(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】カーボネートパッシベーションを用いた、リチウム金属表面改質
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20231214BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20231214BHJP
C23C 16/32 20060101ALI20231214BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
C23C16/44 A
C23C16/40
C23C16/32
C23C16/455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533600
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 US2021060988
(87)【国際公開番号】W WO2022119769
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】セビーリャ, アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】レイ, ウェイ-ション
(72)【発明者】
【氏名】ゴパラクリシュナンナイル, ギリシュクマール
(72)【発明者】
【氏名】ランガサミー, エジイルムルガン
(72)【発明者】
【氏名】イシカワ, デーヴィッド マサユキ
(72)【発明者】
【氏名】ヘール, スプラマニヤ ピー.
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA14
4K030BA01
4K030BA36
4K030BA42
4K030EA05
4K030EA06
4K030EA11
4K030GA14
4K030KA01
(57)【要約】
例示的な処理方法は、リチウム膜を第1のシャワーヘッドの下方に移送することを含み得る。本方法は、第1のシャワーヘッドを通じてリチウム膜上に、酸化剤ガスを導入することを含み得る。本方法は、酸化物単分子層をリチウム膜上で形成することを含み得る。酸化物単分子層は、リチウム膜上に吸着された酸化剤ガスであり得るか、又はこれを含み得る。本方法は、酸化物単分子層の形成後に、リチウム膜を第2のシャワーヘッドの下方に移送することを含み得る。本方法は、第2のシャワーヘッドを通じてリチウム膜上に、炭素源ガスを導入することを含み得る。本方法はまた、酸化物単分子層と炭素源ガスとの反応によって、酸化物単分子層をカーボネートパッシベーション層に変換することを含み得る。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム膜を処理する方法であって、
リチウム膜を、第1のシャワーヘッドの下方に移送すること、
前記第1のシャワーヘッドを通じて前記リチウム膜上に、酸化剤ガスを導入すること、
前記リチウム膜上に吸着された前記酸化剤ガスを含む酸化物単分子層を、前記リチウム膜上に形成すること、
前記酸化物単分子層の形成後に、前記リチウム膜を第2のシャワーヘッドの下方に移送すること、
前記第2のシャワーヘッドを通じて前記リチウム膜上に、炭素源ガスを導入すること、及び
前記酸化物単分子層と前記炭素源ガスとの反応により、前記酸化物単分子層をカーボネートパッシベーション層に変換すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記リチウム膜が、膜堆積システムの2つの張力要素の間の張力で保持された導電性基板上に支持されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リチウムを前記導電性基板上に堆積させること、及び
堆積されたリチウムを平坦化すること
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のシャワーヘッドが、第1の軸に沿って配向された第1の複数のシャワーヘッドユニットを含み、
前記第2のシャワーヘッドが、前記第1の軸と平行に配向されるとともに、前記第1のシャワーヘッドから第1の距離だけオフセットされた、第2の複数のシャワーヘッドユニットを含み、
前記リチウム膜を前記第1のシャワーヘッドの下方に移送することが、前記第1の軸に対して直交する動きを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のシャワーヘッド及び前記第2のシャワーヘッドがそれぞれ、複数の入口及び複数の出口を配置構成で備え、前記複数の出口は、前記複数の出口と前記リチウム膜との間の領域から余剰なガスを除去するように位置づけられており、前記複数の出口の配向は、前記領域外の前記リチウム膜に平行な余剰なガス流を制限するフローパターンを規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リチウム膜の表面に複数の凹部を規定するパターンを、前記リチウム膜の表面に形成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カーボネートパッシベーション層に複数の凹部を規定するパターンを、前記カーボネートパッシベーション層に形成すること
をさらに含み、前記複数の凹部により、前記リチウム膜の表面がむき出しになる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
金属膜を処理する方法であって、
金属膜上に、当該金属膜上に吸着された酸化剤ガスを含む酸化物単分子層を形成すること、
前記酸化物単分子層と炭素源ガスとの反応により、前記酸化物単分子層をカーボネートパッシベーション層に変換すること、及び
複数の凹部を規定するパターンにより、前記金属膜をパターニングすること
を含む、方法。
【請求項9】
前記金属膜をパターニングすることが、
基板層を集電体上に堆積させること、
前記パターンを前記基板層に形成すること、及び
前記金属膜を前記基板層上に堆積させること
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記パターンを前記基板層に形成することが、前記基板層をレーザーでアブレーションすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化物単分子層を前記カーボネートパッシベーション層に変換した後、前記パターンが、前記金属膜上に形成され、前記複数の凹部が、前記カーボネートパッシベーション層に規定される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記パターンが、前記カーボネートパッシベーション層に前記複数の凹部を規定し、前記複数の凹部により、前記金属膜の表面がむき出しになる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属膜をパターニングすることが、
コヒーレント光源から光線を放射すること、
前記光線の形状を変えるとともに前記光線を前記金属膜へと再度方向づけるように構成された回折光学素子により、前記光線を受光すること、及び
前記パターンに対応する複数の位置で、前記金属膜を照射すること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記金属膜をパターニングすることが、
前記金属膜を2つ又はそれより多いローラの間に進めること、
を含み、前記2つ又はそれより多いローラの第1のローラが、前記金属膜に前記パターンを転写するように構成されたマイクロニードルアレイを含み、前記2つ又はそれより多いローラの第2のローラが、前記第1のローラに当接して前記金属膜を支持する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
パッシベーションシステムであって、該パッシベーションシステムは、
複数のローラであって、導電性基板が前記複数のローラのうちの2つのローラの間にあるスパンにわたって進む間、前記導電性基板を張力で保持するように構成された、複数のローラ、
前記スパン内に位置づけられた第1のシャワーヘッドであって、前記導電性基板に第1のガスをもたらすように構成された、第1のシャワーヘッド、
前記スパン内に位置づけられた第2のシャワーヘッドであって、前記導電性基板に第2のガスをもたらすように構成された、第2のシャワーヘッド、
を備え、
前記第1のシャワーヘッド及び前記第2のシャワーヘッドが、前記2つのローラの間の平面に対して平行な平面と位置合わせされ、各シャワーヘッドが、当該シャワーヘッドと前記導電性基板との間の領域内に送達されたガスを実質的に維持するフローパターンを規定する、パッシベーションシステム。
【請求項16】
前記第1のシャワーヘッド及び前記第2のシャワーヘッドがそれぞれ、複数の入口及び複数の出口を配置構成で備え、前記複数の出口が、当該複数の出口と前記導電性基板との間の領域から余剰なガスを除去するように位置づけられており、前記複数の出口の配向が、前記フローパターンを規定する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の入口と前記複数の出口とは、数が等しい、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のシャワーヘッド及び前記第2のシャワーヘッドがそれぞれ、
ガス供給システムからガスを受け取るように構成されたガス入口、
複数の導管を有するとともに、前記ガス入口と連通している上板、
前記複数の導管と連通している前記複数の入口と、前記複数の出口とを備える、底板、及び
前記複数の出口と連通しているとともに、前記余剰なガスをガス排出システムに送るように構成されたガス出口、
を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のシャワーヘッド及び前記第2のシャワーヘッドがそれぞれ、加熱されたバッフルを備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1のシャワーヘッドが、第1の軸に沿って配向された第1の複数のシャワーヘッドユニットを備え、
前記第2のシャワーヘッドが、前記第1の軸と平行に配向されるとともに、前記第1のシャワーヘッドから第1の距離だけオフセットされた、第2の複数のシャワーヘッドを備える、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願については、2020年12月3日に出願された米国仮出願番号63/121,013の利益及び優先権を主張し、当該出願はあらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
[0002]本技術は、薄膜堆積プロセス及びチャンバ構成要素に関する。より具体的には、本技術は、改質された構成要素及び堆積方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]薄層電池(thin-layer batteries)は、基板表面に薄い材料層を生成するプロセスによって製造可能である。基板上に薄い材料層を生成するには、大面積基板上に制御しながら形成する方法が必要となる。デバイスのサイズが小型化し続けるにつれて、多層電池にはますます薄い金属層が組み込まれており、このような薄い金属層は、電池の製造中に酸化しやすく、デンドライト形成などにより、動作中の劣化に対して敏感である。このような劣化から保護するために、堆積法の一部として、パッシベーション層を薄い材料層上に堆積させることができる。パッシベーション層の堆積中に、前駆体ガスが処理チャンバを汚染することがあり、これによってデバイスの品質に影響が生じ得る。
【0004】
[0004]よって、高品質のデバイス及び構造を製造するために使用可能な、改善されたシステム及び方法が必要である。これらのニーズ、及び他のニーズは、本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0005】
[0005]例示的な処理方法は、リチウム膜を第1のシャワーヘッドの下方に移送することを含み得る。本方法は、リチウム膜上に、第1のシャワーヘッドを通じて酸化剤ガスを導入することを含み得る。本方法は、リチウム膜上に酸化物単分子層を形成することを含み得る。当該酸化物単分子層は、リチウム膜上に吸着された酸化剤ガスであり得るか、又は当該酸化剤ガスを含み得る。本方法は、酸化物単分子層の形成後、リチウム膜を第2のシャワーヘッドの下方に移送することを含み得る。本方法は、リチウム膜上に、第2のシャワーヘッドを通じて炭素源ガスを導入することを含み得る。本方法はまた、酸化物単分子層と炭素源ガスとの反応により、酸化物単分子層をカーボネートパッシベーション層に変換することを含み得る。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態では、リチウム膜が、膜堆積システムの2つの張力要素の間の張力で保持された導電性基板上に支持され得る。本処理方法はさらに、導電性基板上にリチウムを堆積させ、堆積されたリチウムを平坦化することを含み得る。第1のシャワーヘッドは、第1の軸に沿って配向された第1の複数のシャワーヘッドユニットを含み得る。第2のシャワーヘッドは、第1の軸に平行に配向されるとともに、第1のシャワーヘッドから第1の距離だけオフセットされた、第2の複数のシャワーヘッドユニットを含み得る。本処理方法ではさらに、リチウム膜を第1のシャワーヘッドの下方に移送することが、第1の軸に直交する動きを含み得る。第1のシャワーヘッド及び第2のシャワーヘッドはそれぞれ、複数の入口及び複数の出口を配置構成で含み得る。複数の出口は、複数の出口とリチウム膜との間の領域から余剰なガスを除去するように位置づけられていてよい。複数の出口の配向は、領域外のリチウム膜に平行な余剰なガス流を制限するフローパターンを規定し得る。本処理方法は、リチウム膜の表面にパターンを形成することをさらに含み得る。当該パターンは、リチウム膜の表面に複数の凹部を規定し得る。本処理方法はさらに、カーボネートパッシベーション層にパターンを形成することを含むことができ、当該パターンは、カーボネートパッシベーション層に複数の凹部を規定し、当該複数の凹部により、リチウム膜の表面がむき出しになる。
【0007】
[0007]本技術のいくつかの実施形態は、処理方法を包含し得る。本方法は、酸化物単分子層を、金属膜上に形成することを含むことができ、当該酸化物単分子層は、リチウム膜上に吸着された酸化剤ガスを含むものである。本方法は、酸化物単分子層と炭素源ガスとの反応により酸化物単分子層をカーボネートパッシベーション層に変換することを含み得る。本方法はまた、複数の凹部を規定するパターンにより、金属膜をパターニングすることを含み得る。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態において、金属膜をパターニングすることは、基板層を集電体上に堆積させること、基板層にパターンを形成すること、及び金属膜を基板層上に堆積させることを含み得る。基板層にパターンを形成することは、基板層をレーザーでアブレーションすることを含み得る。パターンは、酸化物単分子層をカーボネートパッシベーション層に変換した後、金属膜上に形成され得る。複数の凹部は、カーボネートパッシベーション層に規定され得る。パターンは、複数の凹部をカーボネートパッシベーション層に規定し得る。複数の凹部により、金属膜の表面がむき出しになり得る。金属膜をパターニングすることは、コヒーレント光源から光線を放射することを含み得る。金属膜をパターニングすることは、回折光学素子により光線を受光することを含み得る。回折光学素子は、光線の形状を変える(shape)とともに光線を金属膜へと再度方向づけるように構成され得る。金属膜をパターニングすることは、パターンに対応する複数の位置で金属膜を照射することも含み得る。金属膜をパターニングすることは、金属膜を2つ又はそれより多いローラ間に進めることを含み得る。2つ又はそれより多いローラのうち第1のローラは、マイクロニードルアレイであり得るか、又はマイクロニードルアレイを含み得る。マイクロニードルアレイは、金属膜にパターンを転写するように構成され得る。2つ又はそれより多いローラのうち第2のローラは、第1のローラに当接して金属膜を支持し得る。
【0009】
[0009]本技術のいくつかの実施形態は、パッシベーションシステムを包含し得る。本システムは、複数のローラを含み得る。当該ローラは、導電性基板が複数のローラのうちの2つのローラ間のスパンにわたって進む間、張力で導電性基板を保持するように構成され得る。本システムは、スパン内に位置づけされた第1のシャワーヘッドであって、導電性基板に第1のガスをもたらすように構成された第1のシャワーヘッドを含み得る。本システムはまた、スパン内に位置づけされた第2のシャワーヘッドであって、導電性基板に第2のガスをもたらすように構成された第2のシャワーヘッドを含み得る。第1のシャワーヘッド及び第2のシャワーヘッドは、2つのローラ間の平面に対して平行な平面に位置合わせされ得る。各シャワーヘッドは、シャワーヘッドと導電性基板との間の領域内に送達されたガスを実質的に維持するフローパターンを規定し得る。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態において、第1のシャワーヘッド及び第2のシャワーヘッドはそれぞれ、複数の入口及び複数の出口を配置構成で含むことができ、ここで複数の出口は、複数の出口とリチウム膜との間の領域から余剰なガスを除去するように位置づけられ、複数の出口の配向が、フローパターンを規定する。複数の入口と複数の出口とは、数が等しくてもよい。第1のシャワーヘッド及び第2のシャワーヘッドはそれぞれ、ガス供給システムからガスを受け取るように構成されたガス入口を含み得る。第1のシャワーヘッド及び第2のシャワーヘッドはそれぞれ、上板を備え得る。上板は、ガス入口に連通する複数の導管を含み得る。第1のシャワーヘッド及び第2のシャワーヘッドはそれぞれ、底板を含み得る。底板は、複数の入口及び複数の出口を含み得る。複数の入口は、複数の導管と連通し得る。第1のシャワーヘッド及び第2のシャワーヘッドはまたそれぞれ、複数の出口と連通しているとともに、余剰なガスをガス排出システムに送るように構成されたガス出口を含み得る。第1のシャワーヘッド及び第2のシャワーヘッドはそれぞれ、加熱されたバッフルを含み得る。第1のシャワーヘッドは、第1の軸に沿って配向された第1の複数のシャワーヘッドユニットを含み得る。第2のシャワーヘッドは、第1の軸に平行に配向されるとともに、第1のシャワーヘッドから第1の距離だけオフセットされた、第2の複数のシャワーヘッドユニットを含み得る。
【0011】
[0011]このような技術は、従来のシステム及び技術に比べて多くの利点を提供することができる。例えば、システムは、多層電池に組み込むための、パッシベーションされた薄膜を提供することができる。このようにして本技術の実施形態の動作は、電池性能が改善されるともに電池寿命が増加した電池デバイスに組み込み可能なように、改良された薄膜コーティングを生成することができる。これらの実施形態及び他の実施形態は、それらの利点及び特徴の多くとともに、以下の説明及び添付図面との関連で、より詳細に説明される。
【0012】
[0012]開示された技術の性質及び利点は、明細書及び図面の残りの部分を参照することによってさらに理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理チャンバの概略的な断面図を示す。
【
図2】本技術のいくつかの実施形態による堆積方法における例示的な動作を示す。
【
図3A-3C】本技術のいくつかの実施形態による堆積方法における動作中の例示的な堆積システムの概略図を示す。
【
図4A-4C】本技術のいくつかの実施形態による例示的な堆積システムの概略図を示す。
【
図5A-5C】本技術のいくつかの実施形態による堆積方法における動作中の例示的なパターニングシステムの概略図を示す。
【0014】
[0018]図面のうちのいくつかは概略図として含まれている。数字は説明のためのものに過ぎず、特に縮尺通りであると述べられていない限り、縮尺どおりとみなされるべきではないことが理解されるべきである。さらに、概略図として、図は理解を助けるために提供されたに過ぎず、現実的な表現と比較して全ての態様又は情報を含むとは限らず、説明のために誇張されていることもある。
【0015】
[0019]添付図面において、同様の構成要素及び/又は特徴には、同じ参照符号が付され得る。さらに、同じ種類の様々な構成要素は、類似の構成要素とは区別する文字が参照ラベルの後に続くことにより、区別され得る。本明細書において最初の参照符号のみが使用されている場合、本明細書は、文字に関係なく、同じ最初の参照符号を有する類似構成要素のいずれにも適用される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0020]金属材料又は他の多層材料などのロールツーロール製造プロセスにおいて、表面パッシベーションは、シャワーヘッド又はガス分配器と基板支持体との間の領域に、1又は複数の前駆体ガスを導入することを含み得る。前駆体が相互作用するにつれて、堆積材料は基板上にパッシベーション層を形成し得る。前駆体ガスが表面媒介反応によって形成される場合、ガスにさらされた任意の表面では、パッシベーション層が発達し得る。このようにして、前駆体ガスによるロールツーロール堆積システムの汚染を制御することが重要になる。さらにパッシベーション層は、導体として機能する多層材料の有効性を制限することがあり、このため多層材料には、プレス、スタンプ又は圧延などのプロセスによって形成されるパターンが組み込まれ得る。
【0017】
[0021]従来の技術は、ロールツーロール堆積ユニットからパッシベーションプロセスを分離することによってこれらの制限にアプローチしてきたが、ロールをあるユニットから別のユニットに移動させるためには、複数の複雑な搬送動作を含むことになり得る。また、機械的なパターニングによりアプローチすると、特に、ロールツーロール製造技術が発展するにつれて膜の厚さが減少しているので、多層膜が汚染されたり、損傷したりするリスクが増大する。本技術では、実質的に無視できる体積の前駆体ガスが基板とガス供給システムとの間の領域を離れるフローパターンを規定するガス供給システムを使用して、パッシベーションをロールツーロール堆積システムに統合することにより、これらの制限を克服することができる。さらに本技術では、ロールツーロール堆積システムにパターニングプロセスを導入することによって、パッシベーションシステム上の制限を克服することができる。このようにして、基板及び/又はパッシベーション層がパターニングされる。例えば、第1の前駆体ガスは、単分子層として金属膜の表面に吸着されてよく、これは実質的に全ての第1の前駆体ガスを再捕捉するように構成されたシャワーヘッドによってもたらされる。第1の前駆体ガスの提供に続いて、第2の前駆体ガスが、同様に第1の前駆体ガスの全てを再捕捉するように構成された第2のシャワーヘッドによってもたらされ得る。これにより、ロールツーロール堆積システムにおいて第1の前駆体ガス又は第2の前駆体ガスのいずれかが実質的に無視できる程度に存在する状態を維持しながら、第2の前駆体ガスが第1の前駆体ガスの吸着単分子層と反応してパッシベーション層を形成することが可能になる。パッシベーション層の形成前又はその後に、基板は、基板及び/又はパッシベーション層の表面に凹部のアレイを規定するために、1又は複数の方法(レーザーパターニング又はレーザー加工ローラを用いたインプレス加工を含むが、これらに限られない)によってパターニングされ得る。堆積及びパターニングを行うことが可能な、本技術の実施形態によるチャンバの一般的な態様を説明した後、具体的な方法論及び部品構成について論じられ得る。本技術は、論じた特定の膜及び処理に限定されることを意図するものではないことが理解されるべきである。ここに記載された技術は、多数の膜形成プロセスを改善するために使用可能であり、また様々な処理チャンバ及び動作に適用可能であるからである。
【0018】
[0022]
図1は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理チャンバ100の断面図を示す。さらなる例示的な実施形態は、
図1の図解を参照して論じられるものとする。この図面は、フレキシブル基板コーティング装置100の様々なあり得る実施形態を例示的に表す。「コーティング」及び「堆積」という用語は、本明細書において同義で使用される。この実施形態に限定されないが、フレキシブル基板コーティング装置は一般的に、
図1の実施形態に示されているように、基板収納スプール110を収容するように構成され得る。いくつかの実施形態(本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせ可能)によれば、処理すべきフレキシブル基板140は、収納スプール110上に設けられていてよい。収納スプールは、別のスプールチャンバ70に配置され得る。フレキシブル基板140の1つの層と収納スプール110上のフレキシブル基板140の隣接層との直接接触を低減できるように、フレキシブル基板140の隣接層間にインターリーフ706を設けることも可能である。
【0019】
[0023]動作において、フレキシブル基板140は、矢印108により示された基板移動方向によって示されているように、収納スプール110から巻き出され得る。フレキシブル基板140を収納スプール110から巻き出す際に、存在する場合にはインターリーフ706が、インターリーフロール766に巻き取られ得る。フレキシブル基板140は、1又は複数のガイドローラ104を介してガイドされ得る。フレキシブル基板140はまた、例えばフレキシブル基板140の配向を微調整することによって、フレキシブル基板140の走行を制御する1又は複数の基板ガイド制御ユニット10によってガイドされ得る。
【0020】
[0024]真空処理チャンバ60内には、コーティングドラム114が設けられていてよい。フレキシブル基板140を収納スプール110から巻き出し、ガイドローラ104、及びフレキシブル基板140ガイド制御ユニット10の上を走行した後、フレキシブル基板140は、コーティングドラム114に設けられるとともに、堆積ユニット680の位置に対応する処理領域730を通じて移送され得る。動作中、コーティングドラム114は、フレキシブル基板140が矢印108の方向に移送されるように回転する。
【0021】
[0025]堆積ユニット680による堆積に続いて、フレキシブル基板140は、洗浄ユニット150によって洗浄される。これにより(いかなる実施形態にも限定されない)、洗浄ユニット150は典型的には、真空処理チャンバ60内に位置づけられる。特に(本実施形態に限定されない)、洗浄ユニットは、フレキシブル基板140が依然としてドラム上に位置しているときに、フレキシブル基板140に作用するように位置づけされ得る。よって洗浄は、コーティングドラムのプロセスセクションで実行されるプロセスステップであり得る。これによって有利なことに、フレキシブル基板140に対して、洗浄ユニットの規定された接触圧力をもたらすことができる。あるいは、洗浄ユニットは、コーティングドラムと次のガイドローラとの間のフレキシブル基板140の自由スパン内に配置され得る。このようにして、2つの洗浄ユニットを設けることも可能であり、ここで各洗浄ユニットは、フレキシブル基板140の両側に位置づけされる。
【0022】
[0026]
図1の図解ではフレキシブル基板140が、最後の堆積プロセスを走行した直後、まだコーティングドラム上にあるときに、洗浄ユニット150によって洗浄され得る。加えて、フレキシブル基板140は、偏向ローラ14と接触する前に洗浄可能である。換言すれば、フレキシブル基板コーティング装置の設計は、堆積プロセスの下流でフレキシブル基板140の塗布側に触れるフレキシブル基板コーティング装置における最初の要素として、洗浄ユニットを含み得るということである。このようにして、基板が偏向ローラと接触したときに、前述のような基板損傷を実質的に低減することができる。粒子状汚染物質が基板上に存在する場合、偏向ローラ14との接触により、汚れが基板に押し込まれ得る。これにより、粒子のフットプリントが基板に刻まれ、ピンホール等につながり得る。
【0023】
[0027]真空処理チャンバ60は、堆積品質を最適化するため、また堆積層での異物粒子による汚染を低減させるために、高真空に維持され得る。特に、堆積装置(例えばCVD、PECVD及び/又はPVD源を有するもの)は、ガス混合物からの異なる残留物を使用し得る。洗浄ユニットからの不明な又は望ましくない蒸発による汚染は、堆積プロセスの長期安定性を損なうことがある。洗浄ユニット150によって洗浄された後、フレキシブル基板140は、1又は複数の偏向ローラ14上を走行し得る。コーティングユニット及び洗浄ユニットの下流にある1又は複数の偏向ローラ14は、フレキシブル基板140の巻き取り中よりも堆積中に基板が異なる張力を有することを可能にする張力付与ユニットとしても機能し得る。
【0024】
[0028]さらに、フレキシブル基板140は、1又は複数のフレキシブル基板140ガイド制御ユニット10及びさらなるロール(例えば、
図1に示したガイドローラ104)の上を走行し得る。
図1の実施形態におけるフレキシブル基板140コーティングがその位置で達成されるにつれて、フレキシブル基板140はスプール764に巻き取られる。ウェブへの損傷を減らすために、フレキシブル基板140の層間に、インターリーフロール767から、さらなるインターリーフ706を設けることができる。
【0025】
[0029]フレキシブル基板140は、1又は複数の薄膜でコーティングされ得る。例えば、1又は複数の層が、堆積ユニット680によってフレキシブル基板140上に堆積され得る。堆積は、基板がコーティングドラム114上にガイドされている間に行われる。コーティングドラム114の周囲に配置可能な3つ、4つ、5つ、又はそれより多い堆積ユニットが、設置され得る。各堆積ユニット680は、対応する制御及び/又は電力供給ユニット690に接続され得る。
【0026】
[0030]本明細書に記載される実施形態は、とりわけ、プラズマ相から、移動する基板上に薄膜を堆積させるためのプラズマ堆積システムに言及する。フレキシブル基板140は、真空処理チャンバ内で基板輸送方向に移動してもよく、当該真空処理チャンバには、堆積ガスをプラズマ相に運ぶための、またプラズマ相から薄膜を移動基板上に堆積させるためのプラズマ堆積ユニットが配置されている。こうして、移動しているフレキシブル基板140でも洗浄が行われ得る。
【0027】
[0031]
図1に示したように、1又は複数のプラズマ堆積ユニット、例えば堆積ユニット680は、移動するフレキシブル基板140に対向して配置された2つ、3つ又はさらに多くのRF(無線周波数)電極を含むマルチリージョン型電極デバイスを有するPECVD(プラズマ化学気相成長)源として、もたらされ得る。複数の実施形態によれば、マルチリージョン型プラズマ堆積ユニットは、MF(中周波)堆積のためにもたらすこともできる。
【0028】
[0032]一般的に、本明細書に記載されるような1又は複数の堆積ユニットは、CVD源、PECVD源及びPVD源からなる群から選択され得る。1又は複数の堆積ユニットは、スパッタ源であってよく、例えば、マグネトロンスパッタ源、DCスパッタ源、ACスパッタ源、パルススパッタ源、無線周波数(RF)スパッタリング、又は中周波(MF)スパッタリングをもたらすことができる。例えば、5kHz~100kHzの範囲、例えば30kHz~50kHzの範囲の周波数を有するMFスパッタリングをもたらすことができる。典型的な実装によれば、フレキシブル基板コーティング装置は、フレキシブルTFTディスプレイの製造、特にフレキシブルTFTディスプレイ用のバリア層スタックに使用することができる。
【0029】
[0033]図示した実施形態では、コーティングドラム114の上を走行することにより、フレキシブル基板140が、
図1に示したように、堆積ユニット680(例えばスパッタ源又は蒸発源)に対向して配置される2つ又はそれより多い処理領域730を通過し得る。フレキシブル基板コーティング装置は、1つより多いコーティングユニット、例えば1つより多いコーティングドラム114を含み得る。フレキシブル基板140は、1又は複数の薄膜でコーティングされてもよく、これにより1又は複数の層が、堆積ユニット680によってフレキシブル基板140上に堆積され得る。堆積は、フレキシブル基板140がコーティングドラム114上にガイドされている間に行われ得る。フレキシブル基板140ガイド制御ユニットは、コーティングドラムの片面又は両面に設けてもよい。フレキシブル基板140ガイド制御ユニットは、ウェブの張力を測定及び調整するように構成され得る。このようにして、フレキシブル基板140の輸送をより良好に制御することができ、コーティングドラム上の基板の圧力を制御することができ、及び/又は基板への損傷を減らすことができる。
【0030】
[0034]
図1に示したとおり、
図1において、フレキシブル基板コーティング装置は、1又は複数のシール、例えばシール290を含み得る。シールは静的シールであり得る。シールによって、コーティングドラム114を含む真空プロセスチャンバ60と、スプールチャンバ70及び80(ここでフレキシブル基板140のガイド、フレキシブル基板140の巻き取り及び/又はフレキシブル基板140の巻き出しが行われ得る)との間の圧力を分離することができる。このようなセットアップにより、スプール764が完全にコーティングされた後、当該スプールを交換する複雑さが軽減される。これによって特に、フレキシブル基板140ハンドリングチャンバ内の周囲圧力又は低真空を有しながら、真空プロセスチャンバ60を中/高真空状態に維持することが可能になる。特に、1又は複数のシールはまた一般的に、動的シール、例えばウェブの移動中に動作可能なシールであり得る。
【0031】
[0035]フレキシブル基板コーティング装置100は、真空プロセスチャンバ60又はスプールチャンバ70及び80の内部にガイドローラ104を備えていてよく、ここでガイドローラは1又は複数のスパン160を規定する。スパン160は、追加のコーティングユニット及び処理ユニットを導入するためのスペースをもたらし得る(以下で
図2~6を参照して説明)。例えば、真空処理チャンバ60又はスプールチャンバ70及び80内のスパン160によって、フレキシブル基板140を1又は複数のガスシャワーヘッドの下方に移送可能な堆積ユニットの統合が可能になる(以下で
図2~4を参照して説明)。別の例ではスパン160により、パターニングユニットの統合が可能になり、パターンは、例えば光学的パターニング又は機械的パターニングによって、フレキシブル基板140の表面に導入され得る。いくつかの実施形態では、フレキシブル基板140が導電性であり得る。
【0032】
[0036]
図2は、本技術のいくつかの実施形態による堆積方法200における例示的な動作を示す。本方法は、様々な処理チャンバ(上述の処理チャンバ100を含む)で実行され得る。処理チャンバ100のさらなる態様は、以下でさらに説明する。方法200は、いくつかの任意選択的な動作を含むことができ、これらは、本技術による方法のいくつかの実施形態と具体的に関連付けられていても、関連付けられていなくてもよい。例えば、多くの動作は、構造形成についてより広い範囲(技術にとって重要ではない)を提供するために記載されるか、又は容易に理解されるであろう代替的な方法論によって実行され得る。
【0033】
[0037]方法200は、列挙された動作の開始前に追加の動作を含み得る。例えば、追加の処理動作は、フレキシブルな及び/又は導電性の基板上に構造を形成することを含むことができ、これには、材料の形成及び除去の両方が含まれ得る。方法200が行われ得るチャンバ内で事前の処理動作が行われてもよく、又は方法200が行われ得る基板処理チャンバに基板を送達する前に、1又は複数の他の処理チャンバで処理が行われ得る。いずれにせよ、方法200は任意選択的に、真空処理チャンバ(例えば、上述の処理チャンバ100)、又は上述の構成要素を含み得る他のチャンバの処理容積に、基板を送達することを含み得る。方法200は、
図3A~Cに概略的に示した動作を説明しており、これらの図解は、方法200との関連で説明されることになる。
図3には部分的な概略図のみが示されていること、及び処理システムは、図に示したようなサブシステム、また本技術の態様からなおも利点を得ることが可能な任意のサイズ又は構成の代替的なサブシステムを含み得ることも、理解されるべきである。
【0034】
[0038]
図3A~3Cは、本技術のいくつかの実施形態による処理方法における動作中の例示的な処理システムの概略図を示す。
図3A~3Cは、チャンバ100内の構成要素に関するさらなる詳細を示し得る。システム300は、いくつかの実施形態において先に論じたチャンバ100の任意の特徴又は態様を含むと理解される。システム300は、基板膜のロール・ツー・ロールコーティングを行うために使用され得る。システム300は、フレキシブル基板コーティングシステムに組み込み可能な、論じられたチャンバ構成要素の部分図を示してもよく、また2つのローラの間のフレキシブル基板の図を示してもよく、さもなくば、任意のサイズのものであり得る。システム300の任意の態様は、当業者によって容易に理解されるように、他の処理チャンバ又はシステムにより組み込まれ得る。
【0035】
[0039]動作205では、
図3Aに図示したように、堆積手順が任意選択的に、導電性基板310の上に材料膜305を堆積させることを含んでもよく、これは、
図1のフレキシブル基板140の一例であり得る。材料膜305は、薄膜構造(多層電池、透明電極、光学活性膜、又は他の機能性薄膜材料を含むが、これらに限られない)における適用に適した金属であり得るか、又は当該金属を含み得る。図示した例において材料膜305は、リチウム金属であり得るか、又はリチウム金属を含んでもよく、これは、チャンバ100に適合する方法によって堆積され得る(先に、
図1を参照してより詳細に説明)。例えば、リチウム金属は、熱蒸着によって導電性基板310上に堆積され得る。いくつかの実施形態では、例えば、材料膜305が、堆積された時点で(as deposited)、方法200の後続の動作における適用のための均一性の閾値を超える表面フィーチャを含む。このようにして、動作205は、材料膜305の平坦化をさらに含み得る。平坦化は、チャンバ100に適合しているとともに、ロールツーロール製造システムに統合可能な、任意の方法を含み得る(これに限られない)。例えば、レーザー平坦化アプローチを適用して、材料膜305の表面フィーチャの特徴的な寸法を減少させることができる。レーザー平坦化は、レーザービーム315を材料膜305の表面に向けて方向づけることを含み得る。レーザービーム315は、例えばピコ秒オーダー又はフェムト秒オーダーのパルス周期を有する、高周波でパルスされる赤外線レーザービームであり得るか、又は当該赤外線レーザービームを含み得る。レーザービーム315は、MHzオーダーの周波数を有する可視レーザービームであり得るか、又は当該可視レーザービームを含み得る。いくつかの実施形態では、レーザービーム315が、透明プレート320を介して材料膜305の表面に集束されてよく、材料膜305の表面にわたり走査され得る。透明プレート320は、材料膜305の表面と透明プレート320との間にレーザー励起プラズマを含むようにしてもよく、これによってプラズマは、レーザー光315が走査するときに材料膜305の表面に再堆積し得る材料膜305の蒸気を含む。このようにしてレーザービーム315は、例えば、導電性基板310がレーザービーム315の位置の下方に移送され得るにつれて、多数のスキャンにわたって材料膜305を徐々に平坦化し得る。
【0036】
[0040]いくつかの実施形態では、方法200が動作210において、材料膜305を第1のシャワーヘッド325の下方に移送することを含み得る。第1のシャワーヘッド325は、導電性基板310が進むスパン内、例えば
図1の2つのガイドローラ104の間に位置づけされるように、処理チャンバ、例えばチャンバ100に統合され得る。導電性基板310は、第1のシャワーヘッドを通過して進み、それとともに材料膜305を担持し得る。このようにして材料膜305は、材料膜305の表面と第1のシャワーヘッド325の近位面との間の距離で、導電性基板310の進行速度と等価な進度(rate)で第1のシャワーヘッドの下方に移送され得る。さらに、距離330は、第1のシャワーヘッド325と材料膜305の表面との間の領域を規定し得る。以下で
図4A~
図4Cを参照してより詳細に説明するように、第1のシャワーヘッド325は、シャワーヘッドと導電性基板との間の領域内に送達されたガスを実質的に維持するフローパターンを規定する内部構造を含み得る。いくつかの実施形態において、第1のシャワーヘッドが位置付けられるスパンは、材料膜305が第1のシャワーヘッドの下方に移送されるとき、「下方」という用語がシャワーヘッドの任意の特定の配向ではなく、第1のシャワーヘッド325の近位面に面していることを示すように、実質的に鉛直、実質的に水平、又はその間の任意の角度に方向づけられ得る。
【0037】
[0041]いくつかの実施形態では、方法200が動作215において、第1のシャワーヘッド325を通じて第1のガスを導入することを含み得る。第1のガスは、酸化剤ガス(二原子酸素、水蒸気、又は材料膜305の表面に吸着された単分子層をもたらし、炭素源と反応してカーボネートを形成する表面結合エネルギーのために選択された別のガスを含むが、これらに限られない)であり得るか、又は当該酸化剤ガスを含む。上述したように、第1のシャワーヘッド325は、材料膜305と第1のシャワーヘッド325の近位面との間の領域外のリチウム膜に平行な余剰なガス流を制限するフローパターンに従って、第1のシャワーヘッド325が第1のガスをもたらすことを可能にする内部構造を含み得る。いくつかの実施形態において、第1のガスは、酸化剤ガスと同様に不活性ガスであり得るか、又はこれを含み得る。例えば、第1のガスは、不活性キャリアガスと酸化剤との混合物であり得るか、又は当該混合物を含むことができ、ここで酸化剤は、不活性キャリアガス中に、0.5ppm以上(greater than)又は約0.5ppm、1.0ppm以上又は約1.0ppm、1.5ppm以上又は約1.5ppm、2.0ppm以上又は約2.0ppm、2.5ppm以上又は約2.5ppm、3.0ppm以上又は約3.0ppm、3.5ppm以上又は約3.5ppm、4.0ppm以上又は約4.0ppm、4.5ppm以上又は約4.5ppm、5.0ppm以上又は約5.0ppm、5.5ppm以上又は約5.5ppm、6.0ppm以上又は約6.0ppm、6.5ppm以上又は約6.5ppm、7.0ppm以上又は約7.0ppm、又はそれ以上の濃度で、存在する。不活性キャリアガスの流量は、酸化剤が0.1sccm以下(below)の流量でもたらされるように選択され得る。不活性キャリアガスは、アルゴンであり得るか、又はアルゴンを含むことができ、1slm以上又は約1slm、10slm以上又は約10slm、20slm以上又は約20slm、30slm以上又は約30slm、40slm以上又は約40slm、50slm以上又は約50slm、60slm以上又は約60slm、70slm以上又は約70slm、80slm以上又は約80slm、90slm以上又は約90slm、100slm以上又は約100slm、110slm以上又は約110slm、120slm以上又は約120slm、又はそれ以上の流量で、第1シャワーヘッドにもたらされ得る。
【0038】
[0042]第1のシャワーヘッド325の例示的な実施形態が、
図4A~Cに提供されている。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド400が、シャワーヘッドがフローパターンに従って材料膜305に第1のガスをもたらすことを可能にする内部構造を含み得る。
図4Aに示したようにシャワーヘッド400は、ガス入口405を含んでもよく、当該ガス入口は、ガス供給部に接続され得る。ガス供給部は、シャワーヘッド400が制御された酸素組成で第1のガスをもたらすことを可能にする1又は複数のガスマニホールド要素を含み得る。例えば、ガス供給部は、不活性ガス供給部、酸素ガス供給部、また水蒸気供給部を含むことができ、この水蒸気供給部は例えば、不活性ガスにより水貯蔵部をスクラビングすることによって脱酸素可能なウォーター・バブラーである。シャワーヘッド400は、上板415に第1のガスをもたらすように構成された入口プレナム410を含み得る。
図4Bに示したように上板415は、上板415と底板425との間に延びる導管420のアレイを備え得る。底板425は、入口430のアレイ及び出口435のアレイを含み得る。導管420は、入口430を通って、底板425の表面を超えた距離まで延び得る。底板425の表面は、導管420とともに、シャワーヘッド400の近位表面を規定してもよく、例えば、シャワーヘッド400がロールツーロール処理システム、例えば
図1のチャンバ100に統合されている場合のように、導電性基板との関係で規定される。
【0039】
[0043]図示したように、出口435のアレイは、シャワーヘッド400内部の排気プレナム440と連通し得る。排気プレナム440は、シャワーヘッド400の近位面の領域後部に対して減圧で(当該減圧は、排気システムと連通する出口445によってもたらされる)動作するように構成され得る。このようにして動作215の間、第1のガスは、導管420を通じてもたらされてもよく、底板425の出口435を介して排気プレナム440によって再捕捉され得る。いくつかの実施形態では、底板425が、同数の入口430及び出口435を含み得る。入口430及び出口435の相対数は、例えば、シャワーヘッド400により規定されるフローパターンを生じさせる動作パラメータに基づいて異なり得る。一般に、入口及び出口の配置構成は、シャワーヘッド400と導電性基板310との間の領域内に送達されたガスを実質的に維持する導管を通じて送達されるガスのフローパターンを規定するために特定され得る。例えば、送達されたガスは、シャワーヘッド400と導電性基板310との間の領域外で導電性基板310に平行に流れることが制限され得る。
【0040】
[0044]いくつかの実施形態では、シャワーヘッド400が、加熱されたバッフル450を含み得る。加熱されたバッフルは、導管420を通じてもたらされるガスの温度を上昇させるように構成され得る。例えば、ガスの吸着ダイナミクスは、温度依存性であり得る。このようにして、加熱されたバッフル450により、シャワーヘッドが制御された温度でガスを材料膜305の表面にもたらすことが可能になり得る。制御された温度は、他の形態の吸着(例えば多層吸着又は不飽和表面吸着)とは対照的に、単分子層335の形成を促進するように規定され得る。
【0041】
[0045]第1のシャワーヘッド325を通じて第1のガスを導入することに続き、方法200は、動作220において、材料膜305を第2のシャワーヘッド340の下方に移送することを含み得る。動作210との関連で説明したように、第2のシャワーヘッド340は、導電性基板310がロールツーロール処理システムの2つのローラ間で進むスパン内に位置づけられ得る。第2のシャワーヘッド340は、導電性基板310の進行方向で第1のシャワーヘッド325から距離350の位置に位置づけされ得る。第1のシャワーヘッド325と第2のシャワーヘッド340との距離350は、導電性基板310の進行進度に対して、単分子層335が平衡に達するような時間に相当し得る。材料膜305を第2のシャワーヘッド340の下方に移送することはまた、第2のシャワーヘッドのガス流量パラメータと結合され得る、第2のシャワーヘッド340の下方での滞留時間をもたらし得る。このようにして、第2のシャワーヘッドの動作は、第2のガスと単分子層335との間の化学反応をもたらすように制御され得る。
【0042】
[0046]
図3Cに示したように、第1のシャワーヘッド325は、多数の第1のシャワーヘッドユニット355を含み得る。第1のシャワーヘッドユニット355のそれぞれは、
図4A~
図4Cとの関連で説明される内部構造を含むことができ、また導電性基板310の進行方向に直交する軸に沿って配向され得る。このようにして、第1のシャワーヘッド325は、導電性基板310の異なる幅を処理するためにモジュール化することができ、スケーラブルであり得る。同様に、第2のシャワーヘッド340は、多数の第2のシャワーヘッドユニット360を含み得る。第2のシャワーヘッドユニット360は、軸に平行に配向されていてよく、第1のシャワーヘッドから距離350だけオフセットされ得る。このようにして、材料膜305を移送することは、材料膜305を担持する導電性基板310を、第1のシャワーヘッドユニット355の下方に、続いて第2のシャワーヘッドユニット360の下方へと、第1のシャワーヘッドユニット355及び第2のシャワーヘッドユニット360の位置合わせ軸に直交する方向に進めることを含み得る。
【0043】
[0047]いくつかの実施形態では、方法200が、動作225において、第2のシャワーヘッド340を通じて第2のガスを導入することを含み得る。動作225は、材料膜305が第2のシャワーヘッド340の下方に移送される間、第2のガスが材料膜305にもたらされるように、動作220と同時に実施され得る。動作215との関連でより詳細に説明するように、第2のガスは、制御された温度で第2のシャワーヘッド340を通じてもたらされてもよく、第2のシャワーヘッド340内の入口及び出口の配置構成から生じる、第2のシャワーヘッドによって規定されるフローパターンに従ってもたらされ得る。第2のガスは、単分子層335と反応してパッシベーション層345を形成するように選択される炭素源ガスであるか、又は当該炭素源ガスを含み得る。例えば、第2のガスは、二酸化炭素であり得るか、又は二酸化炭素を含み得る。第2のガスは、二酸化炭素及び不活性キャリアガスを含み得る。第2のガスは二酸化炭素を、1体積%以上又は約1体積%、5体積%以上又は約5体積%、10体積%以上又は約10体積%、20体積%以上又は約20体積%、30体積%以上又は約30体積%、40体積%以上又は約40体積%、50体積%以上又は約50体積%、60体積%以上又は約60体積%、70体積%以上又は約70体積%、80体積%以上又は約80体積%、90体積%以上又は約90体積%、95体積%以上又は約95体積%、又はそれ以上、含むことができる。不活性キャリアガスは、アルゴン若しくは窒素であり得るか、又はアルゴン若しくは窒素を含み得る。
【0044】
[0048]第2のシャワーヘッド340を通じて第2のガスを導入することに続いて、又はこれと同時に、方法200は、動作230において材料膜305をパッシベーションすることを含み得る。上述のように、材料膜305をパッシベーションすることは、酸素種を含む単分子層335が第2のガスと反応してパッシベーション層345を形成するプロセスを説明することができる。パッシベーション層は、材料膜305から形成されたカーボネートであり得るか、又は当該カーボネートを含み得る。例えば、材料膜がリチウム金属であるか、又はリチウム金属を含む場合、パッシベーション層345は、炭酸リチウムであり得るか、又は炭酸リチウムを含み得る。動作230のパッシベーションは、単分子層335をパッシベーション層345に変換する材料膜305の表面における不均一反応を含み得る。
【0045】
[0049]方法200の間の1又は複数の時点において、動作は、動作235において、材料膜305及び/又はパッシベーション層345をパターニングすることを含み得る。この目的のため、
図2に示したように方法200は、特定の順序で動作を説明している一方で、
図5A~5Cに示したように、動作235について異なる順序又はタイミングで実施され得る。いくつかの実施形態では、パターニングが、材料膜305をパターニングすることを含み得る。
図5Aに示したように、基板505は、導電性基板310上に堆積され得る。基板は、
図1との関連で説明したように、ロールツーロール製造システムにおける堆積プロセスに適合する材料であり得るか、又は当該材料を含み得る。例えば、基板505は、IV族若しくはIV族の亜酸化物であるか、又は当該亜酸化物を含み得る。基板505は、シリコン若しくはシリコン酸化物であり得るか、又はシリコン若しくはシリコン酸化物を含み得る。続いて、基板505に光線510が照射され得る。光線510は、材料膜305の表面をアブレーションするように選択されるコヒーレント光線(例えばレーザー)であり得るか、又は当該コヒーレント光線を含み得る。例えば、光線510は、パルスレーザ光源により、基板505の表面をアブレーションし、基板505の膜表面に複数の凹部520が規定されるように、発生させることができる。光線510は、光学系515に向けて方向づけられてもよく、当該光学系515は、回折光学素子であり得るか、又は回折光学素子を含み得る。光学系515は、基板505から材料を除去するために、光線510の形状を変えることができ、導電性基板310が光学系515の位置を通過して進むにつれて、基板505内に角柱状の凹部を規定し得る。このようにして凹部520は、パターニングされた表面(パターンを材料膜305及びパッシベーション層345に転写することになる)として、機能し得る。
【0046】
[0050]いくつかの実施形態では、方法200が、動作230に続く動作235を含み得る。
図5B~
図5Cに示したように、方法200は、パッシベーション層345をパターニングすることを含み得る。
図5Bに示したように、光線510及び光学系515は、導電性基板310がパッシベーション層345の形成に続く光学系515の位置を過ぎて進むように、また光線510が、凹部520を規定するためにパッシベーション層345から材料を除去可能なように、位置づけされ得る。光線510は、パッシベーション層345により吸収されるように構成されたパルスレーザビームであり得るか、又は当該パルスレーザビームを含むことができ、これによってパッシベーション層345が、材料膜305よりもアブレーションされる。このようにして、パッシベーション層345をパターニングすることにより、パッシベーション層345の下方の材料膜305をむき出しにすることができる。
【0047】
[0051]同様に、
図5Cに示したように、動作235は、
図1との関連で説明したロールツーロールシステムに統合された1又は複数のローラを使用して、パッシベーション層345をパターニングすることを含み得る。第1のローラ525は、ネガのパターンで機械加工され得る。例えば、第1のローラ525は、パッシベーション層345又は材料膜305の表面にパターンを転写するように構成されたマイクロニードルアレイを含み得る。例えば、第1のローラ525に対する圧力の適用により、凹部520のパターンが、下方にあるパッシベーション層345及び下方の材料膜305に転写され得る。いくつかの実施形態では、第1のローラ525の実質的に反対側に位置する第2のローラ530により、第1のローラ525に当接して導電性基板310を支持することによって、圧力が印加され得る。このように、材料膜305又はパッシベーション層345に加わる力は、第1のローラ525が第2のローラ530に加える力によって、又は第1のローラ525により導電性基板310に加えられる張力によって、制御され得る。
【0048】
[0052]本技術の実施形態による方法及び構成要素を利用することにより、材料の堆積又は形成を改善することができる。余剰なガスによる汚染を制限するように構成されたシャワーヘッドを介してフレキシブル基板コーティング装置内の基板に前駆体ガスをもたらすことにより、堆積された膜の全体的な性能及び品質を改善することができる。これらの改善には、前駆体ガスの無駄の削減(ガスがリサイクル可能な場合)、及び堆積の初期段階における敏感な膜(例えば酸化に敏感な金属膜)の汚染削減が含まれ得る。さらに、基板のパターニングにより、例えば、パッシベーション層の凹部内にデンドライト形成のための表面活性点を配置することによって、デバイス性能を改善することができ、これにより、電池寿命及び動作性能に対するデンドライトの影響を制限することができる。さらに、本明細書に記載の技術をフレキシブル基板コーティングシステムに組み込むことにより、プロセス統合のために著しい改善がもたらされ、改善された処理能力がもたらされ、例えば導電性基板上でインサイチュ(in-situ)パッシベーションされた金属膜を製造することができる。
【0049】
[0053]上記明細書では、説明の目的で、本技術の様々な実施形態について理解をもたらすために、多くの点が詳細に述べられている。しかしながら当業者には、特定の実施形態が、これら詳細な点のうちのいくつかが無くても、又は追加の詳細な点とともに実施可能なことは明らかであろう。
【0050】
[0054]いくつかの実施形態が開示されている以上、本実施形態の思想から逸脱しない限りにおいて、様々な修正、代替的な構成、及び均等物を使用可能なことが、当業者により認識されるであろう。さらに、本技術を不必要にあいまいにすることを避けるため、多くのよく知られたプロセス及び要素が、記載されていない。よって上記の説明は、技術の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、方法又はプロセスは逐次的なものとして、又はステップで記載することができるが、各動作(operation)は同時に、又は列挙されたものとは異なる順序で実行可能であると理解されるべきである。
【0051】
[0055]値の範囲が示されている場合、文脈によりそうではない旨が明示されている場合を除き、当該範囲の上限と下限との間に介在する値はそれぞれ、下限の単位の最小分数まで、具体的に開示されることが理解される。言及された範囲における任意の言及された値、又は言及されていない介在する値と、当該言及された範囲における他の言及された値、又は介在する値との間のより狭い範囲が、包含される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して範囲に含まれるか、又は除外されてもよく、いずれか又は両方の制限がより小さな範囲に含まれる各範囲も、本技術に包含される(ただし、言及された範囲内の特に除外された制限は除く)。言及された範囲が端値の一方又は両方を含む場合、含まれる当該端値のいずれか又は両方を除外する範囲も含まれる。
【0052】
[0056]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈によりそうではない旨が明示されない限り、複数形への言及を含む。よって例えば、「1つの(a)前駆体」への言及は、そのような複数の前駆体を包含し、「その(the)層」への言及は、当業者に知られた1又は複数の層及びその均等物への言及等を包含する。
【0053】
[0057]また、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(containing)」、「包含する(include)」、及び「包含する(including)」という用語は、本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用される場合、言及された特徴、整数、構成要素、又は動作の存在を指定することを意図しているが、1若しくは複数の他の特徴、整数、構成要素、動作、行為又は群の存在又は追加を、排除するものではない。
【国際調査報告】