(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】胞子組成物、その生成及び使用
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20231218BHJP
A01N 47/44 20060101ALI20231218BHJP
A01N 63/25 20200101ALI20231218BHJP
A01N 63/20 20200101ALI20231218BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20231218BHJP
C07K 14/195 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
C12N1/20 A
A01N47/44
A01N63/25
A01N63/20
A01P3/00
C07K14/195
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536931
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2021085278
(87)【国際公開番号】W WO2022128812
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイ,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】シュティール,ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シュアン
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒ,ダニエル クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ハース,イヴァンジェリン プリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ヘロルト,アンドレア
【テーマコード(参考)】
4B065
4H011
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AC13
4B065AC14
4B065CA10
4B065CA24
4B065CA47
4H011AA01
4H011BB11
4H011BB21
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA31
4H045CA11
4H045EA06
(57)【要約】
本発明は、胞子組成物及びそのような組成物を生成する方法を提供することに関する。本発明は、植物保護製品及びそのような胞子組成物から利益を得ること並びに植物の利益、近傍領域への病原体放出の低減及び動物又はヒトの利益のためのそのような組成物の使用にも関する。更に、本発明は、効率的な発酵方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原核微生物の精製胞子を含む胞子組成物であって、
a)前記胞子は、コロニー形成に適した培地上にプレーティングされた場合にコロニーを形成し、プレーティング後、好気性培養について72時間以内及び嫌気性培養について96時間以内に形成された全ての前記コロニーの少なくとも40%、より好ましくは40~90%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは50~90%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは60~90%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは70~90%は、48時間以内に形成され、及び/又は
b)胞子の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%は、第1の胞子形成期中に回収された発酵物から得ることができるか又は得られ、及び/又は
c)1胞子あたりのジピコリン酸の平均含有量は、定常期まで好適な培地で発酵された胞子のジピコリン酸の平均含有量の最大で80%、より好ましくは20~80%、更により好ましくは22~70%、更により好ましくは30~65%である、胞子組成物。
【請求項2】
前記微生物は、ファーミキューテス(Firmicutes)門、バチルス(Bacilli)綱、クロストリジウム(Clostridia)綱又はネガティウィクテス(Negativicutes)綱、より好ましくはバチルス(Bacillales)目、クロストリジウム(Clostridiales)目、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacterales)目、サーモセディミニバクター(Thermosediminibacterales)目又はセレノモナス(Selenomonadales)目、より好ましくはバチルス(Bacillaceae)科、パエニバチルス(Paenibacillaceae)科、パスツリア(Pasteuriaceae)科、クロストリジウム(Clostridiaceae)科、ペプトコッカス(Peptococcaceae)科、ヘリオバクテリウム(Heliobacteriaceae)科、シントロフォモナス(Syntrophomonadaceae)科、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacteraceae)科、テピダナエロバクター(Tepidanaerobacteraceae)科又はスポロミュサ(Sporomusaceae)科、より好ましくはアルカリバチルス(Alkalibacillus)属、バチルス(Bacillus)属、ゲオバチルス(Geobacillus)属、ハロバチルス(Halobacillus)属、リシニバチルス(Lysinibacillus)属、ピシバチルス(Piscibacillus)属、テリバチルス(Terribacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、サーモバチルス(Thermobacillus)属、パスツリア(Pasteuria)属、クロストリジウム(Clostridium)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、ヘリオバクテリウム(Heliobacterium)属、ペロスポラ(Pelospora)属、ペロトマクルム(Pelotomaculum)属、カルダナエロバクター(Caldanaerobacter)属、ムーレラ(Moorella)属、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)属、テピダナエロバクター(Tepidanaerobacter)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属又はスポロミュサ(Sporomusa)属、より好ましくはバチルス(Bacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属又はクロストリジウム(Clostridium)属の分類学的階級から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
a)生存細胞及び胞子を最大で4:1、より好ましくは3:1~0.2:1の比率で含み、及び/又は
b)前記胞子に加えて、
i)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する1種以上の微生物殺有害生物剤、
ii)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する1種以上の生化学的殺有害生物剤、
iii)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性及び/又は殺線虫活性を有する1種以上の微生物殺有害生物剤、
iv)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性、フェロモン活性及び/又は殺線虫活性を有する1種以上の生化学的殺有害生物剤、
v)呼吸阻害剤、ステロール生合成阻害剤、核酸合成阻害剤、細胞分裂及び細胞骨格の形成又は機能の阻害剤、アミノ酸及びタンパク質合成の阻害剤、シグナル伝達阻害剤、脂質及び膜合成阻害剤、多部位作用性阻害剤、細胞壁合成阻害剤、植物防御誘導剤並びに作用機序が不明である殺真菌剤から選択される1種以上の殺真菌剤
からなる群から好ましくは選択される少なくとも1種の有害生物防除剤を含み、及び/又は
c)少なくとも1種のフサリシジン、パエニセリン又はパエニプロリキシン、好ましくは少なくとも2種以上のフサリシジン、パエニセリン又はパエニプロキシリン、より好ましくは3~80種のフサリシジンを含み、前記1種以上のフサリシジンは、フサリシジンA、B若しくはDのいずれか、及び/又はサーファクチン、及び/又はイツリンを含み、及び/又は
d)前記組成物は、安定剤(好ましくはグリセロール)、増量剤、溶媒、界面活性剤、自生促進剤、固体担体、液体担体、乳化剤、分散剤、フィルム形成剤、防霜剤、増粘剤、植物成長調節剤、無機リン酸塩、肥料、補助剤、胞子発芽剤、脂肪酸及びフィブリル、ミクロフィブリル又はナノフィブリル構造化剤からなる群から選択される少なくとも1種の助剤を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
植物有害生物防除組成物であり、且つ/或いは植物、その部分若しくは繁殖材料又は前記植物が成長する基材に適用された場合、植物病原性真菌性若しくは細菌性病害を予防するか、制限するか若しくは低減させ、且つ/又は前記植物の健康を改善若しくは促進し、且つ/又は前記植物の収量を増加させるか若しくは促進する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも10^4cfu/ml、より好ましくは10^4~10^17cfu/ml、より好ましくは10^7~10^15cfu/mlの前記胞子を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記胞子の少なくとも一部分は、ペイロードドメインを含むタンパク質をそれらの表面に含み、前記タンパク質は、前記ペイロードドメインを前記胞子の前記表面に送達するための標的ドメインも含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13~15のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物でコーティングされるか又はそれを注入された植物栽培基材を含む植物保護製品。
【請求項8】
植物、植物の部分又は植物繁殖材料であって、前記材料は、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13~15のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物をその表面に含むか又はその中に注入されている、植物、植物の部分又は植物繁殖材料。
【請求項9】
請求項8に記載の植物、植物の部分若しくは植物繁殖材料又は請求項7に記載の植物栽培基材を含む栽培場、好ましくは圃場又は温室苗床。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13~15のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物を含む清浄製品であって、好ましくは洗浄剤を含み、且つ界面活性剤、ビルダー及びハイドロトロープ剤から選択される少なくとも1つの成分は、清浄性能に有効な量又は前記洗浄剤の物理的特徴を維持するのに有効な量で存在し、前記清浄製品は、好ましくは、皮膚清浄製品、毛髪清浄製品、洗濯製品、食器洗浄製品、パイプ脱脂剤又はアレルゲン除去製品からなる群から選択される、清浄製品。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13~15のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物を含む食品製品、飼料製品又は化粧品、好ましくはプロバイオティクス若しくはプレバイオティクス食品製品、プロバイオティクス若しくはプレバイオティクス飼料製品又はプロバイオティクス若しくはプレバイオティクス化粧品。
【請求項12】
本発明による組成物、好ましくは鉱物表面の処理のための塗料組成物、コーティング組成物又は含浸組成物、コンクリート又は硬化コンクリートの調製のためのセメント配合物、添加剤を含む建築製品。
【請求項13】
原核微生物の胞子を含む組成物を生成する方法であって、
1)胞子形成を導く培地中で前記微生物を発酵させる工程、
2)前記胞子を精製して前記組成物を得る工程
を含み、
a)精製は、前記発酵工程1)で得ることができる最大胞子濃度の85%に達するときに最後に実施され、より好ましくは、精製は、前記最大値に対して1~75%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは前記最大値に対して10~75%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは前記最大値に対して20~70%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは前記最大値に対して30~68%の範囲の濃度に達するときに実施され、及び/又は
b)精製は、前記精製胞子が、コロニー形成に適した培地上にプレーティングされた場合にコロニーを形成し、プレーティング後、好気性培養について72時間以内及び嫌気性培養について96時間以内に形成された全ての前記コロニーの少なくとも40%、より好ましくは40~90%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは50~90%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは60~90%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは70~90%が48時間以内に形成されるように実施され、及び/又は
c)精製は、前記精製胞子の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%が、第1の胞子形成期中に回収された発酵物から得ることができるか又は得られるように実施され、及び/又は
d)精製は、1胞子あたりのジピコリン酸の平均含有量が、前記発酵工程1)で最大胞子濃度に達するときに生成される胞子のジピコリン酸の平均含有量の最大で80%である場合、より好ましくはジピコリン酸の平均含有量が20~80%の範囲、更により好ましくは22~70%の範囲、更により好ましくは30~65%の範囲である場合に実施される、方法。
【請求項14】
前記微生物は、ファーミキューテス(Firmicutes)門、バチルス(Bacilli)綱、クロストリジウム(Clostridia)綱又はネガティウィクテス(Negativicutes)綱、より好ましくはバチルス(Bacillales)目、クロストリジウム(Clostridiales)目、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacterales)目、サーモセディミニバクター(Thermosediminibacterales)目又はセレノモナス(Selenomonadales)目、より好ましくはバチルス(Bacillaceae)科、パエニバチルス(Paenibacillaceae)科、パスツリア(Pasteuriaceae)科、クロストリジウム(Clostridiaceae)科、ペプトコッカス(Peptococcaceae)科、ヘリオバクテリウム(Heliobacteriaceae)科、シントロフォモナス(Syntrophomonadaceae)科、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacteraceae)科、テピダナエロバクター(Tepidanaerobacteraceae)科又はスポロミュサ(Sporomusaceae)科、より好ましくはアルカリバチルス(Alkalibacillus)属、バチルス(Bacillus)属、ゲオバチルス(Geobacillus)属、ハロバチルス(Halobacillus)属、リシニバチルス(Lysinibacillus)属、ピシバチルス(Piscibacillus)属、テリバチルス(Terribacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、サーモバチルス(Thermobacillus)属、パスツリア(Pasteuria)属、クロストリジウム(Clostridium)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、ヘリオバクテリウム(Heliobacterium)属、ペロスポラ(Pelospora)属、ペロトマクルム(Pelotomaculum)属、カルダナエロバクター(Caldanaerobacter)属、ムーレラ(Moorella)属、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)属、テピダナエロバクター(Tepidanaerobacter)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属又はスポロミュサ(Sporomusa)属、より好ましくはバチルス(Bacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属又はクロストリジウム(Clostridium)属の分類学的階級から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
a)前記精製工程2)は、
- 胞子の脱水、凍結乾燥、均質化、抽出、濾過、遠心分離、沈降又は濃縮の工程を含み、及び/又は
- 前記組成物の含水量を、
a)乾燥、粉末又は顆粒状組成物の場合、前記組成物の1~10重量%、好ましくは前記組成物の2~8重量%に調整すること、
b)液体又はペースト状組成物の場合、前記組成物の10~98重量%、前記組成物の最大で97重量%、より好ましくは前記組成物の80~95重量%に調整すること
を含み、及び/又は
- 前記組成物の炭素源含有量を、胞子回収時のその含有量と比較して前記組成物の最大で50重量%、より好ましくは前記組成物の5~30重量%に調整することを含み、
- 前記組成物における胞子発芽の抑制又は低減をもたらし、及び/又は
b)前記方法は、
i)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する1種以上の微生物殺有害生物剤、
ii)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する1種以上の生化学的殺有害生物剤、
iii)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性及び/又は殺線虫活性を有する1種以上の微生物殺有害生物剤、
iv)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性、フェロモン活性及び/又は殺線虫活性を有する1種以上の生化学的殺有害生物剤、
v)呼吸阻害剤、ステロール生合成阻害剤、核酸合成阻害剤、細胞分裂及び細胞骨格の形成又は機能の阻害剤、アミノ酸及びタンパク質合成の阻害剤、シグナル伝達阻害剤、脂質及び膜合成阻害剤、多部位作用性阻害剤、細胞壁合成阻害剤、植物防御誘導剤並びに作用機序が不明である殺真菌剤から選択される1種以上の殺真菌剤
からなる群から好ましくは選択される少なくとも1種の有害生物防除剤の添加を更に含み、及び/又は
c)前記方法は、少なくとも1種のフサリシジン、パエニセリン又はパエニプロリキシン、好ましくは少なくとも2種以上のフサリシジン、パエニセリン又はパエニプロキシリン、より好ましくは3~80種のフサリシジンの添加を更に含み、前記1種以上のフサリシジンは、フサリシジンA、B若しくはDのいずれか、及び/又はサーファクチン、及び/又はイツリンを含み、及び/又は
d)前記方法は、安定剤(好ましくはグリセロール)、増量剤、溶媒、界面活性剤、自生促進剤、固体担体、液体担体、乳化剤、分散剤、フィルム形成剤、防霜剤、増粘剤、植物成長調節剤、無機リン酸塩、肥料、補助剤、胞子発芽剤、脂肪酸及びフィブリル、ミクロフィブリル又はナノフィブリル構造化剤からなる群から選択される少なくとも1種の助剤の添加を更に含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
好適な発酵培地を含む発酵槽に、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13~15のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物を接種する工程を含む発酵方法。
【請求項17】
胞子形成原核微生物の発酵において、誘導期の持続時間及び/又は対数期の終了に達するまでの時間を制御する方法であって、好適な発酵培地に、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13~15のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物を接種し、且つ前記接種された培地を発酵させることを含み、前記誘導期のより短い持続時間及び/又は対数期のより速い終了のために、第1の胞子形成期に回収される胞子の割合がより高い組成物が使用され、及び誘導期のより長い持続時間又は対数期のより遅い終了のために、第2の胞子形成期に回収される胞子の割合がより高い組成物が使用される、方法。
【請求項18】
発酵のための接種物試料を提供するコンピュータ実装方法であって、
i)目標である誘導期の持続期間及び/又は対数期の終了を得る工程、
ii)第1の胞子形成期及び/又は第2の胞子形成期中に回収される胞子の必要な割合を算出する工程、及び
iii)反応であって、
(1)算出された比率に最もよく適合するワーキング細胞バンク試料コレクションの接種物試料の識別子の発信、
(2)算出された比率に最もよく適合するワーキング細胞バンク試料コレクションの接種物試料の取得、
(3)算出された比率に最もよく適合するワーキング細胞バンク試料コレクションの接種物試料の発酵槽への供給、又は
(4)初期胞子群集濃縮ストック及び後期胞子群集濃縮ストックからそれぞれ引き出すことによって初期及び後期胞子群集の割合を調整することによる新たなワーキング細胞バンク試料の混合並びに任意選択で前記混合物の前記発酵槽への供給
の1つ以上から選択される、工程2における前記算出に基づく反応を実施する工程
を含むコンピュータ実装方法。
【請求項19】
胞子形成原核微生物の胞子発芽及び/又は栄養増殖を促進する方法であって、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法における第1の胞子形成期中に回収された胞子を提供することを含み、好ましくは、無機リン酸塩は、前記胞子と一緒に又は逐次的に提供される、方法。
【請求項20】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13~15のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物の、
a)発酵物に接種すること、又は
b)有害生物防除、及び/又は植物病原性真菌性若しくは細菌性病害の予防、遅延、制限若しくはその強度の低減、及び/又は植物の健康の改善、及び/又は植物の収量の増加、及び/又は植物栽培領域からの植物病原性真菌物質若しくは細菌物質の放出の予防、遅延、制限若しくは低減、又は
c)植物保護製品の調製、又は
d)プロバイオティクス食品配合物、飼料配合物又は化粧用配合物の調製、又は
e)好ましくは清浄製品の抗細菌又は抗真菌効果を付与するか、増大させるか又は延長するための清浄製品の調製、
e)コンクリートの調製
のための使用。
【請求項21】
有害生物による被害から保護する必要がある植物又はその部分を保護する方法であって、前記有害生物、植物、その部分若しくは繁殖材料又は前記植物が成長する基材を、好ましくは植付け前若しくは後、出芽前若しくは後又は好ましくは微粒子、粉末、懸濁液若しくは溶液として、有効量の、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13~15のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物と接触させることを含む方法。
【請求項22】
タンパク質ペイロードを植物、植物の部分、種子又は成長基材に送達する方法であって、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13~15のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物を前記植物、植物の部分、種子又は基材に適用することを含み、前記胞子は、ペイロードドメインと、前記ペイロードドメインを前記胞子の表面に送達するための標的ドメインとを含むタンパク質を発現する微生物のものである、方法。
【請求項23】
i)前記真菌性病害は、白発疹、べと病、ウドンコ病、根こぶ病、菌核病、フザリウム(fusarium)立枯病及び腐敗病、灰色かび病、炭疽病、リゾクトニア(rhizoctonia)腐敗病、腰折れ病、キャビティスポット、塊茎病害、さび病、黒根病、輪紋病、アファノミセス(aphanomyces)根腐病、アスコキタ(ascochyta)襟腐病、つる枯病、アルテルナリア(alternaria)斑点病、黒脚病、輪斑病、斑点病、セルコスポラ(cercospora)葉枯病、セプトリア(septoria)斑点病、葉枯病又はそれらの組み合わせから選択され、及び/又は
ii)前記真菌性病害は、分類学的階級:
- フンタマカビ(Sordariomycetes)綱、より好ましくはヒポクレア(Hypocreales)目のもの、より好ましくはベニアワツブタケ(Nectriaceae)科のもの、より好ましくはフザリウム(Fusarium)属のもの;
- フンタマカビ(Sordariomycetes)綱、より好ましくはグロメレラ(Glomerellales)目のもの、より好ましくはグロメレラ(Glomerellaceae)科のもの、より好ましくはコレトトリカム(Colletotrichum)属のもの;
- レオチノマイセテス(Leotinomycetes)綱、より好ましくはビョウタケ(Helotiales)目のもの、より好ましくは菌核病菌(Sclerotiniaceae)科のもの、より好ましくはボトリチス(Botrytis)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporales)目のもの、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporaceae)科のもの、より好ましくはアルテルナリア(Alternaria)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporales)目のもの、より好ましくはファエオスファエリア(Phaeosphaeriaceae)科のもの、より好ましくはファエオスファエリア(Phaeosphaeria)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはボトリオスファエリア(Botryosphaeriales)目のもの、より好ましくはボトリオスファエリア(Botryosphaeriaceae)科のもの、より好ましくはマクロフォミナ(Macrophomina)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはカプノディウム(Capnodiales)目のもの、より好ましくはコタマカビ(Mycosphaerellaceae)科のもの、より好ましくはジモセプトリア(Zymoseptoria)属のもの;
- ハラタケ(Agraricomycetes)綱、より好ましくはアンズタケ(Cantharellales)目のもの、より好ましくはツノタンシキン(Ceratobasidiaceae)科のもの、より好ましくはリゾクトニア(Rhizoctonia)属又はタナテフォルス(Thanatephorus)属のもの;
- サビキン(Pucciniomycetes)綱、より好ましくはサビキン(Pucciniales)目のもの、より好ましくはサビキン(Pucciniaceae)科のもの、より好ましくはウロマイセス(Uromyces)属又はサビキン(Puccinia)属のもの;
- クロボキン(Ustilaginomycetes)綱、より好ましくはクロボキン(Ustilaginales)目のもの、より好ましくはクロボキン(Ustilaginaceae)科のもの、より好ましくはクロボキン(Ustilago)属のもの;
- 卵菌(Oomycota)綱、より好ましくはフハイカビ(Pythiales)目のもの、より好ましくはフハイカビ(Pythiaceae)科のもの、より好ましくはフハイカビ(Pythium)属のもの;
- 卵菌(Oomycota)綱、より好ましくはツユカビ(Peronosporales)目のもの、より好ましくはツユカビ(Peronosporaceae)科のもの、より好ましくは疫病菌(Phytophthora)属、プラスモパラ(Plasmopara)属又はシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)属のもの
から選択される微生物によって引き起こされるか又は悪化する、請求項20に記載の使用又は請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胞子組成物及びそのような組成物を生成する方法を提供することに関する。本発明は、植物保護製品及びそのような胞子組成物から利益を得ること並びに植物の利益、近傍領域への病原体放出の低減及び動物又はヒトの利益のためのそのような組成物の使用にも関する。更に、本発明は、効率的な発酵方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内生胞子の形成は、いくつかの原核微生物の生活環における一段階である。内生胞子の重要性に関する主な属性は、これらが、典型的には熱処理(典型的には70℃、1024hPaで少なくとも5分)及び活発に増殖する微生物に不利である他の環境条件(乾燥状態、紫外放射及び化学消毒剤など)に対する休眠細胞の耐性を付与する休眠生活段階をもたらすことである。したがって、胞子形成微生物は、有害な状態に長期間耐えることができる。再び好ましい状態になると、胞子形成細胞は、発芽し、活発に増殖する生活段階に変化する。したがって、内生胞子は、微生物の保存及び急速な回復に関する特定の用途を有する。特に、内生胞子は、製品保存が容易であること、液体窒素などの緻密な保存条件なしで貯蔵寿命が長いこと及び微生物が急速且つ確実に復活することが必要とされる農学製品及びバイオテクノロジー製品で使用される。例えば、農学製品では、植物の健康に利する微生物が望まれる。ヒトの栄養及び健康管理では、胃の低pHに耐えることができる胞子の形態のプロバイオティクス生物を適用することにより、腸内で対象を絞って成長させて、消化障害を予防することができる。しかしながら、そのような製品の保存は、保存条件に左右されない必要があり、好ましくは37~45℃の温暖な温度であるか又はそれほど好ましくはないが日光に曝露されても、製品を保存可能である必要がある。微生物は、製品の適用直後に迅速且つ確実に繁殖して、その有益な特性を発揮する必要がある。他の製品では、微生物の生存能は、必要とされない。しかしながら、内生胞子は、所望の代謝産物、例えば生化学的殺有害生物剤を区画化し、内生胞子の表面に付着させることができる。そのような製品の利点は、従来の殺有害生物剤の過剰使用及びそのような過剰使用に付随する欠点(例えば、土壌酸性化)を回避できることである。バイオテクノロジー製品では、通常、確実な発酵が必要とされる。発酵は、好適な増殖培地を含む発酵槽に微生物のアリコートを接種し、微生物が発酵中に繁殖して所望の化合物及び胞子を生成するようにすることによって開始される。確実な接種を実現するために、接種物のアリコートを、それらの繁殖能及び代謝能が必要に応じて維持されるように長期にわたって保存する必要がある。
【0003】
細菌胞子の主要な用途の1つは、抗生物質の削減及び代替を含めた、ヒト及び動物の健康のためのプロバイオティクス製品における使用である。例えば、クロストリジウム(Clostridium)種は、ヒト及び動物が消化不能な幅広い栄養素を利用することができる。一例として、腸管に存在するクロストリジウム(Clostridia)は、難消化性多糖類を変換して短鎖脂肪酸(SCFA)を生成することができ、SCFAは、宿主の腸管に容易に吸収されるため、腸管ホメオスタシスにおいて重要な役割を果たす(Pingting Guo,Ke Zhang,Xi Ma and Pingli He,Clostridium species as probiotics:potentials and challenges,Journal of Animal Science and Biotechnology(2020)doi.org/10.1186/s40104-019-0402)。酪酸塩などのSCFAは、多数の生理学的機能を全体として調整して、管腔環境を最適化し、腸管の健康状態を維持する。クロストリジウム(Clostridia)を使用した健康管理用途に関するいくつかの有益な特質が知られており、それらには、例えば、抗炎症作用及び腸免疫寛容の改善を誘導する、クロストリジウム(Clostridium)種と腸管免疫系との間のクロストークがある。一例として、クロストリジウム(Clostridia)がマウスの大腸炎及びアレルギー性下痢を軽減させることが判明した。他の種との間でも、一部のクロストリジウム(Clostridia)は、胆汁酸を生成して、毒素産生性C.ディフィシル(C.difficile)による警戒すべき感染を予防することが知られている。タンパク質又はアミノ酸発酵性クロストリジウム(Clostridia)を適用することで、腸管上皮細胞を直接的及び間接的に損傷させ得るアンモニアの過剰蓄積を予防することができる。クロストリジウム(Clostridia)のプロバイオティクス及びプレバイオティクスでの使用に関する有益な特質は、食物栄養学及び畜産業での生育改善でも知られていた。クロストリジウム・エステルセティカム(Clostridium estertheticum)などの特定の株は、保護培養物として、生の獣肉及び鶏肉、魚類及び海産物に適用された(Jones R,Zagorec M,Brightwell G,Tagg JR(2009)Inhibition by Lactobacillus sakei of other species in the flora of vacuum packaged raw meats during prolonged storage.Food microbiol 25:876-881)。
【0004】
農業では、細菌胞子は、植物病原性真菌性又は細菌性病害を低減させるか又は予防する植物有害生物防除組成物に使用された。胞子生物製剤は、生物的及び非生物的ストレスに対する植物の耐性を改善し、植物の成長を加速させ、且つ植物、果実又はマメ科植物の収穫時の収量を増加させるためにも適用される。胞子製品は、葉、シュート、果実、根又は植物繁殖材料及び植物が成長する基材に適用された(Toyota K.Bacillus-related Spore Formers:Attractive Agents for Plant Growth Promotion.Microbes Environ.2015;30(3):205-207.doi:10.1264/jsme2.me3003rh)。Bochow,H.,et al.“Use of Bacillus Subtilis as Biocontrol Agent.IV.Salt-Stress Tolerance Induction by Bacillus Subtilis FZB24 Seed Treatment in Tropical Vegetable Field Crops,and Its Mode of Action/Die Verwendung von Bacillus Subtilis zur biologischen Bekaempfung.IV.Induktion einer Salzstress-Toleranz durch Applikation von Bacillus subtilis FZB24 bei tropischem Feldgemuese und sein Wirkungsmechanismus.”Zeitschrift fuer Pflanzenkrankheiten und Pflanzenschutz/Journal of Plant Diseases and Protection,vol.108,no.1,2001,pp.21-30.JSTOR,www.jstor.org/stable/43215378.Accessed 14 Dec.2020。)(Hashem,Abeer&Tabassum,B.&Abd_Allah,Elsayed.(2019).Bacillus subtilis:A plant-growth promoting rhizobacterium that also impacts biotic stress.Saudi Journal of Biological Sciences.26.10.1016/j.sjbs.2019.05.004)。
【0005】
更に、細菌胞子は、ナノバイオテクノロジー及び建築化学の領域において、例えば自己修復コンクリート(亀裂の修復)、モルタルの安定性及び透水性の低減のために適用された[J.Y.Wang,H.Soens,W.Verstraete,N.De Belie,Self-healing concrete by use of microencapsulated bacterial spores,Cement and Concrete Research,Volume 56,2014,139-152,ISSN 0008-8846,https://doi.org/10.1016/j.cemconres.2013.11.009][Ricca E,Cutting SM.Emerging Applications of Bacterial Spores in Nanobiotechnology.J Nanobiotechnology.2003;1(1):6.Published 2003 Dec 15.doi:10.1186/1477-3155-1-6]。
【0006】
加えて、細菌胞子は、臨床環境及び家庭環境における洗濯物、硬質表面、衛生設備の清浄用及び臭気抑制用などの清浄製品の領域に適用された(Caselli E.Hygiene:microbial strategies to reduce pathogens and drug resistance in clinical settings.Microb Biotechnol.2017 Sep;10(5):1079-1083.doi:10.1111/1751-7915.12755.Epub 2017 Jul 5)。一例として、胞子は、化粧品組成物、例えば皮膚清浄製品(米国特許出願公開第20070048244号明細書)、食器洗浄剤(国際公開第2014/107111号パンフレット)、パイプ脱脂剤(独国特許第19850012号明細書)、洗濯物の悪臭抑制(国際公開第2017/157778号パンフレット及び欧州特許第3430113号明細書)又はアレルゲンの除去(米国特許出願公開第20020182184号明細書)に使用された。胞子は、その後のその分解を触媒するために、非生物起源のマトリックスに埋め込むこともできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、内生胞子の形成は、活発な研究領域である。しかしながら、胞子形成の根底にあるメカニズムは、微生物間で異なる。バチルス(Bacillus)では、Spo0Aは、オーファンヒスチジンキナーゼ(HK)、特にKinA及びKinBによって開始されるリン酸リレー系によってリン酸化される(Spo0A_P)。続いて、Spo0A_Pは、下流の4つのシグマ因子(σF、σE、σG及びσK)が関与する胞子形成シグマ因子カスケードを開始させる。対照的に、リン酸基を直接Spo0Aに転移させることによりそれを活性化させるクロストリジウム(Clostridia)には、リン酸リレー系が存在しない。結果として、バチルス(Bacilli)及び多くのパエニバチルス(Paenibacilli)に見られる、予備的胞子形成である段階0の調節因子(例えば、Spo0B)は、クロストリジウム(Clostridia)に存在しない。
【0008】
更に、バチルス(Bacillus)モデルの最後のシグマ因子σKは、クロストリジウム(Clostridium)において二重の役割(1つは、初期のSpo0Aの上流であり、もう1つは、後期のσGの下流である)を果たすことが確認されており、これは、バチルス(Bacillus)でのその役割と類似している[Al-Hinai MA,Jones SW,Papoutsakis ET.The Clostridium sporulation programs:diversity and preservation of endospore differentiation.Microbiol Mol Biol Rev.2015 Mar;79(1):19-37.doi:10.1128/MMBR.00025-14][Tojo S,Hirooka K,Fujita Y.Expression of kinA and kinB of Bacillus subtilis,Necessary for Sporulation Initiation,Is under Positive Stringent Transcription Control,Journal of Bacteriology Mar 2013,195(8)1656-1665;DOI:10.1128/JB.02131-12]。
【0009】
他方で、一例として、B.サブティリス(B.subtilis)の胞子形成への移行は、RapAの制御下にある。このホスファターゼは、全ての内生胞子形成因子のマスター転写調節因子であるSpo0Aの転写を調節しているため、直接的リプレッサーとして作用することができる[Perego M,Hanstein C,Welsh C.M.,Djavakhishvili T.,Glaser P.,Hoch J.A.Multiple protein-aspartate phosphatases provide a mechanism for the integration of diverse signals in the control of development in B.subtilis.Cell 79,1047-1055(1994)]。バチルス(Bacilli)とは対照的に、パエニバチルス(Paenibacillus)種は、単細胞レベルで異時性胞子形成を全体として調整する突出した遺伝子としての胞子形成リプレッサーRapAを欠いている。
【0010】
更に、栄養飢餓下では、CodYは、バチルス(Bacillus)の多数の遺伝子の発現を調節し、迅速な指数関数的増殖から静止期及び胞子形成への移行を調整する。(Ratnayake-Lecamwasam M,Serror P,Wong KW,Sonenshein AL.Bacillus subtilis CodY represses early-stationary-phase genes by sensing GTP levels.Genes Dev.2001;15(9):1093-1103.doi:10.1101/gad.874201)。これは、培養中の種間のコミュニケーション、分化又は同期を調整するComAのクオラムセンシング活性によって裏付けることができる(Schultz D,Wolynes PG,Ben Jacob E,Onuchic JN.Deciding fate in adverse times:sporulation and competence in Bacillus subtilis.Proc Natl Acad Sci USA.2009 Dec 15;106(50):21027-34.doi:10.1073/pnas.0912185106.Epub 2009 Dec 7)。ここでも、バチルス(Bacillus)とは対照的に、大半のパエニバチルス(Paenibacillus)種においてCodY及びComAが見られなかったことから、パエニバチルス(Paenibacillus)の胞子形成への移行は、異なるメカニズムに依存する。
【0011】
長期にわたり研究対象であったにもかかわらず、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)の内生胞子には、2つの種類(即ちいわゆる初期胞子及び後期胞子)があることが最近判明したばかりである。刊行物Mutlu et al.,Nature Comm.2018,69の著者らは、アガロースプレート上でバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)のコロニーの胞子形成及び発芽をモニタリングした。この著者らは、形成された各胞子について、栄養素をダウンシフトさせた後の胞子形成に必要な時間を記録した。4日間の飢餓状態後、胞子形成及び胞子嚢からの胞子放出が完了した。アガロースプレートに栄養素のアップシフトを適用した。次に、著者らは、各胞子の発芽及び成長に必要な時間を相関させた。胞子形成と発芽時間とを相関させたとき、著者らは、初期胞子が後期胞子の2倍速く発芽し、復活頻度が全体として高いことを認めた。著者らは、初期胞子とは対照的に、後期胞子が、成長に不適切な栄養素濃度で発芽を誘導することにより、成長を防止され得ることも認識した。
【0012】
本発明は、更なる観察結果に依拠する。本発明者らは、驚くべきことに、内生胞子形成微生物の全ての試験種について、異なる内生胞子群集のタイプ、即ち発芽頻度及び発芽時間が異なる内生胞子群集が胞子形成時間に従って生成されることを認識した。Mutlu et al.による前述の刊行物は、RapA遺伝子(これは、例えば、パエニバチルス(Paenibacillus)種に存在しない)の機能的発現に依拠していたことから、これは、特に驚くべきことであった。そのため、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)において確立された特定の胞子形成メカニズムが他の属にも存在することは、予想外であった。更に、本発明者らは、内生胞子群集のタイプ間の相違がアガロースプレート上での胞子形成に限定されず、撹拌発酵でも生じることを認識した。撹拌発酵では、化学シグナル及び栄養素の細胞間コミュニケーションの勾配を形成することができないため、これは、特に驚くべきことであった。加えて、制御された撹拌条件下では、局所的な栄養素の競合、好ましくないpH変化及び局所的な老廃物の蓄積は、不可能である。最適な撹拌条件下では、全ての細胞がほぼ同じ培地組成に曝露される。発芽頻度が高く、発芽時間が短い内生胞子群集は、-80℃~45℃の温度などの通常の保存条件下において、活性を大幅に喪失せずに幅広く保存可能であることも本発明者らにとって驚くべきことであった。これは、本発明者らが、胞子安定化に必要な化合物であるジピコリン酸が主に液相撹拌発酵中の後期に生成されることも見出したため、特に驚くべきことであった。したがって、発酵中の初期に形成された内生胞子は、低含量のジピコリン酸を含有する。本発明者らは、驚くべきことに、液体撹拌発酵における誘導期の長さ及び対数期のバイオマス生成の終了に到達するのに必要な時間が、前培養に接種するための種菌として使用した内生胞子群集のタイプに左右され、本培養段階での増殖及び生成能にも正の影響を及ぼしたことも観察した。撹拌液相発酵中の後期に回収された内生胞子群集は、発酵中の初期に形成された全ての胞子を含むため、これは、驚くべきことであった。したがって、後期に回収された内生胞子群集は、発酵中の初期に回収された内生胞子群集に少なくとも劣らないことが予想された。この予想は、完全に胞子形成したバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)のコロニー(これは、撹拌液相発酵中の全ての栄養細胞が完全に胞子形成した後に回収された内生胞子群集に実質的に対応する)の発芽時間の相違について記載しているMutlu et al.による上記の刊行物によって実証された。また、本発明者らは、驚くべきことに、初期胞子のみを培養の接種のための種菌として使用した場合、植物に有益なバイオ殺有害生物剤(最も注目すべきはフサリシジンA、B及びD)の含有量が、発酵中の初期に生成された内生胞子群集において最も高いことを見出した。
【0013】
したがって、本発明の目的は、早期発芽及び発芽した微生物の迅速な増殖を促進する内生胞子含有組成物を提供することであった。胞子の迅速な成長は、製品であって、その性能が、生物の所望の特性及び特質を適時且つ継続的な方法で得るために、胞子の急速且つ確実な成長と強く関連付けられる製品に特に関連する。更に、組成物は、通常の保存条件下で安定であるべきである。好ましくは、組成物は、微生物の有益な特性(例えば、ヒト、動物若しくは植物の健康上の利益又は所望の代謝産物の生成)を維持又は改善する必要がある。更に、本発明は、対応する生成方法、製品及びそれらの使用を提供するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これに対応して、本発明は、原核微生物の精製胞子を含む胞子組成物を提供し、
a)前記胞子は、コロニー形成に適した培地上にプレーティングされた場合にコロニーを形成し、プレーティング後、好気性培養について72時間以内及び嫌気性培養について96時間以内に形成された全てのそのようなコロニーの少なくとも40%、より好ましくは40~90%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは50~90%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは60~90%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは70~90%は、48時間以内に形成され、及び/又は
b)胞子の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%は、第1の胞子形成期中に回収された発酵物から得ることができるか又は得られ、及び/又は
c)1胞子あたりのジピコリン酸の平均含有量は、定常期まで好適な培地で発酵された胞子のジピコリン酸の平均含有量の最大で80%、より好ましくは20~80%、更により好ましくは22~70%、更により好ましくは30~65%である。
【0015】
本発明は、本発明の組成物又は本発明による方法によって得ることができるか又若しくは得られる組成物でコーティングされるか又はそれを注入された植物栽培基材を含む植物保護製品も提供する。
【0016】
植物、植物の部分又は植物繁殖材料も提供され、この材料は、本発明による組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物をその表面に含むか又はその中に注入されている。
【0017】
更に、本発明は、本発明の植物、植物の部分若しくは植物繁殖材料又は本発明の植物栽培基材を含む栽培場、好ましくは圃場又は温室苗床を提供する。
【0018】
本発明は、本発明の組成物を含む食品製品又は飼料製品又は化粧品、好ましくはプロバイオティクス若しくはプレバイオティクス食品製品、プロバイオティクス、若しくはプレバイオティクス、若しくは飼料製品又はプロバイオティクス若しくはプレバイオティクス化粧品も提供する。
【0019】
また、本発明は、本発明による組成物、好ましくは鉱物表面の処理のための塗料組成物、コーティング組成物又は含浸組成物、コンクリート又は硬化コンクリートの調製のためのセメント配合物、添加剤を含む建築製品を提供する。
【0020】
更に、本発明は、原核微生物の胞子を含む組成物を生成する方法であって、
1)胞子形成を導く培地中で微生物を発酵させる工程、
2)胞子を精製して組成物を得る工程
を含み、
a)精製は、発酵工程1)で得ることができる最大胞子濃度の85%に達するときに最後に実施され、より好ましくは、精製は、前記最大値に対して1~75%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは前記最大値に対して10~75%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは前記最大値に対して20~70%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは前記最大値に対して30~68%の範囲の濃度に達するときに実施され、及び/又は
b)精製は、前記精製胞子が、コロニー形成に適した培地上にプレーティングされた場合にコロニーを形成し、プレーティング後、好気性培養について72時間以内及び嫌気性培養について96時間以内に形成された全てのそのようなコロニーの少なくとも40%、より好ましくは40~90%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは50~90%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは60~90%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは70~90%は、48時間以内に形成されるように実施され、及び/又は
c)精製は、前記精製胞子の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%が、第1の胞子形成期中に回収された発酵物から得ることができるか又は得られるように実施され、及び/又は
d)精製は、1胞子あたりのジピコリン酸の平均含有量が、発酵工程1)で最大胞子濃度に達するときに生成される胞子のジピコリン酸の平均含有量の最大で80%である場合、より好ましくはジピコリン酸の平均含有量が20~80%の範囲、更により好ましくは22~70%の範囲、更により好ましくは30~65%の範囲である場合に実施される、方法を提供する。
【0021】
これに対応して、本発明は、好適な発酵培地を含む発酵槽に、本発明の組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物を接種する工程を含む発酵方法を提供する。
【0022】
本発明は、胞子形成原核微生物の発酵において、誘導期の持続時間及び/又は対数期の終了に達するまでの時間を制御する方法であって、好適な発酵培地に、本発明の組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物を接種し、且つ接種された培地を発酵させることを含み、誘導期のより短い持続時間及び/又は対数期のより速い終了のために、第1の胞子形成期に回収される胞子の割合がより高い組成物が使用され、及び誘導期のより長い持続時間又は対数期のより遅い終了のために、第2の胞子形成期に回収される胞子の割合がより高い組成物が使用される、方法を更に提供する。
【0023】
また、本発明は、発酵のための接種物試料を提供するコンピュータ実装方法であって、
i)目標である誘導期の持続期間及び/又は対数期の終了を得る工程、
ii)第1の胞子形成期及び/又は第2の胞子形成期中に回収される胞子の必要な割合を算出する工程、及び
iii)反応であって、
(1)算出された比率に最もよく適合するワーキング細胞バンク試料コレクションの接種物試料の識別子の発信、
(2)算出された比率に最もよく適合するワーキング細胞バンク試料コレクションの接種物試料の取得、
(3)算出された比率に最もよく適合するワーキング細胞バンク試料コレクションの接種物試料の発酵槽への供給、又は
(4)初期胞子群集濃縮ストック及び後期胞子群集濃縮ストックからそれぞれ引き出すことによって初期及び後期胞子群集の割合を調整することによる新たなワーキング細胞バンク試料の混合並びに任意選択で前記混合物の発酵槽への供給
の1つ以上から選択される、工程2における算出に基づく反応を実施する工程
を含むコンピュータ実装方法を提供する。
【0024】
更に、胞子形成原核微生物の胞子発芽及び/又は栄養増殖を促進する方法であって、本発明による方法における第1の胞子形成期中に回収された胞子を提供することを含み、好ましくは、無機リン酸塩は、胞子と一緒に又は逐次的に提供される、方法が本発明により提供される。
【0025】
本発明は、
a)発酵物に接種すること、又は
b)有害生物防除、及び/又は植物病原性真菌性若しくは細菌性病害の予防、遅延、制限若しくはその強度の低減、及び/又は植物の健康の改善、及び/又は植物の収量の増加、及び/又は植物栽培領域からの植物病原性真菌物質若しくは細菌物質の放出の予防、遅延、制限若しくは低減、又は
c)植物保護製品の調製、又は
d)プロバイオティクス食品配合物、飼料配合物又は化粧用配合物の調製、又は
e)好ましくは清浄製品の抗細菌又は抗真菌効果を付与するか、増大させるか又は延長するための清浄製品の調製、
e)コンクリートの調製又は鉱物表面の塗装、コーティング若しくは含浸
のための、本発明の組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物の使用も教示する。
【0026】
本発明によれば、有害生物による被害から保護する必要がある植物又はその部分を保護する方法であって、有害生物、植物、その部分若しくは繁殖材料又は植物が成長する基材を、好ましくは植付け前若しくは後、出芽前若しくは後又は好ましくは微粒子、粉末、懸濁液若しくは溶液として、有効量の、本発明の組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物と接触させることを含む方法も提供される。
【0027】
更に、本発明は、タンパク質ペイロードを植物、植物の部分、種子又は成長基材に送達する方法であって、本発明の組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物を植物、植物の部分、種子又は基材に適用することを含み、胞子は、ペイロードドメインと、ペイロードドメインを前記胞子の表面に送達するための標的ドメインとを含むタンパク質を発現する微生物のものである、方法を提供する。
【0028】
また、本発明は、本発明による特定の使用又は方法であって、
i)真菌性病害は、白発疹(white blister)、べと病、ウドンコ病、根こぶ病、菌核病、フザリウム(fusarium)立枯病及び腐敗病、灰色かび病、炭疽病、リゾクトニア(rhizoctonia)腐敗病、腰折れ病、キャビティスポット、塊茎病害、さび病、黒根病、輪紋病、アファノミセス(aphanomyces)根腐病、アスコキタ(ascochyta)襟腐病、つる枯病、アルテルナリア(alternaria)斑点病、黒脚病、輪斑病、斑点病、セルコスポラ(cercospora)葉枯病、セプトリア(septoria)斑点病、葉枯病又はそれらの組み合わせから選択され、及び/又は
ii)真菌性病害は、分類学的階級:
- フンタマカビ(Sordariomycetes)綱、より好ましくはヒポクレア(Hypocreales)目のもの、より好ましくはベニアワツブタケ(Nectriaceae)科のもの、より好ましくはフザリウム(Fusarium)属のもの;
- フンタマカビ(Sordariomycetes)綱、より好ましくはグロメレラ(Glomerellales)目のもの、より好ましくはグロメレラ(Glomerellaceae)科のもの、より好ましくはコレトトリカム(Colletotrichum)属のもの;
- レオチノマイセテス(Leotinomycetes)綱、より好ましくはビョウタケ(Helotiales)目のもの、より好ましくは菌核病菌(Sclerotiniaceae)科のもの、より好ましくはボトリチス(Botrytis)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporales)目のもの、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporaceae)科のもの、より好ましくはアルテルナリア(Alternaria)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporales)目のもの、より好ましくはファエオスファエリア(Phaeosphaeriaceae)科のもの、より好ましくはファエオスファエリア(Phaeosphaeria)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはボトリオスファエリア(Botryosphaeriales)目のもの、より好ましくはボトリオスファエリア(Botryosphaeriaceae)科のもの、より好ましくはマクロフォミナ(Macrophomina)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはカプノディウム(Capnodiales)目のもの、より好ましくはコタマカビ(Mycosphaerellaceae)科のもの、より好ましくはジモセプトリア(Zymoseptoria)属のもの;
- ハラタケ(Agraricomycetes)綱、より好ましくはアンズタケ(Cantharellales)目のもの、より好ましくはツノタンシキン(Ceratobasidiaceae)科のもの、より好ましくはリゾクトニア(Rhizoctonia)属又はタナテフォルス(Thanatephorus)属のもの;
- サビキン(Pucciniomycetes)綱、より好ましくはサビキン(Pucciniales)目のもの、より好ましくはサビキン(Pucciniaceae)科のもの、より好ましくはウロマイセス(Uromyces)属又はサビキン(Puccinia)属のもの;
- クロボキン(Ustilaginomycetes)綱、より好ましくはクロボキン(Ustilaginales)目のもの、より好ましくはクロボキン(Ustilaginaceae)科のもの、より好ましくはクロボキン(Ustilago)属のもの;
- 卵菌(Oomycota)綱、より好ましくはフハイカビ(Pythiales)目のもの、より好ましくはフハイカビ(Pythiaceae)科のもの、より好ましくはフハイカビ(Pythium)属のもの;
- 卵菌(Oomycota)綱、より好ましくはツユカビ(Peronosporales)目のもの、より好ましくはツユカビ(Peronosporaceae)科のもの、より好ましくは疫病菌(Phytophthora)属、プラスモパラ(Plasmopara)属又はシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)属のもの
から選択される微生物によって引き起こされるか又は悪化する、使用又は方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】PX-141培地中でパエニバチルス(Paenibacillus)株STRAIN 32を使用した、実施例1に記載されている発酵過程にわたる胞子の1mlあたりの濃度を示す。胞子数は、ディスポーザブル計数チャンバを使用して位相差顕微鏡法によって評価した。胞子濃度は、0からおよそ3.5×10^9まで概ねS字状に増加する。濃度曲線の傾斜によって示されるように、胞子形成は、接種後24~30時間及び36~42時間の期間で最速であり、30~36時間の期間ではそれより遅くなる。
【
図2】実施例1に記載の発酵において時間間隔ごとに生成された胞子の数を示す。棒の高さは、特定の時点で生成された胞子の数を示す。各試料の胞子の正味生成量を、以下の式:NPt=Nt-Nt-1(NP=胞子の正味生成量、N=胞子の数、t=時点)によって決定した。この図により、胞子形成が接種後24~30時間及び36~42時間の期間で最速であり、30~36時間の期間でそれより遅くなるという
図1の結論が実証される。
【
図3】同一培地中での先の発酵において30、36、48又は72時間の発酵時間でそれぞれ回収した10^6個の胞子を接種した発酵中のバイオマス形成の進展を(光学密度により測定した任意単位で)示す。全ての発酵のバイオマス進展は、概ね同様であり、バイオマス進展曲線は、初期誘導期の長さによって互いに相殺されている。接種材料の回収時間が遅いほど、誘導期が長くなり、且つ接種後の対数期増殖の終了が遅くなる。
【
図4】
図3の発酵が、30、36、48又は72時間の発酵時間でそれぞれ回収した10E+6個の胞子の接種材料を使用してAU1以上のバイオマスに達するのに必要な時間を示す。
図4に示す時間は、誘導期の長さを示す。接種材料の回収時間が遅いほど、誘導期が長くなる。
【
図5】10E+6胞子/mlを最初の接種材料として使用して48時間培養した後のフサリシジンA、B及びDの総濃度を示す。接種材料に使用した胞子試料は、実施例1の12lスケールの発酵中の様々な時点後に採取した。48時間の発酵後のフサリシジンA、B及びDの総濃度は、24時間後に回収した胞子群集を接種した発酵で最も高く(140%、およそ3.5g/l)、接種材料の回収時間が長くなるにつれて、48時間で回収した胞子群集を接種した発酵での100%までほぼ直線的に低下した。48時間以降に回収した胞子群集を接種した発酵では、フサリシジン総濃度の低下が依然として測定可能であったが、その低下は、これより前の時点ほど急激ではなかった。
【
図6】36時間及び56時間の発酵時間後に回収した胞子の胞子成長タイミングを示す。ISP2寒天プレート上での48時間及び72時間の培養時間後、コロニー形成単位を評価した。発酵ブロス試料中の栄養細胞を60℃/30分間での熱処理により死滅させてから、100μlの試料を寒天プレートにプレーティングした。36時間で回収した胞子の場合、寒天プレート培養の72時間以内に観察された全コロニーのおよそ77%が培養の48時間時点で既に明確であった。56時間で回収した胞子の場合、培養の72時間以内に観察された全コロニーのおよそ49%が培養の48時間時点で既に明確であった。
【
図7】生存胞子力価及び総ジピコリン酸レベル/発酵ブロス(ml)を示す。実施例4で行った発酵の過程にわたって試料を採取した。およそ40時間の発酵後、ジピコリン酸の濃度は、胞子形成速度よりも著しく速く増加する。
【
図8】胞子計数に対して正規化したジピコリン酸形成の進展を示す。実施例4の発酵における1単一胞子あたりのDPAの比率をDPA[μmol/発酵ブロス(ml)]/胞子計数[数/発酵ブロス(ml)]として算出した。DPAの1胞子あたりの濃度は、接種後40~48時間で最も速く増加し、発酵の56時間時点で1胞子あたりのDPAの最高濃度に達した。
【
図9】TSBブロス中でのC.テタノモーファム(C.tetanomorphum)DSM528及びC.チロブチリカム(C.tyrobutyricum)DSM1460の実施例9の7日間培養から維持した胞子の成長タイミングを示す。100μlの液体培養試料をTSB寒天にプレーティングし、48時間及び96時間の培養時間後に目視で計数することにより、コロニー形成単位を評価した。96時間での合計CFU計数に関連する48時間及び96時間の培養時間後に判明したCFUの比率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の技術的教示は、言語手段を使用して、特に科学用語及び技術用語を使用することにより、本明細書で表される。しかしながら、当業者は、言語手段が、それが詳細且つ正確であり得るとしても、教示を表現する複数の方法があり、その各々が全ての概念上のつながりを完全に表現することは、表現の各々が必然的に完結しなければならないことから必然的に不可能である、ということのみが理由であるとしても、技術的教示の完全な内容に近似するものに過ぎない可能性があることを理解している。これを念頭において、当業者は、本発明の主題が、本明細書で示されるか又は本明細書の本質的な制約によって必然的にパルス・プロ・トト方式で表現される個々の技術的概念の総和であることを理解する。特に、当業者は、個々の技術的概念の表明が、本明細書において、技術的に実用的である限り概念の各々の考えられる組み合わせを詳細に述べたものの略記としてなされ、その結果、例えば、3つの概念又は実施形態の開示であるA、B及びCは、概念A+B、A+C、B+C、A+B+Cの省略表記であることを理解するであろう。特に、特徴に関する代替案は、代替例又は具体例を集約するリストに関して本明細書で記載される。別途記述されない限り、本明細書に記載の本発明は、そのような代替例の任意の組み合わせを含む。そのようなリストから幾分好ましい要素を選択することは、本発明の一部であり、またそれぞれの特徴によって伝えられる利点を最小程度に現実化させるための当業者の優先性によるものである。このような複数の組み合わされた具体例は、本発明の適切に好ましい形態を表す。
【0031】
本明細書で使用される場合、文脈上明らかに別途示されている場合を除き、単数の用語並びに「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」などの単数形には、複数の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「核酸」という用語の使用は、実際に、その核酸分子の多くのコピーを任意選択で含む。同様に、「プローブ」という用語は、任意選択で(且つ典型的には)多くの類似又は同一のプローブ分子を包含する。本明細書で使用される場合、「含んでいる」という語又は「含む」若しくは「含んでいる」などの変形形態は、記載された要素、整数若しくは工程又は要素、整数若しくは工程の群を含むが、いかなる他の要素、整数若しくは工程又は要素、整数若しくは工程の群を排除するものではないことも理解される。
【0032】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上のあらゆる全ての可能な組み合わせ並びに二者択一(「又は」)で解釈される場合の組み合わせの欠如を指し、且つ包含する。「含む」という用語は、「からなる」という用語も包含する。
【0033】
「約」という用語は、測定可能な値、例えば質量、用量、時間、温度、配列同一性などの大きさに関して使用される場合、特定の値の±0.1%、0.25%、0.5%、0.75%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%又は更に20%の変動値及びその特定の値を指す。したがって、所与の組成物が「約50%のX」を含むと記載されている場合、いくつかの実施形態では、組成物は50%のXを含む一方、他の実施形態では、組成物は、40%~60%のX(即ち50%±10%)を含み得ることを理解されたい。
【0034】
「植物」という用語は、それが有機物質に属することから、本明細書ではその最も広い意味で使用され、分類学上の植物界のメンバーである真核生物を包含することを意図しており、その例としては、単子葉植物及び双子葉植物、維管束植物、野菜、穀類、花、樹木、草本、灌木、イネ科草本、つる、シダ、コケ、真菌類、藻類など、並びに無性生殖に使用されるクローン、側枝及び植物の一部(例えば、切穂、管状体、シュート、根茎、地下茎、群生株、樹冠、球根、球茎、塊茎、根茎、組織培養で生成された植物/組織など)が挙げられるが、これらに限定されない。別途記述されない限り、「植物」という用語は、植物全体、その任意の部分又は植物に由来する細胞若しくは組織培養物を指し、植物全体、植物の構成要素若しくは器官(例えば、葉、茎、根など)、植物組織、種子、植物細胞及び/又はそれらの後代のいずれかを含む。植物細胞は、植物から採取されるか、又は植物から採取された細胞の培養を通して得られた植物の生物学的細胞である。
【0035】
本発明の方法において特に有用である植物には、カエデ属種(Acer spp.)、マタタビ属種(Actinidia spp.)、トロロアオイ属種(Abelmoschus spp.)、サイザルアサ(Agave sisalana)、カモジグサ属種(Agropyron spp.)、ハイコヌカグサ(Agrostis stolonifera)、アリウム属種(Allium spp.)、ヒユ属種(Amaranthus spp.)、アンモフィラ・アレナリア(Ammophila arenaria)、パイナップル(Ananas comosus)、バンレイシ属種(Annona spp.)、セロリ(Apium graveolens)、ラッカセイ属種(Arachis spp.)、パンノキ属種(Artocarpus spp.)、アスパラガス(Asparagus officinalis)、カラスムギ属種(Avena spp.)(例えば、アベナ・サティバ(Avena sativa)、アベナ・ファツア(Avena fatua)、アベナ・ビザンチナ(Avena byzantina)、アベナ・ファツア変種サティバ(Avena fatua var.sativa)、アベナ・ハイブリダ(Avena hybrida))、スターフルーツ(Averrhoa carambola)、ホウライチク属種(Bambusa sp.)、トウガン(Benincasa hispida)、ブラジルナッツ(Bertholletia excelsea)、サトウダイコン(Beta vulgaris)、アブラナ属種(Brassica spp.)(例えば、セイヨウアブラナ(Brassica napus)、ブラッシカ・ラパ亜種(Brassica rapa ssp.)[キャノーラ、ナタネ、カブラナ(turnip rape)])、カダバ・ファリノーサ(Cadaba farinosa)、チャノキ(Camellia sinensis)、ダンドク(Canna indica)、大麻(Cannabis sativa)、トウガラシ属種(Capsicum spp.)、カレックス・エラータ(Carex elata)、パパイヤ(Carica papaya)、オオバナカリッサ(Carissa macrocarpa)、ペカン属種(Carya spp.)、ベニバナ(Carthamus tinctorius)、クリ属種(Castanea spp.)、カポック(Ceiba pentandra)、エンダイブ(Cichorium endivia)、ニッケイ属種(Cinnamomum spp.)、スイカ(Citrullus lanatus)、ミカン属種(Citrus spp.)、ココヤシ属種(Cocos spp.)、コーヒーノキ属種(Coffea spp.)、サトイモ(Colocasia esculenta)、コーラ属種(Cola spp.)、ツナソ属種(Corchorus sp.)、コリアンダー(Coriandrum sativum)、ハシバミ属種(Corylus spp.)、サンザシ属種(Crataegus spp.)、サフラン(Crocus sativus)、カボチャ属種(Cucurbita spp.)、キュウリ属種(Cucumis spp.)、チョウセンアザミ属種(Cynara spp.)、ノラニンジン(Daucus carota)、ヌスビトハギ属種(Desmodium spp.)、リュウガン(Dimocarpus longan)、ヤマノイモ属種(Dioscorea spp.)、カキノキ属種(Diospyros spp.)、ヒエ属種(Echinochloa spp.)、アブラヤシ属(Elaeis)(例えば、ギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)、アメリカアブラヤシ(Elaeis oleifera))、シコクビエ(Eleusine coracana)、テフ(Eragrostis tef)、エリアンサス属種(Erianthus sp.)、ビワ(Eriobotrya japonica)、ユーカリ属種(Eucalyptus sp.)、ピタンガ(Eugenia uniflora)、ソバ属種(Fagopyrum spp.)、ブナ属種(Fagus spp.)、オニウシノケグサ(Festuca arundinacea)、イチジク(Ficus carica)、キンカン属種(Fortunella spp.)、フラガリア属種(Fragaria spp.)、イチョウ(Ginkgo biloba)、ダイズ属種(Glycine spp.)(例えば、ダイズ(Glycine max)、ソヤ・ヒスピダ(Soja hispida)又はソヤ・マックス(Soja max))、ワタ(Gossypium hirsutum)、ヒマワリ属種(Helianthus spp.)(例えば、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ノカンゾウ(Hemerocallis fulva))、フヨウ属種(Hibiscus spp.)、オオムギ属種(Hordeum spp.)(例えば、オオムギ(Hordeum vulgare))、サツマイモ(Ipomoea batatas)、クルミ属種(Juglans spp.)、レタス(Lactuca sativa)、レンリソウ属種(Lathyrus spp.)、レンズマメ(Lens culinaris)、アマ(Linum usitatissimum)、レイシ(Litchi chinensis)、ハス属種(Lotus spp.)、トカドヘチマ(Luffa acutangula)、ルピナス属種(Lupinus spp.)、ルズラ・シルバチカ(Luzula sylvatica)、トマト属種(Lycopersicon spp.)(例えば、トマト(Lycopersicon esculentum)、リコペルシコン・リコペルシクム(Lycopersicon lycopersicum)、リコペルシコン・ピリフォルメ(Lycopersicon pyriforme))、マクロチロマ属種(Macrotyloma spp.)、リンゴ属種(Malus spp.)、アセロラ(Malpighia emarginata)、マメイアップル(Mammea americana)、マンゴー(Mangifera indica)、キャッサバ属種(Manihot spp.)、サポジラ(Manilkara zapota)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)、シナガワハギ属種(Melilotus spp.)、ハッカ属種(Mentha spp.)、ススキ(Miscanthus sinensis)、ツルレイシ属種(Momordica spp.)、クロミグワ(Morus nigra)、バショウ属種(Musa spp.)、タバコ属種(Nicotiana spp.)、オリーブ属種(Olea spp.)、オプンティア属種(Opuntia spp.)、オルニソプス種(Ornithopus spp.)、イネ属種(Oryza spp.)(例えば、イネ(Oryza sativa)、オリザ・ラティフォリア(Oryza latifolia))、キビ(Panicum miliaceum)、パニクム・ヴィルガツム(Panicum virgatum)、クダモノトケイソウ(Passiflora edulis)、パースニップ(Pastinaca sativa)、チカラシバ属種(Pennisetum sp.)、ワニナシ属種(Persea spp.)、パセリ(Petroselinum crispum)、クサヨシ(Phalaris arundinacea)、インゲンマメ属種(Phaseolus spp.)、オオアワガエリ(Phleum pratense)、ナツメヤシ属種(Phoenix spp.)、ヨシ(Phragmites australis)、ホオズキ属種(Physalis spp.)、マツ属種(Pinus spp.)、ピスタチオ(Pistacia vera)、エンドウ属種(Pisum spp.)、イチゴツナギ属種(Poa spp.)、ヤマナラシ属種(Populus spp.)、プロソピス属種(Prosopis spp.)、サクラ属種(Prunus spp.)、パンジロウ属種(Psidium spp.)、ザクロ(Punica granatum)、セイヨウナシ(Pyrus communis)、コナラ属種(Quercus spp.)、ダイコン(Raphanus sativus)、カラダイオウ(Rheum rhabarbarum)、スグリ属種(Ribes spp.)、トウゴマ(Ricinus communis)、キイチゴ属種(Rubus spp.)、サトウキビ属種(Saccharum spp.)、ヤナギ属種(Salix sp.)、ニワトコ属種(Sambucus spp.)、ライムギ(Secale cereale)、ゴマ属種(Sesamum spp.)、シナピス属種(Sinapis sp.)、ナス属種(Solanum spp.)(例えば、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ヒラナス(Solanum integrifolium)又はトマト(Solanum lycopersicum))、モロコシ(Sorghum bicolor)、ホウレンソウ属種(Spinacia spp.)、フトモモ属種(Syzygium spp.)、センジュギク属種(Tagetes spp.)、タマリンド(Tamarindus indica)、カカオ(Theobroma cacao)、シャジクソウ属種(Trifolium spp.)、ガマグラス(Tripsacum dactyloides)、トリチコセケル・リンパウイ(Triticosecale rimpaui)、コムギ属種(Triticum spp.)(例えば、コムギ(Triticum aestivum)、デュラムコムギ(Triticum durum)、リベットコムギ(Triticum turgidum)、トリチカム・ハイベルナム(Triticum hybernum)、マッハコムギ(Triticum macha)、トリチカム・サチバム(Triticum sativum)、ヒトツブコムギ(Triticum monococcum)又はトリチカム・ブルガレ(Triticum vulgare))、ヒメキンレンカ(Tropaeolum minus)、キンレンカ(Tropaeolum majus)、スノキ属種(Vaccinium spp.)、ソラマメ属種(Vicia spp.)、ササゲ属種(Vigna spp.)、ニオイスミレ(Viola odorata)、ブドウ属種(Vitis spp.)、トウモロコシ(Zea mays)、ワイルドライス(Zizania palustris)、ナツメ属種(Ziziphus spp.)、アマランス、アーティチョーク、アスパラガス、ブロッコリー、メキャベツ、キャベツ、キャノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、カラードグリーン、アマ、ケール、レンズマメ、ナタネ、オクラ、タマネギ、ジャガイモ、イネ、ダイズ、イチゴ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、トマト、カボチャ、茶及び藻類をとりわけ含む一覧から選択される、緑色植物亜界の上科、特に飼葉用又は飼料用マメ科植物を含む単子葉及び双子葉植物、観葉植物、食用穀物、樹木又は低木に属する全ての植物が含まれる。本発明の好ましい実施形態によれば、植物は、作物である。作物の例には、とりわけ、ダイズ、ヒマワリ、キャノーラ、アルファルファ、ナタネ、ワタ、トマト、ジャガイモ又はタバコが含まれる。
【0036】
本発明によれば、植物は、植物材料を得るために栽培される。栽培条件は、植物を考慮して選択され、例えば、温室での生育、畑での生育、ハイドロカルチャーでの生育及び水耕による生育のいずれかが含まれ得る。植物及び植物の部分、例えば、種子及び細胞は遺伝子改変されたものであり得る。特に、植物及びその部分、好ましくは種子及び細胞は、組換えされたもの、好ましくはトランスジェニック又はシスジェニックで組換えされたものであり得る。
【0037】
本発明は、胞子組成物を提供する。本発明によれば、「胞子」及び「内生胞子」という用語は、互換的に使用される。この用語には、発芽可能な胞子と発芽不可能な胞子の両方、即ち生存可能な微生物物質を含有しないか、又は更なる発芽若しくは成長を妨げる遺伝子改変を含有しない胞子体が含まれる。胞子体は外層を含み、この外層は、典型的には環境に対する半透過性バリアとして機能し、環境の化学シグナルを胞子内の細胞物質に(例えば発芽を誘発するために)中継する。外層は、典型的には、外膜及び殻に更に分けられる。したがって、胞子外層は、それ自体が研究対象であり、バチルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridium)(Abhyankar et al.,J Proteome Res.2013,4507-4521)及びパエニバチルス(Paenibacillus)(国際公開第2020232316号パンフレット)について広く分析されている。胞子のコアは、胞子の乾燥重量の最大4~15%を占めるカルシウム-ジピコリン酸(DPA)の複合体を含む(Church,B.,Halvorson,H.Dependence of the Heat Resistance of Bacterial Endospores on their Dipicolinic Acid Content.Nature 183,124-125(1959).https://doi.org/10.1038/183124a0)。ジピコリン酸は、遊離水分子と結合して胞子の脱水を生じさせることにより、コア内の高分子の耐熱性を改善することが判明している(I.Smith,R.Slepecky,P.Setlow,Gerhardt,P.,1989 Spore thermoresistance mechanisms.In Regulation of Procaryotic Development,edited by I.Smith,R.Slepecky,and P.Setlow,pp.17-37,American Society for Microbiology,Washington,D.C)。加えて、カルシウム-ジピコリン酸複合体は、核酸塩基間に複合体自体を挿入することによりDNAを熱変性から保護し、それによりDNAの安定性を増大させる(Moeller,R.,M.Raguse,G.Reitz,R.Okayasu,Z.Li,et al.,2014 Resistance of bacillus subtilis spore dna to lethal ionizing radiation damage relies primarily on spore core components and dna repair,with minor effects of oxygen radical detoxification.Applied and Environmental Microbiology 80:104-109)。好ましくは、胞子という用語は、生存可能、即ち発芽可能な内生胞子を示す。
【0038】
胞子組成物の胞子は、原核微生物の胞子である。したがって、本発明は、真菌胞子に関係しない。原核微生物の好ましい分類群は、本明細書で後述される。
【0039】
組成物は、いくつかの微生物種の胞子を含み得、少なくとも1つの種の胞子は、十分な含有量の本明細書に記載の初期胞子群集を含み、より好ましくは2つの種の胞子、最も好ましくは原核微生物の全ての胞子は、十分な含有量の本明細書に記載の初期胞子群集をそれぞれ含む。これに対応して、本発明は、胞子組成物中の十分な含有量の初期胞子群集を特性決定するための特徴を記載する。
【0040】
好ましくは、十分な含有量の初期胞子群集は、コロニー形成に適した条件下で好適な培地にプレーティングした場合、組成物の胞子がコロニーを形成するという観察結果によって検出することができる。そのような増殖条件及び固形培地は、当業者の一般的知識の一部である。例えば、バチルス(Bacillus)培養のための周知の培地は、M9最少培地(Harwood et al.,1990,Chemically defined growth media and supplements,p.548.In C.R.Harwood and S.M.Cutting(ed.),Molecular biological methods for Bacillus.Wiley,Chichester,United Kingdom)及びペプトン肉エキス(Naeveke et al.,Einfuehrung in die mikrobiologischen Methoden,Technische Universitaet Braunschweig 1982)、トリプシン大豆ブロス(TSB)及びルリア-ベルターニ(LB)(Park,C.Effect of Tryptic Soy Broth(TSB)and Luria-Bertani(LB)Medium on Production of Subtilisin CP-1 from Bacillus sp.CP-1 and Characterization of Subtilisin CP-1.Journal of Life Science(2012),22(6),10.5352/JLS.2012.22.6.823)である。プレーティングした後、コロニーは、様々な時点で形成される。本発明によれば、株をプレーティングした後、好気性培養(30~37℃)では72時間、嫌気性培養(28~35℃)では96時間、コロニー形成をモニタリングする。本発明による組成物について、それぞれ72時間又は96時間以内に観察された全コロニーの少なくとも40%が48時間以内に形成された。好ましくは、全コロニーの最大20%、より好ましくは最大10%が48時間後に形成される。したがって、好ましくは、72時間又は96時間以内に肉眼で観察される全コロニーの40~90%が、適宜、培養後48時間以内に形成される。より好ましくは、コロニーの少なくとも50%、より好ましくは50~90%が48時間以内に形成される。更により好ましくは、コロニーの少なくとも60%、より好ましくは60~90%が48時間以内に形成される。更により好ましくは、コロニーの少なくとも70%、より好ましくは70~90%が48時間以内に形成される。当業者は、発芽速度が大いに種特異的であるという事実を認識している。したがって、72時間/96時間のインキュベーション後でもコロニーが形成される場合がある。しかしながら、検出の目的には、初期発芽胞子の後期発芽胞子に対する比率が実際に前者の胞子群集に有利にシフトしていることを示すことで十分である。例えば、実施例10及び
図10に示されるように、クロストリジウム(Clostridium)属の異なる株は、例えばパエニバチルス(Paenibacillus)株より増殖速度が生得的に低い。
【0041】
本発明による組成物は、好ましくは、発酵(好ましくは撹拌液相発酵)からの精製によって得ることができるか又は得られる。好ましくは、本発明による胞子組成物中の胞子の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%は、第1の胞子形成期中の精製によって得ることができるか又は得られる。好ましい精製方法は以下に記載される。第1の胞子形成期の終了は、通常、胞子形成速度の低下によって検出可能である。次いで、第1の胞子形成期は、より遅い胞子形成期間の中間地点で終了すると定義される。但し、一部の発酵培地では、第1の胞子形成期の終了は、胞子形成速度のみに基づいて識別できない場合がある。そのような場合、当業者は較正発酵を実施し、いくつかの時点で試料を採取し、上述のようにコロニー形成速度の比率及び/又は1胞子あたりのジピコリン酸の含有量を決定する。
【0042】
本発明による組成物は、好ましくは、ジピコリン酸を、1胞子あたりのジピコリン酸の平均含有量が、定常期まで適切な培地で発酵された胞子のジピコリン酸の平均含有量の最大で80%、より好ましくは20~80%、更により好ましくは22~70%、更により好ましくは30~65%であるように含む。以下により詳細に記載されるように、1胞子あたりのジピコリン酸含有量の含有量は、較正発酵並びに発酵中の様々な時点での胞子中のジピコリン酸含有量及び生存胞子計数の測定によって決定することが望まれる。1胞子あたりのジピコリン酸の最大比率に達するとき、所望の1胞子あたりのジピコリン酸含有量に達する発酵時間を算出することは容易である。
【0043】
本明細書に記載されるように、本発明の組成物はいくつかの利点を提供する。特に、本組成物により、生存胞子を一貫して迅速に発芽及び成長させることができる。更に、本発明により、活性がより高い胞子組成物を調製するための発酵時間を短縮させることが可能となる。生成時間の短縮によって時間あたりの生成能力が増大するため、これは、農業製品、プロバイオティクス製品及び清浄製品のための胞子組成物の工業生成において特に興味深いことである。本発明の組成物の更なる利点は、前記組成物中の胞子が、それらの大部分が初期胞子群集に属しているにもかかわらず、-80℃~37℃の温度などの通常の保存条件下で、活性を大幅に喪失することなく幅広い保存の間に尚も安定であることである。パエニバチルス(Paenibacillus)の胞子を含む本発明の胞子組成物が、液相発酵の接種に使用される場合、フサリシジンの非常に高い生成能をもたらすことも予想外であった。本発明の更なる利益及び利点は、以下の実施例にも記載されている。
【0044】
本発明による胞子組成物の胞子は、精製される。以下で更に詳細に記載されるように、精製は、組成物自体における胞子発芽の抑制又は低減をもたらす。一般に、胞子の精製は、それぞれの微生物の培養に使用した発酵培地からの胞子の分離を必要とする。
【0045】
好ましくは、組成物は、容易に発酵可能な炭素源を最大でも低含有量のみ含む。特に、組成物の可溶性炭素源含有量は、組成物の最大7重量%、より好ましくは組成物の0.1~4重量%であることが好ましい。
【0046】
更に、組成物の含水量は、好ましくは液体配合物中の組成物の最大98重量%、より好ましくは組成物の80~95重量%に調整される。乾燥配合物では、組成物の含水量は、好ましくは液体配合物中の組成物の最大10重量%、より好ましくは組成物の2~8重量%に調整される。好ましくは、精製は、胞子の濃縮を含み、好ましくは、脱水、凍結乾燥、均質化、抽出、タンジェンシャルフロー濾過、デプス濾過、遠心分離又は沈降の工程を含む。このような後処理プロセスの方法は、一般に当業者に公知であり、標準的な工業設備を使用し、当技術分野で公知の方法を最小限に改変させて使用して実施することができる。したがって、本発明の組成物を低コストで容易に生成できるということは、本発明の特定の利点である。
【0047】
これに対応して、本発明の胞子組成物は、好ましくは、生存細胞と胞子を最大で4:1、より好ましくは3:1~0.2:1の比率で含む。特定の用途では、発芽に必要な外部誘発なしで迅速な増殖を可能にする生存細胞と、長期的な有効性及び製品の安定性を可能にする胞子との組み合わせが有益な場合がある。しかしながら、本明細書に記載されるように、本発明は主に、組成物中に胞子を提供することに関しており、そのため本発明によれば、生存細胞の存在は許容されるが必須ではない。更に、いわゆる無細胞調製物は、細胞除去に使用される手法(例えば、遠心分離の速度)に応じて、細胞を完全に欠如しているわけではない場合があり、大部分が無細胞であるか又は実質的に無細胞であることがしばしば観察されている。得られた無細胞調製物は、乾燥させることができ、且つ/又は植物若しくは植物生育培地への適用を補助する成分とともに配合することができる。組成物が、組成物の胞子を生成した原核微生物の細胞を含めた細胞の存在を許容できることは、本発明の利点である。他方で、本発明の胞子組成物は、生存細胞を含まない組成物であり得る。
【0048】
本発明の胞子組成物は、好ましくは、前記胞子に加えて、
i)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する1種以上の微生物殺有害生物剤、
ii)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する1種以上の生化学的殺有害生物剤、
iii)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性及び/又は殺線虫活性を有する1種以上の微生物殺有害生物剤、
iv)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性、フェロモン活性及び/又は殺線虫活性を有する1種以上の生化学的殺有害生物剤、
v)呼吸阻害剤、ステロール生合成阻害剤、核酸合成阻害剤、細胞分裂及び細胞骨格の形成又は機能の阻害剤、アミノ酸及びタンパク質合成の阻害剤、シグナル伝達阻害剤、脂質及び膜合成阻害剤、多部位作用性阻害剤、細胞壁合成阻害剤、植物防御誘導剤並びに作用機序が不明である殺真菌剤から選択される1種以上の殺真菌剤
からなる群から好ましくは選択される少なくとも1種の有害生物防除剤を含む。
【0049】
バイオ殺有害生物剤は、微生物殺有害生物剤と生化学的殺有害生物剤という2つの主要なクラスに分けられる。微生物殺有害生物剤は、細菌、真菌又はウイルスからなり、多くの場合、細菌及び真菌が生成する代謝産物を含む。昆虫病原性線虫も多細胞性であるが、微生物殺有害生物剤に分類される。生化学的殺有害生物剤は、天然に存在する物質であるか、又は天然に存在する物質と構造的に類似し機能的に同一であり且つ生物源からの抽出物であり、この生物源は、有害生物を防除するか又は以下に定義される他の作物防御用途を提供するが、非毒性の作用機序(例えば、成長又は発生の調節、誘引物質、忌避物質又は防御活性化因子(例えば、誘導耐性)を有しており、哺乳動物に対して比較的非毒性である。作物病害に対して使用するためのバイオ殺有害生物剤は、既に様々な作物で確立されている。例えば、バイオ殺有害生物剤は、既にべと病病害の防除に重要な役割を果たしている。それらの利点としては、収穫前間隔が0日であること、中程度~重度の病害圧下で使用可能であること及び他の登録済み殺有害生物剤と混合して又はそれらとのローテーションプログラムで使用可能であることが挙げられる。いくつかのバイオ殺有害生物剤が胞子形成原核微生物によって生成されることは、本発明の特定の利点である。したがって、本発明の組成物及び対応する方法は、そのようなバイオ殺有害生物剤の迅速な生成を可能にするのみならず、本組成物は、有利なことに、例えば胞子の外層に付着した殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/若しくは植物防御活性化剤活性を有する殺有害生物剤(フサリシジンはその一例である)を有することによってそれ自体でバイオ殺有害生物性である胞子又は発芽後にそのようなバイオ殺有害生物剤を生成する胞子のいずれかの急速且つ順調な発芽をも補助する。したがって、本発明の組成物は、原核微生物のバイオ殺有害生物性胞子を含む農業用製品の調製を特に補助する。
【0050】
したがって、本発明の胞子組成物は、好ましくは、バイオ殺有害生物性胞子及び任意選択で更なるバイオ殺有害生物剤を含む。多くのバイオ殺有害生物剤は、本明細書中で言及される寄託番号で寄託されており(ATCC又はDSMなどの接頭語は、各カルチャーコレクションの頭字語を指し、詳細については、例えばhttp://www.wfcc.info/ccinfo/collection/by_acronym/を参照されたい)、文献中で言及されており、登録されており且つ/又は市販されている:Konstanz,Germanyで1989年に単離されたオーレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)DSM 14940及びDSM 14941の混合物(例えばbio-ferm GmbH,AustriaのBlossomProtect(登録商標)中の分芽胞子)、元来、South Brazilの小麦地帯(Passo Fundo)で少なくとも1980年より前に単離されたアゾスピリルム・ブラジレンス(Azospirillum brasilense)Sp245(BR11005;例えば、BASF Agricultural Specialties Ltd.,BrazilのGELFIX(登録商標)Gramineas)、A.ブラジレンス(A.brasilense)株Ab-V5及びAb-V6(例えば、Novozymes BioAg Produtos papra Agricultura Ltda.,Quattro Barras,BrazilのAzoMax又はSimbiose-Agro,BrazilのSimbiose-Maiz(登録商標)中のもの;Plant Soil 331,413-425,2010)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)株AP-188(NRRL B-50615及びB-50331;米国特許第8,445,255号明細書);日本菊川市の空気中から単離されたB.アミロリクエファシエンス属種プランタルム(B.amyloliquefaciens spp.plantarum)D747(米国特許出願第20130236522A1号明細書;FERM BP 8234;例えば、Certis LLC,USAのDouble Nickel(商標)55 WDG)、Brandenburg,Germanyの土壌から単離されたB.アミロリクエファシエンス属種プランタルム(B.amyloliquefaciens spp.plantarum)FZB24(SB3615とも呼ばれる;DSM96-2;J.Plant Dis.Prot.105,181-197,1998;例えば、Novozyme Biologicals,Inc.,USAのTaegro(登録商標))、Brandenburg,Germanyの土壌から単離されたB.アミロリクエファシエンス亜種プランタルム(B.amyloliquefaciens ssp.plantarum)FZB42(DSM23117;J.Plant Dis.Prot.105,181-197,1998;例えば、AbiTEP GmbH,GermanyのRhizoVital(登録商標)42)、Sutton Bonington,Nottinghamshire,U.K.のソラマメから少なくとも1988年より前に単離されたB.アミロリクエファシエンス亜種プランタルム(B.amyloliquefaciens ssp.plantarum)MBI600(1430とも呼ばれる;NRRL B 50595;米国特許出願公開第2012/0149571A1号明細書;例えば、BASF Corp.,USAのIntegral(登録商標))、California,U.S.A.で1995年にモモ果樹園から単離されたB.アミロリクエファシエンス亜種プランタルム(B.amyloliquefaciens ssp.plantarum)QST-713(NRRL B 21661;例えば、Bayer Crop Science LP,USAのSerenade(登録商標)MAX)、South Dakoda,U.S.A.で1992年に単離されたB.アミロリクエファシエンス属種プランタルム(B.amyloliquefaciens spp.plantarum)TJ1000(1BEとも呼ばれる;ATCC BAA-390;カナダ国特許出願公開第2471555A1号明細書;例えば、TJ Technologies,Watertown,SD,USAのQuickRoots(商標))、B.ファーマス(B.firmus)CNCM I-1582(Israelの中央平原地帯の土壌から単離された親株EIP-N1(CNCM I-1556)の変異株)(国際公開第2009/126473号パンフレット、米国特許第6,406,690号明細書;例えばBayer CropScience LP,USAのVotivo(登録商標))、Mexicoでリンゴ樹木の根圏から単離されたB.プミルス(B.pumilus)GHA 180(IDAC 260707-01;例えば、Premier Horticulture,Quebec,CanadaのPRO-MIX(登録商標)BX)、エルウィニア・トラケイフィラ(Erwinia tracheiphila)に侵入されたキュウリから少なくとも1993年より前に単離されたB.プミルス(B.pumilus)INR-7(BU F22及びBU-F33と別途称される)(NRRL B-50185、NRRL B-50153;米国特許第8,445,255号明細書)、(NRRL B-50754;国際公開第2014/029697号パンフレット;B.プミルス(B.pumilus)QST 2808は、1998年にPohnpei,Federated States of Micronesiaで収集された土壌から単離された(NRRL B・30087;例えば、Bayer Crop Science LP,USAのSonata(登録商標)又はBallad(登録商標)Plus)、B.シンプレックス(B.simplex)ABU 288(NRRL B-50304;米国特許第8,445,255号明細書)、North Americaでレッドビートの根から単離されたB.サブティリス(B.subtilis)FB17(UD 1022又はUD 10-22とも呼ばれる)(ATCC PTA-11857;System.Appl.Microbiol.27,372-379,2004;米国特許出願公開第2010/0260735号明細書;国際公開第2011/109395号パンフレット);1987年にEphraim,Wisconsin,U.S.A.の芝生から採取された土壌から単離されたB.チューリンゲンシス亜種アイザワイ(B.thuringiensis ssp.aizawai)ABTS-1857(ABG 6346とも呼ばれる;ATCC SD-1372;例えば、BioFa AG,Muensingen,GermanyのXenTari(登録商標))、Brownsville,Texas,U.S.A.で罹患したワタキバガの黒色幼虫から1967年に単離されたHD-1と同一のB.t.亜種クルスタキ(B.t.ssp.kurstaki)ABTS-351(ATCC SD-1275;例えば、Valent BioSciences,IL,USAのDipel(登録商標)DF)、E.サッカリナ(E.saccharina)の幼虫の死骸から単離されたB.t.亜種クルスタキ(B.t.ssp.kurstaki)SB4(NRRL B-50753;B.t.亜種テネブリオニス(B.t.ssp.tenebrionis)NB-176-1(甲虫チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)の死んだ蛹から1982年に単離された野生型株であるNB-125株の突然変異株)(DSM 5480;欧州特許第585215B1号明細書;例えば、Valent BioSciences,SwitzerlandのNovodor(登録商標))、ボーベリア・バッシアーナ(Beauveria bassiana)GHA(ATCC 74250;例えば、Laverlam Int.Corp.,USAのBotaniGard(登録商標)22WGP)、B.バッシアーナ(B.bassiana)JW-1(ATCC 74040;例えば、CBC(Europe)S.r.l.,ItalyのNaturalis(登録商標))、カメノコハムシであるコンキロクテニア・プンクタータ(Conchyloctenia punctata)の幼虫から単離されたB.バッシアーナ(B.bassiana)PPRI 5339(NRRL 50757)、Rio de Janeiro,Brazilで単離されたブラディリゾビウム・エルカニ(Bradyrhizobium elkanii)株SEMIA 5019(29Wとも呼ばれる)及び1967年にRio Grande do Sul州で北米単離株が以前接種された地域から単離されており、1968年から市販の接種物中で使用されているSEMIA 587(Appl.Environ.Microbiol.73(8),2635,2007;例えば、BASF Agricultural Specialties Ltd.,BrazilのGELFIX 5)、U.S.A.でWisconsinの圃場から単離されたB.ジャポニクム(B.japonicum)532c(Nitragin 61A152;Can.J.Plant.Sci.70,661-666,1990;例えば、BASF Agricultural Specialties Ltd.,CanadaのRhizoflo(登録商標)、Histick(登録商標)、Hicoat(登録商標)Super中のもの)、USDA 138株のB.ジャポニクム(B.japonicum)E-109変異株(INTA E109、SEMIA 5085;Eur.J.Soil Biol.45,28-35,2009;Biol.Fertil.Soils 47,81-89,2011);SEMIAに寄託され、Appl.Environ.Microbiol.73(8),2635,2007により公知のB.ジャポニクム(B.japonicum)株:Embrapa-CerradosによりBrazilのCerrados地方の土壌から単離されており、1992年から市販の接種物中で使用されているSEMIA 5079(CPAC 15;例えば、BASF Agricultural Specialties Ltd.,BrazilのGELFIX 5又はADHERE 60)、BrazilでEmbrapa-Cerradosにより実験室条件下で得られ、1992年から市販の接種物中で使用されており、元来U.S.A.で単離されたSEMIA 586(CB1809)の天然変異株である、B.ジャポニクム(B.japonicum)SEMIA 5080(CPAC7;例えば、BASF Agricultural Specialties Ltd.,BrazilのGELFIX 5又はAD-HERE 60);2008年に日本の日光の土壌から単離されたバークホルデリア属種(Burkholderia sp.)A396(NRRL B-50319;国際公開第2013/032693号パンフレット;Marrone Bio Innovations,Inc.,USA)、ナタネから単離されたコニオチリウム・ミニタンス(Coniothyrium minitans)CON/M/91-08(国際公開第1996/021358号パンフレット;DSM 9660;例えば、Bayer CropScience AG,GermanyのContans(登録商標)WG、Intercept(登録商標)WG)、ハーピン(アルファ-ベータ)タンパク質(Science 257,85-88,
1992;例えば、Plant Health Care plc,U.K.のMessenger(商標)又はHARP-N Tek)、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)核多角体病ウイルス(HearNPV)(J.Invertebrate Pathol.107,112-126,2011;例えば、Adermatt Biocontrol,SwitzerlandのHelicovex(登録商標);Koppert,BrazilのDiplomata(登録商標);AgBiTech Pty Ltd.,Queensland,AustraliaのVivus(登録商標)Max)、アメリカタバコガ(Helicoverpa zea)単一カプシド核多角体病ウイルス(HzSNPV)(例えば、Certis LLC,USAのGemstar(登録商標))、アメリカタバコガ(Helicoverpa zea)核多角体病ウイルスABA-NPV-U(例えば、AgBiTech Pty Ltd.,Queensland,AustraliaのHeligen(登録商標))、ヘテロラブディティス・バクテリオフォラ(Heterorhabditis bacteriophora)(例えば、BASF Agricultural Specialities Limited,UKのNemasys(登録商標)G)、Apopka,Florida,U.S.A.でサンシチソウ(gynura)上のコナカイガラムシから単離されたイサリア・フモソロセア(Isaria fumosorosea)Apopka-97(ATCC 20874;Biocontrol Science Technol.22(7),747-761,2012;例えば、Certis LLC,USAのPFR-97(商標)又はPreFeRal(登録商標))、Austriaでコドリンガから単離されたメタリジウム・アニソプリエ変種アニソプリエ(Metarhizium anisopliae var.anisopliae)F52(275又はV275とも呼ばれる)(DSM 3884、ATCC 90448;例えば、Met52(登録商標)Novozymes Biologicals Bio-Ag Group,Canada)、Israelの中央部のブドウから単離されたメッシュニコウィア・フルクチコラ(Metschnikowia fructicola)277(米国特許第6,994,849号明細書;NRRL Y-30752;例えば、かつてのAgrogreen,IsraelのShemer(登録商標))、Philippinesで感染した線虫の卵から単離されたペシロマイセス・イラシヌス(Paecilomyces ilacinus)251(AGAL 89/030550;国際公開第1991/02051号パンフレット;Crop Protection 27,352-361,2008;例えば、Bayer CropScience AG,GermanyのBioAct(登録商標)及びCertis,USAのMeloCon(登録商標))、Illinois,U.S.Aで2000年代半ばにダイズ圃場から単離されたパスツリア・ニシザワエ(Pasteuria nishizawae)Pn1(ATCC SD 5833;Federal Register 76(22),5808,February 2,2011;例えば、Syngenta Crop Protection,LLC,USAのClariva(商標)PN)、Alberta,Canadaの土壌から元来単離されたペニシリウム・ビライアエ(Penicillium bilaiae)(P.ビライ(P.bilaii)とも呼ばれる)株ATCC 18309(=ATCC 74319)、ATCC 20851及び/又はATCC 22348(=ATCC 74318)(Fertilizer Res.39,97-103,1994;Can.J.Plant Sci.78(1),91-102,1998;米国特許第5,026,417号明細書、国際公開第1995/017806号パンフレット;例えば、Novozymes Biologicals BioAg Group,CanadaのJumpStart(登録商標)、Provide(登録商標))、オオイタドリ(Reynoutria sachalinensis)抽出物(欧州特許第0307510B1号明細書;例えば、Marrone BioInnovations,Davis,CA,USAのRegalia(登録商標)SC又はBioFa AG,GermanyのMilsana(登録商標))、ステイネルネマ・カルポカプサエ(Steinernema carpocapsae)(例えば、BASF Agricultural Specialities Limited,UKのMillenium(登録商標))、S.フェルティアエ(S.feltiae)(例えば、BioWorks,Inc.,USAのNemashield(登録商標);BASF Agricultural Specialities Limited,UKのNemasys(登録商標))、ストレプトマイセス・ミクロフラブス(Streptomyces microflavus)NRRL B-50550(国際公開第2014/124369号パンフレット;Bayer CropScience,Germany)、T.ハルジアナム(T.harzianum)T-22(KRL-AG2とも呼ばれる)(ATCC 20847;Bio-Control 57,687-696,2012;例えば、BioWorks Inc.,USAのPlantshield(登録商標)又はAdvanced Biological Marketing Inc.,Van Wert,OH,USAのSabrEx(商標))。
【0051】
本発明による胞子形成微生物は、好ましくは、ファーミキューテス(Firmicutes)門、バチルス(Bacilli)綱、クロストリジウム(Clostridia)綱又はネガティウィクテス(Negativicutes)綱、より好ましくはバチルス(Bacillales)目、クロストリジウム(Clostridiales)目、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacterales)目、サーモセディミニバクター(Thermosediminibacterales)目又はセレノモナス(Selenomonadales)目、より好ましくはバチルス(Bacillaceae)科、パエニバチルス(Paenibacillaceae)科、パスツリア(Pasteuriaceae)科、クロストリジウム(Clostridiaceae)科、ペプトコッカス(Peptococcaceae)科、ヘリオバクテリウム(Heliobacteriaceae)科、シントロフォモナス(Syntrophomonadaceae)科、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacteraceae)科、テピダナエロバクター(Tepidanaerobacteraceae)科又はスポロミュサ(Sporomusaceae)科、より好ましくはアルカリバチルス(Alkalibacillus)属、バチルス(Bacillus)属、ゲオバチルス(Geobacillus)属、ハロバチルス(Halobacillus)属、リシニバチルス(Lysinibacillus)属、ピシバチルス(Piscibacillus)属、テリバチルス(Terribacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、サーモバチルス(Thermobacillus)属、パスツリア(Pasteuria)属、クロストリジウム(Clostridium)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、ヘリオバクテリウム(Heliobacterium)属、ペロスポラ(Pelospora)属、ペロトマクルム(Pelotomaculum)属、カルダナエロバクター(Caldanaerobacter)属、ムーレラ(Moorella)属、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)属、テピダナエロバクター(Tepidanaerobacter)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属又はスポロミュサ(Sporomusa)属、より好ましくはバチルス(Bacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属又はクロストリジウム(Clostridium)属の分類学的階級から選択される。これらの分類群の微生物は当業者に公知であり、それらの培養方法は利用可能であり、当業者の日常作業の一部を構成する。前述の微生物の多くが、例えば関連する農業用組成物又はプロバイオティクスを生成するために、工業的に適切であることは有利である。特に、バチルス(Bacillaceae)科、パエニバチルス(Paenibacillaceae)科及びクロストリジウム(Clostridiaceae)科の微生物が適切であり、殺真菌及び/又は殺細菌効果を発揮することが公知である。
【0052】
本発明の組成物内では、特に以下の種の胞子が好ましい。
【0053】
パエニバチルス(Paenibacillus)種:P.アベカワエンシス(P.abekawaensis)、P.アビシ(P.abyssi)、P.アセリス(P.aceris)、P.アセチ(P.aceti)、P.アエスツアリイ(P.aestuarii)、P.アガレクセデンス(P.agarexedens)、P.アガリデボランス(P.agaridevorans)、P.アルバ(P.alba)、P.アルビダス(P.albidus)、P.アルブス(P.albus)、P.アルギノリチカス(P.alginolyticus)、P.アルゴリフォンティコラ(P.algorifonticola)、P.アルカリテラエ(P.alkaliterrae)、P.アルベイ(P.alvei)、P.アミロリティカス(P.amylolyticus)、P.アナエリカヌス(P.anaericanus)、P.アンタルクティカス(P.antarcticus)、P.アンチバイオチコフィラ(P.antibioticophila)、P.アントリ(P.antri)、P.アピアリーズ(P.apiaries)、P.アピアリウス(P.apiarius)、P.アピス(P.apis)、P.アクイスタグニ(P.aquistagni)、P.アラキジス(P.arachidis)、P.アークティカス(P.arcticus)、P.アサメンシス(P.assamensis)、P.アウランティアクス(P.aurantiacus)、P.アゾレデュセンス(P.azoreducens)、P.アゾティフィゲンス(P.azotifigens)、P.ベクロクダミソリ(P.baekrokdamisoli)、P.バルキノネンシス(P.barcinonensis)、P.バレンゴルトジ(P.barengoltzii)、P.ベイジンゲンシス(P.beijingensis)、P.ボレアリス(P.borealis)、P.ボウチェスデュルホネンシス(P.bouchesdurhonensis)、P.ボビス(P.bovis)、P.ブラジレンシス(P.brasilensis)、P.ブラシカエ(P.brassicae)、P.ブリョフィラム(P.bryophyllum)、P.カエスピティス(P.caespitis)、P.カメリアエ(P.camelliae)、P.カメロウネンシス(P.camerounensis)、P.キャンピナセンシス(P.campinasensis)、P.カスタネアエ(P.castaneae)、P.カタルパエ(P.catalpae)、P.カトルミ(P.cathormii)、P.カベルナエ(P.cavernae)、P.セルロシリティカス(P.cellulosilyticus)、P.セルロシトロフィカス(P.cellulositrophicus)、P.チャータリウス(P.chartarius)、P.チベンシス(P.chibensis)、P.チネンシス(P.chinensis)、P.チンジュエンシス(P.chinjuensis)、P.キチノリティカス(P.chitinolyticus)、P.コンドロイティヌス(P.chondroitinus)、P.チュンガゲンシス(P.chungangensis)、P.シネリス(P.cineris)、P.シスオロケンシス(P.cisolokensis)、P.コンタミナンス(P.contaminans)、P.クッキイ(P.cookii)、P.クラソストレアエ(P.crassostreae)、P.ククミス(P.cucumis)、P.カードラノリティカス(P.curdlanolyticus)、P.テジョネンシス(P.daejeonensis)、P.ダカレンシス(P.dakarensis)、P.ダランシエンシス(P.darangshiensis)、P.ダーウィニアヌス(P.darwinianus)、P.ダウチ(P.dauci)、P.デンドリティフォルミス(P.dendritiformis)、P.ドンドネンシス(P.dongdonensis)、P.ドンハエンシス(P.donghaensis)、P.ドゥーサネンシス(P.doosanensis)、P.ダラス(P.durus)、P.エダフィカス(P.edaphicus)、P.エヒメンシス(P.ehimensis)、P.エルギイ(P.elgii)、P.エリミ(P.elymi)、P.エンドフィティカス(P.endophyticus)、P.エンシディス(P.enshidis)、P.エステリソルベンス(P.esterisolvens)、P.エテリ(P.etheri)、P.エウコムミアエ(P.eucommiae)、P.ファエシス(P.faecis)、P.ファビスポラス(P.favisporus)、P.フェラリウス(P.ferrarius)、P.フィリシス(P.filicis)、P.フラゲラータス(P.flagellatus)、P.フォンティコーラ(P.fonticola)、P.フォルシチアエ(P.forsythiae)、P.フリゴリレシステンス(P.frigoriresistens)、P.フジエンシス(P.fujiensis)、P.フクイネンシス(P.fukuinensis)、P.ガンスエンシス(P.gansuensis)、P.ゼラチンリティカス(P.gelatinilyticus)、P.ジンセンアグリ(P.ginsengagri)、P.ジンセンアルビ(P.ginsengarvi)、P.ジンセンイフミ(P.ginsengihumi)、P.ジンセンイテラエ(P.ginsengiterrae)、P.グラシアリス(P.glacialis)、P.グレバエ(P.glebae)、P.グルカノリティカス(P.glucanolyticus)、P.グリカニリティカス(P.glycanilyticus)、P.ゴリラエ(P.gorillae)、P.グラミニス(P.graminis)、P.グラニボランス(P.granivorans)、P.グアンゾウエンシス(P.guangzhouensis)、P.ハレナエ(P.harenae)、P.ヘリアンティ(P.helianthi)、P.ヘメロカリコラ(P.hemerocallicola)、P.ヘルベルティ(P.herberti)、P.ヒスパニカス(P.hispanicus)、P.ホドガイエンシス(P.hodogayensis)、P.ホルデイ(P.hordei)、P.ホルティ(P.horti)、P.フミカス(P.humicus)、P.フナンエンシス(P.hunanensis)、P.イベタエ(P.ihbetae)、P.イフアエ(P.ihuae)、P.イフミ(P.ihumii)、P.イリノイセンシス(P.illinoisensis)、P.インスラエ(P.insulae)、P.インテスティニ(P.intestini)、P.ジャミラエ(P.jamilae)、P.ジルンリ(P.jilunlii)、P.コベンシス(P.kobensis)、P.コレオボランス(P.koleovorans)、P.コンクケンシス(P.konkukensis)、P.コンシデンシス(P.konsidensis)、P.コーリエンシス(P.koreensis)、P.クリベンシス(P.kribbensis)、P.キュンヘンシス(P.kyungheensis)、P.ラクティス(P.lactis)、P.ラクス(P.lacus)、P.ラルバエ(P.larvae)、P.ロータス(P.lautus)、P.レムナエ(P.lemnae)、P.レンティモルブス(P.lentimorbus)、P.レンタス(P.lentus)、P.リャオニンエンシス(P.liaoningensis)、P.リミコーラ(P.limicola)、P.ルピニー(P.lupini)、P.ルテウス(P.luteus)、P.ルチミネラリス(P.lutimineralis)、P.マセランス(P.macerans)、P.マッカリエンシス(P.macquariensis)、P.マーチャンチオフィトルム(P.marchantiophytorum)、P.マリニセディミニス(P.marinisediminis)、P.マリヌム(P.marinum)、P.マシリエンシス(P.massiliensis)、P.マイシエンシス(P.maysiensis)、P.メディカジニス(P.medicaginis)、P.メンデリイ(P.mendelii)、P.メソフィルス(P.mesophilus)、P.メタノリカス(P.methanolicus)、P.モビリス(P.mobilis)、P.モンタニソリ(P.montanisoli)、P.モンタニテラエ(P.montaniterrae)、P.モトブエンシス(P.motobuensis)、P.ムシラギノサス(P.mucilaginosus)、P.ナネンシス(P.nanensis)、P.ナフタレノボランス(P.naphthalenovorans)、P.ナスチテルミチス(P.nasutitermitis)、P.ネブラスケンシス(P.nebraskensis)、P.ネマトフィルス(P.nematophilus)、P.ニコチアナエ(P.nicotianae)、P.ヌルキ(P.nuruki)、P.オセアニセディミニス(P.oceanisediminis)、P.オドリファー(P.odorifer)、P.オエノセラエ(P.oenotherae)、P.オラリス(P.oralis)、P.オリゼー(P.oryzae)、P.オリジソリ(P.oryzisoli)、P.オットウィー(P.ottowii)、P.オウロフィネンシス(P.ourofinensis)、P.パブリ(P.pabuli)、P.パエオニアエ(P.paeoniae)、P.パナチフミ(P.panacihumi)、P.パナチソリ(P.panacisoli)、P.パナチテラエ(P.panaciterrae)、P.パリディス(P.paridis)、P.パサデネンシス(P.pasadenensis)、P.ペクチニリティクス(P.pectinilyticus)、P.ペオリアエ(P.peoriae)、P.ペリアンドラエ(P.periandrae)、P.フォカエンシス(P.phocaensis)、P.フェニシス(P.phoenicis)、P.フィルロスファエラエ(P.phyllosphaerae)、P.フィスコミトレラエ(P.physcomitrellae)、P.ピニ(P.pini)、P.ピニフミ(P.pinihumi)、P.ピニソリ(P.pinisoli)、P.ピニストラメンティ(P.pinistramenti)、P.ポケオネンシス(P.pocheonensis)、P.ポリミクサ(P.polymyxa)、P.ポリサッカロリティクス(P.polysaccharolyticus)、P.ポピリアエ(P.popilliae)、P.ポプリ(P.populi)、P.プロフンダス(P.profundus)、P.プロソピディス(P.prosopidis)、P.プロタエチアエ(P.protaetiae)、P.プロベンセンシス(P.provencensis)、P.サイコロレジステンス(P.psychroresistens)、P.プエリ(P.pueri)、P.プエルニーセ(P.puernese)、P.プルデウンゲンシス(P.puldeungensis)、P.プリスパティ(P.purispatii)、P.チンシェンイー(P.qingshengii)、P.チンリンエンシス(P.qinlingensis)、P.クエルカス(P.quercus)、P.ラジシス(P.radicis)、P.レリクチセサミ(P.relictisesami)、P.レシジュイ(P.residui)、P.リゾプラナエ(P.rhizoplanae)、P.リゾリザエ(P.rhizoryzae)、P.リゾスファエラエ(P.rhizosphaerae)、P.リグイ(P.rigui)、P.リパエ(P.ripae)、P.ルビンファンティス(P.rubinfantis)、P.ルミノコラ(P.ruminocola)、
P.サビナエ(P.sabinae)、P.サチョネンシス(P.sacheonensis)、P.サリニカエニ(P.salinicaeni)、P.サングイニス(P.sanguinis)、P.セディミニス(P.sediminis)、P.セゲティス(P.segetis)、P.セレニー(P.selenii)、P.セレニティレデュセンス(P.selenitireducens)、P.セネガレンシス(P.senegalensis)、P.セネガリマシリエンシス(P.senegalimassiliensis)、P.セオドネンシス(P.seodonensis)、P.セプテントリオナリス(P.septentrionalis)、P.セプルクリ(P.sepulcri)、P.シェンヤンエンシス(P.shenyangensis)、P.シラカミエンシス(P.shirakamiensis)、P.シュンペンギイ(P.shunpengii)、P.シアメンシス(P.siamensis)、P.シラゲイ(P.silagei)、P.シルバエ(P.silvae)、P.シノポドフィリー(P.sinopodophylli)、P.ソラナセアルム(P.solanacearum)、P.ソラニ(P.solani)、P.ソリ(P.soli)、P.ソンチ群(P.sonchi group)、P.ソフォラエ(P.sophorae)、P.スピリタス(P.spiritus)、P.スプチ(P.sputi)、P.ステリファー(P.stellifer)、P.スーソンエンシス(P.susongensis)、P.スウェンシス(P.swuensis)、P.タイチュンエンシス(P.taichungensis)、P.タイヒュエンシス(P.taihuensis)、P.タイワンエンシス(P.taiwanensis)、P.タオファシャネンセ(P.taohuashanense)、P.タリメンシス(P.tarimensis)、P.テルリス(P.telluris)、P.テピディフィラス(P.tepidiphilus)、P.テラエ(P.terrae)、P.テレウス(P.terreus)、P.テリゲナ(P.terrigena)、P.テズプレンシス(P.tezpurensis)、P.タイランデンシス(P.thailandensis)、P.サーモアエロフィルス(P.thermoaerophilus)、P.サーモフィルス(P.thermophilus)、P.チアミノリティカス(P.thiaminolyticus)、P.チアンムエンシス(P.tianmuensis)、P.チベテンシス(P.tibetensis)、P.チモネンシス(P.timonensis)、P.トランスルーセンス(P.translucens)、P.トリティシ(P.tritici)、P.トリティシソリ(P.triticisoli)、P.トゥアレギ(P.tuaregi)、P.トゥンバエ(P.tumbae)、P.ツンドラエ(P.tundrae)、P.ツリセンシス(P.turicensis)、P.チロピリ(P.tylopili)、P.チファエ(P.typhae)、P.チルフィス(P.tyrfis)、P.ウリギニス(P.uliginis)、P.ウリナリス(P.urinalis)、P.バリダス(P.validus)、P.ベラエイ(P.velaei)、P.ヴィニー(P.vini)、P.ボルテックス(P.vortex)、P.ボルチカリス(P.vorticalis)、P.ブルネリス(P.vulneris)、P.ウェンシーニアエ(P.wenxiniae)、P.ウイットソニアエ(P.whitsoniae)、P.ウーポネンシス(P.wooponensis)、P.ウーソンゲンシス(P.woosongensis)、P.ウルムチエンシス(P.wulumuqiensis)、P.ウィニイ(P.wynnii)、P.キサンタニリティカス(P.xanthanilyticus)、P.キサンチニリティカス(P.xanthinilyticus)、P.キセロサーモデュランス(P.xerothermodurans)、P.シンジャンゲンシス(P.xinjiangensis)、P.キシラネクセデンス(P.xylanexedens)、P.キシラニクラスティカス(P.xylaniclasticus)、P.キシラニリティカス(P.xylanilyticus)、P.キシラニソルベンス(P.xylanisolvens)、P.ヤンチェンゲンシス(P.yanchengensis)、P.ヨンギネンシス(P.yonginensis)、P.ユンナネンシス(P.yunnanensis)、P.ザントキシリ(P.zanthoxyli)、P.ジアエ(P.zeae)、好ましくはP.アガレクセデンス(P.agarexedens)、P.アガリデボランス(P.agaridevorans)、P.アルギノリチカス(P.alginolyticus)、P.アルカリテラエ(P.alkaliterrae)、P.アルベイ(P.alvei)、P.アミロリティカス(P.amylolyticus)、P.アナエリカヌス(P.anaericanus)、P.アンタルクティカス(P.antarcticus)、P.アサメンシス(P.assamensis)、P.アゾレデュセンス(P.azoreducens)、P.バルキノネンシス(P.barcinonensis)、P.ボレアリス(P.borealis)、P.ブラシカエ(P.brassicae)、P.キャンピナセンシス(P.campinasensis)、P.チンジュエンシス(P.chinjuensis)、P.キチノリティカス(P.chitinolyticus)、P.コンドロイティヌス(P.chondroitinus)、P.シネリス(P.cineris)、P.カードラノリティカス(P.curdlanolyticus)、P.テジョネンシス(P.daejeonensis)、P.デンドリティフォルミス(P.dendritiformis)、P.エヒメンシス(P.ehimensis)、P.エルギイ(P.elgii)、P.ファビスポラス(P.favisporus)、P.グルカノリティカス(P.glucanolyticus)、P.グリカニリティカス(P.glycanilyticus)、P.グラミニス(P.graminis)、P.グラニボランス(P.granivorans)、P.ホドガイエンシス(P.hodogayensis)、P.イリノイセンシス(P.illinoisensis)、P.ジャミラエ(P.jamilae)、P.コベンシス(P.kobensis)、P.コレオボランス(P.koleovorans)、P.コーリエンシス(P.koreensis)、P.クリベンシス(P.kribbensis)、P.ラクティス(P.lactis)、P.ラルバエ(P.larvae)、P.ロータス(P.lautus)、P.レンティモルブス(P.lentimorbus)、P.マセランス(P.macerans)、P.マッカリエンシス(P.macquariensis)、P.マシリエンシス(P.massiliensis)、P.メンデリイ(P.mendelii)、P.モトブエンシス(P.motobuensis)、P.ナフタレノボランス(P.naphthalenovorans)、P.ネマトフィルス(P.nematophilus)、P.オドリファー(P.odorifer)、P.パブリ(P.pabuli)、P.ペオリアエ(P.peoriae)、P.フェニシス(P.phoenicis)、P.フィルロスファエラエ(P.phyllosphaerae)、P.ポリミクサ(P.polymyxa)、P.ポピリアエ(P.popilliae)、P.リゾスファエラエ(P.rhizosphaerae)、P.サングイニス(P.sanguinis)、P.ステリファー(P.stellifer)、P.タイチュンエンシス(P.taichungensis)、P.テラエ(P.terrae)、P.チアミノリティカス(P.thiaminolyticus)、P.チモネンシス(P.timonensis)、P.チロピリ(P.tylopili)、P.ツリセンシス(P.turicensis)、P.バリダス(P.validus)、P.ボルテックス(P.vortex)、P.ブルネリス(P.vulneris)、P.ウィニイ(P.wynnii)、P.キシラニリティカス(P.xylanilyticus)、特に好ましくはパエニバチルス・コーリエンシス(Paenibacillus koreensis)、パエニバチルス・リゾスファエラエ(Paenibacillus rhizosphaerae)、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・アミロリティカス(Paenibacillus amylolyticus)、パエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)、パエニバチルス・ポリミクサ・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・プランタルム(Paenibacillus polymyxa plantarum)、パエニバチルス新種エピフィチカス(Paenibacillus nov.spec epiphyticus)、パエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)、パエニバチルス・マセランス(Paenibacillus macerans)、パエニバチルス・アルベイ(Paenibacillus alvei)、より好ましいのは、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・プランタルム(Paenibacillus polymyxa plantarum)、パエニバチルス新種エピフィチカス(Paenibacillus nov.spec epiphyticus)、パエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)、パエニバチルス・マセランス(Paenibacillus macerans)、パエニバチルス・アルベイ(Paenibacillus alvei)、更により好ましくはパエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・プランタルム(Paenibacillus polymyxa plantarum)及びパエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)。
【0054】
バチルス(Bacillus)種:B.アビッサリス(B.abyssalis)、B.アカンティ(B.acanthi)、B.アシディセラー(B.acidiceler)、B.アシディコーラ(B.acidicola)、B.アシディプロデュセンス(B.acidiproducens)、B.アシディトレランス(B.aciditolerans)、B.アシドプルリチカス(B.acidopullulyticus)、B.アシドボランス(B.acidovorans)、B.アエオリウス(B.aeolius)、B.エクオロリス(B.aequororis)、B.アエリス(B.aeris)、B.アエリウス(B.aerius)、B.アエロラクティカス(B.aerolacticus)、B.アエスツアリイ(B.aestuarii)、B.アイディンゲンシス(B.aidingensis)、B.アキバイ(B.akibai)、B.アルカリイヌリヌス(B.alcaliinulinus)、B.アルカロフィルス(B.alcalophilus)、B.アルギコーラ(B.algicola)、B.アルカリコーラ(B.alkalicola)、B.アルカリラクス(B.alkalilacus)、B.アルカリニトリリクス(B.alkalinitrilicus)、B.アルカリセディミニス(B.alkalisediminis)、B.アルカリテルリス(B.alkalitelluris)、B.アルカリトレランス(B.alkalitolerans)、B.アルカロガヤ(B.alkalogaya)、B.アルティテュディニス(B.altitudinis)、B.アルベアユエンシス(B.alveayuensis)、B.アミリエンシス(B.amiliensis)、B.アンドレエセニ(B.andreesenii)、B.アンドレラオウルティ(B.andreraoultii)、B.アポロエウス(B.aporrhoeus)、B.アクイマリス(B.aquimaris)、B.アルブチニボランス(B.arbutinivorans)、B.アリアブハッタイ(B.aryabhattai)、B.アサヒイ(B.asahii)、P.アウランティアクス(P.aurantiacus)、B.オーストラリマリス(B.australimaris)、B.アゾトフォルマンス(B.azotoformans)、B.バクテリウム(B.bacterium)、B.バディウス(B.badius)、B.ベキュリュンゲンシス(B.baekryungensis)、B.バタビエンシス(B.bataviensis)、B.ベンゾエボランス(B.benzoevorans)、B.ベリンゲンシス(B.beringensis)、B.ベルケレイ(B.berkeleyi)、B.ベベリッジイ(B.beveridgei)、B.ビンマヨンゲンシス(B.bingmayongensis)、B.ボゴリエンシス(B.bogoriensis)、B.ボルボリ(B.borbori)、B.ボロニフィルス(B.boroniphilus)、B.ブタノリボランス(B.butanolivorans)、B.カブリアレシイ(B.cabrialesii)、B.カカエ(B.caccae)、B.カメリアエ(B.camelliae)、B.カンピサリス(B.campisalis)、B.カナベラリウス(B.canaveralius)、B.カパリディス(B.capparidis)、B.カルボニフィルス(B.carboniphilus)、B.カサマンセンシス(B.casamancensis)、B.カゼイニリティクス(B.caseinilyticus)、B.カテヌラツス(B.catenulatus)、B.カベルナエ(B.cavernae)、B.セセムベンシス(B.cecembensis)、B.セルロシリティカス(B.cellulosilyticus)、B.チャガンノレンシス(B.chagannorensis)、B.チャンディーガルヘンシス(B.chandigarhensis)、B.チョナネンシス(B.cheonanensis)、B.チュンガゲンシス(B.chungangensis)、B.シセンシス(B.ciccensis)、B.シフエンシス(B.cihuensis)、B.サークランス(B.circulans)、B.クラウシイ(B.clausii)、B.コアグランス(B.coagulans)、B.コアウィレンシス(B.coahuilensis)、B.コーニイ(B.cohnii)、B.コンポスティ(B.composti)、B.コニフェルム(B.coniferum)、B.コレアエンシス(B.coreaensis)、B.クラソストレアエ(B.crassostreae)、B.クレッセンス(B.crescens)、B.ククミス(B.cucumis)、B.ダカレンシス(B.dakarensis)、B.ダリエンシス(B.daliensis)、B.ダナンゲンシス(B.danangensis)、B.ダキンゲンシス(B.daqingensis)、B.デシシフロンディス(B.decisifrondis)、B.デコロラティオニス(B.decolorationis)、B.デプレサス(B.depressus)、B.デラミフィカンス(B.deramificans)、B.デザーティ(B.deserti)、B.ディエルモエンシス(B.dielmoensis)、B.ジベロレンシス(B.djibelorensis)、B.ドレンテンシス(B.drentensis)、B.エクトイニフォルマンス(B.ectoiniformans)、B.エイセニアエ(B.eiseniae)、B.エンクレンシス(B.enclensis)、B.エンドリチカス(B.endolithicus)、B.エンドフィティカス(B.endophyticus)、B.エンドラディシス(B.endoradicis)、B.エンドザントキシリカス(B.endozanthoxylicus)、B.ファラギニス(B.farraginis)、B.ファスティディオサス(B.fastidiosus)、B.フェンキウエンシス(B.fengqiuensis)、B.フェルメンティ(B.fermenti)、B.フェラリアラム(B.ferrariarum)、B.フィラメントスス(B.filamentosus)、B.フィルミス(B.firmis)、B.ファーマス(B.firmus)、B.フラボカルダリウス(B.flavocaldarius)、B.フレクス(B.flexus)、B.ホラミニス(B.foraminis)、B.フォルディ(B.fordii)、B.フォルモセンシス(B.formosensis)、B.フォルティス(B.fortis)、B.フリューデンレイッヒイ(B.freudenreichii)、B.フコシボランス(B.fucosivorans)、B.フマリオリ(B.fumarioli)、B.フニクルス(B.funiculus)、B.ガラクトシディリティカス(B.galactosidilyticus)、B.ガリシエンシス(B.galliciensis)、B.ギブソニイ(B.gibsonii)、B.ジンセンギソリ(B.ginsenggisoli)、B.ジンセンイフミ(B.ginsengihumi)、B.ジンセンイソリ(B.ginsengisoli)、B.グレンニー(B.glennii)、B.グリシニフェルメンタンス(B.glycinifermentans)、B.ゴビエンシス(B.gobiensis)、B.ゴシッピー(B.gossypii)、B.ゴッテイリイ(B.gottheilii)、B.グラミニス(B.graminis)、B.グラナデンシス(B.granadensis)、B.ハッケンサッキイ(B.hackensackii)、B.ハイコウエンシス(B.haikouensis)、B.ハルマパルス(B.halmapalus)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.ハロサッカロボランス(B.halosaccharovorans)、B.ハイネシイ(B.haynesii)、B.ヘミセルロシリティカス(B.hemicellulosilyticus)、B.ヘミセントロティ(B.hemicentroti)、B.ハーバーステイネンシス(B.herbersteinensis)、B.ヒサシイ(B.hisashii)、B.ホリコシイ(B.horikoshii)、B.ホルネキアエ(B.horneckiae)、B.ホルティ(B.horti)、B.フイジョウエンシス(B.huizhouensis)、B.ヒュミ(B.humi)、B.フナンエンシス(B.hunanensis)、B.ヒュワジンポエンシス(B.hwajinpoensis)、B.イドリエンシス(B.idriensis)、B.インディカス(B.indicus)、B.インファンティス(B.infantis)、B.インフェルナス(B.infernus)、B.インターメディウス(B.intermedius)、B.インテスティナリス(B.intestinalis)、B.イオカサエ(B.iocasae)、B.イサベリアエ(B.isabeliae)、B.イスラエリ(B.israeli)、B.ジェダヘンシス(B.jeddahensis)、B.ジェトガリ(B.jeotgali)、B.ケクスエアエ(B.kexueae)、B.キスクンサゲンシス(B.kiskunsagensis)、B.コッチイ(B.kochii)、B.コケシフォルミス(B.kokeshiiformis)、B.コーリエンシス(B.koreensis)、B.コルレンシス(B.korlensis)、B.クリベンシス(B.kribbensis)、B.クルウィチアエ(B.krulwichiae)、B.クワシオルコリ(B.kwashiorkori)、B.キョンギエンシス(B.kyonggiensis)、B.ラシサルシー(B.lacisalsi)、B.ラクス(B.lacus)、B.レヘンシス(B.lehensis)、B.レンタス(B.lentus)、B.リグニニフィルス(B.ligniniphilus)、B.リンディアネンシス(B.lindianensis)、B.リトラリース(B.litoralis)、B.ロイセレウリアエ(B.loiseleuriae)、B.ロナレンシス(B.lonarensis)、B.ロンギクアエシトゥム(B.longiquaesitum)、
B.ロンギスポルス(B.longisporus)、B.ルシフェレンシス(B.luciferensis)、B.ルテオルス(B.luteolus)、B.ルテウス(B.luteus)、B.リコペルシシ(B.lycopersici)、B.マガテリウム(B.magaterium)、B.マリキイ(B.malikii)、B.マングロベンシス(B.mangrovensis)、B.マングロビ(B.mangrovi)、B.マンナニライティカス(B.mannanilyticus)、B.マヌセンシス(B.manusensis)、B.マラスミ(B.marasmi)、B.マルコレスチンクタム(B.marcorestinctum)、B.マリニセディメントーラム(B.marinisedimentorum)、B.マリスフラビ(B.marisflavi)、B.マリティムス(B.maritimus)、B.マルマレンシス(B.marmarensis)、B.マッシリグラシエイ(B.massiliglaciei)、B.マッシリオアノレクシウス(B.massilioanorexius)、B.マッシリオガボネンシス(B.massiliogabonensis)、B.マッシリオゴリラエ(B.massiliogorillae)、B.マッシリオニゲリエンシス(B.massilionigeriensis)、B.マッシリオセネガレンシス(B.massiliosenegalensis)、B.メディテラネエンシス(B.mediterraneensis)、B.メガテリウム(B.megaterium)、B.メソナエ(B.mesonae)、B.メソフィラム(B.mesophilum)、B.メソフィルス(B.mesophilus)、B.メタノリカス(B.methanolicus)、B.ミスカンティ(B.miscanthi)、B.ムラリス(B.muralis)、B.ムリマルティニ(B.murimartini)、B.ナカムライ(B.nakamurai)、B.ナンハイイセディミニス(B.nanhaiisediminis)、B.ナトロノフィルス(B.natronophilus)、B.ンディオピクス(B.ndiopicus)、B.ネアルソニイ(B.nealsonii)、B.ネマトシダ(B.nematocida)、B.ナイアベンシス(B.niabensis)、B.ナイアシニ(B.niacini)、B.ナイアメイエンシス(B.niameyensis)、B.ニトリトフィルス(B.nitritophilus)、B.ノトジンセンイソリ(B.notoginsengisoli)、B.ノバリス(B.novalis)、B.オブストラクティブス(B.obstructivus)、B.オセアニ(B.oceani)、B.オセアニセディミニス(B.oceanisediminis)、B.オーベンシス(B.ohbensis)、B.オケンシス(B.okhensis)、B.オクヒデンシス(B.okuhidensis)、B.オレイボランス(B.oleivorans)、B.オレロニウス(B.oleronius)、B.オリバエ(B.olivae)、B.オヌベンシス(B.onubensis)、B.オリゼー(B.oryzae)、B.オリゼーコルチシス(B.oryzaecorticis)、B.オリジソリ(B.oryzisoli)、B.オリジテラエ(B.oryziterrae)、B.オシメンシス(B.oshimensis)、B.パキスタネンシス(B.pakistanensis)、B.パナチソリ(B.panacisoli)、B.パナチテラエ(B.panaciterrae)、B.パラフレクサス(B.paraflexus)、B.パタゴニエンシス(B.patagoniensis)、B.ペルシクス(B.persicus)、B.ペルバガス(B.pervagus)、B.フォカエエンシス(B.phocaeensis)、B.ピチノチイ(B.pichinotyi)、B.ピスシコーラ(B.piscicola)、B.ピスシス(B.piscis)、B.プラコルチディス(B.plakortidis)、B.ポケオネンシス(B.pocheonensis)、B.ポリゴニ(B.polygoni)、B.ポリマチュス(B.polymachus)、B.ポプリ(B.populi)、B.プラエディー(B.praedii)、B.シュードアルカリフィルス(B.pseudalcaliphilus)、B.シュードファーマス(B.pseudofirmus)、B.シュードフレクス(B.pseudoflexus)、B.シュードメガテリウム(B.pseudomegaterium)、B.サイクロサッカロリティカス(B.psychrosaccharolyticus)、B.プミルス(B.pumilus)、B.プルガチオニレジステンス(B.purgationiresistens)、B.チンシェンイー(B.qingshengii)、B.ラセミラクティカス(B.racemilacticus)、B.リゾスファエラエ(B.rhizosphaerae)、B.リジリプロフンディ(B.rigiliprofundi)、B.ルビインファンティス(B.rubiinfantis)、B.ルリス(B.ruris)、B.サフェンシス(B.safensis)、B.サガニー(B.saganii)、B.サラセティス(B.salacetis)、B.サラリウス(B.salarius)、B.サリデュランス(B.salidurans)、B.サリス(B.salis)、B.サリトレランス(B.salitolerans)、B.サルマラヤ(B.salmalaya)、B.サルサス(B.salsus)、B.セディミニス(B.sediminis)、B.セレナタルセナティス(B.selenatarsenatis)、B.セネガレンシス(B.senegalensis)、B.セオヘアネンシス(B.seohaeanensis)、B.シャチェエンシス(B.shacheensis)、B.シャクレトニイ(B.shackletonii)、B.シャントゥンゲンシス(B.shandongensis)、B.シバジ(B.shivajii)、B.シミリス(B.similis)、B.シンプレックス(B.simplex)、B.シネサロウムエンシス(B.sinesaloumensis)、B.シラリス(B.siralis)、B.スミシイ(B.smithii)、B.ソラニ(B.solani)、B.ソリ(B.soli)、B.ソリマングロビ(B.solimangrovi)、B.ソリシルバエ(B.solisilvae)、B.ソングクレンシス(B.songklensis)、B.スポンギアエ(B.spongiae)、B.スポロサーモデュランス(B.sporothermodurans)、B.スタムシ(B.stamsii)、B.サブテラネウス(B.subterraneus)、B.スウェゼイ(B.swezeyi)、B.タエアネンシス(B.taeanensis)、B.タイワンエンシス(B.taiwanensis)、B.タマリシス(B.tamaricis)、B.タクシ(B.taxi)、B.テラエ(B.terrae)、B.テスティス(B.testis)、B.タオンヒエンシス(B.thaonhiensis)、B.サーモアルカロフィルス(B.thermoalkalophilus)、B.サーモアミロリケファシエンス(B.thermoamyloliquefaciens)、B.サーモアミロボランス(B.thermoamylovorans)、B.サーモコプリアエ(B.thermocopriae)、B.サーモラクティス(B.thermolactis)、B.サーモフィルス(B.thermophilus)、B.サーモプロテオリティカス(B.thermoproteolyticus)、B.サーモテレストリス(B.thermoterrestris)、B.サーモゼアマイゼ(B.thermozeamaize)、B.チオパランス(B.thioparans)、B.チアンムエンシス(B.tianmuensis)、B.ティエンシェンイー(B.tianshenii)、B.チモネンシス(B.timonensis)、B.チプキラリス(B.tipchiralis)、B.トリポキシリコーラ(B.trypoxylicola)、B.トゥアレギ(B.tuaregi)、B.ウルムチエンシス(B.urumqiensis)、B.ベトナメンシス(B.vietnamensis)、B.ヴィニー(B.vini)、B.ビレティ(B.vireti)、B.ビスコーサス(B.viscosus)、B.ビテリヌス(B.vitellinus)、B.ワコーエンシス(B.wakoensis)、B.ウェイハイエンシス(B.weihaiensis)、B.ウーターリエンチーエンシス(B.wudalianchiensis)、B.ウーイーシャンエンシス(B.wuyishanensis)、B.シアメンエンシス(B.xiamenensis)、
B.シャオシエンシス(B.xiaoxiensis)、B.ザントキシリ(B.zanthoxyli)、B.ジアエ(B.zeae)、B.チャンチョウエンシス(B.zhangzhouensis)、B.チャンチヤンエンシス(B.zhanjiangensis)、好ましくはバチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、B.メガテリウム(B.megaterium)、B.サブティリス(B.subtilis)、B.プミルス(B.pumilus)、B.ファーマス(B.firmus)、B.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)、B.ベレゼンシス(B.velezensis)、B.リネンス(B.linens)、B.アトロファエウス(B.atrophaeus)、B.アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.アリアブハッタイ(B.aryabhattai)、B.セレウス(B.cereus)、B.アクアティリス(B.aquatilis)、B.サークランス(B.circulans)、B.クラウシイ(B.clausii)、B.スファエリカス(B.sphaericus)、B.チアミノリティカス(B.thiaminolyticus)、B.モジャベンシス(B.mojavensis)、B.バリスモルティス(B.vallismortis)、B.コアグランス(B.coagulans)、B.ソノレンシス(B.sonorensis)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.ポケオネンシス(B.pocheonensis)、B.ギブソニイ(B.gibsonii)、B.アシディセラー(B.acidiceler)、B.フレクス(B.flexus)、B.フナンエンシス(B.hunanensis)、B.シュードマイコイデス(B.pseudomycoides)、B.シンプレックス(B.simplex)、B.サフェンシス(B.safensis)、B.マイコイデス(B.mycoides)、特に好ましくはB.アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.リケニホルミス(B.licheniformis)、B.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)、B.ベレゼンシス(B.velezensis)、B.サブティリス(B.subtilis)及びB.メガテリウム(B.megatherium)、更により好ましくはB.アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)、B.ベレゼンシス(B.velezensis)及びB.メガテリウム(B.megatherium)。本発明がバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)胞子のみを考慮せずに組成物及びそれらの生成方法を教示することは、本発明の特定の利点である。特に、本発明は、本明細書に記載の組成物、製品、方法及び使用であって、胞子は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)胞子を含まないが、他のバチルス(Bacillus)、パエニバチルス(Paenibacillus)及び/又はクロストリジウム(Clostridium)胞子を含む、組成物、製品、方法及び使用も提供する。
【0055】
クロストリジウム(Clostridium)種:C.オートエタノゲナム(C.autoethanogenum)、C.ベイジェリンキ(C.beijerinckii)、C.ブチリカム(C.butyricum)、C.カルボキシディボランス(C.carboxidivorans)、C.ディスポリカム(C.disporicum)、C.ドラケイ(C.drakei)、C.リュングダリイ(C.ljungdahlii)、C.クルイベリ(C.kluyveri)、C.パステリアヌム(C.pasteurianum)、C.プロピオニカム(C.propionicum)、C.サッカロブチリカム(C.saccharobutylicum)、C.サッカロパーブチルアセトニカム(C.saccharoperbutylacetonicum)、C.スカトロゲネス(C.scatologenes)、C.チロブチリカム(C.tyrobutyricum)、好ましくは、C.ブチリカム(C.butyricum)、C.パステリアヌム(C.pasteurianum)及び/又はC.チロブチリカム(C.tyrobutyricum)、C.アエロトレランス(C.aerotolerans)、C.アミノフィルム(C.aminophilum)、C.アミンバレリカム(C.aminvalericum)、C.セレレクレッセンス(C.celerecrescens)、C.アスパラグフォルメ(C.asparagforme)、C.ボルテアエ(C.bolteae)、C.クロストリディオフォルメ(C.clostridioforme)、C.グリチリジニリチカム(C.glycyrrhizinilyticum)、C.(フンガテラ)ハセワイ(C.(Hungatela)hathewayi)、C.ヒストリティカム(C.histolyticum)、C.インドーリス(C.indolis)、C.レプツム(C.leptum)、C.(ティゼレラ)ネキシレ(C.(Tyzzerella)nexile)、C.パーフリンジェンス(C.perfringens)、C.(エリシペラトクロストリジウム)ラモーサム(C.(Erysipelatoclostridium)ramosum)、C.シンデンス(C.scindens)、C.シンビオサム(C.symbiosum)、クロストリジウム・サッカログミア(Clostridium saccharogumia)、クロストリジウム・ソルデリイ(Clostridium sordelli)、クロストリジウム・クロストリディオフォルメ(Clostridium clostridioforme)、C.メチルペントサム(C.methylpentosum)、C.イスランジクム(C.islandicum)並びにクロストリジウム(Clostridia)クラスターIV、XIVa及びXVIIIの全てのメンバー、特に好ましいのは、C.ブチリカム(C.butyricum)。
【0056】
いくつかの好適なバチルス(Bacillus)株及びパエニバチルス(Paenibacillus)株は、以下の国際特許出願に記載され寄託されている。そのような微生物の胞子又はそれらの任意の殺有害生物活性を有する変異株は、本発明による組成物の胞子として組み込まれ得る:国際公開第2020200959号パンフレット:NRRLアクセッション番号B-21661で寄託されたバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)又はバチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)QST713又はその殺真菌性突然変異株。バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)QST713、その突然変異株、その上清及びそのリポペプチド代謝産物並びに植物病原体及び昆虫を防除するためのそれらの使用方法は、米国特許第6060051号明細書、同第6103228号明細書、同第6291426号明細書、同第6417163号明細書及び同第6638910号明細書に十分に記載されている。これらの特許において、株はQST713と同義のAQ713と称される;国際公開第2020102592号パンフレット:バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)株NRRL B-67685、NRRL B-67687及びNRRL B-67688;国際公開第2019135972号パンフレット:寄託アクセッション番号NRRL B-67533又はNRRL B-67534を有するバチルス・メガテリウム(Bacillus megatherium);国際公開第2019035881号パンフレット:パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-50972、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67129、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67304、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67615、アクセッション番号NRRL B-50421で寄託されたバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)株QST30002及びバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)株NRRL B-50455;国際公開第2018081543号パンフレット:ATCCアクセッション番号PT A-123720又はPT A-124246で寄託されたバチルス・サイクロサッカロリティカス(Bacillus psychrosaccharolyticus)株;国際公開第2017151742号パンフレット:アクセッション番号NRRL B-21661を割り当てられたバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis);国際公開第2016106063号パンフレット:バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)NRLL B-30087;国際公開第2013152353号パンフレット:CNMC 1-1582として寄託されたバチルス属種(Bacillus sp.);国際公開第2013016361号パンフレット:NRRL B-50760として寄託されたバチルス属種(Bacillus sp.)株SGI-015-F03、NRRL B-50761として寄託されたバチルス属種(Bacillus sp.)株SGI-015-H06;国際公開第2020181053号パンフレット:パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67721、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67723、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67724、パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-50374;国際公開第2020061140号パンフレット:パエニバチルス属種(Paenibacillus sp.)NRRL B-67306。
【0057】
本発明によれば、胞子は、野生型微生物又は遺伝子改変微生物に由来し得る。野生型微生物試料は、好ましくはカルチャーコレクションに基準株として記録されている。遺伝子改変は、ランダム変異導入、例えばNTG化学的変異導入、UV照射若しくはトランスポゾン変異導入又は特異的変異導入、例えば異種プラスミドの組み込み若しくは異種核酸を用いた相同組換え及び/或いは部位特異的変異導入、例えばメガヌクレアーゼ、TALEN又はCRISPR型の変異導入の使用によって行われ得る。例えば、バチルス(Bacillus)及びパエニバチルス(Paenibacillus)の変異導入の好ましい方法は、国際公開第2017117395号パンフレットに記載されており、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
上述のように、本組成物は、好ましくは1種以上のパエニバチルス(Paenibacillus)種の本発明による胞子、より好ましくはパエニバチルス・アルベイ(Paenibacillus alvei)、パエニバチルス・マセランス(Paenibacillus macerans)、パエニバチルス新種エピフィチカス(Paenibacillus nov.spec epiphyticus)、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ亜種ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa ssp.polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ亜種プランタルム(Paenibacillus polymyxa ssp.plantarum)又はパエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)のいずれかの本発明による胞子を含み、パエニバチルス(Paenibacillus)種は、最も好ましくはフサリシジン生成株である。このようなパエニバチルス(Paenibacillus)種は、広く研究されており、例えば、粘液の形成を低減させ、それに応じて液相発酵の粘度を低下させるために変異導入されている。したがって、好ましいパエニバチルス(Paenibacillus)株及びその製造方法は、国際公開第2020181053号パンフレット、国際公開第2019221988号パンフレット、国際公開第2016154297号パンフレット、国際公開第2017137351号パンフレット、国際公開第2017137353号パンフレット及び国際公開第2016020371号パンフレットのいずれかに更に記載されている。
【0059】
上記のように、本発明の胞子組成物は、好ましくは、胞子の形態であるか胞子に吸着若しくは付着している、1種以上のバイオ殺有害生物剤を含むか、又は胞子に加えて1種以上のバイオ殺有害生物剤を含む。そのようなバイオ殺有害生物剤は、好ましくは以下から選択される:
L1)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する微生物殺有害生物剤:アンペロマイセス・クイスクアリス(Ampelomyces quisqualis)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、オーレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、バチルス・アルティテュディニス(Bacillus altitudinis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・モジャベンシス(Bacillus mojavensis)、バチルス・マイコイデス(Bacillus mycoides)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・シンプレックス(Bacillus simplex)、バチルス・ソリサルシ(Bacillus solisalsi)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、バチルス・サブティリス変種アミロリクエファシエンス(Bacillus subtilis var.amyloliquefaciens)、カンジダ・オレオフィラ(Candida oleophila)、カンジダ・サイトアナ(Candida saitoana)、クラビバクター・ミシガンエンシス(Clavibacter michiganensis)(バクテリオファージ)、コニオチリウム・ミニタンス(Coniothyrium minitans)、クリフォネクトリア・パラシティカ(Cryphonectria parasitica)、クリプトコックス・アルビダス(Cryptococcus albidus)、ジロホスホラ・アロペクリ(Dilophosphora alopecuri)、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、クロノスタキス・ロゼア品種カテヌラタ(Clonostachys rosea f.catenulata)(グリオクラディウム・カテヌラタム(Gliocladium catenulatum)とも命名されている)、グリオクラディウム・ロゼウム(Gliocladium roseum)、ライソバクター・アンティビオティカス(Lysobacter antibioticus)、ライソバクター・エンザイモゲネス(Lysobacter enzymogenes)、メッシュニコウィア・フルクチコラ(Metschnikowia fructicola)、ミクロドキウム・ジメルム(Microdochium dimerum)、ミクロスフェロプシス・オクラセア(Microsphaeropsis ochracea)、ムスコドル・アルブス(Muscodor albus)、パエニバチルス・アルベイ(Paenibacillus alvei)、パエニバチルス・エピフィチカス(Paenibacillus epiphyticus)、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・アグロメランス(Paenibacillus agglomerans)、パントエア・バガンス(Pantoea vagans)、ペニシリウム・ビライアエ(Penicillium bilaiae)、フレビオプシス・ギガンテア(Phlebiopsis gigantea)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードザイマ・フロキュロサ(Pseudozyma flocculosa)、ピキア・アノマラ(Pichia anomala)、フィチウム・オリガンドラム(Pythium oligandrum)、スフェロデス・ミコパラシチカ(Sphaerodes mycoparasitica)、ストレプトマイセス・グリセオビリディス(Streptomyces griseoviridis)、ストレプトマイセス・ライディカス(Streptomyces lydicus)、ストレプトマイセス・バイオラセウスニガー(Streptomyces violaceusniger)、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)、トリコデルマ・アスペレルム(Trichoderma asperellum)、トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)、トリコデルマ・アスペレロイデス(Trichoderma asperelloides)、トリコデルマ・フェルティレ(Trichoderma fertile)、トリコデルマ・ガムシー(Trichoderma gamsii)、トリコデルマ・ハルマツム(Trichoderma harmatum)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・ポリスポルム(Trichoderma polysporum)、トリコデルマ・ストロマチカム(Trichoderma stromaticum)、トリコデルマ・ビレンス(Trichoderma virens)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、チフラ・ファコリーザ(Typhula phacorrhiza)、ウロクラディウム・オウデマンシ(Ulocladium oudemansii)、バーティシリウム・ダリア(Verticillium dahlia)、ズッキーニ黄色モザイクウイルス(無毒株);
L2)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する生化学的殺有害生物剤:キトサン(加水分解物)、フサリシジン、パエニセリン(paeniserine)、パエニプロリキシン(paeniprolixine)、ハーピンタンパク質、ラミナリン、メンハーデン魚油、ナタマイシン、プラムポックスウイルスコートタンパク質、重炭酸カリウム又は重炭酸ナトリウム、オオイタドリ(Reynoutria sachalinensis)抽出物、サリチル酸、ティーツリー油(メラレウカ・アルテルニフォリア(Melaleuca alternifolia)抽出物);
L3)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性及び/又は殺線虫活性を有する微生物殺有害生物剤:アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・チューリンゲンシス亜種アイザワイ(Bacillus thuringiensis ssp.aizawai)、バチルス・チューリンゲンシス亜種イスラエレンシス(Bacillus thuringiensis ssp.israelensis)、バチルス・チューリンゲンシス亜種ガレリアエ(Bacillus thuringiensis ssp.galleriae)、バチルス・チューリンゲンシス亜種クルスタキ(Bacillus thuringiensis ssp.kurstaki)、バチルス・チューリンゲンシス亜種テネブリオニス(Bacillus thuringiensis ssp.tenebrionis)、ボーベリア・バッシアーナ(Beauveria bassiana)、ボーベリア・ブロングニアルティ(Beauveria brongniartii)、バークホルデリア・リノジェンシス(Burkholderia rinojensis)、クロモバクテリウム・サブツガエ(Chromobacterium subtsugae)、シディア・ポモネラ(Cydia pomonella)顆粒ウイルス(CpGV)、クリプトフレビア・ロイコトレタ(Cryptophlebia leucotreta)顆粒ウイルス(CrleGV)、フラボバクテリウム属種(Flavobacterium spp.)、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)核多角体病ウイルス(HearNPV)、ヘテロラブディティス・バクテリオフォラ(Heterorhabditis bacteriophora)、イサリア・フモソロセア(Isaria fumosorosea)、レカニシリウム・ロンギスポルム(Lecanicillium longisporum)、レカニシリウム・ムスカリウム(Lecanicillium muscarium)、メタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium anisopliae)、メタリジウム・アニソプリエ変種アニソプリエ(Metarhizium anisopliae var.anisopliae)、メタリジウム・アニソプリエ変種アクリダム(Metarhizium anisopliae var.acridum)、ノムラエア・リレイ(Nomuraea rileyi)、ペシロマイセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)、パエニバチルス・ポピリアエ(Paenibacillus popilliae)、パスツリア・ニシザワエ(Pasteuria nishizawae)、パスツリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)、パスツリア・ラモサ(Pasteuria ramosa)、パスツリア・トルネア(Pasteuria thornea)、パスツリア・ウスガエ(Pasteuria usgae)、ファスマラブディティス・ヘルマフロディータ(Phasmarhabditis hermaphrodita)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、スポドプテラ・リトラリス(Spodoptera littoralis)核多角体病ウイルス(SpliNPV)、ステイネルネマ・カルポカプサエ(Steinernema carpocapsae)、ステイネルネマ・フェルティアエ(Steinernema feltiae)、ステイネルネマ・クラウセイ(Steinernema kraussei)、ステイネルネマ・リオブラベ(Steinernema riobrave)、ストレプトマイセス・ガルブス(Streptomyces galbus)、ストレプトマイセス・ミクロフラブス(Streptomyces microflavus)、ペシロマイセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus);
L4)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性、フェロモン活性及び/又は殺線虫活性を有する生化学的殺有害生物剤;L-カルボン、シトラール、(E,Z)-7,9-ドデカジエン-1-イルアセテート、ギ酸エチル、(E,Z)-2,4-エチルデカジエノエート(ペアーエステル)、(Z,Z,E)-7,11,13-ヘキサデカトリエナール、酪酸ヘプチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラバニュリルセネシオエート(lavanulyl senecioate)、cis-ジャスモン、2-メチル1-ブタノール、メチルオイゲノール、ジャスモン酸メチル、(E,Z)-2,13-オクタデカジエン-1-オール、(E,Z)-2,13-オクタデカジエン-1-オールアセテート、(E,Z)-3,13-オクタデカジエン-1-オール、R-1-オクテン-3-オール、ペンタテルマノン(pentatermanone)、ケイ酸カリウム、ソルビトールアクタノエート(sorbitol actanoate)、(E,Z,Z)-3,8,11-テトラデカトリエニルアセテート、(Z,E)-9,12-テトラデカジエン-1-イルアセテート、Z-7-テトラデセン-2-オン、Z-9-テトラデセン-1-イルアセテート、Z-11-テトラデセナール、Z-11-テトラデセン-1-オール、アカシア・ネグラ(Acacia negra)抽出物、グレープフルーツの種子及び果肉の抽出物、アリタソウ(Chenopodium ambrosioides)抽出物、イヌハッカ油、ニーム油、キラヤ(Quillay)抽出物、タゲテス(Tagetes)油;
L5)植物ストレス低減活性、植物成長調節剤活性、植物成長促進活性及び/又は収量増大活性を有する微生物殺有害生物剤:アゾスピリルム・アマゾネンス(Azospirillum amazonense)、アゾスピリルム・ブラジレンス(Azospirillum brasilense)、アゾスピリルム・リポフェルム(Azospirillum lipoferum)、アゾスピリルム・イラケンス(Azospirillum irakense)、アゾスピリルム・ハロプラエフェレンス(Azospirillum halopraeferens)、ブラディリゾビウム・エルカニ(Bradyrhizobium elkanii)、ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)、ブラディリゾビウム属種(Bradyrhizobium spp.)、ブラディリゾビウム・リアオニンゲンス(Bradyrhizobium liaoningense)、ブラディリゾビウム・ルピニー(Bradyrhizobium lupini)、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)、グロムス・イントララディセス(Glomus intraradices)、メソリゾビウム属種(Mesorhizobium spp.)、メソリゾビウム・シセリ(Mesorhizobium ciceri)、リゾビウム・レグミノサーラム次亜種ファセオリ(Rhizobium leguminosarum bv.phaseoli)、リゾビウム・レグミノサーラム次亜種トリフォリ(Rhizobium leguminosarum bv.trifolii)、リゾビウム・レグミノサーラム次亜種ビシアエ(Rhizobium leguminosarum bv.viciae)、リゾビウム・トロピシ(Rhizobium tropici)、シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizobium meliloti)、シノリゾビウム・メディカエ(Sinorhizobium medicae);
L6)植物ストレス低減活性、植物成長調節剤活性及び/又は植物収量増大活性を有する生化学的殺有害生物剤:アブシジン酸、ケイ酸アルミニウム(カオリン)、3-デセン-2-オン、ホルモノネクチン(formononectin)、ゲニステイン、ヘスペレチン、ホモブラッシノリド、フミン酸塩、ジャスモン酸メチル、cis-ジャスモン、リゾホスファチジルエタンラミン(lysophosphatidyl ethanlamine)、ナリンゲニン、高分子ポリヒドロキシ酸、サリチル酸、アスコフィルム・ノドサム(Ascophyllum nodosum)(ノルウェーケルプ、ブラウンケルプ)抽出物及びエクロニア・マキシマ(Ecklonia maxima)(ケルプ)抽出物、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)、ブドウ種子抽出物。
【0060】
少なくとも1種のパエニバチルス(Paenibacillus)株を含む農業に使用するための例示的な組成物は、国際公開第2020064480号パンフレット、国際公開第2019012379号パンフレット、国際公開第2018202737号パンフレット、国際公開第2017137351号パンフレット、国際公開第2017137353号パンフレット、国際公開第2017093163号パンフレット、国際公開第2016202656号パンフレット、国際公開第2016142456号パンフレット、国際公開第2016128239号パンフレット、国際公開第2016071164号パンフレット、国際公開第2016059240号パンフレット、国際公開第2016034353号パンフレット、国際公開第2016020371号パンフレット、国際公開第2015180983号パンフレット、国際公開第2015180985号パンフレット、国際公開第2015181035号パンフレット、国際公開第2015180987号パンフレット、国際公開第2015181008号パンフレット、国際公開第2015180999号パンフレット、国際公開第2015181009号パンフレット、国際公開第2015177021号パンフレット、国際公開第2015104698号パンフレット、国際公開第2015091967号パンフレット、国際公開第2015055752号パンフレット、国際公開第2015055755号パンフレット、国際公開第2015055757号パンフレット、国際公開第2015011615号パンフレット、国際公開第2015003908号パンフレット、国際公開第2014202421号パンフレット、国際公開第2014147528号パンフレット、国際公開第2014095932号パンフレット、国際公開第2014095994号パンフレット、国際公開第2014086850号パンフレット、国際公開第2014086851号パンフレット、国際公開第2014086853号パンフレット、国際公開第2014086854号パンフレット、国際公開第2014086856号パンフレット、国際公開第2014086848号パンフレット、国際公開第2014076663号パンフレット、国際公開第2014056780号パンフレット、国際公開第2014053404号パンフレット、国際公開第2014053405号パンフレット及び国際公開第2014053398号パンフレット、国際公開第2020131413号パンフレット、国際公開第2020126980号パンフレット、国際公開第2020092017号パンフレット、国際公開第2020092022号パンフレット、国際公開第2020065025号パンフレット、国際公開第2020061140号パンフレット、国際公開第2020056070号パンフレット、国際公開第2020043650号パンフレット、国際公開第2019222253号パンフレット、国際公開第2019104173号パンフレット、国際公開第2019094368号パンフレット、国際公開第2019076891号パンフレット、国際公開第2018026773号パンフレット、国際公開第2018026774号パンフレット、国際公開第2018026770号パンフレット、国際公開第2017132330号パンフレット、国際公開第2016018887号パンフレット、国際公開第2016001125号パンフレット、国際公開第2015004260号パンフレット、国際公開第2014201326号パンフレット、国際公開第2014201327号パンフレット、国際公開第2014170364号パンフレット、国際公開第2014152132号パンフレット、国際公開第2014152115号パンフレット、国際公開第2014127195号パンフレット、国際公開第2014086752号パンフレット、国際公開第2014083033号パンフレット、国際公開第2013110591号パンフレット、国際公開第2013110594号パンフレット及び国際公開第2012140212号パンフレットに記載されている。本発明は、それぞれのパエニバチルス(Paenibacillus)株の胞子を特に保存時に安定である形態で提供し、そのような胞子組成物の特に効率的且つ急速な生成を可能にする方法を使用することにより、これらの刊行物の教示を改善する。
【0061】
本発明による組成物は、少なくとも1種のフサリシジン、パエニセリン又はパエニプロリキシン、好ましくは少なくとも2種以上、より好ましくは3~40種のフサリシジン、より好ましくは組成物の全フサリシジンの少なくとも50mol%を構成する2~10種のフサリシジン、より好ましくは組成物の全フサリシジンの少なくとも60mol%を構成する2~10種のフサリシジン、より好ましくは組成物の全フサリシジンの少なくとも70mol%を構成する2~10種のフサリシジン、より好ましくは組成物の全フサリシジンの少なくとも80mol%を構成する2~10種のフサリシジンを含むことが特に好ましい。いずれの場合にも、フサリシジンの1種以上がフサリシジンA、B又はDのいずれかを含むことが特に好ましい。好ましくは、組成物は、少なくとも1種のフサリシジンに加えて又はその代わりに、サーファクチン及び/又はイツリンを含む。そのようなフサリシジン、サーファクチン及びイツリンは、殺細菌及び/又は殺真菌活性を有する特に有効なバイオ殺有害生物剤である。更に、本明細書に示されるように、本発明の組成物により、そのようなフサリシジンを高収量で生成し、それらを農業用製品へ組み込むことが可能になる。したがって、本発明の組成物は、バイオ殺有害生物剤としての使用並びに/又は抗真菌及び/若しくは抗細菌植物健康製品における使用に特に好適である。
【0062】
胞子は、通常、液相発酵中で生成され、発酵ブロスから(例えば濃縮によって)精製される。発酵ブロス又はブロス濃縮物は、噴霧乾燥、凍結乾燥、トレイ乾燥、流動床乾燥、ドラム乾燥又は蒸発などの従来の乾燥プロセス又は方法を使用して、担体を添加して又は添加せずに乾燥させることができる。得られた乾燥生成物を粉砕又は造粒などによって更に処理して、特定の粒径又は物理的形式を得ることができる。以下に記載する担体を、乾燥後に添加することもできる。
【0063】
本発明による胞子組成物は、好ましくは、安定剤(好ましくはグリセロール)、増量剤、溶媒、界面活性剤、自生促進剤(spontaneity promoter)、固体担体、液体担体、乳化剤、分散剤、フィルム形成剤、防霜剤、発芽剤(germinant)、増粘剤、植物成長調節剤、無機リン酸塩、肥料、補助剤、脂肪酸及びフィブリル、糖、アミノ酸、ミクロフィブリル又はナノフィブリル構造化剤からなる群から選択される少なくとも1種の助剤を含む。
【0064】
担体は、好ましくは、十分な貯蔵寿命を有し、好ましくは、植物、植物の部分又は根系近傍の土量中に容易に分散又は溶解させることができる。好ましくは、担体は、良好な吸湿能を有し、処理が容易であり、塊を形成する物質を含まず、ほぼ無菌であるか又はオートクレーブ処理若しくは他の方法(例えば、ガンマ線照射)によって滅菌が容易であり、且つ/或いは良好なpH緩衝能を有する。種子コーティングに使用される担体については、種子へ良好に付着することが好ましい。
【0065】
好適な溶媒及び液体担体は、水及び有機溶媒、例えば、中~高沸点の鉱油画分、例えば灯油、ディーゼル油;植物又は動物由来の油;脂肪族、環状及び芳香族炭化水素、例えば、トルエン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン;アルコール類、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール;グリコール類;DMSO;ケトン類、例えば、シクロヘキサノン;エステル類、例えば、乳酸エステル、炭酸エステル、脂肪酸エステル、ガンマ-ブチロラクトン;脂肪酸類;ホスホネート類;アミン類;アミド類、例えば、N-メチルピロリドン、脂肪酸ジメチルアミド並びにそれらの混合物である。
【0066】
好適な固体担体又は充填剤は、鉱物土類、例えば、シリケート、シリカゲル、タルク、カオリン、石灰石、石灰、白亜、粘土、ドロマイト、珪藻土、ベントナイト、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム;多糖類、例えば、セルロース、デンプン;肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素;植物由来の産物、例えば、ピート、穀類粉、樹皮粉、木粉、堅果殻粉及びそれらの混合物である。
【0067】
好適な界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び両性の界面活性剤、ブロックポリマー、高分子電解質並びにそれらの混合物などの界面活性化合物である。このような界面活性剤は、乳化剤、分散剤、可溶化剤、湿潤剤、浸透促進剤、保護コロイド又は補助剤として使用され得る。界面活性剤の例は、McCutcheon’s,Vol.1:Emulsifiers&Detergents,McCutcheon’s Directories,Glen Rock,USA,2008(International Ed.or North American Ed.)に列挙されている。
【0068】
好適なアニオン性界面活性剤としては、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、カルボキシレートのアルカリ、アルカリ土類又はアンモニウムの塩及びそれらの混合物が挙げられる。スルホネートの例は、アルキルアリールスルホネート、ジフェニルスルホネート、アルファ-オレフィンスルホネート、リグニンスルホネート、脂肪酸及び脂肪油のスルホネート、エトキシ化アルキルフェノールのスルホネート、アルコキシル化アリールフェノールのスルホネート、縮合ナフタレンのスルホネート、ドデシルベンゼン及びトリデシルベンゼンのスルホネート、ナフタレン及びアルキルナフタレンのスルホネート、スルホスクシネート又はスルホスクシナマートである。スルフェートの例は、脂肪酸及び油のスルフェート、エトキシ化アルキルフェノールのスルフェート、アルコールのスルフェート、エトキシ化アルコールのスルフェート又は脂肪酸エステルのスルフェートである。ホスフェートの例は、リン酸エステルである。カルボキシレートの例は、カルボン酸アルキル及びカルボキシル化アルコール又はアルキルフェノールエトキシレートである。
【0069】
好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシレート、N-置換脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル、糖ベースの界面活性剤、高分子界面活性剤及びそれらの混合物が挙げられる。アルコキシレートの例は、1~50個の同等物でアルコキシル化された、アルコール、アルキルフェノール、アミン、アミド、アリールフェノール、脂肪酸又は脂肪酸エステルなどの化合物である。例えば、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドが、アルコキシル化に用いられ得る。N-置換脂肪酸アミドの例は、脂肪酸グルカミド又は脂肪酸アルカノールアミドである。エステルの例は、脂肪酸エステル、グリセロールエステル又はモノグリセリドである。糖ベースの界面活性剤の例は、ソルビタン、エトキシ化ソルビタン、スクロースエステル及びグルコースエステル又はアルキルポリグルコシドである。高分子界面活性剤の例は、ビニルピロリドン、ビニルアルコール又は酢酸ビニルのホモポリマー又はコポリマーである。
【0070】
前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤は、好ましくは、少なくとも1種のポリアルキレンオキシドPAOである。ポリアルキレンオキシドPAOは、ポリエチレンオキシド(PEO)のブロックをその末端位置に含む一方、エチレンオキシドとは異なるポリアルキレンオキシド(ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリブチレンオキシド(PBO)及びポリ-THF(pTHF)など)のブロックは、中央位置に含まれる。好ましいポリアルキレンオキシドPAOは、PEO-PPO-PEO、PPO-PEO-PPO、PEO-PBO-PEO又はPEO-pTHF-PEOという構造を有する。好適なポリアルキレンオキシドPAOは、通常、数平均が1.1~100のアルキレンオキシド単位、好ましくは5~50単位を含む。
【0071】
好適なカチオン性界面活性剤としては、第四級界面活性剤、例えば、1つ若しくは2つの疎水性基を有する第四級アンモニウム化合物又は長鎖第一級アミンの塩が挙げられる。好適な両性界面活性剤は、アルキルベタイン及びイミダゾリンである。好適なブロックポリマーは、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックを含むA-B又はA-B-Aタイプのブロックポリマー又はアルカノール、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドを含むA-B-Cタイプのブロックポリマーである。好適な高分子電解質は、ポリ酸又はポリ塩基である。ポリ酸の例は、ポリアクリル酸のアルカリ塩又はポリ酸櫛型ポリマーである。ポリ塩基の例は、ポリビニルアミン又はポリエチレンアミンである。
【0072】
好適な補助剤は、それ自体、ごくわずかな殺有害生物活性を有するか、又は殺有害生物活性を全く有さず、且つ胞子、胞子に付着している化合物又は標的上で細胞を発芽させることによって生成される化合物の生物学的性能を改善する化合物である。例は、界面活性剤、鉱油又は植物油及び他の助剤である。更なる例は、Knowles,Adjuvants and additives,Agrow Reports DS256,T&F Informa UK,2006,chapter 5によって列挙されている。
【0073】
本発明による組成物は、好ましくは0.01~2重量%の有機又は無機増粘剤を含む。好適な増粘剤としては、多糖類(例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース)、無機粘土(有機変性又は非変性)、ポリカルボキシレート及びシリケートが挙げられる。
【0074】
好適な増粘剤は、多糖類(例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース)、無機性粘土(有機変性又は非変性)、ポリカルボキシレート及びシリケートである。本発明の組成物における好ましい増粘剤は、キサンタンガムである。好ましくは、キサンタンガムは、本発明による組成物中に、配合に基づいて0.01~0.4重量%、好ましくは0.05~0.15重量%の量で含まれる。
【0075】
本発明による組成物は、好ましくは、増粘剤としてケイ酸マグネシウムアルミニウム(例えば、モンモリロナイト及び/若しくはサポナイト)、ベントナイト、アタパルジャイト又はシリカを含む。ケイ酸アルミニウムマグネシウム(例えば、モンモリロナイト及びサポナイト)、ベントナイト、アタパルジャイト又はシリカの含有量は、好ましくは全組成物の0.1~2重量%、好ましくは0.5~1.5重量%である。
【0076】
好適な消泡剤は、シリコーン、長鎖アルコール及び脂肪酸の塩である。好ましくは、本発明による組成物は、0.01~1.0重量%の消泡剤、例えばシリコーン消泡剤を含有する。
【0077】
好適な着色剤(例えば、赤色、青色又は緑色)は、低水溶性色素及び水溶性染料である。例は、無機着色剤(例えば、酸化鉄、酸化チタン、ヘキサシアノ鉄酸鉄)並びに有機着色剤(例えば、アリザリンシアニン、アゾシアニン及びフタロシアニン着色剤)である。
【0078】
好適な殺菌剤は、ブロノポール及びイソチアゾリノン誘導体、例えば、アルキルイソ-チアゾリノン及びベンゾイソチアゾリノンである。好適な凍結防止剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素及びグリセリンである。好適な消泡剤は、シリコーン、長鎖アルコール及び脂肪酸の塩である。好適な着色剤(例えば、赤色、青色又は緑色)は、低水溶性色素及び水溶性染料である。例は、無機着色剤(例えば、酸化鉄、酸化チタン、ヘキサシアノ鉄酸鉄)並びに有機着色剤(例えば、アリザリンシアニン、アゾシアニン及びフタロシアニン着色剤)である。好適な粘着付与剤又は結合剤は、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、生物又は合成のワックス及びセルロースエーテルである。
【0079】
好適なフィブリル、ミクロフィブリル及びナノフィブリル助剤並びにそれらの農業用組成物への組み込みは、例えば、国際公開第2019035881号パンフレットに記載されている。
【0080】
好ましくは、組成物は、植物有害生物防除組成物であり、且つ/或いはそのような植物、その部分若しくは繁殖材料又は植物が成長する基材に適用された場合、植物病原性真菌性若しくは細菌性病害を予防するか、制限するか若しくは低減させ、且つ/又は植物の健康を改善若しくは促進し、且つ/又は植物の収量を増加させるか若しくは促進する。本明細書に記載されているように、後続の発酵における誘導期の持続時間が短く、且つ対数期増殖の終了が遅い胞子を組成物に組み込むことができることは、本発明の胞子組成物の利点である。したがって、胞子は、植物、植物の部分又は植物成長基材(例えば土壌)に拡散した後、迅速に発芽することができ、それによって植物に利する特性を発揮し、例えば、病原性微生物を低減させるか、又は植物若しくは植物の部分が利用可能な栄養素を作り出す。特に、本発明の組成物を使用して、例えば、迅速に成長する植物の根への有益な細菌及び他の農業用ペイロードの大幅に改善された輸送及び分散を促進することができる。
【0081】
組成物は、好ましくは、全組成物の1mlあたり少なくとも10^4コロニー形成単位(cfu)、より好ましくは10^4~10^17cfu/ml、より好ましくは10^7~10^13cfu/mlの濃度で少なくとも前記胞子を含む。圃場又は必要とする患者若しくは動物への適用後により顕著な又は急速な効果を発揮するために、本発明の組成物は、少なくとも10^6cfu/ml、より好ましくは10^7~10^17cfu/ml、より好ましくは10^8~10^15cfu/mlの胞子を含むことが特に好ましい。
【0082】
更に、高い胞子濃度は、バイオテクノロジー培養プロセスにおいて、特にマスター又はワーキング「細胞」バンクを維持するために有利である。純粋な生存細胞の代わりに、胞子を含有するか又はそれからなるワーキング細胞バンクを使用することで、種菌の保存安定性が大幅に増大し、それにより発酵プロセスの再現性が改善されることが知られている。そのような細胞バンクでは、保存された微生物物質が、発芽及び成長活性を大幅に失うことなく、1年を超える長期、好ましくは1~5年にわたって生存可能であり続けることが必須である。本明細書に記載されるように、通常の保存条件下での長期保存に適したそのような組成物を提供することは、本発明の特定の利点である。本発明の組成物がそのような長期間の保存後であっても発芽頻度及び発芽速度の大幅な低減を受けないことは、更なる利点である。これは、本発明の胞子中のジピコリン酸の含有量が、後期に形成された胞子をより高い割合で含む組成物と比較して低いことを考慮すると、特に驚くべきことであった。
【0083】
したがって、本発明による好ましいマスター又はワーキング細胞バンク試料は、凍結保護に十分な分量の凍結保護剤、好ましくはグリセロールを含む、本発明による組成物である。凍結保護は、-180℃での保存に推奨されるが、-80℃、-20℃、最高0℃のより高い保存温度においても推奨される。加えて、乾燥胞子、例えば、少なくとも部分的に胞子形成した微生物培養物の凍結乾燥から得られる乾燥胞子は、ワーキング細胞バンクとして使用することができる。そのような組成物は、有利なことに、0℃未満の温度、特に-180℃~-20℃においても、凍結保護剤、例えばグリセロールの添加を必要とせずに良好な保存安定性を示す。但し、本組成物中の胞子は、ジピコリン酸含有量が比較的低いにもかかわらず驚くほど強力な保存安定性を既に示していることから、凍結保護剤の量を、例えば、F.S.(1995)Freeze-Drying and Cryopreservation of Bacteria.In:Day J.G.,Pennington M.W.(eds)Cryopreservation and Freeze-Drying Protocols.Methods in Molecular Biology(商標),vol 38.Humana Press,Totowa,NJ.https://doi.org/10.1385/0-89603-296-5:21に記載されている標準的な細胞バンク試料組成物と比較して低減可能であることは、本発明の利点である。
【0084】
本発明の組成物は、好ましくは、4×10^-6~4×10^-5μmol/胞子、より好ましくは5×10^-6~2×10^-5μmol/胞子、より好ましくは7×10^-6~1×10^-5μmol/胞子の最終含有量まで添加されたジピコリン酸を含むことが好ましい。ジピコリン酸を前述の濃度に達するように添加することにより、特に組成物の含水量が低い場合、例えば組成物が粉末若しくは顆粒の形態である場合又は組成物が高温、例えば4~45℃での保存が意図されている場合、安定性、即ち胞子の発芽頻度及び発芽速度が更に改善される。
【0085】
上述のように、本組成物は、生存細胞及び/又は非生存細胞を含み得る。好ましくは、胞子の少なくとも一部分は、ペイロードドメインを含むタンパク質をそれらの表面に含み、前記タンパク質は、ペイロードドメインを前記胞子の表面に送達するための標的ドメインも含む。好ましいタンパク質、胞子及びそれらの生成方法の例は、国際公開第2020232316号パンフレット及び国際公開第2019099635号パンフレットに記載されている。
【0086】
本発明の組成物は、単独で製品として容易に使用することができる。しかしながら、本発明の組成物は、キットの一部でもあり得る。これは、有害な化学物質若しくは処理剤と一緒に、又はそれらに適時近接して適用することが望まれる状況において特に有用であり、その結果、本発明の組成物を有害である可能性のある更なるキット構成要素から離しておくことができるようになる。
【0087】
特に、本発明の組成物は、好ましくは、鉱物表面の処理及び/又はセメントの調製のための塗料組成物、コーティング組成物又は含浸組成物として使用されるか又はそれらに組み込まれる。上述のように、本発明の組成物に含まれるクロストリジウム(Clostridia)胞子は、長期間経過後であっても発芽することができ、代謝による石灰化プロセスをもたらし、亀裂の修復を改善することができる。
【0088】
更に、本発明は、本発明による組成物を含む食品製品又は飼料製品、好ましくは、プロバイオティクス又はプレバイオティクスの食品製品又は飼料製品を提供する。上述のように、好気性及び嫌気性微生物の様々な内生胞子は、価値あるプロバイオティクス剤である。それらの内生胞子は、プレバイオティクス物質も含有し得る。したがって、本発明は、プロバイオティクス及び/又はプレバイオティクス食品組成物及び飼料組成物を、初期胞子群集の後期胞子群集に対する所望の比率で有利に提供し、これらの胞子群集によって付与される利益を計画可能な方法で実現する。そのような組成物では、胞子は、プロバイオティクス又はプレバイオティクス種から選択される。そのような種は、適切な量で投与された場合、宿主に健康上の利益を付与する。好ましい種は、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・アクイマリス(Bacillus aquimaris)、バチルス・アリアブハッタイ(Bacillus aryabhattai)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フレクス(Bacillus flexus)、バチルス・フシフォルミス(Bacillus fusiformis)、バチルス・インディカス(Bacillus indicus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチリス・メガテリウム(Bacillis megatherium)、バチルス・ポリファーメンチカス(Bacillus polyfermenticus)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・ビレティ(Bacillus vireti)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、クロストリジウム・セルロシ(Clostridium cellulosi)、クロストリジウム・レプツム(Clostridium leptum)、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ、パエニバチルス・エヒメンシス(Faecalibacterium prausnitzii Paenibacillus ehimensis)、パエニバチルス・エルギイ(Paenibacillus elgii)、パエニバチルス・パブリ(Paenibacillus pabuli)及びパエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)である。
【0089】
本発明は、本発明による組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物でコーティングされるか又はそれを注入された植物栽培基材を含む植物保護製品を更に提供する。そのような製品は、本発明による組成物によって付与される利点を現実化する。特に、そのような製品は、バイオ殺有害生物性胞子及び胞子に付着した化合物を提供することができ、好ましくは、前記胞子は、本明細書に記載のように急速且つ確実に発芽する。したがって、本発明による植物栽培基材は、特に、植物の健康に利する微生物の前記胞子からの発芽及び成長を容易にする。好ましくは、植物保護製品は、前記発芽した微生物により、未処理の植物栽培基材と比較して1つ以上の植物健康指標を改善し、且つ/又は病原体圧を低減させる。
【0090】
本組成物の有益な効果は、好ましくは、以下の植物健康指標:早期且つ良好な発芽、結実植物数の損失を伴わない必要な種子の減少、出芽の早期化又は耐久性上昇、根形成の改善、根密度の増加、根長の増加、根の大きさの維持の改善、根の有効性の改善、栄養摂取(好ましくは窒素及び/又はリンの摂取)の改善、シュートの成長増大、植物の活力強化、植物の株立本数増加、草高の増大、葉身の大型化、枯れた根出葉の減少、分げつの増加、分げつの強化、分げつの発生増大、ストレスに対する耐容性の増大(例えば、干ばつ、熱、塩分、UV、水、寒さに対するもの)、肥料、殺有害生物剤及び/又は水の必要性の低減、エチレン生成の低減及び/又はエチレン受容の低減、光合成活性の増大、葉色の緑化、色素含有量の改善、開花の早期化、穀粒成熟の早期化、作物収量の増加、果実又は種子のタンパク質含有量の増加、果実又は種子の含油量の増加並びに果実又は種子のデンプン含有量の増加の1つ以上で観察される。本発明の好ましい組成物のバイオ殺有害生物性アクチンを考慮すると、最も好ましくは、胞子が、パエニバチルス(Paenibacillus)属の胞子、更により好ましくは、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・プランタルム(Paenibacillus polymyxa plantarum)及び/又はパエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)の胞子を含むか又はそれらからなる組成物であり、そのような本発明の組成物は、植物、植物の部分又は植物成長基材の化学的殺有害生物剤による処理の必要性を低減させ得る。したがって、本発明の農業用組成物は、化学的殺有害生物剤に対する曝露の必要性の低減に役立つことにより、植物製品の安全性を有利に改善する。
【0091】
本発明は、植物、植物の部分又は植物繁殖材料も提供し、この材料は、本発明による組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物をその表面に含むか又はその中に注入されている。種子への注入の方法は、例えば国際公開第2020214843号パンフレットに記載されている。本明細書に記載されているように、本発明の組成物中の胞子は、特に確実且つ急速な発芽速度を有する。したがって、胞子は、種子、根、葉及び幹を含む植物材料の迅速なコロニー形成を補助し、それにより胞子及び/又は発芽した微生物によって与えられる有益な効果を発揮することにより、植物健康指標の1つ以上を促進する。
【0092】
更に、本発明は、上述の植物、植物の部分若しくは植物繁殖材料又は植物栽培基材を含む栽培場、好ましくは圃場又は温室苗床を提供する。上述のように、本発明の組成物の胞子及び/又は対応する発芽した微生物がバイオ殺有害生物性効果を発揮することは、本発明の利点である。したがって、本発明の組成物又は製品で処理された栽培場は、栽培場からの植物病原性真菌物質又は細菌物質の放出を、好ましくは組成物の胞子に由来する微生物の成長の増加及び/又は加速によって有利に予防するか、遅延させるか、制限するか又は低減させる。本発明の組成物又は製品を、植物栽培領域、例えば植物、植物材料及び/又はその土壌に適用することは、その領域の有害生物の低減を支援するのみに留まらない。有害生物は、好ましくはその領域では未処理領域ほど速く繁殖しないことから、前記領域から逃避し近隣領域に侵入する有害生物は少なくなる。したがって、本発明の製品又は組成物の適用は、有利なことに、現地での殺有害生物剤による処理回数を低減させるのみならず、隣接領域にそのような節約をもたらすこともできる。
【0093】
本発明は、本発明による組成物を含む清浄製品又は化粧品も提供する。上述のように、胞子は、清浄製品の特性、例えば皮膚清浄製品、毛髪清浄製品、洗濯製品、食器洗浄製品、パイプ脱脂剤、アレルゲン除去製品、より好ましくは、化粧用ファンデーション、口紅、クレンジング剤、角質剥離剤、チーク、アイライナー、アイシャドウ、ローション、クリーム、シャンプー、歯磨き粉、歯磨きジェル、洗口液、デンタルフロス、デンタルテープ又は爪楊枝の特性を有利に改善することができる。本明細書に記載されるように、そのような製品では、例えば、所望の程度の急速な胞子作用及び後期発芽胞子のより長期間持続する効果を達成するために、初期胞子群集の後期胞子群集に対する比率を定義することが有利である。好ましくは、清浄製品は、洗浄剤を含み、且つ界面活性剤、ビルダー及びハイドロトロープ剤から選択される少なくとも1つの成分は、清浄性能に有効な量又は洗浄剤の物理的特徴を維持するのに有効な量で存在する。そのような成分の例は、例えば、“complete Technology Book on Detergents with Formulations(Detergent Cake,Dishwashing Detergents,Liquid&Paste Detergents,Enzyme Detergents,Cleaning Powder&Spray Dried Washing Powder)”,Engineers India Research Institute(EIRI),6th edition(2015)又は“Detergent Formulations Encyclopedia”,Solverchem Publicationsに記載されている。
【0094】
これに対応して、本発明は、原核微生物の胞子を含む組成物を生成する方法であって、
1)胞子形成を導く培地中で微生物を発酵させる工程、
2)胞子を精製して組成物を得る工程
を含む方法も提供する。
【0095】
上述のように、本方法は、本発明の組成物を生成するための急速且つ確実な方法を提供する。本発明の方法が、対象の微生物について既に確立されているか、又は関連する工業的に適切な株から適応させることができる、標準的な工業設備及び日常的な発酵操作を使用して実施可能であることは、特に有利である。
【0096】
回収とも呼ばれる精製は、バッチ液相発酵の最後の工程である。精製の目的は一般に、本発明の組成物中での保存中に内生胞子を不安定化させる発酵培地成分を除去又は低減させることである。好ましい精製工程は本明細書に記載されており、好ましくは、精製は、胞子の濃縮を含み、好ましくは、脱水、凍結乾燥、均質化、抽出、タンジェンシャルフロー濾過、デプス濾過、遠心分離又は沈降の工程を含む。得られた濃縮胞子調製物、好ましくは生存細胞が枯渇した調製物、更により好ましくは無細胞調製物は、次いで乾燥され、且つ/又は本明細書に記載の更なる成分とともに配合され得る。
【0097】
好ましくは、精製は、発酵工程1)で得ることができる最大生存胞子濃度の85%に達するときに最後に実施され、より好ましくは、精製は、1~75%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは10~75%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは20~70%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは30~68%の範囲の濃度に達するときに実施される。この目的のために、選択された培地及び選択された発酵条件下で較正発酵が最初に実施される。較正発酵は、対数期後にバイオマスの更なる増加が観察されなくなるまで、好ましくはバイオマスの6時間あたりの増加が1%未満になるまで実施される。したがって、
図1による発酵では、48時間時点で決定された胞子濃度が最大胞子濃度と見なされる。指定の成熟度で胞子を回収することにより、初期胞子群集の胞子を高い割合で含む本発明の組成物を得ることができる。したがって、精製は、好ましくは、前記精製胞子が、コロニー形成に適した培地上にプレーティングされた場合にコロニーを形成し、プレーティング後、好気性培養について72時間以内及び嫌気性培養について96時間以内に形成された全てのそのようなコロニーの少なくとも40%、より好ましくは40~90%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは50~90%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは60~90%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは70~90%が48時間以内に形成されるように実施され、及び/又は前記精製胞子の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%が、第1の胞子形成期中に回収された発酵物から得ることができるか又は得られるように実施される。
【0098】
液相発酵からの精製に適した時間を決定する別の好ましい方法は、1胞子あたりのジピコリン酸の平均含有量が、発酵工程1)で最大胞子濃度に達するとき(本明細書では定常期とも呼ばれる)に生成される胞子のジピコリン酸の平均含有量の最大で80%である場合であり、より好ましくは、ジピコリン酸の平均含有量は、20~80%の範囲、更により好ましくは22~70%の範囲、更により好ましくは30~65%の範囲である。実施例に記載されるように、最初に較正発酵が実施され、胞子のジピコリン酸含有量及び生存胞子濃度の両方が測定される。次に、1生存胞子あたりのジピコリン酸の濃度が算出される。例えば
図9に示すように、1胞子あたりのジピコリン酸の比率は横ばいになる。比率がもはや増加しないか、又は6時間あたりで少なくとも3%を超えてもはや増加しない場合、比率は100%に達したことになり、ジピコリン酸の濃度は最大となる。次いで、全ての更なる割合をこれらの値に基づいて算出することができる。上記のように、指定のジピコリン酸含有量で胞子を回収することにより、初期胞子群集の胞子を高い構成比で含む本発明の組成物を得ることができる。
【0099】
実施例のセクションの次に記載されるように、本発明は、後期胞子群集を高い割合で含む組成物を生成する方法を提供し、且つその使用及び利点も更に提供する。
【0100】
好ましくは、組成物のジピコリン酸含有量は、精製後、例えば外部で生成されたジピコリン酸を添加することにより更に増加する。Daniel et al.,J.Mol.Biol.1993,468-483により、胞子へのジピコリン酸の添加が胞子の保存安定性を更に改善し得ることが記載されている。
【0101】
上記のように、精製工程2)は、好ましくは、組成物自体における胞子発芽の抑制又は低減をもたらす。これにより、-20℃~45℃の保存温度における本発明の組成物中の胞子の保存安定性及び生存率の更なる有利な改善がもたらされる。したがって、精製工程は、好ましくは、胞子の脱水、凍結乾燥、均質化、抽出、濾過、遠心分離、沈降又は濃縮の工程を含み、且つ/又は組成物の含水量をおよそ1~8%(w/w)、好ましくは乾燥組成物について組成物の3~5重量%、液体若しくはペースト状組成物について組成物の10~98重量%に調整することを含み、且つ/又は組成物の可溶性炭素源含有量を、胞子回収時のその含有量と比較して組成物の最大で50重量%、より好ましくは組成物の5~30重量%に調整することを含む。このような後処理プロセスの方法は、一般に当業者に公知であり、標準的な工業設備を使用し、当技術分野で公知の方法を最小限に改変させて使用して実施することができる。したがって、本発明の組成物を低コストで容易に生成できるということは、本発明の特定の利点である。
【0102】
更に、本方法は、
i)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する1種以上の微生物殺有害生物剤、
ii)殺真菌活性、殺細菌活性、殺ウイルス活性及び/又は植物防御活性化剤活性を有する1種以上の生化学的殺有害生物剤、
iii)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性及び/又は殺線虫活性を有する1種以上の微生物殺有害生物剤、
iv)殺虫活性、殺ダニ活性、殺軟体動物活性、フェロモン活性及び/又は殺線虫活性を有する1種以上の生化学的殺有害生物剤、
v)呼吸阻害剤、ステロール生合成阻害剤、核酸合成阻害剤、細胞分裂及び細胞骨格の形成又は機能の阻害剤、アミノ酸及びタンパク質合成の阻害剤、シグナル伝達阻害剤、脂質及び膜合成阻害剤、多部位作用性阻害剤、細胞壁合成阻害剤、植物防御誘導剤並びに作用機序が不明である殺真菌剤から選択される1種以上の殺真菌剤
からなる群から好ましくは選択される少なくとも1種の有害生物防除剤の添加も含むことが好ましい。そのような追加の殺有害生物剤及び処理剤の利点は、上述されている。
【0103】
本方法は、少なくとも1種のフサリシジン、好ましくは少なくとも2種以上のフサリシジン、パエニセリン又はパエニプロキシリン(paeniproxilin)、より好ましくは3~40種のフサリシジン、より好ましくは組成物の全フサリシジンの少なくとも50mol%を構成する2~10種のフサリシジン、より好ましくは組成物の全フサリシジンの少なくとも60mol%を構成する2~10種のフサリシジン、より好ましくは組成物の全フサリシジンの少なくとも70mol%を構成する2~10種のフサリシジン、より好ましくは組成物の全フサリシジンの少なくとも80mol%を構成する2~10種のフサリシジンの添加を更に含むことも好ましい。いずれの場合にも、フサリシジンの1種以上がフサリシジンA、B又はDのいずれかを含むことが特に好ましい。好ましくは、本方法は、少なくとも1種のフサリシジンの添加に加えて又はその代わりに、添加されたサーファクチン及び/若しくはイツリンを含み、且つ/又は安定剤(好ましくはグリセロール)、増量剤、溶媒、界面活性剤、自生促進剤、固体担体、液体担体、乳化剤、分散剤、フィルム形成剤、防霜剤、増粘剤、植物成長調節剤、無機リン酸塩、肥料、補助剤、脂肪酸及びフィブリル、ミクロフィブリル若しくはナノフィブリル構造化剤からなる群から選択される少なくとも1種の助剤の添加を更に含む。この場合にも、対応する得ることができる利点について上述されている。
【0104】
本発明は、好適な発酵培地を含む発酵槽に、本発明の組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物を接種する工程を含む発酵方法も提供する。上述のように、本発明による組成物中の胞子が保存後であっても急速な発芽挙動を示すことは、特に有利である。したがって、本発明の組成物は、迅速に使用可能なマスター又はワーキング細胞バンクの調製に有利に適している。
【0105】
これに対応して、本発明は、胞子形成原核微生物の発酵において、誘導期の持続時間及び/又は対数期の終了に達するまでの時間を制御する方法であって、好適な発酵培地に、本発明の組成物又は本発明のいずれかによる方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物を接種し、且つ接種された培地を発酵させることを含み、誘導期のより短い持続時間及び/又は対数期のより速い終了のために、第1の胞子形成期に回収される胞子の割合がより高い組成物が使用され、及び誘導期のより長い持続時間又は対数期のより遅い終了のために、第2の胞子形成期に回収される胞子の割合がより高い組成物が使用される、方法を提供する。したがって、バッチ発酵を行う場合、当業者は、迅速に発芽する胞子の所望の含有量が得られる時点で、前記発酵反応から胞子を精製することが好都合である。特に、本発明は、工業用バッチ発酵の回収時間の計画及び調整を改善する。発酵バッチの完了時間については、本発明の組成物の含有量に従って確実に予測することができる。したがって、所定の発酵段階に達する時間は、接種のための本発明の適切な組成物を選択することによって調整することができる。本明細書に記載され、且つ本明細書において好ましいように、高含有量の第1の胞子形成期の胞子は、発酵工程1)で得ることができる最大胞子濃度の85%に達するとき、より好ましくは1~75%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは10~75%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは20~70%の範囲の濃度に達するとき、より好ましくは30~68%の範囲の濃度に達するときの最後に得ることができるか;又は高含有量の第1の胞子形成期の胞子は、1胞子あたりのジピコリン酸の平均含有量が、発酵工程1)で最大胞子濃度に達するときに生成される胞子のジピコリン酸の平均含有量の最大で80%である場合に得ることができ、より好ましくは、ジピコリン酸の平均含有量は、20~80%の範囲、更により好ましくは22~70%の範囲、更により好ましくは30~65%の範囲である。
【0106】
好ましくは、胞子形成原核微生物の発酵において、誘導期の持続時間及び/又は対数期の終了に達するまでの時間を制御する方法は、コンピュータ実装方法であり、本方法は、(1)目標増殖シグナルを得る工程、及び(2)誘導期のより短い持続時間及び/又は対数期のより速い終了のために、第1の胞子形成期に回収される胞子の割合がより高い組成物が使用され、及び誘導期のより長い持続時間又は対数期のより遅い終了のために、第2の胞子形成期に回収される胞子の割合がより高い組成物が使用されるように、接種組成物の含有量を調整する工程を含む。特に、発酵リアクタは、好ましくは、本発明の組成物を含む接種試料保存庫、即ちワーキング細胞バンク試料のコレクションに接続される。各組成物について、初期胞子群集の含有量は、好ましくは、試料をプレーティングし、好気性培養について72時間、嫌気性培養について96時間のうちの48時間の第1の観察期間内に形成されたコロニーの割合を記録するか、又は好ましくはまた胞子が組成物用に精製された時点での発酵の段階を記録することにより、本明細書に記載されているように記録され、例えば、胞子の割合は、第1の胞子形成期中に回収された発酵物、1胞子あたりのジピコリン酸の平均含有量又はそのような発酵で達成可能な最大胞子濃度の割合から得られる。接種試料保存庫は、上記のコンピュータ実装方法を実施するために備えられたコンピュータを含む。コンピュータは、所望の誘導期の持続時間又は対数期の終了を示すタイミングシグナルを受信すると、どのワーキング細胞バンク試料がタイミングシグナルに最もよく適合するかを決定する。好ましくは、コンピュータは、予想される誘導期の持続時間又は対数期の終了までを示すタイミング予測を発信し、ユーザがタイミングシグナルを再考し、場合によってはタイミングシグナルを修正できるようにする。コンピュータが最終的なタイミングシグナルを受信し、適切なワーキング細胞バンク試料が選択されると、コンピュータは、(1)選択された試料の識別子を発信し、発酵槽への接種のためにユーザがワーキング細胞バンク試料コレクションから試料を取得できるようにし、且つ/又は(2)ワーキング細胞バンク試料コレクションから選択された試料の取得を自動的に実施し、取得した試料を発酵槽への接種のためにユーザに引き渡すか、又は(3)ワーキング細胞バンク試料コレクションから選択された試料の発酵槽への供給を自動的に実施するか、又は(4)初期胞子群集濃縮ストック及び後期胞子群集濃縮ストックからそれぞれ引き出すことによって初期及び後期胞子群集の割合を調整することにより、新たなワーキング細胞バンク試料を自動的に混合する。
【0107】
本発明は、胞子形成原核微生物の胞子発芽及び/又は栄養増殖を促進する方法であって、本発明の方法における第1の胞子形成期中に回収された胞子を提供することを含み、好ましくは無機リン酸塩が胞子と一緒に又は逐次的に提供される、方法も提供する。無機リン酸塩は、好ましくは、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸及び/又はH2PO4^(-)、H2PO3^(-)、HPO4^(2-)若しくはPO4^(3-)の塩から選択される。好ましくは、無機リン酸塩は、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸カルシウム、一塩基性リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸鉄、亜リン酸カリウム、リン酸銅、NPK肥料、リン鉱石及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。例えば国際公開第2018140542号パンフレットに記載されているように、植物の部分、種子又は植物の成長基材(好ましくは土壌)への0.2~2.7mg/mlの無機リン酸塩、好ましくはリン酸カルシウムの適用により、バチルス(Bacillus)株又はパエニバチルス(Paenibacillus)株の胞子発芽及び/又は栄養増殖が促進される。
【0108】
更に、本発明は、
a)発酵物に接種すること、又は
b)有害生物防除、及び/又は植物病原性真菌性若しくは細菌性病害の予防、遅延、制限若しくはその強度の低減及び/又は植物の健康の改善、及び/又は植物の収量の増加、及び/又は植物栽培領域からの植物病原性真菌物質若しくは細菌物質の放出の予防、遅延、制限若しくは低減
のための、本発明の組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物の使用を提供する。上述のように、そのような使用により、本発明の組成物又は生成方法によって付与される利点が現実化される。特に、植物病原性真菌又は細菌の侵入を予防するか、遅延させるか、制限するか、又はその強度を低減させることにより植物の健康が改善され、次に1つ以上の有利な効果:早期且つ良好な発芽、出芽の早期化又は耐久性上昇、作物収量の増加、タンパク質含有量の増加、含油量の増加、デンプン含有量の増加、より発達した根系、根の成長の改善、根の大きさの維持の改善、根の有効性の改善、ストレスに対する耐容性の増大(例えば、干ばつ、熱、塩分、UV、水、寒さに対するもの)、エチレン生成の低減及び/又はエチレン受容の低減、分げつの増加、草高の増大、葉身の大型化、枯れた根出葉の減少、分げつの強化、葉色の緑化、色素含有量、光合成活性の増大、肥料、殺有害生物剤及び/又は水の必要性の低減、必要な種子の減少、分げつの発生増大、開花の早期化、穀粒成熟の早期化、植物の倒れ(倒伏)減少、シュートの成長増大、植物の活力強化並びに植物の株立本数増加がもたらされ得る。
【0109】
本発明によれば、有害生物による被害から保護する必要がある植物又はその部分を保護する方法であって、有害生物、植物、その部分若しくは繁殖材料又は植物が成長する基材を、好ましくは植付け前若しくは後、出芽前若しくは後又は好ましくは微粒子、粉末、懸濁液若しくは溶液として、有効量の、本発明による組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物と接触させることを含む方法も提供される。好ましくは、組成物は、1ヘクタールあたり約1×10^10~約1×10^12コロニー形成単位(cfu)の胞子、好ましくはバチルス(Bacillus)又はパエニバチルス(Paenibacillus)の胞子、最も好ましくはパエニバチルス(Paenibacillus)の胞子又は1ヘクタールあたり約0.5kg~約5kgの組成物固体で適用される。
【0110】
更に、タンパク質ペイロードを植物、植物の部分、種子又は成長基材に送達する方法であって、本発明による組成物又は本発明による方法によって得ることができるか若しくは得られる組成物を植物、植物の部分、種子又は基材に適用することを含み、胞子は、ペイロードドメインと、ペイロードドメインを前記胞子の表面に送達するための標的ドメインとを含むタンパク質を発現する微生物のものである、方法が本発明により提供される。上述のように、標的ドメインの送達に適したタンパク質及びパエニバチルス(Paenibacillus)株の遺伝子操作方法は、例えば国際公開第2020232316号パンフレット及び国際公開第2019099635号パンフレットに記載されている。
【0111】
本発明は、特に、本明細書に記載の使用又は方法であって、
i)真菌性病害は、白発疹、べと病、ウドンコ病、根こぶ病、菌核病、フザリウム(fusarium)立枯病及び腐敗病、灰色かび病、炭疽病、リゾクトニア(rhizoctonia)腐敗病、腰折れ病、キャビティスポット、塊茎病害、さび病、黒根病、輪紋病、アファノミセス(aphanomyces)根腐病、アスコキタ襟腐病、つる枯病、アルテルナリア(alternaria)斑点病、黒脚病、輪斑病、斑点病、セルコスポラ(cercospora)葉枯病、セプトリア(septoria)斑点病、葉枯病又はそれらの組み合わせから選択され、及び/又は
ii)真菌性病害は、分類学的階級:
- フンタマカビ(Sordariomycetes)綱、より好ましくはヒポクレア(Hypocreales)目のもの、より好ましくはベニアワツブタケ(Nectriaceae)科のもの、より好ましくはフザリウム(Fusarium)属のもの;
- フンタマカビ(Sordariomycetes)綱、より好ましくはグロメレラ(Glomerellales)目のもの、より好ましくはグロメレラ(Glomerellaceae)科のもの、より好ましくはコレトトリカム(Colletotrichum)属のもの;
- レオチノマイセテス(Leotinomycetes)綱、より好ましくはビョウタケ(Helotiales)目のもの、より好ましくは菌核病菌(Sclerotiniaceae)科のもの、より好ましくはボトリチス(Botrytis)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporales)目のもの、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporaceae)科のもの、より好ましくはアルテルナリア(Alternaria)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはプレオスポラ(Pleosporales)目のもの、より好ましくはファエオスファエリア(Phaeosphaeriaceae)科のもの、より好ましくはファエオスファエリア(Phaeosphaeria)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはボトリオスファエリア(Botryosphaeriales)目のもの、より好ましくはボトリオスファエリア(Botryosphaeriaceae)科のもの、より好ましくはマクロフォミナ(Macrophomina)属のもの;
- クロイボタケ(Dothideomycetes)綱、より好ましくはカプノディウム(Capnodiales)目のもの、より好ましくはコタマカビ(Mycosphaerellaceae)科のもの、より好ましくはジモセプトリア(Zymoseptoria)属のもの;
- ハラタケ(Agraricomycetes)綱、より好ましくはアンズタケ(Cantharellales)目のもの、より好ましくはツノタンシキン(Ceratobasidiaceae)科のもの、より好ましくはリゾクトニア(Rhizoctonia)属又はタナテフォルス(Thanatephorus)属のもの;
- サビキン(Pucciniomycetes)綱、より好ましくはサビキン(Pucciniales)目のもの、より好ましくはサビキン(Pucciniaceae)科のもの、より好ましくはウロマイセス(Uromyces)属又はサビキン(Puccinia)属のもの;
- クロボキン(Ustilaginomycetes)綱、より好ましくはクロボキン(Ustilaginales)目のもの、より好ましくはクロボキン(Ustilaginaceae)科のもの、より好ましくはクロボキン(Ustilago)属のもの;
- 卵菌(Oomycota)綱、より好ましくはフハイカビ(Pythiales)目のもの、より好ましくはフハイカビ(Pythiaceae)科のもの、より好ましくはフハイカビ(Pythium)属のもの;
- 卵菌(Oomycota)綱、より好ましくはツユカビ(Peronosporales)目のもの、より好ましくはツユカビ(Peronosporaceae)科のもの、より好ましくは疫病菌(Phytophthora)属、プラスモパラ(Plasmopara)属又はシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)属のもの
から選択される微生物によって引き起こされるか又は悪化する、使用又は方法を提供する。
【0112】
そのような真菌性有害生物は、広範な作物被害及び/又は収量低下の原因となっている。本発明の組成物が、上に列挙された植物病原性真菌による感染の予防、遅延、制限又はその強度の低減に好適であり、且つ適応していることは、特に有利である。そのような使用又は方法において、胞子は、好ましくはパエニバチルス(Paenibacillus)属、より好ましくは、パエニバチルス・コーリエンシス(Paenibacillus koreensis)、パエニバチルス・リゾスファエラエ(Paenibacillus rhizosphaerae)、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・アミロリティカス(Paenibacillus amylolyticus)、パエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)、パエニバチルス・ポリミクサ・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・プランタルム(Paenibacillus polymyxa plantarum)、パエニバチルス新種エピフィチカス(Paenibacillus nov.spec epiphyticus)、パエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)、パエニバチルス・マセランス(Paenibacillus macerans)、パエニバチルス・アルベイ(Paenibacillus alvei)、より好ましくは、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・プランタルム(Paenibacillus polymyxa plantarum)、パエニバチルス新種エピフィチカス(Paenibacillus nov.spec epiphyticus)、パエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)、パエニバチルス・マセランス(Paenibacillus macerans)、パエニバチルス・アルベイ(Paenibacillus alvei)、更により好ましいのは、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa polymyxa)、パエニバチルス・ポリミクサ・プランタルム(Paenibacillus polymyxa plantarum)及びパエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)、最も好ましくは、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)又はパエニバチルス・テラエ(Paenibacillus terrae)の胞子である。
【0113】
本発明の上で発表したように、別の態様では、原核微生物の胞子を含む組成物を生成する方法であって、
1)バイオマスの4時間あたりの増加が細胞の1%未満になるまで、胞子形成を導く液体培地中で微生物を発酵させる工程、2)栄養素を発酵培地に添加して培地中で胞子の発芽を生じさせる工程、及び
3)培地から後期胞子を精製する工程
を含み、
精製は、
a)培地中の胞子濃度が10%、より好ましくは20%、より好ましくは30%、より好ましくは40%低減した後、及び/又は
b)培地中の細胞数が2%、より好ましくは5%、より好ましくは10%増加した後
に実施され、
精製は、生存細胞及び/又は胞子を形成のプロセスで好ましくはUV処理及び/又はより好ましくは熱処理によって不活化する工程を含む、方法も提供される。
【0114】
上述のように、完全に胞子形成した液相発酵は、初期胞子群集と後期胞子群集の両方を含有する。初期胞子及び後期胞子は表現型的にほとんど区別不能であることから、後期群集胞子の選択的濃縮は、分離法によって行うことはできない。しかしながら、初期胞子群集は迅速に発芽する傾向があるため、そのような初期胞子を発芽させ、それらを後期胞子の大部分が発芽する前に不活化させることができる。したがって、本発明は、後期群集胞子を濃縮した胞子組成物を提供するための、確実且つ急速であり複雑ではない方法を提供する。胞子が極めて耐久性が高く、長期にわたって緩徐ではあるが着実に胞子形成可能であることは、そのような組成物の利点である。したがって、農業用製品、清浄製品又はプロバイオティクス製品において、そのような組成物のそのような胞子が発芽し、生存細胞が最終的に失われた後であっても、そのような組成物は、初期胞子組成物によって得ることができる効果を延長するのに有利である。更に、初期胞子群集の胞子が枯渇しており後期胞子が濃縮されているそのような組成物は、例えば上述の発酵槽への接種のために、初期胞子群集が濃縮されている組成物と計画的に混合するのに有利である。
【0115】
好ましくは、本発明の組成物は2種の胞子を含み、一方の種の胞子は初期発芽胞子が濃縮されており、他方の種の胞子は後期発芽胞子が濃縮されている。より詳細には、本発明は、少なくとも2種の原核微生物の精製胞子を含む組成物を提供し、
i)第1の種について、
a)前記胞子は、コロニー形成に適した培地上にプレーティングされた場合にコロニーを形成し、プレーティング後、好気性培養について72時間以内及び嫌気性培養について96時間以内に形成された全てのそのようなコロニーの少なくとも40%、より好ましくは40~90%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは50~90%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは60~90%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは70~90%は、48時間以内に形成され、及び/又は
b)胞子の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%は、第1の胞子形成期中に回収された発酵物から得ることができるか又は得られ、及び/又は
c)1胞子あたりのジピコリン酸の平均含有量は、定常期まで好適な培地で発酵された胞子のジピコリン酸の平均含有量の最大で80%、より好ましくは20~80%、更により好ましくは22~70%、更により好ましくは30~65%であり、及び
ii)第2の種について、
a)前記胞子は、コロニー形成に適した培地上にプレーティングされた場合にコロニーを形成し、プレーティング後、好気性培養について72時間以内及び嫌気性培養について96時間以内に形成された全てのそのようなコロニーの少なくとも30%、より好ましくは40~90%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは50~90%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは60~90%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは70~90%は、48時間後に形成され、及び/又は
b)胞子の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%は、第2の胞子形成期中に回収された発酵物から得ることができるか又は得られ、及び/又は
c)1胞子あたりのジピコリン酸の平均含有量は、定常期まで好適な培地で発酵された胞子のジピコリン酸の平均含有量の少なくとも70%、より好ましくは80~100%、より好ましくは85~100%、更により好ましくは90~100%である。
【0116】
そのような組成物により、有益なことに、組成物の使用中、組成物を例えば植物、植物の部分又は植物成長基材に適用した後、第1の種の胞子を発芽させて急速に増殖させることができる一方、第2の種はより遅く、より長期にわたり発芽するため、対応する有益な効果がより長期にわたり一貫してもたらされる。
【0117】
以下では、本発明を下記の非限定的な実施例によって更に例証する。
【実施例】
【0118】
実施例1:12Lスケールの発酵におけるパエニバチルス(Paenibacillus)STRAIN 32の胞子形成
発酵の過程にわたってパエニバチルス(Paenibacillus)株及びバチルス(Bacillus)株の胞子形成をモニタリングするために、12Lスケールの発酵を行った。ここから、例として、パエニバチルス(Paenibacillus)株STRAIN 32を使用したそのような発酵における胞子数/mlを
図1に示す。
【0119】
株STRAIN 32は、野生型分離株P.ポリミクサ(P.polymyxa)LU17007のポリミキシン不含の突然変異株であり、ランダム変異導入アプローチから得たものである。培養中の胞子形成を実証するためにこの株を例示的に選択したが、胞子形成の異時性を、野生型株P.ポリミクサ(P.polymyxa)LU17007並びにその更なる変異継承株(例えば、LU54及びLU52)、P.ポリミクサ(P.polymyxa)DM365又はP.テラエ(P.terrae)DSM15891などの公開されているパエニバチルス(Paenibacillus)株並びにバイオ有害生物防除株バチルス・ベレンジエンシス(Bacillus velenziensis)MBI600においても立証した(データは示さず)。
【0120】
パエニバチルス(Paenibacillus)STRAIN 32の胞子形成のタイミングを分析するための発酵条件。
前培養条件
PX-125の組成は、表1に記載されている。ストック溶液の成分を蒸留水に溶解させ、滅菌濾過又は121℃、1barの過圧での60分間のオートクレーブのいずれかを行った。滅菌溶液を室温又は4℃のいずれかで保存した。オートクレーブプロセスの開始直前に、消泡剤を主溶液に添加した。ストック溶液を混合した後、培地のpHを25%(w/w)アンモニア溶液又は40%(w/w)リン酸のいずれかで6.5に設定した。
【0121】
【0122】
前培養を、110mlの培養培地PX-125を含有する、通気性のあるシリコンプラグで密封したバッフル付きの1L振盪フラスコで行った。パエニバチルス(Paenibacillus)STRAIN 32の低温培養バイアルを使用して、培地に0.6%(v/v)を接種した。33℃、150rpm及び25mmの振盪周波数で、24時間培養を実施した。
【0123】
本培養条件
前培養物の振盪フラスコをプールし、12lのPX-141培地(2%(v/v)で接種)を含有する21lバイオリアクタに移した。本培養培地PX-141の配合表を表2に示す。
【0124】
本培養培地:PX-141
【0125】
【0126】
発酵を33℃で72時間行った。pHを6.5に設定し、水酸化アンモニウム又はリン酸で調整した。撹拌器の速度(500~1200rpm)及び通気(5~30L/分)を調節することにより、溶存酸素を>20%に設定した。発酵培養試料を6時間ごとに採取し、4℃で保存した。
【0127】
胞子の定量
発酵試料中の胞子計数を、製造業者のマニュアルに従ってC-Chipディスポーザブル計数チャンバ(Neubauer/NanoEnTek)を使用して位相差顕微鏡法によって評価した。正確に計数するために、0.9%NaCl滅菌溶液を使用して発酵試料を段階希釈した。希釈系列の作製及び胞子力価の計数を、各試料採取地点について三連で行った。
【0128】
発酵の時間間隔ごとの胞子の正味生成量を
図2に示す。
【0129】
実施例2:発酵中の様々な時点で形成された胞子の成長タイミング
成長特性を観察するための精製胞子溶液の作製
発酵過程の様々な時点で形成された胞子の発芽タイミングを調査するために、精製胞子溶液を作製し、以下の手順に従って同じ胞子計数/mlに調整した。
【0130】
最初に、実施例1の前述の発酵において24、30、36、42、48、54、60、66及び72時間の培養時間で回収した2mlの培養ブロス試料を60℃で60分間熱処理することにより、栄養細胞を死滅させた。
【0131】
続いて、胞子を4℃、3,000gで遠心分離することにより洗浄して、5mlの滅菌ddH2Oで再懸濁させた。洗浄サイクルを少なくとも5回実施して、細胞デブリ及び培地残留物を除去した。その後、胞子を5mlの滅菌ddH2Oに再懸濁させ、4℃で一晩保存した。翌日、洗浄サイクルを再度、少なくとも5回行った。精製胞子ストックを1mlの滅菌ddH2Oに再懸濁させ、4℃で保存した。位相差顕微鏡法によって胞子の純度を評価したところ、顕微鏡写真のセクションにつき200個以上の細胞(胞子)を計数した際、胞子が99%以上であることが明らかとなった。
【0132】
次に、実施例1で前述したように、精製胞子濃度をC-Chipでの計数によって決定し、dH2Oを用いて同数の胞子/試料に調整した。
【0133】
BioLector(m2p-labs)培養装置を使用して、マイクロタイタープレート培養(48ラウンドウェルMTP、MTP-R48-BOH、m2p-labs)中のバイオマスの増加をモニタリングすることにより、精製胞子試料の成長タイミングを評価した。
【0134】
このために、前述の手順で作製した10E+6個の精製胞子を、48ラウンドウェルプレート(MTP-R48-BOH、m2p-labs)のPX-131培地1.2mlに接種した。
【0135】
マイクロタイタープレート培養に使用したPX-131の培地配合表を表3に示す。
【0136】
【0137】
蒸発を低減させるために、蒸発低減層を備えたガス透過性シーリングホイル(m2p-labs)でプレートを密封した。
【0138】
48ウェルプレートでの培養を、900rpm、振盪直径2.5mm、33℃、湿度85%で少なくとも72時間行った。バイオマス(A.U.)を、波長620nmの散乱光を介して15分ごとに測定した。
【0139】
実施例1の発酵過程中での様々な時点の経過後に回収した胞子試料(各々10E+6個の胞子)のMTPスケール培養におけるバイオマス形成を、
図3に示す。胞子成長のタイミングを、バイオマスが1AU以上に達することと定義した。これを
図4に示す。
【0140】
実施例3:「初期」及び「後期」胞子試料のフサリシジン生成
フサリシジンの生成を、48時間培養後の実施例2の発酵試料において評価した。このために、50μlの培養ブロスを、950μlのアセトニトリル-水(1:1)混合物とともに抽出用に混合した。超音波浴において20℃で30分間、試料を処理した。次に、試料を14000rpmで5分間遠心分離し、測定用に上清をHPLCバイアル中に濾過した。表5、5及び表6に記載したように、フサリシジン濃度をHPLC-UV-VISによって決定した。
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
実施例2の培養におけるフサリシジンA、B及びDの生成を
図5に示す。
【0145】
実施例4:パイロットスケールの発酵における様々な時点での初期胞子と後期胞子との比率
様々な時点から胞子を収集するための発酵条件
前培養条件
パエニバチルス(Paenibacillus)STRAIN 32の前培養物の振盪フラスコを、PX-125培地を使用して、実施例1に記載したように取り扱った。マルトースのレベルのみ、30g/Lに低減させた。21.5時間の培養時間後、振盪フラスコの前培養物を、表7に記載した12lのPX-172培地を充填した21lバイオリアクタの接種(1.5v/v%)に使用した。
【0146】
【0147】
実施例1に記載のように33℃で18時間発酵を行い、次いで同じくPX-172培地(180l)を含有する300Lの本培養発酵槽に移した。本発酵を33℃で72時間行った。pHを6.5に設定し、水酸化アンモニウム又はリン酸で調整した。撹拌器の速度(300~600rpm)及び通気(2.5~12m3/分)を調節することにより、溶存酸素を>20%に設定した。発酵培養試料を6時間ごとに採取し、4℃で保存した。
【0148】
発酵の様々な時点におけるパエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)STRAIN 32の発芽の速い胞子と遅い胞子との比率を明らかにするために、36時間及び56時間の培養時間後に上記の発酵から培養ブロス試料を採取した。
【0149】
このために、100μLの培養ブロスを、900μLの無菌0.9%NaCl.9%NaCl+0.1g/L Tween80溶液で希釈した。2mlチューブを使用し、混合物を、同じ希釈液を使用して10E-9の最終希釈レベルまで10段階で更に希釈した。
【0150】
次に、培養希釈段階の各々をサーモサイクラー内において60℃で30分間加熱して、栄養細胞を死滅させた。100μlの各アプローチをISP2寒天プレートにプレーティングし、続いて33℃で72時間培養した。ISP2寒天の配合表を表8に示す。
【0151】
【0152】
寒天プレート上のコロニー形成単位(CFU)を、培養の48時間後及び72時間後に計数することにより決定した。両方の評価時点後に判明したCFUの比率を
図6に示す。
【0153】
実施例5:発酵試料中のパエニバチルス(Paenibacillus)の初期胞子及び後期胞子のジピコリン酸(DPA)レベル
以下の手順に従って、胞子からのDPA抽出を行った。
1.胞子ペレットの作製:10mlの発酵ブロスを18,000gで10分間遠心分離する
2.上清を慎重に廃棄する
3.10mlの無菌dH2Oを添加し、ピペットで振盪及び反転させることによりペレットを溶解させ、胞子ペレットを洗浄する
4.洗浄した胞子溶液を18,000gで10分間遠心分離し、上清を廃棄する
5.洗浄工程3~4を繰り返す
6.ペレットを5mlのdH2Oに再懸濁させ、ピペットで振盪及び反転させることによりペレットを溶解させる
7.アプローチ全体を耐圧性の30mlガラス製注入容器に移し、ブチルゴム栓で密封する。アルミニウムクリンプで密封する
8.試料を121℃で60分間オートクレーブする
9.冷却後、ガラス製容器を開け、2mlを2mlのマイクロ遠心チューブに移す。18,000gで10分間遠心分離を実施する
10.上清をHPLC分析バイアルに移し、濾過する
【0154】
表9及び表10に記載のパラメータに従って、DPAレベルをHPLC UV-VISによって定量した。
【0155】
【0156】
【0157】
0.1、0.5及び1mMの99%ジピコリン酸を使用して、検量線を定めた。ジピコリン酸は、保持時間5.7分で検出された。
【0158】
この方法を使用して、培養過程にわたって採取した実施例3で行った発酵の培養ブロス試料で、総DPAレベル/発酵ブロス(ml)を分析した。並行して、生存胞子の力価を、実施例4に記載したように希釈及びプレート計数によって評価した。結果を
図7に示す。
【0159】
これに基づいて、1単一胞子あたりのDPAの比率を、式
【数1】
を使用して算出し、様々な時点で得られた比率を
図8に示す。
【0160】
実施例9:クロストリジウム(Clostridia)からの胞子の異時性成長
バチルス(Bacillus)及びパエニバチルス(Paenibacillus)以外の他の胞子形成細菌の胞子成長のタイミングを評価するために、クロストリジウム(Clostridium)属の2つの株、即ちC.テタノモーファム(C.tetanomorphum)DSM528及びC.チロブチリカム(C.tyrobutyricum)DSM1460を、更なる特性決定のために例示的に選択した。両方の株を、嫌気性条件下において28℃、RCM寒天上で5日間培養した。RCM寒天の配合表を表11に示す。この後、個々のコロニー5個を採取し、6mlのTSBブロスを含有する液体培養バイアルに移した。TSBブロス培地の配合表を表12に示す。全ての工程を、嫌気性クローブボックスを使用して嫌気性条件下において生物学的三連で実施した。C.テタノモーファム(C.tetanomorphum)DSM528及びC.チロブチリカム(C.tyrobutyricum)DSM1460の液体培養物を、28℃で7日間、胞子形成まで十分に培養した。胞子成長のタイミングを分析するために、1mlの各液体培養物を60℃で30分間加熱して、残存栄養細胞を死滅させた。次に、100μlの各アプローチを、TSB寒天(表12)にプレーティングした。寒天培養物を、嫌気性条件下において28℃で96時間増殖させた。コロニー形成単位(CFU)を、48時間及び96時間の培養後に計数した。96時間での合計CFU計数に関連する48時間及び96時間の培養時間後に判明したCFUの比率を
図9に示す。
【0161】
【0162】
【国際調査報告】