(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】アノード構造の製造方法、真空堆積システム、アノード構造、及びリチウム電池層スタック
(51)【国際特許分類】
H01M 4/1395 20100101AFI20231219BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20231219BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20231219BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20231219BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20231219BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20231219BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20231219BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20231219BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20231219BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20231219BHJP
【FI】
H01M4/1395
H01M4/38 Z
H01M4/66 A
H01M10/0562
H01M10/058
H01M4/134
H01M10/052
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/131
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535916
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021061547
(87)【国際公開番号】W WO2022132449
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トラッセル, ローラント
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017CC01
5H017DD05
5H017EE01
5H017EE05
5H017EE07
5H029AJ03
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL12
5H029AM12
5H029CJ03
5H029HJ04
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB12
5H050DA03
5H050GA03
5H050GA29
5H050HA04
(57)【要約】
リチウム電池のためのアノード構造(10)を製造する方法が記載される。該方法は、第1のリチウム表面(31)を備えたリチウムアノード-第1副層(12-1)を提供するための第1の可撓性支持体(21)上へのリチウムの第1の堆積;第2のリチウム表面(32)を備えたリチウムアノード-第2副層(12-2)を提供するための第2の可撓性支持体(22)上へのリチウムの第2の堆積;及び、第1のリチウム表面と第2のリチウム表面とを一緒にプレスすることによって前記リチウムアノード-第1副層(12-1)と前記リチウムアノード-第2副層(12-2)とを結合して、リチウム金属アノード層(12)を形成することを含む。さらに、記載される方法に従って製造されたアノード構造を備えたリチウム電池層スタック、及び本明細書に記載されるアノード構造を製造するための真空堆積システムについて記載される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池のためのアノード構造(10)を製造する方法であって、
第1のリチウム表面(31)を備えたリチウムアノード-第1副層を提供するための第1の可撓性支持体(21)上へのリチウムの第1の堆積;
第2のリチウム表面(32)を備えたリチウムアノード-第2副層を提供するための第2の可撓性支持体(22)上へのリチウムの第2の堆積;及び
前記第1のリチウム表面と前記第2のリチウム表面とを一緒にプレスすることによって前記リチウムアノード-第1副層と前記リチウムアノード-第2副層とを結合して、リチウム金属アノード層(12)を形成すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の可撓性支持体がアノード集電体(11)を含み、リチウムの前記第1の堆積が前記アノード集電体上に直接行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アノード集電体(11)が金属箔、特に銅箔である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アノード集電体(11)が金属コーティングを有するポリマー箔を含み、リチウムの前記第1の堆積が前記金属コーティング上に直接行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の可撓性支持体が固体電解質層(13)を含み、前記リチウムの第2の堆積が前記固体電解質層上に直接行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の可撓性支持体(22)が、カソード集電体(15)、前記カソード集電体上のカソード(14)、及び前記カソード上の前記固体電解質層(13)を含む、層スタックである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の可撓性支持体(22)がセパレータ(16)を含み、前記リチウムの第2の堆積が前記セパレータ上に直接行われる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記結合することが、
(i)前記リチウムアノード-第1副層がその上に堆積された前記第1の可撓性支持体(21)、
(ii)前記リチウムアノード-第2副層がその上に堆積された前記第2の可撓性支持体(22)、及び
(iii)カソード(14)がその上に提供されたカソード集電体(15)
を一緒にプレスすること
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ロール・ツー・ロール処理システム内において真空下で連続的に行われる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記リチウムアノード-第1副層が1μm≦T
Li1≦20μmの第1の厚さT
Li1で堆積され、前記リチウムアノード-第2副層が1μm≦T
Li2≦20μmの第2の厚さT
Li2で堆積され、かつ前記リチウム金属アノード層が2μm≦T
Li≦40μm、特に5μm≦T
Li≦15μmの合計厚さT
Liを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
アノード構造(10)を製造するための真空堆積システム(200)であって、
第1の可撓性支持体(21)上に第1のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第1副層を堆積するための第1のリチウム堆積装置(105);
第2の可撓性支持体(22)上に第2のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第2副層を堆積するための第2のリチウム堆積装置(106);及び
前記第1のリチウム表面と前記第2のリチウム表面とを一緒にプレスすることによって前記リチウムアノード-第1副層と前記リチウムアノード-第2副層とを結合して、リチウム金属アノード層(12)を形成するための結合デバイス(211)
を含む、真空堆積システム(200)。
【請求項12】
前記第1のリチウム堆積装置(105)が、第1の真空堆積チャンバ(221)内の1つ以上の第1のリチウム蒸発器(223)を通過して前記第1の可撓性支持体を誘導するように構成された第1のコーティングドラム(222)を含み、かつ
前記第2のリチウム堆積装置(106)が、第2の真空堆積チャンバ(231)内の1つ以上の第2のリチウム蒸発器(233)を通過して前記第2の可撓性支持体を誘導するように構成された第2のコーティングドラム(232)を含む、
請求項11に記載の真空堆積システム。
【請求項13】
前記第1の真空堆積チャンバと前記第2の真空堆積チャンバとの間に真空結合チャンバ(210)をさらに含み、そこに前記結合デバイス(211)が配置される、請求項12に記載の真空堆積システム。
【請求項14】
第1の繰り出しロール(225)から前記第1のコーティングドラム(222)へと、かつ前記第1のコーティングドラムから前記結合デバイス(211)へと前記第1の可撓性支持体を輸送するように構成された第1のウェブ輸送システム、及び
第2の繰り出しロール(235)から前記第2のコーティングドラム(232)へと、かつ前記第2のコーティングドラムから前記結合デバイス(211)へと前記第2の可撓性支持体を輸送するように構成された第2のウェブ輸送システム
をさらに含み、その結果、前記第1のリチウム表面と前記第2のリチウム表面とが前記結合デバイス(211)内で互いに向かい合い、前記結合デバイス(211)によって直接接触することができる、
請求項12に記載の真空堆積システム。
【請求項15】
前記結合デバイス(211)が第2のプレスロールに向かって付勢された第1のプレスロールを含み、その結果、前記リチウムアノード-第1副層を備えた前記第1の可撓性支持体(21)と前記リチウムアノード-第2副層を備えた前記第2の可撓性支持体(22)とが前記第1のプレスロールと前記第2のプレスロールとの間に誘導され、かつそれらによって一緒にプレスされうる、請求項11から14のいずれか一項に記載の真空堆積システム。
【請求項16】
請求項1に記載の方法によって製造されたアノード構造(10)。
【請求項17】
リチウム電池層スタック(100)であって、
カソード集電体(15)、
前記カソード集電体上のカソード(14)、
前記カソード集電体上のセパレータ(16)又は固体電解質層(13)、
前記セパレータ又は固体電解質層上のリチウム金属アノード層(12)、及び
前記リチウム金属アノード層上のアノード集電体(11)
を含み、ここで、
前記リチウム金属アノード層(12)が、前記アノード集電体と前記セパレータ又は固体電解質層の両方と直接接触する純粋なリチウム膜である、
リチウム電池層スタック(100)。
【請求項18】
前記リチウム金属アノード層と前記アノード集電体との間の第1のインターフェース(33)がリチウム蒸発インターフェースであり、前記リチウム金属アノード層と前記セパレータ又は固体電解質層との間の第2のインターフェース(34)がリチウム蒸発インターフェースである、請求項17に記載のリチウム電池層スタック。
【請求項19】
前記リチウム金属アノード層(12)が、互いに直接接触するリチウムアノード-第1副層(12-1)とリチウムアノード-第2副層(12-2)とを含む、請求項17に記載のリチウム電池層スタック。
【請求項20】
前記カソード集電体(15)がAl箔又はAlでコーティングされたポリマー箔である、
前記カソード(14)がNMCカソードである、及び/又は
前記アノード集電体(11)が銅箔又は銅でコーティングされたポリマー箔である、
請求項17から19のいずれか一項に記載のリチウム電池層スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、リチウム電池、特に金属リチウム層をアノードとして使用するリチウム電池のためのアノード構造を製造する方法に関する。具体的には、本明細書に記載される方法は、リチウム金属アノードと固体電解質(SSE)層とを有する固体リチウム電池を製造する方法に関する。本開示の実施形態はさらに、リチウム電池のためのアノード構造、及び記載されたアノード構造を含むリチウム電池層スタックに関する。さらなる実施形態は、リチウム電池のためのアノード構造を製造するための真空堆積システムに関する。具体的には、本明細書に記載される真空堆積システムは、可撓性支持層上にリチウムを蒸着させるように構成されたロール・ツー・ロール真空堆積システムでありうる。
【背景技術】
【0002】
電気化学貯蔵システムは現在、日常生活の多くの分野でますます価値が高まってきている。リチウム電池、具体的にはリチウムイオン(Liイオン)電池及びリチウム金属電池などの大容量電気化学エネルギー貯蔵デバイスは、ポータブル電子機器、医療、輸送、グリッド接続された大型エネルギー貯蔵、再生可能エネルギー貯蔵、及び無停電電力供給(UPS)を含む、ますます多くの用途で使用されている。従来の鉛/硫酸電池は静電容量が不足していることが多く、また多くの場合、これらの用途にはリサイクルが不十分である。リチウム電池がより良い解決策であると考えられる。
【0003】
通常、リチウムイオン電池には金属リチウムは含まれておらず、代わりに黒鉛材料がアノードとして用いられる。しかしながら、黒鉛を使用すると、金属リチウムを使用した場合と比較して容量の低下をもたらす。現在、業界は、エネルギー密度を高めるために、黒鉛ベースのアノードからシリコン混合黒鉛へと移行しつつある。しかしながら、シリコン混合黒鉛アノードは、初回サイクル容量損失を被るが、これは、シリコン混合黒鉛アノードの初回サイクル容量損失を補うためにリチウム金属を堆積することによって低減することができる。初回サイクル損失は、Siアノードに関する問題でもあるが、サイクルの前に追加のリチウムを適用する、いわゆるプレリチウム化によって補償することができる。別の問題は膨潤、すなわち充放電中の体積膨張(最大で400%)であり、これを解決する必要がある。
【0004】
別の手法は、リチウム金属アノード、すなわち金属リチウム層をアノードとして使用するリチウム金属電池に関する。純粋なリチウム金属アノードのエネルギー密度は、黒鉛又はケイ素を含むアノードのエネルギー密度よりもかなり高い。しかしながら、リチウム金属アノードの製造は、複数の理由から困難である。
【0005】
リチウムはアルカリ金属である。第一主族の重元素同族体と同様に、リチウムはさまざまな物質との強い反応性を特徴とする。リチウムは、水、アルコール、及びプロトン性水素を含めた他の物質と激しく反応し、結果として発火することがよくある。リチウムは空気中で不安定であり、酸素、窒素、及び二酸化炭素と反応する。リチウムは通常、不活性ガス雰囲気(アルゴンなどの希ガス)下で取り扱われ、リチウムの反応性が高いことから、他の処理操作も不活性ガス雰囲気で行う必要がある。さらには、リチウムは水の存在下で激しく反応することに留意すべきである。例えば乾燥した室内など、水が存在しない場合、室温ではO2、N2、及び他のガスとの反応が遅くなる。したがって、安全性の観点から、乾燥雰囲気で取り扱う場合には問題はない。しかしながら、電池に組み込まれるリチウム表面では、依然として望ましくない反応が発生しうる。したがって、リチウムは、処理、貯蔵、及び輸送に関して、幾つかの課題をもたらす。
【0006】
リチウム金属層と周囲の分子(例えば空気中)との反応を避けるために、リチウム金属層のリチウム表面は、さらなる処理及び電池構造に組み込む前に、典型的にはパッシベーション化されるか、又は例えば保護層若しくはインターフェース層で保護される。例えば、支持層上にリチウム金属層を堆積した後、金属リチウム層の露出したリチウム表面を保護層で保護することができ、その後、アノード構造は、保護層上に他の層を設けることにより、及び/又空気中で取り扱うことにより、さらに処理することができる。しかしながら、金属リチウム層上の保護層又はパッシベーション層は、完成したリチウム電池の電流輸送及び/又はエネルギー密度に悪影響を与える可能性がある。
【0007】
したがって、上述の問題の少なくとも幾つかを解決する、リチウム電池のためのアノード構造を製造するための改良された方法を提供することは有益であろう。特に、高いエネルギー密度を可能にするコンパクトなリチウム電池を製造するために、リチウム金属アノード層を備えたリチウム電池層スタックを提供することは有益であろう。さらには、リチウム電池のためのアノード構造を製造するための改良された真空堆積システムを提供することは有益であろう。
【発明の概要】
【0008】
上記を考慮して、独立請求項に従って、リチウム電池用のアノード構造を製造する方法、アノード構造、リチウム電池層スタック、及び真空堆積システムが提供される。さらなる態様、利点、及び特徴は、従属請求項、説明、及び添付の図面から明らかである。
【0009】
本開示の一態様によれば、リチウム電池用のアノード構造を製造する方法が提供される。該方法は、第1のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第1副層を提供するための第1の可撓性支持体上へのリチウムの第1の堆積;第2のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第2副層を提供するための第2の可撓性支持体上へのリチウムの第2の堆積;及び、第1のリチウム表面と第2のリチウム表面とを一緒にプレスすることによってリチウムアノード-第1副層とリチウムアノード-第2副層とを結合してリチウム金属アノード層を形成することを含む。
【0010】
幾つかの実施形態では、第1の可撓性支持体は、アノード集電体、例えば、銅箔などの金属箔でありうる。幾つかの実施形態では、第2の可撓性支持体は、セパレータ又は固体電解質(SSE)層を含むことができ、その上にリチウムアノード-第2副層が直接堆積される。
【0011】
本開示のさらなる態様によれば、本明細書に記載される方法のいずれかに従って製造されたアノード構造が提供される。
【0012】
さらなる態様によれば、特に本明細書に記載される実施形態のいずれかによるアノード構造を含む、リチウム電池層スタックが提供される。リチウム電池層スタックは、カソード集電体、該カソード集電体上のカソード、該カソード集電体上のセパレータ、該セパレータ上のリチウム金属アノード層、及び該リチウム金属アノード層上のアノード集電体を含む。リチウム金属アノード層は、アノード集電体とセパレータの両方と直接接触する純粋なリチウム膜である。特に、リチウム金属アノード層は、アノード集電体と直接接触する第1の(プリスチンな(初期の状態の))リチウムインターフェース、及びセパレータと直接接触する第2の(プリスチンな)リチウムインターフェースを有する。
【0013】
セパレータは、アノードを構成するリチウム金属アノード層からカソードを電気的に分離することができる。電池層スタックには液体電解質を充填することができる。
【0014】
幾つかの実施形態では、固体電池(SSB)を製造するために構成されたリチウム電池層スタックが提供される。リチウム電池層スタックは、カソード集電体、該カソード集電体上のカソード、該カソード集電体上の固体電解質層、該固体電解質層上のリチウム金属アノード層、及び該リチウム金属アノード層上のアノード集電体を含む。リチウム金属アノード層は、アノード集電体と固体電解質層の両方と直接接触する、純粋なリチウム膜である。特に、リチウム金属アノード層は、アノード集電体と直接接触する第1の(プリスチンな)リチウムインターフェース、及び固体電解質(SSE)層と直接接触する第2の(プリスチンな)リチウムインターフェースを有する。
【0015】
さらなる態様によれば、特に本明細書に記載される方法のいずれかに従ってアノード構造を製造するための真空堆積システムが提供される。真空堆積システムは、特に蒸発によって、第1の可撓性支持体上に第1のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第1副層を堆積するための第1のリチウム堆積装置;特に蒸発によって、第2の可撓性支持体上に第2のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第2副層を堆積するための第2のリチウム堆積装置;及び、第1のリチウム表面と第2のリチウム表面とを一緒にプレスすることによってリチウムアノード-第1副層とリチウムアノード-第2副層とを結合してリチウム金属アノード層を形成するための結合デバイスを含む。
【0016】
実施形態は、開示の方法を実施するための装置も対象としており、それぞれ記載されている方法の態様を実施するための装置の部品を含む。これらの方法態様は、ハードウェア構成要素を用いてか、適切なソフトウェアによってプログラミングされたコンピュータを用いてか、これら2つの任意の組合せによってか、またはそれ以外の任意の態様で、実行されてよい。さらには、本開示による実施形態は、記載された装置を動作させるための方法、及び記載された方法に従って又は記載された装置によって製造される製品も対象とする。記載された装置を動作させるための方法は、装置のあらゆる機能を実施するための方法の態様を含む。
【0017】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上で簡単に概説した本開示のより具体的な説明を得ることができる。添付の図面は本開示の実施形態に関するものであり、以下に説明される:
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本明細書に記載される実施形態によるアノード構造を製造する方法の概略図
【
図2】本明細書に記載されるさらなる実施形態によるアノード構造を製造する方法の概略図
【
図3】本明細書に記載される実施形態によるアノード構造を製造する方法の概略図
【
図4】本明細書に記載される実施形態によるアノード構造を製造するための真空堆積システムの概略図
【
図5】本明細書に記載される実施形態によるリチウム電池層スタックの概略的な断面図
【
図6】記載される実施形態によるアノード構造を製造する方法を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、その1つ以上の例が図に示されている、本開示のさまざまな実施形態を詳細に参照する。以下の図面の説明において、同じ参照番号は同じ構成要素を指す。個々の実施形態に関する相違点のみが記載される。各実施例は、本開示の説明のために提供されており、本開示を限定することを意図するものではない。さらには、一実施形態の一部として図示又は説明された特徴は、他の実施形態上で、又は他の実施形態と併せて使用して、さらなる実施形態を創出することができる。説明は、このような修正例及び変形例を含むことが意図されている。
【0020】
本開示において、「アノード構造」とは、リチウム電池のアノード電極を含む構造として理解することができる。特に、本開示による「アノード構造」は、アノード電極層と、該アノード電極層の上及び/又は下に配置されるさらなる層とを含む、層スタックとも呼ばれる複数の層を有する層構造として理解することができる。
【0021】
本開示において、「可撓性支持体」又は「フレキシブル基板」とは、曲げ可能な基板として理解することができる。「可撓性支持体」又は「基板」という用語は、用語「箔」又は用語「ウェブ」と同義に使用することができ、その上に1つ以上の層が堆積された箔を包含する。
【0022】
本開示において、「リチウム膜」又は「リチウム層」とは、リチウムを主成分として含む層として理解することができる。特に、リチウム層はリチウムからなっていてもよく、90%以上、特に99%以上、又さらには99.9%以上のリチウム含有量を有することができる。リチウムからなるリチウム層、すなわち純粋な金属リチウムでできているアノードを提供することにより、他のアノードタイプと比較してリチウム金属アノードのより軽い重量及び厚さに起因して、有利なことに、より高いエネルギー密度がもたらされる。
【0023】
図1は、本明細書に記載される実施形態によるリチウム電池のためのアノード構造10を製造する方法を概略的に示している。該方法は、真空環境、特に真空堆積システムの1つ以上の真空チャンバ内で、真空堆積システムを用いて実施することができる。
【0024】
該方法は、蒸発による第1の可撓性支持体21上へのリチウムの第1の堆積により、露出した第1のリチウム表面31を備えたリチウムアノード-第1副層12-1を形成することを含む。具体的には、第1のリチウム堆積装置105を用いて第1の可撓性支持体21上にリチウムを蒸着させて、リチウムアノード-第1副層12-1を形成することができる。リチウムアノード-第1副層は、純粋なリチウム層(すなわち、>99%、又はさらには>99.9%のリチウム含有量を有する層)でありうる。具体的には、リチウムアノード-第1副層12-1のリチウム含有量は、90%以上、特に99%以上、又はさらには99.9%以上でありうる。
【0025】
第1の堆積は真空堆積システム内において真空下で行われるため、第1のリチウム表面31はプリスチンなリチウム表面である。特に、第1のリチウム表面31と反応することができる分子は本質的に存在せず、したがって(リチウムアノード-第1副層12-1が真空堆積システムの真空環境内に留まり、さらに処理される限り)、安全な取り扱い又は輸送を可能にするためにパッシベーション又は保護層によって第1のリチウム表面を保護する必要はない。
【0026】
該方法はさらに、蒸発による第2の可撓性支持体22上へのリチウムの第2の堆積により、露出した第2のリチウム表面32を備えたリチウムアノード-第2副層12-2を形成することを含む。具体的には、第2のリチウム堆積装置106を用いて第2の可撓性支持体22上にリチウムを蒸着させて、リチウムアノード-第2副層12-2を形成することができる。リチウムアノード-第2副層は純粋なリチウム層でありうる。具体的には、リチウムアノード-第2副層12-2のリチウム含有量は、90%以上、特に99%以上、又はさらには99.9%以上でありうる。
【0027】
第2の可撓性支持体22は、セパレータ又は固体電解質(SSE)層を含むことができ、その上にリチウムアノード-第2副層12-2が直接堆積される。
【0028】
第2の堆積は真空堆積システム内の真空下で行われるため、第2のリチウム表面32はプリスチンなリチウム表面である。特に、第2のリチウム表面32と反応することができる分子は本質的に存在せず、したがって(リチウムアノード-第2副層が真空堆積システム内に留まり、さらに処理される限り)、安全な取り扱い又は輸送を可能にするためにパッシベーション又は保護層によって第2のリチウム表面を保護する必要はない。
【0029】
幾つかの実施形態では、第1の可撓性支持体21及び第2の可撓性支持体22は、特にロール・ツー・ロール堆積システム内において、それぞれのウェブ搬送経路に沿って移動し、1つ以上のリチウム蒸発器を通過する、可撓性のウェブ基板(例えば、任意選択的に1つ以上の層がその上に設けられた可撓性の箔)である。具体的には、第1の可撓性支持体21は、第1の繰り出しロールから繰り出され、1つ以上のガイドロールによって1つ以上の第1のリチウム蒸発器を通過して移動し、そこで第1の可撓性支持体21がリチウムアノード-第1副層12-1でコーティングされる。同様に、第2の可撓性支持体22は、第2の繰り出しロールから繰り出されてよく、1つ以上のガイドロールによって1つ以上の第2のリチウム蒸発器を通過して移動し、そこで第2の可撓性支持体22をリチウムアノード-第2副層12-2でコーティングすることができる。
【0030】
該方法はさらに、第1のリチウム表面31と第2のリチウム表面32とを一緒にプレスすることによってリチウムアノード-第1副層12-1とリチウムアノード-第2副層12-2とを結合してリチウム金属アノード層12を形成することを含む。特に、リチウムアノード-第1副層12-1がその上に堆積された第1の可撓性支持体21は、リチウムアノード-第2副層12-2がその上に堆積された第2の可撓性支持体22と一緒にプレスされて、第1の可撓性支持体と第2の可撓性支持体との間にリチウム金属アノード層12(2つのリチウム副層12-1及び12-2からなる)が挟まれた複層スタックを提供する。結合することは、リチウムアノード-第1副層12-1の第1のリチウム表面31をリチウムアノード-第2副層12-2の第2のリチウム表面32と直接接触させて、2つのリチウム副層を含む1つの(より厚い)リチウム層を提供し、リチウム金属アノード層12を形成することを含むことができる。幾つかの実施形態では、第1のリチウム副層と第2のリチウム副層との合計厚さを有する単一の均一なリチウム層を形成するように、リチウム金属アノード層12は、互いの上に積み重ねられた、リチウムアノード-第1副層12-1及びリチウムアノード-第2副層12-2を含む。
【0031】
幾つかの実施形態では、第1の堆積、第2の堆積、及び結合することは、結合前の第1のリチウム表面及び第2のリチウム表面の汚染及び/又は反応を避けるために、真空下、特に1つの真空堆積システム内で連続的に行われる。特に、本明細書に記載される方法は、連続的な真空環境を提供するために互いに直接接続された真空堆積システムの幾つかの真空チャンバ内で行うことができる。結合後、リチウム金属アノード層12は、その2つの対向する主面がそれぞれ第1の可撓性支持体21及び第2の可撓性支持体22によって保護されており、その結果、製造されたアノード構造は露出したリチウム表面を有しておらず、真空から取り出すことができる。さらには、結合後、第1のリチウム表面31及び第2のリチウム表面32は保護され、互いにプレスされ、直接領域接触して、純粋なリチウムインターフェース(すなわち、2つの接触するリチウム表面を含むインターフェース)を形成する。
【0032】
本明細書に記載される実施形態によれば、それぞれの可撓性支持体によって2つの対向する面が覆われ保護された純粋なリチウム層である、リチウム金属アノード層12を備えたアノード構造10が提供されうる。アノード構造10は可撓性であり、リチウム電池の製造に使用することができる。リチウム金属アノード層12は、例えば、90%以上、特に99%以上のリチウム含有量を有することができる。
【0033】
第1の可撓性支持体21は、リチウム電池に組み込まれることを目的としたアノード集電体であってよく、第2の可撓性支持体22は、リチウム電池に組み込まれることを目的としたセパレータ又は固体電解質層を含むことができる。したがって、アノード構造10において、リチウム金属アノード層12は、リチウム電池によって提供される電荷移動及び/又はエネルギー密度に悪影響を与えるであろうさらなる層(例えば、パッシベーション、インターフェース層、又はLi保護層)なしに、アノード集電体と固体電解質層又はセパレータとの間に直接挟まれうる。
【0034】
本明細書に記載される幾つかの実施形態によれば、リチウム金属アノード層12と第1の可撓性支持体21との間の第1のインターフェース33はリチウム蒸発インターフェースであり、リチウム金属アノード層12と第2の可撓性支持体22との間の第2のインターフェース34はリチウム蒸発インターフェースである。本明細書で用いられる「リチウム蒸発インターフェース」とは、蒸発によってリチウム層が支持層上に直接設けられている、層インターフェースを指す。リチウム蒸発インターフェースは本質的に、支持層上にリチウム層の優れた接着を提供し、リチウム層と支持層との間のインターフェースにおける異物分子による汚染を低減又は完全に回避する。
【0035】
例えば、リチウム層を保護するために、異なる材料(例えば金属箔)の接触層がリチウム層の露出したリチウム表面に機械的にプレスされる場合には、リチウム層と接触層とのインターフェースで接触不良及び密着不良の危険性がある。一方、本明細書に記載されるように、その2つの対向する主面に2つのリチウム蒸発インターフェースを備えたリチウム金属アノード層は、その両面の支持層に良好な接着及び良好な接触を提供する。
【0036】
リチウム金属アノードを備えた既知のリチウム電池は通常、さらなる処理と電池層スタックへの組み込みのためのアノード構造の輸送及び取り扱いを可能にするために、リチウム金属アノードの少なくとも片面にパッシベーション層又は別の追加の保護層を有する。対照的に、本明細書に記載される実施形態によれば、リチウム金属アノード層12を構成する2つのリチウム副層は、最終的なリチウム電池に組み込まれる可撓性支持体上に直接蒸着されるため、リチウム金属アノード層12は、その両面に2つのプリスチンなリチウムインターフェースを有する。
【0037】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、第1の可撓性支持体21はアノード集電体11を含み、リチウムの第1の堆積はアノード集電体11上に直接行われる。言い換えれば、リチウムは、例えば金属箔でありうるアノード集電体11上に直接蒸着される。
【0038】
特に、アノード集電体11は金属箔、特に銅箔とすることができ、リチウムは、リチウムアノード-第1副層12-1を形成するために金属箔上に直接蒸着することができる。
【0039】
あるいは、アノード集電体11は、ポリマー箔の片面又は両面に金属コーティング、例えば銅コーティングを施したポリマー箔を含むことができ、リチウムの第1の堆積は、アノード集電体11の金属コーティング上に直接行うことができる。ここでも、リチウムはアノード集電体11の金属上に直接蒸着され、アノードとアノード集電体との間の良好な接触及び導電性が確保される。
【0040】
幾つかの実施形態によれば、アノード集電体11とリチウム金属アノード層12との間にリチウム蒸発インターフェースが設けられ、これにより、アノード集電体上でのアノードの良好な接着、並びに、アノードと銅箔でありうるアノード集電体との間の良好な電気的接触が提供される。具体的には、リチウム金属アノード層12とアノード集電体11との間に、プリスチンなリチウムインターフェース(リチウム蒸発によって得られる)を設けることができ、これは、アノードとアノード集電体との間にパッシベーション層、保護層、又は別のインターフェース層を有する他の解決策とは異なる。
【0041】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、第2の可撓性支持体22は固体電解質層13(SSE層)を含み、第2の堆積がSSE層上に直接行われる。言い換えれば、リチウムアノード-第2副層12-2を形成するために、リチウムがSSE層上に直接蒸着される。このような実施形態が
図2に示されている。
【0042】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、第2の可撓性支持体22はセパレータ16を含み、リチウムの第2の堆積はセパレータ16上に直接行われる。言い換えれば、リチウムアノード-第2副層12-2を形成するために、リチウムがセパレータ16上に直接蒸着される。このような実施形態が
図3に示されている。
【0043】
図2は、本明細書に記載される実施形態によるアノード構造を製造する方法を概略的に示している。
図2に示される方法は、本質的に上述の方法に対応し、したがって、上記の説明を参照することができ、ここでは繰り返すことはしない。
【0044】
図2の実施形態の第2の可撓性支持体22は固体電解質層13を含み、リチウムの第2の堆積が固体電解質層上に直接行われる。
【0045】
特に、第2の可撓性支持体22は、カソード集電体15、該カソード集電体上のカソード14、及び該カソード14上の固体電解質層13を含む、層スタックでありうる。リチウムアノード-第2副層12-2を形成するためのリチウムの第2の堆積は、前記層スタックの固体電解質層13上に直接行われる。
【0046】
例えば、幾つかの実施形態では、カソード14を提供するためのカソード材料を、最初に、例えばスロットダイコーティングによってカソード集電体15上に堆積することができ、次いで、固体電解質層13をカソード14上に堆積して、第2の可撓性支持体22を製造することができる。その後、同じ真空堆積装置内でリチウムアノード-第2副層12-2を形成するために、第2の可撓性支持体22をリチウムで直接コーティングすることができる。あるいは、カソード集電体15、カソード14、及び固体電解質層13を含む第2の可撓性支持体22は、例えばロールとしてコイル状の形態で、大気環境中を輸送することができ、次に、リチウムでコーティングするために別の真空堆積システムに挿入することができる。
【0047】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、カソード集電体15は、アルミニウム箔でありうるか、又はアルミニウム箔を含みうる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、カソード14はNMCカソードでありうる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、アノード集電体11は、銅箔若しくは銅コーティングでありうるか、又は銅箔若しくは銅コーティングを含みうる。
【0048】
図2に概略的に示されているように、アノード集電体11上へのリチウムの第1の堆積及び固体電解質層13上へのリチウムの第2の堆積の後、リチウムアノード-第1副層12-1とリチウムアノード-第2副層12-2の露出したリチウム表面が接触し、リチウム金属アノード層12を構成する単一のリチウム層が形成されるように、堆積されたリチウム副層を備えた第1の可撓性支持体21と堆積されたリチウム副層を備えた第2の可撓性支持体22とが互いにプレスされる。
【0049】
製造されたリチウム電池層スタックをさらに処理して、固体電池(SSB)であるリチウム電池、すなわちイオン輸送を可能にする液体電解質を有しないリチウム電池を製造することができる。
【0050】
図3は、本明細書に記載される実施形態によるアノード構造を製造する方法を概略的に示している。
図3に示される方法は、本質的に上述の方法に対応し、したがって、上記の説明を参照することができ、ここでは繰り返すことはしない。
【0051】
図3の実施形態の第2の可撓性支持体22はセパレータ16を含み、リチウムの第2の堆積がセパレータ16上に直接行われる。あるいは、第2の可撓性支持体22は、その上でリチウムの第2の堆積が行われる最上層としてセパレータ16を備えた層スタックでありうる。ここでもまた、リチウムの第1の堆積は、アノード集電体11上、例えば銅箔上に直接行うことができる。
【0052】
図3に概略的に示されているように、アノード集電体11上へのリチウムの第1の堆積及びセパレータ16上へのリチウムの第2の堆積の後、リチウムアノード-第1副層12-1とリチウムアノード-第2副層12-2の露出したリチウム表面が接触し、リチウム金属アノード層12を構成する単一のリチウム層が形成されるように、堆積されたリチウム副層を備えた第1の可撓性支持体21と堆積されたリチウム副層を備えた第2の可撓性支持体22とが互いにプレスされる。
【0053】
幾つかの実施形態では、アノード構造10は次のように製造される:カソード14、例えばNMCカソードを、カソード集電体15上、例えばアルミニウム箔上に堆積させて、カソード層スタックを提供することができる。カソード層スタックは、
図3に概略的に示されているように、特に上記3つの層スタックを一緒にプレスすることによって、リチウムアノード-第2副層12-2がその上に堆積された第2の可撓性支持体22と、かつリチウムアノード-第1副層12-1がその上に堆積された第1の可撓性支持体21と、結合することができる。
【0054】
具体的には、結合することは、(1)リチウムアノード-第1副層12-1がその上に堆積された第1の可撓性支持体21、(2)リチウムアノード-第2副層12-2がその上に堆積された第2の可撓性支持体22、及び(3)カソード14がその上に提供されたカソード集電体15を含むカソード層スタックを、一緒にプレスすることを含みうる。層スタック(1)、(2)、及び(3)は、同時に又は続いて、一緒にプレスすることができる。例えば、層スタック(1)、(2)、及び(3)は、互いに向かって付勢された、2つのプレスロールを用いて、又は数対のプレスロールを用いて、一緒にプレスすることができる(
図1参照)。結合することは、リチウムアノード-第1副層12-1の第1のリチウム表面とリチウムアノード-第2副層12-2の第2のリチウム表面とが互いに直接接触するように行われ、結果的にリチウム金属アノード層12が形成される。例えば、プレスロールは、カソード集電体15とアノード集電体11との間に配置された層が一緒にプレスされて、複層スタックが生成されるように、カソード集電体15上及びアノード集電体11上に圧力を加えることができる。
【0055】
結合後、セパレータが配置されるアノードとカソードとの間の空間に液体電解質を挿入することができる。具体的には、電池層スタックには液体電解質を充填することができる。
【0056】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、本明細書に記載される製造方法(第1の堆積及び第2の堆積並びに結合を含む)は、ロール・ツー・ロール処理システム内において連続真空下で行われる。具体的には、第1の堆積は、第1のコーティングドラムを備えた第1のリチウム堆積装置によって行うことができ、第1の可撓性支持体は、第1のコーティングドラムのドラム表面上に誘導され、1つ以上の第1のリチウム蒸発器を通過して、その上にリチウムアノード-第1副層を堆積させることができる。第1の可撓性支持体は、第1の繰り出しロールから繰り出すことができ、1つ以上のガイドローラを含みうる第1のウェブ輸送システムによって第1のコーティングドラムへと移動させることができる。
【0057】
第2の堆積は第2のコーティングドラムを備えた第2のリチウム堆積装置によって行うことができ、第2の可撓性支持体は、第2のコーティングドラムのドラム表面上に誘導され、1つ以上の第2のリチウム蒸発器を通過して、その上にリチウムアノード-第2副層を堆積させることができる。第2の可撓性支持体は、第2の繰り出しロールから繰り出すことができ、1つ以上のガイドローラを含みうる第2のウェブ輸送システムによって第2のコーティングドラムへと移動させることができる。このようなロール・ツー・ロール処理システムは、特に、連続真空環境下、1つの真空堆積システム内で、迅速かつ信頼性が高く高品質なリチウム層の堆積とウェブ結合を可能にする。
【0058】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、リチウムアノード-第1副層は、1μm≦TLi1≦20μmの第1の厚さTLi1で堆積され、リチウムアノード-第2副層は、1μm≦TLi2≦20μmの第2の厚さTLi2で堆積され、及び/又はリチウム金属アノード層12は、2μm≦TLi≦40μm、特に3μm≦TLi≦25μm、より具体的には5μm≦TLi≦15μm、例えば約10μmの合計厚さTLiを有する。
【0059】
本開示の実施形態はまた、本明細書に記載される方法のいずれかに従って製造されたアノード構造10にも関する。
【0060】
図4は、本明細書に記載されるアノード構造10を製造するための真空堆積システム200の概略図を示している。
【0061】
真空堆積システム200は、第1の可撓性支持体21上に第1のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第1副層12-1を堆積するための第1のリチウム堆積装置105、第2の可撓性支持体22上に第2のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第2副層12-2を堆積するための第2のリチウム堆積装置106、及び第1のリチウム表面と第2のリチウム表面とを一緒にプレスすることによってリチウムアノード-第1副層とリチウムアノード-第2副層とを結合させてリチウム金属アノード層12を形成するための結合デバイス211を含む。
【0062】
第1のリチウム堆積装置105は1つ以上の第1のリチウム蒸発器223を含むことができ、第2のリチウム堆積装置106は1つ以上の第2のリチウム蒸発器233を含むことができる。
【0063】
真空堆積システム200は、堆積前に保管スプールから繰り出され、1つ以上のウェブ輸送システムによって1つ以上のリチウム蒸発器を通過して移動される可撓性のウェブ基板上にリチウムを堆積するためのロール・ツー・ロール処理システムでありうる。
【0064】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、第1のリチウム堆積装置105は、第1の真空堆積チャンバ221内の1つ以上の第1のリチウム蒸発器223を通過して第1の可撓性支持体21を誘導するように構成された第1のコーティングドラム222を含み、第2のリチウム堆積装置106は、第2の真空堆積チャンバ231内の1つ以上の第2のリチウム蒸発器233を通過して第2の可撓性支持体22を誘導するように構成された第2のコーティングドラム232を含むことができる。例えば、蒸発したリチウムを第1のコーティングドラム222のドラム表面へと誘導するために、2つ、3つ、又はそれより多くの第1のリチウム蒸発器を第1のコーティングドラム222の周囲に配置することができる。同様に、
図4に概略的に示すように、蒸発したリチウムを第2のコーティングドラム232のドラム表面へと誘導するために、2つ、3つ、又はそれより多くの第2のリチウム蒸発器を第2のコーティングドラム232の周囲に配置することができる。
【0065】
幾つかの実装形態では、真空堆積システム200は、第1の真空堆積チャンバ221と第2の真空堆積チャンバ231との間に配置された真空結合チャンバ210を含むことができ、結合デバイス211が真空結合チャンバ210内に配置される。代替的に又は追加的に、第1の可撓性支持体21のウェブ搬送方向に第1の真空堆積チャンバ221の下流、及び第2の可撓性支持体22のウェブ搬送方向に第2の真空堆積チャンバ231の下流に、真空結合チャンバ210を配置することができる。したがって、第1の可撓性支持体21及び第2の可撓性支持体22は、真空結合チャンバ210内で、その上にそれぞれのリチウム副層を堆積した後に結合させることができる。
【0066】
幾つかの実施形態では、真空堆積システムは、第1の繰り出しロール225から第1のコーティングドラム222へ、及び第1のコーティングドラム222から結合デバイス211へと第1の可撓性支持体21を輸送するように構成された第1のウェブ輸送システムを含む。さらには、第2の繰り出しロール235から第2のコーティングドラム232へ、及び第2のコーティングドラム232から結合デバイス211へと第2の可撓性支持体22を輸送するように構成された第2のウェブ輸送システムが提供されてもよい。結合デバイス211では、第1のリチウム表面と第2のリチウム表面は互いに向き合っており、結合デバイス211によって直接接触させることができ、その結果、リチウム表面は互いに接着する。
【0067】
第1の繰り出しロール225は第1のスプールチャンバ224内に配置することができ、第2の繰り出しロール235は第2のスプールチャンバ234内に配置することができる。
【0068】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、結合デバイス211は第2のプレスロールに向かって付勢された第1のプレスロールを含むことができ、堆積されたリチウムアノード-第1副層を備えた第1の可撓性支持体21及び堆積されたリチウムアノード-第2副層を備えた第2の可撓性支持体22は、結合デバイス211の第1のプレスロールと第2のプレスロールとの間に誘導され、それらによってプレスされうる。
【0069】
結合デバイス211の下流に、任意選択的に、バルブによって真空結合チャンバ210から分離することができる別個の巻き取りチャンバ内に、巻き取りスプール215を配置することができる。リチウム電池層スタックを構成する結合デバイス211の下流の複層スタックを巻き取りスプール215に巻き取ることができる。巻き取りスプール215は、さらなる処理装置へと輸送するために真空堆積システム200から取り外すことができる。
【0070】
図4の真空堆積システム200は、以下のように動作させることができる:
【0071】
第1の可撓性支持体21は、第1の繰り出しロール225から繰り出され、第1のウェブ輸送システムによって第1のコーティングドラム222へと輸送される、アノード集電体、特に銅箔でありうる。アノード集電体が第1のコーティングドラム222のドラム表面上に支持されている間に、リチウムは、1つ以上の第1のリチウム蒸発器223を用いてアノード集電体上に直接堆積されうる。Liでコーティングされたアノード集電体は、真空結合チャンバ210内の結合デバイス211へと輸送することができる。
【0072】
セパレータ層(任意選択的に他の層の上にある)である第2の可撓性支持体22は、第2の繰り出しロール235から繰り出すことができ、第2のウェブ輸送システムによって第2の繰り出しロール235から第2のコーティングドラム232へと輸送される。セパレータ層が第2のコーティングドラム232のドラム表面上に支持されている間に、リチウムは、1つ以上の第2のリチウム蒸発器233を用いてセパレータ層上に直接堆積されうる。Liでコーティングされたセパレータ層は、真空結合チャンバ210内の結合デバイス211へと輸送することができる。
【0073】
任意選択的に、カソード集電体、例えばAl箔と、その上に堆積されたカソードとを含むカソード層スタックは、真空結合チャンバ210内の結合デバイス211へと輸送することができる。例えば、カソード層スタックは、第3の繰り出しロール216から繰り出すことができる。
【0074】
例えば、第1のプレスロールと第2のプレスロールとの間の前記3つの層スタックを一緒にプレスすることによって、あるいはその後のプレスロールの対によって、カソード層スタック、Liでコーティングされたセパレータ層、及びLiでコーティングされたアノード集電体を結合デバイス211と結合して、リチウム電池層スタックを形成することができる。Liでコーティングされたセパレータ及びLiでコーティングされたアノード集電体は、リチウム金属アノード層を形成する連続的なリチウム層を形成するように、リチウム副層の露出したLi表面が互いに接触した状態で一緒にプレスされる。
【0075】
製造されたリチウム電池層スタックには液体電解質を充填することができる。
【0076】
代替的な実施形態では、第2の可撓性支持体22は、層スタックの上、例えばカソード及びカソード集電体の上にSSE層を含む、層スタックである。第2の可撓性支持体22は、第2のウェブ輸送システムによって第2のコーティングドラム232へと輸送される。第2の可撓性支持体22の背面が第2のコーティングドラム232のドラム表面上に支持されている間に、リチウムは、1つ以上の第2のリチウム蒸発器233を用いてSSE層上に直接堆積される。Liでコーティングされた第2の可撓性支持体は、真空結合チャンバ210内の結合デバイス211へと搬送され、Liでコーティングされた第1の可撓性支持体と結合されて、アノード集電体とSSE層との間に直接設けられた連続的なリチウム層を形成することができる。
【0077】
図5は、本明細書に記載される実施形態によるリチウム電池層スタック100の概略的な断面図を示している。
【0078】
リチウム電池は通常、反対の極性の2つの電極、すなわち負のアノードと正のカソードを備えている。カソード及びアノードは、該カソードとアノードとの間の短絡を防止するために、カソードとアノードとの間に配置されたセパレータによって絶縁される。電池は、イオン伝導性マトリクスとして用いられる電解質を含む。したがって、電解質はイオン伝導体であり、これは、液体、ゲル状、又は固体でありうる。固体電解質はセパレータとして機能することができる。セパレータは通常、イオン透過性であり、充電又は放電サイクル中にアノードとカソードの間でイオンの交換を可能にする。例えば、セパレータは、多孔質ポリマーのイオン伝導性ポリマー基板でありうる。特に、多孔質ポリマー基材は、多層ポリマー基材でありうる。
【0079】
本明細書に記載されるリチウム電池層スタック100は、カソード集電体15(例えばAl箔)、カソード集電体15上のカソード14、カソード集電体上のセパレータ16又は固体電解質層13、セパレータ16又は固体電解質層13上のリチウム金属アノード層12、及びリチウム金属アノード層12上のアノード集電体11(例えば銅箔)を含む。固体電解質層13が設けられる場合、固体電解質層13は、アノードをカソードから分離することができるため、液体電解質を充填する追加のセパレータは必要ではない可能性がある。
【0080】
リチウム金属アノード層12は、アノード集電体11とセパレータ16(又は固体電解質層13)の両方と直接接触する、純粋なリチウム膜である。
【0081】
具体的には、リチウム金属アノード層12とアノード集電体11との間のインターフェースには、リチウム保護層又はパッシベーション層などのさらなる層は存在しなくてもよい。さらには、リチウム金属アノード層12とセパレータ16(又は固体電解質層13)との間のインターフェースには、さらなる層は存在しなくてもよい。特に、プリスチンなリチウムインターフェースをリチウム金属アノードの両面に設けることができる。
【0082】
幾つかの実施形態では、リチウム金属アノード層12とアノード集電体11との間の第1のインターフェース33はリチウム蒸発インターフェースであり、及び/又はリチウム金属アノード層12とセパレータ16(又は固体電解質層13)との間の第2のインターフェース34はリチウム蒸発インターフェースである。リチウム蒸発インターフェースは、それぞれの支持層上にリチウムを直接蒸着させることによって生成される。リチウム蒸発インターフェースは、接触層間の良好な接着及び接触特性を特徴とする。
【0083】
幾つかの実装形態では、リチウム金属アノード層12は、互いに直接接触し、互いに接着しているリチウムアノード-第1副層12-1及びリチウムアノード-第2副層12-2を含む。
【0084】
幾つかの実施形態では、カソード集電体15は、特に1μm以上かつ15μm以下の厚さを有する、Al箔又はAlでコーティングしたポリマー箔でありうる。
【0085】
幾つかの実施形態では、カソード14はNMCカソードでありうる。
【0086】
幾つかの実施形態では、アノード集電体11は、特に1μm以上かつ15μm以下の厚さを有する、銅箔又は銅でコーティングしたポリマー箔でありうる。
【0087】
図6は、本明細書に記載される実施形態によるアノード構造を製造する方法を説明するためのフロー図である。
【0088】
ボックス610では、リチウムが蒸発によって第1の可撓性支持体上に堆積されて、露出した第1のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第1副層を形成する。第1の可撓性支持体はアノード集電体でありうる。
【0089】
ボックス611では、リチウムが蒸発によって第2の可撓性支持体上に堆積されて、露出した第2のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第2副層を形成する。第2の可撓性支持体は、リチウムが直接堆積される、セパレータ又はSE層を含むことができる。
【0090】
ボックス620では、Liでコーティングされた第1の可撓性支持体及びLiでコーティングされた第2の可撓性支持体は、第1のリチウム表面と第2のリチウム表面とが互いに接触し、互いに接着する2つのLi-副層を含むリチウム金属アノード層が形成されるように、一緒にプレスされる。具体的には、リチウムアノード-第1副層とリチウムアノード-第2副層とが第1のリチウム表面と第2のリチウム表面とを一緒にプレスすることによって結合されて、リチウム金属アノード層を形成する。
【0091】
特に、本明細書では、次の実施形態について説明する:
【0092】
実施形態1:リチウム電池のためのアノード構造(10)を製造する方法であって、第1のリチウム表面(31)を備えたリチウムアノード-第1副層を提供するための第1の可撓性支持体(21)上へのリチウムの第1の堆積;第2のリチウム表面(32)を備えたリチウムアノード-第2副層を提供するための第2の可撓性支持体(22)上へのリチウムの第2の堆積;及び、第1のリチウム表面と第2のリチウム表面とを一緒にプレスすることによってリチウムアノード-第1副層及びリチウムアノード-第2副層を結合してリチウム金属アノード層(12)を形成することを含む、方法。
【0093】
実施形態2:第1の可撓性支持体がアノード集電体(11)を含み、リチウムの第1の堆積がアノード集電体上に直接行われる、実施形態1に記載の方法。
【0094】
実施形態3:アノード集電体(11)が金属箔、特に銅箔である、実施形態2に記載の方法。
【0095】
実施形態4:アノード集電体(11)が金属コーティングを有するポリマー箔を含み、リチウムの第1の堆積が金属コーティング上に直接行われる、実施形態2に記載の方法。
【0096】
実施形態5:第2の可撓性支持体が固体電解質層(13)を含み、リチウムの第2の堆積が固体電解質層上に直接行われる、実施形態1から4のいずれかに記載の方法。
【0097】
実施形態6:第2の可撓性支持体(22)が、カソード集電体(15)、カソード集電体上のカソード(14)、及びカソード上の固体電解質層(13)を含む、層スタックである、実施形態5に記載の方法。
【0098】
実施形態7:第2の可撓性支持体(22)がセパレータ(16)を含み、リチウムの第2の堆積がセパレータ上に直接行われる、実施形態1から6のいずれかに記載の方法。
【0099】
実施形態8:結合することが、(i)リチウムアノード-第1副層がその上に堆積された第1の可撓性支持体(21)、(ii)リチウムアノード-第2副層がその上に堆積された第2の可撓性支持体(22)、及び(iii)カソード(14)がその上に提供されたカソード集電体(15)を一緒にプレスすること含む、実施形態1から7のいずれかに記載の方法。
【0100】
実施形態9:ロール・ツー・ロール処理システム内において真空下で連続的に行われる、実施形態1から8のいずれかに記載の方法。
【0101】
実施形態10:リチウムアノード-第1副層が1μm≦TLi1≦20μmの第1の厚さTLi1で堆積され、リチウムアノード-第2副層が1μm≦TLi2≦20μmの第2の厚さTLi2で堆積され、かつリチウム金属アノード層が2μm≦TLi≦40μm、特に5μm≦TLi≦15μmの合計厚さTLiを有する、実施形態1から9のいずれかに記載の方法。
【0102】
実施形態11:アノード構造(10)を製造するための真空堆積システム(200)であって、第1の可撓性支持体(21)上に第1のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第1副層を堆積するための第1のリチウム堆積装置(105);第2の可撓性支持体(22)上に第2のリチウム表面を備えたリチウムアノード-第2副層を堆積するための第2のリチウム堆積装置(106);及び、第1のリチウム表面と第2のリチウム表面とを一緒にプレスすることによってリチウムアノード-第1副層とリチウムアノード-第2副層とを結合してリチウム金属アノード層(12)を形成するための結合デバイス(211)を備えた、アノード構造(10)を製造するための真空堆積システム(200)。
【0103】
実施形態12:第1のリチウム堆積装置(105)が、第1の真空堆積チャンバ(221)内の1つ以上の第1のリチウム蒸発器(223)を通過して第1の可撓性支持体を誘導するように構成された第1のコーティングドラム(222)を含み、かつ第2のリチウム堆積装置(106)が、第2の真空堆積チャンバ(231)内の1つ以上の第2のリチウム蒸発器(233)を通過して第2の可撓性支持体を誘導するように構成された第2のコーティングドラム(232)を含む、実施形態11に記載の真空堆積システム。
【0104】
実施形態13:第1の真空堆積チャンバと第2の真空堆積チャンバとの間に真空結合チャンバ(210)をさらに含み、そこに結合デバイス(211)が配置される、実施形態12に記載の真空堆積システム。
【0105】
実施形態14:第1のリチウム表面及び第2のリチウム表面が結合デバイス(211)内で互いに向かい合い、結合デバイス(211)によって直接接触することができるように、第1の繰り出しロール(225)から第1のコーティングドラム(222)へと、かつ第1のコーティングドラムから結合デバイス(211)へと第1の可撓性支持体を輸送するように構成された第1のウェブ輸送システム、及び第2の繰り出しロール(235)から第2のコーティングドラム(232)へと、かつ第2のコーティングドラムから結合デバイス(211)へと第2の可撓性支持体を輸送するように構成された第2のウェブ輸送システムをさらに含む、実施形態12又は13に記載の真空堆積システム。
【0106】
実施形態15:結合デバイス(211)が第2のプレスロールに向かって付勢された第1のプレスロールを含み、その結果、リチウムアノード-第1副層を備えた第1の可撓性支持体(21)とリチウムアノード-第2副層を備えた第2の可撓性支持体(22)とが第1のプレスロールと第2のプレスロールとの間に誘導され、かつそれらによって一緒にプレスされうる、実施形態11から14のいずれかに記載の真空堆積システム。
【0107】
実施形態16:実施形態1から10のいずれかに記載の方法によって製造された、アノード構造(10)。
【0108】
実施形態17:リチウム電池層スタック(100)であって、カソード集電体(15)、カソード集電体上のカソード(14)、カソード集電体上のセパレータ(16)又は固体電解質層(13)、セパレータ又は固体電解質層上のリチウム金属アノード層(12)、及びリチウム金属アノード層上のアノード集電体(11)を含み、リチウム金属アノード層(12)がアノード集電体及びセパレータ又は固体電解質層の両方と直接接触する、純粋なリチウム膜である、リチウム電池層スタック(100)。
【0109】
実施形態18:リチウム金属アノード層とアノード集電体との間の第1のインターフェース(33)がリチウム蒸発インターフェースであり、リチウム金属アノード層とセパレータ又は固体電解質層との間の第2のインターフェース(34)がリチウム蒸発インターフェースである、実施形態17に記載のリチウム電池層スタック。
【0110】
実施形態19:リチウム金属アノード層(12)が、互いに直接接触するリチウムアノード-第1副層(12-1)とリチウムアノード-第2副層(12-2)とを含む、実施形態17又は18に記載のリチウム電池層スタック。
【0111】
実施形態20:カソード集電体(15)がAl箔又はAlでコーティングしたポリマー箔である、カソード(14)がNMCカソードである、及び/又はアノード集電体(11)が銅箔又は銅でコーティングしたポリマー箔である、実施形態17から19のいずれかに記載のリチウム電池層スタック。
【0112】
上記を考慮して、本開示の実施形態は、最先端技術と比較して改良された、アノード構造、リチウム電池層スタック、アノード構造を製造する方法、及び真空堆積システムを有利に提供することが理解されるべきである。具体的には、アノード集電体とセパレータ又はSSE層との間に挟まれたプリスチンなリチウムインターフェースを備えたリチウム金属アノード層が提供され、これは、本明細書に記載される方法に従って製造することができる。リチウムデンドライトの成長を減少させることができ、リチウム金属アノード層と接触層との接着及び接触を実質的に改善することができる。
【0113】
上記は実施形態を対象としているが、基本的な範囲から逸脱することなく、他のさらなる実施形態を考案することができ、その範囲は特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】