(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】静電チャック用螺旋状多相電極
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231214BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536040
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021062699
(87)【国際公開番号】W WO2022132570
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン, チュン ワン
(72)【発明者】
【氏名】リプチンスキー, ヤクブ
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ヤン
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA01
5F131CA69
5F131DA33
5F131DA42
5F131EB11
5F131EB13
5F131EB14
5F131EB15
5F131EB17
5F131EB72
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB82
5F131EB84
5F131KA34
5F131KA63
5F131KB43
(57)【要約】
静電チャックは、複数の電極を含み、電極の各々は、多相の静電チャックを実現するために静電チャックの表面の中心を取り囲む螺旋形状を有する。各電極は、異なる位相の電力に接続することができる。螺旋形状はそれぞれ、互いに回避することができ、ならびに静電チャックの表面の孔または開口部を回避することもできる。螺旋形状は、プロセッサを使用してアルゴリズム的に決定することができる。これらの静電チャックは、3つ以上の電極を含むことができる。静電チャックの製造方法は、各電極の形状を決定することと、各電極を設けることとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に螺旋パターンで形成された複数の電極を備え、前記複数の電極の各々が互いに噛み合っており、前記複数の電極の各々が前記表面の中心を取り囲む、静電チャック。
【請求項2】
前記表面がセラミック表面である、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記螺旋パターンが、前記表面に形成された1つまたは複数の孔を回避するように構成されている、請求項1または2に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記表面の形状がほぼ円形である、請求項1から3のいずれか一項に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記複数の電極の各々が、異なる位相の電力を供給するように構成された異なる回路に接続されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の静電チャック。
【請求項6】
前記複数の電極の各々が、前記表面の周囲に始点を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の静電チャック。
【請求項7】
前記複数の電極が、少なくとも3つの電極を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の静電チャック。
【請求項8】
前記複数の電極が、少なくとも6つの電極を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の静電チャック。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の静電チャックにウエハをクランプする方法であって、
前記静電チャック上に前記ウエハを配置することと、
前記複数の電極の各々に電力を供給することと
を含む方法。
【請求項10】
静電チャックを製造する方法であって、
各電極が始点から終了点まで延在し表面の中心を取り囲むように、互いに噛み合った複数の電極を前記表面上に設けることができるパターンを決定することと、
前記パターンに従って前記表面上に前記複数の電極を設けることと
を含む方法。
【請求項11】
前記パターンを決定することが、前記表面の寸法および前記表面に設けられた任意の開口部に基づいて前記パターンを決定するアルゴリズムを使用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記表面がセラミック表面である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記パターンが、前記表面に形成された1つまたは複数の開口部を回避するように構成されている、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記表面上に前記複数の電極を設けることが、フォトリソグラフィーを使用して前記電極の各々を画定することを含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記表面上に前記複数の電極を設けることが箔焼結することを含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記表面上に前記複数の電極を設けることが、導電性インクで各電極を印刷することを含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の電極の各々を異なる回路に接続することをさらに含み、前記回路の各々が、その他の前記回路とは異なる位相を有する電力を供給するように構成されている、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の電極が少なくとも3つの電極を含む、請求項10から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の電極が少なくとも6つの電極を含む、請求項10から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静電チャックに使用するための電極を対象とし、詳細には多相の静電チャックを実現するための複数の電極の螺旋パターンを対象とする。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスにおいてウエハを保持するために、静電チャックを使用することができる。静電チャックは、AC電圧を使用してチャックを動作させるときに、交流(AC)電圧の異なる位相を使用して、周期的に発生する力の喪失を管理するのに役立てることができる。2つの位相は、分離領域またはくし形設計により実現することができる。3つ以上の位相は、分離領域で実現することができる。各位相に分離領域を使用することで、異なる領域によって加えられる力が使用される交流によって経時的に変化するため、ウエハの不均衡を引き起こす可能性がある。これは、ピンなどのウエハ用の他の支持体があり、静電チャックの力によりそのピンに対してウエハが保持される場合、静電チャックの異なる領域によって印加される力に基づいて支持体の周りにウエハが傾くことがあるため、特に顕著となり得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、静電チャックに使用するための電極を対象とし、詳細には多相の静電チャックを実現するための複数の電極の螺旋パターンを対象とする。
【0004】
交互嵌合螺旋パターンにより、チャックを位相ごとに分離領域に分割する必要なく、複数の電極の各々が静電チャックの中心を取り囲むことが可能になる。これにより、チャックに固定されたウエハをより安定して保持することが可能になり、電力の変化および交流の性質による特定の位相の損失に起因する位置の変動が抑制される。さらに位置の変動が抑制されることにより、距離が一定のままであることが確保され、静電チャック上の任意の点での静電容量測定、例えばウエハがクランプされているかどうかの判定、または静電チャックの他の制御ために使用される静電容量測定、を正確かつ安定して行うことが可能となる。
【0005】
一実施形態では、静電チャックは、表面に螺旋パターンで形成された複数の電極を含む。複数の電極の各々は互いに噛み合っており、複数の電極の各々は表面の中心を取り囲んでいる。
【0006】
一実施形態では、表面はセラミック表面である。一実施形態では、螺旋パターンは、表面に形成された1つまたは複数の孔を回避するように構成されている。一実施形態では、表面の形状はほぼ円形である。
【0007】
一実施形態では、複数の電極の各々は、異なる位相の電力を供給するように構成された異なる回路に接続されている。一実施形態では、複数の電極の各々は、表面の周囲に始点を有する。一実施形態では、複数の電極は少なくとも3つの電極を含む。一実施形態では、複数の電極は少なくとも6つの電極を含む。
【0008】
一実施形態では、ウエハをクランプする方法は、静電チャック上にウエハを配置することと、複数の電極の各々に電力を供給することとを含む。
【0009】
一実施形態では、静電チャックを製造する方法は、各電極が始点から終了点まで延在し表面の中心を取り囲むように、互いに噛み合った複数の電極を表面上に設けることができるパターンを決定することと、パターンに従って表面上に複数の電極を設けることとを含む。
【0010】
一実施形態では、パターンを決定することは、表面の寸法および当該表面に設けられた任意の開口部に基づいてパターンを決定するアルゴリズムを使用することを含む。
【0011】
一実施形態では、表面はセラミック表面である。一実施形態では、パターンは表面に形成された1つまたは複数の開口部を回避するように構成されている。
【0012】
一実施形態では、表面上に複数の電極を設けることは、フォトリソグラフィーを使用して電極の各々を画定することを含む。一実施形態では、表面上に複数の電極を設けることは、箔焼結することを含む。一実施形態では、表面上に複数の電極を設けることは、導電性インクで各電極を印刷することを含む。
【0013】
一実施形態では、方法は、複数の電極の各々を異なる回路に接続することをさらに含み、当該回路の各々は、その他の当該回路とは異なる位相を有する電力を供給するように構成されている。
【0014】
一実施形態では、複数の電極は少なくとも3つの電極を含む。一実施形態では、複数の電極は少なくとも6つの電極を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態による静電チャックの平面図を示す。
【
図2】一実施形態による静電チャックの斜視図を示す。
【
図3】一実施形態による静電チャックを製造する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、静電チャックに使用するための電極を対象とし、詳細には多相の静電チャックを実現するための複数の電極の螺旋パターンを対象とする。
【0017】
図1は、一実施形態による静電チャックの平面図を示す。
図1の静電チャック100の平面図では、開口部104および電極106a~fと共に表面102を見ることができる。
【0018】
表面102は、ウエハに面する、および/またはウエハと接触するように構成された静電チャック100の表面である。表面102は、例えば誘電材料などの任意の適切な材料を含むことができる。表面102上または表面として使用するのに適した誘電材料の非限定的な例には、ポリマー材料、ガラス材料、および/またはセラミック材料が含まれる。誘電材料は、バルク材料または表面102をコーティングする薄膜でもよい。表面102は、例えば、平面視で略円形、正方形、または長方形などの静電チャックに適した任意の形状を有することができる。一実施形態では、表面102の周囲は、
図1に示すように表面102のほぼ円形の周りに示される凹部などの静電チャックの全体的な形状からはずれる、凹部、突出部、または任意の他の特徴を含むことができる。
【0019】
開口部104は、表面102に形成された開口部である。開口部104は、例えば、ガス冷却のための流路、静電容量センサまたは他の適切なセンサなどのセンサを収容する場所としてよい。
【0020】
電極106a~fは、それぞれが螺旋形状を有する表面102上に設けられた複数の電極であり、その螺旋形状は、電極106a~fが互いに噛み合うように配置されている。一実施形態では、
図1に示す6つの電極106a~fとは異なる数の電極があってもよい。一実施形態では、2つ以上の電極106が存在する。別の実施形態では、3つ以上の電極106が存在する。電極106a~fはそれぞれ、各電極が表面102の中心を取り囲むような螺旋形状を有することができる。電極106a~fは、各電極が互いに噛み合うようなパターンで配置される。電極106a~fは、電極106a~fの各々が互いに接触または交差しないように配置される。一実施形態では、電極106a~fの各々は螺旋形状を有し、各電極のそれぞれの螺旋形状は、そのそれぞれの始点および終点が表面102の周りに分布している。一実施形態では、電極106a~fのそれぞれの始点は、表面102の中心の周りに均等に放射状に分布することができ、例えば、電極106が3つある場合は互いに120度離れており、または
図1に示すように、6つの電極106a~fがある場合は互いに60度離れている。電極106a~fのパターンは、アルゴリズム的に決定することができる。一実施形態では、電極のパターンは、電極106a~fの各々をその開始点から終了点まで途切れないままにし、電極106a~fの各々を互いに分離したままにしながら、電極106a~fが開口部104に接触または交差しないように開口部104を回避するように構成されている。
【0021】
図2は、一実施形態による静電チャックの分解断面図を示す。静電チャック200は、基部202および表面204を含む。任意に、表面204に1つ以上の開口部206を設けることができる。複数の電極208a~fが設けられている。各電極208a~fは、接続ピン210a~fによって対応する電源212a~fに接続されてもよい。静電チャック200を使用してウエハ214を保持することができる。一実施形態では、電極208a~fとウエハ212との間に第2の表面216を設けることができる。
【0022】
静電チャック200は、ウエハ214などのウエハを、静電チャック200にウエハをクランプする静電気力を供給することによって保持する。静電チャック200は、半導体ウエハまたは絶縁ウエハなどの任意の適切なタイプのウエハに使用することができる。
【0023】
基部202は、表面204を支持する静電チャック200の本体でもよい。実施形態では、基部202は、チャック200および任意のクランプされたウエハ214を冷却するための水および/またはガス冷却システムを任意に含むことができる。ガス冷却システムは、例えば、基部202の表面に向かい、またその中に形成されたチャネル218を含むことができる。水冷システムは、例えば、基部200内に形成された流路220を含むことができる。実施形態では、
図2に概略的に示す配線210a~fおよび/または電源212a~fを、基部202内に配置することができる。
【0024】
表面204は、ウエハ214に面する、および/またはウエハと接触するように構成された静電チャック200の表面である。表面204は、例えば誘電材料などの任意の適切な材料を含むことができる。表面204上にまたは表面として使用するのに適した誘電材料の非限定的な例には、ポリマー材料、ガラス材料、および/またはセラミック材料が含まれる。誘電材料は、表面204の一部または全部を構成するバルク誘電材料、または表面204を覆う薄膜でもよい。
【0025】
開口部206は、表面204に形成された開口部である。開口部206は、例えば、ガス冷却のための流路、任意の適切なセンサまたは静電容量センサの接地ピンなどのセンサの一部を収容する場所、リフトピンなどのアクチュエータを収容する場所、または静電チャック内の任意の他の適切な機能として使用することができる。開口部206の一部またはすべては、異なるサイズを有することができる。開口部206の各々のサイズおよび位置は、その特定の開口部の目的に適したものでよい。
【0026】
電極208a~fはそれぞれ静電チャック200の別々の電極である。電極208a~fは、例えば、表面204の一方または両方上、および表面204に面する第2の表面216の1つの側に設けることができる。一実施形態では、
図1に示す6つの電極208a~fとは異なる数の電極があってもよい。一実施形態では、2つ以上の電極208が存在する。一実施形態では、3つ以上の電極208が存在する。電極208a~fはそれぞれ、各電極が表面204の中心を取り囲むような螺旋形状を有することができる。電極208a~fは、各電極が互いに噛み合うようなパターンで配置される。電極208a~fは、電極208a~fの各々が互いに接触または交差しないように配置される。一実施形態では、電極208a~fの各々はほぼ螺旋形状を有し、各電極のそれぞれの螺旋形状は、始点および終点が表面204の周りに分布している。一実施形態では、電極208a~fのそれぞれの始点は、表面204の中心の周りに均等に放射状に分布することができ、例えば、電極208が3つある場合は互いに120度離れており、または
図2に示すように、6つの電極208a~fがある場合は互いに60度離れている。電極208a~fのパターンは、アルゴリズム的に決定することができる。一実施形態では、電極のパターンは、電極208a~fの各々をその開始点から終了点まで途切れないままにし、電極208a~fの各々を互いに分離したままにしながら、電極208a~fが開口部206に接触または交差しないように開口部206を回避するように構成されている。電極208a~fは、それぞれの開口部206の周りを湾曲することによって開口部206を回避することができ、他の電極208a~fは、電極がそうした開口部206を回避するために逸れた場所で他の電極との接触を回避するために同様の湾曲を含むことができる。
【0027】
接続ピン210a~fにより、それぞれの電極208a~fの各々を対応する電源212a~fに接続することができる。電源212a~fはそれぞれ、電極208a~fの中からそれぞれの接続された電極に電力を供給する。異なる数の電極208を有する実施形態では、その実施形態の電極の各々に対して接続ピン210および電源212が存在してもよい。電源212a~fの各々は、それぞれの電極208a~fに異なる位相を有する交流(AC)電力を供給するか、または異なる極性の直流(DC)電力を供給することができ、その結果電極208a~fの各々における電力の変動に起因する力の喪失は、互いに時間的に分離される。一実施形態では、電源212a~fの各々は、異なる位相を有するAC電力を供給する。一実施形態では、電源212a~fのうちの1つまたは複数は、各極性のDC電力を供給する。したがって、電源212a~fを使用して特定の位相または極性を有する電力をそれぞれの電極208a~fに供給することにより、クランプする力を経時的に維持することができる。
【0028】
ウエハ214は、静電チャック200に保持可能なウエハである。一実施形態では、ウエハ214は半導体ウエハである。一実施形態では、ウエハ214は絶縁ウエハである。絶縁ウエハの非限定的な例は、ガラスウエハである。本明細書に記載の交互嵌合電極構造は、ガラスウエハを適切にクランプするために必要とされてよい。さらに、本明細書に記載の交互嵌合電極の螺旋状パターンを使用して、ウエハ214をより均一に保持することができる。一実施形態では、ウエハ214は、表面204の形状にほぼ合う形状を有し、例えば、ウエハ214と表面204とはそれぞれほぼ円形の形状である。実施形態では、ウエハ214と表面204とはそれぞれ、ほぼ長方形の形状、ほぼ正方形の形状などを有してもよい。電極208a~fが電力を受け取っているとき、ウエハ214を、電力供給された電極208a~fによって供給される力により静電チャック200にクランプすることができる。一実施形態では、ウエハ214が静電チャック200にクランプされると、ウエハ214は、静電チャック200上またはその近くに設けられた1つまたは複数の突出部(図示せず)と接触する。一実施形態では、ウエハ214に接触する突出部は、表面204から延びる2つ以上のピンを含む。一実施形態では、ウエハ214の存在は、開口部206のうちの1つまたは複数に含まれるような静電容量センサにより、または静電容量センサとして機能する電極208a~f自体のうちの少なくともいくつかにより検出することができる。
【0029】
実施形態では、第2の表面216は、電極208a~fの上に設けることができる。第2の表面216は、電極208a~fによって露出されたままの表面204の部分をさらに覆うことができる。第2の表面216は、例えば、1つまたは複数の誘電材料でもよい。表面204上にまたは表面として使用するのに適した誘電材料の非限定的な例には、ポリマー材料、ガラス材料、および/またはセラミック材料が含まれる。誘電材料は、表面204の一部または全部を構成するバルク誘電材料、または表面204を覆う薄膜でもよい。
【0030】
一実施形態では、ウエハ214を静電チャック200にクランプすることは、電源212a~fを起動させてそれぞれの電極208a~fにそれぞれの電力を供給することによって実行することができる。こうして、電極208a~fの各々は、そのそれぞれの電源212a~fによって電力供給されると静電気力を供給することができ、それによってウエハ214を静電チャック200にクランプする。例えば、電源212a~fの少なくともいくつかを互いに位相をずれさせることによって、電極208a~fの少なくとも1つが常に非ゼロの電力量を受け取っていることを確保にすることにより、電極208a~fがクランプする力を連続的に供給するように、異なる電力の位相を選択することができる。例えば、電源212a~fからそれぞれの電極208a~fへの電力の供給を絶つことにより、静電チャック200からウエハ214をクランプ解除することができる。クランプおよびクランプ解除は、電源212a~fの制御、またはそれぞれの電極208a~fへの電力の供給を通じて、要求に応じて実行することができる。
【0031】
図3は、一実施形態による静電チャックを製造する方法のフローチャートを示す。方法300は、302で複数の交互嵌合電極を設けるためのパターンを決定することと、304で電極を設けることとを含む。
【0032】
302において、複数の交互嵌合電極を設けるためのパターンが決定される。パターンは、複数の電極の各々が始点から終点まで延び、各電極が表面の中心を囲むパターンとすることができる。パターンは、複数の電極のいずれも互いに接触または交差しないようなパターンである。パターンは、複数の電極に含まれる各電極に対して螺旋状にしてよい。パターンは、円形、正方形、または長方形などの静電チャックの表面の形状に基づくことができる。実施形態では、パターンは、複数の電極が設けられる表面の開口部を回避するように構成された1つまたは複数の電極を含むことができる。複数の電極は、ウエハを保持するための多相の静電チャック用の任意の適切な数の電極を含むことができる。一実施形態では、複数の電極は少なくとも3つの電極を含む。一実施形態では、複数の電極は偶数個の電極を含む。一実施形態では、複数の電極は6つの電極を含む。
【0033】
一実施形態では、302で決定されたパターンの各電極は、静電チャックの表面の周囲またはその近くで始点と、始点と比較した場合に静電チャックの表面の中心により近い終点とを含むことができる。パターン内の各電極のそれぞれの始点および/または終点は、静電チャックの表面の中心に対して互いに放射状に間隔が開けられてもよい。一実施形態では、各電極の始点および/または終点は、静電チャックの表面の中心の周りに放射状に均等に分布することができ、例えば、3つの電極がある場合は互いに120度にオフセットされ、4つの電極がある場合は互いに90度にオフセットされ、6つの電極がある場合は互いに60度にオフセットされるなどである。
【0034】
一実施形態では、パターンは、設けられる電極の数、電極が設けられる表面のサイズおよび形状、電極によって回避される表面の開口部などの入力に基づいて、プロセッサを使用して302でアルゴリズム的に決定することができる。
【0035】
電極は、304で表面に設けられる。表面は、誘電材料などの静電チャックに適した任意の表面でよい。誘電材料としては、セラミック、ガラス、ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。表面は、円形、正方形、または長方形などの、静電チャックに適した任意の形状を有することができる。電極は、302で決定されたパターンに従って304で表面上に設けられる。電極を形成するための任意の適切な手段によって、電極を表面に設けることができる。304で電極を設けるための方法の非限定的な例には、フォトリソグラフィー法、箔焼結法、または導電性インク印刷が含まれる。フォトリソグラフィー法には、非限定的な例として、導電層を表面に堆積させ、フォトリソグラフィーを使用して電極を画定すること、導電層をフォトレジスト上に堆積させ、フォトレジストと共に除去するリフトオフ法が含まれてもよい。箔焼結法には、例えば、セラミック表面の間に成形されたバルク導電性箔を挟んで電極を形成することが含まれてもよい。電極は、静電チャックが動作しているときに形成された電極の各々が電源によって電力供給され得るように、電源に接続されるように構成されたコンタクトをそれぞれ有するようにさらに形成されてもよい。導電性インクを使用する印刷には、例えば、302で決定されたパターンに従って304で金属インクを使用して電極を設けるシルクスクリーン印刷が含まれてもよい。
【0036】
態様:
【0037】
態様1~9のいずれかを態様10~18のいずれかと組み合わせることができることが理解される。
【0038】
態様1.表面に螺旋パターンで形成された複数の電極を備え、複数の電極の各々が互いに噛み合っており、複数の電極の各々が表面の中心を取り囲む、静電チャック。
【0039】
態様2.表面がセラミック表面である、態様1に記載の静電チャック。
【0040】
態様3.螺旋パターンが、表面に形成された1つまたは複数の孔を回避するように構成されている、態様1~2のいずれかに記載の静電チャック。
【0041】
態様4.表面の形状がほぼ円形である、態様1~3のいずれかに記載の静電チャック。
【0042】
態様5.複数の電極の各々が、異なる位相の電力を供給するように構成された異なる回路に接続されている、態様1~4のいずれかに記載の静電チャック。
【0043】
態様6.複数の電極の各々が、表面の周囲に始点を有する、態様1~5のいずれかに記載の静電チャック。
【0044】
態様7.複数の電極が、少なくとも3つの電極を含む、態様1~6のいずれかに記載の静電チャック。
【0045】
態様8.複数の電極が、少なくとも6つの電極を含む、態様1~7のいずれかに記載の静電チャック。
【0046】
態様9.ウエハをクランプする方法であって、態様1~8のいずれかに記載の静電チャック上にウエハを配置することと、
複数の電極の各々に電力を供給することとを含む方法。
【0047】
態様10.静電チャックを製造する方法であって、
各電極が始点から終了点まで延在し表面の中心を取り囲むように、互いに噛み合った複数の電極を表面上に設けることができるパターンを決定することと、
パターンに従って表面上に複数の電極を設けることとを含む方法。
【0048】
態様11:パターンを決定することが、表面の寸法および当該表面に設けられた任意の開口部に基づいてパターンを決定するアルゴリズムを使用することを含む、態様10に記載の方法。
【0049】
態様12.表面がセラミック表面である、態様10~11のいずれかに記載の方法。
【0050】
態様13.パターンが、表面に形成された1つまたは複数の開口部を回避するように構成されている、態様10~13のいずれかに記載の方法。
【0051】
態様14:表面上に複数の電極を設けることが、フォトリソグラフィーを使用して電極の各々を画定することを含む、態様10~14のいずれかに記載の方法。
【0052】
態様15:表面上に複数の電極を設けることが箔焼結することを含む、態様10~14のいずれかに記載の方法。
【0053】
態様16:表面上に複数の電極を設けることが、導電性インクで各電極を印刷することを含む、態様10~14のいずれかに記載の方法。
【0054】
態様17:複数の電極の各々を異なる回路に接続することをさらに含み、当該回路の各々が、その他の当該回路とは異なる位相を有する電力を供給するように構成されている、態様10~16のいずれかに記載の方法。
【0055】
態様18:複数の電極が少なくとも3つの電極を含む、態様10~17のいずれかに記載の方法。
【0056】
態様19:複数の電極が少なくとも6つの電極を含む、態様10~18のいずれかに記載の方法。
【0057】
本出願で開示される実施例は、すべての点で例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本発明の範囲は、前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と同等の意味および範囲内にあるすべての変更は、特許請求の範囲に包含されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に螺旋パターンで形成された複数の電極を備え、前記複数の電極の各々が互いに噛み合っており、前記複数の電極の各々が前記表面の中心を取り囲む、静電チャック。
【請求項2】
前記螺旋パターンが、前記表面に形成された1つまたは複数の孔を回避するように構成されている、請求項
1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記複数の電極の各々が、異なる位相の電力を供給するように構成された異なる回路に接続されている、請求項
1に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記複数の電極の各々が、前記表面の周囲に始点を有する、請求項
1に記載の静電チャック。
【請求項5】
静電チャックを製造する方法であって、
各電極が始点から終了点まで延在し表面の中心を取り囲むように、互いに噛み合った複数の電極を前記表面上に設けることができるパターンを決定することと、
前記パターンに従って前記表面上に前記複数の電極を設けることと
を含む方法。
【国際調査報告】