(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】モニタリングデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/172 20060101AFI20231212BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20231212BHJP
【FI】
A61M5/172 500
G16H20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528977
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2021081765
(87)【国際公開番号】W WO2022106381
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ヴィット
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066HH01
4C066QQ62
4C066QQ64
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ92
5L099AA25
(57)【要約】
モバイルデバイスが、メモリおよび処理装置を含む。このメモリは、処理装置によって実行されたとき、デバイスに、注射デバイスによって放出された以前の用量を含む用量情報を受信させ;受信したウェルビーイングデータに基づいて、患者のウェルビーイングの測定値を決定させ;フィットネス追跡デバイスから受信した生理学的データに基づく患者のフィットネスの測定値、および、はかりから受信した重量データに基づく患者の体重の測定値;のうちの少なくとも1つを決定させ;用量情報と、ウェルビーイングの測定値と、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つとに少なくとも一部基づいて、調整された薬剤用量を決定させ;調整された薬剤用量を出力させる命令を記憶する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリおよび処理装置を含むモバイルデバイスであって、該メモリは命令を記憶し、該命令は、該処理装置によって実行されたとき、該デバイスに:
注射デバイスによって放出された以前の用量を含む用量情報を受信させ;
受信したウェルビーイングデータに基づいて、患者のウェルビーイングの測定値を決定させ;
フィットネス追跡デバイスから受信した生理学的データに基づく患者のフィットネスの測定値;および
はかりから受信した重量データに基づく患者の体重の測定値
のうちの少なくとも1つを決定させ;
用量情報と、ウェルビーイングの測定値と、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つとに少なくとも一部基づいて、調整された薬剤用量を決定させ;
調整された薬剤用量を出力させる、前記モバイルデバイス。
【請求項2】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に、少なくともウェルビーイングデータおよび以前の用量を含む用量情報を、記憶するためにサーバ装置へ出力させる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
生理学的データはパルスデータを含み、命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに、パルスデータに基づいてフィットネスの測定値を決定させる、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
生理学的データは血圧データを含み、命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに、血圧データに基づいてフィットネスの測定値を決定させる、請求項1、2または3に記載のデバイス。
【請求項5】
生理学的データはステップカウントデータを含み、命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに、ステップカウントデータに基づいてフィットネスの測定値を決定させる、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に:
ウェルビーイングの測定値、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つを表示のために出力させる、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
表示のために出力された、ウェルビーイングの測定値、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つは、1つまたはそれ以上の以前のウェルビーイングの測定値、フィットネスの測定値および体重の測定値と共に表示される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に:
患者が受ける1つまたはそれ以上の副作用を示す副作用データを受信させ;
副作用データに少なくとも一部基づいて、調整された薬剤用量を決定させる、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に:
フィットネスの測定値が第1の所定の閾値を満たすかどうか判定させ;
体重の測定値が第2の所定の閾値を満たすかどうか判定させ;
フィットネスの測定値が第1の所定の閾値を満たすか、または体重の測定値が第2の所定の閾値を満たすと判定したことに応答して、モバイルデバイスにおける表示のために仮想の賞を出力させる、請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に、ユーザによって入力された食物摂取情報を受信させ、受信した食物摂取情報を記憶させる、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に、ウェルビーイングの測定値、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つに対応するデータをソーシャルメディアプラットフォームへ公開させる、請求項1~10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のモバイルデバイスを含むシステムであって:
生理学的データをモバイルデバイスに送信するように構成されたフィットネス追跡デバイスと;
重量データをモバイルデバイスに送信するように構成されたはかりと、
を更に含み、
ここで、モバイルデバイスは、該モバイルデバイスによって受信された生理学的データおよび重量データに少なくとも一部基づいて、調整された薬剤用量を決定するように構成される、前記システム。
【請求項13】
用量情報をモバイルデバイスに送信するように構成された注射デバイスを更に含み、モバイルデバイスは、用量情報に少なくとも一部基づいて、調整された薬剤用量を決定するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
コンピュータ実施方法であって:
注射デバイスによって放出された以前の用量を含む用量情報を受信することと;
受信したウェルビーイングデータに基づいて、患者のウェルビーイングの測定値を決定することと;
フィットネス追跡デバイスから受信した生理学的データに基づく患者のフィットネスの測定値;および
はかりから受信した重量データに基づく患者の体重の測定値
のうちの少なくとも1つを決定することと;
用量情報と、ウェルビーイングの測定値と、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つとに少なくとも一部基づいて、調整された薬剤用量を決定することと;
調整された薬剤用量を出力することと、
を含む、前記コンピュータ実施方法。
【請求項15】
コンピュータによって実行されたとき、該コンピュータに、請求項14に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物治療中の患者をモニタリングすることに関する。特に、本発明は、薬物治療中に患者をモニタリングするためのデバイスおよびシステム、ならびにデバイスを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば薬剤の注射による定期的な治療を要する様々な疾患が存在する。そのような注射は、医療専門家(HCP)または患者自身によって利用される注射デバイスを使用して行うことができる。一例として、1型および2型糖尿病は、たとえば1日に1回または数回、患者自身がインスリン用量を注射することによって治療することができる。同様に、糖尿病の前の予備段階において、過体重または肥満の患者は、持続的体重管理のために注射によって治療を行うことができる。
【0003】
不都合なことに、いくつかの薬物を用いた薬物治療の過程において、患者は、薬物自体、または治療を受けている症状から結果として生じる場合がある副作用を受ける場合がある。これらの副作用は、たとえば、重量変化、他の疾患のかかりやすさ、または一般的な健康状態の全体的な悪化を含みうる。
【0004】
したがって、患者が定期的なまたは長期の治療を必要とする場合、治療をサポートし、その治療に応じて患者の全体的なウェルビーイングをモニタリングすることができるシステムを提供することが必要とされている。特に、治療計画に応じた患者の健康の変化を決定し、治療計画の遵守において良好な患者の習慣を奨励する必要がある。これは、治療に対する患者の反応の変化が、たとえば、投与領域等の治療の本質が調整されるか、追加の治療が導入されることを要する場合があるため、重要である。
【0005】
2型糖尿病を有する患者の相当な割合が過体重または肥満である。治療オプションの利用可能な種類の多くが、実際に体重増加の促進に関連し、これは、既に過剰な体重に苦労している患者にとって辛い副作用であり、治療の遵守に悪影響を与える場合がある副作用である可能性がある。SAR425899は、グルカゴン様ペプチド-1およびグルカゴン受容体(GLP-1/GCRアゴニスト)のデュアルアゴニストであり、過体重または肥満の人物のための糖尿病管理および持続的体重管理を同時に行うために開発されている。グルカゴン様ペプチドは、患者の満腹感を高め、その後の食物摂取の低減を伴い、それによって体重減少を促進する。したがって、SAR425899注射の計画を用いて、患者のグルカゴンレベルを制御し、体重管理を支援することができる。
【0006】
本発明の態様は上記を念頭において着想された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、メモリおよび処理装置を含むモバイルデバイスであって、メモリは命令を記憶し、命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに:
注射デバイスによって放出された以前の用量を含む用量情報を受信させ;
受信したウェルビーイングデータに基づいて、患者のウェルビーイングの測定値を決定させ;
フィットネス追跡デバイスから受信した生理学的データに基づく患者のフィットネスの測定値;および
はかりから受信した重量データに基づく患者の体重の測定値
のうちの少なくとも1つを決定させ;
用量情報と、ウェルビーイングの測定値と、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つとに少なくとも一部基づいて、調整された薬剤用量を決定させ;
調整された薬剤用量を出力させる、モバイルデバイスが提供される。
【0008】
モバイルデバイスは、滴定を行うためのものとすることができる。
【0009】
調整された薬剤用量を決定することは、受信した用量情報に含まれる以前の用量を調整することを含むことができる。調整された薬剤用量を決定することは、ウェルビーイングの測定値と、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つとに基づいて、以前の用量を調整することを含むことができる。調整された薬剤用量を決定することは、ウェルビーイングの測定値に基づいて、以前の用量を増大させるか、減少させるか、または維持することと、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つに基づいて、以前の用量を増大させるか、減少させるか、または維持することとを含むことができる。
【0010】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に、少なくともウェルビーイングデータおよび以前の用量を含む用量情報を、記憶するためにサーバ装置へ出力させることができる。
【0011】
生理学的データはパルスデータを含むことができ、命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに、パルスデータに基づいてフィットネスの測定値を決定させることができる。
【0012】
生理学的データは血圧データを含むことができ、命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに、血圧データに基づいてフィットネスの測定値を決定させることができる。
【0013】
生理学的データはステップカウントデータを含むことができ、命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに、ステップカウントデータに基づいてフィットネスの測定値を決定させることができる。
【0014】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に、ウェルビーイングの測定値、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つを表示のために出力させることができる。
【0015】
表示のために出力された、ウェルビーイングの測定値、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つは、1つまたはそれ以上の以前のウェルビーイングの測定値、フィットネスの測定値および体重の測定値と共に表示することができる。
【0016】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に:患者が受ける1つまたはそれ以上の副作用を示す副作用データを受信させ;この副作用データに少なくとも一部基づいて、調整された薬剤用量を決定させることができる。
【0017】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に:フィットネスの測定値が第1の所定の閾値を満たすかどうか判定させ;体重の測定値が第2の所定の閾値を満たすかどうか判定させ;フィットネスの測定値が第1の所定の閾値を満たすか、または体重の測定値が第2の所定の閾値を満たすと判定したことに応答して、モバイルデバイスにおける表示のために仮想の賞を出力させることができる。
【0018】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に、ユーザによって入力された食物摂取情報を受信させ、受信した食物摂取情報を記憶させることができる。
【0019】
命令は、処理装置によって実行されたとき、デバイスに更に、ウェルビーイングの測定値、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つに対応するデータをソーシャルメディアプラットフォームへ公開させることができる。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様によるモバイルデバイスを含むシステムが提供され、システムは、
生理学的データをモバイルデバイスに送信するように構成されたフィットネス追跡デバイスと;
重量データをモバイルデバイスに送信するように構成されたはかりと、
を更に含み、
モバイルデバイスは、モバイルデバイスによって受信された生理学的データおよび重量データに少なくとも一部基づいて、調整された薬剤用量を決定するように構成される。
【0021】
システムは、用量情報をモバイルデバイスに送信するように構成された注射デバイスを更に含むことができ、モバイルデバイスは、用量情報に少なくとも一部基づいて、調整された薬剤用量を決定するように構成される。
【0022】
本開示の第3の態様によれば、コンピュータ実施方法が提供され、この方法は、
注射デバイスによって放出された以前の用量を含む用量情報を受信することと;
受信したウェルビーイングデータに基づいて、患者のウェルビーイングの測定値を決定することと;
フィットネス追跡デバイスから受信した生理学的データに基づく患者のフィットネスの測定値;および
はかりから受信した重量データに基づく患者の体重の測定値
のうちの少なくとも1つを決定することと;
用量情報と、ウェルビーイングの測定値と、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つとに少なくとも一部基づいて、調整された薬剤用量を決定することと;
調整された薬剤用量を出力することと、
を含む。
【0023】
方法は、滴定を行うための方法とすることができる。
【0024】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータによって実行されたとき、コンピュータに、第3の態様による方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0025】
ここで、本発明の実施形態が、添付の図面を参照して単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態によるモバイルデバイスの構成要素を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による
図1のモバイルデバイスを含むシステムの概略図である。
【
図3】
図2のシステムにおけるデータフローを示す概略図である。
【
図4】
図3のデバイスのディスプレイ上に複数のグラフとして出力されるデータを示す概略図である。
【
図5】本発明の実施形態による滴定の方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態による薬物治療の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の開示において、処理装置によって実行されたとき、処理装置に様々な動作を実行させる機械可読命令を有するコンピュータプログラムが記載される。以下の例示的な実施形態において、コンピュータプログラムはモバイルデバイスにおいて実施され、コンピュータプログラムはアプリケーションの形態をとる。以下の例示的な実施形態によれば、モバイルデバイスは、スマートフォン等のモバイルフォンである。有利には、モニタリングアプリケーションは別個のアプリケーションとすることができる。モニタリングアプリケーションは、製造時にモバイルデバイスにおいて提供することができるか、またはユーザによって、たとえばアプリケーションマーケットプレイスもしくはアプリケーションストアからモバイルデバイスにダウンロードすることができる。しかしながら、モバイルデバイスは、タブレット、ラップトップ、スマートグラス等のような異なる形態をとる場合がある。
【0028】
つまり、モバイルデバイスにおいて実施されるようなコンピュータプログラムは、薬物治療中に患者をモニタリングする手段を提供する。薬物はSAR425899とすることができ、治療は持続的体重管理のためのものとすることができるが、薬物および治療はそのような例に限定されず、代わりに、本発明の態様は、他の薬物および/または治療に適用することができる。
【0029】
モニタリングアプリケーションは、多岐にわたる臨床研究をサポートするために提供することができる。これらは、たとえば、糖尿病、持続的体重管理、心臓血管状態、リウマチまたは乾癬に関する臨床研究を含むことができる。ユーザおよび患者という用語は、本開示全体を通じて交換可能に用いることができる。
【0030】
本発明の態様は、患者治療のためのサポートを提供する。本発明の態様は、薬物治療計画の患者の遵守を奨励し、より効率的でより高速で、場合によってはより安全な治療結果につなげることができる。SAR425899等の使用を伴う治療計画の例において、本発明の態様は、患者の更なる体重減少をサポートすることができる。患者の遵守の改善は、本発明に関連付けられた用量滴定の滴定の改善によってもたらすことができる。本発明の態様は、患者が自身の医療統計を視覚化し、フィットネスレベルおよび体格指数(BMI)等の治療に関連付けられたデータを経時的にモニタリングすることを可能にすることによって、患者の遵守を奨励するのに役立つことができる。モチベーションおよび/またはソーシャルフィードバックおよび奨励のために、ソーシャルメディアプラットフォームへの統計の共有を通じて患者を奨励することもできる。
【0031】
図1は、コンピュータプログラムが動作することができるモバイルデバイス100の構成要素のうちのいくつかの概略図である。モバイルデバイス100は処理装置102を含む。処理装置102は、1つまたはそれ以上のプロセッサ、論理回路等を含むことができる。処理装置102は、モバイルデバイス100の他のハードウェア構成要素の動作を制御する。処理装置102および他のハードウェア構成要素は、システムバス(図示せず)を介して接続することができる。各ハードウェア構成要素は、直接またはインタフェースを介してシステムバスに接続することができる。本明細書全体を通じて開示される様々な方法ステップは、別段の指示がない限り、処理装置102によって実行することができるか、または処理装置102に実行させることができる。
【0032】
モバイルデバイス100は、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、ePaper等の任意の適切なタイプのディスプレイとすることができるディスプレイ112を含む。処理装置102は、ディスプレイ112に視覚情報をユーザに提供させる命令をディスプレイ112に提供するように構成される。いくつかの場合、処理装置102は、ディスプレイドライバ(図示せず)により命令をディスプレイ112に提供する。
【0033】
デバイス100は、ユーザ入力インタフェース114を更に含む。ユーザ入力インタフェース114は、ユーザがモバイルデバイス100に、特に処理装置102入力を提供することができる手段である。いくつかの例において、ユーザ入力インタフェース114は、ユーザから触覚入力を受信するための触覚ユーザインタフェースを含むことができる。たとえば、触覚ユーザインタフェースは、1つ以上のボタンまたはタッチ感応型パネルを含むことができる。タッチ感応型パネルは、たとえば任意の種類の抵抗性タッチ感応型パネルまたは容量性タッチ感応型パネルとすることができる。いくつかの場合、ディスプレイ112は、ユーザ入力インタフェース114も含むタッチ感応型ディスプレイとすることができる。これは、デバイス100がスマートフォンである場合に当てはまる。いくつかの例において、ユーザ入力インタフェース114は、ユーザからの入力として、たとえばマイクロフォンを介して音声コマンドを受信するように構成されたオーディオユーザインタフェースを含むことができる。このようにして、ユーザは、音声コマンドを介してユーザ入力インタフェース114に入力を提供することができる。音声コマンドは、処理装置102またはデバイス100の異なる処理構成要素によってパースし、機械学習命令に変換することができる。
【0034】
以下に説明されるように、モバイルデバイス100は、他の電子デバイスまたはシステムにデータを送信し、他の電子デバイスまたはシステムからデータを受信するための通信インタフェース116も含む。通信インタフェース116は、無線および/または有線通信を提供するための任意の適切な形態をとることができる。たとえば、通信インタフェース116は、Bluetoothインタフェース116a、WiFiインタフェース116b、近距離通信(NFC)インタフェース116c、およびUSB(たとえば、USB-C)インタフェース等の有線インタフェース116dのうちの少なくとも1つを含むことができるが、他の適切なタイプの有線または無線通信インタフェース116も用いることができる。
【0035】
モバイルデバイス100は、場合により、1つまたはそれ以上のカメラを含むカメラ装置117を含むことができる。任意の適切なカメラを用いることができる。処理装置102は、カメラ装置117によって捕捉された1つまたはそれ以上の画像を処理し、たとえば1つまたはそれ以上の画像からデータを抽出するように構成することができる。
【0036】
モバイルデバイス100は、モバイルデバイス100の様々な電子構成要素に電力を供給するための電源118も含む。電源118は、バッテリ119を含むことができるか、または無線電力転送もしくは電力ケーブル等の別の手段を通じて電力を受けることができる。
【0037】
処理装置102は、他の構成要素の動作を制御するために、デバイス100の他の構成要素との間で信号を送受信するように構成される。たとえば、処理装置102は、ディスプレイ112上のコンテンツの表示を制御し、ユーザ入力インタフェース114を介してユーザ入力の結果として信号を受信する。
【0038】
モバイルデバイス100は、メモリ104、たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の作業メモリまたは揮発性メモリ、および不揮発性メモリを含む。処理装置102は、データを処理するためにRAMにアクセスすることができ、メモリ104内のデータの記憶を制御することができる。RAMは、任意のタイプのRAM、たとえばスタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、またはフラッシュメモリとすることができる。不揮発性メモリは、オペレーティングシステム108およびアプリケーション110を記憶し、また、データファイルおよび関連メタデータを記憶する。メモリ104は、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリおよび磁気ドライブメモリ等の任意の種類の不揮発性メモリを含むことができる。
【0039】
処理装置102は、オペレーティングシステム108の制御下で動作する。オペレーティングシステム108は、ディスプレイ112および通信インタフェース116等のハードウェア、ならびにモバイルデバイス100の基本動作に関するコードを含むことができる。オペレーティングシステム108は、アプリケーション110に加えて、またはその代わりに、メモリ104に記憶された他のソフトウェアモジュールの起動も引き起こすことができる。
【0040】
送受信機およびオーディオトランスデューサ等のモバイルデバイス100の他の標準的なまたは任意選択の構成要素は、単純にするために省かれるが、存在する場合がある。
【0041】
図2は、モニタリングシステム200の一部としてのモバイルデバイス100を示す。システム200は、患者によって、治療計画をモニタリングするために用いることができる。本開示全体を通じて明らかになるはずであるが、モニタリングシステム200を用いて、フィットネス関連データ、体重データ、用量情報、患者のウェルビーイングおよび副作用データ等の、患者および治療計画に関連付けられたデータを収集および記憶することができる。データをユーザに提示することができ、それによって、ユーザは、治療計画中に進行を追跡し、計画を遵守するように奨励されることができる。データを用いて、患者に対する薬物用量の改善された滴定を提供することができ、これにより治療結果を改善し、患者の遵守を奨励し、患者が医療専門家に完全に頼るのではなく自身で滴定を行えるようにすることができる。
【0042】
システム200は、注射デバイス210と、フィットネス追跡デバイス220と、はかり230と、サーバ装置240を含む。モバイルデバイス200は、以下で論じるように、注射デバイス210、フィットネス追跡デバイス220、電子はかり230およびサーバ装置240のうちの1つ以上と通信し、通信インタフェース116を介してデータを送信および/または受信することが可能である。
【0043】
注射デバイス210は、患者に薬剤の用量を投与するための任意の適切な形態のデバイスとすることができる。たとえば、注射デバイス210は、注射ペン、自動注射器、ポンプパッチ、注入デバイス等とすることができる。注射デバイス210は、薬剤(薬物)の用量を患者/ユーザに注射するのに用いられる。したがって、注射デバイス210は、患者/ユーザによって、治療計画の一部として用いられる。
【0044】
注射デバイス210は、モバイルデバイス100の通信インタフェース116を介して受信される用量情報をモバイルデバイス100に送信することができる電子回路部(図示せず)を有する。用量情報は、注射デバイス210から放出される、または放出されることになる薬剤の用量を含む。換言すれば、用量は、注射デバイス210によって実際に患者に注入される用量、または後続の放出の準備ができた注射デバイス210にプログラムされた用量とすることができる。用量は、薬剤の単位数等の用量値として表すことができる。
【0045】
用量に加えて、用量情報は、注射デバイス210によって決定される、用量が注射された時点および/または日付等の更なる情報を含むことができる。
【0046】
用量情報は、注射デバイス210からモバイルデバイス100の通信インタフェース116に、たとえばBluetooth、NFCもしくはWiFiプロトコルまたは任意の他の適切な無線プロトコルを用いて無線で送信することができる。他の例において、用量情報は、有線リンクを介してモバイルデバイス100の通信インタフェース116に送信することができる。いくつかの例において、注射デバイス210は、以下に論じるように、モバイルデバイス100によって注射デバイス210に送信された信号の受信に応答して、モバイルデバイス100に用量情報を送信することができる。他の例において、注射デバイス210は、注射デバイス210におけるユーザ入力の受信に応答して、たとえば、薬剤の分注を引き起こす注射デバイス210の注射機構のユーザ作動に応答して、またはユーザが注射デバイス210のユーザインタフェース上のボタンを押下したことに応答して、モバイルデバイス100に用量情報を送信することができる。いくつかの例において、注射デバイス210は、たとえば所定のスケジュールに従って(たとえば、毎日)、用量情報を自動的に送信することができる。
【0047】
用量情報は、通信インタフェース116を介する以外の方式でモバイルデバイス100によって受信することができる。たとえば、モバイルデバイス100のカメラ装置117を用いて、注射デバイス210の画像を捕捉することができ、モバイルデバイス100の処理装置102は用量情報を画像から抽出することができる。たとえば、画像は、ダイヤルスリーブ上の用量を示す注射デバイス210のディスプレイ等の、注射デバイス210によって放出されるまたは注射デバイスにダイヤル設定される用量の可視表現を含むことができる。処理装置102、または異なるデバイスは、ダイヤルスリーブの画像から用量を識別することができる。
【0048】
システム200は、フィットネス追跡デバイス220も含むことができる。フィットネス追跡デバイス220は、
図2において、フィットネス追跡スマートウォッチとして示されているが、任意の適切な形態のフィットネス追跡デバイス220を代わりに用いることができる。いくつかの例において、フィットネス追跡デバイス220の機能は、複数のフィットネスバンド、スマートウォッチまたはモニタ等の複数のデバイスによって実行することができる。フィットネス追跡デバイス220は、患者の、特に、注射デバイス210から治療を受ける患者の1つまたはそれ以上の生理学的特性をモニタリングするように構成される。生理学的特性は、患者のフィットネスレベルを示すことができる。生理学的特性は、心拍数(パルス)、血圧またはステップカウントのうちの1つまたはそれ以上を含むことができるが、他の生理学的特性も用いることができる。
【0049】
フィットネス追跡デバイス220は、患者の生理学的特性を測定して、測定された特性を示す生理学的データを決定するための1つまたはそれ以上のセンサを含む。たとえば、フィットネス追跡デバイス220は、患者の心拍数を測定するための心拍数センサ221、患者の血圧を測定するための血圧センサ222、および/または患者のステップカウントを測定するための歩数計223のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。
【0050】
フィットネス追跡デバイス220は、生理学的特性のうちの1つまたはそれ以上を継続的に測定することができる。たとえば、フィットネス追跡デバイスは、患者の心拍数および/またはステップカウントを継続的に測定することができる。フィットネス追跡デバイス220は、所定の離散間隔で生理学的特性のうちの1つまたはそれ以上を測定することができる。たとえば、フィットネス追跡デバイスは、患者の血圧を毎日1回測定することができる。フィットネス追跡デバイス220は、フィットネス追跡デバイス220におけるユーザ入力等の入力の受信に応答して、またはモバイルデバイス100から送信された信号の受信に応答して、生理学的特性のうちの1つまたはそれ以上を測定することができる。たとえば、フィットネス追跡デバイスは、ユーザがフィットネス追跡デバイス220上のボタンを押下したことに応答して患者の心拍数を測定することができる。
【0051】
フィットネス追跡デバイス220によって測定される生理学的データは、フィットネス追跡デバイス220のメモリに記憶することができ、および/またはモバイルデバイス100、異なる電子デバイスまたはサーバ等の、記憶のための別の電子デバイスに送信することができる。生理学的データは、フィットネス追跡デバイス220、モバイルデバイス100、異なる電子デバイス、および/またはサーバによって処理することができる。
【0052】
フィットネス追跡デバイス220は、生理学的データをモバイルデバイス100に送信することができ、これがモバイルデバイス100の通信インタフェース116を介して受信されることになる。たとえば、フィットネス追跡デバイス220は、心拍数データ、血圧データおよびステップカウントデータのうちの1つまたはそれ以上をモバイルデバイス100に送信することができる。フィットネス追跡デバイス220は、1つまたはそれ以上の生理学的特性に関連付けられた生理学的データを、たとえば、Bluetooth、NFCもしくはWiFiプロトコル、または任意の他の適切な無線プロトコル.を用いて通信インタフェース116に無線で送信することができる。他の例において、生理学的データは、有線リンクを介してモバイルデバイス100の通信インタフェース116に送信することができる。
【0053】
いくつかの例において、フィットネス追跡デバイス220は、以下に論じるように、モバイルデバイス100によってフィットネス追跡デバイス220に送信された要求の受信に応答して、モバイルデバイス100に生理学的データを送信することができる。他の例において、フィットネス追跡デバイス220は、フィットネス追跡デバイス220におけるユーザ入力の受信に応答して、たとえば、ユーザがフィットネス追跡デバイス220のユーザインタフェースにおいて入力を提供したことに応答して、生理学的データをモバイルデバイス100に送信することができる。いくつかの例において、生理学的データは、ユーザからの入力等の要求またはモバイルデバイス100からの要求に応答して送信されるのではなく、フィットネス追跡デバイス220からモバイルデバイス100に自動的に送信することができる。たとえば、フィットネス追跡デバイス220は、生理学的特性のうちの1つまたはそれ以上を示す生理学的データを、毎時間、毎日または毎週送信することができる。生理学的特性のうちのいくつかに関連付けられた生理学的データは、他の生理学的特性に関連付けられた生理学的データよりも高い頻度で送信することができる。たとえば、心拍数を示すデータは毎分送信することができるが、血圧データは毎日送信することができる。
【0054】
1つまたはそれ以上の生理学的特性を示すデータに加えて、フィットネス追跡デバイス220は、モバイルデバイス100に、1つまたはそれ以上の生理学的特性に関連付けられた時点および/またはデータ情報も送信することができる。たとえば、情報は、生理学的特性がフィットネス追跡デバイス220によって測定された時点および/または日付を含むことができる。
【0055】
生理学的特性のうちの1つまたはそれ以上に関連付けられた生理学的データは、通信インタフェース116を介する以外の方式でモバイルデバイス100によって受信することができる。たとえば、モバイルデバイス100のカメラ装置117を用いて、フィットネス追跡デバイス220の画像を捕捉することができ、モバイルデバイス100の処理装置102は生理学的データを画像から抽出することができる。たとえば、画像は、フィットネス追跡デバイス220のディスプレイ上に示された、測定された心拍数、血圧および/またはステップカウント等の1つまたはそれ以上の生理学的特性に関連付けられた生理学的データの可視表現を含むことができる。
【0056】
システム200は、患者の重量を測定するために用いられる、体重計としても知られるはかり230も含むことができる。モバイルデバイス100は、はかり230から重量データを受信することができ、重量データは患者の重量を示す。はかり230は、たとえばBluetooth、NFCもしくはWiFiプロトコル、または任意の他の適切な無線プロトコルを用いて、患者の重量を測定し、重量データをモバイルデバイス100に無線で送信することが可能な電子回路部を含む電子はかり230とすることができる。他の例において、重量データは、有線リンクを介してモバイルデバイス100の通信インタフェース116に送信することができる。いくつかの例において、はかり230は、モバイルデバイス100によってはかり230に送信された要求の受信に応答して、モバイルデバイス100に重量データを送信することができる。他の例において、はかり230は、はかり230におけるユーザ入力の受信、たとえば、ユーザがはかり230の上に乗ったことの検出、またはユーザがはかり230のユーザインタフェース上のボタンを押下したことの検出に応答して、重量データをモバイルデバイス100に送信することができる。
【0057】
重量値に加えて、重量データ、はかり230によって重量が測定された時点および/または日付等の更なる情報を含むことができる。
【0058】
重量データは、通信インタフェース116を介する以外の方式でモバイルデバイス100によって受信することができる。たとえば、モバイルデバイス100のカメラ装置117を用いて、はかり230の画像を捕捉することができ、モバイルデバイス100の処理装置102は重量データを画像から抽出することができる。たとえば、画像は、はかり230のディスプレイ上に示される患者の重量等の、はかり230によって測定される重量の可視表現を含むことができる。
【0059】
システム200は、1つまたはそれ以上のサーバを含むサーバ装置240を含むことができる。1つ以上のサーバは、クラウドコンピューティング装置等の分散コンピューティング装置の一部とすることができる。モバイルデバイス100は、たとえばインターネット、セルラネットワークまたはローカルエリアネットワーク(LAN)を通じて、有線または無線通信の任意の適切な手段を用いて通信インタフェース116を介してサーバ装置240と通信することができるが、他の装置を用いることもできる。いくつかの例において、サーバ装置240は、代わりに、別のモバイルデバイス、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、タブレット等のパーソナルコンピューティングデバイスを含むことができる。以下に論じるように、モバイルデバイス100は、サーバ装置240にデータを送信し、および/またはサーバ装置240からデータを受信することができる。モバイルデバイス100は、データの記憶または処理のためにサーバ装置240にデータを送信することができる。
【0060】
いくつかの例において、モバイルデバイス100によって実行されるものとして本明細書に開示される1つまたはそれ以上の態様は、更にまたは代替的に、サーバ装置240によって実行することができる。たとえば、モバイルデバイス100自体に対し処理ステップを実行するのではなく、モバイルデバイス100は、代わりに、処理の実行のためにデータをサーバ装置240に送信することができ、モバイルデバイス100は、その後、サーバ装置240から処理結果を受信する。これは、モバイルデバイス100が、データをより高速に処理するために、およびモバイルデバイス100に対する処理の負荷を低減するためにサーバ装置240の改善された処理機能を用いることを可能にすることができる。代替的にまたは加えて、注射デバイス210、フィットネス追跡デバイス220およびはかり230のうちの1つまたはそれ以上がデータもしくは情報をモバイルデバイス100に送信するか、またはモバイルデバイス100からデータもしくは情報を受信することが本明細書に開示されているが、これは、モバイルデバイス100との直接通信によるものではない場合があり、代わりに、サーバ装置240等の媒介を介したものである場合がある。
【0061】
いくつかの例において、モバイルデバイス100は、FacebookまたはTwitterによって提供されるソーシャルメディアプラットフォーム250等のソーシャルメディアプラットフォーム250と通信することが可能である場合もある。モバイルデバイス100は、サーバ装置240を介して、または任意の他の適切なタイプのネットワーク装置を通じてソーシャルメディアプラットフォーム250と通信することができる。以下に論じるように、モバイルデバイス100は、ソーシャルメディアプラットフォーム250にデータを投稿することが可能である場合があり、次に、ソーシャルメディアプラットフォーム250の1つまたはそれ以上の他のユーザがこれを閲覧することができる。モバイルデバイス100は、ソーシャルメディアプラットフォーム250からモバイルデバイス100に送信された情報を受信および閲覧することもできる場合がある。
【0062】
図3は、システム200の構成要素間の様々な例示的なデータフローを示す
図2のシステム200の概略図である。
【0063】
図3に示すように、デバイス100は、以下に論じるように注射デバイス210から用量情報を受信することができる。用量情報は、注射デバイス210によって測定される、用量値、ならびにいくつかの例では、用量が注射された時点および/または日付を含むことができる。
【0064】
図3に示すように、デバイス100は、限定ではないが、患者の心拍数、患者のステップカウント、または患者の血圧等のフィットネス追跡デバイス220からの1つ以上の生理学的特性に関連付けられた生理学的データを受信することができる。生理学的データが受信される度に、このデータをデバイス100のメモリ104に記憶することができ、および/または記憶のためにサーバ装置240に送信することができる。生理学的データは、生理学的データが受信された時点および/または日付、またはフィットネス追跡デバイス220によって行われた測定のうちの1つまたはそれ以上が実行された時点および/または日付を表すタイムスタンプに関連付けて記憶することができる。タイムスタンプは、フィットネス追跡デバイス220によってモバイルデバイス100に送信されるタイムスタンプ情報を含むことができる。
【0065】
デバイス100は、注射デバイス210から受信した生理学的データに少なくとも一部基づいて患者のフィットネスの測定値を決定することができる。フィットネスの測定値は、患者の生理学的フィットネスの量的インジケーションを提供し、たとえば、フィットネススコアとすることができる。たとえば、デバイス100は、フィットネス追跡デバイス220から受信した心拍数、ステップカウントおよび血圧のうちの1つまたはそれ以上に少なくとも一部基づいてフィットネスの測定値を決定することができる。フィットネスの測定値は正規化することができる。例として、フィットネスの測定値は、0~100のスコアとして計算することができ、ここで、0は、患者が最低レベルのフィットネスを有することを示し、100は、患者が最高レベルのフィットネスを有することを示す。新たなフィットネスの測定値を定期的に計算することができる。たとえば、フィットネスの測定値は、フィットネス追跡デバイス220からの新たな生理学的データの受信に応答して(たとえば、新たな血圧データが受信されたことに応答して)、ユーザ入力インタフェース114におけるユーザ入力の受信に応答して、または
図5および
図6に関連して論じる方法等の方法の一部として、所定のスケジュールに従って(たとえば毎日)計算することができる。したがって、フィットネスの測定値は、経時的に変化する場合があり、たとえば、患者のフィットネスの増大と共に増大し、患者のフィットネスが減少した場合に減少する。
【0066】
フィットネスの測定値を決定するとき、様々なタイプの生理学的データを重み付けすることができる。いくつかのタイプの生理学的データは、決定されたフィットネスの測定値に対しより大きな影響を有するように、他のタイプよりも大きく重み付けすることができる。たとえば、血圧データは、ステップカウントデータよりも大きく重み付けすることができ、それによって、患者の血圧の改善が、ステップカウントの改善よりも大きなフィットネス測定値の改善につながる可能性がより高い。
【0067】
フィットネスの測定値は、モバイルデバイス100によって受信される最も近時の生理学的データに基づいて決定することができるか、または履歴の生理学的データに少なくとも一部基づいて決定することができる。例として、心拍数データの移動平均を用いて、フィットネスの測定値を決定することができる。いくつかの場合、移動平均は、所定の数の最も近時に受信した生理学的データ測定値(モバイルデバイス100によって受信された心拍数の最後の10個の測定値)に基づくことができる。いくつかの場合、移動平均は、所定の期間にわたる平均、たとえば、最後の7日にわたる平均心拍数に基づくことができる。生理学的データは、最も近時の生理学的データが、より古い生理学的データよりも大きく重み付けされるように重み付けすることができる。
【0068】
フィットネスの測定値が計算される度に、このデータをデバイス100のメモリ104に記憶することができ、および/または記憶のためにサーバ装置240に送信することができる。フィットネスの測定値は、フィットネスの測定値が決定された時点および/もしくは日付、またはフィットネス追跡デバイス220によって行われた測定のうちの1つもしくはそれ以上が実行された時点および/もしくは日付を表すタイムスタンプに関連付けて記憶することができる。フィットネスの記憶された測定値および関連付けられたタイムスタンプ情報は、患者の変化する生理学的フィットネスの記録を提供することができる。記録を用いて、患者の生理学的健康状態が経時的にどのように変化したか、たとえば、治療計画が進行するにつれ改善しているかまたは悪化しているかを評価することができる。フィットネスの測定値の記録は、以下に論じるように視覚化したものとしてユーザに対して出力することができるか、または分析のためにサーバ装置240に送信することができる。
【0069】
図3に示すように、デバイス100は、はかり230から重量データを受信することができる。重量データが受信される度に、このデータをデバイス100のメモリ104に記憶することができ、および/または記憶のためにサーバ装置240に送信することができる。重量データは、重量データが取得された時点および/もしくは日付、または重量データがモバイルデバイス100によって受信された時点および/もしくは日付を表すタイムスタンプに関連付けて記憶することができる。タイムスタンプは、はかり230によってモバイルデバイス100に送信されるタイムスタンプ情報を含むことができる。
【0070】
デバイス100は、はかり230から受信した重量データに少なくとも一部基づいて患者の体重の測定値を決定することができる。体重の測定値は、患者の重量の量的インジケーションを提供し、たとえば、体格指数(BMI)値とすることができる。デバイス100が患者のBMIを決定する場合、これを重量データに基づいて、かつ患者の身長に基づいて行うことができる。患者の身長は、デバイス100に、たとえばデバイス100のメモリ104に予め記憶しておくことができるか、またはデバイス100は、ユーザ入力インタフェース114を介して身長の入力をユーザに促すことができる。いくつかの例において、身長は、サーバ装置240、異なるサーバ等からデバイス100によって受信することができる。
【0071】
新たな体重の測定値を定期的に計算することができる。たとえば、体重の測定値は、はかり230からの新たな体重データの受信に応答して、ユーザ入力インタフェース114におけるユーザ入力の受信に応答して、または
図5および
図6に関連して論じる方法等の方法の一部として、所定のスケジュールに従って(たとえば毎日)計算することができる。したがって、体重の測定値は、経時的に変化する場合があり、治療の経過中に減少する場合がある。
【0072】
フィットネスの測定値は、モバイルデバイス100によって受信される最も近時の重量データに基づいて決定することができるか、または履歴の重量データに少なくとも一部基づいて決定することができる。例として、重量データの移動平均を用いて、重量の測定値を決定することができる。いくつかの場合、移動平均は、所定の数の最も近時に受信した重量データ測定値(たとえば、モバイルデバイス100によって受信された重量の最後の5つの測定値)に基づくことができる。いくつかの場合、移動平均は、所定の期間にわたる平均、たとえば、最後の7日にわたる平均重量に基づくことができる。履歴重量データは、最も近時の重量データが、より古い重量データよりも大きく重み付けされるように重み付けすることができる。
【0073】
重量の測定値が計算される度に、このデータをデバイス100のメモリ104に記憶することができ、および/または記憶のためにサーバ装置240に送信することができる。重量の測定値は、体重の測定値が決定された時点および/もしくは日付、またははかり230によって行われた重量測定のうちの1つもしくはそれ以上が実行された時点および/もしくは日付を表すタイムスタンプに関連付けて記憶することができる。体重の記憶された測定値および関連付けられたタイムスタンプ情報は、患者の変化する体重の記録を提供することができる。記録を用いて、患者の体重が経時的にどのように変化したか、たとえば、治療計画が進行するにつれ増大しているかまたは減少しているかを評価することができる。体重の測定値の記録は、以下に論じるように視覚化したものとしてユーザに対して出力することができるか、または分析のためにサーバ装置240に送信することができる。
【0074】
デバイス100は、ユーザ350からウェルビーイングデータおよび副作用データも受信することができる。ユーザ350は、たとえばユーザ入力インタフェース114を介して、ウェルビーイングデータおよび副作用データをデバイス100に入力する。
【0075】
ウェルビーイングデータは、患者の幸福度または気分等の患者の現在のウェルビーイングを示すデータを含む。ウェルビーイングデータが受信される度に、このデータをデバイス100のメモリ104に記憶することができ、および/または記憶のためにサーバ装置240に送信することができる。ウェルビーイングデータは、ウェルビーイングデータが受信された時点および/または日付を表すタイムスタンプに関連付けて記憶することができる。
【0076】
デバイス100は、ユーザ350から受信したウェルビーイングデータに少なくとも一部基づいて患者のウェルビーイングの測定値を決定することができる。ウェルビーイングの測定値は、患者のウェルビーイング(すなわち、幸福度または気分)の量的インジケーションを提供し、たとえば、ウェルビーイングスコアとすることができる。ウェルビーイングの測定値は正規化することができる。例として、ウェルビーイングの測定値は、0~100のスコアとして計算することができ、ここで、0は、患者が最低のウェルビーイング感を有することを示し、100は、患者が最高のウェルビーイング感を有することを示す。新たなウェルビーイングの測定値を定期的に計算することができる。たとえば、ウェルビーイングの測定値は、ユーザ350によって入力された新たなウェルビーイングデータの受信に応答して、ユーザ入力インタフェース114における異なるユーザ入力の受信に応答して、または
図5および
図6に関連して論じる方法等の方法の一部として、所定のスケジュールに従って(たとえば毎日)計算することができる。したがって、ウェルビーイングの測定値は、経時的に変化する場合があり、治療計画の進行につれ増大する場合がある。
【0077】
ウェルビーイングの測定値は、モバイルデバイス100によって受信される最も近時のウェルビーイングデータに基づいて決定することができるか、または履歴のウェルビーイングデータに少なくとも一部基づいて決定することができる。例として、ウェルビーイングデータの移動平均を用いて、フィットネス測定値を決定することができる。いくつかの場合、移動平均は、所定の数の最も近時に受信したウェルビーイングデータ入力(たとえば、モバイルデバイス100によって受信されたウェルビーイングデータの最後の10個の入力)に基づくことができる。いくつかの場合、移動平均は、所定の期間にわたる平均、たとえば、最後の7日にわたる平均ウェルビーイングに基づくことができる。ウェルビーイングデータは、最も近時のウェルビーイングデータが、より古いウェルビーイングデータよりも大きく重み付けされるように重み付けすることができる。
【0078】
ウェルビーイングの測定値が計算される度に、このデータをデバイス100のメモリ104に記憶することができ、および/または記憶のためにサーバ装置240に送信することができる。ウェルビーイングの測定値は、ウェルビーイングの測定値が決定された時点および/もしくは日付、またはウェルビーイングの測定値を計算するのに用いられるウェルビーイングデータがユーザ350によって入力された時点および/もしくは日付を表すタイムスタンプに関連付けて記憶することができる。ウェルビーイングの記憶された測定値および関連付けられたタイムスタンプ情報は、患者の変化するウェルビーイングの記録を提供することができる。記録を用いて、患者のウェルビーイングが経時的にどのように変化したか、たとえば、治療計画が進行するにつれ改善しているかまたは悪化しているかを評価することができる。ウェルビーイングの測定値の記録は、以下に論じるように視覚化したものとしてユーザに対して出力することができるか、または分析のためにサーバ装置240に送信することができる。
【0079】
副作用データは、患者が経験した任意の副作用を示すデータを含み、副作用は、治療計画中に投与されている薬剤に関連付けられる。例示的な副作用は、頭痛、眠気、倦怠感および視覚障害を含む場合があるが、副作用はそのような例に限定されず、他の副作用が考えられる。
【0080】
デバイス100は、ディスプレイ112上に、ユーザ350がユーザ入力インタフェース114を介して副作用データを提供するのを支援するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供することができる。たとえば、GUIは、ユーザ350に特定の副作用データを要求することができ、ユーザが要求されたデータを入力するための手段を提供することができる。たとえば、GUIは、ユーザ350に、過去7日間で何らかの偏頭痛を経験したかどうか尋ねるプロンプトを含むことができる。ユーザは、プロンプトに応答して、ユーザ入力インタフェース114を介してデータを入力することができる。たとえば、ユーザは、キーパッドを用いて、ディスプレイ112上に表示された「yes」または「no」のオプションを選択することができるか、またはディスプレイがタッチスクリーンディスプレイである場合、ユーザは、デバイス100によってディスプレイ112上に提供されたユーザ選択可能なGUI要素を選択することができる。デバイス100は、ユーザ350に、選択肢による回答(すなわち、「yes」/「no」回答)または自由回答(すなわち、数値)を要求することができる。
【0081】
デバイス100は、サーバ装置240にデータを送信することができる。データは、デバイスによって受信される上述した情報およびデータ、たとえば、生理学的データ、用量情報、重量データ、ウェルビーイングデータ、副作用データ、またはそこから導出された任意の他のデータ、たとえばフィットネスの測定値(たとえばフィットネススコア)、体重の測定値(たとえば、BMI)もしくはウェルビーイングスコアのうちの任意のものを含むことができる。データは、処理および/または記憶のためにサーバ装置240に送信することができる。データは、患者の記録に加えることができ、それによってデータを経時的にモニタリングすることができる。データは、治療計画を変更または改善するために他の患者からの対応するデータと比較することもできる。患者のウェルビーイングおよび副作用データの取得および共有は、治療計画の研究および改善を更に支援することができる。
【0082】
データのうちのいくつか、またはそこから導出されたデータは、モバイルデバイス100からソーシャルメディアプラットフォーム250に、いくつかの例ではサーバ装置240を介して送信することもできる。患者は、ソーシャルメディアプラットフォーム250上にデータのうちのいくつかを投稿(すなわち、公開)するかどうか選択することができる。投稿されたデータは、ソーシャルメディアプラットフォーム250の他のユーザによって可視にすることができる。ソーシャルメディアプラットフォーム250の他のユーザは、モバイルデバイス100のユーザによって投稿されたデータに応答して、独自の情報、たとえば、コメント、仮想の「いいね」またはユーザの奨励のメッセージを投稿することが可能である場合がある。ユーザは、他のユーザによってソーシャルメディアプラットフォーム250上に投稿されたメッセージを閲覧することが可能である場合があり、これにより、ユーザが自身の治療計画を継続することの奨励を与えることができる。
【0083】
デバイス100によって収集および/または決定されたデータのうちのいくつかは、ユーザが経時的にデータの変化をモニタリングすることができるように、ユーザへの表示のために出力することができる。データは、モバイルデバイス100のディスプレイ112、または別のディスプレイ、たとえば異なるラップトップもしくはタブレットのディスプレイ上の表示のために出力することができる。
【0084】
図4は、モバイルデバイス100のディスプレイ112を用いてユーザに対して出力される患者データを示す。データは、1つまたはそれ以上のグラフ412、414、416、418の形態で出力される。グラフ412のうちの1つは、経時的な用量を示すことができる。たとえば、
図4におけるグラフ412は、週4まで増大し、その後減少し、その後一定を保つ用量を示す。これは、以下に論じるように、患者の最適用量を見つけるために滴定される用量を示すことができる。グラフ414のうちの1つは、経時的な体重の測定値を示すことができる。たとえば、
図4におけるグラフ414は、治療が進行するにつれ経時的に減少する患者の重量を示す。グラフ416のうちの1つは、経時的なフィットネスの測定値を示すことができる。たとえば、
図4におけるグラフ416は、治療が進行するにつれ経時的に増大する患者のフィットネスを示す。グラフ418のうちの1つは、経時的なウェルビーイングの測定値を示す。たとえば、
図4におけるグラフ418は、週4まで増大し、その後わずかに減少し、その後再び増大する患者のウェルビーイングを示す。グラフ418およびグラフ412から、週4における患者のウェルビーイングの減少は、用量の減少と一致することを見て取ることができる。これは、本開示の他の箇所に論じるように、投与する新たな調整された薬剤用量を決定するときに患者のウェルビーイングが考慮に入れられる結果とすることができる。患者のウェルビーイングが減少し、結果として、用量が、以前に投与された用量と比較してわずかに減少するように調整された。次に、患者のウェルビーイングは、用量が減少した後、後続の週において増大することを見て取ることができる。
【0085】
図4は4つの別個のグラフ412、414、416、418を示しているが、他の例では、2つ以上のデータセットを同じグラフに示すことができる。他の形態の視覚化も用いてデータを提示することができる。患者は、たとえばグラフ412、414、416、418によって提供されるデータの視覚化の閲覧に応答して、治療計画を遵守するように奨励される場合がある。患者は、経時的に全体的に増大するフィットネスの測定値、経時的に全体的に減少する体重の測定値、および/または経時的に全体的に増大するウェルビーイングスコアを見ることによって奨励される場合がある。
【0086】
デバイス100は、ディスプレイ112上にグラフィカルユーザインタフェース(GUI)要素422、424、426、428を提供することができ、ユーザによるその選択により、デバイス100が関連データをサーバ装置240および/またはソーシャルメディアプラットフォーム250と共有する。たとえば、ユーザは、ユーザ入力インタフェース114とインタラクトして、GUI要素を426選択し、それによって、デバイス100に、たとえばフィットネスデータをソーシャルメディアプラットフォーム250に投稿することによってフィットネスデータを共有させることができる。同様に、GUI要素422の選択により、用量データを共有することができ、GUI要素424の選択により重量データを共有することができ、GUI要素428の選択によりウェルビーイングデータを共有することができる。いくつかの例において、1つのGUI要素の選択により、2つ以上のタイプのデータを共有することができる。
【0087】
いくつかの例において、ユーザは、システム200によって収集または決定されたデータに基づいて、モバイルデバイス100上で仮想の賞430を受けることができる。仮想の賞430は、GUI要素としてデバイス100のディスプレイ112上で可視とすることができ、ユーザが治療計画を継続することの奨励を提供することができる。患者は、所定の目標が達成されるとき、たとえば、フィットネスの測定値または体重の測定値が、閾値を上回ってまたは閾値未満に降下する等の所定の判定基準を満たすときに賞430を獲得することができる。ユーザは、フィットネスの測定値または体重の測定値の傾向に基づいて、たとえば、フィットネスの測定値が2つ以上の連続判定にわたって増大した場合、または体重の測定値が2つ以上の判定にわたって減少した場合に、仮想の報酬430を受けることができる。
図4の例において、ユーザは、自身のフィットネスの測定値に関係して仮想の賞430を受けた。これは、フィットネスグラフ426に関連付けて表示される賞430によって示される。賞430は、ユーザのフィットネスの測定値が所定の閾値を超えたことに応答して受けられた場合がある。
【0088】
仮想の賞430は、ユーザによってソーシャルメディアプラットフォーム250に投稿することができる。たとえば、デバイス100は、ユーザが賞430を投稿するように勧める通知をディスプレイ112上に提供することができる。賞430は、ディスプレイ112上のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)要素432のユーザ選択に応答して投稿することができる。ソーシャルメディアプラットフォーム250の他のユーザは、賞430についてコメントするか、または他の形で賞430とインタラクトすることが可能であり、それによって患者に奨励を提供することができる。
【0089】
図5および
図6は、マシン可読命令がモバイルデバイス100の処理装置102によって実行されたとききのモニタリングアプリケーション110の動作を示すフローチャートである。フローチャートは、モニタリングアプリケーション110およびモバイルデバイス100がモニタリングデバイスを提供するようにインタラクトし動作する方法を示す。ステップは、メモリ104に記憶されたモニタリングアプリケーション110の制御下でモバイルデバイス100の処理装置102によって実行される。
【0090】
患者に投与される薬剤の用量は、患者にとって最適な用量を見つけるために、経時的に調整される必要がある場合がある。これは滴定として知られる。
図5は、本発明の態様による、モバイルデバイス100によって実行される滴定方法を示す。滴定方法は、患者が、以前に投与された用量、ウェルビーイングデータ、副作用データ、ならびにフィットネスの測定値および体重の測定値等の統計データに基づいて、投与される薬剤の新たな調整された用量を決定することを可能にする。
【0091】
滴定は、ステップ510において開始される。ステップ510は、ユーザ入力インタフェース114において提供されるユーザ入力、たとえば、ディスプレイ112上に提供されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)要素のユーザ選択に応答して実行することができる。いくつかの例において、滴定はユーザ入力なしで開始されてもよい。たとえば、滴定方法は、たとえば毎日午前10時等のスケジュールに従って開始することができる。いくつかの例において、滴定は、薬剤の用量が投与される度に実行されるのに対し、他の例では、滴定は、「セットアップ」期間中、たとえば、患者が治療計画を開始する最初の数週の間に行うことができる。
【0092】
ステップ520において、上記で論じたように、デバイスは、用量情報を受信する。用量情報は、治療計画中に患者に投与された、たとえば注射デバイス210を用いて投与された、以前の用量を示すことができる。用量情報は、用量値、ならびにいくつかの例では、用量が注射された時点および/または日付を含むことができる。用量情報は、注射デバイス210から受信される場合があるか、またはユーザによって、たとえばユーザ入力インタフェース114を通じて入力される場合がある。いくつかの例において、用量情報は、デバイス100に、たとえばデバイス100のメモリ104に既に記憶することができ、デバイス100は、メモリ104から記憶された用量情報を索出する。他の例において、デバイス100は、サーバ装置240等の別のソースからの用量情報を受信することができる。デバイス100は、注射デバイス210および/またはサーバ装置240に要求を送信することができ、それによって注射デバイス210および/またはサーバ装置240は用量情報をデバイス100に送信する。
【0093】
ステップ530において、デバイス100は、患者に関連付けられたウェルビーイングデータを受信する。ウェルビーイングデータは、上記で論考したデバイスによるプロンプトに応答してユーザによって入力することができるか、またはデバイスのメモリ104もしくはサーバ装置240から索出することができる。
【0094】
ステップ540において、デバイス100は副作用データを受信する。副作用データは、上記で論考したデバイスによるプロンプトに応じてユーザによって入力することができるか、またはデバイスのメモリ104もしくはサーバ装置240から索出することができる。
【0095】
ステップ550において、デバイスは、フィットネスの測定値および体重の測定値のうちの少なくとも1つを含む統計データを受信する。
【0096】
デバイスがフィットネスの測定値を受信する場合、これは、モバイルデバイス100がフィットネス追跡デバイス220に生理学的データを要求すること、および上記で論じたようにフィットネスの測定値を決定することを伴うことができる。他の例において、モバイルデバイス100は、フィットネス追跡デバイス220に生理学的データを要求することを必要としない場合があり、デバイス100に既に記憶された生理学的データに基づいてフィットネスの測定値を決定することができる。他の例において、モバイルデバイス100は、既に決定され、デバイス100に記憶されたフィットネスの測定値、たとえば最も近時のフィットネスの測定値を索出することができる。
【0097】
デバイスが体重の測定値を受信する場合、これは、モバイルデバイス100がはかり230に患者の重量データを要求すること、および上記で論じたように体重の測定値を決定することを伴うことができる。他の例において、モバイルデバイス100は、はかり230に体重データを要求することを必要としない場合があり、デバイス100に既に記憶された重量データに基づいて体重の測定値を決定することができる。他の例において、モバイルデバイス100は、既に決定され、デバイス100に記憶された体重の測定値、たとえば最も近時の体重の測定値を索出することができる。
【0098】
ステップ560において、デバイスは、患者に投与される調整された用量を決定する。これは、患者が注射デバイス210から受けるべき薬剤の次の用量である。調整された用量は、用量情報、ウェルビーイングデータおよび統計データに少なくとも一部基づいて決定される。調整された用量は、用量情報、ウェルビーイングデータ、副作用データおよび統計データの各々を考慮に入れるアルゴリズムを用いて決定される。アルゴリズムは、ウェルビーイングデータ、副作用データおよび統計データに基づいて用量情報によって示される以前の用量を調整することによって、調整された用量を決定することができる。
【0099】
ウェルビーイングの測定値は、上記で論じたウェルビーイングデータに基づいて決定され、これは、調整された用量を決定するのに用いられるウェルビーイングの測定値である。以前の用量は、ウェルビーイングの測定値に基づいて調整された用量を生成するように増大させるか、減少させるかまたは維持することができる。たとえば、ウェルビーイングの測定値が所定の閾値を超えている場合、アルゴリズムは、以前の用量を増大させる(または関連薬物に適している場合、用量を減少させる)ことによって、調整された用量を決定することができる。しかしながら、ウェルビーイングの測定値が所定の閾値を下回っている場合、アルゴリズムは、以前の用量を減少させる(または関連薬物に適している場合、用量を増大させる)ことによって、調整された用量を決定することができる。ウェルビーイングの測定値が所定の値の範囲内にある場合、アルゴリズムは、調整された用量を決定するために以前の用量を増減させない場合がある。
【0100】
フィットネスの測定値は、上記で論じた生理学的データに基づいて決定され、これは、調整された用量を決定するのに用いられるフィットネスの測定値である。以前の用量は、フィットネスの測定値に基づいて調整された用量を生成するように増大させるか、減少させるかまたは維持することができる。たとえば、フィットネスの測定値が所定の閾値を超えている場合、アルゴリズムは、以前の用量を増大させる(または関連薬物に適している場合、用量を減少させる)ことによって、調整された用量を決定することができる。しかしながら、フィットネスの測定値が所定の閾値を下回っている場合、アルゴリズムは、以前の用量を減少させる(または関連薬物に適している場合、用量を増大させる)ことによって、調整された用量を決定することができる。フィットネスの測定値が所定の値の範囲内にある場合、アルゴリズムは、調整された用量を決定するために以前の用量を増減させない場合がある。
【0101】
アルゴリズムは、副作用データに基づいて調整された用量を決定することもでき、たとえば、以前の用量を増大させるか、減少させるか、または維持して、副作用データに基づいて調整された用量を得る。副作用データが、副作用がないことを示す場合、またはいくつかの場合、患者が非常に少ない副作用または比較的小さい副作用しか受けないことを示す場合、以前の用量を、調整された用量を提供するように増大させる(または関連薬物に適している場合、減少させる)か、またはいくつかの場合、以前の用量を維持する(すなわち、調整しない)ことができる。副作用データが、患者が副作用を受けたことを示す場合、たとえば、副作用が本質的に小さくない場合、以前の用量を、調整された用量を提供するように減少させる(または関連薬物に適している場合、増大させる)ことができる。調整された用量を決定するために以前の用量に対し行われる調整のサイズは、副作用のタイプに依拠して重み付けすることができる。たとえば、嘔吐の発生等の重大な副作用は、小さな頭痛等のより重大でない副作用よりも、調整される用量決定に対し大きな影響を有するように、より大きく重み付けすることができる。調整された用量を決定するために以前の用量に対し行われる調整のサイズは、副作用の発生の頻度および/または副作用の強度に依拠して重み付けすることができる。たとえば、患者が頻繁な頭痛を示す副作用データを提供する場合、これは、頭痛がより頻繁でない場合よりも調整される用量決定に対し大きな影響を有するように、より大きく重み付けすることができる。同様に、強い頭痛を示す副作用データは、小さい頭痛を示す副作用データよりも大きく重み付けすることができる。
【0102】
ステップ570において、決定された用量が出力される。これは、デバイス100が、決定された調整された用量値を、関連する薬物の単位等において、デバイス100のディスプレイ112上に表示させることを含むことができる。次に、患者は、出力された調整された用量値を見て、次の注射の準備ができた注射デバイス210にその用量をダイヤル設定することができる。いくつかの例において、決定された用量を出力することは、デバイス100が、決定された用量を示す信号を注射デバイス210に送信することを含むことができ、この信号は、注射デバイス210に、決定された用量を注射デバイス210のディスプレイ上に表示させ、および/または注射デバイス210が調整された用量値について自動的にダイヤル設定されるようにすることができる。次に、患者は、決定された薬剤の用量を注射することができる。
【0103】
図6は、本発明の態様による、モバイルデバイス100を用いることによって実行される滴定方法を示す。
【0104】
任意選択のステップ610において、デバイス100は、ユーザに、注射が予定されていることを示す警報を出力させる。警報は、たとえばデバイス100のスピーカを用いた音響警報、たとえばデバイス100のディスプレイ112を用いた視覚警報、および/またはデバイス100の触覚トランスデューサを用いた触覚警報を含むことができる。いくつかの例において、デバイス100は、注射デバイス210、フィットネス追跡デバイス220またははかり230等の別のデバイスを用いて警報を出力させる。これは、デバイス100自体から警報を出力することに加えてまたはその代わりに行うことができる。デバイス100は、所定のスケジュールに従って、たとえば毎日、所定の時間おきに定期的に、または所定の時点および/もしくは日付に警報を出力させることができる。
【0105】
ステップ612において、デバイス100は、用量情報を要求し、ステップ614において、たとえばデバイスは以下に論じるような用量情報を受信する。いくつかの例において、デバイス100は用量情報を要求する必要がなく、このためステップ612は実行されない。上記で
図5のステップ520に関して論じたように、用量情報は、たとえば注射デバイス210を用いて患者に投与される以前の用量を示すことができる。用量情報は、用量値、ならびにいくつかの例では、用量が注射された時点および/または日付を含むことができる。
【0106】
用量情報は、ステップ612においてデバイス100が注射デバイス210に情報の要求を送信したことに応答して、ステップ614において注射デバイス210から受信することができる。しかしながら、いくつかの場合、要求が注射デバイス210に送信されず、代わりに、注射デバイス210は、たとえば注射が行われたことに応答して用量情報を自動的に送信する。
【0107】
いくつかの例において、ステップ614は、たとえばユーザ入力インタフェース114を介してユーザからの用量情報を受信することを含む。この場合、ステップ612は、デバイス100のディスプレイ112上に、ユーザに用量情報を要求するプロンプトを表示させることを含むことができる。ユーザは、プロンプトまたは他のものに応答してユーザ入力インタフェース114を介して用量情報を入力することができる。
【0108】
いくつかの例において、用量情報は、デバイス100に、たとえばデバイス100のメモリ104に既に記憶しておくことができ、したがって、ステップ614において、デバイス100は、メモリ104から記憶された用量情報を索出する。したがって、ステップ612は必要とされない場合がある。
【0109】
他の例において、デバイス100は、サーバ装置240等の別のソースからの用量情報を受信することができる。ステップ612において、デバイス100は、要求をサーバ装置240に送信することができ、これにより、サーバ装置240は、用量情報をデバイス100に送信し、ステップ614において、これがデバイス100において受信される。
【0110】
以下に論じるように、ステップ616において、デバイス100は、フィットネス追跡デバイス220に生理学的データを要求する。ステップ618において、デバイス100は、フィットネス追跡デバイス220から生理学的データを受信する。生理学的データは、ユーザの心拍数、血圧およびステップカウントのうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの例において、ステップ618は、ステップ616なしで実行される。この場合、フィットネス追跡デバイス220は、生理学的データをモバイルデバイス100に自動的に送信することができる。
【0111】
以下に論じるように、ステップ620において、デバイス100は、はかり230に重量データを要求する。ステップ622において、デバイス100は、はかり230から重量データを受信する。いくつかの例において、ステップ622は、ステップ620なしで実行される。この場合、はかり230は、重量データをモバイルデバイス100に自動的に送信することができる。
【0112】
ステップ624において、上記で論じたように、デバイスは、ウェルビーイングデータを要求する。ウェルビーイングデータを要求することは、デバイス100のディスプレイ上に、ウェルビーイングデータが要求されていることをユーザに示すグラフィカルユーザインタフェース要素を提供することを含むことができる。しかしながら、いくつかの場合、ステップ624は実行されない。ステップ626において、デバイスはウェルビーイングデータを受信する。ウェルビーイングデータは、モバイルデバイス100のユーザ入力インタフェース114へのユーザ入力を介して受信することができる。
【0113】
ステップ628において、上記で論じたように、デバイスは、副作用データを要求する。副作用データを要求することは、デバイス100のディスプレイ上に、副作用データが要求されていることをユーザに示すグラフィカルユーザインタフェース要素を提供することを含むことができる。しかしながら、いくつかの場合、ステップ628は実行されない。ステップ630において、デバイスは副作用データを受信する。副作用データは、モバイルデバイス100のユーザ入力インタフェース114へのユーザ入力を介して受信することができる。
【0114】
ステップ632において、デバイスは、たとえば上記で論じたように、受信した生理学的データに基づいてフィットネススコア等のフィットネスの測定値を決定する。
【0115】
ステップ634において、デバイスは、上記で論じたように、受信した重量データに基づいて、BMI等の患者の体重の測定値を決定する。いくつかの例において、体重の測定値は、単純に、たとえばキログラムまたはポンド単位の患者の質量とすることができる。
【0116】
ステップ636において、デバイスは、上記で論じたように、受信した重量データに基づいて、ウェルビーイングの測定値を決定する。ウェルビーイングの測定値は、患者のウェルビーイングの量的インジケーションを提供し、たとえば、ウェルビーイングスコアとすることができる。以下に論じるように、ウェルビーイングの測定値は、最も近時のウェルビーイングデータに基づくことができるか、またはたとえばウェルビーイングデータの移動平均を計算することによって、履歴ウェルビーイングデータに加えて、最も近時のウェルビーイングデータに基づくことができる。
【0117】
ステップ638において、デバイス100は、上述したデータ、情報、またはそこから導出された統計のうちの任意のものを記憶することができる。データは、デバイスのメモリ104に記憶し、および/またはデバイスによって、クラウド内のサーバ装置240または他の場所における記憶のためにサーバ装置240に送信することができる。データは、関連付けられた時点および/または日付情報と共に記憶することができる。データは、データの変化を経時的にモニタリングすることができるように、特定の患者のための記録の一部を形成することができる。
【0118】
任意選択のステップ640において、デバイス100は、たとえば、
図5のステップ560に関して以下で説明されるように、患者が注射する新たな調整された薬剤用量を決定する。ステップ640は、調整された用量を決定するために要求される
図5のステップのうちの任意のものを含むことができる。これらのステップのうちのいくつかは、
図6の方法中に既に実行された場合があり、このため、
図6の方法において繰り返される必要がない。いくつかの例において、患者は、ステップ612の前に注射デバイスを用いて薬剤の用量を既に注射した場合があり、このためステップ640は要求されない。
【0119】
ステップ642において、デバイス100はデータを出力する。デバイス100によって出力されたデータは、ウェルビーイングの測定値、体重の測定値、フィットネスの測定値、用量情報に示される以前の用量、新たな決定された用量、および任意の関連付けられた時点/日付データのうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。
図4に関連して上記で説明したように、データは、グラフ等のデータの視覚化の形態でディスプレイ112に出力することができる。代替的にまたは加えて、データは、上記で論じたようにサーバ装置240、および/または上記で論じたようにソーシャルメディアプラットフォーム250に出力することができる。
【0120】
上記のステップは特定の順序で論じたが、本発明は、その特定の順序に限定されず、様々なステップが異なる順序で実行される場合があるか、または他のステップと同時に実行される場合がある。同様に、いくつかのステップを省くことができるか、または追加のステップを実行することができる。たとえば、上記で論じ、
図5および
図6に示す順序と異なる順序で様々なデータを要求および/または受信することができる。
【0121】
デバイス100は、ユーザによる食物摂取の追跡も可能にすることができる。デバイス100は、ユーザが食物摂取情報を入力することを可能にするグラフィカルユーザインタフェースをディスプレイ112上に提供することができる。グラフィカルユーザインタフェースは、ユーザ入力インタフェース114を用いてデバイス100のディスプレイ112上でユーザがグラフィカルユーザインタフェース要素を選択したことに応答して提供することができるか、または
図5もしくは
図6の方法の一部として提供することができる。食物摂取情報は、ユーザによって消費された食物のインジケーション、および/またはグラム単位の炭水化物含量等のその食物に関連付けられた栄養データを含むことができる。食物摂取情報は、デバイス100によって、食物が消費された時点および/または日付を示すタイムスタンプ情報と共に記憶することができる。タイムスタンプ情報は、ユーザによってユーザ入力インタフェース114を通じて入力することができるか、またはモバイルデバイス100によって決定することができる。食物摂取情報は、デバイス100のメモリ104に記憶することができ、ならびに/または記憶および/もしくは処理のためにサーバ装置240に送信することができる。したがって、患者の食物摂取を経時的に追跡することができる。モバイルデバイス100またはサーバ装置240は、履歴食物摂取情報に基づいて患者の食物摂取推奨を決定することができる。これらの推奨は、ディスプレイ122を介してモバイルデバイス100上に表示することができる。
【0122】
同様に、モバイルデバイス100および/またはサーバ装置240は、モバイルデバイス100によって受信された履歴生理学的データに基づいてフィットネス推奨を決定し、この推奨をモバイルデバイス100のディスプレイ112上に表示することができる。たとえば、モバイルデバイス100またはサーバ装置240は、履歴生理学的データ(またはフィットネスの測定値)に基づいて、患者のフィットネスが減少していると判定する場合があり、したがって、ユーザが自身のステップカウントを増大させようとすることの要求等の推奨をユーザに提供することができる。モバイルデバイス100は、フィットネスの測定値または体重の測定値に基づいて、たとえば、治療計画を「持続する」ことを奨励するメッセージをディスプレイ112上に提供することによって、ユーザに奨励を出力することもできる。
【0123】
ウェルビーイングデータおよび決定された用量データがサーバ装置240に出力される場合、このデータは、たとえば、アルゴリズムを改善することによって、治療計画を改善させるように医療専門家によって用いることができる。
【0124】
本開示は、糖尿病および持続的体重管理を参照して説明されるが、これは、限定を意図したものではなく、本明細書における教示は、他の疾患または健康状態に関して等しく良好に展開することができる。
【0125】
本開示は、モバイルデバイス100において実施されるコンピュータプログラムの文脈で説明されるが、これは限定を意図したものではなく、コンピュータプログラムは別の適切な装置において等しく良好に実施することができる。たとえば、装置は、任意の種類のPDA、タブレットコンピュータ等の別のモバイルデバイス100、または血糖測定デバイス等の医療デバイスにおいて等しく良好に実施することができる。代替的に、コンピュータプログラムは、PC等の別の適切な装置において実施することができる。
【0126】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0127】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0128】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0129】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害の更なる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0130】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0131】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0132】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0133】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0134】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0135】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0136】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0137】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0138】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0139】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0140】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0141】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0142】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0143】
本発明の完全な範囲および趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載するAPI、物質、配合、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明はそのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【0144】
例示的な薬物送達デバイスは、ISO 11608-1:2014(E)のセクション5.2の表1に記載のようなニードルベースの注射システムを含むことができる。ISO 11608-1:2014(E)に記載されているように、ニードルベースの注射システムは、広義には、多用量容器システムおよび(部分的または完全な排出を用いた)単用量容器システムに区別することができる。容器は、交換可能な容器または一体化された交換不可能な容器とすることができる。
【0145】
ISO 11608-1:2014(E)に更に記載されているように、多用量容器システムは、交換可能な容器を有するニードルベースの注射デバイスを含むことができる。そのようなシステムにおいて、各容器は複数の用量を保持し、そのサイズは固定または可変とする(ユーザによって予め設定する)ことができる。別の多用量容器システムは、一体化された交換不可能な容器を有するニードルベースの注射デバイスを含むことができる。そのようなシステムにおいて、各容器は複数の用量を保持し、そのサイズは固定または可変とする(ユーザによって予め設定する)ことができる。
【0146】
ISO 11608-1:2014(E)に更に記載されているように、単用量容器システムは、交換可能な容器を有するニードルベースの注射デバイスを含むことができる。そのようなシステムの1つの例において、各容器は単用量を保持し、それによって送達可能な量全体が排出される(全排出)。更なる例において、各容器は単用量を保持し、それによって送達可能な量の一部が排出される(部分的排出)。ISO 11608-1:2014(E)にも記載されているように、単用量容器システムは、一体化された交換不可能な容器を有するニードルベースの注射デバイスを含むことができる。そのようなシステムの1つの例において、各容器は単用量を保持し、それによって送達可能な量全体が排出される(全排出)。更なる例において、各容器は単用量を保持し、それによって送達可能な量の一部が排出される(部分的排出)。
【国際調査報告】