(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム検査システムにおけるトポロジーベースの画像レンダリング
(51)【国際特許分類】
H01J 37/22 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
H01J37/22 502H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532499
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2021082773
(87)【国際公開番号】W WO2022128374
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ハオイ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ビン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ケア,マーク,ジュリアン
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101FF02
5C101HH40
5C101HH42
5C101HH54
5C101HH58
5C101JJ07
(57)【要約】
本明細書では画像アライメントのシステム及び方法について開示する。この画像アライメントの方法は、サンプルの画像を取得することと、対応する参照画像に関連する情報を取得することと、対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、レンダリング画像をぼかすことにより、改変レンダリング画像を生成することであって、ぼかしの度合は、トポロジーの特徴に基づいていることと、サンプルの画像をぼかしたレンダリング画像と位置合わせすることと、を含み得る。この方法は、サンプルの画像とぼかしたレンダリング画像との間のアライメントに基づいて、サンプルの画像を対応する参照画像と位置合わせすることを更に含み得る。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像アライメント方法であって、
サンプルの画像を取得することと、
対応する参照画像に関連する情報を取得することと、
前記対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、前記レンダリング画像を改変することにより、改変レンダリング画像を生成することと、
前記サンプルの前記画像を前記改変レンダリング画像と位置合わせすることと、を含む、画像アライメント方法。
【請求項2】
前記サンプルの前記画像と前記改変レンダリング画像との間のアライメントに基づいて、前記サンプルの前記画像を前記対応する参照画像と位置合わせすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レンダリング画像の前記トポロジーの特徴に基づいて、前記レンダリング画像を改変することを更に含む、請求項1及び2の何れか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記トポロジーの前記特徴は、フィーチャのサイズ、形状、向き、若しくは境界、又は前記レンダリング画像の隣接するフィーチャ間の間隔を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記レンダリング画像を改変することは、ダウンサンプリングスケールに基づいて前記レンダリング画像をダウンサンプリングすることを含み、前記ダウンサンプリングスケールは、前記トポロジーの前記特徴に基づいている、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記レンダリング画像をダウンサンプリングすることは、前記レンダリング画像の前記トポロジーを実質的に維持する前記ダウンサンプリングスケールの最大値に基づいている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記レンダリング画像をダウンサンプリングすることは、凸ぼかし関数を使用して実施される、請求項5及び6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記凸ぼかし関数は、楕円関数を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記参照画像をダウンサンプリングすると、前記レンダリング画像がぼやける、請求項5~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルの前記画像は、荷電粒子ビーム画像、光学画像、又はデジタル画像を含む、請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記参照画像に関連する前記情報は、グラフィックデータベースシステム(GDS)フォーマット、グラフィックデータベースシステムII(GDS II)フォーマット、又はオープン・アートワーク・システム・インターチェンジ・スタンダード(OASIS)フォーマットの情報を含む、請求項1~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
画像アライメントシステムであって、
一組の命令を記憶するメモリと、
プロセッサであって、前記一組の命令を実行して前記画像アライメントシステムに、
サンプルの画像を取得させ、
対応する参照画像に関連する情報を取得させ、
前記対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、前記レンダリング画像を改変することにより、改変レンダリング画像を生成させ、
前記サンプルの前記画像を前記改変レンダリング画像と位置合わせさせる、ように構成されたプロセッサと、を含む、画像アライメントシステム。
【請求項13】
前記一組の命令は、更に、前記画像アライメントシステムに、前記サンプルの前記画像と前記改変レンダリング画像との間のアライメントに基づいて、前記サンプルの前記画像を前記対応する参照画像と位置合わせさせる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記一組の命令は更に、前記画像アライメントシステムに、前記レンダリング画像の前記トポロジーの特徴に基づいて前記レンダリング画像を改変させ、
前記トポロジーの前記特徴は、フィーチャのサイズ、形状、向き、若しくは境界、又は前記レンダリング画像の隣接するフィーチャ間の間隔を含む、請求項12及び13の何れか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記一組の命令は更に、前記画像アライメントシステムに、ダウンサンプリングスケールに基づいて前記レンダリング画像をダウンサンプリングさせ、前記ダウンサンプリングスケールは前記トポロジーの前記特徴に基づいており、ダウンサンプリングは、前記レンダリング画像の前記トポロジーを実質的に維持する前記ダウンサンプリングスケールの最大値に基づいている、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年12月16日に出願された米国特許出願第63/126,434号の優先権を主張し、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供する実施形態は、画像レンダリング技術に関し、より具体的には、荷電粒子ビーム検査装置から得られた検査画像と位置合わせさせるために画像をレンダリングするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 集積回路(IC)の製造工程では、未完成の又は完成した回路コンポーネントが、設計に従って製造されており欠陥が無いことを保証するために、検査される。走査型電子顕微鏡(SEM)などの、光学顕微鏡又は荷電粒子(例えば、電子)ビーム顕微鏡を利用した検査システムが用いられることがある。フィーチャサイズが光学解像限界を大幅に超えて縮小し続けるにつれて、製造及びバックエンド分析はより複雑になっている。具体的には、エッジ配置誤差(EPE)の制御は、半導体業界における先端テクノロジーノードのパターニングにおいて重要な役割を果たす。3D NAND及びFinFET ICにおいて高いスループット及び歩留まりを得るためには、EPEは0.5nm以下であることが期待され、フィーチャの配置及びアライメントにおいて高い精度及び再現性が必要になる。EPEの信頼性の高い測定は、品質管理、スループット、及び歩留まりの習熟において極めて重要な役割を果たす。エッジベース及び相関ベースの技術を含めて、既存のdie-to-database(D2DB)アライメント技術は、高いスループットを提供することができるが、相関ベースのアライメントは分散が大きく再現性が乏しいので、この技術は、DRAM又はFinFETなどの複雑なデバイス構造におけるフィーチャのアライメントには不適当である。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本明細書で提供する実施形態は、画像アライメント、特にウェーハメトロロジ及び検査のための、検査画像と参照画像又はレンダリング画像とのアライメントの、システム及び方法について開示する。
【0005】
[0005] 本開示の一態様は、画像アライメント方法に関する。この方法は、サンプルの画像を取得することと、対応する参照画像に関連する情報を取得することと、を含むことがある。この方法は更に、対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、レンダリング画像を改変することにより、改変レンダリング画像を生成することと、サンプルの画像をこの改変レンダリング画像と位置合わせすることと、を含むことがある。
【0006】
[0006] 本開示の別の態様は、画像アライメントシステムに関する。このシステムは、一組の命令を格納するメモリと、その一組の命令を実行して画像アライメントシステムにサンプルの画像を取得させ、且つ対応する参照画像に関連する情報を取得させるように構成されたプロセッサと、を備えることがある。この実行可能な一組の命令は更に、画像アライメントシステムに、対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、レンダリング画像を改変することにより、改変レンダリング画像を生成させ、且つ、サンプルの画像をこの改変レンダリング画像と位置合わせさせることがある。
【0007】
[0007] 本開示の別の態様は、装置に画像アライメント方法を実施させるように装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令、を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。この方法は、サンプルの画像を取得することと、対応する参照画像に関連する情報を取得することと、を含むことがある。この方法は更に、対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、レンダリング画像を改変することにより、改変レンダリング画像を生成することと、サンプルの画像をこの改変レンダリング画像と位置合わせすることと、を含むことがある。
【0008】
[0008] 本開示の別の態様は、画像アライメント方法に関する。この方法は、サンプルの画像を取得することと、対応する参照画像に関連する情報を取得することと、対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、レンダリング画像をぼかすことにより、改変レンダリング画像を生成することであって、ぼかしの度合は、トポロジーの特徴に基づいていることと、サンプルの画像をぼかされたレンダリング画像と位置合わせすることと、を含むことがある。
【0009】
[0009] 本開示の別の態様は、画像アライメントシステムに関する。このシステムは、一組の命令を格納するメモリと、その一組の命令を実行して画像アライメントシステムにサンプルの画像を取得させ、且つ対応する参照画像に関連する情報を取得させるように構成されたプロセッサと、を備えることがある。この実行可能な一組の命令は更に、画像アライメントシステムに、対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、レンダリング画像をぼかすことにより、改変レンダリング画像を生成させ、この際、ぼかしの度合は、トポロジーの特徴に基づいており、また、サンプルの画像をこのぼかしたレンダリング画像と位置合わせさせることがある。
【0010】
[0010] 本開示の実施形態の他の利点は、添付の図面と併せて取り入れられる以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明では、例示及び例として、本発明の特定の実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011]本開示の実施形態と整合性のある、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
【
図2】[0012]本開示の実施形態と整合性のある、
図1の例示的な電子ビーム検査システムの一部であり得る、例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
【
図3】[0013]本開示の実施形態と整合性のある、画像アライメントモジュールを含む、例示的なメトロロジシステムを示す。
【
図4A】[0014]本開示の実施形態と整合性のある、
図3のメトロロジシステムによって実施される画像アライメント方法の例示的なフローチャートを示す。
【
図4B】[0015]本開示の実施形態と整合性のある、画像レンダリング用のパラメータの選択に基づいて検査画像を位置合わせするための例示的な方法を示す。
【
図5】[0016]本開示の実施形態と整合性のある、例示的な画像アライメント方法を表す処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0017] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例は、添付の図面に示されている。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表現がない限り、異なる図面における同じ番号は、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明において記載される実装形態は、全ての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、開示される実施形態に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。例えば、いくつかの実施形態は、電子ビームの利用に関連して説明されるが、本開示は、そのように限定されない。他のタイプの荷電粒子ビームを同様に適用することができる。その上、光学撮像、写真検出、X線検出など、他の撮像システムを使用することができる。
【0013】
[0018] 電子デバイスは、基板と呼ばれるシリコン片上に形成された回路で構築される。多くの回路は、同じシリコン片上にまとめて形成することができ、集積回路又はICと呼ばれる。これらの回路のサイズは、劇的に減少しており、その結果、更に多くの回路を基板に適合させることができる。例えば、スマートフォンのICチップは、親指の爪ほどの大きさであるが、それにもかかわらず、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪のサイズの1/1000未満である。
【0014】
[0019] これらの極めて小さいICの作成は、多大な時間を要する複雑及び高価なプロセスであり、数百もの個々のステップを伴う場合が多い。1つのステップにおける誤差でさえ、完成ICに欠陥をもたらす可能性があり、それによって完成ICが無用なものとなる。従って、製造プロセスの目標の1つは、プロセスで作成される機能可能なICの数を最大化するため、すなわちプロセスの総歩留まりを向上させるために、そのような欠陥を回避することである。
【0015】
[0020] 歩留まりを向上させる要素の1つは、十分な数の機能可能な集積回路を生産することを保証するために、チップ作成プロセスをモニタすることである。プロセスをモニタする方法の1つは、それらの形成の様々な段階でチップ回路構造を検査することである。検査は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して行うことができる。SEMは、これらの極めて小さい構造を撮像するために使用することができ、実際には構造の「ピクチャ」を撮影する。画像は、構造が正しく形成されたかどうか、また構造が正しい場所に形成されたかどうかを判断するために使用することができる。構造に欠陥がある場合、欠陥が再発する可能性が低くなるようにプロセスを調整することができる。
【0016】
[0021] ICデザインレイアウトは、製造プロセスを通じてウェーハに転写される前に、平面状のジオメトリ、テキストラベル等を表すグラフィックデザインシステム(GDS又はGDS II)などのバイナリファイルフォーマットで保存される。このデータを使用して、ピクセルベースの画像を再構築又は「レンダリング」することができ、これは、視覚化、ウェーハ検査、又は他のメトロロジ用途のために使用することができる。10nm以下の半導体デバイスに向けた道のりにおいて、高速パターニング技術は有益であるが、検出するのが困難な望ましくない欠陥を持ち込むことがある。D2DB(Die-to-Database)検査技術が、高速検査のために一般的に使用され、この技術は、検査画像をデザインレイアウトと比較する。
【0017】
[0022] 既存のGDSレンダリング方法の幾つかの方法には、GDSパターンを参照して、ピクセルの位置に基づいて、ピクセルに異なる強度値を割り当てることが含まれる。この方法は、GDSデザインにおけるコンター及び形状の正確なレンダリングを提供することができるものの、とりわけ、中心からのずれ、高いミスアライメント率などの欠点がある。或いは、事前定義されたルールと、特定の画像について学習されたモデルとに基づいてGDS画像をレンダリングして、シミュレートされた検査画像を生成することができる。しかしながら、これを実行することは、リソースの負荷が高く、あまりユーザフレンドリーではないことがある。従って、アライメント誤差及び大きなEPEを軽減するために、D2DBアライメントのために精密で再現可能なテンプレートを提供するレンダリング方法における更なる改良が望ましいことがある。
【0018】
[0023] 本開示の幾つかの実施形態は、画像アライメントの装置及び方法に関する。このアライメント方法は、例えば、電子ビーム装置によって取り込まれるサンプル又はフィーチャの検査画像に対応する参照GDS画像に関連付けられた情報を取得することを含むことがある。この方法は更に、レンダリングパラメータに基づいて参照GDS画像をレンダリングすることと、レンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、トポロジー特徴に基づいて、レンダリングされた参照GDS画像を改変することと、を含むことがある。この方法は更に、検査画像と改変レンダリング画像との間のアライメントに基づいて、検査画像を参照GDS画像と位置合わせすることを含むことがある。
【0019】
[0024] 図面では、コンポーネントの相対寸法は、明確にするために拡大され得る。以下の図面の説明内では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。本明細書で使用される場合、別段の具体的な記述がない限り、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除いて、考えられる全ての組み合わせを包含する。例えば、コンポーネントがA又はBを含み得ることが記述される場合、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A若しくはB又はA及びBを含み得る。第2の例として、コンポーネントがA、B又はCを含み得ることが記述される場合、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA、B及びCを含み得る。
【0020】
[0025] ここで、
図1を参照すると、
図1は、本開示の実施形態と一致する、例示的な電子ビーム検査(EBI)システム100を図示する。
図1に示されるように、荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、装填・ロックチャンバ20、電子ビームツール40及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。説明及び図面は、電子ビームを対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するために使用されないことが理解される。
【0021】
[0026] EFEM 30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM 30は、追加の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、検査予定のウェーハ(例えば、半導体ウェーハ若しくは他の材料で作られたウェーハ)又はサンプルを含むウェーハ前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取る(以下では、ウェーハ及びサンプルは、集合的に「ウェーハ」と呼ばれる)。EFEM 30の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填・ロックチャンバ20にウェーハを移送する。
【0022】
[0027] 装填・ロックチャンバ20は、装填/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、装填/ロック真空ポンプシステムは、大気圧を下回る第1の圧力に達するように装填・ロックチャンバ20内の気体分子を取り除く。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填・ロックチャンバ20からメインチャンバ10にウェーハを移送する。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、メインチャンバ真空ポンプシステムは、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するようにメインチャンバ10内の気体分子を取り除く。第2の圧力に達した後、ウェーハに対して、電子ビームツール40による検査が行われる。いくつかの実施形態では、電子ビームツール40は、シングルビーム検査ツールを含み得る。他の実施形態では、電子ビームツール40は、マルチビーム検査ツールを含むことがある。
【0023】
[0028] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続することができ、また他のコンポーネントにも電子的に接続することができる。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータであり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。
図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填・ロックチャンバ20及びEFEM 30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部でもあり得ることが理解される。
【0024】
[0029] 本開示は、電子ビームツールを収納するメインチャンバ10の例を提供するが、本開示の態様は、広い意味において、電子ビームツールを収納するチャンバに限定されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は、他のチャンバにも適用できることが理解される。
【0025】
[0030] ここで、
図2を参照すると、
図2は、本開示の実施形態と一致する、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システム100の一部とすることができる電子ビームツール40の例示的な構成を図示する概略図を示す。電子ビームツール40(本明細書では装置40とも称される)は、カソード203と引出し電極205とガンアパーチャ220とアノード222を含み得る、電子エミッタを含み得る。電子ビームツール40は、クーロンアパーチャアレイ224と、コンデンサレンズ226と、ビーム制限アパーチャアレイ235と、対物レンズアセンブリ232と、電子検出器244とを更に含み得る。電子ビームツール40は、検査対象のサンプル250を保持するために電動ステージ234によって支持されたサンプルホルダ236を更に含み得る。他の関連するコンポーネントが、必要に応じて、追加又は省略され得ることを理解されたい。
【0026】
[0031] いくつかの実施形態では、電子エミッタは、カソード203と、アノード222とを含み得、一次電子は、カソードから放出され、抽出又は加速され、一次ビームクロスオーバー202を形成する一次電子ビーム204を形成することができる。一次電子ビーム204は、一次ビームクロスオーバー202から放出されたものとして視覚化することができる。
【0027】
[0032] いくつかの実施形態では、電子エミッタ、コンデンサレンズ226、対物レンズアセンブリ232、ビーム制限アパーチャアレイ235、及び電子検出器244は、装置40の一次光軸201と位置合わせされ得る。いくつかの実施形態では、電子検出器244は、二次光軸(図示せず)に沿って、一次光軸201から外れて配置され得る。
【0028】
[0033] 実施形態によっては、対物レンズアセンブリ232は、改変されたswing objective retarding immersion lens(SORIL)を含むことがあり、これは、磁極片232aと、制御電極232bと、偏向器240a、240b、240d、及び240eを含むビームマニピュレータアセンブリと、励磁コイル232dと、を含む。一般的なイメージングプロセスでは、カソード203の先端から放射された一次電子ビーム204は、アノード222に印加された加速電圧によって加速される。一次電子ビーム204の一部は、ガンアパーチャ220とクーロンアパーチャアレイ224のアパーチャとを通過し、ビーム制限アパーチャアレイ235のアパーチャを完全に又は部分的に通過するように、コンデンサレンズ226によって集束される。ビーム制限アパーチャアレイ235のアパーチャを通過する電子は、改変されたSORILレンズによって集束されてサンプル250の表面上にプローブスポットを形成し、ビームマニピュレータアセンブリの1つ又は複数の偏向器によって偏向されてサンプル250の表面を走査することがある。サンプル表面から放射された二次電子は、電子検出器244によって集められて、走査された関心エリアの画像が形成されることがある。
【0029】
[0034] 対物レンズアセンブリ232では、励磁コイル232d及び磁極片232aが、磁界を生成することがある。一次電子ビーム204によって走査されるサンプル250の一部は、この磁界の中に浸され、電気的に帯電することがあり、次いで、これにより、電界が生成される。この電界は、サンプル250の表面上の又は表面付近の、衝突する一次電子ビーム204のエネルギーを低減することがある。制御電極232bは、磁極片232aから電気的に絶縁されており、例えば、サンプル250上の及びサンプル250の上方の電界を制御して、対物レンズアセンブリ232の収差を低減し、検出効率を高めるために信号電子ビームの集束状況を制御するか、又は、サンプルを保護するためにアーク放電を回避することがある。ビームマニピュレータアセンブリの1つ又は複数の偏向器は、一次電子ビーム204を偏向させて、サンプル250上でのビーム走査を容易にすることができる。例えば、走査プロセスでは、偏向器240a、240b、240d、及び240eを制御して、一次電子ビーム204を、異なる時点でサンプル250の上部表面の異なる位置に偏向させて、サンプル250の異なる部分の画像を再構築するためのデータを提供することができる。なお、異なる実施形態では、240a~240eの順序は異なっていることがある。
【0030】
[0035] 後方散乱電子(BSE)及び二次電子(SE)は、一次電子ビーム204を受け取ると、サンプル250の一部から放出されることがある。ビームセパレータ240cは、後方散乱電子及び二次電子を含む、二次の又は散乱した電子ビームを、電子検出器244のセンサ表面に向けることができる。検出された二次電子ビームは、対応するビームスポットを電子検出器244のセンサ表面上に形成することができる。電子検出器244は、受け取った二次電子ビームスポットの強度を表す信号(例えば、電圧、電流)を生成し、コントローラ50などの、処理システムに信号を提供することができる。二次電子ビーム又は後方散乱電子ビーム及び結果として得られる二次電子ビームスポットの強度は、サンプル250の外部構造又は内部構造に応じて変化する可能性がある。また、上で論じたように、一次電子ビーム204は、異なる強度の二次又は散乱電子ビーム(及び結果として得られるビームスポット)を生成するために、サンプル250の上面の異なる位置へ偏向させることができる。それゆえ、二次電子ビームスポットの強度をサンプル250の位置にマッピングすることによって、処理システムは、ウェーハサンプル250の内部又は外部構造を反映する画像を再構築することができる。
【0031】
[0036] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、画像処理システムを含み得、画像処理システムは、画像取得器(図示せず)及びストレージ(図示せず)を含む。画像取得器は、1つ又は複数のプロセッサを含み得る。例えば、画像取得器は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイス及び同様のもの又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、中でもとりわけ、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はそれらの組み合わせなどの媒体を通して装置40の電子検出器244に通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、画像取得器は、電子検出器244から信号を受信し、画像を構築することができる。従って、画像取得器は、サンプル250の領域の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成、取得画像へのインジケータの重畳及び同様のものなどの様々な後処理機能を実行することもできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を実行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリ及び同様のものなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合し、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存し、及び後処理された画像を保存するために使用することができる。
【0032】
[0037] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、検出された二次電子と後方散乱電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ/デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓中に収集された電子分布データは、サンプル(例えば、ウェーハ)表面に入射した一次ビーム204の対応する走査経路データと組み合わせて、検査中のウェーハ構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル250の内部又は外部の構造の様々な特徴を明らかにするために使用することができ、従ってウェーハに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0033】
[0038] いくつかの実施形態では、コントローラ50は、検査中にサンプル250を動かすように電動ステージ234を制御することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ50は、電動ステージ234が、ある方向に一定の速さで継続的にサンプル250を動かせるようにすることができる。他の実施形態では、コントローラ50は、電動ステージ234が、走査プロセスのステップに応じて、サンプル250が動く速さを経時的に変更できるようにすることができる。
【0034】
[0039] ここで、
図3を参照すると、この図は、本開示の実施形態と整合性のある、例示的なメトロロジシステム300の概略図を示している。実施形態によっては、メトロロジシステム300は、検査画像310を取得及び生成するように構成された画像処理システム(図示せず)を含む電子ビームツール40、例えば装置400に関連付けられたデータを格納するように構成されたストレージモジュール320、及び画像アライメントモジュール360、を含むことがある。或いは、メトロロジシステム300は、
図2の装置40又は
図1のEBIシステム100の一部であり得る。
【0035】
[0040] 図示されていないが、画像処理システムの画像取得器(
図2を参照して考察した)は、検査画像310を取り込むように構成されることがある。実施形態によっては、検査画像310は、サンプル上のパターンの高分解能荷電粒子ビーム画像を含むことがある。本明細書で使用する場合、高分解能荷電粒子ビーム画像とは、例えばこれに限定するものではないが電子ビームツール40などの荷電粒子ビーム装置を使用して取り込まれた画像中の2つの別個のフィーチャであって、20nm未満の間隔を有する2つの別個のフィーチャ、を分離するのに十分な高さの分解能を有する画像を指す。検査画像310は、画像処理システムの画像取得器、又は高分解能画像を取得できる任意のそのようなシステムを使用して、取得されることがある。検査画像310は、サンプルの検査画像を生成することができる任意の荷電粒子ビームシステムによって、取得されることがある。サンプルは、例えば、半導体ウェーハ基板、又は、1つ若しくは複数のエピ層若しくはプロセスフィルムを有する半導体ウェーハ基板であり得る。本開示の実施形態は、システムが適切な分解能を有するウェーハ画像を生成し得る限り、特定のタイプの検査システムに限定するものではない。
【0036】
[0041] 実施形態によっては、検査画像310は、レビューモード画像であることがあり、これは、最適であるように意図された取得条件下で取得された画像である。レビューモード画像は、高分解能画像を取得するように最適化された検出器設定を少なくとも使用して取得された、より高い分解能、例えば、最適化された拡大率、最適化されたコントラスト及び輝度、最適化された荷電粒子ビーム強度等、を有することがある。実施形態によっては、検査画像310は、例えば、サンプル、又はウェーハ(例えば、
図2のウェーハ250)上のフィーチャ、又は基板上の関心領域、の低分解能画像であり得る。検査画像310は、画像処理システムの画像取得器、又は低分解能画像を取得できる任意のそのようなシステムを使用して、取得されることがある。検査画像310は、ウェーハ又はウェーハ上の関心領域の検査画像を生成することができる、SEMなどの、任意の荷電粒子ビーム検査システムによって、取得されることがある。
【0037】
[0042] 実施形態によっては、検査画像310は、オフラインモードで取得されることがある。本明細書で使用する場合、「オフライン」モードとは、システムが、実働生産工程におけるウェーハ処理のために利用されていないときの、画像取得器又はEBIシステム100の動作モードを指す。例えば、オフラインモードは、実際の検査が開始する前に、又は実際の処理が実行される前に、画像取得器又はEBIシステム100を動作させることを含むことがある。実施形態によっては、検査画像310は、例えば、独立型のEBIシステム又は画像取得器を含む、処理設備から離れて配置された画像取得器によって取得されることがある。オフラインモードで検査画像310を取得すると、SEM検査ツールのスループットを大幅に高めるのに役立つことがある、というのも、既存の参照画像を既存の検査画像310と比較することにより画像アライメントを行うことができるからである。
【0038】
[0043] 検査画像310は、画像処理システムのローカルストレージユニットに、又はメトロロジシステム300のストレージモジュール320に、又は画像アライメントモジュール360を含め、メトロロジシステム300のコンポーネントによってアクセス可能な、遠隔のストレージ場所(図示せず)、例えば、リモートデータベース、ネットワーク、サーバ、クラウドプラットフォーム等に、格納されることがある。ストレージモジュール320は、例えば画像アライメントモジュール360、電子ビームツール40を含む、メトロロジシステム300のコンポーネントと格納された情報を共有するように更に構成されることがある。実施形態によっては、ストレージモジュール320は、画像アライメントモジュール360の各コンポーネントと接続するように構成された、画像アライメントモジュール360の一体化されたストレージ媒体であり得る。ストレージモジュール320は、例えば、インターネット、クラウドプラットフォーム、又は適切なWi-fi通信経路を介して無線通信によりアクセス可能なリモートストレージモジュールであり得る。実施形態によっては、ストレージモジュール320は、情報を格納するように構成されたデータベースを含むことがある。データベースは、画像又は他の関連情報、例えば、ガイダンスパラメータ、品質指標等を格納するように構成されることもある。実施形態によっては、データベースは、例えば、画像アライメントモジュール360に直接的に結合されていることがある。データベースには、例えば、Oracle(商標)データベース、Sybase(商標)データベース、リレーショナルデータベース、又はHadoop(商標)シーケンスファイル、HBase(商標)、若しくはCassandra(商標)などの、非リレーショナルデータベースが含まれることがある。データベースは、データベースのメモリデバイスに格納されたデータに対するリクエストを受け取って処理し、データベースからデータを提供するように構成されたコンピューティングコンポーネント(例えば、データベース管理システム、データベースサーバ等)を含むことがある。実施形態によっては、データベースは、サーバ、コンピュータ、メインフレームコンピュータ、又はこれらのコンポーネントの任意の組み合わせ、の形態を取ることがある。開示される実施形態と整合性のある他の実装も、同様に可能である。
【0039】
[0044] 実施形態によっては、ストレージモジュール320は、とりわけ、ウェーハ設計、ツール条件、ツールパラメータ、製品設計、プロセス設計、欠陥分析、を含むがこれらに限定はされない情報を格納するように構成された情報ファイル330を含むことがある。例えば、情報ファイル330は、ウェーハデザインレイアウトをグラフィックデータベースシステム(GDS)フォーマット、又は、ウェーハ表面上のフィーチャのグラフィカルな表現を含むグラフィックデータベースシステムII(GDS II)フォーマット、又はオープン・アートワーク・システム・インターチェンジ・スタンダード(OASIS)フォーマットで含むことがある。ウェーハデザインレイアウトは、ウェーハを構築するためのパターンレイアウトに基づいていることがある。ウェーハデザインレイアウトは、例えば、フォトリソグラフィマスク又はレチクルからウェーハにフィーチャを転写するために使用される、1つ又は複数のフォトリソグラフィマスク又はレチクルに対応することがある。GDS情報ファイル又はOASIS情報ファイルは、ウェーハデザインレイアウトに関係する平面状の幾何形状、テキスト、及び他の情報を表す、バイナリファイルフォーマットで格納されたフィーチャ情報を含むことがある。OASISフォーマットは、データ量を大幅に減らすのに役立つことがあり、その結果、より効率的なデータ転送処理につながる。大量のGDS又はOASISフォーマット画像が収集されていることがあり、比較フィーチャの大規模なデータセットが構成されている場合がある。
【0040】
[0045] 情報ファイル330は、知識又はフィーチャのライブラリを更に含むことがあり、このライブラリは、ウェーハ上のフィーチャ又はパターンに関連した情報、例えば、構造物の相対的な向き、ウェーハ上のフィーチャの物理的な位置情報、ウェーハ上のフィーチャのx-y位置座標、フィーチャ間の間隔等の情報を含むことがある。実施形態によっては、情報ファイル330は、光学フォトリソグラフィのクリティカルディメンジョン及びクリティカルディメンジョン公差に関連付けられた情報を含むことがある。実施形態によっては、情報ファイル330は、とりわけ、ターゲットGDS情報、ターゲットGDS II情報、ターゲットOASIS情報を含むことがある。
【0041】
[0046] 実施形態によっては、情報ファイル330は、本明細書では「トレーニング」画像とも呼ばれる参照画像340を含むことがある。参照画像は、1つ又は複数の参照フィーチャに関連付けられた格納情報に基づいて形成されることがある。一例として、参照位置座標、参照寸法、参照配向等を有する、コンタクトパッドなどのフィーチャの2次元画像を含む参照画像は、格納されたデータに基づいて形成されることがある。参照画像340は、2値画像、グレースケール画像、又は光学画像を含むことがある。
【0042】
[0047] レンダリング画像350は、対応する参照画像(例えば、参照画像340)の2次元若しくは3次元のレンダリング、又は既存画像の改変を含むことがある。実施形態によっては、レンダリング画像350には、GDSレンダリング画像、OASISレンダリング画像、又はGDSIIレンダリング画像が含まれることがあるが、これらに限定はされない。レンダリング画像350は、ピクセルの行列によって表される参照画像を、数値の2次元の行列によって表される「カーネル」と畳み込むことにより、形成されることがある。カーネルを画像全体に渡って適用することにより、ぼかし、鮮明化、平滑化、エッジ検出等を含む画像処理技術が実行されることがある。カーネルのサイズは、例えば、3×3、又は5×5、又はm×n行列(m及びnは整数)などの次元の範囲に渡ることがある。レンダリング画像は、例えば、参照画像の行列とフィルタカーネルの行列との間の、畳み込みとしても知られる数学的演算により生成されることがあり、結果として得られるレンダリング画像の特徴は、ぼかしカーネル又は鮮明化カーネルのサイズなどの、フィルタカーネルの特徴に基づいていることがある。
【0043】
[0048] メトロロジシステム300は更に、少なくとも検査画像310及びレンダリング画像350を受け取り、検査画像310をレンダリング画像350と位置合わせするように構成された、画像アライメントモジュール360を含むことがある。画像アライメントモジュール360は、画像アライナー364及び出力デバイス362を含むことがある。実施形態によっては、図示していないが、画像アライメントモジュール360は更に、1つ若しくは複数のプロセッサ、又はデータストレージモジュールを含むことがある。
【0044】
[0049] 画像アライメントモジュール360は、1つ若しくは複数の検査画像、参照画像、又はレンダリング画像を、適切なフォーマット、例えばJoint Photographic Experts Group(JPEG)ファイル、Portable Network Graphic(PNG)ファイル、Portable Document Format(PDF)ファイル、Tagged Image File Format(TIFF)ファイル等で受け取るように構成されることがある。他の適切な画像フォーマットを使用することもできる。画像アライメントモジュール360は、ストレージモジュール320、リモートデータベース、電子ビームツール40、EBIシステム100等を含むがこれらに限定はされない1つ又は複数の供給源から画像を受け取るように構成されることがある。
【0045】
[0050] 実施形態によっては、画像アライメントモジュール360の画像アライナー364は、一組の命令を実行して画像アライメントモジュール360に関連機能を実施させるように構成されたプロセッサを含むことがある。画像アライナー364は、コンピューティングユニット、コンピュータ、プログラマブルIC回路、メインフレームコンピュータ、サーバ等を含むことがあり、有線接続又は無線接続の何れかを介して、出力デバイス362と結合されていることがある。実施形態によっては、出力デバイス362は、画像アライナー364内に統合されていることがある。その代わりに又はこれに加えて、出力デバイス362は、画像アライナー364又は画像アライメントモジュール360の一部ではないことがある。画像アライナー364は、ソフトウェア実装アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、フィーチャ識別若しくはフィーチャ抽出アルゴリズム、エッジ検出アルゴリズム等のうちの1つ又は複数を実行するように構成されることがある。
【0046】
[0051] 実施形態によっては、画像アライナー364又は画像アライメントモジュール360は、プロセッサ用の命令を記憶するように構成されたメモリ(図示せず)を含むことがある。メモリは、不揮発性メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等を含むことがある。実施形態によっては、画像アライメントモジュール360は、例えば、処理する必要があるデータ及び情報の量に基づいて、又は望む通りに、1つ又は複数のメモリを備えることがある。
【0047】
[0052] 画像アライメントモジュール360は更に、検査画像310と、レンダリング画像350又は参照画像340又はその両方とのアライメントに関連した情報を表示するように構成された出力デバイス362を含むことがある。実施形態によっては、出力デバイス362は、手持ち式表示デバイス、TV画面、コンピュータ画面、マルチ画面ディスプレイ、対話式表示デバイス等を含むことがある。他の適切な表示デバイスも同様に使用できる。出力デバイス362は、画像アライナー364内に、又は画像アライメントモジュール360内に、又はメトロロジシステム300内に統合されることがある。実施形態によっては、出力デバイス362は、遠隔地に配置され、画像アライメントモジュール360からは独立して動作する、単独型の別個の表示デバイスであり得る。
【0048】
[0053] ここで、
図4Aを参照すると、この図は、本開示の実施形態と整合性のある、画像アライメント方法400を示す例示的なフローチャートである。この画像アライメント方法は、EBIシステム100を含む、荷電粒子ビーム装置に結合することができる画像アライメントモジュール360によって、実施されることがある。荷電粒子ビーム装置は、ウェーハ又はウェーハ上の関心領域を画像化するように制御されることがあることを、理解されたい。画像化には、ウェーハを走査して、ウェーハの少なくとも一部、ウェーハ上のパターン、又はウェーハ自体を画像化することが含まれることがある。位置合わせには、取得された検査画像を、その検査画像に対応する参照画像のGDSレンダリング画像などのレンダリング画像と位置合わせすることが含まれることがあり、その際、参照画像のトポロジーがレンダリング画像中で実質的に維持されるようにする。本明細書で使用する場合、「実質的に維持される」という用語は、画像を改変する前の元のトポロジー特徴と比べて変化していないか又は類似している、改変画像のトポロジー特徴を指す。例えば、参照(元の)画像中で平行線によって表される2つのフィーチャが、改変画像、例えばダウンサンプリングされた画像又はアップサンプリングされた画像などにおいて平行のままである場合、トポロジーは、「実質的に維持され」ていると見なされる。
【0049】
[0054] ステップ410では、画像アライメントモジュール360は、検査画像415に対応する参照画像440に関連付けられた情報を取得するか、又は参照画像440そのものを取得することがある。参照画像440は、検査画像のパターン又は領域に対応するウェーハのパターン又は領域の元のGDS画像を含むことがある。画像アライメントモジュール360は、例えば、高分解能荷電粒子ビーム画像を生成するように構成された、電子ビームツール(例えば、
図2の電子ビームツール40)の出力ファイルから、又はストレージモジュール(例えば、
図3のストレージモジュール320)から、検査画像415を取得することがある。参照画像440は、例えば、位置合わせされるべき検査画像に対応する、2値スケール画像、グレースケール画像、光学画像、又はデジタル画像であり得る。実施形態によっては、画像アライメントモジュール360は、検査画像415に対応する参照画像に関連付けられた情報を取得し、参照画像440を生成するか、又は、ストレージモジュールの情報ファイル(例えば、
図3の情報ファイル330)から既存の参照画像440を取得することがある。
【0050】
[0055] 画像アライメントモジュール360は更に、参照画像440のトポロジー又はトポロジーの特徴を確認することがある。一例として、画像アライメントモジュール360は、
図4Aに示す参照画像440が、距離dだけ離れた平行な境界442及び444をそれぞれ有する2つのフィーチャ、フィーチャA及びフィーチャBを含む領域の画像であることを確認することがある。このシナリオでは、元のGDS画像又は参照画像440のトポロジーは、平行な境界を有する少なくとも2つのフィーチャと、それら2つのフィーチャの間の有限の間隔dと、を含むことがある。
【0051】
[0056] 画像アライメントモジュール360は、プロセッサであって、例えば、ソフトウェア実装アルゴリズムなどの一組の命令を実行してレンダリング画像445を形成し、その画像からトポロジー又はトポロジーの特徴を確認するように構成されたプロセッサを含むことがある。レンダリング画像445は、例えば、GDSレンダリング画像を含むことがある。画像のレンダリングには、とりわけ、パラメータを選択して、画像内のフィーチャの内部(例えば、FILLパラメータ)又は境界線(例えば、EDGEパラメータ)の何れかに基づいてフィーチャを識別することが含まれることがある。一例として、レンダリング画像445は、参照画像440のエッジレンダリングGDS画像を含むことがあり、そこでは、フィーチャAとフィーチャBとの間の空間の境界442及び444が識別される。レンダリング画像445は、2値画像であることがあり、この画像では、識別された関心パターン(例えば、境界442及び444)は、ピクセル強度「1」で表され、残りの領域は、ピクセル強度「0」で表される。
【0052】
[0057] ステップ420では、画像アライメントモジュール360は、レンダリング画像445のトポロジーを実質的に維持するように、レンダリング画像445を改変して、改変レンダリング画像450を形成することがある。改変レンダリング画像は、ぼかしたエッジのレンダリング画像(例えば、
図4Aの改変レンダリング画像450)か、又はぼかした内部塗りつぶしのレンダリング画像等を含むことがある。例として、レンダリング画像445を改変することにより形成された改変レンダリング画像450は、2つの実質的に平行で物理的に分解できる線であって、それらの線の間がある距離だけ離れている線、を示している。レンダリング画像445のトポロジーは、改変レンダリング画像450において実質的に維持されている。
【0053】
[0058] 実施形態によっては、レンダリング画像445の改変には、レンダリング画像445をダウンサンプリングすることにより、2値スケール画像からグレースケール画像を形成することが含まれることがある。本開示の文脈及び画像処理の文脈では、ダウンサンプリングとは、画像の2次元の表現を維持しながら空間分解能を低減するように、画像をダウンスケーリングすることを指す。画像をダウンサンプリングすると、画像又は画像の1つ若しくは複数のフィーチャがぼやけることがある。ダウンサンプリングの幾つかの利点としては、とりわけ、データの管理がし易くなること、データの次元数が低減すること、従って、データをより高速に処理できるようになること、データストレージのサイズが低減されること、などが挙げられるが、これらに限定するものではない。実施形態によっては、レンダリング画像445の改変には、レンダリング画像445のアップサンプリングが含まれることがある。アップサンプリングとは、画像の2次元の表現を維持しながら、空間分解能を向上させることを指す。アップサンプリングすると、画像又は画像の1つ若しくは複数のフィーチャが滑らかになったり又は鮮明化したりすることがある。
【0054】
[0059] 実施形態によっては、レンダリング画像445の改変は、レンダリング画像445のトポロジーに基づくことがある。レンダリング画像445は、ぼかしても、トポロジー又はトポロジーの特徴が実質的に維持されるように、トポロジーに基づいて、例えばダウンサンプリングにより、ぼかされることがある。例えば、レンダリング画像445をダウンサンプリングすると、改変レンダリング画像450が依然として、平行な境界を有する2つのフィーチャとそれらの境界の間の有限の間隔とを含むように、境界442及び444がぼやけることがある。実施形態によっては、本明細書ではダウンサンプリングスケール又はダウンサンプリング率と呼ばれる、レンダリング画像445の改変の度合又は程度は、トポロジーか、或いは、フィーチャのサイズ、形状、向き、若しくは境界、又は参照画像の隣接するフィーチャ間の間隔を含む、トポロジーの特徴、に基づくことがある。
【0055】
[0060] 一般的に、画像をダウンサンプリングすると、画像のフィーチャがぼやける。実施形態によっては、ダウンサンプリングスケールは、改変レンダリング画像450に示されるように、トポロジーの特徴が実質的に維持されるように、ある最大値に制限されることがある。ダウンサンプリングスケールの最大値は、レンダリング画像中の接続されたフィーチャの数が変更されないままであるようなダウンサンプリングスケールの値として定義されることがある。ダウンサンプリング率の最大値は、レンダリング画像445のトポロジーの特徴に基づくことがある。一例として、参照画像440のフィーチャA及びフィーチャBが、距離dだけ物理的に離れている場合、最大ダウンサンプリングスケールは、x未満であり得る。レンダリング画像445が最大ダウンサンプリング率を超えてダウンサンプリングされた場合、境界線442及び444が結合して物理的に分解不可能な単一のフィーチャが形成され、画像アライメント機構が機能しなくなることがある。実施形態によっては、画像アライメントモジュール360の画像アライナー364は、参照画像を検査画像310と位置合わせする前に、レンダリング画像445のダウンサンプリングを実施して、改変レンダリング画像450を形成することがある。
【0056】
[0061] 実施形態によっては、例えば、レンダリング画像445をフィルタカーネルと畳み込むことにより、レンダリング画像445を改変して改変レンダリング画像450を形成することがある。従って、レンダリング画像445に適用されるフィルタカーネルの1つ又は複数の特徴を最適化して、改変レンダリング画像450を形成することが有益である場合がある。フィルタカーネルの特徴を最適化することには、とりわけ、サイズを調節すること、畳み込み(数学的演算)を調節すること、フィルタカーネルの1つ又は複数の要素を調節すること、オフセットを調節すること、ガウスぼかし又は凸ぼかしを含むぼかし関数を調節すること、が含まれることがあるが、これらに限定はされない。例えば、ぼかし関数とカーネルサイズとの組み合わせを使用して、レンダリング画像445を改変して、改変レンダリング画像450を形成することができる。適宜、他の組み合わせも同様に使用することができる。
【0057】
[0062] ここで、
図4Bを参照すると、この図は、本開示の実施形態と整合性のある、画像レンダリング用のパラメータ選択に基づく画像アライメントの例示的な方法401を示している。画像アライナー(例えば、
図3の画像アライナー364)又は
図3の画像アライメントモジュール360は、方法401の1つ又は複数のステップを実施するように構成されることがある。メトロロジシステム300の他のコンポーネント又はメトロロジシステム300自体が、方法401の1つ又は複数のステップを実施することがあることを理解されたい。
【0058】
[0063] 画像アライメント方法401は、参照画像472及び対応する検査画像478を取得することを含むことがある。参照画像472及び検査画像478は、本明細書では元画像とも呼ばれる入力画像を含むことがある。参照画像は、例えば、アレイ状に配置されたフィーチャ474のGDS画像を含むことがある。検査画像478は、例えば、ウェーハ又は基板上に製造されるような対応するフィーチャ474のSEM画像を含むことがある。
【0059】
[0064] 実施形態によっては、画像アライメント方法401は、参照画像472をレンダリングしてレンダリング画像482を形成することを更に含むことがある。参照画像472をレンダリングすることは、とりわけ、フィーチャタイプ、フィーチャ強度、サンプリングの最小スケール及び最大スケールを含むがこれらに限定はされない1つ又は複数のパラメータの選択に基づいてレンダリングすることを含むことがある。
図4Bに見られるように、レンダリング画像482は、フィーチャ474をレンダリングする際の「EDGE」選択に基づくレンダリングGDS画像を含むことがある。実施形態によっては、この画像アライメント方法は更に、参照画像472をレンダリングして、フィーチャ474をレンダリングする際に「FILL」の選択に基づくレンダリングGDS画像を含むレンダリング画像486を形成することがある。
【0060】
[0065] 画像アライメント方法401は更に、レンダリング画像482を改変して、エッジ改変フィーチャ474_Eを含む改変レンダリング画像(図示せず)を形成すること、又は、レンダリング画像486を改変して、塗りつぶし改変フィーチャ474_Fを含む改変レンダリング画像(図示せず)を形成すること、を含むことがある。フィーチャを改変してレンダリング画像482及び486から改変レンダリング画像を生成することには、レンダリング画像のトポロジー又はトポロジーの特徴に基づいてレンダリング画像をダウンサンプリングすることが含まれることがある。
図4Bに見られるように、レンダリング画像482をダウンサンプリングすると、フィーチャ474のエッジがぼやけ、改変フィーチャ474_Eが生成されることがあり、レンダリング画像486をダウンサンプリングすると、フィーチャ474の内部がぼやけ、改変フィーチャ474_Fが生成されることがある。ダウンサンプリング率又はダウンサンプリングスケールは、
図4Aを参照して考察したように、ダウンサンプリングされるレンダリング画像のトポロジーに基づいて決定されることがある。
【0061】
[0066] 画像アライメント方法401は、検査画像478と、改変フィーチャ(例えば、改変フィーチャ474_E又は474_F)を含む改変レンダリング画像との間のアライメントに基づいて、検査画像478を参照画像472と位置合わせすることを更に含むことがある。位置合わせされた画像492は、フィーチャ474に対応する検査画像478のフィーチャとエッジ改変フィーチャ474_Eとの間のアライメントに基づく、検査画像478と参照画像472との間の例示的なアライメントを表す。実施形態によっては、位置合わせされた画像496は、フィーチャ474に対応する検査画像478のフィーチャと塗りつぶし改変フィーチャ474_Fとの間のアライメントに基づく、検査画像478と参照画像472との間の例示的なアライメントを表す。
【0062】
[0067] 半導体業界では、エッジ配置誤差(EPE)とは、ICレイアウトの意図されたフィーチャとプリントされたフィーチャとの間の差を指す。EPEの複数の原因のうちの1つは、ナノメートルサイズのフィーチャを正確な位置に正確にパターニングするという要件であり得る。例えば、フィーチャは、金属ライン又は相互接続部であることがあり、そのラインには右端及び左端がある。デバイスを構成するには、ライン及びその端は、精密であり、正しい位置に配置されなくてはならない。ラインを正確な位置に製造し位置決めするのに失敗すると、ミスアライメント又はEPEが生じ、デバイスの電気的短絡又は歩留まりの低下につながることがあり、これにより、チップ全体が故障することになり得る。一部の用途については、許容可能なエッジ配置誤差(EPE)が0.5nm以下に減少するので、EPEを信頼性高く且つ再現性高く測定することが有益であり得る。しかしながら、再現性の高いアライメントは難しいことがある、というのも、理由の一つとして、検査画像は、参照画像とは、とりわけ、強度、輝度、ノイズレベル、鮮明度、寸法、画像取得ツールの状態が異なっていることがあるからである。
【0063】
[0068] エッジベースのアライメント及び単純相関アライメントなどの、検査画像を参照画像と位置合わせするための既存のD2DB(die-to-database)アライメント技術には幾つかの利点があるものの、達成可能なアライメントの再現性及び精度は、特にDRAMデバイスにおいて、縮小しているデバイスジオメトリに対しては、不十分であることがある。アライメントの精度を制限する幾つかの問題のうちの1つには、エッジ方向のドリフトが含まれる。EPEに対するエッジ方向ドリフトの影響を軽減するために、検査画像を、例えば参照GDSパターンの中心と再現性高く正確に位置合わせする方法を提供することが有益である場合がある。
【0064】
[0069] 幾つかの開示する実施形態では、検査画像を参照GDS画像と位置合わせする方法には、単純相関技法の適応フィルタ機構が含まれることがある。適応フィルタ機構は、参照GDS画像のトポロジー又はトポロジーの特徴に基づいて、畳み込み行列を使用して、参照GDS画像を改変することを含むことがある。検査画像中の検査フィーチャの幅がwsであり、対応する参照GDSフィーチャの幅がwGである場合、検査フィーチャのエッジから参照GDSフィーチャのエッジまでの最適な距離x’は、式1によって表されることがある。
【数1】
相関指標がx’で最大になることを保証するために、フィルタカーネルfは次式を満足しなければならない。
【数2】
参照画像440において示されるように、フィルタカーネルfがインパルス関数として実装される場合、相関指標は次式の場合に、最大化されることがある。
x=0又はw
G-w
s (式3)
【0065】
[0070] 再び
図4Aを参照すると、実施形態によっては、楕円又はボール関数を含む凸ぼかしカーネルが、検査フィーチャを参照GDSフィーチャの中心に確実に配置することがある。実施形態によっては、レンダリング画像445を改変して改変レンダリング画像450を形成することは、カーネルサイズsを選択することを更に含むことがある。更に、カーネルサイズs’を有するカーネルを識別することが望ましいことがあり、このカーネルは、レンダリング画像445と畳み込まれると、レンダリング画像445のトポロジーを実質的に維持しながら、最大のダウンサンプリングをもたらすものである。最大カーネルサイズs’は、トポロジーの特徴に基づいて決定されることがある。例えば、最大カーネルサイズs’は、レンダリング画像445におけるフィーチャAとフィーチャBとの間の間隔に基づいて決定されることがある。s<s’である場合には、レンダリング画像445と検査画像との間の中心合わせされたアライメントが得られることがあるが、s>s’である場合には、中心合わせされたアライメントは失敗することがある、というのも、レンダリングGDS画像のトポロジーが変わってしまっていることがあるからである。更に、s<<s’である場合には、検査画像をレンダリング画像445と中心合わせすることは困難であることがあり、従って、検査画像が参照画像440とミスアライメントされることになり得る。
【0066】
[0071] 一例として、フィーチャAとBのそれぞれの境界442と444の間隔が80nmである場合、サイズが40~79nmのフィルタカーネルを用いたGDSレンダリング画像は、検査画像415と参照画像440との間で中心合わせされたアライメントをもたらすことができる。参照画像440が80nm以上のカーネルサイズを用いてレンダリングされる場合、中心合わせされたアライメントは失敗するであろう、というのも、例えば境界442と444との間隔などのトポロジーが変わってしまうことがあるからである。
【0067】
[0072] ステップ430では、画像アライメントモジュール360の画像アライナー364は、
図3の検査画像310に似た検査画像415を、改変レンダリング画像450と位置合わせすることがある。画像アライナー364は更に、検査画像415と改変レンダリング画像450との間のアライメントに基づいて、検査画像415(例えば、SEM画像)を参照画像440と位置合わせして、位置合わせされた画像460を形成することがある。
【0068】
[0073] ここで、
図5を参照すると、この図は、本開示の実施形態と整合性のある、
図3のメトロロジシステム300を使用した、画像アライメントの方法500を表す例示的な処理フローチャートを示している。方法500のステップは、例示の目的で、例えば
図1のコントローラ50などのコンピューティングデバイス上で、又はコンピューティングデバイスのフィーチャを使用して他の態様で、
図3の画像アライメントモジュール360が実行することにより、実施されることがある。図示した方法500は、ステップの順序を変更するように、且つ、追加のステップを含んだり又はステップを省略したりするように、変更されることがあることを理解されたい。
【0069】
[0074] ステップ510では、画像アライメントモジュール360が、検査画像(例えば、
図3の検査画像310)を取得することがある。検査画像は、ウェーハ上のパターン又は領域又はフィーチャの電子ビーム画像などの、荷電粒子ビーム画像であり得る。検査画像は、高分解能電子ビーム画像、高分解能光学画像、高分解能デジタル画像、又は画像アライメントに使用できる適切な分解能の他の画像であり得る。検査画像は、電子ビーム検査システム又は電子ビームツール(例えば、
図2の電子ビームツール40)の画像取得器を使用して取り込まれることがある。実施形態によっては、検査画像は、取得され、ストレージモジュール(例えば、
図3のストレージモジュール320)に一時的に格納されることがある。画像アライメントモジュールは、必要に応じて、検査画像にアクセス又は検査画像を取得することがある。
【0070】
[0075] ステップ520では、画像アライメントモジュールは、検査画像に対応した参照画像(例えば、
図3の参照画像340、又は
図4Aの参照画像440)に関連する情報を取得することがある。参照画像に関連する情報は、ストレージモジュール内の情報ファイル(例えば、
図3の情報ファイル330)に格納されていることがある。この情報は、ウェーハデザインレイアウト情報として、グラフィックデータベースシステム(GDS)フォーマット、又は、ウェーハ表面上のフィーチャのグラフィカルな表現を含むグラフィックデータベースシステムII(GDS II)フォーマット、又はオープン・アートワーク・システム・インターチェンジ・スタンダード(OASIS)フォーマットで格納されていることがある。GDS情報ファイル又はOASIS情報ファイルは、ウェーハデザインレイアウトに関係する平面状の幾何形状、テキスト、及び他の情報を表す、バイナリファイルフォーマットで格納されたフィーチャ情報を含むことがある。画像アライメントモジュールのプロセッサは、検査画像に対応したパターン又はフィーチャに関連した情報を確認し、GDSフォーマットのこの確認された情報又は参照GDS画像を、画像アライメントモジュールのストレージユニットにインポートすることがある。
【0071】
[0076] ステップ530では、画像アライメントモジュールは、対応する参照画像に関連した情報に基づいてレンダリング画像(例えば、レンダリング画像445)を形成し、その画像からトポロジー又はトポロジーの特徴を確認することがある。レンダリング画像は、例えば、GDSレンダリング画像を含むことがある。画像のレンダリングには、とりわけ、パラメータを選択して、画像内のフィーチャの内部(例えば、FILLパラメータ)又は境界線(例えば、EDGEパラメータ)の何れかに基づいてフィーチャを識別することが含まれることがある。一例として、レンダリング画像は、参照画像のエッジレンダリングGDS画像、又は参照画像の塗りつぶしレンダリングGDS画像を含むことがある。レンダリング画像445は、2値画像であり得る。
【0072】
[0077] ステップ540では、画像アライメントモジュールは、レンダリング画像のトポロジーに基づいてレンダリング画像を改変して、レンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、改変レンダリング画像(例えば、
図4Aの改変レンダリング画像450)を形成することがある。レンダリング画像の改変には、レンダリング画像をダウンサンプリングすることにより、2値スケール画像からグレースケール画像を形成することが含まれることがある。実施形態によっては、レンダリング画像の改変は、レンダリング画像のトポロジーに基づくことがある。レンダリング画像は、ぼかしの量が、トポロジー又はトポロジーの特徴を実質的に維持し得るように、トポロジーに基づいて、例えばダウンサンプリングにより、ぼかされることがある。実施形態によっては、本明細書ではダウンサンプリングスケール又はダウンサンプリング率と呼ばれる、レンダリング画像の改変の度合又は程度は、トポロジーか、或いは、フィーチャのサイズ、形状、向き、若しくは境界、又はレンダリング画像の隣接するフィーチャ間の間隔を含む、トポロジーの特徴、に基づくことがある。例えば、レンダリング画像のトポロジーを変えることなく、レンダリング画像を最大サイズのフィルタカーネルと畳み込むことにより、レンダリング画像を改変して、改変レンダリング画像を形成することがある。
【0073】
[0078] ステップ550では、画像アライメントモジュールは、検査画像を、ステップ540での改変レンダリング画像と位置合わせすることがある。画像アライメントモジュールは更に、検査画像とレンダリング画像との間のアライメントに基づいて、検査画像を対応する参照画像(例えば、参照GDS画像)と位置合わせして、位置合わせされた画像(例えば、
図4Aの位置合わせされた画像460)を形成することがある。アライメントは、適用される畳み込みフィルタのカーネルサイズに基づくことがある。例えば、フィルタカーネルのサイズが、ダウンサンプリング中にトポロジーを実質的に維持することができる最大カーネルサイズよりも小さい場合、検査画像を、対応するGDSフィーチャの中心と位置合わせすることができる。しかしながら、カーネルフィルタのサイズが最大カーネルサイズよりも大きい場合、トポロジーが変わってしまうので、アライメントは失敗することがある。
【0074】
[0079] 画像検査、画像取得、荷電粒子源の作動、非点収差補正器の電気的励起の調節、電子の着地エネルギーの調節、対物レンズ励起の調節、ステージの動きの制御、一次電子ビームを偏向させるためのビーム偏向器の作動、AC電圧を含む電気的励起信号の印加などを実行するための、コントローラ(例えば、
図1のコントローラ50)のプロセッサ用の命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体が提供されることがある。非一時的な媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は任意の他の磁気データ記憶媒体、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、任意の他の光学データ記憶媒体、穴のパターンを有する任意の物理媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、FLASH-EPROM、又は任意の他のフラッシュメモリ、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、キャッシュ、レジスタ、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、及びそれらのネットワーク版、が挙げられる。
【0075】
[0080] 実施形態については、以下の条項を使用して、更に説明することができる。
1.画像アライメント方法であって、
サンプルの画像を取得することと、
対応する参照画像に関連する情報を取得することと、
対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、レンダリング画像を改変することにより、改変レンダリング画像を生成することと、
サンプルの画像を改変レンダリング画像と位置合わせすることと、を含む方法。
2.サンプルの画像と改変レンダリング画像との間のアライメントに基づいて、サンプルの画像を対応する参照画像と位置合わせすることを更に含む、条項1に記載の方法。
3.レンダリング画像のトポロジーの特徴に基づいて、レンダリング画像を改変することを更に含む、条項1及び2の何れか一項に記載の方法。
4.トポロジーの特徴は、フィーチャのサイズ、形状、向き、若しくは境界、又はレンダリング画像の隣接するフィーチャ間の間隔を含む、条項3に記載の方法。
5.レンダリング画像を改変することは、ダウンサンプリングスケールに基づいてレンダリング画像をダウンサンプリングすることを含み、ダウンサンプリングスケールは、トポロジーの特徴に基づいている、条項1~4の何れか一項に記載の方法。
6.レンダリング画像をダウンサンプリングすることは、レンダリング画像のトポロジーを実質的に維持するダウンサンプリングスケールの最大値に基づいている、条項5に記載の方法。
7.レンダリング画像をダウンサンプリングすることは、凸ぼかし関数を使用して実施される、条項5及び6の何れか一項に記載の方法。
8.凸ぼかし関数は、楕円関数を含む、条項7に記載の方法。
9.参照画像をダウンサンプリングすると、レンダリング画像がぼやける、条項5~8の何れか一項に記載の方法。
10.サンプルの画像は、荷電粒子ビーム画像、光学画像、又はデジタル画像を含む、条項1~9の何れか一項に記載の方法。
11.参照画像に関連する情報は、グラフィックデータベースシステム(GDS)フォーマット、グラフィックデータベースシステムII(GDS II)フォーマット、又はオープン・アートワーク・システム・インターチェンジ・スタンダード(OASIS)フォーマットの情報を含む、条項1~10の何れか一項に記載の方法。
12.画像アライメントシステムであって、
一組の命令を記憶するメモリと、
プロセッサであって、その一組の命令を実行して画像アライメントシステムに、
サンプルの画像を取得させ、
対応する参照画像に関連する情報を取得させ、
対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、レンダリング画像を改変することにより、改変レンダリング画像を生成させ、
サンプルの画像を改変レンダリング画像と位置合わせさせる、ように構成されたプロセッサと、を含む、画像アライメントシステム。
13.その一組の命令は、更に、画像アライメントシステムに、サンプルの画像と改変レンダリング画像との間のアライメントに基づいて、サンプルの画像を対応する参照画像と位置合わせさせる、条項12に記載のシステム。
14.その一組の命令は更に、画像アライメントシステムに、レンダリング画像のトポロジーの特徴に基づいてレンダリング画像を改変させ、ここで、トポロジーの特徴は、フィーチャのサイズ、形状、向き、若しくは境界、又はレンダリング画像の隣接するフィーチャ間の間隔を含む、条項12及び13の何れか一項に記載のシステム。
15.その一組の命令は更に、画像アライメントシステムに、ダウンサンプリングスケールに基づいてレンダリング画像をダウンサンプリングさせ、このダウンサンプリングスケールはトポロジーの特徴に基づいており、ダウンサンプリングは、レンダリング画像のトポロジーを実質的に維持するダウンサンプリングスケールの最大値に基づいている、条項14に記載のシステム。
16.その一組の命令は更に、画像アライメントシステムに、楕円関数を含む凸ぼかし関数を使用してレンダリング画像をダウンサンプリングさせる、条項14に記載のシステム。
17.装置に画像アライメントの方法を実施させる、装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な一組の命令、を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、この方法は、
サンプルの画像を取得することと、
対応する参照画像に関連する情報を取得することと、
対応するレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、対応する参照画像のレンダリング画像を改変することにより、改変レンダリング画像を生成することと、
サンプルの画像を改変レンダリング画像と位置合わせすることと、を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
18.その一組の命令は、更に、装置に、サンプルの画像と改変レンダリング画像との間のアライメントに基づいて、サンプルの画像を対応する参照画像と位置合わせさせる、ように実行可能である、条項17に記載のコンピュータ可読媒体。
19.その一組の命令は更に、装置に、ダウンサンプリングスケールに基づいてレンダリング画像をダウンサンプリングさせる、ように実行可能であり、このダウンサンプリングスケールはトポロジーの特徴に基づいており、ダウンサンプリングは、レンダリング画像のトポロジーを実質的に維持するダウンサンプリングスケールの最大値に基づいている、条項17及び18の何れか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
20.画像アライメント方法であって、
サンプルの画像を取得することと、
対応する参照画像に関連する情報を取得することと、
対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、レンダリング画像をぼかすことにより、改変レンダリング画像を生成することであって、ぼかしの度合は、トポロジーの特徴に基づくことと、
サンプルの画像をぼかしたレンダリング画像と位置合わせすることと、を含む、画像アライメント方法。
21.サンプルの画像とぼかしたレンダリング画像との間のアライメントに基づいて、サンプルの画像を対応する参照画像と位置合わせすることを更に含む、条項20に記載の方法。
22.レンダリング画像をぼかすことは、ダウンサンプリングスケールに基づいてレンダリング画像をダウンサンプリングすることを含み、ダウンサンプリングスケールは、トポロジーの特徴に基づいており、トポロジーの特徴は、フィーチャのサイズ、形状、向き、若しくは境界、又はレンダリング画像の隣接するフィーチャ間の間隔を含む、条項20及び21の何れか一項に記載の方法。
23.レンダリング画像をダウンサンプリングすることは、レンダリング画像のトポロジーを実質的に維持するダウンサンプリングスケールの最大値に基づいている、条項22に記載の方法。
24.レンダリング画像をダウンサンプリングすることは、楕円関数を含む凸ぼかし関数を使用して実施される、条項22及び23の何れか一項に記載の方法。
25.画像アライメントシステムであって、
一組の命令を記憶するメモリと、
プロセッサであって、その一組の命令を実行して画像アライメントシステムに、
サンプルの画像を取得させ、
対応する参照画像に関連する情報を取得させ、
対応する参照画像のレンダリング画像のトポロジーが実質的に維持されるように、レンダリング画像をぼかすことにより、改変レンダリング画像を生成させ、なお、ぼかしの度合は、トポロジーの特徴に基づいており、
サンプルの画像をぼかしたレンダリング画像と位置合わせさせる、ように構成されたプロセッサと、を含む、画像アライメントシステム。
26.その一組の命令は、更に、画像アライメントシステムに、サンプルの画像とぼかしたレンダリング画像との間のアライメントに基づいて、サンプルの画像を対応する参照画像と位置合わせさせる、条項25に記載のシステム。
27.その一組の命令は更に、画像アライメントシステムに、ダウンサンプリングスケールに基づいてレンダリング画像をダウンサンプリングさせ、このダウンサンプリングスケールはトポロジーの特徴に基づいており、ダウンサンプリングは、レンダリング画像のトポロジーを実質的に維持するダウンサンプリングスケールの最大値に基づいている、条項25及び26の何れか一項に記載のシステム。
28.その一組の命令は更に、画像アライメントシステムに、楕円関数を含む凸ぼかし関数を使用してレンダリング画像をダウンサンプリングさせる、条項27に記載のシステム。
【0076】
[0081] 図中のブロック図は、本開示の様々な例示的な実施形態に従った、システム、方法、及びコンピュータハードウェア/ソフトウェア製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、及び動作を示している。この点に関して、概略図の各ブロックは、電子回路などのハードウェアを使用して実装されることがある特定の算術的又は論理的演算処理を表すことがある。ブロックは、特定の論理機能を実施するための1つ又は複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの一部も表すことがある。なお、幾つかの代替的な実施態様では、ブロックで示された機能は、図に記された順序とは別の順序で実施されることがあることを理解されたい。例えば、連続して示された2つのブロックが、実質的に同時に実行されるか若しくは実施されることがあり、又は、2つのブロックは、含まれる機能に応じて、時として逆の順序で実行される場合もある。一部のブロックが省略されることもある。
【0077】
[0082] 本開示の実施形態は、上記で説明し、添付の図面で示した通りの構造に限定されないことと、その範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び変更形態がなされ得ることとが理解されるであろう。本開示は、様々な実施形態と関連付けて説明されており、本明細書で開示される本発明の仕様及び実践を考慮することから、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。仕様及び例は、単なる例示と見なされ、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0078】
[0083] 上記の説明は、限定ではなく、例示を意図する。従って、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、説明されるように修正形態がなされ得ることが当業者に明らかであろう。
【国際調査報告】