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特表2023-553224アーク発生を排除し、PVD処理の均一なガス分布を改良するためのガス注入処理キット
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  • 特表-アーク発生を排除し、PVD処理の均一なガス分布を改良するためのガス注入処理キット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】アーク発生を排除し、PVD処理の均一なガス分布を改良するためのガス注入処理キット
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/56 20060101AFI20231214BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
C23C14/56 H
C23C14/34 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542678
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 US2021063354
(87)【国際公開番号】W WO2022132799
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】17/121,603
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】サヴァンダイア キランクマール ニーラサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ラバン シェーン
(72)【発明者】
【氏名】レディー スンダラパンディアン ラマリンガ ヴィジャヤラクシミ
(72)【発明者】
【氏名】シュミーディング ランダル ディーン
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ ヨン
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029CA05
4K029DA05
4K029DC20
4K029DC21
4K029DC34
4K029DC35
4K029DC40
4K029DC41
4K029DC45
4K029JA01
(57)【要約】
本明細書には、処理チャンバ内で使用する処理シールドの実施形態が記載されている。いくつかの実施形態では、処理チャンバ内で使用する処理シールドが、上部および上部から下方および半径方向内側へ延びる下部を有する環状本体を含み、上部が、その上面に複数の環状トレンチを含み、複数の環状トレンチが、複数の環状トレンチを流体結合するために複数の環状トレンチ間に配された複数のスロットを有し、環状本体の外面から複数の環状トレンチの最も外側のトレンチまで1つまたは複数の入り口が延びている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバ内で使用する処理シールドであって、
上部および前記上部から下方および半径方向内側へ延びる下部を有する環状本体を備え、前記上部が、その上面に複数の環状トレンチを含み、前記複数の環状トレンチが、前記複数の環状トレンチを流体結合するために前記複数の環状トレンチ間に配された複数のスロットを有し、前記環状本体の外面から前記複数の環状トレンチの最も外側のトレンチまで1つまたは複数の入り口が延びている、処理シールド。
【請求項2】
前記複数の環状トレンチの隣り合う環状トレンチ間の前記複数のスロットの数が、前記最も外側のトレンチから最も内側のトレンチに向かって増加している、請求項1に記載の処理シールド。
【請求項3】
前記複数の環状トレンチが、前記最も外側のトレンチと前記最も内側のトレンチの間に配された第2のトレンチおよび第3のトレンチを含み、前記複数のスロットが、前記最も外側のトレンチと前記第2のトレンチの間の8つのスロット、前記第2のトレンチと前記第3のトレンチの間の16個のスロット、および前記第3のトレンチと前記最も内側のトレンチの間の32個のスロットを含む、請求項2に記載の処理シールド。
【請求項4】
前記1つまたは複数の入り口が4つの入り口を含む、請求項1に記載の処理シールド。
【請求項5】
前記環状本体の前記上面が凹部を含み、前記複数の環状トレンチが前記凹部から下方へ延びている、請求項1に記載の処理シールド。
【請求項6】
前記上部が冷却剤チャネルを含む、請求項1~5のいずれかに記載の処理シールド。
【請求項7】
前記複数の環状トレンチが、約0.2インチ~約0.05インチの幅を有する、請求項1~5のいずれかに記載の処理シールド。
【請求項8】
前記上部が、前記複数の環状トレンチの半径方向外側にOリング溝を含む、請求項1~5のいずれかに記載の処理シールド。
【請求項9】
前記下部が、前記上部から下方へ延びる第1のレッグ、前記第1のレッグから半径方向内側へ延びる第1のレッジ、および前記第1のレッジから上方へ延びる内側リップを含み、前記第1のレッグに貫通穴がない、請求項1~5のいずれかに記載の処理シールド。
【請求項10】
前記複数の環状トレンチの隣り合う環状トレンチ間の前記複数のスロットの数が、前記最も外側のトレンチから最も内側のトレンチに向かって増加している、請求項1~5のいずれかに記載の処理シールド。
【請求項11】
処理チャンバ内で使用する処理キットであって、
請求項1~5のいずれかに記載の前記処理シールドと、
前記処理シールド上に配された環状本体を有するカバーリングと
を備える処理キット。
【請求項12】
前記カバーリングを前記処理シールドの中央に置くために前記処理シールドに結合された1つまたは複数のセンタリングブッシングをさらに備える、請求項11に記載の処理キット。
【請求項13】
前記カバーリングが、前記環状本体から下方へ延びる外側レッグおよび内側レッグを含み、前記外側レッグが、前記1つまたは複数のセンタリングブッシングを収容するための1つまたは複数のスロットを含む、請求項12に記載の処理キット。
【請求項14】
前記1つまたは複数のセンタリングブッシングが3つのブッシングを含む、請求項11に記載の処理キット。
【請求項15】
内部容積をその中に有するチャンバ本体と、
前記内部容積内に配された基板支持体と、
前記内部容積内に配されたターゲットであり、前記基板支持体と前記ターゲットの間に処理空間を少なくとも部分的に画定するように前記基板支持体と向かい合わせに配された前記ターゲットと、
前記処理空間の外側境界を画定するために前記基板支持体および前記ターゲットの周囲に配された請求項1~5のいずれかに記載の処理シールドであって、前記処理シールドおよび前記ターゲットがそれらの間に暗部間隙を画定しており、前記処理シールドの前記複数の環状トレンチが前記暗部間隙に結合されている、前記処理シールドと、
前記ターゲットと前記処理シールドの間に配された分離リングと
を備える処理チャンバ。
【請求項16】
第1のガス供給をさらに備え、前記第1のガス供給が、前記第1のガス供給から前記複数の環状トレンチを通して前記暗部間隙へ1種または数種のガスを流すためのものである、請求項15に記載の処理チャンバ。
【請求項17】
前記チャンバ本体の下部から前記処理チャンバへ1種または数種の処理ガスを供給するように構成された第2のガス供給をさらに備える、請求項15に記載の処理チャンバ。
【請求項18】
前記処理シールドがその上面に凹部を含み、前記複数の環状トレンチが前記凹部から延びており、前記分離リングが前記凹部の中に配されている、請求項15に記載の処理チャンバ。
【請求項19】
前記処理シールドが、その中を通して冷却剤を流すように構成された冷却剤チャネルを含む、請求項15に記載の処理チャンバ。
【請求項20】
前記分離リングの内面と前記処理シールドの対向する表面との間の間隙が約0.02インチ~約0.1インチである、請求項15に記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は一般に基板処理機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理チャンバは通常、基板を支持するための基板支持体、および基板支持体と向かい合わせに配されたターゲットを含む。ターゲットは、処理中に基板上にスパッタリングする材料の供給源となる。プラズマ処理チャンバにRF電力を供給して、ターゲットと基板支持体の間に配された処理空間内でプラズマを発生させる。プラズマ処理チャンバは通常、望ましくない堆積からチャンバ壁を保護するための、およびプラズマを閉じ込めるための処理キットを含む。処理キットは一般に、処理シールドを含む。ターゲットと処理シールドの間の空間は、暗部と呼ばれている。高圧処理(>100ミリトル)のための基板の処理中には、ガス放出粒子などの汚染物質が暗部に流入することがあり、望ましくないアーク発生を引き起こすことがある。
【0003】
したがって、本発明者は、プラズマ処理チャンバ内で使用する改良された処理キットを提供した。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、処理チャンバ内で使用する処理シールドの実施形態が記載されている。いくつかの実施形態では、処理チャンバ内で使用する処理シールドが、上部および上部から下方および半径方向内側へ延びる下部を有する環状本体を含み、上部が、その上面に複数の環状トレンチを含み、複数の環状トレンチが、複数の環状トレンチを流体結合するために複数の環状トレンチ間に配された複数のスロットを有し、環状本体の外面から複数の環状トレンチの最も外側のトレンチまで1つまたは複数の入り口が延びている。
【0005】
いくつかの実施形態では、処理チャンバ内で使用する処理キットが、上部および上部から下方および半径方向内側へ延びる下部を有する処理シールドであって、上部が、その上面に複数の環状トレンチを含み、複数の環状トレンチが、複数の環状トレンチを流体結合するために複数の環状トレンチ間に配された複数のスロットを有し、処理シールドの外面から複数の環状トレンチの最も外側のトレンチまで1つまたは複数の入り口が延びている、処理シールドと、処理シールド上に配された環状本体を有するカバーリングとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、処理チャンバが、内部容積をその中に有するチャンバ本体と、内部容積内に配された基板支持体と、内部容積内に配されたターゲットであり、基板支持体とターゲットの間に処理空間を少なくとも部分的に画定するように基板支持体と向かい合わせに配されたターゲットと、処理空間の外側境界を画定するために基板支持体およびターゲットの周囲に配された処理シールドであって、処理シールドおよびターゲットがそれらの間に暗部間隙を画定しており、処理シールドが複数の環状トレンチを含み、複数の環状トレンチを暗部間隙に流体結合するために複数の環状トレンチ間に複数のスロットが配されている、処理シールドと、ターゲットと処理シールドの間に配された分離リングとを含む。
【0007】
以下では、本開示の他の実施形態および追加の実施形態を説明する。
【0008】
上に概要を簡潔に示した、後により詳細に論じる本開示の実施形態は、添付図面に示された本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態だけを示しており、したがって、添付図面を、範囲を限定するものとみなすべきではない。これは、本開示が、等しく有効な他の実施形態を受け入れる可能性があるためである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の少なくともいくつかの実施形態による、処理キットを有する処理チャンバの概略側面図である。
図2】本開示の少なくともいくつかの実施形態による、処理シールドの概略上面図である。
図3】本開示の少なくともいくつかの実施形態による、処理キットを有する処理チャンバの一部分の側断面図である。
図4】本開示の少なくともいくつかの実施形態による、処理キットを有する処理チャンバの一部分の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照符号を使用した。図は、原文に比例して描かれておらず、明瞭にするために簡略化されていることがある。特段の言及がなくとも、1つの実施形態の要素および特徴が、別の実施形態に有益に組み込まれることがある。
【0011】
本明細書には、処理チャンバ内で使用する処理キットの実施形態が記載されている。チャンバ壁へのターゲット材料の望ましくない堆積を防ぐため、この処理キットは、処理チャンバのターゲットの周囲に配された処理シールドを含む。ターゲットと処理シールドの間の空間は暗部と呼ばれている。本明細書に記載された処理シールドの実施形態は、その中を通して暗部へガスを流し、それによりガスカーテンを形成する複数のガスチャネルを有利に含み、このガスカーテンは、汚染物質が暗部に流入し、望ましくないアーク発生を引き起こすことを防ぐ。このガスは、パージガスまたは1種もしくは数種の処理ガスとすることができる。このガスが1種もしくは数種の処理ガスを含む場合、この複数のガスチャネルは、処理チャンバ内へのガス分布の均一性を有利に改良する。
【0012】
図1は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、処理キットを有する処理チャンバ100(例えばプラズマ処理チャンバ)の概略側面図を示している。いくつかの実施形態では、処理チャンバ100が、反応性処理用のPVD(物理的気相堆積)処理チャンバである。しかしながら、異なる処理用に構成された他のタイプの処理チャンバが本明細書に記載された処理キットの実施形態を使用することもでき、または異なる処理用に構成された他のタイプの処理チャンバを、本明細書に記載された処理キットの実施形態とともに使用する、または使用するように変更することもできる。
【0013】
処理チャンバ100は、内部容積120内の大気圧よりも低い圧力を基板処理の間、維持するように適当に適合された真空チャンバである。いくつかの実施形態では、処理チャンバ100が、約1ミリトル~約400ミリトルの圧力で基板を処理するのに適している。いくつかの実施形態では、処理チャンバ100が、約150ミリトル~約350ミリトルの圧力で基板を処理するのに適している。処理チャンバ100は、内部容積120の上半分に位置する処理空間119を囲うリッドアセンブリ104によってふたがされたチャンバ本体106を含む。チャンバ本体106およびリッドアセンブリ104は、アルミニウムなどの金属でできたものとすることができる。グラウンド115への結合によってチャンバ本体106を接地することができる。
【0014】
内部容積120内には、例えば半導体ウエハまたは静電的に保持することができる他の基板などの基板122を支持および保持するために、基板支持体124が配されている。基板支持体124は一般に、ペデスタル136上に配された静電チャック150、ならびにペデスタル136および静電チャック150を支持するための中空支持シャフト112を備えることができる。静電チャック150は、1つまたは複数の電極154がその中に配された誘電体プレートを備える。ペデスタル136は一般にアルミニウムなどの金属でできている。ペデスタル136はバイアス可能であり、プラズマ操作の間、ペデスタル136を、電気的浮遊電位に維持することまたは接地することができる。中空支持シャフト112は、例えば裏側ガス、処理ガス、流体、冷却剤、電力などを静電チャック150に供給するための導管を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態では、中空支持シャフト112が、アクチュエータまたはモータなどのリフト機構113に結合されており、リフト機構113は、上位の処理位置(図1に示されている)と下位の移送位置(図示せず)との間の静電チャック150の垂直移動を提供する。中空支持シャフト112の周囲にはベローズアセンブリ110が配されており、ベローズアセンブリ110は、フレキシブルシールを提供するために、静電チャック150と処理チャンバ100の底面126との間に結合されており、このフレキシブルシールは、静電チャック150の垂直運動を可能にし、同時に、処理チャンバ100内からの圧力の損失を防ぐ。ベローズアセンブリ110はさらに下部ベローズフランジ164を含み、下部ベローズフランジ164は、底面126と接触してチャンバ圧力の損失を防ぐのに資するOリング165または他の適当なシーリング要素と接触している。
【0016】
中空支持シャフト112は、チャック電源140およびRF源(例えばRF電源174およびRFバイアス電源117)を静電チャック150に結合するための導管を提供する。いくつかの実施形態では、RF電源174およびRFバイアス電源117が、対応するそれぞれのRF整合回路(RF整合回路116だけが示されている)を介して静電チャック150に結合されている。いくつかの実施形態では、基板支持体124が、ACバイアス電力またはDCバイアス電力を二者択一的に含むことができる。
【0017】
基板リフト130は、プラットホーム108上に装着されたリフトピン109を含むことができ、プラットホーム108はシャフト111に接続されており、シャフト111は、基板リフト130を上げ下げして、基板122を静電チャック150上に置くことまたは基板122を静電チャック150から取り外すことができるようにするための第2のリフト機構132に結合されている。プラットホーム108は、フープリフト(hoop lift)の形態をとることができる。静電チャック150は、リフトピン109を受け取るための貫通穴を含むことができる。基板リフト130が垂直運動している間、チャンバ圧力を維持するフレキシブルシールを提供するため、基板リフト130と底面126の間にベローズアセンブリ131が結合されている。
【0018】
処理空間119内には、ターゲット138が、ターゲット138と基板支持体124の間に処理空間119を少なくとも部分的に画定するように、基板支持体124と向かい合わせに配されている。基板支持体124は、ターゲット138のスパッタリング面に対して実質的に平行な平面を有する支持面を有する。いくつかの実施形態では、ターゲット138が、チタン、タンタルまたはアルミニウムでできている。ターゲット138は、DC電源190および/またはRF電源174の一方または両方に接続されている。DC電源190は、ターゲット138に、処理シールド105に対するバイアス電圧を印加することができる。
【0019】
ターゲット138は、バッキングプレート144に装着されたスパッタリングプレート142を備える。スパッタリングプレート142は、基板122上にスパッタリングする材料を含む。バッキングプレート144は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、銅-クロムまたは銅-亜鉛などの金属から製造されている。バッキングプレート144は、ターゲット138内で発生した熱を放散させるのに十分な大きさの熱伝導率を有する材料から製造することができ、このような熱は、スパッタリングプレート142およびバッキングプレート144内に生じた渦電流によって、さらに、発生したプラズマからの高エネルギーイオンのスパッタリングプレート142上への衝撃によって生じる。いくつかの実施形態では、バッキングプレート144が、スパッタリングプレート142とは反対の側に凹部146を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、処理チャンバ100が、ターゲット138のスパッタリングを改良するようにターゲット138の周囲の磁場を整形するための磁場発生装置156を含む。容量的に発生させたプラズマを、磁場発生装置156によって強化することができ、磁場発生装置156では、例えば複数の磁石151(例えば永久磁石または電磁コイル)が、基板122の平面に対して直角な回転軸を有する回転磁場を有する磁場を処理チャンバ100内に提供することができる。それに加えてまたはその代わりに、処理チャンバ100は、処理空間119内のイオン密度を増大させてターゲット材料のスパッタリングを改良するために、ターゲット138の近くに磁場を発生させる磁場発生装置156を備えることができる。複数の磁石151は、リッドアセンブリ104の空洞153の中に配することができる。ターゲット138を冷却するために、水などの冷却剤を空洞153の中に配すること、または水などの冷却剤を空洞153を通して循環させることができる。
【0021】
さまざまなチャンバ部品とイオン化した処理材料との間の望ましくない反応を防ぐため、処理チャンバ100は、このようなチャンバ部品の境界に位置する処理キット102を含む。処理空間119を少なくとも部分的に画定するために、処理キット102は、基板支持体124およびターゲット138を取り囲む処理シールド105を含む。例えば、処理シールド105は、処理空間119の外側境界を画定することができる。ターゲット138の外周面および処理シールド105は、ターゲット138と処理シールド105の間に暗部間隙194を画定する。暗部間隙194は、ターゲット138と処理シールド105の間のアーク発生を防ぐように構成されている。いくつかの実施形態では、処理シールド105がアルミニウムなどの金属でできている。いくつかの実施形態では、処理キット102が、静電チャック150の外縁の上に載った堆積リング170を含む。いくつかの実施形態では、処理キット102がカバーリング180を含み、カバーリング180は、カバーリング180と処理シールド105との間に蛇行したガス流路を形成するために処理シールド105上に配されている。
【0022】
処理チャンバ100は真空システム184に結合されており、かつ真空システム184と流体連結しており、真空システム184は、処理チャンバ100から排気するために使用されるスロットルバルブ(図示せず)およびポンプ(図示せず)を含む。スロットルバルブおよび/またはポンプを調整することによって、処理チャンバ100の内側の圧力を調節することができる。チャンバ本体106内およびチャンバ本体106外に基板122を移送することを容易にするために、チャンバ本体106にスリットバルブ148を結合し、スリットバルブ148をチャンバ本体106の側壁の開口と位置合わせすることができる。
【0023】
処理チャンバ100は第1のガス供給192に結合されており、第1のガス供給192は、処理シールド105を通して暗部間隙194の中へ1種または数種のガスを供給してガスカーテンを有利に形成するように構成されており、このガスカーテンは、暗部間隙194に入り、望ましくないアーク発生を引き起こす処理中の基板122からのガス放出を防ぐ。第1のガス供給192は、パージガスまたは1種もしくは数種の処理ガスを供給することができる。いくつかの実施形態では、第1のガス供給192が、窒素ガス、アルゴンガスまたは酸素ガスを供給することができる。いくつかの実施形態では、処理チャンバ100内に配された基板122を処理するためにチャンバ本体106の下部から(すなわち基板122の下方から)処理チャンバ100へ1種または数種の処理ガスを供給することができる第2のガス供給118に処理チャンバ100を結合し、かつ処理チャンバ100を第2のガス供給118と流体連結させることもできる。例えば、第2のガス供給118がアルゴンガスを供給している間に、第1のガス供給192が窒素ガスまたは酸素ガスを供給することができる。
【0024】
使用時、DC電源190が、ターゲット138およびDC電源190に接続された他のチャンバ部品に電力を供給している間に、RF電源174が、(例えば第1のガス供給192または第2のガス供給118からの)スパッタリングガスに電力を供給して、スパッタリングガスのプラズマを形成する。形成されたプラズマは、ターゲット138のスパッタリング面に衝突し、ターゲット138のスパッタリング面を衝撃して、ターゲット138の材料をスパッタリングし、基板122上に堆積させる。いくつかの実施形態では、RF電源174によって供給されるRFエネルギーの周波数を約2MHz~約60MHzの範囲とすることができ、または例えば2MHz、13.56MHz、27.12MHzもしくは60MHzなどの非限定的な周波数を使用することができる。いくつかの実施形態では、上記の複数の周波数のRFエネルギーを供給するために、複数の(すなわち2つ以上の)RF電源を提供することができる。基板支持体124にバイアス電圧を印加してプラズマからのイオンを基板122の方へ引きつけるために、追加のRF電源(例えばRFバイアス電源117)を使用することもできる。
【0025】
図2は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、処理キットを有する処理チャンバの一部分の側断面図を示している。処理キット102は処理シールド105を含み、処理シールド105は一般に、上部206および上部206から下方および半径方向内側へ延びる下部208を含む環状本体202を有する。いくつかの実施形態では、上部206が、処理シールド105を冷却するためにその中を通して冷却剤を循環させるための冷却剤チャネル230を含む。
【0026】
ターゲット138と処理シールド105の間には分離リング210が配されている。いくつかの実施形態では、上部206の上面212が、分離リング210を収容するための凹部228を含む。いくつかの実施形態では、上部206が、その上面212に複数の環状トレンチ204を含む。いくつかの実施形態では、複数の環状トレンチ204が凹部228から下方へ延びている。分離リング210と処理シールド105の間を密封するためのOリング238または他の適当なシーリングガスケットを収容するために、いくつかの実施形態では、上部206が、複数の環状トレンチ204の半径方向外側にOリング溝232を含む。
【0027】
処理シールド105は、処理シールド105の外面214から複数の環状トレンチ204の最も外側のトレンチ220まで延びる1つまたは複数の入り口218を含む。この1つまたは複数の入り口218は、第1のガス供給192から複数の環状トレンチ204にガスを供給するため、第1のガス供給192に流体結合されている。複数の環状トレンチ204を流体結合し、1つまたは複数の入り口218から最も内側のトレンチ222までのガス流路を提供するため、処理シールド105は、(図3に関して後に論じる)複数のスロットを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数の環状トレンチ204が、最も外側のトレンチ220と最も内側のトレンチ222の間に配された第2のトレンチ224および第3のトレンチ226を含む。いくつかの実施形態では、複数の環状トレンチ204のそれぞれのトレンチが約0.05インチ~約0.2インチの幅を有する。いくつかの実施形態では、複数の環状トレンチ204のそれぞれのトレンチが約0.3インチ~約0.4インチの深さを有する。図2には、4つのトレンチを含む複数の環状トレンチ204が示されているが、複数の環状トレンチ204は、5つ以上のトレンチまたは3つ以下のトレンチを含むこともできる。いくつかの実施形態では、最も内側のトレンチ222を除く複数の環状トレンチ204の全てのトレンチが、分離リング210の下に直接に配されている。いくつかの実施形態では、複数の環状トレンチ204の全てのトレンチが実質的に同様の幅および深さを有する。いくつかの実施形態では、実質的に同様のまたは約が、約10パーセント以内であることがある。
【0029】
図3は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、処理シールド105の概略上面図を示している。第1のガス供給192は、1つまたは複数の入り口218に流体結合されている。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の入り口218が、最も外側のトレンチ220まで延びる4つの入り口を含む。最も外側のトレンチ220を最も内側のトレンチ222に流体結合するため、処理シールド105は、複数の環状トレンチ204のそれぞれの環状トレンチ間に複数のスロット306を含む。いくつかの実施形態では、最も内側のトレンチ222の半径方向内側に配された処理シールド105の内側リング250が、処理空間に面した連続面を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、複数のスロット306が、1つまたは複数の入り口218から最も内側のトレンチ222まで実質的に等しい流路を提供するように配置されている。いくつかの実施形態では、複数の環状トレンチ204の隣り合う環状トレンチ間の複数のスロット306の数が、最も外側のトレンチ220から最も内側のトレンチ222に向かって増加している。いくつかの実施形態では、最も外側のトレンチ220から最も内側のトレンチ222に向かって、複数の環状トレンチ204の隣り合う環状トレンチ間で、複数のスロット306の数が2倍になっている。
【0031】
例えば、いくつかの実施形態では、複数のスロット306が、最も外側のトレンチ220と第2のトレンチ224の間に8つのスロットを含む。いくつかの実施形態では、最も外側のトレンチ220と第2のトレンチ224の間の8つのスロットが等間隔に配されている。いくつかの実施形態では、複数のスロット306が、第2のトレンチ224と第3のトレンチ226の間に16個のスロットを含む。いくつかの実施形態では、第2のトレンチ224と第3のトレンチ226の間の16個のスロットが等間隔に配されている。いくつかの実施形態では、複数のスロット306が、第3のトレンチ226と最も内側のトレンチ222の間に32個のスロットを含む。いくつかの実施形態では、第3のトレンチ226と最も内側のトレンチ222の間の32個のスロットが等間隔に配されている。
【0032】
図2に戻ると、分離リング210の内面と上部206の内側リング250の外面(すなわち処理シールド105の対向する表面)の間には、第1の間隙240が配されている。第1の間隙240は、最も内側のトレンチ222に流体結合されている。例えば、第1の間隙240は、第1の間隙240の開いた底部が最も内側のトレンチ222の開いた頂部の少なくとも一部分と一致するような態様で、最も内側のトレンチ222の上方に配することができる。いくつかの実施形態では、第1の間隙240が、最も内側のトレンチ222の幅よりも小さな幅を有する。いくつかの実施形態では、第1の間隙が約0.02インチ~約0.1インチである。内側リング250の上面とターゲット138の間には第2の間隙242が配されている。内側リング250の内面とターゲット138の間には暗部間隙194が配されている。第1のガス供給192から、1つまたは複数の入り口218、複数の環状トレンチ204、第1の間隙240、第2の間隙242および暗部間隙194を通って処理空間119内まで、流路が延びている。処理空間119内へのより均一なガス分布、したがって第1のガス供給192によって供給されたガスとターゲット材料のより均一な混合を有利に提供するため、第1の間隙240は、処理シールド105の周囲に沿って実質的に均一な距離に維持される。第1の間隙240が最も内側のトレンチ222の幅よりも小さな幅を有する実施形態では、処理空間119内へのより均一なガス分布、したがって第1のガス供給192によって供給されたガスとターゲット材料のより均一な混合を有利に提供するために、第1の間隙240が流れを制限する。
【0033】
いくつかの実施形態では、下部208が、上部206から下方へ延びる第1のレッグ244を含む。いくつかの実施形態では、下部208が、第1のレッグ244から半径方向内側へ延びる第1のレッジ(ledge)246を含む。いくつかの実施形態では、下部208が、第1のレッジ246から上方へ延びる内側リップ248を含む。いくつかの実施形態では、第1のレッグ244に貫通穴がない。いくつかの実施形態では、内側リップ248に貫通穴がない。
【0034】
いくつかの実施形態では、処理シールド105上にカバーリング180が配されている。カバーリング180は一般に、内側リップ248を収容するための下部溝254を下面に有する環状本体252を含む。いくつかの実施形態では、内側リップ248と下部溝254が、蛇行したガス流路を形成する。いくつかの実施形態では、カバーリング180の上面216が下方および半径方向内側へ傾斜している。カバーリング180と堆積リング170は、それらの間に、蛇行したガス流路を形成する。
【0035】
図4は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、処理キットを有する処理チャンバの一部分の側断面図を示している。カバーリング180を処理シールド105の中央に置くために、いくつかの実施形態では、処理シールド105に、1つまたは複数のセンタリングブッシング(centering bushing)410が結合されている。いくつかの実施形態では、カバーリング180が、下部溝254の両側に、環状本体252から下方へ延びる外側レッグ416および内側レッグ426を含む。いくつかの実施形態では、外側レッグ416が、1つまたは複数のセンタリングブッシング410を収容するための1つまたは複数のスロット420を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンタリングブッシング410が3つのブッシングを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンタリングブッシング410が等間隔に配されている。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンタリングブッシング410が、ファスナ430によって処理シールド105に結合されている。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンタリングブッシング410が、第1のレッジ246の開口450の中へ延びている。
【0036】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンタリングブッシング410が、丸みのある上面を有する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のスロット420が、角度の付いた側壁424を有する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のスロット420の角度の付いた側壁が、約5度~約15度の角度で下方および外側へ延びている。1つまたは複数のスロット420の角度の付いた側壁および1つまたは複数のセンタリングブッシング410の丸みのある上面は、再現可能な同心配置を有利に可能にし、処理シールド105に対するカバーリング180の同心熱膨張を可能にする。いくつかの実施形態では、処理シールド105とカバーリング180の間の蛇行したガス流路の中断を有利に最小化するため、1つまたは複数のセンタリングブッシング410が約0.3~約0.5インチの直径を有する。
【0037】
以上の説明は、本開示の実施形態を対象としているが、その基本的範囲を逸脱しない範囲で、本開示の他の実施形態および追加の実施形態が考案される可能性がある。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】