを表し:
【化14】
式中
【化15】
は結合部位を表し;
Lは、1~5個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲニル、PhまたはCN、好ましくはメチル、F、Cl、PhまたはCNであり;
は、O、SまたはCHであり;および
qは、0から4まで、好ましくは0から2まで、より好ましくは0または1、最も好ましくは0の整数である。
【0042】
より好ましくは、式(1)、(2)、(4)および/または(5)におけるRおよびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して、5個から60個までの炭素原子、好ましくは10個から40個までの炭素原子を有する置換または非置換の脂肪族部分、6個から30個までの炭素原子を有する置換または非置換の芳香族部分、13から100個までの炭素原子、好ましくは25個から50個までの炭素原子を有する置換または非置換のカルドまたはスピロ部分またはそれらの組み合わせであり;および
は、RまたはRである。
なおより好ましくは、式(1)、(2)、(4)および/または(5)におけるRおよびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して式(9)で表され:
【化16】
式中
【化17】
は結合部位を表し;
pは、0から10まで、好ましくは0から8までの整数であり;
は、-O-、-S-、-CO-、-(CO)-O-、-O-(CO)-、-S-(CO)-、-(CO)-S-、-O-(CO)-O-、-(CO)-NRGR-、-NRGR-(CO)-、-NRGR-(CO)-NRGR-、-NRGR-(CO)-O-、-O-(CO)-NRGR-および単結合からなるリストから選択され、
ここでRGRは、出現毎に互いに独立してHまたは1~5個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはHまたはCHであり;
Rは、式(10a)~(10k)のいずれか1つで表され:
【化18】
式中
【化19】
は結合部位を表し;
Lは、1~5個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲニル、PhまたはCN、好ましくはメチル、F、Cl、PhまたはCNであり;
は、O、SまたはCHであり;
qは、0から4まで、好ましくは0から2まで、より好ましくは0または1、最も好ましくは0の整数であり;
xおよびyは、互いに独立して0から10まで、好ましくは1から8まで、より好ましくは3から8までの整数であり;
、RIIおよびRIIIは、互いに独立して1~10個、好ましくは1~8個の炭素原子を有する線状アルキル基、または3~10個の炭素原子、好ましくは3~8個の炭素原子を有する分枝状アルキル基、より好ましくは-C13、-C17または-CHCH(C)Cである。
【0043】
最も好ましくは、式(1)、(2)、(4)および/または(5)におけるRおよびRは、独立しておよび出現毎に互いに独立して式(9)で表され:
【化20】
式中
【化21】
は結合部位を表し;
pは、0から8までの整数であり;
は、-O-、および単結合からなるリストから選択され,
Rは、式(11a)~(11f)のいずれか1つで表され:
【化22】
式中
【化23】
は結合部位を表す。
式(1)または式(4)に従う具体的に好ましいビスマレイミド化合物は:
【化24】
である。
式(2)または式(5)に従う具体的に好ましいビスマレイミド化合物は:
【化25-1】
【化25-2】
【化25-3】
である。
【0044】
本発明のビスマレイミド化合物は、任意の標準的な合成によって調製されてもよい。通常、化合物は逆合成的により小さな単位に切断され、好適な前駆体化合物から段階的に形成される。この目的のために、既知の標準的な反応が使用されてもよい。合成の後期段階、典型的には合成のまさに最後の段階でマレイミド基を結合させることが特に有利であることが証明されている。そうすることで、化合物の望ましくない副反応や早期の重合を回避できる。
【0045】
マレイミド基は、例えば、ラジカルもしくはイオン連鎖重合、重付加もしくは重縮合などの重合反応を受けることができる、または例えば、ポリマー骨格への付加または縮合などの重合類似反応を受けることができる官能基である。
【0046】
本発明はさらに、1つ以上のビスマレイミド化合物に由来する繰り返し単位を含む誘電性ポリマー材料を形成する方法を提供する。誘電性ポリマー材料は、線状であっても架橋されていてもよい。
【0047】
本発明による誘電性ポリマー材料を形成する方法は、以下の
(i)本発明による1つ以上のビスマレイミド化合物を含む配合物を提供する;および
(ii)前記配合物を硬化させる
ステップを含む。
【0048】
好ましくは、ステップ(i)で提供される配合物は、本発明によるビスマレイミド化合物と反応してコポリマーを形成することができる1つ以上の追加の化合物をさらに含む。当業者は、基本的な化学知識を用いて、本発明の所与のビスマレイミド化合物に対して、最初に述べたものと反応してコポリマーを形成できる好適な追加化合物を見つけて選択することができる。
【0049】
本発明に従って、ビスマレイミド化合物と反応することのできる好ましい追加の化合物は、アクリラート、エポキシド、オレフィン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ポリチオール、ポリアミン、およびポリマレイミドからなるリストから選択される。
【0050】
好ましいアクリラートは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メチルシアノアクリラート、アクリル酸エチル、エチルメタクリラート、エチルシアノアクリラート、プロピルアクリラート、プロピルメタクリラート、プロピルシアノアクリラート、ブチルアクリラート、ブチルメタクリラート、ブチルシアノアクリラート、ペンチルアクリラート、ペンチルメタクリラート、ペンチルシアノアクリラート、ヘキシルアクリラート、ヘキシルメタクリラート、ヘキシルシアノアクリラート、へプチルアクリラート、へプチルメタクリラート、へプチルシアノアクリラート、オクチルアクリラート、オクチルメタクリラート、オクチルシアノアクリラート、エチレングリコールジメタクリラート、2-エチルヘキシルアクリラート、グリシジルメタクリラート、(ヒドロキシエチル)アクリラート、(ヒドロキシエチル)メタクリラート、メチル2-クロロアクリラート、およびメチル2-フルオロアクリラートである。
【0051】
好ましいエポキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンチレンオキシド、ヘキシレンオキシド、へプチルエンオキシド、オクチルエンオキシド、グリシドアミド、グリシドール、スチレンオキシド、3,4-エポキシテトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド、エチル2,3-エポキシプロピオナート、メチル2-メチルグリシデート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロヘプテンオキシド、シクロオクテンオキシド、およびスチルベンオキシドである。
【0052】
好ましいオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、へプチレン、オクチレン、イソプレンスチレン、およびビニルエチレンである。
【0053】
好ましいビニルエーテルは、ジビニルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、へプチルビニルエーテル、およびオクチルビニルエーテルである。
【0054】
好ましいビニルエステルは、ビニルホルマート、酢酸ビニル、ビニルプロパノアート、ビニルブタノアート、ビニルペンタノアート、ビニルヘキサノアート、ビニルヘプタノアート、ビニルオクタノアート、ビニルノナノアート、ビニルデカノアート、ビニルアクリラート、ビニルメタクリラート、ビニルベンゾアート、ビニル4-tert-ブチルベンゾアート、ビニルシンナマート、およびビニルトリフルオロアセタートである。
【0055】
好ましいポリチオールは、2つ以上のチオール官能基を持つ有機硫黄化合物である。特に好ましいポリチオールは、以下からなるリストから選択される:HS-(C2n)-SH(ここでn=2~20、好ましくは2~12);C2n-1(SH)(ここでn=3~20、好ましくは3~12);HS-Ar-SH(ただし、Ar=置換または非置換のC-C20アリレン);およびHS-(CH-Ar-(CH-SH(ここでAr=置換または非置換のC-C20アリレン、m=1~12)。
【0056】
好ましいポリアミンは、2つ以上のアミノ官能基を持つ有機アミン化合物である。特に好ましいポリアミンは、以下からなるリストから選択される:HN-(C2n)-NH(ここでn=2~20、好ましくは2~12);HN-(C2nNH)-NH(ここでn=2~20、好ましくは2~12);C2n-1(NH、(ここでn=3~20、好ましくは3~12);HN-Ar-NH(ここでAr=置換または非置換のC-C20アリレン);およびHN-(CH-Ar-(CH-HN(ここでAr=置換または非置換のC-C20アリレン、m=1~12)。
【0057】
好ましいポリマレイミドは、US2004/0225026A1およびUS2017/0152418A1に記載されているマレイミドエンドキャップ付きポリイミドである。これらの文献は参照としてここで組み込まれている。ポリマレイミドは、以下の式(A)または式(B)で表される化合物から選択されることが好ましい。
【化26】
およびQは、非置換または置換された脂肪族、脂環式、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シロキサン、ポリ(ブタジエン-コ-アクリロニトリル)、およびポリ(アルキレンオキシド)に由来する構造からなるリストから選択され、X~Xは、それぞれ独立してHまたは炭素原子数1~6をもつアルキル基であり、およびnは0~30の範囲であり、
【化27】
およびQは、非置換または置換された脂肪族、脂環族、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シロキサン、ポリ(ブタジエン-コ-アクリロニトリル)、およびポリ(アルキレンオキシド)に由来する構造からなるリストから独立して選択され、X~Xは、それぞれ独立してHまたは炭素原子数1~6をもつアルキル基であり、RおよびRは、それぞれ独立してHまたはCHであり、少なくともRまたはRの一方はCHであり、およびnは0~30である。
【0058】
式(A)および(B)の好ましい態様において、非置換または置換された脂肪族、脂環式、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シロキサン、ポリ(ブタジエン-co-アクリロトリル)およびポリ(アルキレンオキシド)に由来する構造は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、オキソ基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換されたシクロアルキル基、複素環式基、置換された複素環式基、アリール基、置換されたアリール基、ヘテロアリール基、置換されたヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換されたアリールオキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロン基、アミノ基、アミド基、-C(O)H、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバマート基、スルホニル基、スルホンアミド基、スルファニル基、または、-C(O)-、-S-、-S(O)-、-OC(O)-O-、-NA-C(O)-、-NAC(O)-NA-、-OC(O)-NA-、(式において、Aは、Hまたは1~6個の炭素をもつアルキル基である)であり、およびそれは、1つの末端はさらに置換基を含有することが好ましい。
【0059】
好ましい置換基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、オキソ基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換されたシクロアルキル基、複素環式基、置換された複素環式基、アリール基、置換されたアリール基、ヘテロアリール基、置換されたヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換されたアリールオキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロン基、アミノ基、アミド基、-C(O)H、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバマート基、スルホニル基、スルホンアミド基、スルファニル基、または-C(O)-、-S-、-S(O)-、-OC(O)-O-、-NA-C(O)-、-NAC(O)-NA-、-OC(O)-NA-、(式において、Aは、Hまたは1~6個の炭素をもつアルキル基である)、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバマート基、スルホニル基、スルホンアミド基、またはスルファニル基である。
【0060】
式(A)および(B)のより好ましい態様において、RおよびR、およびQおよびQは、独立して、置換または非置換の脂肪族、脂環式、アルケニル、芳香族、ヘテロ芳香族、シロキサン、ポリ(ブタジエン-co-アクリロニトリル)、またはポリ(アルキレンオキシド)部分からなるリストから選択される。
好ましい脂肪族部分は、直鎖状のまたは分枝鎖状C-C50アルキレン、より好ましくは直鎖状のまたは分枝鎖状C-C36アルキレンである。
【0061】
好ましい脂環式部分は、脂肪族および環式の両方であり、置換または非置換であり、任意に縮合および/または架橋されていてもよい1つまたは複数の全炭素環を含む。好ましい脂環式部分は、3~72個のC原子、より好ましくは3~36個のC原子を有する。特に好ましい脂環式部分は、-Sp-Cy-Sp-で表され、Sp1およびSp2は、互いに独立して、1~12個のC原子を有するアルキレンまたは単結合を表し、Gは、1~12個のC原子を有するアルキルによって場合によりモノ置換またはポリ置換されていてもよい、3~12個のC原子を有するシクロアルキレンを表す。
好ましいアルケニル部分は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、約100個までの範囲のC原子を有する直鎖または分枝鎖のヒドロカルビル部分である。より好ましいアルケニル部分は、C-C50アルケニレン、最も好ましくはC-C36アルケニレンである。
【0062】
好ましい芳香族部分は、6~20個の炭素原子、より好ましくは6~14個の炭素原子を有するアリーレン基であり、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0063】
複素芳香族部分は、環構造の一部として1つ以上のヘテロ原子(例えば、N、O、Sなど)を含む芳香族部分である。好ましい複素芳香族部分は、3~20個の炭素原子、好ましくは3~14個の炭素原子、およびN、Oおよび/またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有し、それらは置換されていても置換されていなくてもよい。
好ましいシロキサン部分は、-[RSi-O]-RSi-から選択され、ここで、RおよびRは独立してHまたはC-Cアルキルであり、n=1~1000、より好ましくは1~100である。
【0064】
好ましいポリ(アルキレンオキシド)部分は、ポリ(C-C12アルキレンオキシド)部分である。
【0065】
好ましくは、本発明のビスマレイミド化合物と、配合物中でビスマレイミド化合物と反応することができる追加の化合物との間のモル比は、0.1:100~100:0.1である。
ステップ(i)のにおいて提供される配合物は実質的に溶媒フリーであることが好ましい。実質的に溶媒フリーは、ビスマレイミド化合物およびビスマレイミド化合物と反応することができる追加の化合物の総重量に基づき、配合物中の全残留溶媒の含有量が10wt.-%以下、好ましくは5wt.-%以下、より好ましくは1wt.-%以下であることを意味する。
【0066】
ステップ(i)で提供される配合物が1つ以上の無機充填剤を含むことがさらに好ましい。好ましい無機充填剤は、窒化物、チタン酸塩、ダイヤモンド、酸化物、硫化物、亜硫酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩および炭化物からなるリストから選択され、キャッピング剤で表面改質されてもよい。より好ましくは、フィラーは、AlN、Al、BN、BaTiO、B、Fe、SiO、TiO、ZrO、PbS、SiC、ダイヤモンドおよびガラス粒子からなるリストから選択され、キャッピング剤で表面改質されてもよい。
好ましくは、組成物中の無機充填材の総含有量は、組成物の総重量に基づき0.001~90wt.-%、より好ましくは0.01~70wt.-%、最も好ましくは0.01~50wt.-%の範囲にある。
好ましい実施形態では、配合物は、ステップ(i)で基板の表面に提供され、ステップ(ii)での硬化後に前記表面上に誘電性ポリマー材料を形成する。基板は、電子デバイスまたはマイクロ電子デバイスの基板であることが好ましい。
好ましくは、配合物は、ステップ(i)において、1~50μm、より好ましくは2~30μm、最も好ましくは3~15μmの平均厚さを有する層として提供される。
【0067】
ステップ(i)において組成物を塗布する方法は特に限定されない。好ましい塗布方法は、ディスペンス、浸漬、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ローラーコーティング、スプレーコーティング、スロットコーティング、スリットコーティング、スピンコーティング、グラビア印刷、フレキソ印刷またはインクジェット印刷である。
【0068】
本発明のビスマレイミド化合物は、グラビア印刷、フレキソ印刷および/またはインクジェット印刷に好適である配合物の形態で提供されてもよい。かかる配合物の調製のため、最先端技術から知られているとおりのインクベース配合物が使用されてもよい。
【0069】
代替的に、本発明のビスマレイミド化合物は、フォトリソグラフィーに好適な配合物の形態で提供されてもよい。フォトリソグラフィープロセスでは、光を使用して幾何学的パターンをフォトマスクから光硬化性組成物に転写することにより、フォトパターンの作成が可能になる。典型的には、かかる光硬化性組成物は、光化学的に活性化可能な重合開始剤を含む。かかる配合物の調製のため、最先端技術から知られているフォトレジストベース配合物が使用されてもよい。
配合物は、ステップ(ii)において、ラジカル重合もしくはイオン重合によって、または放射線への曝露によって硬化されることが好ましい。配合物がフリーラジカル重合用の開始剤またはイオン重合用の開始剤を含むことがさらに好ましい。ステップ(ii)における化合物の硬化は、高温、好ましくは25~200℃の範囲の温度、より好ましくは25~150℃の範囲の温度で行われることがさらに好ましい。
【0070】
好ましくは、ラジカル重合用の開始剤は、熱に曝露することによって熱的に活性化されるか、またはUVおよび/または可視光などの放射線に曝露することによって光化学的に活性化される。
【0071】
ラジカル重合に好ましい開始剤は、tert-アミルペルオキシベンゾアート、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイルペルオキシド、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルアセタート、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、およびカリウムペルスルファート。典型的には、かかる開始剤は、熱的に活性化され得るラジカル重合開始剤である。
【0072】
ラジカル重合のためにさらに好ましい開始剤は:アセトフェノン、p-アニシル、ベンジル(benzil)、ベンゾイル、ベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、4-ベンゾイル安息香酸、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-biイミダゾール、メチル2-ベンゾイルベンゾアート、2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、(±)-カンファキノン、2-クロロチオキサントン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、1,4-ジベンゾイルベンゼン、2-エチルアントラキノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、2-イソプロピルチオキサントン、リチウムフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィナート、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、2-イソニトロソプロピオフェノン、2-フェニル-2-(p-トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン、およびフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド。典型的には、かかる開始剤は光化学的に活性化できるラジカル重合開始剤である。
【0073】
イオン重合のために好ましい開始剤は、アルキルリチウム化合物、アルキルアミンリチウム化合物、およびチタン、ジルコニウムおよびハフニウムのペンタメチルシクロペンタジエニル(Cp)錯体である。
【0074】
イオン性重合のためにさらに好ましい開始剤は:ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ビス(4-フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、ジメチルフェナシルスルホニウムテトラフルオロボラート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、2-(3,4-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)ビニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)ビニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、(2-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、(3-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、(4-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボラート、(4-ニトロフェニル)(フェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリフェニルスルホニウム臭化物、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ-p-トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、[3-(トリフルオロメチル)フェニル](2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、および[4-(トリフルオロメチル)フェニル](2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナートである。典型的には、かかる開始剤は、光化学的に活性化されてもよいカチオン性の重合開始剤である。
【0075】
イオン性重合のためのさらに好ましい開始剤は、:アセトフェノンO-ベンゾイルオキシム、1,2-ビス(4-メトキシフェニル)-2-オキソエチルシクロヘキシルカルバマート、ニフェジピン、2-ニトロベンジルシクロヘキシルカルバマート、2-(9-オキソキサンテン2-イル)プロピオン酸1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン塩、2-(9-オキソキサンテン2-イル)プロピオン酸1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ5-エン塩、および2-(9-オキソキサンテン2-イル)プロピオン酸1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン塩である。典型的には、かかる開始剤は、光化学的に活性化されてもよいアニオン性重合開始剤である。
【0076】
放射線への曝露には、可視光および/またはUV光への曝露が含まれる。可視光は、>380~780nm、より好ましくは>380~500nmの波長を有する電磁放射線であることが好ましい。UV光は、380nm以下の波長を有する電磁放射であることが好ましく、100~380nmの波長を有することがより好ましい。より好ましくは、UV光は、315~380nmの波長を有するUV-A光、280~315nmの波長を有するUV-B光、および100~280nmの波長を有するUV-C光から選択される。
【0077】
UV光源としては水銀蒸気ランプまたはUVレーザーが可能であり、IR光源としてはセラミックエミッターまたはIRレーザーダイオードが可能であり、可視領域の光の場合はレーザーダイオードが可能である。
【0078】
好ましいUV光源は、a)たとえば254nmおよび185nmHg低圧放電ランプ、193nmArFエキシマレーザーおよび172nmXe2層などの最大255nm未満の単一波長放射線、またはb)たとえばノンドープ水銀低圧放電ランプなどの波長成分が255μm未満の広い波長分布の放射線を有する光源である。
【0079】
本発明の好ましい実施形態では、光源はキセノンフラッシュライトである。キセノンフラッシュ光は、約200nmまでの短波長成分を有する広い発光スペクトルを有することが好ましい。
【0080】
さらに、本発明による誘電性高分子材料を形成するための上述の方法によって得ることができる、または得られる誘電性高分子材料が提供される。ポリマー材料は、好ましくは線状または架橋ポリマーであり、より好ましくは線状ポリマーである。
【0081】
さらに、上で定義した式(1)または(2)のビスマレイミド化合物から誘導される少なくとも1つの繰り返し単位を含む誘電性ポリマー材料が提供される。
好ましい態様において、誘電性ポリマー材料は、式(12)または(13)で表される構造単位を含む少なくとも1つの繰り返し単位を含む:
【化28】
式中
【化29】
は単結合または二重結合を表し;および
T、X、R、R、nおよびmは式(1)および(2)のために上に言及された、または関連する好ましい、より好ましく、具体的に好ましい、または最も好ましい態様の定義のいずれか1つの意味を有する。
【0082】
好ましい態様において、誘電性ポリマー材料は、上で定義したビスマレイミド化合物と反応することができる追加の化合物に由来する追加の繰り返し単位をさらに含む。
【0083】
さらに、本発明による誘電性ポリマー材料を含む電子デバイスが提供される。電子デバイスの場合、ポリマー材料が誘電体層を形成することが好ましい。誘電体層は、電子デバイスの一部である1つまたは複数の電子コンポーネントを互いに電気的に分離するために機能する。
好ましくは、電子デバイスはマイクロ電子デバイスであり、誘電性ポリマー材料は、マイクロ電子デバイスの再配線層に再不動態化材料として含まれる。
【0084】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これは決して限定的なものとして解釈されるべきではない。当業者は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な修正、追加および変更を行うことができることを認識するであろう。
【0085】

A 構成ブロックの合成
(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレン)ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキシラート)(1)の合成
【化30】
【0086】
4,4’-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ジフェノール(5mmol)と無水トリメリット酸(TMAC、15mmol)を、ピリジンの存在下、無水アセトン中で反応させた。反応後、溶媒を除去し、得られた淡黄色固体をトルエン、続いて水で洗浄し、真空下200℃で12時間乾燥させた。粗生成物を混合溶媒(トルエン/無水酢酸、25/2、v/v)から再結晶化し、200℃で12時間真空乾燥した(総収率:50%)。
【0087】
Analytics:HNMR(500MHz、THF-d):δ=8.74(s、2H)、8.71(dd、J=7.9、1.4Hz、2H)、8.23(d、J=7.9Hz、2H)、7.90(d、J=7.5Hz、2H)、7.56(d、J=7.6Hz、2H)、7.43(td、J=7.5、1.0Hz、2H)、7.40-7.32(m、6H)、7.27-7.22(m、4H)ppm.
【0088】
2,7-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-9,9’-スピロビ[フルオレン](2)の合成
【化31】
【0089】
2,7-ジブロモ-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン](20g、42mmol)、ビス(ピナコラート)-ジボロン(25.5g、100mmol)および[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1g、1mmol)を窒素下で360mLのジオキサンに溶解し、85℃で24時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、水でクエンチし、続いてジクロロメタンを使用して抽出した(3回)。有機層をSiOで濾過し、NaSOで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を留去した。粗生成物を熱エタノールで処理し、濾過し、真空乾燥して白色粉末(19.5g、34mmol、81%)を得た。
【0090】
9,9’-スピロビ[フルオレン]-2,7-ジオール(3)の合成
【化32】
【0091】
2,7-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-9,9’-スピロビ[フルオレン](2)(19.5g、34mmol)を酢酸(35mL)とともに300mLのTHF/HO(7:1、v/v)に溶解した。過酸化水素(27mL)を滴下し、反応混合物を室温で12時間撹拌した。次いで、混合物を水(300mL)でクエンチし、MTBE(3×150mL)で抽出した。有機層を色の変化が起こらなくなるまで硫酸鉄(II)七水和物で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させ、真空乾燥した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、DCMからDCM/MTBE19:1、v/vまでの勾配)によって精製して、9.4g(25.2mmol、78%)の化合物(3)を得た。
【0092】
Analytics:HNMR(500MHz、THF-d):δ=7.85(d、J=7.7Hz、2H)、7.80(d、J=1.4Hz、2H)、7.51(dd、J=8.3、1.3Hz、2H)、7.31(t、J=7.5Hz、2H)、7.07(t、J=7.5Hz、2H)、6.73-6.65(m、4H)ppm.
【0093】
9,9’-スピロビ[フルオレン]-2,7-ジイル-ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキシラート)(4)の合成
【化33】
【0094】
9,9’-スピロビ[フルオレン]-2,7-ジオール(3)(25.2mmol、9.4g)およびTMAC(55.5mmol、11.9g)を無水THF中、ピリジン(80.7mmol、6.5mL)の存在下で反応させた。反応後、溶媒を除去し、得られた淡黄色固体をトルエン、続いて水で洗浄し、真空下200℃で12時間乾燥させた。粗生成物を混合溶媒(トルエン/無水酢酸、25/2、v/v)から再結晶化し、200℃で12時間真空乾燥した(総収率:70%)。
【0095】
Analytics:HNMR(500MHz、THF-d):δ=8.62(s、2H)、8.58(dd、J=7.9、1.4Hz、2H)、8.13(d、J=7.9Hz、2H)、8.04(d、J=8.4Hz、2H)、7.89(d、J=7.7Hz、2H)、7.43(dd、J=8.4、2.2Hz、2H)、7.40-7.34(m、2H)、7.15(td、J=7.5、1.1Hz、2H)、6.82(d、J=7.6Hz、2H)、6.67(d、J=2.1、2H)ppm。
【0096】
4,4’-((1r,3r)-アダマンタン-2,2-ジイル)diフェノール(5)の合成
【化34】
【0097】
2-アダマンタノン(40mmol、6.0g)を、窒素雰囲気下、50℃で25mLのトルエンと溶融フェノール(100mmol、9.4g)の混合物に加え、均一になるまで撹拌した。3-メルカプトプロピオン酸(3.4mmol、0.3mL)、メタンスルホン酸(3mL)およびトリフルオロメタンスルホン酸(0.3mL)を滴下し、反応混合物を50℃で12時間維持すると、その間に白色固体が沈殿した。固体を濾過し、熱水で洗浄し、エタノールから再結晶して無色の針状物を得た。収率47%。
【0098】
Analytics:HNMR(500MHz、DMSO-d):δ=9.02(s、2H)、7.20-7.15(m、4H)、6.60(d、J=7.6Hz、4H)、3.17(s、2H)、1.91(d、J=12.3Hz、4H)、1.74(s、2H)、1.68-1.62(m、6H)ppm.
【0099】
7,7’-((((1r,3r)-アダマンタン-2,2-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(ヘプタン-1-アミン)ヒドロクロリド(6)の合成
【化35】
【0100】
Tert-ブチル(7-ヒドロキシへプチル)カルバマート(31mmol、7.2g)を化合物(5)(31mmol、9.9g)とともに0℃でTHF(30mL)に溶解した。続いて、THF(50mL)中のDEAD(トルエン中40wt.-%溶液;21.1mL、46.5ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(12.2g、46.5ミリモル)の溶液を0℃で添加した。反応混合物を室温で撹拌した。24時間後、溶媒を蒸発させ、得られた粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン=1:8)によって精製した。
boc保護された中間生成物をジオキサン中の4N HCl100mLに溶解し、室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、得られた粗生成物をエタノール中で再結晶させ、16.8g(88%)を無色の固体として得た。
【0101】
Analytics:HNMR(500MHz、DMSO-d):δ=7.99(広いs)、7.30(d、J=7.6Hz、4H)、6.75(d、J=7.6Hz、4H)、3.86-3.83(m、4H)、3.22(s、2H)、2.73(m、4H)、1.90-1.87(m、4H)、1.73(s、2H)、1.68-1.65(m、12H)、1.55-1.52(m、4H)、1.36-1.29(m、12H)ppm.
B オリゴマーの合成
オリゴマー(7)の合成
【化36】
【0102】
トリエチルアミン(48.8mmol、4.9g)をp-キシレン(80mL)に溶解し、メタンスルホン酸(50.2mmol、4.8g)と注意深く混合した。混合物を室温で10分間撹拌し、続いてPriamine1075(登録商標)(13.9mmol、7.7g)および二無水物(1)(6.9mmol、5g)を添加する。
反応混合物を、ディーン・スターク装置を使用して12時間加熱還流し、次いで、室温まで冷却し、無水マレイン酸(17.4mmol、1.7g))をゆっくりと添加した。混合物をディーン・スターク装置を使用して12時間再度加熱還流した。混合物を室温まで冷却した後、さらに50mLのp-キシレンを添加した。最後に混合物をメタノール(0.4L)に滴下して、オリゴマーを沈殿させた。溶媒を除去した後、粗生成物をメタノールで2回洗浄し、真空乾燥して、10.3g(71%)の褐色ワックス状樹脂(7)を生成した。
【0103】
Analytics:GPC:M:4.9kDaPDI:1.95。HNMR(500MHz、THF-d)δ=8.51(dd、J=9.3、4.2Hz)、7.98(dd、J=8.4、3.7Hz)、7.85(d、J=7.7Hz)、7.51(d、J=7.7Hz)、7.46-7.21(m)、7.18(d、J=8.1Hz)、6.75(d、J=3.5Hz)、3.67(t、J=7.2Hz)、3.44(td、J=7.2、3.0Hz)、2.52(s)、1.68(t、J=7.2Hz)、1.60-1.51(m)、1.40(s)、1.36-1.32(m)、1.29(s)、0.88(dd、J=7.7、3.9Hz)、0.88-0.81(m)ppm.
【0104】
オリゴマー(8)の合成
【化37】
【0105】
トリエチルアミン(48.8mmol、4.9g)をp-キシレン(80mL)に溶解し、メタンスルホン酸(50.2mmol、4.8g)と注意深く混合した。混合物を室温で10分間撹拌し、続いてPriamine1075(登録商標)(14.1mmol、7.8g)および二無水物(4)(7.1mmol、5g)を添加する。
反応混合物をディーン・スターク装置を使用して12時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、無水マレイン酸(1.75g、17.6mmol)をゆっくりと添加した。混合物をディーン・スターク装置を使用して12時間再度加熱還流した。混合物を室温まで冷却した後、さらに50mLのp-キシレンを添加した。最後に混合物をメタノール(0.4L)に滴下して、オリゴマーを沈殿させた。溶媒を除去した後、粗生成物をメタノールで2回洗浄し、真空乾燥して、11g(78%)の褐色ワックス状樹脂(8)を生成した。
【0106】
Analytics:GPC:M:6.3kDa;PDI:1.80。HNMR(500MHz、THF-d)δ=8.29-8.25(m)、7.86(d、J=8.4)、7.78-7.69(m)、7.25(d、J=8.0Hz)、7.20(t、J=7.6Hz)、7.08-7.02(m)、6.98(t、J=2.1Hz)、6.70(dd、J=8.2、6.6Hz)、6.66(d、J=7.7Hz)、6.58(s)、6.51(d、J=2.1Hz)、3.49(d、J=7.4)、3.29(t、J=7.1Hz)、1.55-1.46(m)、1.44-1.35(m)、1.29-1.03(m)、0.81-0.67(m)ppm.
【0107】
オリゴマー(9)の合成
【化38】
【0108】
トリエチルアミン(50.1mmol、5.1g)をp-キシレン(75mL)に溶解し、メタンスルホン酸(51.5mmol、5.0g)と注意深く混合した。混合物を室温で10分間撹拌し、続いてPriamine1071(登録商標)(10mmol、5.5g)、ジアミン(6)(4.3mmol、2.7g)および二無水物(1)(7.1mmol、5g)を添加する。
反応混合物をディーン・スターク装置を使用して12時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、無水マレイン酸(1.75g、17.6mmol)をゆっくりと添加した。混合物をディーン・スターク装置を使用して12時間再度加熱還流した。混合物を室温まで冷却した後、さらに50mLのp-キシレンを添加した。最後に混合物をメタノール(0.4L)に滴下して、オリゴマーを沈殿させた。溶媒を除去した後、粗生成物をメタノールで2回洗浄し、真空乾燥して、13g(82%)の褐色ワックス状樹脂(9)を生成した。
【0109】
Analytics:GPC:M:3.7kDa;PDI:1.88。HNMR(500MHz、THF-d)δ=8.55-8.48(m)、7.96(td、J=7.7、7.3、3.4Hz)、7.82(dd、J=25.0、7.6Hz)、7.51(d、J=7.6Hz)、7.38(t、J=7.6Hz)、7.35-7.27(m)、7.27-7.19(m)、7.19(q、J=2.2Hz)、7.19-7.11(m)6.87(d、J=7.9Hz)、6.75(d、J=4.2Hz)、6.75-6.65(m)、3.83(q、J=6.4、5.7Hz)、3.66(q、J=6.8Hz)、3.43(qd、J=11.6、9.3、5.7Hz)、3.20(s)、2.49(s)、2.07(d、J=12.3Hz)、2.00(s)、1.71-1.64(m)、1.58-1.51(m)、1.35(s)、1.31-1.27(m)、0.88(dt、J=13.0、6.9Hz)ppm。
【0110】
オリゴマー(10)の合成
【化39】
【0111】
トリエチルアミン(60.1mmol、6.1g)をp-キシレン(80mL)に溶解し、メタンスルホン酸(61.8mmol、5.9g)と注意深く混合した。混合物を室温で10分間撹拌し、およびPriamine1071(登録商標)(12mmol、6.6g)、N-(3-アミノプロピル)-N-(3,5-ビス((2-エチルヘキシル)オキシ)フェニル)ペンタン-1,5-ジアミン塩酸塩(5.2mmol、2.9g)および二無水物(1)(8.6mmol、6g)を続いて添加した。反応混合物をディーン・スターク装置を使用して12時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、無水マレイン酸(2.1g、21.5mmol)をゆっくりと添加した。混合物をディーン・スターク装置を使用して12時間再度加熱還流した。混合物を室温まで冷却した後、さらに50mLのp-キシレンを添加した。最後に混合物をメタノール(0.4L)に滴下して、オリゴマーを沈殿させた。溶媒を除去した後、粗生成物をメタノールで2回洗浄し、真空乾燥して、12g(80%)の褐色ワックス状樹脂(10)を生成した。
【0112】
Analytics:GPC:M:3.9kDa;PDI:1.92。HNMR(500MHz、THF-d)δ=8.55-8.46(m)、8.00-7.92(m)、7.85(d、J=7.7Hz)、7.79(s)、7.51(d、J=7.2Hz)、7.45-7.36(m)、7.38-7.26(m)、7.26-7.16(m)、7.19-7.10(m)、6.86(dd、J=8.5、7.5Hz)、6.75(d、J=4.1Hz)、3.86(d、J=6.1Hz)、3.66(ddt、J=21.7、14.4、6.4Hz)、3.44(t、J=7.2Hz)、3.39(s)、2.93(s)、2.00(s)、2.00(s)、1.71-1.63(m)、1.55(s)、1.56-1.50(m)、1.47-1.41(m)、1.40-1.31(m)、1.29(s)、1.29(d、J=3.5Hz)、0.90(td、J=12.7、11.2、5.9Hz)ppm。
【0113】
C 機械的試験
動的機械解析
自立フィルムは次のように調製された。光開始剤および構造添加剤と混合されたオリゴマーの濃縮溶液がガラス基板上にスリットコーティングされる。得られたフィルムをまず室温で乾燥させ、次にホットプレート上で100℃で30分間乾燥させる。フィルムは広帯域UV露光(線量:10J/cm2)によって硬化され、最後に水に浸した後に基板から剥がされる。自立フィルムを20時間風乾する。動的機械分析(DMA)は、NetzschDMA242E機器を使用し、空気中で5℃/分の加熱速度で実行された。
【0114】
結果DMA:
(1)オリゴマー(7)を5wt.-%のIrgacureOXE-02と一緒に硬化させる。図2を参照Tg(tanδ):84.3℃。
(2)オリゴマー(7)を、構造上の添加剤として10wt.-%1,1’-(メチレンビス(2-エチル-6-メチル-4,1-フェニレン))ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)および5phrIrgacureOXE-02と一緒に硬化させる。図3を参照:T(tanδ):96.7℃.
(3)オリゴマー(8)を5wt.-%のIrgacureOXE-02と一緒に硬化させる。図4を参照:Tg(tanδ):81.4℃。
(4)オリゴマー(9)を5wt.-%のIrgacureOXE-02と一緒に硬化させる。図5を参照:Tg(tanδ):104.6℃。
(5)オリゴマー(10)を5wt.-%のIrgacureOXE-02と一緒に硬化させる。図6を参照:Tg(tanδ):79.7℃。
参考例:以下の構造を有するアダマンタン含有オリゴマー(11)(従来技術;Mn:4.8;PDI:1.95)の比較可能なDMA測定:
【化40】
【0115】
(1)オリゴマー(11)を5wt.-%のIrgacureOXE-02と一緒に硬化させる。図7を参照:Tg(tanδ):66.3℃。
(2)オリゴマー(11)を構造上の添加剤として10wt.-%1,1’-(メチレンビス(2-エチル-6-メチル-4,1-フェニレン))ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)および5phrIrgacureOXE-02と一緒に硬化させる。図8参照:T(tanδ):71.1℃。
【0116】
Dスピンコーティングの挙動
オリゴマー(7)およびオリゴマー(11)をそれぞれ、Lab-spin8スピンコーター(SussMicroTech)を使用して4インチSiウェハー(イソプロピルアルコールで洗浄)上にコーティングしました。フィルムをホットプレート上で100℃で10分間ソフトベークし、続いてUV光(UVcube2000、Honle、空気、10J/cm2、ブロードバンド)に曝露し、最後に再びホットプレートで175℃で30分間ハードベークしました。残留フィルムの厚さは、DektakXTベンチトップ表面形状計で測定された(図9を参照)。
【0117】
結論
フルオレン基に基づくカルドセグメントの導入により、アダマンタン含有誘導体と比較してガラス転移温度が約20℃高い材料が得られることが判明した。アダマンタン基の場合と同様に、カルドまたはスピロ型基がポリマーのガラス転移温度を上昇させることは知られているが(発明の背景を参照)、上昇の程度は顕著であり、本発明者らは予期していなかった。
【0118】
さらに、化合物(7)は、特により厚い膜厚に関して、参照化合物(11)と比較して、スピンコーティングによるより好ましい膜形成挙動を示した。同等の分子量および同等のサイズ分布を有するオリゴマー(Mn:それぞれ約4.8kDaおよびPDI約1.9)は粘度が異なり、これは本質的に、より高い粘度に対応して化合物(7)のより高い残留膜厚をもたらす。さまざまなパッケージ設計、特に高度なパッケージングで再分配層として使用する場合には10nmを超える膜厚が必要であるという事実を考慮すると、これは基準物質と比較してカルド/スピロ部分含有化合物の有利な特性である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】