(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】クロージャシステムおよびキット
(51)【国際特許分類】
B65D 51/00 20060101AFI20231219BHJP
B65D 55/08 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B65D51/00 100
B65D55/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536365
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021086612
(87)【国際公開番号】W WO2022129586
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャヴシュオール アタマン, ナリエ サリブヤム
(72)【発明者】
【氏名】デ バルディ, モニカ
(72)【発明者】
【氏名】ドレース, グイド
(72)【発明者】
【氏名】エンターリオス, キンタナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, ジョセフ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ロエル, ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ステューデリ, トーマス ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロス, エステル
(72)【発明者】
【氏名】カミッシュ, ニール ベントレー
(72)【発明者】
【氏名】シグリスト, マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ムンジャル, シュレヤ
(72)【発明者】
【氏名】ジレッティ, マティウ ノエル クロード
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA32
3E084AB05
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA04
3E084EB02
3E084EC03
3E084GA08
3E084GB12
3E084LD30
(57)【要約】
容器(2)の開口部(25)を閉じるためのクロージャシステム(3)は、ストッパ部材(31)、ケージ部材(32)、およびばね部材(36)を備える。ストッパ部材(31)は弾性材料から作製され、容器(2)の開口部(25)にぴったりはまるように構成されたプラグ部分(311)と、容器(2)の開口部(25)に隣接する境界面(24)に当接するように構成されたカバー部分(312)とを有する。ケージ部材(32)は容器(2)に取り付けられるように構成される。クロージャシステム(3)は、ストッパ部材(31)のプラグ部分(311)が容器(2)の開口部(25)にはめ込まれ、ストッパ部材(31)のカバー部(312)が容器(2)の境界面(24)に当接し、ケージ部材(32)が容器(2)に取り付けられてストッパ部材(31)を保持する組立て状態となるように構成される。ケージ部材(32)およびばね部材(36)は、クロージャシステム(3)が組立て状態にあるときに、ストッパ部材(31)のカバー部分(312)とケージ部材(32)との間にばね部材(36)を配置するように構成され、その結果、ばね部材(36)がストッパ部材(31)のカバー部分(312)から離れるようにケージ部材(32)を押し出す。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(2)の開口部(25)を閉じるためのクロージャシステム(3)であって、
弾性材料から作製され、前記容器(2)の前記開口部(25)にはまるように構成されたプラグ部分(311)および前記容器(2)の前記開口部(25)に隣接する境界面(24)に当接するように構成されたカバー部分(312)を有する、ストッパ部材(31)と、
前記容器(2)に取り付けられるように構成されたケージ部材(32)と
を備え、
前記クロージャシステム(3)が、前記ストッパ部材(31)の前記プラグ部分(311)が前記容器(2)の前記開口部(25)にはめ込まれ、前記ストッパ部材(31)の前記カバー部(312)が前記容器(2)の前記境界面(24)に当接し、前記ケージ部材(32)が前記容器(2)に取り付けられて前記ストッパ部材(31)を保持する組立て状態となるように構成され、
ばね部材(36)をさらに備えることを特徴とし、
前記ケージ部材(32)および前記ばね部材(36)が、前記クロージャシステム(3)が前記組立て状態にあるときに、前記ストッパ部材(31)の前記カバー部分(312)と前記ケージ部材(32)との間に前記ばね部材(36)を配置するように構成され、その結果、前記ばね部材(36)が前記ストッパ部材(31)の前記カバー部分(312)から前記ケージ部材(32)を押し出すように配置される、クロージャシステム(3)。
【請求項2】
前記ケージ部材(32)が、前記容器(2)の対応する構造に係合するように構成されたロック構造(322)、蓋部分(321)、および前記蓋部分(321)と前記ロック構造(322)との間の中間区画(323)を有する、請求項1に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項3】
前記ケージ部材(32)の前記ロック構造が、変形されて前記容器(2)の前記対応する構造に係合するように構成された少なくとも1つの陽型ロック要素(322)を備える、請求項2に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項4】
前記ケージ部材(32)の前記ロック構造の前記少なくとも1つの陽型ロック要素が舌部(322)を備える、請求項3に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項5】
前記ケージ部材(32)の前記ロック構造の前記少なくとも1つの陽型ロック要素の前記舌部(322)が、前記ケージ部材(32)の円筒形の前記中間区画(323)から延びる、請求項4に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項6】
前記ケージ部材(32)の前記ロック構造の前記少なくとも1つの陽型ロック要素の前記舌部(322)が、前記ケージ部材(32)の前記中間区画(323)に対して弾性的に移動可能である、請求項4または5に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項7】
前記ケージ部材(32)が形状保持材料から作製される、請求項1から6のいずれか一項に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項8】
前記形状保持材料が鋼またはステンレス鋼などの金属である、請求項7に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項9】
前記ばね部材(36)が本質的に線形のばね特性を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項10】
前記ケージ部材(32)の前記中間区画(323)が、前記クロージャシステム(3)が前記組立て状態にあるときに、前記ばね部材(36)および前記容器(2)のヘッド部分(21)の少なくとも1つの部分を取り囲むように構成される、請求項2から9のいずれか一項に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項11】
前記ケージ部材(32)の前記中間区画(323)が本質的に円筒形である、請求項2から10のいずれか一項に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項12】
前記ケージ部材(32)の前記蓋部分(321)が、前記クロージャシステム(3)が前記組立て状態にあるときに、前記ストッパ部材(31)の前記カバー部分(312)が前記蓋部分(321)の開口部(324)を通してアクセス可能であるような前記開口部(324)を備える、請求項2から11のいずれか一項に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項13】
前記ケージ部材(32)の前記蓋部分(321)の前記開口部(324)を閉じるために、前記ケージ部材(32)の前記蓋部分(321)に可逆に取り付け可能なカバー部材(33)を備える、請求項12に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項14】
前記ストッパ部材(31)の前記カバー部分(312)が、前記容器(2)の前記開口部(25)の前記境界面(24)に当接するように構成された前面を有する縁部分と、前記縁部分の前記前面に対向し対応する背面とを有し、前記ばね部材(36)が、前記クロージャシステム(3)が前記組立て状態にあるときに前記ストッパ部材(31)の前記縁部分の前記背面に当接するように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項15】
前記ばね部材(36)が、当接部分(361)および少なくとも1つの弾性層板(362)を有し、前記当接部分(361)が、前記組立て状態で、前記ストッパ部材(31)の前記カバー部分(312)に当接するように構成され、前記少なくとも1つの層板(362)が、前記当接部分(361)から前記ケージ部材(32)に向かって延びるように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載のクロージャシステム(3)。
【請求項16】
容器(2)と、請求項1から15のいずれか一項に記載のクロージャシステム(3)とを備えるキットであって、前記容器(2)が、前記容器(2)の内部にアクセスするための開口部(25)と、前記開口部(25)に隣接する境界面(24)とを備える、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、独立請求項1のプリアンブルに記載のクロージャシステムに関し、より詳細には、容器およびそのようなクロージャシステムを有するキットに関する。
【0002】
そのようなクロージャシステムは、弾性材料から作製され、容器の開口部にぴったりはまるように構成されたプラグ部分および容器の開口部に隣接する境界面に当接するように構成されたカバー部分を有するストッパ部材と、容器に取り付けられるように構成されたケージ部材とを備える。クロージャシステムは、ストッパ部材のプラグ部分が容器の開口部にはめ込まれ、ケージ部材が容器に取り付けられてストッパ部材を保持する組立て状態になるように構成される。このタイプのクロージャシステムは、特に液体および気体に関して容器の開口部をぴったりと確実に閉じるために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
背景技術
多くの化学または医薬の用途では、製剤原料、化学物質、臨床試験の物質などの液体物質は、バイアル、カートリッジなどの特定の容器内で提供される。これらの容器は、通常、中空の内部と、内部へのアクセスを可能にする開口部とを有する。開口部は、通常、境界面によって囲まれるか、または制限される。物質が容器の内部に充てんされ、次に開口部がぴったりと閉じられる。
【0004】
容器を閉じるために、弾性ストッパを使用することが知られている。そのようなストッパは、開口部をぴったりと封じ、または密封することさえ実現し、さらにストッパに針を突き刺し、針を物質に差し込むことにより、容器からの物質の取り出しを可能にすることができる。
【0005】
通常、ストッパはプラグ部分およびカバー部分を有し、プラグ部分は、開口部にぴったりはまるように寸法決めされ、カバー部分は、開口部の境界面に当接するように整形される。より具体的には、ストッパは、カバー部分がある程度押し付けられて気密を生じるように開口部に押し込まれる。多くの用途において必要とされるように、この種類のストッパおよび容器は、容器の効率的で無菌の充てんおよび閉鎖を可能にする。さらに、工業規模では、特にバイアルなどの容器およびストッパは、多くの場合、所定のサイズに寸法決めされる。このように、標準的な機器による自動化処理を効率的に実現することができる。
【0006】
充てんおよび閉鎖後の容器の充分な気密性を実現するために、ストッパは、容器の表面に押し込められ、かつ/または押し付けられる必要がある。ストッパをそのような圧縮された状態に保持するために、通常、ストッパおよび開口部の上部および周囲に配置されたキャップまたはケージが使用される。例えば、ストッパで閉じられたバイアルのヘッドの周りに剛体プラスチックキャップを配置することが知られている。それにより、バイアルのヘッドおよびネック部分の少なくとも一部は、通常、ストッパを押圧状態で保持するプラスチックキャップによって完全に覆われる。または、部分的に形成された金属キャップを容器のヘッドおよびストッパのカバー部分の周りに圧着して、ストッパを容器に固定し押圧することが知られている(圧着キャップ)。
【0007】
しかしながら、そのようなキャッピングシステムがストッパを押すことを可能にする場合でも、通常、ストッパに加えられる圧力を正確に定義することは困難である。また、バイアル、ストッパなどの関連する構成要素は、通常、製造公差を伴うので、クロージャシステムの自動組立ては、ストッパを異なるようにまたは変化して加圧することになる可能性がある。それにより、圧力が低すぎると、クロージャの長期気密性が損なわれる可能性がある。さらに、圧力が高すぎると、ストッパを損傷させる可能性があり、同様に気密性が低下する。
【0008】
したがって、加圧されたストッパを有する容器の開口部の緊密な閉鎖を可能にするデバイスまたはシステムが必要とされ、ストッパに加えられる所定の圧力を効率的に保証することができる。
【発明の概要】
【0009】
発明の開示
本発明によれば、このニーズは、独立請求項1の特徴によって定義されるようなクロージャシステム、および独立請求項16の特徴によって定義されるようなキットによって解決される。好ましい実施形態が従属請求項の主題である。
【0010】
一態様では、本発明は、容器の開口部を閉じるためのクロージャシステムである。容器は、カートリッジなどの、医薬または化学の研究、開発、または製造に使用される容器であり得る。それは、特に、バイアルであり得る。
【0011】
本明細書において使用される「バイアル」という用語は、文字通りの意味でのバイアル、すなわち、液体、粉末状、またはカプセル化された形態の医薬品または薬剤もしくは薬物を貯蔵するためにしばしば使用される、比較的小型の器または瓶に関することができる。バイアルは、ガラス、または例えば、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー、もしくは環状オレフィンポリマーなどのプラスチックなどの滅菌可能な材料から作製することができる。
【0012】
クロージャシステムは、ストッパ部材、ケージ部材、およびばね部材を備える。これに関連して、また以下の説明の文脈における「部材」という用語は、単一の部品ユニットに関することができる。そのような単一の部品ユニットは、例えば、異なる材料から作製された複数の部品または部分を、単一の材料から作製されたモノリシック要素、または不透明なポリマーを透明な基板上に成形することもしくはその逆などの製造プロセスにおいて化学的もしくは物理的に結合された1つもしくは複数の材料から作製されたモノリシック要素に、一緒に固定することによって具現化することができる。
【0013】
ストッパ部材は弾性材料から作製される。それは、容器の開口部にはまる、特にぴったりはまるように構成されたプラグ部分と、容器の開口部に隣接する境界面に当接するように構成されたカバー部分とを有する。
【0014】
ストッパ部材に関連する「弾性」という用語は、ストッパ部材が作製される材料の特性に関することができる。より具体的には、そのような材料特性は、弾塑性、特に圧縮性であり得る。有利なことに、ストッパ部材の材料は、滅菌および無菌状態の維持を可能にする。ストッパ部材は、1つの部品として、すなわち、モノリシック要素として具現化することができる。プラグ部分は、開口部の幾何形状に一致するように本質的に円筒形であり得る。カバー部分を境界面に当接させることを可能にするために、カバー部分は、通常、プラグ部分の上方で横方向または半径方向に突出する。カバー部分は、おおむね円盤状であり得る。
【0015】
ケージ部材は、容器に取り付けられるように構成される。クロージャシステムは、ストッパ部材のプラグ部分が容器の開口部にはめ込まれ、ケージ部材が容器に取り付けられてストッパ部材を保持する組立て状態になるように構成される。
【0016】
ケージ部材およびばね部材は、ストッパ部材のカバー部分とケージ部材との間にばね部材を配置するように構成され、その結果、クロージャシステムが組立て状態にあるときに、ばね部材はストッパ部材のカバー部分からケージ部材を押し出すように配置される。
【0017】
ケージ部材およびばね部材は、組立て状態にあるときに自由空間を生成することにより、ストッパ部材のカバー部分とケージ部材との間にばね部材を配置するように構成することができる。詳細には、この自由空間は、ばね部材が意図した通り作用するように、ばね部材をその中に、有利なことには所定の位置合わせで配置するように設計することができる。
【0018】
これに関連して「カバー部分からケージ部材を押し出すように配置される」という用語は、ケージ部材がばね部材に接触したときに、ケージ部材にカバー部分から遠ざかる向きのばね力を加えるためのばね部材の構成に関する。それにより、特に取り外された位置では、ケージ部材は、ケージ部材にいかなるばね力も加えないようにばね部材から離れることができる。しかしながら、固定された位置では、ばね部材はケージ部材に接触しばね力を加え、その結果、ばね部材はケージ部材を押すように配置される。より具体的には、取り外された位置では、ケージ部材は、ばね部材から離れているか、またはばね部材にのみ接触することができ、ケージ部材をストッパ部材に対して移動させるとき、ばね部材は、ケージ部材に直接的または間接的に接触し、そのばね力をケージ部材に加え、それによってケージ部材をストッパ部材から押し出す。この状態では、ばね部材は、ケージ部材とストッパ部材のカバー部分との間に押圧力を印加または伝達する。
【0019】
ストッパ部材のカバー部分を容器の開口部の境界面に押し付けるために、ストッパ部材のカバー部分に圧力または力を加えるようにばね部材が配置されることにより、ばね部材は、ストッパ部材に本質的に一定で所定の圧力または力を提供することを可能にし、その結果、ケージ部材、ストッパ部材、および/または容器の正確な寸法に関係なく、ストッパ部材のカバー部分が容器の開口部の縁部に押し付けられる力を正確に設定または定義することができる。そのような構成は、関与する構成要素の公差変動を効率的に補償することを可能にし、同時に、容器の緊密な閉鎖を確実にすることを可能にする。ストッパ部材のカバー部分に加えられる力は、ストッパ部材および他の構成要素の材料特性および幾何形状に応じて、約10ニュートン(N)~約100Nの範囲内であり得る。例えば、それは約15Nであり得る。このように、ケージ部材のストッパ押圧部分と容器の境界面との間でストッパ部材を圧縮することができ、その結果、ストッパ部材と容器との間の適切な気密性を実現し維持することができる。
【0020】
好ましくは、ケージ部材は、容器の対応する構造に係合するように構成されたロック構造、蓋部分、および蓋部分とロック構造との間の中間区画を有する。ロック構造が対応する構造と係合するとき、ケージ部材は、通常、バイアルにロックまたは固定される。対照的に、ロック構造が対応する構造から外れるとき、ケージ部材は、通常、バイアルから取り外すことができるようにバイアルに固定されない。
【0021】
容器の対応する構造は、容器の外面に設けられた溝または同様の窪みであり得る。例えば、容器が容器の開口部を有する本体、ネック、およびヘッドを有する場合、溝はヘッドの円周に設けることができる。また、対応する構造は、ヘッドからネックへの移行部などの容器の外形であり得る。
【0022】
対応する構造を係合させることは、例えば、対応する構造をクリップすることによって実施することができる。本明細書で使用される「クリップ」という用語は、対応する構造もしくはその背後へのスナップ嵌合、または同様の機構に関する。一般に、そのようなクリッピングは、通常、ケージ部材および容器などの2つの要素を一緒に移動させるときに、ケージ部材などの1つの要素の弾性変形またはずれを伴い、次いで、2つの要素が適切に配置されると、第2の要素の構造の背後の1つの要素を弾性変形させることを伴う。より具体的には、そのようなクリッピングを可能にするために、ケージ部材のクリッピング要素は、ケージ部材の他の部分に対して弾性的に変形させるか、または曲げることができる。
【0023】
ロック構造は、ケージ部材と容器との間にスナップ嵌合接続を設けることを可能にする。容器にクリップされるか、またはスナップ嵌合されると、ケージ要素は、容器と形状嵌合接続することができる。有利なことに、容器にクリッされるか、または容器の対応する構造と係合すると、ケージ要素は、破壊または損壊されずに容器から取り外すことができない。
【0024】
有利なことに、ケージ部材のロック構造は、クロージャシステムの組立て状態では、ケージ部材のロック構造が容器から外される取り外された位置にあり、ロック構造が容器の対応する構造と係合する固定された位置にあるように構成される。取り外された位置および固定された位置を想定することが可能であることにより、ケージ部材は、特に自動化された方式でも効率的かつ便利に処理することができる。例えば、最初にケージ部材をバイアルに取り付けることができる。取り外された位置では、クロージャシステムを操作してストッパ部材を圧縮することが可能である。次いで、バイアルを正確に閉じると、ロック構造を最終的な固定された位置に変更することができる。
【0025】
ケージ部材のロック構造は、変形されて容器の対応する構造に係合するように構成された少なくとも1つの陽型ロック要素を備えることが好ましい。そのような陽型ロック要素により、ケージ部材を容器に効率的かつ安全に固定またはロックすることが可能になる。詳細には、少なくとも1つの陽型ロック要素は、半径方向または外側方向に弾性的に移動可能であってもよい。
【0026】
それにより、ケージ部材のロック構造の少なくとも1つの陽型ロック要素は、舌部を備えることが好ましい。舌部は、取り外された位置から固定された位置まで半径方向または中心に移動するように構成することができる。そのような舌部は、容器の対応する構造に係合することにより、容器に対するケージ部材の効率的かつ安全なロックまたは固定を実現することを可能にする。詳細には、ロック構造の剛性および弾性は、そのような舌部によって適切に構成することができる。
【0027】
ケージ部材のロック構造の少なくとも1つの陽型ロック要素の舌部は、ケージ部材の円筒形中間区画から延びることが好ましい。そのような構成により、ロック構造を効率的に実現することが可能になる。
【0028】
ケージ部材のロック構造の少なくとも1つの陽型ロック要素の舌部は、ケージ部材の中間区画に対して弾性的に移動可能であることが好ましい。詳細には、陽型ロック要素は、弾性的な方式で、すなわち、元の形状および/または位置に戻る傾向をもって、少なくとも部分的に変形されることによって弾性的に移動可能であり得る。陽型ロック要素は、材料特性に起因する何らかの正常な弛緩を許容することができる。
【0029】
有利なことに、均一なロックまたは固定を可能にするために、ロック構造は、舌部の有無にかかわらず、複数の陽型ロック要素を備える。陽型ロック要素または舌部の数は、約4~12の範囲、約4~8の範囲、または約6の範囲内であり得る。それにより、陽型ロック要素または舌部の各々は、ケージ部材の中間区画に対して弾性的に移動可能であり得る。詳細には、ケージ部材は、容器に固定されているときに、中間区画が本質的に変形されず、陽型ロック要素または舌部が弾性的に移動するように構成することができる。陽型ロック要素または舌部の弾性的な移動性は、例えば、陽型ロック要素もしくは舌部が外側に曲がることにより、かつ/または陽型ロック要素もしくは舌部がジョイント部分の周りに傾斜することによって実現することができる。
【0030】
好ましくは、ケージ部材は形状保持材料から作製される。この文脈で使用される「形状保持」という用語は、力が加えられていないときに、その形態を維持することが可能な材料または構造に関する。詳細には、形状保持材料は寸法的に安定であり得る。通常、形状保持材料は比較的堅固である。詳細には、ケージ部材の材料は、ストッパ部材の材料よりも堅固であり得る。また、形状保持材料は、有利なことに、後述されるように変形を可能にするのに充分弾性的である。そのような形状保持材料は、プラスチック、または特に鋼もしくはステンレス鋼などの金属であり得る。
【0031】
好ましくは、ばね部材は、有利なことにフックの法則に従うように、本質的に線形のばね特性を有する。ばね特性は、クロージャシステムに含まれ得るばね部材の圧縮の範囲内で線形であるとき、これに関連して本質的に線形であり得る。線形ばね特性を有することにより、ばね部材は、その圧縮とはおおよそ無関係の一定または均一のばね定数を有する。これにより、公差変動および(比較的高い範囲の力をもたらす)ストッパの比較的高い圧縮率にほとんど依存しない、ストッパに加えられる所定の比較的低い範囲の力を保証することが可能になる。
【0032】
ケージ部材の中間区画は、クロージャシステムが組立て状態にあるとき、ばね部材、ならびにストッパ部材のカバー部分および/または容器のヘッド部分の少なくとも1つの部分を取り囲むように構成されることが好ましい。容器がバイアルまたは同様の容器である場合、中間区画は、開口部および境界面を少なくとも分的に備えるバイアルのヘッドを取り囲むように構成することができる。したがって、ケージ部材の中間区画は、容器のヘッド部分を取り囲むように構成されることが好ましい。これにより、ストッパをバイアル内またはバイアル上に効率的に保持することが可能になり、ケージ部材を容器に効率的に取り付けることが可能になる。
【0033】
ケージ部材の中間区画は、本質的に円筒形であることが好ましい。このように、中間区画は、容器のヘッド部分を取り囲むように、またはバイアル移送デバイスなどの芯地接続システムの非対称性などの、他の理由のために効率的に設計することができる。詳細には、中間区画は、小型のシリンダまたはリングの形状を有することができる。シリンダに関連する「小型」という用語は、直径よりも小さい高さまたは軸方向長さを有するシリンダに関することができる。シリンダは、特に円形の断面を有することができる。
【0034】
好ましくは、ケージ部材の蓋部分は開口部を備え、その結果、ストッパ部材のカバー部分は、クロージャシステムが組立て状態にあるときに蓋部分の開口部を通してアクセス可能である。ケージ部材の開口部は、特に、クロージャシステムが組立て状態にあるときに容器の開口部と一致するストッパ部材のカバー部分の表面に隣接して配置することができる。それにより、開口部は、ストッパ部材のカバー部分の表面に当接する蓋部分のうち、容器の境界面に接触する面とは反対側の区画を避けることができる。このように、ストッパ部材のアクセス可能な部分は、容易にアクセスし、例えばアルコール消毒綿によって洗浄することができる。例えば、ストッパ押圧部分の開口部は、平坦なリングであるストッパ押圧部分の円形の中央開口部であり得る。
【0035】
それにより、クロージャシステムは、ケージ部材の蓋部分の開口部を閉じるために、ケージ部材の蓋部分に可逆に取り付け可能なカバー部材を備えることが好ましい。そのようなカバー部材により、ケージ部材を保護することが可能になる。それは、ケージ部材に取り付けられたときにケージ部材の開口部を覆うように構成することができる。ケージ部材は、クロージャシステムが組立て状態にあるときにストッパ部材のカバー部分にアクセスするための開口部を設けることができる。
【0036】
好ましくは、ストッパ部材のカバー部分は、容器の開口部の境界面に当接するように構成された前面を有する縁部分と、縁部分の前面に対向し対応する背面とを有し、ばね部材は、クロージャシステムが組立て状態にあるときにストッパ部材の縁部分の背面に当接するように構成される。詳細には、ばね部材は、ストッパ部材の縁部分の本質的に完全な背面に当接するように構成することができる。そのような完全な当接により、ストッパ部材の効率的で均一な圧縮が可能になる。
【0037】
好ましくは、ケージ部材は、クロージャシステムが組立て状態にあるときに、ロック構造に本質的に隣接して終端するように構成される。容器が、ネック部分内を通り越す開口部に隣接する境界面を有するヘッド部分を備えるとき、ケージ部材は、本質的に容器のネック部分を越えて延びることがないように、または容器のネック部分で終端するように構成することができる。このように、ネックが妨げられないことを実現することができ、それにより、閉じられた容器の効率的な取り扱いおよび搬送キットなどの標準的または従来の装備品への取り付け、ならびにネックを含む容器の内部全体の適切な光学検査が可能になる。
【0038】
好ましくは、ばね部材は、当接部分および少なくとも1つの弾性層板を有し、当接部分は、組立て状態で、ストッパ部材のカバー部分に当接するように構成され、少なくとも1つの層板は、当接部分からケージ部材まで延びるように構成される。詳細には、少なくとも1つの層板は、当接部分からケージ部材の蓋部分に向かって延びることができる。
【0039】
ばね部材に当接部分を設けることにより、ストッパの所定部分でストッパを効率よく当接させることが可能になる。それにより、当接部分は、ストッパ部材に均一かつ平面的にばね圧力を提供することを可能にする本質的に円盤状であり得る。
【0040】
ばね部材の当接部分に開口部を設けることができる。詳細には、開口部はケージ部材の蓋部分の開口部と一致して具現化することができ、その結果、組立て状態で、ストッパ部材はケージ部材およびばね部材を介してアクセスすることができる。
【0041】
好ましくは、少なくとも1つの弾性層板は、ストッパ部材に向かうばね力の分散をおおよそ可能にするように複数の層板を備える。さらに、層板は、例えばばね部材の材料の弾性により、当接部分をケージ部材から離れてストッパ部材に向かって押すように、ケージ部材によって押されたときに屈曲または崩壊するように設計することができる。
【0042】
本発明の別の態様は、容器および上述されたクロージャシステムを備えるキットである。容器は、容器の内部にアクセスするための開口部と、開口部に隣接する境界面とを備える。
【0043】
本発明によるキットを用いて、本発明によるクロージャシステムおよびその好ましい実施形態に関連する上述された効果および利益を効率的に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明によるクロージャシステムおよびキットは、例示的な実施形態によって、かつ添付の図面を参照して、本明細書において以下でさらに詳細に記載される。
【
図1】本発明によるクロージャシステムの実施形態を含む、本発明によるキットの実施形態の斜視図であり、クロージャシステムシステムは組立て状態にあり、そのケージ部材は取り外された位置にある。
【
図2】
図1のキットの容器の一実施形態としてのバイアルの斜視図である。
【
図3】
図1のキットのストッパ部材およびばね部材の斜視図である。
【
図4】
図3のストッパ部材およびばね部材の側面図である。
【
図6】
図1のキットのケージ部材の周りに配置された周囲部材の斜視図である。
【
図8】組立て状態にある
図1のキットの一部分の部分的な切断側面図であり、ケージ部材は取り外された位置にある。
【
図10】組立て状態にある
図1のキットの一部分の部分的な切断側面図であり、ケージ部材は固定された位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0045】
実施形態の説明
以下の説明では、特定の用語が便宜上使用され、本発明を限定するものではない。「右」、「左」、「上」、「下」、「下方」、および「上方」という用語は、図における方向を指す。専門用語は、明示的に言及された用語、ならびにそれらの派生語および同様の意味を有する用語を含む。また、「下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」、「近位」、「遠位」などの空間相対用語は、図に示されたようにある要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を記述するために使用されてもよい。これらの空間相対用語は、図に示された位置および向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる位置および向きを包含するものである。例えば、図のデバイスが上下逆さまにされた場合、他の要素または特徴の「下方」または「下」として記載された要素は、他の要素または特徴の「上方」または「上」になる。したがって、「下方」という例示的な用語は、上方および下方の両方の位置および向きを包含することができる。デバイスは、他の方法で方向付けられてもよく、本明細書で使用される空間相対記述子はそれに応じて解釈される。同様に、様々な軸に沿った移動および様々な軸を中心とする移動の説明は、様々な空間的なデバイスの位置および向きを含む。
【0046】
様々な態様および例示的な実施形態の図および説明における繰り返しを回避するために、多くの特徴は多くの態様および実施形態に共通であることを理解されたい。ある態様が説明または図から省略されることは、その態様がその態様を組み込む実施形態から失われていることを意味しない。むしろ、その態様は、明確化および冗長な説明の回避のために省略されているかもしれない。この文脈では、以下が本明細書の残りの部分に当てはまる。図面を明確にするために、ある図が参照符号を含み、それらの参照符号が明細書の直接関係する部分では説明されていない場合、先行または後続の説明部分が参照される。さらに、分かりやすくするために、ある図面においてある部分のすべての特徴に参照符号が付されていない場合、同じ部分を示す他の図面が参照される。2つ以上の図における同様の番号は、同じまたは同様の要素を表す。
【0047】
図1は、容器としてのガラスまたはプラスチックのバイアル2を備える、本発明によるキット1の第1の実施形態、および本発明によるクロージャシステム3の第1の実施形態を示す。
図1では、キット1およびクロージャシステム3は、クロージャシステム3がバイアル2に取り付けられた組立て状態で描写されている。クロージャシステム3は、取り外された位置にある。
【0048】
バイアル2は、中空の内部231を有する本体23と、頭部としての(
図1では見えない)ヘッド21内を通り越すネック22とを有する。クロージャシステム3は、ヘッド21が覆われるようにバイアル2のヘッド21に取り付けられる。クロージャシステム3は、ケージ部材としての金属ケージ32と、カバー部材としての蓋のようなカバー33とを備える。
【0049】
さらに、
図2で最もよく見えるように、バイアル2は、そのヘッド21において、本体23の内部231へのアクセスを可能にする円形または円筒形の開口部25を有する。開口部25に隣接する境界面24は、平坦な上向きの表面として設計される。
【0050】
図3および
図4では、キット10のクロージャシステム3のストッパ部材としてのストッパ31およびばね部材としてのばね板36が示されている。ストッパ31は、本質的に円盤状のカバー部分312と、プラグ部分311とを有する。カバー部分312は、ばね板36が配置された平坦な上面を有する。組立て状態では、プラグ部分311は、バイアル2のヘッド21を通して設けられたバイアル2の開口部25にぴったりはめ込まれる。より具体的には、プラグ部分311は、開口部25に押し込まれたときに半径方向に圧縮され、それによってバイアル2の開口部を締め付けるように寸法決めされる。同時に、カバー部分312はバイアル2の境界面24に当接する。プラグ部分311と開口25との間の緊密な接続を保証するために、プラグ部分311には、その外側境界に円周方向の隆起が設けられる。
【0051】
ばね板36は、本質的に円盤状の当接部分361と、6つの弾性層板362とを有する。当接部分361は、ストッパ31のカバー部分312に当接するように、ストッパ31のカバー部分312の平坦面に配置される。層板362は、カバー部分312からおおよそ斜めに離れて当接部分361から延びる。
【0052】
図5から分かるように、層板362は、当接部分361の円盤の一部を切り取り、それによって形成された層板362を曲げることによって形成される。詳細には、層板362は、反時計回りの半径方向に延びる3つの外側層板362と、時計回りの半径方向に延びる3つの内側層板362とを含む。中央では、当接部分361には、ばね板36がストッパ31のカバー部分312に配置されたときにストッパ31にアクセスすることを可能にする円形の開口部が設けられる。
【0053】
キット1のクロージャシステム3は、ロック作動形成部をさらに備える。
図6は、ケージ32に配置されたロック作動形成部の周囲部材341を示す。
【0054】
クロージャシステム3のケージ32は、剛性であるがある程度弾性のステンレス鋼などの金属材料から作製される。それは、中央開口部324と、各々が下方に延びる舌部322を有するロック構造としての複数の陽型ロック要素とを有する、おおよそ円盤状の蓋部分321を有する。さらに、ケージ32は、クロージャシステム3の組立て状態でバイアル2のヘッド21をクランプするように構成された、複数の下方に延びるクランプ要素325を有する戻り止め構造を有する。より具体的には、蓋部分321から、本質的に円筒形の(
図6では見えない)中間区画323が下方に延び、次に、下方に延びる舌部322および下方に延びるクランプ要素325内を通り越す。舌部322およびクランプ要素325は、中間区画323の周りに規則的かつ交互に分散される。
【0055】
周囲部材341は、本質的に王冠の形状である。詳細には、それはリング3411から構成され、そこから6つのブレード3412が上方に延びる。ブレード3412は、カバー33の貫通孔331に対応する。周囲部材341は、一枚のステンレス鋼として作製される。周囲部材341のブレード3412は、ケージ32のクランプ要素325と位置合わせされる。それに応じて、舌部322は、舌部322が設けられていないリング3411の区画に配置される。
【0056】
図1および特に
図7において最もよく見ることができるように、カバー33は、バイアル2に取り付けられたときにケージ32を部分的に取り囲むように寸法決めされたリング部分334と、ケージ32の上側を閉じるように寸法決めされた円形の円盤部分333とを有する。円盤部分333は、フランジ部分332が確立されるようにリング部分334の上方で半径方向に突出する。フランジ部分332に隣接して、6つのスリット状の貫通孔331がカバー33の周りに規則的に配置される。さらに、円盤部分333には、以下でより詳細に記載されるように、ケージ32の一部を受け入れるための中央窪み3331が設けられる。
【0057】
図8は、組立て状態のバイアル2のヘッド21の近くのクロージャシステム3を示し、クロージャシステム32は取り外された位置にある。そこで、クランプ要素325は、クロージャシステム32がバイアル2上に保持されるようにバイアル2のヘッド21をクランプする。ストッパ31のプラグ部分31は、バイアル2の開口部25にはめ込まれる。それは、ドーム状の下向きに開いた空洞を備えている。ストッパ31のカバー部分312は、バイアル2の境界面24に当接する。取り外された位置では、カバー部分312の上面に位置するばね部材36は、それぞれ、ケージ32またはその蓋部分321に接触しない。したがって、ストッパ31のカバー部分312はケージ32によって押されず、その結果、それは蓋部分321と境界面24との間で圧縮されない。この状況では、カバー部分は第1の高さH
1を有する。
【0058】
ロック作動形成部341の周囲部材341は、ケージ32の中間区画323の周りに配置される。より具体的には、周囲部材341のリング3411は、ケージ32との摩擦によって保持されるように、ケージ32にはまるように寸法決めされる。ケージ32は、固定されていないが、バイアル2に解放可能に保持される取り外された位置にある。この取り外された位置では、ロック構造の舌部322は、周囲部材341を下方に突出させ、バイアル2に係合しないか、またはバイアル2から係合解除しない。さらに、舌部322は、直線脚部分および直線足部分を有する本質的にL字形である。脚部分は、ケージ32の中間区画323から下方に延びる。それにより、舌部の脚部分はバイアル2の軸に平行ではなく、軸に対して鋭角に位置合わせされる。舌部322の各脚部分は、その下端部で足部分内を通り越し、足部分および脚部分は、互いに対しておおよそ直角である。
【0059】
カバー33のリング部分334は、ロック作動形成部34の周囲部材341の周りに配置され、それは摩擦によって保持されるように寸法決めされる。円盤部分333の下面において、窪み3331は、円形開口部324を取り囲むケージ32の蓋部分321の対応する円形隆起3211を受け入れる。
【0060】
図9は、ロック作動形成部が、ここでは非作動位置にあるアクチベータ342をさらに備えることを示す。アクチベータ342は、下方に延びるクリッピングアーム3421と、カバー33の6つの貫通孔331に隣接して対応する下方に延びるブレード3422とを備えている板状ベースを有する。組立て状態では、クリッピングアーム3421はカバー33のフランジ部分332の後ろにクリップまたはスナップ嵌めされ、その結果、アクチベータ342はカバー33に固定される。ブレード3422を有することにより、アクチベータ342は、カバー33を介してロック構造の周囲部材341にアクセスするように整形される。周囲部材341のブレード3412は、カバー33の貫通孔331を通って下から上に延びる。アクチベータ342のブレード3422は、周囲部材341のブレード3412に隣接してその上に配置される。さらに、アクチベータ342は、ばねまたは支持部材として、下方に延びる4つの傾斜しているかまたは斜めの(図では見えない)層板を備えている。層板は、アクチベータ342がカバー33およびケージ32から離れて押されるように、アクチベータ342とカバー33との間に配置される。
【0061】
図10では、組立て状態のバイアル2のヘッド21の近くのクロージャシステム3が示され、ケージ32は固定された位置にある。カバー33はケージ32に押し付けられ、ケージ32はストッパ31のカバー部分312の上面に位置するばね部材36を押す。それにより、弾性層板362は、ストッパ31のカバー部分312に向かって連続的に曲げられ、すなわち層板はつぶれ、ばね部材36の線形ばね特性は、ばね部材36の当接部分361によってストッパ31のカバー部分311に加えられるばね力が一定であり、層板362のつぶれのレベルとは無関係であることを保証する。このように、ストッパ31に対してケージ32を押す正確なレベルとは無関係に、ばね部材36のばね力に対応し、約15Nであり得る所定の圧縮力が、ストッパ31のカバー部分312に加えられることが実現される。したがって、カバー部分312は、ケージ32の蓋部分321とバイアル2の境界面24との間で所定の程度まで圧縮される。このように圧縮されると、ストッパ31のカバー部分312は、第1の高さH
1よりも小さい第2の高さH
2を有する。このように、ばね部材36はキット1の構成要素のいずれかに潜在的に含まれる製造公差を補償し、その結果、バイアル2とストッパ31との間の適切な気密性を確立することができ、ストッパ31が過度の圧縮によって損傷しないことを保証することができる。
【0062】
ケージ32のロック構造の舌部322は、バイアル2に対して下方に移動し、ロック作動形成部34の周囲部材341は、ケージ32に対して下方に移動する。それにより、周囲部材341は舌部322と相互作用し、すなわち舌部322に接触し、クロージャシステム3の軸と位置合わせされたバイアル2の軸に向かってそれらを内側に曲げる。より具体的には、舌部322は、バイアル2の対応する構造として、それらの脚部分がバイアル2の軸に本質的に平行であり、それらの足部分がバイアル2のヘッド21の下端を把持または係合するように変形される。周囲部材341は、この位置に舌部322を保持し固定する。それにより、ケージ32とバイアル2との間の形状嵌合接続が生成され、その結果、ケージ32がバイアル2にロックされ、ストッパ31が圧縮された状態で固定される。
【0063】
図11は、クロージャシステム3をバイアル2にロックするために、ロック作動形成部34のアクチベータ342が非作動位置から作動位置に下方に押されることを示す。それにより、ケージ32の蓋部分321は、上述されたように、ストッパ31のカバー部分312に向かって移動する。アクチベータ342は、ケージ32およびバイアル2に対して下方に移動する。それにより、アクチベータ342のブレード3421は、カバー33の貫通孔331内に上から下に移動する。周囲部材341のブレード3412は、周囲部材341がケージ33に対して下方に移動し、次に、上述されたように舌部322を内側に移動させて、ケージ32をバイアル2にロックするように接触する。このように、ロック作動形成部34は、ケージ32と相互作用して、ケージ32を取り外された位置から固定された位置に変更する。
【0064】
本発明の態様および実施形態を示す本明細書および添付の図面は、保護される発明を定義する特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。言い換えれば、本発明は図面および前述の説明において詳細に例示および記載されてきたが、そのような例示および記載は、事例的または例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本明細書および特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、機械、組成、構造、電気、および動作に関する様々な変更が行われてもよい。いくつかの場合、本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造、および技法は、詳細には示されていない。したがって、以下の特許請求の範囲の範囲および趣旨内で、変更および修正が当業者によって行われてもよいことが理解されよう。詳細には、本発明は、上述および後述の異なる実施形態からの特徴の任意の組合せを有するさらなる実施形態を包含する。
【0065】
本開示は、前記または以下の説明に記載されていないかもしれないが、個別に図に示されたすべてのさらなる特徴も包含する。また、図および明細書に記載された実施形態の単一の代替形態、およびそれらの特徴の単一の代替形態は、本発明の主題または開示された主題から放棄することができる。本開示は、特許請求の範囲または例示的な実施形態において定義された特徴からなる主題、ならびに前記特徴を含む主題を含む。
【0066】
さらに、特許請求の範囲では、「備える/含む」という単語は他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除しない。単一のユニットまたはステップは、特許請求の範囲に列挙されたいくつかの特徴の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されていないという単なる事実では、これらの手段の組合せを都合よく使用することができないということにはならない。属性または値に関連する「本質的に」、「約」、「およそ」などの用語は、それぞれ、まさにその属性またはまさにその値も特に定義する。所与の数値または範囲の文脈における「約」という用語は、例えば、所与の値または範囲の20%以内、10%以内、5%以内、または2%以内の値または範囲を指す。結合または接続されたと記載される構成要素は、電気的もしくは機械的に直接結合されてもよく、またはそれらは、1つもしくは複数の中間の構成要素を介して間接的に結合されてもよい。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】