(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】応力誘起欠陥を緩和するための炭素CVD堆積法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/26 20060101AFI20231213BHJP
H01L 21/314 20060101ALI20231213BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
C23C16/26
H01L21/314 A
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534068
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 US2021060280
(87)【国際公開番号】W WO2022119735
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハサン, ヴィナイアーク ヴィシュワナス
(72)【発明者】
【氏名】シン, アナップ クマール
(72)【発明者】
【氏名】クマール, バスカー
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030BA27
4K030FA01
4K030FA03
4K030HA01
4K030JA01
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4K030LA15
5F045AA08
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5F058BA04
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5F058BF30
(57)【要約】
方法は、基板が中に位置決めされた処理空間内に炭素含有前駆体及びキャリアガスを流すことと、基板支持体に第1のRFバイアスを印加することによって前記処理空間内にプラズマを生成して基板上に炭素膜の第1の部分を堆積させることと、処理空間内にプラズマを維持するためにキャリアガスの流れを維持しながら炭素含有前駆体の流れを終了させることとを含む。この方法はまた、処理空間内に窒素含有ガスを流し、プラズマの存在下で窒素含有ガスをイオン化することと、イオン化した窒素含有ガスに炭素膜を上に有する基板を3秒未満の時間曝露することと、プラズマを維持しながら窒素含有ガスの流れを終了し、プラズマの存在下で処理空間内に炭素含有前駆体を再導入して炭素膜の第2の部分を堆積させることとを含む。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
基板が中に位置決めされた処理空間内に炭素含有前駆体及びキャリアガスを流すことと、
基板支持体に第1のRFバイアスを印加することによって前記処理空間内にプラズマを生成して、前記基板上に炭素膜の第1の部分を堆積させることと、
前記処理空間内に前記プラズマを維持するために前記キャリアガスの流れを維持しながら、前記炭素含有前駆体の流れを終了させることと、
前記処理空間内に窒素含有ガスを流し、前記プラズマの存在下で前記窒素含有ガスをイオン化することと、
イオン化した前記窒素含有ガスに、前記炭素膜を上に有する前記基板を3秒未満の期間、曝露することと、
前記プラズマを維持しながら前記窒素含有ガスの流れを終了することと、
前記プラズマの存在下で前記処理空間内に前記炭素含有前駆体を再導入して、前記炭素膜の第2の部分を堆積させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記基板が、約10℃から約20℃の範囲内の温度で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理空間が、約3mTorrから約20mTorrの範囲内の圧力で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記炭素含有前駆体の流量が、約30sccmから約1000sccmの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素含有前駆体が、約30秒間から約120秒間導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記炭素膜が、約1ミクロンと約3ミクロンの最終的な総厚まで堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記炭素含有前駆体がアセチレンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板を処理する方法であって、
基板が中に位置決めされた処理空間内に炭素含有前駆体及びキャリアガスを流すことと、
基板支持体に第1のRFバイアスを印加することによって前記処理空間内にプラズマを生成して、前記基板上に炭素膜の第1の部分を堆積させることと、
前記炭素含有前駆体の流れ及び前記キャリアガスの流れを終了させることと、
前記処理空間内にアンモニアを流し、前記炭素膜を前記アンモニアと接触させることと、
前記アンモニアの流れを終了させることと、
前記処理空間内に前記炭素含有前駆体及び前記キャリアガスを再導入して前記炭素膜の第2の部分を堆積させることと
を含む、方法。
【請求項9】
前記アンモニアが、3秒未満の時間、前記処理空間内に流される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アンモニアが気体状態のままである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記炭素含有前駆体の流量が、約30sccmから約1000sccmの範囲内である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記炭素含有前駆体が、約30秒間から約120秒間導入される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記アンモニアが、約0.5秒間から約3秒間導入される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記炭素膜が、約1ミクロンと約3ミクロンの最終的な総厚まで堆積される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記炭素含有前駆体がアセチレンである、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
基板を処理する方法であって、
中に基板が位置決めされた処理空間内に炭素含有前駆体ガス及び第1のキャリアガスを流すことであって、前記炭素含有前駆体ガス対前記第1のキャリアガスの比が約2:1から約1:2である、炭素含有前駆体ガス及び第1のキャリアガスを流すことと、
基板支持体に第1のRFバイアスを印加することによって前記処理空間内にプラズマを生成して、前記基板上に炭素膜の第1の部分を堆積させることであって、前記炭素膜の前記第1の部分が約100Åから約500Åの範囲の厚さを有する、炭素膜の第1の部分を堆積させることと、
前記処理空間内に前記炭素含有前駆体ガス及び第2のキャリアガスを流して前記基板上に炭素膜の第2の部分を堆積させることであって、前記炭素含有前駆体ガス対前記第2のキャリアガスの比が約1:5から約1:10であり、前記炭素膜の前記第2の部分が約5Åから約30Åの範囲の厚さを有する、炭素膜の第2の部分を堆積させることと
を含む、方法。
【請求項17】
前記第1のキャリアガスがヘリウムであり、前記第2のキャリアガスがアルゴンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記炭素含有前駆体ガスがアセチレンである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のキャリアガスが前記第2のキャリアガスと同じである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記炭素膜が、ハードマスクであり、約1ミクロンと約3ミクロンの最終的な総厚まで堆積される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施態様は概して、半導体デバイスの製造に利用される装置及び方法に関する。より具体的には、本開示の実施態様は、炭素ハードマスクなどの炭素含有膜を堆積させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]集積回路は、単一チップ上に数百万個ものトランジスタ、キャパシタ、及び抵抗器が搭載され得る複雑なデバイスへと進化を遂げている。チップ設計の進化には、より迅速な回路及びより高い回路密度が継続的に必要とされる。より高い回路密度を有するより高速な回路に対する需要により、このような集積回路の製造に使用される材料についても、相応の要求が課されている。特に、集積回路構成要素の寸法がサブミクロン単位まで小さくなるにつれ、このような構成要素から好適な電気的性能を得るためには、低抵抗の導電性材料だけでなく、低誘電率の絶縁材料を使用する傾向がある。
【0003】
[0003]より大きな集積回路密度に対する要求は、集積回路構成要素の製造に使用される処理シーケンスにも要求を課す。例えば、高弾性、高密度のアモルファスカーボン膜を基板上に堆積させるプロセスにおいて、基板支持体上に高出力の高周波バイアスが印加される。これらの膜の厚さが増加すると、内在する応力の蓄積による欠陥も指数関数的に増加する。したがって、当該技術分野で必要とされているのは、半導体デバイスを製造するための改良された方法である。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示は、概して、基板を処理する方法に関する。一実施態様では、方法は、基板が中に位置決めされた処理空間内に炭素含有前駆体及びキャリアガスを流すことと、基板支持体に第1のRFバイアスを印加することによって処理空間内にプラズマを生成して基板上に炭素膜の第1の部分を堆積させることと、処理空間内にプラズマを維持するためにキャリアガスの流れを維持しながら炭素含有前駆体の流れを終了させることとを含む。この方法はまた、処理空間内に窒素含有ガスを流し、プラズマの存在下で窒素含有ガスをイオン化することと、イオン化した窒素含有ガスに炭素膜を上に有する基板を3秒未満の時間曝露することと、プラズマを維持しながら窒素含有ガスの流れを終了し、プラズマの存在下で処理空間内に炭素含有前駆体を再導入して炭素膜の第2の部分を堆積させることとを含む。
【0005】
[0005]別の実施態様では、方法は、基板が中に位置決めされた処理空間内に炭素含有前駆体及びキャリアガスを流し、基板支持体に第1のRFバイアスを印加することによって処理空間内にプラズマを生成して基板上に炭素膜の第1の部分を堆積させることを含む。この方法はまた、炭素含有前駆体の流れ及びキャリアガスの流れを終了させることと、処理空間内にアンモニアを流し、炭素膜をアンモニアと接触させ、アンモニアの流れを終了させることと、処理空間内に炭素含有前駆体及びキャリアガスを再導入して炭素膜の第2の部分を堆積させることとを含む。
【0006】
[0006]別の実施態様では、方法は、中に基板が位置決めされた処理空間内に炭素含有前駆体ガス及び第1のキャリアガスを流すことであって、炭素含有前駆体ガス対第1のキャリアガスの比が約2:1から約1:2である、炭素含有前駆体ガス及び第1のキャリアガスを流すことと、基板支持体に第1のRFバイアスを印加することによって処理空間内にプラズマを生成して基板上に炭素膜の第1の部分を堆積させることであって、炭素膜の第1の部分が約100Åから約500Åの範囲の厚さを有する、炭素膜の第1の部分を堆積させることとを含む。方法は、さらに、処理空間内に炭素含有前駆体ガス及び第2のキャリアガスを流して基板上に炭素膜の第2の部分を堆積させることであって、炭素含有前駆体ガス対第2のキャリアガスの比が約1:5から約1:10であり、炭素膜の第2の部分が約5Åから約30Åの範囲の厚さを有する、炭素膜の第2の部分を堆積させることを含む。
【0007】
[0007]上述した本開示の特徴を詳細に理解し得るように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施態様を参照することによって得られ、一部の実施態様は添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は例示的な実施態様を示しているのにすぎず、したがって、その範囲を限定するものと見做すべきではなく、本開示が他の同等に有効な実施態様を許容し得ることに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]本開示の一実施態様による、処理チャンバの概略側面断面図である。
【
図2A】[0009]本開示の一実施態様による堆積方法を示すフロー図である。
【
図2B】[0010]本開示の別の実施態様による堆積方法を示すフロー図である。
【
図3】[0011]本開示の別の実施態様による堆積方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0012]理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。さらなる記述がなくても、一実施態様の要素及び特徴を他の実施態様に有益に組み込むことができると考えられる。
【0010】
[0013]本開示の実施態様は、基板処理に利用される基板処理チャンバ、及び炭素ハードマスクなどの炭素含有膜を堆積させる方法に関する。本開示の例示的な態様から受益するよう適合し得る処理チャンバ及び/又はシステムの例は、カリフォルニア州Santa Claraに所在するApplied Materials, Inc.から市販されている、PIONEERTM PECVDシステムを含む。その他の処理チャンバ及び/又は処理プラットフォーム(その他の製造業者によるものを含む)も本開示の態様から受益するよう適合し得ると想定される。
【0011】
[0014]
図1は、堆積プロセスの実施に適した、例示的な処理チャンバ100の概略側面断面図である。一実施態様では、処理チャンバ100は、ハードマスク膜、例えばアモルファスカーボンハードマスク膜などの基板上に高度なパターニング膜を堆積させるように構成される。処理チャンバ100は、リッド195、チャンバ本体192上に配置されたスペーサ110、基板支持体115、及び可変圧力システム120を含む。リッド195と基板支持体115との間のスペーサ110の内部には、処理空間160が存在する。
【0012】
[0015]リッド195は、第1の処理ガス源140に連結されている。第1の処理ガス源140には、基板支持体115上に支持された基板118上に膜を形成するための前駆体ガスなどの処理ガスが含まれる。一例として、前駆体ガスは、とりわけ、アセチレン(C2H2)などの炭素含有ガス、キャリアガス、窒素含有ガス、水素ガス、及び/又はヘリウムなどのガスのうちの1つ又は複数を含む。
【0013】
[0016]第2の処理ガス源142が、スペーサ110を通って配置された入口144を介して処理空間160に流体的に連結されている。第2の処理ガス源142には、第1の処理ガス源140に関して上記で規定したような、前駆体ガスなどの処理ガスが含まれる。一例では、第1の処理ガス源140及び第2のプロセスガス源142は、それぞれ複数の異なるガスの流れを処理空間160に貯蔵及び制御するガスボックスであってもよい。
【0014】
[0017]他の実施態様と組み合わせられ得るいくつかの実施態様では、処理空間160への前駆体ガスの総流量は、約100sccmから約2slmである。第2の処理ガス源142から処理空間160内への前駆体ガスの流量は、組み合わされた前駆体ガスが処理空間160内に均一に分布するように、第1の処理ガス源140から処理空間160内への前駆体ガスの流量を調節する。一例では、複数の入口144がスペーサ110の周囲に円周方向に分布している。そのような例では、入口144のそれぞれへのガス流は、処理空間160内の前駆体ガスの均一な分配をさらに容易にするために、別々に制御される。
【0015】
[0018]リッド195は、ドーム、ノズル又はシャワーヘッドなどの、ガス分配器196を含む。ガス分配器196は、ライザ105を介してスペーサ110に連結されているが、ライザ105が省略されてもよく、ガス分配器196がスペーサ110に直接連結されてもよいことが想定される。他の実施態様と組み合わされ得るいくつかの実施態様では、ライザ105はガス分配器196と一体化されている。リッド195は熱交換器124を含む。熱交換器124は、ガス分配器196に取り付けられているか、又はガス分配器196と一体化されている。熱交換器124は、入口126と出口128とを含む。熱交換器124がガス分配器196と一体化されている実施態様では、熱交換流体は、入口126から流れ、ガス分配器内196に形成されたチャネル130を通り、出口128から出る。
【0016】
[0019]ガス分配器196は、マニホールド146に連結されているか又はマニホールド146と一体化されている。ガス分配器196は、導管150を通るプラズマの流れを容易にするための軸方向貫通孔152を有する混合アンプルなどの導管150によって、遠隔プラズマ源162に連結されている。導管150はマニホールド146に連結されているように図示されているが、導管150がガス分配器196に直接連結されるようにマニホールド146が導管150と一体化されていてもよいことが想定される。マニホールド146は、第1の処理ガス源140及びパージガス源156に連結されている。第1の処理ガス源140及びパージガス源156はどちらも、バルブ(図示せず)によってマニホールド146に連結され得る。
【0017】
[0020]リッド195は遠隔プラズマ源162に連結され得るが、いくつかの実施態様では、遠隔プラズマ源162は省略される。遠隔プラズマ源162は、存在する場合、処理空間160に洗浄ガスを提供するための供給ラインを介して洗浄ガス源166に連結されている。遠隔プラズマ源162が存在しない場合、洗浄ガス源166は、導管150に直接連結されている。遠隔プラズマ源162が存在しない場合、洗浄ガス源166は、導管150に間接的に連結されている。洗浄ガスは、導管150を通じて提供される。追加的に又は代替的に、いくつかの実施態様では、洗浄ガスは、前駆体ガスも処理空間160内に搬送するチャネルを通じて提供される。一例として、ガスは、分子状酸素(O2)及び/又はオゾン(O3)などの酸素含有ガスを含み得る。一例として、洗浄ガスは、NF3などのフッ素含有ガスを含み得る。一例として、洗浄ガスは、1つ又は複数の他のガスを含み得る。一例として、洗浄ガスは、ガスの組み合わせを含み得る。
【0018】
[0021]遠隔プラズマ源162に加えて、又はその代わりとして、リッド195は、第1の、又は上部の高周波(RF)電源168に連結されている。第1のRF電源168は、洗浄ガスから生成されたプラズマなどのプラズマの維持又は生成を容易にする。遠隔プラズマ源162が省略される実施態様では、洗浄ガスは、第1のRF電源168を介してその場でプラズマにイオン化され得る。基板支持体115は、第2の、又は下部のRF電源170に連結されている。第1のRF電源168は、高周波RF電源(例えば、約13.56MHzから約120MHz)であってもよく、第2のRF電源170は、低周波RF電源(例えば、約2MHzから約13.56MHz)であってもよい。その他の周波数も想定されることに、留意されたい。いくつかの実装形態では、第2のRF電源170は、混合周波数RF電源であり、高周波と低周波の両方の電力を提供する。2周波RF電源の利用、特に第の2RF電源170の利用は、膜の堆積を向上させる。一例では、約2MHzから約13.56MHzの第1の周波数は堆積された膜への種の注入を改善し、約13.56MHzから約120MHzの第2の周波数はイオン化と堆積された膜の堆積速度を向上させる。
【0019】
[0022]第1のRF電源168及び第2のRF電源170の一方又は両方は、処理空間160内にプラズマを作成又は維持する際に利用され得る。例えば、第2のRF電源170は、堆積プロセス中に利用されてもよく、第1のRF電源168は、洗浄プロセス中に利用されてもよい(単独で又は遠隔プラズマ源162と組み合わせて)。いくつかの堆積プロセスでは、第1のRF電源168は、第2のRF電源170と併せて使用される。堆積プロセス中、第1のRF電源168及び第2のRF電源170の一方又は両方は、前駆体ガスのイオン化を容易にするために、処理空間160に約100ワット(W)から約20,000Wの電力を提供する。本明細書に記載される他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、第1のRF電源168及び第2のRF電源170の少なくとも1つはパルス状である。本明細書に記載される他の実施態様と組み合わせることができる別の実施態様では、前駆体ガスはヘリウム及びC2H2を含む。本明細書に記載される他の実施態様と組み合わせることができる一実施態様では、C2H2は約10sccmから約1,000sccmの流量で提供され、ヘリウムは約50sccmから約10,000sccmの流量で提供される。
【0020】
[0023]基板支持体115は、Z方向へのその移動を提供するアクチュエータ172(例えば、リフトアクチュエータ)に連結されている。基板支持体115はまた、第2のRF電源170だけでなく、他の電力及び/又は流体接続との連通を維持しながら、基板支持体115の垂直移動を可能にするフレキシブルな設備ケーブル178に連結されている。スペーサ110は、チャンバ本体192上に配置される。スペーサ110の高さは、処理空間160内で基板支持体115を垂直に移動させることを可能にする。スペーサ110の高さは、約0.5インチから約20インチであり得る。一例では、基板支持体115は、リッド195に対して(例えば、ガス分配器196のデータム180に対して)第1の距離174から第2の距離176まで移動可能である。一実施態様では、第2の距離176は、第1の距離174の約3分の2である。例えば、第1の距離174と第2の距離との間の差は、約5インチから約6インチであり得る。したがって、
図1に示す位置から、基板支持体115は、ガス分配器196のデータム180に対して約5インチから約6インチ移動可能である。別の例では、基板支持体115は、第1の距離174及び第2の距離176のうちの一方で固定される。
【0021】
[0024]従来のプラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスとは対照的に、スペーサ110は、基板支持体115とリッド195との間の距離を大幅に増加させる(したがって、間の空間を増加させる)。基板支持体115とリッド195との間の距離が長くなることで、処理空間160内でのイオン化種の衝突が減少し、300メガパスカル(MPa)未満、例えば250MPaの応力といった固有応力の少ない膜の堆積をもたらす。応力の少ない堆積された膜は、膜が上に形成される基板の平坦性を向上させる(例えば、反りを少なくする)ことを容易にする。基板の反りが少なくなることで、下流のパターニング動作の精度が向上する。
【0022】
[0025]可変圧力システム120は、第1のポンプ182及び第2のポンプ184を含む。第1のポンプ182は、洗浄プロセス及び/又は基板搬送プロセス中に利用され得る粗引きポンプである。粗引きポンプは、概して、より高い体積流量の移動、及び/又は比較的高い(それでも大気圧以下であるが)圧力の操作のために構成されている。一例では、第1ポンプ182は、洗浄プロセス中に処理チャンバ100内の圧力を50mTorr未満に維持する。別の例では、第1のポンプ182は、処理チャンバ100内の圧力を約0.5mTorrから約10Torrに維持する。洗浄動作中の粗引きポンプの利用は、洗浄ガスの圧力及び/又は体積流量が比較的高くなることを容易にする(堆積動作と比較して)。洗浄動作中の圧力及び/又は体積流量が比較的高いため、チャンバ表面の洗浄が向上する。
【0023】
[0026]第2のポンプ184は、ターボポンプ又は極低温ポンプである。第2のポンプ184は、堆積プロセス中に利用される。第2のポンプ184は、概して、比較的低い体積流量及び/又は圧力を動作させるように構成されている。例えば、第2のポンプ184は、処理チャンバの処理空間160を約50mTorr未満の圧力に維持するように構成されている。別の例では、第2のポンプ184は、処理チャンバ内の圧力を約0.5mTorrから約10Torrに維持する。堆積中に維持される処理空間160の圧力が低下することにより、炭素系ハードマスクを堆積させる際に、応力が低下した膜及び/又はsp2-sp3変換が増加した膜の堆積が容易になる。このように、処理チャンバ100は、堆積を改善するための比較的低い圧力と、洗浄を改善するための比較的高い圧力との両方を利用するように構成されている。
【0024】
[0027]本明細書に記載される他の実施態様と組み合わせることができるいくつかの実施態様では、第1のポンプ182及び第2のポンプ184の両方が、処理チャンバの処理空間160を約50mTorr未満の圧力に維持するために堆積プロセス中に利用される。他の実施態様では、第1のポンプ182及び第2のポンプ184は、処理空間160の圧力を約0.5mTorrから約10Torrに維持する。第1ポンプ182及び第2ポンプ184の一方又は両方への導電経路を制御するために、バルブ186が利用される。バルブ186はまた、処理空間160からの対称的なポンピングを提供する。
【0025】
[0028]処理チャンバ100は、基板搬送ポート185も含む。基板搬送ポート185は、内部ドア190及び外部ドア191の一方又は両方によって選択的に封止されている。ドア190及び191のそれぞれは、アクチュエータ188(すなわち、ドアアクチュエータ)に連結されている。ドア190及び191は、処理空間160の真空封止を容易にする。ドア190及び191はまた、処理空間160内で対称的なRF印加及び/又はプラズマの対称性を提供する。一例では、少なくとも内部ドア190は、ステンレス鋼、アルミニウム、又はそれらの合金など、RF電力の伝導を容易にする材料で形成されている。スペーサ110とチャンバ本体192の界面に配置されたOリングなどのシール193は、処理空間160をさらに封止することができる。コントローラ194は、処理中にチャンバ100の態様を制御するよう構成されている。制御は、本明細書に記載された1つ又は複数の方法を実行するためのハードウェア及びソフトウェアを含む。
【0026】
[0029]動作において、処理チャンバ100は、基板上にアモルファスカーボン膜を堆積させるために利用される。従来のプロセスでは、欠陥が発生し、低品質の膜が生成される。これらの膜の厚さが増加すると、欠陥の発生は指数関数的に増加する。しかし、プラズマベースの間欠処理による応力緩和又は新規の処理化学など、本明細書に記載された方法を使用することにより、欠陥が低減される。
【0027】
[0030]
図2Aは、炭素膜などの膜における固有応力の蓄積を緩和するためのプラズマベースの処理のための方法200を図示する。動作202において、基板支持体115(
図1に示す)によって支持される基板118上に、PECVDを介して炭素のバルク層が堆積される。動作202では、アセチレン(C
2H
2)などの炭素含有前駆体ガスと、ヘリウム(He)などのキャリアガスが、処理チャンバの処理空間に導入されてイオン化され、容量結合プラズマが形成される。C
2H
2とHeは、基板上の炭素膜の堆積を容易にする。動作202は、約30秒から約120秒、例えば約45秒から約75秒の時間にわたって生じ得る。炭素膜は、約1Åから約1000Å、例えば約100Åから約500Åの範囲の第1の厚さに基板上に堆積される。処理チャンバの内部空間は、炭素膜堆積中に約3mTorrから約20mTorrの範囲の圧力に維持される。炭素含有ガスの流量は、約30sccmから約1000sccmの範囲である。炭素膜堆積中の基板の温度は、約10℃から約20℃の範囲である。基板上への堆積の結果、基板を収容する処理チャンバ内の内部表面上にも炭素が堆積する。基板支持体とガス分配器との間の間隔の増加(例えば、約4インチから約18インチ、例えば約6インチから約16インチ、例えば約7インチから約14インチ、例えば約11インチから約14インチ)に応じて作成される処理チャンバの比較的大きな処理空間により、基板上に堆積された膜は、チャンバの表面上に堆積した膜よりも低い固有応力で、多量のsp
3炭素を含む。動作202では、炭素含有前駆体としてC
2H
2ガスが記載されているが、他の炭素含有前駆体ガスも想定される。
【0028】
[0031]動作204において、炭素含有前駆体(例えば、アセチレン)の流れは、プラズマを消滅させることなく停止される(例えば、キャリアガスの流れは続く)。その他の処理条件はすべて、変更されないままであってもよい。キャリアガスを流し続け、RF電力を印加し続けることにより、処理チャンバ内に(キャリアガスの)プラズマが維持される。
【0029】
[0032]動作206において、窒素含有ガスが処理空間に導入され、窒素含有プラズマが生成される。窒素含有プラズマが生成されている間、基板は処理空間内に留まるため、処理スループットが向上することに留意されたい。窒素含有ガスには、アンモニア(NH3)、二原子窒素(N2)、又は三フッ化窒素(NF3)のうちの1つ又は複数が含まれる。NF3を利用する場合、NF3の基板への曝露時間が比較的短いこと(約5秒以下など)、及び後述の他のプロセス条件により、フッ素による炭素膜のエッチングが最小限に抑えられる。窒素含有プラズマは、炭素含有前駆体の非存在下で、約5秒未満又は約3秒未満、例えば約0.5秒から約3秒、例えば1秒の期間、維持される。窒素含有プラズマは、全堆積時間の約1%から約2%維持される(例えば、動作206中の処理時間は、動作202及び206の上部の処理時間の約1%から約2%である)。窒素含有プラズマが維持されている間、処理チャンバの内部空間は約3mTorrから約20mTorrの圧力に維持される。窒素含有ガスの流量は、約30sccmから約1000sccmである。基板の温度は、約10℃から約20℃の範囲である。窒素含有プラズマは、約1Åから約1000Å、例えば約100Åから約500Åの範囲の厚さを有する炭素膜の堆積の後に導入される。
【0030】
[0033]窒素含有プラズマへの基板の曝露時間が比較的小さいため、基板上の得られる炭素膜に、最小限の窒素が取り込まれるか又は窒素は全く取り込まれない。しかし、炭素膜を窒素に曝露すると、堆積された炭素膜の固有応力が低減される。例えば、基板上の炭素膜を窒素に曝露することにより、基板上の炭素膜の固有応力が低減され、反りの発生が抑えられ、下流の処理精度が向上する。同様に、処理チャンバの内部表面上の炭素膜を窒素に曝露することにより、処理チャンバ内表面の炭素膜の固有応力が低減される。処理チャンバの内部表面上に堆積した炭素膜は、基板上に堆積した炭素膜よりも品質が低い(例えば、sp3炭素が少ない)。動作206の窒素への曝露は、基板上に堆積された高品質の炭素膜よりも、チャンバ部品上の低品質の炭素膜の固有応力を低減する効果が大きい。この応力の低減により、内部チャンバ表面上の炭素膜の亀裂/剥離の発生を低減させ(これは窒素含有プラズマ曝露を行わない場合、膜厚が増加するにつれて指数関数的に増加する)、それにより基板上の汚染を低減する。さらに、基板上の炭素膜への窒素の取り込みが最小限であるため、本明細書に記載される窒素曝露プロセスを含まない同様のプロセスと比べて、炭素膜の特性を変化させることはない。
【0031】
[0034]動作208において、窒素含有ガスの流れは、プラズマを消滅させることなく停止される。プロセスを通じてプラズマ点火を維持することにより、窒素含有プラズマへの最小限の曝露、及び窒素含有ガスと炭素含有前駆体との間の迅速な移行が容易になる。動作210において、所望の膜厚に達するまで動作202から208が繰り返される。基板118などの基板上に形成される結果として生じる膜厚は、約5000Åから約3.5ミクロンの間、例えば1ミクロンと約3ミクロンの間であり得る。動作206のような断続的な処理を含めることにより、1ミクロン以上の炭素ハードマスク膜を堆積する場合、洗浄間の時間(又は堆積プロセス)を延長してスループットを向上させながら、汚染の発生を低減することができる。
【0032】
[0035]
図2Bは、本開示の別の実施態様による堆積方法250を示すフロー図である。方法250は、工程212で開始する。動作212において、基板支持体115(
図1を参照)によって支持される基板118上に、PECVDを介して炭素のバルク層が堆積され、炭素膜を形成する。堆積プロセスの結果、処理チャンバの内面にも炭素膜が堆積される。動作212では、アセチレン(C
2H
2)などの炭素含有前駆体ガスと、ヘリウム(He)などのキャリアガスが、処理チャンバの処理空間に導入されてイオン化され、容量結合プラズマが形成される。C
2H
2とHeは、基板上の炭素膜の堆積を容易にする。炭素膜は、約1Åから約1000Å、例えば約100Åから約500Åの範囲の第1の厚さに基板上に堆積される。動作202は、約30秒から約120秒、例えば約45秒から約75秒の時間にわたって生じ得る。動作212では、炭素含有前駆体としてC
2H
2ガスが記載されているが、他の炭素含有前駆体ガスも想定される。
【0033】
[0036]動作214において、炭素含有前駆体の流れは停止され、RF電力の印加が中断し、プラズマが消滅する。キャリアガスの流れは継続される。その他の処理条件はすべて変更されないままで、プロセス間の迅速な移行を容易にし、スループットが向上する。
【0034】
[0037]動作216において、NH3ガスが、任意選択的にヘリウムなどのキャリアガスと併せて、処理空間160に導入される。NH3ガスが処理空間内へ導入されている間、基板は処理空間内に留まるため、処理スループットが向上することに留意されたい。NH3の孤立電子対を利用して、膜上に炭酸水素表面が作成される。得られた炭素膜内には窒素はほとんど取り込まれない。NH3は触媒として作用し、その後の炭素堆積のための結合を促進する。NH3ガスは、炭素含有前駆体プラズマの非存在下で、約5秒未満又は約3秒未満、例えば約0.5秒から約3秒、例えば約1秒の期間、導入される。NH3ガスは、全堆積時間の約1%から約2%維持される(例えば、動作216は、動作212及び216の組み合わせた合計時間の約1%から約2%で生じる)。NH3ガスは、約1Åから約1000Å、例えば約100Åから約500Åの範囲の炭素膜の堆積後に導入される。NH3ガスの短い曝露時間は、アンモニア終端表面を作成するのに十分であり、これが炭素結合を改善する触媒として作用し、それによって処理チャンバの内面からの炭素膜の剥離を低減する。処理チャンバの内部表面上に堆積した炭素膜は、基板上に堆積した炭素膜よりも品質が低い(例えば、sp3含有量が低減している)。動作216のNH3への曝露は、基板上に堆積された高品質の炭素膜よりも、チャンバ部品上の低品質の炭素膜の固有応力を低減する効果が大きい。この応力の低減により、チャンバ表面上の炭素膜の亀裂/剥離の発生を低減させ(これは窒素含有プラズマ曝露を行わない場合、膜厚が増加するにつれて指数関数的に増加する)、それにより基板上の汚染を低減する。処理チャンバの内部空間は、動作216中に約3mTorrから約20mTorrの圧力で導入される。NH3ガスの流量は、約30sccmから約1000sccmの範囲である。動作216中の基板の温度は、約10℃から約20℃の範囲である。一例では、NH3は、動作216中、気体状態のままである。
【0035】
[0038]動作218において、NH3ガスの流れは停止され、その間、すべての他の処理条件は変更されないままである。動作220において、所望の膜厚に達するまで動作212から218が繰り返される。基板118などの基板上に形成される結果として生じる膜は、約5000Åから約3.5ミクロンの間、例えば約1ミクロンと約3ミクロンの間の厚さであり得る。
【0036】
[0039]
図3は、本開示の別の実施態様による、炭素ハードマスクなどの、炭素膜の堆積方法300を示すフロー図である。方法300は、固有応力欠陥を緩和するために、基板上及び処理チャンバの内面への超薄膜の堆積を含み、上述の方法200又は方法250のいずれかと組み合わせて使用することができる。
【0037】
[0040]方法300は、動作202で開始する。動作302において、基板支持体115(
図1を参照)によって支持される基板118上に、PECVDを介して炭素のバルク層が堆積され、炭素膜を形成する。堆積プロセスの結果、処理チャンバの内面にも炭素膜が堆積される。動作302では、アセチレン(C
2H
2)などの炭素含有材料と、ヘリウム又はアルゴンなどのキャリアガスとは、処理チャンバの処理空間へ導入され、イオン化されて容量結合プラズマを形成する。炭素含有前駆体及びキャリアガスは、基板上への炭素膜の堆積を容易にする。炭素膜は、約1Åから約1000Å、例えば約100Åから約500Åの範囲の第1の厚さに基板上に堆積される。動作302は、約30秒から約120秒、例えば約45秒から約75秒の時間にわたって生じ得る。動作302では、炭素含有前駆体としてC
2H
2ガスが記載されているが、他の炭素含有前駆体ガスも想定される。炭素含有前駆体(例えば、C
2H
2)対キャリアガス(例えば、He)流量の比は、動作302中、約1:1から約1:10、例えば、約1:2である。炭素含有前駆体ガスは、約30sccmから約1000sccmの範囲の流量で処理チャンバに提供される。基板の温度は、約10℃から約20℃の範囲内で堆積中に維持される。処理空間160の圧力は、約3mTorrから約20mTorrに維持される。
【0038】
[0041]動作304において、炭素含有前駆体ガス及びキャリアガスのプロセス化学は、例えば、キャリアガスの切り替え、追加のキャリアガスの導入、又は窒素含有ドーパントの導入によって、変更される。その他のプロセス化学の変化には、キャリアガス対炭素含有ガスの比を調整すること、又はチャンバ内の圧力、流量、RF電力、若しくはバイアス電力のうちの1つ又は複数を調整することが含まれてもよく、これらは処理空間内のラジカルの組成(例えば、ラジカル種及び/又はその間の相対比率)に直接又は間接的に影響を与える場合がある。一例では、動作302で炭素含有前駆体対キャリアガスの比が1:1であるのに対し、動作304で炭素含有前駆体対キャリアガスの比を1:5から1:10の範囲内に調整することができる。炭素含有前駆体対キャリアガスの比を変えることにより(又は上記の他のやり方でプロセス化学を変えることにより)、膜の応力及び微細構造を変化させることができる。前駆体ガス対不活性ガスの比、プラズマ電力、及び圧力を調整することにより、プラズマ中の種が結果的に変化し、炭素膜の応力及び微細構造を制御することができる。動作304で堆積された膜の厚さは、約1Åから約50Åの間、例えば約5Åから約30Åの間であり得る。
【0039】
[0042]別の実施態様では、動作304で窒素がドープされた膜が堆積される。この実施態様では、窒素又はNH3などの窒素系化合物は、膜の形状を制御するなどして、チャンバ本体への膜応力を制御する。NH3の孤立電子対は、炭素含有前駆体を分解する触媒として機能し、その結果、より優れた凝集力を備えた膜が成長する。この実施態様では、炭素含有前駆体及びキャリアガスに加えて、窒素含有ガスが約20sccmから約100sccmの流量で導入される。堆積された膜の窒素の濃度は約5原子%未満である。この実施態様では、炭素含有ガス対キャリアガスの流量比は1:1である。動作304で堆積された膜の厚さは、約1Åから約50Åの間、例えば約5Åから約30Åの間であり得る。動作304で堆積される窒素がドープされた膜は、動作302で堆積された炭素の約100Åから約500Åの堆積の後など、繰り返し発生し、層状の結果的な膜をもたらす。
【0040】
[0043]さらに別の実施態様では、アルゴンプラズマを利用して、動作304で炭素膜を堆積させる。ヘリウムの代わりにアルゴンプラズマが使用されてもよい。アルゴンとヘリウムとの間の変化した電子温度により、C2H2は異なって分解し(例えば、異なるラジカルに、及び/又はラジカルの異なる比に)、プラズマ密度を制御し、動作304で堆積された膜の微細構造を調節する。したがって、単一の炭素含有前駆体を使用するが、キャリアガスを交互に使用しながら、炭素膜は、基板上(及びそれに応じて処理チャンバの内面上)に堆積され得る。アルゴン及びヘリウムが例として使用されているが、他のキャリアガス(処理不活性ガス及び/又は希ガスなど)が動作302及び304において使用され得ることが想定される。したがって、堆積中に異なるタイミングで異なるキャリアガス組成を使用するだけで、堆積された膜の特性を調整することができる。
【0041】
[0044]動作306において、所望の膜厚に達するまで動作302から304が繰り返される。基板118などの基板上に形成される結果として生じる膜厚は、約1ミクロンと約3ミクロンの間の厚さである。
【0042】
[0045]本明細書で提供される実施例は、炭素膜の固有応力を調整し、基板の想定外の反りを緩和し、チャンバ部品からの炭素膜の剥離を緩和する。本明細書に記載される処理プロセスは、基板をチャンバの処理環境に残したまま行うことができ、スループットは向上するが、基板上の炭素ハードマスクなどの炭素膜をプロセス仕様内に維持したまま行うことができる。
【0043】
[0046]以上の記述は、本開示の実施態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱しない限り、本開示の他の実施態様及びさらなる実施態様を考案してもよい。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】