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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】半導体製造前駆体のためのアンプル
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/448 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
C23C16/448
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534104
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 US2021061718
(87)【国際公開番号】W WO2022125382
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】17/114,798
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, カール
(72)【発明者】
【氏名】バルギーズ, モヒス
(72)【発明者】
【氏名】マーカート, デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ロメロ, ホセ アレキサンドロ
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030EA01
(57)【要約】
半導体製造前駆体のためのアンプルとその使用方法について説明する。アンプルは、注入口ポート及び排出口ポートを有する容器を含む。アンプルは、注入口ポートと空洞との間に位置する注入口プレナムと、排出口ポートと空洞との間に位置する排出口プレナムとを備える。流路は、複数の管状壁とアンプルの進入開口部によって画定され、その中をキャリアガスは前駆体と接触して流れる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造前駆体のためのアンプルであって、
前記前駆体を保持するように構成された空洞を画定する容器と、
前記容器の深さ方向に延びる通路を有する注入口ポート及び前記容器の深さ方向に延びる通路を有する排出口ポートであって、双方とも前記空洞と流体連結されている注入口ポート及び排出口ポートと、
前記注入口ポートと前記空洞との間に位置する注入口プレナムと、
前記排出口ポートと前記空洞との間に位置する排出口プレナムと、
前記前駆体を含み、フローチャネルを画定するように配置された複数の細長い壁であって、前記細長い壁の各々は進入開口部を含む、複数の細長い壁と、
前記フローチャネルと前記進入開口部とによって画定される流路であって、その中を前記前駆体と接触してキャリアガスが流れる、流路と、
を備えるアンプル。
【請求項2】
前記複数の細長い壁及び前記進入開口部は、流路が蛇行するように迷路を画定する、請求項1に記載のアンプル。
【請求項3】
前記進入開口部は、1つの進入開口部が別の進入開口部と重ならないようにオフセットされている、請求項1に記載のアンプル。
【請求項4】
前記アンプルは、単一の注入口と単一の排出口とを備える、請求項1に記載のアンプル。
【請求項5】
前記空洞と前記注入口プレナム及び排出口プレナムの双方との間に位置する分配要素を備える、請求項1に記載のアンプル。
【請求項6】
前記進入開口部の各々は、開口部サイズがリッド端縁から底壁縁まで増大するように、前記細長い壁の長さに沿って進展する、請求項1に記載のアンプル。
【請求項7】
前記複数の細長い壁は、外部の熱源からの熱を伝導するのに有効である、請求項1に記載のアンプル。
【請求項8】
前記フローチャネルは入れ子になっており、前記フローチャネルは、複数の蛇行した通路と排出口通路とを備え、その結果、前記蛇行した通路に関して、第1の進入開口部を通る流れは、前記キャリアガスを、前記蛇行した通路の第1及び第2のセクションを通って第1及び第2の方向にそれぞれ流れる第1及び第2の部分に迂回させる、請求項1に記載のアンプル。
【請求項9】
半導体製造に使用されるキャリアガスと低蒸気圧の前駆体との蒸気混合物を分注するためのアンプルであって、
底壁、側壁、及びリッドを有する容器であって、前記容器は前記前駆体を保持するように構成された空洞を画定し、その結果、前記空洞の高さ(H)が前記リッドの下面から前記底壁の上面まで広がる、容器と、
前記リッドの深さ方向の一部に延びる通路を有する単一の注入口ポート及び前記リッドの深さ方向の一部に延びる通路を有する単一の排出口ポートであって、双方とも前記空洞と流体連通している、注入口ポート及び排出口ポートと、
前記注入口ポートと前記空洞との間に位置する注入口プレナムと、
前記排出口ポートと前記空洞との間に位置する排出口プレナムと、
前記前駆体を含み、フローチャネルを画定するように配置された複数の細長い管状壁であって、細長い壁の各々は、進入開口部を含み、前記進入開口部は、1つの進入開口部が別の進入開口部と重ならないようにオフセットされている、複数の細長い管状壁と、
前記フローチャネルと前記進入開口部とによって画定される蛇行した流路であって、その中を前記前駆体と接触してキャリアガスが流れる、流路と、
を備える、アンプル。
【請求項10】
前記空洞と、前記注入口プレナム及び前記排出口プレナムの双方との間に位置し、前記側壁によって画定される、少なくとも内径の距離まで広がる分配要素を含む、請求項9に記載のアンプル。
【請求項11】
前記進入開口部の各々は、開口部サイズがリッド端縁から前記細長い壁の底壁縁まで増大するように、前記細長い壁の長さに沿って進展する、請求項9に記載のアンプル。
【請求項12】
前記複数の細長い管状壁が同心状である、請求項9に記載のアンプル。
【請求項13】
前記底壁は、前記複数の細長い管状壁と嵌合する複数の溝を備える、請求項9に記載のアンプル。
【請求項14】
前記流路の長さは、前記前駆体による前記キャリアガスの飽和に有効である、請求項9に記載のアンプル。
【請求項15】
前記複数の細長い壁は、外部の熱源からの熱を伝導するのに有効である、請求項9に記載のアンプル。
【請求項16】
前記フローチャネルは入れ子になっており、前記フローチャネルは、複数の蛇行した通路と排出口通路とを備え、その結果、前記蛇行した通路に関して、第1の進入開口部を通る流れは、前記キャリアガスを、前記蛇行した通路の第1及び第2のセクションを通って第1及び第2の方向にそれぞれ流れる第1及び第2の部分に迂回させる、請求項9に記載のアンプル。
【請求項17】
内部に低蒸気圧の前駆体を有するアンプルから前駆体の流れを提供する方法であって、
前記アンプルの深さ方向に延びる通路を有する注入口ポートと、前記アンプルの注入口プレナムとを通してキャリアガスを流すことと、
前記アンプル内の前記キャリアガスの前記流れを、複数の細長い壁及び前記細長い壁の各々の進入開口部によって画定される流路を通して、前記前駆体と接触してキャリアガスが流れるように誘導することと、
前記キャリアガスと前記前駆体を、排出口プレナムと、前記アンプルの深さ方向に延びる通路を有する排出口ポートを通して、前記アンプルの外に流すことと、
を含む方法。
【請求項18】
前記流路の長さは、前記前駆体による前記キャリアガスの飽和に有効である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アンプルのリッドと底壁とを独立に加熱することをさらに含み、前記複数の細長い壁は、外部熱源からの熱を伝導するのに有効である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記流路は、第1の進入開口部を通る流れが、前記キャリアガスを、前記通路の第1及び第2のセクションを通って第1及び第2の方向にそれぞれ流れる第1及び第2の部分に、迂回させるように、入れ子になった通路を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は概して、半導体製造前駆体用のアンプル及びそれを使用する方法に関する。具体的には、本開示は、低蒸気圧の前駆体のための蛇行した流路を提供するアンプル及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 半導体業界では、化学気相堆積(CVD)及び原子層堆積(ALD)処理において、液体又は固体の形態で提供される化学物質の種類が増加している。前駆体は、通常、単一の注入口と単一の排出口を有する閉鎖容器すなわちアンプル内にある。
【0003】
[0003] 低蒸気圧の前駆体は、アンプルから処理リアクタに蒸気を運ぶためにキャリアガスを頻繁に使用する。このような処理では、一般的に2種類のアンプルが使用される。注入口キャリアガスが前駆体に浸されたチューブに入るバブラー型と、キャリアガスがアンプル内のヘッドスペースを一掃するクロスフロー型アンプルがある。多くの場合、キャリアガスの流路は非常に短いものしかない。容器の注入口から排出口までの流路が短いため、キャリアガスが気化又は昇華した前駆体で完全に飽和するまでの容器内での滞留時間が十分に確保できない。既存のアンプル設計の中には、前駆体の表面全体にキャリアガスが均一に行き渡らないものもある。既存のアンプル設計の中には、容器全体の中で前駆体を十分に加熱できないものもある。他の多くの固体ソースアンプルは、前駆体のダストが下流に移動して制御バルブの性能を低下させたり、ウエハ上の粒子の問題を引き起こしたりしないようにする手段を備えていない。
【0004】
[0004] 当技術分野には、アンプル、特にクロスフロー型アンプルが、キャリアガスを前駆体で飽和又はほぼ飽和させ、前駆体の一貫した送達を提供するのに十分な流路を有する、アンプル及びその製造方法並びに使用方法に関するニーズがある。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 1つ又は複数の実施形態は、半導体製造前駆体用のアンプルを対象としている。アンプルは、前駆体を保持するように構成された空洞を画定する容器を含む。注入口ポート及び排出口ポートは、いずれも空洞と流体連結している。アンプルは、注入口ポートと空洞との間に位置する注入口プレナムと、排出口ポートと空洞との間に位置する排出口プレナムと、を含む。複数の細長い壁は前駆体を含み、壁がフローチャネルを画定するように配置される。細長い壁の各々は、進入開口部を含む。流路は、フローチャネルと進入開口部によって画定され、その中をキャリアガスは前駆体と接触して流れる。
【0006】
[0006] 本開示の追加の実施形態は、半導体製造において使用されるキャリアガスと低蒸気圧の前駆体との蒸気混合物を分注するためのアンプルを対象とする。アンプルは、底壁、側壁、及びリッドを有する容器であって、前駆体を保持するように構成された空洞を画定する容器を備え、その結果、空洞の高さ(H)は、リッドの下面から底壁の上面まで広がる。単一の注入口ポート及び単一の排出口ポートは、いずれも空洞と流体連通している。アンプルは、注入口ポートと空洞との間に位置する注入口プレナムと、排出口ポートと空洞との間に位置する排出口プレナムと、を含む。フローチャネルを画定するように配置された前駆体を含む複数の細長い管状壁であって、細長い壁の各々は、進入開口部を含み、進入開口部は、1つの進入開口部が別の進入開口部と重ならないようにオフセットされる、複数の細長い管状壁。フローチャネルと進入開口部とによって画定される蛇行した流路であって、その中をキャリアガスは前駆体と接触して流れる、流路。
【0007】
[0007] 本開示のさらなる実施形態は、前駆体の流れを提供する方法を対象としている。この方法は、内部に低蒸気圧の前駆体を有するアンプルの注入口ポート及び注入口プレナムを通してキャリアガスを流すこと、を含む。キャリアガスの流れは、複数の細長い壁と、細長い壁の各々の進入開口部とによって画定される流路を通って、アンプル内に導かれ、前駆体と接触する。キャリアガスと前駆体は、排出口プレナムと排出口ポートを介してアンプルから流出する。
【0008】
[0008] 本発明の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約された本開示のより詳細な説明を、実施形態を参照することによって得ることができる。実施形態の一部は、添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、本発明が他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、添付の図面が本発明の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】一実施形態による、「外側から内側への流れ」構成を有するアンプル及び付随するマニホールドの概略図を示す。
図1B】別の実施形態による、「内側から外側への流れ」構成を有するアンプル及び付随するマニホールドの概略図を示す。
図2】1つ又は複数の実施形態による、図1Aの断面図を示す。
図3】1つ又は複数の実施形態による、流れの注釈を有する図1A及び図2に従ったアンプルの管状壁の上面斜視図を示す。
図4図2のアンプル及びマニホールドの一部の斜視断面図を示す。
図5】一実施形態によるアンプルの底壁の模式図を示す。
図6】1つ又は複数の実施形態による、図1Bのアンプル及びマニホールドの一部の斜視断面図を示す。
図7】1つ又は複数の実施形態による、流れの注釈を有する図1B及び図6に従ったアンプルの管状壁の上面透視図を示す。
図8】1つ又は複数の実施形態による、例示的な管状壁の側面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0018] 添付の図面では、類似の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照符号を有しうる。さらに、同じ種類の様々な構成要素は、参照符号の後にダッシュを付けること、及び、類似の構成要素同士を区別する第2符号によって、区別されうる。本明細書において第1参照符号のみが使用される場合、その説明は、第2参照符号に関わりなく、同じ第1参照符号を有する類似の構成要素のうちの任意の1つに適用可能である。図中の構成要素のクロスハッチの濃淡は、異なる部品の視覚化を補助するためのものであり、必ずしも異なる材料構造を示すものではない。
【0011】
[0019] 本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明は下記の説明において明記される構成又は処理のステップの詳細事項に限定されないことを、理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ、様々な方法で実施又は実行されうる。
【0012】
[0020] 本開示のいくつかの実施形態は、低蒸気圧の前駆体、例えば、液体及び/又は固体ソース前駆体の送達のために、アンプルの注入口から排出口までキャリアガスの長い流路を有利に提供する。低蒸気圧の前駆体は、大気条件下で容易に気化しない材料を指すものと理解される。低蒸気圧の前駆体は、典型的には10Torr未満、より典型的には1Torr未満の蒸気圧を有する。用途によっては、アンプルから反応器に低蒸気圧の材料を送るためにキャリアガスが使用されることもある。蒸気圧の低い材料は、通常、蒸気圧を上げるために熱を加える必要がある。例示的な前駆体の非限定的なリストには、ZrCl、Y(EtCP)、HfCl、WCl、MoCl、In(CH、及び液体インジウム・ハフニウムが含まれる。
【0013】
[0021] 長い距離を有する流路は、キャリアガスが、気化及び/又は昇華、及び/又は飛沫同伴された(entrained)前駆体によって、部分的な飽和状態から、ほぼ飽和状態または完全な飽和状態になるのに十分な滞留時間を与える。本明細書において「飽和した」という表現は、飽和の程度が様々であることを許容する。
【0014】
[0022] 本明細書の実施形態は、前駆体の効果的な均一加熱を提供する方法を含む、大容量アンプル中の低蒸気圧前駆体を加熱する方法も提供する。いくつかの具体的な実施形態では、固体前駆体ダストを含む低蒸気圧の前駆体を容器の空洞内に有利に保持し、制御バルブの上流又は下流に移動させないようにする。いくつかの実施形態は、前駆体の一様でない減少を有利に制御する。いくつかの実施形態は、有利には、前駆体の全表面に沿ってキャリアガスの均一な分布を提供する。本明細書の実施形態は、前駆体の改善された用量を提供する。本明細書で提供される設計は、他の設計よりも小さな接地面積で高容量(体積)のアンプルを提供することができる。本明細書の設計は、洗浄や再充填が容易である。本明細書の設計は、10~20キログラムまでの前駆体容量(charges)を収容することができる。
【0015】
[0023] いくつかの実施形態では、アンプルは、流路が蛇行するような迷路を画定する複数の細長い壁を含む。有利なことに、1つ又は複数の実施形態は、その距離が、一般的なアンプル、特に固体ソース昇華容器で見られる距離よりも5~10倍長くなりうる流路を提供する。
【0016】
[0024] アンプルは、前駆体を保持するように構成された空洞を画定する容器と、双方とも空洞と流体連通している注入口ポート及び排出口ポートと、各々が注入口ポート又は排出口ポートと空洞との間に位置する注入口プレナム及び排出口プレナムと、フローチャネルを画定するように配置された前駆体を含む複数の細長い壁であって、それぞれが進入開口部を構成する、複数の細長い壁と、を備える。流路は、フローチャネルと進入開口部によって画定され、その中をキャリアガスは前駆体と接触して流れる。1つ又は複数の実施形態では、流路は最外周のチャネルから最内周のチャネルに移動し、これは「外側から内側の流れ」構成と称されることがある。1つ又は複数の実施形態では、流路は最内周のチャネルから最外周のチャネルに移動し、これは「内側から外側への流れ」構成と称されることがある。
【0017】
[0025] 一般的に、本明細書で提供される流路は、キャリアガスを一連の細長い壁の周りを流れるように強制する。この壁は、1つ又は複数の特定の実施形態において、フローチャネルを画定する入れ子になった同心状の管であり、各々が固体前駆体の容量を含む。ガス流は、排出口ポートと連通する最後のフローチャネルに到達するまで、フローチャネルからフローチャネルへと方向を変える。この方向転換により、気化及び/又は昇華した前駆体とキャリアガスとの混合が促進される。進入開口部は、キャリアガスが次のフローチャネルに流れ込むことを可能にする。本明細書におけるガス流についての言及は、キャリアガス単独、或いは、飛沫同伴及び/又は気化及び/又は昇華した前駆体との組合せを含む。本明細書に記載の流路は、例えば、図3又は図6に関して、その間のフローチャネルを画定するように構成された進入開口部を有する一連の細長い壁、管又はその他が、望ましい流路をもたらすことが理解される。好ましくは、フローチャネルがバイパスされないように、進入開口部はオフセットされている。
【0018】
[0026] 図1Aは、実施形態による「外側から内側への流れ」構成を有するアンプル及び付随するマニホールドの概略図である。アンプル100及びマニホールド102は、試薬及び前駆体を含む半導体製造材料に使用するのに適している。「前駆体」という用語は、アンプル100の内容物を説明するために使用され、プロセス環境に流入するあらゆる試薬を意味する。
【0019】
[0027] アンプル100は、底壁112、側壁114、及びリッド116を有する容器110を含む。注入口ポート120及び排出口ポート130は、容器110の内壁によって画定される空洞と流体連通している。注入口ポート120は、一般的に、適切な配管及び弁(複数可)によってガス源「G」への接続を可能にするように構成され、適切なねじ式又はシール式の接続部を有することができる。1つ又は複数の実施形態では、ガス源「G」はキャリアガスであり、1つ又は複数の実施形態では、キャリアガスは不活性である。また、排出口ポート130は、空洞と流体連通している。排出口ポート130は、一般的に、容器110から出て同伴粒子を含みうるガスの流れを処理チャンバ(又は他の構成要素)「P」に流すために、適切な配管及び弁(複数可)を含むラインに接続できるように構成される。排出口ポート130は、ガスラインを接続できるように、溶接された接続部又はねじ式接続部を有してもよい。
【0020】
[0028] 容器110によって画定される空洞の高さ(H)は、リッド116の下面から底壁112の上面まで広がる。
【0021】
[0029] 図1Aの断面図を示す図2の実施形態に目を向けると、アンプルは、単一の注入口ポート120と単一の排出口ポート130とを備える。図2の実施形態では、注入口ポートと排出口ポートがそれぞれ1つずつ描かれているが、特定の用途が必要とする場合には、複数の注入口ポートと排出口ポートが存在してもよい。注入口と排出口の位置を入れ替えることで、他の設計に適応することも可能である。
【0022】
[0030] 図4は、図2のアンプル及びマニホールドの一部の斜視断面図を示し、図5は、一実施形態のアンプルの底壁の概略図を示す。
【0023】
[0031] 図2及び図4を参照すると、注入口ポート120は、リッド116の深さ方向の一部に延びる、通路121の断面幅を画定する内径を有する通路121を有する。通路121は、注入口ポートプレナム122と流体連通している。注入口ポートプレナム122は、供給源「G」からの流入キャリアガスの容積を収容するように設計されており、このキャリアガスは次に、一般的に、118で示される空洞に流入する。注入口ポートプレナム122は、流入キャリアガスの流れを制限しないようなサイズに設定される。注入口ポートプレナム122は、流入するフローラインを収容するように位置決め、及び/又は、サイズ設定されてもよい。
【0024】
[0032] 排出口ポート130は、リッド116の深さ方向の一部に延びる通路131の断面幅を画定する内径を有する通路131を有する。通路131は、排出口ポートプレナム132と流体連通している。排出口ポートプレナム132は、飛沫同伴され、及び/又は、飽和して流出するキャリアガスの容積を収容するように設計されており、このキャリアガスは次に、アンプルから下流の処理チャンバ「P」に流出する。排出口ポートプレナム132は、飛沫同伴され、及び/又は、飽和して流出するキャリアガスの流れを制限しないようなサイズに設定される。排出口ポートプレナム132は、流出するフローラインを収容するように位置決め、及び/又は、サイズ設定されてもよい。
【0025】
[0033] 本実施形態に関して具体的に説明すると、空洞118は、複数の細長い壁126a~126dによって画定される複数のフローチャネル124a~124eによって構成される。細長い壁126a~126dはそれぞれ、壁126aの進入開口部128a、壁126bの進入開口部128b、壁126cの進入開口部128c、壁126dの進入開口部128dなどの進入開口部を備える。進入開口部は、1つの進入開口部が別の進入開口部と重ならないように、オフセットされている。
【0026】
[0034] 図2及び図4図5を参照すると、この実施形態では、底縁又はリムにおける複数の細長い壁126a~126dは、底壁112の上面における対応する溝113a~113d内に存在するか又はそれと嵌合する。リッド116の下面には、オプションにより、複数の溝117a~117dが存在する。1つ又は複数の実施形態では、分配要素134がない場合、上端又はリムにおける複数の細長い壁126a~126dは、対応する溝117a~117dに存在するか又はそれと嵌合しうる。細長い壁126a~126dは、底壁116に延び、またリッド112に向かって、オプションにより、リッド112の中へ延びる空洞の高さにまで広がっている。細長い壁は、1つ又は複数の外部ソースからの熱を伝導するのに有効である。
【0027】
[0035] 細長い壁のリッドと上縁との間に挟まれた分配要素134がオプションにより存在する。分配要素134は、空洞118と、注入口プレナム122及び排出口プレナム132の双方との間に配置される。すなわち、注入口プレナム122を出た流れは、空洞118に入る前に分配要素134を通過し、空洞118を出た流れは、排出口プレナム132に入る前に分配要素134を通過する。
【0028】
[0036] 分配要素は、以下の特徴、すなわち、前駆体への長期間の曝露に耐えること、前駆体の効果的な送達を妨げる圧力低下を誘導しないこと、注入口及び排出口装置の双方を保護するために前駆体の微粒子及び/又は液滴がアンプルから出るのを抑制及び/又は防止するポアサイズ、細長い壁の端部と空洞の内径との間をわずかに密閉することができる柔軟性、のうちの1つ又は複数を提供する、適切な材料又は構成又は寸法又は媒体グレードになりうる。1つ又は複数の実施形態では、分配要素は、フィルタ媒体の多孔質ディスクである。1つ又は複数の実施形態では、分配要素は、焼結された多孔質ステンレス鋼材である。分配要素の非限定的で例示的な多孔性は、平均ポアサイズで測定すると、0.1μm以上から100μm未満まで、その間のすべての値及び部分的な範囲になりうる。
【0029】
[0037] さらに、分配要素の下面と細長い壁の上縁との間には、オプションによりシムが存在する。シムについては、図6のシム236に関してより詳細に説明する。
【0030】
[0038] いくつかの実施形態では、アンプル100は、細長い壁126a~126dによって画定されるフローチャネルに存在する、空洞118内の低蒸気圧材料150を含む。空洞118内の材料の上方、及びリッドの下面より下方の空間は、アンプル100のヘッドスペースと称される。分配要素134が存在する場合には、アンプル内のヘッドスペースに配置される。材料150は、半導体製造プロセスで使用するための前駆体であってもよい。1つ又は複数の実施形態では、低蒸気圧の材料は固体である。
【0031】
[0039] いくつかの実施形態では、図2に示すように、リッド116は、底壁112及び側壁114とは別の構成要素である。リッド116は、適切な形状の開口部を介して取り外し可能なボルトを用いて容器110の側壁114に接続することができ、ねじ式ボルトを容易に接続できるようにねじ部を有していてもよい。ボルトを取り外すことで、リッド116を容器110から取り外して、容器110内の前駆体150を変更又は追加することができる。
【0032】
[0040] リッドは、外部ヒーターと往復するための1つ又は複数の外部表面特徴をさらに含みうる。底壁は、外部ヒーターと往復するように構成されていてもよい。1つ又は複数のジャケットヒーターが、側壁の周囲に設けられてもよい。
【0033】
[0041] 第1のシール152は、側壁114の上面とリッド116の下面との間に位置し、流体密封シールを形成する。第2のシール154は、底壁112の上部と側壁114の下面との間に位置し、流体密封シールを形成する。いくつかの実施形態では、第1のシール152及び第2のシール154は、独立したOリングである。
【0034】
[0042] いくつかの実施形態(図示せず)では、リッド116は、容器110の側壁114及び底壁112と一体的に形成することができる。
【0035】
[0043] アンプル100を処理チャンバに追加することを可能にするため、異なるマニホールド構成をリッド116に接続することができる。いくつかの実施形態では、注入口ライン170が注入口ポート120に接続される。注入口バルブ172は、ガス源「G」と注入口ポート120との間の注入口ライン170上に配置されうる。注入口バルブ172は、リッド116と一体的に形成することが可能で、別個の構成要素としてリッド116に接続することもできる。排出口ポート130には、排出口ライン180を接続することができる。いくつかの実施形態の排出口ライン180は、排出口ポート130と処理チャンバ「P」との間に位置する排出口バルブ182を含む。注入口バルブ172及び排出口バルブ182は、空洞118の内容物が容器110の外部の環境から隔離されるように、アンプル100を隔離するために使用することができる。いくつかの実施形態では、注入口ライン170(例えば、174)及び/又は排出口ライン180(例えば、184)及び/又はその中間(例えば、190)に沿って複数のバルブが存在する。バルブは、手動バルブ又は空気圧バルブになりうる。
【0036】
[0044] 図3は、1つ又は複数の実施形態に従った流れの注釈を有するアンプルの細長い壁126a~126dの上面斜視図を示す。1つ又は複数の実施形態では、細長い壁126a~126dは、一連のフローチャネル124a~124eを画定する細長い管状壁を含む。図3に描かれているように、1つ又は複数の実施形態では、細長い壁126a~126dは、同心の管状である。壁の相対的な位置は、例えば、所望の物質(matter)における前駆体の減少に有利に働くように調整することができる。1つ又は複数の実施形態では、壁間の環状距離は変化する。入手が容易な管を入れ子にすることで作られた管状の細長い壁を使用することで、組み立てが容易になり、アンプルのコストを下げることができる。
【0037】
[0045] キャリアガス流は、図2に関して説明したように、注入口ポート120から注入口プレナム122を経由してアンプル100に入る。キャリアガスは、側壁114(図4に示す)と細長い壁126aとによって画定されるフローチャネル124aに入り、前駆体150に接触し、それによってキャリアガスが前駆体の容積の表面上を通過する際に前駆体を飛沫同伴及び/又は気化する。次に、流れは細長い壁126aの進入開口部128aを通って進み、その時点でキャリアガスはフローチャネル124bに入り、進入開口部128aの反対側の細長い壁126bの表面は、フローチャネル124bを通って矢印B1及びB2によって描かれる2方向に流れを誘導する。フローチャネル124b内にある間、キャリアガスは前駆体150に接触し続け、飽和状態となる。同様に、流れは次に細長い壁126bの進入開口部128bを通って進み、その時点でキャリアガスはフローチャネル124cに入り、細長い壁126cの表面は、フローチャネル124cを通って矢印C1及びC2によって描かれる2方向に流れを誘導する。フローチャネル124c内にある間、キャリアガスは前駆体150に接触し続け、飽和状態となる。同様に、流れは次に細長い壁126cの進入開口部128cを通って進み、その時点でキャリアガスはフローチャネル124dに入り、細長い壁126dの表面は、フローチャネル124dを通って矢印D1及びD2によって描かれる2方向に流れを誘導する。フローチャネル124d内にある間、キャリアガスは前駆体150に接触し続け、飽和状態となる。最後に、流れは細長い壁126dの進入開口部128dを通って進み、その時点でキャリアガスは、矢印E1及びE2によって描かれたフローチャネル124eに入り、排出口プレナム132及び排出口ポート130を通ってアンプルから出る。フローチャネル124e内にある間、キャリアガスは前駆体150に接触し続け、飽和状態となる。
【0038】
[0046] したがって、フローチャネル124a~124eは、複数の蛇行した通路(124a、124b、124c、124d)及び排出口通路(124e)含んで入れ子になっており、蛇行した通路に関して、第1の進入開口部(128a、128b、128c)を通る流れが、蛇行した通路の第1及びセクションを通る第1及び第2方向(例えばB1及びB2、C1及びC2並びにD1及びD2)にそれぞれ流れる第1及び第2の部分へキャリアガスを迂回させる。
【0039】
[0047] 図1Bは、実施形態による「内側から外側への流れ」構成を有するアンプル及び付随するマニホールドの概略図を示す。アンプル200及びマニホールド202は、試薬及び前駆体を含む半導体製造材料に使用するのに適している。「前駆体」という用語は、アンプル200の内容物を説明するために使用され、処理環境に流入するあらゆる試薬を意味する。
【0040】
[0048] アンプル200は、底壁212、側壁214、及びリッド216を有する容器210を含む。注入口ポート220及び排出口ポート230は、容器210の内壁によって画定される空洞と流体連通している。注入口ポート220は、一般的に、適切な配管及び弁(複数可)によってガス源「G」への接続を可能にするように構成され、適切なねじ式又はシール式の接続部を有することができる。1つ又は複数の実施形態では、ガス源「G」はキャリアガスであり、1つ又は複数の実施形態では、キャリアガスは不活性である。また、排出口ポート230は、空洞と流体連通している。排出口ポート230は、一般的に、容器210から出て飛沫同伴された粒子を含みうるガスの流れを処理チャンバ(又は他の構成要素)「P」に流すために、適切な配管及び弁(複数可)を含むラインに接続できるように構成される。排出口ポート230は、ガスラインを接続できるように、溶接された接続部又はねじ式接続部を有してもよい。
【0041】
[0049] 容器210によって画定される空洞の高さ(H)は、リッド216の下面から底壁212の上面まで広がる。
【0042】
[0050] 図1Bのアンプル及びマニホールドの一部の斜視断面を示す図6の実施形態に注目すると、アンプルは、単一の注入口ポート220及び単一の排出口ポート230を備える。図6の実施形態では、注入口ポートと排出口ポートがそれぞれ1つずつ描かれているが、特定の用途が必要とする場合には、複数の注入口ポートと排出口ポートが存在してもよい。注入口と排出口の位置を入れ替えることで、他の設計に適応することも可能である。
【0043】
[0051] 図6を参照すると、注入口ポート220は、リッド116の深さ方向の一部に延びる、通路221の断面幅を画定する内径を有する通路221を有する。通路121は、注入口ポートプレナム222と流体連通している。注入口ポートプレナム222は、供給源「G」からの流入キャリアガスの容積を収容するように設計されており、このキャリアガスは次に、一般的に218として示される空洞に流入する。注入口ポートプレナム222は、流入キャリアガスの流れを制限しないようなサイズに設定される。注入口ポートプレナム222は、流入するフローラインを収容するように位置決め、及び/又は、サイズ設定されてもよい。
【0044】
[0052] 排出口ポート230は、リッド216の深さ方向の一部に延びる通路231の断面幅を画定する内径を有する通路231を有する。通路231は、排出口ポートプレナム232と流体連通している。排出口ポートプレナム232は、飛沫同伴され、及び/又は、飽和して流出するキャリアガスの容積を収容するように設計されており、このキャリアガスは次に、アンプルから下流の処理チャンバ「P」に流出する。排出口ポートプレナム232は、飛沫同伴され、及び/又は、飽和して流出するキャリアガスの流れを制限しないようなサイズに設定される。排出口ポートプレナム232は、流出するフローラインを収容するように位置決め、及び/又は、サイズ設定されてもよい。
【0045】
[0053] 本実施形態に関して具体的に説明すると、空洞218は、複数の細長い壁226a~226dによって画定される複数のフローチャネル224a~224eによって構成される。細長い壁226a~226dはそれぞれ、壁226aの進入開口部228a、壁226bの進入開口部228b、壁226cの進入開口部228c、壁226dの進入開口部228dなどの進入開口部を備える。進入開口部は、1つの進入開口部が別の進入開口部と重ならないように、オフセットされている。
【0046】
[0054] 1つ又は複数の実施形態では、底縁又はリムにおける複数の細長い壁226a~226dは、底壁212の上面における対応する溝(図6に示されていないが、113a~113dに類似する)に存在するか又はそれと嵌合することがある。本実施形態では、リッド216の下面には、溝がない。細長い壁226a~226dは、底壁216に延び、リッド212に向かって、空洞の高さまで広がっている。細長い壁は、1つ又は複数の外部ソースからの熱を伝導するのに有効である。
【0047】
[0055] 図2及び図4の分配要素134に関して特徴付けられるような分配要素234は、オプションにより、リッドと細長い壁の上縁との間に挟まれて存在する。分配要素234は、空洞218と、注入口プレナム222及び排出口プレナム232の双方との間に配置される。すなわち、注入口プレナム222を出た流れは、空洞218に入る前に分配要素234を通過し、空洞218を出た流れは、排出口プレナム232に入る前に分配要素234を通過する。
【0048】
[0056] 図6の実施形態では、シム236が、分配要素の下面と細長い壁の上縁との間に配置される。シムは、流れを制限しないために、フローチャネル224a及び224eに対応する開口部を有する。シムは、例えば、アルミニウムなどの軟質金属や、柔軟な高分子材料又はエラストマー材料など、軟質で適合性のある材料である。シムは、分配要素234に支持力を与える。
【0049】
[0057] いくつかの実施形態では、アンプル200は、細長い壁226a~226dによって画定されたフローチャネルに存在する、空洞218内の低蒸気圧材料を含む。空洞218内の材料の上方、及びリッドの下面より下方の空間は、アンプル200のヘッドスペースと称される。分配要素234が存在する場合には、アンプル内のヘッドスペースに配置される。材料は、半導体製造プロセスで使用するための前駆体であってもよい。1つ又は複数の実施形態では、低蒸気圧の材料は固体である。
【0050】
[0058] いくつかの実施形態では、図6に示すように、リッド216は、底壁(例えば、図1Aの212)及び側壁214とは別の構成要素である。リッド216は、適切な形状の開口部を介して取り外し可能なボルトを用いて容器の側壁214に接続することができ、ねじ式ボルトを容易に接続できるようにねじ部を有していてもよい。容器内の前駆体を変更又は追加できるように、ボルトを取り外してリッド216を容器から取り外すことができる。
【0051】
[0059] リッドは、外部ヒーターと往復するための1つ又は複数の外部表面特徴をさらに含みうる。底壁は、外部ヒーターと往復するように構成されていてもよい。1つ又は複数のジャケットヒーターが、側壁の周囲に設けられてもよい。
【0052】
[0060] 第1のシール252は、側壁214の上面とリッド216の下面との間に位置し、流体密封シールを形成する。底壁の上部と側壁の下面との間には、流体密封シールを形成するための第2のシールが配置されている。いくつかの実施形態では、第1のシール252及び第2のシールは、独立したOリングである。
【0053】
[0061] いくつかの実施形態(図示せず)では、リッド216は、容器の側壁214及び底壁と一体的に形成することができる。
【0054】
[0062] 図2に関して議論したように、アンプル200を処理チャンバに追加することが可能となるように、異なるマニホールド構成をリッド216に接続することができる。
【0055】
[0063] 図7は、1つ又は複数の実施形態による流れの注釈を有するアンプルの細長い壁226a~226dの上面斜視図を示す。1つ又は複数の実施形態では、細長い壁226a~226dは、一連のフローチャネル224a~224eを画定する細長い管状壁を含む。図7に描かれているように、1つ又は複数の実施形態では、細長い壁226a~226dは、同心の管状である。壁の相対的な位置は、例えば、所望の物質における前駆体の減少に有利に働くように調整することができる。1つ又は複数の実施形態では、壁間の環状距離は変化する。入手が容易な管を入れ子にすることで作られた管状の細長い壁を使用することで、組み立てが容易になり、アンプルのコストを下げることができる。
【0056】
[0064] キャリアガス流は、図6に関して説明したように、注入口ポート220から注入口プレナム222を経由してアンプル200に入る。キャリアガスは、細長い壁226dによって画定されたフローチャネル224eに入り、前駆体に接触し、それによってキャリアガスが前駆体の容積の表面上を通過する際に前駆体を飛沫同伴及び/又は気化する。次に、流れは、細長い壁226dの進入開口部228dを通って進み、その時点でキャリアガスはフローチャネル224dに入り、進入開口部228dの反対側の細長い壁226cの表面は、フローチャネル224dを通って矢印F1及びF2によって描かれる2つの方向に流れを誘導する。フローチャネル224d内にある間、キャリアガスは前駆体に接触し続け、飽和状態となる。同様に、流れは次に細長い壁226cの進入開口部228cを通って進み、その時点でキャリアガスはフローチャネル224cに入り、細長い壁226bの表面は、フローチャネル224cを通って矢印G1及びG2によって描かれる2方向に流れを誘導する。フローチャネル224c内にある間、キャリアガスは前駆体に接触し続け、飽和状態となる。同様に、流れは次に細長い壁226bの進入開口部228bを通って進み、その時点でキャリアガスはフローチャネル224bに入り、細長い壁226aの表面は、フローチャネル224bを通って矢印H1及びH2によって描かれる2方向に流れを誘導する。フローチャネル224b内にある間、キャリアガスは前駆体に接触し続け、飽和状態となる。最後に、流れは次に、細長い壁226aの進入開口部228aを通って進み、その時点で、キャリアガスは、矢印I1及びI2によって描かれる、側壁214(図6に示す)及び細長い壁226aによって画定されるフローチャネル224aに入って、排出口プレナム132及び排出口ポート130を通ってアンプルから出る。フローチャネル224aにある間、キャリアガスは前駆体に接触し続け、飽和状態となる。
【0057】
[0065] したがって、フローチャネル224a~224eは、複数の蛇行した通路(224e、224d、224c、224b)及び排出口通路(224a)を含んで入れ子になっており、蛇行した通路に関して、第1の進入開口部(228d、228c、228b)を通る流れは、キャリアガスを、蛇行した通路の第1及び第2のセクションを通る第1及び第2の方向(例えば、F1とF2、G1とG2、H1とH2)にそれぞれ流れる第1及び第2の方向に迂回させる。
【0058】
[0066] 1つ又は複数の実施形態によれば、任意の実施形態の進入開口部は、キャリアガスが1つのフローチャネルから別のフローチャネルに流れることを可能にするのに適している。進入開口部は、細長い壁に沿って、飛沫同伴された、及び/又は飽和したキャリアガスの流れを収容するために、任意の適切な形状及び/又は構成及び/又は位置をとることができる。進入開口部は、容器の全長にまで広がってもよいし、長さを変えてもよい。進入開口部のフィーチャは、複数の孔、テーパースロット、又は他の形状でありうる。1つ又は複数の実施形態では、進入開口部は、容器の長手方向の距離に沿ってキャリアガスのコンダクタンスが変化するようにサイズ及び形状が決定される。1つ又は複数の実施例では、リッドからアンプルの底壁へのコンダクタンスを高めるために、進入開口部(複数可)のサイズが大きくなる。図8は、細長い壁の長さに沿って進展し、リッド端縁330から底壁縁332までサイズが大きくなり、リッドからアンプルの底壁に向かってコンダクタンスを高める楔形進入開口部328を含む、例示的な管状壁326の側面斜視図である。
【0059】
[0067] 1つ又は複数の実施形態では、進入開口部は、リッドの近くの細長い壁の上端部に位置するノッチである。1つ又は複数の実施形態では、進入開口部の各々は、その間のすべての値及び部分的な範囲を含む、壁の長さの1~5%以上から100%以下の長手方向の距離まで広がる。
【0060】
[0068] 1つ又は複数の実施形態では、進入開口部は、各壁の長さに沿って間隔をあけて配置された各壁の複数の孔である。1つ又は複数の実施形態では、各壁の長さに沿って間隔をあけて配置された複数の穴は、リッド端縁から底壁縁までサイズが増大する。
【0061】
[0069] 1つ又は複数の実施形態によれば、アンプルが最小量の前駆体を含むとき、これはアンプル内の特定の前駆体とその物理的特性に依存しうるが、キャリアガスは流路距離にわたって完全に飽和状態になると予想される。使用中にアンプル内の前駆体レベルの量が減少すると、飽和度が低下する場合がある。飽和は、充填レベルの関数として変化しうる。
【0062】
[0070] 図2図3の5つのフローチャネルの存在は限定的なものではなく、チャネルの数は、空間的制約及び/又は前駆体特性及び/又は設計上の必要性に基づいて選択されうることが理解される。
【0063】
[0071] いくつかの実施形態では、入口ポート120を通り、流路に沿ったガス流は、泡立てることを必要とせずに、前駆体を飛沫同伴、及び/又は、気化及び/又は昇華させるのに十分である。ガス流は、十分な接触を維持するために、前駆体150のレベルが低下するにつれて、処理中に調整することができる。いくつかの実施形態のガス流は、排出口ポート130における前駆体150の凝縮を防止するのに十分な熱源との組み合わせで、最大速度を有する。
【0064】
[0072] 熱電対、マスフローメータ、及び圧力計は、処理条件を監視するために、本明細書に示される機器に含まれていてもよい。1つ又は複数の実施形態では、注入口ポートへのガス流を監視するためにマスフローメータが提供される。1つ又は複数の実施形態では、熱電対がリッドに設置される。1つ又は複数の実施形態では、圧力計は、注入口ライン及び/又は排出口ラインの上に設けられる。いくつかの実施形態によるアンプル内の圧力範囲は、25torr以上から150torr以下である。
【0065】
[0073] 本明細書全体を通じて「一実施形態(one embodiment)」、「ある種の実施形態(certain embodiments)」、「1つ又は複数の実施形態(one or more embodiments)」、又は、「実施形態(an embodiment)」に対する言及は、その実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所での「1つ又は複数の実施形態で(in one or more embodiments)」、「ある種の実施形態で(in certain embodiments)」、又は「一実施形態で(in an embodiment)」などの文言の表出は、必ずしも、本発明の同一の実施形態に言及するものではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、任意の好適な様態で組み合わされうる。
【0066】
[0074] 本発明は、特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は本発明の原理及び用途の例示に過ぎないことを理解されたい。本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の方法及び装置に様々な改変及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物に含まれる改変及び変形を含むことが意図されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】