(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】IL-6およびTNF-αを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20231218BHJP
C07K 16/24 20060101ALI20231218BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231218BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231218BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231218BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231218BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20231218BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20231218BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20231218BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231218BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231218BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20231218BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/24 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/46
C07K16/18
A61K39/395 N
A61P29/00
A61P37/06
A61P29/00 101
A61P19/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536863
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021086595
(87)【国際公開番号】W WO2022129572
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】505166225
【氏名又は名称】アブリンクス エン.ヴェー.
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・アスブランド
(72)【発明者】
【氏名】ナディーン・ビーゼマン
(72)【発明者】
【氏名】アン・ブリッジ
(72)【発明者】
【氏名】ジークリット・コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】カレン・ヘイニンク
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ロレーント
(72)【発明者】
【氏名】ハイディ・ロンメラエール
(72)【発明者】
【氏名】シャナ・ファン・ズワム
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG26
4B064AG27
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4B064CC24
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4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA16
4C085BB17
4C085CC23
4C085DD62
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、炎症性疾患および/または自己免疫疾患、具体的には関節リウマチに患っている対象を処置するための新規のタイプの薬物を提供する。具体的には、本開示は、少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)がTNF-αに結合し、少なくとも2つのISVDがIL-6に結合することを特徴とする、少なくとも3つのISVDを含むポリペプチドを提供する。本開示はまた、核酸、ベクターおよび組成物も提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチド、該ポリペプチドを含む組成物、または該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む組成物であって、該ポリペプチドは、少なくとも3つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み;
a)第1のISVDはIL-6に結合し、
i.配列番号6のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号6と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号10のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号10と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号14のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
b)第2のISVDはIL-6に結合し、
iv.配列番号8のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
v.配列番号12のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有する CDR2;および
vi.配列番号16のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
c)第3のISVDはTNF-αに結合し、
vii.配列番号9のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
viii.配列番号13のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
ix.配列番号17のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含む、前記ポリペプチドまたは組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および/もしくはアジュバントをさらに含み、場合により、1種またはそれ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含む医薬組成物である、請求項1に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項3】
a)前記第1のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR3を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR3を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
請求項1または2に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項4】
a)前記第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を有し;
b)前記第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を有し;
c)前記第3のISVDのアミノ酸配列は、配列番号5と90%を超える配列同一性を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項5】
a)前記第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を有し;
b)前記第2のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を有し;
c)前記第3のISVDは、配列番号5のアミノ酸配列を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項6】
前記ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項7】
増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンのような)または血清免疫グロブリン(IgGのような)に結合することができる結合単位からなる群から選択される、請求項6に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項8】
増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記結合単位は、ヒト血清アルブミンに結合することができるISVDである、請求項7に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項9】
ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、
i.配列番号7のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号11のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号15のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号15と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3
を含む、請求項8に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項10】
ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、請求項8または9に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項11】
前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を有する、請求項8~10のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項12】
ポリペプチドは、配列番号1と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項1~11のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項13】
医薬としての使用のための、請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項14】
炎症性疾患および/または自己免疫疾患の処置における使用のための、請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは組成物。
【請求項15】
炎症性疾患および/または自己免疫疾患は関節リウマチである、請求項14に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項17】
請求項16に記載の核酸を含む宿主または宿主細胞。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか1項に記載のポリペプチドを生産するための方法であって、少なくとも:
a)請求項16に記載の核酸を発現させる工程;場合により、それに続いて:
b)ポリペプチドを単離および/または精製する工程
を含む、前記方法。
【請求項19】
請求項1~15のいずれか1項に記載の少なくとも1つのポリペプチド、または請求項16に記載の核酸を含む組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および/もしくはアジュバントをさらに含み、場合により、1種またはそれ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含む医薬組成物である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
炎症性疾患および/または自己免疫疾患を処置する方法であって、医薬的に活性な量の、請求項1~15のいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項19もしくは20に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項22】
炎症性疾患および/または自己免疫疾患は関節リウマチである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
炎症性疾患および/または自己免疫疾患を処置するための医薬組成物の調製における、請求項1~15のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項19~20のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項24】
炎症性疾患および/または自己免疫疾患は関節リウマチである、請求項23に記載のポリペプチドまたは組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 分野
本開示は、インターロイキン-6(IL-6)およびTNF-αを標的化するポリペプチドに関する。本開示はまた、該ポリペプチドをコードする核酸分子および該核酸を含むベクター、ならびに該ポリペプチド、核酸またはベクターを含む組成物にも関する。本開示はさらに、炎症性疾患および/または自己免疫疾患に罹っている対象を処置する方法における使用のためのこれらの製品に関する。さらに、本開示は、これらの製品を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2 技術的背景
関節リウマチは、全世界でおよそ2500万人の患者が罹患している重度の自己免疫疾患である(非特許文献1)。関節リウマチの主な症状は関節痛および関節腫脹である。これは、関節の滑液腔の炎症を伴う関節炎に起因する。関節リウマチのこの炎症を起こした滑液腔は、免疫細胞の浸潤および間質細胞活性化によって特徴付けられる(非特許文献2;非特許文献3)。特殊化した細胞である線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)は、このプロセスのキープレーヤーと考えられている(非特許文献4)。FLSは、マクロファージ様滑膜細胞と一緒になって滑膜の内膜内層を形成する。関節リウマチでは、FLS増殖および免疫細胞の蓄積は炎症の引き金となり、関節リウマチの主要症状の1つである滑膜過形成として知られる膜の肥厚をもたらす。関節リウマチにおける関節炎の重要なメディエーターとして、FLSは関節リウマチ処置のための魅力的な標的細胞型となる。
【0003】
IL-6は、T細胞およびB細胞、単球、線維芽細胞ならびに滑膜細胞を含む数多くの細胞型によって分泌される多面発現性サイトカインである。
【0004】
元々はB細胞分化因子として同定されたタンパク質、IL-6(非特許文献5;特許文献1)と、IL-6R(非特許文献6;特許文献2)との相互作用は、IL-6/IL-6R複合体の形成をもたらす。この複合体は、IL-6の様々な生理的作用を伝達する受容体タンパク質、gp130(非特許文献7;特許文献3)に結合する。IL-6は、特に、免疫応答、造血、急性期反応、骨代謝、血管新生、および炎症の制御に関与していることが現在知られている。IL-6生産の脱制御は、いくつかの自己免疫および慢性炎症性増殖性疾患プロセスの病態に関与している(非特許文献8)。IL-6(非特許文献9;特許文献4)、IL-6R(特許文献5)またはgp130(非特許文献10;特許文献6)に特異的に結合するポリペプチドは、IL-6の機能に対して効率的な抑制効果を示すことが判明した。
【0005】
先行技術は、IL-6関連障害の予防および処置のためのヒトIL-6、ヒトIL-6Rおよびヒトgp130タンパク質に対する抗体および抗体断片を記載している。例は、トシリズマブ(非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14を参照されたい)、BE8(非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18を参照されたい)およびCentocorのCNTO-328(非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21を参照されたい)である。IL-6関連障害の予防および処置のための当技術分野で公知の別の有効成分は、可溶性gp130のFc融合物である(非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24;非特許文献25を参照されたい)。IL-6Rに対するアミノ酸配列およびナノボディならびにこれらを含むポリペプチドは、特許文献7に記載されている。
【0006】
腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α;TNF-アルファは主に単球およびマクロファージによって産生されるホモ単量体サイトカインであるが、CD4+およびCD8+末梢血Tリンパ球によって分泌されることも知られている。TNF-αは、溶解型または膜貫通型タンパク質として存在することができる。TNF-αの主要な役割は免疫細胞の制御にある。TNF-αは内因性発熱物質として作用し、その産生の調節異常は、炎症性腸疾患および他の炎症性疾患、例えばRAを含む様々なヒト疾患に関与している。
関節リウマチに対してFDAにより現在承認されている処置としては、抗TNF-α生物学的製剤(例えば、シンポニー(Simponi)(登録商標)[ゴリムマブ]、エンブレル(Enbrel)(登録商標)[エタネルセプト]、レミケード(Remicade)(登録商標)[インフリキシマブ]およびヒュミラ(Humira)(登録商標)[アダリムマブ])が挙げられる。しかしながら、これらの抗TNF-α処置は、少数の患者で完全な疾患寛解を示すにすぎず、非応答者の大部分が依然として残っている。故に、これまでのところ、かなりの割合の関節リウマチ患者の疾患寛解に関して十分な効能を示す生物学的製剤はなく、応答の欠如または喪失は依然として問題である。
【0007】
複数の疾患因子を標的化することは、例えば、異なる治療標的に結合する2つの別々の生物学的製剤、例えば抗体の共投与またはコンビナトリアルな使用によって達成される。しかしながら、別々の生物学的製剤の共投与またはコンビナトリアルな使用は、実用面と商業面両方の視点から問題がある可能性がある。例えば、別々の製品の2回の注射は、患者にとってより不便でより苦痛を伴う処置レジメンをもたらし、これは、コンプライアンスに負の影響を与える可能性がある。2つの別々の製品の単回注射に関して、両方の製品の必要な濃度での許容可能な粘性と好適な安定性を可能にする配合物を提供することは、難しいかまたは不可能であり得る。加えて、共投与および共配合物は、2つの別々の薬物の生産を必要とすることから、全体コストを増加させる可能性がある。
【0008】
別々の生物製剤、例えば抗体の共投与またはコンビナトリアルな使用に関連するこのような制限に対処するための1つの戦略として、2つの異なる抗原に結合することができる二重特異性抗体が示唆されてきた。
【0009】
二重特異性抗体構築物が複数の様式で提唱されている。例えば、二重特異性抗体様式は、2つの抗体の化学的コンジュゲーションまたはそれらの断片を含んでいてもよい(非特許文献26;非特許文献27)。
【0010】
しかしながら、このような二重特異性抗体様式のデメリットとしては、高濃度での高い粘性が挙げられる。これは、例えば皮下投与を難しくし、特異的結合および高親和性結合のためには各結合単位は2つの可変ドメインの相互作用を必要とするという点で、ポリペプチドの安定性および生産効率に意味を持つ。このような二重特異性抗体様式は、軽鎖の誤対合または重鎖の誤対合に関連するCMC(化学、製造および品質管理)問題につながる可能性も潜在的にある。
【0011】
これまでのところ、臨床にたどり着いたTNF-αおよびIL-6を標的化する多重特異性、例えば二重特異性抗体構築物はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】EP 0257406
【特許文献2】EP 0325474
【特許文献3】EP 0411946
【特許文献4】EP 0312996
【特許文献5】EP 0409607
【特許文献6】EP 0572118
【特許文献7】WO 08/020079
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】GBD 2015、Lancet. 2016年10月8日;388(10053):1545~1602頁
【非特許文献2】Klareskog,Catrinaら、Lancet. 2009年2月21日;373(9664):659~72頁
【非特許文献3】Smolen,Aletahaら、Nat Rev Dis Primers. 2018年2月8日;4:18001頁
【非特許文献4】BartokおよびFirestein、Immunol Rev. 2010年1月;233(1):233~55頁
【非特許文献5】Hiranoら、1985、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、82:5490~4頁
【非特許文献6】Yamasakiら、1988、Science、241:825~8頁
【非特許文献7】Tagaら、1989、Cell、58: 573~81頁
【非特許文献8】IshiharaおよびHirano、2002、Biochim. Biophys. Acta、1592:281~96頁
【非特許文献9】Kleinら、1991、Blood、78:1198~204頁
【非特許文献10】Saitoら、1993、J. Immunol. Methods、163:217~223頁
【非特許文献11】Wooら、2005、Arthritis Res. Ther. 7:1281~8頁
【非特許文献12】Nishimotoら、2005、Blood 106:2627~32頁
【非特許文献13】Itoら、2004、Gastroenterology、126:989~96頁
【非特許文献14】Choyら、2002、Arthritis Rheum. 46:3143~50頁
【非特許文献15】Batailleら、1995、Blood 86:685~91頁
【非特許文献16】Emilieら、1994、Blood 84:2472~9頁
【非特許文献17】Beckら、1994、N. Engl. J. Med. 330:602~5頁
【非特許文献18】Wendlingら、1993、J. Rheumatol. 20:259~62頁
【非特許文献19】Journal of Clinical Oncology、2004、22/14S:2560頁
【非特許文献20】Journal of Clinical Oncology、2004、22/14S:2608頁
【非特許文献21】Int. J. Cancer、2004、111:592~5頁
【非特許文献22】Beckerら 2004、Immunity、21:491~501頁
【非特許文献23】Doganciら、2005、J. Clin. Invest. 115:313~25頁
【非特許文献24】Nowellら、2003、J. Immunol. 171:3202~9頁
【非特許文献25】Atreyaら、2000、Nat. Med. 6:583~8頁
【非特許文献26】Brennan,Mら、Science、1985.229(4708):81~83頁
【非特許文献27】Glennie,M.J.ら、J Immunol、1987.139(7):2367~2375頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現在、関節リウマチ患者は利用可能な標準的治療処置に依然として不適切に応答するため、RAを処置する改善された薬剤に対する満たされていない医学的な必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明者らは、特に関節リウマチ(RA)のような炎症性疾患および/または自己免疫疾患を処置するための新規の改善された薬剤を開発した。これらの薬剤は、IL-6およびTNF-αを含む2つまたは複数の疾患因子を標的化する。これらの因子は、炎症性疾患、および特にRAに関連する生物学的メカニズムを媒介している。
【0016】
発明者らは驚くべきことに、単一の薬剤を用いたIL-6およびTNF-αの二重標的化は、同じ適応症に対する単一特異性薬剤療法が十分に有効ではない可能性がある関節リウマチ患者において有効な処置を与える可能性を有することを見出した。
【0017】
発明者らは、IL-6およびTNF-αを同時に特異的に標的化する二重特異性または多重特異性ポリペプチド(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)構築物)が、単一特異性抗TNF-αまたは単一特異性抗IL-6ポリペプチドと比較して関節リウマチの症状を調節する効率を向上させることを見出した。このようなポリペプチド(例えばISVD構築物)は、効率的に生産し(例えば微生物宿主で)、都合よく投与することができた。さらに、このようなポリペプチド(例えばISVD構築物)は、処置しようとする対象における既存の抗体(すなわち、抗体構築物による最初の処置の前に対象に存在する抗体)への反応性が制限されることを示すことができた。一部の実施形態においてこのようなポリペプチド(例えばISVD構築物)は、連続処置の回数が制限され、故にタイミングの間隔を十分にあけられるように、処置しようとする対象において十分に長い半減期を示す。
【0018】
本開示のポリペプチド(例えば免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)構築物)は、少なくとも3つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなり、少なくとも1つのISVDはTNF-αに特異的に結合し、少なくとも2つのISVDはIL-6に特異的に結合する。一部の実施形態によれば、TNF-αに結合する少なくとも1つのISVDはヒトTNF-α(hTNF-α)に特異的に結合し、IL-6に結合する少なくとも2つのISVDはヒトIL-6(hIL-6)に特異的に結合する。
【0019】
一部の好ましい実施形態によれば、本開示のポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する。例えば、結合単位は、血清タンパク質、例えばヒト血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミンに結合するISVDであり得る。
【0020】
本開示のポリペプチドを発現することが可能な核酸分子、核酸または核酸分子を含むベクター、およびポリペプチド、核酸またはベクターを含む組成物も提供される。一部の実施形態において、組成物は医薬組成物である。
【0021】
本開示によるポリペプチドをコードする核酸またはベクターを含む(非ヒト)宿主または宿主細胞も提供される。
【0022】
さらに、本開示によるポリペプチドを生産する方法であって、少なくとも:
a.好適な宿主細胞もしくは(非ヒト)宿主生物中で、または別の好適な(例えば無細胞)発現系中で、核酸を発現させる工程;場合により、それに続いて:
b.本開示によるポリペプチドを単離および/または精製する工程
を含む前記方法が提供される。
【0023】
さらに、本開示は、医薬としての使用のための、ポリペプチド、ポリペプチドを含む組成物、またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸もしくはベクターを含む組成物を提供する。一部の実施形態において、ポリペプチドまたは組成物は、RAのような炎症性疾患および/または自己免疫疾患の処置における使用のためである。
【0024】
加えて、RAのような炎症性疾患を処置する方法であって、医薬的に活性な量の本開示によるポリペプチドまたは組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法が提供される。一部の実施形態において、本方法は、1つまたはそれ以上の追加の治療剤を投与することをさらに含む。
【0025】
さらに、RAのような炎症性疾患および/または自己免疫疾患を処置するための医薬(医薬組成物のような)の調製における本開示のポリペプチドまたは組成物の使用が提供される。
【0026】
特に、本開示は以下の実施形態を提供する:
実施形態1.医薬としての使用のための、ポリペプチド、該ポリペプチドを含む組成物、または該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む組成物であって、該ポリペプチドは、少なくとも3つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み;
a)第1のISVDは、
i.配列番号6のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号6と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号10のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号10と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号14のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
b)第2のISVDは、
iv.配列番号8のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
v.配列番号12のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR;および
vi.配列番号16のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
c)第3のISVDは、
vii.配列番号9のアミノ酸配列を有するかまたは 配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有する CDR1;
viii.配列番号13のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
ix.配列番号17のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み、
第1、第2および第3のISVDは、場合により、N末端から開始する順番で含まれる、ポリペプチドまたは組成物。
【0027】
実施形態2.少なくとも1種の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および/もしくはアジュバントをさらに含み、場合により、1種またはそれ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含む医薬組成物である、実施形態1に記載の使用のための組成物。
【0028】
実施形態3.a)前記第1のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR3を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR3を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
実施形態1または2に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0029】
実施形態4.a)前記第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を有し;
b)前記第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を有し;
c)前記第3のISVDのアミノ酸配列は、配列番号5と90%を超える配列同一性を有する、実施形態1~3のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0030】
実施形態5.a)前記第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を有し;
b)前記第2のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を有し;
c)前記第3のISVDは、配列番号5のアミノ酸配列を有する、実施形態1~4のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0031】
実施形態6.前記ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する、実施形態1~5のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0032】
実施形態7.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそれらの断片、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチドからなる群から選択される、実施形態6に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0033】
実施形態8.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンのような)または血清免疫グロブリン(IgGのような)に結合することができる結合単位からなる群から選択される、実施形態6~7のいずれか1つに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0034】
実施形態9.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記結合単位は、ヒト血清アルブミンに結合することができるISVDである、実施形態8に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0035】
実施形態10.ヒト血清アルブミンに結合するISVDは
i.配列番号7のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号11のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号15のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号15と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3
を含む、実施形態9に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0036】
実施形態11.ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、実施形態9~10のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0037】
実施形態12.前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を有する、実施形態9~11のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0038】
実施形態13.前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を有する、実施形態9~12のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0039】
実施形態14.ポリペプチドは、そのC末端に1~5個のアミノ酸残基の伸長、好ましくは単一のアミノ酸残基の伸長を有し、アミノ酸残基は、天然に存在するアミノ酸から独立に選択され、好ましくはグリシンまたはアラニン、ロイシン、イソロイシンおよびバリン、より好ましくはアラニンおよびグリシン、最も好ましくはアラニンから独立に選択される、実施形態1~13のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0040】
実施形態15.ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、実施形態1~14のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0041】
実施形態16.ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、実施形態1~15のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0042】
実施形態17.関節リウマチのような炎症性疾患および/または自己免疫疾患の処置における使用のため、実施形態1~16のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0043】
実施形態18.少なくとも3つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなるポリペプチドであって、前記ISVDのそれぞれは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み;
a)第1のISVDはIL-6に結合し、
i.配列番号6のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号6と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号10のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号10と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号14のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
b)第2のISVDはIL-6に結合し、
iv.配列番号8のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
v.配列番号12のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
vi.配列番号16のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
c)第3のISVDはTNF-αに結合し、
vii.配列番号9のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
viii.配列番号13のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
ix.配列番号17のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み、
該ISVDは、場合により、N末端から開始する順番で含まれる、ポリペプチド。
【0044】
実施形態19.a)前記第1のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR3を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR3を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
実施形態18に記載のポリペプチド。
【0045】
実施形態20.a)前記第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を有し;
b)前記第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を有し;
c)前記第3のISVDのアミノ酸配列は、配列番号5と90%を超える配列同一性を有する、実施形態18または19のいずれかに記載のポリペプチド。
【0046】
実施形態21.a)前記第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を有し;
b)前記第2のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を有し;
c)前記第3のISVDは、配列番号5のアミノ酸配列を有する、実施形態18~20のいずれかに記載のポリペプチド。
【0047】
実施形態22.前記ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する、実施形態18~21のいずれかに記載のポリペプチド。
【0048】
実施形態23.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそれらの断片、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチドからなる群から選択される、実施形態22に記載のポリペプチド。
【0049】
実施形態24.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンのような)または血清免疫グロブリン(IgGのような)に結合することができる結合単位からなる群から選択される、実施形態22~23のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0050】
実施形態25.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記結合単位は、ヒト血清アルブミンに結合することができるISVDである、実施形態24に記載のポリペプチド。
【0051】
実施形態26.ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、
i.配列番号7のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号11のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号15のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号15と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3
を含む、実施形態25に記載のポリペプチド。
【0052】
実施形態27.ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、実施形態25~26のいずれかに記載のポリペプチド。
【0053】
実施形態28.前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を有する、実施形態25~27のいずれかに記載のポリペプチド。
【0054】
実施形態29.前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を有する、実施形態25~28のいずれかに記載のポリペプチド。
【0055】
実施形態30.ポリペプチドは、そのC末端に1~5個のアミノ酸残基の伸長、好ましくは単一のアミノ酸残基の伸長を有し、アミノ酸残基は、天然に存在するアミノ酸から独立に選択され、好ましくはグリシンまたはアラニン、ロイシン、イソロイシンおよびバリン、より好ましくはアラニンおよびグリシン、最も好ましくはアラニンから独立に選択される、実施形態18~29のいずれかに記載のポリペプチド。
【0056】
実施形態31.ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、実施形態18~30のいずれかに記載のポリペプチド。
【0057】
実施形態32.配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、実施形態18~31のいずれかに記載のポリペプチド。
【0058】
実施形態33.実施形態18~32によるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【0059】
実施形態34.実施形態33による核酸を含む宿主または宿主細胞。
【0060】
実施形態35.実施形態18~32によるポリペプチドを生産するための方法であって、少なくとも:
a)好適な宿主細胞もしくは宿主生物中で、または別の好適な発現系中で、実施形態33による核酸を発現させる工程;場合により、それに続いて:
b)実施形態18~32によるポリペプチドを単離および/または精製する工程
を含む、前記方法。
【0061】
実施形態36.少なくとも1つの実施形態18~32のいずれかによるポリペプチド、または実施形態33による核酸を含む組成物。
【0062】
実施形態37.少なくとも1種の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および/もしくはアジュバントをさらに含み、場合により、1種またはそれ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含む医薬組成物である、実施形態36に記載の組成物。
【0063】
実施形態38.関節リウマチのような炎症性疾患および/または自己免疫疾患を処置する方法であって、医薬的に活性な量の、実施形態18~32のいずれかに記載のポリペプチド、または実施形態36~37のいずれかに記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
【0064】
実施形態39.炎症性疾患および/または自己免疫疾患は関節リウマチである、実施形態37に記載の方法。
【0065】
実施形態40.関節リウマチのような炎症性疾患および/または自己免疫疾患を処置するための医薬組成物の調製における、実施形態18~32のいずれかに記載のポリペプチドまたは実施形態36~37のいずれかに記載の組成物の使用。
【0066】
実施形態41.炎症性疾患および/または自己免疫疾患は関節リウマチである、実施形態40に記載のポリペプチドまたは組成物の使用。
【0067】
実施形態42.少なくとも3つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなるポリペプチドであって、前記ISVDのそれぞれは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み;
a)第1のISVDは、
i.配列番号6のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号6と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号10のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号10と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号14のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
b)第2のISVDは、
iv.配列番号8のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
v.配列番号12のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
vi.配列番号16のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
c)第3のISVDは、
vii.配列番号9のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
viii.配列番号13のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
ix.配列番号17のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み、
ISVDは、場合により、N末端から開始する順番で含まれる、ポリペプチド。
【0068】
実施形態43.医薬としての使用のための、ポリペプチド、該ポリペプチドを含む組成物、または該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む組成物であって、該ポリペプチドは、少なくとも3つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み;
a)第1のISVDは、
i.配列番号9のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
b)第2のISVDは、
iv.配列番号150のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号150と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
v.配列番号151のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号151と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
vi.配列番号152のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号152と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
c)第3のISVDは、
vii.配列番号153のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号153と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
viii.配列番号154のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号154と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
ix.配列番号155のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号155と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み、
第1、第2および第3のISVDは、場合により、N末端から開始する順番で含まれる、ポリペプチドまたは組成物。
【0069】
実施形態44.a)前記第1のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR3を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号150のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号151のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号152のアミノ酸配列を有するCDR3を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号153のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号154のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号155のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
実施形態43に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0070】
実施形態45.a)前記第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号5と90%を超える配列同一性を有し;
b)前記第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号148と90%を超える配列同一性を有し;
c)前記第3のISVDのアミノ酸配列は、配列番号149と90%を超える配列同一性を有する、
実施形態43または44のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0071】
実施形態46.a)前記第1のISVDは、配列番号5のアミノ酸配列を有し;
b)前記第2のISVDは、配列番号148のアミノ酸配列を有し;
c)前記第3のISVDは、配列番号149のアミノ酸配列を有する、
実施形態43~45のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0072】
実施形態47.医薬としての使用のための、ポリペプチド、該ポリペプチドを含む組成物、または該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む組成物であって、該ポリペプチドは、少なくとも3つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み;
a)第1のISVDは、
i.配列番号9のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
b)第2のISVDは、
i.配列番号160のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号160と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号161のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号161と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号162のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号162と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み;
c)第3のISVDは、
i.配列番号150のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号150と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号151のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号151と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号152のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号152と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含み、
第1、第2および第3のISVDは、場合により、N末端から開始する順番で含まれる、ポリペプチドまたは組成物。
【0073】
実施形態48.a)前記第1のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR3を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号160のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号161のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号162のアミノ酸配列を有するCDR3を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号150のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号151のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号152のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
実施形態47に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0074】
実施形態49.a)前記第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号5と90%を超える配列同一性を有し;
b)前記第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号159と90%を超える配列同一性を有し;
c)前記第3のISVDのアミノ酸配列は、配列番号148と90%を超える配列同一性を有する、
実施形態47または48のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0075】
実施形態50.a)前記第1のISVDは、配列番号5のアミノ酸配列を有し;
b)前記第2のISVDは、配列番号159のアミノ酸配列を有し;
c)前記第3のISVDは、配列番号148のアミノ酸配列を有する、
実施形態47~49のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0076】
実施形態51.前記ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する、実施形態43~50のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0077】
実施形態52.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンのような)または血清免疫グロブリン(IgGのような)に結合することができる結合単位からなる群から選択される、実施形態51に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0078】
実施形態53.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記結合単位は、ヒト血清アルブミンに結合することができるISVDである、実施形態52に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0079】
実施形態54.ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、
i.配列番号7のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号11のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号15のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号15と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含む、実施形態53に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0080】
実施形態55.ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR3を含む、実施形態53または54のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0081】
実施形態56.ヒト血清アルブミンに結合する前記ISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を有する、実施形態53~55のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0082】
実施形態57.ヒト血清アルブミンに結合する前記ISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を有する、実施形態53~56のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0083】
実施形態58.ポリペプチドは、そのC末端に1~5個のアミノ酸残基の伸長、好ましくは単一のアミノ酸残基の伸長を有し、アミノ酸残基は、天然に存在するアミノ酸から独立に選択され、好ましくはグリシンまたはアラニン、ロイシン、イソロイシンおよびバリン、より好ましくはアラニンおよびグリシン、最も好ましくはアラニンから独立に選択される、実施形態43~57のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0084】
実施形態59.ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号147と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、実施形態43~46のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0085】
実施形態60.ポリペプチドは、配列番号147のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、実施形態43~46のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0086】
実施形態61.ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号158と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、実施形態47~50のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0087】
実施形態62.ポリペプチドは、配列番号158のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、実施形態47~50のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0088】
実施形態63.関節リウマチのような炎症性疾患および/または自己免疫疾患の処置における使用のための、実施形態43~62のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0089】
実施形態64.実施形態43~63のいずれかに記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【0090】
実施形態65.実施形態64に記載の核酸を含む宿主または宿主細胞。
【0091】
実施形態66.実施形態43~63のいずれかに記載のポリペプチドを生産する方法であって、少なくとも:
a)好適な宿主細胞または宿主生物中で、または別の好適な発現系中で、実施形態64に記載の核酸を発現させる工程;場合により、それに続いて:
b)実施形態43~63のいずれかに記載のポリペプチドを単離および/または精製する工程
を含む、前記方法。
【0092】
実施形態67.実施形態43~63に記載の少なくとも1つのいずれかに記載のポリペプチド、または実施形態64に記載の核酸を含む組成物。
【0093】
実施形態68.少なくとも1種の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および/もしくはアジュバントをさらに含み、場合により、1種またはそれ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含む医薬組成物である、実施形態67に記載の組成物。
【0094】
実施形態69.関節リウマチのような炎症性疾患および/または自己免疫疾患を処置する方法であって、医薬的に活性な量の、実施形態43~63のいずれかに記載のポリペプチド、または実施形態67もしくは68のいずれかに記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
【0095】
実施形態70.炎症性疾患および/または自己免疫疾患は関節リウマチである、実施形態69に記載の方法。
【0096】
実施形態71.関節リウマチのような炎症性疾患および/または自己免疫疾患を処置するための医薬組成物の調製における、実施形態43~63のいずれかに記載のポリペプチドまたは実施形態67もしくは68のいずれかに記載の組成物の使用。
【0097】
実施形態72.炎症性疾患および/または自己免疫疾患は関節リウマチである、実施形態71に記載のポリペプチドまたは組成物の使用。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】HSAにより捕獲されたF027201062への組換え溶解性hTNF-αおよびhIL-6の同時の結合を示すセンサーグラムである。
【
図2】Glo 応答(商標)HEK293_NFκB-NLucPレポーターアッセイにおけるISVD F027201062による溶解性ヒトおよびカニクイザルTNF-αの阻害を示す代表的なグラフ(表11の実験n3)であり、参照抗TNF-α mAb、IRR00096は、陰性対照ISVDである。
【
図3】IL-6誘導TF-1増殖アッセイにおけるISVD F027201062による溶解性ヒトおよびカニクイザルIL-6の阻害を示す代表的なグラフ(表12の実験n3)であり、参照抗IL-6 mAb1およびmAb2、IRR00096は、陰性対照ISVDである。LCI=下限信頼区間、UCI=上限信頼区間。
【
図4】96個のヒト血清サンプル中に存在する既存の抗体の、抗IL-6/抗TNF-α二重特異性ISVD F027201062および対照ISVD F027301186への結合を示す箱ひげ図である。
【
図5】コラーゲン誘導関節炎モデルにおける進行性関節炎を示す図である。N=13匹のオスDBA/1マウスを、0日目および21日目に100μgアジュバントII型コラーゲンで2回免疫感作した。マウスを22日目から始めて週2回、腹腔内注射によって示された化合物で処置した。処置は56日目後に中止した。関節炎の臨床徴候および症状についてマウスをスコア化した。平均±SEMが示されている。統計解析は、疾患経過にわたって選択された日の処置対陰性対照の比較による2元配置ANOVAである。
【
図6】コラーゲン誘導関節炎モデルの関節炎スコア経時的曲線下面積を示す図である。AUCは、21日目から56日目の処置期間、57日目から91日目のオフ処置期、および試験期間全体について別々に計算した。個々の値および平均±SEMが示されている。統計解析は、処置対陰性対照の比較による1元配置ANOVAである。
【
図7】コラーゲン誘導関節炎モデルの91日時点の血漿中抗II型コラーゲン抗体を示す図である。II型コラーゲン特異的力価は、II型コラーゲンコートプレートでELISAによって決定した。個々の値および平均±SEMが示されている。統計解析は、処置対陰性対照の比較による1元配置ANOVAである。
【
図8】コラーゲン誘導関節炎モデルの91日時点の後肢中足骨関節の組織学スコアを示す図である。後肢を組織検査用に処理し、切片をヘマトキシリンおよびエオシンならびに軟骨プロテオグリカン可視化用のサフラニンOで染色した。スコアの盲検評価を2名により別々に行った。平均±SEMが示されている。統計解析は、組織検査評価の4つの側面全てに関する処置対陰性対照の比較による2元配置ANOVAである。
【
図9-1】抗IL-6、抗TNFおよび両方の組み合わせで処置したコラーゲン誘導関節炎マウス肢からのRNAseqを示す図である。A)アイソタイプ処置対照マウスと比較した91日目の有意な脱制御転写物(FC>1.2)のベン図。B)CIAにおける主な上方および下方制御パスウェイ(左)ならびに抗TNFおよび抗IL-6併用による処置後(右)。
【
図10】関節リウマチ(RA)の定量的システム薬理学(Quantitative systems pharmacology)モデルを示す図である。モデルは、抗TNF-アルファコンパレーターおよび抗IL-6コンパレーターで処置後の関節リウマチ疾患スコアDAS28-CRPをシミュレートし、低用量のF027201062でも改善された臨床的効能(DAS28-CRPに基づく)を示す。
【
図11】関節リウマチ(RA患者)由来の線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)と健康なドナー由来のT細胞との共培養を示す図である。共培養ならびにIL-17A、sIL-6Rおよび抗CD3による刺激は、RA患者由来のヒト関節における公開されているレベルに類似したレベルのTNF-αおよびIL-6を誘導する。
【
図12】F027201062とのRA-FLS/T細胞共培養におけるMMP1分泌の相加的阻害を示す図である。IgG1アイソタイプ対照は、コンパレーター抗体の陰性対照としての役割を果たす。ISVDアイソタイプ対照は、多重特異性ISVDの陰性対照である。コンパレーター抗体およびそれらの組み合わせは陽性対照として使用される。抗TNF-α処置に応答するドナーのみが選択されている。組み合わせは、総用量の組み合わせ(例えば、200nM抗ヒトTNF-α+200nM抗ヒトIL-6)を反映する。F027201062およびF027200926は、抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物である。平均±SEM、8種の異なるT細胞ドナー、3回の技術的反復が示されている。
【
図13】F027201062とのRA-FLS/T細胞共培養におけるG-CSF分泌の相加的阻害を示す図である。IgG1アイソタイプ対照は、コンパレーター抗体の陰性対照としての役割を果たす。ISVDアイソタイプ対照は、多重特異性ISVDの陰性対照である。コンパレーター抗体およびそれらの組み合わせは陽性対照として使用される。組み合わせは、総用量の組み合わせ(例えば、200nM抗ヒトTNF-α+200nM抗ヒトIL-6)を反映する。F027201062およびF027200926は、抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物である。抗TNF-α処置に応答するドナーのみが選択されている。平均±SEM、8種の異なるT細胞ドナー、3回の技術的反復が示されている。
【
図14】F027201062とのヒトアデノイド培養におけるCXCL13の相加的阻害を示す図である。IgG1アイソタイプ対照は、コンパレーター抗体の陰性対照としての役割を果たす。ISVDアイソタイプ対照は、F027201062(抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物)の陰性対照である。コンパレーター抗体およびそれらの組み合わせは陽性対照として使用される。組み合わせは、総用量の組み合わせ(例えば、200nM抗ヒトTNF-α+200nM抗ヒトIL-6)を反映する。平均±SEM、4~7種の異なるドナー、2回の技術的反復が示されている。
【
図15】200nMのF027201062とのヒトアデノイド培養におけるCXCL13の相加的阻害を示す図である。IgG1アイソタイプ対照は、コンパレーター抗体の陰性対照としての役割を果たす。ISVDアイソタイプ対照は、F027201062(抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物)の陰性対照である。コンパレーター抗体およびそれらの組み合わせは陽性対照として使用される。組み合わせは、総用量の組み合わせ(200nM抗ヒトTNF-α+200nM抗ヒトIL-6)を反映する。平均±SEM、7種の異なるドナー、2回の技術的反復が示されている。統計は、1元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定である。
**p<0.01。
**p<0.001。
【
図16】ヒト全血アッセイにおける抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物のTNF-α依存的効能を示す図である。SEB刺激全血におけるMCP-1阻害のIC50が示されている。IgG1アイソタイプ対照は、コンパレーター抗体の陰性対照としての役割を果たす。ISVDアイソタイプ対照は、抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物の陰性対照である。抗hTNF-αコンパレーター抗体は陽性対照として使用される。以下の抗TNF-α/IL-6 ISVDを評価した:F027200926、F027201029、F027201060、F027201061、F027201062。平均±SEM、7種の異なるドナーが示されている。
【
図17】ヒト全血アッセイにおけるTNF-α/IL-6 ISVD構築物のTNF-α依存的効能を示す図である。SEB刺激全血におけるCCL4の用量依存的阻害が示されている。IgG1アイソタイプ対照は、コンパレーター抗体の陰性対照としての役割を果たす。ISVDアイソタイプ対照は、抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物の陰性対照である。抗hTNF-αコンパレーター抗体は陽性対照として使用される。F027201062は多重特異性抗TNF-α/IL-6 ISVDである。平均±SEM、7種の異なるドナーが示されている。
【
図18】ヒト全血アッセイにおける抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物のTNF依存的効能を示す図である。SEB刺激全血におけるCCL4阻害のIC50が示されている。IgG1アイソタイプ対照は、コンパレーター抗体の陰性対照としての役割を果たす。ISVDアイソタイプ対照は、抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物の陰性対照である。抗hTNF-αコンパレーター抗体は陽性対照として使用される。F027201062は多重特異性抗TNF-α/IL-6 ISVDである。平均±SEM、7種の異なるドナーが示されている。
【
図19】ヒトRA-FLS(関節リウマチ患者由来の線維芽細胞様滑膜細胞)における抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物のIL-6依存的効能を示す図である。アイソタイプ対照に対して正規化されたVEGF-A分泌の阻害%が示されている。IgG1アイソタイプ対照は、コンパレーター抗体の陰性対照としての役割を果たす。ISVDアイソタイプ対照は、抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物の陰性対照である。抗hIL-6コンパレーター抗体(陽性対照)および以下の抗TNF-α/IL-6 ISVD:F027200926、F027201029、F027201060、F027201061、F027201062による用量依存的阻害。2つの異なる継代で試験した平均±SEM、3種の異なる関節リウマチドナーが示されている。
【
図20】ヒトRA-FLS(関節リウマチ患者由来の線維芽細胞様滑膜細胞)における抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物のIL-6依存的効能を示す図である。IgG1アイソタイプ対照は、コンパレーター抗体の陰性対照としての役割を果たす。ISVDアイソタイプ対照は、抗TNF-α/IL-6 ISVD構築物の陰性対照である。抗hIL-6コンパレーター抗体は陽性対照として使用される。抗hIL-6コンパレーター抗体(陽性対照)および以下の抗TNF-α/IL-6 ISVD:F027200926、F027201029、F027201060、F027201061、F027201062のVEGF-AのIC50が示されている。2つの異なる継代で試験した平均±SEM、3種の異なる関節リウマチドナーが示されている。
【
図21】Tg197 hTNF-α誘発関節炎モデルにおけるF027201062の効能を示す図である。経時的関節炎スコア。8匹のTg197マウス(オス4匹およびメス4匹)を、示された化合物の腹腔内注射によって5週間にわたり週2回処置した。関節炎スコアを週1回モニターした。平均±SEMが示されている。統計解析は、週ごとの処置対陰性対照の比較による2元配置ANOVAである。
【
図22】Tg197 hTNF-α誘発関節炎モデルにおけるF027201062の効能を示す図である。関節炎スコア経時的曲線下面積。個々の値および平均±SEMが示されている。統計解析は、処置対陰性対照の比較による1元配置ANOVAである。
【
図23】足首関節(1匹あたりn=2)の組織検査スコアに関するTg197 hTNF-α誘発関節炎モデルにおけるF027201062の効能を示す図である。試験終了時の屠殺の際、両方の後肢を組織検査用に処理し、足首関節切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。切片スライドを判読し、盲検的にスコア化した。個々の値および平均±SEMが示されている。統計解析は、処置対陰性対照の比較による1元配置ANOVAである。
【
図24】IL-6誘導ハプトグロビン分泌を示す図である。N=8匹のメスのBALB/Cマウスに、示された化合物を注射した。8時間後、示された25μg/kg組換えヒトIL-6をマウスに腹腔内注射した。16時間後、マウスを採血し、蛍光測定ビーズアッセイを使用して血漿をハプトグロビンについて分析した。個々の値および平均±SEMが示されている。統計解析は、処置対陰性対照の比較による1元配置ANOVAである。
【
図25】hIL-6トランスジェニックマウスにおける脾腫を示す図である。57~71日齢のN=6~7匹のオスおよびメスのヘミ接合C.B6-Tg(H2-L-IL6)1
Kish/Jマウスを、示された化合物による腹腔内注射で2週間の間、週2回処置した。屠殺時に、脾臓を除去し、重量を記録した。野生型同腹仔動物は対照としての役割を果たした。個々の値および平均±SEMが示されている。統計解析は、処置対陰性対照の比較による1元配置ANOVAである。
【
図26】hIL-6トランスジェニックマウスにおける高ガンマグロブリン血症を示す図である。57~71日齢のN=6~7匹のオスおよびメスのヘミ接合C.B6-Tg(H2-L-IL6)1
Kish/Jマウスを、示された化合物による腹腔内注射で2週間の間、週2回処置した。屠殺時にマウスを採血し、IgG1およびIgG2aアイソタイプ免疫グロブリンの両方を化学発光ビーズアッセイによって測定した。wt同腹仔動物由来の血漿は、対照としての役割を果たした。個々の値および平均±SEMが示されている。統計解析は、処置対陰性対照の比較による1元配置ANOVAである。
【
図27】非ヒト霊長類におけるF027201062の単一用量薬物動態を示す図である。示された濃度および投与経路での非ヒト霊長類における単一用量投与後のF027201062の血清濃度プロファイル(1群あたりn=3匹のオスのナイーブカニクイザル(Macaca fascicularis))赤い破線は、3群全てにおけるADAの確認された存在を示す。
【
図28】F027201062アミノ酸配列(配列番号1)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
本開示は、関節リウマチ(RA)のような炎症性疾患および/または自己免疫疾患を処置するための新規のタイプの薬物を提供する。
【0100】
発明者らは、TNF-αおよびIL-6を同時に標的化するポリペプチドが、単一特異性抗TNF-αまたは抗IL-6ポリペプチドと比較して、インビトロおよび/またはインビボで関節リウマチの症状を調節する効率の向上をもたらすことを見出した。前記ポリペプチドは、効率的に生産することができる(例えば微生物宿主で)。さらに、このようなポリペプチドは、処置しようとする対象における既存の抗体(すなわち、抗体構築物による最初の処置の前に対象に存在する抗体)への反応性が制限されることを示すことができた。一部の実施形態において、このようなポリペプチドは都合よく投与され、連続処置の回数が依然として制限され、故にこれらの処置がタイミングの間隔を都合よくあけられるように、処置しようとする対象において十分に長い半減期を示し得る。
【0101】
ポリペプチドは少なくとも二重特異性であるが、例えば、三重特異性、四重特異性または五重特異性であってもよい。さらに、ポリペプチドは少なくとも3価であるが、例えば4価、5価または6価などであってもよく、好ましくは4価である。
【0102】
用語「二重特異性」、「三重特異性」、「四重特異性」、または「五重特異性」は全て用語「多重特異性」に該当し、それぞれ2種、3種、4種、または5種の異なる標的分子に結合することを指す。用語「2価」、「3価」、「4価」、「5価」、または「6価」は全て用語「多価」に該当し、それぞれ2種、3種、4種、または5種の結合単位(ISVDのような)の存在を示す。例えば、ポリペプチドは、三重特異性4価、例えば4つのISVDを含むかまたはそれからなるポリペプチドであってもよく、この場合、1つのISVDはヒトTNF-αに結合し、2つのISVDはヒトIL-6に結合し、1つのISVDはヒト血清アルブミンに結合する(例えば、ISVD構築物F027201062)。このようなポリペプチドは、例えば2つのISVDがヒトIL-6上の2つの異なるエピトープと結合する場合、同時にバイパラトピックであり得る。用語「バイパラトピック」は、同じ標的分子の2つの異なる部分(例えば、エピトープ)に結合することを指す。
【0103】
用語「第1のISVD」、「第2のISVD」、「第3のISVD」などは、本明細書で使用される場合、1つ、2つ、3つなどのISVDの存在のみを示すが、好ましくは、互いに対するISVDの相対的な位置も示し、番号付けは、本開示のポリペプチドのN末端から開始される。したがって「第1のISVD」は、好ましくは、「第2のISVD」よりN末端に近く、それに対して「第2のISVD」は、「第3のISVD」などよりN末端に近い。したがって、C末端から考える場合、ISVDの配置は逆である。番号付けは絶対ではなく、少なくとも3つのISVDの相対的な位置を示すに過ぎないことがあるため、TNF-αまたはIL-6に結合する他の結合単位/ビルディングブロック、例えば追加のISVD、または別の標的に結合するISVDがポリペプチド中に存在し得ることは排除されない。さらに、番号付けは、他の結合単位/ビルディングブロック、例えばISVDがその間に配置され得る可能性を排除しない。例えば、下記でさらに記載されるように(特に、セクション5.3「(インビボでの)半減期の延長」を参照)、ポリペプチドは、ヒト血清アルブミンに結合する別のISVDをさらに含んでいてもよく、これも、例えば「第1のISVD」と「第2のISVD」との間に配置されていてもよい。
【0104】
上記の観点から、本開示は、少なくとも1つのISVDがTNF-αに特異的に結合し、少なくとも2つのISVDがIL-6に特異的に結合する、少なくとも3つのISVDを含むかまたはそれからなるポリペプチドを提供する。
【0105】
ポリペプチドの構成要素、例えばISVDは、1つまたはそれ以上の好適なリンカー、例えばペプチド性リンカーによって互いに連結されていてもよい。
【0106】
2またはそれ以上の(ポリ)ペプチドを接続するためのリンカーの使用は当業界において周知である。例示的なペプチド性リンカーは、表A-5に示される。使用されることが多いペプチド性リンカーのクラスの1つは、「Gly-Ser」または「GS」リンカーとして公知である。これらは、グリシン(G)およびセリン(S)残基から本質的になるリンカーであり、通常、GGGGS(配列番号65)モチーフ(例えば、式(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)nを有し、nは、1、2、3、4、5、6、7またはそれより多くであり得る)などのペプチドモチーフの1つまたはそれ以上の反復を含む。このようなGSリンカーの一部の使用されることが多い例は、9GSリンカー(GGGGSGGGS、配列番号68)15GSリンカー(n=3)および35GSリンカー(n=7)である。Chenら、Adv.Drug Deliv.Rev.2013年10月15日;65(10):1357~1369;およびKleinら、Protein Eng.Des.Sel.(2014)27(10):325~330が参照される。
【0107】
本開示のポリペプチドでは、一部の実施形態において、ポリペプチドの構成要素を互いに連結するために、9GSリンカーの使用が選択される。
【0108】
一実施形態において、TNF-αに特異的に結合するISVDは、ポリペプチドのC末端に位置する。発明者らは、驚くべきことに、このような立体配置は、化合物の効力を有意に増加させることも、溶解性および発現レベルのような化合物の最適な生産に重要ないくつかの特徴を改善することもできることを見出した。
【0109】
また、一実施形態において、IL-6に特異的に結合するISVDの1つは、ポリペプチドのC末端またはN末端、好ましくはN末端に位置する。
【0110】
したがって、一部の実施形態において、ポリペプチドは、ポリペプチドのN末端から開始する順番で、以下を含むかまたはそれからなる:IL-6に特異的に結合する第1のISVD、本明細書で定義される増加した半減期を有するポリペプチドを提供する任意選択の結合単位、IL-6に特異的に結合する第2のISVD、およびTNF-αに特異的に結合する第3のISVD。好ましい実施形態において、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する結合単位はISVDである。
【0111】
一部の実施形態において、ポリペプチドは、ポリペプチドのN末端から開始する順番で、以下を含むかまたはそれからなることが提供される:IL-6に特異的に結合する第1のISVD、リンカー、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合するISVD、リンカー、IL-6に特異的に結合する第2のISVD、リンカー、およびTNF-αに特異的に結合するISVD。一部の実施形態において、リンカーは9GSリンカーである。
【0112】
ポリペプチドのこのような立体配置は、生産収率の増加、優れたCMC特性、ならびに最適化された機能性および免疫応答のモジュレーションに関するより強い効力をもたらすことができる。
【0113】
したがって、一部の実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも120mg/ml、例えば少なくとも130mg/ml、例えば少なくとも140mg/ml、好ましくは少なくとも145mg/mlの溶解性を示す。
【0114】
一部の実施形態において、本開示のポリペプチドは、ヒト血清中の既存の抗体による結合の低減を示す。この目的を達成するために、一実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも1つのISVD中(好ましくはポリペプチドのC末端に位置する少なくともISVD中)、または各ISVD中に、アミノ酸11位におけるバリン(V)およびアミノ酸89位におけるロイシン(L)(Kabatの番号付けによる)を有する。別の実施形態において、ポリペプチドは、天然に存在する、天然に存在しない、またはその混合物のいずれかの1~5個のアミノ酸の伸長、例えばISVDのC末端における単一のアラニン(A)伸長を有する。ISVDのC末端は、VTVSS(配列番号81)であってもよい。別の実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも1つのISVD中(好ましくはポリペプチドのC末端に位置する少なくともISVD中)、または各ISVD中に、110位におけるリシン(K)またはグルタミン(Q)(Kabatの番号付けによる)を有する。別の実施形態において、ISVDは、少なくとも1つのISVD中(好ましくはポリペプチドのC末端に位置する少なくともISVD中)、または各ISVD中に、112位におけるリシン(K)またはグルタミン(Q)(Kabatの番号付けによる)。一部の実施形態において、単一のアラニンを付加した後、ポリペプチドのC末端が、例えば、配列VTVSSA(配列番号90)、VKVSSA(配列番号91)、VQVSSA(配列番号92)、VTVKSA(配列番号93)、VTVQSA(配列番号94)、VKVKSA(配列番号95)、VKVQSA(配列番号96)、VQVKSA(配列番号97)、またはVQVQSA(配列番号98)を有するように、ISVDのC末端は、VKVSS(配列番号82)、VQVSS(配列番号83)、VTVKS(配列番号84)、VTVQS(配列番号85)、VKVKS(配列番号86)、VKVQS(配列番号87)、VQVKS(配列番号88)、またはVQVQS(配列番号89)である。一実施形態において、配列はVKVSSAである(配列番号91)。別の実施形態において、ポリペプチドは、各ISVD中に、アミノ酸11位におけるバリン(V)およびアミノ酸89位におけるロイシン(L)(Kabatの番号付けによる)、場合により、少なくとも1つのISVD中(好ましくはポリペプチドのC末端に位置する少なくともISVD中)に、110位におけるリシン(K)またはグルタミン(Q)、好ましくはK(Kabatの番号付けによる)を有し、天然に存在する、天然に存在しない、またはそれらの混合物のいずれかの1~5個のアミノ酸の伸長、例えばISVDのC末端における単一のアラニン(A)伸長を有する(ポリペプチドのC末端が、例えば配列VTVSSA(配列番号90)、VKVSSA(配列番号91)、またはVQVSSA(配列番号92)を有するように)。これに関するさらなる情報については、各々は参照によってその全体を本明細書に組み入れる、例えばWO2012/175741およびWO2015/173325を参照されたい。伸長に使用されるアミノ酸残基は、好ましくはグリシン、アラニン、バリン、ロイシンまたはイソロイシン、より好ましくはグリシンおよびアラニン、最も好ましくはアラニンから独立に選択される。好ましくは、伸長は単一のアミノ酸残基からなる。
【0115】
一実施形態において、本開示のポリペプチドは、配列番号1と、90%を超える、例えば95%を超える、または99%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、4つのISVDのCDRは、それぞれ下記のセクション「5.1免疫グロブリン単一可変ドメイン」および「5.3(インビボにおける)半減期の延長」に記載の項目A~D(またはKabatの定義を使用する場合、A’~D’)で定義された通りであり、特に:
・IL-6に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR3を有し;
・IL-6に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR3を有し;
・TNF-αに特異的に結合するISVDは、配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR3を有し;ならびに
・ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR3を有し、
または代替としてKabatの定義を使用する場合:
・IL-6に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号33のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号37のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR3を有し;
・IL-6に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号35のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号39のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR3を有し;
・TNF-αに特異的に結合するISVDは、配列番号36のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号40のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR3を有し;ならびに
・ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号34のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号38のアミノ酸配列を有するCDR2および配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR3を有する。
【0116】
一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。一実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなる。
【0117】
本開示のポリペプチドは、一部の実施形態において、配列番号1のアミノ酸からなるポリペプチドと比較して、ヒトTNF-αおよびヒトIL-6に対して少なくとも半分の結合親和性、少なくとも同じ結合親和性、またはさらにより多い結合親和性を有し、ここで結合親和性は、SPRなどの同じ方法を使用して測定される。
【0118】
5.1 免疫グロブリン単一可変ドメイン
用語「免疫グロブリン単一可変ドメイン」(ISVD)は、「単一可変ドメイン」と同義的に使用され、これは、免疫グロブリン分子であって、抗原結合部位が単一の免疫グロブリンドメイン上に存在し、それにより形成されるものを定義する。これは、免疫グロブリン単一可変ドメインを、2つの免疫グロブリンドメイン、特に2つの可変ドメインが相互作用して抗原結合部位を形成する「従来の」免疫グロブリン(例えばモノクローナル抗体)またはその断片(例えばFab、Fab’、F(ab’)2、scFv、di-scFv)とは別に設定している。典型的には、従来の免疫グロブリンにおいて、重鎖可変ドメイン(VH)と軽鎖可変ドメイン(VL)とが相互作用して、抗原結合部位を形成する。この場合、VHとVLの両方の相補性決定領域(CDR)が抗原結合部位に寄与することになり、すなわち合計6つのCDRが、抗原結合部位形成に関与することになる。
【0119】
上記の定義を考慮すれば、従来の4鎖抗体(例えばIgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE分子;当業界において公知)の、またはFab断片、F(ab’)2断片、Fv断片、例えばジスルフィドで連結されたFvまたはscFv断片、もしくはこのような従来の4鎖抗体由来のダイアボディ(全て当業界において公知)の抗原-結合ドメインは通常、免疫グロブリン単一可変ドメインとみなされないが、これは、これらの場合では、抗原のそれぞれのエピトープに結合することは通常、1つの(単一の)免疫グロブリンドメインによって起こるのではなく、一対の(会合する)免疫グロブリンドメイン、例えば軽鎖および重鎖可変ドメインによって、すなわち連帯してそれぞれの抗原のエピトープに結合する免疫グロブリンドメインのVH-VL対によって起こるためである。
【0120】
対照的に、免疫グロブリン単一可変ドメインは、追加の免疫グロブリン可変ドメインと対合せずに抗原のエピトープに特異的に結合することが可能である。免疫グロブリン単一可変ドメインの結合部位は、単一のVH、単一のVHHまたは単一のVLドメインによって形成される。
【0121】
したがって、単一の抗原結合単位(すなわち、機能的な抗原結合単位を形成するのに、単一の抗原結合ドメインが別の可変ドメインと相互作用する必要がないように、単一可変ドメインから本質的になる機能的な抗原結合単位)を形成することが可能である限りは、単一可変ドメインは、軽鎖可変ドメイン配列(例えば、VL-配列)もしくはその好適な断片;または重鎖可変ドメイン配列(例えば、VH-配列またはVHH配列)もしくはその好適な断片であり得る。
【0122】
免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)は、例えば重鎖ISVDであってもよく、例えばVH、VHH、例えばラクダ化VHまたはヒト化されたVHHなどであってもよい。一部の実施形態によれば、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)は、ラクダ化VHまたはヒト化VHHを含むVHHである。重鎖ISVDは、従来の4鎖抗体または重鎖抗体由来であってもよい。
【0123】
例えば、免疫グロブリン単一可変ドメインは、単一ドメイン抗体(または単一ドメイン抗体として使用するのに好適なアミノ酸配列)、「dAb」もしくはdAb(またはdAbとして使用するのに好適なアミノ酸配列)、もしくはNanobody(登録商標)(本明細書で定義される通りであり、その例としては、これに限定されないが、VHHが挙げられる);他の単一可変ドメイン、またはそれらのいずれか1つのあらゆる好適な断片であり得る。
【0124】
特に、免疫グロブリン単一可変ドメインは、Nanobody(登録商標)(例えばVHH、例えばヒト化VHHまたはラクダ化VHなど)またはその好適な断片であり得る。Nanobody(登録商標)、Nanobodies(登録商標)およびNanoclone(登録商標)は、Ablynx N.V.の登録商標である。
【0125】
「VHHドメイン」は、VHH、VHH抗体断片、およびVHH抗体としても公知であり、これは元々、「重鎖抗体」の(すなわち、「軽鎖を欠失した抗体」の;Hamers-Castermanら、Nature 363:446~448、1993)免疫グロブリンの可変ドメインと結合する抗原として説明されていた。用語「VHHドメイン」は、これらの可変ドメインを、従来の4鎖抗体(本明細書では「VHドメイン」と称される)に存在する重鎖可変ドメインおよび従来の4鎖抗体(本明細書では「VLドメイン」と称される)に存在する軽鎖可変ドメインと区別するために選択された。VHHのさらなる説明のために、Muyldermansによる総論(Reviews in Molecular Biotechnology 74:277~302頁、2001)、および一般的な背景技術として言及されている以下の特許出願:Vrije Universiteit BrusselのWO94/04678、WO95/04079およびWO96/34103;UnileverのWO94/25591、WO99/37681、WO00/40968、WO00/43507、WO00/65057、WO01/40310、WO01/44301、EP1134231およびWO02/48193;Vlaams Instituut voor Biotechnologie(VIB)のWO97/49805、WO01/21817、WO03/035694、WO03/054016およびWO03/055527;Algonomics N.V.およびAblynx N.V.のWO03/050531;National Research Council of CanadaによるWO01/90190;Institute of AntibodiesによるWO03/025020(=EP1433793);ならびにAblynx N.V.によるWO04/041867、WO04/041862、WO04/041865、WO04/041863、WO04/062551、WO05/044858、WO06/40153、WO06/079372、WO06/122786、WO06/122787およびWO06/122825が参照され、これらの各々は参照によってその全体を本明細書に組み入れる。
【0126】
典型的には、免疫グロブリンの生成は、実験動物の免疫化、免疫グロブリンを生産する細胞を融合してハイブリドーマを作り出すこと、および望ましい特異性に関してスクリーニングすることを含む。代替として、免疫グロブリンは、ナイーブまたは合成ライブラリーを、例えばファージディスプレイによってスクリーニングすることによって生成してもよい。
【0127】
免疫グロブリン配列、例えばNanobodies(登録商標)の生成は、様々な出版物で広範囲に説明されており、その中でもWO94/04678、Hamers-Castermanら 1993およびMuyldermansら 2001(Reviews in Molecular Biotechnology 74:277~302頁、2001)を例示することができ、これらの各々は参照によってその全体を本明細書に組み入れる。これらの方法において、前記標的抗原に対する免疫応答を誘導するために、ラクダ科動物が標的抗原で免疫化される。前記免疫化から得られたNanobodiesのレパートリーはさらに、標的抗原と結合するNanobodiesに関してスクリーニングされる。
【0128】
これらの例において、抗体の生成は、免疫化および/またはスクリーニングのために精製した抗原を必要とする。抗原は、天然源から精製してもよいし、または組換え体生産の過程で精製してもよい。
【0129】
免疫グロブリン配列の免疫化および/またはスクリーニングは、このような抗原のペプチド断片を使用して実行することができる。
【0130】
マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヒトおよびラクダ科動物免疫グロブリン配列を含む、異なる起源の免疫グロブリン配列が使用される。本開示はまた、完全ヒト、ヒト化またはキメラ配列も含む。例えば、本開示は、ラクダ科動物免疫グロブリン配列およびヒト化ラクダ科動物免疫グロブリン配列、またはラクダ化ドメイン抗体、例えば、Wardらによって記載されるようなラクダ化dAbを含む(例えばWO94/04678およびRiechmann、Febs Lett.、339:285~290頁、1994およびProt. Eng.、9:531~537頁、1996を参照、これらの各々は参照によってその全体を本明細書に組み入れる)。さらに、本開示はまた、例えば多価および/または多重特異性構築物を形成する融合した免疫グロブリン配列(1つまたはそれ以上のVHHドメインを含有する多価および多重特異性ポリペプチドならびにそれらの調製については、Conrathら、J. Biol. Chem.、Vol. 276、10. 7346~7350頁、2001、ならびに例えばWO96/34103およびWO99/23221も参照され、これらの各々は参照によってその全体を本明細書に組み入れる)、ならびにタグまたは他の機能的部分、例えば毒素、標識、放射化学物質などを含む免疫グロブリン配列も使用し、これらは本開示の免疫グロブリン配列から誘導可能である。
【0131】
「ヒト化VHH」は、天然に存在するVHHドメインのアミノ酸配列に対応するが、「ヒト化」されている、すなわち、前記天然に存在するVHH配列のアミノ酸配列中の(特にフレームワーク配列中の)1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を、ヒトからの従来の4鎖抗体(例えば上記で示された)からのVHドメイン中の対応する位置に存在するアミノ酸残基の1つまたはそれ以上によって置き換えることによってヒト化されているアミノ酸配列を含む。これは、例えば本明細書および文献(例えば、参照によってその全体を組み入れるWO2008/020079)のさらなる説明に基づき、当業者には明らかであるそれ自体公知の方式で実行することができる。ここでも注目すべきことに、このようなヒト化VHHは、それ自体公知のあらゆる好適な方式で得ることができ、したがって、厳密には、出発材料として天然に存在するVHHドメインを含むポリペプチドを使用して得られたポリペプチドに限定されない。
【0132】
「ラクダ化VH」は、天然に存在するVHドメインのアミノ酸配列に対応するが、「ラクダ化」されている、すなわち、従来の4鎖抗体からの天然に存在するVHドメインのアミノ酸配列中の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を、重鎖抗体のVHHドメインにおける対応する位置に存在するアミノ酸残基の1つまたはそれ以上によって置き換えることによってラクダ化されているアミノ酸配列を含む。これは、例えば本明細書や文献(例えばWO2008/020079)に記載のさらなる説明に基づき、当業者には明らかであるそれ自体公知の方式で実行することができる。このような「ラクダ化」置換は、VH-VLの境界を形成する、および/またはそこに存在するアミノ酸位置に、および/または本明細書で定義されるようないわゆるラクダの特徴的な残基に挿入され得る(例えばWO94/04678ならびにDaviesおよびRiechmann(1994および1996)、上記を参照)。一部の実施形態において、ラクダ化VHを生成または設計するための出発材料または開始点として使用されるVH配列は、哺乳動物からのVH配列、またはヒトのVH配列、例えばVH3配列である。しかしながら、注目すべきことに、このようなラクダ化VHは、それ自体公知のあらゆる好適な方式で得ることができ、したがって、厳密には、出発材料として天然に存在するVHドメインを含むポリペプチドを使用して得られたポリペプチドに限定されない。
【0133】
1つまたはそれ以上の免疫グロブリン配列は、互いにおよび/または他のアミノ酸配列に連結されて(例えばジスルフィド架橋を介して)、同様に有用であり得るペプチド構築物(例えば、Fab’断片、F(ab’)2断片、scFv構築物、「ダイアボディ」および他の多重特異性構築物)を提供できることに留意すべきである。例えば、HolligerおよびHudsonによる総論、Nat Biotechnol. 2005 Sep;23(9):1126~36頁が参照される。一般的に、ポリペプチドが対象への投与を意図される場合(例えば、予防、治療および/または診断目的で)、ポリペプチドは、前記対象には天然に存在しない免疫グロブリン配列を含み得る。
【0134】
免疫グロブリン単一可変ドメイン配列の構造の非限定的な例は、4つのフレームワーク領域(「FR」)からなるとみなすことができ、4つのFRは、当業界および本明細書ではそれぞれ「フレームワーク領域1」(「FR1」);「フレームワーク領域2」(「FR2」);「フレームワーク領域3」(「FR3」);および「フレームワーク領域4」(「FR4」)と呼ばれ;これらのフレームワーク領域は、3つの相補性決定領域(「CDR」)によって遮られ、3つのCDRは、当業界および本明細書ではそれぞれ「相補性決定領域1」(「CDR1」);「相補性決定領域2」(「CDR2」);および「相補性決定領域3」(「CDR3」)と呼ばれる。
【0135】
WO08/020079(参照によって本明細書に組み入れる)の58頁および59頁の段落q)でさらに記載されるように、免疫グロブリン単一可変ドメインのアミノ酸残基は、RiechmannおよびMuyldermans、2000(J. Immunol. Methods 240(1~2):185~195頁;例えばこの出版物の
図2を参照)の論文でラクダ科動物からのV
HHドメインに適用されている通り、Kabatら(「Sequence of proteins of immunological interest」、US Public Health Services、NIH Bethesda、MD、Publication No. 91)によって付与されたV
Hドメインの一般的な番号付けに従って番号付けすることができる。注目すべきことに、V
HドメインおよびV
HHドメインに関して当業界において周知の通り、CDRのそれぞれにおけるアミノ酸残基の総数は変化することがあり、Kabatの番号付けによって示されたアミノ酸残基の総数に対応していなくてもよい(すなわち、Kabatの番号付けによる1つまたはそれ以上の位置が実際の配列において占有されていなくてもよいし、または実際の配列がKabatの番号付けによって許容される数より多くのアミノ酸残基を含有していてもよい)。これは、一般的に、Kabatによる番号付けは、実際の配列におけるアミノ酸残基の実際の番号付けに対応していてもよいし、または対応していなくてもよいことを意味する。V
HドメインおよびV
HHドメインにおけるアミノ酸残基の総数は、通常、110~120の範囲となり、112~115となることが多い。しかしながら、注目すべきことに、それより短い配列およびそれより長い配列も、本明細書に記載される目的にとって好適であり得る。
【0136】
本出願において、別段の指定がない限り、CDR配列は、KontermannおよびDubel(2010年編、Antibody Engineering、第2巻、Springer Verlag Heidelberg Berlin、Martin、第3章、33~51頁)に記載されたように、AbMの番号付けに従って決定された。この方法によれば、FR1は、1~25位にアミノ酸残基を含み、CDR1は、26~35位にアミノ酸残基を含み、FR2は、36~49位にアミノ酸残基を含み、CDR2は、50~58位にアミノ酸残基を含み、FR3は、59~94位にアミノ酸残基を含み、CDR3は、95~102位にアミノ酸残基を含み、FR4は、103~113位にアミノ酸残基を含む。
【0137】
CDR領域の決定は、異なる方法に従って行ってもよい。KabatによるCDR決定において、免疫グロブリン単一可変ドメインのFR1は、1~30位にアミノ酸残基を含み、免疫グロブリン単一可変ドメインのCDR1は、31~35位にアミノ酸残基を含み、免疫グロブリン単一可変ドメインのFR2は、36~49位にアミノ酸残基を含み、免疫グロブリン単一可変ドメインのCDR2は、50~65位にアミノ酸残基を含み、免疫グロブリン単一可変ドメインのFR3は、66~94位にアミノ酸残基を含み、免疫グロブリン単一可変ドメインのCDR3は、95~102位にアミノ酸残基を含み、免疫グロブリン単一可変ドメインのFR4は、103~113位にアミノ酸残基を含む。
【0138】
このような免疫グロブリン配列において、フレームワーク配列は、あらゆる好適なフレームワーク配列であってもよく、好適なフレームワーク配列の例は、例えば標準的な教本、および本明細書で述べられたさらなる開示および先行技術に基づき当業者には明らかであろう。
【0139】
フレームワーク配列は、免疫グロブリンフレームワーク配列または免疫グロブリンフレームワーク配列から得られた(例えば、ヒト化またはラクダ化によって)フレームワーク配列(の好適な組合せ)であり得る。例えば、フレームワーク配列は、軽鎖可変ドメイン(例えばVL配列)および/または重鎖可変ドメイン(例えばVH配列またはVHH配列)から得られたフレームワーク配列であり得る。一実施形態において、フレームワーク配列は、VHH配列から得られたフレームワーク配列(それにおいて、前記フレームワーク配列が、場合により、部分的または完全にヒト化されていてもよい)であるか、または従来のラクダ化VH配列(本明細書で定義される通り)であるかのいずれかである。
【0140】
特に、本明細書で開示される通りISVD配列に存在するフレームワーク配列は、ISVD配列が、Nanobody(登録商標)、例えばヒト化VHHまたはラクダ化VHを含むVHHになるように、特徴的な残基(本明細書で定義される通り)の1つまたはそれ以上を含有していてもよい。このようなフレームワーク配列の一部の非限定的な例(その好適な組合せ)は、本明細書に記載のさらなる開示から明確になるであろう。
【0141】
ここでも、本明細書において免疫グロブリン配列に関して一般的に記載される通り、また、前述のもののいずれかの好適な断片(または断片の組合せ)、例えば、好適には1つまたはそれ以上のフレームワーク配列が隣接する、および/またはそれを介して連結された1つまたはそれ以上のCDR配列を含有する断片(例えば、これらのCDRおよびフレームワーク配列は、断片がそれから得られた完全サイズの免疫グロブリン配列において生じ得る同じ順番で)を使用することも考えられる。
【0142】
しかしながら、注目すべきことに、開示は、ISVD配列(またはそれを発現させるのに使用されるヌクレオチド配列)の起源にも、ISVD配列またはヌクレオチド配列が生成される(または生成された)または得られる方法にも限定されない。したがって、ISVD配列は、天然に存在する配列(あらゆる好適な種からの)であってもよいし、または合成もしくは半合成の配列であってもよい。具体的な、ただし非限定的な態様において、ISVD配列は、天然に存在する配列(あらゆる好適な種からの)または合成もしくは半合成の配列であり、その例としては、これらに限定されないが、「ヒト化」(本明細書で定義される通り)免疫グロブリン配列(例えば部分的または完全にヒト化されたマウスまたはウサギ免疫グロブリン配列、特に、部分的または完全にヒト化されたVHH配列)、「ラクダ化」(本明細書で定義される通り)免疫グロブリン配列、加えて、親和性成熟(例えば、合成、ランダムまたは天然に存在する免疫グロブリン配列から開始する)、CDRグラフティング、ベニアリング(veneering)、異なる免疫グロブリン配列から得られた断片を組み合わせること、オーバーラップするプライマーを使用したPCRアセンブリ、および当業者周知の免疫グロブリン配列を操作するための類似の技術;または前述のもののいずれかのあらゆる好適な組合せなどの技術により得られた免疫グロブリン配列が挙げられる。
【0143】
同様に、ヌクレオチド配列は、天然に存在するヌクレオチド配列または合成もしくは半合成の配列であってもよく、例えば、好適な天然に存在するテンプレートからPCRによって単離される配列(例えば細胞から単離したDNAまたはRNA)、ライブラリー(特に、発現ライブラリー)から単離されたヌクレオチド配列、天然に存在するヌクレオチド配列に突然変異を導入すること(それ自体公知のあらゆる好適な技術、例えばミスマッチPCRを使用して)によって調製されるヌクレオチド配列、オーバーラップするプライマーを使用するPCRによって調製されたヌクレオチド配列、またはそれ自体公知のDNA合成のための技術を使用して調製されたヌクレオチド配列であり得る。
【0144】
上述したように、ISVDは、Nanobody(登録商標)またはその好適な断片であり得る。Nanobodies(登録商標)(Nanobody(登録商標)およびNanobodies(登録商標)は、Ablynx N.V.、Sanofi Companyの登録商標である)の一般的な説明については、以下のさらなる説明、および本明細書において引用された先行技術が参照される。しかしながら、この点において、この説明および先行技術は、主として、いわゆる「VH3クラス」のNanobodies(登録商標)(すなわち、DP-47、DP-51またはDP-29などのVH3クラスのヒト生殖細胞系配列に対して高度な配列相同性を有するNanobodies(登録商標))を説明したものであることに留意すべきである。しかしながら、本開示は、その最も広い意味で、一般的にあらゆるタイプのNanobody(登録商標)を使用することができ、例えば参照によってその全体を組み入れるWO2007/118670に記載の、例えばいわゆる「VH4クラス」に属するNanobodies(登録商標)(すなわち、DP-78などのVH4クラスのヒト生殖細胞系配列に対して高度な配列相同性を有するNanobodies(登録商標))も使用することに留意すべきである。
【0145】
一般的に、Nanobodies(登録商標)(特にVHH配列、例えば(部分的に)ヒト化VHH配列およびラクダ化VH配列など)は、フレームワーク配列(ここでも本明細書にさらに記載される通り)の1つまたはそれ以上における1つまたはそれ以上の「特徴的な残基」(本明細書に記載される通り)の存在によって特徴付けることができる。したがって、一般的に、Nanobody(登録商標)は、(一般)構造
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4
を有する免疫グロブリン配列と定義することができ、式中、FR1~FR4は、それぞれフレームワーク領域1~4を指し、CDR1~CDR3は、それぞれ相補性決定領域1~3を指し、特徴的な残基の1つまたはそれ以上は、さらに本明細書で定義される通りである。
【0146】
詳細には、Nanobody(登録商標)は、(一般)構造
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4
を有する免疫グロブリン配列であってもよく、式中、FR1~FR4は、それぞれフレームワーク領域1~4を指し、CDR1~CDR3は、それぞれ相補性決定領域1~3を指し、フレームワーク配列は、さらに本明細書で定義される通りである。
【0147】
より詳細には、Nanobody(登録商標)は、(一般)構造
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4
を有する免疫グロブリン配列であってもよく、式中、FR1~FR4は、それぞれフレームワーク領域1~4を指し、CDR1~CDR3は、それぞれ相補性決定領域1~3を指し:
Kabatの番号付けに従って11、37、44、45、47、83、84、103、104および108位におけるアミノ酸残基の1つまたはそれ以上が、以下の表Xに記載した特徴的な残基から選択される。
【0148】
本明細書において示されるFRは、場合により本明細書に記載の特定の位置にアミノ酸を有する、表A-2(またはKabatの番号付けの表A-2.1)に示されたFRから、好ましくは同じクローン(すなわち、同じ行に示されたFR)から好適には選択することができる。
【0149】
【0150】
一部の実施形態において、11位における特徴的な残基はLである。一部の実施形態において、37位における特徴的な残基はF(1)またはYである。一部の実施形態において、44位における特徴的な残基はG(2)またはQ(3)である。一部の実施形態において、45位における特徴的な残基はL(2)またはR(3)である。一部の実施形態において、47位における特徴的な残基はF(1)、L(1)またはW(2)である。一部の実施形態において、83位における特徴的な残基はKである。一部の実施形態において、84位における特徴的な残基はPである。一部の実施形態において、103位における特徴的な残基はWである。一部の実施形態において、104位における特徴的な残基はGである。一部の実施形態において、108位における特徴的な残基はQまたはLである。
【0151】
さらに、1位にN末端グルタミン酸(E)を有するISVDがポリペプチドのN末端に位置する場合、グルタミン酸は、好ましくはアスパラギン酸(D)で置換される。故に、例えば、配列番号3、4または5がポリペプチドのN末端にあるならば、1位におけるEはDに変更される。逆に、例えば、配列番号2がポリペプチドのN末端に存在しないならば、1位におけるDはEに変更される。
【0152】
本開示はとりわけ、TNF-αまたはIL-6に特異的に結合することができるISVDを使用する。本開示に関して、特定の標的分子「に結合すること」は、抗体およびそのそれぞれの抗原に関して理解される当業界における通常の意味を有する。
【0153】
本開示のポリペプチドは、TNF-αに結合する1つまたはそれ以上のISVD、およびIL-6に結合する2つまたはそれ以上のISVDを含んでいてもよい。例えば、ポリペプチドは、TNF-αに結合する1つのISVD、およびIL-6に結合する2つのISVDを含んでいてもよい。
【0154】
一部の実施形態において、少なくとも1つのISVDは、その標的分子を機能的にブロックすることができる。例えば、標的化部分は、TNF-αとTNFR(TNF受容体)との相互作用をブロックすることができ、またはIL-6とIL-6R(インターロイキン6受容体)との相互作用をブロックすることができる。したがって、一実施形態において、本開示のポリペプチドは、TNF-αに特異的に結合し、TNFRとのその相互作用を阻害する少なくとも1つのISVD、およびIL-6に特異的に結合し、IL-6Rとのその相互作用を機能的にブロックする2つのISVDを含む。したがって、好ましい実施形態において、本開示のポリペプチドは、IL-6に特異的に結合する2つのISVDを含み、そのうちの1つは、IL-6とIL-6Rとの相互作用を機能的にブロックする。
【0155】
本開示で使用されるISVDは、ポリペプチドがTNF-αおよびIL-6に特異的に結合することができるように、少なくとも3つのISVDを含むかまたはそれからなる本開示のポリペプチドの一部を形成する。
【0156】
したがって、本開示のポリペプチドで使用される少なくとも3つのISVDの標的分子は、TNF-αおよびIL-6である。その例は、哺乳動物TNF-αおよびIL-6である。ヒトTNF-α(Uniprot受託番号P01375)およびヒトIL-6(Uniprot受託番号P05231)が使用されるが、他の種からのバージョン、例えばマウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、非ヒト霊長類、例えばカニクイザル(本明細書では「カニクイザル」としても言及される)、またはラクダ科動物、例えばラマもしくはアルパカからのTNF-αおよびIL-6も本開示に適している。
【0157】
本開示で使用できるTNF-αまたはIL-6に特異的に結合するISVDの具体的な例は、以下の項目A~Cに記載される通りである:
A.ヒトIL-6に特異的に結合し、
i.配列番号6のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号6と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号10のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号10と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号14のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3
を含むISVD。
【0158】
一部の実施形態において、CDR1は配列番号6のアミノ酸配列を有し、CDR2は配列番号10のアミノ酸配列を有し、CDR3は配列番号14のアミノ酸配列を有する。
【0159】
ヒトIL-6に特異的に結合するこのようなISVDの非限定的な例は、表A-2に構築物17C04に関して示されている1つもしくはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有し(前述の項目Aで定義されたCDRに加えて)、例えばISVDは、構築物17C04の全長アミノ酸配列を有する(配列番号2、表A-1およびA-2を参照)。
【0160】
また、一実施形態において、ヒトIL-6に特異的に結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える、例えば95%を超える、または99%を超える配列同一性を有していてもよく、場合により、CDRは前述の項目Aで定義された通りである。一部の実施形態において、IL-6に特異的に結合するISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を有する。
【0161】
IL-6に特異的に結合するこのようなISVDが、対応する参照CDR配列(上記の項目A)と比べて少なくとも1つのCDR中に2または1つのアミノ酸の差異を有する場合、一部の実施形態において、ISVDは、ヒトIL-6に対して構築物17C04の少なくとも半分の結合親和性、好ましくは少なくとも同じ結合親和性、またはさらにより高い結合親和性を有し、ここで結合親和性は、SPRなどの同じ方法を使用して測定される。
【0162】
B.ヒトIL-6に特異的に結合し、
i.配列番号8のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号16のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3
を含むISVD。
【0163】
一部の実施形態において、CDR1は配列番号8のアミノ酸配列を有し、CDR2は配列番号12のアミノ酸配列を有し、CDR3は配列番号16のアミノ酸配列を有する。
【0164】
ヒトIL-6に特異的に結合するこのようなISVDの非限定的な例は、表A-2に6B12構築物に関して示されている1つもしくはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有し(前述の項目Bで定義されたCDRに加えて)、例えばISVDは、構築物6B12の全長アミノ酸配列を有する(配列番号4、表A-1およびA-2を参照)。
【0165】
また、一実施形態において、ヒトIL-6に特異的に結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える、例えば95%を超える、または99%を超える配列同一性を有していてもよく、場合により、CDRは前述の項目Bで定義された通りである。一部の実施形態において、IL-6に結合するISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を有する。
【0166】
IL-6に結合するこのようなISVDが、対応する参照CDR配列(上記の項目B)と比べて少なくとも1つのCDR中に2または1つのアミノ酸の差異を有する場合、一部の実施形態において、ISVDは、ヒトIL-6に対して構築物6B12の少なくとも半分の結合親和性、少なくとも同じ結合親和性、またはさらにより高い結合親和性を有し、ここで結合親和性は、SPRなどの同じ方法を使用して測定される。
【0167】
C.ヒトTNF-αに特異的に結合し、
i.配列番号9のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3
を含むISVD。
【0168】
一部の実施形態において、CDR1は配列番号9のアミノ酸配列を有し、CDR2は配列番号13のアミノ酸配列を有し、CDR3は配列番号17のアミノ酸配列を有する。
【0169】
ヒトTNF-αに特異的に結合するこのようなISVDの非限定的な例は、表A-2に構築物6C11に関して示されている1つもしくはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有し(前述の項目Cで定義されたCDRに加えて)、例えばISVDは、構築物6C11の全長アミノ酸配列を有する(配列番号5、表A-1およびA-2を参照)。
【0170】
また、一実施形態において、ヒトTNF-αに特異的に結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号5と90%を超える、例えば95%を超える、または99%を超える配列同一性を有していてもよく、場合により、CDRは前述の項目Cで定義された通りである。一部の実施形態において、TNF-αに結合するISVDは、配列番号5のアミノ酸配列を有する。
【0171】
TNF-αに特異的に結合するこのようなISVDが、対応する参照CDR配列(上記の項目C)と比べて少なくとも1つのCDR中に2または1つのアミノ酸の差異を有する場合、ISVDは、TNF-αに対して構築物6C11の少なくとも半分の結合親和性、少なくとも同じ結合親和性、またはさらにより高い結合親和性を有し、ここで結合親和性は、SPRなどの同じ方法を使用して測定される。
【0172】
一部の実施形態において、上記の項目A~Cで定義されるISVDのそれぞれは、本開示のポリペプチドに含まれる。一部の実施形態において、上記の項目A~Cで定義されるISVDのそれぞれを含む本開示のこのようなポリペプチドは、ヒトTNF-αおよびヒトIL-6に対して、配列番号1のアミノ酸からなるポリペプチドの少なくとも半分の結合親和性、少なくとも同じ結合親和性、またはさらにより多くの結合親和性を有し、ここで結合親和性は、SPRなどの同じ方法を使用して測定される。
【0173】
上記の項目A~Cで言及される配列番号は、AbMの定義によるCDRの定義(表A-2を参照)に基づく。Kabat定義により同じCDRを定義する配列番号(表A-2.1を参照)は、同様に、上記の項目A~Cで使用することができることに留意する。
【0174】
したがって、AbMの定義を使用して上述したように本開示で使用できるTNF-αまたはIL-6に特異的に結合する具体的なISVDは、下記の項目A’~C’に記載の通りKabat定義を使用して記載することもできる:
A’.ヒトIL-6に特異的に結合し、
i.配列番号33のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号33と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号37のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号37と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号14のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3
を含むISVD。
【0175】
一部の実施形態において、CDR1は配列番号33のアミノ酸配列を有し、CDR2は配列番号37のアミノ酸配列を有し、CDR3は配列番号14のアミノ酸配列を有する。
【0176】
ヒトIL-6に特異的に結合するこのようなISVDの非限定的な例は、表A-2.1に構築物17C04に関して示されている1つもしくはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有し(前述の項目A’で定義されたCDRに加えて)、例えばISVDは、構築物17C04の全長アミノ酸配列を有する(配列番号2、表A-1およびA-2.1を参照)。
【0177】
B’.ヒトIL-6に特異的に結合し、
i.配列番号35のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号35と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号39のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号39と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号16のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3
を含むISVD。
【0178】
一部の実施形態において、CDR1は配列番号35のアミノ酸配列を有し、CDR2は配列番号39のアミノ酸配列を有し、CDR3は配列番号16のアミノ酸配列を有する。
【0179】
ヒトIL-6に特異的に結合するこのようなISVDの非限定的な例は、表A-2.1に構築物6B12に関して示されている1つもしくはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有し(前述の項目B’で定義されたCDRに加えて)、例えばISVDは、構築物6B12の全長アミノ酸配列を有する(配列番号4、表A-1およびA-2.1を参照)。
【0180】
C’.ヒトTNF-αに特異的に結合し、
i.配列番号36のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号36と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号40のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号40と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3を含むISVD。
【0181】
一部の実施形態において、CDR1は配列番号36のアミノ酸配列を有し、CDR2は配列番号40のアミノ酸配列を有し、CDR3は配列番号17のアミノ酸配列を有する。
【0182】
ヒトTNF-αに特異的に結合するこのようなISVDの非限定的な例は、表A-2.1に構築物6C11に関して示されている1つもしくはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有し(前述の項目C’で定義されたCDRに加えて)、例えばISVDは、構築物6C11の全長アミノ酸配列を有する(配列番号5、表A-1およびA-2.1を参照)。
【0183】
第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列との「配列同一性」のパーセンテージは、[第2のアミノ酸配列中の対応する位置におけるアミノ酸残基と同一な、第1のアミノ酸配列中のアミノ酸残基の数]を[第1のアミノ酸配列中のアミノ酸残基の総数]で割り、[100%]を掛けることによって計算することができ、この場合、第1のアミノ酸配列と比較した場合の第2のアミノ酸配列中のアミノ酸残基の欠失、挿入、置換または付加のそれぞれは、単一のアミノ酸残基(すなわち単一の位置)における差としてみなされる。
【0184】
通常、上記で概説した計算方法に従って2つのアミノ酸配列間の「配列同一性」のパーセンテージを決定する目的のために、最大数のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列が「第1の」アミノ酸配列として取り扱われることになり、その他のアミノ酸配列が「第2の」アミノ酸配列として取り扱われることになる。
【0185】
「アミノ酸の差異」は、本明細書で使用される場合、参照配列に相対する単一のアミノ酸残基の欠失、挿入または置換を指す。一部の実施形態において、アミノ酸の差異は、置換である。所与の参照配列とのより少ないアミノ酸の差異が一般的に好ましい。例えば、CDRが所与の配列番号と2または1つのアミノ酸の差異を有する場合、1つのアミノ酸の差異が好ましい。
【0186】
一部の実施形態において、アミノ酸置換は、保存的置換である。一部の実施形態において、このような保存的置換は、以下のグループ(a)~(e)内の1つのアミノ酸が、同じグループ内の別のアミノ酸残基で置換されている置換である:(a)小さい脂肪族の、非極性の、またはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、ProおよびGly;(b)極性の負電荷を有する残基およびその(非荷電性)アミド:Asp、Asn、GluおよびGln;(c)極性の正電荷を有する残基:His、ArgおよびLys;(d)大きい脂肪族の、非極性の残基:Met、Leu、Ile、ValおよびCys;および(e)芳香族残基:Phe、TyrおよびTrp。
【0187】
一部の実施形態において、保存的置換は、以下の通りである:AlaからGlyへの、またはSerへの;ArgからLysへの;AsnからGlnへの、またはHisへの;AspからGluへの;CysからSerへの;GlnからAsnへの;GluからAspへの;GlyからAlaへの、またはProへの;HisからAsnへの、またはGlnへの;IleからLeuへの、またはValへの;LeuからIleへの、またはValへの;LysからArgへの、Glnへの、またはGluへの;MetからLeuへの、Tyrへの、またはIleへの;PheからMetへの、Leuへの、またはTyrへの;SerからThrへの;ThrからSerへの;TrpからTyrへの;TyrからTrpへの;および/またはPheからValへの、Ileへの、またはLeuへの置換。
【0188】
5.2 特異性
用語「特異性」、「特異的に結合する」または「特異的な結合」は、特定の結合単位、例えばISVDが十分に高い親和性で結合することができる、同じ生物からの抗原などの異なる標的分子の数を指す(下記を参照)。「特異性」、「特異的に結合する」または「特異的な結合」は、本明細書において、「選択性」、「選択的に結合する」または「選択的な結合」と同義的に使用される。実施形態によれば、結合単位、例えばISVDは、その指定された標的に特異的に結合する。
【0189】
結合単位の特異性/選択性は、親和性に基づいて決定することができる。親和性は、分子相互作用の強度または安定性を表す。親和性は、一般的に、モル/リットル(またはM)の単位を有するKD、または解離定数によって示される。親和性はまた、1/KDに等しく、(モル/リットル)-1(またはM-1)の単位を有する会合定数、KAとして表すこともできる。
【0190】
親和性は、部分と標的分子上の結合部位との間の結合強度の尺度であり:KD値が低いほど、標的分子と標的化部分との間の結合強度はより強くなる。
【0191】
典型的には、本開示で使用される結合単位(例えばISVD)は、10-5~10-12モル/リットルまたはそれ未満、例えば10-7~10-12モル/リットルまたはそれ未満、より具体的には例えば10-8~10-12モル/リットルの解離定数(KD)(すなわち、105~1012リットル/モルまたはそれより多く、例えば107~1012リットル/モルまたはそれより多く、より具体的には例えば108~1012リットル/モルの会合定数(KA))でその標的に(室温で)結合する。
【0192】
一般的に、10-4モル/リットルより大きいあらゆるKD値(または104リットル/molより低いあらゆるKA値)が、非特異的な結合を示すとみなされる。
【0193】
生物学的な相互作用のKD、例えば、特異的とみなされる免疫グロブリン配列の抗原への結合のKDは、典型的には、10-5モル/リットル(10000nMまたは10μM)~10-12モル/リットル(0.001nMまたは1pM)またはそれ未満の範囲内である。
【0194】
したがって、特異的/選択的な結合は、同じ測定方法、例えばSPRを使用した場合、結合単位(またはそれを含むポリペプチド)は、TNF-αおよび/またはIL-6に10-5~10-12モル/リットルまたはそれ未満のKD値で結合し、関連するサイトカインに10-4モル/リットルより大きいKD値で結合することを意味し得る。TNF-αに関連するサイトカインの例は、TNFスーパーファミリーメンバーFASL、TNFβ、LIGHT、TL-1A、RANKLである。IL-6に関連するサイトカインの例は、IL-6ファミリーメンバーIL-11、毛様体神経栄養因子(CNTF)、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、カルジオトロフィン1(CT-1)、カルジオトロフィン様サイトカイン(CLC)、およびIL-27である。故に、一実施形態において、ポリペプチド中に含まれる少なくとも1つのISVDは、TNF-αに10-5~10-12モル/リットルまたはそれ未満のKD値で結合し、同じ種のFASL、TNFβ、LIGHT、TL-1A、RANKLに10-4モル/リットルより大きいKD値で結合し、ポリペプチド中に含まれる少なくとも2つのISVDは、IL-6に10-5~10-12モル/リットルまたはそれ未満のKD値で結合し、同じ種のIL-11、毛様体神経栄養因子(CNTF)、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、カルジオトロフィン1(CT-1)、カルジオトロフィン様サイトカイン(CLC)、IL-27に10-4モル/リットルより大きいKD値で結合する。
【0195】
故に、一部の実施形態において、本開示のポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸からなるポリペプチドと比較して、ヒトTNF-αおよびヒトIL-6に対して少なくとも半分の結合親和性、少なくとも同じ結合親和性、またはさらにより高い結合親和性を有し、ここで結合親和性は、SPRなどの同じ方法を使用して測定される。
【0196】
特定の種からの特定の標的への特異的結合は、結合単位が、異なる種からの類似した標的にも特異的に結合する可能性があることを排除しない。例えば、ヒトTNF-αへの特異的結合は、結合単位(またはそれを含むポリペプチド)が、カニクイザルからのTNF-αにも特異的に結合する可能性があることを排除しない。同様に、例えば、ヒトIL-6への特異的結合は、結合単位(またはそれを含むポリペプチド)が、カニクイザル(「cyno」)からのIL-6にも特異的に結合する可能性があることを排除しない。
【0197】
結合単位の、その指定された標的への特異的な結合は、それ自体公知のあらゆる好適な方式、これらに限定されないが、スキャッチャード分析および/または競合結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫検査法(EIA)およびサンドイッチ競合アッセイ、ならびにそれ自体当業界において公知のそれらの様々な改変法;加えて本明細書で述べられる他の技術で決定することができる。
【0198】
解離定数は、当業者には明らかであろうが、実際の解離定数であってもよいし、または見かけの解離定数であってもよい。解離定数を決定するための方法は、当業者には明らかであり、その例としては、下記で述べられる技術が挙げられる。この点において、10-4モル/リットルまたは10-3モル/リットルより大きい(例えば10-2モル/リットルの)解離定数を測定できない可能性があることも明らかであろう。場合により、当業者には明らかであろうが、(実際の、または見かけの)解離定数は、[KD=1/KA]という関係によって、(実際の、または見かけの)会合定数(KA)に基づき計算することができる。
【0199】
2つの分子間の分子相互作用の親和性は、それ自体公知の様々な技術、例えば周知の表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサー技術を介して測定することができる(例えばOberら、2001、Intern.Immunology 13:1551~1559を参照)。用語「表面プラズモン共鳴」は、本明細書で使用される場合、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化の検出によってリアルタイムの生体特異的な相互作用の分析を可能にする光学現象を指し、この場合、一方の分子がバイオセンサーチップに固定され、他方の分子が流動条件下で固定された分子上を通過することで、kon、koff測定値、したがってKD(またはKA)値が得られる。これは、例えば、周知のBIAcore(登録商標)システム(BIAcore International AB、GE Healthcare社、Uppsala、SwedenおよびPiscataway、NJ)を使用して実行することができる。さらなる説明に関しては、Jonssonら(1993、Ann.Biol.Clin.51:19~26)、Jonssonら(1991 Biotechniques 11:620~627)、Johnssonら(1995、J.Mol.Recognit.8:125~131)、およびJohnssonら(1991、Anal.Biochem.198:268~277)を参照されたい。
【0200】
生体分子の相互作用の親和性を決定するための別の周知のバイオセンサー技術は、バイオレイヤー干渉法(BLI)である(例えばAbdicheら、2008、Anal.Biochem.377:209~217を参照)。用語「バイオレイヤー干渉法」または「BLI」は、本明細書で使用される場合、2つの表面:内部参照層(参照ビーム)およびバイオセンサーチップ上の固定されたタンパク質の層(シグナルビーム)から反射した光の干渉縞を分析する、標識なしの光学技術を指す。バイオセンサーのチップに結合した分子の数の変化は、波長シフト(nm)として報告される干渉縞におけるシフトを引き起こし、その規模が、バイオセンサーチップ表面に結合した分子の数の直接の尺度である。相互作用はリアルタイムで測定できるため、会合および解離速度ならびに親和性を決定することができる。BLIは、例えば、周知のOctet(登録商標)システム(ForteBio、Pall Life Sciences、Menlo Park、USAの一部門)を使用して実行することができる。
【0201】
代替として、親和性は、KinExA(登録商標)プラットフォーム(Sapidyne Instruments Inc、Boise、USA)を使用する反応速度論除外アッセイ(Kinetic Exclusion Assay;KinExA)(例えばDrakeら、2004、Anal.Biochem.、328:35~43を参照)で測定することができる。用語「KinExA」は、本明細書で使用される場合、改変されていない分子の真の平衡結合親和性および速度論を測定するための溶液ベースの方法を指す。抗体/抗原複合体の平衡化溶液を、抗原(または抗体)でプレコーティングされたビーズを有するカラム上に通過させることで、遊離の抗体(または抗原)をコーティングされた分子に結合させることができる。このようにして捕獲された抗体(または抗原)の検出は、抗体(または抗原)と結合する蛍光標識したタンパク質を用いて達成される。
【0202】
GYROLAB(登録商標)イムノアッセイシステムは、自動化された生物学的な分析および迅速なサンプルの回転のためのプラットフォームを提供する(Fraleyら、2013、Bioanalysis 5:1765~74)。
【0203】
5.3 (インビボにおける)半減期の延長
ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含んでいてもよく、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した(インビボにおける)半減期を有するポリペプチドを提供する。インビボにおける半減期の延長は、例えば、ポリペプチドが、投与された後、哺乳動物、例えばヒト対象において増加した半減期を有することを意味する。半減期は、例えばt1/2ベータとして表することができる。
【0204】
基、残基、部分または結合単位のタイプは、一般的に制限されず、例えば、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそれらの断片、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチドからなる群から選択することができる。
【0205】
より具体的には、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン、または血清免疫グロブリン、例えばIgGに結合することができる結合単位からなる群から選択することができる。一部の実施形態において、結合単位は、ヒト血清アルブミンに結合することができる。一部の実施形態において、結合単位はISVDである。
【0206】
例えば、WO04/041865(参照によってその全体を組み入れる)は、血清アルブミンに結合する(および特にヒト血清アルブミンに対する)Nanobodies(登録商標)であって、前記タンパク質の半減期を増加させるために他のタンパク質(例えば、望ましい標的に結合する1つまたはそれ以上の他のNanobodies(登録商標))に連結することができるNanobodies(登録商標)を記載している。
【0207】
国際出願WO06/122787(参照によってその全体を本明細書に組み入れる)は、(ヒト)血清アルブミンに対する多数のNanobodies(登録商標)を記載している。これらのNanobodies(登録商標)としては、Alb-1(WO06/122787では配列番号52、参照によってその全体を組み入れる)およびそれらのヒト化バリアント、例えばAlb-8(WO06/122787では配列番号62、参照によってその全体を組み入れる)と称されるNanobody(登録商標)が挙げられる。これらもまた、治療用タンパク質およびポリペプチドならびに他の治療的な実体または部分の半減期を延長するのに使用することができる。
【0208】
さらに、WO2012/175400(参照によってその全体を組み入れる)は、Alb-23と称されるAlb-1のさらに改善されたバージョンを記載している。
【0209】
一実施形態において、ポリペプチドは、Alb-1、Alb-3、Alb-4、Alb-5、Alb-6、Alb-7、Alb-8、Alb-9、Alb-10およびAlb-23から選択される血清アルブミン結合部分を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、WO2012/175400の7~9頁に示されているAlb-8もしくはAlb-23、またはそのバリアント、およびWO2012/175741、WO2015/173325、WO2017/080850、WO2017/085172、WO2018/104444、WO2018/134235、WO2018/134234(これらの各々は参照によってその全体を本明細書に組み入れる)に記載されるアルブミンバインダーを含む。血清アルブミンバインダーの一部の非限定的な例は、表A-4にも示される。一部の実施形態において、本開示のポリペプチドは、項目Dに記載のさらなる構成要素を含む:
D.ヒト血清アルブミンに結合し、
i.配列番号7のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号11のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号15のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号15と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3;
を含むISVD。
【0210】
一部の実施形態において、CDR1は配列番号7のアミノ酸配列を有し、CDR2は配列番号11のアミノ酸配列を有し、CDR3は配列番号15のアミノ酸配列を有する。
【0211】
ヒト血清アルブミンに結合するこのようなISVDの非限定的な例は、表A-2に構築物ALB23002に関して示されている1つもしくはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有し(前述の項目Dで定義されたCDRに加えて)、例えばISVDは、構築物ALB23002の全長アミノ酸配列を有する(配列番号3、表A-1およびA-2を参照)。
【0212】
項目Dはまた、Kabat定義を使用して以下のように記載することもできる:
D’.ヒト血清アルブミンに結合し、
i.配列番号34のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号34と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR1;
ii.配列番号38のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号38と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR2;および
iii.配列番号15のアミノ酸配列を有するかまたは配列番号15と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するCDR3;
を含むISVD。
【0213】
一部の実施形態において、CDR1は配列番号34のアミノ酸配列を有し、CDR2は配列番号38のアミノ酸配列を有し、CDR3は配列番号15のアミノ酸配列を有する。
【0214】
ヒト血清アルブミンに結合するこのようなISVDの非限定的な例は、表A-2.1に構築物ALB23002に関して示されている1つもしくそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有し(前述の項目D’で定義されたCDRに加えて)、例えばISVDは、構築物ALB23002の全長アミノ酸配列を有する(配列番号3、表A-1およびA-2.1を参照)。
【0215】
また、一実施形態において、ヒト血清アルブミンに結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える、例えば95%を超える、または99%を超える配列同一性を有していてもよく、場合により、CDRは前述の項目Dで定義された通りである。一部の実施形態において、ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を有する。
【0216】
ヒト血清アルブミンに結合するこのようなISVDが、対応する参照CDR配列(上記の項目D)と比べて少なくとも1つのCDR中に2または1つのアミノ酸の差異を有する場合、ISVDは、ヒト血清アルブミンに対して構築物ALB23002の少なくとも半分の結合親和性、少なくとも同じ結合親和性、またはさらにより高い結合親和性を有し、ここで結合親和性は、SPRなどの同じ方法を使用して測定される。
【0217】
ヒト血清アルブミンに結合するこのようなISVDがC末端の位置を有する場合、該ISVDはC末端アラニン(A)またはグリシン(G)伸長を示し、配列番号52、53、55、57、58、59、60、61、62、および63から選択される(下記の表A-4を参照)。一実施形態において、ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、C末端の位置とは別の位置を有し(すなわち、本開示のポリペプチドのC末端のISVDではない)、配列番号3、50、51、54、および56から選択される(下記の表A-4を参照)。
【0218】
5.4 核酸分子
本開示のポリペプチドをコードする核酸分子も提供される。
【0219】
「核酸分子」(「核酸」と同義的に使用される)は、ヌクレオチド配列を形成するためにリン酸主鎖を介して互いに連結されたヌクレオチド単量体の鎖である。核酸は、例えばポリペプチドの発現および/または生産のために、宿主細胞または宿主生物を形質転換/トランスフェクトするのに使用することができる。生産目的のための好適な宿主または宿主細胞は当業者には明らかであり、例えば、あらゆる好適な真菌、原核もしくは真核細胞もしくは細胞株、またはあらゆる好適な真菌、原核もしくは真核生物であり得る。本開示のポリペプチドをコードする核酸を含む宿主または宿主細胞も、本開示に包含される。
【0220】
核酸は、例えばDNA、RNA、またはそれらのハイブリッドであってもよいし、PNAのような(例えば化学的に)修飾されたヌクレオチドを含んでいてもよい。核酸は、一本鎖であってもよいし、または二本鎖DNAであってもよい。例えば、本開示のヌクレオチド配列は、ゲノムDNA、cDNAであってもよい。
【0221】
本開示の核酸は、それ自体公知の方式で調製するかまたは得てもよいし、および/または好適な天然源から単離してもよい。天然に存在する(ポリ)ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、例えば、配列変化を有するポリペプチドをコードする核酸分子が提供されるように、部位特異的変異誘発に供してもよい。また当業者には明らかであろうが、核酸を調製するために、いくつかのヌクレオチド配列、例えば標的化部分をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、例えば1つまたはそれ以上のリンカーをコードする核酸も、好適な方式で一緒に連結されていてもよい。
【0222】
核酸を生成するための技術は当業者には明らかであり、その例としては、これらに限定されないが、自動DNA合成;部位特異的変異誘発;2つまたはそれ以上の天然に存在する配列および/または合成配列(または2つまたはそれ以上のそれらの一部)を組み合わせること、短縮化された発現産物の発現をもたらす突然変異の導入;1つまたはそれ以上の制限部位の導入(例えば、好適な制限酵素を使用して容易に消化および/またはライゲートすることができるカセットおよび/または領域を作り出すため)、ならびに/または1つまたはそれ以上の「ミスマッチ」プライマーを使用するPCR反応による突然変異の導入を挙げることができる。
【0223】
5.5 ベクター
本開示のポリペプチドをコードする核酸分子を含むベクターも提供される。本明細書で使用されるベクターは、遺伝物質を細胞に運ぶのに好適な媒体である。ベクターとしては、裸の核酸、例えばプラスミドまたはmRNA、またはより大きい構造に埋め込まれた核酸、例えばリポソームもしくはウイルスベクターが挙げられる。
【0224】
ベクターは、一般的に、場合により、1つまたはそれ以上の調節エレメント、例えば1つまたはそれ以上の好適なプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどに連結された少なくとも1つの核酸を含む。ベクターは、発現ベクターであり得、すなわち、好適な条件下で、例えばベクターが(例えばヒト)細胞に導入されたときに、コードされたポリペプチドまたは構築物を発現させるのに好適なベクターであり得る。DNAベースのベクターの場合、これは通常、転写のためのエレメントの存在(例えばプロモーターおよびポリAシグナル)および翻訳のためのエレメントの存在(例えばコザック配列)を含む。
【0225】
一部の実施形態において、ベクター中において、前記少なくとも1つの核酸および前記調節エレメントは、互いに「作動可能に連結」しており、これは、一般的に、それらが互いに機能的な関係にあることを意味する。例えば、プロモーターは、前記プロモーターがコード配列の転写および/または発現を開始させるかまたはそれ以外の方法でそれらを制御/調節することができる場合、コード配列に「作動可能に連結している」とみなされる(ここで前記コード配列は、前記プロモーターの「制御下」にあると理解されるべきである)。一般的に、2つのヌクレオチド配列が作動可能に連結している場合、それらは同じ方向となり、また通常は同じリーディングフレーム内にある。それらはまた通常は本質的に連続しているが、これもまたそうである必要はない場合もある。
【0226】
一部の実施形態において、ベクターのいずれの調節エレメントも、それらが意図した宿主細胞または宿主生物においてそれらの意図した生物学的機能を提供できるようなものである。
【0227】
例えば、プロモーター、エンハンサーまたはターミネーターは、意図した宿主細胞または宿主生物において「作動可能である」はずであり、これは、例えば前記プロモーターが、ヌクレオチド配列、例えばそれに作動可能に連結したコード配列の転写および/または発現を開始させること、またはそれ以外の方法でそれらを制御/調節することが可能であるはずであることを意味する。
【0228】
5.6 組成物
本開示はまた、少なくとも1つの本技開示のポリペプチド、本開示のポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸分子、またはこのような核酸分子を含む少なくとも1つのベクターを含む組成物も提供する。組成物は、医薬組成物であり得る。組成物は、少なくとも1種の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および/もしくはアジュバントをさらに含んでいてもよく、場合により、1種またはそれ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含む。
【0229】
5.7 宿主生物
本開示はまた、本開示のポリペプチド、本開示のポリペプチドをコードする核酸、および/または本開示のポリペプチドをコードする核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞または宿主生物にも関する。
【0230】
好適な宿主細胞または宿主生物は当業者に明らかであり、例えば、あらゆる好適な真菌、原核もしくは真核細胞もしくは細胞株、またはあらゆる好適な真菌、原核もしくは真核生物である。具体的には例としては、HEK293細胞、CHO細胞、大腸菌(Escherichia coli)またはピチア・パストリス(Pichia pastoris)が挙げられる。一部の実施形態において、宿主は、ピチア・パストリスである。
【0231】
5.8 ポリペプチドの方法および使用
本開示はまた、本開示のポリペプチドを生産するための方法も提供する。本方法は、宿主細胞または宿主生物を、ポリペプチドをコードする核酸で形質転換/トランスフェクトすること、宿主中でポリペプチドを発現させること、場合により、それに続いて、1つまたはそれ以上の単離および/または精製工程を含んでいてもよい。
具体的には、本方法は、:
a)好適な発現系中(好適な宿主細胞もしくは宿主生物中で、または別の発現系中)で、ポリペプチドをコードする核酸配列を発現させること;場合により、それに続いて:
b)ポリペプチドを単離および/または精製すること
を含んでいてもよい。
【0232】
生産目的のための好適な宿主細胞または宿主生物は当業者には明らかであり、例えば、あらゆる好適な真菌、原核もしくは真核細胞もしくは細胞株、またはあらゆる好適な真菌、原核もしくは真核生物であり得る。具体的な例としては、HEK293細胞、CHO細胞、大腸菌またはピチア・パストリスが挙げられる。一部の実施形態において、宿主は、ピチア・パストリスである。
【0233】
記載される本開示のポリペプチド、核酸分子もしくはベクター、または本開示のポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物-例えば該ポリペプチドまたはこれを含む組成物-は、医薬として有用である。
【0234】
したがって、本開示は、医薬としての使用のための、記載される本開示のポリペプチド、核酸分子もしくはベクター、または本開示のポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物を提供する。
【0235】
また、炎症性疾患および/または自己免疫疾患の(予防的または治療的な)処置における使用のための、記載される本開示のポリペプチド、核酸分子もしくはベクター、または本開示のポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物も提供される。
【0236】
さらに、炎症性疾患および/または自己免疫疾患を処置する(予防的および/または治療的な)方法であって、医薬的に活性な量の、記載される本開示のポリペプチド、核酸分子もしくはベクター、または本開示のポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法が提供される。
【0237】
さらに、医薬組成物、例えば、炎症性疾患および/または自己免疫疾患を処置するための医薬組成物の調製における、記載される本開示のポリペプチド、核酸分子もしくはベクター、または本開示のポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物の使用が提供される。
【0238】
炎症性疾患および/または自己免疫疾患は、例えば、関節リウマチ、化膿性汗腺炎およびサルコイドーシスであってもよい。好ましくは、炎症性疾患および/または自己免疫疾患は関節リウマチである。
【0239】
「対象」は、本開示に関して言及される場合、あらゆる動物であってもよく、例えば哺乳動物であってもよい。哺乳動物のなかでも、ヒトと非ヒト動物との区別がなされる場合がある。非ヒト動物は、例えばコンパニオンアニマル(例えばイヌ、ネコ)、家畜(例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、またはブタ動物)、または一般的に調査目的および/または抗体生産のために使用される動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、非ヒト霊長類、例えばカニクイザル、またはラクダ科動物、例えばラマまたはアルパカ)であり得る。
【0240】
予防および/または治療目的に関して、対象は、あらゆる動物であってもよく、より具体的には、あらゆる哺乳動物、例えばヒト対象であってもよい。
【0241】
物質(例えばポリペプチド、核酸分子およびベクターなど)または組成物は、あらゆる好適な投与経路によって、例えば経腸(例えば経口または直腸)または非経口(例えば皮膚上、舌下、頬側、経鼻、関節内、皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内、皮下、真皮下、または経粘膜)投与によって対象に投与することができる。非経口投与、例えば筋肉内、皮下または皮内投与が使用されてもよい。一部の実施形態において、皮下投与が使用される。
【0242】
有効量の記載されるポリペプチド、核酸分子もしくはベクター、またはポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物は、意図した処置結果を提供するために、対象に投与することができる。
【0243】
1つまたはそれ以上の用量が投与されてもよい。1つより多くの用量が投与される場合、用量は、ポリペプチド、組成物、核酸分子またはベクターの作用を最大化するために、好適な間隔で投与されてもよい。
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
【0249】
【0250】
【実施例】
【0251】
6.1 実施例1:野生型抗IL-6 2価またはバイパラトピックISVD構築物の生成およびインビトロ特徴付け
1価抗IL-6 ISVD IL6006B06、IL006B12、IL6007G04、IL6007G05、IL6007G09、IL6010A06、IL6013F12およびIL6017C04(WO2007104529に記載)は、TF-1増殖アッセイで調べた場合、抗IL-6参照mAb 1(IL-6に対するベンチマークモノクローナル抗体)と比較して有意なIL-6遮断能力を示さなかった。効力を改善しようと、抗IL-6 ISVDをバイパラトピックISVD構築物にフォーマットした。構築物のビルディングブロックを、柔軟な35GSまたは9GS(GlySer)リンカーによって遺伝子的に連結させた。ISVDは、大腸菌でFLAG3-HIS6タグ付きタンパク質として発現させた。発現は自己誘導により行い、30℃でオンにし続けた。細胞培養物を回転後、ペレットを凍結解凍してペリプラズム抽出物を調製し、dPBSに再懸濁した。これらの抽出物を、Nickel IDA/NTAカラム(Genscript - Atoll)を使用する固定化金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)の出発材料として使用した。ISVDを200mM酢酸Na pH4でカラムから溶出し、TrisHCl pH8で中和し、その後dPBSに対して脱塩した。
【0252】
抗IL-6 ISVDの阻害効力を、TF-1細胞のIL-6媒介増殖をモニターする細胞ベースのアッセイで決定した。この目的を達成するために、10%FBSおよび1%ピルビン酸Naが補充されたRPMI 1640、glutamax、HEPES培地(Gibco)でTF-1細胞を培養した。TF-1細胞を、1ウェルあたり12.500細胞で増殖培地に植え付けた。精製抗IL-6 ISVDまたは参照化合物の希釈系列を添加した。37℃で30分のインキュベーション後、75pMのヒトIL-6(R&D systems カタログ番号200-IL-200|206-IL)を添加した。72時間後、TF-1細胞の増殖を、EnVision Multilabel Reader(Perkin Elmer)でCellTiter-Glo(Promega #G7571)を用いて決定した。
【0253】
いくつかのバイパラトピック構築物はヒトIL-6に対する改善された効力を示し、抗hIL-6参照mAb 1の効力と同じような効力に達した(表1)。
【0254】
加えて、柔軟な35GS(GlySer)リンカーによって遺伝子的に連結された2価抗IL-6 ISVDを生成し、THP-1細胞におけるIL-6誘導pSTAT3生成をモニターする第2の細胞ベースのアッセイでそれらの効力を評価した。この目的を達成するために、Glutamax+および10%熱不活性化FBSが補充されたRPMI1640培地でTHP-1細胞を培養した。白色96ウェルプレートに植え付ける前に、培地をHBSSに交換し、細胞を100.000細胞/ウェルの密度で植え付けた。精製抗IL-6 ISVDの希釈系列または参照抗IL-6 mAb1を、300pM hIL-6(R&D systems カタログ番号200-IL-200|206-IL)と一緒に添加し、37℃で20分間インキュベートした。その後、細胞をスピンダウンし、溶解した。溶解した細胞上清16μlを、pSTAT3および全STAT3に対するHTRF検出抗体ミックスと混合した(PHOSPHO-STAT3(TYR705)KIT、Cisbio #62AT3PE)。このキットを使用して、pSTAT3(Tyr705)を、1つはEu3+クリプテートで標識(ドナー)され、2番目はd2で標識(アクセプター)された2つの異なる特異的抗体を使用するサンドイッチアッセイ形式で検出した。色素が近接している場合、光源によるドナーの励起はアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を引き起こし、今度は特定の波長(665nm)で蛍光を発する。特定のシグナルは、pSTAT3に正比例して変調する。EnVision Multilabel Reader(Perkin Elmer)でpSTATを665nmの吸光度を測定し、全STAT3を620nmの吸光度を測定して定量化した。
【0255】
2価構築物は1価抗IL-6 ISDVと比較して効力が有意に増加しなかったが、バイパラトピック抗IL-6 ISVDは1価または2価構築物と比較して有意な効力増加を示した(表2)。
【0256】
この運用から、11種のバイパラトピック抗IL-6 ISVDを選択して抗TNF-α ISVDに連結した:IL6013F12-IL6006B06、IL6006B06-IL6017C04、IL6013F12-IL6007G09、IL6006B06-IL6006B12、IL6006B06-IL6010A06、IL6017C04-IL6007G09、IL6006B12-IL6013F12、IL6010A06-IL6007G09、IL6006B12-IL007G09、IL6007G09-IL6006B12またはIL6017C04-IL6006B12。
【0257】
【0258】
【0259】
6.2 実施例2:抗IL-6 1価ISVDの配列最適化
抗IL-6 ISVD IL6006B12およびIL6017C04をさらに配列最適化した。
配列最適化は、ISVDの1つまたはそれ以上(望ましい)特性を改善するために、配列中の1つまたはそれ以上の特定のアミノ酸残基の交換を必要とする。
このような配列最適化のいくつかの例は、本明細書においてさらなる説明で述べられ、例えば、限定されないが、以下が挙げられる:
【0260】
ヒト化と呼ばれるプロセスである、ヒトVH3-JH生殖系列コンセンサス配列とより同一のNanobody(登録商標)配列を得るための親野生型Nanobody(登録商標)配列における置換。この目的を達成するために、いわゆる特徴的な(hallmark)残基を除いて、Nanobody(登録商標)とヒトVH3-JH生殖系列コンセンサスで異なるFRの特定のアミノ酸を、タンパク質構造、活性および安定性がインタクトに保たれるような方法でヒトカウンターパートに変更した。
【0261】
ラクダ化として定義される、ISVDの安定性を増加させるためのラマ生殖系列に対する置換。この目的を達成するために、親野生型Nanobody(登録商標)アミノ酸配列を、Nanobody(登録商標)のラマIGHV生殖系列アミノ酸配列(ラマIGHV生殖系列に対するNanobody(登録商標)のBlastP分析からのトップヒットとして同定された)と整列させた。
【0262】
長期安定性もしくは保存下の特性を改善する置換、望ましい宿主細胞もしくは宿主生物における発現レベルを増加させる置換、および/またはやはり望ましい宿主細胞もしくは宿主生物に応じて(望ましくない)翻訳後修飾(グリコシル化またはリン酸化のような)を除去もしくは低減する置換。N末端ピログルタミン酸形成を避けるために、標準的にはE1D突然変異が、効力または安定性に影響を与えることなく多価NanobodyのN末端ビルディングブロックに導入される。したがって、ビルディングブロックの配列最適化の間は、E1D突然変異は一貫して導入されない。
【0263】
任意の天然に存在する既存の抗体活性の結合を最小限にするための、11位でのValへのおよび89位でのLeuへの突然変異。
【0264】
抗IL-6 ISVD IL6006B12の配列最適化は、親ISVD IL6006B12と比較して5つのアミノ酸置換(すなわちL11V、S52aG、S60A、K83R、V89L)を含む、最終的な配列最適化バリアントF027201040をもたらした。抗IL-6 ISVD IL6017C04の配列最適化は、親ISVD IL6017C04と比較して6つのアミノ酸置換(すなわちE1D、L11V、A14P、D16G、K83R、V89L)を含む、最終的な配列最適化バリアントF027200921をもたらした。
【0265】
配列最適化バリアントを、PCRオーバーラップ伸長法を使用してオリゴヌクレオチドから組み立てた。バリアントを大腸菌で発現させ、IMACおよび脱塩によって精製した。F027201040をそのhIL-6結合能について表面プラズモン共鳴によって評価し、F027200921をその中和活性についてTF1増殖アッセイで評価した。両方のバリアントの単量体挙動を、サイズ排除HPLC(SE-HPLC)によってモニターした。バリアントの熱安定性を、Lightcycler(Roche)を使用したサーマルシフトアッセイ(TSA)で試験した。このアッセイでは、親ISVDおよびそれらのバリアントをsyproオレンジの存在下、異なるpHでインキュベートし、温度勾配を適用した。ISVDが変性し始めるとsyproオレンジが結合し、測定される蛍光が突然増加し、そのため、特定のpHについての融解温度を決定することができる。結果を表3および表4に要約する。
【0266】
【0267】
F027201040は、親ISVD IL006B12と比較してSPRでIL-6への結合の類似した解離速度を示した。F027201040のTmは、親ISVD IL006B12より7℃高かった。F027201040のフレームワーク領域におけるフレームワーク同一性%は、AbM定義(Antibody Engineering、Vol2 by Kontermann & Dubel(編)、Springer Verlag Heidelberg Berlin、2010を参照されたい)に基づくと88%であり、Kabatの定義に基づくと86%であった。
【0268】
【0269】
TF1増殖アッセイでのF027200921の効力は、WT配列と比較して類似していた。F027200921のTmは、親ISVD F027200921より1℃低かった。F027200921のフレームワーク領域におけるフレームワーク同一性%は、AbM定義に基づくと88%であり、Kabatの定義に基づくと86%であった。
【0270】
【0271】
6.3 実施例3:多重特異性ISVD構築物生成
TNFαおよびIL-6に結合するISVD含有ポリペプチドF027201062(配列番号1)の同定は、データ駆動型多重特異性操作およびフォーマット化戦略から得られ、その中には3つの抗TNFα VHHビルディングブロック(TNF06C11(WO2017081320)、TNF01C02(WO2015173325、配列番号327)およびVHH#3(WO2004041862))、および6つの抗IL-6 VHHビルディングブロック(IL6006B06、IL006B12、IL6007G04、IL6007G05、IL6007G09、IL6010A06、IL6013F12およびIL6017C04、WO2007104529)および抗HSA VHHビルディングブロックALB23002(WO2017134234、配列番号10/WO2018131234を参照されたい)が含まれた。ビルディングブロックの異なる位置/方向を適用し、異なるパラメーター(効力、交差反応性、発現など)にとって重要であることを証明した。全ての構築物でビルディングブロック間のリンカーを9GSに保って、既存の抗体の結合をできる限り最小限にした。
【0272】
87個の構築物を含むパネル(表6)を、小さいスケールの生産のためにピチア・パストリスで形質転換した。ISVD発現の誘導は、メタノールの段階的な添加によって生じた。分泌されたISVDを含む清澄化培地を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを介した精製とそれに続く脱塩の出発材料として使用した。精製したサンプルを、発現評価および機能的特徴付けに使用した。後者に関して効力は、インビトロでのTF-1細胞のTNFα誘導NFκB活性化の阻害およびIL-6誘導増殖の阻害をアッセイして決定した(実施例8および9に記載の通り)。
【0273】
加えて、ISVD発現レベルを清澄化培地でモニターした。構築物を以下の発現レベル基準に従って分類した:低=<50μg/ml、中程度=51~100μg/ml、高=>101μg/ml(表6)。
【0274】
【0275】
一部の構築物は、原子価、使用するISVDビルディングブロック、およびISVDビルディングブロックの相対的な位置に応じて損なわれた効力および発現を示した。抗TNFa ISVD TNF006C11、2価TNF001C02および2価VHH#3Eを含む二重特異性ISVDは、参照抗TNFa mAb(TNF-アルファに対するベンチマークモノクローナル抗体)に類似した効力を示したのに対し、1価TNF001C02を含むISVDは、参照抗TNFa mAbより効力が5~25倍低かった。2価VHH#3Eを含む全てのISVDは低い発現レベルを示し、それ故に除外した。
【0276】
抗IL-6 ISVD IL6006B06を含む全ての二重特異性ISVDは損なわれた効力を示し、6B06-6B12の組み合わせは成績が最も低かった。抗IL-6 ISVD IL6013F12を含む二重特異性ISDVは全て、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)で発現させると分解を示し、それ故に製造することができなかった。バイパラトピック抗IL-6 ISVD 10A06-7G09、17C04-7G09、17C04-6B12、6B12-7G09および7G09-6B12を含む残りの二重特異性ISVDは、概して抗IL-6参照mAb 1に類似した効力を示したが、7G09-6B12に関してカニクイザルIL-6に対する交差反応性は大きく損なわれた。
【0277】
その後、大きなパネルを、標的(ヒトおよびカニクイザル)の両方に対して効力があることが証明され、予備的収量推定値に基づく高い発現レベルの可能性を有する7つのISVD構築物:F027200809、F027200812、F027200817、F027200927、F027201060、F027201061およびF027201062からなる、多重特異性構築物のより小さなパネルに縮小した。3つの追加のISVD構築物、F027200925、F027200926、F027201029を、主にそれらの高い発現レベルの可能性に基づき選択した。しかしながら、後者3つの構築物は1つの標的に高い効力を示したが、他の標的に対しては中間の効力しかなかった(表7a)。
【0278】
ISVD構築物F027200927およびF027200925の立体配置を表7bに示す。
【0279】
表7cおよび7dは、それぞれ、ISVD構築物F027200927およびF027200925の各個々のビルディングブロックの配列を示す。
【0280】
表7e、7f、7gおよび7hは、各個々のビルディングブロックISVD構築物F027200927およびF027200925に存在する3つのCDR領域および4つのフレームワーク領域の配列を示す(両方ともAbMおよびKabatの番号付けによる)。最後に、表7iは、ISVD構築物F027200927およびF027200925の完全アミノ酸配列を示す。
【0281】
【0282】
【0283】
【0284】
【0285】
【0286】
【0287】
【0288】
【0289】
【0290】
11種のISVD構築物を含むパネルのピチア・パストリスでのより大規模な2Lおよび5L生産を、発現収量決定、生物物理学的特性の評価のために行った。高い発現収量ならびに十分な溶解性および生物物理学的安定性を得るために、抗IL-6ビルディングブロックおよび抗TNF-αビルディングブロックの特定の組み合わせが必要であることが実証された。これは表8に例示されている。例えば、3位における1つのビルディングブロックを除いて組成物中の極めて類似した構築物F027201062およびF027200812は、有意に異なる発現プロファイルおよび溶解性プロファイルを示した。
【0291】
【0292】
最終的に、効力およびCMC特性(例えば溶解性および発現)の良好な成績の組み合わせにより、ISVD構築物F027201062をさらなる特徴付けのために選択した。
【0293】
実施例4:多重特異性ISVD構築物:TNF-α、IL-6および血清アルブミンに対する結合親和性
ヒトおよびカニクイザルTNF-αおよびIL-6、ならびにヒト、カニクイザルおよびマウス血清アルブミン(SA)に対するF027201062の、平衡解離定数(KD)として表される親和性は、Gyrolab xP Workstation(Gyros)での溶液中親和性測定により定量化した。
【0294】
KD制御測定で、TNF-αまたはIL-6(1.3μM~0.1pMの範囲)またはヒトもしくはカニクイザルSA(13μM~1pMの範囲)もしくはマウスSA(133μM~30pMの範囲)の連続希釈物、および固定量のF027201062(TNF-αの場合80pM、IL-6の場合は20pM、ヒトおよびカニクイザルSAの場合は300pM、ならびにマウスSAの場合は600pM)を混合して相互作用させ、平衡に達するまで48時間もしくは72時間のいずれか(IL-6およびTNF-αの場合)または2時間(SAの場合)インキュベートした。
【0295】
受容体制御測定で、TNF-αまたはIL-6(1.3μM~0.1pMの範囲)またはヒトおよびカニクイザルSA(13μM~1pMの範囲)もしくはマウスSA(133μM~30pMの範囲)の連続希釈物、および固定量のF027201062(TNFアルファの場合は30nM、IL-6の場合は5nM、ヒトおよびカニクイザルSAの場合は1μM、ならびにマウスSAの場合は2μmM)を混合して相互作用させ、平衡に達するまで48時間もしくは72時間のいずれか(IL-6およびTNFαの場合)または2時間(SAの場合)インキュベートした。
【0296】
ビオチン化ヒトTNF-α/IL-6/血清アルブミンを、ビーズのカラムを含有し、平衡化した溶液から遊離のF027201062を捕獲するための分子プローブとして使用されたGyrolab Bioaffy 1000CDの微細構造に捕獲した。TNF-α/IL-6/血清アルブミンおよびF027201062の混合物(遊離のTNF-α/IL-6/血清アルブミン、遊離のF027201062およびTNF-α/IL-6/血清アルブミン-F027201062複合体を含有する)を、ビーズを通って流動させ、遊離のISVD構築物濃度に比例する小さいパーセンテージの遊離のF027201062を捕獲した。次いで蛍光標識した抗VHH抗体、ABH0086-Alexa647を注入して全ての捕獲されたF027201062を標識し、過量の蛍光プローブを濯ぎ落とした後、蛍光の変化を決定した。一連の希釈物のフィッティングを、Gyrolab Analysisソフトウェアを使用して行い、KDおよび受容体によれば制御される曲線を分析して、KD値を決定した。結果(表9)は、多重特異性ISVD構築物が、ヒト/カニクイザルIL-6およびヒト/カニクイザルTNF-αと高親和性で結合することを実証している。
【0297】
【0298】
6.4 実施例5:膜結合TNFαへの多重特異性ISVD構築物の結合
膜結合TNFαへのF027201062の結合を、ヒト膜TNFαを発現するHEK293H細胞に対するフローサイトメトリーを使用して実証した。簡単に言えば、PBS中4%パラホルムアルデヒドおよび0.1%グルタルアルデヒドで細胞を固定した(膜結合TNFαの検出を高めるために)。その後、細胞を1×104細胞/ウェルの密度で植え付け、F027201062または抗TNFα参照mAbの、100nMから開始して0.5pMまでの希釈系列と共に、30μM HSAの非存在または存在下、室温で24時間インキュベートした。細胞を3回洗浄し、その後、インキュベートしd with an 抗VHH mAb(ABH00119)と共に4℃で30分間インキュベートし、再び洗浄し、ヤギ抗マウスまたは抗ヒトPE標識抗体と共に4℃で30分間インキュベートした。サンプルを洗浄し、FACS緩衝液(5nM TOPRO3が補充された10%FBSおよび0.05%アジ化ナトリウムを含むD-PBS)に再懸濁した。次いで、細胞懸濁液をiQuescreenerで分析した。GraphPad Prismを使用してEC50値を計算した。F027201062および抗TNFα参照mAbのEC50値は同等である(表10)。
【0299】
【0300】
6.5 実施例6:多重特異性ISVD構築物はTNF-αおよびIL-6に選択的に結合する
TNF-αおよびIL-6関連ヒト標的への結合の非存在を、SPR(Proteon XPR36)により評価した。IL-6関連サイトカインまたはgp130受容体を共有するサイトカインとして、ヒトIL23、IL27、CNTF、オンコスタチンM(OSM)およびIL11を評価した。TNFスーパーファミリーメンバー、ヒトFASL、TNFβ、LIGHT、TL-1A、RANKLを、TNFαの関連サイトカインとして試験した。
【0301】
この目的を達成するために、活性化についてはEDC/NHSを80秒間注入し、非活性化については1MエタノールアミンHClを150秒間注入するアミンカップリングを使用して(ProteOnアミンカップリングキット。カタログ番号176-2410)、標的をGLCセンサーチップに25μg/mLで200秒間固定した。活性化、非活性化およびリガンド注入中の流速を30μl/分に設定した。10mM酢酸固定緩衝液のpHは、各リガンドのpIから約1.5を引いて選択した。次に、300nMのF027201062を2分間注入し、45μL/分の流速で600秒間解離させた。ランニング緩衝液として、PBS(pH7.4)+0.005%Tween20を使用した。陽性対照として、0.3μM α-IL11 Ab、α-OSM Ab、α-CNTF Ab、α-IL27 Ab、α-IL27A Ab、α-IL23 p19 Ab、α-hFASL Ab、0.3 μM α-hTNFβ Ab、0.5μM α-hLIGHT Ab、0.3μM α-hTL-1A Abおよび0.5μM α-hRANKL VHHを注入した。
【0302】
F027201062と陽性対照間の固定化標的との相互作用を、結合時のチップ上の質量変化の結果として生じる屈折率の増加を検出して測定した。
【0303】
陽性対照は全て、それらのぞれぞれの標的に結合しなかった。ISVD構築物F027201062の、ヒトTRAIL、CD30L、CD40L、FASL、TNF、LIGHT、TL-1A、RANKL、IL23、IL27、CNTF、オンコスタチンMおよびIL11への結合は検出されなかった。
【0304】
6.6 実施例7:多重特異性ISVD構築物のhIL-6、hTNFaおよびHSAへの同時結合
Biacore 8K+装置を使用して、ISVD構築物F027201062が、組換え溶解性hTNF-αおよびhIL-6に同時に結合できるかどうかを決定した。この目的を達成するために、HSAをアミンカップリングによりCM5センサーチップに約1600RUのレベルに固定化した。ALB23002ビルディングブロックによりISVD構築物を捕獲するために、100nMのF027201062を10μΙ/分で2分間、HSA表面に注入した。その後、100nMのhIL-6、hTNF-αもしくはhOX40Lか、または100nM IL-6+100nM TNFα、100nM IL-6+100nM OX40Lもしくは100nM TNF-α+100nM OX40Lの混合物のいずれかを、45μl/分の流速で2分間注入し、その後、600秒の解離工程を行った。45μl/分で2分のHCI(100mM)の注入によりHSA表面を再生した。センサーグラム(
図1)は、HSAでの捕獲後の応答単位の増加:hTNF-αのみからは約150RUの増加、hIL-6のみからは約120RUの増加、ならびにIL-6およびTNF-α混合物については約340RUの増加によって示されるように、ISVD構築物F027201062がhIL-6およびhTNF-αと同時に結合できることを実証している。
【0305】
6.7 実施例8:インビトロでのTNF-α誘導NFkB活性化の多重特異性ISVD構築物阻害
HEK293_NFκB-NLucP細胞は、NFκB依存性プロモーターの制御下でナノルシフェラーゼをコードするレポーター構築物で安定にトランスフェクトされたTNF受容体発現細胞である。細胞と溶解性ヒトおよびカニクイザルTNF-αとのインキュベーションは、NFκB媒介ナノルシフェラーゼ遺伝子発現をもたらした。ナノルシフェラーゼ発光を、溶解緩衝液と1:50の比で混合し細胞に添加したNano-Gloルシフェラーゼ基質を使用して測定した。サンプルを振盪機で5分混合して完全溶解を得た。Glo response(商標)HEK293_NFκB-NLucP細胞を、底面が透明な白色組織培養(TC)処理96ウェルプレートの通常の増殖培地に20000細胞/ウェルで植え付けた。F027201062または抗TNF-α参照mAbの希釈系列を25pMヒトまたは70pMカニクイザルTNF-αに添加し、30μM HSAの存在下、細胞と共に37℃で5時間インキュベートした。
【0306】
F027201062は、参照化合物抗hTNF-α mAbと同等の53pM(ヒトTNF-αに関して)および158pM(カニクイザルTNF-αに関して)の平均IC50で、濃度依存的にヒトおよびカニクイザルTNF-α誘導NFκB活性化を阻害した(表11、
図2)。陰性対照ISVD、IRR00096は阻害を示さなかった。
【0307】
【0308】
6.8 実施例9:TF-1細胞のIL-6誘導増殖の多重特異性ISVD構築物阻害
F027201062の阻害効力を、TF-1細胞のIL-6媒介増殖をモニターする細胞ベースのアッセイで決定した。この目的を達成するために、10%FBSおよび1% ピルビン酸Naを添加したRPMI 1640、glutamax、HEPES培地(Gibco)でTF-1細胞を培養した。TF-1細胞は、1ウェルあたり12.500細胞で増殖培地に植え付けた。精製抗IL-6 ISVDまたは参照化合物の希釈系列を添加した。37℃で30分インキュベーション後、75pMのヒトIL-6(R&D systems カタログ番号200-IL-200|206-IL)またはカニクイザルIL-6(Evotek、カタログ番号APP-7634)を添加した。72時間後、TF-1細胞の増殖を、EnVision Multilabel Reader(Perkin Elmer)でCellTiter-Glo(Promega #G7571)を用いて決定した。
【0309】
F027201062は、抗IL-6参照mAb 1と同等および抗IL-6参照mAb 2より良い34pM(ヒトIL-6に関して)および56pM(カニクイザルIL-6に関して)の平均IC50で、濃度依存的にTF-1細胞のヒトおよびカニクイザルIL-6誘導増殖を阻害した(表12、
図3)。
【0310】
【0311】
6.9 実施例10:既存の抗体への多重特異性ISVD構築物結合
ISVD構築物F027201062の既存の抗体反応性を、ProteOn XPR36(Bio-Rad Laboratories,Inc.)を使用して正常なヒト血清(n=96)で評価した。PBS/Tween(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、0.005%Tween20)をランニング緩衝液として使用し、実験を25℃で行った。
【0312】
ISVDを、チップ上に固定されたHSAへの、ALB23002ビルディングブロックの結合を介してチップ上に捕獲した。HSAを固定するために、ProteOn GLCセンサーチップのリガンドレーンをEDC/NHS(流速30μΙ/分)で活性化し、HSAを、pH4.5のProteOn酢酸緩衝液中の100μl/mlで注入して、およそ2500RUの固定レベルにした。固定した後、表面をエタノールアミンHCl(流速30μΙ/分)で不活性化した。
【0313】
その後、ISVD構築物を、HSA表面上に45μl/分で2分にわたり注入して、ISVD捕獲レベルをおよそ800RUにした。既存の抗体を含有するサンプルを14,000rpmで2分間遠心分離し、上清をPBS-Tween20(0.005%)で1:10希釈し、その後、45μl/分で2分にわたり注入し、それに続き、後続の400秒の解離工程を行った。各サイクルの後(すなわち新しいISVD捕獲および血液サンプル注入工程の前に)、HSA表面を、HCl(100mM)の45μl/分で2分の注入で再生した。1)ISVD-HSA解離および2)参照リガンドレーンへの非特異的な結合を引くことによる二重の参照の後、既存の抗体結合を示すセンサーグラムを得た。125秒(会合終了から5秒後)に報告ポイントを設定することによって、既存の抗体の結合レベルを決定した。参照ISVDの125秒での結合レベルに対する既存の抗体結合におけるパーセンテージの低減を計算した。
【0314】
4価のISVD構築物F027201062は、各ビルディングブロックにおける突然変異L11VおよびV89LならびにC末端アラニンの導入によって既存の抗体結合の低減のために最適化されたことから、既存の抗体への結合は、対照の最適化されていない5価のISVD構築物F027301186と比較してより実質的に少ないことが示される(
図4)。
【0315】
6.10 実施例11:マウス抗TNF-αおよび抗IL-6代理抗体の組み合わせによるマウスコラーゲン誘導関節炎の長期寛解の持続
関節リウマチは、末梢関節を攻撃する破壊性自己免疫疾患である。コラーゲン誘導関節炎(CIA)マウスモデルはびらん性疾患を再現している。関節の成分に対する免疫応答を誘発するために、感受性DBA/1マウスを、100μgアジュバントニワトリII型コラーゲンで2回免疫化した。II型コラーゲンに対して開始された免疫応答は内因性関節軟骨に広がり、臨床的に明らかな関節炎をもたらす。21日目の2回目の免疫化後、進行性関節炎は、足首および肢の腫脹、紅斑、および時として関節強直により明白になった。関節炎の重症度を、下の表13に詳しく述べる採点システムによって各四肢について臨床的に評価した。
【0316】
【0317】
疾患の重症度および進行に対するTNFおよびIL-6遮断併用の影響を評価するために、N=13の免疫化したオスのDBA/1マウスを、マウスTNF、マウスIL-6、または両方の組み合わせに対する遮断抗体で処置した。マウスは、初回免疫化後22日時点で開始し、55日目まで継続する週2回の腹腔内注射により処置した。
図5に示すように、臨床的関節炎は21日目以降徐々に発生した。抗muTNFまたは抗muTNFおよび抗muIL-6の組み合わせのいずれかで処置したマウスは、アイソタイプ対照抗体または抗muIL-6単独で処置したマウスより関節炎の進行が遅く、重症度が低かった。55日目の処置中止により、抗muTNF単独で処置したマウスでは疾患のリバウンドが観察可能であり、アイソタイプ対照または抗muIL-6と同等の重症度レベルにすぐに達した。しかしながら、抗muTNFおよび抗muIL-6の両方の組み合わせで処置したマウスは関節炎の進行に逆戻りせず、処置の中止にもかかわらず応答を維持した。
図6は、試験期間全体、処置期間、およびオフ処置期間に関する関節炎スコア経時的曲線下面積の分析を示す。後者は併用処置によって有意に抑制され、疾患進行に対する影響の持続を示した。
【0318】
このモデルでは、関節炎は、II型コラーゲンワクチン接種に対する抗体応答によって開始された。91日時点で、抗II型コラーゲン抗体の血漿レベルをELISAによって決定した。
図7に示すように、全ての処置が抗II型コラーゲン抗体力価を低下させ、抗muTNFおよび抗muIL-6の両方で処置したマウスでは数値の低下が最大であった。
【0319】
91日目のマウスの屠殺後に後肢を回収し、中足骨関節を関節炎の組織学的評価用に処理した。ヘマトキシリンおよびエオシンならびにサフラニン-O染色切片の採点を、盲検法で4つの側面にわたり0~5のスケールで行った(表14)。
【0320】
【表30】
図8に示すように、アイソタイプ対照抗体と比べて抗muTNFおよび抗muIL-6の組み合わせで処置したマウスにおいて、パンヌス形成および骨破壊の組織学スコアの統計的に有意な改善が達成された。
【0321】
まとめると、これらのデータは、TNFおよびIL-6炎症性経路の両方を遮断する併用処置の最も高い治療効力を示唆している。重要なことには、併用処置は、積極的処置の非存在下でも応答の持続をもたらした。
【0322】
6.11 実施例12:抗TNF-アルファ、抗IL6および抗TNF-アルファ/IL6併用で処置したCIA(コラーゲン誘導関節炎)モデルからのRNA-seqデータ解析
CIAのマウス前肢組織サンプルからの全RNAを、RNAeasyキット(Qiagen)を使用して精製し、2×5100万~6600万リードのペアエンド配列決定を、ATLAS Biolabs GmbH、ベルリンにおいてNovaSeqプラットフォーム(Illumina)で行った。RNA-seq生データのバイオインフォマティクス解析は、OmicSoftスタジオソフトウェアパッケージバージョン10.01.118(Qiagen)を使用して行った。マウスゲノムへのRNA-seqリード(fastqファイル)のマッピングを、参照ゲノムとしてマウスB.38およびアライナーとしてOSA4を用いる遺伝子モデルとしてOmicSoftGenCode.V19を使用して行った。
【0323】
発現変動遺伝子(DEG)のベン図解析
図9(A)のベン図は、CIAモデルにおける抗TNF-アルファ、抗IL6および抗TNF-アルファ/IL6併用処置から同定されたDEGのオーバーラップを示す。DEGは、DESeq2統計的検定(Love,M.I.、Huber,W.、Anders,S. Moderated estimation of fold change and dispersion for RNA-seq data with DESeq2. Genome Biol 2014;15(12):550頁)を使用して、標準的な従来の抗TNF-アルファ抗体による処置(n=13サンプル)、標準的な従来の抗IL6抗体(MP5-20F3;n=13)による処置、および抗TNF-アルファ/抗IL-6抗体併用(n=13)処置からのRNA-seqサンプル群を、アイソタイプ処置からのサンプル(IgG対照;n=13)と比較して決定した。log2倍変化>1,2、およびBenjamini-Hochberg(BH-FDR)による補正p値<0,05のDEGを有意とみなした。DEGの数から、ベン図解析は、抗TNF-アルファまたは抗IL-6による単一処置と比べて抗TNF-アルファ/IL-6併用処置の相加効果を示している。
【0324】
発現変動遺伝子(DEG)のパスウェイマッピング
図9(B)のパスウェイマップは、Ingenuity(Qiagen)およびMetaCore(Clarivate)からの監修された統合型生物学的ナレッジベースを使用したDEGの遺伝子セットエンリッチメント解析から、上位20のカノニカルパスウェイを示す。コラーゲン誘導関節炎(CIA)からのDEGは、DESeq2を使用して、アイソタイプ処置からのサンプル(IgG対照群、n=13)を、コラーゲン誘導関節炎を有さない未処置サンプル(none群、n=4)と比較して決定した。抗TNF-アルファ/IL-6併用処置からのDEGは、DESeq2を使用して、抗TNF-アルファ/IL-6からのサンプル(XT.3+MP5-20F3;n=13)を、アイソタイプ処置からのサンプル(IgG対照群、n=13)と比較して決定した。両方のマップの代謝経路および免疫シグナル伝達経路は、種々の偽発見率(FDR)でのコラーゲン誘導関節炎および抗TNF-アルファ/IL6併用処置からの逆のスコアを示している。
【0325】
6.12 実施例13:関節リウマチの定量的システム薬理学(QSP)モデルは、F027201062のより低用量での寛解増加を予測する(抗hTNF-αおよび抗hIL-6参照mAbと比較して)
出願者は、血液および滑膜中の関連組織、細胞およびメディエーターを検討する関節リウマチ(RA)の専用定量的システム薬理学モデルを開発した。生物学的相互作用の含められた機序的詳細を、社内および公開されている外部ソースの両方からの広範囲のインビトロデータを用いてパラメーター化した。その後、モデルを試験し、メトトレキサート、JAK阻害剤、抗IL-6R、抗IL-6、抗TNF処置を用いた様々な研究からの臨床データにより検証した。
【0326】
このモデルに基づき、滑膜における疾患活性の低下の結果としてのDAS28-CRPの低下を、52週の処置期間にわたる中程度から重度の関節リウマチを有する平均的患者についてシミュレートした。ナノボディF027201062は、TNF-αおよびIL-6に同時に結合することができ、2週間おきの用量20mgによる単剤療法と比較して、DAS28-CRPのより高度の低下を達成し、参照患者が24週間後にDAS28-CRP寛解を達成すると予測した。ナノボディシミュレーションは、動物およびインビトロデータから予測されたヒト薬物動態を検討した。標的結合については、細胞アッセイからのインビトロIC50データを、抗hTNFおよび抗hIL-6コンパレーターmAbに関する公開されている標的結合パラメーターと一緒に使用して、該ナノボディの標的結合パラメーターを計算した(
図10)。
【0327】
6.13 実施例14:ヒトRA-FLS/T細胞共培養モデルにおけるMMP-1およびG-CSFに対する抗TNF-αおよび抗IL-6の相加的有効性
患者の関節におけるTNF-αおよびIL-6の濃度を模倣する関節リウマチのインビトロモデルを開発した。簡単に言えば、関節リウマチ患者由来の線維芽細胞様滑膜細胞(RA-FLS)を、健康なヒトドナー由来のCD4+ T細胞と共培養した。追加の刺激は、TNF-αおよびIL-6の内因性分泌を誘導した。抗hTNF-αおよび抗hIL-6参照mAbによる処置は、MMP-1およびG-CSFの分泌を部分的に低下させたが、併用およびF027201062はより強い最大の阻害を達成した。
【0328】
以下に、IL-6トランスシグナル伝達を反映するアッセイの詳細なプロトコールを記載する:
RA-FLSを、96ウェルフォーマットで増殖サプリメントを含む滑膜細胞基礎培地(Pelobiotech)に 10.000細胞/ウェルの密度で植え付けた。翌日、PBMCを健康なヒトドナーの血液からフィコール勾配遠心分離を使用して単離した。CD4+ T細胞をPBMCから磁気分離を使用して単離した(ネガティブ選択)。
【0329】
RA-FLS培地を、アイソタイプ対照、コンパレーター抗体およびISVDをそれぞれの濃度(200nMからの1:10希釈、6種類の濃度、3連)で含む培地に交換した。IgG1アイソタイプ対照はコンパレーター抗体に対する陰性対照として使用し、一方、VHH IRR00119はISVDアイソタイプ陰性対照として使用した。抗ヒトTNF-αおよび抗ヒトIL-6参照抗体はコンパレーターとして使用した。さらに、総用量の両方のコンパレーターの組み合わせを、相加的有効性を示すために追加の陽性対照として使用した。以下のISVD構築物:F027200926およびF027201062をこのモデルで評価した。全ての構築物のプレート内の位置を3連間で変えてプレート効果を回避した。
【0330】
その後、100.000 CD4+ T細胞(増殖サプリメントを含む滑膜細胞基礎培地の)をFLSに添加した。最後に、この共培養物を、100ng/mlヒト組換えIL-17A、100ng/ml sIL-6Rおよび100ng/ml溶解性抗CD3で48時間刺激した。48時間後、細胞を遠心分離し、上清を回収し、-20℃で保存した。MMP-1およびG-CSFレベルを、Luminex技術を使用して測定した。抗hTNF-αコンパレーターmAbに反応しないドナーは除外した(ISVD構築物の相加的有効性および二重標的化を証明する可能性がない)。
【0331】
TNF-αおよびIL-6の内因性分泌を、IL-17A、sIL-6Rおよび抗CD3で48時間刺激後に測定した。刺激した共培養物は、TNF-α(刺激なしは検出限界以下)およびIL-6の分泌の増加を誘導した。刺激した共培養物は、4.4pg/ml IL-6および7977pg/ml TNF-αを分泌した(8名のドナーの平均値、
図11)。これらの値は、種々の刊行物から収集したヒト関節リウマチの関節からの中央値:24±21pg/ml TNF-aおよび13400±12700pg/ml IL-6と同等であった。
【0332】
MMP-1およびG-CSFに対するISVD効能の評価のために、1名のドナー由来のRA-FLSを、8名の異なるヒトドナーT細胞と共にインキュベートした。発明者らは、MMP-1分泌に対する両方のアイソタイプ対照の用量依存的効果を観察しなかった。抗hTNF-α参照mAbは、MMP-1分泌を部分的に低下させた。抗hIL-6参照mAbは、抗hTNF-αコンパレーターmAbより有効であったが、両方の抗体の組み合わせは最も高い効能を示した。ISVD構築物は両方とも、コンパレーター抗体の組み合わせ(200nM Ab1+200nM Ab2を投与)と同様に有効であり、用量依存的効果を示した(
図12、ドナー8名)。同様の結果がG-CSFについて得られた(
図13、ドナー8名)。
【0333】
6.14 実施例15:ヒトアデノイドモデルにおけるCXCL13に対する抗TNF-αおよび抗IL-6の相加的有効性
発明者らは、濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)および胚中心B細胞からなるヒト咽頭扁桃(アデノイド)モデルにおいてF027201062の相加的有効性を評価した。簡単に言えば、発明者らは、凍結保存リンパ球と共に高密度リンパ系凝集培養を行った。この培養物を変異百日咳毒素で刺激して、AIM(活性化誘導マーカー)応答を誘導した(Schmidt,A.ら 2020 Complex human adenoid tissue-based ex vivo culture systems reveal anti-inflammatory drug effects on germinal center T and B cells. EBioMedicine 53、102684、doi:10.1016/j.ebiom.2020.102684)。抗hTNF-αおよび抗hIL-6参照mAbによる処置はCXCL13の分泌を部分的に低下させたが、併用およびF027201062はより強い最大の阻害を達成した。
【0334】
以下に、詳細なプロトコールを記載する:
手術からのアデノイド組織を、RPMI培地(サプリメントを含まない)に4℃で回収した。組織は、手術後、以下のようにさらに処理した。アデノイド由来組織および細胞を、15%(v/v)FBS(Gibcoウシ胎児血清、適格性確認済み、熱不活性化)およびサプリメント(0.1mM MEM非必須アミノ酸、1mM MEMピルビン酸ナトリウム、50μg/mlゲンタマイシン、2.5μg/mlアムホテリシンB、0.3μg/mlチカルシリン、0.01μg/mlクラブラン酸)を含有するRPMI培地(l-グルタミンを含む)で培養した。組織をPBSで2回洗浄し、15%(v/v)FBS(Gibcoウシ胎児血清、適格性確認済み、熱不活性化)およびサプリメント(0.1mM MEM非必須アミノ酸、1mM MEMピルビン酸ナトリウム、50μg/mlゲンタマイシン、2.5μg/mlアムホテリシンB、0.3μg/mlチカルシリン、0.01μg/mlクラブラン酸)を含有するCMT培地(RPMI培地(l-グルタミンを含む)を含む皿で切開した。血まみれの焼灼組織は廃棄した。残りの組織および切断培地は、CMT培地に沈めた40μm細胞ストレーナを通じてシリンジプランジャーで機械的に破壊しながら常に漉した。次いで、懸濁細胞をCMT培地で洗浄し(500×g、5分)、カウントし、凍結保存用に12.5~100 Mio細胞/mlで10%DMSO/90%FCSに吸い上げた。
【0335】
実験当日、凍結保存アデノイド懸濁細胞を解凍し、次いで96Uウェルプレートに1×106細胞/ウェルで培養した。細胞は刺激しないままか、または1μg/ml最終濃度で百日咳毒素変異体(PT;酵素的に不活性な点変異体、高度精製および低内毒素検査済み、List Biological Laboratories via Biotrend)を用いて刺激した。示されている場合、培養物を以下の化合物で処置した:それぞれの濃度(200nMからの1:10希釈、4~5種類の濃度、2連)のアイソタイプ対照、コンパレーター抗体およびISVD。IgG1アイソタイプ対照はコンパレーター抗体に対する陰性対照として使用し、一方、VHH IRR00119はISVDアイソタイプ陰性対照として使用した。抗ヒトTNF-αおよび抗ヒトIL-6参照抗体はコンパレーターとして使用した。さらに、総用量の両方のコンパレーターの組み合わせを、相加的有効性を示すために追加の陽性対照として使用した。以下のISVD構築物:F027201062をこのモデルで評価した。刺激18時間後、細胞を遠心分離し、上清を回収し、-20℃で保存した。CXCL13レベルを決定しELISAによって決定した。
【0336】
MMP-1およびG-CSFに対するISVD効能の評価のために、最大7名のアデノイドドナーを評価した(試験濃度に応じて)。抗hTNF-αおよび抗hIL-6参照mAbは、CXCL13分泌を部分的に低下させた。抗hTNF-αおよび抗hIL-6の両方の組み合わせは、百日咳毒素に誘導されたCXCL13の増加を用量依存的に完全に阻害した。F027201062は、両方のコンパレーター抗体の組み合わせと同様に有効であった(
図14、ドナー4~7名)。
【0337】
高濃度での最大効能(200nMに関して利用可能な7名のドナー全員のデータ)に集中するため、発明者らは次いで、単一特異性抗hTNF-αおよび抗hIL-6コンパレーター抗体と対比したコンパレーター抗体の組み合わせおよびF027201062の相加効果を、一元配置ANOVAとTukey補正を用いて評価した。F027201062は、等モル用量(200nM)の抗hTNF-αコンパレーター抗体(p値:0.0002)および抗hIL-6コンパレーター抗体(p値:0.0077)より有意に有効であった。F027201062と200nM抗hTNF-α参照抗体および200nM抗hIL-6参照抗体の組み合わせの間に、有意差および僅差はなかった(
図15、ドナー7名)。
【0338】
6.15 実施例16:ヒト全血アッセイにおける種々のISVD構築物の抗TNF-α効能
発明者らは、より生理的状態であるヒト全血でTNF-aを遮断する効能を分析した。ヒト全血をSEBで刺激して内因性TNF-aを分泌させ、種々の濃度の抗hTNF-a参照抗体、種々のISVDおよび対応するアイソタイプ対照で処置した。
【0339】
詳細には:健康なヒトドナーからの血液を、抗凝固薬としてヘパリンNa [17IU/ml]の存在下でバキュテナー採血管(BD #368480)に吸引した。SEBをストック溶液[1mg/ml]として滅菌水で再構成し、SEBを含むワーキング溶液を調製した。陰性IgG1対照抗体、抗hTNF-αコンパレーター抗体(陽性対照)、陰性対照VHH IRR00119および多重特異性抗TNF-α/抗IL-6 ISVD構築物F027200926、F027201029、F027201060、F027201061およびF027201062のワーキング溶液を調製した。
【0340】
培地[RPMI-1640(Gibco製)+10%ヒトAB血清(Sigma製;注文番号H3667)+1%PenStrep]中、13pM~200nM最終濃度の抗体およびISVD構築物の系列希釈を、96ウェルV底マイクロプレートに10μLで添加した。培地のSEB10μlを、96ウェルプレートのヒト血液と抗体またはISVD構築物とのプレインキュベーション混合物の各ウェルに添加した。最後に、ヒト血液80μLを各ウェルに添加した。サンプルを穏やかに混合し、プレートを滅菌蓋で密封し、プレートを37℃、5%CO2、95%rHで6時間インキュベートした。インキュベーション後、200μl PBSを添加し、血液サンプルを200×gで15分間遠心分離した。血漿上清を採取し、ELISAによるさらなる分析のために新しい96ウェルマイクロプレートに-80℃で保存した。MCP-1のレベルを、ELISA(Invitrogen)を使用して製造者によって提供されたプロトコールに従い決定した。CCL4レベルはLuminex技術(R&D)を使用して決定した。SpeedのXLfitプログラムを、ドナーごとに
図16および
図18の用量反応曲線のフィッティングおよびIC50値の算出に使用した。7名のドナー全員の幾何平均が報告されている。示されたデータは、7名のヒト血液ドナーに基づく。
【0341】
ヒト全血と陰性対照IgG1アイソタイプ抗体または陰性対照VHH IRR00119とのインキュベーションは、SEB誘導MCP-1放出の阻害を全くもたらさなかった(データ未掲載)。対照的に、ヒト全血と単一特異性抗TNF-αモノクローナル参照抗体とのインキュベーションは、SEB誘導MCP-1放出の強い阻害を誘導し、IC50は2.8nMであった(
図15)。ヒト全血と多重特異性抗TNF-α/抗IL-6 ISVD構築物F027201062とのインキュベーションは、同程度までMCP-1分泌を阻害し、IC50は3.2nMであった。多重特異性抗TNF-α/抗IL-6 ISVD構築物F027200926、F027201029、F027201060、F027201061は、それぞれ8.9nM、1nM、3.8nM、4.1nMおよび3.5nMのIC50値でMCP-1放出を阻害した(
図16)。本明細書に報告されているIC50値は幾何平均に基づくが、
図16は7名のドナー全員の平均を示す。
【0342】
抗hIL-6コンパレーター抗体はMCP-1の阻害を全く誘導せず、該アッセイがもっぱらTNF-αに依存することを証明した。これは、抗hTNF-α単独との関連における抗hTNF-αおよび抗hIL-6コンパレーター抗体による相加的有効性の欠如によってさらに強化される(
図16)。
【0343】
TNF-aに対する効能を、第2のケモカイン読み出し、CCL4を使用してさらに評価した(
図17および18)。分析は、コンパレーター抗体およびISVD構築物としてのF027201062に的を絞った。ヒト全血と単一特異性抗TNF-αモノクローナル参照抗体とのインキュベーションは、SEB誘導CCL4放出の強い用量依存的阻害を誘導し、IC50は0.96nMであった(
図17および18)。ヒト全血と多重特異性抗TNF-α/抗IL-6 ISVD構築物F027201062とのインキュベーションは、CCL4分泌を同程度まで阻害し、IC50は0.92nMであった(
図17および
図18)。本明細書に報告されているIC50値は幾何平均に基づくが、
図18は7名のドナー全員の平均を示す。
【0344】
抗hIL-6コンパレーター抗体は、CCL4の阻害を全く誘導せず、該アッセイがもっぱらTNF-αに依存することを証明した(
図17)。これは、抗hTNF-α単独との関連における抗hTNF-αおよび抗hIL-6コンパレーター抗体による相加的有効性の欠如によってさらに強化される(
図17および
図18)。
【0345】
6.16 実施例17:関節リウマチ患者由来のヒト線維芽細胞様滑膜細胞における種々のISVD構築物のIL-6効能
発明者らは、関節リウマチ患者由来の初代線維芽細胞様滑膜細胞(RA-FLS)においてIL-6を遮断する効能を分析した。RA-FLSを、IL-17Aおよび溶解性IL-6R(膜結合IL-6Rが欠如しているため)で刺激した。TF-1増殖アッセイとは対照的に、それによってこのFLSアッセイはIL-6トランスシグナル伝達を反映する。RA-FLSはヒトTNF-αを分泌せず、それによって該システムはもっぱらIL-6に依存する。刺激したRA-FLSを、次いで、種々の濃の抗hIL-6参照抗体、種々のISVDおよび対応するアイソタイプ対照で処置した。
【0346】
より詳細なプロトコール:
RA-FLSを、96ウェルフォーマットで増殖サプリメントを含む滑膜細胞基礎培地(Pelobiotech)に10.000細胞/ウェルの密度で植え付けた。翌日、RA-FLS培地を、アイソタイプ対照、コンパレーター抗体およびISVD in それぞれの濃度(200nMからの1:10希釈、6種類の濃度、2連)を含む培地に交換した。IgG1アイソタイプ対照はコンパレーター抗体に対する陰性対照として使用し、一方、VHH IRR00119はISVDアイソタイプ陰性対照として使用した。抗ヒトIL-6参照抗体はコンパレーターとして使用した。以下のISVD構築物:F027200926、F027201029、F027201060、F027201061およびF027201062をこのモデルで評価した。
【0347】
全ての構築物のプレート内の位置を2連間で変えてプレート効果を回避した。最後に、RA-FLSを、100ng/mlヒト組換えIL-17Aおよび100ng/ml sIL-6Rで24時間刺激した。24時間後、細胞を遠心分離し、上清を回収し、-80℃で保存した。VEGF-Aレベルを、Luminex技術を使用して測定した。測定は、3名の異なる関節リウマチドナーにおいて、ドナーごとに2つの異なる継代で行った。
【0348】
RA-FLSと陰性対照IgG1アイソタイプ抗体または陰性対照VHH IRR00119とのインキュベーションは、IL-17A/sIL-6R誘導VEGF-A分泌を遮断しなかった(データ未掲載)。対照的に、RA-FLSと単一特異性抗IL-6参照抗体とのインキュベーションは、IL-17A/sIL-6R誘導VEGF-A放出の強い用量依存的阻害を誘導し、IC50は0.67nMであった(
図19および
図20)。RA-FLSと多重特異性抗TNF-α/抗IL-6 ISVD構築物F027201062とのインキュベーションは、VEGF-A分泌をわずかに低い程度まで阻害し、IC50は2nMであった。多重特異性抗TNF-α/抗IL-6 ISVD構築物F027200926、F027201029、F027201060、F027201061は、それぞれ2nM、1nM、1.4nM、2.9nMおよび2.7nMのIC50値でVEGF-A放出を阻害した(
図20)。本明細書に報告されているIC50値は幾何平均に基づくが、
図20は全てのドナーおよび継代の平均を示す。
【0349】
抗hTNF-αコンパレーター抗体は、VEGF-Aの阻害を全く誘導せず、該アッセイがもっぱらIL-6に依存することを証明した(
図19)。これは、抗IL-6単独との関連における抗hTNF-aおよび抗hIL-6コンパレーター抗体による相加的有効性の欠如によってさらに強化される(
図19)。
【0350】
6.17 実施例18:ヒトTNF-αトランスジェニックTg197多発性関節炎モデルにおけるF027201062の評価。
F027201062を、TNF誘発性進行性多発性関節炎のTg197マウスモデル(Keffer,J.ら Transgenic mice expressing human tumour necrosis factor: a predictive genetic model of arthritis. EMBO J(1991) 10、4025~4031頁)でプロファイリングした。これらのマウスでは、改変ヒトTNF-α遺伝子を導入遺伝子としてマウスに挿入した。ヒト遺伝子は、転写されたmRNAをより安定にするように改変され、故に四肢全てにおいて100%浸透率でTNF-αの過剰発現および自発性進行性関節炎をもたらした。徴候および症状は約6週齢で明白になり、未処置の場合、約10週齢以降からの有意な瀕死および死亡に至るまで絶えず増加した。関節炎重症度を、詳細な下の表15に詳述される採点システムによって臨床的に評価した。
【0351】
【0352】
関節炎は、ヒトTNFαの阻害を対象とする治療剤による処置に感受性であった(Shealy,D. J.ら Anti-TNF-alpha antibody allows healing of joint damage in polyarthritic transgenic mice. 関節炎 Res 4(2002)、R7、doi:10.1186/ar430)。
【0353】
用量依存的効能を確立する目的で、種々の用量のF027201062を、関節炎の徴候および症状が明白な6週齢の動物(1群あたりn=8匹)に週2回の腹腔内注射によって治療的に投与した。ヒト骨髄腫血清(BioXcell #BE0297)から精製したヒトIgG1を陰性対照として使用し、抗ヒトTNF参照mAbを陽性対照として使用して関節炎を抑制した。加えて、抗hTNF単一特異性ナノボディRA15627569を第2の陽性対照として使用した。F027201062は、それぞれ3mg/kg、10mg/kg、30mg/kgおよび100mg/kg体重の4つの異なる用量強度で投与した。11週齢まで治療を継続した。臨床的関節炎スコアを週に1回決定した。
図21に示すように、F027201062による治療は、経時的に臨床的関節炎スコアの用量依存的抑制をもたらした。ヒトIgG1陰性対照抗体で治療した動物は、11週目まで1.571±0.1086の平均関節炎スコアを展開した。抗hTNFα参照mAbおよび抗hTNFナノボディRA15627569は関節炎進行を抑制し、11週目の平均スコアは、それぞれ0.5156±0.0898および0.2344±0.0156であった。F027201062の漸増用量は関節炎進行を低下させ、11週目の平均スコアは、1.203±0.0943(3mg/kg)、0.8214±0.161(10mg/kg)、0.3393±0.0592(30mg/kg)、および0.25±0.0579(100mg/kg)であった。統計解析は時間および治療に関する2元配置ANOVAによって行い、ボンフェローニ補正群間比較を行った(
図21)。
【0354】
Tg197関節炎モデルにおける関節炎の全体的な抑制は、曲線下面積によって分析した(AUC、
図22)。3mg/kgより大きなF027201062の用量は、1元配置ANOVAとそれに続くボンフェローニ補正群間比較によって分析した場合、抗hTNF参照mAbおよび抗hTNFナノボディRA15627569と同程度まで関節炎進行を有意に抑制した。
【0355】
治療終了時に、後肢足首関節を組織検査用に処理し、切片を、表16に概説した採点システムを用いて関節炎の構造的徴候について評価した。
【0356】
【0357】
組織学的採点の結果を
図23に示す。構造的関節炎および関節破壊は、より高用量でのF027201062によって有意に抑制された。
【0358】
結論として、結果は、抗hTNF参照mAbおよび抗hTNFナノボディRA15627569と同程度の、F027201062による関節炎の徴候および症状の用量依存的抑制ならびに構造的進行の阻害を実証する。
【0359】
6.18 実施例19:インビボモデルでのhIL-6誘導ハプトグロビンにおけるF027201062の評価
インビボでのIL-6の阻害を、薬力学的マウス機序モデルで調査した。メスのBALB/cマウスにF027201062、参照抗hIL-6 mAb、またはビヒクルを腹腔内経路により注射した。8時間後、マウスにPBSまたは組換えヒトIL-6 25μgのいずれかを注射した。16時間後、マウスを採血し、血漿を調製した。IL-6誘導急性期反応物質ハプトグロビンを、蛍光ビーズ結合アッセイによって血漿サンプルで測定した。
図24に示すように、F027201062の1mg/kgおよび3mg/kg用量は両方とも、参照抗hIL-6 mAbと同様にIL-6誘導血漿ハプトグロビンを十分に抑制した。
【0360】
6.19 実施例20:hIL-6トランスジェニック脾腫モデルにおけるF027201062の評価
IL-6のインビボ阻害を、hIL-6 過剰発現のトランスジェニックマウスモデルでさらに試験した。C.B6-Tg(H2-L-IL6)1Kish/J株(Suematsu Sら、1992:Generation of plasmacytomas with the chromosomal translocation t (12;15) in interleukin 6 transgenic mice. Proc Natl Acad Sci U S A 89(1):232~5頁)は、H-2Ld主要組織適合性プロモーターの制御下でヒトIL-6を過剰発現する。およそ7~10週齢で、形質細胞増加症のようなリンパ増殖性変化、およびその後の高グロブリン血症が明白になる(Suematsu Sら、1989: lgGl plasmacytosis in interleukin 6 transgenic mice. Proc Natl Acad Sci U S A 86(19):7547~51頁)。
【0361】
約2~2.5月齢のオスおよびメスのヘミ接合C.B6-Tg(H2-L-IL6)1Kish/Jマウスを、F027201062、参照抗hIL-6 mAb、または非特異的対照ナノボディで週3回、腹腔内注射によって治療した。2週間後、マウスを屠殺し、脾腫および高ガンマグロブリン血症を決定した。非トランスジェニック野生型同腹仔マウスは、対照としての役割を果たした。
【0362】
F027201062 および抗hIL-6参照mAbは両方とも、このモデルにおいて脾腫を有意に減少させる(
図25)。形質細胞増加症の抑制と一致して、IgG1およびIgG2aの血漿レベルもF027201062および抗hIL-6 mAb治療によって抑制される(
図26)。
【0363】
6.20 実施例21:非ヒト霊長類におけるF027201062の単一用量薬物動態
試験の目的は、非ヒト霊長類における単一用量投与後のF027201062の薬物動態を調査することであった。この非GLP試験のために、合計9匹のオスのナイーブカニクイザル(Macaca fascicularis)を使用した。表17のスキームに従って動物に投与した。
【0364】
【0365】
遠心分離(約1500g、4℃で10分間)の前に、血液を室温で維持して凝固させた(最大90分)。得られた血清を標識ポリプロピレンチューブに移し、≦-65℃に設定した冷凍庫で保存した。開発した検証されていない一般的ELISA方法を使用してサンプルを測定した。
【0366】
薬物動態プロファイルを
図27に示す。IV投与後、クリアランスは0.273L/時間/kgであり、分布容積(Vss)は0.0464 L/kgであった。薬物動態はADAに影響された。全ての投与前ナイーブADA陰性動物は、360時間および672時間時点で試験陽性であった。
【産業上の利用可能性】
【0367】
7 産業上の利用可能性
本明細書に記載されるポリペプチド、それをコードする核酸分子、核酸を含むベクターおよび組成物は、例えば炎症性疾患および/または自己免疫疾患に罹っている対象の処置において使用することができる。
【0368】
本明細書で論じられた出版物は、本出願の出願日の前のそれらの開示のためだけに提供される。本明細書では、本発明が先行発明によるそのような公開に先行する資格がないという承認として解釈されるべきものではない。本発明は、その特定の実施形態と関連して記載されているが、さらなる変更が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従い、本発明が属する技術分野内の公知のまたは通常の習慣の範囲に入り、上に記載され以下の添付の特許請求の範囲の通りの本質的な特徴に適用されるような本開示からの逸脱を含む、本発明のあらゆる変形、使用、または応用を含むことを意図すると理解される。
【配列表】
【国際調査報告】